【艦これ】提督「名は?」

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2 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:27:02.64 ID:4yb1VLarO

______________________________


「──お──か」

ユサユサ

提督「んん……?」


「こ──おきぬか」


ユッサユッサ


提督「(……なんだ…?)」


スッ


「なっ…!?」


ムニュッムニュッ


提督「あ…?」


「何をするか馬鹿者ーーッ!!」


バシーーンッ!!


提督「いっで!?」


「ようやく起きたか馬鹿者が!」


提督「えぇ…誰……いきなり………あ…?利根かよ…何…?今何時…?」


利根「誰とはご挨拶じゃな不埒者が!そして今は夜中の3時じゃ!」


提督「……は…?何でこんな時間に…?あとめっちゃ痛いんだが…」


利根「ふん!文句はお主の助兵衛な手に言うんじゃの!」

3 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:28:48.21 ID:4yb1VLarO


提督「手ぇ?……あぁ?」


利根「吾輩の胸を揉んだじゃろうが!」


提督「あ〜?あぁ〜…そうなの…?」


利根「流石に阿呆のお主でも理解したか。では、何か言うことがあるじゃろ?」


提督「おはよう、利根」


利根「違うわ寝坊助が!まだ呆けとるのかお主は!」


提督「騒ぐなって。つーかそんな大層なモンでも無いだろ」


利根「なーっ!?乙女の恥部を触った挙句…言うに事欠いて吾輩を蔑むとは!とんだ畜生じゃな!?」


提督「え?誰が乙女だって?」


利根「キーッ!全くお主という奴は!お主という奴はー!筑摩ーッ!」


提督「居ないだろ」


利根「おぉ!そうじゃった!」


提督「……で?何で起こしたんだよ」


利根「うむ!話せば長くなるのじゃが…」


提督「ふーん、おやすみ…」


利根「馬鹿者!おい!起きんか!浜辺に誰かが倒れておるぞ!」


提督「ほう?」


利根「恐らく艦娘じゃ。新しい仲間かもしれぬ」


提督「確認したのか?」


利根「しておらぬ。とりあえずお主に報告しようと思い此処に来た訳じゃ…それに…」


提督「ん?何だ?」


利根「う〜む……何となく変な感じがしたのじゃ」


提督「…ふーん……ん?というより何でこんな夜中に浜辺なんかに居たんだよ?」

4 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:31:05.26 ID:4yb1VLarO


利根「くく…なんじゃー?気になるかー?だけど、教えない!ふふふ、おなごの秘密を詮索する男はモテないぞ?」


提督「あ?蟻んこ程の興味もねぇよ」


利根「辛辣じゃな!?もう少し吾輩に優しく接してくれても良いのじゃぞ!」


提督「はいはい、そうですね」


利根「すーーぐこれじゃ!少しは素直になったらどうなんじゃ!?」


提督「ここに配属された事を恨むんだな」


利根「そんなもの通り越して無じゃ!無!」


提督「あっそ、とりあえず話はわかった。お前はもう寝ろよ。明日に…今日に響くだろ、俺は浜辺を確認してくる」


利根「あっそって……はぁ……わかった。お主1人で大丈夫か?」


提督「ばーか、餓鬼じゃねぇんだから平気だ。ほれほれ、さっさと行けよ。夜更かしは肌に悪いぞ乙女」


利根「ムキーッ!馬鹿と言う奴が馬鹿なんじゃー!」


提督「そうとも言うな」


利根「キーッ!ホントにお主と話すと疲れてしまうわ!人の気遣いをいとも簡単に無下にする減らず口には流石の吾輩も脱帽じゃ!」


提督「何?褒めてんの?」


利根「褒めとらんわ馬鹿者!ふーーんだっ!それでは、宜しく頼むぞ!」


ガチャ バタン!!


提督「おー」


提督「(さて……近付き難い…ねぇ…)」


提督「(とりあえず行ってみるか…)」
5 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:32:29.26 ID:4yb1VLarO



・・・



『浜辺』


提督「(夏の夜中とはいえ…風が吹いてて涼しいな)」


提督「(あ〜懐中電灯忘れちまった……おっ、ペンライト発見)」


提督「(つーか目当ての奴は何処に居るんだよ…暗くて良く見えないし……遠い所にでも打ち上げられてんのか?)」


提督「(………ん?あれか?)」


ザッ ザッ ザッ


提督「(さて…拝ませて貰おうか)」


ゴソ カチッ


提督「……ほーう」

6 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:33:35.53 ID:4yb1VLarO



______________________________。



翌朝。


『近海 哨戒中』



利根「えー…ゥオッホン!皆の者!」


摩耶「あん?」


川内「ん〜?」


利根「実はのぅ〜新しいニュースがあるんじゃが、聞きたいか〜?」


叢雲「なーに勿体ぶってんのよ」


球磨「焦らしてないでさっさと言うクマ」


五月雨「どんなニュースですか?聞かせて下さい利根さん!」


利根「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれた五月雨!なんと!新しい仲間が来るかもしれぬ!誰かは知らんがな!」


摩耶「何だよ、ほぼ知らねーのと一緒じゃねーか」


叢雲「流石利根ね」


球磨「最後の一言が無ければ良かったクマ」


利根「貴様等ー!どういう意味じゃー!」


五月雨「新しい仲間…!誰ですかね!楽しみです!」


川内「夜戦好きかな〜」


叢雲「アンタみたいなのは1人で充分よ」

7 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:34:37.62 ID:4yb1VLarO


川内「えへへーありがと」


叢雲「褒めてないわよ」


五月雨「あ!そういえば利根さんはどうして知っているんですかぁ?」


利根「それはのぅ……吾輩が見つけたからじゃ!」


摩耶「へぇ、いつだよ?」


利根「昨日の深夜!」


川内「えー!夜に何かしてるなら私も呼んでよー!」


叢雲「アンタは少し黙ってなさい」


川内「ぶー」


球磨「そんな時間に何をしてたクマ?」


利根「ふっ。悩み多き吾輩は、たまには1人で黄昏たい時もあるのじゃ…」


摩耶「あっはっは!馬鹿みてー!」


球磨「帰ったら入渠を勧めるクマ」


五月雨「い、言い過ぎですよぉ〜!利根さんだってそういう時もあります!」


利根「はぁ〜〜!五月雨は優しいのぅ!その優しさに傷ついた心が癒されるという物じゃ!」


五月雨「えっ!?と、利根さんも褒め過ぎですよぉ〜えへへ…」


利根「それに比べてのー!お主らの口の悪さも提督に似てきたのぅー!少しは五月雨を見習えー!特に摩耶!球磨!叢雲ーッ!」

8 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:35:41.61 ID:4yb1VLarO


叢雲「ちょっと、私をその2人と混ぜないでもらえる?」


摩耶「待ちな、そりゃぁどういう意味だ叢雲?」


球磨「(あ、面倒くさくなるクマ)」


叢雲「そのままの意味だけど?その無駄にぶら下げた贅肉に栄養送るなら、すぐに噛み付いてくるその性格…脳にでも栄養分けたら?」


摩耶「あーやだやだ、お子様装甲の僻みは聞くに耐えねぇなぁ〜?」


叢雲「……」


摩耶「……」


「「……ッ!」」


ガッ!!


球磨「やっぱりこうなると思ったクマ!2人共落ち着けクマ!」


グググ…


川内「喧嘩するほど何とやらだね」


「「違うッ!!」」


川内「あはは、息ピッタリ」


五月雨「……」


(胸部)ペタペタ…


五月雨「うぅ…」


利根「はぁ〜!悲しいのう!仲間同士でいがみ合うなど──」


「お前のせいだろ!!
あんたのせいでしょ!!」


利根「うぉぉ!?こら!陣形が乱れとるぞ!こらお前達!こっちに来るでないー!」


ギャァーーーッ!!



