星空みゆき「とうおるるるる……るんるん♪」

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418 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 12:26:26.17 ID:ABcTus3vO

ウルフルン「お、おう。それで、二つ目はなんなんだよ」

ジョーカー「はい、これはある意味ではもっとも重要な任務ですねェエん♪ それに、この任務はあなたにこそふさわしいと思っているのですよ」

ウルフルン「だぁからなんだってんだよ」

ジョーカー「なに、いたってシンプル。────キュアハッピーの『抹殺』です」


ウルフルン「……!!!」

ジョーカー「フフッ♪」


419 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 12:27:01.32 ID:ABcTus3vO



【Rapsodia】……イタリア語で狂詩曲を意味する



420 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 12:27:43.97 ID:ABcTus3vO
冒頭終わり
続きはおやつの時間に
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 12:42:32.94 ID:o7J87MM5o
乙乙
422 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:16:04.69 ID:ABcTus3vO
続きを投下します
423 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:16:32.94 ID:ABcTus3vO


わたし、星空みゆきです! 中学二年生、スマイルプリキュアのキュアハッピーやってまーす!

わたしたち5人がプリキュアになってけっこう時間が経ちました。みんなだんだん慣れてきたかな?

そんなある日、わたしたちのところにメルヘンランドの使者、ポップがやって来たの! 色々あって自己紹介が遅れちゃったけど、なんでもプリキュアは何のための存在か伝えにきたみたい。それで、プリキュアっていうのは……


────プリキュアとはッ!

ひとつ 伝説の戦士なり!
ふたつ ロイヤルクイーンの力の欠片であり!
みっつ クイーンを復活させる存在である!
よっつ あらゆる自然現象の能力を兼ね備え
しかも その能力を上回る!
そして その形は川村敏江のデザインのように美しさと可愛らしさを基本形とする。


424 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:17:37.28 ID:ABcTus3vO

みゆき「つまりわたしたちはッ!」

やよい「スーパーヒーローッ!」

みゆき「うんうん、メルヘンランドの女王様を復活させるためのね。それで、デコルをいーっぱい集めなきゃならないんだよねっ」

やよい「伝説の戦士、プリキュアの絵本の主人公がわたしたちで……その絵本のページはまだ途中、白紙! 続きは主人公のわたしたちに託される。……なんか話ができすぎてる気がするー……」

みゆき「そうかな? わたしはぜったい『運命』だと思うなァ〜。この町に来て、キャンディに出会って、一気に物語が進んだんだよ」

やよい「みゆきちゃんはそれが運命だって信じてるの?」

みゆき「うん! こうしてやよいちゃんとも友達になれたのも、あかねちゃんもなおちゃんもれいかちゃんも、みんな『運命に選ばれた』んだと思うの。それってなんだか素敵じゃない?」

