マクギリス「インフィニットストラトス…胸が踊るな」

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213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/12(金) 20:47:40.89 ID:1bWp9lwdO
この三日月阿頼耶識の副作用治ってるんだよね?
214 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/14(日) 23:58:36.06 ID:uQWsU+ty0
マクギリス「待たせて済まないな、諸君」

マクギリス「夜勤明けにバエルに乗り、疲労困憊でしばらく寝溜めしていた」

マクギリス「今から書いても、あまり書けそうもないな。明日も仕事があるしな。すまないが、来週まで待って欲しい」


>>213

マクギリス「彼の後遺症はこの世界に来た際には消えている。誰かが担いで授業をさせる訳にもいくまい」
215 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/20(土) 16:34:46.83 ID:w9faA8sd0
マクギリス「諸君、待たせてすまないな」

マクギリス「今夜、再開させて貰おう。ゆっくりと待っていて欲しい」

マクギリス「ヴィダールも買ってきたし、作らねば…!」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/20(土) 18:08:13.39 ID:Yx5hlc7eO
バエルだ!アグニカ・カイエルの魂!
217 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 09:44:05.65 ID:SfObI41b0
第十四話 とある夏の思い出

夏季の授業休み。その終盤の朝。私はいつも通り、寮の部屋で目を覚ます。

マクギリス「…やれやれ」

いつの間にか、隣に眠る美しい銀髪の少女。その安らかな寝顔に、不思議と心が安らぐ。

その綺麗な頭を撫でてやる。しばらく撫でていると、ラウラが目を覚ました。

ラウラ「もう、朝か…」

マクギリス「ああ、おはよう、ラウラ。よく眠れたかな?」

ラウラ「うむ、お前の隣はすごく、寝やすい。出来た嫁だ」

マクギリス「それは良かった。ところで、何故学校指定の水着なのかな」

ラウラ「このためだ」

ラウラが差し出したのは一枚のチラシ。内容は、最近オープンしたばかりのアミューズメント施設だった。

マクギリス「なるほど。皆で夏の思い出作りがしたいのかな?」

ラウラ「そ、それも悪くはないのだが…その、だな」

マクギリス「ん?」

ラウラ「その、マクギリスと二人で、行きたいのだ」

父親を独り占めしたい、といったところか。

マクギリス「ああ、では二人で行こう。たまには二人で思い出作りと行こう」

ラウラ「すまないな、私のわがままを…」

マクギリス「気にするな。そのような可愛いワガママなら構わないさ。それに、この場面ではもっと相応しい言葉があるだろう?」

ラウラ「…ありがとう、マクギリス」

マクギリス「どういたしまして」

ラウラの頭を、優しく撫でる。嬉しそうな笑顔に、私の心が洗われていく気がした。
218 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 20:24:15.07 ID:SfObI41b0
昼過ぎ。食事を済ませ、買い出しに出るとする。

「あら、マクギリスさん?」

マクギリス「…セシリアか。帰国していたのだったな、お帰り」

セシリア「はい。マクギリスさんは?」


マクギリス「私はこれから買い出しに行く。色々と、必需品を補充せねばならん身でな」

セシリア「で、でしたらご一緒させていただいても?」

マクギリス「構わないが…疲れているのでは?」

セシリア「大丈夫ですわ!少々お待ちを!」

少しして、着替えて来たセシリア。

マクギリス「さて、では行くとしよう」

セシリア「はい!」

向かうは、商店街。
219 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 21:44:02.17 ID:SfObI41b0
セシリア「マクギリスさん、今日はどちらに?」

マクギリス「必需品の補充にスーパー、ついでに色々と見て回る程度かな」

セシリア「そうなんですの…では、必需品の補充が終わりましたら、私のオススメのお店はいかがでしょう?」

マクギリス「君のか。では、楽しみにさせていただこう」

セシリア「はい!」

セシリア(例のパン屋さんにマクギリスさんを連れて行けば…恋が叶う、との噂。チェルシー、私やって見せますわよ!)

マクギリス「しかし、一夏のオススメだけあって品揃え、価格共に素晴らしいな」

セシリア「そうですの?私にはあまりわかりませんが」

マクギリス「君も、こういったことに関する目を養うべきだな。いつ何時、何が必要になるかわからないからな」

セシリア「そ、そうですわね。…あら、紅茶も買われますの?」

マクギリス「最近、来客が多くてね。困ったものだ」

セシリア「マクギリスさんとバエル、紅椿と並んで注目の的ですものね。最近再編改名された、CMI改めギャラルホルン。その最新タイプISであるガンダムバエル」

マクギリス「おかげで、私も随分と有名になってしまった」

セシリア「能力有るものが注目されるのは当然ですわ。…我が祖国イギリスでも、だいぶ有名でしてよ?」

マクギリス「目立ち過ぎれば、いずれ要らぬ火の粉は掛かる。払うだけで済めば良いがな」
220 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 22:10:36.32 ID:SfObI41b0
セシリア「マクギリスさんの実力であれば大半は敵にならないのでは?」

マクギリス「それはないな。私とて、負けた事はあるさ。正直、何故負けたのかはわからないがな」

セシリア「マクギリスさんでさえ、ですか…」

マクギリス「ああ。物事に絶対は無いのさ。…さて、これだけあれば十分か」

会計を済ませ、セシリアと並び歩く。

マクギリス「では、案内願おうか」

セシリア「はい!こちらですわ」

セシリアに付いて歩く。その先にあるのは一軒のパン屋。

セシリア「このお店のパフェが有名なそうですわ」

マクギリス「…クランク・ベーカリー?」

聞き覚えのある名前の様な気がした。どこで聞いたのだったか。
221 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 22:48:58.95 ID:SfObI41b0
「おや、いらっしゃいま…」

店員の声が、途切れた。私もまた、言葉を失う。

セシリア「店員さん?どうかなさいまして…?」

「ファリド、特務三佐、なのですか…?」

マクギリス「…久しいな、アイン・ダルトン三尉。君と再会するとは、世界は広いのか狭いのか」

アイン「何故です、何故貴方がこの世界に…?」

マクギリス「君の想像通りさ。君と同じ、な。そうか、この店はクランク二尉の店なのだな」

アイン「はい…貴方がいらっしゃるならば、まさかボードウィン特務三佐までもが…?」

マクギリス「…いや、あいつはまだ来ていないはずだ。大丈夫だろう」

アイン「そう、でしたか…」

マクギリス「…では、セシリア。君のオススメを教えてほしいな」

セシリア「は、はい。ここのオススメはパンを使用したスペシャルパフェでして…」

マクギリス「では、それを頼めるかな」

アイン「はい、スペシャルパフェお一つですね。すぐにお持ちいたします」

マクギリス「いや、二人分で…」

セシリア「マクギリスさん、スペシャルパフェは一つで二人分でしてよ」

マクギリス「そう、なのか?」

222 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 23:42:51.91 ID:SfObI41b0
席に座り、パフェを待つ。

セシリア「アインさん、でしたか。あの店員さんとはどの様なお知り合いで?」

マクギリス「何、大した話しではないさ。昔の同僚で、親友の部下だった男だ」

「ええい、配達の奴等は何をしている!?この程度の配達に何を手間取る!?減給だっ!」「落ち着けオーリス、今は道が混む時間帯だ。仕方ない」

運ばれてきたパフェ。それに付いてきたスプーンは何故か一つ。

マクギリス「…アイン、スプーンは一つだけ、なのか?」

アイン「は、はい。二人で交互に食べさせあうものでして…」

マクギリス「そうか。…ん?食べさせあう、だと?」

セシリア「そうですわ!二人で食べさせあい、絆を深めるものなのですわ!」

マクギリス「それはまた…恋人か何かと食べるべき代物なのでは?」

セシリア「ですが、このパフェは二人でなければ食べられない、特別メニューなのです!郷に入りては郷に従え、と申します。特別メニューを頼む以上、前提は守りませんと!」

マクギリス(そんなに食べたかったのか…)

マクギリス「わかった、引き受けよう」
223 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/22(月) 02:39:25.88 ID:TPGvokWG0
マクギリス(…しかし、これは女子高生を誑かす大人、という構図に見えかねないのでは)

パフェを、交互に食べさせ合う。羞恥心やらでどうも落ち着かない。

セシリア「ああ…私はこの日の為に産まれてきたんですわね…」

マクギリス「よ、喜んでくれているならば何よりだ…」

恍惚な表情を浮かべるセシリア。よほど気に入ったのだろうな。

セシリア「また、このパフェを一緒に食べてくださいますか?」

マクギリス「それは、早く恋人を作ってその恋人に頼むべきだ」

セシリア「…鈍感」

マクギリス「どういう事かな…?」

そんな、奇妙な時間を過ごした1日だった。
224 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/22(月) 02:48:10.57 ID:TPGvokWG0
マクギリス「本日はここまでだ。では、謝罪をさせてもらえないだろうか」

マクギリス「昨日だが、仮眠のつもりが朝まで熟睡してしまったのが原因だ。約束を違えるつもりは無かったのだ、許して欲しい」

マクギリス「来週はかなり書ける、と良いのだがな…」

マクギリス「では、同士諸君。しばしの別れだ。気をつけてな」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 03:03:41.34 ID:VnEFMV1/o
乙乙

少しずつでいいから頑張って
社会人が女子高生とこんなことしてたらそりゃ落ち着かないよねww
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 06:41:20.97 ID:+yq36PWJ0
マッキーは本物の幸せが何なのかとか、愛とは何かとか知らないまま死んじゃったからなぁ
アルミリアのことは本気で幸せにしたかったんだろうけど、あれは政略結婚とかの側面もあるし
アインも決戦の時にシステムが焼き切れたから、たしかに死んでるよね

227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 18:38:07.99 ID:93kkpYHk0
マッキーラスボスなら良かったのに…
そう言えば3人ともゾイドで高速戦闘ゾイドに乗ってたな、マッキーは砲戦、格闘、基礎、高速、前の都合でラスボス含めだけど

/0のビット+マッキー足したらバトスピのゾルダーになりそう
228 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/29(月) 02:30:52.09 ID:pL6zA+Vz0
>>225
マクギリス「ありがとう。寛大な心に敬意を表する」

>>226
マクギリス「私がその幸せを知っていく物語、というのが今回のコンセプトの一つなので、ゆっくり見守って欲しい」

マクギリス「あと、個人的にアインは三日月に倒された時点で人としては死んでいる、と考えている。ただのシステムにされた記憶があったら私は耐えられないしな」

>>227
マクギリス「済まない、私はゾイドはあまり詳しくなくてな。幼少期にジェネシス?だったかを視聴した程度だ。話題についていけなくて申し訳ない」

マクギリス「私がラスボスだった場合、おそらくバエルにハマる事も、この話を書いている事も無かっただろうな。何せ、ネタとして優秀かつ、バエル自身のロマンさ故に惹かれているのだから。私がラスボスではネタに欠け、結果的に気にも止まらず興味を持たなかったかもしれんな」