川内「あーあー……夜戦したいな〜」

9 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:37:36.33 ID:4yb1VLarO



______________________________。



『甘味処間宮』



提督「(やっぱ飯の後はここの甘味だな、美味い)」


間宮「ふふ…提督は美味しそうに食べてくれるので、作りがいがありますよ」


提督「なっ……そんな風に見えたか?」


間宮「あら、そんな風に見えましたけど。違うのですか?」


提督「……いやまぁ、美味いけど」


間宮「うふふ、嬉しいです。口説いてしまおうかしら?」


提督「馬鹿言うな」


間宮「あらまぁ、残念」


提督「そんな風には見えないがな…」


間宮「ふふふ」

10 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:38:22.37 ID:4yb1VLarO


チリンチリーン


漣「たのもー!」


吹雪「間宮さんこんにちはー!」


電「こんにちは、なのです!」


天龍「邪魔するぜ〜」


間宮「あらあら、可愛いお客さん方がいらっしゃいましたね」


提督「おー、遠征から帰ってきてたか」


天龍「おっ!何だよ提督も居るじゃねーか!何だー?またそれ食ってんのかよ?」


提督「何だ、やらねぇぞ」


天龍「くれなんて言ってねぇだろ…」


吹雪「司令官なに食べてるんですか?」


提督「ん、いつものだが」


吹雪「はっ!もしやこれが噂の…ごくり」


漣「ご主人様専用の…じゅるり」


電「美味しそうなのです〜」


提督「噂?」


吹雪「あ、えっと…」


チラッ(間宮を見る)


間宮「ふふふ」


シー


吹雪「…秘密です!」


提督「なんだよ…」


間宮「それで?今日はお揃いでどうしたのかしら?」

11 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:39:22.71 ID:4yb1VLarO


吹雪「あ!えっとですね!天龍さんが間宮さんの所でご馳走してくれると言うので来ちゃいましたっ!」


電「珍しく天龍さんが優しいのです!」


天龍「おい!珍しいは余計だろ!」


電「はわわ!お口が滑ったのです!」


提督「へぇ、優しい〜」


天龍「なんか鼻につく反応だな……まぁほら、あれだ。こいつ等も頑張ってるし、たまには労ってやんねーとな」


間宮「あら、それじゃあ私も頑張らなきゃ」


吹雪「やったー!楽しみですー!」


提督「ま、何でも良いけど。遠征の報告書忘れんなよ」


天龍「おう!…じゃ、オレ達は向こうに行くぜ。ここじゃあ提督の嫌味が飛んできちまうからな」


提督「言ってろ」


天龍「ははっ!おら、行くぞオメーら」


吹雪「はーい!」


電「間宮さんのマルモアグーゲルフプフが食べたいのです〜」


吹雪「何それ?新しい呪文?」

12 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:41:17.62 ID:4yb1VLarO


・・・


提督「やっぱガキ共は騒がし……ん?」


漣「……」


ジーー


提督「……」


漣「……」


提督「おい…」


漣「はい、何でしょう」


提督「俺のに視線を向けたまま返答してんじゃねぇ、やらんぞ」


漣「はて、何のことやら」


提督「見てるだろ、思いっきり」


漣「何をですかね?」


提督「……」


漣「……」


提督「……はぁ」


ヒョイ


提督「今回だけだぞ」


漣「!?」


提督「…なんて顔してやがる…」


漣「夏ですけど、明日は雪ですかね?」


提督「てんめ…いらないなら──」


パクッ


漣「……ウマーッ!」


提督「……」

13 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:43:03.31 ID:4yb1VLarO


漣「ふっふっふ、いらないとは言ってませんからね!」


<サザナミー! ハヤクコーイ!


漣「ではでは!ごちそーさまでした!ご主人様!」


タッタッタッ…


提督「ったく…これだから…」


提督「(…そうだ……食い終わったら“あいつ”の様子でも見てくるか…)」


提督「間宮、ちょっといいか?」



・・・



『応接室』


ガチャ


「……!」


提督「おう、起きてたか。あぁ、そのまま座ってていいぞ」


「あ、はい……あの…貴方が私を…?」

14 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 20:44:22.20 ID:4yb1VLarO


提督「ああ。んで、俺はここの……まぁ提督ってやつだな」


「あ、ありがとうございます……提督…?」


提督「これも仕事だ、気にするな」


「あ、はい…」


提督「んじゃ、とりあえず始めるか。お前の名と型式は?」


「……」


提督「……?どうした?」


「私……私は…?」


提督「(……?)」


「…………」


「ごめんなさい…私は…誰なんでしょうか…?」


提督「(何だと?まさか記憶喪失ってやつか?艦娘にそんな事起きるのか…?)」


「あの…」


提督「待て、整理中だ」


「は、はい…」


提督「(こんな事例は初めてだな……とりあえずは様子を見るべきか…)」


提督「よし」


「…?」


提督「とりあえずお前の件は一旦保留だ。それともう1つ」


「…なんでしょうか?」

15 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/02/25(月) 20:45:58.39 ID:4yb1VLarO
書き溜めはここまで
長くなってしまいそう
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 20:48:47.27 ID:xNXAEmHbo
おつ
きたい
17 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 21:14:48.63 ID:4yb1VLarO



提督「この先、お前は深海棲艦という奴らと戦う事になるんだが……わかるか?」


「……私が、戦う…?深海棲艦…?」


提督「あ〜…じゃあその辺はおいおい説明する(わからないか…)」


「はい、わかりました……でも、私には無理ですよ……戦うなんて…」


提督「今のお前じゃあ…そうだろうな」


「……」


提督「まぁ今は良いだろ。それより起きてから何も食ってないだろ?腹減ってるよな?」


「い、いえ別に──」


グゥゥ~


「〜〜ッ!」


提督「正直で宜しい」


「こ、これはその…あの…」


ポイッ


「わわっ………これは?」


提督「間宮のとこで作ってる和菓子だ。美味いぞ」


「はあ…和菓子…」


提督「そんなんで悪いな、ちゃんとした食事は後で食堂で食ってくれ」


「あ、はい…」


提督「何か飲みもんでも淹れてくる、ちょっと待ってろ」

18 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 21:15:43.64 ID:4yb1VLarO


・・・


モグモグ


「…!美味しい」


提督「だろ。間宮の作るもんは大体美味いからな」


「……あの…」


提督「なんだ?」


「…提督は私の事を…知っているのですか?」


提督「さぁ…知らないな」


提督「(浜辺に一緒に置いてあった艤装から察しはつくがな)」


「そうですか…(何か知ってる…?)」


「では、もうひとつ…」


提督「おう」


「私はこれからどうなるのですか?」


提督「不安なのは解るが……安心しろ。さっきも言ったが、この件は後に対応するからゆっくりしてろ」


「あ…はい、ごめんなさい…」


提督「謝る事じゃない、気にするな」


提督「あとさっきの続きで、食堂に伊良湖って奴が居るんだが、そいつにも話は通しておく。腹減ったら飯は食堂で済ませて良いぞ、風呂も浴場を好きに使っていい」


「あ、ありがとうございます…」


提督「じゃあうちの鎮守府や所属してる艦娘とか……まぁそこら辺の事でも説明していくか」


「はい、お願いします」


提督「……関係ないけど、お前よく食べるな」


「えっ」

19 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/25(月) 21:17:08.55 ID:4yb1VLarO
______________________________



『??』



『(…暗い…)』


『(…水の中…?海…?)』


『(…ここは、何処…?)』


『(…波の音が、聞こえる…)』


『(…懐かしい……懐かしい?)』


『(…奥に…光が見える…)』


『(…段々と大きく…)』


『(…眩しい…)』


ブワァァ…


ドォーーンッ!!!

