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ダンガンロンパ ホープロワイヤル
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2 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:29:56.26 ID:zL2SUHWw0
・この作品はダンガンロンパの二次創作です。
・1・2・V3の48キャラが出ます。
・バトルロワイヤル×能力モノ。
・バーチャル空間なので本当に死んだりはしません。
・コロシアイなんて無かった世界。
・展開上出オチなキャラも出てきます。好きなキャラだった場合申し訳ありません。
・不定期更新です。
では始めます。
3 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:30:33.66 ID:zL2SUHWw0
希望ヶ峰学園、特別ホール。
現在そこには77期生、78期生、そしてゲストの予備学科性一人と才囚学園の生徒たち。
合わせて48人の生徒が集まっていた。
その理由は特別カリキュラムのためとだけ説明されている。
4 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:31:26.58 ID:zL2SUHWw0
苗木「特別カリキュラム……って、何するんだろうね」
舞園「霧切さん、何か知らないですか」
霧切「いいえ。気になって調査してみたのだけど、思いの外ガードが固くて詳細が掴めなかったわ」
葉隠「霧切っちが調査して掴めなかったとなるとよっぽどだべ」
不二咲「アルターエゴでも何も分からなかったんだあ」
石丸「おそらくレクリエーションの類だろう! ここに集まった48人仲良くなるためのものだ!」
大和田「おおっ、それはいいじゃねえか兄弟よ!」
十神「ふんっ。そのような腑抜けた行事なら興醒めだな」
腐川「そ、そうよ! 興醒めよ!」
桑田「すっかり腰巾着だな」
セレス「さて……それはどうでしょうか」
山田「あのーセレス殿……それはギャンブラーの勘ですか?」
朝日奈「何が始まるか分からないけど、頑張ろうね、さくらちゃん!」
大神「そうだな、朝日奈よ」
江ノ島「あぁーだるい……何でこんな青春に巻き込まれてるんだか」
戦場「ちょっと盾子ちゃん、周りに合わせないと」
5 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:32:07.95 ID:zL2SUHWw0
狛枝「あははっ、日向君。予備学科の君がどうしてここにいるのかな?」
日向「俺だって場違いなのは感じてるけど呼ばれたんだって。本当に俺がこんなところにいてもいいのか……?」
七海「大丈夫、日向君なら大歓迎だよ」
小泉「そうよ、自信持ちなさい」
左右田「つうか最近カムクラプロジェクトとかいうのにも参加してるんだろ、大丈夫なのか?」
澪田「何か胡散臭い響きっすね」
九頭竜「いや元々は非人道的な研究していたが、そういうやつらは大分前に粛正されたって話だぜ」
辺古山「今は純粋な才能開発プロジェクトとなっているはずだ」
罪木「お、お二人ともよく知っていますね……」
西園寺「そういえば十神おにぃ、本物が来てるけど大丈夫なの?」
十神(太)「何を言う、俺こそが十神白夜だ」
終里「しっかし今から何が始まるんだろうな、食い物が出てこねーかな!」
花村「お腹減ってるのかい? なら僕のフランクフルトを……」
弐大「やめい、花村よ」
田中「くくっ……我が右腕がうずく……」
ソニア「期待してるんですね!」
[
6 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:32:50.94 ID:zL2SUHWw0
最原「ここが希望ヶ峰学園か……」
赤松「これだけ広いホールでコンサート開けたら楽しいんだろうなー」
王馬「よしっ、ゴン太。探検に行くよ!」
獄原「え、どこに?」
星「止めておけ。予定時刻はもうすぐだぞ」
白銀「あれは……江ノ島様に戦場様……!?」
夢野「ん、お主二人のファンだったのか?」
天海「そういえば二人は姉妹って話だったっすね」
アンジー「似てないねー」
真宮寺「あの二人は不合格だけど……他に姉さんの友達にふさわしい人がいっぱいいるネ!」
キーボ「……真宮寺クンよく姉さんの友達って言いますけど、あれ言葉通りの意味なんでしょうか」
百田「ああ、何か妙な迫力を感じるよな」
春川「放っておいた方がいいんじゃない?」
入間「ったく、面倒臭えな。時間になったら起こしてくれ、東条」
東条「ええ、分かったわ」
茶柱「もう東条さん、そんな甘やかしちゃいけませんよ」
7 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:33:28.23 ID:zL2SUHWw0
そうやって雑談しながらしばらく待っていると48人の前に姿を現すものがあった。
モノクマ「とうっ!」
モノミ「やあっ、でちゅ!」
苗木「あれは……江ノ島さんが開発したモノクマと、七海さんが開発したモノミだっけ?」
江ノ島「あーそういえば何やら使用要請が出ていましたね、だるいのでOKしましたが」
七海「モノミを借りたいって連絡があったかも……無かったかも……」
日向「どっちなんだよ」
モノミ「ちゅーもくするでちゅ!!」
モノクマ「今からみんなが集められた理由である特別カリキュラム――」
モノクマ「超高校級とも呼ばれる才能から希望とも称される君たちによる頂点を決める戦い」
モノクマ「題して『ホープロワイヤル』について実行責任者のボクから説明するよ!」
8 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:33:54.96 ID:zL2SUHWw0
狛枝「希望と希望の戦い……あははっ、何だかとても楽しそうだね!」
日向「おまえはそういうやつだよな」
十神「茶番だな。一番優れているのは俺に決まっている」
苗木「すごい自信だね……」
王馬「ふーん、面白そうな響きじゃん」
最原「あんまり野蛮なのは得意じゃないんだけど……」
モノミ「みんなやる気十分でちゅね!」
モノクマ「ルールを今から説明するから、みんな聞き漏らさないように!」
9 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:34:27.37 ID:zL2SUHWw0
モノクマ「一つ目はこれ!!」
『参加者は48人です』
モノクマ「うぷぷっ、まあこれは見れば分かるよね。今ここにいる生徒48人が参加者だよ」
モノクマ「ということで次!」
『フィールドは一つの島で行われる。島は様々なエリアに分かれている』
モノクマ「この島ってのがバーチャル空間に構築されたもので、そこで戦うから現実の身体は怪我とかしないってこと。これで一安心だね」
『参加者は島のランダムな地点からゲームを開始する』
モノクマ「いい場所に転送されるように祈ってね」
『敗北条件は殺されるか電子生徒手帳を壊されること』
モノクマ「これもバーチャル空間だから実際に死ぬわけじゃないよ。つまり正確には殺されるほどのダメージを与えられたらってことかな」
モノクマ「敗北した時点で強制的にログアウトさせられるからゾンビ行為は出来ないよ」
『ゲームマスターはモノクマとモノミが務める』
モノクマ「バーチャル空間で争うからね! ロボットのボクたちが適任ってことで任されたよ!」
10 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:34:59.94 ID:zL2SUHWw0
モノクマ「さて、次が重要事項なんだけど……関連するから一気に二つ表示するよ!」
『参加者はゲーム開始前に希望を一つ設定する』
『最後まで残った希望が優勝。その希望は実際に希望ヶ峰学園が総力を挙げて叶える』
「「「っ……!!」」」
表示されたルールに全員が息を呑む。
霧切「……質問してもいいかしら?」
モノクマ「何かな、霧切さん?」
霧切「この設定する希望っていうのは何でもいいのかしら?」
モノクマ「もちろん! 何でもいいよ!」
山田「希望を何でも叶える……まるでド○ゴンボールですな」
セレス「それだけ希望ヶ峰学園もこのカリキュラムに本気ということですか」
澪田「実際希望ヶ峰学園の規模からすれば、どんな希望も叶えられそうっすね!」
花村「んふっふー、やる気が出てきたよ!」
11 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:35:29.71 ID:zL2SUHWw0
十神「しかしえげつないルールだな」
苗木「え、どういうこと、十神君」
十神「考えてもみろ。最後まで残った一人が優勝……つまり自分以外全てが敵というわけだ」
「「「っ……」」」
苗木(十神君の言葉に全体の雰囲気が少し強ばった)
苗木(今から始まる戦いで隣にいる生徒も敵となるかもしれないと認識したからだろう)
狛枝「……へえ」
王馬「あははっ、面白いじゃん」
12 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:36:01.13 ID:zL2SUHWw0
葉隠「でもそれって不公平だべっ!!」
モノクマ「ん、何が不公平なの葉隠クン?」
葉隠「だって戦いとなればオーガの右腕に出るものはいないべ! 俺なんか三秒で倒されるに決まっている!」
桑田「ずいぶん後ろ向きな自信だな」
不二咲「でも僕も戦いってなると自信がないなあ……」
モノクマ「うぷぷっ、そういう意見が出るのも予想済みだよ」
モノクマ「というわけで続きのルールを発表していくね!」
『参加者の身体能力は平均化される』
『参加者はそれぞれの才能に応じた能力を一つ持つ』
赤松「平均化……っていうとみんな同じ力になるってこと?」
最原「才能に応じた能力……っていうのも気になるな」
