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【アマガミ】橘「田中さん…何だか落ち込んでるみたいだな、僕が励ましてあげよう!」
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2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:01:25.19 ID:OTmT6TPB0
橘(あ、田中さんだ)
橘(どうしたんだろう…元気なさそうだな)
橘「田中さん?」
田中「あれ、橘君?」
橘「どうしたの?こんなところで」
田中「えへへ…私ねフラれちゃった」
橘「え…」
田中「さっき、薫と一緒にもう一度告白しに行ったんだけど」
田中「やっぱり私とは付き合えないって」
橘「……」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:02:15.93 ID:OTmT6TPB0
田中「あ、でもね、これで良かった気がするの」
橘「えっ?」
田中「今の私には友だち…薫の方が大事だって思えたから」
橘「そっか…」
田中「うんっ」
田中「あ、それと、橘君、ありがとう」
橘「え?」
田中「薫が言ってたよ」
田中「今回の作戦は橘君が考えてくれたんだって」
橘(やっぱりアレ…やったのか…)
田中「まぁ…途中で薫が暴れ始めちゃったから大変だったけどね」
橘「うん、容易に想像できるよ…」
田中「あははは…」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:03:13.79 ID:OTmT6TPB0
田中「……」
田中「あのね、橘君、薫はすごくいい子だよ」
橘「え?あ、うん、知ってる」
田中「だよね、中学からの付き合いだっけ」
橘「…あいつそんな事まで話してるの?」
田中「うん、頼りになる相棒だって」
橘「相棒ねぇ…」
田中「あ〜あ、私もこんな彼氏が欲しいなぁ」
橘「…え」
田中「う、ううん、何でもない」
橘「……」
田中「そ…それじゃまたね」
橘「あ…田中さんっ」
橘「……」
橘(そうか…田中さんフラれちゃったのか)
橘(残念だったなぁ…)
橘(……)
橘(…それにしても)
橘(田中さん、最後に物騒なこと言ってたな)
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:04:34.26 ID:OTmT6TPB0
翌日
橘「おはよう」
梅原「うおっす」
梅原「今日は珍しく早いな」
橘「珍しくってのは余計だよ」
田中「おはよう」
田中「あれ、橘君今日はなんだか早いね」
橘「おはよう…たしかに自分でも少し早いと思うけど、そんなに言われるか…」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:05:48.29 ID:OTmT6TPB0
田中「もしかして、橘君どこか調子悪いの?」
橘「なんで調子悪いといつもより早く登校するんだよ」
田中「あはは、それもそうだね」
田中「でも、薫が知ったら驚くんじゃないかな」
橘「あいつはいつも僕より遅いからたぶん珍しくもなんともないよ」
棚町「あーら、言ってくるじゃない」かぷっ
橘「うわっ!?」
棚町「ふふ、おっはよ、純一、恵子」
橘「おはようぐらい普通に言えないのか」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:06:35.18 ID:OTmT6TPB0
田中「ほんと薫と橘君ってほんと仲良いよね」
棚町「そりゃこいつは気軽に話せる悪友だもん、ねー」
橘「ねー、じゃないよ」
橘「お前に振り回されて何度ひどい目に会ったことか」
棚町「ひどい!そんなこと思ってたなんて…!」
橘「…はぁ」
棚町「なによー、今日はずいぶんノリが悪いじゃないの」
橘「いつも通りだよ」
橘「薫が変にテンションが高いだけじゃないのか」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:07:07.62 ID:OTmT6TPB0
昼
梅原「橘、飯はもう決めたか?」
橘「んー、まだ決めてないな」
梅原「じゃああれやらねえか?」
橘「お、いいぞ」
棚町「ちょっと待ったー」
棚町「そのあれってのはジャンケンのやつよね、あたしもやるわ」
梅原「よし、じゃあ3人で勝負だな」
棚町「あ、そうだ、せっかくだし…」
棚町「おーい恵子ー、こっちこっちー」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:07:42.00 ID:OTmT6TPB0
田中「どうしたの?」
棚町「恵子もやる?おつかいジャンケン」
田中「何なのそれ?」
橘「要するにパシリだよ」
梅原「そういう言い方はするなよ…」
棚町「ジャンケンに勝ったら、堂々と教室で待つ、負けたら急いでごはんを買いに行くだけよ」
橘「意味は変わってないじゃないか」
橘「田中さん、嫌なら無理にやる必要はないよ、薫の気まぐれだし」
田中「ううん、おもしろそうだしやってみるよ」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:09:02.63 ID:OTmT6TPB0
棚町「それじゃあいくわよー」
棚町「じゃんけん…ぽんっ!」
棚町「パー」
梅原「パー」
橘「グー」
田中「グー」
橘「あ…」
棚町「勝っちー」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:15:31.43 ID:OTmT6TPB0
梅原「それじゃあ二人で最弱決定戦を」
橘「よ、よし、せめて最下位にはならないように…」
橘「いくよ田中さん」
田中「う、うん」
橘「じゃんけん…ぽんっ!」
橘「…あいこか」
橘「あいこで…」
橘「あいこで…」
橘「あいこで…」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:16:14.11 ID:OTmT6TPB0
―――
橘「あいこで…」
棚町「まだ決まらないの…?」
梅原「ああ、そうみたいだな」
棚町「この調子だといつまで日が暮れちゃうじゃない」
梅原「そうだな、もうどっちも負けってことでいいんじゃないか」
橘「あいこで…」
棚町「はい、しゅーりょー!」
棚町「二人とも負けー」
棚町「何十回あいこになるのよ」
棚町「さっさと買ってきなさい」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:17:07.17 ID:OTmT6TPB0