『(…!)』


『(砲撃音…!それにここは…船の上…?)』


『(…これは…軍艦……?いえ…空母?)』


『(…甲板の先端に誰か立って……とりあえず話を…)』


スタ スタ スタ


『あの…』


??『え?』


クルッ


『えっ!?』

20 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/02/25(月) 21:19:25.02 ID:4yb1VLarO
書き溜めがまだあったので追加です

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 05:58:18.63 ID:+bt8plDnO
乙!
22 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/26(火) 20:19:51.32 ID:DsItRBxnO


??『あら…貴女……これは…驚きましたね…』


『嘘……』


??『…えっと……自己紹介…した方が宜しいでしょうか?』


「え、あ、はい…お願いします…』


??『ふふ、何だか変な感じですが。えー…私は第一航空艦隊、航空母艦、赤城です』


『あ、赤城さん……ですか』


赤城『はい。私はこの空母の魂とでも言いましょうか…この空母全て、私なんですよ♪』


ドォーーンッ!!!


赤城『あら…ごめんなさい。今立て込んでいて……話は後にしましょうか』


『あ、はい…(赤城さんが…戦ってるの…?)』


『(あれ…視界がぼやけて…)』



・・・


『客間』


「──!」


ガバッ


「……今のは…一体…?」


キョロキョロ


「夢……でしょうか……?でも…あまりにも……あれは…」

23 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/26(火) 20:21:06.70 ID:DsItRBxnO



______________________________




翌朝



『執務室』



利根「のう…」


提督「んー?」


利根「あの娘…いや、あの新人は、まさかとは思うのじゃが…」


提督「あ〜…合ってると思うぞ」


利根「やはりか。大本営にはこの件を伝えて……?」


提督「…無いんだよなぁ」


利根「じゃが…今そこで円滑と筆を動かし、書いておる物こそ…?」


提督「ご名答」


利根「じゃろうなぁ。それにしても今時に郵送なんてのぅ…写真に収めて確認すれば良かろうに」


提督「こういう習わしだからな。時間は掛かるのは痛いが……よし、出来た」


コンコン


提督「(ん?こんな朝から誰だ?)…入れ」


ガチャ


「失礼します。おはようございます、提督、利根さん」


利根「おぉ!おはよう!お主は……えーと…?」


チラ


提督「……」


フルフル


「二人称で大丈夫ですよ」

24 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/26(火) 20:22:09.69 ID:DsItRBxnO


利根「おぉ…すまんの」


提督「おはよう。こんな早くからどうした?」


「少し、聞いてもらいたい話があるんですが…」


提督「…(険しい顔だな…昨日今日で何かあったのか?)…」


提督「…巡察しながらでもいいか?」


「はい、構いません」


提督「じゃ、利根これ宜しく」


ポイ


利根「おっとと……え、吾輩は?」


提督「それ、ポストに頼む。終わったら哨戒まで自由時間だ、巡察はこいつと回る」


利根「む、そうか。承った」


提督「じゃ、行くか」


「はい」



・・・



「あ……あの2人が、摩耶さんと天龍さんですか?」


提督「ああ。昨日の話だけでよく分かったな?」

25 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/26(火) 20:22:51.85 ID:DsItRBxnO


「ふふ……提督の説明が的確なので、何となく分かってしまいました」


提督「ふーん……で?話ってのは?」


「夢の話……多分、夢の話の事何ですけど……って何ですかその顔!変な事言ってるのはわかってますから!」


提督「悪い悪い…いきなり何を言い出すかと思ってな」


「もうぅ……」


提督「悪かったって。じゃあ、続きを頼む」


「コホン……その夢の中で、私はある人に出会いました」


「赤城さんです、わかりますか?」


提督「(は…?赤城に…だと…?)」


提督「(これは……記憶に繋がる何かが起きたのは間違いなさそうだな)」


提督「赤城ってあの…航空母艦のか?」


「はい、そうです」


提督「でも…誰かと会ったんじゃないのか?」


「あ、えっと…正確には、戦闘中に空母の甲板にて赤城さんと出会いました」

26 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/26(火) 20:25:01.01 ID:DsItRBxnO


提督「(戦時中の記憶か?甲板で赤城と…?やはり、こいつの中には……)」


「赤城さんは自分の事を魂と言ってました。確か、艦娘も過去の軍艦の魂を宿していると…」


提督「(赤城の魂…か。こればっかりは本人次第になりそうだな)」


提督「ああ。艦娘は皆、自分の事を知っているが、あまり表には出さないな」


「……私も艦娘…なのでしょう?」


提督「だな。自分の事を忘れた問題児だが」


「…好きでこうなった訳ではないのに…意地が悪いですね」


提督「慣れてくれ」


「慣れって…」


提督「それで、どう思ったんだ?」


「はい、えっと……もしかしたら、赤城さんは……という気持ちはありましたが……」


「でも…やっぱり、私は違います…」


提督「(こりゃぁ……まだまだかかりそうだな。良い刺激にはなっているみたいだが…もっとその夢に行ってもらうしかない)」


提督「そうか」


提督「俺から言えるのは、だな…」

27 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/26(火) 20:28:26.14 ID:DsItRBxnO


「はい…?」


提督「お前の名や目的…知りたい事は俺は教えられるが」


「ほんとで──」


提督「だがな」


「…!」


提督「話を聞いて、そういった物は俺から与えるような事でもないし、本来はお前自身が知っている事だ」


「……」


提督「つまり」


「…はい」


提督「その夢の出来事が、今のお前にとって何よりも大事な事柄だ。間違いなくな」


「…つまり、赤城さんに会うことが重要という事ですか…」


提督「そうなるな」


「…はい、わかりました」


提督「ま、そんなに深く考えるなよ。大丈夫だろ」


「…ふふ、気休めにしては適当ですね、提督」


提督「…バレたか」


「…ふふ。では、話を聞いてくれてありがとうございます。私はこれで」


提督「おう」

28 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/26(火) 20:29:33.67 ID:DsItRBxnO


______________________________



数日後。



『執務室』


コンコン


提督「入れ」


五月雨「失礼しまぁーす。午前分の哨戒の報告書お持ち…うぁ、うぁぁぁぁ〜、あ〜〜!」


ドテーンッ


提督「……またかよ。お前は転ぶのが好きなのか?」


五月雨「うわあぁん!そんな訳無いですよー!」


提督「まぁ報告書をばら撒かない所は成長したな」


五月雨「ふぇ…ぇへへ」


提督「あほ面でニヤけるな。さっさと寄こせ」


五月雨「あ、はい!どうぞ!……え、あほ面?」


バサッ


提督「はい、お疲れ。午後の哨戒までに飯とか済ませとけよ」

29 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/02/26(火) 20:33:01.13 ID:DsItRBxnO
ひとまずここまで
情景や雰囲気など読者に任せきりで、解りにくくてごめんなさい
途中のやつも書いたら投下します
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 20:37:03.64 ID:k9RcsLcjo
おつ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 21:03:10.61 ID:kOgXYQ+BO
おつおつ。なかなかおもろい。
32 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/27(水) 00:39:41.61 ID:cPLuKFhaO


五月雨「あ、はい!……あ、あのあの!提督!」


提督「あん?」


五月雨「えっとぉ…“あの人”の様子は…どうなんでしょう…?」


提督「ああ…」


提督「良い方向に進みそうだ、安心しろ」


五月雨「おぉ〜っ!そうなんですかぁ!」


提督「まだ時間はかかりそうだがな」


五月雨「じゃあ私は気長に待つだけですね!あ、というか…提督はあの人が誰か知っているんですか?」


提督「まぁ……な?」


五月雨「疑問符が見えます…」

33 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/27(水) 00:55:42.40 ID:cPLuKFhaO