13 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:36:27.66 ID:zL2SUHWw0
モノクマ「これに関しては実際に例を出して説明した方がいいかもね」
モノクマ「手の内を明かさせてごめんだけど、話題に出た大神さんと」
大神「我は構わぬぞ」
モノクマ「あと一人はクジで……」
モノミ「はい、苗木クンでちゅ!」
モノミがいつの間にか用意されたクジから苗木の名前を引き当てる。
苗木「え、僕!?」
舞園「さすが幸運の才能ですね」
モノクマ「うぷぷっ、まあ外れクジを引き当てたる力が幸運なのかは微妙だけど……とにかく二人の能力で説明するよ」
14 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:37:03.36 ID:zL2SUHWw0
モノクマ「まずは苗木クンの能力から発表するよ」
『能力:超高校級の幸運』
『50%以上の確率を100%に出来る。ただし自分の行動のみ。一日五回まで使用可能』
山田「なるほど……本当に能力モノっぽい能力ですな」
苗木「能力って言われても……僕そんなこと出来ないよ」
モノクマ「もう、戦いの舞台を忘れたの? 現実じゃなくてバーチャル空間なんだから何でも設定することが可能なんだよ、それこそ常識じゃ説明が付かない力を身につけさせることもね」
苗木「あ、そういうことか」
百田「でも50%を100%って、コイントスが確実に当たるくらいじゃねえのか?」
白銀「それは違うよ! 確率を操る能力……これは可能性の塊だよ! 分かるよ! これで色々工夫しながら強敵を倒すんだよね!!」
赤松「ちょっと白銀さん、落ち着いて」
15 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:37:47.59 ID:zL2SUHWw0
モノクマ「次は大神さんの能力だね」
『能力:超高校級の格闘家』
『格闘家としての力、技術を発揮できる』
左右田「えっと……これが能力なのか?」
終里「さっきと違って普通のことしか書いてねえぞ」
七海「……そっか、ここで身体能力が平均化されるってルールが働くんだね」
日向「ん、どういうことだ七海?」
狛枝「はぁ分からないかな、日向君? 身体能力が平均化により弱体した大神さんだけど、能力を使うことでいつも通りの力に戻る」
狛枝「でも50%を100%にするなんて不思議な能力を持っている苗木君に対して、大神さんは実質能力無しってことなんだよ」
モノクマ「うぷぷっ、そういうこと。元々武闘派が有利な戦いだからね。能力の有無でバランスをとるってことだよ」
モノクマ「大神さん以外も武闘派のみんなは同じようなことになっているからね」
16 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:38:24.86 ID:zL2SUHWw0
モノクマ「二人は説明のために能力を開示したけど、あとのみんなはゲーム開始時点で能力が分かるからね」
モノクマ「自分の能力を上手く使って、相手の能力を予想して優勝目指してね」
葉隠「そういうことか!」
葉隠「なら俺の能力が『敵が死ぬ』なら簡単に勝てるな!」
葉隠「あははっ、オーガも敵じゃないべ!!」
桑田「いや、おまえがそんなチートな能力なわけねえだろ」
山田「モノクマは才能に応じた能力と言ってたですぞ」
セレス「きっと葉隠君の能力は『占いが3割で当たる』でしょうね」
葉隠「いやいやいや、それはおかしいぞ!」
葉隠「俺の占いが3割当たるのは元々だべ!!」
葉隠「そんな3割当たるのが凄い能力みたいな扱いじゃないよな、モノクマ!」
モノクマ「……じゃあ次のルールの説明に行くよ」
葉隠「んなっ!?」
17 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:39:06.39 ID:zL2SUHWw0
『参加者にはそれぞれ電子生徒手帳が配布される。手帳は他の参加者に連絡を取ったり、現在の時間・島の地図と現在地・残りの人数・ルール・自分の能力と希望を表示することが出来る』
モノクマ「便利アイテム、電子生徒手帳だね。うまく活用しよう!」
モノクマ「そして最初の方のルールで説明したように、この電子生徒手帳を壊されても負けだよ。ちゃんと守らないとだね」
『ゲーム開始前に設定した希望は、電子生徒手帳からゲーム中一度だけ変更することが可能です』
モノクマ「例えば『ハンバーガーたらふく食べたい』って開始前に希望を設定したけど、ゲームをやってる間にやっぱりチーズバーガーにしたいなあって思ったら『チーズバーガーたらふく食べたい』に変更することが可能ってわけだよ」
モノクマ「でも一回しか変更できないから気を付けてね」
西園寺「そこはもう最初からスペシャルバーガーにでもしとけばいいじゃん。何でも希望叶えてもらえるんだから」
小泉「みんな最初から心の底からの希望を設定するはずだし……変更なんてすることあるのかな?」
モノクマ「後はまあ補足みたいなものだね」
『誰かが死亡する度に、死体発見アナウンスが島全体に流れます』
『モノクマ・モノミが参加者個人に肩入れすることはありません』
『ルールは追加される可能性があります』
モノクマ「ルールは以上! ということで一回全部まとめて表示するね」
18 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:39:50.80 ID:zL2SUHWw0
<ホープロワイヤル、ルール>
『参加者は48人です』
『フィールドは一つの島で行われる。島は様々なエリアに分かれている』
『参加者は島のランダムな地点からゲームを開始する』
『敗北条件は殺されるか電子生徒手帳を壊されること』
『ゲームマスターはモノクマとモノミが務める』
『参加者はゲーム開始前に希望を一つ設定する』
『最後まで残った希望が優勝。その希望は実際に希望ヶ峰学園が総力を挙げて叶える』
『参加者の身体能力は平均化される』
『参加者はそれぞれの才能に応じた能力を一つ持つ』
『参加者にはそれぞれ電子生徒手帳が配布される。手帳は他の参加者に連絡を取ったり、現在の時間・島の地図と現在地・残りの人数・ルール・自分の能力と希望を表示することが出来る』
『ゲーム開始前に設定した希望は、電子生徒手帳からゲーム中一度だけ変更することが可能です』
『誰かが死亡する度に、死体発見アナウンスが島全体に流れます』
『モノクマ・モノミが参加者個人に肩入れすることはありません』
『ルールは追加される可能性があります』
19 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:40:20.75 ID:zL2SUHWw0
苗木「たくさんあるね……覚えきれるかな」
日向「やってれば自然と覚えるだろ」
最原「このルール……何か隠された意図があるような……」
モノクマ「うぷぷっ、じゃあ早速だけど進めていくよ」
モノクマ「みんな隣のホールに移動してもらえるかな」
20 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:40:54.60 ID:zL2SUHWw0
モノクマに言われるまま移動する48人。
移動した先のホールには、48個の大きなカプセルが置いてあった。
モノクマ「みんなの目の前にあるのがバーチャル空間へのダイブ装置だよ」
モノクマ「ダイブ機能だけじゃなくて、ダイブしている間の生命維持装置も備えているからね」
モノクマ「48人で戦うから長い時間かかるだろうけど、その間における現実の身体の諸々をサポートしてくれるよ」
モノクマ「そういうわけでそれぞれカプセルに入ってください!」
苗木「何かすごいお金がかかってそうだな……」
苗木(モノクマに勧められるままカプセルに入って寝そべったところでカプセルが閉まった)
モノクマ「さてこのままホープロワイヤル開始……の前に大事なことがあるよね」
モノクマ「そう、優勝したときに叶えてもらうそれぞれの希望の設定だよ!」
モノクマ「みんなの前に入力装置が出てきたと思うから入力してね。全員が入力した時点でゲームをスタートするよ」
21 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:41:27.42 ID:zL2SUHWw0
苗木「希望の入力……あ、そうかゲームの開始前にするんだったね」
苗木(ルールとしては覚えていたけど、理解が追いついていなかった)
苗木「優勝したら希望ヶ峰学園に叶えてもらう希望……か」
苗木「あー何でもいいってなると、何を希望すればいいのか難しいな」
苗木(誰かに相談したかったけど、カプセルは閉まっていて他の生徒とはコミュニケーションは取れない)
苗木(ルール解説の後すぐここまで来たし、みんなも相談する時間はなかっただろう)
苗木「こういうとき一般的な望みは富とか権力とか名声だけど……」
苗木「んーどれもしっくりこないし……」
苗木「あ、何でもいいなら――」
『希望:世界平和』
苗木「これでよし、っと」
22 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:41:55.66 ID:zL2SUHWw0
苗木(それからしばらくするとモノクマたちの声が聞こえてきた)
モノクマ「うぷぷっ、どうやらみんな希望の入力を終えたみたいだね!」
モノミ「みんな個性的な希望でちゅね!」
モノクマ「じゃあ準備も全て終えたし……始めようか!」
モノクマ「超高校級とも呼ばれる才能から希望とも称される君たちによる頂点を決める戦い」
モノクマ「ホープロワイヤル――スタート!!」
苗木(モノクマの開始宣言と同時にカプセルの内部が発光する)
苗木(目が眩むと同時に意識も段々と遠くなり……)
苗木(そして――)
23 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:42:27.34 ID:zL2SUHWw0