―――――
橘「あんなにあいこが続くこともあるんだね」
田中「そうだね、私もあそこまでは初めてだよ」
橘「僕たちけっこう気が合ったりして」
田中「あはは、橘君おもしろいね」
橘「あ、お、おもしろいことかな…」
田中「それより急がないと橘君がどやされちゃうよ」
橘「え、僕だけなの?」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:18:06.40 ID:OTmT6TPB0
田中「ねえ、橘君は薫のことどう思ってるの?」
橘「え?急だな…」
田中「いつか聞きたいと思ってたけど、なかなか機会がなかったから」
橘「…どう思ってるかか」
橘「そうだな…一言でわかりやすく言うと…」
橘「仲の良い男友だちだな」
田中「お、男友だち…なの?」
橘「わかりやすく言うとだよ」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:19:00.34 ID:OTmT6TPB0
田中「そっか…」
橘「こんなこと聞いてどうするの?」
田中「それは、えっと…」
田中「ただの興味本位だよ」
田中「橘君も意味なく聞きたいことってあるでしょ?」
橘「んー…まあ、そんなこともあるかな…」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:19:44.94 ID:OTmT6TPB0
―――――
橘「お待たせ」
棚町「もー、ただでさえジャンケンに時間かかったんだからお腹ぺこぺこじゃない」
田中「ごめんね、思ったより人が多くて」
梅原「まあこの時間の食堂は戦場だからな」
棚町「あれ?純一、あたしの頼んでたメロンパンは?」
橘「ごめん、メロンパンは売り切れてたんだ」
棚町「えー」
橘「代わりにアンパンでいいだろ」
棚町「メロンパンの代わりにアンパン…?」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:21:44.00 ID:OTmT6TPB0
翌日・放課後
橘「おい、本当なのか…?」
梅原「ああ…たしかにこの目で確認した」
橘「……」ごくっ
梅原「この学校の図書室に隠れたお宝本が存在する!」
橘「おお!」
橘「ちゃんと場所は覚えてるだろうな?」
梅原「当たり前だろ、よし行こうぜ」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:22:23.52 ID:OTmT6TPB0
――――――
橘(うーん、すっかり遅くなってしまった…)
橘(梅原のやつ表紙だけで判断して中身を確認してなかったなんて)
橘(隣の本棚にあった本の方が良かったじゃないか)
橘(その結果こんな時間になったわけだけど…)
橘「わっ!」
田中「わっ!」
橘「あれ、田中さん」
田中「なーんだ、橘君か、びっくりしちゃった」
田中「あはは、お互い様か」
橘「ごめん」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:23:09.29 ID:OTmT6TPB0
橘「こんな時間にどこ行くの?」
田中「ちょっと、コンビニまで行く途中」
田中「橘君は?」
橘「今、帰りなんだ、ちょっと用があってね」
橘「女の子のひとり歩きは物騒だから、よかったら僕が家まで…」
田中「じゃあね」
橘「…送ってあげよう…か」
橘(あ…いない…)
橘「……」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:23:49.90 ID:OTmT6TPB0
翌週
橘(ん?珍しく田中さんが難しい顔をしてるぞ)
橘(ちょっと声をかけてみよう)
橘「何してるの、田中さん?」
田中「ああ、橘君」
田中「今ね新しい占いを作ってるの」
橘「占い?」
田中「うん」
田中「そうだ、橘君この新作の第一号になってよ」
橘「まあ、いいよ」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:24:54.99 ID:OTmT6TPB0
橘「この占いは何を占うの?」
田中「恋愛運だよ」
橘「れ、恋愛運か…」
田中「まだ試作段階だから、ちょっと不完全だけど」
田中「それじゃあ始めるね」
橘「う…うん」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:26:35.52 ID:OTmT6TPB0
―――
田中「これで終わり」
田中「えっと結果は…」
橘「……」
田中「勇気をもって行動すべし」
橘「勇気をもってか…」
田中「運命の出会いは、あなたが行動的になることで訪れる可能性が高まります」
田中「素の自分を見てもらい、好印象を抱いている相手を積極的に誘ってみましょう」
橘「へぇ、けっこう本格的に作ったんだね」
田中「……」
田中「うーん、やっぱり作り直した方がいいかな」
橘「どういう意味!?」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:28:14.66 ID:OTmT6TPB0
棚町「なーにやってんの?」
田中「今新しい占い作ったから橘君に試してもらってたの」
棚町「また作ったの?」
棚町「それで、純一の結果はどうだったの?」
橘「これ」
棚町「なになに…ええ?」
田中「今回のはちょっと自信あったんだけどな」
橘「ひどいと思わない?この結果で田中さん占いを作り直すって言うんだよ」
棚町「…賢明な判断ね」
橘「なんでだよ!」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:29:21.37 ID:OTmT6TPB0
棚町「全ての占いが当たるとは思ってないけど、ここまで大きく外れるのは良くないと思うわ」
橘「なんでだよ、まだわからないだろ」
棚町「じゃあこれ当たるっていうの?」
橘「僕の行動次第だろ」
橘「そうだよね、田中さん」
田中「んー、書いてあることは確かにそうだけど…」
田中「……」
橘「ちょっと、黙らないでよ」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:29:58.57 ID:OTmT6TPB0
数日後
橘(さ〜て、今日は何をしようかな…)
橘(う〜ん…)
橘(クリスマスを好きな女の子と過ごす…)
橘(そのために、自分の魅力を高める…)
橘(……)
橘(ちょっと面倒くさいんだよな…)
橘(いやいや!そんなんじゃ駄目だ!今日も頑張るぞ!)