425 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:18:15.93 ID:ABcTus3vO

やよい「うーん、よくわからないけど……わたしはみゆきちゃんと友達になれて良かったって思ってるよ」

みゆき「えへへ、わたしもやよいちゃんのことだーいすきっ!」ガバッ

やよい「きゃっ! ふ、ふええ……恥ずかしいよみゆきちゃん……」

みゆき「まあまあ遠慮しないで〜♪ それで、今日は何して遊ぶ〜?」

やよい「え、えと、せっかく不思議図書館に出入りできるようになったから、そこでデッサンでも描こうかなって」

「あ、あの、星空さん!」

みゆき「ん?」クルゥリ

男子生徒「こ、こ、これ、受け取ってください!」つ手紙

みゆき「あ、どうも」ヒョイ

やよい「……」

426 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:19:10.82 ID:ABcTus3vO

男子生徒「そ、それじゃッッ!! 返事お願いしますね!!」ピューン

みゆき「ああ〜……また受け取っちゃったよ。返事書くのってけっこう頭使うんだよねー」

やよい「……みゆきちゃん、それ、今月入って何通目……?」

みゆき「うーん、40……あれ? 50だったかな?」

やよい「す、スゴい……。みゆきちゃんって、かなり男子に人気あるよね……わたし一通ももらったことないよぉ」

みゆき「そうかなぁ、最初はみんな怖がってたみたいな気がしてたけど、最近急にもらうようになったんだよね。ふしぎー」

やよい「不思議だね……(黙ってれば美少女だし、それに……奇妙な魅力……フェロモンってのかな?出てる時があるような……。
ある意味れいかちゃんより人気かも……)」

427 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:20:24.67 ID:ABcTus3vO

やよい「そ、そういえばみゆきちゃん、この七色が丘に『岸辺露伴』先生がいるってウワサがあるんだけど、ほんとかなあ?」

みゆき「へ!? き、岸辺露伴って、あの『超』人気漫画家の……? なんでまたそんなグレートな有名人が……ッッ」

やよい「ウワサだとね、どうも家が火事になったり、破産したり……『色々不幸なことが』重なって……気分転換に旅行してるんだって」

みゆき「でもでも、なんでこの町に? もっと良いところなんていっぱいあると思うけどなあ」

428 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:21:11.41 ID:ABcTus3vO

やよい「……あのねみゆきちゃん、実は露伴先生、この町にある『ウワサ』に興味があるみたいなの」

みゆき「『ウワサ』ァアア〜?」

やよい「突然空が暗くなったり、ピエロのお化けが暴れてる幻覚を何人も見てたり」

やよい「それと戦う5人の女の子の姿を目撃したり……」

みゆき「……それって」

やよい「わたしたちだよ……ねェエエエエ? それに、これってさァアア〜? みゆきちゃんの言う……『運命』だと思うんだッ!! うん」ズイ

みゆき「運命!!」

429 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:21:51.71 ID:ABcTus3vO

やよい「だから今度一緒に会いに行こーよォォォォ!! 一人じゃ怖くて行けないのォォォォ!!」ビエエ

やよい「滞在してる間に1度だけでもいいのッ! 露伴先生と会って握手! サイン!! できれば漫画のアドバイスとかァァ!!」

みゆき「わ、わかった、わかったよやよいちゃん。うん、今度ね? わたしも前から漫画家さんって興味あったからね、一緒に行こ?」

やよい「ありがとみゆきちゃんッッ!!」ダキッ

みゆき「よちよち」


430 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:22:55.51 ID:ABcTus3vO

七色ヶ丘図書館ッ



みゆき「えーと、確か本棚があればどこからも入れるんだったよね。なるべく人が見てないところから入んなきゃね。ついでになんか借りよっかな〜?」

やよい「み、みゆきちゃん、今日は本を借りにきたんじゃなくって」

みゆき「あぁ〜だいじょぶ、だいじょぶだよぉ〜? ただね? せっかく図書館にきたんだからさ、ちょっぴり珍しい本でも、無いかな〜って思っただけだよ……」

やよい「みゆきちゃん、心から本が大好きなんだね……なんだか尊敬しちゃうなあ」

みゆき「ふふ、それほどでもないよ。ただ暇があったらお休みの日はいつもここにいるだけだからね……」

みゆき「……うん?」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


みゆき「なんだろ……こんな本図書館にあったっけ?」スッ

431 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:23:44.40 ID:ABcTus3vO

やよい「あったっけって……も、もしかしてここにある本を全部知ってるの?」

みゆき「そうだよ、ここのコーナーに置いてある本は全部読んじゃったし、何が置いてあるかは大体分かってたはずなんだけど……」


みゆき「なにこれ……『ヤギとオオカミ』の絵……?」


ウルフルン「見つけたぜェエ〜……キュアハッピー……!!」

みゆき「!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ウルフルン「よぉ、久しぶり……だな……」

みゆき「オオカミさん……」

やよい「バ、バッドエンド王国!?」

432 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:25:15.31 ID:ABcTus3vO
ウルフルン「テメーだ」ビシィッ

みゆき「え?」

ウルフルン「テメーに会ってからだ……全部『ケチ』がつきはじめたのはよォォォォ……」


--

ウルフルン『キュアハッピーの抹殺だぁあ〜!? なんであんなのに構うんだよ』

ジョーカー『考えてもみてくださぁい? 彼女がすべての始まりであり、同時に……あなたが今そんな風になっている原因でもある……。そうは考えられませんか? え?』

ウルフルン『!!』

ジョーカー『キュアハッピー……星空みゆきさんがプリキュアになってからの行動は恐ろしく速い……』

433 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:26:07.26 ID:ABcTus3vO

ジョーカー『いち早く仲間を集め、プリキュアチームをまとめ、リーダーシップを取り指示を出して戦う……。あるんですよ、彼女には、あの平凡な顔の裏に隠された……』


ジョーカー『支配者の顔が』


ウルフルン『……』ゴクリ

ジョーカー『思い当たるふしがあるのではないですか〜? 追い詰められた他のプリキュアを……誰が叱咤し、誰が励まし、誰が支えてきたか……。
そう、他ならぬキュアハッピーです』

ジョーカー『チームの精神的柱ほどやっかいなモノはありません。
何度痛め付けても、ああいうムードメーカーを兼ねたリーダーがいると、しつこくチームがよみがえってしまうんですよねェエ〜? ほんと、困った困った!』

434 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:27:22.27 ID:ABcTus3vO

ウルフルン『……ってことはよー、アイツさえぶっ殺しちまえば……』

ジョーカー『はい、柱が崩れればあとはバラバラ♪ プリキュアはおーしまい♪ 我々の勝利でェェーすッ!!』

ウルフルン『……そうか……言われてみりゃあ確かに……』

ウルフルン『そうだよなあァァァァ!?……確かにその通りだぜ、アイツと会ってから……』

ウルフルン『まっったく! 良いことがねえッ!! 1度もだッ! 
ムカつくがよォォォォ……やっとわかってきたぜ。……俺にとって、アイツこそがッ!』




ウルフルン『なんとしてでも倒さなきゃあならねえ『宿敵』だってことがなッッ!!』




435 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:29:00.91 ID:ABcTus3vO

--




ウルフルン「テメーを始末すりゃあよ……俺はもう一度返り咲けるんだ……だから……何がなんでもテメーを……」


ウルフルン「ぶっ殺すぜッッ! プリキュアッ!! さあおっ始めようじゃ」ピシィッ



司書「図書館ではお静かにィィッッ!! ……ね。 二度も言わせないでくださいよ?」ガッ



みゆき「……」

やよい「……」

ウルフルン「……お、おっ始めよーじゃあねーかァ〜?」ヒソッ

みゆき「無理しなくてもいいよ?オオカミさん」ヒソッ

やよい「かわいい」ヒソ

ウルフルン「うるせっ! ……ん?」ヒソ


ポゥウウウ……


ウルフルン「なんだあ? そのピカピカ光ってる本は? 珍しいじゃあねーかよおい」

みゆき「え? わ、わ、なにこれ? 本が光ってるッ!?」

436 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:30:26.09 ID:ABcTus3vO

やよい「みゆきちゃん! な、なんか変だよその絵本〜!」

ウルフルン「絵本……まさか……プリキュアに関係が……」

ウルフルン「……まさかッ! その絵本が『アレ』なのかよ!? 『ミラクルジュエル』ってえのはよォォォォ!!」

みゆき「『ミラクルジュエル』……?」

ウルフルン「へ、ちょうどいいじゃあねーかよコラ……テメーを始末するついでにミラクルジュエルまで手に入れちまえばよォォォォ?」

ウルフルン「もう俺の天下だッ! 誰にも文句は言わせねー……ジョーカーであっても黙らせてやるぜ────ッ!!!」ガバァッ

みゆき「いやぁああああああ!?」

やよい「みゆきちゃああああああん!?」


437 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:31:40.37 ID:ABcTus3vO

ウルフルン「オラッ! とっととそれ渡せコラッ!! 放しやがれェェ────ッ!」グイグイ

みゆき「ちょ……ッ!? だ、だめだってば! そんなに引っ張ったら本が破けちゃうよぉ!」グイグイ


やよい「端から見ると子どもが取り合いっこしてるみたいだよ……」ヤヨーン……

ウルフルン「いい加減放しやがれテメェェ……!!」グググ

みゆき「だから引っ張っちゃダメだってば……!!」グググ


つるぅぅんッ!


みゆき「はぅわあっっ!?」ステーン

ウルフルン「ウオワッッあぶねッ!?」ツルーン

やよい「ああッ!? みゆきちゃんがこんなときに出さなくてもいいドジっこ性能を出したッ! これはあざといィィ!!」

みゆき「いや、やよいちゃんに言われたくなああああああああああ!?」

ウルフルン「おおおおおおおっっ!?」


ドシィィン……


438 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:33:17.20 ID:ABcTus3vO

ウルフルン「イテテ……! こ、こらテメー……! だいたいなにもねー所でスッ転んでンじゃあねッ…………ッッッ!?」フニン

ウルフルン「………!!!」

フニン フニン

やよい「みゆきちゃん、だいじょ……!? は、はわわわわわわわ……!?」カァァ

ウルフルン「(こッ……この『感触』はッ! うっすら『ふくらみ』のある柔らかい『感触』はッ!)」フニフニ

ウルフルン「(先っぽにコリコリと弾力のある心地よい感触の『これ』は、まさかァアッッ!!?)」コリコリィ

みゆき「オ、オオカミさん……っ。 んッ」ビク

ウルフルン「うおああああああああ!?」ガバァッ

みゆき「うう……」

ウルフルン「ち、違う! これは俺のせいじゃあねェェェェェェ!! オ、オメーが転んだせいで────」

みゆき「オオカミさん……」

ウルフルン「はッ……!?」


439 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:34:25.83 ID:ABcTus3vO



みゆき「……痛いよ……」グスッ



ウルフルン「──────!?!?!?」ピシャァアアン



この時! ウルフルンの全身を電流が走った!
それは彼が今まで感じたことのない『奇妙な感覚』であった。
まさに『黄金体験』ッ!!