苗木「ここは……」
苗木(気が付くと僕は周囲を家に囲まれた道路に立っていた)
<住宅地>
苗木「……あ、ここはもうバーチャル空間なのか」
苗木(認識が遅れたのは圧倒的リアル感のせいだった)
苗木(家に触ることも出来るし、風も感じるし、土の匂いをかぐことも出来る)
苗木「本当にゲームが開始したんだな……」
苗木(認識を切り替える。ポケットを漁ると説明通り電子生徒手帳が入っていた)
苗木(唯一の装備だ、ひとまず確認してみよう)
24 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:43:03.77 ID:zL2SUHWw0
苗木(表示出来るのは現在の時間……朝の10時か)
苗木(島の地図と現在地は……この住宅地だけでもかなり広いのにそれでも島の一部みたいだ)
苗木(これだけ広い島だと48人いても他の生徒と会うのは一苦労するだろう)
苗木(残りの人数も始まったばかりだから48人から減ってないみたいだ)
苗木(ルールはさっき説明されたとおりで)
苗木(そして自分の能力と希望は……)
『能力:超高校級の幸運』
『50%以上の確率を100%に出来る。ただし自分の行動のみ。一日五回まで使用可能』
『希望:世界平和』
苗木(能力は説明のときに開示されたとおり、そして希望もさっき設定したとおりだ)
25 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:43:32.26 ID:zL2SUHWw0
苗木(一通り電子生徒手帳を確認した僕は次の行動を考える)
苗木「とりあえずこの道路にいるのは危険だよね」
苗木(周りから丸見えのため、誰かがこの住宅地に来た場合すぐに見つかってしまう)
苗木(身を隠すために僕は一つの住宅の中に入った)
苗木(住宅には生活感が一切感じられなかった)
苗木(それなのに家具などは一式そろっていて、不思議な感じがする)
苗木(僕は外から簡単に見つからないように二階の一室に入り中から鍵を閉める)
苗木(落ち着ける場所を手に入れた僕はこのゲームにおいてどう行動するべきかを考える)
26 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:44:19.50 ID:zL2SUHWw0
苗木「サバイバルゲーム……って主に取れる方針は二つだよね」
苗木(他の参加者を倒しまくるか、潜伏して人数が減るのを待つか)
苗木(腕に自信があるなら前者を取った方がいい気もするけど……)
苗木(他の超高校級と正面から当たって勝てる自信はない)
苗木(ならば潜伏するしかない)
苗木(幸いにもここは住宅地というだけあってたくさんの家がある)
苗木(その中から僕が潜んでいる家を見つけ当てるのは不可能……)
苗木(いや、虱潰しに探せばいつかは見つかるわけだけど、それでも時間はかかる)
苗木(まだゲームも開始したばかりだし、すぐに見つかるようなことはないはず)
苗木(だから落ち着いて潜伏して――)
27 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:44:52.62 ID:zL2SUHWw0
だっ、だっ、だっ、だっ!
苗木「っ……!!」
苗木(部屋の外から音が聞こえる)
苗木(これは……この家の階段を登る音!?)
苗木(っ、どうして……!?)
苗木(混乱するも状況は待ってくれない。足音が僕の潜む部屋の前までやってきたのが感じられる)
苗木「…………」
苗木(外にいる人に気づかれないように可能な限りの気配を消す)
苗木(緊張で心臓の音がやけにうるさく感じられる)
苗木(大丈夫……大丈夫だ)
苗木(もし入って来ようとしても部屋には鍵をかけてある。中には入ってこれない)
苗木(お願いだからそのまま去って……)
パンッ! パンッ!
苗木「えっ……!?」
苗木(祈る僕の前で、銃声が轟いた)
苗木(銃弾がドアを破壊したようで、こうなると鍵も意味を為さず)
苗木(その人が部屋の中に入ってくる)
28 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:45:26.04 ID:zL2SUHWw0
霧切「……見つけたわ、苗木君」
苗木「霧切さん!」
苗木(入ってきたのは頼もしいクラスメイト)
苗木(霧切さんの姿に一瞬喜ぶが……)
十神『考えてもみろ。最後まで残った一人が優勝……つまり自分以外全てが敵というわけだ』
苗木「あ……」
苗木(ルール説明のときの十神君の言葉を思い出す)
苗木(そうだ、いつもは仲間の霧切さん――でも今は敵で)
苗木(その彼女は片手に扉を破壊するために使ったと思われる銃を持っている)
霧切「全く手間をかけさせないで欲しいわね」
苗木(逃げ場のない部屋)
苗木(追いつめられた僕は正に絶体絶命で――)
29 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:45:52.44 ID:zL2SUHWw0
――同じ頃、各所でも衝突が起こっていた。
<森林地帯>
大神「最初の相手はお主か」
辺古山「くっ……!」
<峡谷地帯>
日向「七海……」
七海「日向君」
<海岸地帯>
赤松「ここまで知り合いと会うとは思わなかったな……」
春川「そうだね」
百田「本当に戦わないといけないのか?」
最原「…………」
30 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:46:18.96 ID:zL2SUHWw0
こうしてホープロワイヤルの火蓋は切って落とされたのだった。
31 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/01/29(火) 23:55:36.37 ID:zL2SUHWw0
今日はここまで。
以前夢野ニューゲームというssを書いてた者です。
その反省会で触れていたホープロワイヤルという話を今回投稿することにしました。
お付き合いしてもらえるとなによりです。
この話三ヶ月ほど前からpixivの方で掲載していて、話も軌道に乗ってきたのでこちらの方にも掲載することにしました。
あちらではすでに七話まで投稿しているので続きをすぐに読みたいという方はこちらからどうぞです。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10257530
続きの話も明日以降このスレに投下していきます。
また宣伝になりますが現在なろう系の異世界召喚のオリジナルssも連載しています。
気になった方はこちらもよろしくお願いします。
男「恋愛アンチなのに異世界でチートな魅了スキルを授かった件」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1541083316/
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/30(水) 12:46:04.63 ID:1zIdWeeLO
乙、やっぱりニューゲーム書いてた人だったか
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/02/02(土) 17:37:59.71 ID:wl9D4z8n0
疑問。
なんで全員が殺し合いを受け入れているのか。
いくらバーチャル空間だから実際に死ぬわけじゃない、希望ヶ峰学園が願いを叶えると説明されても大半が「こんなことしてまで願いなんて叶えたくない」って拒否すんぞ。
作者は一から原作をプレイし直した方がいい。
34 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:05:10.75 ID:eAg+4cOD0
乙、ありがとうございます。
投下していきます。
35 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:06:06.10 ID:eAg+4cOD0
<住宅地>
苗木(ホープロワイヤル)
苗木(超高校級48人によるサバイバルゲームで、僕は開幕潜伏することを選んだ)
苗木(幸いにもスタート地点は住宅地で、数ある住宅の一つに隠れればすぐには見つからない)
苗木(――そのはずだった)
霧切「………………」
苗木(二階の扉に鍵をかけて立てこもっていたところ、銃で扉を破壊して霧切さんが侵入してきたのだ)
苗木(いつもは頼もしいクラスメイトの霧切さんも現在は敵)
苗木(僕はこの絶体絶命の窮地から逃れるため――僕の足は自然と部屋の窓に向かっていた)
36 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:07:16.54 ID:eAg+4cOD0
霧切「ちょっと待ちなさい、苗木君!」
苗木(霧切さんが制止の声を上げるが、それに従うわけには行かない)
苗木(僕は窓枠から身を乗り出して――)
苗木「……あっ、ここ二階だった!?」
苗木(気づくも勢いは止まらず、身体が空中に投げ出される)
苗木「うわぁぁぁぁっ……!!」
苗木(自由落下中、必死に思考する)
苗木(このまま落ちても死ぬ高さじゃないけど……落ちた後足が止まれば霧切さんはすぐに追いつくだろう)
苗木(着地が大事……でも、普通の高校生な僕はそこまで運動神経は良くない)
苗木(ちゃんと着地が出来るかは五分五分……)
苗木「っ……なら!」
苗木(僕は無我夢中で宣言した)
苗木「発動、超高校級の幸運!!」
苗木「無事に着地できる確率を上げて!!」
『能力:超高校級の幸運』
『50%以上の確率を100%に出来る。ただし自分の行動のみ。一日五回まで使用可能』
37 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:08:22.19 ID:eAg+4cOD0
スタッ!
