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屍男「おい、そこのロクでなし」吸血娘「なんだ髪なし」
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375 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:01:20.99 ID:PylgOG9Ko
屍男「……一つだけ、訂正しておきたいところがある」
屍男「お前は俺が手加減したと言っていたが、そうというわけではない」
屍男「俺はあくまでお前の父を殺した当時の、人間としての能力で戦ったつもりだ。だから、物質を霧化することで放った最後の銃弾……あれは間違いなく、俺の想定を超えたものだった」
屍男「あの一瞬、お前は確かに父を超えた。誇りに思え。ヴァンパイアという種の中での最強は間違いなくお前だ」
吸血娘「……!」ドキッ
吸血娘「う、うるせぇ!!全力でやってなかったことは事実だろうが!!ぶっ飛ばすぞ!!!!」
屍男「……いいんだな。これで」
吸血娘「あ?何がだよ」
376 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:02:34.99 ID:PylgOG9Ko
屍男「いつか、自分の決断を後悔するかもしれないぞ」
吸血娘「アホか。私はんなことで後悔なんて絶対しねえよ」
吸血娘「お前もそうだろ?それが正しいと信じて、その行いを悔いたことなんてあったか?」
屍男「……」
屍男「……そう、だな。間違いない」
吸血娘「んじゃ、はい」スッ
屍男「……なんだ。この拳は」
吸血娘「何って、何回もやっただろ。拳を合わせるやつだよ」
屍男「……」
屍男「……これでいいか」スッ
コンッ
377 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:04:02.01 ID:PylgOG9Ko
吸血娘「約束は守れよ。また死ぬまで私の側から離れるな。勝手に死んだら地獄の果てまで追い回してやる」
屍男「……あぁ、分かっている」
魔女「はい!これで二人とも仲直りね!いやぁ〜感動したわぁ〜」シクシク
吸血娘「」ビクッ
吸血娘「な……お、お前まだいたのかよ。すっかり忘れてたわ」
魔女「だって仕方ないじゃない。あんなシリアスな雰囲気で部外者の私が口出しなんてしたら空気読めてないし、存在感を消すくらいしか出来なかったわ」
魔女「何はともあれ、最悪の結果にならなくて良かったわ。二人は私の大切な友人だし」
吸血娘「友……?」
屍男「……人?」
378 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:05:40.12 ID:PylgOG9Ko
魔女「あ、そうだ。ゾンビくん」ゴソゴソ
魔女「これ、ゾンビくんが気を失ってた時に、家まで運ぶのを手伝ったんだけど、その時にかかった料金の請求書ね♪」スッ
屍男「……なんだ、この法外な額は」
吸血娘「え、いくら?……ハァッ!?」
魔女「仕方ないじゃない。あんなところまで車を用意して運んでくるのに手間と時間がかかったんだし、それにゾンビくんが廃墟周辺を火の海にしちゃったからその分の値段もね。自然は大切にしないと」
屍男「……知っているだろ。今の俺に持ち合わせはないぞ」
魔女「えぇ、だから前回と同じ“アレ”でいいわ。今回は二人分にまけてあげる」
屍男「……狡い女だ。最初からそれが目当てだったな」
屍男「いいだろう。借りは借りだ。従ってやる」
379 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:06:52.15 ID:PylgOG9Ko
吸血娘「???」
吸血娘「なぁ、何の話だ?」
魔女「ドラキュラちゃんはまだ知らなくていい話よ。大人同士の関係ってやつなんだから……」フフッ
吸血娘「ハァッ!?」
吸血娘「おいハゲェ!!!!どういうことだそれ!!!!やっぱお前こいつとデキてんのか!!!!!」
屍男「……勘弁してくれ。話をややこしくするな」
魔女「フフッ、私だって、ゾンビくんには思うところは色々あったのよ?ちょっとはその仕返しをしないと」
吸血娘「おいコラハゲエエエエエエエ!!!!!!」
380 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:08:42.34 ID:PylgOG9Ko