440 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:39:24.54 ID:ABcTus3vO

みゆき「……」ジー

ウルフルン「うお、お、お……な、何みてんだよ……」

みゆき「……じー」

ウルフルン「わ、わかったよ……その、なんだ……わ、わり」

やよい「いい……スゴクいい!! いいラブコメ!! 
シチュエーションといい甘酸っぱさといい、こういうの良好! はかどる! ベネ!」シュババババババ

ウルフルン「オメーはスケブにナニ描いてんだァァ────ッッ!? 
やめろ描くんじゃねェェ────ッそして忘れろォォォォォ!!」



ビッカァァアア─────ッッ!!


みゆき「うわあっっ!?」

ウルフルン「ウオオ!? な、なんだぁァアア〜!?」

やよい「ほ、本がッ!? 今までよりももっと強い輝きをッ!?」


441 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:40:54.17 ID:ABcTus3vO


ウルみゆ「うきゃあああああああああ!?」ズキューン


……………
………
……



やよい「う、うう……なにが起こったの〜……? ねえ、みゆきちゃん……?」

やよい「……あれ?」

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


やよい「みゆきちゃん、どこ? あれ、オオカミさんも……」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


442 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:43:05.16 ID:ABcTus3vO
………
……


ウルフルン「…………」

ウルフルン「う、うう……!? 俺は一体……なにが……」ググ

ウルフルン「そうだ……『キュアハッピー』だ……! キュアハッピーのおっぱ……って違う!」

ウルフルン「アレだッミラクルジュエルッ! 何処へ行きゃあがったんだコラッ!?」

ウルフルン「……『何処へ』?」

443 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:43:55.81 ID:ABcTus3vO


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「……こっ……ここはっ!」





ウルフルン「ここは何処だァァァァ────ッッ!!?」




444 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:45:32.77 ID:ABcTus3vO


再び図書館ッ!


やよい「ふ、二人ともどこいっちゃったのォォ〜?」オロオロ

やよい「とつぜん『光』が……ば────ってなって……それで……うう、何がどうなってるのかわかんないよ……」グスッ

キラッ

やよい「うん?」

絵本「」ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

やよい「みゆきちゃんが持ってた絵本……も、もしかしてこれが原因……!?」

やよい「もし、こ、これが原因なら誰かに……そうだ! ポップに見せればなにかわかるかも……!! は、はやく行かなくちゃッ!」


チョイチョイ


やよい「だれっ!?」


445 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:46:21.16 ID:ABcTus3vO


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

司書「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


やよい「ひいいっ!?」ビクゥーン


司書「このメスガキが俺をなめてんのかッ!? 何回言わせりゃあ理解できんだコラァ!!」クワッ

司書「ド低脳がァ────ッ!!」グワァアア


やよい「ごごごごめんなさァァ────いッッ!!?」ピューン


446 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:47:19.89 ID:ABcTus3vO

七色ヶ丘市名所そのA
『七色ヶ丘図書館』
行き方:おせーて! おせーてくれよォ!

市内で唯一の図書館
閑静で古風な雰囲気が味
みゆきはひまがあればここに来て絵本を読んだりしている
絵本コーナーだけでなく、古い童話集などのコーナーも充実している
最近、司書が物静かで知性に富むが非常にキレやすい美青年に替わったらしい

447 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 15:48:01.77 ID:ABcTus3vO
いったんここまでです
続きは夜の予定です
448 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:32:17.54 ID:QUHUVAerO
続きを投下します
449 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:33:14.54 ID:QUHUVAerO

その頃、ウルフルン!!



ウルフルン「じょ、冗談……じゃ」ゼェゼェ

ウルフルン「ねェェ────ぞォォォォッッ!!
なんなんだここはァァァァ!? 歩いても歩いても木、木、木ィィィィッッ!!」

ウルフルン「……おいおいおいどーなってやがんだこれはよォォォォ〜? 俺は確かに図書館に居たんだぜ……それがどーしてこんな森ん中に居るんだッ!?」

ウルフルン「やっぱりあの本……『ミラクルジュエル』とは関係ねーのかぁ? でも、あれのせいとしか思えねーが……」


450 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:34:00.97 ID:QUHUVAerO

ウルフルン「……んん? なんだぁありゃ」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


それは! 森にそぐわぬ一軒家!
まるで中世ヨーロッパの童話から飛び出したかのような趣がそこにはあったッ!


ウルフルン「なんでこんな……『森の奥』に家があるんだ……? おかしいぜこりゃあよ」


♪〜♪♪〜……


ウルフルン「誰か出てきやがった……! っておい、アイツ……」



みゆき「わたしは〜♪ おかあさんヤギ〜♪ みんなのやさしいヤギのおかあさん〜♪」ランラン



451 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:34:49.72 ID:QUHUVAerO

ウルフルン「キュアハッピー! アイツもここに……つーかなんだあの格好は? 頭に角が生えてるぜぇぇ〜? ケケケ、まるでヤギだなありゃ」

ウルフルン「……」


ウルフルン「ヤギ?」


ウルフルンは気づいていなかった! 自身の運命が示す避けられぬ出会いを!
これから自分に待ち受ける過酷な試練の始まりを!


452 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:35:35.83 ID:QUHUVAerO


不思議図書館ッッ!