苗木「はぁ、はぁ……」
苗木(慣れない大アクションに未だ心臓がバクバクしている)
苗木(超高校級の幸運……無事発動したようだ)
苗木(何か不思議な力が働いて、運良く着地できたのだと理解する)
霧切「全く……」
苗木(降りてきた窓を見上げると霧切さんがこちらの様子を見ていた)
苗木(と、思うとその姿が奥に引っ込む)
苗木(僕のように飛び降りるといった無茶なマネはせず、部屋を出て階段から降りてくるということだろう)
38 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:09:32.06 ID:eAg+4cOD0
苗木(その窓から視線を下ろすと……気になるものを見つけた)
苗木「あれ? あの部屋の窓開いてたっけ……?」
苗木(ちょうど僕の潜伏していた部屋の真下、一階の部屋の窓が開いている)
苗木(潜伏する前に一度住宅は見回ったが、そのようなことは無かったはず)
苗木(考えられるのは……霧切さんが開けたという事だろうか)
苗木(でも、どうして……)
苗木「いや、そんなこと考えている場合じゃない!!」
苗木(霧切さんは銃を持っている、丸腰の僕がそのまま戦って勝てる相手じゃない)
苗木(降りてくるこの隙に逃げないと……!!)
39 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:10:41.18 ID:eAg+4cOD0
苗木(住宅の敷地を出て……どちらに向かうか考える)
苗木(左に行けば住宅地の中に入っていく。入り組んだ道で霧切さんを撒くべきか)
苗木(右に行けばすぐに住宅地の外、森林地帯に出る。森の中に隠れて霧切さんをやりすごすか)
苗木(どちらにも利のある二択。僕は絶対な能力に決断を任せることにした)
苗木「発動、超高校級の幸運!!」
苗木「霧切さんから逃れるには右か左か教えて!!」
苗木(霧切さんだって右か左どちらを探すか迷うはずだ)
苗木(霧切さんが僕と同じ方向に来たらアウト。見つかる確率は50%で見つからない確率も50%)
苗木(なら、超高校級の幸運が使えるはず)
苗木(見つからない確率を50%から100%にあげればいい)
苗木(これでとりあえず窮地を脱せる)
40 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:11:08.32 ID:eAg+4cOD0
苗木(――そのはずだった)
苗木「……あれ?」
苗木(いつまで経っても右に逃げるべきか、左に逃げるべきかが示されない)
苗木(どうやら能力の発動が失敗したようだ)
苗木「ど、どうして……?」
苗木(失敗した理由は分からないが、そのとき住宅の中からドタドタと音が聞こえてきた)
苗木(霧切さんが一階に降りてきたのだろう。すぐ外に出てくるはずだ)
苗木(このまま止まっていたら駄目だと、能力ではなく直感で右を選び、森林地帯を目指した)
41 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:11:44.03 ID:eAg+4cOD0
<森林地帯>
苗木(足下に木の根が伸び、走りにくい獣道を駆ける)
苗木(後方から同じような足音も聞こえた)
苗木(姿は見えないが、霧切さんも僕を追って森林地帯に入ったのだろう)
苗木(僕は獣道を外れて、さらに濃い森の中を進む)
苗木(その途中に見つけた巨大な木。人が入れそうなほどの大きさがうろがあり、僕はその中に隠れた)
苗木「ふぅ……」
苗木(一息吐いたが安心は出来ない)
苗木(不可解なことが起きている。僕は整理して考えることにした)
42 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:12:11.22 ID:eAg+4cOD0
苗木(まずはどうして霧切さんに潜伏した場所がバレたのか)
苗木(ゲームが開始したばかりでしらみ潰しに探す時間は無い)
苗木(それなのにこうも早く僕の潜伏していた住宅を見つけた方法は何か?)
苗木(住宅に隠れる際に分かりやすい痕跡を残した覚えはない)
苗木(……でも、何も痕跡を残していないかというと否定は出来ない)
苗木(わずかな痕跡から超高校級の探偵である霧切さんが僕を見つけだした?)
苗木(いや、そうだとしても早すぎる)
苗木(この早さはまるで僕の隠れている場所が分かっていて、一直線に向かったくらいでなければ――)
43 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:12:38.33 ID:eAg+4cOD0
苗木「……そうか、分かったぞ!!」
苗木(簡単な話だった)
苗木(僕は失念していたのだ)
苗木(僕だけじゃなく、参加者全員が超高校級の才能に応じた能力を持っているということに)
苗木(彼女の才能は探偵――探し見つける職業)
苗木(ならばそれに応じた能力として――指定した人や物の場所が分かる、という能力を推測することが出来る)
苗木(霧切さんは銃を持っていた)
苗木(生徒の初期装備は電子生徒手帳のみ。だからおそらく銃はゲームの武器アイテムとして配置されていたものだろう)
苗木(どこかに隠されていたのかもしれないが、超高校級の探偵の能力で位置を調べて拾ったというわけだ)
苗木(その後、僕の位置を能力で調べて襲ってきた)
苗木(先ほど僕の超高校級の幸運が失敗したのも納得が行く)
苗木(右と左、どちらに逃げても霧切さんの能力によって絶対見つかるからだ)
苗木(逃れられる確率が0%なら、それを100%にあげることは僕の能力に出来ない)
44 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:13:05.19 ID:eAg+4cOD0
苗木(だったらどうするべきか?)
苗木(この場所、木のうろもいずれ見つかる。まともに戦えば相手は銃を持っているため勝てるわけがない)
苗木(武器を調達しようにも森の中だ、ろくな物が無い)
苗木(ならば戦い方を考えるべきか……?)
苗木(霧切さんに対抗する……そのための戦法は――――)
45 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:13:40.93 ID:eAg+4cOD0
霧切(私は苗木君の行方を追っていた)
霧切「どこに行ったのかしら……」
霧切(地道に探すが、こうも森が深くては上手く行かない)
霧切(能力を使えば一発で分かるけど……なるべくそうしたくない理由があった)
『能力:超高校級の探偵』
『指定した人や物の場所が分かる。一日五回まで使用可能』
霧切(その理由とは使用制限)
霧切(ルール説明のときに見た苗木君の幸運の使用制限が一日五回までとあったように、私の位置を調べる力も一日五回まで)
霧切(既に私は銃と苗木君の潜伏場所を調べたので二回使っている)
霧切(まだ昼前なのに三回目を使ってしまうと、今後不測の事態に対処しにくい)
霧切(だから自力で探し当てたかったのだけど……)
霧切「仕方ないわね、苗木君のくせに生意気なのよ」
霧切「発動、超高校級の探偵!」
霧切「苗木君の位置を教えなさい!」
46 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:14:07.84 ID:eAg+4cOD0
霧切(そして私は能力の示した巨大な木の前までやってきた)
霧切「こんなところに隠れていたなんてね」
霧切(観察しながら木の周囲を歩く)
霧切(隠れられそうな場所が一つ……どうやらうろがあってその中なら人も入れそうだ)
霧切「かくれんぼは終わりよ」
霧切「さっさと出てきなさい、苗木君」
霧切(私は投降するように促すが……苗木君は出てこない)
霧切「全く、そこにいるのは分かっているのよ」
霧切(私は言いながら木のうろを覗きこんで――)
47 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:14:34.92 ID:eAg+4cOD0
霧切「え……?」
霧切(そこに誰もいないことを確認する)
霧切(どうして……能力はこの場所を示している)
霧切(隠れられる場所はここだけしかない)
霧切(なら、苗木君はどこに――)
苗木「やああぁぁっ!!」
霧切(戸惑っていると苗木君の意気込んだ声が聞こえてきた)
霧切(その方角は――上空……っ!?)
48 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:15:02.80 ID:eAg+4cOD0
苗木(霧切さんの能力が物の位置が分かるだと推測して……気になったのは潜伏した部屋の真下、一階の窓が開いていたことだった)
苗木(一階の窓が開いていた理由は霧切さんが僕がいないかと調査したからだろう)
苗木(能力で僕の位置を把握しているはずの霧切さんにすれば無駄な行動に思える)
苗木(でも、それが必要な行動だったとしたら?)
苗木(つまり霧切さんは僕が一階に隠れているのか、二階に隠れているのか分からなかったとしたら――)
苗木(霧切さんの能力は物の座標が分かっても、その高低までは判別できないということになる)
苗木(ならば対策が一つ出来る)
苗木(霧切さんがこの場所を能力で探し当てれば、分かりやすい隠れ場所、木のうろに注目するだろう)
苗木(だが、高低の差が分からないという可能性に気づいて、僕は潜伏場所を変えていた)
苗木(そこは木に登った枝の上。幹にこぶがたくさんあり簡単に登ることが出来た)
苗木(あとはタイミングを窺うだけ)
苗木(能力で探し出し僕がうろにいると思い、しかし見つからなかった霧切さんは一瞬虚を突かれる)
苗木「やああぁぁっ!!」
苗木(そのタイミングで僕は霧切さん目掛けて飛び降りた)
苗木(ここが僕の唯一の勝機……!!)
