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バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」
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102 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:42:33.53 ID:cGh5K5DM0
空間「」グニャァァァァァ……
ベイン「ふ、フフフ、フフフフフ……!」
ベイン(超高密度のエネルギー。一歩進むのすら、かなりの時間を要するか)ジリィ
ベイン「これで、これでこそ。さあ時間稼ぎに付き合ってやろう、私は破滅だ……!」ジリ、ジリ
ベイン(さあ早く来い、バットマン、マシュ。生きて此処まで来い!!)ドシ! ドシ!
103 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:43:00.64 ID:cGh5K5DM0
バットマン「……」
バットマン(……)
マシュ「う、うぅ……うぅう……」
バットマン(……必ず救う。もう少しだ)
マシュ「……」
バットマン(……よし、精神を捉えた! 謝罪は後でする、潜らせてもらうぞマシュ!)ギュォォォォォォォォ!!
104 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:43:28.43 ID:cGh5K5DM0
マッドハッター『また会ったな、バットマン。随分必死だ、時間に遅れそうなウサギみたいに』
バットマン『お前に構っている時間はない、マッドハッター。マシュを助けねば』
マッドハッター『まあ待て、今この少女は文字通りまともじゃあない。このまま深層へ降りればどうなるだろうな?』
バットマン『何が言いたい』
マッドハッター『波長の問題だよバットマン、精神は同期しあう。マシュとかいうお嬢さんの精神状態は揺らぎっぱなしだ。お前も破滅するぞ』
バットマン『覚悟している』
マッドハッター『本当に?』
マッドハッター?『本当に?』
???『本当に覚悟しているのか、お前は?』
105 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:43:58.77 ID:cGh5K5DM0
父親『恐怖から目を逸らして来たお前が?』
母親『世界は救えないと分かっているお前が?』
ブルース『……』
ブルース『……これは、私の声か。いや……』
マシュ『……』ボー……
ブルース『……マシュ、お前の声なのか?』
106 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:44:38.29 ID:cGh5K5DM0
マシュ『マスター……』
ブルース『マシュ、聞こえるか』
マシュ『先輩は……先輩は何処……?』
ブルース『先輩とは誰だ、マシュ。私達以外ここには居ない』
マシュ『居る……いる、居るのに!!』ガタガタ
ブルース『マシュ、しっかりしろ! くっ……』
ブルース(もっと奥へ潜る必要があるか……)ギュォォォォォォォォ……
107 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:45:19.01 ID:cGh5K5DM0
その日も、雪が空を覆っていた。
地球上で初のレイシフトが行われる予定だったのだ。皆が忙しく廊下を行き来し、あわただしく言葉が飛び交う。
「大丈夫、なんでしょうか」
不安からか、私は言葉を漏らしていた。そんな時でも、私の先輩はいつも通りで……ぼんやりしたような、それでいてしっかりした口調で、元気づけてくれた。
「大丈夫。いつも通り、しっかりやろうね」
「は、はいっ! 私、頑張ります、先輩!」
その時は、コフィンに入るのが遅れた先輩を待っていた。管制室の自動ドアが開き、慌てた足取りで先輩が入って来て……
最初に爆発したのは、一番奥のコフィンだった。不意打ちじみて響いた爆音に、皆が固まり、対応すら叶わなかった。次はその隣のコフィンが爆発、連鎖反応じみて手前へ手前へと爆発が連なった。やっぱり私は動けなくて、竦んだ身体と麻痺した思考で、ああ、これはまだ夢なのかな、なんて考えていた。
私の足元が光った。爆発の前兆なんて分かってたのに、それが現実だと思えなかった。一歩遅れた私を、先輩が突き飛ばして……そして、その身体が光に飲まれた。爆風で壁に叩き付けられた私は、直後に、コフィンの誤作動に巻き込まれた。
守ると誓っていた先輩は、爆弾に吹き飛ばされた。私が躱せたハズの爆弾に。
108 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:45:52.89 ID:cGh5K5DM0
バットマン『……マシュ、それは……』
マシュ『……居ます、居るんです。先輩が私を見てるんです。先輩だけじゃない、皆見てる……私が守れなかった人たちが、ずっと見てる』
バットマン『……』
マシュ『マスターも……マスターも、きっと、私、死なせてしまう……!』ギュゥッ
109 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:46:30.15 ID:cGh5K5DM0
バットマン『……マシュ』
マシュ『……置いて行ってください、マスター。もう、私は立てません』
バットマン『断る。言ったはずだ。お前が大事で、お前を助けたいと』
マシュ『もう無理です。私は、もう……』
バットマン『……無理なものか。立つんだ。世界を守れるのは私達だけだ。戦わねば、マシュ』
マシュ『もう、やめてください』
バットマン『……』
マシュ『……お願いです。やめて、ください』
110 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:46:59.72 ID:cGh5K5DM0
バットマン『……守れるものばかりではない』
マシュ『……え?』
バットマン『いいや、守れるものの方が少ないんだ。マシュ、人は必ず失敗する』
マシュ『……』
バットマン『そして、落ちるだろう。だが……だが、マシュ。人は何故落ちる?』
マシュ『それは……』
バットマン『這い上がる事を、学ぶためだ』
111 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:48:00.15 ID:cGh5K5DM0
バットマン『ここは終わりではない。私の手を取れ』
マシュ『でも、私は……また……』
バットマン『落ちる事は破滅ではない。落ちた先で行動を諦める事が、本当の破滅なんだ。頼むマシュ、お前を破滅から救わせてくれ』
マシュ『またあなたを、死なせてしまう』
バットマン『……大丈夫だ。私のしぶとさは見てきただろう』
マシュ『……』
バットマン『一緒なら、必ず破滅に打ち克てる。さあ、手を取れ』スッ
112 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:48:41.42 ID:cGh5K5DM0
マシュ『……』スッ
バットマン『……行くぞ』パシ
マシュ『勝てるでしょうか』
バットマン『必ず勝てる。お前は強くなった』
マシュ『………………あの、ありg……』
バットマン『いいや、マシュ。礼は要らないさ』シュゥゥゥゥゥゥゥ……
113 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:49:23.57 ID:cGh5K5DM0
ワトソン「はあ、はあ……階段を上るのもラクじゃないな!」ゼエゼエ
ジャック「みて、あれ!」
ナーサリー「光の……階段?」
フラン「ウゥ!?」
ワトソン「また階段!?……むむ、アレを上っているのは」
光の階段「」グォォォォォォォォ……
テスラ「……」コツ、コツ
ジャック「止めなきゃ」ダンッ
ナーサリー「ええ、行かなきゃ!」ダッ
ワトソン「こ、この階段急に消えたりしないだろうな……い、いや、行かねば!」ダダッ
フラン「……」
フラン「……」グッ
114 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:50:19.80 ID:cGh5K5DM0
テスラ「ふむ……高度は十分。そろそろ落とすとするか」
ワトソン「待て!! この街への狼藉は、この僕が許さないぞ!!」ダダダダダダ、ドォン
テスラ「ハハハハハ、鉛玉か。それは効かぬとも!」チュィン!