………………………………………………………
……………………………………
チュンチュン……チュンチュン……
屍男「」パチッ
屍男「……朝か」スッ
スタスタ スタスタ
屍男「……」
吸血娘「よっしゃ!これで3キル!!」ピコピコ
屍男「……」
屍男「おい、そこのロクでなし。今何時だと思っているんだ」
吸血娘「なんだ髪なし。今いいところなんだから黙ってろ」
381 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:09:44.62 ID:PylgOG9Ko
屍男「……はぁ。朝食の準備をするが、お前も食うか」
吸血娘「いらない。さっきカップ麺食ったし」ピコピコ
吸血娘「おっ!!あいつあんなところに伏せてやがるな!!よっしゃここはグレネードじゃ!!!!」
屍男「そうか」スタスタ
屍男(あれから……少しは大人になったと思ったが、そう簡単に行けば苦労はしないか)
屍男(……いや、それより以前に比べて更にワガママな性格になった気がする。昨日も就寝前に注意したら「パパを殺したくせに」と言われた)
屍男(……それを言われては本当に何も反論できない。はぁ……これからどうすればいいんんだ)
屍男(……これも、俺に対する罰だと受け入れるしかないか)
382 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:10:58.74 ID:PylgOG9Ko
屍男「バイトに行ってくるぞ」
吸血娘「んー」ピコピコ
バタン
吸血娘「……」ピコピコ
吸血娘「……」ピコピコ
吸血娘「パパに、謝っとかないとなぁ……」
383 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:12:02.85 ID:PylgOG9Ko
…………………………………………………………
………………………………………
後輩女「センパイ!お疲れ様です!」
屍男「……あぁ、お疲れ」
後輩女「いやーセンパイが帰ってきてよかったですよほんと!あのまま行方不明で消えちゃうかと思ってましたもん!!」
屍男「……その節は心配をかけたな」
後輩女「それにしても、まさか姪さんが両親に呼ばれて強制帰国させられかけたなんて……すごいことになってたんですね」
後輩女「センパイも、それを止めるために外国に行ってたんでしょ?大変でしたねぇ」
屍男「……そうだな」
屍男(我ながら無理がある言い訳だと思ったが、そうでもなかったな)
屍男(まあ今でもあいつのことをひきこもりで、血に欲情する性癖で、おまけにレズと信じているなら、そこまで気にすることでもなかったが……こちらが色々心配になるな)
屍男(――こいつには、いつか本当の話を打ち明けるか)
384 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:13:12.53 ID:PylgOG9Ko
後輩女「でも、良かったですね!またこうやって会うことができて!!」
屍男「……あぁ」
屍男「世話をかけたな。辞めると伝えたのに、店の方には黙っていたんだろ」
後輩女「別に大丈夫ですよ。休んでいる期間はインフルエンザってことにしておきましたから」
後輩女「変な話ですけど心のどこかで、また戻ってくるような予感がしてたんですよねぇ」
屍男「……」ジー
後輩女「どうしたんですか?」
屍男(……そうか。こいつと会話していると、どこか懐かしい気分になると思っていたが……似ているのか、あいつに)
屍男「いや、何でもない」
385 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:14:23.82 ID:PylgOG9Ko
後輩女「そうだ、センパイ。実はちょっと前にこんなの貰ったんですよね」ガサゴソ
後輩女「これ、映画のチケットなんですけど。キャンペーンに応募したら三枚組のやつが当たっちゃって」
後輩女「今度、姪さんも連れて一緒に見に行きませんか?」
屍男「……」
後輩女(し、しまった。いきなり映画は攻め過ぎたか……もうちょっと段階を踏むべきだったかな)
屍男「……そうだな。たまにはいいか」
後輩女「えっ!?いいんですか!?」
屍男「あぁ、あいつには俺から伝えておく。日程はどうする?」
後輩女「じゃ、じゃあ……!」
後輩女(よし!脈ありだ!私はまだまだ諦めないぞー!)