マクギリス「では、色々と待たせて済まないな。これから入浴。そのあとゲームのレべリングをしながらゆっくり書かせて貰う。今しばらく待っていて欲しい」
229 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/29(月) 03:06:21.58 ID:pL6zA+Vz0
ラウラとの約束当日。

マクギリス(待ち合わせ場所には30分前に着いたな。予定通り…今日は忙しくも楽しめそうな1日になりそうだな)

「ま、待たせたか?」

マクギリス「…いや、私も先程着いたばかりだ。しかし、その私服。とても似合っているよ」

ラウラ「そ、そうか?頑張ってみた甲斐があった」

マクギリス「では、お手をどうぞ、レディ。夕方までは私は君の貸し切りだ。存分に、楽しむとしよう」

ラウラ「ああ、行こう、マクギリス」

嬉しそうに手を繋ぐ。やはり、父親の様な存在が彼女には特に必要なのだろう。

マクギリス(ならばその役目は、しっかり果たさねばな)

暑い日差しの中、目指すはアミューズメント施設内のプール。彼女の足取りは日差しに負ける事なく軽やかなものだった。
230 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/29(月) 04:55:15.91 ID:pL6zA+Vz0
マクギリス「ほう。少々、侮りが過ぎたようだな」

水着に着替え、待ち構えたのは広大なプール施設。スライダーの様なものまである。

ラウラ「うむ。では遊ぼう、マクギリス。まずはあれからだ!」

彼女が示した先には、長大なスライダー。

マクギリス「たしかに、あれは体力がいりそうだな。先に楽しむとしよう」

ラウラ「ああ、行こう」

彼女に手を引かれ、スライダーの頂点へと向かう。

マクギリス「ペア滑り、だと…?」

「はい。女の子がこちらに座って、男の子が後ろに座って、女の子をぎゅっとするんです」

どう考えても、成人男性と女子高生がする行いではない気がする。

マクギリス(これは、女子高生を誑かす大人、という構図に見えるのでは…)

既視感を覚えるシチュエーションな気がするが、どうすべきか。

ラウラ「…嫌なら、無理にとは言わん。別の事をしよう」

ラウラの表情を見て、覚悟は決まった。

マクギリス「いや、大丈夫だ。少し面食らっただけだ、問題は無い。共に滑り降りようか」

ラウラの後ろに座り、優しく抱き締める。

マクギリス(…華奢で、か細い身体だ。私が守ってやらなければな)

「では、いってらっしゃい!」

背中を押され、共に滑り降りる。その身体を守るように、守れるように抱き締めながら。

231 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/30(火) 01:32:19.97 ID:VQOjTs+l0
ラウラ「ぷはっ」

マクギリス「なかなかに、凄まじい勢いだったな…」

外観では平坦に近い部分もあるはずだったのだが、思いの外減速せずにプールに投げ出された。

ラウラ「さ、流石にあの勢いは何度も味わいたいものではないな…」

マクギリス「同感だ。では、時間もまだある。流れるプールはどうだろう」

ラウラ「ふむ、それはいいな」

プールサイドを、手を繋いで歩く。道中で浮き輪を買う。

マクギリス「…ん?」

三日月「あれ、チョコレートじゃん」

「あれー、ファリりんも来てたのー?」「うわ、ボーデヴィッヒさんの水着可愛いなー」

マクギリス「三日月、君とこのような場所で出会うとはな」

三日月「うん。本音ちゃん達に誘われたから」

マクギリス「そうか。てっきりオルガ団長達と来るものと思っていたが」

三日月「オルガ達は仕事。夕方には合流するってさ」

マクギリス「そうか。では、また夕方に」

三日月「うん」

ラウラ「…良かったのか?共に遊ぶというのも、手ではないのか」

マクギリス「言ったろう?今日は君と私の二人で、こころ行くまで遊ぶのだ、と」

ラウラ「マクギリス…まったく、流石は私の嫁だ」
232 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/30(火) 02:09:31.65 ID:VQOjTs+l0
流れるプールで、ラウラを浮き輪に乗せて共にゆっくりと漂う。

ラウラ「…その、だな。マクギリス」

マクギリス「何かな?」

ラウラ「ありがとう。お前のおかげで、私はこの様な幸せな時間を過ごせている」

マクギリス「私の、か…そうであれるならば、嬉しいな」

ラウラ「お前のおかげだ…お前が居てくれたから、大事な事に気付けたのだからな。だから、これからも私を見ていてくれ。道を間違わないように」

マクギリス「無論だ。約束、しただろう?」

ラウラ「…ありがとう、マクギリス」

マクギリス「ああ。では、共に遊び尽くそう。今日はまだ始まったばかりだからな」

ラウラ「ああ、楽しもう!」

夕刻まで、ラウラと共に様々な事をした。その中で見られたラウラの笑顔は、私の記憶にしっかり刻まれた。
233 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 18:49:32.56 ID:P/nEW2iP0
マクギリス「待たせて済まなかった、読者諸君」

マクギリス「結局、連休中はしばらく
234 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 18:54:05.27 ID:P/nEW2iP0
マクギリス「Take2だ、諸君」

マクギリス「待たせて申し訳ない。連休中、共闘要請が友人からずっと来ていてな。なかなかに時間が取れなかったのだ」

マクギリス「さて、今日は階級昇格寸前まで行けたのでかなり筆が乗りそうだ」

マクギリス「というか、クアンタは相変わらず乗りやすく強い良い機体だな。フルブ感覚で乗ってみたが、軽く三連勝出来てしまって少々驚いた」

マクギリス「では、同志諸君。再開だ」
235 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 19:21:03.02 ID:P/nEW2iP0
夕刻。着替えて縁日の舞台へとラウラを連れて参じる。

マクギリス「夏祭りと似た様なものか」

ラウラ「人が多いな、シャルロット達も見当たらん」

マクギリス「合流ポイントはこの辺りの筈だが…」

「おーい、こっちこっちー!」

その声に導かれ、一夏達と合流する。

鈴「チョコレート、アンタも来たのね」

セシリア「な、何故ラウラさんと…?まさか、お誘いした時の先約というのは…!」

ラウラ「ふふん」

何故か得意げな顔のラウラ。対照的に悔しげな顔のセシリア。話に介入すべき…なのだろうか

シャル「抜け駆けはずるいよー、ラウラ。ていうかセシリアも」

一夏「まあ、ここで話しててもなんだし…三日月達は?」

マクギリス「彼らも来る筈だが…いや、あそこだ」

「マクギリスじゃねえか…」

マクギリス「旅館以来だな、オルガ団長」

オルガ「ああ。今回は誘っていただき、感謝する」

マクギリス「発起人は彼だ」

一夏「えっと、こんばんは…?織斑一夏です」

オルガ「どうも。鉄華団団長のオルガ・イツカです」

マクギリス「三日月はどうした?彼と一緒ではないのか」

236 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 19:57:11.37 ID:P/nEW2iP0
オルガ「それがよ、腹減ったからなんか買って来るって戻って来ねえんだ」

箒「あの辺りでは?何故か女性が集まっているし」

マクギリス「…なにやら、騒ぎになっているな」

「やだ、この子可愛いー」「どこの子?迷子?」「ねーねー、お姉さんと回らない?」

逆ナン、という奴だろうか。

三日月「…ウザい…」

マクギリス「すまない、彼は私の連れでな。そこまでにして貰いたい」

三日月「チョコの人だ。もう来たんだ」

マクギリス「ああ、待たせたな。では行こうか、皆が待っている」

三日月「うん」

女性陣がさっと行く手を開ける。あまりしつこいタチでも無いようだ。

オルガ「まったく、心配掛けやがって」

三日月「ごめん、オルガ」

一夏「そんじゃ、行くか」
237 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 21:16:48.15 ID:P/nEW2iP0
マクギリス「ほう、これがタコ焼き、か。不思議な食感だな」

三日月「食いづらい…」

オルガ「へー、結構美味いんじゃねえか」

一夏「だろ?縁日といえばタコ焼き、みたいな」

セシリア「オクトパスを食べますの…?」

マクギリス「なかなかに美味だ。君も、如何かな」

セシリア「え、遠慮しておきますわ」

シャル「僕もデビルフィッシュはちょっと…」

マクギリス「そうか、残念だ」

ラウラ「まったくだ、こんなに美味いのに」
238 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 22:57:18.23 ID:P/nEW2iP0
三日月「ねえ、この水ん中の変なの、何?」

一夏「金魚掬いだな。これで、こうして…こうなったら終わりな」

三日月「掬ってどうすんの?食べるの?」

一夏「いやいや、食わねえし食えねえから」

マクギリス「単に飼育して愛でる物だろう。とはいえ、魚は繊細な物だ。あまりオススメはできないな」

箒「金魚掬いでこうも深く考える者が居るとは…」

鈴「こいつら結構ズレてるわね…」

ラウラ「見ろ、この雲みたいなの!甘いぞ!」

マクギリス「ほう、初めて見るタイプだな?」

一夏「綿飴だな。そこで買えるみたいだ」

マクギリス「なるほど。味わわせて貰おう」

オルガ「縁日ってえのは変わったもんがいっぱいだな」
239 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/06(月) 00:21:59.14 ID:PtELmTXo0
シャル「ねえ、あれやってみない?」

マクギリス「あれは…銃、か?」

一夏「射的だ。あれで撃って、倒したのを貰えるんだよ」

マクギリス「なるほど。我々も、やってみよう」

オルガ「なんだよ…結構当たんねえじゃねえか…」

三日月「簡単だね、これ」

オルガ「すげえよ、ミカは…」

マクギリス「この距離だ。一度試射すれば簡単な物だろう」

ラウラ「くう…やはり私では…」

マクギリス「…あの奇妙な猫もどきか。デカイな…諸君、一斉射撃で仕留めよう」

一夏「了解!」

セシリア「はい!」

シャル「それじゃ行くよ!」

箒「私にも…!」

鈴「楽勝よ!」

三日月「そろそろ、消えろ…!」

マクギリス「当てる…!」

一斉射撃を受け、猫もどきは地に伏した。作戦は、成功した。


240 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/06(月) 00:47:35.78 ID:PtELmTXo0
マクギリス「花火?」

三日月「この前見た奴?」

一夏「違う違う、こうやって手に持ったりするタイプだよ。やらないか?」

オルガ「へえ、こんなんもあるのか」

セシリア「ネズミ花火…こちらはやめておきましょう」

ラウラ「ふむ…花火にも色々あるのだな」

シャル「この人数なら線香花火とかだけでいいんじゃないかな、下手に火が飛ぶと危ないし」

箒「花火をやる時は水の用意を忘れるな」

鈴「終わったらキチンと鎮火を確認する。でないと大変な事になるからね」

マクギリス「君達は誰に言っているんだ…?」

一夏「んじゃ、全員線香花火持ったな?」

マクギリス「では、競争と行こう。誰が一番長く線香花火が落ちずにいるか」「ここから先は競争だ」

一夏「誰だ今の」
241 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/06(月) 01:11:16.19 ID:PtELmTXo0
オルガ「落ちるんじゃねぇぞ…あっ」