橘(とりあえず…)
橘(……)
橘(まあいいや、出かけよう)
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:30:57.28 ID:OTmT6TPB0
美也「にぃに、どこ行くの?」
橘「どことは決めてないけど…」
橘「そうだ商店街の方に行こうかな」
美也「じゃあ美也も一緒に行くよ」
橘「…別にいいけど、特に何も用はないから歩き回るだけになるぞ」
美也「いいよ、暇なんだから」
美也「じゃあ着替えるから待っててね」
美也「…覗いちゃダメだよ」
橘「興味ないよ」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:32:24.56 ID:OTmT6TPB0
商店街
橘(さて、来たはいいけど何をしようか…)
美也「あ、にぃに、ドーナツが売ってるよ」
橘「そうだな」
美也「食べたいなー」
橘「買えばいいじゃん、待ってるからさ」
美也「……」
橘「お金は出さないぞ」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:33:08.48 ID:OTmT6TPB0
美也「可愛い妹のために少しぐらいお金出してくれていいんじゃないの?」
橘「はぁ…じゃあ少しだけだぞ」
橘「はい」
美也「やったー」
美也「って10円じゃ何も買えないでしょ!」
橘「少しって言ったじゃないか」
美也「…にぃに、そんなんじゃ女の子にモテないよ」
橘「なっ…余計なお世話だよ」
田中「あっ、橘君」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:33:51.24 ID:OTmT6TPB0
橘「?」
橘「ああ、田中さん」
田中「あ…ご、ごめんね邪魔しちゃったかな…」
橘「なんのこと?」
田中「デート中…だよね、橘君彼女できたんだ」
橘「デート…?」
橘「…ああ、違うよ、妹だよ」
田中「妹…?」
橘「うん、妹の美也っていうんだ、同じ学校だよ」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:34:49.85 ID:OTmT6TPB0
橘「美也、僕と同じクラスの田中さん」
田中「こんにちは」
美也「こんにちは、いつもにぃにがお世話になってます」
田中「にぃに…?」
橘「お、おい、外でにぃにはやめろって何度も…」
橘「田中さん、にぃにってのは変な意味じゃなくて…」
田中「あはは、安心して、みんなには内緒にしておくから」
橘「な、何を…?」
田中「橘君が妹さんに変な呼び方させてること」
橘「それは誤解だよ、美也が勝手に言ってるだけなんだ」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:35:44.93 ID:OTmT6TPB0
―――
橘「…ということ、なんだ」
橘「納得してもらえた…?」
田中「うーん…うん、わかったよ」
橘「よかった…」
美也「にぃに必死だったね」
橘「誰のせいだと思ってるんだ」
美也「なんとかなったらからいいじゃん」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:36:43.69 ID:OTmT6TPB0
田中「ところで橘君たちはここで何してるの?」
美也「田中先輩、聞いてくださいよ」
美也「にぃにったら妹にドーナツすら買ってくれないんですよ」
橘「そ、そんなこと人に言うなよ」
橘「わかった、買ってやるから」
美也「やったね」
美也「田中先輩もどうですか?」
田中「え、私も?そんな、悪いよ」
橘「いや、いいよ、一人分増えるだけだし」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:38:50.40 ID:OTmT6TPB0
田中「それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな」
美也「どれにしようかな〜」
美也「田中先輩はどれが好きなんですか?」
田中「私はね、生クリームを使ったのが好きなんだ」
橘「へぇ、田中さん生クリーム好きだったんだ」
田中「うん、できるだけたくさん使ってるのがいいの」
美也「じゃあこれなんかどうですか?」
田中「わあ、おいしそう!」
田中「橘君、私これいいかな?」
橘「うん、どれでもいいよ」
美也「一つと言わず、いろんなものを好きなだけ選んでいいですよ」
田中「え、そんな、それは橘君に悪いよ」
美也「いいよね、お兄ちゃん」
橘「う…うん…いいよ」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:39:52.30 ID:OTmT6TPB0
―――――
美也「おいし〜!」
田中「ごめんね、悪いとは思ったんだけど、美也ちゃんにつられちゃって」
橘「あ…あはは…いいよ、気にしないで」
田中「このお返しは絶対にするから!」
橘「うん…じゃあほどほどに期待して待ってるよ」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:40:54.77 ID:OTmT6TPB0
数日後
橘(ふぅ…スッキリした…)
橘(危なかったな、もう少しでやばかった…)
高橋「あっ橘君ちょうどいいところに」
橘「え?」
高橋「これなんだけど、教室まで運んでくれない?」
橘「あ…はい」
橘(けっこう量があるな…)
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:41:56.29 ID:OTmT6TPB0
田中「わっ!」
橘(あっ、ぶ、ぶつかるっ!)