49 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:15:55.22 ID:eAg+4cOD0
苗木の攻撃は完全な奇襲となり、霧切は対応できなかった。
着地の衝撃は積もった落ち葉に吸収される。
二人は揉みくちゃになりながら森を転がり――。
しばらくして、一人が姿勢を立て直した。
もう一人は組み敷かれたままだ。
圧倒的優位に立ったその者が口を開く。
50 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:17:46.26 ID:eAg+4cOD0
霧切「苗木君にしては悪くなかったわ」
霧切「私の能力が高低差を判別できないところまで見抜かれるなんてね」
霧切「でも、残念ね」
霧切「奇襲という完全な優位はあっても、私は護身術を修めている」
霧切「苗木君ごとき取り押さえるのは簡単よ」
苗木「くっ……」
後ろ手に関節を極められた苗木。
こうなっては挽回の方法がない。
勝敗はここに決着した。
勝者は――超高校級の探偵、霧切だ。
51 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:18:13.63 ID:eAg+4cOD0
苗木(殺される……!!)
苗木(あ、いやバーチャル空間だから実際に死ぬわけではないけど……)
苗木(未だ島に死体発見アナウンスは流れていない)
苗木(つまり脱落した者はまだいないということで……一番最初の脱落者は僕になるだろう)
苗木(……でもまあ、仕方ないか)
苗木(ちょっと運がいいだけの僕が、超高校級の才能を持つみんな相手に勝てるわけなかったんだ)
苗木(ここで霧切さんに勝てたとしても……到底優勝までは行けなかっただろうし)
苗木(いつか脱落するのがちょっと早くなっただけだ)
霧切「さて、これでようやく――」
苗木(霧切さんが口を開く)
苗木(今、最後通牒が下されようとして――)
52 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:18:41.15 ID:eAg+4cOD0
霧切「落ち着いて話をすることが出来るわね」
苗木「え……?」
53 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:19:13.73 ID:eAg+4cOD0
苗木(霧切さんの言葉に耳を疑った)
苗木「話って……何の話?」
苗木「僕は……殺されるんじゃないの?」
苗木「そのために霧切さんは僕を襲ってきたんじゃないの?」
霧切「私が襲った? いつどこにそのような事実が存在したかしら?」
苗木(どうやら霧切さんは怒っているようだ)
苗木「で、でも僕が潜伏していた扉を銃で破壊したのは……」
霧切「あれは手間を省いただけよ。怯えている苗木君じゃ、どうせ鍵を開けなさいと言っても開けなかったでしょう?」
苗木「そ、それはそうかもしれないけど……でもだったらどうして霧切さんは僕のところに来たの!?」
霧切「話をするためよ」
苗木「じゃあ僕をここまで追い回した理由は!?」
霧切「話をしようと思ったのに逃げ出したら、追って話を聞かせるしか無いでしょう」
苗木「話、話って……この自分以外全員敵の戦場で何を話すつもりだったの!?」
霧切「……はぁ、そこからなのね」
苗木「え……?」
苗木(霧切さんは怒りから一転、呆れた表情を浮かべる)
54 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:19:40.98 ID:eAg+4cOD0
霧切「あなたが自分以外敵と思った理由はルール説明のときの十神君の発言からなのだろうけど」
十神『考えてもみろ。最後まで残った一人が優勝……つまり自分以外全てが敵というわけだ』
霧切「――あの発言は嘘よ」
苗木「嘘……っ!?」
霧切「このホープロワイヤルは希望と希望のぶつかりあい」
霧切「でも希望って……一人だけで持つものばかりではない」
霧切「複数人で共有出来る希望だってあるでしょう?」
55 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:20:07.48 ID:eAg+4cOD0
苗木「十神君の嘘……希望の共有……」
苗木(つまり……どういうこと……?)
霧切「ルールをよく理解すれば分かるはずだけれどね」
霧切「まあいいわ、解説するから場所を移しましょう」
霧切「いつまでもこんな森の中に居たら落ち着かないわ」
苗木「は、はぁ……」
苗木(そうして僕はよく分からないまま霧切さんに連れ立って来た道を辿り、住宅街に戻っていくのだった)
56 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:20:44.13 ID:eAg+4cOD0
<住宅地>
苗木(僕は霧切さんと元々潜伏していた住宅まで戻ってきていた)
苗木(霧切さんは台所を漁ってお茶とお菓子を取り出す)
苗木「勝手に取って大丈夫なの?」
霧切「泥棒みたいって言いたいのかしら? ここはゲームのフィールドとして設定された無人の住居なのに、遠慮して何になるのよ」
苗木「あ、そうか」
霧切「このゲーム律儀に空腹やのどの渇きを再現しているみたいだから、補給できるうちに補給しておかないと大変よ」
霧切「誰かさんを追い回したせいで余計な体力を使ったのを回復しないと」
苗木「ごめんなさい……えっと、僕もいただくね」
57 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:21:15.51 ID:eAg+4cOD0
霧切「さて、どこから話を始めればいいかしら?」
苗木「それなら十神君のルール説明の時の発言が嘘ってどういうことなの?」
十神『考えてもみろ。最後まで残った一人が優勝……つまり自分以外全てが敵というわけだ』
苗木「このホープロワイヤルって優勝した人が希望を叶えることが出来るんだよね」
苗木「だったらやっぱり十神君の『自分以外が敵』って発言が正しいと思うんだけど」
霧切「違うわ。このルールをよく見なさい」
『最後まで残った希望が優勝。その希望は実際に希望ヶ峰学園が総力を挙げて叶える』
苗木「よく見てって言われても……?」
霧切「注目すべきところは最後まで残った『希望』が優勝ってところよ」
苗木「……あ、ルールでは残った希望なのに、十神君は残った一人って言っている」
苗木「これが嘘っていうこと?」
霧切「そういうこと」
58 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:21:41.57 ID:eAg+4cOD0
苗木「でもそれで何が変わるの?」
霧切「十神君の嘘だと最後の一人まで戦いは終わらないけど、本当のルールでは残り二人以上でも終わる可能性があるっていうことよ」
霧切「例えば最終局面で残った三人が同じ『希望A』を掲げていたとしたら、その場には希望が一つしか残っていないってことで優勝が決まる」
霧切「優勝条件からして同じ希望を持つ者と争う必要はない。それどころか協力することが出来る」
霧切「つまりこのホープロワイヤルは個人戦じゃなくて――同じ希望を持ったチームによる戦いってことなのよ」
苗木「なるほど……」
霧切「十神君が嘘を吐いた理由はこのチーム戦ってことを気づかせないためでしょうね」
霧切「個人戦だと思わせれば、差し伸べられた手を弾く生徒が出てくるでしょうから。さっきまでの苗木君みたいにね」
苗木「ごめんなさい」
霧切「少しでも他の生徒がチームを組むことを妨害するための嘘……とはいえ私のように気づく生徒は出てくるはずだから効果は一時的のはず」
霧切「それでも手を打ってきたということはやれることは何でもやるということ」
霧切「彼、本気で優勝を狙っているのかもね」
苗木「十神君の本気か……」
59 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:22:14.14 ID:eAg+4cOD0
霧切「さて話を戻すけどこのホープロワイヤル、チーム戦といっても手を組むのは容易ではないわ」
苗木「希望Aを掲げている人と希望Bを掲げている人は組むことが出来ないもんね」
霧切「このルールを使って――」
『ゲーム開始前に設定した希望は、電子生徒手帳からゲーム中一度だけ変更することが可能です』
霧切「希望Aが折れて希望Bに変更すれば組めるけど、優勝しても希望Aは叶わない。それを良しとするかどうかね」
苗木「そうか。このルールはゲーム中にチームを作るためにあったのか」
霧切「モノクマがハンバーガーを例に出してふざけていたけど、このルールはかなり重要よ」
霧切「一度しか変更できないというのも裏切ることが出来ないようにってことね」
苗木「どういうこと?」
霧切「二回変更できるとしたら、希望Aを希望Bに変更した後、優勝直前で希望Aに戻すなんて出来るじゃない」
霧切「そうなるとチームが機能しなくなる」
霧切「希望が電子生徒手帳にはっきり記されているから詐称することが出来ないことも含めて、同じ希望でチームを組んだ場合裏切られる可能性はかなり低くなるわね」
霧切「もちろん何事にも例外はあるけれど」
苗木「例外……?」
60 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:22:52.12 ID:eAg+4cOD0
霧切「それはさておき……苗木君、あなたの希望は『世界平和』じゃないかしら?」