マクギリス「私の…線香花火が…」

三日月「ああ…もう、終わっちゃった…」

一夏「お前ら早いな!?」

ラウラ「き、気を落とすな。今度は競争無しに楽しめば良い」

マクギリス「ありがとう、ラウラ…」

存外、心に響く。

シャル「綺麗だね、マクギリス」

マクギリス「ああ。こういうのも、悪くない」

セシリア「また、こうして集まって花火をやれたら良いですわね」

一夏「なら、約束だ。来年もまた、花火をやろう」

オルガ「ああ。必ず、な」

三日月「うん。絶対に、また来年も」

ああ、夏が終わる。これほどまでに、過ぎ去って欲しくない時があるとは思いもしなかった。
242 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/06(月) 01:30:42.64 ID:PtELmTXo0
次回予告

マクギリス「そういえば、三日月。いつになったら私の名前を呼んでくれるんだ」

三日月「アンタの名前、なんだっけ」

マクギリス「…マクギリスだ」

三日月「…ギリギリ?」

マクギリス「どうしてそうなった」

三日月「次回、インフィニットマクギリス。アグニカ・MAキラー」

マクギリス「待て三日月、まだ私の話は…」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/06(月) 16:44:44.08 ID:KLzU+n78O
おつ
今日読み始めておいついた
昔ウィングとISのクロス読んで面白かったけどオルフェンズも面白いな
ミカの戦闘描画もこれからあるのかな?ちょっとやり過ぎないか心配だ
244 : ◆3DtvXoE6Vc [sage]:2019/05/13(月) 01:27:47.59 ID:DQ3vmecT0
マクギリス「まず、謝罪をさせて貰おう」

マクギリス「今週は少々、やる事が多くてな。階級は上がったのだが、夜には時間が無くてな。すまないが、来週まで待って欲しい」

マクギリス「目的は今回で達成出来たので、来週はしっかり書かせて貰おう」

マクギリス「しかし、クアンタやはり強すぎでは無いだろうか。冷静にトランザムを二回回せればかなり勝率が高くて良いな。バエルの爽快感には劣るが」

マクギリス「では諸君、また来週」
245 : ◆3DtvXoE6Vc :2019/05/19(日) 01:27:33.02 ID:B1GAQFwV0
マクギリス「またせて済まないな」

マクギリス「今日は、あまり上手く戦えなくて階級据え置きだったな。先週の好調はマグレだったか…」

マクギリス「では、書かせて貰おう」
246 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/19(日) 01:43:56.52 ID:B1GAQFwV0
第十四話 アグニカ・MAキラー

三日月と一夏の新学期初の模擬戦。意外にも、一夏が押していた。

山田「この分なら、織斑君も勝てそうですね?」

マクギリス「いや、それは無いだろう。彼はエネルギー配分を考えてはいまい。勢いだけで勝てるほど、三日月は容易くは無い」

千冬「そういう事だ」

その言の通り、エネルギー切れによる隙を晒した一夏に、ルプスレクスの連撃が叩き込まれた。メイス、爪、テイルブレード。

マクギリス「…いや待て、三日月やり過ぎでは無いのか…?」

三日月「あー…殺さないようにって難しいなぁ…」

一夏「殺す気かっ!?」

マクギリス「やれやれ、困ったものだな…」


直後の授業。一夏は遅刻するという醜態を晒す。曰く、知らない女子に引き止められたが故だと。…そして、箒に制裁を受ける。

マクギリス(モテる男というのは辛いのだな…)


247 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/19(日) 02:07:26.97 ID:B1GAQFwV0
全校集会。議題はどうやら学園祭のようだが…生徒会長、更識楯無。その視線はあからさまに私に注がれていた。

マクギリス(目を付けられた、か?いや、そもそも付けられない方がおかしいか)

一夏は少々驚いた顔をしていたが、なんだったのか。

楯無「それじゃ、皆頑張って出し物を決めてねー」

最後に、私に笑みを浮かべて見せた。

マクギリス(厄介事の予感がするのは気のせいだろうか…?)

そうして開かれたクラス会議。

マクギリス「…男子三人とポッキーゲーム…ホストクラブ…君達、真面目な意見はないのか。全て却下させて貰おう」

「「「えー!?」」」

マクギリス「えー、ではないよ。こんな不健全な出し物、誰も得をしないだろう?」

「私は得するよ!」「男子はクラスの共有財産である!」「女子を楽しませる責務を全うせよ!」

三日月「絶対、ヤダ」

マクギリス「いつから私は所有物扱いなのか。ともかく、もう少し真っ当な意見を…」

ラウラ「メイド喫茶はどうだ。経費の回収も出来るぞ。男子は執事をやらせれば良い」

マクギリス「…確かに、それならばまだこのふざけた案よりかはマシか」

三日月「俺執事なんてやれないよ」

一夏「あくまで真似事だろ?むしろ三日月はそのままで良いだろ」

三日月「そう?ま、面倒じゃなきゃ良いや」

マクギリス「では、執事とメイド喫茶。それで決定だ」

248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 02:13:21.18 ID:Dz6pIOciO
クアンタは強いけど壊れってほどじゃない良い塩梅
バリア貼っての格闘はやめて
249 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/19(日) 02:29:49.59 ID:B1GAQFwV0
そして、放課後。所用で職員室を訪れた一夏と私の前に、件の生徒会長が現れた。

楯無「やあ、マクギリスさんに一夏君」

マクギリス「更識楯無、だったか。私に何か用かな」

一夏「生徒会長さん…?」

楯無「水臭いなあ、楯無で良いのよ?」

マクギリス「…用件を聞こうか」

楯無「つれないわね?簡単なお話、一夏君達を強くしてあげようって事よ」

一夏「…言われるほどには弱くはないつもりですけど…」

マクギリス「いや、我々はまだまだだ。軍用機一機に七人掛かりであれでは、弱いと言われても仕方あるまい」

楯無「貴方は別格なんだけどねー。だーかーら、マクギリスさんには私と一緒にコーチ役を担って欲しいの」

マクギリス「…なるほど。例の組織絡みという訳か。良いだろう、引き受けた」

楯無「流石マクギリスさん、話の理解が早くて助かるわね」

一夏「え、ちょ…」

マクギリス「君も彼女を見返したいだろう?ならばこの場は承諾したまえ」

一夏「まあ、良いけど…」

三人並んで、アリーナに向かう。
250 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/19(日) 09:53:11.72 ID:XCOPGk8OO
マクギリス「で、これが君の戦闘データという訳だが…自覚はあるか?」

楯無「あらあら、これはちょっとねー」

一夏「えっと、 射撃に当たりすぎ…?」

マクギリス「そうだな。それもあるが…やはり零落白夜の消費が大きすぎるな」

一夏「それはもうどうしようも無いんじゃ…」

マクギリス「累計エネルギー消費の80パーセントとはな。だが、改善案はある」

楯無「どうやって?」

マクギリス「一夏、君は使う段階になれば常に零落白夜を発動し続けているだろう?」

一夏「ああ、そうだけど…」

マクギリス「ならば、振り始めた瞬間に発動し、振り抜いたと同時に解除する。常に発動しながら振り回すよりは大分マシにはなるだろう」

一夏「な、なるほど…そう簡単に上手くいくもんじゃないけど…」

マクギリス「なればこその特訓だろう、励むと良い」

マクギリス「後は…やはり射線の見積もりが甘いな。回避もパターンを作り過ぎている。直感に頼りすぎだな」

楯無「容赦ないわね…」
251 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/20(月) 02:19:34.46 ID:FeViskAvO
マクギリス「ともあれ、君には射撃武器の理解が必要だな。避けるだけでなく、君も使う側になったのだから」

一夏「荷電粒子砲だよな。確かに威力はあるんだけど…」

マクギリス「まず、簡単な対処から学ばせよう。一部例外はあるが、銃口から射線は割り出せる。その射線を見極め、射線に入らない。シンプルだが、射撃に対しては有効な対処だ」

一夏「例外?」

マクギリス「鈴の衝撃砲が分かりやすい一例だろう。あれは銃身も銃口も不可視なのだからな」

一夏「そういうのの対処はどうしたら良いんだよ?」

マクギリス「相手を観察しろ。視線や仕草を見極め、着弾点を見切る。あるいは単純に撃たせる前に近距離戦闘に持ち込む、だな」

一夏「どっちも難しい様な…」

マクギリス「まあ、白式はスピードには秀でている。回避に専念し、パターンを作らないようにしながら動き回れば、隙が出来るまでは生き延びられるだろう」

一夏「余計な事を考えず、同じ避け方をするな、って事か」
252 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/20(月) 03:53:49.33 ID:FeViskAvO
マクギリス「そして、君の荷電粒子砲だが、下手に撃ち続けるよりは隙を探して狙い撃つ方が良いだろう」

マクギリス「もしくは、接近して至近距離から叩き込む…は零落白夜のある君であれば必要無いに等しい。せいぜい、エネルギー切れ間際の攻撃として、程度か」

一夏「牽制に使う、っていうのはダメなのか」

マクギリス「悪くない、と言いたいがこの荷電粒子砲のエネルギー消費は安くはない。牽制といえど連射するより体勢を崩す、もしくは回避先を潰す程度に単発で撃つ程度に留めるべきだな。高機動近接戦が持ち味であるが故に、そちらにエネルギーを回したいしな」

一夏「へえ…なるほど…」

マクギリス「機体運用理論はこの程度で大まかには纏まるだろう。次は実戦技術を学んで貰おう。具体的には、回避や各種技能の組み合わせだな」

一夏「うへえ、なんか難しそうだな…」

マクギリス「励めよ、一夏。強くなりたいんだろう?」
253 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/01(土) 02:50:08.84 ID:kwj3b73v0
マクギリス「待たせてすまないな、投稿開始だ」

マクギリス「先週は飲み会でな。やはり、ビールは慣れない。頼むから飲ませようとしないでくれ…」

マクギリス「にしても、アルビオンゼロ…色が変わればこうも印象が変わるとは。個人的な意見だが、アルビオンにはヴァリス二丁持ち、アルビオンゼロにはMVS二刀流が似合うと思うのだがどうだろうか」

マクギリス「明日も昼からアグニカポイントを稼ぎに行く。共闘することがあればよろしく頼む」

マクギリス「では、始めるとしよう」
254 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/01(土) 03:08:13.52 ID:kwj3b73v0
マクギリス「さて、まずは回避理論だな。君は回避をどういう行動だと考える?」

一夏「そりゃあ、攻撃を避ける為のもんだろ?」

マクギリス「その答えでは半分くらいだな。より正確には、攻撃に繋げる為の一手としての回避、と言ったところか」

一夏「攻撃に繋げる一手…」

マクギリス「逃げに徹したところで、勝利は掴めない。チャンスを見極め、手にする為の一手が回避、と考えた方がいい。無策に避け続けるのでなく、回避を通して相手の行動をコントロールする事も出来る様になれば、自ずと勝ち筋は見える筈だ」

