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男「この俺に全ての幼女刀を保護しろと」
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1 :
◆hs5MwVGbLE
[saga]:2019/03/06(水) 18:13:53.17 ID:rSVVCRzg0
過去の戦国英雄、露離魂(ろりたま)幕府の将軍『露離 大好木』は自らが心から愛した少女たちを永遠のものとするべくその魂を刀に封じ込めた。
時は経ちおおよそ百年。
古きより伝わりし幼女の魂が封印された-幼刀-はもはや伝説の代物となっていた……
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1551863632
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/06(水) 18:16:35.93 ID:rSVVCRzg0
「なるほど。話は大体掴めた。つまりこの俺に全ての伝説の幼刀を保護しろと」
その場所、過去に露離魂幕府が拠点とした都『露離魂町-ろりたまちょう-』
その栄光は幕府が消滅した今もなおそこに住み着いた町民たちの人口が示していた。
その賑わう町の民家の一角、自称剣豪を語る男……紺之助のもとに刀を持った客人が一人
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 18:17:19.53 ID:rSVVCRzg0
客人「はい。仰る通りでございます。大好木様が所有していたとされていた幼刀はもはや世の宝と言っても過言ではありませぬ」
客人「10年前何者かの手によって世に放たれて以降我々は噂と情報を手繰り寄せ、ずっとその在りかを探っておりました。しかし先日その宝の一刀、幼刀俎板 -まないた- が幼刀児子炉-ごすろり-を持つ何者かの手によって破壊されたとの情報が入りました」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 18:19:26.40 ID:rSVVCRzg0
紺之介「その男を止めるため剣豪の俺のもとへ参ったということだな」
紺之介は得意げに腕を組むと目を閉じて二度頷いて見せた。美麗な刀の収集を趣味とし並びに剣術の腕にも磨きをかけていた紺之介であったが幕末以降武術がさほど権力を持たぬようになった今の世では彼は変人たる扱いを受けていた。即ち、誰にもその趣味と剣術を公に認められたことがなかったのである。
そこに国家権力に近しい輩からの依頼となっては本心舞い上がらずにはいられない。
腕を組み頷くといった側から見ればそれだけで高慢とみなされかねん素ぶりですらこの男からすればまだ古の侍魂由来の平常心を保てているつもりであった。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 18:20:55.66 ID:rSVVCRzg0
紺之介「して、報酬の話を伺うとするか。まさかこの俺を雇うのであれば銭を重ねるだけでは事足りぬことは承知だろうな」
客人「はい。一先ずこちらに百両ほど……これらには旅費も含まれております……そしてこちらが幼刀愛栗子-ありす-でございます」
紺之介「っ……!」
紺之介は客人が貝紫染めの刀袋から取り出した碧塗りの鞘にその目を奪われた。抜刀せずとも分かる『美』の頂……彼はそのことを鞘と鍔の間から今にも溢れんとする刀身の輝きをまなこに受けて感じとった。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 18:23:08.16 ID:rSVVCRzg0
客人「いえ、それはまだ。しかしこれを持って依頼を果たしていただいた暁には望み通りこの刀の委託と更なる報酬を約束しましょう。我々の目的はあくまで保護。大好木様の意思が安全な状態で保管されるのであれば都住まいで刀の収集癖があるあなたに預けておけば間違いはないでしょう」
紺之介「なんだがっかりさせてくれる。じゃあ何故今この場で出した。所有証明なら結構だ。さっさとしまってくれ……切りかかってでもあんたから愛栗子を奪おうとしてしまう」
依頼を達成した際の譲渡ではなく委託という言葉にも不満があった紺之介だが客人の機嫌を損ねまいとグッと腹に力を入れて堪えたのだった。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 18:24:58.51 ID:rSVVCRzg0
客人「我々は奴との交戦の後に悟りました……奴の目的は恐らく児子炉以外の全ての幼刀の破壊。しかしながら皮肉なことに幼刀をいなす事ができるのもまた幼刀のみ」
客人「そして恥ずべきことに我々はこの唯一保護に成功した愛栗子ですら真の力を解放するに至らなかった」
紺之介「真の力?」
客人「柄を握ることで幼刀に込められた魂を刀から解放し露にする力……露離魂-ろりこん- にございます。『大好木様と共通する志を持つ者』とも……それがもし紺之介殿の胸の内にもあるのであればぜひこれを振っていただきたいと」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 18:29:27.95 ID:rSVVCRzg0
紺之介(共通する志……?)