ワトソン「何ッ!?」
ジャック「たああっ!!」ヒュンッ
ナーサリー「止まってっ!!」ギュドドドッ
テスラ「……そして、小さな淑女たちよ。伏せていてくれたまえ。いかに歪んだ形と言えど、雷電の身で召喚されたのだ。使命は果たさねば」バヂヂヂヂヂヂヂヂヂ……ドォン!
ジャック「うっ!?」ヂリヂリヂリヂリヂリ……ドサッ
ナーサリー「きゃあっ!?」ヂュヂュヂュヂュヂュ……
テスラ「ふむ、終わりだな。……では、やるか」バチ、バリバリバリ……
ワトソン「させるかっ!!」ドォンドォン!
テスラ「効かぬと言っているだろう!」チュゥン、チュィン! バチチチィ!
ワトソン「っぐぅ!?」ドサァッ
テスラ「……この破壊も、見方を変えれば創造だ。電気が今の世を支えるならば、それを破壊するのも電気。悲しいが、それも道の果てだろう」パチ、パチ……
115 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:51:12.33 ID:cGh5K5DM0
必死に駆けるモードレッドはそれを見た。街の中心部、霧の中で青白い光が瞬くのを。それは徐々に輝きを増して行く。間に合うか? いいや、間に合わせなければ。世界を救わなければ。騎士として、信頼に応えなければ。
だが実際、連戦に次ぐ連戦のせいでモードレッドは消耗していた。走る足元がよろめき、バランスを崩しかける。毒もまだ、完全に消えていない。汗を垂らし、荒い呼吸で必死に進む。その努力をあざ笑うかのように、青白い光は一層強まった。
ドオン。ロンドン中の空に、爆発音が響き渡った。蒼い稲妻が霧を伝い、爆発的な活性化を……
……活性化を、引き起こさなかった。間に合わなかった騎士は、霧の中、黄色く輝く存在を見た。
116 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:52:23.06 ID:cGh5K5DM0
『彼女』は、妨害が果たされないと分かっていた。ゆえに、そのインパクトの瞬間、予測される落雷地点へと走っていた。
「ウゥ、ウゥウゥウゥゥゥ……!!!」
とてつもない放電量を、彼女は体内へと取り込んで行く。皮膚にはいくつもの水膨れができ、抑えきれぬ電撃が彼女の体表を走り苛む。彼女は、泣く事すらできないと言われていた完璧な乙女は、まるで涙のように目から電撃を零し、限界までエネルギーを溜め込んで行く。
「何だと!?」
テスラは狼狽える。雷電の化身たる、自分の全力の落雷が受け止められている。その行動は本意ではなかったとはいえ、彼のプライドは揺らいだ。このエネルギー放出は何処まで続けられる。あの乙女は、いつまで自分の落雷を受け止めていられる?
知らず知らずのうちに、テスラの口元に笑みが浮かんだ。
「ハハハハ!!! ハハハハハハハハハ!!! 面白い、天才たるこの私に挑むというのか!! 骨のある女性だ!!!」
フランの関節から光が漏れ出す。体内エネルギー、危険域。その右腕が肘先から吹き飛び、鮮血じみて電撃が噴き出す。だが彼女は倒れなかった。必ず助けが来ると信じ、耐えた。人は一人では完璧足りえない。それは分かり切った事であり、彼女の信念なのだ。
テスラは光の階段を駆け上って来る赤い稲妻に気付く。それは剣を構えた騎士の全身から迸るエネルギーだ。モードレッド。未だ残る毒を気力でねじ伏せ、恐ろしいまでの気迫で迫る。
その一瞬、気圧された雷電の化身は放電を取りやめ、迎撃に切り替えようとした。が、それは叶わなかった。地上から天へ向け、爆発的な雷撃が遡った。それはテスラの身を打ち、怯ませた。
フラン。抑え込んだエネルギーを、お返しとばかりに放出したのだ。黒い煙を全身から立ち昇らせながら、満足げに笑みを浮かべている。テスラは敗北を悟り、彼女へ無言の称賛を送った。
そして彼の胸を、剣が貫いた。
117 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:53:34.14 ID:cGh5K5DM0
テスラ「……ごふっ……」ドシャッ
モードレッド「終わりだ……!」ズバァ
テスラ「ふ、フハハ、終わりか! ……ようやく、不本意な務めからも解放される。礼を言おう、騎士よ!!」
モードレッド「死に際なのに元気な野郎だな……!」ズシャッ
テスラ「……体内から、聖杯の魔力が溢れるのだ。私は消えるが、この後も何か来るぞ」シュウシュウシュウ……
モードレッド「……何だと?」
テスラ「気を付けたまえ……奴らの事だ、半端なものは用意していないだろう」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
モードレッド「おい、どういう……」
聖杯「」ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ……
118 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:54:04.67 ID:cGh5K5DM0
モードレッド「チッ、落ちたか! 拾いに……」
モードレッド(……いや、これは……何か来る!!)
バチバチバチ……ギュォォォォォォォオッ!!
モードレッド「クソッ、何が来てる……!? おいジャック、ナーサリー、ワトソン! フランも、起きろ、起き……」
モードレッド「……!!」
119 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/11/25(日) 20:54:34.66 ID:cGh5K5DM0
モードレッド(嘘だ。そんな)ダダッ
モードレッド(見間違いだ。それとも恐怖ガスの影響がまだ残ってやがるのか? いや、でも、あれは、間違いなく……)ダダ、バッ
槍を持った女性「……」
モードレッド「……父、上?」
120 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/11/25(日) 20:55:13.99 ID:cGh5K5DM0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/11/25(日) 21:54:51.32 ID:tmFAfhvr0
乙、4章もクライマックスだし5章も楽しみだ
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/25(日) 22:52:12.31 ID:dVf0pT+Bo
原作やってないから知らんのだけど女なのに父なの?
123 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/11/25(日) 23:00:15.78 ID:cGh5K5DM0
字面がシュールで申し訳ない……原作事情が色々と重なりまして、女性の御父上なのです。女性とは書いてありますが、このSSでの扱いはほぼ男性なので目を瞑って頂けると幸いです。
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 01:47:58.32 ID:qQw8KegoO
黒乳上…
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/27(火) 15:28:51.06 ID:fdIPOMRA0
乙でした
父上はあのおっぱいで男を名乗るの無理すぎる……鎧で隠して……
大した霊基じゃなさそうなのにがんばるワトソンくん素敵だなって思いました(コナミ
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/27(火) 18:40:22.14 ID:7WzLKl+5o
FGOのほうはよく知らないんだけどゲームのストーリーとどんぐらい違うの?
