【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第四章【天華百剣】

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159 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:32:36.01 ID:FUR98O3A0
爪;゚W〉「付き合って、くれるか?」

(;T)「水臭ぇこと言うなよ。共に茂名と戦った仲だろ?」

爪;゚W〉「クク、ハッハッハッハッハ!!」

(;T)「ガハハハハハ!!」


矛の圧が解かれ、肩の刀が引き抜かれた。結構ドバっと出血したが、止血は後回しだ。数歩分の距離を置き、それぞれの武器を構え直す


爪;゚W〉「では……いざ尋常に」

(;T)「尋常に……」


剣術と矛術。型は違えど、構えは同じく『上段』。予め得物を振りかざしているので、『降ろす』だけの動作で済む
奴に何度も打ち合う余力は残ってないだろう。残った命を使い切る『一撃』で勝負に出る
なら俺は、友情を以て応えよう。身勝手な欲望で大勢を巻き込み、純粋に人の可能性を信じ、若者の成長を喜んだ『好敵手』に対して


爪 ゚W〉「……」

( T)「……」


痛みが引き、呼吸は落ち着く。聞こえる音や見える風景、肌の感覚に到るまで、『余分』がそぎ落とされていく
俺、得物、そして三浦。今この瞬間、世界には『三つ』しか無くなった


爪 ゚W〉「」

( T)「」


思考も薄れ、薄れ、薄れ、薄れ――――
160 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:33:28.64 ID:FUR98O3A0





爪 ゚W〉


( T)






爪#゚W〉「ちぇいあッ!!!!!!!」


(#T)「ッだらァ!!!!!!!」




漂白された世界の中で交わされた一撃が、矛を伝い全身を揺るがした
161 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:34:44.48 ID:FUR98O3A0




爪 ゚W〉「……」


( T)「……」



爪 ゚W〉「……」


( T)「……」



爪;゚W〉「……」


( T)「……」



爪; W〉「……」


( T)「……」



爪; W〉「……お見事」


( T)「……お前もな」




宙を舞った黒刀の半身が、俺の背後で地面に突き刺さる
『命を燃やし切った』三浦が、膝から崩れ落ちた
矛の刃は鋭利を保ったまま、静かな『響き』の勝鬨を上げていた
162 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:37:38.11 ID:FUR98O3A0
爪; W〉「ここまで、か……」


へたり込んだ三浦の鎧から、禍魂が蒸発していく。兜は崩れ落ち、表情を露わにする


(; д゚ )「一太刀も、浴びせずとはな……」

( T)「余裕が無かっただけだ。刀折るだけで精一杯……」

(;T)そ「あっ桃色の肩痛い!!!!!!!!!!!!!!」


緊張が解けた瞬間、痛みが爆発的に蘇る。やべえ結構深いぞこれ


(*;゚ー゚)「だ、大丈夫ですか!?」

(;T)「大丈夫じゃない泣きそう……お前は?」

(*;゚ー゚)「薄皮一枚切れただけです!!じょ、城和泉!!」

城和泉正宗「わ、私に言われてもどうしようもないわよ!?回復系の巫魂じゃないのは知ってるでしょ!?」

時雨「傷焼けば?」

城和泉正宗「アンタ冴えてるじゃない!!いい?やるわよ!!」

(;T)そ「良くないもっとマシな方ほ熱アアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッス!!!!!!!!!!!!!!!」


取り囲むように連中が集まり始め、俺は傷を焼かれる始末だ。ランボーかよ


(; д゚ )「ハハハ……羨ましくなるほど、賑やかだな……貴様の周りは……」

(;T)「お前今の仕打ち見て本当にそう思うの?????」

(; д゚ )「ああ……いや、私は……普通の止血が好みだな……」

(;T)「俺だって好き好んでこの方法取ったワケじゃないけど??????」
163 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:40:15.75 ID:FUR98O3A0
夕立「時雨ぇ〜、運ぶの手伝ってっぽいぃ〜……」

時雨「僕もう運んだし。それにもう面倒見たくないし」

夕立「もぉー!!」


夕立は気を失ったままの北谷菜切を引きずっている。見かねた城和泉が手伝いに走った


( T)「あいつは?」

(*゚ー゚)「直前で防いでたみたいでして、思ったほど深く斬り込まれてはいませんでした。手は施しましたので、本格的な手入れと休養をすれば大丈夫でしょう」

(;T)「だ、大丈夫かなぁ……まぁ、聞きたい事もあるし……」

長曾祢虎徹「で、こいつの沙汰はどうする?トドメなら喜んで刺すぜ」

(; д゚ )「……」

( T)「……」


元主の死を冒涜された虎徹の気持ちはわかる。だが、解けていない謎がいくつか残っている。それはスッキリしない
俺の無言の意を汲んでくれたのか、虎徹は溜息を吐いてドカリと胡坐を掻いた。スカートの自覚無いのかこいつ


長曾祢虎徹「あーあーわーったよ、好きにしな……」

( T)「ありがとよ。お前下着派手だnオーウウォウウォウイージーイージー落ち着けフロイライン誰もダメとは言ってないだろ」


恰好がアレだから見られても構わんもんかと思ってた。真っ赤になって股座を隠し、今にもぶん殴ってきそうな虎徹を尻目に、俺も腰を下ろす
地面は随分スカスカな感触になっていた。まるでスナック菓子の層のように頼りなくなっている。カール黒ごま味


( T)「タバコタバコ……おっ、やったぜ濡れてねえ。マッチも無事とは」シュボッ

(; д゚ )「……」

( T)「フゥー……やるか?」

(; д゚ )「いや……酒もタバコもダメなもんでね……」

( T)「そうかい。俺も飲めねえよ」

(; д゚ )「……折角作って貰った時間を……世間話で、済ますつもりか……?」

( T)「ァあ……そうだな、悪い」
164 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:43:37.84 ID:FUR98O3A0
ニコチンとタールがクッソ重たいタバコの灰をトンと落とし、質問を始める


( T)「特異型で別世界に飛ばされたのは本当か?」

(; д゚ )「なんだ……確信してたのでは、無いのか……?」

( T)「偶然の一致って線もある。茂名が未来の情報を要求しなかった理由も、俺の仮説に過ぎない」

(; д゚ )「なら……自信を持て……間違っては、いない……私が、飛ばされたのは……ニ十世紀末の、日本だがな……」

( T)「正確な年代は?」

(; д゚ )「1999年……ああ、確か……梅雨の終わり頃だった……最初に私を迎え入れたのは、雨と湿気だったな……」

( T)「99年……」

時雨「んー……あっ、提督、なんか世界が終わるとかそういう予言無かったっけ?」

( T)「予言……あー、ノストラダムスとかいう与太話か。なんでそんな事知ってんだ?」

時雨「提督が子供の時本気で信じて親に泣きついたって」

( T)「オーケーわかった子供だから仕方ない」


ノストラダムスの大予言。1999年、七の月に人類は滅亡するという、今ならムーにでも掲載されそうなしょうもない伝説だが
三浦がこの西暦に送られていたのなら、あながち冗談でもなくなる。特定の人物が過去から未来へと渡り、そして戻った時、世界は必ずしも変貌しないとは言い切れないからだ
しかし今は関係ない。話を元に戻そう