紺之介は疑念を抱いた。この客人同じく幼刀情報部隊とやらは元を辿れば幕府の犬の家系。ならば『共通する志』とやらは客人たちにもあるのではないかと。
更にそれが客人たちにないだけならまだしもなぜ幼刀児子炉の所持者が露離魂を持っていたのかと。
紺之介(幼刀……露離大好木……それに関連される志……)
紺之介「まさか」
しばし顎に指を当てていた紺之介が手を顎から離したのを見て客人は問う。
客人「何か心当たりが?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 18:29:59.59 ID:rSVVCRzg0
紺之介「あんた、少女を愛でる趣味はあるかい」
客人「……い、いえ。私には既に愛する女房と息子がおります故、今さら浮ついた心で女遊びをする気にはとても……」
手を横に振りながら苦笑いを浮かべる客人を見て紺之介は一人確信する。『露離魂』とは即ち……
紺之介「なるほど、少女を愛でる者のことか」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 18:30:27.07 ID:rSVVCRzg0
紺之介はやにわに両手で腿を叩き座布団の上に立つと若干驚いて見える客人へとおもむろに距離を縮め愛栗子の柄を握り込んだ。
紺之介「残念ながら俺に少女を愛でる趣味はないが、俺はこの刀を好いている。 黙ってこの刀を俺に貸せ。さすれば必ずや児子炉の所有者を斬り伏せ、残りの幼刀も保護してやる」
紺之介は客人を見下ろしながら彼の持っていた愛栗子をそのまま抜刀した。瞬間、刀身が眩い光を放ち少女の影をうつしだすと客人の握る鞘を残して刀は全て少女の一部となった。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/06(水) 18:31:02.75 ID:rSVVCRzg0
客人「なっ……」
愛栗子「ふぁぁ……んぅ〜〜? なんじゃおぬしは」
水色の着崩れた浴衣に巨大な蝶を作った白い帯、栗色の髪に黒の手ぬぐいを兎の耳のように結んだその少女は大あくびをしてもまだ尚その美を崩さない。
その姿をとらえた紺之介の瞳は薄気味悪く笑みを浮かべた。
紺之介「ヒヒッ……見ろよあんた」
紺之介「どうやらコイツは、俺を選んだみたいだぜ」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/06(水) 18:33:23.70 ID:rSVVCRzg0
幼刀 愛栗子 -ありす-
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/06(水) 19:19:55.72 ID:lWRr9JM2O
控えめに言って将軍度しがたいヤベー奴だな
良いぞもっとやれ
14 :
◆hs5MwVGbLE
[saga]:2019/03/07(木) 05:03:43.28 ID:ThCWRdKl0
すみません
>>5
と
>>6
の間を抜かしていました
紺之介「これが大好木が生前もっとも愛したとされる少女が封印されし刀……愛栗子-ありす-……この美しき刀を俺に譲渡すると……!」
正座の状態から興奮気味に身体を前に乗り出した紺之介に対し客人は持っていた愛栗子の鞘を少し後ろに引いた。
15 :
◆hs5MwVGbLE
[saga]:2019/03/07(木) 05:57:14.84 ID:ThCWRdKl0
つづき
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/07(木) 05:57:45.44 ID:ThCWRdKl0
幼刀保護の旅に出た紺之介と愛栗子は伝説の幼刀七本が内の一つ幼刀乱怒攻流 -らんどせる-を求め、情報部隊の控え書きを元に都から十里ほど離れた隣街を目指していた……のだが
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/07(木) 05:58:43.22 ID:ThCWRdKl0