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/27(火) 22:10:10.35 ID:chvGVVaxo
だいたいテキストが充実してくるのが3、4章からでそれまではソシャゲという形態もあってシナリオ面は簡素に纏まってるからだいぶ加筆されてる
後は味方サーヴァントが本来の脱落時期より早く消滅したり、逆に敵対で終わってたのが加入したり
128 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:27:51.99 ID:UHLu638i0
アーサー王……「アルトリア」は英雄だった。ブリテンからローマ兵を追い出し、ケルト人の誇りを取り戻した伝説の人物。全ての騎士の尊敬の的。オレはそんな人の息子だった。
息子だった? いいや、息子であろうとした。だが、モルガンの息子であるオレを、あの人は認めはしなかった。オレは王の器ではなく、息子でもなく、何者にもなれないと。
だから叛逆したのかと、そう尋ねられれば違うと言える。だが明確な理由など分からない。とにかく、大事なのは、あの日オレがカムランの丘で、アルトリア王と刺し違えたって事だ。王は死に、統治は終わった。
だから、オレが父上に認められる事は永遠になくなった。それだけの話なんだ。
129 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:28:33.24 ID:UHLu638i0
モードレッド「……」
モードレッド「……父上……」
モードレッド(……なんでだ、なんで今……オレが憎いのか? オレがブリテンを救うのは許せないのか? だから今、こうして出て来たのか?)
アルトリア「……」ガシャ……
アルトリア「……」チラ
モードレッド「!!!」ババッ、ガシャリ
130 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:28:59.35 ID:UHLu638i0
モードレッド(この鋭い殺気。間違いない。確かに、父上だ)タラ……
モードレッド(四の五の言ってるヒマはねえ。あの人の槍を止めねえと……)
モードレッド(止める? どうやって? 止められるのか、オレに?)
アルトリア「……」スタ、スタ……ダンッ
モードレッド「!!」ガシャリッ
アルトリア「……!!」ダダ、ズバァッ
モードレッド「っぐぉぉ!?」ドガシャシャシャシャ……!!
アルトリア「……」スタッ
131 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:29:25.94 ID:UHLu638i0
モードレッド(駄目だ、強い! 聖杯の魔力も相まって、父上の力が爆発的に増幅してやがる!)
アルトリア「……」ガシャリ
モードレッド「……チッ」ムクリ
モードレッド(今回は、刺し違えるのすら難しそうだぜ……)
132 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:29:51.71 ID:UHLu638i0
ベイン「ふむ……もう少し歯ごたえのある相手かと思っていたが」ボキボキ
所長「……」グタッ
レオナルド「くうっ……!」プルプル……
ベイン「存外、こんなものなのかも知れんな。希望というものは」
133 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:30:18.58 ID:UHLu638i0
ベイン「ではそろそろ、ここも滅ぼすと……」ドシ、ドシ
ベイン「……?」ピタッ
光る壁「」ブォン……
ベイン「……立ったか。しぶといな、貴様」
所長「お生憎様、しぶとさだけはどの職員より上よ……」フラ、フラ……
所長(内臓破裂数か所。殴られる寸前に身体に保護魔法をかけてなければ、今頃壁の染みになってたわね……)ゴフッ
134 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:30:47.18 ID:UHLu638i0
ベイン「で、どうする? このまま俺とぶつかり合って死ぬかね?」
所長「……まさか。私達は生き残るわよ」
ベイン「フフフフ、フフフフフ!!! そう、それだ。お前達は確証もない事を平気で口にする! 今、目の前に明らかな絶望があったとしても! だから面白い!」ドシ、ドシ
所長「ハァッ……」ギュドドドドッ
ベイン「豆鉄砲だ、こんなものは!!」ベチベチ、ベチィ
所長「今よレオナルド!!」
レオナルド「よし、作動!!」ポチッ
ベイン「何」ギュォンッ
135 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:31:19.71 ID:UHLu638i0
レオナルド「悪いね、君を虚数空間へ飛ばす! 保護式無しじゃ存在が数秒ともたないだろうけど、アデュー!」ピピピピ、ギュォォォォッ
ベイン「ふ、フフフフ。成程、命懸けの誘導作戦だったか。これが上手く行くと良いな」グニャ……ギュォ……
所長「飛んで、行きなさい!!!」パパパ、ポチッ
ベイン「覚えておくと良い。絶望は、こんな……」ブゥン
レオナルド「……ふぅ、終わった……」バタリ
所長「っはぁ、はあ……治癒、しないと……」ドシャッ
レオナルド「ああ動かないで、オルガマリー所長。私が何とかするから」ムクリ
136 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:31:46.01 ID:UHLu638i0
レオナルド「しかし、強敵だった。まさかあそこまでやるとはね」ポポポ……ジュゥゥゥゥ……
所長「えぇ、こちらのフィールドとはいえ、負けるかと思ったわ……うっ」
レオナルド「けどまぁ、倒せた。かなり邪道な倒し方ではあったけどね」ジュゥゥゥゥ……
所長「……邪道でも何でも、所員を守れたなら文句は無いわ。ありがとう、レオナルド」
「そうか」
所長「え?」
レオナルド「!?」バッ
137 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:32:24.44 ID:UHLu638i0
「そこまで所員が大事か、オルガマリー。では貴様に味あわせる絶望は決まった」
空間「」バキィ! ベキィ!
レオナルド「馬鹿な……!?」
所長「レオナルド、まさか……」
レオナルド「立って所長! これは、」
空間「」バリィィィィィィィ!!
ドシ、ドシ。ドシ、ドシ
ベイン「フフフ……葬れたと、思ったか?」ボキボキ
138 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:33:18.77 ID:UHLu638i0
レオナルド「……まさか突き破って出て来るとはね。脳筋にも程があるんじゃない?」ジリッ
ベイン「その顔。その絶望だ、俺が見たかったのは。全ての策は破れ、敵わないと知った時の顔だ」
レオナルド「随分と悪趣味だ!」ギュギュギュォッ!
ベイン「そうとも、俺は破滅(ベイン)だ!!」ベチベチ、ブォンッ
レオナルド「ぐあっ!?」バキバキ、ドシャシャァッ
139 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:33:46.03 ID:UHLu638i0
レオナルド(無茶苦茶だ。皆が逃げる時間を稼がなければ)
レオナルド「所長、逃げて!」
所長「……」
レオナルド「ここは私が食い止める、早く!」
所長「……馬鹿言わないで!!」
レオナルド「っ」
所長「アンタだって大事な所員の一人よ! 見捨てて逃げるリーダーが何処に居るもんですか!!!」
ベイン「フフフフ、フフフフフフハハハハハ!! 俺の前に立つか、所長殿!!!」ドシ、ドシ
所長「ナメるんじゃないわよ、デカブツ!!」ギュギュギュオォォォォッ
140 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:34:14.12 ID:UHLu638i0
ガギィン! ガィン! ドガシャァ!
フラン「……う、ウゥ……」ムクリ
フラン「……?」バチバチ、バチ……
モードレッド「だらぁぁぁぁぁっ!!!」ガギィ! ギギィィ!