( T)「未来の日本に絶望し、世界を変えようとするならわかる。禍魂と相性の良い深海棲艦を使って兵力を増強するってのも頷ける」

( T)「だが、俺らの世界での深海棲艦の発生は二十一世紀に入って十年以上経ってからだ。どこでその情報を仕入れた?」

(; д゚ )「それに関しては……偶然だよ……なんでも、良かった……私にとっては……」

長曾祢虎徹「お前の欲を満たせるバケモノを作り出せりゃ、それで良かったってか……どこまでも腐りきってんな」

(; д゚ )「返す言葉も、無い……だが、キミ達を尊敬していたし、憧れてもいた……今更どう取り繕うとも、聞く耳を持ってはくれない、だろうが……」

長曾祢虎徹「っ……たりめえだ!!許せるか!!お前、どれだけの人間を苦しめたのかわかってんのか!?」

( T)「虎徹」

長曾祢虎徹「っっっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」


どれだけ当たろうと、正論を突き付けようと、性根というのは死ぬまで変わらない
虎徹は怒りに任せて地面を殴る。脆くなっていた禍魂の陸地に、小さなクレバスが出来上がった
165 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:46:09.47 ID:FUR98O3A0
(; д゚ )「ああ……わかっている……唯一、俺の話を信じてくれた茂名大尉や……国を憂う彼の同志たち……彼らの正義も、俺は踏みにじった……」

(*;゚ー゚)「正義、ですか……?」

(; д゚ )「『富国強兵』……聞こえは良いが、富むのは軍の上層部や富裕層……戦場で散る命の数だけ、連中ばかりが富むバカげた仕組みだ……」

( T)「そこは今も大して変わんねーな。救えねえぜ、戦争屋ってのは」

(; д゚ )「茂名大尉は……決して秀でた人間ではなかった……だが……兵や、その家族の幸せを一心に願う……将校の鑑だった……」

(; д゚ )「自分や、同志の命すら……投げうって……世の仕組みを、ゴホッ、変えようとしたのだ……」

(*;゚ー゚)「……そんなのって」

( T)「ああ、一切同情出来ねえな」

(*;゚ー゚)「っ……」


ご立派だが、根本から捻じ曲がっている。結果がどう転ぼうが、過程で民間に被害が及んでいれば、『正しい行い』とは言えない
大使を抱いて誓いを立て、良心の呵責に苦しみ、後の世の為に暗躍して、最後は己の正義を信じ死んでいった
禍魂に犯されるワケだよ。『狂気』以外の何物でもない。魂の行きつく先は地の底だ


( T)「悪い見本だ良く覚えとけ。『正義』を免罪符に好き勝手やらかした連中が辿る末路だ。正義の味方と良く言うがな、付く方間違えりゃ破滅へと一直線だ」

( T)「これからめいじ館の看板背負って正しい行いをしていくのならば、こんなクソみてーな言葉に惑わされるな。自分の目で、救うべき『善き人』を見極めろ」

(*;゚ー゚)「……わかり、ました」
166 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:49:14.54 ID:FUR98O3A0
(; д゚ )「手厳しいな……」

( T)「そういう連中に辛酸を舐めさせられてきたんだよ。民衆から兵器扱いされる小娘抱えてりゃ特にな」

時雨「クソだよね」

(; д゚ )「達観も……しようものか……」

( T)「もう一つ解せねえのは、お前が『英雄の死』とやらに取り憑かれたのは一年前の話だろ。異世界から帰ってきて十数年は経過してる」

( T)「その間、茂名のような妄信に取り憑かれていなかったのか?」

(; д゚ )「……限界が、あったのだ……確かに、私もこの国の行く末を憂いたりもしたさ……だが……」

(; д゚ )「背負うには……途方もなく重すぎた……若くして将校の位を得たが……権力を得るほどに……青写真を描けなくなっていた……」

(; д゚ )「どうでも……良かったのかもしれない……だから、驚いたのさ……自分自身の目的の為なら……ここまで情熱を燃やせるのかと……ガッ、ゴホッ!!」


多量の血を吐き出した。そろそろこいつの人生は、終焉を迎えようとしている
他にも聞きたいことはあった。特異型の出現方法や桜禍糖の出先など。だが、証人はもう一人いる
後からでもわかる質問に時間を費やしたくはない。虎徹は怒るだろうが、『友』として、最後にどうしても聞いておきたい


( T)「満足したか?」

(; д゚ )「ッ……ああ、ああ!!素晴らしい、戦いであった!!」

( T)「そりゃ良かった」

(; д゚ )「貴様は、どうなんだ……?恨んでは、いないのか……?」

( T)「見てわかんねーかよ。そりゃ、時雨持ってかれて深海棲艦の処理までさせられて、迷惑極まりなかった」

(; д゚ )「だろうな……すまん」

( T)「だが……良い出会いには恵まれた。お前という強敵も含めてな」

(; д゚ )「ッ……!!」
167 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:50:59.00 ID:FUR98O3A0
( T)「楽しかったぜ、三浦 孝一。ありがとよ」

(; д゚ )「……そうか、そう、か……」


瞳の光が落ちていく。震える唇から、最後の溜息と共に


(; д゚ )「さらばだ……我が、友よ……」



( д゚ )



命が潰えた


( T)「……欲望一つでここまでしでかしたお前の事、嫌いではなかったぜ。ゆっくり休め」


吸いかけのタバコを地面に突き立て、線香の代わりにして
開かれたままの瞼を掌で閉じ、永い眠りへと就かせてやった
168 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:53:05.41 ID:FUR98O3A0
( T)「……」

長曾祢虎徹「……ハァー、聞き捨てならねえ台詞だな、旦那」

( T)「所詮俺も同じ穴の狢だ。戦う動機はお前らのようにご立派じゃねえ」

(*゚ー゚)「だけど……貴方は、貴方たちは、『善き人』の味方だった」

( T)「……」

長曾祢虎徹「ハッ、違いねえな。三浦との決定的な違いはあったってことだ……さて、稜威と巫魂を解くぜ」

( T)「えっちょっ待っ」


(;T)そ「エンッ!!!!!!!!!!!????????」


巫魂のお陰で和らいでいた身体の痛みが一気に駆け巡り、ショックで気が遠くなるが、なんとか持ち堪える
余韻に浸らせてくれてもいいじゃんまだ派手な柄の下着見ちゃったこと怒ってんのかよ