あかね「……で、これがその絵本てわけか? なんや怪しいもん持ってきたなあ」

やよい「うん、スゴい光がこれからバーって光って、気がついたら二人とも……」

なお「これ……もしかしなくてもメルヘンランドのものだよね……。
みゆきちゃんと、バッドエンド王国のオオカミもこれのせいでどっかに行っちゃったんだ」

キャンディ「クル〜……みゆき心配クル〜……」

れいか「問題は、これが一体なんなのか、そしてみゆきさんは無事なのか、です」

キャンディ「れいか……」

453 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:36:31.34 ID:QUHUVAerO

れいか「今、ポップさんがメルヘンランドからこちらに向かっています。なにかわかれば良いのですが……」

あかね「せやな……こればっかりはうちらにはどうにもならへん。こーいうのの専門に調べてもらわんと」

やよい「ポップ……まだかなあ」


ポップ「皆の衆! 待たせたでござる!」

4プリ「ポップ(さん)!!」


ポップ「話は聞かせてもらったでござる。しかし、これはやっかいなことになってしまったでござる……」

あかね「ポップ、みゆきは一体どこに行ってまったん?」

やよい「みゆきちゃんは無事なのッ!?」

454 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:37:18.82 ID:QUHUVAerO

ポップ「落ち着いて。みゆき殿なら無事でござる。そして……みゆき殿はこの中にいるでござるッ!」つ本

なお「ほ、本の……中ッ!?」

れいか「ポップさん、どういうことですか?」

ポップ「これはメルヘンランドに伝わる『はじまりのオオカミと七匹の子ヤギ』でござる」

4プリ「『はじまりのオオカミと七匹の子ヤギ』?」

ポップ「このページを見るでござる」パラッ


みゆき『わたしィィ〜はやさし〜いおかあさん〜♪』ランラン


あかね「み、みゆきやッ!!」

455 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:37:56.09 ID:QUHUVAerO

ポップ「みゆき殿はオオカミと七匹の子ヤギの世界に入り込んでしまったでござる」

れいか「ポップさん、この本は一体……」

ポップ「この本は世界中のオオカミと七匹の子ヤギの本と繋がっていて、その全ての絵本の幸せの源なのでござる。
もし、この本が悪者の手に渡ってしまったら……」

なお「ね、ねえちょっと……これって……もしかして……」

れいか「なお、どうかしましたか?」

やよい「ま、まさか……!?」

456 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:38:39.72 ID:QUHUVAerO



ウルフルン『ここは何処なんだァァァァ────ッ!?』



あかね「オオカミがアイツやァァァ───ッ!?」

ポップ「バッドエンド王国ッ!? まさかもうこの本の結末を変えようとしているでござるか!?」

なお「結末を変えるって……どういうことなのさ?」

ポップ「もしも、このはじまりの本の結末をバッドエンドに変えてしまったら、世界中の全ての『オオカミと七匹の子ヤギ』の結末がバッドエンドになってしまうでござる!」

やよい「そんな、それじゃどうすればバッドエンドにならなくて済むの?」

ポップ「物語の結末通りに話を進められれば問題ないでござるが……バッドエンド王国の者が必ず邪魔をしに来るでござるな」

れいか「それでしたら、やることは決まっていますね」

457 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:39:41.47 ID:QUHUVAerO

あかね「れいか、なんかええ考えでもあるんか?」

れいか「『私たちも物語の世界に行く』……これがベストな判断だと……思います」

やよい「わたしたちもッ!?」

なお「……まあ、みゆきちゃんを放っては置けないからね」

れいか「ポップさん、可能でしょうか?」

ポップ「確かに……皆の衆が一丸となって事に当たれば、バッドエンドから守れるかも知れないでござる」

キャンディ「お兄ちゃん、そうじゃないクル」

ポップ「キャンディ?」

キャンディ「ここにいる皆は『みゆき』が『大好き』で、『心配』なんだクル。キャンディもみゆきが大好きクル。
物語の筋書きはどうしようもないかも知れないけど、みゆきのいのちには替えられないクル!」

ポップ「キャ、キャンディ……そのような立派な考えを……! 兄は嬉しいでござる!!」

458 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:40:50.48 ID:QUHUVAerO

あかね「せやな、何はさておき今はみゆきや! うちらの大切なともだち、はよ助けに行かんと!」

やよい「そうだね! みゆきちゃんには今までいっぱい助けてもらったんだから、今度はわたしたちが助けなきゃ!」

なお「ともだちは助けなきゃッ! 筋を通すなら今だと理解したよ!!」

キャンディ「みんなでみゆきを助けに行くクル〜!!」

れいか「みなさん、少々お待ちを。見てください、どうやら物語に動きがあったようです」

あかね「ん、これは……?」

459 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:41:43.96 ID:QUHUVAerO

……………
………
……



ある所にお母さんヤギと七匹の子ヤギが暮らしていました。
ある日、お母さんヤギは街へ出かけることになり、子ヤギたちに「誰が来ても、決してドアを開けてはいけませんよ」と注意して家を出ました。


