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【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第四章【天華百剣】
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1 :
◇L6OaR8HKlkの代行
[saga]:2019/03/12(火) 23:02:47.30 ID:FjhlJllkO
バグでR板で立ってしまったっぽいので、良かれと思って代行しておきました!
申し訳ありませんが、URLがコピー出来ませんでした…。
提督「触ってねえよテキサスクローバーホールド極めるぞ」
【艦これ】武蔵がチャリで来た
加賀「乳首相撲です」
【艦これ】ウンコマン あるいは(提督がもたらす予期せぬ奇跡)
時雨「流れ星に願い事」
【艦これ】居酒屋たくちゃん〜提督のクソ長い夜〜
磯風「蒸発した……?」
【艦これ】加古ちゃん空を飛ぶ、めっちゃ長く飛ぶ、すごい
鈴谷「うわ不思議の国こわい、キモい」
【艦これ】ヒトミとイヨの恰好がスケベなので
【艦これ】ウキウキ!!首相の鎮守府訪問!!のようです
時雨「静岡グレーゾーン連盟」
【艦これ】鎮守府微震!!五歳児と化した提督!!パワフル全開ですよみさえさーん!!
エンド・オブ・オオアライのようです ※連載中のコラボ作品(◆vVnRDWXUNzh3作)
艦これ×天華百剣 編
川д川 ウホウホ!!鎮守府に颯爽と登場した貞子ゴリラ、トランスフォームウホ!!
【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第一章【天華百剣】
【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第二章【天華百剣】
『艦天って略すとカロリー低い食材みたい』 幕間
【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第三章【天華百剣】
関連作品
【天華百剣】御華見衆の参羽鴉【ブーン系】
堂 々 の 最 終 章
ギャグとバトルとシリアスとほんのちょっぴりのロマンス
そして筋肉と乳首が迸るクロスオーバー、一年以上かけてようやく完結です
・提督の表記は『( T)』になっています。マスク超人です
・提督はドウェイン・ジョンソン並みのマッスルです
・ブーン系(AA)要素あります
・アカデミー長編アニメ部門受賞!!スパイダーバース大ヒット上映中(ノルマ)
・伝説再び!!クリント・イーストウッド監督、主演作品『運び屋』大ヒット上映中(ノルマ)
・十万文字近くあります。本当にごめんなさい
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1552399367
2 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:06:48.35 ID:DZ7cLfwF0
>>1
お手数おかけして申し訳ございません。ありがとうございます
3 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:09:55.65 ID:DZ7cLfwF0
お品書き再掲
提督「触ってねえよテキサスクローバーホールド極めるぞ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425908876/
【艦これ】武蔵がチャリで来た
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428585375/
加賀「乳首相撲です」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429706128/
【艦これ】ウンコマン あるいは(提督がもたらす予期せぬ奇跡)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431856590/
時雨「流れ星に願い事」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464825792/
【艦これ】居酒屋たくちゃん〜提督のクソ長い夜〜
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468896662/
磯風「蒸発した……?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477871266/
【艦これ】加古ちゃん空を飛ぶ、めっちゃ長く飛ぶ、すごい
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479816994/
鈴谷「うわ不思議の国こわい、キモい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484788439/
【艦これ】ヒトミとイヨの恰好がスケベなので
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493211800/
【艦これ】ウキウキ!!首相の鎮守府訪問!!のようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511697940/
時雨「静岡グレーゾーン連盟」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518501606/
【艦これ】鎮守府微震!!五歳児と化した提督!!パワフル全開ですよみさえさーん!!
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546267221/
エンド・オブ・オオアライのようです ※連載中のコラボ作品(◆vVnRDWXUNzh3作)
https://engawa.open2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1536501657/2-
艦これ×天華百剣 編
川д川 ウホウホ!!鎮守府に颯爽と登場した貞子ゴリラ、トランスフォームウホ!!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494169295/
【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第一章【天華百剣】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520554882/
【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第二章【天華百剣】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528764244/
『艦天って略すとカロリー低い食材みたい』 幕間
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531108177/
【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第三章【天華百剣】
https://engawa.open2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1537917602/
関連作品
【天華百剣】御華見衆の参羽鴉【ブーン系】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517198071/
4 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:21:32.14 ID:DZ7cLfwF0
ざっくりになると思ってたんだけど思いの外書く事多くて若干後悔しながら振り返るこれまでの艦天
・川д川 ウホウホ!!鎮守府に颯爽と登場した貞子ゴリラ、トランスフォームウホ!!
自称『理不尽無差別系怪異』の貞子(川д川←こいつ)が鎮守府に渦巻く呪力によってパワーアップ。筋肉は金玉を強打した
呪いの一つとして時雨が神隠しに遭い、代わりに送られてきたのは人の姿として顕現した『巫剣』、菊一文字則宗だった
貞子を筋肉式魔封波スープレックスによって炊飯ジャーに封印したものの、彼女を元の世界に戻し、時雨を連れ帰らねばならなくなったのだ
・【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第一章【天華百剣】
貞子の呪いパワーを使って1889年の異世界、『銘治』時代へと訪れた筋肉、天龍、夕立、秋雲に菊一文字を加えた時雨を蛇の目でお迎え嬉しいな隊
出迎えたのは彼女と同じく新選組の局長と副長、長曾祢虎徹と和泉守兼定。そしてこの世界の異形、『禍憑』
クソザコナメクジの群れを残虐ファイトでぶち殺した一行は、巫剣を中心とした特殊組織『御華見衆』の上野支部、『めいじ館』を訪れる
割とあっさり時雨と再会できた筋肉少女隊は、めいじ館のボスである『流石 千母』に事情を説明。帰る為には銘治時代からの『神隠し』が必要であった
それには霊脈とかいう謎のアレからこうなんか吸い上げる柱である『禍要柱』。その特異型を見つけなければならない
菊一文字を送り届けた礼として、監視名目でめいじ館での長期滞在と協力を確約。実際ノゾミ・カナエ・タマエみたいな感じだった
とは言えタダでお世話になるのも悪いので、喋るカラスを操る巫剣『小烏丸』の提案もあり、筋肉一行はめいじ館の茶房で働く運びとなった
その他にも、監視役の『小夜左文字』や新米巫剣使いの『椎名 美琴』やらその愛刀の『城和泉正宗』との出会いもあり、筋肉はメイド服を着た
5 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:22:49.65 ID:DZ7cLfwF0
・【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第二章【天華百剣】
相変わらずメイド服を着てる筋肉に、京都支部から戻ったソボロ助廣による特異型の調査報告が入る
他にもなんか御華見衆や巫剣の事やら教えて貰うものの、アホなんでよくわかってないままその活躍を実際に見学することに
巷を騒がせている禍魂を作り出す麻薬の砂糖、『桜禍糖』を摂取し、禍憑になりかけた中毒者を成敗する
しかし、現場での若の仕事振りに対して虎徹と城和泉が衝突。城和泉が放った一言により、虎徹はその場を後にする
なんやかんやあってお節介野郎の筋肉により、機嫌は直ったが代償として頭からゲロを被った(ご褒美)
翌日、巫剣使いとして伸び悩む若に対して筋肉流指導を施し、多少は吹っ切れて貰ったりした。そろそろあらすじ書くのも疲れてきたのである
その後、菊一文字則宗が夕立を巡って陸軍と衝突。『茂名大尉』と『三浦中尉』と出会い、なんとかその場を治めるが、彼らには桜禍糖を流通している容疑があった
表向きは協力関係にある陸軍と御華見衆。筋肉は小夜左文字の協力の下、茂名との姦t内通を謀り真相を探ろうぜ作戦を迂闊にも厨房でM字開脚並みにおっぴろげに話した
実際インリン・オブ・ジョイトイな作戦に小夜の許可と協力を得て部屋に自室に戻ると、筋肉を待っていた虎徹から世話を掛けた礼として切り込みを入れてしまったマスクを縫うと提案される
快諾はしたものの何か裏があると思った筋肉の割と直接的な問いかけに対して、彼女は主を失った過去と若が心配であるという想いを吐露するが
男として一人前になりたい若に対しての侮辱に他ならないと捉えてしまった筋肉は、女性に対するデリカシーや気を使えないクソ野郎なのでキツイ言葉を浴びせてしまう
結果として結構いい雰囲気になっていた二人は仲違いし、そこからお互い最低限の会話しかしなくなってしまう
そうこうしている内に茂名が頻繁に訪れる歓楽街へと足を運んだクソ野郎と時雨は、待ち構えていたかのように陸軍と接触
SAN値直葬な洋館に案内され、件の陸軍大尉に名ばかりの晩餐に招待されることとなる
茂名からは『手違いでこの世界へ連れてきたあなた方を返したい』と言われ、当初は時雨の艤装目当てだと考えていた脳みそ筋肉クソ野郎は考えを改める
陸軍の目的は『深海棲艦』であり、時雨及びデリカシー欠如ウジ虫野郎は偶然に巻き込まれただけだったのだ