(;T)「ヒィー、ヒィー!!」

秋雲《ちょっとちょっと!!禍憑消え始めてんだけど終わったの!?》

天龍《こっちも穏やかに居なくなり始めてんぜ。これからだって時に余計な真似すんじゃねえよ》

(;T)「ヒィー!!オヒィー!!」

天龍《何喘いでんだ気持ち悪ぃな》

秋雲《尻の穴にウナギでも挿入てんの?》


別働隊からの通信を返せないほど痛い。普段の筋トレでもこんだけ筋繊維断裂しない


時雨「えーっと、提督はお楽しみの真っ最中だから僕が代返するね」


おいふざけんなよお前
169 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:54:46.79 ID:FUR98O3A0
時雨「首謀者、『三浦 孝一』は現時刻を持って死亡。共犯者の『北谷菜切』は確保」

時雨「この戦、僕らの勝利だ。勝鬨上げるなら今だよ!!」


やや間があって、陸から爆発的な歓声が響く
俺の苦しみも知らねえで無邪気なもんだな。仕方ねえか


天龍《避難者をこっちの駆逐艦に移送してから、小夜が乗ってる船で迎えを寄越す。それまでは保ちそうか?》

時雨「んー、大丈bわぁぁ!?」


艤装を背負う時雨の重みに耐えきれなかったのか、禍魂の陸地は陥没した。いい気味だった
小夜の船もなんとか無事らしい。安堵を吐きたい所だが、やっぱり出てくるのは喘ぎだけだった


秋雲《時雨ちゃん?》

時雨「な、なんでもない……急いでよね!!」

天龍《へえへえ仰せの通りにっと》

(;T)「アヒヒヒィーン……」

天龍《うわきっしょ……》


バーソロミュー・くまに頼んで俺の痛みをあいつに全部くれてやりたかった
170 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 22:56:43.38 ID:FUR98O3A0
夕立「天龍ちゃん、なんてー?」

時雨「迎え寄越すってさー」


陸地は端から波に削り取られ、徐々に狭まっている
だが、迎えが来るまでの間なら持ち堪えるだろう。ほんの少しだけ、寂しい光景だった


(;T)「つ、つわものどもが、夢の跡……ってな」

長曾祢虎徹「かっこつける余裕が残ってるようで何よりだぜ」

(;T)「酷なこと言うなよ……」

長曾祢虎徹「仕返しだ。ざまぁみやがれ」

(;T)「虎柄……」

長曾祢虎徹「本っ当に可愛げのカケラもねえ主だな!!」

(;T)「憎たらしい愛刀が言うじゃねえか……」


長曾祢虎徹「……」

(;T)「……ハ」


長曾祢虎徹「……ぷっ、ハハハハハ!!」

(;T)「ハハヤバい笑うと身体痛いィヒィイイイイホォッホォーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


こうして、銘治時代での俺たちの戦いは幕を閉じたのであった―――
171 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:03:04.72 ID:FUR98O3A0
―――――
―――



事の顛末を話そう
あの後、帰りの船上でいつも通り失神した俺は、めいじ館のベッドの上で目を覚ました。俺は上条さんか何かか
またもや蛍ちゃんの治癒能力や牛王吉光のあやしいくすりのお世話になり、日常生活を過ごす分には問題なく回復した
ただし、絶対安静を言いつけられた上でだ。激しい運動(筋トレ)が出来なくて俺は泣いた

浜辺の禍憑消失と共に、街中で暴れていた陸軍残党兵も鳴りを潜めた。副司令始めとした御華見衆上層部は、事後処理に追われている
茂名のバックにまた一つ位の高い将校が絡んでいたらしく、陸軍内部は揺れに揺れている。これを機に組織改革に乗り出すそうだ
街の治安維持は、しばらく御華見衆主体で動くことだろう

めいじ館や、阿音さん率いるみやこ屋の隊員は、大小なり怪我をしていたが、全員が無事
後に俺らを訪ねてめいじ館にやってきた渋沢大佐殿から「海軍兵も犠牲はあったものの、最小限に抑えられた」と、敬礼と共に伝えられた
因みに、女将の息子である双子は、駆逐艦上での戦働きを認められ、正式に巫剣使い『見習い』として御華見衆に迎え入れられるそうだ
まだ海兵としての任期が残っているため、配属はまだ先の話になるけどな

身柄を確保した北谷菜切は、重要参考人として本部での聴取を受ける運びとなったのだが―――
172 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:04:44.86 ID:FUR98O3A0
( T)「黒幕がいる?」

小烏丸「うむ」


事件から二日後、話を聞くにもう一つややこしい事態に陥っていたらしい
お茶会がてら開かれた報告会で、小烏丸が渋い顔で伝えてくれた


∬´_ゝ`)「製造法を陸軍が掴んでいたのは間違いないんだけど、肝心の原材料はまた別の組織が絡んでいたらしいのよ」

( T)「ええ……めんどくさ……そういや数年前に桜禍糖絡みの事件があったって聞いたな」

∬´_ゝ`)「ええ。桃太郎組という任侠団が製造、流通を行なっていたの」

小烏丸「とは言え、内部でも食い扶持の稼ぎ方を巡ってかなり揉めておった。抗争の最中、漁夫の利を得る形で主犯格を倒し、任侠団は壊滅」

小烏丸「原料の栽培場も焼き払い、終息したと思っておったんじゃが……」

秋雲「土竜の唄めいてきましたねぇ……」

( T)「シャブは駄目だ」


シャブをシノギにしないでヤクザやるから楽しいんだよってパピヨンも言ってた


∬´_ゝ`)「やだ、ごめんなさい。貴方達に言っても余計な心配増やすだけよね」

( T)「ああうんもう頑張れとしか言えねえな……」

∬´_ゝ`)「優しい言葉をかけてよ」

( T)「うわっめんどくさい……」
173 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:06:24.96 ID:FUR98O3A0
小烏丸「阿音よ、ふざけている場合ではなかろう……肝心の報告はいつ伝えるのじゃ?」

∬´_ゝ`)「はいはい仰せのままに。特異型禍要柱だけど、貴方達のような異世界の人間がいる間は頻繁に現れる代物なんですって。ただ、発生場所は不規則だから、足使って探す必要はあるわね」

( T)「そんなゆるゆるなんだ……」

秋雲「待って待って、それってまた深海棲艦現れちゃうやつじゃん!!」

小烏丸「いんや、此方が先に抑えてしまえば、良からぬものが送られる事は無いそうじゃ。今は大規模な敵勢力も居らぬ故、無事に帰れるじゃろうよ」

( T)「ハァーン……そうかい……」

小烏丸「ため息なんぞ吐いてどうした?不服なワケでもあるまい?」

( T)「もう一悶着あるもんかと思ってただけだ。あのクソガキが素直に俺らを帰すとも思えなかったしな」


阿音さんも小烏丸も信憑性のない話をわざわざ伝えに来ないだろう。捕われの北谷菜切は素直に聴取に応じているらしい
拷問でもされてんのだろうか?呼んでくれたら喜んでムカデ人間上映会を開催したっていうのに


