マクギリス「インフィニットストラトス…胸が踊るな」

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313 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 23:20:04.08 ID:qDoxBy9m0
マクギリス「書き込み出来ていないと思ったら書き込まれていた罠。」

マクギリス「では、キリも良いし一時中断だ、また土曜日に余裕があれば書き始めよう」

マクギリス「しかし、近頃は暑過ぎて死ねるな。諸君はくれぐれも熱中症などには気をつけてくれ」

マクギリス「さて、階級は中尉まで上げる事が出来た。准将までは遠いな…」

マクギリス「スターウイニング、強いな。とはいえ散々たたかったら慣れたおかげで取れなくはない部類になったが」

マクギリス「諸君もまた、頑張ってくれ。私も色々と頑張るのでな」

マクギリス「バエルの元へ集え!」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 16:16:09.43 ID:LAAZcnxz0
おつ
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 16:25:13.81 ID:h6e4p1RtO
一度マッキーとガリガリで殴り合い宇宙なり芝生ゴロゴロなりやってもらいたいものだ
316 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 20:57:11.26 ID:3fffBpEc0
マクギリス「随分と、暇なようだな。ガエリオ」

ガエリオ「友の為ならば、時間を割くのは当然だ。そうだろう、マクギリス」

マクギリス「友、か…誰の事だ?」

ガエリオ「…また目を逸らすつもりか、マクギリス」

マクギリス「お前こそ、今更なんのつもりだ。俺を友などと…」

ガエリオ「確かに、今更なのかもしれないな。友と呼んでいた男がどんな扱いを受けていたかも知らず、本心も知らず。挙げ句その心を救えずに死なせた。その汚名すら良しとして生きるしか無かった俺には、お前の友である資格も無いのかもしれない」

マクギリス「何を言っている。…隠したのは私だ。そして、利用し、切り捨て、殺したのも私だ。そんな私を君は友と呼ぶつもりか?」

ガエリオ「ならば俺とて、お前を殺した。そんな俺を、お前はあの時…」

マクギリス「それを否定したのは君だろう、ガエリオ。…全ては、終わった事だ。」

ガエリオ「違う、まだ終わっていない、いなかった!此処でこうしてお前と話す機会があった、話さなければいけないんだ!今度こそ、お前を…俺は…!」

マクギリス「私には必要ない。…許されるつもりも、ない」

ガエリオ「お前は死んでもなお足りないと言うのか!?それだけの罪を背負うのが当たり前だと言うつもりか!?」

マクギリス「今更何を言う、ガエリオ。それが、私の道だ」

ガエリオ「愚直にも程があるぞ、マクギリス…お前を慕うあの子たちはどうなる!?彼らにすら背を向け、目を逸らすのか!」

マクギリス「彼らは知らないだけだ。私という人間を。知れば嫌悪するだろう」

ガエリオ「…本気で、そう思うのか、マクギリス…」

マクギリス「失礼する。私も、忙しい身なのでな」

自室に逃げ込む。…そう、今更なのだ。切り捨てた身でありながら、今更その暖かさに浸る資格など、あるはずが無い。
317 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 21:08:25.48 ID:3fffBpEc0
翌日、放課後。

マクギリス(やるべき事は、やらなくてはな…)

4組に、簪を迎えに行く。道中、整備を手伝えそうな人員に声をかけて。

簪「大丈夫?なんか、疲れた顔してる、ような…」

マクギリス「心配は無用だ。君の機体を完成させねばならない。その為に、何人かに手を貸してもらう事にした」

簪「ありがとう…」

マクギリス「それは彼女らに言ってやれ。私では、基礎的な事しか担当出来ないからな」



ラウラ「貴様は知っているのだな、何故マクギリスが我々を避ける様になったのか」

セシリア「教えて下さい、あの方に何があったのか」

シャル「僕はあの人の口からしか聞いた事はないんだ。だから、知りたいんだ。あの人を、もっと」

ガエリオ「わかった。だが、約束して欲しい。マクギリスを、あいつが過去に何をしていようと、見捨てないと。見限らないと」
箒「無論だ。マクギリスは、私達のかけがえのない仲間だ」

鈴「胡散臭かったのは昔だけだしねー。今では大切なライバルよ」

一夏「俺はあの人を超えたい。教えてくれ、あの人を」
318 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 21:27:20.60 ID:3fffBpEc0
タッグマッチ前日。本音や新聞部の黛らの手助けもあり、実戦には耐え得る完成度へと、簪の機体…打鉄二式は仕上がった。

楯無「どう?私の機体のデータ、役に立ったでしょ?」

マクギリス「ああ。これならば、明日の試合には問題ないだろう」

その会話をとある少女が聞いていた事に、誰も気付く事は無かった。

楯無「で、貴方はいつまで避けるの?あの子達を…」

マクギリス「…なんの話だ、楯無。避けていたのではなく、彼らに割く時間が無かっただけだ」

楯無「嘘ばっかり。ただ、私の考えを述べるなら…一度死んだなら、もう良いじゃ無い。終わった事だって、開き直っても」

マクギリス「君は要らない事を知り過ぎだな。…私に、そんな資格はない。今更なんだよ」

楯無「それこそ今更よ。貴方がそうして勝手に抱えたまま生きるのをあの子達は誰も望んで無いわ。自覚しなさい、モテ男」

マクギリス「…やれやれ、愚かな事だ…」

楯無「それは、誰に対してかしら?」

マクギリス「…」

楯無「ま、良いわ。タッグマッチが済んだら、きっちり話しなさい。あの子達と」

そう言って、私の部屋を後にして行った、更識楯無…困った女だ。
319 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 21:39:35.73 ID:3fffBpEc0
タッグマッチトーナメント当日。

マクギリス(簪、一体何処に行った…既にアリーナに向かって居るのか?)

開会の挨拶に立つ楯無との姉妹仲は良好では無かったのは知っていたが、よもやこれまでとは。

その姿を探し、走る。…突如走る衝撃と、警告。

マクギリス「なんだ、一体…」

胸騒ぎに従い、アリーナへと駆ける。

目にしたのは群れと言うべきであろう、視界内だけで40は下らない、おそらくかつてグリムゲルデで下した無人機の発展型。それに抵抗する、専用機持ち達。

マクギリス「状況は最悪か…ならば、バエルで斬り開くのみ」

迷う事はない。ただ、力を示せば良いのだ。それだけが、俺に許された真実、俺にあるべき全てなのだから。

バエルを顕現させて、突喊する。さながら、かつてアリアンロッドに単独で挑んだ様に。
320 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 21:57:40.67 ID:3fffBpEc0
推奨BGM One Way

そう、孤独とは自由なのだ。自由である事こそが、最大の力を発揮し、最強の力となる。

独り、敵機の群れを蹂躙する。袈裟斬りにし、刺し貫き、抉り、刎ね、叩き伏せる。残骸を投げ付け、敵の注意を引く。暴力を見せ付け、本性を剥き出しにし、暴れ狂う。残骸の山を築きあげ、更なる残骸を作り上げる。

マクギリス「これこそが、唯一絶対の力だ!」

甲高くスラスターを吹かせ、敵の群れをすり抜け様に斬り、裂き、蹴り、刺し、抉り、断つ。

そうして暴れ回る最中に、簪を見付ける。…恐怖に竦み、打鉄を着ける事すら出来ていない。敵の魔手は、既に簪に届かんとしている。

敵の只中に居ることも忘れ、ただ全力で簪の元へ飛ぶ。攻撃が掠め、行く手を阻む。しかし、なおも飛ぶ。この身を動かす想いが、何なのかわからぬままに、簪と敵機の間に割り込み、攻撃を簪の代わりに受け、壁に叩き付けられた。

321 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 22:04:40.19 ID:3fffBpEc0
簪「え、っ、?嘘、そんな、マクギリス、っ?」

マクギリス「が、はっ…絶対防御やエネルギーバリアを無効化しているとは…無事か、簪…」

簪「わたしは、…でも、貴方が…!」

マクギリス「気に、するな。早く打鉄を、」

遅れながら打鉄を展開した簪を見ながら、機体状況を確認する。…攻撃を受けた部分の肉体へのダメージが酷い。骨折は間違いないだろう。

意識が、遠のく。…かつて、ラウラと起こした、他者と意識を共有する感覚。それに似ていた。
322 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 22:37:14.99 ID:3fffBpEc0
マクギリス《これは…あの時の…》

間違いない、かつてラウラと意識を共有したような感覚。…そこに現れたのは、彼女達だった。

ラウラ《マクギリス…お前は、私の嫁だ。たとえ、かつては悪鬼羅刹であろうが、今のお前は違う。私は知っている、お前の優しさを、暖かさを》

セシリア《私は知っていますわ、貴方の誠実さを。貴方がこの世界に来る前がどうであれ、今の貴方にも私にも、関係ありませんわ》

シャル《僕は知ってるよ。マクギリスがどれだけ優しくて、後悔を抱えてるか。それでも、他人に優しく出来る人なんだって》

箒《私はマクギリスを尊敬している。その気高さと、ただ力だけではない強さを。過去に囚われ、今から目を背ける男ではないはずだ》

鈴《アンタらしく無いわよ。過去でうじうじ悩むとか。アンタは大人なんだから、悩みを聞く側でしょ?》

一夏《皆、マクギリスに助けられた。マクギリスは俺達の仲間だ。前の世界だとか、罪だとか。そんなもん今のマクギリスには関係ないんだ。俺達にとって、マクギリスはバエル馬鹿なだけの大事な友達なんだ!》

楯無《言ったでしょ?此処にいる誰も貴方に苦行なんか求めてない。貴方と一緒に楽しい未来を過ごしたいの》

マクギリス《馬鹿な…俺の、本性を知った上で、そんな事を…》

ガエリオ《これが、彼らの本心だ。見縊るな、目を背けるな。…お前はもう気付いて居たはずだ、友情、愛情、信頼。それがいつしか自分にとっても大切になっていたことを》

マクギリス《そんな資格、俺には…》

ガエリオ《ええい、うじうじとお前らしくない!お前は俺の友だ!お前がなんと言おうがな!拒否権はこの全員が認めん!》

マクギリス《強引にも、程がある…》

ガエリオ《カルタや、アインの為に。そして友として、今度こそお前の心を救ってみせる》
323 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 22:44:01.46 ID:3fffBpEc0
マクギリス《まったく、困ったお人好し連中だな…》