田中「わっ!とっとっとっ…」
田中「ふー、危なかった…」
橘「あれ?」
田中「ん?橘君、どうしたの?」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:42:42.72 ID:OTmT6TPB0
橘「田中さんが僕にぶつかってくるんじゃないかと思って…」
田中「あはは、それはないでしょ」
田中「廊下でぶつかっちゃうなんて、なかなかあるもんじゃないわよ」
田中「マンガやゲームじゃあるまいしね」
田中「それに実際にぶつかったらかなり危ないと思うわよ」
橘「そ、そうかな…」
田中「それにしても、この辺の廊下って水で濡れてて危ないわよねー」
橘「そ、そうだね…」
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:44:26.77 ID:OTmT6TPB0
田中「ねえ、その荷物って教室に運ぶんだよね」
田中「私も手伝うよ」
橘「え、でも」
田中「私も今から教室に戻るんだし、ちょっとぐらい持つよ」
橘「あ、ありがとう」
田中「よいしょっと」
橘「田中さん、優しいね」
田中「そうでもないよ、普通だよ」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:45:14.47 ID:OTmT6TPB0
放課後
橘(さて、そろそろ帰るか)
田中「……」
橘「あ…」
橘「田中さん、今帰るところ?」
田中「うん、ちょっと居残りしてたら遅くなっちゃって」
橘「よかったら一緒に帰らない?」
田中「うん、いいよ」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:46:12.87 ID:OTmT6TPB0
橘「田中さんと帰るのって珍しいね」
田中「うん、私けっこうすぐ帰るからね」
田中「橘君いつも放課後何かしてるもんね」
田中「カバンだけ置いてどこかに行ってるみたいだけど何してるの?」
橘「あ…たしかにいつも何かしてるけど、これといって決まったことはしてないんだよね」
田中「じゃあ今日は何をしてたの?」
橘「そ…それは…」
橘(水泳部を覗いてたなんて言えない…)
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:47:00.89 ID:OTmT6TPB0
田中「それは?」
橘「それは…」
橘「あっ、頑張ってる子たちを陰ながら応援してたんだよ」
田中「へぇ、なんか意外だね」
橘「い、意外かな…?」
田中「うん、でもいいことだと思うよ」
田中「私はいつも自分のことで精一杯だからさ、なかなか他の人のことまで考えてあげられないから」
田中「橘君はすごいと思うよ」
橘「そう言われると悪い気はしないけど…」
橘(実際は自分の欲のためだけだからな…)
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:47:50.78 ID:OTmT6TPB0
数日後・昼
橘「薫、今からお昼ご飯か?」
棚町「ええ、そうよ」
橘「だったら一緒に食べないか?」
棚町「いいけど、恵子もいるわよ」
橘「うん、いいよ」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:48:31.73 ID:OTmT6TPB0
橘「田中さん、今日はお弁当なんだ」
田中「うん、たまに自分で作りたくなるんだ」
橘「えっ、これ田中さんが作ったの?すごいなぁ」
田中「えへへ、ありがとう」
棚町「恵子の料理はそれなりにおいしいわよ」
田中「それなりには余計だよ」
橘「田中さんの料理は興味あるな」
田中「よかったら食べてみる?」
橘「え、いいの?」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:51:39.01 ID:OTmT6TPB0
棚町「顔がにやけすぎ」
橘「き、気のせいだよ」
棚町「恵子、なんとなくだけど今日はやめたほうがいいよ」
橘「何だよなんとなくって」
田中「別に何もないと思うけど…」
田中「でも、薫の勘って結構当たるし…」
田中「ごめんね、橘君」
橘「田中さんが言うなら仕方ないけど…」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:52:04.92 ID:OTmT6TPB0
田中「そうだ、その代わり明日橘君の分も作ってくるよ」
橘「えっいいの!?」
田中「うん、橘君がよければの話だけど」
橘「お願いします!」
田中「あ、一つ条件言っていいかな?」
橘「どうぞ」
田中「一度でいいから、自分の作った料理を男の人にあーんってしてみたいんだよね」
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:53:13.39 ID:OTmT6TPB0
棚町「な…何それ…」
田中「いいじゃない、やりたいんだし」
田中「ねえ橘君、どうかな?」
橘「そんな…いくらなんでもそれは…」
橘「ご褒美すぎるじゃないか!」
田中「え、いいの?」
橘「もちろんだよ!」
田中「ほら、橘君OKしてくれた」
棚町「いきなり言われてOKするの純一ぐらいよ」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:53:51.50 ID:OTmT6TPB0
橘「早く明日のお昼ご飯の時間にならないかなぁ」
橘「今から楽しみだよ」
田中「そ、そんなに期待はしないでね」
田中「どこにでもあるような普通のお弁当だから」
橘「田中さんが作った時点でそれはもう普通のお弁当じゃないんだよ」
橘「しかもそれを食べさせてもらえるなんて」
田中「褒められてる…ってことでいいのかな…?」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:54:59.73 ID:OTmT6TPB0
放課後
田中「あれ、橘君今日はもう帰るの?」
橘「うん、あんまりやりたいこともないからね」
田中「じゃあよかったら一緒に帰らない?」
田中「今日は薫が補習があるから一人なんだ」
橘「いいよ」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:56:08.80 ID:OTmT6TPB0
―――――――
橘「…ってことがあったんだよ」