「邪魔さえしなければ、無事に元の世界へ送り返す」と提案された物の、生来の義理堅さと不確定要素からそれを断り、館を後にしようとする
しかし部屋を出た瞬間、もう一人の容疑者とされる御華見衆に所属していない巫剣『北谷菜切』の襲撃に遭い、ナオルヨくん(爆発物)を使って辛くも脱出
当初は餌に使おうとした『未来の情報』を欲しがらなかったという疑問が残ったが、取り急ぎめいじ館に戻ろうとする二人の前に立ちはだかったのは、小夜を襲う城和泉正宗だった
・【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第三章【天華百剣】
巫剣が禍魂に犯されることで陥る暴走状態、通称『錆憑』になりかけていた城和泉を止めるため戦いを決意したクソ提督とクソガキのクソクソコンビ
『刃こぼれ』状態の小夜の助けもあり、なんとか援軍到着まで時間を稼ぐことに成功する
戦闘中に城和泉の記憶を何らかの力で追体験した筋肉は、自身の迂闊な行動によって若と城和泉が先手を打ち、敵の手に落ちた事を知る
現場の収拾を着けに現れた小烏丸と、女将の娘であり富士見支部『みやこ屋』の支部長でもある『流石 阿音』に後を任せ
陸軍兵に連行される形で、筋肉は単身本拠地へと乗り込んだ。頭とか色々どつかれても耐久力が高すぎるが故に気を失えないのは不憫だと思う
身体を拘束された筋肉を待ち構えていたのは、薄い本よろしくな薬責めであった。ようやく気を失い、牢獄へとぶち込まれてしまう
目を覚ますと、おなじく投獄されている三浦中尉の目の前でゲロを吐く筋肉。同じく茂名によって薬を流し込まれたと言う彼と一時的に協力体制を取る
しかし、会話をする中で違和感を覚えた筋肉。天龍、秋雲、そして巫剣の『抜丸』に救出された後も、疑惑を抱き続ける
決定打は抜丸が秘密裏に寄越した女将からの情報。疑惑を確信に変えた筋肉は、若の救出及び深海棲艦の討伐を果たすまで三浦を利用すると決めた
案内された司令室にて茂名と手練れの配下。そして人形のようにされた若と、彼を愛でる北谷菜切と対峙する
脊髄の赴くままに暴れ罵倒を繰り返し、夕立まで起用してなんとか若を連れ出した彼らを待ち構えていたのは
駆逐イ級と禍憑のハイブリット種、陸での戦闘に特化した獣棲艦であった。味方を救う為に砲撃の盾となった筋肉は死を覚悟するが
再度合流した天龍に間一髪救われ、ナオルヨくん(爆発物)に入っていた『高速修復剤』によって全快する
後の伏線になりそうなアレはさて置き、禍憑と化した茂名との男魂ガチンコバトルに一度は勝利するも、第二形態になったことで逆に追い詰められる。ズルじゃん
だが、艤装を背負った時雨の登場により、戦況は一変。筋肉一行は菊一文字則宗を始めとした巫剣と強力し、獣棲艦に捕らわれた夕立を救う
マッスル鎮守府総戦力及び、めいじ館の巫剣達の総力を合わせ、夕立によるトドメによって獣棲艦を撃破。茂名第二形態も、艤装装着済みの時雨によって一方的に惨殺される
一件落着に見えたが、姿をくらましていた三浦が再び姿を見せる。筋肉はこれまでの矛盾点、そして女将からの情報を突き付けた
今回の件もあってか、過去に起こった特異型による失踪事件の年月を調べると、その日時ピッタリに行方不明になっていた人物が見つかっていたのだ
それが三浦中尉本人であった。追い込まれた彼に対して投降を勧めるが、禍魂に犯されていた若が操られたことにより、事態は一変
「海で待つ」と言い残し、三浦は姿を消す。筋肉はこれまでにない濃い禍魂を若から流し込まれ(エッチな意味ではない)、暴走状態へと陥るのであった
6 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:29:20.99 ID:DZ7cLfwF0
登場人物
・地獄の血みどろマッスル鎮守府
( T) 筋肉(マッスル)
Village Peopleの『Can't Stop The Music』のダンスを完全再現できる
その腰つきはストリップ・クラブのトップダンサーすら凌ぐという。敏感乳首日本代表
時雨(バカ)
邦ロック好き。サンボマスターが特に好きだが、最近はヤバイTシャツ屋さんがお気に入り
アホなんで入籍はノリでやるもんなのかなぁって思い始めてる。ええやんええやん
夕立(ビビり)
たまにどうしようもなく提督の『強いぞ、ガストン』完全再現を見たくなる(卵食う所が本当にしんどい)
一度、ルフゥの真似をして提督の首にベルトを巻き付けてぶら下がった時に失神させた経験を持つ
天龍(ポスト桓騎)
演習相手の鬼の二水戦を半殺しにして那珂ちゃんにドチャクソ怒られた時は流石に一週間大人しく過ごした
余所の天龍全ての憧れとして君臨していることを本人は知らない
秋雲(詐欺師)
「いやちゃんと秋雲らしくイラスト描いたりもしてんですよ。でもそれには先立つものがいるじゃん?」
と言いつつ、詐欺やら盗みやらで稼いだ金を全て廃課金に費やした。今も時折禁断症状に駆られる
・御華見衆
菊一文字則宗
時雨に代わってマッ鎮へと現れた神速の剣士。夕立ガチ勢の女
小夜左文字
筋肉の監視役。復讐とアンパンガチ勢の女
城和泉正宗
めいじ館の巫剣使い『椎名 美琴』の愛刀。時雨曰くお節介なテンプレツンデレ
長曾根虎徹
新選組局長。筋肉と音楽性の違いで仲違いする
和泉守兼定
新選組副長。飴の有無で性格が激変する面白い巫剣
加州清光
巫剣界の沖田さん。多分アルターエゴのオルタとかそのうち出る
(*゚ー゚) 椎名 美琴
めいじ館の巫剣使い。ヤンデレ巫剣に付け狙われている
@#_、_@
( ノ`) 流石 千母
めいじ館の女将にして御華見衆上野支部長。ママだぞ、オギャれよ
他
つおい
7 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:33:29.42 ID:DZ7cLfwF0
―――――
―――
―
実に清々しさとは無縁の目覚めだった。全身を包む温もりと、若干の窮屈感
そして顔面にぶつかった肉肉しい何かの存在で『生きている』とだけは認識できた。生きてるゥー↑フゥー↑
あの時、若から俺に『乗り移った』禍魂の気配は感じず
同行していたウチの連中やめいじ館の『巫剣』達がなんとかしてくれたのだろうとわかった
ここで息苦しさに我慢が出来ず、顔に覆い被さる何かを手で確認する。何これ……せ、背中?
「はわわ、もっ、申し訳ありません!!
聞き覚えの無い若い女の声が耳元で響く。肉肉しいモノは取り除かれ、息苦しさは解消された
( T)「……」
「お、お目覚めになられましたか……?」
ベッドの傍には、零れ落ちそうな胸元の二つの脂肪を辛うじて支えてる、下半身にお脳が付いてる野郎がデザインしたかのような巫女服に身を包む青髪の女
なんとなくだが、今しがた俺の顔に押し当てられてたモノの正体がわかった気がした
https://tenkahyakken.jp/character/?page=235
( T)「……」
もう一度言う、『実に清々しさとは無縁の目覚め』だ
( T)「殺してくれ……」
「ええっ!?」
勘弁してほしい。ToLOVEるとは無縁の人生を送りたいんだ俺は
8 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:35:13.94 ID:DZ7cLfwF0
艦これ × 天華百剣
『艦天って略すとカロリー低い食材みたい』 第四章
第四章 『A.D.1899』
.
9 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:38:41.39 ID:DZ7cLfwF0
( T)「……」
『肉肉しい何か』の感触を掻き消すように、両手で顔を拭う
寝起きの眼に日の光が眩しい。窓の外を見ると、お天道様の位置はお昼時を示していた。世が世ならいいともの時間だ
身体をゆっくりと起こしてみる。痛みはあるが、大したことは無い。皹が入った筈の右腕も、問題なく動く
( T)「……」
上半身は包帯で覆いつくされている。鼻にツンと、消毒液のような臭いが届いた
所々、血の滲みがある。軽く触れて確かめてみるが、やはり痛みは軽い
時雨「スヤァ……」
蛍丸国俊「スゥー……」
ベッドの傍らでは、時雨と蛍ちゃんが頭を並べ、突っ伏して眠っている。珍しい組み合わせだな
( T)「……」
「あ、あの……?」
おっと、どうにもぼんやりしてしまう。おっぱい(青髪)は俺の額に乗せるつもりだったのだろう手拭いを握りしめながら、おずおずと話しかけてきた
どなたさんか気になる所だが、帯刀してるのを見るに恐らく巫剣の一人だろう。こいつらほんま誰一人としてまともな恰好せえへんな
( T)「悪いが、状況を詳しく説明できる奴を呼んでくれ」
「はっ、はい!!ただいま!!」
俺の要求に、背筋をピンと伸ばして答えると、慌ただしい足取りで部屋を後にする。めっちゃおっぱい揺れてた
そして廊下に出てすぐ、躓いたのか何なのか知らんが、盛大にすっ転ぶ音の後に
「うう……不運です……」
涙声で扶桑型二番艦みてーなセリフを呟いた。いやしかしおっぱいデカかったな
10 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:42:51.92 ID:DZ7cLfwF0
「おやおや、桑名江が随分慌てて出て行ったから、もしやと思えば……」
入れ替わりで入室したのは黄色を基調にした振袖に白衣らしきマント……もう白衣でいいや。白衣を着た、やや小柄な少女
腰には色とりどりの……何……あれ……飴?まぁ飴でいいや。飴が入った小瓶をホルスターのように巻いている
虎徹の鮮やかな髪色とはやや異なり、落ち着いた金髪に牛のような大きな角の髪飾りが目立つ。それ日常生活の邪魔にならない?
https://tenkahyakken.jp/character/?page=163
「お目覚めかな、提督くん?」
( T)「あ、はい、おかげ様で……」
怒涛の新キャラ登場でみんな着いていけないだろうが安心してくれ。俺も着いていけない
みんなって誰だ。お前は誰だ俺の中の俺。陰に隠れたその姿見せろウォーォォー
( T)「あの……どちらさん?」
「フフ、まぁまぁ。私の事は後でもいいじゃないか」
( T)「良かねえけど……あの、え?」
小柄な背丈に見合わぬ色気の微笑みを携えながら、膝からベッドにギシリと乗り込む
雌豹のように四つん這いで此方にすり寄り、細い人差し指を俺の顎に絡めた
「禍憑化からの復帰もそうだけど、通常の人に比べて異常なほどの回復速度……実に興味深い身体をしている」
( T)「あっ、はい……」
何こいつ怖い
「じっくりと……教えて貰いたいな?キミの身体の秘密を、隅から隅まで……」
( T)「……」
( T)「ムカデ人間の話するね」
「何だって?」
( T)「人の尻と口を繋げるクソ映画なんだけど」
「あ、もういい。私が悪かったよ」
バッサリと切り捨てると、女は表情を一転させふくれっ面を見せた
経験上、この手の女は男を揶揄って反応を楽しむタイプだ。まともに相手してらんねえ
11 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:48:49.33 ID:DZ7cLfwF0
「ハァ……聞いていた通り、可愛げのない御方だね」
( T)「そりゃどうも。サッサとベッドから降りてくれ。誤解される前に」
城和泉正宗「あ……あ……アンタ達、何してんのよ!!」
( T)「ほらもうめんどくさい」
「おっと」
城和泉正宗「牛王吉光!!アンタ、誰が相手でも見境ないの!?」
牛王吉光「やだなぁ城和泉。人を尻軽みたいに」
城和泉正宗「誤解されるような態度を取るからでしょう!?」
ギャンギャンと吠える城和泉を見て、一先ず安堵の溜息を吐く
昨夜……昨夜?まぁ昨夜でいいや。禍魂に犯され『錆憑』一歩手前だったあの姿は無い
時雨「五月蠅いな……」
( T)「ほんとになぁ」
時雨「!!」
目を覚ました時雨は、俺の顔を見るなり寝ぼけ眼を見開かせる
何か言いたげに口をパクつかせ、結局出てきた言葉は
時雨「あ……う……もう一回死ね!!」
( T)「俺一回死んだの?」
なんか若干傷つくものだった
12 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:50:15.18 ID:DZ7cLfwF0
秋雲「提督生き返ったってマ!!!!????」
夕立「でいどぐざああああああああああああああああ!!!!!!」ビャアアアアアアア!!!!
天龍「やーっと起きたか」
見慣れた連中も続々と入室してくる。顔の穴という穴から汁を垂れ流す夕立に飛びつかれ、息が詰まった
夕立「ゆうだぢもうでいどぐざんじんだがっでぇええええええ!!!!」ビャアアアアアアア!!!!!