一夏「む、難しいな…」

マクギリス「まずは自分の有利な間合いに入れる様に動く、というのが肝要だな。闇雲に動くのではなく、相手の攻め方、逃げ方に応じて回避の仕方を考えねばならない」

一夏「なるほどな…俺は直感でやっちゃうからな」

マクギリス「勘は悪くない。だがまだ未熟だからこそ、考えねばならないのだ。後は…回避しながら、攻撃の準備を整える、くらいか」

一夏「イグニッションブーストとか、零落白夜か?」

マクギリス「正解だ。回避しながら、そう言った物を仕込める様になればより立ち回りやすくなるだろう」
255 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/01(土) 03:28:07.37 ID:kwj3b73v0
マクギリス「後は…相手毎の戦術の変更か」

一夏「でも、白式じゃ近接戦しかやりようがないんじゃ…」

マクギリス「より近接戦の内容を詰める、と言った具合だ。君は紅椿とはどう戦う?」

一夏「そりゃあ、近付いて零落白夜で…」

マクギリス「では、甲龍とはどう戦う」

一夏「それも、零落白夜で…」

マクギリス「…君があまり深く考えていないのはよくわかった。だが実際、その二機相手では近接戦で圧倒されるのではないか?」

一夏「確かに…思うように戦えないっていうか…」

マクギリス「当然だ。その二機は膂力、手数共に白式を上回っているのだからな。零落白夜は本体に当てられねば意味がない、剣戟戦においてはただの刀に過ぎん」

一夏「なら、どうすれば…」

マクギリス「簡単だ。戦闘の基本は相手の得意分野では戦わない、だ。手数と膂力で負けるならば、一撃の威力で戦うのだ」

一夏「だから零落白夜だろ?」

マクギリス「ああ。だが、剣戟戦に応じるのではなく、相手の剣戟範囲外からの奇襲を主にすべきだ。ヒットアンドアウェイを繰り返し、一撃毎のダメージレースに持ち込めれば、零落白夜は脅威になる。なんせ、当たれば大打撃なのだからな」

一夏「なるほど…それはわかりやすいな」

マクギリス「逆に、セシリアやシャルならば剣戟戦に持ち込めれば勝ちは見える。それが、相手によって戦術を変える、という事だ」
256 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/01(土) 19:20:52.19 ID:kwj3b73v0
マクギリス「回避も直線軌道、バレルロール、左右移動を織り交ぜて規則性を作らない…この辺りは実際にやって慣れるしかあるまい。セシリア辺りに協力を頼むとしよう」

マクギリス「基礎的な理論はこの程度でいいだろう。座学だけでは掴みきれんものでもあるし、後は修練あるのみだ」

一夏「でも、すっげえ考えてんだな。反射能力とかのが大事だと思ってた」

マクギリス「それも間違いではない。反射的行動も時には必要にもなるからな。だが、それだけでは動物と変わらん。我々には考える力がある、それは絶対な武器だ。使わない手は無いさ」

楯無「じゃ、実践訓練は私が引き受けるわ。マクギリスさんは、他の子達と模擬戦でもしてて貰おうかしら」

マクギリス「確かに。そろそろ、体を動かしたくもなってきたしな」

マクギリス(さて、誰と戦ってみるか…)

↓1と戦ってみる(模擬戦後イベントあり)
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/01(土) 19:31:01.95 ID:HptQkYXFO
シャル
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/01(土) 19:31:13.21 ID:/T1zFshN0
ミカ
不可能なら安価下
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/01(土) 19:31:13.70 ID:iuQ/E9jR0
山田先生
260 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/01(土) 21:16:36.51 ID:kwj3b73v0
マクギリス「では、シャル。模擬戦の相手を頼もうか」

シャル「手本を見せる、ってつもりならそう簡単には行かせないよ?」

マクギリス「何。手本にならずとも、得るものはあるのさ。私も一夏も、そして君もな」

シャル「なら、とりあえず勝ち星を貰おうかな」

互いにバエルとリヴァイヴを展開し、距離を取る。

リヴァイヴからの銃撃を合図に、互いにスラスターを吹かしての戦闘行動に移る。

マクギリス(流石はシャル、私の動きを予測して近距離戦に持ち込ませない様に上手く軌道上に弾丸を撃ち込んでくれるな)

上下左右、ランダムに動き回りながら弾幕を回避する。ラピッドスイッチによる瞬時の切り替えから、ネット弾が放たれた。あえて回避でなく両断することで一気に距離を詰める。

シャル「読めてるよ、その動きっ!」

マクギリス「なっ…!」

距離を詰めた先に待ち構えていたのは、ショットガン二丁による弾丸の雨。バエルソードで粗方防いだが、距離を詰めるのは断念せざる得ない。

マクギリス(やはり対策してきたか、ならば…)

レールガンで応射しつつ、一度逃げの一手に徹する。

シャル(何かを待ってる…いや、攻め手を焦れば思う壺だ。堅実に削る取る!)

弾幕を掻い潜り、急速反転。スライドする様にしながら背後を取る。

マクギリス「先程のお返しだ、シャル!」

シャル「はやい、けどねっ!」

盾での防御を選択したシャル。その盾を弾くのではなく、そのまま押し込む事で体勢を崩させる。

シャル「うわわっ!?」

体勢の崩れた所に、更に蹴り上げで盾を跳ね上げさせる。

引っ張られる様に更に体勢を崩したリヴァイヴにスラスターを瞬時に吹かして横に一回転しながらバエルソードを振り抜く。リヴァイヴの装甲に多大なダメージを与え、吹き飛ばす。
261 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/01(土) 22:05:06.16 ID:kwj3b73v0
シャル「やっぱりバエルは速いな…けど、ね!」

吹き飛ばされた体勢のまま、反撃の斉射。

マクギリス(やはり一筋縄では行かないな。流石はシャル、と言ったところか)

射線にバエルソードを重ね、弾丸を悉く弾く。

シャル「うっそ…なんで見えるの…」

マクギリス「見えてはいないさ。射線を塞いだに過ぎない」

弧を描きながら弾幕を回避、しながらバエルソードを投げ付ける。

シャル「くっ…!」

直撃を避けるべく、弾幕が止む。その隙を、見逃せる筈は無かった。

イグニッションブーストで加速、投げたバエルソードに追従、空中で掴み取りながら方向展開で急接近する。

シャル「しまっ…!?」

リヴァイヴの横を取り、斬撃を数度見舞う。リヴァイヴのスラスターの片側が沈黙したところで、回し蹴りを放ち距離を置く。

予測通り、斬られてもなお用意されていたシャルの反撃の大型ライフルが空を切る。

シャル「…今のも読んでたの?」

マクギリス「有り得る、と思ったのでね。私は臆病なのだよ」

シャル「嘘だあ…もう降参。この機体状況でバエルについてくのは無理だよ。捉えきれない」

マクギリス「では、勝ちは拾わせて貰おう」

シャル「あーあ、今度は行けるかと思ったのに…」

マクギリス「作戦は悪くなかったな。ショットガン二丁は肝が冷えたぞ」

シャル「あれでスラスターを潰せたりしたら勝ちも見えたんだけどねー」

マクギリス「…とまあ、この様に近距離機対策と、その対策の対策。大体理解出来たろう、一夏?」

一夏「いやあ、すげえな二人とも…マクギリスはマクギリスでなんであんなん避けれんだって攻撃躱したりシャルはシャルできっちり反撃差し込んだりしてたし」

マクギリス「こうなりたいならば、練習を重ねるといい。経験こそが、強くなる近道だ」

マクギリス「さて…大分、汗をかいてしまったな。私は先に部屋に帰らせて貰うとしよう」

シャル「あ、あとで部屋に行っても…良いかな?」

マクギリス「ああ、構わないが」

一夏「じゃあ、また明日」

楯無「またねー」
262 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/01(土) 23:43:11.03 ID:kwj3b73v0
シャワーを浴びて、シャルを待つ。さほど時間を置かず、彼女は訪れた。

シャル「お、お邪魔しまーす…」

マクギリス「ああ。紅茶で構わないかな?」

シャル「ありがとう。いただくよ」

マクギリス「…さて、本題に入ろうか。私の所を訪れた理由を聞かせて貰いたい」

シャル「…えっとね、今度の休みって予定、入ってたりするの?」

マクギリス「いや、特には無かった筈だが…」

シャル「だ、だったら一緒に街を歩かない?美味しいお店知ってるんだー」

マクギリス「なるほど。それなら、先程話してくれれば他にも誘えたんじゃないか?」

シャル「二人っきりで!二人っきりでお願いします!」

マクギリス「わ、わかった。…何故敬語なのかわからないが、それなりに思惑あってと言う事なのだろう?引き受けた」

シャル「ありがとう…これを機に一気に…」

マクギリス「いま、何か?」

シャル「ううん、なんでもない!紅茶美味しいなーって」

マクギリス「私も気に入っている。それなりに値は張るがな」

シャル「でも、すっごく美味しいよ。どこで買ったの?」

マクギリス「一夏イチオシのスーパーだ。なかなかに品揃えも良くてな」

シャル「スーパーも侮れないんだね…僕にも今度教えて、そのスーパー」

マクギリス「では、共に行くとしようか」

シャル「うん!じゃあ、お邪魔しました」

マクギリス「いつでも来てくれて構わない。持て成そう」

シャル「あはは、紅茶御馳走様でした」

マクギリス「ああ、ではまた明日」
263 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/03(月) 00:59:43.19 ID:I+1hmoQd0
週末。待ち合わせ場所、30分前

シャル「待たせてごめんね!」

マクギリス「いや、私も先程到着したばかりだ。気にしなくていい」

シャル「にしても、早いんだね来るの」

マクギリス「少々、所用があったのでな。では、君のオススメの店に案内して貰おうかな」

シャル「うん!そこのパフェがね、すっごく美味しいって評判なんだよ!」

マクギリス「ほう、それは楽しみだな」

シャル「っと、マクギリス…手、繋いでも良い?人がなんか多いし…」

マクギリス「そうだな。逸れても面倒だし、繋ぐとしよう」

見慣れた道を歩きながら、所用…石動からの報告を思案する。

マクギリス(イギリスの強奪された新型…それが、米軍の秘密基地、福音の封印場所を襲撃したとは。例の組織はかなり活発化して来ている。厄介だな…)

シャル「ここだよ、マクギリス」

マクギリス「………えっ」

アイン「いらっしゃいま…えっ」

シャル「どしたの?マクギリス」

マクギリス(どうすべきだ、これは)

頭を抱えたくなった。
264 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/03(月) 01:08:17.84 ID:I+1hmoQd0
アイン「あの、ファリド特務三佐…?」

マクギリス「気にするなアイン、友人だ。」

シャル「もしかして知り合いだったり?」

マクギリス「ああ、昔馴染みでな…」

シャル「そうなんだー。あ、店員さん。スペシャルパフェお願いします」

アイン「あ、は、はい。承りました…」

マクギリス(やめてくれアイン、ゴミを見るような目をしないでくれ…)

あの世界での所業を考えれば自業自得なのだろうが、この方面は甚だ不本意である。

シャル「どうしたの?具合良くないの…?」

マクギリス「いや、少々悩みの種が、だな…」

シャル「悩み?なら、今度は僕がマクギリスの力になるから、なんでも言って」

ならば今すぐ帰らせて欲しい…とは言えないな。

マクギリス「ああ、時が来たら力を借りるよ」

アイン「おまたせしました…」

マクギリス(完成されたクズを見る目だぞコレは…!)