提督「確信はある。というか今日で確信した」


五月雨「なら、教えてあげれば良いじゃないですか?」


提督「これはなぁ…俺から教えたら意味無いんだよ」


五月雨「え〜?どういう事ですかぁ?」


提督「お前は気にしなくていい。あいつとはもう話したか?」


五月雨「いえ、まだ挨拶くらいしかしてないですね」


提督「仲良く……ってのもあれだが、そのうち仲間になるんだ。良くしてやってくれ」


五月雨「はい!任せて下さいー!」


提督「お前はほんと素直だよな。ほら、わかったらさっさと食堂行ってこい、飯食う時間が無かったとか言わせねぇぞ」


五月雨「はっ!そうでした!行ってきまぁーす!」


ガチャ バタン


提督「……ふぅ」


(時計を見る)


提督「(……俺も書類まとめたら飯にするかぁ…)」


提督「(…ついでにあの馬鹿も探して一言言ってやる…)」

34 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/27(水) 00:57:43.45 ID:cPLuKFhaO

______________________________



『鎮守府内 訓練場』



天龍「おい摩耶…見てみろよこれ」


摩耶「あー?」


天龍「横須賀鎮守府、ケッコンカッコカリを試験的に導入開始…だとよ」


摩耶「ふーん…つかケッコンカッコカリってなんだよ?」


天龍「名前的に世でいう人間の男女の結婚だろ」


摩耶「じゃあなにか、アタシ達艦娘と提督が仮の結婚をするって事か?それ…意味あんの?」


天龍「知らねーよ。あ、艦娘の限界を超えて能力が著しく上昇する見込み…って書いてあるぜ」


摩耶「はぁ〜?嘘くせー!」


天龍「ははっ!だよな〜」


摩耶「てことはよぉ…もしソレがここにも導入されたら……あの提督と仮の結婚するって事になんのかな」


天龍「そりゃまぁ……」


摩耶「……」


「ぶはははは!したくねー!
ぎゃははは!ありえねー!」


提督「ばーか、こっちから願い下げだ」

35 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/02/27(水) 01:03:50.99 ID:cPLuKFhaO
ここまで
次も頑張って考えてきます
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 01:08:07.86 ID:sedbAnt4o
おつおつ
すき
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 06:43:30.70 ID:gPnX0FLRO
乙!
38 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/27(水) 19:53:20.81 ID:NF35e2d+O


「「!?」」


天龍「げぇっ!?提督!?」


提督「げぇっとは失礼だなこの野郎」


摩耶「いつから居たんだよ!?」


提督「横須賀鎮守府が〜って所から」


天龍「ほぼ最初からじゃねーか!」


摩耶「盗み聞きとか趣味わりーぞ!」


提督「うるせ。ちょっとそれ貸せ」


ヒョイ


天龍「あ、おい〜」


提督「ふーん……ケッコンカッコカリねぇ…」


ポイッ


天龍「おっとと…何だよ、興味あんのか?」


提督「あったらどうする?」

39 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/27(水) 19:54:19.19 ID:NF35e2d+O


摩耶「あっはっはっは!似合わねー!気色わりー!」


ゴンッ


提督「殴るぞ」


摩耶「殴ってから言うなよ!痛てぇし!」


天龍「もしもコレが導入されたら、提督はどーすんだ?」


提督「知るか。導入されてから考えるだろ」


天龍「ははっ!提督らしいな」


提督「ところで、利根が何処に居るか知ってるか?あいつ午前の哨戒行ってから戻ってこねぇんだが」


摩耶「ああ、利根なら球磨と一緒にホールに居るの見たぜ?」


提督「ホールだと?…何してんだあいつ…」

40 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/27(水) 19:55:06.00 ID:NF35e2d+O


天龍「さぁ?」


提督「まぁ、わかった。じゃあな馬鹿共」


天龍「うっせー!」


摩耶「ばーかばーか」



______________________________。



『廊下⇒食堂』



提督「(さて…真っ直ぐ行くより食堂から抜けた方がホールは近かったな)」


ガチャ


提督「(お、美味そうな匂い。伊良湖の奴、今日はカレーか)」


・・・


漣「んっ!んんんっ!んんんっんん!」


叢雲「漣、食べてから喋りなさいよ」


吹雪「どうしたの?あっちに何……あ、司令官だ」

41 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/27(水) 19:57:30.33 ID:NF35e2d+O


電「巡察でしょうか?」


叢雲「お昼じゃないの?」


吹雪「伊良湖さんに挨拶して通り過ぎてるから、ご飯じゃなそう」


漣「巡察だったら利根さんが見当たりませんね?」


電「確かにそうなのです」


叢雲「大方逃げられたんでしょ?秘書艦の利根には同情するわ」


吹雪「あ、あはは…司令官もそんなに悪い人じゃないのに…」


漣「叢雲はご主人様の事嫌いなの?」


叢雲「なによ、いきなり」


漣「嫌いなのかなーって、もしかしてツンデレだったり」


叢雲「ツンデレって何よ…別に何とも思ってないわよ。上司と部下、それだけじゃない」


漣「ふむふむ…」


漣「そういえば漣!ご主人様と関節キッスしちゃいましたよー!」


叢雲「ふーん…そうなの」


電「はわわ…叢雲さんのスプーンが…」


吹雪「(ま、曲がってる…!)」


叢雲「あら、何か知らないけどこのスプーン駄目になってるわ。何かは知らないけど」

42 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/02/27(水) 20:01:05.92 ID:NF35e2d+O
ここまで
終盤までの構想に繋げる間が大変だ…
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 20:06:08.26 ID:sedbAnt4o
おつおつ
叢雲かわいい
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 05:44:30.57 ID:giaCCC4vO
乙!
45 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/28(木) 19:08:49.71 ID:ayQv0p6C0


吹雪「ほ、ほんとだね。代えてもらおっか…」


漣「ぷくくく…」


叢雲「な、何笑ってんのよ!」


漣「い、いえいえ…くく……何でも…くくく…」


叢雲「何よ!言いたいことあるなら言いなさいよ!」


漣「何でもないですよ…スプーンが面白かっただけです」


叢雲「…………ちっ!何か腑に落ちないわね!」


吹雪「まぁまぁそれくらいで…ね?叢雲ちゃん」


叢雲「……そうね。ごめんなさい、少し熱くなっちゃったわ」


電「ほっ……良かったのです…」


叢雲「で……?どういう経緯でそうなったか、聞かせなさいよ」


漣「おやぁ?気になりますかぁ?」


叢雲「ちょっと待ちなさい!その顔やめなさいよ!別に他意は無いわよ!ただ1つの話題として聞こうとしてるだけよ!」


漣「え〜??ほんとですかぁ〜??」


叢雲「ほんとよ!怒るわよ!」


漣「既に激おこなんですがそれは」


ギャーギャー!! ワーワー!!





五月雨「は、入りづらい…」



46 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/28(木) 19:12:42.66 ID:ayQv0p6C0



______________________________




『廊下⇒中庭』


提督「(…ん?)」


提督「(ありゃぁ…川内だな。遠目から見てもわかるなあいつは。膝枕してもらってんのか)」


提督「(ったく…)」


・・・


提督「よう」


「あら、提督。こんにちは」


川内「むにゃ……zzZ」


提督「悪いな、川内が迷惑かけて。邪魔だったら叩き起してやるが」

47 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/28(木) 19:13:46.66 ID:ayQv0p6C0


「いえ、迷惑だなんて……来たばかりの私にここまで心を許してくれて、嬉しいです。……それに、可愛い寝顔が見れて役得です♪」


ナデナデ


川内「んふふふ…」


提督「何笑ってんだこいつ」


「きっと楽しい夢でも見てるんでしょうね」


提督「楽しいねぇ…」


提督「(大方…夜戦してる夢だろうがな)」


「提督は何をされて?巡察ですか?」


提督「いや、飯を食べる前に秘書艦に文句言ってやろうと思ってな」


「ふふ…利根さんですか」


提督「ああ。じゃ、そろそろ文句言ってくる。1400までにはそいつ起こしといてくれよ」


「はい、任せて下さい」

48 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/02/28(木) 19:15:08.86 ID:ayQv0p6C0