(;T)「心配掛け……夕立、鼻垂れt裾で拭くな裾で拭くなコラ。天龍、俺どうなったの?禍憑化って?」
天龍「禍憑化っつーか……まぁオメーが一回酒飲まされて暴れた時程度に凶暴化したから、あの後半殺しにして連れ帰ったんだよ」
秋雲「ウチらが止めなかったら天龍ちゃん全殺しまで行ってたよマジで」
時雨「目が世界の果てまでイッテQだった」
( T)「わぁ、身内による命の危機。でもご迷惑掛けた分文句も言えない」
飲み込むほか無いのであった
桑名江「お連れしま……あ、あら?皆さんお揃いで……」
おっぱい(桑名江と言うらしい)に連れられ、続々とめいじ館のメンバーが入室する
@#_、_@
( ノ`)「……」
(*゚‐゚)「……」
女将の巨体の陰に隠れるように、若も入ってきた
13 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:55:00.14 ID:DZ7cLfwF0
( T)「若」
(*: ‐ )「申し訳ありませんッ!!」
『無事だったか』と声を掛けるより早く、若は床に膝と手と額を着けた
言わずもがな、『土下座』である。なんかこっちが悪いことしてる気分になった
(*: ‐ )「まっするさんを信頼せず、無断で事を起し捕虜として捕らえられる始末!!」
(*: ‐ )「め……面目次第もございません!!」
先ほどまでの騒ぎはどこへやら、室内がシンと静まり返る
城和泉も此方へ向き直り、深々と頭を下げた
( T)「やめろ。非は無断で行動した俺らにある。責めは受けても、謝罪を受ける謂れはない」
(*: ‐ )「ですが……」
( T)「この傷も、死にかけたのも、お前を危険に晒したのも、全部俺の不始末だ」
(*: ‐ )「……」
( T)「だから……俺からお前達に言えるのは、たった二言」
( T)「すまなかった。無事で何よりだ」
:(*: ‐ ):「ぐっ……ふぐぅ……」
やっべ泣かしちゃった
14 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/12(火) 23:57:05.20 ID:DZ7cLfwF0
(;T)「ご……ごめんて……顔上げて?」
時雨「提督はいつも締まらないなぁ」
天龍「ケジメが足んねーんじゃねーのか?小指納めとけよ」
秋雲「包丁とまな板使う?」
( T)「使わん。夕立ちょっとごめん」
抱きつく夕立を引っぺがして天龍に受け取って貰い、咳払いで神妙な空気を切り替える
若も涙を拭きながら立ち上がる。改めて状況を説明してもらおうと口を開いた瞬間
「コンコン、お邪魔します〜」
間延びした声をノック代わりに、盆を持った女性が入室した
ちょっとほんまに意味わからん服装してるから説明がアレなんだけど俺の脳内イメージを(筋肉で)発信するので受け取ってほしい
https://tenkahyakken.jp/character/?page=12
おわかりいただけただろうか。とにかく、説明しづらいのだ
「おはようございます〜。よくお休みになられましたでしょうか〜」
(;T)「あ、はい、おかげさまで……どなた?」
「二日も眠りっぱなしでしたので、お腹もお空きになられたでしょう。どうぞ、召し上がってくださ〜い」
どいつもこいつも自己紹介って言葉を知らんのか
それはそうと、手渡された盆にはおにぎr今二日って言った?????????
(;T)「二日!?」
「はい〜。それでも、あの傷から二日で回復するのも驚きですが〜」
@#_、_@
.( ノ`)「……牛王の傷薬と、蛍の治癒能力のお陰でもあるね。礼を言いな大将」
なるほど、蛍ちゃんがここで寝ていたのはそういうワケか
それとめいじ館では見なかった面々も、女将が手を回してくれたらしい
( T)「助かった。ありがとう」
今度は俺が深々と、しかし謝罪ではなく『感謝』で頭を下げる番だった
15 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 00:01:51.67 ID:q3DsNQzG0
牛王吉光「まぁ、この貸しは今度しっぽりと返してもらうよ」
桑名江「し、しっぽり……?」
( T)「今なんかすげえ怖い日本語聞こえた」
@#_、_@
.( ノ`)「からかうのもそこまでにしときな牛王。さて、食べながらでいい。状況を説明するよ」
( T)「お願いします」
時雨「美味しいよ」モグモグ
勝手に俺の飯を食ってる時雨の頭をどつき、食いかけのおにぎりを奪い取って口にする
具は不動行光ことゆきちゃんと夕立が共同で作った驚異的なまでに白飯に合うきんつばだった。食うたびにSAN値が可笑しくなる気がする
@#_、_@
.( ノ`)「此方は御華見衆副指令の『丙子椒林剣』。此度の特殊禍憑出現における討伐作戦の参謀を務められている」
丙子椒林剣「はい〜。ご紹介にあずかりました、丙子椒林剣と申します〜」
スカートの裾を摘まみ上げ、恭しく一礼をする。副指令っつーことは、御華見衆の2か
組織のトップも巫剣と聞いているし、ウチの世界と比べれば大分やりやすそうな組織だな。海軍は概ね上層部がクソ
( T)「マッスルでs……ん?討伐作戦?」
丙子椒林剣「ええ〜。現在、東京湾沖に超巨大な『卵型』禍憑が出現中でして〜」
東京湾沖。つまり『海』だ。三浦のボケと最後に交わした会話を思い出す
『海で会おう。無事で済んだらな』。舞台も駒も用意して、待ち構えてるって事か
@#_、_@
.( ノ`)「現場指揮はみやこ屋支部長『流石阿音』。めいじ館からは新選組及び比較的傷の浅い人員を派遣している」
@#_、_@
.( ノ`)「それと……海軍の協力の元、駆逐艦四隻による包囲及び監視を続けている。今のところ、そこに『ある』だけで目立った動きは無いそうだ」
この時代の海軍、そして駆逐艦。昭和生まれの時雨や夕立、秋雲と比べてもグレードは数段落ちているはず
それに……ああ、『海軍』。女将の双子の息子が、根性叩き直すために送り込まれていたんだっけ
16 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 00:04:58.63 ID:q3DsNQzG0
( T)「海なら『艦娘』の主戦場だ。すぐに俺たちも……」
丙子椒林剣「それには及びません〜」
相変わらず間延びした、おっとりとした口調だ。だが、腰の『鞘』に手をかけたのは見逃さなかった
丙子椒林剣「お母さんとも相談した結果。あなた方には此方で待機してもらう運びとなりました〜」
( T)「……」
僅かな殺気に、『お互い』触発されたのだろう。丙子は目を細める
先ほどとはまた違った沈黙が部屋を包む。副指令とやらは言葉を続けた
丙子椒林剣「本来ならば別世界のあなた方を危険に晒すのは我々としても好ましくありません〜。無事に帰ってもらうのが一番ですから〜」
( T)「お気遣いどうも。だが、深海棲艦は『本来ならば』俺らの世界の敵だ。協力して然るべきだと思うが?」
丙子椒林剣「確かにそうですが〜……ええ、正直に申し上げますと、『これ以上の敵は手に負えません』ので〜」
( T)「敵……?」
@#_、_@
.( ノ`)「……禍衝化さ」
丙子椒林剣「はい〜。ご存知の通り、提督様は人間でありながら禍憑を倒し、禍魂を祓える存在です〜」
丙子椒林剣「ですが調査の結果、『禍魂』に取り入られた際、相反してそれを増幅させる力もお持ちのようでして〜」
( T)「……」
どうも俺の身体は大分バグってるらしい。なんか悪いものでも食べたのだろうか?
しかしそんなこと、俺には関係ない。今度は『取り入られなければいい』だけの話なのだから
17 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 00:08:45.07 ID:q3DsNQzG0
( T)「俺が向こうでまた暴走すれば、詰みは避けられないと?」
丙子椒林剣「ご理解いただけますでしょうか〜?」
( T)「……俺ら無しで、三浦を倒せる保証は?」
丙子椒林剣「……尽力する他、ありません。みやこ屋……富士見支部からも援軍を要請してます」
ふい、と目を逸らしながら答えた。正直で助かる
( T)「参謀が聞いて呆れるな……俺んとこの副指令艦なら子猫の手すら容赦なく利用する」
丙子椒林剣「議論を重ねた結果ですので〜。今一度確認しますが、ご理k」
( T)「するわけねえだろクソババア」
丙子椒林剣「」
.@#_、_@
.(; ノ`)「」
(*;゚д゚)「」
今度こそ完全に空気が凍った
18 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 00:12:30.00 ID:q3DsNQzG0
( T)「三浦がわざわざ『海』を指定したのは、俺ら世界の敵である『深海棲艦』が確実に絡んでるからだ」
( T)「それをみすみす見逃す俺らじゃねえ。連中は、どこにいようと、誰が立ち塞がろうと、一匹残らずぶち殺す」
丙子椒林剣「……」
( T)「もはやお前らだけの問題じゃねえんだよ。『待機』?冗談じゃねえ。寝言ほざいてんじゃねえぞ」
( T)「副指令だかなんだか知らねえが、偉そうに指図してんじゃねえタコ。酔っ払いみてーな喋り方しやが……」
鯉口を切ってから、首筋に反りの無い『直刃』の剣が突き付けられるまで、その場にいた誰もが反応できなかった
当の副司令の顔は微笑みを携えたままだったが、目はドスンと据わっている
脊髄の赴くままに罵倒を繰り広げていた俺の軽口も閉じざるを得なかった。叢雲より怖い
( T)「……」
マスクを被っていて良かった。少なくとも、ビビってる表情を見られることは無い。チラリと天龍に目くばせをすると、渋い顔で首を横に振った
手練れの剣士集団をまとめ上げる組織の2だけあるらしい。彼女ほどの腕前を以てしても、『抵抗は無理』だと
だからと言って、主張を変える気は毛頭ないが
( T)「随分とご丁寧な『お願い』だな」
丙子椒林剣「丁重な『お断り』には相応の対応を、と思いまして〜」
( T)「言うじゃねえか。で、どうする気だよ?危険の種はサッサと取り除くか?」
丙子椒林剣「魅力的なご提案ですね〜」
余裕があるように見せかけているが、実の所いっぱいいっぱいだ。彼女にはやると言ったらやる『凄み』がある
事実、若や城和泉、他の巫剣。どっかで隠れている小夜左文字。めいじ館のボスである女将や何かと直ぐに噛みつく時雨ですら
部屋を圧しこむプレッシャーで、誰一人として一発触発の流れを断ち切ろうとはしなかった
19 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 00:16:18.77 ID:q3DsNQzG0
丙子椒林剣「……確かに、あなた方が戦列に加わるのならば、これほど心強い援軍もございませんでしょう」
( T)「……」
丙子椒林剣「ですが、我々は協力関係にあった『陸軍』。それも、超大型禍憑を共に討伐した三浦中尉に反旗を翻されました」
巫剣と共闘し、死線を越え、若を救った。それでも尚、拭いきれない『疑心暗鬼』が原因か
丙子がここに訪れたのは、単純に俺らの拘束に来ただけではない。『推し量りに来た』のだ
丙子椒林剣「『言うは易し、行うは難し』と言いますが、あなた方は先ず『行動』で信頼を示しました」
丙子椒林剣「陸軍の企みを暴き、城和泉さん、小夜さんを救い、捕らわれた椎名くんを取り返し、未知の禍憑を撃破した」
丙子椒林剣「それでも……それでも、我々はもう一歩、あなた方を信じたいのです」
( T)「……お次は、『言葉』で信頼を示せ。と?」
丙子は口角をもう一つ上げて肯定する。さながら、『口説き落としてごらんなさい』と挑発されているようだ
勘弁しろよこちとらボキャ貧だぞ。女なんて大体ゴリ押しでしか落とした事ねーよしかも長続きしねーんだぞ
( T)「ハァ……」
丙子椒林剣「どうしました?まさか本当に報復と殺意だけが動機ではありませんよね?」
どうにも、こちらの胸中を見抜いているようで。頭と勘の良い女ってのはどうにも苦手だ
( T)「……理由なんざいくらでも挙げられる。時雨や俺らがここで世話になった恩返し、禍憑との戦闘で得られる経験値、単純に戦いを楽しみたいだけ」
( T)「だが、こんなもんツラツラと並べても、アンタを口説き落とす威力には程遠い」
丙子椒林剣「……では他に、何が?」
『他』。全体的な理由や、今に到るまでの要因を削ぎ落し、最後に残ったモノ
つまりは、『個人的理由』だ。ああ、俺はずっと、この時になるまで抱え込んでいた心残りが一つある
断ち切ろうとして突っぱね、結局はずるずると女々しく引きずっている、『戦う理由』が残ってるじゃねえか
20 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 00:18:26.92 ID:q3DsNQzG0
( T)「泣かせた女そのままに、手前はのうのうと朗報を待つ」
( T)「男がそんな格好悪い真似出来るか」
丙子椒林剣「……フフフ、『格好悪い』ですか」
天龍「今のザマを省みてもう一回同じセリフ言ってみろよ」
( T)「もう格好悪い」
丙子は剣を納めると、ポンと一つ柏手を打った
丙子椒林剣「はい、合格です〜!!」
( T)「何が???????」
丙子椒林剣「一度禍憑化した貴方に助力を願う為に、試させて頂きました〜」
( T)「なんで????????」
@#_、_@
.( ノ`)「禍憑の元となる『禍魂』は、怒りや憎しみといった『負の感情』により増幅する。アンタの動機がそれ『のみ』だとしたら、戦場に送り込むのは危ないと判断したのさ」
丙子椒林剣「はい〜。禍魂は巫剣やその使い手にすら入り込み、魂を侵す危険な代物ですので〜」
( T)「それで一芝居打って、俺の本心を引き出したってことか」
丙子椒林剣「情熱的な台詞で感動いたしました〜♪」
時雨「録音した」
( T)「直ぐに消せ」
出来れば人払いして欲しかった。こういう事があるからさぁ……
桑名江「お、お芝居だったのですか……?」
夕立「」
秋雲「夕立ちゃんが白目剥いて気絶してる!!」
何人かマジに受け取ってる奴もいるじゃねーか
21 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 00:20:41.71 ID:q3DsNQzG0
丙子椒林剣「ごめんなさいね〜。七聖剣……総司令が『殺す気で探れ』と仰ったものですから〜」
( T)「その七聖剣とやらに言っとけ。『病み上がりは労われ』ってな」
丙子椒林剣「フフ、わかりました〜。ですが、女性に向かって『クソババア』とは感心しませんよ〜?」
そう言って軽く俺の鼻先を指で小突く。口調と態度は軽いものだったが、やはり目は据わったままだ
根に持ってる。ババア呼ばわりしたことを根に持ってる。次は確実に殺る気だ
(;T)「き……肝に銘じます……」
丙子椒林剣「よろしい。では、現時刻から『地獄の血みどろマッスル鎮守府部隊』の謹慎を解き、東京湾への出撃を許可します〜」
許しは出た、状況開始だ。おにぎりを急いで茶で流し込み、手早く食事を済ませ
(#T)「フンハァ!!!!!!!!」バリバリィ!!!!!!