ガエリオ《お前とて、俺が来るまで随分お人好ししていたじゃないか。今更目を逸らすな、馬鹿》

マクギリス《言ってくれる。だが…そうだな。ここまで言われて、目を逸らし続ける訳にもいかんな》

ガエリオ《わかったならさっさと働け。まずは…》

マクギリス《この窮地、乗り切るぞ。我々全員の力でな。見せつけてやろう、心なき機械では、我々には勝てぬとな》

ガエリオ《それでこそだ、親友》

その一言を皮切りに、意識は現実へと引き戻される。
324 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 23:02:27.98 ID:3fffBpEc0
目を開けば、簪の目前…簪を庇ったと思しき、倒れ臥す楯無。重傷ではあるが、まだ助かるはずだ。

簪「だ、誰か…助けて…」

既に損害は甚大。しかし、屈する訳には行かない。痛む体を、機体を無理矢理に起こす。

簪「だ、ダメ…そんな怪我で…」

マクギリス「簪。自ら立ち上がれ。この世に、都合良く助けてくれる英雄は居ないんだ」

簪「え…?」

マクギリス「かつて英雄と呼ばれた者たちが英雄足り得たのは、自ら困難を打ち破り、立ち上がって見せたからだ。彼らに、都合良く助けてくれる英雄は居なかったからこそだ」

簪「そんな…それじゃあ、どうしたら…」

マクギリス「自らの手で、仲間と共に、道を斬り開く。それを成し得た者だけが、英雄となりえるのだ。さあ、立ち上がれ。大切な物を、共に守ろう」

簪「大切な物を、共に…」

マクギリス「足りない分は、皆で補おう。さあ、目覚めの時だ」

簪の瞳に、強い力が宿る。
325 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 23:12:30.48 ID:3fffBpEc0
マクギリス「とはいえ、戦況は悪い。覆す一手が必要だ」

簪「何でも言って!お姉ちゃんを、皆を助ける為なら!」

マクギリス「良い答えだ。…幸い、その一手がある、いや、出来たと言うべきか。道を開けてくれ。バエルが高く飛び、全てを見渡せる位置まで」

簪「わかった!」

打鉄二式のミサイルハッチをフルオープン。マルチロックオンシステムの開発に難航し、手動で動かさざるを得なくなった多弾頭ミサイル〈山嵐〉その全てを解放した。

ミサイルの、まさに嵐を受け、敵の群れに穴が空く。

マクギリス「良くやった。此処から先は…私の出番だ」

バエルが、白き羽根を広げて舞い上がる。それは正に、見る者に可能性と希望を見出させる英雄の姿だった。
326 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 23:25:19.63 ID:3fffBpEc0
次回予告

ガエリオ「状況は最悪。敵は多数。正に地獄絵図と化す寸前の戦場で、遂にバエルが真の力を解き放つ」

シャル「天高く舞い上がる白き悪魔は、人を狩らんとする心無き天使たちに反撃の狼煙を上げる」

ラウラ「次回、インフィニット・マクギリス。アグニカの魂を継ぐ者の条件」

セシリア「これこそが、真の英雄足り得る者の力ですわ!」
327 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/11(日) 23:45:17.56 ID:3fffBpEc0
マクギリス「うーむ…なかなかにやはり、構想を文字にするには難しいものだな」

マクギリス「理解し難かったり多少突飛、強引な部分には済まないが脳内保管での対処を頼む。私の文才はこの程度らしいのでな…」

マクギリス「次は風呂から上がり次第、書くつもりだ」

マクギリス「想像を文字にする、というのは案外ままならないな」

マクギリス「一応、描写されていない部分は基本的に原作やアニメとは相違ないので足りない部分はそちらを参照して貰えるとありがたい」

マクギリス「では、しばらく待っていてくれ」
328 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/12(月) 01:06:45.25 ID:N+ciMqK/0
第十九話 アグニカの魂を継ぐ者の条件

マクギリス(やはり、押されている。この物量、尋常ではないな)

学園全体を襲う百を優に超す無人機。対するは専用機持ちと、戦闘教員。どちらが不利かは見るまでも無く明らか。

マクギリス(だが、目を背ける訳にはいかない)

この状況、覆さねば未来は無い。そして、覆す為の最初の一手は既に手にしている。

マクギリス(敵はエネルギーバリアと絶対防御に干渉、阻害している。不利な一番の原因はそれだ)

技量で勝る教員、専用機持ちが押される原因。

マクギリス(後はエネルギー問題。長期戦によるエネルギーの損耗が更なる不利を呼び込む)

その前提を覆せれば、勝機はある。高く舞い上がり、学園全域を見渡せるポジションに着く

マクギリス「さあ、お前の力を見せろ、バエル!」

ハイパーセンサーのリミッターを解放、味方機を細かく精査する。
329 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/12(月) 01:16:52.82 ID:N+ciMqK/0
推奨BGM Crescent Moon

「もう駄目だ…こんなの、勝てる訳が…」

絶望に負けそうな声を、塗り潰す。

「戦いは終わっていない!」

味方機と、敵機。その全てを視界に収め、的確に識別する。

「諸君らの輝かしい未来を、決して閉ざさせてはならない!」

正に道化。しかし、悪くないとさえ思えてくる。

「アグニカ・カイエルの魂は、常に我々と共に在る!」

全ての味方が、バエルに注目する

「ギャラルホルンの真理は此処だ!皆、バエルの元に再び立ち上がれ!」

剣を掲げ、その威光を示す。同時にバエルのワンオフアビリティーが発動、味方機のエネルギーを全回復させ、敵機からの干渉への抵抗性を付与。戦況を覆す準備は、整った。
330 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/12(月) 01:29:55.77 ID:N+ciMqK/0
押し負けようとしていた学園の戦力に、活力が戻る。

マクギリス「そうだ。これが始まりの一手。そして…」

当然、敵は無人機とはいえ、一番厄介な敵を今、理解したはず。

マクギリス「陣形も何もあったものではないな。正に烏合の集だ」

バエルを最優先の排除対象と認定した無人機の群れが、我先にと迫る。

マクギリス「今は機嫌が良くてな。勝利の凱歌を盤石にさせて貰おう」

再び、突喊。だが、かつてとは違う。仲間が居るのだ。それだけで、力が込み上げてくる。その力のままに、無人機を斬り伏せ、道を開いて行く。

マクギリス「各員は私に群がる敵を背後から撃て。奴等はもはや烏合の集、恐るるに足らず!」

刺突、貫手、殴打、蹴り、斬撃、砲撃、投げ。ありとあらゆる技を駆使して、死線を潜り、敵機を擦り抜け、攻撃を敵を利用して防ぎ、同士討ちをさせる。…オレンジの、閃光。かつて自分に向けられ、部下達を無慈悲に屠った光が、背後から迫る敵機を一瞬にしてガラクタに変える。光が駆け抜けた穴を、一機のISが飛び込んでくる。
331 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/12(月) 01:37:45.70 ID:N+ciMqK/0
マクギリス「なんだ、…」

飛び込んで来たのはキマリス。

ガエリオ「生きているか、マクギリス」

マクギリス「無論だ。まだ、終わる訳にはいかない」

ガエリオ「そうか。ならばちょうどいい。背中は任せろ、マクギリス。代わりに、俺の背中は任せる」

マクギリス「フッ…良いだろう。足を引っ張るなよ、親友」

ガエリオ「馬鹿を言うな、怪我人に遅れは取らん。無理するなよ、親友」

マクギリス・ガエリオ「「行くぞ…!」」

バエルの刃が、キマリスの槍が。敵を貫き、打ち据え、叩き伏す。レールガンの一撃が、キマリスのダインスレイヴが。敵に風穴を開けて行く。
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/12(月) 11:48:56.28 ID:RVUrUNju0
おつ
333 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/31(土) 20:25:22.29 ID:eHxv+uTd0
マクギリス「すまない、だいぶ待たせたな」

マクギリス「階級が上げられない…というか、ヴェルティゴ色々と酷すぎではないかな…」

マクギリス「ハイニューと組まれたら勝ち目が見えない…ライトニングの再来なんて次元ではないのだが…」

マクギリス「とりあえず、ゲージは八割か…残り二割が辛い」

マクギリス「親友から貰ったハイネデスティニーも組めたし、そろそろFAガールも組まねばな…」

マクギリス「首尾良くゲーム攻略が進めば、深夜にも書かせて貰う。あまり、期待しないで待っていてくれ」
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/01(日) 11:45:12.23 ID:CoRYqpsTO
ベルティゴだ二度と間違えるな
335 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/09/22(日) 01:29:34.11 ID:F8IRYo2D0
マクギリス「待たせて申し訳ない。色々、やりたい事を済ませていたらこんなにも時間が空いてしまった」

マクギリス「ベルティゴだったか。済まなかった。にしても、即消えてて流石に失笑を禁じ得なかったな。まあ、そんなものか」

マクギリス「階級をようやくあげる事が出来た。特に、やたらと強いヴァサーゴのお陰だがな。感謝する」

マクギリス「では、HGCEストライクを組みながら書かせて貰おう。というか、ストフリと言いこのシリーズハズレが無さすぎるな。素晴らしい。このようなクオリティで、是非ともMGバエルに臨んで貰いたいな」
336 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/09/22(日) 02:19:43.86 ID:F8IRYo2D0
三日月「コイツら、結構弱いな」

バルバトスのメイスに、無人機の一機が叩き潰される。

ガエリオ「信念も理想も無い、ただの機械か。俺たちの敵では無い!」

キマリスのランスが、敵のコアを貫く。

マクギリス「そうとも。いくら数を揃えようが、我々の敵でない。それを証明させて貰おう」

バエルの剣が、敵を両断する。

ガエリオ「…不思議な気分だ。懐かしいものだ、こうしてお前と肩を並べて戦えるとはな!」

バエルの背後を狙う敵機を、マシンガンが風穴を開けて行く。

マクギリス「私も、君と再び肩を並べるとはな。望むべくもないと思っていた…だが、悪くない」

キマリスに襲い掛かる敵を、イグニッションブーストで加速した刺突で串刺しにする。沈黙した敵機を剣を振り、別の敵に叩き付ける。

一気に覆された戦局。ガンダムフレームによる蹂躙の嵐。敵が全滅するまで、さほど時間はかからなかった。

セシリア「お、終わりましたのね…」

鈴「みたいね…つっかれた…」

一夏「皆、大丈夫か?」

箒「こっちは大丈夫だ。なんとか、だがな」


337 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/09/22(日) 03:07:40.74 ID:F8IRYo2D0
マクギリス「…く、っ…」

敵の全滅を確認し、バエルを収める。同時に、膝をつく。

マクギリス(少し、無茶をし過ぎたか。力が入らんとは…)