386 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:16:00.31 ID:PylgOG9Ko
………………………………………………
………………………………
ガチャ
屍男「帰ったぞ」
吸血娘「んー」
屍男「起きているのか、飯はどうする、今日は何も買って来てないぞ」
吸血娘「じゃあ何か作って。今は動く気しない」ゴロゴロ
屍男「……分かった」
モグモグ モグモグ
吸血娘「……この味付けが変なのも、生前の味覚がおかしかったせいか」
吸血娘「お前はこれ美味しいと思ってんの?」
屍男「……あぁ、そのつもりで作っているが」
387 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:17:32.83 ID:PylgOG9Ko
吸血娘「死んでも直ってないのか……まあ頭もハゲたまんまだしそこら辺は変わってないのな」モグモグ
屍男「……」
屍男「最後に、もう一度だけ確認させてくれ。いいんだな、お前はこれで」
吸血娘「あ?今更なんだよ」
屍男「……気が付いたんだ。俺の時間はあの日以来、止まったままだった」
屍男「だが、命を落とし、怪物になることで、ようやくその時間がまた進み始めたと感じる」
屍男「お前には……この針を、止める権利がある。気が変わったらいつでも言え」
吸血娘「はぁ……私、お前のそういうところ大っ嫌い。空気も心も読めてないのが」
吸血娘「いいよ、いつかお前は私が殺してやる。でもそれはお前が寿命で死ぬ時だ。怪物にも寿命があるのかは知らんけど」
屍男「……そうか」
388 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:19:12.10 ID:PylgOG9Ko
吸血娘「納得出来ないのは分かるよ。私も、この決断が正しいとは思えないし、間違ってるとも思う」
吸血娘「でも、何が正しいかなんて、誰にも分からないんだよ。この世界ってのはそういうもんって、お前も言ってたじゃん」
吸血娘「じゃあ……自分を信じるしかないでしょ。間違っていようとも、自分の心に従って生きる。それしかないんだから」
屍男「……」
吸血娘「はい、じゃあこれ」スッ
屍男「ちょっと待って。またやるのか?昨日やったばかりだぞ」
吸血娘「話を戻したのはお前だろ。これは決意の表明でもあるんだからな。さっさとしろ」
屍男「……はぁ」
389 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:20:22.84 ID:PylgOG9Ko
屍男(何が正しいのか、それは誰にも分からない、か)
屍男(その通りだ。だから今は生きるしかない。このかりそめの平和を、俺は……)
屍男(また血で染まる、その時まで)
コンッ
吸血娘「これからも、よろしくな!ハゲ!」
屍男「……あぁ、こちらこそな。相棒」
END
390 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:21:16.11 ID:PylgOG9Ko
……………………………………………………
……………………………………
391 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:22:34.81 ID:PylgOG9Ko
プルルルルル……プルルルルル……
ガチャ
屍男「珍しいな。お前から電話をかけてくるなんて。何かあったか」
『……ゾンビくん。あの約束は覚えている?』
屍男「約束?」
『ほら、あの時、空港でしたじゃない。手が借りたくなったらいつでも呼んでくれって』
屍男「……何かあったのか」
『えぇ、実はちょっと色々あってね。困ったことになっているのよ』
屍男「……分かった。場所を言え。すぐに向かってやる」
END……?
392 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:24:31.42 ID:PylgOG9Ko
霊能少女「本当の戦いはこれからってやつかな」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520603965/
幼女幽霊「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!」DQN幽霊「!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1466012540/
幼女幽霊「ちょっと昔話でもしようか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525550862/
幼女幽霊「呪いが勝つのか、幽霊が勝つのか実験だよ実験!!」DQN幽霊「!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530550185/
393 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:26:30.53 ID:PylgOG9Ko
ってことで終わりです
綺麗に終わったように見えるんですがまーまだ謎が色々残ってるんですよね…予定だと残りは屍男と霊能少女の完結編で2スレほどある感じです
屍男の方はこれまで2つの物語と絡まなかったこともあって番外編みたいになっているんですが、実は本筋は霊能少女と同じで次でその意味が分かると思います
色々主人公の三人は共通点があるんですが最後には同じ結果に辿り着きます。それがどんな結末なのか予想しながら見てもらえるといいかなと思います
394 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/04/14(日) 05:27:21.39 ID:PylgOG9Ko
そして途中で言った重大なお知らせってなんなのかって話なんですけど…ごめんなさい、悪いニュースです
実は自分今年で受験生でSSが書けない状況に陥りました…
このスレも完結に三ヶ月近くかかってることもあり、間が開いてしまうのは完全に自分の落ち度です。ごめんなさい
ただここまで来てエタるということは絶対にないので、来年には必ず完結します
忘れた頃にやってくると思うので…待ってもらえると嬉しいです
もし作品に関する質問とか疑問とかあったら出来るだけ答えます
395 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/14(日) 07:17:28.25 ID:Y2+sIGsP0
書籍化じゃなかったかー
悪い結果になって意気消沈でエタる、ってのがおそらく俺らにとって最悪のパターンだから、絶対に良い結果出して帰ってきてくれよな!