身体に巻き付く包帯を筋肉の隆起で破り取り、シーツを払いのける
窮屈感が無くなってとても清々しい。二日眠っていた為、若干の強張りはあるが、動いている内に解けるだろう
そう、とても清々しい。何も身に着けていないかのように清々しい。股間が涼しい。なんで俺はパンツを穿いてないんだ
城和泉正宗「ヒッ……」
桑名江「はわわわ……」
牛王吉光「おや、立派」
城和泉はおぞましい物を見たかのように髪を逆立たせ
桑名江は真っ赤になって顔を手で覆い
牛王吉光は品定めでもするかのように凝視する
信号機みてーな色合いの三人が三者三葉の反応を見せた所で、俺は気恥ずかしくなり
( T) スッ……
乳首を隠した
秋雲「ご立派ァ!!!!!!!!!」
時雨「隠すとこそこじゃないよ」
天龍「テメーの顔面と同じくらい汚ぇモン見せんな」
夕立「」
いつものしょっぱい反応がとても安心するのであった
22 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 00:25:11.85 ID:q3DsNQzG0
明日の朝から運び屋観に行くんで短いですが今日はここまでです
イーストウッド半端ないって。まさかスクリーンでもう一度伝説を拝められるなんて思わへんやん普通
完成はしているのですが、クソ長いんで数日に分けての投下になります。ご了承ください
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/13(水) 06:42:29.71 ID:BmTGH/oDo
おっつ待ってた
24 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:34:51.08 ID:q3DsNQzG0
―――――
―――
―
(#T)「人の着替えシーンをジロジロ見てんじゃねーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」オギャアンス!!!!!!!!!
秋雲「でも、ねぇ?」
時雨「お互いプライバシーもクソも無いじゃないか」
天龍「生娘じゃねーんだしガタガタ抜かすなよ」
夕立「天龍ちゃん、もう提督さん汚いもの仕舞った?おめめ開けて大丈夫っぽい?」
(#T)「夕立を見習えーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
時雨「夕立が一番酷いこと言ってると僕ぁ思うんだけどなぁ」
艦娘監視の下、『いつもの服』に着替える。筋肉生着替えだぞお前ら料金発生すんぞオラ
銘治の服はお世辞にも戦闘向きとは言い難い。ジャケットにカーゴパンツ、ブーツでカジュアルにキメた
ウチの連中もいつもの制服兼戦闘服だ。学校行くみたいなノリでバケモノをぶっ殺しに行く感がなんかこうすごい
対深海凄艦用の防具も欲しかった所だが、嵩張るので持ってこなかったのが痛い。お土産が多かったから……
@#_、_@
( ノ`)「済んだかい?」ガチャ
( T)「ええ、今しがた。いつでも出発できます」
めいじ館から東京湾までの移動手段の準備をしていた女将が部屋を覗く
辛うじて鉄道が配備されている時代だ。ヘリどころか自動車すら無く、自転車ですらクソ高い中、俺らは何に乗せられるのだろうか???もしかして走んの????
@#_、_@
( ノ`)「いんや、準備はまだ終わっちゃいないようだね。全員着いてきな」
( T)「アッハイ」
やだ……男気溢れる台詞……惚れちゃう……いや人妻だったわいい歳したお子さんもいるんだった
25 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:37:59.11 ID:q3DsNQzG0
女将に連れられやって来たのはめいじ館地下。工房の隣にある備品保管庫だ
ここは御華見衆の雑務を担当する七香ちゃんが管理している
数々のよくわからん品が並ぶ棚を確認しながら帳簿を付ける姿を何度も目にしたものだ
@#_、_@
( ノ`)「待たせたね七香。開けとくれ」
七香「はい!!」
緊張した面持ちで待機していた彼女は、色取り取りの背表紙が並ぶ本棚へ駆け寄る
そしてその内の三冊を入れ替え、少しの間を置いて右端の本をスッと押した
『カチリ』と歯車のハマった音の後に、本棚が微振動と共に開いていく
天龍「ワォ」
『隠し部屋』の天井の電球が灯ると、壁一面に飾り立てられた『金属』が鈍く光を反射する
鞘に収まった日本刀から始まり、弓や連弩、陸軍採用の単発式ライフルから海外製のレバーアクションライフルまでズラリと並ぶ
秋雲「こりゃ……テンション上がっちゃうね……」
時雨「僕も始めて見たよ。御華見衆は戦争でもおっぱじめる気なのかな?」
@#_、_@
( ノ`)「ほとんどが押収品さ。やんちゃをする華族や富豪が後を絶たなくてね」
( T)「ほぉー……」
@#_、_@
( ノ`)「好きなのを持って行きな。焼け石に水だが、無いよかマシだろうさ」
( T)「……これ横領になりません?」
@#_、_@
( ノ`)「知らんぷりすりゃあいいのさ。そうだね七香?」
七香「その通り、です!!」フンス
七香ちゃんも何かに当てられて大分ハイになってるみたいだ
26 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:44:40.82 ID:q3DsNQzG0
@#_、_@
( ノ`)「言っただろう?『我々御華見衆は貴殿らを全力で支援する』と」
そう言って女将はニヒルに口角を上げた。カッコよすぎておしっこ漏らすかと思った
( T)「では……聞いたかテメェら!!遠慮なく好きに掻っ攫って良いんだとよォ!!」
秋雲「マジ!!!???じゃあ売り上げから持ってくわ!!!!七香ちゃん金庫の鍵頂戴!?」
七香「差し上げません」
( T)「お前帰ったら不知火にドチャクソ指導してもらうからな」
秋雲「あ、やめて、心が死ぬ。艦娘は観る拷問に長時間耐えられるほど強くないの」
秋雲の冗談(半分マジ)はさて置き、楽しいウィンドウショッピングの始まりだ
時雨「とは言っても、鋼鉄製のクナイ補充してもね……」
( T)「文句言うな無いよかマシだろ。おっと、こいつぁ素敵だ……『ウィンチェスターM1887』。T-800も愛用したレバーアクションショットガンだ」
ターミネーター2での華麗な片手リロードは映画史に残るクールなワンシーンだ。禍憑に銃は効かないが、目くらましにはなるだろう
しかし、取ろうと伸ばした腕を七香ちゃんが止めた。チラリと伺うと、首を横に振る
七香「その銃は連射性に優れますが、耐久性と排莢に難があります。此方の方が宜しいかと」
(;T)「えっ、あっ、はい」
まさかこの子に割とマジな理由で引き止められるとは思わなかったんで、ちょっと狼狽えてしまった
代わりに彼女が持ち出したのは『サイドバイサイド』。銃身が横に二つ並んでいる水平二連式のショットガンだ
銃身は切り詰めてあり、片手での取り回しの良さと破壊力を押し上げている。『牙の旅商人』でガラミィも使ってた。連載再開はまだだろうか?
27 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:46:51.29 ID:q3DsNQzG0
七香「弾数は二発と少ないですが、単純な構造ゆえに不具合は殆どありません。信頼出来ますよ」
(;T)「あ、ああ……ありがとう……」
時雨「意外な一面だね……」
七香「あっ、ち、違います!!お、御華見衆の倉庫番として、保管する武器の性能はきちんと把握しとかなければと思いましてですね!!」
そういやこの子、クレイジーサイコエンジニアこと八宵の姉だったわ
太腿に吊り下げるホルスターを装着、予備の弾は六つ
これで鍵の書が無いと抜けない大剣を背負えば完璧ガラミィだよ牙の旅商人の連載再開はいつだ!!!!!!!!!!!ええ!!!!!!!!
秋雲「提督これ借りんね」サッ
( T)「スんな。何に使う?」
秋雲「汚ぇ花火かな」
俺のポケットからライターをスった秋雲には、前衛的なデザインのアクセサリーを腰にズラリと巻き付けている
何がとは言わないが、火を着けて少し待ったらドカンと弾ける筒だ。主成分はニトログリセリン
( T)「あー……頼むから俺が見える範囲で自爆すんのだけはやめてくれ。吐く」
秋雲「この秋雲さんが男塾みたいな真似すると思ってんの?」
( T)「無いわ。俺にも一本寄越せ。マグニフィセント・セブンごっこがしたい」
秋雲「機関銃が出てきたらね」
しかし何でも揃ってんな。G・Iジョーのストームシャドーが使ってたハンドスピナーみたいな手裏剣もひょっとしたらあるんじゃないか?