田中「あはは、やっぱり薫は中学校のときからあまり変わってないんだね」
橘「うん、全然成長してない」
田中「橘君はどんな中学生だったの?」
橘「え、僕?」
橘「そうだな…」
橘「……」
橘「今と変わらないかも…」
田中「橘君もなんだ…」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:56:51.41 ID:OTmT6TPB0
橘「じゃあ田中さんはどうなの?」
田中「私は今よりもうちょっとおとなしい子だったかな」
橘「今より?」
田中「うん、今は薫や橘君たちがいるから」
橘「そ…そうなんだ」
橘「……」
橘「ちょっと見てみたいかも」
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:58:05.27 ID:OTmT6TPB0
翌日
梅原「よう」
橘「どうした?梅原」
梅原「確か今日って橘の誕生日だったと思うんだが…」
橘「おおっ、覚えていてくれたのか?」
梅原「誰かに祝って貰えそうなのか?」
橘「う〜ん…だといいんだけどな」
梅原「とかなんとか言っちゃってるが、自信有りって顔してるぜ?」
梅原「か〜!羨ましいなぁオイ!」
橘「そ、そんな事ないって」
梅原「こりゃ、俺からのプレゼントは必要なさそうだな」
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:58:55.12 ID:OTmT6TPB0
橘「おいおいひどいな、梅原ぐらいしかいないんだから」
梅原「なんだよ悲しいこと言うじゃねえか」
梅原「よっしゃ!それじゃ俺から大胆にも誕生日プレゼントを贈ろうじゃないか!」
梅原「何が飲みたい?言ってみろ!」
橘「ジュース限定かよ…」
梅原「水道水ならなんとおかわりし放題だ!さあ、行こうぜ!」
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 03:59:35.24 ID:OTmT6TPB0
昼休み
田中「橘君」
田中「昨日言ってたお弁当作ってきたよ」
橘「ほんと!?」
橘「ついに田中さんのお弁当が食べられるんだね!」
田中「あはは、大げさだね」
橘「だってうれしいもん」
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:01:08.24 ID:OTmT6TPB0
棚町「あー、純一なーににやけてるの?」
棚町「何かいいことあったんでしょー」
橘「昨日言ってたお弁当を田中さんが作ってきてくれたんだよ」
棚町「ああ、言ってたわね」
棚町「どんなの作ったの?あたしにも見せて」
橘「開けていいかな?」
田中「うん、どうぞ」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:01:48.12 ID:OTmT6TPB0
パカッ
橘「おおっ」
棚町「すごいじゃない、恵子」
田中「えへへ、ありがとう」
田中「それで…いいかな?」
橘「え?…ああ、いいよ」
田中「じゃあ最初はどれがいい?」
橘「んーそうだなー、からあげかな」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:03:09.87 ID:OTmT6TPB0
田中「はい、あーん」
橘「あーん」ぱくっ
田中「ど、どうかな?」
橘「うん、おいしいよ!」
田中「よかった〜」
棚町「…こうして見ると二人のそれは異様な光景ね」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:04:08.23 ID:OTmT6TPB0
橘「もう一回いいかな?」
田中「いいよ」
棚町「もう一回やるの…?」
橘「次は卵焼きがいいな」
田中「卵焼きね」
田中「じゃあ、あーん」
橘「あーん」
田中「おいしい?」
橘「おいしー」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:05:50.99 ID:OTmT6TPB0
橘「田中さんのお弁当が食べられて、しかも食べさせてもらえるなんて…」
橘「想像と体験は全然違うよ」
橘「今日は最高の誕生日だ」
田中「えっ、橘君今日が誕生日だったの?」
棚町「そういえば、この時期だったような」
橘「ようなってひどいな」
棚町「じょーだん、はいこれ誕生日プレゼント」
橘「エビフライじゃないか…」
棚町「もらえないよりマシでしょ」
棚町「それとも、あたしにもあーんってやってほしいの?」
橘「うん、頼むよ」
棚町「やるわけないでしょ」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:07:25.96 ID:OTmT6TPB0
夜
ピンポーン
美也「にぃに〜、お客さんだよー」
橘「はいはい、僕が出ればいんでしょ」
ガチャ
田中「はぁ…はぁ…」
橘「た、田中さん?どうしたの…」
田中「ちょっと…急いで来たから」
橘「と、とりあえず中入ってよ」
田中「ううん、いいよ…すぐだから」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:11:38.13 ID:OTmT6TPB0
橘「えっと…僕に用でいいのかな?」
田中「うん」
田中「はい、これ」
橘「これは…?」
田中「誕生日プレゼントだよ」
橘「えっ、でもそれはもうお弁当を…」
田中「あれはそういうつもりで作ったんじゃないから」
田中「せっかくならちゃんとしたものを渡したいなって思って」
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:12:31.51 ID:OTmT6TPB0
橘「ありがとう」
橘「開けてもいいかな?」
田中「うん」
ガサガサ
橘「お、双眼鏡だ」
田中「この前、放課後残って陰ながら応援してるって言ってたから離れて応援してるのかなって思って」
田中「これを使えば遠くてもよく見えるでしょ」
橘(覗きだけど…)
橘「ありがとう、大切に使うよ!」
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:13:47.61 ID:OTmT6TPB0
数日後
橘「ふぅ〜」
橘「トイレもすませてスッキリしたし、教室に戻ろうかな」
橘「うわっ!?何だっ!?」
???「だ〜れだ?」
橘(う…誰だろう?)