私の風評にあらぬ被害が予想される一件だ。
265 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/03(月) 01:56:13.17 ID:I+1hmoQd0
マクギリス(周囲の視線がやたらと痛く感じる…)

シャル「はい、あーん」

ひたすらに平静を装いながらパフェを食す。

シャル「美味しかったでしょ?ここのパフェ!」

マクギリス「ああ。ただ、私には少々甘過ぎるようだ」

シャル「あ、あはは。マクギリスは大人だもんね。じゃあ、次に行こ?」

マクギリス「ああ、是非そうしよう」

アインの視線が痛い。早く退散したい。

店を後にし、シャルの案内に任せる。

シャル「ここのクレープ美味しいんだー。すみません、ストロベリーとブルーベリー下さい」

「はーい、少々お待ちください」

マクギリス「ふむ、確かにこれは美味そうだ」
266 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/03(月) 02:38:57.57 ID:I+1hmoQd0
マクギリス「ふむ、なかなかに美味だな」

シャル「でしょ?ね、半分こしない?」

マクギリス「そうだな。では、どうぞ」

パフェを差し出す。とても嬉しそうな笑顔でシャルは受け取った。

シャル「はい、マクギリス」

マクギリス「いただこう」

シャルのパフェを受け取り、賞味する。

マクギリス「こちらもなかなかに美味しいな。今度、他のメニューも食べてみたいものだな」

シャル「うん!ならまた一緒に来よう、マクギリス」

マクギリス「ああ。その時を楽しみにしている」

二人、手を繋いで帰路に着く。鮮烈な記憶と共に、今日という日を思い出にしてこの日を終えたのだった。
267 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/03(月) 02:45:00.40 ID:I+1hmoQd0
次回予告

マクギリス「さて、この場を借りて謝罪させて貰おう」

マクギリス「先週はすまなかったな。土曜日は飲み会でな。月曜日は昼勤務であったが故に書く事が出来なかった」

マクギリス「階級は上がったので、まだまだ頑張りたいところではあるのだが、やらねばならない仕事があるので一旦これまでとさせて欲しい。それが終わり次第書くやもしれないが、あまり期待はしないでくれ」

マクギリス「では次回、インフィニットマクギリス。キマリスヴィダールのドリル音。…我ながら思うのだが、毎回サブタイトルがやっつけ仕事過ぎるのでは…?」
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/03(月) 10:21:21.58 ID:4H1HsbYLO
下派生で体力ごっそり持っていかれるのかな?
鈍足付けられるよりはマシだと思いたい
269 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/09(日) 01:07:38.66 ID:KND1Y2hG0
マクギリス「待たせてすまない、諸君」

マクギリス「とりあえず、前回最後。パフェではなくクレープだ。他にも細かいミスがあるが、見逃してもらえると嬉しい」

マクギリス「さて、では書かせて貰う。が、原作を読み返しながらなので若干スローなのは許容して欲しい」

マクギリス「それと、この機体やこのキャラどうなってんの?などと言った質問に関しては構想が練れていてかつ話の重大部分にならない程度には答えていくので気軽に質問して欲しい」「答えちゃうんだなぁこれが!」

マクギリス「!?…では、執筆を始めよう」
270 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/09(日) 01:22:09.22 ID:KND1Y2hG0
第十五話 キマリスヴィダールのドリル音

マクギリス「まず、説明して貰いたいな。更識楯無」

部屋に戻れば待ち構えていたのは、エプロン水着というマニアックな格好の生徒会長、更識楯無。

楯無「それは勿論、コーチ役同士で交流を、ね?」

マクギリス「では、いつの間にか学園祭の出し物の投票で男子を景品代わりにしていた件にも説明をして貰おうか」

楯無「あ、あはは…それは色々事情はあるんだけど、ね?もしかして怒ってる?」

マクギリス「勝手に事態を引っ掻き回された上に不法侵入されたのでは怒るな、というのは無理だろう」

楯無「あら、不法侵入じゃないわよ?私もここに住むの」

マクギリス「…なん、だと…」

頭が痛くなってきた。
271 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/09(日) 01:41:50.15 ID:KND1Y2hG0
楯無「ま、まあまあ。詳しい事は明日生徒会室で話しましょ?」

マクギリス「やれやれ。困った女だ、君は…ところで、繰り返し聞くが何故そんな格好なんだ、私の評判を落としたいのか」

楯無「んー、何か面白い反応があるかなーって、ね?」

マクギリス「君と真面目に会話をするのを辞めたくなるな、その発言は。年頃の女性がみだりに肌を晒すな、はしたない」

楯無「お堅いわねー。大人の余裕たっぷりなのもそれはそれで悪くないけど」

マクギリス「君は私をなんだと思っているんだ…」

楯無「ギャラルホルン地球外縁軌道統制統合艦隊司令官、マクギリス・ファリド准将でしょ?」

マクギリス「…なるほど、君は、いや君の家はこちらの組織と繋がりがあるわけか。それに、私を利用するつもりで近付いて来たということか」

楯無「あらやだ人聞きが悪い。私はただの生徒会長よ?学園の皆が幸せに学園生活を送れるように、力を貸して欲しいだけよ」

マクギリス「どこまで本気なのやら…にしても、随分と急な話だな。なにから何まで、学園祭は明後日だと言うのに」

楯無「貴方なら口八丁手八丁で逃げ道を作っちゃいそうだもの。だから、仕掛けるなら逃げ道を作れないギリギリにしないとダメでしょ?」

マクギリス「厄介な女だ…」

面倒事ばかり、舞い込んでくるものだ。
272 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/09(日) 02:53:28.51 ID:KND1Y2hG0
マクギリス「では、改めて説明をして貰おう」

生徒会室。その卓を囲むは、私と更識楯無、その楯無の家に代々仕える家系であるという、布仏虚、その妹であり私のクラスメイトでもある布仏本音。

楯無「まず、学園祭での投票決戦。あれは実は男子を生徒会に引き入れたい、というのが本音よ」

本音「えー、私ー?」

虚「違うわよ。しばらく静かにしてなさい」

楯無「男子を巡って部活間で水面下で小競り合いが頻発しててね。まあ、他にも思惑はあるけどそれは後述するわ。ともかく、貴方にも生徒会に入るメリットはあるはずよ」

マクギリス「確かに生徒を統括する立場となれば動き易くなるだろうからな。では、他の思惑も聞かせて貰いたい」

楯無「もうギャラルホルン経由で情報は来ているんでしょう?亡国企業、それの対処のためよ」

マクギリス「近年…いや、特に最近になって活発化しだしたISテロ組織、か。やはり君も、仕掛けてくると考えている訳だな?」

楯無「ええ。ISを奪うことを考えている組織である以上、バエルとバルバトス、白式は格別の獲物の筈。間違いなく、仕掛けてくるわ」

マクギリス「その為の戦力補充にサイレント・ゼフィルスにシルバリオ・ゴスペル。もっとも、福音の方は失敗したようだがな」

楯無「…そこまで掴んでいるの?ギャラルホルンはやっぱり凄いわね…」

マクギリス「ともかく、事情は把握した。ならば、仕掛けてくるとなれば間違いなく…」

楯無「ええ。人が集う明日の学園祭。一般人は招待された人物限定とはいえ、紛れ込むのは造作もない筈よ」

マクギリス「協力はさせて貰おう。私とて、学生の一人なのだから」

楯無「うん、頼りにさせて貰うわ。じゃあ明日、頑張ってね」

生徒会室を後にし、明日に備える。

マクギリス(執事喫茶に亡国企業…厄介にも程があるな)
273 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/09(日) 03:55:49.08 ID:KND1Y2hG0
学園祭、とりあえず職務に勤しむ。

マクギリス「いらっしゃいませ、お嬢様」

「やばい、すっごくカッコいい」「なんか、風格あるよねー」「執事似合い過ぎでしょー」

一夏「やっぱマクギリスはかなりしっくりくるな」

マクギリス「そうか?だと良いのだがな…」

三日月「いらっしゃい。何にするの?」

一夏「三日月のあれはあれでいい感じだけどな」

マクギリス「無駄口を叩いている暇は無いようだ。仕事に掛かるぞ、一夏」

一夏「おう!」

女性客の行列が、既に出来上がっていた。
274 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/15(土) 21:33:54.03 ID:8POe6iIo0
マクギリス「さて、今週もやってきた、執筆の時間だ」

マクギリス「仕事上がりのバエルはやはり格別なものだな。疲れもストレスも綺麗に吹き飛ばしてくれる。階級も上げられたしな」

マクギリス「HGCEデスティニーを買ってきたので、組み上げながら書かせて貰おう。しかし、感慨深いものだ。私が子供の頃憧れた初めてのガンダムを再びHGで組む日が来ようとは…」

マクギリス「では、始めよう」
275 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/15(土) 22:17:29.94 ID:8POe6iIo0
マクギリス(やはり、凄まじいな。解っていた事ではあるが)

多数のお嬢様、もとい客を捌きながら目を光らせる。

マクギリス(流石にこの場では仕掛けないだろうが、仕込みはする可能性がある。私や三日月ならばともかく…)

どこぞの企業の一員であろう女性に、しつこい勧誘を受ける一夏の姿が目に映る。

マクギリス「鷹月さん、すまないが一夏に助け船を。対処に困っているみたいだからな」

鷹月「うん、解った。マクギリスさんは次8番お願い」

マクギリス「ああ、了解した」

マクギリス(彼は陰謀だのへの嗅覚に疎い。要らぬ事態になる前に忠告は済ませておくべきか)

マクギリス「一夏、少しいいかな?」

一夏「ん?どうした」

マクギリス「なに、少し気になったのでね。…外部の人間に、どの様に誘われようとも二人きりになるのは避けた方がいい。我々男性操縦者とは、ある意味特別過ぎるというのを意識に留めておいてくれ」

一夏「まあ、そりゃどこだって男性操縦者のデータは欲しいだろうしな」

マクギリス「そういう事だ。最悪、拉致などの事態も考えられる。気を付けておいてくれ」

一夏「解った、気を引き締めておくよ」
276 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/15(土) 22:49:14.17 ID:mRZnkwkfO
「あ、いたいた。マクギリス君にミカ君に一夏君」

マクギリス「…楯無か。なんの用かな?」

楯無「こっちのお仕事。三人ともこの服に着替えて、これを被ってね」

マクギリス「…なんだ、これは…」

どこの国の王子だ、と言いたくなるコスチューム。

楯無「これから生徒会主導の観客参加型演劇をやるのよ。三人は主役」

一夏「だ、台本も無しにいきなりですか!?」

マクギリス「我々には仕事があるのだが?」

楯無「基本アドリブのお芝居だから台本は無いわ。話は付けてあるし、問題無いわよ。さあレッツゴー!」

彼女に連れられ、会場に向かう羽目になる。困った女だ…
277 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/17(月) 02:59:17.74 ID:iqCyNv2T0
楯無の指示の元、配置に着く。

続く、楯無のアナウンス。…シンデレラ、だと…?