28 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:48:03.06 ID:q3DsNQzG0
夕立「夕立、これがいい」
夕立が手に取ったのは『脇差』だ。時代劇の侍が腰に差してる大小二本の刀の内、小さい方がそれ
( T)「三刀流でもすんの?」
天龍「山刀だけにってか」
夕立「夕立の刀、一本ダメになっちゃったから」
( T)「ハイブリッド棲艦の中にぶち込んだ奴か」
七香「回収後、一応修復を試みたんですが……」
( T)「気になさんな。帰ったら予備がたらふくある」
天龍「お前が振ったんだろ。ツッコめよ、おい」
地下だからだろうか。気温がちょっと下がってる気がする
( T)「お前はどうするんだ口からマヒャド女?」
天龍「厚意だけ受け取っとく。どの道、俺は『こいつ』以外使う気はねえ」ガンッ
( T)「れいとうパンチやめてください」
外部生産品である夕立の山刀とは違い、天龍の刀はれっきとした『艤装』だ。そこらの刀とはワケが違う
切れ味はともかく、重さと耐久度は段違いだ。確かにこいつは下手に武器を増やすより、馴染みの得物一本で勝負した方が強いだろう
29 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:50:29.71 ID:q3DsNQzG0
@#_、_@
( ノ`)「ぼさっとしなさんな大将。アンタの図体に見合う物がある」
( T)「ほう」
女将に連れられ武器庫の奥へ踏み入る。出迎えたのはデンと鎮座する『具足』
飾り気のない朱を基調としたデザインで、細々と付いたキズが歴戦を思わせる
そして常人サイズじゃない。少なくとも、現代と比べて平均身長が小さい銘治の人間には合わないだろう
現代から顕れた筋肉の体現者たる俺や、その俺と並ぶ体形である『女将』の身体に合うであろう大きさだ
@#_、_@
( ノ`)「アタシが現役だった頃に使っていた防具さ。埃を被るだけだったが、もう一度日の目を見る時が来るとはね」
( T)「現役『だった』?」
@#_、_@
( ノ`)「人間五十年。年寄りに現場仕事は荷が重いさね。茶房の女将が身の丈に合ってる」
( T)「何を仰る。こっちの時代だと五十なんて現役バリバリの世代ですよ。なんなら六十越えても働かされる」
@#_、_@
( ノ`)「そりゃ……六十?」
( T)「ええ、六十」
@#_、_@
( ノ`)「……未来の日本は余程人手不足のようだね」
( T)「涙が出るほどにね。お借りしても?」
@#_、_@
( ノ`)「勿論さ。ご注文はあるかい?」
( T)「ご注文?」
@#_、_@
( ノ`)「部位ごとに切り離して使用できるのさ。アンタは体術が得意と聞いたからね。胴当てはむしろ妨げになるかもしれん」
( T)「確かに。では腕と足の防護をお願いします」
@#_、_@
( ノ`)「はいよ。ちょいとジッとしてな」
注文した部位の防具を外していくと、俺の身体へと手慣れた様子で装着する。ちょっとくすぐったかった
固定はベルトを巻き付けて行っている。これは具足というより現代で言う『プロテクター』に近いのかもしれない
30 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:53:56.13 ID:q3DsNQzG0
@#_、_@
( ノ`)「どうだい?動きづらくはないかい?」
( T)「問題無いです。関節も滑らかに動く。埃を被っていると言いましたが、小まめに手入れはされているようだ」
装甲は籠手に脛当て、手甲に抑えた。特にこの手甲は良い。顔面陥没どころか煎餅になるまでぶん殴れる
胴の守りは邪魔になるので除いた。そもそも、俺には筋肉があるので問題ない。後のフラグとかそんなんじゃない
@#_、_@
( ノ`)「ライフル程度の銃弾なら軽く弾くが、禍憑相手には過信しないようにね。当然、『砲弾』なんて以ての外だ」
( T)「聞いていらしたのですか?」
@#_、_@
( ノ`)「ある程度はね。詳しく聞きたい話もあるが……お前さんにも事情があるんだろう。掘り下げはしないよ」
( T)「心遣い感謝します……が、俺自身も把握しきれていない事態なので、説明しかねますね」
@#_、_@
( ノ`)「ふぅん……ま、余りあのクソガキを心配させないことだね。この二日間ずっと付きっ切りだったんだよ?」
( T)「善処しますが、そりゃお互いさまって奴ですよ」
@#_、_@
( ノ`)「ああ言えばこう言う所はあの子そっくりだね……さて、お次は武器だが……」
壁に掛けられている刀や槍の数々。恐らくは具足と同じくまめに手入れされているもので、どれも業物の類だろう
だが、俺は普通の武器の扱いがそれほど得意ではない。日本刀など繊細な技術を必要とする物なら尚更だ
筋肉を行使して力いっぱい叩きつければ、それこそ二振りも耐えきれずバキ折れてしまう
どちらかと言えば、最初に使った棍棒ように振り回してぶち殺せる頑丈な武器が……
( T)「……」
吸い込まれるように。部屋の片隅にある布に包まれた『長物』が目に入った
手招きをされたかのように。傍にいる女将すら気づかぬほど自然に近づいていく
魅了をされたかのように。『それ』を掴んで布を取り去った
31 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:57:30.17 ID:q3DsNQzG0
( T)「……女将」
@#_、_@
( ノ`)「なん……ッ」
女将が息を飲む。対照的に俺は感嘆を吐く
全長およそ二メートルと少し。俺が禍憑に対して振るう『それ』とは半分に満たない長さだ
幅広で大きく反りの入った刃から、太い柄に到るまで全て鋼鉄製。しかし、掴んだ瞬間から掌が焼ける錯覚をするほど『熱い』
( T)「人が悪いですね女将」
『重い』。しかし、心地よい重さだ。一振りで禍憑の雁首を纏めて斬り飛ばせるだろう
軽く動かしただけで、刃が空気を裂くのを感じた。無骨な見た目にそぐわない、ある種の『雅』すら思わせる切れ味だ
実に、ああ実に―――
( T)「『俺好み』だ」
他の選択肢を全て奪い去るほどに。その『矛』は俺の心を鷲掴みにした
@#_、_@
(; ノ`)「そいつを選んじまうか……」
( T)「構いませんよね?貴方はこう言った。『好きなのを持って行け』と」
意地の悪いセリフを吐いてしまったが、こちとら言質は握ってる。『No』とは言わせない
例え呪いの武器だろうがなんだろうがボク絶対これ使うもん!!やだやだ使うもん!!
@#_、_@
(; ノ`)「アタシの一存で決めr……いや、むしろ……『それ』が選んだのだとしたら……」
いつもは落ち着きのある女将だが、この時ばかりはブツブツと独り言を呟きながら思考を巡らせる
そこには焦りが見受けられたが、逆に奇妙な『高揚感』すら感じられる。何の曰くがあるのだろうか?
32 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 21:59:37.11 ID:q3DsNQzG0
@#_、_@
(; ノ`)「……有り得るかも知れない……だが、『再来』か……?」
( T)「?」
『うむむ』と唸った後、天井を仰ぎ、ふぅと溜息を吐く。そして
@#_、_@
( ノ`)「その『菊華刀』は、虎徹の元主の形見だ」
矛の『曰く』を、突拍子もなく語った
( T)「ほう。菊華刀とは?」
@#_、_@
( ノ`)「巫剣使いにそれぞれ支給される、『稜威』と『巫魂』を繋ぐ特殊な刀さ。形状は日本刀が多いが、例外もある」
一年前。超大型禍憑との戦闘で亡くなった虎徹の『元主』。虎徹のトラウマであり、俺達が仲違いするようになった原因だ
その形見と言うのなら、使用許可は女将ではなく虎徹に伺うのが筋だろう。だが、今のめいじ館に虎徹はいない
@#_、_@
( ノ`)「二言は無い。アンタが『それ』だと思ったのなら、持って行っても良い。だが、一つ約束してくれ」
( T)「何をでしょう?」
@#_、_@
( ノ`)「絶対に死ぬな。それも、『巫剣を庇うような真似をして』ね」
.
33 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:02:11.39 ID:q3DsNQzG0
女将の呟きの断片には『再来』という言葉があった。それは、虎徹が若に対して抱いていた懸念と同じものだ
つまりは、『元主と同じ死に方をしてはならない』ということ。何を意味するかは、付き合いの短い俺でも理解できる
禍憑を斬り祓う巫剣ですら、絶望に身を堕とす
『錆憑』になりかけた城和泉を、俺は既に目の当たりにしているのだ
虎徹がもう一度、同じ条件で誰かが死ぬのを目撃してしまえば……その先は想像に難くない
( T)「……」
俺は女将の言葉に直ぐに答えられなかった。死なない人間なんていねえし、そもそも殺し合いに行くんだから、そんな場面に遭遇してしまう可能性は高い
当然、死にに行く気はさらさらねぇし、虎徹が錆憑になっちまうなんて考えたくもねえ。だけど、『あり得ない話では無い』
( T)「……」
矛を掲げ、眺める。『刀』が魂を持ち、剣士として顕現するこの世界では、『そうでない武器』も、ある程度の『魂』って奴を持ち合わせているのかもしれない
俺達の世界だってそうだ。艦娘だって元は『艦』。人の手によって生まれ、人の手によって戦うモノに変わりない
改めて、『縁』を感じた。艦娘や巫剣、深海棲艦に禍憑、提督に巫剣使い。世界が違えど、似通う部分が多い
そう言った意味では、俺は『武器』や『兵器』の魂と近い存在なのかもしれない
現に、一目惚れしたこの矛は、虎徹が抱え込む苦悩を生んだ物の『一部』だ
俺はオカルトもファンタジーも嫌ってほど体験した。だからこそハッキリと断言出来る
矛は、彼女を救う為に『俺』を選び、呼び寄せたのだと
( T)「……」
なら、俺は呼びかけにこう返す他無い。矛に向けて、女将に向けて。そしてあの世の『元主』に向けて
( T)「『任せろ』」
と
34 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:04:40.57 ID:q3DsNQzG0
抜丸「お母様!!!!!」バッキャオン!!!!!!!!