アルトリア「……」ギィンッ、ギャリィンッ、ブォンッ
モードレッド「ウっ!?」ガギャァ、ズシャシャシャ
アルトリア「……」ヒュンヒュンヒュンッ
モードレッド「ぐ、うぉ!?」ギャ、ギャギャギャギャ!
141 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:34:43.34 ID:UHLu638i0
ダンッ!
アルトリア「!!」スッ
ジャック「たあっ!」ギャリリリィ!
モードレッド「ジャック!?」
ジャック「おくれてごめんね!」スタッ
ナーサリー「ようやく痺れが、取れたのッ!」ギュドドドドド!!
アルトリア「……」ギャギャンッ
ナーサリー「……もう、隙を突いたつもりだったのに全部弾かれるなんて!」
142 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:35:11.30 ID:UHLu638i0
モードレッド「……手強い敵だぜ」
ジャック「じゃあ、いつもどおりだね」
ナーサリー「大丈夫よ、私達は一人じゃないわ!!」
ダダダ、ダダダ……
ワトソン「ぜえ、ぜえ……君達、いいね、若くて……階段も、楽々だ……」ダダ、ダ……ヨロヨロ
モードレッド「……呆れた奴らだ、全くよ」
ワトソン「三十秒だけ待ってくれって伝えておいてくれ、あの槍を持ってる人にも……」
アルトリア「……」
モードレッド「伝わるか馬鹿、シャキっとしろ」
ワトソン「そうか、世の中は、厳しいな……」ゼエゼエ
143 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:35:37.71 ID:UHLu638i0
アルトリア「……」ヒュンヒュンッ、ガシャリ……ジリッ
モードレッド「来るぞ! 全員構えろ!」ガシャッ
ジャック「!」スッ
ナーサリー「っ」バッ
ワトソン「ぬお!?」カチャリ
アルトリア「……」グ、ググ……
ドォン!!
アルトリア「!?」バチバチバチバチィ!!
フラン「ウゥゥゥ!!!」バリバリバリバリ!!
モードレッド(フラン!!)
モードレッド「よっしゃ今だ!! 突っ込むぞォ!!!」ダダッ
ジャック「うん!」ダンッ
ワトソン「ええい、やるしかないか!」ダッ
ナーサリー「牽制するわ!!」ギュドドドッ
144 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:36:04.65 ID:UHLu638i0
光弾「「「」」」ギュオォォォォッ
アルトリア「……」ガギギギギィ!
アルトリア「……」クルッ、ズバァッ
フラン「う、ウゥ……」ヨロッ
モードレッド「アーサーァァァァァァァアアアア!!!」ダダダダダッ、ブンッ
アルトリア「……」クルリ、ガキィ!
モードレッド「今だジャック!」
ジャック「かいたいするよ!!」ダダ、ズババッ
アルトリア「っ」ギギギィン
モードレッド「そこだ!」ブンッ、シュバッ
アルトリア「!!」ギャァンッ、ズシャシャァッ
145 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:36:30.41 ID:UHLu638i0
モードレッド(大丈夫だ、オレは怖がってねえ! このまま父上を斬る!! 斬って終わらせる!)
アルトリア「……、……」ギリギリギリギリ……
モードレッド「こんのォォォォ……!」ギリギリギリギリ……!
アルトリア「……」フッ
アルトリア「……やるようになったな、モードレッド」
モードレッド「……何?」
アルトリア「フッ!」ドゴォ!!
モードレッド「ぐわあっ!?」ドシャシャッ
146 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:36:57.54 ID:UHLu638i0
ジャック「やあっ!!」シュパパパパッ
アルトリア「……」ギィンッ、ドッゴォ!
ジャック「あぐっ!?」ヒュオンッ、ドガァァァァァァ……
モードレッド「はあっ、はあっ!!」ゴロゴロッ、ムクリ
モードレッド(喋った……? オレを、認めた? あの父上が?)グイ
アルトリア「……」コツ、コツ
モードレッド(オレの気の迷いが見せた幻覚か? それとも本当に? なんで? なんでだ、父上、オレは……)
アルトリア「……」ガシャリ
モードレッド(オレは、アンタを、殺したのに……)ググッ……
147 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:37:23.37 ID:UHLu638i0
「う、うおぉぉぉぉっ!!!」バッ
アルトリア「!!」スッ
ワトソン「させるものか、貴様!!」ドォン!
アルトリア「……」パシ、シュゥゥゥゥ……
ワトソン「……ええーい、今更弾丸を掴み取られたくらいで怯むと思うなよ!」ダッ、シュバッ
アルトリア「……」ガキィ、バッ、シュバッ
ワトソン「ぐわっ!?」ドサリ、ゴロゴロッ
アルトリア「……」グ、グググ、ググググググ……
148 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:37:49.28 ID:UHLu638i0
ナーサリー「何なの……? あの人の槍に、霧が吸い込まれて行く……?」
ジャック「くっ……」
フラン「う、ウゥ……?」
モードレッド「全員、オレの後ろに隠れろ!!! 宝具だ、全部吹き飛ばすつもりだ!!」
アルトリア「……」ニヤリ
モードレッド「……!! 急げ!!!」
ジャック「!!」ダッ
フラン「う、ウゥ……!」ヨロヨロ、タタッ
ワトソン「くっ、この……」ズリ、ズリ
ナーサリー「急いでおじさま!」
ワトソン「急いでるよ、見ての通り……!」ズリズリ、ズリズリ
アルトリア「『突き立て、食らえ、十三の牙』」グ、ググググ……シュゥゥゥゥゥゥゥ……
モードレッド「……父上……!」
アルトリア「……モードレッド。強くなったな。仲間にも信頼されているようだ」
149 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:38:16.76 ID:UHLu638i0
モードレッド「意識があるなら、抗えるハズだ! それとも、本当に……」
モードレッド(本当に、オレが憎いのか? 父上)
アルトリア「お前が憎いと思った事など、一度もない。モードレッド」シュゴォォォォォォォオオオオ……
モードレッド「……じゃあ、なんで」
アルトリア「私は人間を愛している。人間という存在を」シュゥゥゥゥゥゥゥ……ギュオォォォォオォォオオ!!
モードレッド「父上!!」
モードレッド(駄目だ! オレ達の事なんて見てねえ! 父上は世界を壊すつもりだ、この世界を……いや、全てを!)
モードレッド(ならどうする、モードレッド! お前はどうする! また殺せるのか、王を!)
(((行け、モードレッド。世界を救って来い)))
(((まるで生前、誰かに認められていた自分を再現しようとしているようだ。涙ぐましい)))
(((オレはずっと、憧れの影だった)))
(((お前はブリテンの王の器ではない。私の息子としても、認めはしない)))
(((お前なんて)))
(((お前なんて、作らなければ良かった)))
(((所詮、あの人の影だもの)))
150 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:38:43.83 ID:UHLu638i0
モードレッド(まるで焼き直しだ。父上はオレを見ているようでまるで見ていない)
モードレッド(あの人を殺したところで、オレは所詮影のまま。なら、)
モードレッド(なら、オレは、)
モードレッド(オレは、勝てるハズもなかったのか?)