小烏丸「懲りたんじゃろうよ。三浦には切り捨てられ、目的はお主らに潰された。顔も見たくないと言った様子じゃったぞ?」

( T)「腹の底から『ザマミロ&スカッとサワヤカ』の笑いが出てしょうがねーぜ」

小烏丸「北谷の減刑を求めた若とは違って人でなしじゃな……」


比較対象が聖人君子過ぎんだろ勝てるかよ
174 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:07:51.49 ID:FUR98O3A0
∬´_ゝ`)「特異型の調査は私達に任せて、貴方達はゆっくり傷と疲れを癒して頂戴」

( T)「ああ、長期休暇だと思って割り切って過ごさせてもらうよ」

秋雲「あんがとねー」

小烏丸「では、我らはこれで」


テラス席を立ち、二人は足早に歩き去った
忙しい中、わざわざ直接報告をしにきてくれたのだろう。頭が上がらないな


秋雲「まさか、この一連の事件すら大きな陰謀の中の一つに過ぎなかったとはねー。解決まで見ていたい気もするけど」

( T)「俺らの出る幕じゃねえよ。ここにはここの物語がある。部外者はとっとと退散しねえとな」

秋雲「ポエット」

( T)「やかましいわ」

秋雲「じゃ、提督。あとよろしくー」

( T)「は?どこ行くんだおま……」


ヒラヒラと手を振って館内に戻った秋雲と入れ替わりに


和泉守兼定「お勘定だ」


茶房の制服を着た仏頂面のいずみーが、テーブルに伝票を叩きつけた
してやられた。あいつら支払いを俺任せにして逃げやがった。結構飲み食いされたぞチクショウ
175 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:10:23.49 ID:FUR98O3A0
(;T)「っあー……ツケは利くか?」

和泉守兼定「寝言をほざくな。と言いたいところだが……フン、良いだろう。私が支払っておく」

(;T)「は?なんで?」

和泉守兼定「礼だ。貴様らが居なければ、三浦を止めることができなかった。不甲斐なくも、私はあの時ほとんど役に立たなかったからな」

( T)「決定打与えておいて何言ってんだ」

和泉守兼定「奮闘あってこそだ。それと……局長の事もある」

( T)「ああ……いや、別に気にせんでも……それより、俺こそすまんかったな」

和泉守兼定「何がだ?」

( T)「お前の期待を一度裏切ってしまった」

和泉守兼定「天幕での話か。あの時は斬り捨ててしまおうと本気で思ったな。我ながら自分の辛抱強さには感心したものだ」


聞き捨てならない物騒な台詞を吐きながら、いずみーは席に着く。懐から棒突き飴を出し、咥えた


( T)「仕事はいいのか?」

和泉守兼定「今日はこれで終わりだ。どうにも、給仕は性に合わん」

( T)「大変だね(笑)」

和泉守兼定「叩っ斬るぞ」


おお、怖い怖い
176 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:11:40.95 ID:FUR98O3A0
和泉守兼定「傷の具合はどうだ?」

( T)「快調とは言えねえが、美女と茶をしばく程度なら問題ねえよ。巫剣の回復力が羨ましいぜ」

和泉守兼定「母君の手入れの賜物だがな。それと、鳥肌が立つような台詞を吐かないでもらおうか」

( T)「厳しいねぇ……」


タバコを取り出そうとすると、いずみーから飴を投げ渡される


和泉守兼定「煙を喫むよりは、ずっと健康に良い」

( T)「いいのか?」

和泉守兼定「スられるよりはマシだ。秋雲の手癖の悪さには毎度辟易させられる」

(;T)「マジごめん」


そういう事なら、ありがたく頂いておこう。秋雲は帰ったらゲロ吐くまで指導する
しばし柑橘系の甘さを堪能していると、いずみーが唐突に切り出した


和泉守兼定「どうするつもりだ?」

( T)「何が?」

和泉守兼定「局長と、菊だ」


これ以上なんかしなきゃいけないんだろうか。肉体改造とかしなきゃならないのだろうか
177 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:12:59.22 ID:FUR98O3A0
和泉守兼定「仮とは言え、貴様は局長と稜威を繋いだ。鞘入れをすれば更に強力な力を発揮できるだろう」

( T)「その……鞘入れって、なんなの?なんかしなきゃいけないの?」

和泉守兼定「わっ、私の口からそんな恥ずかしいことを説明させるな!!」


マジで何するんだよこえーよ


和泉守兼定「コホン……と、とにかく、その気になれば御華見衆を離れようとも、局長は巫剣として活躍出来る。深海……なんとかにも対抗出来るだろう」

和泉守兼定「双方にその気があれば、貴様の世界へと……その……菊も、夕立とは別れたくないようだし……」

( T)「飴切れか?歯切れが悪いぞ?」

和泉守兼定「私は真剣に……!!」

( T)「ねえよ」

和泉守兼定「!!」


何を言うかと思えば、そんなことか。悩むまでもない
そりゃ確かに別れは辛いものさ。ただでさえ違う世界を跨ぐのだ。永遠の別れに等しい。だけど
178 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:14:15.49 ID:FUR98O3A0
( T)「お前らのワガママで俺らをこの世界に留めておけないのと同じく、俺らの世界に特定の誰かを連れ帰るなんてしない。俺だって夕立だって、ちゃんと割り切ってるよ」

和泉守兼定「だがっ……いいのか?」

( T)「個人的事情でズルは出来ねえさ。それに、お前だって辛いだろ?」

和泉守兼定「私はっ……いや、すまない……そうだな。正直言って、その言葉を聞いて安心しているよ」

( T)「ハハ、随分素直になったじゃねえか」

和泉守兼定「うっ、うるさい!!悪いか!?」


ツンデレって面白いなって思った


和泉守兼定「はぁー……なら、最早言うべきことは一つだけだな。後悔を残して帰るんじゃあないぞ」

( T)「わかってるよ。ありがとな」

和泉守兼定「べ、別に礼を言われるようなことなど……し、失礼はあったが……」


ツンデレって面白いなって思った。このタイプ、ウチにはいねえから


( T)「それより、ちょっとお喋りに付き合ってくれよ。新選組の話を聞きたい」

和泉守兼定「フ……いいだろう。私しか知らない話は山ほどあるからな」

( T)「じゃあ、北海道で鮭のチタタプを作ったってのはーーーー」


ここから先の会話は、割愛させてもらおう
179 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:15:30.68 ID:FUR98O3A0
―――――
―――



矢のように早い一週間が過ぎた頃、特異型の発見報告が届いた
場所は、俺たちが最初に現れた神社だそうだ。現場は確保及び封鎖され、深海棲艦が現れることも無かったらしい
俺たちは手早く帰り支度を済ませ、めいじ館に別れを告げた。わざわざ見送ってくれる為に、茶房を臨時休業にまでしてくれた