橘「……」
橘「もしかして…田中さん…?」
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:15:17.74 ID:OTmT6TPB0
田中「当たり」
田中「なんでわかったの?」
橘「そうだな…」
橘「田中さんの手ってなんとなく、柔らかそうなイメージがあって」
田中「て…手のイメージ…?」
橘「それにしても田中さんがこんなことするなんて意外だね」
田中「橘君と薫がいつもやってるようなことを私もやってみたくなって」
田中「へ、変かな…?」
橘「ううん、もっとやっていいよ」
田中「じゃあ、またこんどね」
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:17:10.64 ID:OTmT6TPB0
放課後・本屋
橘「あったあった、新発売の漫画」
橘「ん?」
橘「あっこの漫画、美也が集めてる…」
田中「橘君?」
橘「あれ、田中さん」
橘「奇遇だね、こんなところで会うなんて」
田中「うん、欲しい漫画があってね」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:19:27.39 ID:OTmT6TPB0
田中「橘君その本買うの?」
橘「え?ああ、これは買わないよ」
橘「美也が集めてる本だったから気になって、手にとっただけだよ」
田中「美也ちゃんも集めてるんだ」
橘「も…ってことは田中さんも?」
田中「うん、今日はそれを買いに来たんだ」
橘「そうなんだ、これおもしろいよね」
田中「橘君も読んでるの?」
橘「うん、たまに借りて読んでるんだ」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:20:16.89 ID:OTmT6TPB0
橘「田中さんはこの後何か用事ある?」
田中「ううん、何もないけど」
橘「じゃあまた一緒に帰らない?」
田中「うん、いいよ」
田中「レジに行ってくるから、ちょっと待っててね」
橘「僕も買いたい本があるからそっち行くよ」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:21:25.03 ID:OTmT6TPB0
―――――
田中「ねえ、最近、一緒に帰ること多いじゃない?」
橘「そうだね」
田中「その…なんて言うか…ウワサになっちゃったら困っちゃうね」
橘「僕といっしょに帰るの嫌?」
田中「ううん…そういう意味じゃないの」
橘「そっか」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:22:11.89 ID:OTmT6TPB0
橘(たしかに言われてみれば、田中さんと帰ることが増えたかも…)
橘(思い切って遊びに誘ってみようかな)
橘「ねえ田中さん、次の日曜日って空いてる?」
田中「うん、何も予定はないけど」
橘「じゃあさどこか遊びに行かない?」
田中「え?橘君と?」
橘「どうかな…」
田中「うん、いいよ!」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:23:08.15 ID:OTmT6TPB0
田中「そうだ、最近遊園地に噂のアトラクションがあるの知ってる?」
橘「噂のアトラクション?」
田中「そうなの、聞いた人によって言ってることがちょっと違うから自分でも確かめたくて」
橘「わかった、じゃあ遊園地に行こう、1時に駅前広場に集合でいいかな」
田中「うん!」
田中「橘君と遊びに行くことなんてなかったから、ちょっと楽しみ」
橘「僕もだよ」
田中(あれ、噂のアトラクションが気になって言っちゃったけど…)
田中(休日に二人で遊園地なんて、まるで…)
田中(橘君はどう思ってるんだろう…)
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:24:42.08 ID:OTmT6TPB0
日曜日
橘(よし、30分前についた)
橘(あとは田中さんを待つだけ…あれ?)
橘「田中さん!?」
田中「あ、橘君」
橘「な、なんで…?まだ約束の時間より30分も早いのに」
田中「うん…なんか落ち着かなくなくて」
田中「橘君こそ来るの早いじゃない」
橘「僕は待たせないようにしようと思ったから…結果的に待たせちゃったけど」
田中「ううん、気にしないで」
田中「私が勝手に早く来ただけだから」
橘「そうは言っても…」
田中「あ、ほらバス来たよ、ちょっと早いけど行こ行こ」
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:25:26.74 ID:OTmT6TPB0
―――――――
田中「んー、ついたー」
橘「遊園地に来るのはけっこう久しぶりだな」
田中「へぇ、どれぐらい来てないの?」
橘「えっと、中学…いや小学生か…?」
橘「……」
橘「とにかく久しぶりだよ」
田中「そ、そうなんだ」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:25:58.58 ID:OTmT6TPB0
橘「さて、どうする?」
橘「行きたがってた噂のアトラクションに行く?それとも別のにする?」
田中「そうね…」
田中「まだ何も決めてないし、まずはそれ行ってみない?」
橘「わかった、それで…それはどれなの?」
田中「たしかエジプトの…」
田中「あっ、たぶんあれだと思う」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:27:05.46 ID:OTmT6TPB0
橘「ファラオ謎の入り口…?」
橘「これってホラーハウスなのかな」
田中「……」
橘「田中さん?」
田中「あっ、ど、なに?」
橘「なんか今固まってなかった?」
田中「そ、そんなことないよ」
橘「もしかして怖いの?」
田中「そ、そんなことないよ」
橘「セリフが全く一緒だよ」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:28:04.19 ID:OTmT6TPB0
橘「田中さんが嫌ならやめようか?」
田中「う、ううん、そんなことない」
田中「行ってみようよ」
橘「まあ行くなら行くけど」
田中「うん…」ギュッ
田中「……」
橘「あ、あの田中さん…」
田中「なに?」
橘(無意識なのかな…袖をつかまれると歩きにくいんだけど…まあいいか)
橘「なんでもない、行こうか」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:29:46.55 ID:OTmT6TPB0
―――
田中「お、思ったより暗いね…」
橘「たしかに雰囲気はあるな」
田中「わっ!?」ギュッ
橘「うお…っ…ど、どうしたの?」
田中「いや、ちょ、ちょっとつまづいちゃって」
橘「そ…そうか…」
橘(田中さんの胸が…)
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:31:23.34 ID:OTmT6TPB0
田中「な…何か出て来るのかな…?」
橘「さあ…どうだろう…」
橘「ん?」
田中「なに?」
橘「あれなんだろう…」
ウオオオ〜〜ン!
橘「うわぁっ!」
田中「きゃあっ!」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:32:25.00 ID:OTmT6TPB0
ウオオオ〜〜〜〜〜ン!