ガエリオ「無茶をするな、マクギリス。今医務室に連れて行く」

ガエリオの肩を借り、立ち上がる。

マクギリス「まさか、君に肩を借りるとはな…楯無は、無事か…?」

ガエリオ「先に妹が連れて行った。お前はお前の心配をしていろ。…今度は生きろ。なんとしても」

マクギリス「フッ…ああ、解っているさ。彼らを、悲しませたくはない…」

ガエリオ「…そうだ。ちゃんと、目を逸らさずに向き合ってやれ。それがお前のすべき事だ」

友に…親友に担がれ、医務室に運ばれる。傷は痛むが、何か温かいモノが、私の心を満たしていた。
338 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/09/22(日) 04:11:16.14 ID:F8IRYo2D0
次回予告

マクギリス「全く…つくづく、君とは縁があるな」

楯無「あら、不満?人の胸を見ておいて?」

マクギリス「不可抗力だ。カーテンが破損し落下するなど予想外にも程がある」

楯無「責任、取ってね☆」

マクギリス「困った女だ…」

楯無「次回、インフィニット・マクギリス。辿り着いた先」

マクギリス「私を振り回せるのは君くらいだ」

楯無「特別って事かしら。照れちゃうわ」

マクギリス「勘弁してくれないか」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 00:48:36.34 ID:vBjYcJxo0
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/13(日) 08:47:57.58 ID:RbrEXGpl0
アーキタイプ・ブレイカー・・・
341 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/10/19(土) 15:55:08.57 ID:cdSxNF+rO
マクギリス「随分待たせてしまっている。申し訳ない」

マクギリス「なかなかに、書く余力も時間もなくてな…」

マクギリス「今日も名古屋に今から遠征せねばならないのだ。夜には共闘。深夜帯、書ける余力があれば書かせてもらいたい」

マクギリス「果たすべきは果たす。完結は必ずさせるので、気長に待って欲しい」
342 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/10/27(日) 21:44:53.41 ID:paBSzhzv0
第二十話 辿り着いた先

マクギリス「まったく、負傷者である身を鑑みて欲しいのだがな」

千冬「すまない。だが火急の事態なのは理解しているだろう」

地下の秘匿施設。そこに集められた、私とガエリオ。

ガエリオ「奴等の機体、何か解ったのか」

千冬「…ああ。エイハブリアクターの搭載、それに登録の為されていないコア。厄介な案件と言わざるを得ん」

マクギリス「待て、待ってくれ。エイハブリアクターだと?」

ガエリオ「どうした、マクギリス?エイハブリアクターがあると不味いのか?俺たちの機体も同様だろう」

マクギリス「今現在、エイハブリアクター、そしてコアの技術。そのどちらをも持ち得るのは、ただ一人なんだ」

千冬「無論、コアの作製を行える者は他にいたとて可笑しくはない。だが、エイハブリアクターは…」

マクギリス「そう、ギャラルホルン製しか現存し得る筈がない。製法を知るのは、協力関係にある束博士…無論、コア技術はギャラルホルンを持ってしても解明出来ていない」

ガエリオ「待て、それでは…いや、まさか」

マクギリス「仮想敵の最有力候補に、あの天才がなってしまうのだ」
343 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/10/27(日) 22:00:15.13 ID:paBSzhzv0
ガエリオ「待て、それは流石に…妹である篠ノ之箒も居るんだぞ!?そんな施設を襲わせる筈が…」

マクギリス「私とて、世界のパワーバランスを簡単に変え得る人間が分別が付かない、そんな存在である可能性というのは認め難いし、寒気すら覚える」

千冬「まだ、奴であるという可能性は五分だがな」

マクギリス「確かに、あの女が本当に敵に回ったのならば、キマリスの件が可笑しな話しになる」

ガエリオ「確か、テロリストが無人機として使ったのだろう?奪った機体を改造して」

マクギリス「ああ。コアもエイハブリアクターも、わざわざ奪取された物。本当に束博士が奴らと繋がりがあるならば。奪取せずとも、キマリスを作るくらい簡単な筈だ。それをしたのは…」

ガエリオ「無人化技術との親和性テスト、並びにエイハブリアクターのデータ収集の為の試作品だったという訳か、このキマリスは」

マクギリス「そう考えるのが自然だろう。事実、以前襲撃を仕掛けて来た無人機にはエイハブリアクターは搭載されていない。そして何より、奴はバルバトスルプスレクスを手掛けている。つまり、今更エイハブリアクターを奪わずとも、自力で作製出来るのは間違いない」

ガエリオ「…となると、エイハブリアクター、そしてコアの作製出来る第三者か…」

千冬「もしくはカムフラージュか、だな。いずれにせよ、確定的な証拠にはなり得んか…」
344 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/10/27(日) 22:17:47.58 ID:paBSzhzv0
マクギリス「だが、少なくとも彼らはこちらの動きを完全に把握しているのは間違い無いな」

千冬「内通者、か…」

マクギリス「亡国企業、そして無人機。どちらをも警備の穴を的確に突き、かつ我々の行動に邪魔を入れている。内通者無くして、ここまで我々の動きが抜ける筈がない」

ガエリオ「問題は、どこの誰か、ということか…」

マクギリス「職員か、生徒か。代表候補生に裏切り者が居る、とは考えたくはないがな…」

ガエリオ「…そうだな。俺とて彼らを疑いたくはない」

マクギリス「ともかく、こちらは奴等に対して、後手に回るしかないな。本来であれば、我々が対処するのは可笑しな話なんだが、な…」

千冬「すまない、迷惑を掛ける」

マクギリス「気にしなくて良いさ。こちらは襲撃を受ける身だ…降り掛かる火の粉は、払わなくてはな」

マクギリス「…そう言えば修学旅行の件は?流石に中止になったとは思うが…」

千冬「最悪だが、決行だそうだ。上層部はテロには屈するつもりはない、などと息巻く馬鹿どもが多いようでな…」

ガエリオ「馬鹿な、本拠地であるIS学園でこれだというのにまた警備の手薄にならざるを得ない行事だと?」

マクギリス「あるいは、業を煮やしたのかもな」

ガエリオ「なんだと?まさか…」

マクギリス「釣り餌、という事かもしれん。奴らを釣り上げ、駆逐する為の」

ガエリオ「生徒を危険に晒して、か」

マクギリス「まだ、上の真意は測りかねるがな」
345 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/10/28(月) 04:18:08.67 ID:E0AHWxav0
マクギリス「ちょっと仮眠のつもりが、こんな時間まで寝てしまうとは…やはり最近疲れているのか…」

マクギリス「すまないが、今日はここまでだ。来週は夜勤明け故、更新にはあまり期待しないでくれ」

マクギリス「では、また次回」
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/30(水) 22:51:20.46 ID:MtAGNX8d0
347 : ◆3DtvXoE6Vc [saga sage]:2019/11/14(木) 22:08:50.59 ID:SxHM8GK5O
マクギリス「ヤークトアルケー…なんだか楽しそうだな。だがバエルに乗る(決して散らない鉄の意思)」
348 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/12/07(土) 23:09:51.32 ID:9d1nOlc60
マクギリス「長らく待たせてしまってすまない」

マクギリス「残念だが、現状かなり忙しくてな…土曜出勤ラッシュの11月が終われば、もう年の瀬だ。大掃除にクリスマスのプレゼントの作成等、書く時間がなかなか取れないのだ…」

マクギリス「月末まで、あまり余裕は無さそうだ。今しばし、待っていて欲しい」

マクギリス「ところで、クロスレイズ…楽しいのだろうか?戦略ゲームは好まないタイプではあるのだが、やはり私としてはバエルが気になる。まあ、やる暇が無いのだが」

マクギリス「最近、寒くなって来ている。風邪やインフルエンザには気をつけて欲しい。今年も残りわずか、共に駆け抜けよう」
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/08(日) 17:23:27.22 ID:fb7+QhWJO
楽しいも何もあんたクアンタやらストフリやらに乗ってめっちゃ楽しそうにしてましたやん
350 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/12/31(火) 19:34:46.87 ID:oMQt9e620
マクギリス「使わせて貰うぞ、イオリア…」

マクギリス「クリスマスにクロスレイズを貰ってしまった。バエル、やたらと使い勝手が良くて良いな。フェイズシフトなど、バエルソードの前には無力…!」

マクギリス「さて、諸君。大変待たせてしまったが、のんびりと書きながら年越しをさせて貰おう」

マクギリス「では諸君、来年もバエルの元に集え!」
351 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/12/31(火) 19:48:47.23 ID:oMQt9e620
マクギリス「それで、いくつ確保出来たんだ?当然、秘匿するのだろう?」

ガエリオ「なに?それはなんの話だ」

千冬「やはり、気付くか。お前ならば。確保したコアは14機分だ」

マクギリス「それだけの数を悪戯に晒せば、水面下での奪い合いに繋がりかねない。とはいえ、隠せば学園を危険に晒す」

ガエリオ「…面倒な事だな。いっそ壊してしまえばいい。そうすれば、要らぬ争いにはならない」

マクギリス「事はそう簡単ではないのさ、ガエリオ。戦力が必要なのは諸外国だけではない。…この学園も、戦力が必要なのさ。特に、事態が混迷しつつある現状には、な」

ガエリオ「だから使う、ということか」

千冬「ああ、そういう事だ。本来なら学園に戦力なんぞ要る事態になる方がおかしいんだがな…」

マクギリス「致し方ないさ。我々の様なイレギュラーに、一夏。火種は撒かれてしまっている。…ともかく、機体の手配はこちらでしよう。ギャラルホルンならば、秘密裏の輸送が出来る。ガエリオ、君の力を借りたい」

ガエリオ「いいだろう。何をすれば良い」

マクギリス「レギンレイズのデータだ。覚えている範囲で構わない。多少なり、性能を向上させる事が出来れば御の字だ。アリアンロッドに居た君ならば、多少は目にしただろうしな」

ガエリオ「なるほど、それを量産して学園の護りにとするわけだな」

マクギリス「ああ。この場所は、失うには惜しい…いや、失う訳にはいかない」
352 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/12/31(火) 20:16:25.27 ID:oMQt9e620
ガエリオ「…ふっ」

笑われた。何故だ。

マクギリス「…笑う所だったか?」

ガエリオ「いや、すまん。お前も随分と良い方向に変わったものだと、な。…夢にも思っていなかったからな」

マクギリス「夢ではないさ。彼らとの生活は、決してな」

千冬「…ともかく、明日には事情聴取もある。今日はもう休め。ファリド、機体の方は出来る限り急いでくれ」

マクギリス「ああ、解っている。行くぞ、ガエリオ」

ガエリオ「…ああ。行こう、マクギリス」
353 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/12/31(火) 22:02:57.01 ID:oMQt9e620
翌日。事情聴取の為に部屋を出た私の前に居たのは簪だった。