苗木「え、よく分かったね」
霧切「富や名声、権力に興味ない苗木君が何でも叶えていいなんて言われて思い浮かべる希望がそれだろうと推理したまでよ。分かりやすい人ね」
苗木「うぐっ……」
霧切「まあでも狙ってやったわけじゃないようだけれど、中々いい希望よ」
苗木「……? いい希望ってどういうこと?」
霧切「逆に質問。この希望によるチームシステムにおいてどのような希望が有利か分かるかしら?」
苗木「えっとそれは……みんなが賛同してくれるような希望かな」
苗木「他の生徒に同じ希望に変えてもらえればチームを組んで有利に戦えるし」
霧切「そういうこと。極論だけど今回の参加者48人中48人賛同するような『大きな希望』があれば戦いは始まらない」
霧切「でもそうはならない。人によって希望は千差万別だから」
苗木「富、名声、権力だけでも人によって一番は変わるもんね」
霧切「苗木君の『世界平和』は少々綺麗事だけれど、よほどのひねくれ者でもない限り賛同してもらえる大きな希望。つまりこれから出会う相手に対して、希望を変えてもらうように説得しやすい希望だわ」
霧切「もちろん相手だって自分の希望があるはずだから簡単には行かないけれど」
61 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:23:26.28 ID:eAg+4cOD0
霧切「逆に自分にしか理解できない希望っていうのもあるわね」
霧切「例えば聞いた話だけれど、才囚学園には『姉の友達を作る』ことに執着している生徒がいるそうよ」
苗木「あ、僕も聞いたことがあるかも。超高校級の民俗学者の真宮寺君だっけ」
霧切「その彼のことだから、このホープロワイヤルでも『姉の友達を作る』って希望を掲げているでしょうけど……この希望に賛同する生徒が他にいると思う?」
苗木「いないだろうね……じゃあその真宮寺君は一人で戦うことを強いられるわけか」
霧切「そういうこと。でも、だからって彼が『大きな希望』によりチームを組んだ生徒たちに必ず負けるかといわれるとそうでもない」
霧切「超高校級の能力という現実離れしている能力も存在するこの戦場で、一人対チームで前者が勝つことは十分にあり得る」
霧切「それを押し通すだけの『強い希望』があればね」
苗木「大きな希望、強い希望……様々な希望が存在して、それぞれが叶えるために戦う」
苗木「ホープロワイヤル……希望争奪戦ってことか」
62 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:24:14.23 ID:eAg+4cOD0
霧切「これで前置きは終わったわね」
苗木「前置き……? 本題だったんじゃないの?」
霧切「そんなわけないでしょう。私があなたにルール解説するためだけに話しかけたと思っているわけ?」
苗木「あ、そっか。今まではルールをよく理解していなかった僕のための説明で……霧切さんの本当の用事は……」
霧切「苗木君、あなたに私と組んで戦って欲しいということよ」
苗木「僕と霧切さんがチームに!?」
霧切「ええ。正直このホープロワイヤル気乗りしないのよ。希望を叶えるって言っても、希望ヶ峰学園に叶えてもらわないといけない大それた希望なんてないし」
霧切「開幕自殺しても良かったのだけど、あくまでこれは学園のカリキュラムでしょう? 早々に負けた生徒は悪い評価を付けられそうじゃない。それは嫌よ」
霧切「希望を捨てたメリットとして私は誰とでも組むことが出来る。これを生かさないわけには行かない」
霧切「それで組んでもらう生徒を考えて……苗木君、あなたを選んだってわけ」
63 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:24:44.86 ID:eAg+4cOD0
苗木「それって……僕が頼りがいあるってこと?」
霧切「自惚れもいいかげんになさい。組むに当たって他者に従うのは面倒、その点苗木君なら私に従ってやりやすいじゃない」
苗木「ず、随分な評価だね……」
霧切「それに優勝までは目指していないといっても、私の意図に反する希望を持つ者に協力するのも嫌だわ」
霧切「でも『世界平和』ならまだ叶ってもいいと思える。探偵として色んな事件に遭遇してきた私にとってね」
苗木「霧切さん……」
苗木「って、あ、希望は『世界平和』で行くんだ。僕が霧切さんの希望に合わせて変更する形でもいいと思ってたけど」
霧切「言ったでしょ、私に大それた希望は無いって」
霧切「それに本当に出来るかしら?」
苗木「え?」
霧切「適当に選んだそうだけど……あなたは本当に『世界平和』って希望を捨てることが出来るの?」
苗木「ええと……」
霧切「……まあ意味ない仮定ね。だって私が入力した希望も『世界平和』だから」
苗木(霧切さんは言うと電子生徒手帳を起動して僕に見せる。そこには……)
『希望:世界平和』
苗木(そのように記されていた)
苗木「霧切さんの希望も『世界平和』だったんだ」
霧切「先ほどあなたが『世界平和』という希望を選ぶと推理したのは言ったわよね。手間を省くためにも事前に合わせておいただけよ」
苗木「じゃあ……」
霧切「これでどちらが希望を変更するまでもなく組むことが出来るわね」
64 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:25:10.85 ID:eAg+4cOD0
霧切「ということで――よろしく」
霧切「希望『世界平和』を実現するためにも協力して戦いましょう」
苗木(霧切さんが差し出した手を、僕は――)
苗木「こちらこそよろしく、霧切さん!!」
苗木(がっしりと握り返して……こうして僕の希望は二人の希望となった)
65 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:25:43.52 ID:eAg+4cOD0
――同じ頃。
<最原視点>
<海岸地帯>
最原「――ということで、同じ希望を持てば争う必要はないってことなんだよ」
赤松「なるほど」
百田「よく気づいたな、終一!」
春川「何かあるとは思ってたけど、そういうことか」
最原(僕は偶然出会った赤松さん、百田君、春川さんにホープロワイヤルのルールに隠された意図について説明していた)
最原(どうしても戦わないといけないのか、と思っていたところに朗報だった。気づくことが出来て良かったな)
66 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:26:19.92 ID:eAg+4cOD0
最原「それで聞いておきたいんだけど、みんなの希望って何?」
最原「僕の希望は『探偵事務所を開く』なんだけど」
赤松「あ、私はもっと多くの人に私のピアノを聞いてもらうために、『ワールドツアーを開催』って希望にしたよ!!」
百田「俺の希望はもちろん『宇宙に行く』だ!!」
最原「百田君らしいね」
最原「………………」
最原(当然ながらバラバラの希望……もしチームを組むなら、誰かの希望に合わせるか、四人で新たな希望を考えて設定しないといけないけど……)
最原「ねえ、赤松さん。どうにか希望を変えてもらうことは出来ないかな?」
赤松「それは『探偵事務所を開く』に合わせて欲しいってこと?」
最原「いや、百田君の『宇宙に行く』って希望に合わせて欲しいんだ」
67 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:26:46.57 ID:eAg+4cOD0
百田「……いいのか、終一?」
最原「うん。百田君には宇宙の良さをいつも教えられて、僕も一回行ってみたいと思っていたし」
最原「それがこの四人一緒に行けるならさらにすごいことだと思わない?」
赤松「……そうだね、私も最原君と一緒に宇宙に行けたら楽しいかも」
赤松「それに宇宙で初めて演奏したピアニストなんて称号もらえたらすごいだろうし!」
百田「宇宙にピアノを持っていけるかは分からねえが……まあ希望ヶ峰学園が何でもするっていうんだ、それくらいのワガママも許してもらえるだろうな」
百田「じゃあおまえたちの言葉に甘えてもいいか?」
最原「もちろんだよ!」
赤松「うん! ほら、春川さんも………………って、あれ? そういえばずっと黙ってたけど、春川さんはどうなの?」
春川「私は……その……」
最原「あ、もしかして何か他に譲れない希望でもあったかな」
百田「春川とも宇宙に行きたかったが……無理強いは出来ねえか」
春川「ち、違うの!」
春川「私の希望は……その……最初から『宇宙に行く』だから……」
68 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:27:16.22 ID:eAg+4cOD0
百田「お、そうなのか。じゃあ問題ないな」
春川「うん。『宇宙に行く』ために頑張ろうね」
百田「そうかそうか……ハルマキも宇宙の良さに気づいていたのか」
春川「……まあ、そんな感じ」
最原「何とかまとまったけど…………でもどうして春川さんは最初黙ってたんだろう?」
赤松「もう、最原君は分かってないなあ」
最原「え?」
赤松「だって最初から百田君と春川さんは『宇宙に行く』で一緒だったんだよ! 相思相愛だったんだよ!! そんなの言い出しにくいじゃない!!」
最原「あ」
赤松「もう、最原君はもうちょっと女心を理解しないと、だよ」
最原(その後四人で電子生徒手帳を出して、僕と赤松さんは希望を変更する)
『希望:宇宙に行く』
最原(四つの手帳に表示されたその希望)
最原(僕らで絶対に叶えて見せる……!!)