あとアホの俺にもすぐこのシリーズだってわかるスレタイでたのんます
396 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/14(日) 07:51:08.71 ID:xNoCMkfFo
おつおつ、忙しい中お疲れ
面白かったし吸血鬼かわいかった
待ってるから安心して励んでくれ
397 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/14(日) 13:38:11.19 ID:ZObL5qOBO
乙面白かった
398 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/14(日) 13:42:20.31 ID:HpN6msZIo
完結してくれるだけでありがたいぞ
サイトとかで纏めてたらみたいし
拳合わせるの凄く好き
受験頑張って
おつおつ
399 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/14(日) 14:47:18.68 ID:w7glR902O
乙
面白かった
次も期待してるムリしない程度で書いてくれ
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/15(月) 15:03:03.14 ID:611UgkHHo
おお若いな 適度に息抜きつつ適度に頑張ってくれ
401 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/12/04(水) 04:16:52.16 ID:hgv7Elsgo
生存報告的な何か
色々待たせてしまってごめんなさい…一応まだ生きてます
受験の方ですが一段落付いたので、もしかしたら来月には続きを書けるかもしれないです
まだ確定していないので断言は出来ないんですけど…また近いうちに短編と一緒にこのスレで報告させてもらいます
402 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:06:56.94 ID:2FhL85uyo
吸血娘「オラァ!ハゲ!心霊スポットに行くぞ!!!!」
屍男「……」
屍男「……いきなりなんだ。今、何時だと思っている。夜中の二時だぞ」
吸血娘「アホか!真昼間から肝試しに行く馬鹿がどこにいるんだよ!」
屍男「……明日もバイトがあるんだ。俺は寝るぞ」ゴロン
吸血娘「ふーん、あっそ。私の人生をめちゃくちゃにしておいて、自分はゆっくりおねんねですか」
屍男「…………」
吸血娘「じゃあいいですよ。私は一人で行きますから。あーあ……パパが生きてたら一緒に連れて行ってくれたのになぁ……」
吸血娘「うぅっ……パパ……」ウルウル
屍男(……こ、こいつというやつは……)
403 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:07:56.26 ID:2FhL85uyo
……………………………………………
……………………………
屍男「……」
吸血娘「ふむふむ、地図だとこの山道をずっと登ったところにあるのか」
屍男「おい、いきなりなぜ心霊スポットなんだ。理由くらい聞かせろ」
吸血娘「え?別に?理由なんてないけど?」
吸血娘「ただ単にホラー映画見てたら、そういや私って幽霊見たことなかったなって思って、見たくなっただけ」
吸血娘「で、ネットで調べてみたらこの近くに心霊スポットがあるって見つけて、こりゃ行くしかないっしょってことになったわけよ」
屍男「……そんな下らん理由で俺を連れ回すのか」
吸血娘「お前が私のパパを殺した理由に比べたら可愛いもんだろ」
屍男「…………」
吸血娘「突っ立ってないでさっさと行くぞハゲ。頭の表面だけじゃなくて、中身までスカスカになったのか」
屍男(……あぁ、クソ)
404 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:09:18.33 ID:2FhL85uyo
吸血娘「で、ハゲ。幽霊と怪物って何が違うの?」