みゆき「じゃあ、みんな! わたしはこれから街に買い物に行くから、いいこでお留守番しててね♪」

みゆき「あ、後ね、誰が来ても決してドアを開けちゃダメだからね! 
悪いオオカミさんが来て、みんな食べられちゃうから!」

みゆき「じゃ、いってきまーす!!」ランラン


ウルフルン「……」コソッ


460 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:42:57.70 ID:QUHUVAerO


ウルフルン「……やっぱり、これってよぉ……アレだよなあ? うん、『アレ』」

ウルフルン「オ、オオカミと七匹の……くっ、お、俺が出る話じゃあねーかッ! 胸くそわりーぜチクショウがッ!」

「ねぇねぇオオカミさん」

ウルフルン「しかも、よりによってッ! アイツが……キュアハッピーがメスヤギだとォ〜? 主役じゃあねーか、ますます気に入らねェェェェぜッ!!!」

「ねぇねぇねぇったら、オオカミさん」

ウルフルン「うるせーぞッ!! 今考え事してんだよおおおおおおああああああああ!?」ビクゥーン

みゆき「えへー♪」

461 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:44:16.67 ID:QUHUVAerO

ウルフルン「ななななんでオメーここにッ! ここに居やがるんだァア!? 街に行ったんじゃあねーのかコラァアッ!?」

みゆき「だってぇ〜、オオカミさんいつまで待っても家に来ないんだもん。ほら、早く『家を訪ねなきゃ』それが『筋書き』だよ?」

ウルフルン「筋書きっておまえ……今、この状況がどんだけおかしいか分かってんのか?」

みゆき「ヤギのおうちに狼がやって来ますが、狼のがらがら声で『お母さんですよ』と言っても子ヤギたちにはすぐに見破られてしまいます」

ウルフルン「おい、オメー話聞けよ」

みゆき「そこで狼は店でチョークを買い、それを食べてがんばって声を変えます。……子ヤギたちを騙すために」

ウルフルン「お、おい」

462 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:45:15.93 ID:QUHUVAerO

みゆき「はい、オオカミさんチョークだよ♪ ちょっと早いけど買ってきたの♪」ス

ウルフルン「なんでオメーがこんなモノをッ!? つーかバカかオメーは!! チョークで声が変わるわけねーだろ!!」

みゆき「」うるうる

ウルフルン「ハッ!?」

みゆき「……オオカミさん、イヤなの……? ダメだよ、悪いオオカミさんは『チョークを食べる』の。筋書き通りに……」うるうる

ウルフルン「いやオメー……でもチョークはさすがによぉぉぉ……」

みゆき「うぅー」うるうる

ウルフルン「……ま、まあどーしてもってゆーならよぉぉぉ……
……食ってやっても……いいぜ……な、なんて」

みゆき「ほんと!?」パアア

ウルフルン「う、うむ」

463 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:46:52.32 ID:QUHUVAerO

みゆき「オオカミさん、ありがとうッ!」ダキィッ

ウルフルン「お、おお、わかったからよ、さっさと寄越せよなオメー」


みゆき「じゃあこれ全部食べてね♪」ジャラジャラ


ウルフルン「ブフォウウッッ!?」


みゆき「一本じゃあ足りないと思って、いっぱい買ってきたんだ〜♪」

ウルフルン「ちょ、待ておま、その量は……ッ」

464 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:47:59.93 ID:QUHUVAerO

みゆき「声を変えるって筋書きは辿らなくっちゃあダメなんだよ……? だって、それが物語なんだもん。
ホラ、『いっぱい買ってきたから』がんばって食べよう? ね?」ジャラジャラ

ウルフルン「」

みゆき「食べようね♪」ニコォ


ウルフルン「」ゾォォ


465 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:48:58.30 ID:QUHUVAerO


ウルフルン「じょ、ジョーダンじゃあねーぜっ!? 付き合いきれるかってんだ!!
第一よく考えたらなんでオメーの言うこと聞かなきゃあならねんだコラァア!?」


ガシィイイイイッッ!!


ウルフルン「ウオオオオオオオオオッ!?」


みゆき「ダメだよ……いっぱい買ってきたんだから……食べなきゃ。ね?
だいじょうぶ、ちょっとガマンすればいいの。すぐ終わるから」グググ

ウルフルン「ムグゥウウオオオオオオ!?(コイツ、変身してもいねーのになんてパワーだ!? ビクともしねェ────ぞ!?)」グググ

466 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:50:30.63 ID:QUHUVAerO

みゆき「はい、アーンして♪ アーン♪ アァァァァァァン♪」グイグイ

ウルフルン「ウグオアアアアやめろオオオオおおおおおお!!! 口を開けるんじゃねェェェェ────ッ!!」グイグイ

グパアアアア

ウルフルン「はがァアああああああ!?」クパー


ジャラジャラジャラジャラァァァァ


ウルフルン「ウグオエエエエッッ!!? オグウフオゥウウ」ジャラジャラ

みゆき「はい、よくかんで食べてね? カーミカーミしようね♪ カーミカーミ、カミカミ♪」グイグイ


ウルフルン「ウゴゲエエエエエエ─────ッッ!!?」バリボリバリ


467 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:51:34.28 ID:QUHUVAerO

みゆき「はい、ごっくん♪ ……ん、良くできました! これで声も良くなるよ、オオカミさん♪」

ウルフルン「ぼへぇえあっっ!? ふ、ふざけんな……声なんて変わるわけ……」ゼェゼェ

みゆき「あれ、おかしいなあ? 声が変わってない……まだ『足りない』のかな」ハテ

ウルフルン「─────」

ウルフルン「……な、なんてこった!? 声がまるで天使のようなソプラノボイスにッ!(夢の国のネズミ風)」

みゆき「わぁあああスゴォオオオオオイッ!! グーだよオオカミさんとってもグー♪」

みゆき「はい、それじゃあ玄関まで行ってきて、おかあさんヤギの真似してね? あ、逃げちゃあダメだからね、逃げちゃ」

ウルフルン「お、おぉぉぉう! 任せとけ。
うん、スゲー任せとけよなァアびしっと決めて来るぜチクショー!(よぉぉぉぉしっ逃げんなら今っきゃねーぜッ!)」スタスタ

468 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:52:21.90 ID:QUHUVAerO

ウルフルン「(まずはコイツからなるべく距離を取ってから、一気にトンズラして……)」スタスタ

みゆき「えへへ♪」スタスタ

ウルフルン「……お、おう、なんでオメーまで一緒に付いてきてんだよ?」

みゆき「オオカミさんがちゃんと筋書き通りにするかどうか見てあげるんだよ?」ウデクミィ

ウルフルン「────」

みゆき「がんばって! オオカミさん♪」ニコォ

ウルフルン「……へ、へへへ」


469 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:52:54.54 ID:QUHUVAerO






ウルフルン「─────なんでだァアああああああッッッ!?」






470 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:54:53.24 ID:QUHUVAerO

現実世界ッ!


