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ほむら「エヴァンゲリオンVS魔法少女 最後の戦い」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:23:29.61 ID:urkHNFqn0
赤い海。
赤く血塗られた月。
赤い空。
赤く染め上げられた大地。
地に押し寄せる波の音とともに、声が響く。
「……の、ね……やり……す……」
それは、波打ち際で息絶えた少年の、その亡骸に横たわる少女の声であり。
「――いいだろう」
それに応えるのは、少女のすぐ傍に佇む一匹の獣の声であり。
「キミの祈りは、エントロピーを凌駕した」
それに呼応して輝くのは、
「さあ、解き放ってごらん。キミの祈り――キミの願い――キミの、新しい力を!」
――赤く、紅い、宝石だった。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1552839809
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:24:47.57 ID:urkHNFqn0
西暦2011年 見滝原
多くの建物が倒壊し、大きな傷跡を残した街。
ゴミ溜めのように澱んだ場所で、少女は空を見上げた。
厚い雲間から差し込む光を見て、息を吐き出す。
「いまさら『夜』を乗り越えることになるなんて……皮肉にもほどがあるわね」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:27:27.59 ID:urkHNFqn0
西暦2011年 南極
「……どうやら覚醒したみたいね。始祖の生き残りが
眼鏡を掛けた少女は、海上にいた。
円筒状の器の上に立ち、天に昇る光の柱と、海に降り注ぐ光の粒子を見上げながら、眉をひそめる。
呆れるように肩をすくめながら。
楽しむように頭を振りながら
「それにしても、また南極とは。変わらないにゃー、キミは」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:29:48.43 ID:urkHNFqn0
西暦2012年 荒廃した都市
少年は、廃墟の中で膝を抱えていた。
その瞳からは光が失われ、呼吸も浅い。
そうやって、ゆっくりと生を手放そうとする少年の前に、二人組の少女が現れた。
「おい、見てみろよ。こいつまだ生きてんぞ」
「生存者を一名発見。運が良いわね。それで、どうするつもり?」
「どうするって言われても……そうだね。とりあえず……」
赤い髪の少女が、棒状の菓子を少年に向けて突き出した。
「食うかい?」
少年の瞳に、光が灯る。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:30:37.38 ID:urkHNFqn0
西暦2013年 京都
「君はなぜ、そうまでして誰かを助けようとするのかね?」
三十度を超える気候の中、降り注ぐ太陽の光に目を細めながら男は少女に尋ねた。
少女は黙って肩をすくめ、かぶりを振って言葉を紡ぐ。
「私が誰かを助けるのは、それが私の愛する人を助けることと同義だからです」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:31:26.60 ID:urkHNFqn0
西暦2014年 ドイツ
「ふうん。あんたもキョウコっていうんだ?」
広々とした邸宅、リビングに置かれたソファーの上に少女はいた。
右手に包帯を巻いて首から吊るしながら、テーブルを隔てて左手側のソファーに座る女性を見る。
女性はベビーベッドですやすやと寝息を立てる赤子を見ながら、優しい笑みを浮かべた。
「ええ。日本語だと、今日の子、と書くの。ありきたりだけど……今は、良い名前だと思っているわ」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:32:30.31 ID:urkHNFqn0
西暦2016年 第二東京(旧長野)
「あっ、ちょ、ちょっちまって! ……ごっみ〜ん、財布落としたっぽい」
「おいおい葛城、またか?」
「ミサト……あなたって本当にずぼらね」
呆れる二人に手を合わせて謝罪する女性。
その背後から、ウェーブがかった髪の女性が声をかけた。
「ちょっといいかしら? もしかして、その財布ってこれのこと?」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:33:29.77 ID:urkHNFqn0
西暦2026年 9月 第二東京(旧長野)
夜。街灯やネオンとは異なる、熱を持った光が街を照らしていた。
黒煙が立ち込め、怒号が鳴り響き、複数の緊急車両が赤いランプを輝かせる。
「――爆発です! JA事件の最高責任者である時田シロウ氏を護送していた警護車両が爆発しました!」
「原因、死傷者等は未だ不明のままであり、警護をしていた警察官によると、複数の子供の姿を目撃したという情報も――」
カメラの前で叫ぶ報道記者と目も当てられない惨状を尻目に、黒い服装の女性が通り過ぎていく。
「こちら《アメシスト》。対応AB-5、遂行を確認。ただし目撃者が数名いる模様。《ダイヤ》?」
『……私からは、何も言えない』
「良いとも。それが君の望みなら、私は私の、愛の在り方を世界に提示するだけさ。後始末と《ジェット》達との合流地点には《聖団》をお願いするよ」
『……ごめんなさい』
「気にすることはないよ。世界は全て、あまねく君の思うがままに――さ」
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