楯無「否、それはもはや名前では無い。幾多の舞踏会を切り抜け、群がる敵兵を薙ぎ倒し、灰燼を纏う事厭わぬ最強の兵士達。それを呼ぶに相応しき称号、即ち『灰被り姫』ッ!」

マクギリス「……は、?」

話が意味が解らない。これは、いったい…?

疑問を解消する間もなく、ナイフが頭目掛けて飛んでくる。咄嗟に回避して投擲元を探す。それは、見覚えのある銀髪の美少女。

マクギリス「どういうつもりだ、ラウラ…?」

ラウラ「問答の暇がない。黙って私に王冠を渡せ」

マクギリス「ならば先にそう言ってくれ。こんなもので良いならば差し出す。武器は収めてくれ」

ラウラ「流石嫁、察しが良くて助かる」

王冠を外そうとした瞬間、楯無のアナウンスが響き渡る。

楯無「王子様にとって国とは全て。その機密が隠された王冠を失うと自責で電流ビリビリよ」

マクギリス「……は、っ?」

その言に違わず、体を電流が襲う。

マクギリス「ぐう、っ…!?」
278 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/17(月) 03:46:56.27 ID:iqCyNv2T0
慌てて王冠を戻さざるを得ない。

マクギリス「悪趣味な…すまない、ラウラ。これでは渡すに渡せん、命に関わることなのでな」

ラウラ「あの女め…仕方ない、代わりに誰にも取られるな。絶対に」

マクギリス「解っている。これでは手放せん」

ラウラ「フォローはしておく、逃げろマクギリス」

マクギリス「感謝する」

言葉に従い、離脱する。王冠狙いと見える女子の群れが、既に迫っていたのだから。

隠れ、逃げ回り、やり過ごす。不意に、嫌な予感に襲われる。

マクギリス(殺気…この様な混乱、奴等には恰好の状況か。楯無め、考え無しに引っ掻きまわし過ぎだ)

事実、三日月や一夏の姿は見えず、逃げ込んだ先に待ち伏せされる、などと言う危険もある。

そんな危惧は、数分で現実と化した。
279 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/17(月) 04:30:03.25 ID:iqCyNv2T0
次回予告

三日月「アンタ、何?敵なの?」

一夏「気を付けろ三日月、こいつは…!」

「ああ、お察しの通りさ!お前らのISをよこしやがれ!」

そして、戦場に混ざり込む異物。

マクギリス「馬鹿な、この機体は…!?」

「そうか、貴様には馴染み深いのだろう?喜ぶがいい、この世界で再会した事を」

次回、ガンダム・フレーム。
280 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/06/17(月) 04:34:58.61 ID:iqCyNv2T0
マクギリス「さて、謝罪に移らせて貰おうか」

マクギリス「本当は昨日の内にここまで書きたかったのだが、用意している合間に睡魔に敗北してしまった。申し訳ない」

マクギリス「次回はきっちりと一話分書きたい…が、あまり期待はしないでいてくれ。最近、仕事が激務でな…」

マクギリス「では諸君、また来週」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 18:08:14.78 ID:Vp9ql4k80
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/25(火) 21:45:27.44 ID:ypz/MIhU0

待ってるから無理せず頑張ってくれ
283 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/07(日) 00:00:01.97 ID:DNCrFlhk0
マクギリス「待たせて申し訳ない。そろそろ、書きに入らせて貰う」

マクギリス「どうにも最近、仕事もバエルも調子が悪くてな…降格の憂き目に遭うなど、不調でな…」

マクギリス「気を取直して、なんとか再開させて貰おう」

マクギリス「ところで諸君はもうFAガールの劇場版は見たかな?」

マクギリス「最後に出てきた彼女達の活躍、期待させて貰おう…!」

マクギリス「それと、総集編に近いからと言って途中で退室するのはやめて欲しい。マナーとして、そして映画に対して失礼極まるからな。一人くらいならトイレか体調不良だろうと思えたが、三人四人と出て行かれると、な」

マクギリス「そういえば、今はもうMよりFの方がバエルには良いのだろうか?最近見かけるバエルは大概Fだし、私もFバエルに慣れるべきか…」

マクギリス「では、デスティニーを完成させながら書かせて貰おう」
284 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/07(日) 00:24:49.11 ID:DNCrFlhk0
第十六話 ガンダム・フレーム

敵襲の知らせと共に、バエルに通信が入る。

千冬「ファリド、オルコット、凰は哨戒に当たれ。敵は内部に潜入して戦闘を始めた以上、必ず外部からも来る」

マクギリス「了解した。三日月、そちらは」

三日月『大丈夫。すぐに仕留めるから』

マクギリス「…頼もしいな」


一夏「ミカッ!」

三日月「生きてる?一夏。で、…アンタが敵って訳だ」

「ハッ!ノコノコとこのオータム様の前に出やがって、誘い出さ…ぬがぁっ!?」

死角からのテイルブレードがオータムの機体に襲い掛かり、台詞を中断させた。

三日月「ごちゃごちゃとうるさいよ。さっさと消えろ」

オータム「テメエ…ブチ殺してやるよ!クソガキがぁっ!」


IS学園上空、バエルで先行する。

マクギリス「あちらは問題無いだろう…さて、敵は何処から…」

セシリア「来ましたわ!2時の方向、三機の機影を確認しまし…!?」

マクギリス「エイハブウェーブだと…!?」

先行する、真紅の機体。エイハブウェーブに驚く隙もなく、手にしたライフルからビームが放たれた。実に正確な射撃。

「見せて貰おうか、この世界のガンダムの性能を…!」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/07(日) 00:36:54.17 ID:Y2F6kqWPO
新しいデスティニーホント凄い
このクオリティで他のも作って欲しいくらいに凄い(語彙力不足)
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/07(日) 00:37:21.38 ID:Y2F6kqWPO
ごめんなさいメ欄間違えました
287 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/07(日) 00:59:22.88 ID:DNCrFlhk0
マクギリス「この距離から狙って来るか!」

散開して直撃を避ける。敵はサイレント・ゼフィルス、マッチングリストに該当しない真紅の機体。そして…最後の一機が、手にした得物を構えて突進してくる。

マクギリス「よもや、この世界で見える事になるとは…!」

かつて友が駆り、自分を打ち倒した機体。偽装を解いたキマリスが襲い掛かって来ていた。


三日月「邪魔だよ、アンタ」

オータム「この、ガキが!調子付きやがって!」

一夏「こっちも居るって忘れてないか!?」

背後から雪片が振るわれる。回避に意識を割くオータムをメイスの一撃が打ち据え、戦っていたロッカールームから演劇の舞台となっていた会場へと叩き出す。


マクギリス「そちらは任せる、この機体は私でなければ相手にもなるまい…!」

キマリスの攻撃を捌きながら、観察する。

マクギリス(ガンダム・フレームをそのまま再現している。つまりは無人機か…ふざけた真似をしてくれる)

マクギリス「そんな仕様で、私を倒そうとはな!」


セシリア「そんな…BT適性は私が最高値の筈、それが何故…フレキシブルまで、!」

ブルーティアーズから放たれたミサイルを、ビームが湾曲、追尾するかの様にして破壊した。


鈴「なんなのこいつ、この速さ…!?」

甲龍を、ビームが襲う。

「君では私の相手にはならんよ」
288 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/07(日) 03:21:16.69 ID:DNCrFlhk0
オータム「クソがっ!こんなガキ共に!」

三日月「だからさ、ごちゃごちゃうるさいよ」

オータムの機体が、バルバトスに蹂躙される。


増援の迎撃部隊が突破される。

鈴「こいつ、いったい…!?」

真紅の機体の蹴りが、甲龍を吹き飛ばした。

セシリア「鈴さん!くっ…よくも!」

対峙するブルーティアーズとサイレントゼフィルス。力量差は、歴然だった、

マクギリス「このままではいかんな…」

キマリスとの打ち合い、撃ち合いは並行線を辿る。幾度となく剣と槍がぶつかり合う。

「ふん、噂通りなのは貴様だけか」

横合いから、セシリアを退けたゼフィルスのビーム攻撃。回避に意識を割いた隙を、キマリスのランスが的確に突き、バエルを舞台へと叩き付けた。

マクギリス「ぐっ…」

ラウラ「マクギリスっ!無事か!?」

見れば、機能の大半を潰された敵機を捕縛する寸前だった。
289 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/07(日) 20:24:30.03 ID:DNCrFlhk0
「不様だな、オータム」

オータム「うるせえ!まだ機体に馴染んでねえだけだっての!」

ゼフィルスのビットと真紅の機体のビームが包囲網をズタズタにする。その隙にオータムと呼ばれた女は機体のコアを外し、その機体の自爆機能を起動した。

「これ以上は少々厄介になる。今の内に離脱するぞ、エム、オータム」

真紅の機体のパイロット…仮面を付けた男が、そう発した。

マクギリス「逃すものか…!」

真紅の機体への突進を、キマリスに阻まれる。

それと同時に、オータムが捨てた機体が爆散する。…その隙に、既に敵影は消えていた。

マクギリス「…逃した、か。無事か、皆」

シャル「うん、なんとか…ラウラが爆風を逸らしてくれたから」

楯無「あの赤い機体、ただ者ではないわね。男な上に、あの実力…」

一夏「ちくしょう、なんなんだあいつらは…!」

マクギリス「無事に済んだ事を喜ぶべきだろう。課題は増えたが、な…」

そう口にしながらも、内心解っていた。これだけの数の専用機、二機のガンダムフレーム。それがたった四機に掻き回され、誰一人捕まえられなかった。この世界に来て初めての、明確な敗北であった。
290 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/07(日) 20:41:29.96 ID:DNCrFlhk0
次回予告

楯無「ところでマクギリスさん、これなーんだ?」

マクギリス「私が付けていた王冠….?戦闘のどさくさに紛れて回収とは、阿漕な真似を」

楯無「これを手にした女子は、被っていた男子と同室になるのです!いえーい」

マクギリス「なんだと…聞いてないぞ、そんな話は…!」

楯無「生徒会長権限で絶対よ?観念なさいな」

マクギリス「何故そんな真似を…」

楯無「聞きたい事が色々あるから?あと面白そうだから!」

マクギリス「困った女だ…」

楯無「次回、インフィニットマクギリス。サイレント・ゼフィルス」

マクギリス「また厄介事の予感がするな…」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/07(日) 20:49:27.01 ID:/ST0cHNy0
乙ー
292 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/27(土) 01:57:06.71 ID:DQZLCfM30
マクギリス「随分と、待たせてしまったな。申し訳ない」