( T)「嘘やん」
まさか天井まで抜丸ジャンプで突き破ってくるとは思わなかった
抜丸「て、提督さん!?起き上がられて……!!」
( T)「いやお前、天井」
@#_、_@
( ノ`)「報告が先!!」
抜丸「はっ、はい!!」
( T)「えっ、天井は良いんですか女将?」
足から降りてきたのになんでいつもの真正面から見たグリコポーズの型抜きになってるんだ
抜丸「先ほど、東京湾にて監視を行っていた小烏丸先輩から巨大卵型禍憑に動き有りとご報告が!!海岸防衛線にて通常禍憑との戦闘も開始された模様!!」
抜丸「時を同じくして潜伏していた陸軍残党兵型禍憑が市井にて活動を再開!!ソボロ先生率いる警備隊が市民の避難誘導及び撃退を開始しました!!」
@#_、_@
( ノ`)「何分前だい?」
抜丸「五分ほどです!!」
@#_、_@
( ノ`)「なるほど。大将、アンタが起きてからどれくらい経った?」
( T)「十五分ほど」
@#_、_@
( ノ`)「どう見る?」
( T)「どうとでも見れます。『準備を終え起動』、卵型らしく『孵化の完了』、あるいは……」
@#_、_@
( ノ`)「あるいは?」
( T)「『勘づいた』か」
抜丸は首を傾げるが、女将は納得した表情で頷く
禍憑及び深海棲艦の運用には、御華見衆と俺達の存在は邪魔でしかない。だが、三浦はこう言った
『海で待つ』
35 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:13:07.93 ID:q3DsNQzG0
何度も殺せるチャンスはあった筈だ。俺は茂名に『桜禍糖』を飲まされ、三浦と共に『独房』に閉じ込められていた
幾ら人類最強を欲しいがままにする筋肉の体現者である俺でも、意識が無ければまな板の上の鯉も同然だ
それどころか奴は、茂名のいる場所まで案内し、その上『援護』まで行った。信じがたい事に、仲間すら撃ったのだ
そして、このタイミングの良い活動の開始。自意識過剰とも取られかねないが、俺には『待ちわびていた』かのように思えた
ここまで御ぜん立てされちゃあ、三浦本人の目的は茂名が言っていたそれとは大きくかけ離れていると考えざるを得ない
( T)「直ぐに出ます。移動手段は?」
@#_、_@
( ノ`)「事態が事態だからね。ちょいと無茶苦茶だが、速度は保証するよ」
( T)「徒歩じゃないだけでも十分です」
抜丸「あの……本当に、アレに乗るのでしょうか?」
@#_、_@
( ノ`)「八宵と仏を信じる他無いね」
( T)「あっ、俺走って行きます」
@#_、_@
( ノ`)「腹括りな大将。それに、多分アンタらの世界じゃ見慣れた乗り物のはずだよ」
いや、見たけど。最初に工房行った時にしこたま説明食らわされたけど
( T)「マジかぁ……」
まさかあのトンデモ発明家が作った冗談みてーな代物に乗ることになるとは
36 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:17:56.71 ID:q3DsNQzG0
―――――
―――
―
百十八年先。銘治時代からしてみれば俺らの世界はドラえもんが量産されてるようなもんだ
船はスクリューで動き、列車は時速三百キロで走り、鉄の塊が空を飛び、十万円もする板でエロ動画が見れる。ああ、ついでに電話も
自動車なんて今や生活必需品の一つだ。最近は若者の車離れだのなんだの言われてるがな。いいから給料上げて税金減らせクソが
文明の利器が当たり前の時代にいる俺だ。そりゃ車の一つ二つ転がしたことがある
ただし、アクセル踏めば進んでブレーキ踏めば止まりエアコンもオーディオも完備され事故ればエアバッグが作動する、ある程度の安全と快適性が保証された既製品だ
だからこそだろうか。めいじ館の表でV8エンジンみてーな音を響かせる、辛うじて四輪車とも呼べん事もない乗り物を見た時
(;T)「マジかぁ……」
とてつもない不安が湧き上がってくるのは
時雨「提督何その矛かっkうっわダヴィンチちゃんは本当にバカだねえ」
( T)「フォウ君枠お前かよ。矛はお借りした。他の連中は?」
時雨「忘れ物がどうのこうの言ってたから多分うんこだよ」
( T)「忘れ物がどうのこうの言ってたなら忘れ物だろ……」
艤装を装着した時雨も言った通り、確かに真っ先にスピンクスメギド号連想したわ
八宵「待ってたよ提督さん!!やーっとこの子を奔らせることが出来るよ!!」
( T)「待てこれテストプレイしてないのか?」
八宵「天才発明家だから大丈夫!!」
( T)「そうかぁ。じゃあその自信に満ちた発言を目を逸らさずに言ってくれねえかなぁ」
どうしてこう腕と頭は良いのに常識がねえエンジニアってのは責任を丸投げにしがちなのだろうか
お前らに言ってんだぞ明石と夕張。特に乳首の感度を三千倍にしやがったバカの方
時雨「僕は艤装で走って行くとして、これ無理しても五人くらいしか乗れないよね?どうするの?」
@#_、_@
( ノ`)「残りは小烏丸が手配した『アレ』に乗ってもらう」
( T)「アレ?」
@#_、_@
( ノ`)「ほれ、来たよ」
37 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:22:19.61 ID:q3DsNQzG0
羽搏きの音と共に、頭上から大きな影が差す
砂埃を巻き上げながら、スピンクスメギド号(仮称)の傍に降り立ったのは
(;T)「うわぁ……」
体長三メートルはあろうかという巨大な『カラス』だった
時雨「エンペラークロウじゃん……」
(;T)「全長三千メートルになるやつじゃん……」
@#_、_@
( ノ`)「アンタらの世界にもこんなのがいるのかい?」
時雨「いるわけな……いる。美味しかった」
@#_、_@
( ノ`)「食った……?」
(;T)「諸事情で巨大な海老とタコに襲われた事がありまして」
@#_、_@
( ノ`)「……デカいカラスがいるんなら、海老もタコもいるだろうね」
(;T)「このカラスは?」
@#_、_@
( ノ`)「云十年前に小烏丸が見つけた雛が妖の類でね。これだけ大きくなってもまだ成長途中らしい」
(;T)「……刀が人の姿を成すなら、妖怪カラスもいるでしょうね」
\オギャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!/
( T)「ん?」
夕立「」ブクブクブク
天龍「おい、なんだよそりゃあ」
秋雲「エンペラークロウじゃん!!」
忘れ物とやらを取りに行ってた夕立は案の定気絶した
38 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:25:04.88 ID:q3DsNQzG0
秋雲「やっべ!!わ、やっべ!!捗るわぁ!!美少女やクリーチャーだけじゃなくて巨大生物まで見れるなんて、銘治時代は資料の宝庫じゃけぇ!!」
( T)「神経図太いなぁ。忘れ物ってなんだよ」
天龍「ほらよ、ママからだ」
夕立が抱えていた包みを天龍が抜き取り、俺に渡す
結構な重みと、プラスチックがぶつかり合うような軽い音
( T)「こりゃ……」
中身を検めると、人数分の通信機とインカム。そして底にホルスターに収まった拳銃と予備弾倉が二つ
天龍「出発直前に叢雲が夕立の荷物の中に入れといたらしい」
( T)「マ……ママァ……」
時雨「うわキモ……」
天龍「本人が聞いたら腸を槍で掻きまわすだろうな……」
( T)「お前が先に言ったんだろ……」
とにかく、ありがたいサプライズプレゼントだ。遠距離で通話が出来るだけで戦略の幅が広がる
拳銃に関してはオマケ程度に入れといたんだろう。『SIG P220』。高精度の拳銃だが、装弾数が少ない
( T)「秋雲、これ持っとけ」
秋雲「んあ、あ、りょーかい」
SIGを秋雲に、通信機とインカムをそれぞれに配る
夕立はいっか……どうせバーサーカーになったら叫び声しか聞こえないし……
( T)「弾薬と燃料の残量は?」
時雨「燃料七割、機銃弾数五割、主砲九割、魚雷十割、ナオルヨくん一つ」
( T)「勝ったな」
時雨「ああ」
なんか異物が一個混ざってたけど気にしない方向で行こう
39 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:27:34.80 ID:q3DsNQzG0
( T)「よっこいしょ……夕立は暫く気絶させた方がいいな」
夕立を四輪車の助手席に乗せる。これシートベルトは?
( T)「天龍と秋雲、カラス乗って空飛んで行っていいぞ」
秋雲「マジ!!!!!!!!????????」
天龍「マジ……?」
( T)「いや夕立乗せてもいいんだよ?ただ、飛んでる間に目ぇ覚ましたら何が起こるか想像つくだろ?」
天龍「お前が乗れよ……」
( T)「筋肉ってな、脂肪より重いんだよ」
やや渋ってた天龍だったが、結局は折れた。対照的に秋雲はアトラクションを前にしたガキのようにはしゃぐ
妖カラスは慣れた様子で乗り込みやすく身を屈めた。このカラスは食えるのだろうか
天龍「これどこに捕まりゃいいんだよ……」
@#_、_@
( ノ`)「何、人を乗せなれたカラスだ。多少不安定な姿勢をしても落とさず飛んでくれるだろうよ」
天龍「答えになってねーんスけど……?」
@#_、_@
( ノ`)「行きな!!」
天龍「待っ、心の準備あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
/ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!\
/いやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!\
二人も乗せているとは思えないほど力強く飛び立ったカラス
天龍のあんな叫び声を初めて聞いたので、多少面食らった。いや、まぁ、怖いよな……押し付けて良かった
時雨「……ホッとしてる?」
( T)「多少な」
本当に良かった
40 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:30:27.69 ID:q3DsNQzG0
( T)「さて……残りは?」
座席の残りは二……無茶して三つ。だが、カラスから四輪車に視点を戻した瞬間
小夜左文字「……」
音も無く席は一つ埋まった
( T)「よう小夜。調子は?」
小夜左文字「病み上がりの身体に鞭を打つくらい絶好調よ……」
( T)「心強いが強制はしねえぜ?」
小夜左文字「私の任務は貴方の監視及び護衛……任を解かれるまで、貴方の影として付きまとってやる……」
( T)「おはようからおやすみまでってか。ありがたくて涙が出るね」
相変わらず目つきの悪い少女だが、突き刺すような殺気はもはや感じられなかった
彼女は赤い瞳を横へと流す。促されるように、俺の視線も移った
小夜左文字「後はあの二人ね……」
( T)「……」
(*゚―゚)「……」
城和泉正宗「……」
めいじ館内から勇ましい表情で現れた二人
若はこの時代特有の学生服のような軍衣を身に着けており、軍帽に付いた『菊』の紋章が日光を反射し輝いていた
41 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:32:10.43 ID:q3DsNQzG0
(*゚―゚)「……」
真一文字に口を結んだ若は、俺に深々と頭を下げる
(*゚―゚)「どうか、僕らも戦列にお加え下さい」
( T)「……」
(*゚―゚)「厚かましいお願いなのも、どの面下げてと仰りたいお気持ちもわかります。ですが、僕らも戦える。足を引っ張るために、御華見衆に入ったんじゃない」
(*゚―゚)「汚名返上の……機会を頂けないでしょうか?」
ああ、クソ。真面目もここまで来ると疾患もいいとこだ
厚かましい?どの面下げて?冗談じゃねえ。俺は目にしている。若と城和泉が、戦士として戦う姿を
( T)「汚名返上?違うな、若」
(*゚―゚)「え……?」
返上する汚名も無く、名誉を挽回する必要がないのなら、こう言うべきだ
( T)「『男』を磨きに行こうぜ」
(*゚―゚)「ッ!!」
良い面構えだ
(*゚ー゚)「はい!!」
立派に男の顔じゃねえか
42 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:33:32.14 ID:q3DsNQzG0
時雨「今度暴走しても僕はもー助けないからねー」
城和泉正宗「余計なお世話!!二度とアンタの世話になんかなるもんですか!!」
べーっと舌を見せつけた城和泉と共に、若も後部座席に乗り込む
端の小夜が狭そうに眉を顰めた。ところでこれシートベルトは????