______________________________



『ホール』



球磨「……」


利根「……ふむ、見えたぞ」


球磨「……!?」


利根「ここじゃ!」


ガシッ


利根「……球磨よ、なんじゃこの手は?」


球磨「ちょ、ちょっと待つクマ」


グググ…


利根「くっくっく…悪足掻きはよさんか、甘んじて敗北を受け入れよ」


球磨「何言ってるクマ…!まだまだこれからクマ…!」


グググ…


利根「無駄じゃ!憤っ!」


パチーンッ


球磨「クマあああぁぁぁ!!」


提督「何してんだ馬鹿野郎」


ポンッ ワシャワシャ


球磨「うぁぁ〜!頭わしゃわしゃしないでほしいクマー!」


利根「む、お主か」


提督「お主か…じゃねぇだろ。哨戒終わったら戻って来いよ馬鹿。本部から返事がきてんだ、やっぱりあいつは『赤城』で間違いない」


利根「お!やはりそうじゃったか!」


球磨「ついに空母が来たクマー!」


提督「だけど、まだ名前で呼ぶなよ。これは後で全員に伝えるが」


利根「はて…なにゆえ呼んではいかんのじゃ?」
49 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/02/28(木) 19:16:54.88 ID:ayQv0p6C0
ここまで
話の進まない日常多めですがお許しを
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 19:51:58.26 ID:fkpC/8kbo
おつおつ
魂の定着?というかそのへんに焦点の当たった作品はなかなか見ない、楽しみ
51 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/01(金) 19:44:54.70 ID:R32GCcA/O



提督「だが、まだ名前で呼ぶなよ。これは後で全員に伝えるが」


利根「はて…なにゆえ呼んではいかんのじゃ?」


提督「まだ、あいつは赤城ではないって事だ」


球磨「…ん?ますますわからなくなったクマ…」


利根「お主…また呆けとるのか?」


提督「正常だ馬鹿。とりあえず二人称とか新人って呼べ、わかったな?」


利根「まぁ…お主がそこまで言うなら…」


球磨「よくわからないけど、りょーかいしたクマ」


提督「それで良い………ん?…ほう」


利根「ん?何じゃ?」
52 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/01(金) 19:46:06.59 ID:R32GCcA/O


提督「不利な状況に見えるが……喜べ球磨、勝機はあるぞ」


パチン


利根「ん…?ん〜……はっ!?なんと!?」


球磨「おぉ…?おおお?おぉ!凄いクマ!流石頭だけは良いクマ!」


提督「おい、だけとは何だ、だけとは」


利根「余計な事しよって全く〜!」


提督「お前も俺に勝てないからって弱い者いじめすんなよ」


球磨「ちょー!弱いは余計クマー!これでも利根とは12戦6勝6敗クマ!」


提督「へぇ…互角なのか」


利根「貴様ー!可哀想な目で吾輩を見るでない!覚えておれよ!いつかその鼻を明かしてやるからの!」


提督「はいはい。てかお前ら将棋やってたなら飯まだだろ?」


利根「む、もうそんな時間か」


球磨「たしかに、お腹空いたクマ〜」


提督「そんじゃさっさと終わらせて行くぞ。利根、お前の番」


利根「む、そうじゃったな。球磨よ!命拾いしたとはいえまだ吾輩が優勢!ここじゃ!」


パチン


提督「はい残念」


パチン




利根「ぬわーーーっ!!!」



53 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/01(金) 19:47:03.97 ID:R32GCcA/O


______________________________




翌日



『執務室』



提督「んじゃ、今日は大本営に行かなきゃならんから後は任せたぞ」


利根「うむ!吾輩達に任せよ!」


提督「まぁ期待してないけどな」


利根「何じゃとコラーー!」


叢雲「はぁ…準備は大丈夫なの?忘れ物はない?」


提督「ああ、大丈夫だ」


叢雲「へぇ……じゃ、これはなに?」


ピラ


提督「あ……忘れてたわ」

54 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/01(金) 19:47:53.25 ID:R32GCcA/O



叢雲「ほんとにもう、しょうがないわね…はい」


提督「悪いな、助かった」


叢雲「いいわよ別に……あと、これ」


ポン


提督「あ…?何だこれは」


叢雲「お弁当よ。あんた街に行くと偏った食事ばっかするんだから。これ食べなさい」


提督「…お前が作ったのか?」


叢雲「何言ってんの、ちゃんと伊良湖に作らせたわよ」


提督「ああ、そうだったか。何かお前…母親みたいだな」


叢雲「馬鹿言ってんじゃないわよ。いい加減私に言われないように、しっかりしてよね」


提督「はいはい。じゃ、そろそろ行くわ」


叢雲「ええ、行ってらっしゃい」


利根「土産も待っとるぞ〜」


・・・


利根「ふむ。あやつが行った所で……叢雲よ」


叢雲「ん、何よ?」


利根「あの弁当、お主が作ったのじゃろ?」

55 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/01(金) 19:51:15.16 ID:R32GCcA/O



叢雲「…違うけど…」


利根「くくく…隠さなくても良いぞ。吾輩にはわかってしまうんじゃなぁ〜乙女心というやつがのぅ!」


叢雲「何よそれ…」


利根「大方……伊良湖に教えて貰いながら作ったという所じゃな?」


ピクッ


叢雲「……」


利根「おやおや、手が止まっておるではないか。どうしたんじゃ〜?」


叢雲「…………い」


利根「え?なんじゃって?」


叢雲「だったら悪い!?って言ったのよ!もう!」


利根「ふははは!」


叢雲「わ、笑わないでよ!」


利根「はぁ〜…乙女じゃな〜叢雲は」


叢雲「う、うるさいうるさい!無駄口叩いてないで、さっさと仕事するわよ!」


利根「くくく…では、さっさとやってしまうか」


・・・


『大本営 会議室』



提督「(やっと前半は終了か……ったく…相変わらず長ぇ…)」

56 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/01(金) 19:52:35.16 ID:R32GCcA/O


提督「(だが…ついに新海域の制圧が発令されたか…)」


女提督「お疲れ様です。良かったら、飲み物でもどうぞ」


コトン


提督「あ…ありがとうございます」


女提督「いえいえ。皆さん昼食に行かれましたけど…貴方は行かないんですか?」


提督「いえ、自分はここで。弁当あるんで」


女提督「あら、奇遇ですね。私もお弁当なんですよ、良かったらご一緒しませんか?」


提督「え…構いませんが」


女提督「ふふふ、良かった♪」


提督「(…や…やりにくい…)」


パカッ


女提督「わぁ、今日も美味しそう」


提督「今日も?」


女提督「はい。秘書艦の娘がいつも作ってくれるんですよ」


提督「へぇ…良い娘ですね」


女提督「はい♪……貴方のも、見た所手作りのようですが?」


提督「ええ、そうなんですよ。普段は外食なんですけど、今日は持たされました」


パカッ(ハート模様のご飯)


女提督「あら、可愛いお弁当ですね」


提督「」


57 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/03/01(金) 19:57:26.39 ID:R32GCcA/O
ここまで
読んでくれてる人が居ると、頑張ろうってなりますね
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 20:24:15.75 ID:Y//AR3/Zo

むらかわ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 23:41:26.50 ID:nfHOgpp0O
乙!
60 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/02(土) 17:40:19.40 ID:g2Iidvms0