最後に一つ、寄るところがあった


( T)「……」

長曾祢虎徹「……どこ行ったかと思えば、律儀だな。旦那」

( T)「挨拶だけ、しとこうと思ってな」


墓前に手を合わせていると、俺を探していたらしい虎徹が話しかけてきた
彼女の元主が眠る墓。矛を借りたことの報告と、礼を兼ねての墓参りだ


( T)「彼はどんな人物だった?」

長曾祢虎徹「そうだな……ガタイは良いくせに気弱で口下手。純情で揶揄い甲斐のある可愛い奴だった」

長曾祢虎徹「酒は強くてなー……本人はあまり呑みたがらなかったが、何度も俺の気晴らしに付き合わせては迷惑を掛けた」

( T)「心労をお察しするな」

長曾祢虎徹「うっせ。まぁ、そう考えたら……戦い方も性格も、旦那とは真逆だったな。罵倒や騙し討ちとは無縁の、穏やかな男だった」

( T)「育ちが悪くてすいませんね」

長曾祢虎徹「ハハ、拗ねんなって……良い男だったよ。旦那にも引けを取らないくらいにな」

( T)「そうか……良い男筋肉頂上決戦、したかったな……」

長曾祢虎徹「アホか」


しんみりしてるのに酷い事言う奴だな
180 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:17:36.05 ID:FUR98O3A0
( T)「待たせたな。行こ……それは?」

長曾祢虎徹「気に入ってたんだろ?」


虎徹は担ぎ上げていた矛を俺に差し出す。この菊華刀のお陰で、俺は稜威とやらを発揮でき、虎徹と共に勝利を掴めた
確かに、喉から手が出るほど欲しい代物だ。今の技術でもこれだけの業物を作り出すのは難しいだろう


( T)「せっかくだが、やめておくよ。そりゃ彼の物だ。借りるのはともかく、持って帰るのは忍びない」

長曾祢虎徹「遠慮しなくてもいいんだぜ?勲章の一つや二つなくちゃ恰好がつかねえだろ?」

( T)「貰ったさ」


マスクを脱いで虎徹に投げ渡し、『代わり』を被る


(キT)「何物にも代えがたい勲章をな」


しっかりと『黄色い糸』で縫い留められたマスクを


長曾祢虎徹「っ……そりゃ、冥利に尽きるな」

(キT)「一度きりとはいえ、お前と繋がりを持てた事、誇りに思うぜ。新選組局長、『長曾祢虎徹』」

長曾祢虎徹「……」


虎徹は何かを堪えるかのように俯いたかと思うと、俺の胸倉を掴み、顔をグイと引き寄せた
頬が触れ合いそうなほど近くに寄せられた俺の耳元で、温く湿った吐息と共に呟く



長曾祢虎徹「『次』は、どんな手を使っても絶対に帰さねえからな」

(キT)「……」



自称『乙女』の必殺の一言を
181 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:19:12.17 ID:FUR98O3A0
長曾祢虎徹「……行くぞ!!皆を待たせてんだからな!!」


やや乱暴に突き放し、振り返ってズンズンと先を歩く彼女の耳は赤く染まっていた
最後の最後にやってくれるじゃねえか。この世界に来て一番強烈な一撃だったぜ


(キT)「ハァ〜〜〜〜〜……」


我ながら、とことん女運の無い人生だ。良い女ほど縁が無い


(キT)「アンタが惚れこんだのも納得だぜ、大将」


怨めしそうにこっちを睨む墓石にコツンと拳を当てる
生き残った者の特権だ。甘んじて見逃して貰う他ない。俺はアンタの代わりにはなれなかったが


(キT)「もっと良い主に巡り合えるよう、導いてやってくれや」


願いを託すくらい、許してくれよ


長曾祢虎徹「旦那ー!!なーにやってんだよ!!」

(キT)「今行くよ!!じゃあな。よろしく頼むぜ」


彼に別れを告げて、小走りで虎徹を追った
この長い長い、怪異の終わりを迎える場所へ向かう為に――――
182 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:20:41.57 ID:FUR98O3A0
加州清光「来た来た。きょくちょー!!提督さゲボア!!!!!」

(キT)「やだ迎え吐血……」


特異型禍要柱は、俺らがやってきた時と同じ位置に鎮座していた。違うところと言えば、禍憑の代わりに世話になった人々がいるくらいだろう
神社には、女将を始めとしためいじ館のメンバー。阿音さんと小烏丸。それと丙子椒林剣も見える。盛大な別れになりそうだ


秋雲「もしかしてお楽しみタイムでした〜?」

長曾祢虎徹「うっせうっせ!!迎えに行っただけだよ!!」

(キT)「セクハラで訴えるぞ」


ニヤケ面で揶揄ってくる秋雲は帰ったらゲロ吐くまで指導しようと思った


@#_、_@
(  ノ`)「大将」

(キT)「女将。世話になりました」

@#_、_@
(  ノ`)「いんや、賑やかで楽しい日々だったよ。寂しくなるね」

(キT)「そうですね……おや、ウチのクソガキは?」

天龍「ここだ」

小夜左文字「連れてきた……」


一番世話になった奴は、だだ捏ねて拗ねた子供みてーに天龍と小夜に引きずられてやって来た
誰よりも長くこの時代で過ごし、誰よりも早く帰還を望んでいた奴らしからぬ、暗い顔をぶら下げて


(キT)「艤装……ああ、特異型の近くにあるじゃん」

天龍「流石にアレ忘れちゃマズいだろ」

(キT)「無断の持ち出しだけでも極刑レベルの代物だしな……」


バレた所で逆ギレすればいいだけの話だが
183 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:24:01.44 ID:FUR98O3A0
天龍「ほれ、言う事あんだろ?」

時雨「……」

天龍「あのなぁ……」

@#_、_@
(  ノ`)「いいさいいさ。時雨」

時雨「……何さ」

@#_、_@
(  ノ`)「アンタは口は悪いわ働かないわ、本当に手の掛かるクソガキだったよ」

時雨「……どうも」

@#_、_@
(  ノ`)「だけどね……フフ、見てて飽きない子でもあった。短い間だけど、可愛い娘が出来て嬉しかったよ」

時雨「……ッ」


堪えきれなかった時雨は、女将の大きな身体に抱き着いた。女将もまた、優しく抱き返す


時雨「……お、終わり!!放してよババア!!」

@#_、_@
(  ノ`)「おや、もう少しこうしておきたいんだがね」

時雨「もう!!」

@#_、_@
(  ノ`)「フフフ」


嗚咽出るくらい泣かせる気だ間違いない。涙をこらえる為に視線を逸らすと


(*゚ー゚)「城和泉、ほら」

城和泉正宗「ま、待って、私……」


なんかさっきの時雨と似たような光景が見えた
184 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:25:57.01 ID:FUR98O3A0
小夜左文字「城和泉も……別れが辛いからって……」