69 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:27:43.81 ID:eAg+4cOD0
<日向視点>
<峡谷地帯>
七海「――そういうことで、同じ希望を持った人同士は組むことが可能……だと思うよ」
日向「そういうことか」
日向(俺は偶然出会った七海にホープロワイヤルのルールに隠された意図を教えてもらっていた)
日向(にしても本物の十神が吐いた嘘か……)
日向(そういや狛枝と才囚学園の王馬だったか、あのとき何か意味深な反応を返してたけど……二人とも気づいていたんだろうな)
70 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:28:11.68 ID:eAg+4cOD0
七海「ところで日向君の希望は何なの?」
日向「ん、ああ、俺の希望は『77期生に編入する』だ。七海たちと同じクラスに入りたいってことだな」
七海「日向君が同じクラスに……?」
日向「ああ。何でも叶う希望の使い方としては贅沢かもしれないけどな」
七海「ううん、そんなことないよ」
日向「え……?」
七海「日向君が一緒のクラスになったら、私も嬉しいから」
日向「七海……」
七海「だから私もその希望に賛同するよ。これで私たち同じチームで戦えるね」
七海「よろしく」
日向(さっきまで自分以外が敵だと思っていたから、七海とも距離を取っていた)
日向(そこから七海が近寄ってきて、手を差しだそうとするが――)
日向「ちょっと待ってくれ」
日向(俺は制止の声をかける)
七海「……? どうしたの、日向君?」
日向「その手を握り返す前に質問に答えてもらって良いか?」
七海「質問? ん、いいけど」
日向「ああ。なら遠慮なく行かせてもらうが――」
71 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:28:40.56 ID:eAg+4cOD0
日向「おまえは一体誰だ?」
日向「七海のフリをして俺に近づいて――何が目的だ?」
七海「…………」
72 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:29:27.53 ID:eAg+4cOD0
<峡谷地帯>
日向『おまえは一体誰だ?』
日向『七海のフリをして俺に近づいて――何が目的だ?』
七海『…………』
日向の指摘により二人とも動きが止まる。
それから数秒経って。
先に口を開いたのは七海だった。
73 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:29:53.97 ID:eAg+4cOD0
七海「私のフリ……ってどういうこと、日向君?」
日向「ようやく動揺が収まったか、よく取り繕ったじゃねえか」
七海「意味分かんない……私は私だよ」
七海が日向に近づこうとして。
日向「それ以上近づくな」
七海「……どうして?」
日向「おまえが偽物ではないかと疑っているからだ」
日向「俺に近づこうとしているのは、攻撃するためなんじゃないのか?」
七海「そんなことしないよ。信じてよ、日向君」
日向「あくまで本物だと言い張るのか。ならいいぞ」
日向「本物ならなおさら俺の言うことを聞いて近づかないでくれるよな?」
日向「俺の疑念を晴らすために協力してくれるよな?」
七海「……それで日向君の気が済むなら付き合うよ」
74 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:30:29.60 ID:eAg+4cOD0
七海「私のフリ……か」
七海「日向君も何を言い出すのかって思ってたけど」
七海「言われてみればこのゲームには超高校級の才能に応じた能力ってのがあるもんね」
七海「それを使って私に化けた可能性……か」
日向「ああ。才能からしてそういうことが出来そうな生徒が二人いる」
日向「超高校級の詐欺師と超高校級のコスプレイヤーだ」
七海「詐欺師……十神君か。確かに彼の超高校級の能力は誰かに化けるものになるかもね」
七海「才囚学園の白銀さん……コスプレイヤーの彼女も一緒か」
75 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:30:57.01 ID:eAg+4cOD0
七海「でもこうして私の姿、声まで完璧に再現するのは……」
七海「いや説明であった確率を操る苗木君の能力を基準に考えるとそれくらいは出来て当然かも」
七海「なら私の姿や声からは偽物か判別できないね」
七海「だったら私しか知らない質問をするとか? おそらく二人の才能からして記憶までは再現できないと思うし」
七海「……あーでも白銀さんはともかく、十神君の方は一緒のクラスだから私のこともよく知っているかも」
七海「やっぱり記憶から証明するのも難しいか」
日向「………………」
日向(冷静に分析する七海)
日向(その姿を見ていると……自分の疑念が間違いだったのではないかと思ってしまう)
日向(いや……でも……俺は……)
76 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:31:23.98 ID:eAg+4cOD0
七海「どうすればいいかな、日向君」
日向「……そうだな」
日向(首をかしげるその姿、俺を頼るその声)
日向(全てが七海だとしか思えない)
日向「………………」
日向(俺はどうするべきか考えて――)
77 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:31:50.81 ID:eAg+4cOD0
日向「……すまなかった」
日向(俺は頭を下げた)
七海「え、日向君どうしたの?」
日向「七海を試すようなマネして悪かった」
七海「試す……あ、そっか」
七海「鎌かけだったんだね」
日向「ああ。偽物だったら疑えばどこかでボロを出すと思ったんだ」
日向「でも、今のおまえは……どうみても七海本人だな」
日向「疑ってしまって……見抜けなくてすまん」
78 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:32:16.44 ID:eAg+4cOD0
七海「そんなことないって」
日向「許してくれるのか……?」
七海「日向君の想定ももっともだもん」
七海「超高校級の能力が存在するってことは、それくらい警戒していかないといけないってことだね」
日向「ああ……って、偉そうに俺が言うのも違うが」
七海「ふふっ……じゃあこれで信じてもらえたかな」
日向「もちろんだ」
日向(そして俺から一歩七海に歩み寄る)
日向「開始からグダグダで……七海は気乗りしないかもしれないが、ホープロワイヤル一緒に頑張ろうな」
七海「……そうだね。程々に頑張るよ」
日向(俺と七海の手が今度こそ交わされようとして)
79 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:32:43.71 ID:eAg+4cOD0
日向「――ようやくボロを出したな」
七海「……え?」
日向(俺は警戒して距離を取る)
七海「日向君……どういうこと? まだ私が偽物じゃないかって疑っているの?」
七海「気持ちは分かるけど、執着しすぎると――」
日向「疑いじゃない。確定だ」
日向「おまえは七海の偽物だ」
七海「…………」
80 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:33:12.56 ID:eAg+4cOD0
日向「ずいぶんと七海のフリが上手かったが……そもそもどうして俺がおまえを偽物だと疑ったのか分かってないようだな」
七海「疑った理由……?」
日向「ああ、おまえは七海を完璧にトレースしていた。この場が特殊じゃなければ、俺だって騙されていただろう」
七海「特殊な場……」
七海「……あ」
日向「今さら気づいたか。七海はいつだって気だるげだ」
日向「しかし彼女の才能を発揮するもの、ゲームだけは例外でやる気を見せる」
日向「そしてこの場はすでにホープロワイヤルというゲーム会場だ」
日向「なのにいつもの気だるげな七海を演じたのはマズかったな。ましてや『程々に頑張る』なんて言葉が出るわけがない」
七海「そっか……さっきのも私を本物だと信じたフリだったんだね。失言を引き出すために」
七海「やっと騙されてくれたと思って……緩んじゃったか」
日向「勝利を確信した人間ほど隙だらけだ」
日向「そろそろ本当の姿を見せてもらうぞ――」
81 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:33:40.88 ID:eAg+4cOD0
日向「超高校級の詐欺師……!!」
七海→十神(太)「くくっ、よく見破ったな」
十神(太)「誉めてやるぞ」
82 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:34:12.45 ID:eAg+4cOD0
日向(七海の姿から十神の姿に戻った詐欺師)
日向「やはりおまえの能力は指定した人間に化けるか」
十神(太)「そういうことだな」
『能力:超高校級の詐欺師』
『指定した人物の姿、声になる。一日三回まで使用可能』
十神(太)「これで騙して近づき倒そうと思っていたのに……まさか気づかれるとはな」
十神(太)「形勢を互角に戻されたか」
日向(一対一で向き合う俺たち)
日向(おそらく運動能力に大きな差はないため言ったのだろうが)
日向「そんなわけないだろ」
83 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:34:39.35 ID:eAg+4cOD0
十神(太)「何……?」
日向「形勢は互角じゃない。俺の有利だ」
日向「簡単な話だ。おまえは超高校級の能力を見破られて無力化されている」
日向「でも、俺の超高校級の能力は見破られていない」
日向「それだけで十分なアドバンテージだろ?」
十神(太)「くっ……」
日向「まさか自分だけ武器を持っているつもりだったのか? その油断が命取りだな」
日向(そうして俺が能力を発動しようとしたそのとき)
84 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:35:05.93 ID:eAg+4cOD0
七海「日向君!!」
日向「七海……!?」
日向(後方からの声にふりかえると七海が駆け寄ってきていた)
日向(正面には変わらず十神がいるし……本物か)
日向(偶然俺を見つけたということだろう)
十神(太)「運良く本人が来たか……これでは騙すのも失敗していただろうな」
日向「残念だったな」
七海「えっと……どういう状況?」
日向「あとで説明する。まずは十神を倒す」
七海「……う、うん」
日向(そのまま寄ってきた七海だが、説明する前にやることがある)
日向(俺を騙そうとしたこの詐欺師は敵だ)
日向(先に倒そうとして――)
85 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:35:32.58 ID:eAg+4cOD0
七海(?)「別に説明しなくてもいい、状況は分かっているしな」
日向「……っ!?」 グサッ!!
日向(どういうわけか……七海が至近距離からナイフで俺を刺していた)
86 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:36:00.33 ID:eAg+4cOD0
日向「くっ……!!」
日向(状況は分からないが凶器を振るっておいて味方はあり得ない)
日向(俺は七海を突き飛ばす)
七海(?)「狙い通りだ」
十神(太)「上手く行ったな」
日向(七海はそのまま十神の横に並ぶ……どういうことだ?)