屍男「……なんだ。そんなことも知らないのか」
吸血娘「そりゃね、職業柄的に怪物とは何回か会ったことがあるけど、幽霊はないからな。だってあいつら金稼ぐ必要ないし」
吸血娘「幽霊と怪物って具体的に何が違うの?」
屍男「……一番の大きな違いは、肉体を持たない霊体ということにあるだろうな」
屍男「その特性故に、感じ取れる素質がないと探知することが出来ない。俗にいう霊感というやつだ」
屍男「他にも、基本的には物理攻撃が通じないために対策は必須だ。サシでやり合う相手ではないな」
吸血娘「ふーん……怪物と比べたら強いの?」
405 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:11:35.02 ID:2FhL85uyo
屍男「個体にもよる。が、攻撃を通す手段さえあればそこまでの相手ではない。肉体を持ってない分、防御は脆いからな」
屍男「だがこれはあくまで通常の霊の話だ。”足付き”相手になると話は変わる」
吸血娘「足付き……?」
屍男「あぁ、普通霊の下半身には脚が付いていないんだが、極稀にそれが付いている個体が存在する」
屍男「こいつらは手強い。その力は通常の霊とは大きく異なる。次元を歪める力や、人を発狂させる精神汚染、強力な念力など、その力は多岐にわたる」
屍男「真っ向から挑めば、まず返り討ちだ。狩人でも相当の手練ではないと勝負にならない」
吸血娘「……ふーん、中々強そうじゃん。そいつとならいい勝負になるかも」
406 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:12:40.38 ID:2FhL85uyo
屍男「……狩人の世界で幽霊とは主にこの二つを指す。だが、正確にはもう一つの分類が存在する」
吸血娘「え?まだあんの?」
屍男「あぁ、それが”突然変異”だ」
屍男「はっきり言って霊の中ではこいつらが一番警戒すべき相手だ。”足付き”より更に数が少ないが、その分タチが悪い」
屍男「”突然変異”が誕生する経路はその個体によって違うが、共通しているのは霊体が肉体の代わりの媒体を得て、その姿を変化させるということにある」
吸血娘「……ん?つまりどういうこと?幽霊なのに霊体じゃないの?」
屍男「あぁ、分かりやすい例を挙げるなら……以前、俺が遭遇した”突然変異”はカメラの姿をしていた」
吸血娘「カメラァ????」
407 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:14:17.49 ID:2FhL85uyo
屍男「そいつの特性は単純なものだ。そのカメラで撮影した人物を呪い殺す。恐らく、持ち主の霊がカメラと融合したものなのだろうな。俺が確認した限りではこれまで犠牲者が三桁近くにまで上っていた」
吸血娘「でもそんなカメラただぶっ壊せばいいだけじゃないの?」
屍男「そこが”突然変異”の厄介なところだ。奴らの共通点として何らかの不死性を得ている」
屍男「物理的な破壊手段は考えうる限りの全てを試した。しかし破壊には至らなかった」
屍男「ならば祓いの力ではどうだと、これも全ての方法を試した。”足付き”の霊でも一発で消滅するような道具をいくつも使ってな」
屍男「だが、これも無駄だった。そいつを壊すことは如何なる手段を用いても出来なかったんだ」
吸血娘「……で、どうしたんだそのカメラ。封印でもしたの?」
屍男「いや、それも考えたが……このカメラはもう一つの特性を持っていた。一定期間撮影が行われないと、瞬間移動をする性質があったんだ。持ち主の元を離れ、人通りの多いところに突然現れる」
屍男「これはどのような封印刻式を施しても、通用しなかった。自分から手を汚すことはないが、俺達以上の不死身の存在と言ってもいいだろうな」
吸血娘「……や、やばくね?それ……」
吸血娘「そ、そのカメラって今どこにあるの?まさか、今でも放置したままなんじゃ……」
408 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:16:20.96 ID:2FhL85uyo
屍男「安心しろ。結果的には破壊に成功した」