マクギリス「体調が悪かったり、夜勤明けに名古屋遠征したら次の日まで死に掛けていたりでマトモに書く余裕がなくてな」

マクギリス「では、HGシナンジュスタインを組みながら書かせて貰おう」
293 :エングレービング塗るの面倒くせえ… ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/27(土) 02:09:22.04 ID:05OPc4Mt0
マクギリス「キャノンボール・ファスト…確か、国際競技の一種だったか」

楯無「でもって、このIS学園のあるこの地では市の行事の一環で毎年開催されてるのよ」

マクギリス「…またしても、催事とはな。多過ぎでは無いだろうか」

楯無「まあ、今年は特に、ね?」

マクギリス「どう考えても事件の匂いしかしないんだが、警備は万全と言えるのか?」

楯無「むーり。野外競技だしね」

マクギリス「…困った物だな」

楯無「で、競技の自信の程は?」

マクギリス「速さを競うなら、バエルの相手になりうるのは白式と紅椿だな。もっとも、単純なレースではないので一概には言えないがな」

楯無「で、終わったら一夏君ちで誕生日パーティーでしょ?」

マクギリス「だからこそ、無事に終わって欲しいんだ」
294 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/27(土) 16:21:03.91 ID:we4mKa7b0
キャノンボール・ファスト当日。

マクギリス「専用機持ちによるバトルレース…流石の観客数だな」

シャル「だね。楽しみだよ」

マクギリス「…セシリア。随分、気合が入っているな」

セシリア「え、ええ。良い試合にしましょう」

マクギリス(…随分、根を詰めていたようだが…やはり以前サイレント・ゼフィルスを取り逃がしたのが大分堪えたみたいだな)

三日月「あー…つまり、別に攻撃はしてもいいんだよね?」

マクギリス「ああ。もっとも、回避した方が距離は稼げるだろうがな」

三日月「ふーん…」

マクギリス「さて、そろそろ時間だな」

周りは全て競い合う相手となる。各自は切り札を隠し、勝負に臨む。
295 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/28(日) 06:58:28.26 ID:rzYm1S8Q0
戦いの時間となり、一年専用機持ちが並び立つ。

マクギリス(壮観だな。私のバエル、三日月のバルバトス。セシリアのあれはストライクガンナーか。強襲離脱用装備だったか)

マクギリス(鈴のは初めて見るタイプだな。横向きの衝撃砲からして、完全にキャノンボール・ファスト仕様と言ったところか?)

アナウンスに従い、スタート地点まで移動する。 シグナルランプが点灯し、カウントが始まる。

スタートと同時に、セシリアが先頭に踊り出る。

コーナーを過ぎ、鈴が勝負を仕掛ける。衝撃砲を用いてセシリアを牽制、回避に余裕を割いたセシリアを鈴が抜き去る…それを更に、鈴の背後にスリップストリームを用いて機会を窺っていたラウラが先に出た。

シャル(バエルが先頭になれない筈がない。何か仕込んで…いや、悉く先手を取るしかない!)

鈴が対応するより早く、ラウラの大型砲の弾丸が鈴を捉える。直撃ならずとも、大きくコースを外れる。

マクギリス(では、そろそろ行かせて貰うと…!)

混戦しだした前方を一気に抜くべく力を込めようとした私を、白式が襲撃する。

一夏「マクギリスを自由にさせといたら間違いなく首位を取られるからな」

マクギリス「挑んでくるか。その心意気、買わせて貰おう!」

バエルソードと白式のクローが交差する。
296 :エングレービングが上手く塗れない ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/07/29(月) 01:01:13.11 ID:5PloX0Zz0
箒「背後が空いている!」

紅椿の奇襲。それを白式を弾いた反動で避け、双方にレールガンの弾を見舞う。…掠めた程度。被害は殆どない。

マクギリス「今の連携は悪くなかったな。即席か?」

一夏「いや、打ち合わせ通りさ」

マクギリス「何…!?」

二人に気を取られている私の頭上から、バルバトスが強襲を掛ける。辛うじて、バエルソードを交差させて受ける。

三日月「やっぱチョコの人は厄介だな。先に潰さないと」

マクギリス「まったく、随分と目を付けられた物だな」

混戦模様なったバトルレース。だが、そこに一石を投じたのは参加者達では無かった。
297 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 19:33:58.56 ID:ojJH8IZD0
降り注ぐ、上空からの砲撃。見覚えのある機体が、次々と先頭を駆けるシャル達を撃ち抜いていく。

マクギリス「つくづく暇な連中め…!」

三日月「アイツ…この前の」

セシリア「サイレント・ゼフィルス…あの機体は、私が!」

一方的に通信を切り、セシリアがゼフィルスに突撃を掛ける。

シャル「行って、マクギリス!」

マクギリス「大丈夫か、シャル。機体の損傷は」

シャル「僕もラウラも鈴もスラスターをやられた。このままじゃセシリアが…!」

マクギリス「わかっている。私が必ず、彼女を連れて戻る。三日月、君達はここの防衛を。奴一機とも限らない」

三日月「わかった。アンタも気をつけて」

市街地に抜けたであろう二機に向けて、スラスターを最大限に使用し空を駆ける。
298 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 19:43:28.55 ID:0r9HHt9D0
マクギリス「見えた…!」

ゼフィルスと、セシリア。状況は劣勢。

ゼフィルス「…ようやく、白馬の騎士様のお出ましか」

マクギリス「何…?このエイハブウェーブは…!」

敵の狙いはセシリアではなく、セシリアの身を案じ追撃に出た私自身、というわけか…!

迫り来るキマリス。応戦の隙を、ゼフィルスが付け狙う。

マクギリス「くっ…セシリア、即席ではあるが後ろは任せる。良いな?」

セシリア「あ…はい、お任せを!」

まずはナノラミネートアーマーを持つキマリスを狙う。キマリスのランスとバエルソードが甲高い音を立てぶつかる。互いに引かぬ押し合いに、セシリアの援護とゼフィルスの妨害。一進一退の攻防が飛び交う。
299 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 20:04:04.18 ID:YosvRcI00
私の隙をセシリアが。セシリアの隙を私がフォローする。

ゼフィルス「ちいっ…」

対して、ゼフィルスとキマリスは互いに協力するのではなく、目の前の敵を叩く事を優先しているが故に、互いに邪魔をし合う結果になっていた。

キマリスの頭部に、バエルソードが突き刺さる。その隙を狙うゼフィルスを、セシリアのライフルが妨害する。

ゼフィルス「使えん木偶人形が…」

互いに心を通わせた連携こそが、戦局を覆す。そう、我々の戦いは一人ではないのだ。

キマリスの膝のドリルを蹴り折り、機能中枢にバエルソードを突き刺さす。沈黙するキマリス。

ゼフィルス「この…!」

セシリアの射撃を躱し、突撃してくるゼフィルス。

切り結ぶ私の背後から、高出力ビームが放たれた。回避は不可能に近い。損害を覚悟し、ゼフィルスへの攻撃を優先する。

セシリア「マクギリスさんっ!」

そのビームを、セシリアが身を呈して庇った。

「引き上げだ、エム。これ以上は消耗戦になる」

ゼフィルス「…ちっ」

赤い、金の装飾の施された機体。それの指示で、ゼフィルスは引き上げていく。

マクギリス「セシリア、無茶をし過ぎだ」

セシリア「マクギリス、さんは…無事、でして?」

痛みに呻くセシリア。右腕に痛々しい傷。

マクギリス「ああ。君のおかげだ。感謝する」

セシリア「良かっ、た…」

気を失い、機体が待機状態に戻ったセシリアを抱える。

マクギリス「…私だ。敵機を破壊した。コアは無事だろうから、回収を頼む」

千冬『キマリスとかいう無人機か。良くやった。オルコットは』

マクギリス「負傷はしているが、命に別状はない。治療の手配を」

予定外の事態ではあったが、乗り切る事は出来た。
300 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 20:29:44.79 ID:CjNh4cnT0
セシリア「マクギリスさん、次はケーキをお願いしますわ」

一夏の家での、誕生日パーティー。…人数、やけに多い気がするのだがな。

マクギリス「ああ。どうぞ」

セシリアの口にケーキを運ぶ。まさに至福、といった顔のセシリア。

シャル「ずるいなぁ…僕が食べさせてあげようか?」

マクギリス「いや、私の仕事だ。彼女には救われた借りがあるからな。この怪我も、私の責任だ」

シャル「マクギリスは本当にそういう所生真面目だなぁ…」

セシリア「マクギリスさん、私はもう大丈夫ですから一夏さん達とお話しなさっては?」

マクギリス「本当に良いのか?では、御言葉に甘えよう」

マクギリス「…ん?君は、確か一夏の友人の妹さん、だったかな?」

蘭「は、はい!マクギリス・ファリドさんでしたよね!五反田蘭です!ご活躍はかねがね伺っております!是非サインを…あいたっ」

鈴が背後から蘭を小突く。

鈴「なーに誕生日パーティーでサインなんてねだってんのよ。大方クラスの連中に頼まれたんでしょ」

マクギリス「ふむ、なるほどな。あまり慣れてはいないが、私ので良いなら構う事はないぞ、鈴」

蘭「ありがとうございます!」

鈴「そう?アンタがそういうなら良いけど」

楯無「人気者ねえ。少しジェラシー、かしら」

マクギリス「物珍しいだけだろう。では、失礼」

サインを渡し、このパーティーの主役の元へ向かう。

一夏「お、マクギリス。セシリアは大丈夫そうか?」

マクギリス「ああ。義理深い少女だよ、彼女は。傷よりも友の誕生日を祝いたいとはな」

一夏「まあ、セシリアも皆も良い奴だからな」

マクギリス「同感だ。では改めて一夏、お誕生日おめでとう。受け取って貰いたい」

プレゼントを渡す。

一夏「これは?」

マクギリス「バエルだ」

一夏「…えっ?」

マクギリス「正確には発売中のフルメカニクスのガンダム・バエルだ。出来は凄まじく良いぞ」

一夏「あー、プラモデルか。ありがとな」

マクギリス「何、悩んだ末に私が貰って嬉しい物を、とな。気楽に作ってくれ
301 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 20:37:01.40 ID:g79FQiCn0
マクギリス「…飲み物の消費が激しいな」

一夏「人数居るしなぁ…買ってくるよ」

マクギリス「いや、私が行こう。主役に雑用をやらせる訳にはいくまい。君は友人に希望を聞いて来てくれ」

一夏「なんか、悪いな」

マクギリス「気にするな。私も少々、外の空気を吸いたいのでな」

セシリア、シャル、ラウラに箒に楯無、鈴の希望を書き留め、一夏の友人達の分のメモを受け取り、外に出る。

マクギリス(この分ならばスーパーの方がいいか)