マクギリス「…何故、私の部屋の前に?」

簪「ま、ママ、マクギリスも、行く、でしょ?」

マクギリス「ああ、事情聴取かな?無論だとも。共に行こうか…ところで、楯無の具合は?」

簪「お姉ちゃんは…しばらく、医療室で経過観察…」

マクギリス「無理もない。彼女に見舞いの差し入れが必要だな。楯無は何が好きなんだ?」

簪「けん玉。」

マクギリス「確か、玉を木槌で突き上げるなどして遊ぶ玩具だったか。意外だな…後は編み物などはどうかな」

簪「お姉ちゃん、編み物は…下手」

マクギリス「ふむ…良い機会だ、編み物もついでに入れておこう」

簪「マクギリス、いじわる…」

マクギリス「ささやかな仕返しさ。彼女には散々振り回されているんだからな」

簪「ふふっ…」

マクギリス「ところで、その紙袋は?」

簪の抱える紙袋が、気になり始めた。
354 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/01(水) 00:24:15.37 ID:4z+dM3RH0
簪「これは…マクギリスに、見て欲しいの…」

マクギリス「ふむ、これは…」

中身は、この時代のデータ記録媒体…アニメーションを記録したDVDだった。

簪「良かったら、見てみて…欲しい」

マクギリス「この国の文化なんだったな。ちょうど良い、学ばせてもらおう。アニメ文化というものを」

マクギリス「にしても、これほどの種類とは…よほど、好きなんだな」

簪「う、うん。…好き…」

マクギリス「これは…ロボット、か?興味深いな」

簪「あ、の…」

マクギリス「ん?どうした、顔が赤いが…」

簪「だっ…大好き…!」

マクギリス「あ、ああ…」

簪「そ、それじゃ…!」

そのまま、走って先に行ってしまった。

マクギリス「…よほど、アニメが好きなんだな。そんな簪が勧めるのだから、とても素晴らしいんだろう」

紙袋を抱えたまま、聴取の現場たる指導室へ。…何故だか、嫌な予感がする。
355 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/01(水) 00:32:12.22 ID:4z+dM3RH0
マクギリス「さて、すまないが明日は所用でな。朝早くから出掛けねばならんのでここまでだ」

マクギリス「明日も夜には書きたいと思う」

マクギリス「では諸君、明けましておめでとう。今年もまた、読んで貰えると嬉しい」

マクギリス「ところで、正月特別編とか…やはり、読みたいかね?読みたいと思うのであれば「さあ、目覚めの時だ…」と、本編、早く進めろ!と思うのならば「アンタ何言ってんの?」と書き込んで貰いたい」

マクギリス「では、また明日の夜に」
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/01(水) 01:35:22.18 ID:xmJQCDOG0
あけおつ
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/01(水) 01:35:44.53 ID:Q3zwRuvoo
あけましておめでとうございます、さぁ目覚めの時だ…!
358 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/01(水) 19:48:17.09 ID:4z+dM3RH0
正月特別回「ニューイヤー・ニューアグニカ」

一夏「いやぁ、今年も無事乗り切れたな」

初詣の列に、早朝から並ぶ中で一夏がぼやいた。

マクギリス「無事…なのか?散々大変な目にあった気がするのだが…」

一夏「頼む、言わないでくれ。新年早々嫌な事件を思い出したくない」

シャル「今年は何も無いと良いなー…いや、やっぱ無理かな…」

ガエリオ「やめないか、新年早々に気が滅入る。…しかし、これが日本の風習か」

箒「ああ。新年には神社に初詣に行き、新しい年が良き一年になる様に祈る」

鈴「まあ、細かい作法とかは気にしないで良いわよ。取り敢えず神頼みってもんなんだし」

ラウラ「まあ、細かく言われても分からんのだがな」
359 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/01(水) 20:37:45.45 ID:4z+dM3RH0
「右から2番目、ワンテンポ遅れてるわよ!はいもう一回!」「「「「「「「新年、明けましておめでとうございます!」」」」」」

ガエリオ「なあマクギリス、今の声…」

マクギリス「気のせいだガエリオ。気にしてはいけない」

一夏「…えっと…うん、気にしないでおこう。にしても、他の皆も来れたらなー」

マクギリス「仕方ないさ。大半は帰国せねば家族に会えんしな。更識姉妹とて本家に顔を出さん訳にはいかんだろうしな」

ガエリオ「これ以上の大所帯では、色々苦労するだろうしなぁ。…と、俺たちの番みたいだ」

マクギリス「確か、賽銭箱に金銭を入れて、ご利益を願う…だったな」

箒「ああ。15円辺りでいいと思うぞ」

マクギリス「そんな低価格で?何か意味が?」

一夏「十分に御縁があります様に、ってさ」

ラウラ「なるほど、語呂合わせというやつだな」
360 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/02(木) 00:15:00.43 ID:LEzlBqZd0
マクギリス「成る程。日本人は古来よりその様なげん担ぎを生業としてきた訳か」

納得して、小銭を賽銭箱に放る。

鈴「これやんないと、新年って感じしないのよねー」

ラウラ「そんな物か」

シャル「ねえ、おみくじ引いてみない?」

箒「うむ。先行きを見てみるのも正月の醍醐味だな」

マクギリス「…おみくじ、か」

ガエリオ「どうした、マクギリス」

一夏「前回は凶引いてたからな。まあ、今回は大丈夫だろ」

揃って、おみくじの紙を開く。結果は…

マクギリス「なん、だと…?」

シャル「あちゃ、凶だったんだ…」

ガエリオ「くじ運が無いな、マクギリス…俺は中吉だな。何、恋愛の兆しあり、だと?」

マクギリス「犯罪だぞ、ガエリオ」

ガエリオ「待てマクギリス、生徒に手を出すつもりはないからな!?というかお前に言われたくないわっ!」

シャル「あー、婚約者は9歳だったんだっけ…僕は吉かな。幸せが陰ることは無い、らしいよ」

361 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/02(木) 00:34:58.84 ID:LEzlBqZd0
マクギリス「…波乱、留まる事を知らず。そろそろ胃に穴が空きそうだ」

ラウラ「そう肩を落とすな、嫁よ。私は大吉だから、運気を分けてやる」

マクギリス「ありがとう、ラウラ…」

鈴「うーん、末吉かー…」

箒「私は大吉だぞ」

鈴「ドヤ顔やめなさいよ、腹立つわね」

一夏「喧嘩すんなってお前ら…お、俺も大吉だ」

マクギリス「ドヤ顔はやめて貰おうか、抉るぞ」

一夏「何処を!?」

ガエリオ「まったく、僻むなよマクギリス…色々変わり過ぎだろ、お前…」

マクギリス「ガエリオ、再度言っておくが生徒は犯罪だぞ」

ガエリオ「さっきのは悪かったから犯罪犯罪言うのはやめろ!周りの目が痛い!」
362 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/02(木) 02:13:51.70 ID:8AdGDS/rO
ガエリオ「で、これからどうする」

一夏「絵馬にお願い事を書いたり、かな」

マクギリス「それはまた…なんだか、他力本願な気がするのだがな」

箒「まあ、叶えてくれたらありがたい、程度の物だ。あまり変な願いにはするなよ?」

鈴「そうそう。あたしは…取り敢えず秘密」

ラウラ「ふむ、私は嫁との幸せな結婚生活だな」

シャル「ラウラ、それは色々とおかしいよ…僕は皆と笑って過ごせたら良いかな」

マクギリス「…楯無がもう少し自重という言葉を理解してくれますように、かな…」

ガエリオ「どれだけ振り回されて来たんだ、お前…俺は、そうだな。……いや、俺はいい。あまり思い付かない」

一夏「そうか?俺は無病息災かな」

箒「年寄りかお前は…私は…うん、私も秘密だ」

一夏「なんだそれ。まあ、他人の願いを詮索する趣味は無いけどさ」

363 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/02(木) 18:31:15.35 ID:LEzlBqZd0
一夏「書いた奴は皆掛けたなー?あとはお守りくらいか?」

箒「だな。…む、甘酒を配っているな。皆で貰おう。体が温まるぞ」

マクギリス「甘酒?」

ガエリオ「君たちは未成年だろう?感心しないな」

鈴「字面だけ見るとアウトだけど、分類的にはお酒じゃないから大丈夫よ」

シャル「へー…あ、美味しい」

ラウラ「ほんの僅かだがアルコールがあるな。1%未満だろうが」

マクギリス「よくわかるな、それを…ふむ、これはこれで良いな」

一夏「まあ、マクギリス達には新鮮だろうな」

マクギリス「三百年後のギャラルホルンには見られない文化だからな。いや、もしかしたらイシュー家やクジャン家ならばこの様な文化を知っていたかもな」

ガエリオ「確かに、あの二人が好みそうな気風だな」
364 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/03(金) 01:15:03.64 ID:ZJjE7lhH0
マクギリス「で、次はお守りか。…私は厄除けだな。どこぞの会長という厄をなんとかして欲しい」

ガエリオ「お前がお気に入りなんだろう。微笑ましいじゃないか」

マクギリス「その台詞、あの女に振り回されてから言って欲しい」

ガエリオ「やけに言うな。まあ、お前が周りにしっかり目を向ける様になった証なんだろうがな…俺は…そうだな、旅行安全といこう」

一夏「どっか旅行でも行くのか?俺は家内安全かな」

箒「お前は…いや、もう何も言わん。私は…恋愛成就だ」

鈴「あたしもあたしも」

ラウラ「私は子宝祈願にすべきと、クラリッサが言っていたな」

シャル「待とうかラウラ、その副官絶対ダメなタイプだから」
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 07:58:17.75 ID:/oiLt37u0
とりあえず乙
366 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/08(水) 17:59:21.91 ID:GT+cQf3V0
マクギリス「にしても、これが初詣か。馴染みは無いが、悪くはないな」

一夏「だろ?誘って良かったぜ」

箒「うむ。祝い事は大勢で楽しむべきだ」

マクギリス「ああ。では諸君、改めて…」

「「「「「「「「明けましておめでとう!今年も宜しくお願いします」」」」」」」」




オルガ「今年も一年、止まるんじゃねえぞ…」

三日月「うん。俺たちは止まらない」
367 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/08(水) 18:04:23.48 ID:GT+cQf3V0
マクギリス「さて、正月記念回はここまでだ。次回からは本編に戻ろう」