吸血娘「え?マジで?どうやったの?」
屍男「そのカメラは人間を撮影するとその人間を呪い殺す。では人間以外を写すとどうなるか……という話になる」
屍男「試しに、俺が標的にしていた怪物をそのカメラで撮影してみた。生者ではない存在を写せばどうなるか……とな」
吸血娘「どうなったんだ?」
屍男「写した怪物は数秒後に、カメラの呪いで死んだ。これでカメラの能力が人間以外にも通用することが証明された」
屍男「そこからしばらくはそのカメラを狩りの道具として使っていたんだが、ある日突然シャッターが切れなくなった」
屍男「カメラはなぜか分らんが故障していた。その日以来、そいつはただのガラクタになってしまった」
吸血娘「……どゆこと?」
409 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:18:32.17 ID:2FhL85uyo
屍男「考えられる可能性は一つあった。これが”突然変異”の弱点なのかもしれない」
屍男「奴らは生きている対象、生者相手には無敵に近い存在だが、同族の死者、霊や怪物には弱い……と推測出来る」
屍男「同じ波をぶつければ、その波の勢いは落ち、両者は打ち消される……」
吸血娘「……つまり”突然変異”の弱点は同じ死者なのか」
屍男「あぁ、さっきも説明したが、突然変異は他の媒体を肉体の代用として、その身を融合させることで産まれる」
屍男「つまり、霊体に不純物が混じってしまう。これが霊の弱点を消している」
屍男「だが、その代償としてとても不安定な存在になってしまっているのだろう。僅かにでもそのバランスを崩せば……消滅させることが出来るのかもしれない」
410 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:19:57.99 ID:2FhL85uyo
吸血娘「ふーん、なるほどねぇ。自分の弱点を消すことは出来たけど、完璧な存在にはなれないってことか」
吸血娘「他は?他の”突然変異”の例とかないの?」
屍男「……俺の経験でも、完全に消滅させることが出来たのはこの件だけだ」
屍男「”突然変異”へと辿り着く個体はかなり少ない。それに加えて、大抵は物理的な物に宿るのではなく、”現象”としてその姿を変化させる」
吸血娘「現象?」
屍男「分かりやすく言うなら天変地異の災害だ。ハリケーン、地震、火山の噴火など…人の手ではどうにもならない存在だ。これらは地縛霊のようにその土地に住み着いていて、俺でも手を出せない」
屍男「他にも、歴史を辿ればかつて中世で流行した黒死病、これはただのウイルスではなく、霊がウイルスに”突然変異”した、という説もある」
吸血娘「え?マジで!?」
411 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:20:30.06 ID:2FhL85uyo
屍男「あくまで一説だがな。だが、可能性としては充分にあり得る」
吸血娘「マジかぁ……そいつはヘビーな話だな……」
吸血娘「しかし最強の狩人の”Shadow”でも勝てない相手がいるんだな。この世界も広いってことか」
屍男「……そうだな。俺もまだ……狩り残したやつらが何人かいる」
吸血娘「どうするよ、その心霊スポットに突然変異の幽霊がいたら!」
屍男「あり得ない話をするな。例えいたとしても足がない下級霊だろう。そんな偶然があってたまるか」
412 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:21:38.60 ID:2FhL85uyo
…………………………………………
……………………………
幼女幽霊「ぶえっくしょい!!!!!!ちくしょうえい!!!!!」クシュン
幼女幽霊「な、なんだ……急にくしゃみが……誰か私の噂してんのかな」ズズー
DQN幽霊「いや先輩、なんで幽霊なのにくしゃみしてんスか。おかしいっスよ」
幼女幽霊「足付きはくしゃみもするんだよ。下級霊のお前には分かんないだろうけど」
DQN幽霊「まーたそうやってマウント取るんだから……ガキっスね」
ボコッ!!!!!!!!