______________________________




『廊下⇒執務室』



「(やっと戻れた……利根の奴、ちゃんとやってあるだろうな……叢雲が居るから心配ないが…)」


提督「(あ…この時間、利根達は哨戒中か。…どこまでやってあるかな…)」


ガチャ


提督「……お?」


「あ……おかえりなさい」


提督「…何してんだ?ここで」


「えっと……ですね。この本棚の資料を読んでまして……本も色々読むんですね、提督は。特に軍艦の」


提督「まぁな。一応知識は入れておかないと」


「真面目なんですね。私も今後の為に…知識として軍艦や深海棲艦の資料等を」


提督「ふーん……いつもこっそり読みに来てるのか?」


「…はい、まぁ」


提督「だったら気にせずに、読みに来て良いぞ」


「…本当ですか?ありがとうございます」


提督「気にするな。……今は何を読んでるんだ?」


「あ、えっと…これですね」


提督「どれ……ああ、ミッドウェー海戦…」


「…この戦闘で……赤城さんは…」


提督「ああ、雷撃処分されたな」


「…ですよね…」


提督「(まぁ、赤城関連の資料は当然読むよな)」

61 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/02(土) 18:07:31.01 ID:bJQEvD9y0


提督「それ、部屋に持ってくか?」


「え…良いんですか?」


提督「良いぞ。他にもあるなら持ってけよ」


「…ありがとうございます」


提督「(これで何か変わればな)」


提督「さて…ちゃっちゃと残った仕事しちまうか」


「お仕事は…普段はどんな事を?」


提督「ん〜……艦娘達の事や報告、申告、申請書の処理。資源、備蓄、食料管理……他にもあるが、挙げたらキリがないな」


提督「見た感じ残りは申告、申請書の処理か。。これは諸々の仕入れだが、艦娘……あいつらのわがままとかが多いな」


提督「それに、こんなご時世でも鎮守府の見学やら街からの依頼もあってな。仕事してますよー艦娘はこんなのですよーってな感じで、街に伝えたりもする」


「なるほど……沢山の事をされているんですね」

62 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/02(土) 19:21:40.09 ID:g2Iidvms0


提督「おう。だから秘書艦には、補助として色々やってもらう訳だ」


「利根さんですね」


提督「そう、あいつには世話になってる。たまにサボるけどな」


「ふふ、そうなんですね。……良かったら手伝いましょうか?」


提督「ん?出来るのか?」


「教えてもらえれば…多分」


提督「ふーん……じゃあ早速手伝ってもらうか」


・・・


提督「……」


「終わりましたね」


提督「中々やるな、思ったより早く終わったぞ」


「いえそんな、大した事は…」


提督「いや、正直驚いた…………お前、秘書艦やってみないか?」


「えっ……え?」

63 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/03/02(土) 19:22:17.86 ID:g2Iidvms0
ここまで!
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 19:37:43.60 ID:npnuzYRDo
おつ!
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 01:38:27.18 ID:Qc+0hXopo
おつ
叢雲ママァ
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 12:48:20.60 ID:+ORplwxWO
叢雲母ちゃん
67 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/03(日) 21:05:18.19 ID:A/dpjm1Q0


______________________________



『工廠』



カンカンカン ガガガ ガシャン ガシャコーン


提督「明石ー」


明石「あら、提督じゃないですか。お疲れ様です。こんな時間に何用で?」


提督「ちょっとな。にしても、今日はいつになく騒がしいな」


明石「そうですねぇ。多分ですけど、前に提出した開発の申請書があったじゃないですか」


提督「ああ、いつもよりボーキサイトの量が多かったやつか」


明石「そうですそうです。空母が着任したみたいなので、装備を整えてあげようかな、と」


提督「お前にしては気が利くな」


明石「もっとちゃんと褒めてくれれば良いのにぃ。ま、私も伊達に工廠に居ませんからね」


提督「ああ、頼りにしてるよ」


明石「あら、指摘したの気にしたんですか?珍しい〜」


提督「うるせ、ニヤニヤしてんじゃねぇよ。それより、頼みがあるんだが」


明石「はい、なんですか?」


提督「今日本部の会議に行ったんだが、新海域を攻略する事になった。それに合わせて1人改造したい奴が居るんだが、出来るか?」


明石「改造自体は大丈夫ですけど、大本営からの認可は下りてます?」


提督「数日待ってくれ、多分大丈夫だ」


明石「なるほど。では、具体的な改装資料は大本営を待つとして……どの娘を?」


提督「ああ、こいつだ」


ピラ


明石「……へぇ、これは楽しみになってきましたよ」

68 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/03(日) 21:09:54.50 ID:A/dpjm1Q0



______________________________



翌日



『会議室』




ガチャ


提督「おう、揃ってるか?」


「失礼します」


利根「くくく……同伴でご登場とは怪しいのう」


提督「うっせ、報告」


利根「うむ、吹雪と電は今日は街に出ておる。あと、川内はそこですやすやじゃ」


叢雲「こーら!起きなさい!」


川内「…zzZ…」


叢雲「叩くわよ!」


提督「叢雲、そのままにしとけ…ったく夜戦馬鹿が……後で誰か教えておけよ、吹雪達にも」


五月雨「はいっ!任せて下さい!」


叢雲「はぁ……わかったわ」



提督「頼んだ。それで、今日は2つ話があってな」


天龍「戦いか!?」


提督「聞け。まぁ、あながち間違いじゃないがな」


天龍「おぉ!マジか!」

69 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/03/03(日) 21:10:50.53 ID:A/dpjm1Q0
余り書けなかったけど、ここまで
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 21:16:48.25 ID:B/EcnNgio
おつ
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 09:47:43.44 ID:LTDk1uVZo
おつつ
72 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/03/04(月) 20:09:19.51 ID:dzaNPx8wO
本日の投下は深夜になりそうです
73 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 01:44:54.06 ID:NX76bgoj0


五月雨「いよいよ…ですね!」


利根「というと?」


提督「近々新海域の攻略を行う予定だ。作戦の立案には利根と叢雲と…お前な」


「わ、私ですか?」


叢雲「大丈夫なの?」


提督「大丈夫だ。頭良さそうだし」


叢雲「何それ…」


球磨「安直過ぎないかクマ?」


摩耶「そんなんならアタシを抜擢しろよ」


提督「いや、お前はいいよ、ばk……大丈夫」


摩耶「おい!今何言いかけやがった!」


提督「さぁ…」

74 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 01:46:02.93 ID:NX76bgoj0


天龍「まぁまぁ落ち着けよ……な?」


摩耶「ちっ……ったくよぉ…」


提督「摩耶には大事な役割を任せてやるから、気合い入れろよな。期待してるぞ」


摩耶「…!……おう…………ふんっ」


天龍「(ちょろい…)」


球磨「(ちょろいクマ…)」


提督「んじゃあ、次な。明日から現秘書艦の利根をそこの新人と交代する事になった」


利根「ふむふむ……ん?……は!?なんと!?」


「あ……はは……」


提督「そういう事だ、宜しく頼む」


「…はい!」


利根「待てーーい!宜しくも何も、聞いとらんぞ!何故じゃ!?吾輩では駄目なのか!?」


提督「別にそういう訳じゃないが、面倒くさい事しなくなるし良いだろ?」


利根「た、確かに業務をしなくなるのは嬉しいが……それに、出来るのか?」


提督「大丈夫だ、お前より仕事出来るぞ」


利根「なー!?」


ギロッ


「えーっと…」


ペコ


提督「睨むなよ。昨日決まってな、事前に話しを通してないのは悪かった」

75 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 01:48:42.37 ID:NX76bgoj0