151 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:39:10.06 ID:UHLu638i0
アルトリア「『最果てにて輝ける槍』(ロンゴミニアド)!!!!」ドガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
「『ロード・カルデアス』!!!」ドゴォォォォォォォォォッ!!
152 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:39:37.33 ID:UHLu638i0
モードレッド「何……」
「遅くなったな、モードレッド」
「遅れてすみません、皆さん!!」ギギギギギギギギギ……
モードレッド「お、お前ら……!」
ナーサリー「ネコミミさん、マシュ!」
バットマン「構えろ、マシュの防御が解除された瞬間反撃に移るぞ!」
マシュ「まずこれを受け切れるかの心配もお願いします!!」ギギギギギギギギィィィィィィ!!
153 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:40:02.97 ID:UHLu638i0
モードレッド「どうしてだ……マシュを見捨てたんじゃ」
バットマン「私は人より欲が深いんだ、モードレッド。構えろ、世界を救うチャンスが来るぞ」
ドクター『ブルースくん、早めに終わらせてくれ! カルデアもそろそろベインがヤバイ!』
バットマン「必ず間に合わせる。もう少しだけ持ちこたえてくれ」
マシュ「う、うぅぅぅぅぅぅ……!!!」ジリジリ……
154 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:40:29.70 ID:UHLu638i0
アルトリア「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォ……ピタッ
マシュ「!! 今です!」
バットマン「良し! チャンスだ、行くぞ!!」ダッ
ワトソン「よし、よし……! 僕だって!!」ダダッ
ジャック「たああっ!!!」ダンッ
フラン「ウウゥァ!!」ダダッ
モードレッド「……」
(((所詮、あの人の影だもの)))
モードレッド「……!!!」
バットマン「モードレッド!!!」
モードレッド「!!!」
バットマン「力を貸せ!!!」
モードレッド「……っ」
155 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:40:55.98 ID:UHLu638i0
モードレッド(そうだ。オレは影じゃねえ)
モードレッド(オレは騎士、モードレッドだ)
ナーサリー「行って、モードレッド!! 大丈夫、だってこれは……貴方のための物語だもの!!!」ギュォオォォォォォッ!
モードレッド(ナーサリーの魔力がオレに移って来てる……これなら、撃てる!!!)
モードレッド「……オオォオォォォォォォォ!!!!」ギュォォォォォォッ
156 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:41:22.90 ID:UHLu638i0
モードレッド「退け、テメェら!!! 撃つぞ!!!」ゴゴゴゴゴゴォォォォォ……
アルトリア「!!!」バッ
モードレッド「『是こそは、わが父を滅ぼし邪剣』……」ググググ……
モードレッド(さようなら、父上)
モードレッド「『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!!!」ゴォッ!!
ゴォォォォォォオォォォォォォオォォッ!
アルトリア「……」
アルトリア「……」フッ
ドガァァァァァァァァァ……
157 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:41:54.37 ID:UHLu638i0
モードレッド「はあっ、はあっ……」ドサッ
聖杯「」カラン……
ワトソン「やったか……! やったんだな!!」
バットマン「ああ、やった……」
マシュ「聖杯、確認。回収します」スタスタ
モードレッド「……ああ、終わりか……」シュウシュウ……
ナーサリー「ええ、終わりね。……さようなら、ネコミミさん、マシュ。それに皆。また何処かで会いましょうね」シュゥゥゥゥゥゥ……
ジャック「……おかあさん、きえちゃいそうだよ」シュウシュウ……
バットマン「……大丈夫だ、ジャック。また会える」
ジャック「ほんと!? なら、今度はおいしいもの、いっぱい食べさせてね! あと、ゆーえんち? っていうのと、絵本をよんでもらうのと、あと、あと……」シュゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……」
158 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:42:40.84 ID:UHLu638i0
ドクター『よし、レイシフトを終了させる! ただちにこちらへ帰還し、ベインの撃退を頼む!』
バットマン「了解だ」
モードレッド「……おい、あのな」シュウシュウ……
バットマン「どうした」
モードレッド「……その、なんだ。オレも、お前らと一緒に戦えて、光栄だったぞ」
バットマン「そうか」
モードレッド「そうだよ、最後まで愛想のねえヤツだな。……またな」シュウゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……ああ、また会おう」
159 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:43:07.18 ID:UHLu638i0
ワトソン「さて、……なんだか皆どんどん消えて行くな」
バットマン「ああ。……ワトソン医師、そう言うキミは何故とどまっている?」
ワトソン「えっ、僕も消えないと駄目だったのか? そんな手品師みたいな事はできないんだが」
バットマン「……人間だったのか?」
ワトソン「なんだと思ってたんだ!?」
160 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:43:34.06 ID:UHLu638i0
マシュ「マスター、おかしいです。なかなかカルデアへの帰還が始まりません」
バットマン「確かに、妙だな……もしもしドクター、レイシフトは終了しているのか?」
ドクター『……? なんだ、おかしいな……うん? 駄目だ、AIがロンドン地下に巨大な魔力反応を検出した。それが楔となってこの時代をとどめてるみたいだ』
バットマン「成程。マシュと共に地下へ降り、原因を確かめる」
マシュ「了解!」
ドクター『迅速に頼むよ! 何度も言うけど、ベインが……』
バットマン「分かっている。急ぐぞマシュ!」ダッ
マシュ「はい!」ダダッ
161 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:44:02.29 ID:UHLu638i0
ワトソン「ま、待て待て! 何処へ行くんだ、そっちは敵の本拠地……」
バットマン「ワトソン医師、キミは残っていてくれ! この場の安全確保を頼んだぞ!」ダッダッダッ
ワトソン「む、むぅっ……無理をするんじゃないぞ!」
バットマン「ああ!」ダッダッダッ
マシュ「失礼します!!」タタタタッ
162 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:44:31.17 ID:UHLu638i0
フラン「……」ボロッ
ワトソン「うわっ、キミも残っていたのか!?」
フラン「ウゥ」コク
ワトソン「……酷い傷だな、治療しようか?」
フラン「ウゥゥ……」コクコク
163 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:44:59.66 ID:UHLu638i0
バットマン「……」ダダ、ダダダ……
マシュ「マスター、この魔力……」タッタッ
バットマン「……ああ、そうだろう。戦闘に備えろ、マシュ」
マシュ「はい!」
164 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:45:27.43 ID:UHLu638i0
ダッダッ……
バットマン「……居るんだろう、出てこい!!」
マシュ「……」ガシャリ
空間「」グニャァァァァ……バチバチ、バチィッ!!