愛栗子「紺、わらわは団子が食べたいぞ」
二人はまだ都すら出ておらず、昼間は毎日十人ほどの行列ができるほどだという都一の茶屋を前に愛栗子は容姿相応の駄々をこねていた。先を急がんとする紺之介の着物の裾を内に引きしわを作る。
紺之介「何故刀が団子をせびる。お前ら幼刀のその姿はもはや可視できる霊体といっても過言ではない。食わずとも倒れぬだろう」
愛栗子「霊体とはまっこと失礼なやつじゃな! このわらわの美麗な脚が見えぬと申すのか!?」
『脚ならある』とその場で跳んだり跳ねたりを繰り返す愛栗子を見て紺之介は口元を左に引きつらせた。
紺之介(まるで野兎だな)
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/07(木) 05:59:17.72 ID:ThCWRdKl0
紺之介には先を急ぎたい理由があった。まず第一にしてこの愛栗子を一刻もはやく収蔵品に加えたいということ。そうしてもう一つは今も浴び続けている町民の視線から逃れること。
大好木に魂を封印された第一の幼刀にしてその根拠から彼が最も愛した絶世の美少女と謳われる愛栗子は茶屋に並ぶ者たちの視線すら集めていたのである。その様子まさに凝視の行列。まだ茶屋に並ぶと決めていない二人は並んだところで当然最後尾なのだが、そこに並んだ人々が皆目的地の茶屋とは逆方向を向いているという異様な光景であった。
紺之介(流石伝説の一刀……)
さほど『女』というものに興味を示さない紺之介ですらその光景を前に愛栗子の美を再確認した。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/07(木) 06:00:37.41 ID:ThCWRdKl0
さてこれらの理由から延々と立ち往生する訳にもいかず、だからといって子どもの躾のように置いて先を行ったところで大して付いていく理由のない愛栗子はここに残るであろうことを紺之介は予測できていた。なんならこの娘、己の美とそれに向けられる視線を自覚していないはずもなく放って行こうものならば今行列を構成している誰にでも団子をせびろうとするであろう。
愛栗子「そうけちけちするでなぃ。わらわは知っておるのだぞ? 紺おぬし今、確か羽振りよく振る舞えるはずじゃろう?」
愛栗子は紺之介の胸に肩から寄りかかると手を口に小声で囁いた。
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/07(木) 06:02:53.31 ID:ThCWRdKl0
紺之介(っ、この小娘……!)
仕方なく折れた紺之介は渋々茶屋へ並ぶも顔には早くも旅に疲れた表情が伺える。この愛栗子の鞘と共に腰に吊るした巾着に重々しくあるのは確かに百両。特に遊びと商いに手を出さぬならば何もせずとも暮らせる金でもあるが、これには旅賃も含まれているのだ。
今までまともな仕事をしておらずその上刀の収集に手入れといったことを趣味にしているためか財産の殆どをそちらに当てている貧乏侍はどんな些細な無駄遣いでも避けたいというのが本音であった。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/07(木) 06:03:56.62 ID:ThCWRdKl0
愛栗子「よかったのう紺。わらわのような絶世の美少女と共に団子を頬張れるのじゃ。このようなことどんな遊廓に転がり込んでも叶わぬことぞ?」
その一方で愛栗子は久しき現代の露離魂町を満喫していた。その顔はとてもこれからどのようなことが起こるとも分からぬ幼刀収集の旅に赴こうという表情ではない。愛栗子の顔にほだされて旅の気が抜けぬよう紺之介はすっかり彼女の高飛車冗句を無視して並んでいる間に控え書きに改めて目を通していた。
紺之介(幼刀は愛栗子を含めて全てで七振り……)
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