ポゥーン!!
橘「げほっ…げほっ…何だったんだ今のは…」
橘「あれ?田中さん?」
橘(さっきまで腕につかまっていたはずなのに)
橘「田中さーん!おかしいな…」
田中「げほ…うーん…」
田中「橘君…?」
橘「田中さんの声が聞こえる、どこだ?」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:33:51.94 ID:OTmT6TPB0
田中「うわわっ、橘君どうしたの、その体!?」
橘「えっ?」
橘「別に何も変化はないと思う…」
橘「ん?」
田中「そんなことないよ、体がものすごく大きくなってるよ!」
橘「……」
橘「田中さん…?」
田中「な、なに?」
橘「まさか…いや、そんなことがあるのか…?」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:35:46.32 ID:OTmT6TPB0
田中「何を言ってるの?」
橘「…田中さん…なんだよね?」
田中「うん」
橘「田中さん、自分の手でもいいからよく見てみてよ」
田中「手?」
田中「手がどうか…ええっ!?な、なにこれ!」
橘「うん、僕が大きくなったんじゃなくて、田中さんがハムスターになったんだよ」
田中「どういうこと…!?」
橘「僕もよくわからないけど、今の煙が原因なんじゃないかな…?」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:37:49.31 ID:OTmT6TPB0
橘「とりあえずこのままじゃ危ないから、僕の手に乗ってよ」
田中「うん、ありがとう」
田中「よいしょっと」
橘「じゃあ立つよ」
田中「うわわっ」
田中「すごい高いよ」
橘「大丈夫?」
田中「う、うん、平気」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:39:19.55 ID:OTmT6TPB0
橘「手がかりがない以上出口に向かうしかないか」
橘「安心して田中さん、必ず僕が元に戻してみせるから」
橘「それまでは僕がちゃんと守るからね」
田中「橘君…」
橘(とは言ったものの、人間がハムスターになるなんて聞いたこともないぞ)
橘(しかもこのハムスターが田中さんか…)
橘「……」
橘(かわいいな、ハムスターだからか?それとも田中さんだからのか?)
橘(な、何を余計な事を考えてるんだ僕は、急がなきゃならないってのに)
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:40:23.30 ID:OTmT6TPB0
田中(橘君、こんな姿になった私にも優しくしてくれるなんて…)
田中(あ、ここの毛が気になるな)
田中(よいしょ、よいしょ)
田中(…ってこれじゃまるで私ハムスターじゃない!)
田中(こんなところ橘君に見られたら…)ちらっ
橘「こっちの道であってるのかなぁ」
田中(よかった見られてなかった…)
田中(ハムスターの姿を見られた時点で恥ずかしいんだけど…)
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:41:31.85 ID:OTmT6TPB0
田中(あれ、そういえば今ハムスターってことは…)さわさわ
田中(私今裸じゃん!)
田中(な、なんかそう考えたらますます恥ずかしくなってきた…)
田中(穴があったら入りたい!)
田中(あれ、あんなとこに穴が…)
田中「……」もぞもぞ
橘「うひゃあっ!?」
田中「ど、どうしたの橘君!?」
橘「う、腕に何か…!」
橘「あれっ田中さん!?」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:42:26.30 ID:OTmT6TPB0
橘「田中さん?一体どこに…」
橘「ひゃっ…な、くすぐったい!」
田中「大丈夫?」ひょこっ
橘「あれ、田中さんなんで僕の首に?」
田中「うーん、橘君の手に乗ってたら穴を見つけて、入って、上って…」
橘(たしかハムスターって狭いところが好きなんだっけ…?)
橘(田中さん、完全にハムスターになってるな…)
橘(かわいいな)つんつん
田中「ちょっ、橘君?」
橘「あ、ごめん、かわいくてつい…」
田中「別に嫌じゃないからいいけど…優しくしてね」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:43:35.62 ID:OTmT6TPB0
―――――
橘「けっこう歩いたからそろそろ出口かな?」
田中「……」
橘「あれ、田中さん?」
田中「……」すやすや
橘「寝ちゃってる」
橘「ふふっ」つんつん
ポゥーン
橘「うわっ」
ズシーン
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:44:49.06 ID:OTmT6TPB0
橘「ごほっごほっ…いたたたた…」
橘「何なんだ一体…」
橘「田中さんだいじょ…ぶ!?」
田中「すぅ…すぅ…」
橘(ち、近っ!体が密着して、む、胸も…)
橘(あっ、ていうか田中さん元にもどってる)
田中「う、うーん…あれ、私寝ちゃってた…?」
田中「あっ元に戻ってる!戻ってるよ橘君!」
田中「あれ?橘君?」
橘「こ…ここだよ」
田中「ええっ!橘君、何があったの!?」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:45:29.78 ID:OTmT6TPB0
橘「いや…僕にもよくわからないんだけど…」
橘「あ、あの田中さん立てる?」
橘「もし立てるなら…」
田中「あっ、ご、ごめんね!」
橘「うん…」
橘(思わず言ってしまったが惜しいことをしたかもしれない…)
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:47:40.88 ID:OTmT6TPB0
―――
田中「やっと出れたね」
橘「うん、なかなかいい体験ができたよ」
田中「えっ、私は変身したけど…橘君も何かあったの?」
橘「あ、いや…このホラーハウスけっこうおもしろかったじゃないか」
田中「そうだね、また来ようね」
橘「えっまた?」
田中「うん、次はまた違うものになるか…橘君が変身するかもよ」
橘「そ…それは…」
橘(ん?もし僕がハムスターになれば次は僕が田中さんに…)
橘「それはいいかもね!」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:48:36.71 ID:OTmT6TPB0