マクギリス「本当は三箇日中に終わらせるつもりだったが、携帯を祖父母宅に置き忘れるというミスを冒してしまったのだ…」

マクギリス「ともかく、早ければ今週末には更新するつもりだ。気長に待っていて貰いたい」

マクギリス「では諸君、新年もバエルの元に集え!」
368 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/13(月) 01:28:50.64 ID:UPKgVDo30
指導室に着いた私だったが、何やら騒がしい事に気付く。

意を決して、ノックを行い中に入る。

ガエリオ「いやだから、折檻ってなんだそれはっ!?」

カルタ「お黙りっ!この世界に居る時点で無様を…」

取り敢えず、ドアを閉める。部屋を間違えた様だ。

ガエリオ「いや待てマクギリス、助けてくれ!」

カルタ「逃がさないわよ!というかマクギリス、貴方も来なさい!」

マクギリス「…どういう状況なんだ、これは。何故、君が此処に居るんだ、カルタ」

仕方なく、ドアを開け直す。そこには、よく知る二人が居た。

カルタ「それは私の台詞よマクギリス!コイツだけじゃなくて貴方までこっちに来てるなんて!」

ガエリオ「相変わらず俺の扱い雑だな…」
369 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/13(月) 02:08:11.23 ID:UPKgVDo30
マクギリス「…何故、か。君と同じさ、カルタ。私も命を落とした、それだけだ」

カルタ「…そう。貴方も、鉄華団…だったかしら、に?」

マクギリス「いや、違う」

ガエリオ「俺は死んだ覚えはないぞ、言っておくが」

マクギリス「…えっ」

カルタ「…えっ?」

ガエリオ「色々ありすぎて詳しく話せて無かったが、俺は死んだ覚えはないんだよ。普通に暮らしていたら、何故かこの世界に飛ばされた。それだけだ」

ガエリオ「…で、だ。マクギリス。…やはり、打ち明けるのか?全てを」

マクギリス「…当たり前だろう。カルタには知る権利も、断罪する権利もある…隠し立てする事は、許されない」

そうして、私は全てを打ち明けた。私の死の経緯を。行いを。…カルタが命を落とす様に仕向けたのは、誰か、を。
370 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/01/25(土) 17:49:00.43 ID:yHYwmq2HO
一夏「マクギリス、大変だああっ!」

マクギリス「うん?どうした、一夏」

一夏「これを見てくれっ!」

マクギリス「これは…」

2020年 マキシブーストON 発売決定

マクギリス「…フッ、ハッハッハッハ!」

ガエリオ「乗れ、マクギリス。(家庭用で)乗れるのだろう?」

マクギリス「俺は先に(家庭用に)進むぞ、ガエリオ…!」

セシリア「サバーニャもありましてよ!乱れ撃ちですわ!」

箒「フルセイバーも良いな。トランザムすれば紅椿だ!」

ラウラ「エクセリアに乗ればバエルと組みやすいな。練習しよう」

シャル「アリオスはコストアップしてGNHW付きになったね。これも機動力あるしバエルの援護しやすいかな」

楯無「色んな機体が増えてるから良いわね。どれにしようかしら」

簪「皆、気が早過ぎ…」
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/26(日) 13:24:54.70 ID:oa6i8wTB0
マキシブリス乙
372 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/12(水) 18:19:43.90 ID:PsRtodlj0
マクギリス「…つまり。君や君の部下を間接的とは言え殺したのは、この私だ」

カルタ「なるほど、ね…あああ、もう、腹立つわぁ!」

マクギリス「君の怒りも当然だ。如何なる断罪でも甘んじて受けよう」

カルタ「違うわよっ!つまり結局のところ私があいつらより、弱かった!全て貴方の評価程度の力しか無かった!そういう事じゃないの!」

ガエリオ「カルタ、お前…」

カルタ「私が強ければ良かった!弱かったから貴方の思い通り!違うかしら!?」

マクギリス「いや、それは…」

カルタ「はぁ…今更もう、恨む気は無いわ。なんだかんだでこっちも楽しいし、今の私は立場ある身の上。貴方に手を出してしまえば部下共々路頭に迷う羽目になる。そんな選択は出来ないわ」

マクギリス「…やはり君は、変わらないな。高潔で誇り高い…」

カルタ「で、ガエリオ。やっぱりアンタも無様晒してるじゃない!?ここ一番でマクギリスに負けたとか武官ぶってた癖に情けないわね!」

ガエリオ「いきなり矛先がこっちに!?仕方ないだろう、流石に動揺したんだ!」

マクギリス「そう仕向けたのは私だ。ガエリオを責めても仕方ないさ」

カルタ「…はあ、もう良いわ。聴きたい事は聞いたしさっさと帰りなさい、つぎがつかえてるのよ」

ガエリオ「やっぱり俺の扱い雑だな…同じ幼なじみなんだがなぁ」

カルタ「次、入りなさい」

ドアを開けて告げるカルタ。応えたのは…

三日月「あ、俺?」

カルタ「その、声…バルバトスの…」

三日月「ん?誰だっけ」

マクギリス「か、カルタ?どうした?」

そのままガタガタ震えると、パタリと倒れた。…どういう事だ

ガエリオ「か、カルター!?しっかりしろ!」

カルタ「バルバトス怖いバルバトス怖いバルバトス怖いバルバトス怖い」

ガエリオ「トラウマになってる!?しっかりしろ、カルタぁあ!」

373 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/12(水) 18:51:20.32 ID:hK39ynjD0
数日後。女子のスリーサイズを測るという楯無の謀略や、一夏の風邪などを乗り越え学園の機能が取り戻されつつあった。

マクギリス「三日月、ガエリオ。少し、私に付き合ってくれ」

三日月「どしたの?」

ガエリオ「ガンダムフレームのパイロットを集めてとは、穏やかでは無いな」

マクギリス「何、そう深刻な話では無いさ。先の戦いでのダメージチェックとシステムメンテナンスが必要だろう。ガンダムフレーム機は損傷が薄かったとはいえ、そろそろ、な」

ガエリオ「他の連中…特に二年、三年は本国でのメンテナンスが必要な程だと聞いた。厄介な事だ」

マクギリス「一年も被害は甚大だ。主力になり得るのは我々だけだ」

三日月「だから、さっさと万全にメンテしようって事?」

マクギリス「ああ。石動が準備してくれている」

ガエリオ「なるほど。では、早く済ませてしまおう」

向かうは、IS学園からさほど遠くない場所に新設されたギャラルホルン本社地下工廠。
374 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/12(水) 19:14:23.11 ID:J8xqn0vB0
石動「お待ちしておりました、准将。こちらへ」

マクギリス「ああ、頼む」

メンテナンス用ハンガーに、起動状態のバエルをセットする。

ガエリオ「まさか、これほどの設備を用意しているとはな…」

三日月「頼んだ」

同じく、キマリスとバルバトスがセットされた。

石動「本社の改名と移転と同時に、全てギャラルホルンで解析、製造し直した設備だ」

ガエリオ「移設した訳では無いのか?」

マクギリス「旧CMIの設備は全て、篠ノ之束が用意したものだったからな。…奴にはキナ臭いモノを感じる。下手な事をされない様に、設備は一新させたんだ」

ガエリオ「なるほどな」

石動「加えて、この工廠は独自のスタンドアロンタイプのシステムにしている。ハッキングは不可能だ」

ガエリオ「それまた、厳重な事だ」

マクギリス「ギャラルホルンの技術は外部には遥かに高度過ぎる。漏れれば要らぬ争いに繋がる危険もある。当然だ」

マクギリス「…どれくらい掛かりそうだ?」

石動「ハード自体の損傷はバエル、バルバトス、キマリス…どれも軽微です。多少の整備で問題無いかと。ただ、無人機による干渉、それに対するバエルによる強制的な耐性の構築によるソフト面での負荷がかなり大きいですね…この分であれば、5時間程頂きます、よろしいですか?」

マクギリス「万全に仕上げる必要がある、頼む」

石動「承知しました」
375 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/12(水) 19:30:42.74 ID:c5+4z0aT0
マクギリス「三日月は適当に休んでいてくれ。ガエリオ、こっちだ」

三日月「ん、わかった」

ガエリオ「例の奴か?」

マクギリス「ああ。レギンレイズのデータを頼む」

ガエリオ「とはいえ、乗った事は無いが…整備を見た事はある。ある程度は任せろ」

マクギリス「苦労をかけるな」

ガエリオ「気にするな。お前の、ようやく見つけた居場所を守る為だ」

マクギリス「…私の、か。そうだな。お前にはまだ、向こうでやるべき事があるから、な」

コンソールに入力されていく、レギンレイズのデータ。

ガエリオ「…お前は、戻る気は無いのだろう?」

マクギリス「…今更戻れんし、戻る権利は無いさ」

ガエリオ「今のお前ならば、身分を隠せばラスタルだって…」

マクギリス「ガエリオ。俺の役目はもう終わったんだ。…私はこの世界で、頑張って行くさ」

ガエリオ「…すまない、無粋な事を聞いたな」
376 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/12(水) 19:47:43.65 ID:UxLt5OSy0
ガエリオ「…こんなところか。微々たるものですまんな」

マクギリス「いや、想像以上だ。これならば、防衛戦力の構築も予定より速められそうだな」

石動「准将!緊急事態です!」

マクギリス「どうした?」

石動「先程学園から緊急連絡が入りました。地下施設ならびに学園のメインシステムが攻撃を受けている模様です」

マクギリス「やってくれる…状況は」

石動「既に別口から、米国の特殊部隊の潜入をこちらも確認しています」

マクギリス「早急に学園に戻る必要があるな。機体は」

石動「後は空輸機で調整しながら学園まで移送すれば、移動中に完遂出来ます」

マクギリス「わかった、準備を急いでくれ」

石動「はっ!」

ガエリオ「忙しい事だ…俺たちが離れた途端にこれか」

マクギリス「むしろ、離れたからこそだろうが…腑に落ちないな。学園のシステムがそう簡単にハッキングされる筈がない。厄介だな」

ガエリオ「裏がある、か…ともかく、戻るしかないな」

三日月「なんにしても、皆が心配だ」

石動「こちらです、お急ぎを!」
377 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/12(水) 20:11:23.04 ID:wn5w2MmA0
空輸機での輸送中に、織斑千冬に連絡を取る。