4プリ「」ガタガタガタガタガタガタ

キャンディ「」ガクガクガクガクガクガク

ポップ「」ブルブルブルブルブルブル

やよい「ね、ねえキャンディ、オオカミと七匹の子ヤギって、こんなお話だったっけェェ〜……?」ガタガタガタ

キャンディ「キャ、キャンディこんなお話知らないクル〜」ガタガタガタ

あかね「なんやこれ……メルヘンなはずの絵本がサイコホラーみたいになっとるやん。
これぜったい子どもに見せたらアカンヤツや……」ガタガタガタ

れいか「なお、大丈夫ですか? 顔色が真っ青ですが……」ガタガタガタ

なお「れれれれれいかこそかかかっかか体が、震えてるよっ!?」ガタガタガタ

471 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:56:34.13 ID:QUHUVAerO

ポップ「まさか、みゆき殿にこれほど強靭な精神力があるとは……。
きっと、物語の正しい筋書きを通すために恐るべきパワーを発しているのでござる」ガタガタガタ

あかね「冷静に分析しとる場合ちゃうで。これこのままじゃどうなってまうん? オオカミもう死にそうやん。序盤で死んだら話終わってまうやん」

ポップ「う、うむむ、やはり絵本に入って、みゆき殿の暴走を止めるしかないでござる。
このままだと物語そのものが恐ろしい結末を迎えてしまうでござるな……」

ポップ「皆の衆! やはりここはそなたらがなんとかするしかないでござる!」クルゥリィ



4プリ「」ドンビキィー



ポップ「あれェェッ!? さっきまでやる気に満ち溢れてたのになんでそんな遠くに引いてるでござるか!? 友だちでしょそなたら!」

472 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:57:33.77 ID:QUHUVAerO

あかね「イヤ……せやかて、なあ?」

やよい「わざわざ死にに行くみたいなモノだし……」

なお「無理無理無理ィィ!? ダメなの! あたしああいうの絶対無理なの!」ギュゥゥ

れいか「よしよし、なお」ナデナデ

キャンディ「キャンディまちがってたクル。みゆきはきっと助けなくてもなんとかなるクル〜」

ポップ「冷たい! なにこの手のひらの返しよう!? さっきまで熱いこと言ってた連中とは思えないでござるゥゥ!!」



「ほんとだわさ。仲間って言っても所詮その程度の関係かい?」

「これじゃあ俺たちのほうがまだ優しいオニ!」



なお「あ、あんたたちは!?」

やよい「バッドエンド王国!!」

473 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:59:11.84 ID:QUHUVAerO

マジョリーナ「あの本の気配を感じたと思ったら、ウルフルンに先を越されちまったわさ」

アカオーニ「このままアイツに手柄を取られてたまるかオニ! さあ始まりの絵本を渡すオニ!」バッ

れいか「あ、お待ちなさい! 手荒な行為は許しませんよ!」

ポップ「本を渡してはダメでござる!」バッ

れいか「わかってます!」

474 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:00:26.51 ID:QUHUVAerO

ガシィイイイイ

マジョリーナ「ええい、放しな小娘! これはあたしたちのモンだわさ……!」グイグイ

れいか「あなたたちに渡す道理などありません……!」グググ

やよい「ちょ、ちょっと二人とも、本をそんな風に引っ張ったらダメだよ?」オロオロ

あかね「なあ、アレ破いてもうたらどうなるん? もしかしてみゆき、ずっと出てこれなくなるんちゃうか?」

なお「こ、怖いこと言わないでよ!?」ブルッ


アカオーニ「なにやってるマジョリーナ! 俺に任せろオニ!」グイ


475 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:01:09.16 ID:QUHUVAerO

マジョリーナ「ま、待ちな! バカ力のあんたが引っ張ったらほんとに破け……」

アカオーニ「誰が『バカ』オニ!?」グイッ


ビリィィッッ


アカオーニ「あ」

マジョリーナ「あ」

れいか「」

3プリ「え?」

キャンディ「……破けちゃったクル〜」



ポップ「イヤイヤイヤなにやってんだおまえらァァァァ!?」



ビッカァアアアア────ッッ!!



なお「うわあなんだこの光────ッ!?」

476 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:01:52.28 ID:QUHUVAerO

あかね「破けたページから溢れてきとる!! な、何がどうなっとんのやァァァァ!?」

れいか「これは……私……私のせい……?」オロオロ

やよい「れいかちゃんしっかりしてェェ────ッッ!?」



────キャァアアアアアアアア!?



……………
………


ポップ「ひ、光が収まったでござる……皆の衆、大丈夫でござるか……?」

ポップ「……あれ、皆の衆?」


477 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:02:46.26 ID:QUHUVAerO

再び物語の中ッ!




みゆき「さあオオカミさん、ドアをノックしたら『ただいま〜♪ おかあさんですよ、ドアを開けてちょうだい♪』って言うんだよ! ね、わかった?」

ウルフルン「なんで俺がそんなこと……」

みゆき「オオカミさん、声」ニコォ

ウルフルン「ノックしてもしもお〜〜〜しで良かったかしらッ!?
だからそのスマイルはやめてとっても怖いのォォォ!?(夢の国のネズミ風)」


478 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:03:31.59 ID:QUHUVAerO


ウルフルン「あーテステス……よし、いっちょやったるかァァ」

トントン

ウルフルン「ただいまァァ〜ン♪ おかあさんですよォ?ドアを開けてちょうだァァ〜いン♪」


シィィ────ン


ウルフルン「……返事がねーな」

みゆき「あれぇ? おかしいなー? ここは子ヤギちゃんたちが『おかあさんの声だ〜』って言う所なのに」

みゆき「オオカミさん、リテイクゥ……!」びし

ウルフルン「あー? またやんのかよったく……」ゴホン

479 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:04:24.98 ID:QUHUVAerO

ウルフルン「ノックしてもしもお〜〜〜し? おかあさんよォォォン♪
今ならおみやげでテキーラ酒もあるわよぉん? だから開けてちょうだぁいんッ」ムホ

「なんでヨーロッパのおとぎ話にテキーラが出てくんねん!」

ウルフルン「は? そういうオメーはなんで関西弁……て誰だ!?」

みゆき「あれ? あかねちゃんの声だ」

「返事してんじゃあねーだわさこのスカタン! ストーリーがすすんじまうだわさッ!」

ウルフルン「ばあさんの声ッ!?」

480 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:07:08.26 ID:QUHUVAerO

「キャンディ、あんた結局ヒツジなの? それともヤギ?」

「キャンディヒツジさんでもヤギさんでもないクル〜!」プンスカ

「お、俺の体がこんなにちっこくなっちまったオニ!?」

「わあ、オニさんかわいい〜!」

「バッドエンド王国の皆さんまで来てしまうとは……それに私たちのこの格好は」



ギャーギャー!!
クルゥゥ



みゆき「み、みんなの声……もしかしてッ!?」


481 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:08:32.33 ID:QUHUVAerO


バターンッッ!!


やよい「あーみゆきちゃんだァァ〜! よかった〜! もう会えないかと思ったよ〜」ビェェ

みゆき「やよいちゃんッ!? その姿……か、かわいいっ!
じゃなくて、どうして『この世界に』……!?」

やよい「わたしだけじゃないよ……」

あかね「なんやうちらも」

なお「巻き込まれちゃったみたい。……はは」

れいか「すみません……私の責任です」

キャンディ「みんな子ヤギさんクル〜♪」

482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/24(木) 20:09:36.54 ID:QUHUVAerO

ウルフルン「なんでオメーらまでこっちに来てんだッ!? そんでもってなんでオメーらが子ヤギなんだよ!?」

マジョリーナ「ケェーッ! 抜け駆けは許さないよ!」

アカオーニ「オメーだけに手柄はやらねえオニ!」

みゆき「いち、にい、さん……うん、全部で七匹だね? そっか、みんなが子ヤギさん役なんだねー♪」

あかね「これもうオオカミと七匹の……なん? ヤギ要素ほぼ無いわ。ヒツジとオニと魔女が混じっとるやん」

キャンディ「だからキャンディヤギさんじゃないクル!」プクゥ

あかね「それはもうええっちゅうねん!!」

ウルフルン「なんなんだよ……このグレートにカオスな展開はよォォォ?」

483 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 07:41:10.75 ID:2fY9igp5O
寝落ちしてしまったので続きはお昼頃投下します。
484 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:20:40.28 ID:2fY9igp5O