DQN幽霊「」
幼女幽霊「次舐めたら殺す」
413 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:22:29.97 ID:2FhL85uyo
幼女幽霊「しかし、今週は一人も客来ねえなぁ……退屈だわ」
DQN幽霊「い、いてて……そりゃそうっスよ。もう肝試しシーズンなんてとっくに過ぎてるんだから」
幼女幽霊「はぁ……誰か来ねえかなぁ……何か来る予感すんだけどなぁ……」
ピーーー
幼女幽霊「来たあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!すげぇ!!!!!私の勘やっぱ当たるじゃん!!!!!」
DQN幽霊(な、なんて都合がいいんだ……)
幼女幽霊「どれどれ……どんな面をしてやがる……」
幼女幽霊「ん?こいつは……」
414 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:24:11.95 ID:2FhL85uyo
屍男『……』
DQN幽霊「ハゲのおっさん一人だけっスね」
幼女幽霊「…………」ピクッ
DQN幽霊「ん?どうしたんスか先輩」
幼女幽霊「……何でもない」
幼女幽霊(な、なにこれ……今、変な感じがした)
幼女幽霊(あのハゲ……何者だ)
415 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:24:59.08 ID:2FhL85uyo
DQN幽霊「で、今日はどうするんスか?」
幼女幽霊「……いや、今日はいいわ。気分じゃない」
DQN幽霊「えっ!?」
幼女幽霊「私の勘がしない方がいいって言ってるし、今日はそのまま放置で」
DQN幽霊(め、珍しいな……先輩が客を放置するなんて)
屍男「…………」ジー
吸血娘「どしたハゲ。じっと入り口付近でも見つめて」
屍男「……お前は確か、カメラなどの被写体にならないにならないんだったな」
吸血娘「は?急に何?」
屍男「……何でもない。行くぞ」
416 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:25:57.05 ID:2FhL85uyo
屍男(確認出来るだけで15台、死角がないように上手く隠して配置されている)
屍男(だが、プロの仕業ではないな。よく出来ているが、まだアマチュアの域だ)
屍男(大方、こちらの様子を地下のモニターで監視していると言ったところか、この廃墟の空気から察するに、霊がいるのは本当らしいな)
屍男(……悪趣味な奴だ)
吸血娘「出てこねえなぁ……幽霊……」
屍男「……あぁ、そうだな」
吸血娘「寒いし帰るか。つまんね、もう飽きた」
屍男「……相変わらず飽きっぽいやつだ」
417 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:26:39.32 ID:2FhL85uyo
スタスタ スタスタ
吸血娘「あーあ、結局幽霊が出るって噂は嘘だったみたいだな。無駄足だったわ」
吸血娘「結構ネットだと報告多かったんだけどなぁ。やっぱネットの情報は信用ならないな」
屍男「……その噂、あそこで行方不明者でもいるのか?」
吸血娘「ん?あぁ、そういうのじゃなくて、ただ幽霊を見たって書き込みが多かっただけ」
屍男「……そうか」
屍男(……大人しくしているなら、こちらから手は出さない)
屍男(精々、慎ましく生きることだな。お互いに)
418 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:28:22.94 ID:2FhL85uyo
幼女幽霊(な、なんだったんだろあいつ。あいつと同じ霊能力者……ってことはないな。こっちには二度と干渉しないって言ってたし、約束を破るやつとも思えない)
幼女幽霊(……いや、どちらかと言うと……あの感覚は人間じゃなくて、私達と同じ……)
幼女幽霊(あーもう!!!!!!!胃が痛くなってきたわ!!!!!!なんなんだよあのハゲはあああああああああああ!!!!!!!!!!)
おわり
419 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/02/05(水) 10:31:19.27 ID:2FhL85uyo
はい
ということで色々遅れちゃったんですけど無事終わりました
今月中には新しいスレを立てられると思うのでよろしくお願いします
420 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/05(水) 18:21:03.27 ID:Tc7O+l/e0
おつ
新スレ楽しみにしてる
421 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/10(月) 08:53:35.69 ID:QlxNae7KO
おぉ あの作者だっったのか
次スレも楽しみにしてるよ
422 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/04/14(火) 13:19:42.30 ID:wUHjVAZc0
これもしかして新スレもうできてる?見つけれないんだが
423 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/04/14(火) 16:46:28.34 ID:bW4OvB4K0
ageんなks
424 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/04/14(火) 20:41:43.81 ID:6Biw7bxIO
>>422
ほれ
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