マクギリス「私だ。状況は」

千冬『あまり芳しくは無い。着き次第、ファリド隔壁を破壊して地下施設に合流を。他は学園周囲の警戒を』

マクギリス「了解した」

ガエリオ「中枢はお前か。まあ、適任だな。頼むぞ」

三日月「近付いてくる奴を叩けば良いんでしょ?」

マクギリス「殺すなよ?この世界では特に問題になる」

三日月「わかってる」

石動「では、御武運を、准将」

マクギリス「ああ、ありがとう、石動」

各員、機体に乗り込み降下する。
378 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/12(水) 21:17:38.21 ID:phYeZDRv0
マクギリス「あれは…!」

黒ずくめの、恐らくは潜入した部隊。それが運んでいた少女に、考えるよりも早くバエルを操る。渡り廊下の窓を突き破り、周りの黒ずくめを回し蹴りで蹴り飛ばし、運ばれていた少女…楯無を受け止める。

マクギリス「楯無、しっかりしろ…楯無!」

生体反応に問題はない。…なんらかの薬品か。

楯無「マク、ギ…りす、さん?」

マクギリス「ああ、私だ。…君らしくないな、全く。もう医務室に着く、守りは三日月達に任せて、君は休んでいろ。腹部の怪我は…治療はされているな。生け捕り目的か。下衆が…」

楯無「ごめん、なさい…」

マクギリス「殊勝な君も悪くはないが、やはり君は不敵に笑っていた方が好ましい。早く傷を癒せ、良いな?」

楯無「う、うん…」

楯無を医務室に預け、地下施設へと急ぐ。…途中、一夏と合流する。
379 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/12(水) 22:56:50.76 ID:4Mw3Aq8R0
一夏「こんな施設があったのか…」

マクギリス「口外はするなよ。学園の安全に関わる」

一夏「解ってる」

ドアを開けた先には、拘束された見知らぬ女、織斑千冬に山田先生。

マクギリス「状況は?何が起きている」

千冬「説明の時間が惜しい。二人で篠ノ之達を救出しろ。座標データを送る」

マクギリス「了解した」

一夏「な、何が起きてんだ…?」

座標データの先には…簪と、ベッドに眠る一年の専用機持ち達。

マクギリス「一体何事だ、これは…?」

一夏「更識さん、何があったんだ!?」

簪「えっと…その…」

口下手な簪には説明は難しかったのだろう、端末の画面に詳しい状況を書き出して見せてきた。…どうやら、箒達は乗っ取られてしまった学園のシステムを取り返すべくISを使い、メインシステムへの電脳ダイブを敢行。しかし、敵の攻撃により連絡が途絶え、彼女達も目覚めないだろう、との事。
380 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/13(木) 00:01:38.60 ID:17asOFyp0
マクギリス「それで、我々はどうすれば…!?」

不意打ちで簪に押し付けられたスタンガンにより、速やかに意識を刈り取られた。

マクギリス「何をするっ、…ん?」

気付けばそこは、森の中…否、電脳空間なのだろう。

一夏「いってえ!?何すんだよ!?…あれっ」

遅れて、一夏も現れた。

簪『聞こえる?二人とも…森の中のドアに急いで。その先に、皆は居るはず」

「その先に俺は居るぞぉ!」

マクギリス「今、何か聞こえたか…?」

一夏「き、気のせいだろ、多分…とにかく行こう」

意を決して、ドアに突入する。
381 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/13(木) 01:31:20.16 ID:PE/RZ2jk0
セシリア「ふう…」

セシリア(私はセシリア・オルコット。イギリスで最大規模のオルコット社を束ねる、若き総帥)

手元の特別製のベルを鳴らす。三秒後に、ドアが開く。

「お呼びでしょうか、代表」

セシリア「…私、今日の職務は終わっていますわよ」

「これは失礼しました、お嬢様」

セシリア「もうっ、二人っきりの時は…解ってらっしゃいますわよね?」

「フ、すまなかった、セシリア」

そう答えたのは、私専属の執事にして幼なじみのマクギリスさん。

セシリア(今は主従関係ですが、いずれは将来を誓い合う仲。二人っきりですし、甘えませんと!)

マクギリス「いや、意味がわからないぞ、セシリア。私は君の執事ではないだろう」

セシリア「へ、?」

セシリア(ま、マクギリスさんが二人!?)

マクギリス「どういう構造かは知らないが、偽者に勝手をされるのは気分が悪い。消えて貰おうか!」

バエルの剣の一太刀で、執事服のマクギリスさんが両断された。

セシリア「あ、あああー!?」

マクギリス「…認識を弄られているのか?セシリア、よく思い出せ。私は君の執事では無かったはずだ。違うか?」

セシリア「違…いませんけど、…うう…」

マクギリス「…全く、困った子だ。しっかりしてくれないか」

セシリア「でも、でも…むうう、頭に来ましたわ!」

偽物の空間に、ヤケになった攻撃を放つ。空間が崩壊し、元の森に戻される。
382 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/13(木) 01:40:54.97 ID:GigU5kqp0
マクギリス「ん?」

セシリア「えっ?」

一夏、鈴「「あっ」」

そこに居たのは…何故か、中学生の制服の鈴と、その鈴のパンツを太ももの中間あたりにさせている一夏、だった。

マクギリス「………は、っ?」

セシリア「な、何をしてらっしゃいますの…」

流石に、ドン引きせざるを得ない絵面だ。

一夏「まっ、待て待て待て、誤解だあああっ!」

鈴「そっ、そうよ二人とも!私もこの一夏とはやましい事は何もしてないから!してないから!」

セシリア「いえ、この非常時にやらしい事をなさっていた弁明なら後で織斑先生にでもなさって下さい。マクギリスさん、お手を煩わせましたわね」

マクギリス「いや、気にするな。君は先に戻っているといい。まだ、他にも居るだろうからな。始末せねばなるまい」

セシリア「御武運をお祈りしてますわ」

一夏「頼むから話を聞いてくれ!?」

マクギリス「まあ、その、…葬式には、キチンと出席するから安心してくれ」

一夏「死ぬの確定かよ!?いやだから誤解なんだってぇえ!」
383 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/13(木) 02:07:37.84 ID:sNHRjpO80
マクギリス「ともかく…次だ」

まだ、目覚めていないメンバーが居るはず。何やら甚大なダメージを受けて蹲る二人を無視してドアに再び入ろうとして…開かなかった

簪『多分、反撃に気付いて敵にロックをかけられた」

マクギリス「どうすればいい?」

簪『変装。恐らく、敵は皆がマクギリス、と認識出来る存在をブロックしてるから…』

マクギリス「なるほど、各々の認識を利用している訳か。ならば、こうするまでだ…フッ、久しぶりに、胸が躍る」

仮面と、ウィッグ。モンターク商会代表の完成だ。

モンターク「では行こうか」

扉を抜けた先には…

メイド姿のシャルと、それを押し倒し、何やら囁く自分、という形容し難い光景だった。

モンターク(なるほど、もう少し遅ければあの執事ギリスもあのような行動に出ていた訳か。腹立たしい)

苛立ちのままに、気付かれる前に鞘に入れられた剣を掴み取り偽者の脇腹に向けて全力フルスイング。偽物は変な声を上げながらシャルの上から吹っ飛んだ。

シャル「ご、ご主人様あああ!?」

マクギリス「落ち着けよシャル、私は君の主人でも無ければ君はメイドでも無かったはずだ。思い出せ」

仮面を外し、シャルに告げる。

シャル「えっ、マクギリス…あれ、えっ?」

マクギリス「とりあえず…私は今、機嫌が悪い。八つ当たりに付き合って貰おうか?偽者が」

蹲る偽物に、鞘に入れたままの剣を何度も叩き付ける。苛立ちを多分にぶつけ、少しだけ溜飲を下げる。

マクギリス「シャル、この空間を破壊しろ。そうすれば出られる」

シャル「う、うん。分かった」

森に戻るのに時間はかけられ無かった。
384 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/16(日) 15:52:34.30 ID:kBE+FiRb0
マクギリス「さて、夕方ボチボチと再開させて貰うが…一区切り付いたらバレンタイン特別編を書くか、そのままメインストーリーを書くか、選んで欲しい」

マクギリス「バレンタイン特別編が読みたいなら「止まるんじゃねえぞ…」と、ストーリーを進めて欲しいならば「その先に俺は居るぞぉ!」と書き込んで貰いたい」

マクギリス「バレンタイン特別編は基本的に時系列は無視、今後のストーリー展開との矛盾点は気にしないで貰いたい」

マクギリス「では諸君、また夕刻に」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/16(日) 22:42:55.25 ID:YgApZ4D80
今日の夕刻とは言ってないもんな乙
386 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/16(日) 22:55:18.17 ID:kBE+FiRb0
マクギリス「申し訳ない、急用が舞い込んでしまってな…すまないが、来週まで待って欲しい」

マクギリス「来週であれば、次は夜勤となるが故に徹夜も可能だ。私の全ての力を用いて、書かせて貰おう」

マクギリス「今回の失態の穴埋めとして、ひと段落付き次第バレンタイン特別編、並ぶに書けるだけ本編も進ませて貰いたい」

マクギリス「では諸君、来週に会おう」

マクギリス「ところで、コミックの鉄血…四巻だけやたらと高いんだが、何故だ…」

マクギリス「インフィニット・ストラトスの最終巻も未だに発売されないのだが、どうなっているんだろうか…」
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/17(月) 00:27:59.67 ID:xLBu2dpg0

体に気を付けて
388 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 18:57:29.24 ID:ovZSbmu/0
マクギリス「諸君、仕事は終わったかな?早速書いていくのでゆっくり見ていってくれ」

マクギリス「さて、いよいよ鉄華団コンプリートセットとアリアンロッド艦隊コンプリートセットが手に入った…素晴らしい、これで漫画版バエルの活躍が再現出来る…」

マクギリス「では、目覚めの時だ…」
389 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 19:16:32.11 ID:ovZSbmu/0
シャル「なんか…ごめんね…」

マクギリス「気にしなくて良い。認識を弄られた上であの偽者では、な…」

シャル「お、怒ってない…?」

マクギリス「君には別に。むしろ私の姿で風評被害甚だしい行いをされる方が腹立たしいだけだ」

シャル「え、えっと…」

マクギリス「気にするな、ともかく先に帰還するといい。私に任せてくれ、落とし前はつけさせる」

シャル「オルガさんみたいになってるよ…ところであの二人は?」

マクギリス「淫行現場を同級生に見られてダメージを受けただけだ、気にしなくて良い」

一夏「違うって言ってんだろぉお!?」

シャル「う、うん…マクギリス、待ってるね」

一夏「シャルロットまでスルーしないでくれよぉ!」

無視して次の扉に。遅れて一夏も並ぶ。
390 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 20:29:01.89 ID:ovZSbmu/0
マクギリス「後はラウラと箒、かな?」

一夏「ああ…くっそ、やっぱ開かねえ」

マクギリス「…使わせて貰うぞ、ガエリオ」

ヴィダギリス「さあ、行こうか…我々の戦場に」

剣道装備一夏「おう!」

扉が開かれる。その先には…

裸エプロンのラウラと、それにお触りする偽者の自分。完全に、色々とアウトだ。

ヴィダギリス(これが外部に漏れたらもれなく社会的に死ぬ。最悪だなこれは!)