利根「…そうなのか……はぁ……全く……」


「あ、あの……ごめんなさい…」


利根「いや……お主は何も悪くないぞ。急な話に少し取り乱してしまっただけじゃ、みっともない所を見せてしまってすまぬ」


「いえ、そんな事!……私、利根さんの分まで頑張りますね!」


利根「くく…うむ!任せたぞ!提督のイジメに耐えられなかったら吾輩の所に来ても良いぞ!」


「はい、わかりました!」


提督「別にイジメてねぇだろ、お前も良い返事しやがって…」


「ふふふ」


叢雲「それで?話が終わったなら戻るわよ」


提督「ああ悪い、んじゃ解散な。もう一度言うが、居ない奴寝てる奴に連絡頼んだぞ」


五月雨「はっーーい!」


利根「よし!球磨よ!一勝負といこうではないか!」


球磨「え〜…先にご飯食べたいクマ」


利根「すぐ終わる!良いではないか!の!のぅ!」


球磨「……へるぷみークマ」


チラッ


提督「夜の哨戒までには終わらせろよ」


球磨「なー!見捨てられたクマー!」


天龍「じゃ、叢雲頼んだわ!」


叢雲「え」


摩耶「悪ぃな、あたしらちょっと工廠に用あんだ!」


叢雲「ちょっと、私は川内の世話係じゃ!……って早っ!もう居ないじゃないの!」


五月雨「あはは……代わりますか?」

76 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 01:49:36.75 ID:NX76bgoj0


叢雲「……ううん、大丈夫。ありがと、この馬鹿は私に任せて」


五月雨「いえいえ!では、お願いします!」


・・・


提督「さて、俺達も行くか」


「個性的な方々ですね、皆さん」


提督「個性的すぎて面倒くさいけどな」


「ふふ…でも嫌じゃなさそう」


提督「……まぁな」


「ふふふ…では、私もこれで」


提督「おう……あ、そういや」


「はい?」


提督「伊良湖からの申告書に、お前の食べる量がらやばいって」


「えっ」

77 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/03/05(火) 01:55:44.34 ID:NX76bgoj0
ここまで
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 02:02:40.04 ID:xSuHrIP+0

さっき見つけて追いついたけど面白い
キャラがほんとに言いそうなセリフというかこの娘はこういう性格なんだなっていうのがわかる言い回しがうまい
79 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 20:34:33.08 ID:jdVwudpmO



______________________________



翌日 夜



『演習場』



摩耶「はぁ…哨戒後に訓練すんの、どうにかしてほしいよなぁ…」


天龍「わかる」


川内「やーーっせんだーーっ!」


五月雨「あははは。川内さんの元気な姿って、この時間しか見れないですよね」


叢雲「全くよ。普段からシャキッとしてほしいわ。あと、夜戦じゃないわよ。訓練よ、訓練」


川内「わかってるって!もう、叢雲は細かいなぁ!」


叢雲「…ほんっっとに、あんたこの時間だけは元気よね…」


五月雨「あ、あはは…」


吹雪「ふぁ〜ぁ…」


電「はわわ、吹雪さんがお眠なのです」


漣「漣も眠いですよぉ〜…」

80 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 20:35:22.29 ID:jdVwudpmO


電「はわわ…漣さんまで…」


バチンッ


吹雪「ぶっ!」


バチンッ


漣「ブベラッ!」


電「め、目は覚めたでしょうか…?」


吹雪「う、うん…ありがと、電ちゃん…」


漣「…………」


吹雪「し、死んでる…」


・・・


提督「何やってんだあいつら…」


「ふふふ…何だか楽しそう」


提督「ったく……お前も、見学なんて珍しいな」


「はい。やはり艦娘も、資料だけではわからない事もありますから」


提督「そりゃあ間違いないな」


「そういえば…利根さんと球磨さんは?」


提督「ローテーションで休みを回してんだ、今日はその2人」


「なるほど」


「今日執務をしている時にスケジュール表も見ましたけど、皆さん働き詰めですよね。昼食と夕食と寝る時くらいしか自由な時間は…」


提督「まぁ、仕事だしな。結果が出せなきゃ後ろ指さされんのは俺達だ」


提督「……でも、あいつらは良くやってくれてるよ」


「ふふふ…皆さんが頑張れるのは、提督の人徳ですかね?」

81 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 20:36:01.16 ID:jdVwudpmO


提督「いや、それは違うな」


提督「あいつらは守るべき物を守る為に戦い、己を鍛えている。あんなんでも、あいつらの根っこには確固たる意志がある。そこに俺が付け入る事は無いだろう」



「…失言でしたね、ごめんなさい」


提督「気にすんな、軽口も叩けない職場なんて俺は嫌だぞ」


「ふふ……はい」


提督「んじゃ、始めるか…」


パンパンッ


提督「おーい!そろそろやんぞー!」


川内「はーーい!こっちはいつでもおっけー!!」


提督「漣が死んでんぞー!」


川内「えーーっ!?敵ーっ!?」


電「はわわ…」


・・・


「凄い……皆さん始まる前とは別人みたい…」


提督「うちは他所より艦娘が少ない分、練度は高いからな」


「(…これが…艦娘の…)」


提督「…良い機会だ、お前もやってみろよ」


「えっ……」


「…いえ、私は…」


提督「いつかはお前も戦うんだ、早いか遅いかだろ」

82 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 20:36:41.32 ID:jdVwudpmO


「もちろん、力にはなりたいです。でも…私では力不足…足でまといにしかなりません」


提督「何事もやってからだろ?」



「ですから──」


提督「命令」


「なっ…」


提督「流石にあいつらと同じ事をしろとは言わない。演習場のどっかに的を浮かせてある、探して攻撃してみろ」


「…あれですか…?」


提督「(見えるのか?)……そうだ」


「…わかりました……やってみます」


提督「よし。工廠にお前の艤装がある、明石に言えば出してくれるから取ってこい」


「…はい、行ってきます」



・・・



「……」


提督「じっと眺めてても始まんねぇぞ」


「あ、あの…本当にこれで浮けるのですか…?」

83 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 20:37:18.50 ID:jdVwudpmO


提督「浮けるぞ」


「……」


提督「…ったく…」


ドンッ


「えっ!?ちょちょちょ!うわわわわっ!」


バシャッ


「……!」


提督「ほら、浮けただろ」


「はい…そうみたいですけど、もうちょっとやり方をですね…」


提督「終わりよければ何とやらだ」


「…もう…」


提督「ほら、早く行け」


「はい、わかりました」


ザー…


・・・


川内「イェーイ!今日も私は満点の動きだね!」


五月雨「川内さんすごーい!」


川内「えっへへ〜!」


叢雲「五月雨。あんまり褒めちゃ駄目よ、調子乗るから」


五月雨「えっ…え〜…でもぉ…」


川内「叢雲はいちいちうるさいってばー!」

84 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/05(火) 20:38:26.13 ID:jdVwudpmO


吹雪「あははは……ん?」


電「どうかしましたか?吹雪さん」


吹雪「あれ……あの人だよね?」


電「え?……あ、本当なのです」


漣「あんな暗い所で何をしてるんでしょうね?」


天龍「なんだぁ?射撃か?」


摩耶「多分な。おい、誰か探照灯向けてやれよ」


・・・


「(何ででしょうか…弓なんて触った事のないはずなのに…懐かしい…使い方もわかる…)」



「(…私にも…出来るかもしれない…)」


「(姿勢を正して…)」


「(構えて…)」


チャキ


「(狙いを定め……)」


「(……離すっ!)」


パシュッ


スカッ


「あ、あれ…」


カチッ カチッ カチッ


「…!まぶし…」


電「明るくなったのですー!」


漣「これでよく見えますよぉー!」


吹雪「頑張って下さーーい!」


「…皆さん…」

85 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/03/05(火) 20:39:00.83 ID:jdVwudpmO
ここまで!
沢山書けました
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 20:41:39.40 ID:bY1Gmiimo
あつおつ
87 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/06(水) 20:53:10.60 ID:kYgbNEg7O


「ありがとうございます…」


ペコ


「(皆さんが見てる…ちゃんとやらなくちゃ…!)」


「…もう一度…」


チャキ


「ふー……」


グググ…


「(今度こそっ!)」


パシュッ


スカッ


「っ……!」


「(……やっばり……)」


「(…私には、出来ないの…?)」


提督「おーい!ちょっと戻ってこい!」


・・・


「……申し訳ありません…提督…」

88 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/06(水) 20:56:12.58 ID:kYgbNEg7O