「覚悟は、済んだようだな。ブルース・ウェイン」バチバチ……スタ、スタ
バットマン「……来たか」
ソロモン「クックッ、久しいな」
165 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:46:11.50 ID:UHLu638i0
バットマン「ソロモン。いや、ソロモンの亡骸を利用している者」
ソロモン?「……ほう? 気付いたという訳か?」
バットマン「こう呼んだ方が良いか? レメゲドンの原書。72の悪魔を司る者、ゲーティアと」
???「……フン」
166 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:46:47.68 ID:UHLu638i0
???「その名に辿り着くのが、予想より遅かったと言っておこう。そうだ、我が名はゲーティア。意思持つ式、ゲーティアである」
バットマン「……確証を得られなかったんだ。お前の正体について……だが、ヒントをもらえた。これでようやく対等だな」
ゲーティア「思い上がるな。貴様が私の正体に気付いたとしても、何の解決にもなっていない。いずれ来る破滅の言い訳にもならん、下らん些事だ」グワァッ
マシュ「!!」ガシャリ
バットマン「……」ジリッ
ゲーティア「私が此処に来た理由は分かっているだろう、ブルース。答えを聞こう。私と共に来るか、それとも愚かな人間共と一緒に焼き尽くされるか」
167 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:47:32.29 ID:UHLu638i0
ゲーティア「実際、ここまでの特異点はお遊びのようなものだ。だがそのお遊びも半分を切った。私も本気を出さざるをえん」
バットマン「……」
マシュ「マスター……」
バットマン「まだだ、マシュ……ゲーティア、ひとつだけ訊きたい。永遠の命というのは、お前自身の願いなのか?」
ゲーティア「そうだ。私の願いだ。輝く生において、死はあまりにも暗く重い。……ならばそこから死を取り除こうというのが、それほど不自然な事か?」
バットマン「……」
ゲーティア「……ブルース、見てきたハズだ。二面性に苦しむ人間を。永遠の眩しさを。エゴの醜さを。そして恐怖を。お前ならば、私と共に歩める。永遠の命を作り出そう」
バットマン「……」
168 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:48:04.91 ID:UHLu638i0
ゲーティア「お前の両親の事は、悲劇だった。……私も残念に思う」
バットマン「……」
ゲーティア「それでも、ここからは二度と繰り返させまい。新たな歴史を重ねれば、お前の悲しみも薄れよう。こちらへ来い、ブルース。その少女、マシュも、永遠の命を手に入れれば、決してお前から離れる事などない。大切なものを、今度こそ守り抜けるのだ」
バットマン「……」
マシュ「……マスター……」
バットマン「……」
169 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:48:31.05 ID:UHLu638i0
バットマン(……)
バットマン(……あの時、私は)
バットマン(私は、確かに地獄に居た。両親が殺されたあの時、あの路地裏で)
バットマン(マシュも死ぬのだろうか? 職員達も、殺されるのだろうか? それは分からない。いつか必ず起こる悲劇なのだろう)
バットマン(……しかし、それでも……)
(((マーサ、ブルース)))
バットマン(……それでも……)
バットマン「……それでも、私は……あの時、最期まで気高くあろうとした私の両親を、誇りに思う」
170 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:48:57.33 ID:UHLu638i0
バットマン「それが、私の答えだ。ゲーティア」
ゲーティア「……フン。どうやら思っていた以上に愚かだったらしい」
マシュ「私は!! 私は、マスターに賛同します!」
ゲーティア「……」
マシュ「人はいつか死にます! だからこそ生きられる!」
ゲーティア「愚か者共め」
171 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:49:27.91 ID:UHLu638i0
バットマン「……」
ゲーティア「お前達はこの日の事をいつか後悔するだろう。せいぜい、いつか来る破滅に怯えて過ごすが良い。……さらばだ、次に会う時は殺す」グニャァァァ……シュンッ
バットマン「……」シュウシュウ……
マシュ「マスター、レイシフトが終了、帰還に入りました」シュウシュウ……
バットマン「…………マシュ、ありg」シュウシュウ……
マシュ「いいえ、マスター。お礼は、良いんです」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
172 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:50:10.40 ID:UHLu638i0
ベイン「……」ドシ、ドシ。ズルズル……
所長「……」ズルズル……
ベイン「さて、ここが管制室か? 働いてもらおう、所長。暗証番号を」グイッ
所長「……クソ、くらえ」
ベイン「ふむ。……ああ、俺はサーヴァントだったな。拳で開けば良い話だった」ポイッ
所長「あぐっ」ドサッ
ベイン「全く、慣れない身体だ……」ググググ……ブォンッ
ドア「」ガッシャァァァァァァァァ!!
173 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:50:39.35 ID:UHLu638i0
ドクター「なっ!?」
職員A「うわ!?」
職員B「まさか」
職員C「もうここまで!?」
破壊されたドア「」ゴワン……ゴワン……
ドシ、ドシ。ドシ、ドシ……
ベイン「ここが管制室か? 脆弱な守りだったな」ボキボキ
174 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:51:11.45 ID:UHLu638i0
職員A「くっ!」カチャリ、ダダダダダダダダダダダ!!
ベイン「ん? フフフ、銃か! 懐かしい、そういうモノもあったな」ガシ、グイッ
職員A「ぐわああああああ!?」ゴキィ、プラァン……
ドクター「こ、このっ、離せ!!」ベシベシ
ベイン「無理はしない方が良い。さもないと、こうやって」ダァン!!
ドクター「うぐっ!?」ドシャッ
ベイン「……ああ、すまんな。引き金を引いてしまった。必要以上に殺しをするつもりじゃなかったんだが」
175 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:51:37.46 ID:UHLu638i0
職員B「ど、ドクター!!」
ドクター「だいじょうぶ、肝臓は逸れてる……!」
ベイン「では、施設を破壊するとしようか。どれが『コフィン』だ、ドクター」ドシ
ドクター「うぐっ!?」
ベイン「早く口を割った方が良い。雑巾のように全ての血液を絞り出してしまうぞ」グリグリ
ドクター「……死んだって、言うもんか……!」
ベイン「ほう、そうか。では諦めて別の職員に尋ねるとしよう」カチャリ
ドクター「……!!!」
「ドクターッ!!!」
176 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:52:48.14 ID:UHLu638i0
その瞬間、全員の意識がその声の方向へと向いた。ベインは青い箱じみたモノから飛び出した影を見た。それは天井を蹴り、ベインへ奇襲を掛けようとしていた。
(遅い)
だが予測範囲内。大きな手で拳を逸らし、カウンターを叩き込もうと……したところで、ベインはもう一つの影に気付いた。それは彼を回り込むように飛び、背後の壁に当たって跳ね返り、ベインの首筋目掛け……
「チィッ」
裏拳で弾いたそれは、盾だ。クルクルと回転する盾の向こう、マシュが壁を蹴り、盾を掴んで叩き付けた。ベインはそれを受け止め、数センチ後退る。
(こいつ、強くなっている)
動きが違う。そしてその瞳。輝く瞳孔には迷いがない。一直線にこちらへ向かって来る。
(戦士か。いや、希望を見つけたか)
ベインはニヤリと笑い、片手でマシュの全力の前進を盾越しに押しとどめ、拳を振り上げる。叩き潰すつもりなのだ。だが、その拳が振り下ろされる寸前……何かが飛来し、ベインはそれを弾かねばならなくなった。弾かれた『何か』が宙を舞う。
コウモリの形をした手裏剣。それは、バットラング。その向こう、コウモリの騎士が厳しい表情でこちらを睨んでいる。一瞬の隙を突き、マシュは盾を離して小さく跳躍。ベインの顔の前で回転している。
(ふむ、これは)
破滅が己の敗北を悟るのに時間は要らなかった。バットマンは右手の甲の刻印を輝かせ、叫んだ。
「令呪を以て命ずる! 全ての魔力をマシュの膂力へ変換しろ!!」
マシュの渾身の回し蹴りが、ベインの首を捉えた。
177 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:53:21.31 ID:UHLu638i0
ドゴォォォォォォォッ、ガッシャァァァァァァ!!!