夕方
田中「あ〜楽しかった〜」
田中「今日は誘ってくれてありがとうね」
橘「いや僕の方こそありがとう」
田中「どうして橘君がお礼を言うの?」
橘「だって今日一日僕に付き合ってくれたんだもん、ありがたいよ」
田中「橘君の誘いだからね、いつでも何日でも付き合うよ」
橘「ははは、それはお世辞でも嬉しいよ」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:50:52.32 ID:OTmT6TPB0
田中「ううん、ほんとのことだよ」
橘「え?」
田中「あ、そうだ橘君まだ時間ある?」
橘「え…ああ、うんあるよ」
田中「じゃあ駅前に行ってみない?」
田中「イルミネーションがそろそろつく頃だろうし、見てみたいなって思って」
田中「どうかな?」
橘「うん、いいよ行ってみよう」
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:52:48.09 ID:OTmT6TPB0
翌日
梅原「おいおいおい、どういうことだ大将!?」
橘「何がだ?」
梅原「お前が昨日田中さんとデートしてるとこを見たってやつがいたんだが本当なのか!?」
橘「デート…まぁ、たしかに昨日田中さんと遊園地に行ったな」
梅原「ふ、二人でか…?」
橘「ああ、そうだけど」
梅原「…そういえばお前が田中さんと一緒に帰ってるっていう目撃情報も何度かあったな」
橘「なんだその目撃情報って…」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:54:08.33 ID:OTmT6TPB0
梅原「お前まさか…」
橘「なんだよ」
梅原「……」
梅原「いや、なんでもない」
梅原「……」
橘「梅原?」
梅原「ま、がんばれよ」
橘「どうしたんだあいつ…?」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:55:59.86 ID:OTmT6TPB0
橘(もしかして僕と田中さんのことについて言おうとしてたのかな?)
橘「……」
橘(うーん…僕はやっぱり…)
橘「……」
橘(いや、考えるまでもないな、僕はきっと…)
橘(よし…こうなったら田中さんを誘ってみるか!)
橘(頑張るって決めたんだしな…)
橘「……」
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:57:49.10 ID:OTmT6TPB0
田中「ねえ橘君」
橘「あっ、田中さん、ちょうどいいところに…」
田中「え?何かあったの?」
橘「う…うん、そうなんだ」
橘「えっと…そのー…た、田中さんは…」
橘「何ていうか、その…」
橘「……」
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 04:59:52.60 ID:OTmT6TPB0
橘(うぅ…何だか緊張するな…)
橘(一言…たった一言言うだけなのに…)
田中「橘君?」
橘「う、うん」
橘(…よ、よし!)
橘「そ…その…田中さんは24日…」
橘「た、田中さんさえよければだけど、24日に僕とどこか行かない?」
田中「えっ…」
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 05:01:36.36 ID:OTmT6TPB0
橘「駄目かな…?」
田中「……」
田中「どうしようかなー」
橘「え…」
田中「えへへ、冗談だよ」
田中「いつでも付き合うって言ったじゃない」
田中「それより、そんな日に私でいいの?」
橘「もちろんだよ、田中さんじゃないと」
田中「そ、そっか」
田中「じゃあ24日、お願いね」
橘「うん」
橘「……」
橘(やった!言えた!言えたぞ!)
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 05:03:42.71 ID:OTmT6TPB0
5日後
橘(なんだか緊張するな…)
橘(1時間も早く来てしまった)
橘(……)
橘(田中さん…来てくれるかな…)
田中「それっ!」
橘「うわっ!冷たっ!?」
橘「な、なんだ田中さんか、びっくりした…」
橘「…えっ!?田中さん!?」
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 05:05:20.02 ID:OTmT6TPB0
田中「な、何…?そんなに驚いて」
橘「い、いやだって…」
田中「早く来たのは橘君も一緒でしょ?」
橘「それは…そうだけど…」
田中「前のこともあるし、もしかしたら橘君ちょっと早く来るんじゃないんかって思って」
田中「橘君ってけっこうそういうの気にしそうだったから」
橘「そんな風に思われてたの…?」
田中「橘君に早く会いたいってのもあったかもね」
橘「ほ…ほんと…?」
田中「ふふ、ほんとだよ」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 05:06:36.38 ID:OTmT6TPB0
橘「じゃあちょっと早いけど、行こうか」
田中「うん」
橘「……」
田中「……」
橘「けっこう寒いね」
田中「そうだね」
橘「……」
田中「……」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 05:07:37.02 ID:OTmT6TPB0
田中「やっぱり今日はカップルが多いね」
橘「あ、うん、そうだね」
田中「……」
田中「ねえ橘君」
ギュッ
橘「あ…」
田中「今日ぐらいはこうして手をつないでていいかな?」
橘「うん、僕でよければ」
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/02/08(金) 05:08:33.74 ID:OTmT6TPB0
橘「うーん、映画の時間までまだあるしここのデパートで時間を潰そうか」
田中「あ、それなら行ってみたいところがあるんだけど、いいかな?」
橘「いいよ、どこが見たいの?」
田中「7階なんだけど」
橘「7階って、おもちゃ売り場?」
田中「うん、そうなんだけど…ダメ?」
橘「そんなことないよ、いいよ」
田中「よかった、じゃあ行きましょ」
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