みゆき「あーそっかぁ〜? みんなも物語の筋書きを通しに来たって」



全員「!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「ことだよ……ねェェ〜? なんだか嬉しいなッ! みんなと一緒に絵本のお話をやれるなんて」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


あかね「み、みゆき? うちらは別に遊びに来たんとちゃうで?」

みゆき「えー? でもでも、みんな子ヤギさんの『役』でしょ?
『役』は決められた通りにこなさなきゃダメなんだよ?」

あかね「みゆき……?」

485 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:22:14.79 ID:2fY9igp5O

みゆき「だって、ここは『物語の世界』なんだもん。物語をハッピーエンドにするには、『正しい筋書き』を辿らなきゃあ……ね?
わかる? これは『正しいこと』なの。みんなハッピーになるために必要なことなんだよ♪」

やよい「みゆきちゃん、何言ってるの? 今のみゆきちゃん、なんだかこわいよ……」

なお「なんか、ヤバいよこれ。みゆきちゃんフツーじゃない」

れいか「もしかしたらですが、物語の世界に来たことで、みゆきさんの精神が何か影響を受けているのかもしれません」

ウルフルン「それってよぉ、ワリー方向にだよなあ? あれ見ればわかるぜぇイヤでもよォ」

アカオーニ「なんだオメー、ずいぶんげっそりしてるオニ」

486 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:24:52.51 ID:2fY9igp5O

みゆき「あ、そーだオオカミさんッ! ちょっと早くなったけど、みんなに姿を見られちゃったね。だから、早く『済ませちゃって』もいいよ?」

ウルフルン「はあ? なんの話だよ」

みゆき「もー、忘れちゃあダメだってば。『姿を現したオオカミはこどもたちを次々と食べてしまいます。助けておかあさん!
こどもたちの悲鳴をよそに、とうとうオオカミは六匹の子ヤギを丸のみにしてしまいました』……だよ?」



全員「!!!!」



みゆき「無事だったのは、柱時計に隠れていた末っ子だけでした……。んー、キャンディが一番ちっちゃいから、キャンディが末っ子だね? じゃあみんな、『キャンディ以外は全員オオカミさんのお腹に』─────」

あかね「ちょちょちょい待ちみゆきィィ! 落ち着かんかい!?」

なお「そ、そーだよッ! みゆきちゃん冷静になって!!」

みゆき「え? なにが?」キョトン

487 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:26:12.18 ID:2fY9igp5O

あかね「いくらなんでもあんな腹ん中入れるワケないやん! うちら下手したら死んでまうわ!」

みゆき「だいじょぶだよー。ここはファンタジーやメルヘンの世界なんだから。ちょっと狭いかもしれないけど、お腹に入ったくらいじゃあ死なないよ。たぶん」

あかね「『たぶん』じゃあないわァァ!? ほんまにやったらマジでアカンことになるわッッ!!」

れいか「みゆきさん、体格的に考えて私たちがオオカミさんのお腹に入るとは思えないのですが」

やよい「そ、そうだよね、何もそこまで『筋書き通り』にしなくてもいいんじゃないかな」

なお「うん、こればっかりは直球じゃなくてもいいと思う」

488 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:27:03.75 ID:2fY9igp5O

アカオーニ「だいたいなんでオメーの言う通りにしなきゃならねーオニ!?」

マジョリーナ「そうだわさ! そもそもあたしたちはこの絵本を『バッドエンド』にするために来たんだわさ!」

マジョリーナ「ハッピーエンドなんかこの手で『ぶち壊して』─────」


みゆき「─────え?」キロリ


マジョリーナ「………!!!」ゾワァ

ウルフルン「ば、ばか、オメー……」ゾク


489 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:29:02.26 ID:2fY9igp5O


みゆき「なあに? 『バッドエンド』? ハッピーエンドを『ぶち壊す』? ……って言ったのかなあ? 聞き間違いじゃあ無ければ。
……どうしてそんなこと言うのかなあ?
ダメだよそんな、カスみたいなことをのたまっちゃあ」ブツブツ


なお「……これは」

あかね「アカン……とてつもなくアカン気がする……」ゾク


490 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:31:25.09 ID:2fY9igp5O


みゆき「ねえ、魔女さん? 魔女さんは今子ヤギさんなんだよ?」

マジョリーナ「は……?」

みゆき「子ヤギさんは『食べられる』のが『役割』なの。それが決定されてるの。
……なのにあなたはそれを『無視』しようっての?
せっかく与えられた役割なのにッッ!?」

マジョリーナ「お、おまえ、何を」

みゆき「……ねェェ〜……? もしかしてみんなも『そう』思ってたり……するのかな? 役割や筋書きってのは『無視』しても構わない軽いものだって……」ワナワナ

やよい「みゆきちゃんッ! 思ってない! わたし全然そんなこと思ってないよォォォ!?」ガタガタ

491 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:34:07.46 ID:2fY9igp5O

みゆき「思ってるよね……。うん、きっと思ってるからそんなこと言えるんだよね……もう、しょうがないなあ。
『おかあさん』……悲しくなっちゃったなァァッッ!?」クワッ



みゆき「なんて! 頭の悪い子たちでしょうッ! ガボッ! あなたたちにはこの物語が、そんな程度の低い存在に見えるの? ガボガボ」



やよい「あヒィイイイイイ─────ッッ!!」ビクゥーン 

れいか「みゆきさんッ! みんなを困らせてはいけませんよ!? それに今のあなたは普通ではあr」

ハッピー「当て身」トン

れいか「はぅ……」パタリ

なお「れいかァァ─────ッ!?」

492 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:35:45.06 ID:2fY9igp5O

あかね「みゆきッ……いつのまに変身したんやッ!?」

ハッピー「ここは空想の世界……『やろうと思えばできないことはない』んだよ?」

ハッピー「連続当て身」トトトン


あかね「そんなんあり……か……」パタリ

なお「筋が通ってない……」ドサ

やよい「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ」バタ


ハッピー「さて」クルゥリィ

ウルフルン「ヒィイイイイイッッ!?」

アカオーニ「こ、こ、こ、コイツ、マジでヤベーやつオニ!?」

493 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:38:35.45 ID:2fY9igp5O

マジョリーナ「あ、あたしゃ付き合ってられないよッ!? 今日はさっさと帰る」

トトン

アカオーニ「おふぅ」ドサ

マジョリーナ「だわ……さ」ドサ


ハッピー「こォォォれで準備はオッケー……。だね、オオカミさん?
ちゃんと食べやすいように『静かに寝かしつけてあげた』からさ、ホラ、ぐいっといっちゃっていいよ? 『カービィ』みたいに」スタスタ