提督「おう…おつかれ」


「…やっぱり私には…無理です」


提督「…悪い、お前に無理言っちまったみたいだな。えー…下がっていいぞ」


「…………」


「……失礼します…」


・・・



訓練終了後



天龍「おい、何か変な雰囲気だったけど大丈夫か?」


提督「…完全に失敗した」


天龍「失敗だぁ?」


摩耶「あん?何かやらかしたのか?」


提督「やらせたのは軽率だった。多分、あいつの心を折っちまったかも」

89 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/06(水) 20:56:49.98 ID:kYgbNEg7O


吹雪「えっ…え〜〜っ!?」


漣「あの方…漣達の見てる前で、在らぬ方向に矢を飛ばしてましたしね…」


電「…発艦もしてなかったのです」


川内「ん〜…してないんじゃなくて、出来なかったんじゃない?」


五月雨「出来ない、ですか…」


叢雲「あんたもまともな事言うのね。確かにそれは有り得るかもしれないわ」


川内「これ、褒めてる?」


五月雨「ん!……ええ!」


提督「…どうすっかな」


叢雲「どうするもなにも、何もしなくていいわよ」


提督「何だと?」


叢雲「あんたが試行錯誤した所で焼け石に水よ。本人が立ち直るまで見守ってなさい」

90 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/06(水) 21:18:38.62 ID:kYgbNEg7O


提督「…あいつ秘書艦なんだけど…」


叢雲「あんたがやらせたんでしょ、自業自得よ。でも、秘書艦放り出すような人には見えなかったし大丈夫じゃないかしら?」


提督「…そういうもんか」


叢雲「そういうものよ」


川内「たまには良い事言うじゃん!叢雲!」


摩耶「よっ!流石叢雲大先生!」


天龍「古参は伊達じゃねぇってな!」


叢雲「うっさいわよ!あんた達!」


吹雪「あははは。司令官、私も叢雲ちゃんの意見に賛成です。あの人は強い、きっとすぐに立ち直りますよ!……確証はありませんけどね。私の勘です!勘!」


電「吹雪さんの勘は当たるのですよ〜」

91 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/06(水) 21:19:25.84 ID:kYgbNEg7O


吹雪「えへへへ…ありがと〜電ちゃん」


漣「ご主人様が少しですけど、動揺してるの初めて見ましたねぇ」


五月雨「確かに…」


提督「流石に失敗したからな……ありがとな、お前達。言う通りにやってみる」


摩耶「うわっ!お礼とか似合わねー!」


天龍「ぎゃははは!確かに!」


叢雲「全く、普段からそのくらい素直だったら良いのよ」


提督「割と素直だが」

92 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/06(水) 21:20:10.24 ID:kYgbNEg7O


漣「えぇ…ご主人様は本心を隠してるというか…」


吹雪「本音を言わないというか…」


電「きっと照れ隠しなのです」


提督「おい、それは違う」


電「はわわ、お口が滑ったのです」


川内「ま、頑張ってよ提督。提督なら上手くやってくれるって信じてるよ」


提督「お、おう…。何かお前からそんな事言われると…ムズムズするな」


川内「えーっ!?それってどういう意味なのさー!」


提督「…何でもない」


川内「ほら!すぐ濁す!提督なんて、べーっだ!」


提督「悪かったって。んじゃ、お前らも風呂入って寝ろな。今日は終わりだ」



・・・



『客間』



「……」


グスッ


「…私は…何で…」



「…私なんて…」



「…赤城さん…」

93 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/03/06(水) 21:21:18.80 ID:kYgbNEg7O
ここまで
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/07(木) 00:27:05.89 ID:ZzdnFqslo
おつ
ほんのり伝わるしっかりした信頼感よきかな
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/07(木) 00:38:24.47 ID:2D4rhyq+O
おもろい。みんなかわいい。
96 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/07(木) 20:30:23.66 ID:oAdEw24m0


______________________________



翌朝



『執務室』



コンコン


提督「入れ」


「失礼します。おはようございます、提督」


提督「おう。おはよう」


「はい。では、始めますね」


提督「…ああ。頼む」


・・・


提督「(特に滞りも無く、問題もない……が、俺の気にし過ぎか…気まずい…)」


「提督」


提督「…!…なんだ?」


「…?どうかしました?」


提督「……いや…?何でもないが…」


「何だか…今日は妙にそわそわしてるというか…雰囲気が違いますね」


提督「…普段通りだと思うが…」


「…?ちょっと失礼…」


提督「え…ちょ──」


ピトッ


提督「…!!」


「…熱は、無さそうですね」


提督「……お前…そういうの気にしないのな」

97 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/07(木) 20:31:12.50 ID:oAdEw24m0


「え?何がです?」


提督「…まぁいい……で?どうしたんだ」


「あ、そうでした。こちらは終わったので備品のチェック、私がしてきますね」


提督「ああ…おう」


「はい。では」


・・・


『廊下』



バタン


「……はぁ」


「(やっぱり、昨日の事…ですよね)」


「(あまり態度には出さないようにはしてたんですが…)」


「(提督のあの雰囲気……やはり、出てたのでしょうか…)」


トントン


「え…?」


利根「どうしたお主、湿気た面しよって」


「利根さん……いえ、別に」


利根「ふむ、やはり昨日の事かのう。吾輩も聞いたぞ」


「……」


利根「どうやら、大恥かいたみたいじゃな?」

98 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/07(木) 20:32:19.77 ID:oAdEw24m0


「ええ……皆さんに、お恥ずかしい所を見せてしまいました…」


利根「うむ、確かに恥ずかしかったであろうな。己の無力さに絶望もしたであろう」


「…はい」


利根「じゃが…お主は全力を尽くした、違うか?」


「私は…全力で取り組みました」


利根「じゃろ。本気だったお主を、吾輩達は否定したりはせん」


「……」


利根「恥じるのも良い。悔やむのも良い。ただ」


利根「お主自身が、お主自身を否定する…そんな悲しい事は無い。お主自身を…否定してやるな」


「…!」


利根「…お主がどんなで在ろうと、吾輩達の仲間である事は変わらぬ」


利根「だから…」


利根「吾輩達は海で、待っておるぞ」


ポン


利根「…なんての。気休めのつもりだったのじゃが…失敗してしまったかの」


「…ふふふ。いいえ、ありがとうございます。利根さん」


利根「ふふ……ふはは!やはりお主は笑った方が良いな!折角の美人が暗いと台無しじゃ!」


「優しいですね、利根さんは。…では、私は業務の続きをしてきますね」


利根「うむ!引き止めてすまんかったの!」



・・・







『執務室』



提督「……」


「……」


提督「……よし、終わりだ」


「こちらも、もうすぐ終わります」

99 : ◆oVd3xukI6g [saga]:2019/03/07(木) 20:33:02.38 ID:oAdEw24m0


提督「ん。了解」


「はい」


提督「……」


提督「…なぁ」


「はい、何ですか?」


提督「あー…貸した資料、読んだか?」


「はい。もう覚えてしまうくらいには」


提督「そうか……その様子だと変化は無さそうだな」


「ですね…赤城さんに会いたいのですが…中々」


提督「まぁ、夢の中だしな…会いに行けないのも仕方ないか」


「そう…ですね。………はい、終わりました」


提督「おう、書類はそのままで良い。おつかれ」


「わかりました。お疲れ様です、提督。おやすみなさい」


提督「おやすみ」

100 : ◆oVd3xukI6g [sage]:2019/03/07(木) 20:33:52.76 ID:oAdEw24m0
ここまで
全体の半分くらいは過ぎたかな…?
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/07(木) 21:42:09.07 ID:ZzdnFqslo
おつお
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