八宵「さぁ乗って乗って提督さん!!出発するよ!!」
( T)「お、すまんな今……八宵さん?」
八宵「何?時間ないんだから手短にしてよー?」
( T)「なんで運転席に乗ってんの?」
八宵「?」キョトン
( T)「え?なんか俺おかしなこと言った????」
想定では俺が運転する筈だったが、何故かハンドルを握って首を傾げている天才(変態)発明家
余りに自然に乗り込んでいるものだから、普段驚かす側の小夜の目が丸く見開かれていた
八宵「……造ったのは私なんだから、操縦するのは私じゃん?」
( T)「いや、そりゃ普通のドライブなら死ぬ覚悟決めて乗ってやってもいいけど、今からどこ行くかわかってる?」
八宵「いーじゃん連れてってよー!!こう見えて修羅場は結構潜ってるんだし!!」
( T)「お前に怪我されたら女将と姉に合わす顔がねーんだよ」
@#_、_@
( ノ`)「構わないよ。七香も了承済みだ」
( T)「マジですか女将」
ちょっと放任主義が過ぎやしないかこの人
43 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:36:34.08 ID:q3DsNQzG0
丙子椒林剣「あら〜、そちらの副指令は子猫の手も容赦なく利用すると仰ったのに、貴方はその限りでは無いようですね〜?」
揚げ足を取りながら、日本刀を携えたクソアマが現れる。俺こいつ嫌い
丙子椒林剣「ご安心を〜。七香さんもしっかりと釘は刺していましたし、ちゃんとご自分の面倒は見れる子ですので〜」
(;T)「つっても……」
丙子椒林剣「提督さんのお荷物も多いようですし、手綱を預けるくらいは任せても良いのではないでしょうか〜?」
そう言ってチラリと夕立を見る。シートベルトさえ……シートベルトさえあれば……
しかし丙子の言うことも一理ある。なんせこのデカい矛も携えている状況だ。誰かに任せても良いが、万が一もある
(;T)「ハァ……わかったよ」
八宵「やりぃ」
丙子椒林剣「八宵さん。くれぐれも、無茶をして提督さんや椎名くんを困らせないようにしてくださいね〜?」
八宵「き……肝に銘じます……」
丙子椒林剣「よろしい。ではお母さん、我々も」
@#_、_@
( ノ`)「そうだね」
女将は丙子から日本刀を受け取り、腰に差す。それを見た時雨が怪訝な顔をした
時雨「ババアも来るの?」
@#_、_@
( ノ`)「いんや、主戦場は若いのに任せるよ。アタシは街のゴミ掃除さ。ちょうど、『元愛刀』もここにいることだしね」
44 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:40:34.23 ID:q3DsNQzG0
愛刀。受け取った刀を指した言葉では無いのだろう。それは恐らく……
丙子椒林剣「ウフフ」
(;T)「ああ、そりゃ強いわ……」
初めてめいじ館を訪れた時、菊さんは女将を『傑物』と呼んだ
その言葉に間違いはないらしい。並び立つその姿の迫力たるやいなや。禍憑に同情を禁じ得ない
@#_、_@
( ノ`)「引退したとはいえ、耄碌したつもりは無いよ。こっちは任せて存分に暴れな」
時雨「……フン、年寄りの冷や水だね。精々、腰をやらないように気を付けなよ」
城和泉正宗「ちょっとアナタねえ!!」
@#_、_@
( ノ`)「いいさ城和泉。時雨」
時雨「何?」
@#_、_@
( ノ`)「ご主人に、格好いいとこ見せつけてやんな」
時雨「っ!!そ、そんなんじゃないし!!バーカ!!バーカ!!行ってきます!!」
上手く返された時雨は、艤装のエンジンを吹き上げ走り出す
調子は狂わされっぱなしらしい。俺までちょっと恥ずかしいだろやめろや……
@#_、_@
( ノ`)「フフン、可愛い娘だね大将?」
(;T)「あーまーそーっすねー……俺らも出ます。お気をつけて」
夕立を抱え上げ、助手席に座る。狭い。シートベルトはどこだ
@#_、_@
( ノ`)「海軍の責任者には話を付けている。着いたら現場の巫剣を呼んで作戦本部に通して貰いな。それと、最後に一つ老婆心だ」
(;T)「はい?」
45 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:47:32.65 ID:q3DsNQzG0
@#_、_@
( ノ`)「アンタの手にある『菊華刀』は、ただの刀じゃない。巫剣使いの稜威と巫剣の巫魂を繋ぐ生命線だ」
( T)「……」
@#_、_@
( ノ`)「巫剣使いは菊華刀を通じ、巫剣を振るう。使い手と刀、力と力が合わされば、『きょう力』となる」
人と刀が『協力』し『強力』となる。提督と艦娘の間にはない、明確な繋がりによる力
しかし、それは若や女将のような、素質のある巫剣使いに限っての話の筈だが……
@#_、_@
( ノ`)「言いたいことはわかるよ。だが大将、アンタも『人の姿をした武器』を扱う人間だ。そう違いは無いさ」
( T)「はぁ……」
@#_、_@
( ノ`)「要は、『ここ』の問題だ。想い、肯定、そして確信。後は勢いに乗せりゃ出来ないことはない」
太鼓の音かと勘違いするほどに力強く胸を叩く。かっこよすぎて失禁するかと思った
( T)「勢い、ですか。得意分野だ」
@#_、_@
( ノ`)「だろうね。さ、行きな!!小夜、しっかり面倒みてやんな!!」
小夜左文字「わかった……」
@#_、_@
( ノ`)「城和泉!!今度はしくじるんじゃないよ!!」
城和泉正宗「と、当然よ!!」
@#_、_@
( ノ`)「若!!」
(*゚ー゚)「はっ、はい!!」
@#_、_@
( ノ`)「『男』になってきな」
(*゚ー゚)「っ……了解です!!」
46 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:48:38.65 ID:q3DsNQzG0
さて、助言と檄も頂いたところで
( T)「行くぞォ!!」デッデッデデデデッ カーン!!
出陣と行こうか
八宵「あいよぉ!!」ウォン!!!!
四輪車がガクンと揺れる
( T)そ「アウォ」
(*;゚ー゚)そ「ウエ」
早々に若干鞭打ちを喰らわされる羽目になった
八宵「あははははははは!!」
(;T)「ちょ、おま……」
八宵「さぁ奔れ奔れめいじ号ォォォ!!!!!!!!!!」ドルルルルルギャアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!
(;T)「おまーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
車輪が地面を空削りした後の急発進。まだ一分も経ってないのに幸先不安
ドライブ・ハイに陥った八宵を横目に、とりあえず十字だけは切っておいた。無宗教だけど
(;T)「遺書書いとくべきだったかなぁ!!!!」
カラスの乗車席を譲ったのを早速後悔したのであった
47 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:57:36.44 ID:q3DsNQzG0
―――――
―――
―
八宵「はいどいたどいたァ!!未来が通るよォ!!」
飯屋の立て看板が弾け飛ぶ。そこらの犬が情けない鳴き声を上げて逃げる
往来の人々はなんだなんだと指を差し、恐怖の形相を浮かべて飛びのく
(;T)「おうぇっぷ気持ち悪ぃ!!」
ご機嫌な追加情報を教えよう。この車のタイヤはゴム製ではなく、言うならば馬車やなんやらに使われるようなむき出しの車輪だ
その上、衝撃を吸収するサスペンションもクソも無い。当然、各種メーターも無いので時速何キロかは体感でしかわからない
まぁ……高速で出す速度くらい出てるんじゃねえかなぁ……舗装されてない道路で……
城和泉正宗「未来じゃこんな危ない乗り物が主流なの!!!????」
(;T)「んなワケねえだろこんなんに乗るくらいなら歩いて移動するわ!!!!!」
城和泉正宗「そうよねって危なーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!」
前方には両天秤の桶を担いだ魚屋かなんかのオッサンの姿
八宵「邪魔だってのォ!!」
それを華麗なハンドリングで躱そうとしたが
桶と接触し中に入ってた活きの良いウナギがドカンと弾けた
「うわっ、なんだァ!?」
どうみても接触事故です本当にありがとうございました
48 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 22:59:40.96 ID:q3DsNQzG0
(*;゚ー゚)「ごめっ、ごめんなさーーーーーい!!!!めいじ館に請求しておいてくださーーーーーい!!!」
(;T)そ「ちょっ、やだ!!どこに入り込んでんのよこのスケベウナギ!!」
(*;゚ー゚)「えっ!?まっするさん!?」
その内の一匹があろうことか俺の胸元に入り込んできやがった
確かにこの中じゃバストサイズ一位だけども。肉体的魅力もダントツだろうけども
(;T)「ああああああああああああ気ッ持ち悪ぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」
よくスケベイラストとかで胸元にウナギ挟んでるものとかあるけど、想像を絶する気持ち悪さだってわかってて描いてるのだろうか
いやそんなワケねえだろ誰が実際に生きたウナギを胸元に挟むんだよ上級者向けAVでも滅多に見ねえぞやんっそこは敏感な所ォ!!!
(;T)「乳首はやめろォォン!!アォン!!」
小夜左文字「……」
城和泉正宗「小夜の顔色が真っ青になってるんだけど!!」
八宵「えー!?何ー!?もっと速度出すー!?」
(*;゚ー゚)「安全!!安全でお願いしますーーーーーーーーー!!!!!」
八宵「了解ィ!!!!!!」ウォン!!!!!!!!!!
アクセルを更に踏み込む。何が了解なのだろうか?
それよかこのウナギどうにかしねえと
(;T)「あ!!そこの『ますだや』に寄せろ!!」
八宵「なんでー!?」
(;T)「いいからァッスンッフゥン!!!!!」
小夜左文字「……ップ」
城和泉正宗「耐えて!!耐えて小夜ーーーーーーーーーー!!!!!!!」
49 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:02:20.44 ID:q3DsNQzG0
『ますだや』。俺と虎徹が一杯(いっぱい)やった大衆居酒屋だ
ちょうど席に案内してくれたお姉さんが顔を覗かせている。チャンスだ
(;T)「お姉さーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!」
「!? え、わ、私ですかァ!!!???」
サッと胸元に手を突っ込み、エラの部分に指を掛け、一気に引き抜いて
(;T)「皆さんでどうぞォ!!!!!!!!」
そのまま投げ渡した
「やだウナ……生暖か―――!!!!!!!」
悲鳴やらなんやらが後ろから聞こえて来たが事情を説明する暇は与えてくれない
とにかくあのウナギが美味しく戴かれる事を願っておこう。服の中なんかヌメヌメするゥ!!!!!!!
(;T)「えれぇ目に遭った……」
八宵「えれぇ目に遭ったのはあのお姉さんじゃないかなァ!!!!!」
( T)「お前全部終わったらウナギの樽にぶち込んでやるからな」
八宵「アハハ!!冗談が上手いんだからもー!!」
絶対ぶち込んでやる。一生物のトラウマ刻んでやる
50 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:06:35.80 ID:q3DsNQzG0
夕立「う……うるさいっぽ……」
( T)「当て身」ドスッ
夕立「い゙っ」ガクン!!
(*;゚―゚)そ「何してんですか!?」
( T)「いや……起きたら騒ぐし……」
小夜左文字「……う……」
城和泉正宗「出すの!?出すならせめて外に……」
小夜左文字「後ろ……!!」
申し訳程度に備え付けられたサイドミラーを見ると、奇妙な物体が複数、高速で近づいていた
湯呑が乗った盆を携えた、人の等身ほどある大きさの市松人形だ。それが追ってきてるだけでも十分な恐怖だが
(;T)「あれ車輪ついてねえか!?」
下半身に一輪車が付いている。こういうのトランスフォーマーリベンジで見た気がする
こんな面白可笑しな人形、隣の発明家(バカ)が造る以外で目にすることなど考えられない
(*;゚―゚)「『運輪車(はこびわぐるま)』!!禍憑です!!」
(;T)「やっぱそうかよ!!」
すんなりと海へと行かせる気はないらしい
八宵「運輪車!?めいじ号に迎撃機能は備わってないよ!?」
( T)「それでも天才発明家かよ」
八宵「これだけ奔れる物造っただけでも天才だと思うけどォ!!」
( T)「ハァー……若、城和泉、さっそく出番だ」
目的は『妨害』『足止め』と見た。わざわざ降りて戦うなんて奴らの思うツボだろう
ここは巫魂の超能力と、それを操作できる稜威能力にご活躍願おう
51 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:08:33.42 ID:q3DsNQzG0
城和泉正宗「言われずとも!!主、合わせて!!」
(*゚―゚)「うん!!『火矢』!!」
城和泉が起こした炎が、若の稜威能力『言霊権威』によって幾十もの矢の形と成し、射出される。火の矢雨は猛追する運輪車に突き刺さり、炎上させた
まともに受けた幾つかの禍憑は、そのまま黒焦げになったり車輪が破損して走行が出来なくなったりしている
しかし、燃えながらも追随する奴もいる上に、無傷の後続が追い上げてきていた
城和泉正宗「しつこいわね……続けるわよ!!」
(*゚―゚)「『火矢』!!『投網』!!」
矢に続き、炎の網を射出。ケツまで迫った二体が巻き込まれ、燃え上がる
城和泉が錆憑になった時に痛感したが、巫魂の能力ってのは本当にヤバい。これに剣技が加わるってんだから末恐ろしいったらねえ
(*;゚―゚)「ッ!!八宵さん!!避けて!!」
八宵「わわわっ!!」
しかし連中もやられっぱなしではない。背中から野球ボール大の黒い塊が放たれる
地面に接触した瞬間、炸裂。車体が爆風に煽られ大きく揺れた
(;T)「また爆弾かよ好きだねえあいつらは!!」
八宵「提督さんも持って来てんでしょ!!ここで使わずいつ使うのさ!!」
(;T)「ああ全く使いどころだよ!!ただ残念ながら時雨が持って行った!!」
(*;゚ー゚)「もう一射来ます!!備えて!!」
放物線を描いて、爆弾の『群れ』が飛来する
弾着修正でもしたのだろうか、今度は車内に降り注ぐような軌道で向かってきた
城和泉正宗「間に合わな……ッ!!」
小夜左文字「間に合うッ……!!」
城和泉の炎の壁よりも早く、小夜の巫魂による防御壁が傘となって爆弾を防ぐ
上から叩きつけるような爆風により、車体がひと際軋んだ
52 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:18:38.39 ID:q3DsNQzG0
城和泉正宗「た、助かっ……」
(*;゚ー゚)「ってないよ!!まだ追って来てる!!」
城和泉正宗「そうよね防いだだけだものね!!八宵、引き離せないの!?」
八宵「これ以上は車体が火を噴……って、嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ!?」
前方に上がる土煙。白塗りの不気味なカラクリ人形が、雁首揃えて此方へ向かってくる
『挟み撃ち』。それも正面の方は『カミカゼ』覚悟で突っ込んでくる気満々らしい
( T)「スピード落とすなそのまま突っ込め!!」
八宵「ええ!?正気!?」
( T)「イカレてるに決まってんだろ!!若、覚えとけ!!」
(*;゚ー゚)「はい!?」
勿論、このスピードで運輪車の群れと突っ込めば全滅は必至だろう。回避するにはどうする?