手早く仕入れ、一夏の家に戻る…その行く手、街灯の下に佇む小柄な少女。

マクギリス「君、どうかしたのかな…!?」

その容貌は、織斑千冬の生き写しと言わんばかりの、瓜二つだった。
302 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 20:53:37.69 ID:g79FQiCn0
次回予告

楯無「ねーえ、私の見せ場全然無いんだけど?」

マクギリス「唐突に何を言いだすんだ。君は散々好き勝手して来たろう」

楯無「私も暴れたいの!」

マクギリス「勘弁してくれ」

楯無「次回、インフィニット・マクギリス。失敗作とガンダム。ガンダムは…敵ぃいい!」

マクギリス「近いが違うだろう君はっ!?」

「誰が失敗作だ、誰が出来損ないだ!」

マクギリス「君の事ではない、下がれ」
303 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 21:07:51.68 ID:q+DkI2SO0
第十八話 失敗作とガンダム

マクギリス「君は、一体…」

「織斑マドカ、だ。マクギリス・ファリド」

マクギリス「織斑…なるほど、その声はゼフィルスのパイロットか」

マドカ「ほう、流石だな。腑抜けた学生どもとはやはり違う」

マクギリス「何用だ。まさか、軍門に下りに来た訳ではあるまい」

マドカ「バエルを差し出せ。そうすれば、貴様には手出ししない」

マクギリス「良いだろう。君にバエルを差し出そう」

マドカ「ほう?話が解る奴で何よりだ」

差し出すは、フルメカニクスのバエル。

マドカ「…貴様、馬鹿にしているのかっ!?」

律儀に受け取り、一度しまってからの発言だった。

マクギリス「違ったか?私の直感では、君もアグニカとバエルが好きだと思ったが」

マドカ「違わないが違うっ!しかも初回限定ではないではないかっ!」

マクギリス「すまない、初回限定のバエルは一夏に渡したのが最後でな」

マドカ「おのれ織斑一夏め、またしても…覚えておけっ!」

ゼフィルスを展開、逃げる様にして飛び去って行った。

マクギリス「……本当に何をしに来たんだ…?」

流石に、困惑せざるを得ない。
304 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 21:17:10.82 ID:5/WSKqLM0
翌日。自室に戻ると待ち構えていたのは更識楯無。

マクギリス「お引き取りいただきたい」

楯無「扱い雑すぎないかしらっ!?」

マクギリス「私は少々疲れていてな。君の企みに付き合う余裕は無いんだ」

楯無「背中流してあげるから、話を聞いて貰えないかしら?」

マクギリス「そういうところだぞ楯無。…で、用件は」

楯無「襲撃…ぽいの受けたんでしょ?護衛、つける?」

マクギリス「結構。生半可な戦力で対処出来る相手ではあるまい」

楯無「そうよねー…あと、もう一件」

マクギリス「なんだ?」

楯無「うーん、と、その、ね?」

珍しく、歯切れが悪いな。

楯無「妹を、お願いします!」
305 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 21:35:08.89 ID:b0O4HNJd0
マクギリス「更識簪。君の妹で、四組の専用機持ち、か」

楯無「そうなのよ。だけど、専用機は未完成で実戦段階じゃ無いのよ」

マクギリス「なるほど、キャノンボール・ファストに四組の専用機持ちが居なかったのはそれが理由か。それで、私に何をさせたいんだ」

楯無「それでね、昨日の襲撃事件を受けて、全体の練度を上げる為に全学年合同でタッグマッチをするんだけど…そこで、簪ちゃんと組んであげて欲しいの!」

マクギリス「それは構わないが…何故、私なんだ?」

楯無「それは簪ちゃんに会えばわかるわ。それじゃ…よろしくお願いします」

マクギリス「…ああ。私としても、学園の戦力増強は必須と考えていた。その為ならば引き受けるさ」

楯無「ありがとう。遅くにごめんなさい」

マクギリス「気にするな。必要な話であるならば問題はない」

楯無「それじゃ、おやすみなさい」

マクギリス「ああ、おやすみ」
306 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 21:59:30.44 ID:gAvxjO9M0
眠りに着いた頃に、緊急通信で叩き起こされた。

マクギリス「エネルギー波、だと?」

千冬『お前が現れた時と同じ物だ。第2アリーナだ』

マクギリス「わかった、急行する」

バエルを使い、上空から無人の筈のアリーナを見下ろす。倒れている人影を捕捉、近くに降り立ちバエルを解く。

そしてその顔に、絶句せざるを得なかった。

マクギリス「…ガ、エリオ、?」
307 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 22:14:01.00 ID:83/OqVzb0
間違いだ。他人の空似の筈だ。此処に居る筈がない。居て良い筈がない。

そう、否定しても、目の前の現実は、自分の認識は。かつての友の姿を、如実に捉えていた。

マクギリス「…何故だガエリオ、何故、何故お前が現れた!?」

ガエリオを揺さぶる。ゆっくりと開かれたその眼は、やはり間違えようがないものだった。

ガエリオ「う、俺は…」

マクギリス「答えろガエリオ、何故お前が此処に来る!?」

ガエリオ「な…マク、ギリス…なのか…?」

マクギリス「…やはり、ガエリオ、なのか。向こうで、何が起きた…何故、お前が…」

ガエリオ「ば、化けて出たのか!?いや偽物か!?此処は何処だ!?」

マクギリス「…何を言っている。私は私だ。お前こそ、何故この世界に来た」

ガエリオ「…本当に、マクギリス、なのか?…どういう事だ…?」

千冬「ファリド、そいつがそうか。…知り合いか?」

駆け付けた織斑千冬。それに背を向け、ガエリオから視線を外す。

マクギリス「ああ。私の友じ…いや、顔見知りだ。悪い男ではない、説明して丁重に扱ってやるといい」

ガエリオ「マクギリス…?何故、今…」

千冬「…ファリド?」

マクギリス「私も明日は早いのでな。失礼する」

ガエリオ「な、待て、マクギリス!マクギリス!」

その呼びかけに応えぬまま、私は部屋へと逃げ帰った。

マクギリス(今更、どのような顔をして接しろと言うのだ。否、接するだけの権利は、もはや私にはあるまい)
308 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 22:36:20.41 ID:Hh2JQZcd0
翌日。転入生という扱いで、ガエリオは一組に入る事となった。

ガエリオ「ガエリオ・ボードウィンだ。事故で記憶喪失でな。すまないが、色々と知らぬ事ばかりなので手助けしてくれると有難い」

三日月「ね、良いの?あれ、ガリガリでしょ」

マクギリス「気にする必要は無い。遺恨などは引きずるなよ、要らぬ波風になる」

三日月「俺は別に…けど、アンタは?」

マクギリス「既に終わった話だ。気遣いは無用だ」

三日月「そう。」

そう、既に終わった関係でしかないのだ。奴と、俺は。

放課後。早速、更識簪の元へ…向かわんとする私の前を、ガエリオが遮る。

マクギリス「…すまないが、通して貰えないか。私は忙しい身でね」

ガエリオ「先に話を付けるべきは俺ではないのか、マクギリス」

マクギリス「先約がある。それに、君と話す事はない…君とて、本当は私と顔を合わせるのも嫌だろう」

ガエリオの脇を、強引に通り抜ける。

ガエリオ「…マクギリス…」

一夏「えっと…ガエリオ、さん?マクギリスと知り合いだったりするのか?」

ガエリオ「…ガエリオで構わない。奴とは幼馴染だ」

一夏「そうなのか」

シャル(ガエリオ…確か、マクギリスの…)


309 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 22:42:49.51 ID:Hh2JQZcd0
マクギリス「失礼、更識簪さんは居るかな?」

簪「何か、御用ですか?」

マクギリス「今度のタッグマッチ、是非とも私と組んで貰えないかな?」

簪「…何故、ですか?」

マクギリス「タッグマッチの目的は、全体の練度を上げる事だ。私としては、君との連携訓練も積んで置きたい。勿論、必要な助力はさせて貰おう」

簪「…一つ、条件が、ある」

マクギリス「何かな?」

簪「バエルの写真、沢山撮らせて。色んなポーズで」

マクギリス「あ、ああ。分かった」

楯無の言っていた事を、ようやく理解した。
310 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 23:02:20.62 ID:5vQJi9sD0
マクギリス「では、まずは君の専用機の完成から目指…」

簪「必要ない。一人で完成させる」

マクギリス「な、待ってくれ。君の機体は…」

簪「姉さんにも出来た、私にだって…!」

駆け出してしまう、簪。

マクギリス「…困ったものだ…」

彼女を追う。曲がりなりにも、パートナーなのだから。

アリーナに着き、簪を探す。…飛行試験中の様だった。

マクギリス(基本形は出来ていたのか。ならば完成は近いはずで…む、?)

簪の機体のスラスターの一基が不自然に明滅、爆発した。制御を失ったらしく、墜落していく簪。

マクギリス「不具合か!?」

バエルを緊急展開、簪に追い付き、壁に激突する寸前でバエルを割り込ませ、簪を受け止める。

マクギリス「くっ…」

簪「マ、マクギリス、さんっ!?」

マクギリス「怪我はないか、簪」

簪「わ、私は平気。でもマクギリスさんが…」

マクギリス「マクギリス、と、呼び捨てで構わない。バエルはこの程度では傷一つつかない」
311 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 23:07:55.51 ID:5vQJi9sD0
簪「その、ごめんなさい。ありがとう、助けてくれて」

マクギリス「気にするな。だが、今後は一人で無理をするな。こんな事故で怪我をしては、勿体ない」

簪「は、はい…」

マクギリス「では、私は報告を上げておく。事故が起きた以上、必要だからな」

簪「本当に、ごめんなさい…」

マクギリス「何、謝罪は不要だ。ゆっくりと休め。明日から、皆で完成を目指そう」

簪「はい…本当に、ありがとう」

マクギリス「ああ、では、また明日」

報告を上げて、自室に帰る…待ち構えるは、ガエリオ。
312 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/08/04(日) 23:15:00.74 ID:qDoxBy9m0
簪「本当に、ごめんなさい…」

マクギリス「気にするな、事故では仕方ない。君に怪我が無くて良かった」

簪「でも…」

マクギリス「ならば、私の言う事を一つ、聞いては貰えないかな?」

簪「私に出来る事なら、なんでも…!」


マクギリス「皆で、君の機体を完成させよう」

簪「えっ、?」

マクギリス「一人では出来ない事は当然ある。だからこそ、人は助け合う。こんな事故で怪我をしても仕方ないのだから、な?」

簪「は、はい…」

マクギリス「では、私は報告に行ってくる」

簪「そ、それは私が…」

マクギリス「いや、そう行った事は得意でな。君はゆっくりと休め、そして明日から、完成を目指そう」

簪「ありがとう、ございます」

マクギリス「ああ。また明日」

簪「はい、また明日」

報告を上げて、自室に帰る。待ち構えるは、ガエリオ。
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