天龍「はぁーん……」

長曾祢虎徹「やっぱどっか似てんだよなこいつら」


城和泉正宗「そこ!!聞こえてるわよ!!」


女将は時雨から手を放し、城和泉へ向かって背中を押した


@#_、_@
(  ノ`)「ほれ、順番を譲るよ」

城和泉正宗「お母さんまで……もう……」


いよいよといった表情で決意を固めた城和泉は、抱えていた紙袋を時雨に押し付ける


城和泉正宗「これ!!私の地元から送られてきた津軽のリンゴ!!」

時雨「おっとと、あ、ありがと……」

城和泉正宗「く、く、口うるさいのが居なくなってせいせいするでしょうけど、私だって生意気な子が居なくなって気が楽になるし、その……違うの、言いたいのはそんな事じゃなくて……」

時雨「……提督、これ持ってて」

(キT)「おう」


受け取った土産を俺へ手渡すと、時雨は髪飾りを外し


時雨「お節介なキミにプレゼントだよ」


城和泉の髪へと付け替えた


城和泉正宗「時雨……」

時雨「代わりにこれは貰っておくけどね」

時雨「えっ、あー!!私の髪飾り!!」


時雨の頭で、城和泉の『茎を模した髪飾り』が煌めいた。ちゃっかりしてる奴だ
185 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:27:14.72 ID:FUR98O3A0
城和泉正宗「ほんっと最後まで気に食わない子なんだから!!」

時雨「素直にサヨナラも言えない城和泉よりマシだよ」


(*;゚ー゚)「そ、その辺に……」ハラハラ

(キT)「まぁ見とけって」


二人はしばし睨み合い、そして―――


城和泉正宗「ぷっ、あはははは!!」

時雨「んふっ、ふふふ」


朗らかに、笑いあった


城和泉正宗「仕方ないわね。元の世界でも、しっかりやんなさいよ。時雨!!」

時雨「もう二度と錆びつくなんてことないようにね。城和泉」


(キT)「ヴェッ」

(*;゚ー゚)そ「ど、どうしたんです?」

(キT)「先走り嗚咽出た」

(*;゚ー゚)「はぁ……」


歳取るとどうしてこう……さぁ……
186 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:28:48.39 ID:FUR98O3A0
(キT)「さて、お前ともお別れだな」

(*゚ー゚)「はい、あっという間でした」

(キT)「『私の主と勝負しろー』なんて言われた時は呆れちまったよな」

(*;=ー=)「愛刀がご迷惑をお掛けしました」

(キT)「いやいや、お前との五番勝負、楽しかったぜ。結果は……まぁ……グダったけども……」

(*゚ー゚)「いえ、まっするさんには敵いませんよ。貴方には色々な事を教わった。お陰で、巫剣使いとして自信が持てそうです」

(キT)「俺の生き方を丸きり参考にすんじゃねえぞ。ロクデナシになりたくなけりゃあな」

(*゚ー゚)「フフ。強くなれるなら、それも悪くないですね」

(キT)「城和泉に殺されちまうからやめてくれよ」

(*゚ー゚)「冗談です。僕は、僕なりの強さを追求していこうと思います」

(キT)「ああ、そうしろ。沢山吸収して、沢山悩んで、沢山鍛えろ。誰にも負けない『漢』になれ」

(*゚ー゚)「そのつもりです」


一端の面をした若が差し出した手を握り返す
相変わらず、ナリに見合わないごわついた手だ。戦い、挑む者の、頼もしい手だった


(*゚ー゚)「ありがとうございました」

(キT)「ああ、此方こそ」


強くなるだろう。なんたって、俺の弟分だ
成長を間近で見られないのが残念でならない。その楽しみは、女将や虎徹に譲ってやるとしよう
187 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:31:22.98 ID:FUR98O3A0
小夜左文字「終わった……?」

(キT)そ「うおっ、ビックリさせんな」


このヌルっと現れる監視人とも今日でお別れだ


(キT)「お前にも世話になったな。復讐帳に書かれた数だけあんぱん作らされた時は気が狂うかと思ったぜ」

小夜左文字「優しい復讐にしてやったのだから、感謝してほしいものね……」

(キT)「結構キツkわっぷ!?」


文句は、顔に投げつけられた緋色のマフラーによって遮られる
小夜が肌身離さず着けている代物だ。それこそ、風呂の時ですら外さないらしい。アホだと思った


(キT)「これは?」

小夜左文字「餞別……」

(キT)「おっ、と……嬉しいサプライズじゃ……お前これ……」


よく見ると、マフラーの端がほんのちょっぴり焦げていた
城和泉の暴走を止めた時に掠めたのだろう。小夜の顔を見ると


小夜左文字「どうせ処分するものだから……」


あっけらかんと肩を竦めた。これも彼女なりの復讐ということなのだろうな


(キT)「ハハ。本当に、頼りになる『影』だった。ありがとう」

小夜左文字「ん……」


気恥ずかしそうに目を逸らし、マフラーで鼻先まで隠すその姿に
出会った当初、俺に刀を突きつけた冷たい復讐者の影は感じられなかった
188 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:33:49.69 ID:FUR98O3A0
丙子椒林剣「これは私たちからの餞別です〜」


うわっそうだいたんだ。結構でかい風呂敷を渡される


小烏丸「生憎、見送りには来れんかったみやこ屋の連中の物も入っておるが……その……取り扱いには注意するのじゃぞ?」

(キT)「待って怖い怖い怖い何入ってんの?」

∬´_ゝ`)「牛王ちゃんの薬とか」

(キT)「持って帰りたくねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」


一年後、この薬が騒動を起こすことを俺はまだ知らない ※『鎮守府微震!!ショタと化した提督!!パワフル全開ですよみさえさーーーーーーん!!!!』参照


丙子椒林剣「それと、仕立て直した服も入っておりますので〜」


このババアわざわざ俺サイズのメイド服直したのかよふざけんなよどんだけ辱められたと思ってんだ


(キT)「そうかいありがとうよ恐らく今後ぜってー着ねえが思い出として取っておいてやるよ『服』司令が」

丙子椒林剣「短い間でしたが、滑稽で可愛い着せ替え人形として楽しめました〜」

(キT)「てめぇ……」

小烏丸「やめぬか椒林……元気での。其方も大変であろうが、勝利と健闘を祈っておるぞ」

∬´_ゝ`)「またね……は、可笑しいか。お互い隊を率いる者同士、頑張りましょうね」

(キT)「おう、そっちもな。ありがとよ」
189 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:37:20.57 ID:FUR98O3A0
八宵「はいはーい!!次は私たちから!!」

七香「めいじ館の名物です!!皆さんで召し上がってくださいね!!」

(キT)そ「ありが……重っめ!!!!!!?????」


茶房の名物ってこんな金属音したっけか?それより俺にバンバン物渡すのやめてくれ


天龍「ほれ、寄越せ」

(キ;T)「悪ぃな……八宵、お前何入れた?」

八宵「試作機かな☆」

(キT)「やっぱりウナギの樽にぶち込んどけばよかった」

八宵「やめてよね!!本当に持ってこられた時は貞操の危機感じたくらいなんだから!!」

(キT)「冗談だよ。ウチの変態発明家が喜ぶだろうぜ」

七香「妹が大変ご迷惑をお掛けしました……」

(キT)「いいさ、慣れてるよ。キミが淹れた茶は美味かった。気苦労が多いだろうが、身体だけは壊すなよ」

七香「はい!!」

八宵「なんでこっち見ながら言うかなあ?」


前科と余罪がたっぷりあるからだろうが
190 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:39:03.49 ID:FUR98O3A0
抜丸「て、提督さん……」