偽者と目が合う。…何時ぞやの再現かの如く銃を向け合う。

偽者「ガエリオぉおお!」

ヴィダギリス「なんだこれは…」

そして撃ち合い、いつかの再現…ヴィダールの仮面に防がれ無傷の私と、致命傷を負う偽者…微妙な気分になる。ラウラも唖然としている。

ラウラ「…ま、マクギリスぅうう!?」
391 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 20:38:19.51 ID:ovZSbmu/0
ラウラ「貴様、よくも…よくもマクギリスを…」

マクギリス「いやラウラ、気付け。そいつは偽者だぞ」

仮面を外した顔を見て、ラウラは混乱している様だ。…とりあえず、すべき事がある。

マクギリス「ラウラ、服を着て来るんだ。それは私が処分しておくから」

ラウラ「う、うむ?よくわからんが…服を着れば良いのだな?」

マクギリス「ああ」

虫の息の偽者に止めを刺す。ラウラが服を着たのを確認すると空間を破壊する。
392 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 21:15:04.72 ID:ovZSbmu/0
微妙な沈黙に落ちる、森の一角。

ラウラ「忘れろ。頼むから忘れてくれ…」

マクギリス「無論だ。私も覚えていたく無い案件だ…」

互いの意思を確認し合う。我々は、分かり合えた。

マクギリス「では、私は先に進む。一夏と箒には先に戻る様に伝えてくれ」

簪「わかった…くれぐれも、気をつけて…」

マクギリス「ああ」

森を抜けた先には…青空に、砂浜。美しいと称せる景色が果てなく続いていた。

マクギリス(よくわからない空間だな。此処がシステムの中枢区画…なのか)

景色の先に佇む、銀髪の少女。どことなく、ラウラを思わせた。

マクギリス「君が、今回の犯人と言ったところかな」

「お初にお目にかかります、ファリド公。私はクロエ・クロニクルと申します。…此度はこれにて失礼させて頂きます」

マクギリス「待て、君の目的はなんだ?何をした?」

クロエ「いずれ、時が来ればあの方と共に、貴方様と目見える事となります。…では」

そう語り、影の様に消えていった。…結局、実行犯の名前だけしか判明していなかった。

マクギリス(…簪達からの反応は無い、か。仕方ない。もう少し先を調べてみるか)

その先に…見間違える筈の無い女性の姿を見つけ…そこで、意識が途絶えた。
393 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 21:15:36.14 ID:ovZSbmu/0
微妙な沈黙に落ちる、森の一角。

ラウラ「忘れろ。頼むから忘れてくれ…」

マクギリス「無論だ。私も覚えていたく無い案件だ…」

互いの意思を確認し合う。我々は、分かり合えた。

マクギリス「では、私は先に進む。一夏と箒には先に戻る様に伝えてくれ」

簪「わかった…くれぐれも、気をつけて…」

マクギリス「ああ」

森を抜けた先には…青空に、砂浜。美しいと称せる景色が果てなく続いていた。

マクギリス(よくわからない空間だな。此処がシステムの中枢区画…なのか)

景色の先に佇む、銀髪の少女。どことなく、ラウラを思わせた。

マクギリス「君が、今回の犯人と言ったところかな」

「お初にお目にかかります、ファリド公。私はクロエ・クロニクルと申します。…此度はこれにて失礼させて頂きます」

マクギリス「待て、君の目的はなんだ?何をした?」

クロエ「いずれ、時が来ればあの方と共に、貴方様と目見える事となります。…では」

そう語り、影の様に消えていった。…結局、実行犯の名前だけしか判明していなかった。

マクギリス(…簪達からの反応は無い、か。仕方ない。もう少し先を調べてみるか)

その先に…見間違える筈の無い女性の姿を見つけ…そこで、意識が途絶えた。
394 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 21:31:30.64 ID:ovZSbmu/0
目を覚ました先。そこは…学園の医療施設。かつて、この世界で最初に目覚めた所だった。…なんとなく、手元を確認する。拘束は、されていない。

「あら、起きたのかしら?」

マクギリス「…楯無か。傷の具合はどう…」

視線を向けた途端、外れて落下するカーテン。果てしなく既視感。ノーブラで、上着を着替えている楯無。即座に目を背ける。

楯無「二回目」

マクギリス「待ってくれ、完全に事故なのだが」

楯無「しなさいよ、私にもやらしい事!簪ちゃんから聞いたわよ、仮想世界で好き勝手やらしい事してたらしいじゃない!?」

マクギリス「落ち着いてくれ。偽者であり、あらぬ風評被害だ。私は潔白だ。だから落ち着け」

楯無を見ずにカーテンを直す。外れない様に、しっかり付け直す。

楯無「…ねぇ、そっちにいったら…ダメ?」

マクギリス「…ダメだ、と言っても聞く君ではあるまい。好きにするといい」

楯無「なら、失礼します」

ベッドに腰掛ける私の横に座る楯無。

楯無「…その。ありがとう。助けてくれて…」

マクギリス「…偶然通りかかったのが私だっただけだ。三日月でもガエリオでも。一夏でも、君を助けた筈だ」

楯無「それでも。嬉しかったの。…それが貴方だったのが、堪らなくね」
395 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 21:39:15.64 ID:ovZSbmu/0
マクギリス「…まあ、それなら光栄、といった所か」

楯無「で、ね。…貴方には、知っておいて欲しいって思ったの」

マクギリス「…何を?」

楯無「私の、本当の名前」

マクギリス「…確か、更識家当主は代々『楯無』を襲名するとは聞いた事があるな」

楯無「そ。私の本当の名前は…刀奈」

マクギリス「…何故、私に?」

楯無「…なんでかしらね?ともかく、二人だけの時は…そう呼んでくれたら、嬉しいかな、って…」

マクギリス「…わかった。二人だけの時、だな?覚えておく」

楯無「ありがと。…じゃあね」

楯無…否、刀奈はそれだけ応えると自分のベッドに戻っていった。
396 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 21:49:32.12 ID:ovZSbmu/0
米国、地下軍事施設

「アンネイムドが失敗しただと…」「これでは我々の計画も大幅に先延ばしが必要ですな…」「おのれ、ブリュンヒルデめ…最強は健在か…」

「お困りみたいだねー、君たち?」

途端、騒めく地下の一室。

「馬鹿な、何故此処に…!?」「警備は何をしていた!?」

「まあまあ、そう慌てないでよー。別に君たちを潰しに来たわけじゃないんだしさー」

「…貴方ほどの方が、何故この場所に?」

息を呑む、周りの男達。それに囲まれた一人の存在が、にこやかな笑みを浮かべて語る。

「欲しいんでしょ?無人機の技術が。私が協力してあげようかなーって。他の部分も、君たちの陳腐な計画を遥かに進化させて、ね」

にわかに騒めく一室に、甘言が踊る。…事態は、水面下で動き始めていた。
397 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/21(金) 22:07:00.88 ID:ovZSbmu/0
次回予告

マクギリス「諸君。今年もこの日がやってきた。やって来てしまった…」

ガエリオ「いや、バレンタインデーで何故そんな深刻な顔になるんだ?」

マクギリス「分からないのか、ガエリオ。この学園にはイベントとなればトラブルを起こす女が一人居るだろう?」

三日月「あの生徒会長?」

ガエリオ「ああ、お前をいたく気に入っている…」

マクギリス「嫌な予感しか、しない…早々に雲隠れすべきか…」

楯無「次回、インフィニットマクギリス。バレンタインはダインスレイヴ・スウィート☆」

マクギリス「サブタイトルからして嫌な予感しかしないんだが…」
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/21(金) 23:04:16.96 ID:r0Q5XAVm0
399 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/22(土) 00:11:06.03 ID:f4QN6gaH0
特別回 バレンタインはダインスレイヴ・スウィート

二月十三日。バレンタインを翌日に控え、異様な雰囲気に包まれるIS学園校舎の一画で開かれた緊急全校集会。それを召集したのはこの学園の生徒会長、更識楯無だ。

楯無「さて、皆議題はうすうす解ってるわよね?そう、毎年恒例のバレンタインイベント。今回は大幅に内容を変更するわ」

楯無「まずは、悪いんだけど当日、男子に対して許可無くチョコレートやプレゼントの類いを渡すのは禁止とするわ」

途端、会場に響く阿鼻叫喚。…耳が痛い。

楯無「まあまあ落ち着いて。許可無く、と言ったのよ。…つまり、許可を得る…いいえ、勝ち取れば良いだけの事!」

マクギリス(何か、企んでいるな…またか…)

楯無「甘いバレンタインを、男子と二人っきりで過ごしたいわよね、皆!?」

おー、とおそらくは全女子生徒が同調した。…嫌な予感が…

楯無「とりあえず、バレンタイン当日は生徒会主催特別イベントに参加して貰うわ!そのイベントで、男子とのひと時を勝ち取りなさい!」

歓声が湧き上がる。男子四人を覗いて。

ガエリオ「…マクギリス、お前も大変だな」

マクギリス「私を生贄にするのはやめろ、ガエリオ」
400 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/22(土) 00:23:10.05 ID:f4QN6gaH0
バレンタイン当日。文化祭のイベントで使われた広いホールの一画に、男子四人…それと何故かオルガ団長と、石動までもが集められていた。

オルガ「更識のお嬢さんから仕事だってんで来たんだが…なんだこりゃ」

石動「私にもわからん。准将、これは…」

マクギリス「…嫌な予感しかしない。本当に」

胸元に付ける様に渡された、ハート型のワッペン。

ガエリオ「…まるで何かの的、ではないか?」

マクギリス「よせガエリオ、嫌な想像をさせるな」

楯無「さて、時間よ。今回のルールを説明するわね!」

会場全体に響く、楯無のアナウンス

楯無「題して、あの人のハートを射抜け!バレンタイン・ダインスレイヴパーティーを始めるわ!」

マクギリス「は、っ?」

ガエリオ「い、今あの女なんと言った?」

三日月「ダイン…なんとかって」

オルガ「ちょっと待て、それってアリアンロッドがバカスカ撃ちやがった禁止兵器じゃなかったか!?」

石動「いや、まさか。なんらかの偶然で…」

次の瞬間、嫌な予感は見事に的中した。

楯無「ダインスレイヴ隊、入場!」

肩に、ダインスレイヴの砲身を担いだ女子達が一斉に現れた。
401 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/22(土) 00:35:06.14 ID:f4QN6gaH0
絶句する、男子計六人。