日向「二人とも組んでいたのか……?」
七海(?)「ああ。そういうことだ」
日向「どうして……何の希望で結託して……」
七海(?)「そうだな……もうこの姿でいる必要はないか。全く騙すためとはいえ、俺が女のフリをするとはな」
日向(七海が言うとその姿が変わって――)
87 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:36:37.54 ID:eAg+4cOD0
七海→十神「こういうわけだ」
十神「残念だったな」
日向「十神……っ!!」
日向(本物の十神の姿に変わる……これはどういうことだ?)
十神「端的に説明してやろう。俺の能力『超高校級の御曹司』でこいつの詐欺師の能力をコピーしておいたということだ」
『能力:超高校級の御曹司』
『触れた人間の能力をコピーすることが出来る。なお、すでに他の能力をコピーしている場合上書きする』
『現在コピー中の能力:超高校級の詐欺師』
日向「詐欺師の能力を……それで七海のフリをして……」
十神「おまえを襲ったというわけだ。偽物の後に出てきたから本物だと思って騙されたな」
日向(くっ……油断した)
日向(このタイミングで七海がこの場に姿を現すなんて偶然がそうそう起きるわけ無いのに)
日向(勝利を確信した人間ほど隙だらけ……まんま返されたな)
88 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:37:08.41 ID:eAg+4cOD0
腐川「びゃ、白夜様。上手く行きましたね」
日向(物陰からさらに一人生徒が出てくる)
日向(超高校級の小説家……腐川冬子。十神の熱烈的なファンだったか)
日向(そして三人が横に並ぶ)
日向「まだゲームが始まったばかりだってのに……俺を二段構えで騙す作戦といい、三人でチームを組んでいることといい、ずいぶん手際が良いな」
十神「ゲーム開始直後に電子生徒手帳から俺の言うことを聞くこいつらに連絡した」
十神「そうして集まって、俺の希望に変えさせてチームを組んだというわけだ」
腐川「ほ、本当は私が白夜様と結ばれるって希望だったけど……びゃ、白夜様の言うことには逆らえないもの」
十神(太)「俺を影武者として正式に認めてくれるとあれば希望を変えることくらい吝かではない」
十神「俺らの希望はこうだ」
『希望ヶ峰学園が十神グループの傘下に入る』
十神「とはいえこの希望もついでだ」
十神「あらゆる才能の頂点に立つこと……この戦いに勝つこと事態に意味がある」
十神「だから勝つために何でもしてやる」
89 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:37:43.82 ID:eAg+4cOD0
十神「というわけだ、おしゃべりはここまでにしておこうか」
十神「おまえたち、こいつの電子生徒手帳を奪え」
十神(太)「ふん、いいだろう」
腐川「わ、分かりました、白夜様」
日向「ちっ……!」
日向(電子生徒手帳を壊されても負けだ……奪われるわけには行かない)
十神「抵抗するか、無駄だな」
十神「こちらは三人、そっちは一人。その上不意打ちでおまえはナイフが刺さっている」
十神「どうあがいても絶望だ」
90 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:38:16.47 ID:eAg+4cOD0
日向「それは……どうかな?」
日向(挑発的な笑みで返すが……十神はそれを予想していたようだ)
十神「使うか……おまえの身にも宿っているだろう能力を」
十神「どうやらこの状況からも逆転できる能力みたいだな」
日向「……いや、そんなことないさ」
日向「予備学科の俺だぞ。才能もない俺に見合った駄目駄目な能力だ」
日向(せめてもの油断を誘うために嘘を吐くが)
腐川「……白夜様、今の言葉嘘です! あいつの能力は……!」
日向(腐川の反応は……もしかしてやつの能力によるものか?)
『能力:超高校級の文学少女』
『嘘が分かる。常時発動する』
十神「それくらいおまえに言われんでも分かっている」
十神「見せてみろ、日向。おまえの能力を」
91 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:38:42.65 ID:eAg+4cOD0
日向「後悔するなよ」
日向「発動――超高校級の希望!」
日向(俺は能力の発動を宣言すると、その姿が変わり――)
92 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:39:11.18 ID:eAg+4cOD0
カムクライズル「ツマラナイ……」
『能力:超高校級の希望』
『カムクライズルになる。その他詳細不明』
十神「っ……!」
十神(日向がカムクライズルの姿へと変わった)
93 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:39:42.07 ID:eAg+4cOD0
十神(どのような能力なのか見ている目の前で……)
カムクライズル「……」
十神(太)「なっ……!?」
十神(ナイフによって付いた傷を一瞬で回復させて)
カムクライズル「……」
腐川「と、飛んだ……!?」
十神(跳躍して一息で岩山を登り、俺たちの前から姿を消した)
十神(後に残されたのは俺たち三人だけだ)
94 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:40:15.80 ID:eAg+4cOD0
十神(太)「逃げたのか?」
腐川「み、みたいだけど……でも、あいつの能力はどういうわけ?」
十神「……上々だな」
十神(日向にはまんまと逃げられた形だが……そもそも今回の俺たちの狙いは日向を殺すことではない)
十神(ゲームが開幕したばかりの今、一人減らそうがそこまで意味はないからだ)
十神(本当の目的は……日向の能力を見極めること)
十神(襲撃はあいつをピンチに追い込むことで能力を発動させるため)
十神(そして強い能力なら俺の能力でコピーして、ゲームを有利に進めるつもりだった)
十神「………………」
十神(カムクライズルになったあいつは傷の治癒、超人的な運動能力を見せて……なのに俺たちの前から一目散に逃げた)
十神(やつの能力は……おそらく……)
95 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:40:44.22 ID:eAg+4cOD0
十神「なるほど」
十神(太)「どうする、追うか?」
十神「いやいい、捨て置け」
腐川「い、いいんですか。あの能力のコピーを狙わなくて」
十神「ああ、あいつの能力は欠陥がある。最強にはほど遠い」
腐川「欠陥……?」
十神「脇道にそれるのは終わりだ。計画通りプランAを実行する。行くぞ」
十神(太)「いいだろう」
腐川「わ、分かりました、白夜様!!」
そうして三人もその場から姿を消した。
96 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:41:12.93 ID:eAg+4cOD0
<住宅地>
苗木(ルール解説も終わり、霧切さんとチームを組むことになった僕は次の行動を開始しようとしていた)
霧切「超高校級の能力なんて現実離れした能力がある以上、受け身になるのは悪手」
霧切「こちらから動いていきたいわね」
苗木「潜伏していてもバレるもんね」
苗木「少なくとも超高校級の探偵はもう一人いるわけだし」
霧切「最原君ね。全く同じ能力なのかは分からないけれど……」
苗木「でも、これからどう動くの?」
霧切「それは――」
苗木(霧切さんが口を開こうとしたそのときだった)
97 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:41:41.38 ID:eAg+4cOD0
モノクマ『死体が発見されました!!』
苗木「っ……!!」
苗木(モノクマによって島全域にアナウンスが流れる)
苗木「今のは……えっと、ルールだと誰かが死亡した時点で流れるんだったよね」
苗木「ゲームも始まったばかりだってのに誰が……」
霧切「しっ……まだみたいよ」
苗木「え……?」
モノクマ『死体が発見されました!!』
苗木「っ、二回目!?」
苗木(今のほとんど間隔が無かったけど……ほぼ同時に二人も殺されたの!?)
苗木「一体、何が起きているんだろう……」
霧切「…………」
98 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:42:14.70 ID:eAg+4cOD0
――時を少しさかのぼる。
<森林地帯>
大神「最初の相手はお主か」
辺古山「くっ……!」
ゲーム開始直後のタイミングで、77期生と78期生の武道家を極めし二人が激突しようとしていた。
99 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:42:52.17 ID:eAg+4cOD0
<森林地帯>
超高校級の格闘家、大神さくら。
超高校級の剣道家、辺古山ペコ。
一流の武道家である二人。
一期しか違わない点から何かと比較されがちである二人。
お互いの能力も。
『能力:超高校級の格闘家』
『格闘家としての力、技術を発揮できる』
『能力:超高校級の剣道家』
『剣道家としての力、技術を発揮できる』
武闘派の生徒にかけられた枷として、現実と特に変わらない状態だった。
100 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:43:18.80 ID:eAg+4cOD0
ホープロワイヤルの主旨、どの希望が一番優れているのかを体現したような戦いは。
大神「逃がしはせんぞ!」
辺古山「くっ……!」
逃げる辺古山を大神が追う展開となっていた。
101 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2019/02/02(土) 21:43:48.24 ID:eAg+4cOD0
剣道三倍段という言葉がある。
剣道家相手に素手で戦う者は三倍の段位があって互角であるというものだ。
それだけにリーチの差は大きい。
つまり本来は剣道家である辺古山が有利のはず。
なのにどうして現在辺古山が逃げる状況になっているのか。
それは剣道家としての本領を発揮できていないからだった。
開始直後、この島に飛ばされたばかりで準備する時間も無かったタイミングで大神と出会ったため。
現在の辺古山は竹刀もその代わりになりそうなものも持っていないのである。
手元にあるのはプレイヤーの初期装備、電子生徒手帳だけだ。
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