マシュ「ふうっ!!」スタッ
バットマン「ドクター、大丈夫か!!」
ドクター「平気、平気だから……それよりレオナルドは!?」
所長「大丈夫よ、大丈夫……彼女なら、生きてる……」
バットマン「全員無事だな!?」
職員A「右腕以外は……」
職員B「無事です!」
職員C「大丈夫です!」
「そこまで心配か、ミスター・ウェイン」
178 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:53:53.06 ID:UHLu638i0
バットマン「!!」
マシュ「皆さん下がって!!」ガシャリ
ドシ、ドシ……
ベイン「ふう……効いたぞ今のは。中々悪くない一撃だった、マシュ・キリエライト」
マシュ(……確実に、倒した手応えだと思ったのに……)ジリッ
バットマン「もう一度食らわせるまでだ、マシュ。二人ならやれる」
ベイン「ふ、フフフ。まさか一度敗北したというのに、こうも躊躇なく挑んで来るとはな。面白い」
マシュ「……人は何故落ちるか、ご存知ですか」
ベイン「何だと?」
マシュ「這い上がる事を、学ぶためです」
ベイン「ほう……?」
179 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:54:34.88 ID:UHLu638i0
ベイン「……ふ、フフフ」
ベイン「フフフ、フフフハハハハハハハハハ!!」
ベイン「ハハハハハハハ……フフフ、今回は大人しく負けを認めよう。素晴らしい成長だ、マシュ・キリエライト。そして……相変わらず、病的なまでの不屈ぶり。安心したぞ、ミスター・ウェイン」
バットマン「……」
ベイン「お前達を引き留める役だったハズのゲーティアも、どうやら役目を放棄したようだ。俺も、長居する必要は無いだろう……さらばだ」ギュォォォォォォ……ドシ、ドシ
バットマン「……待て! お前の目的は何だ、ベイン! ここを滅ぼそうと思えば、簡単にできたハズだ!」
ベイン「……まだ、明かす訳にはいかない。お前達がもっと強くなり、本物の『希望』として俺の目の前に現れた時……その時、俺は話すだろうよ」ドシ、ドシ……シュンッ
180 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:55:01.63 ID:UHLu638i0
計器「」バチ、バチチチ……
観測器「」ヂリヂリヂリ……
ドクター「……あぁ、散々だよもう」
所長「帰った、の?」
バットマン「……ああ、帰って行った」
マシュ「早く、治療しましょう!!」
ドクター「いててて、叫ばないで……傷に響くから……」
181 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:55:29.71 ID:UHLu638i0
レオナルド「待たせたね! この存在抹消銃でキミの事を粉々に……あれ?」ダダダッ、ピタッ
バットマン「……遅刻だ、レオナルド」
レオナルド「あれぇ? お、お帰り……?」
バットマン「ああ、ただいま。……皆の治療を急いでやってくれ」
182 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:55:57.25 ID:UHLu638i0
………………
ベイン「……」ドシ、ドシ
ベイン「……」ドシ、ドシ……
???「おやおや? ベイン坊ちゃんのお帰りかな?」
ベイン「……フン」
???「そう邪険にするなよ、久しぶりに会えたんだろ、バッツと。羨ましいぜ、俺はここにカンヅメだったってのに!」
ベイン「黙って仕事をしたらどうだ」
???「ユーモアは必要だぜベイン君! 知ってるか、一日一回笑うと死神も逃げていくって……おっと失礼、死神の前で言うべきじゃなかったかな? ウフフフフフッ」
ベイン「……」
???「で、どうだったんだよ? 教えてくれても良いじゃねえか、そんなに人に聞かれたくないならコソコソ話でも付き合うからさあ!」
183 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:56:24.08 ID:UHLu638i0
ベイン「……バットマン。アイツは相変わらずだ」
???「へえ! 狂ってやがるのか? ウフフフ、頭の固いバッツ君は相変わらず自分の事を優等生だと信じて……」
ベイン「だが、少しだけ変わった。マシュという少女を大切にしている」
???「……へえ?」
ベイン「それだけだ。俺は前線を押し戻しに行く」ドシ、ドシ
???「……ふうん、そうか。大切なものが出来たのか、バッツ」
184 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:56:58.98 ID:UHLu638i0
???「……ウフ、ウフフフフフ」
???「ハハハハハハハハハハ、ヒャァーッハッハッハッハッハ!!」
???「ったく最高のジョークだぜネコミミちゃん、大切なものが出来た!? 前振りもここまで丁寧だと観客が冷めちまうよ!!」
???「だけど任せな、そんな馬鹿まじめなお前とコンビを組んでも……最高に客を沸かせられるのが、この俺様、ジョーカーだ!! 待ってろバッツ、お前の期待通りにしてやるからな!!」
ジョーカー「ハハハハハハハハハハハ! アヒャハハハハハハハハハハハ!!」
185 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 00:57:38.44 ID:UHLu638i0
第四章
死界魔霧都市 ロンドン
生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト
死者 ダビデ
186 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/11/28(水) 00:58:07.74 ID:UHLu638i0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/28(水) 01:31:04.39 ID:TLWgbttvo
乙
4章は味方陣営がかませでしかないからssでも活躍の場面が見れて嬉しい
次は5章か・・・マン・オブ・スティールなのか、昔はコラボしてたしダブルシールダーになるか
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/28(水) 02:38:30.64 ID:FsspDiZ1o
乙。とうとうジョーカー来たね
それにしても女が父上で娘が息子って一体このゲームの性別はどうなっとんねん…
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/28(水) 12:30:34.11 ID:EOyamjUMO
深い事情があるのよ
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/28(水) 15:26:55.34 ID:sq0whND5O
割とマジでだいたい社長のせい
詳しい説明は避けるけど、ユーザーニーズを読んだ上の決断で、その結果一大ブランドになるまで成長させたから大当たりの判断だったのよ
なおその後アーサー王とは縁もゆかりもない新撰組にまで同じ顔が増えるもよう
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/28(水) 15:43:46.49 ID:X3zYOxPA0
乙!