(キT)「おうおうどうした抜丸。お腹痛いのか?」


抜丸を始めとしためいじ館の巫剣達も続々と別れの挨拶に訪れる


抜丸「わ、わたくし、皆さんのお役に立てずじまいでお別れだなんて……」

不動行光「今朝からずっとこの調子なんですよ。慰めてやってください」

(キT)「あー……確かに事あるごとに窓やら壁やらぶち抜いてたのはびっくりしたが、救われた場面だって多い。抜け目ない活躍だったと俺は思うぜ?」

抜丸「ほ、本当ですか……?」

(キT)「ああ、自信を持て。これからも、抜きん出た活躍をしてやれよ」

抜丸「っ……はい!!抜丸、これからも抜かりのなく皆さんのお役に立ち続けます!!」

(キT)「いやでもちょっと肩の力は抜いた方がいい」

抜丸「ええ!?最後はダメ出しですか!?」

不動行光「確かにそれはあるかもですねー」

抜丸「ゆきさんまで!?」

(キT)「ゆきは目分量できんつば作るのやめろ。お前の手作りは食うたびになんか若干気が狂う」

不動行光「酷くないですか!?」

(キT)「冗談だよ。和菓子屋の婆ちゃんとこれからも仲良くな」

不動行光「むー……ちょっと釈然としないですけど、良しとしましょうか」
191 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:41:42.54 ID:FUR98O3A0
紅葉狩兼光「てーとく!!」ドバシドコァ!!!!!!!!!!

(キ;T)そ「背中痛って!!!!!!?????」オブリシアァン!!!!!!!!


常人なら背骨がばき折れるレベルで紅葉に背中を叩かれる
彼女らしい元気と気合の入った激励だが、評判はすこぶる悪い


紅葉狩兼光「元気でね!!僕らのこと、忘れないでよ!!」

(キ;T)「あ、ああ……背中が痛むたびに思い返すよ……」

蛍丸国俊「蛍のことも……忘れ、わす……」


夜行性の蛍ちゃんは眠気を必死に噛み殺しているが、若干負けていた


(キ;T)「風邪引くからそこらで寝るなよ……」

蛍丸国俊「善処……してみます……」

(キ;T)「ダメそう」
192 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:43:25.91 ID:FUR98O3A0
津田越前守助廣「おっちゃーん!!」

ソボロ助廣「特異型の欠片は持ちましたか?」


大阪生まれの巫剣親子も忘れちゃいけねえな


(キT)「ああ、それならここ……こ……」

秋雲「これ?」

(キT)「ああ良かった持って……いやなんでスるんだお前」

秋雲「最悪秋雲さんだけは帰れたらいいかなーって思って」

(キT)「どつき回すぞ」

ソボロ「フフ、大丈夫でしょう。ちゃーんと帰れますよ」

(キT)「ほんとかなぁ……」

津田「秋雲のねーちゃん、絵ぇ教えてくれてありがとうな!!漫画?っての、頑張って描いてみるわ!!」

秋雲「おおう、優秀な生徒が出来て嬉しいわぁ……」

津田「所で、びぃえる?っての、ホンマになんなん?マッパの男同士で相撲取り合うの、未来ではそう呼ぶん?」


ソボロ先生が固まった。俺は秋雲の頭をどついた


(キT)「つーちゃん。もうちょっと大きくなったら、かーちゃんに教えてもらいな?」

ソボロ「お、押しつけるのやめてぇや!!ウチかてそんなこと教えられへんわ!!」

秋雲「痛……う、狼狽えると関西弁になる美女ママ……有りよりはべりいまそかり……」


もう一発殴っといた
193 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:45:03.74 ID:FUR98O3A0
(キT)「ハァ……後は」


夕立「うえええ……ええええ……」

菊一文字則宗「夕立さん、ほら、提督さん来ましたよ」


菊さんに抱きついて離れない夕立を、かしゅーやいずみーが慰めている
一番仲の良かった二人だ。別れも相応に辛いのだろう。嗚咽漏れるかと思った


(キT)「最後まで世話を焼かせちまったな」

菊一文字則宗「とんでもない。僕の方こそ、彼方でお世話になったんですから」

夕立「菊ちゃん、菊ちゃあん……」

菊一文字則宗「っ……ごめんなさい、もう少しだけ、いいですか?」

(キT)「気が済むまで」


かっこつけているが、実は泣き叫ぶ一歩手前まで来ている
ダメよ、アタイ男の子。強い男は泣かない泣かない泣かない泣かない……


和泉守兼定「提督」

(キT)「ヴェッ、あっ、はい」

和泉守兼定「なんだその情けのない声は?」

加州清光「と、吐血ですか?」

(キT)「いや、ただの先走り嗚咽だ。普通の人は頻繁に血を吐かない」


差し伸べられた手。それぞれと握手を交わす
名高き新選組と肩を並べられただけでも、この旅には価値があった
194 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:46:33.84 ID:FUR98O3A0
和泉守兼定「色々あったが、こうして無事に別れを迎えられて嬉しく思う」

加州清光「菊一さんがほんっとーに、お世話になりました」

(キT)「此方こそ。良い思い出になった」

加州清光「これは、私達からの選別です」


そう言って手渡された織物。その柄には、見覚えがあった
浅葱色のだんだら模様。広げてみると、大きく『誠』の文字が縫い込まれている
新選組の象徴とも言える。旗だった


(キT)「こんな……いいのか?」

和泉守兼定「何を今更。貴様達にはその文字を背負う資格がある」

加州清光「何処にいようと、皆さんは私たちと同じ新選組の隊士ですよ!!」

(キT)「っ……」


腹から目元まで込み上げてきた熱いものをなんとか押し留める
これだけ誇らしい物を戴いたのに、情けない姿は見せられない


(キT)「これからも、副長として虎徹を支えてやってくれ。いずみー」

和泉守兼定「言われるまでもない」

(キT)「お前ちゃんと薬飲めよ。かしゅー」

加州清光「ぐ……が、頑張ってみます……いえ、病気とかじゃないんですけど……」


さて、名残惜しいが、そろそろお暇といかなければ
195 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:49:12.88 ID:FUR98O3A0
(キT)「夕立」