ブレーキを踏むか?ハンドルを切るか?普通の事故回避方法ならそれが最善だろう
普通じゃない場合は?それも、バケモンとのカーチェイスの最中は?
(#T)「『道』ってのはなァ!!!!」
夕立(気絶)を抱えたまま、座席を立ってボンネット部に片足を着ける
運輪車の無表情で不細工な顔面の作りが目に見えてわかるほど近づいてくる。俺は『矛』をかざし―――
(#T)「こうやって切り開くんだよォォォオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!」
大きく、『薙ぎ払った』
手の中へ伝わる木材を粉砕する感触。身体がバラバラになる苦痛で歪む、無表情『だった』顔
『まさかここまで斬られまい』とタカを括った禍憑の車輪に、お仲間の残骸が巻き込まれた瞬間
俺と矛の第一刀としては上々の滑り出しだ。驚くほどよく『馴染んでいる』
53 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:22:40.88 ID:q3DsNQzG0
(*;゚ー゚)「へっ……?」
バキ折れた木片、カチカチと口を鳴らしながら吹き飛ぶからくり人形の顔、重油のような禍魂が顔を掠めて通り過ぎる
『操縦者』を失ったスパイク付きの車輪が勢いよく転がり跳ね、サイドミラーをもぎ取っていった
八宵「むちゃく……ちゃあああああああああああああ!!!!????」
左車輪が残骸に乗り上げ、浮遊感が身体を包む。そのまま右側にゆっくりと車体が倒れようとしたが
(#T)「オラッ!!」
矛の柄で右側面の地面を短く、かつ強く突き、無理やり安定させる
車体は何度かのバウンドをした後、再び平行を保ったものの
八宵「やっば……」
無茶が祟ったのか。黒煙が噴き出し始め、見るからに速度が落ちていった
( T)「……」
やっちまったなって思った
城和泉正宗「ちょっとぉ!!壊れちゃったじゃない!!」
( T)「この車、筋肉足りてない」
小夜左文字「計画性皆無の脳細胞筋肉野郎……!!」
( T)「叢雲みたいなこと言うな。オッサンは傷つきやすいんだ」
(*;゚ー゚)「二人とも、今はそれどころじゃ……ッ!!」
ガン、と車体のケツから強く押し出されるような衝撃
座席の角的な所にこう足の爪先をクンって引っ掛けてなかったら投げ出されてネギトロになるところだ
『ここが勝機』と言わんばかりに、後続の運輪車が体当たりを仕掛けてきている
54 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:25:15.51 ID:q3DsNQzG0
城和泉正宗「このっ……!!」
(*;゚ー゚)「ダメだ城和泉!!距離が近い!!」
城和泉と若の炎攻撃も、この間合いだと巻き添えを食らうらしい
後部座席から立ち上がって直接刀で攻撃する手もあるが、機動力は向こうに分がある。躱されて終いだろう
八宵「レストアする暇なんて与えてくれないよねぇ!!」
( T)「外来語ガバガバ銘治時代。仕方ねえ」
八宵「策があるの!?」
( T)「筋肉とコマンドーを信じろ」
八宵「今その筋肉の所為で絶体絶命なんだけど!!!!!こ、小窓!!!???」
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> (#T)「動けこのポンコツが!!動けってんだよ!!!!」 < バンバンバンバンバンバン!!!!!!!!!!!!!
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
八宵「トドメ刺す気!!!!!!??????小窓って何さ!!!!???」
めいじ号<ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!
八宵「嘘ォ!!!!!????」
( T)「この手に限る」
ありがとうメイトリックス。また会おうメイトリックス
私の頭の中のメイトリックス「もう会う事はないでしょう」
( T)そ「!?」
55 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:28:22.63 ID:q3DsNQzG0
勢いを取り戻しためいじ号は、さっきよりヤバめの振動とエンジン音を唸り上げながら加速する
だが、ケツに食らいついた運輪車を引き剥がすに到らない。重量の差が響いたか
八宵「これじゃ数分も持たずにバラバラだよ!!」
(*;゚ー゚)「っ……僕らが降りて時間をッ!!」
(;T)「バカ言え降りた瞬間に挽肉にされんぞ!!他に手立ては……ッ!?」
「任せーーーーーーーーーーーや!!!!!!!」
(;T)そ「ッ!!」
ハツラツとした明るい声と共に、風を切りながら運輪車の集団を真横からまとめて貫く小柄な少女。津田越前守助廣ことつーちゃんだ
討ち漏らした数体がその背後から襲い掛かろうとしたが、『黒い球体』が強烈なスパイクを放ったかのように着弾し、弾き飛ばす。こっちはソボロ先生か
ソボロ助廣「ここは受け持ちます!!」
津田越前守助廣「ぶちかましたれぇ!!」
抜丸が言っていた警護隊か。なんて心強い助っ人だ
(*゚ー゚)「八宵さん!!」
八宵「あいよぉ!!」
加速する。見る見る内に小さくなっていく二人の周りに、禍憑が集まり出すが、心配ないだろう
ここからでも、連中が切り刻まれ断末魔を上げる様が見て取れる
( T)「ハハ……うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
その働きに、矛を掲げ雄たけびで応えた
夕立「んん……うるさ」
( T)「当て身」ドスッ!!
夕立「アヒッ」ガクンッ
(*;゚ー゚)そ「そこまでして起こしたくないんですか!?」
だってうるさいもん
56 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:43:45.10 ID:q3DsNQzG0
八宵「そのー……一難去った所、悪いんだけどぉ……」
( T)「なん……」
前に向き直ると、高揚が一気に冷めていく
それとは対照的に、めいじ号のボンネットから小さく火が付き始めていた。ゴールドフィンガー99かよ
( T)「わぁー……PUBGなら普通に乗り捨てるレベル」
城和泉正宗「壊れないわよね!?ねぇ!?」
八宵「海までギリギリってところかなぁ……」
小夜左文字「希望的観測を抜きに答えて……」
八宵「目前で爆発しちゃうかな☆」
そんな無理に笑い作って明るく言わんでも
城和泉正宗「どっ……どうすんのよ!!間に合わないどころか死んじゃうじゃない!?」
(*;゚ー゚)「落ち着いて城和泉!!ど、どこかで馬屋を……」
( T)「それも現実的じゃねえ。だが、手は残ってんだろ天才発明家の八宵ちゃんよ?」
八宵「こういう時だけ調子良いんだから!!あるにはあるけど最悪の場合爆発四散するよ!?」
( T)「マジかよスリル満点でショックサスペンスだな。恋かよ。構わん、やれ」
八宵「この人ぜーったい桜禍糖の影響残ってるよね!?支離滅裂なんだけど!!」
小夜左文字「多分、これが通常の状態……」
( T)「わかってんじゃねえか。折角の大ピンチだ。とことんまで楽しもうぜ。なぁ!!」
城和泉「……」
(*;゚ー゚)「ええー……」
小夜左文字「……ハァ」
ビックリするくらい誰も賛同してくれなかった。ウチのなら大体ノってくれるのに
57 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:45:49.73 ID:q3DsNQzG0
八宵「くぅ〜〜〜〜〜〜〜ッ、ああんもう!!こうなったらとことんやってやろうじゃん!!」
( T)「あ良かったノってくれた」
八宵「提督さんには教えてると思うんだけど、めいじ号は本来、巫魂を燃料に動く乗り物なんだよね!!」
( T)「ああ、延々と同じ話繰り返しやがったからなお前」
銘治に来て二日目の朝。時雨の艤装を確認するために八宵の工房を訪れた際
興味本位で彼女の発明品を見学し、四時間くらいずっと説明を受けていた
因みにその時、何故か俺はメイド服を着ていた。ってふざけんなお前ら何思い出させてんだ泣きたくなるだろほら泣くぞすぐ泣くぞ心は硝子で出来ている
城和泉正宗「巫魂って言われても、どうすればいいの!?」
八宵「提督さん、足下に手綱的な何かがある筈だから取ってもらえる!?」
( T)「お前こんな狭いのにマッチョに無理を……これ?」
八宵「それ私の足kわぁあ!?」
焦ってハンドルさばきをミスったのか、車体が急に大きく右にふら付き側頭部をドアフレームにぶつけた
痛い、泣きそう、頭は硝子で出来ている。夕立だけは何とか守れたが、後部座席はどうだろうか
小夜左文字「ウッ」
城和泉正宗「小夜の顔色がまた悪くなり始めたわよ!!」
あっダメそう
( T)「これか!!」
ワイヤーのような手触りの物を掴み、引きずり出す。うわ思いの外長く伸びたキッモ
確かに手綱のように両端が車体内部に繋がっているようだ。何に使うんこれ?
八宵「城和泉さんに渡して!!」
( T)「えっ、はい」
城和泉正宗「えっ、えっ?私!?こんなもの御せないわよ!!」
( T)「馬感覚?」
58 :
◆L6OaR8HKlk
[sage saga]:2019/03/13(水) 23:47:47.82 ID:q3DsNQzG0
八宵「ごめん言い方が悪かったね!!それ手綱じゃなくてめいじ号に巫魂を送り込む補給管なんだ!!」
城和泉正宗「ど、どういうこと!?」
八宵「だーかーらー!!めいじ号は本来巫魂を燃料に動く乗り物なんだってば!!」
城和泉正宗「そ……え?それでどうやってこの危機を乗り越えるのよ!?」
八宵「城和泉さんの炎の巫魂をめいじ号に送り込んで、馬力を底上げしてぇ!!」
八宵「爆発する前に海に辿り着く!!」
(*;゚O゚)「……」
小夜左文字「ウ……オエ……」
城和泉正宗「は、待っ……ええええええええええ!!??」
まぁ、そうなるな。想像よりずっとゴリ押しじゃねーか
( T)「つまりはナイトラス・オキサイド・システムを巫魂で代用するってことか」
八宵「なんて!?」
( T)「ニトr……ワイルドスp……いやこの時代の人間に説明するの俺には無理」
『ボン』と小さくボンネットが爆ぜ、火と黒煙が大きく立ち上り始めるうわっ煙めっちゃこっち来る臭っせ
(;T)「ゴホッ、躊躇ってる場合じゃねえぞ城和泉!!このまま煙に燻されながら海目指すか!?」
城和泉正宗「ケホッ、あ、主……?」
(*;゚ー゚)「……八宵さんを信じよう、城和泉!!」
城和泉正宗「うぬぬ……くぅ〜〜〜〜……わかったわよ!!」
相棒が頼むと一瞬で済むな。とは言え、賭けには変わりねえか
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