ワトソンくん生身で乳上に立ち向かってたのやばすぎない……?? かっこいいね……また出ないかな……
みんな大好きジョーカーも顔出ししたし、次回も待ち遠しいぜ!
ところでFGOといえばとちくるったイベントだと思うのだけど、バットマンVSチェイテピラミッド姫路城とか……ない……のかな……?
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/28(水) 20:10:37.29 ID:Fbpa8jHR0
乙、いよいよ宿敵の登場か
アメリカならバットマン以上に有名なあのヒーローも出るのかな
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/28(水) 21:38:41.28 ID:UCRPsUFao
乙。さてマシュちゃんはデスインるのかキリングジョクるのか、続きが気になる
194 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 23:10:14.36 ID:UHLu638i0
その日も、雨が降っていた。
一仕事終えた俺は、未だに硝煙を上げる筒を前に、娘に謝罪のメールを送るところだった。この携帯のメールアドレスから送るのは初めてだが、自分からのメールだと分かってくれるハズだ。
送信と同時に、依頼完了のメールを受信した端末が震えた。用意した偽の口座にかなりの額の入金。ビジネス完了、ずらかるとしよう。
スナイパーライフルを背負い、屋上を駆け出す。もし入金が無ければ依頼者も撃てる位置を取っていたが、もう必要ない。更に震える携帯。画面には『これからも良い取引をしよう ミスターデッドショット』の文字。
娘からの着信だと思ったのに期待させやがる。走りながら携帯を捨てようかと迷ったが、もう少し持っている事にした。もしかしたら返信が来るかもしれない。俺は迷った挙句、『誕生日おめでとう』のメールも送る事にした。
あらかじめ用意した逃走ルートを走り抜け、屋根を跳び渡り、路地へ降りようとしたところで……不意に、空が輝いた。思わず足を止め、見上げたその先には、巨大な光の帯があった。
最初、その帯はもっと近くにあるものだと思っていた。それは巨大すぎる視認対象が引き起こす錯覚だと気付いた。ゆっくりと降りて来る巨大な破滅の帯は、飛んでいた飛行機に当たり、飲みこんだ。破壊の音すら立たなかった。
天罰? それとも地獄への誘い? ……直感的に、あの光は全世界を包むと悟った。その時俺は、死んだら本当に地獄へ堕ちるのだろうかとか、家族は天国へ行けるのだろうかとか、そんな事ばかり考えていたのだと思う。だから、それが目の前に迫っていても、実感がわかなかった。
光に飲まれる直前、俺の手から携帯が落ちた。娘に謝罪のメールは届いただろうか。最期まで、気掛かりだった。
195 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/28(水) 23:10:40.71 ID:UHLu638i0
第五章
北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
196 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/11/28(水) 23:14:16.83 ID:UHLu638i0
短すぎて申し訳ない、今回の更新はここまでです。それと、悪役の参考資料です
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/deadshot.html
197 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/11/29(木) 00:08:11.27 ID:oXFljNIX0
イベントはそうですね……全て書き終わって余力があれば、一考してみようと思います。
でもギャグ一辺倒とかになっても許してくださいね……
198 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/29(木) 22:07:31.60 ID:oXFljNIX0
………………
デッドショット「まだ飲んでやがるのか、コブルポット」
ペンギン「酒は貴重だ。貴重品こそボスが嗜まねえとな、ハハハ」
キャットウーマン「ほどほどにしなさいよ」
ペンギン「説教垂れずに酒を注げば良いんだ、売女め……」
キャットウーマン「……いつかアンタの酒に毒を混ぜてやるからね」
デッドショット「最近この辺はどうなってやがるんだ。この前はデカい氷山を見たと思ったら、今度は槍を持った侵略軍? 何世紀だ此処は」
ペンギン「無学な狙撃手に講座のお時間だ。通りの本屋に置いてある『アンクル・トムの小屋』、アレは19世紀半ば頃の著書だ。つまり、今、ここは19世紀半ば、南北戦争に近い時代のアメリカさ。分かるか?」
デッドショット「……お前こそ分かってんのか、俺達はちょっと前まで21世紀に居たんだぞ。頭が痛くなりそうだ」
ペンギン「フン、俺は全く困らんがね。俺と一緒にどうやら手下もここに呼ばれたようだし、ここで一旗揚げるのも悪くない」グビ
199 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/29(木) 22:08:12.05 ID:oXFljNIX0
ペンギン「……それにしても、聞いたか。フリーズの野郎も来てるらしいぞ」
デッドショット「ハ、まるでゴッサムの同窓会だな。……そう言えば、『彼』の噂を聞かなくなったが」
ペンギン「捕まったらしい。俺の手下が言うには、地元の子供を人質に取られて、降参しちまったとか」
キャットウーマン「何処も思うように行かないわねえ」
デッドショット「……じゃあ、『ダグザの棍棒』はどうだ?」
ペンギン「眉唾だ、あんなものは!」
デッドショット「ただの眉唾な道具のために、お相手はあんだけ動員してる。この前ここに攻めてきたヤツを拷問したら、『ダグザの棍棒目当て』と抜かしてたぞ。本当に何もないのか?」
ペンギン「……一応、俺の手下が方々を探してる。だが無理だ、見つからんだろうよ。どうもここには、俺達の時代に失われて久しい『魔術』ってのが存在してるらしいからな」
キャットウーマン「まあ怖い。魔女も出て来るのかしら」
ペンギン「フン……俺の目の前に居るヤツが魔女だった気がするぜ」
キャットウーマン「よく言うわ、テディベアさん」
200 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/29(木) 22:08:38.42 ID:oXFljNIX0
ドォン……ドォォ……
デッドショット「……奴ら、また手勢を送り込んできたらしい。少し出て来る」スクッ
ペンギン「せいぜい死なんようにな。俺の手下も殺さんように」ヒラヒラ
デッドショット「俺の射線に出なきゃ平気だ」スタスタ……
スイングドア「」ギィ、グォン……
201 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/29(木) 22:09:07.07 ID:oXFljNIX0
ヒュォォォォォォォオォォ……
太陽「」ジリ……ジリジリ……
通り「」……
デッドショット「……」ザシ、ザシ
デッドショット(こういう光景は、西部劇の映画で見た事がある。ここに枯草でも転がってくりゃ、雰囲気は完璧だ)
デッドショット(強い日差し、弱々しい風。いかにもそれらしく寂れた建物……だが、これは映画じゃない。どういう訳だか、俺はここに立ってる。しかも身体は常に絶好調、まるであのスーパーマンにでもなった気分だ……)
デッドショット(ここはあの世か? ……いいや、違うよな。あの世でまで争いが起きるとは思えない)
ウォォォォォ!! ヤッチマエエエエエエエ!!
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