夕立「うぇっ、グスッ……」

(キT)「菊さんに、渡したい物があるんだろ?」

夕立「う、ん……」


菊さんからゆっくりと離れた夕立は、腰の熊さんのお面を取り、菊さんへと差し出す


菊一文字則宗「い、いいんですか?それは、夕立さんの大事な物じゃ……」

夕立「もっ、貰っで欲しいっぽい……」

菊一文字則宗「……断るのは、野暮ですね。では、僕からはこれを」


それを受け取った菊さんは、胸元に飾った『菊紋章』のエンブレムを外した


菊一文字則宗「どうぞ。僕らの友情の証です」

夕立「うん、うん……!!」


嗚咽を上げながら受け取ったエンブレムを、夕立は胸に抱きしめる
菊さんは目尻に浮かんだ涙を拭うと、眩しいくらいの笑顔を見せた


菊一文字則宗「あなた方の鎮守府に迷い込んで、あなた達と出逢えて、本当に良かった。刀が折れようとも、絶対に忘れません」

夕立「ゆ、夕立も……だ、だ、大好きな菊ちゃんに会えて、良がった……!!」

菊一文字則宗「フフ、僕も大好きですよ。夕立さん」


夕立は、泣き腫らしながらもブサイクな笑顔を作る


菊一文字則宗「っ……!!」


対照的に菊さんは押し殺してた涙を溢れさせ、もう一度強く夕立を抱きしめた
196 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:50:54.44 ID:FUR98O3A0



菊一文字則宗「ありがとう、夕立さん……さようなら」

夕立「うえっ……あああああああああん!!」



こんな時になんだが、いずみーの言葉が脳裏を過る
『その気があれば貴様の世界へと』。ズルを見逃してもらえる免罪符だ


(キT)「ッ!!」


奥歯を噛み締め、口から出かかった「もし良かったら」なんてクソふざけた言葉を飲み込んだ
二人は別れとちゃんと向き合った。俺が今更個人的な感傷で踏みにじってどうすんだ


菊一文字則宗「……ごめんなさい。思わず、引き止めてしまった」

(キT)「いや……いいさ。菊さん」

菊一文字則宗「はい?」

(キT)「短い間とはいえ、神速の剣士を我が艦隊に迎え入れられた事、本当に嬉しく思う」

菊一文字則宗「……フフ、僕のようなひ弱な巫剣じゃ、艦娘の皆様には劣るでしょうけどね」

(キT)「そんな事ないさ……元気でな」

菊一文字則宗「提督さんも。あまり叢雲さん達を困らせないようにしてくださいね?」

(キT)「ハハ、耳が痛ぇよ……夕立、行こうか」

夕立「うん……バイバイ、菊ちゃん」

菊一文字則宗「……バイバイ、夕立さん」


小さく手を振り返す菊さんに背を向けて、俺たちは特異型禍要の柱へと歩き出した
いよいよ、別れの時だ。沢山の土産と、思い出を持って、我が家へと帰る
197 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:55:59.56 ID:FUR98O3A0
(キT)「……」


長曾祢虎徹「……」


最後に、虎徹と目が合った。長々と別れの言葉を交わすのは、野暮ってものだ
花束の代わりは既に渡した。あいつの想いは、『俺の顔』に縫い込んで貰った



(キT)「じゃあな」

長曾祢虎徹「おう」



これで、充分だろう
198 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:57:04.84 ID:FUR98O3A0
(キT)「さて……」


それぞれ荷物を抱え、時雨は艤装を背負った
俺たちを送り出す柱は、深い海のような青色を放つ
欠片を持ち、これに触れるだけで元の世界へ戻れるのだ


天龍「忘れもん、ねえな?」

(キT)「……」


ここで「やだ!!忘れ物あるじゃん!!」なんて間抜けな真似はできないが
一つだけ、やり残している事があった。礼は尽くさねばならない


(キT)「地獄の血みどろマッスル鎮守府!!」


寂しさと悲しさを、雄叫びでかき消し


(キT)「御華見衆へ、敬礼ッ!!」


振り返り、海軍式の敬礼を向けた
最大級の感謝と敬意を込めた、俺ら流の別れの挨拶だ
199 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/15(金) 23:59:10.85 ID:FUR98O3A0
(キT)「……」

時雨「……」


一分にも満たない時間で、今の光景を目に焼き付ける
剛毅だが、大きな身体に見合った優しさをくれた女将
女と見間違えるような美少年だが、男としての強さを見せつけた若
時雨とぶつかり合いながらも、共に認め合う親友となってくれた城和泉
ここぞという時に、助け舟を出してくれた阿音さんと小烏丸
危険を承知で俺を試し、戦場へと送り出してくれた丙子椒林剣
賑やかで楽しい日々を彩ってくれためいじ館所属の巫剣達や、彼女達の戦いを支える二人の姉妹


天龍「……」

秋雲「……」


吐血をしては毎度俺たちを驚かせ、図らずも笑顔にさせてくれた加州
時に叱られ、時に失望をさせてしまったが、最後には認めてくれた和泉守
音もなく付き従い、要所要所で救いの手を差し伸べてくれた小夜左文字


夕立「……グスッ」


最大の事件と、最高の出逢いをもたらしてくれた菊さん


(キT)「……」


俺の心を存分にかき乱し、生涯忘れられぬ女になった虎徹


得体も素性も知れない俺たちを、暖かく迎え入れてくれた人々だった
200 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/16(土) 00:01:07.91 ID:ojCbDoXJ0
(キT)「……」


夢のような日々だった。だが、目を覚ます時は必ず訪れるものだ
俺たちは、俺たちの世界での戦いが待っている。そろそろ叢雲や青葉も痺れを切らしている頃だろう


(キT)「帰るぞッ!!てめえら!!」


一息に想いを断ち切り、禍要柱へと向き直る


時雨「やっと、だね」

夕立「グスッ、うん……」

秋雲「ついて来た甲斐があったわ〜。帰ったら、一筆描いちゃいましょうかね」

天龍「土産話も山ほどあるしな。特に、女連中が喜びそうな恋バナが」

(キT)「お前一言でも余計なこと抜かしたらマットに沈めるからな……いくぞ、せーのぉッ!!」


一斉に、禍要柱に手を触れる
触れた箇所から光が溢れ、俺たちを包み込んだ―――――




こうして、1899年の時間旅行は終わりを迎えたのだった




201 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/16(土) 00:02:05.91 ID:ojCbDoXJ0












次回、『艦天って略すとカロリー低い食材みたい』


『Last one week & Epilogue』


.
202 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2019/03/16(土) 00:07:52.50 ID:ojCbDoXJ0
本筋はここで終わりですが、書きたいクソギャグが多いので番外編へ続きます

お疲れさまでした







203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 00:31:44.13 ID:PhUShMi3o
いつも読んでます
たまに過去作も読み返すぐらい筋肉中毒です
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 09:24:40.13 ID:MryxIkVpo
おっつおつ
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 11:13:20.20 ID:3Euu49Pm0
おつかれ〜
ギャグの主人公って時々無茶苦茶格好良くなりますよね
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 12:53:17.85 ID:JKqXpb4so
おつ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [[sage]]:2019/03/19(火) 00:53:26.69 ID:Dr1ZvEZ/O
おつです。滾るぜ…!
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 12:34:31.39 ID:5/L8AwxWO
乙乙
番外編まであんのかよクソ楽しみ楽しみだ
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