楯無「ルールは簡単、男子が胸に付けたハート型のワッペンを一番最初に撃ち抜いた人だけが、今日一日その撃ち抜いた男子と一緒にバレンタインを過ごし、チョコレートやプレゼントを渡す権利を得るのです!」

マクギリス「ハートを撃ち抜く(物理)」

ガエリオ「待て待て待て、あんなもので撃ち抜かれたらバレンタインが血のバレンタインになるぞ!?」

三日月「…どうすればいい?オルガ」

オルガ「隙を見付けて逃げるぞ!」

一夏「なあ、話の流れからしてやべえ奴なんだよな!?どうすんだよあれ!?」

石動「この、物量…!?」

楯無「では、男子は30秒数える間に逃げて隠れてね?ではスタート!」

無慈悲にも、楯無の宣言が響き渡った。
402 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/22(土) 00:49:07.34 ID:f4QN6gaH0
きっかり、30秒。同時に楯無の指示が飛ぶ。

楯無「ダインスレイヴ隊、放てっ!」

マクギリス(絶対それが言いたかっただけだろう)

オルガ「何処にも逃げ場なんてねぇぞ…どうすんだこれ…」

逃げ場を見付けられなかったオルガ団長に、独特な撃発音を響かせてダインスレイヴの弾頭が解き放たれた。

オルガ「待ってくれ、流石にそれは…うおおああああ!?」

必死に逃げる団長を尻目に、私は見付からない様に反対側へと退避する。オルガ団長、武運を祈る。

「し、シノさぁあああん!」「は、謀ったな…更識楯無!」「准将ぉおおおお!」

哀れな犠牲者が出た様だ。急いで逃げなければ…
403 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/22(土) 20:34:26.02 ID:f4QN6gaH0
鳴り響く撃発音、ダインスレイヴを担いで闊歩する女子達。

マクギリス(なんだこの混沌は…)

女子達の目を掻い潜り、物陰に潜む。

マクギリス(さて、どうした物か。あれの餌食になるのは避けたい)

チラリと覗けば、飛び交うダインスレイヴの弾頭。

マクギリス(世紀末過ぎるぞ…バレンタインに相応しくないな、まったく)

だが、そんな逃避にも終止符が打たれた。遂に女子達に捕捉され、無慈悲に放たれたダインスレイヴ。


マクギリスを射抜いた女子↓1
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 23:25:23.21 ID:oLv0oIkuO
カルタ(駄目ならのほほんさん)
405 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/23(日) 04:06:56.44 ID:Np1gAZki0
楯無「はーい、そこまでー。男子は全員ハートを撃ち抜かれたわ。総員、撤収!」

マクギリス(ホログラムの弾頭が突き立てられると、ワッペンが反応する仕掛け…随分と大仰な…)

楯無「ではでは、男子は自分を撃ち抜いた女子を迎えに行ってあげなさい!」

渡された紙には…布仏本音、と書かれていた。

マクギリス「意外だな、君に撃ち抜かれるとは」

本音「いえーい、マッキーとバレンタインだー」

マクギリス「…では、共に参りましょうか。レディ」

専用の個室が用意されているので、そちらに向かう。…他の面子が若干気になるが、まあ詮索はしない方が良いだろう。

本音「じゃーあ、はい、マッキー。ハッピー・バレンタイーン」

渡されたのはラッピングされた箱。…明らかにお高い。
406 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/23(日) 04:22:03.90 ID:Np1gAZki0
マクギリス「ありがとう。…一つ、聞いても良いかな」

本音「なーに?かんちゃんのスリーサイズ?」

マクギリス「この状況下でそれを聞くほどの変態ではないのだが…いや。何故、イベントでまで私を選んだのか、と思ってね」

本音「マッキーには色々お世話になってるからー。日頃の感謝?」

マクギリス「言うほど、私は何かしているわけでは無いんだがな」

本音「それでも、かんちゃん達は笑うようになったよ?マッキーのおかげで」

マクギリス「そうか…そうだと、嬉しいな」

本音「それよりマッキー、チョコレート食べてみてー」

促され、包みを開ける。
407 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/23(日) 22:29:49.43 ID:Np1gAZki0
マクギリス「これは…素晴らしいな」

最初に見えたのはバエルソードを咥えた狐…デフォルメされているが、様々な狐がバエルのパーツを付けていたり、咥えていたりと愛らしく形作られたチョコレートが並んでいた。

本音「自信作なんだよー?食べて食べてー」

マクギリス「すぐに食べてしまっては勿体無いな。記念に、写真を撮らないか?」

本音「おー、流石マッキー。良いよー、バッチリ撮っちゃおー」

チョコレートを挟んで、二人で並ぶ。互いに笑顔を浮かべながらカメラのフレームに収まり、シャッターを押す。

本音「写真、出来たら私にも欲しいなー」

マクギリス「もちろんだ。必ず用意しよう」

手を拭き、チョコを摘む。そのままゆっくりと口に含み、咀嚼してみれば甘いミルクとアーモンドの風味が口に広がる。とても美味しい。

マクギリス「…これは素晴らしいな。本音はこういうのが得意なんだな」

本音「えへへー、しかも一つ一つ味が違うんだよー。はい、あーん」

マクギリス(流石に気恥ずかしいが…拒否する訳にはいかんか。二人きりな訳だ。気にせず頂くべきだな)

口を開け、入れられたチョコ…今度はバエルの羽を付けた狐だったが、それはストロベリーミルクの味付けをされていた。
408 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/23(日) 23:28:29.62 ID:Np1gAZki0
マクギリス「…最高に美味しいな。ここまで私の好みに合わせてくるとは…」

本音「それは良かったー。ね、マッキー。…この学園に来て、幸せ?」

マクギリス「…ああ。幸せだとも。掛け替えの無い友人達が居るからな」

過ごした時間を、思い出を振り返る。

本音「私もね、マッキーが学園に来てくれて良かったって思うんだー」

マクギリス「…その理由を、聞いても良いかな」

本音「かんちゃん達がまた仲良く出来るようになったり、辛い時でも、マッキーが皆を纏めて、それをひっくり返したり。マッキーが居ると、皆が笑顔になれるんだー」

マクギリス「…そう、だろうか?私は私がすべきと思った事を、やっているだけだが…」

本音「それが、みんなの為になってるんだよー。だからマッキー」

マクギリス「ん、?」

本音「この学園に来てくれて、ありがとー。これからも、よろしくねー?」

胸の中に、暖かいモノが広がる。力だけを求め、信じて友人すら切り捨てる決断さえした私が、此処に居る意味を…生きて来た意味を、その一端を垣間見た気がした。

マクギリス(これが、これこそが…俺が、私が本当に手に入れるべき…望むべき事だったのだ…)

マクギリス「こちらこそ、ありがとう。私もこの学園に来て、とても幸せだよ」

本音「マッキーが幸せなら、生徒会として鼻が高いよー」

マクギリス「ああ。これからも、末長く、頼む」

チョコレートのように甘い感情を味わいながら、バレンタインデーは幕を閉じた。
409 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/24(月) 00:08:32.02 ID:y39skoFs0
マクギリス(なかなかに、濃い一日だったな…だが、悪くなかった。今日得られた物はとても大きいな)

ゆっくりと、噛み締めるように足を部屋へと向ける。既に夜は遅いが、静かなこの空間の中で、暖かい思いを胸な刻み付ける。

マクギリス(来年もまた、素晴らしいバレンタインを迎えられるように努力しなければな)

部屋の扉を開ける。…中には、何故か楯無が居た。

マクギリス「…君は本当に可笑しな奴だな、楯無」

楯無「それ、褒めてないわよね?ひっどーい」

マクギリス「こんな夜更に男性の部屋を訪れるのは感心しないな」

楯無「夜更じゃないとダメなのよ。色々とね?」

マクギリス「何?いったい、何の用だ?」

楯無「はい。チョコレート。もちろん本命よ?」

マクギリス「…なん、だと?」
410 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/24(月) 00:39:35.68 ID:y39skoFs0
マクギリス「…確か、ダインスレイヴで射抜いた者のみが渡す権利を持つのでは無かったのか?」

楯無「あら、私は当日渡すのは禁止にしただけよ?」

ビッ、と時計が指を差される。12時を既に越えていた。

マクギリス「…悪い女だな、君は」

楯無「魅力的でしょ?で、どっちを選ぶのかしら?」

マクギリス「…何の話だ?」

楯無「告白されたでしょ?本音ちゃんに。私とあの子、どっちを選ぶの?」

マクギリス「いや、されてないんだが?」

楯無「…えっ?」
411 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2020/02/24(月) 01:22:22.06 ID:y39skoFs0
マクギリス「…」

楯無「…」

楯無「お邪魔しました」

マクギリス「いや待ってくれないか。…とりあえず、茶でも飲んでいけ。このまま放置されたのでは流石に困る」

紅茶を、二人分淹れる。ゆっくりと、楯無はそれに口を付ける。

楯無「あー…あの気合いの入れっぷりだったから、告白するもんだと思ってたのよー…」

マクギリス「…確かに、かなり気合いの入った品だった。…言われたよ、私がこの学園に来て良かった、と。幸せなら良い、とも」

楯無「…そっかぁ。あの子はそんな事考えてたのねえ…」

マクギリス「…それで、君はどうするつもりだ?」

楯無「さっきのは聞かなかった事にしておいて。日頃のお礼。なんだかんだ、付き合ってくれてるから」

マクギリス「振り回している自覚があるならもう少し自重して欲しいのだが?」

楯無「それは無理かなー。紅茶、ありがとね。おやすみなさい」

飲み干して、そそくさと席を立った。

マクギリス「…ああ。おやすみ、刀奈」

驚いた顔で振り返る、刀奈。一瞬微笑むと、『楯無』の笑みに戻る。

楯無「…本当、ズルイ人ね。余計欲しくなっちゃうわ」

マクギリス「約束だろう?二人きりの時は、そう呼ぶのだと」

楯無「…ありがと。じゃあね」

マクギリス「ああ。また、な」

こうして、二人だけの秘密のアフターバレンタインは過ぎていった。

マクギリス「…ビターも、たまには悪くない」

412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 16:13:59.06 ID:iep5rTsF0
とりま乙
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