ウルフルン「」ガタガタガタガタ

494 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:39:55.38 ID:2fY9igp5O

ハッピー「あ、カービィじゃ吸い込みになっちゃうよね? でも、三匹の子豚のオオカミさんの肺活量ならいけるんじゃあないかな。うん、いけるよいける。……だから」スタスタ

ウルフルン「……お」




ハッピー「がんばってハッピーエンドにしようね? オオカミさん♪」ハッピー♪




ウルフルン「俺のそばに近寄るなああ─────ッ!!」




←TO BE CONTINUED……////
495 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:40:43.41 ID:2fY9igp5O
以上で前半終わりです
後半はウルフルンさん大活躍
というか主役です
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 16:44:39.88 ID:DqU4cSqFo
乙乙
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 18:41:12.04 ID:oG3mpCA2O

みゆきちゃんは物語の筋書きという「過程」をちゃんと大切にするなんて偉いナァ
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 19:37:52.50 ID:yHfrTld/0

「過程」を大事にするのはボスとの対比かな
499 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:44:48.91 ID:sqxeY/bJO
そろそろ投下します
ハグプリが終わってしまった……
もう夢も希望もねえ……
スマプリ終わった時も同じこと言ってたよ
それがプリキュアロス
500 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:48:13.13 ID:sqxeY/bJO




これは現実?

それともただの幻想?

地滑りに会うように

現実から逃れることができない

さあ目を開けて

空を見上げてみよう




501 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:48:47.56 ID:sqxeY/bJO



【Rapsodia Parte2】



502 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:49:54.36 ID:sqxeY/bJO


ウルフルンは元からバッドエンド王国の一員と言うわけではなかった。

彼も昔から拗れていたわけではなかったし、人並みに幸運を追いかけていた時期もあった。

それが『当然』だと思っていたし疑問にも思っていなかった。
そしていつか自分も幸福になれると信じて生きていたのだ。

しかし、時を経るにつれて彼もこう思うようになる。
『この世には如何なる努力や行動をもってしても変えられない定めというものがある』と。

ウルフルンが人生に絶望し、泥沼に沈むかのように『漆黒』に染まるのに時間は掛からなかった。

ウルフルンは思う
『生まれてきた者には平等に報われる機会があるはず』ではないのかと。
そうでない自分は、果たして生きている意味があるのか?
苦しむために生きているのか?
なんのために生まれたのか?

まるで世界から爪弾きにされているような疎外感を自覚し、生きる意味を失ったウルフルンの胸中に生まれたのは





世界に対する『怒り』の炎だった





503 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:50:40.17 ID:sqxeY/bJO


チク……タク……
  チク……タク……


ウルフルン「─────ハァアッ!?」ガバァッ

ウルフルン「ハーッ! ハーッ! ────うぶ、ぐ、げほっふぉっっ!!」

ウルフルン「────お、俺は……『どうなった』? ……いや、ちがう! そうじゃあねェェ!!」


ウルフルン「『気づいた』!? いつ気を失ったんだ!? それに『アイツ」』も何処に行きやがったッ!?」

504 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:52:31.18 ID:sqxeY/bJO

ウルフルン「……ウブッ!? う、ぐぐ……。な、なんだ……? 
気分がわりい……。吐き気も……
『体が重てえ』」

ウルフルン「まるで……『無理矢理リンゴを何個も丸のみした』みてーだ。
……丸のみ?」


チク……タク……
……ガサ


ウルフルン「!!」ガバァッ


チク……タク……


ウルフルン「……」

ウルフルン「おまえか……? そこ……その、『柱時計の中』か?」


チク……タク……


505 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:53:16.28 ID:sqxeY/bJO


…………


よく…… も……


ウルフルン「……!」


よくも……
やってくれたな……クル



ドグシャアァアアッッ!!


ウルフルン「隠れてこそこそしてんじゃあねェ────ぞッッ!!
『そこに居るか』って聞いてんだよボゲがァァ────ッッ!!?」


ウルフルン「ハァ、ハァ……くそったれがよ……」


メェエエエエエエ……クル


ウルフルン「なんだっ!?」


506 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:55:20.50 ID:sqxeY/bJO


キャンディ「メェエエエエエエエ……。メェエエエエエエエエエエエ……クル」


ウルフルン「妖精……何?なんだ? それは……その鳴き声。
……まさかヒツジか? それとも……」

キャンディ「よくもキャンディのお姉ちゃんたちを食い殺してくれたなああああああクル!
メェエエエエエエエ〜〜〜〜〜クル!!」

ウルフルン「ヤギッッ!! そうだ末っ子……オメーの役割は確かッ!!」


無事だったのは、柱時計に隠れていた末っ子だけでした……。んー、キャンディが一番ちっちゃいから、キャンディが末っ子だね?


ウルフルン「末っ子のヤギだッ! 末っ子は隠れていたから助かった! オオカミに食われなかったんだッ!」

507 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:55:59.01 ID:sqxeY/bJO

ウルフルン「そして他の……他の『きょうだい』たちはッ!!」グイッ



メェエエエ……
メェエエエエエエエ〜〜〜〜……
メェ……



ウルフルン「俺の『腹の中』だァァ────ッ!?
ちくしょう夢じゃねえ『現実』だッ!?
俺の腹の中にヤギになったプリキュアとマジョリーナたちが居やがるんだッ!!」



キャンディ「アイツはズル賢い奴クル。子ヤギたちを騙して家の中に入ってしまったクル。
そしてアイツはッ!」

キャンディ「七匹の子ヤギを一匹一匹と食べ始めたクル。
唯一助かったのは末っ子のキャンディクル!!」

508 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:56:47.62 ID:sqxeY/bJO



キャンディ「怒ったのは留守にしてたおかあさんヤギクルゥゥゥゥゥ!!
おかあさんはハサミを持ってオオカミを探しだすとオオカミのヤツのハラワタ引きずり出して」



キャンディ「かわりに石をつめて池に沈めました。クル」



ウルフルン「!!」

キャンディ「ぜんぶ『筋書き』通りクル〜」

ウルフルン「こ、こいつ……!?(そうだ……俺は『知ってる』!! 誰よりもこの続きを知ってるだろーが!! 改めて言われるまでもねえ、俺は……ッ!)」

ウルフルン「アイツ……そうだアイツはッ!? 何処に行った!? この後俺はッ! アイツにッ!」


キャンディ「おかあさんが戻って来るぞォォォォォォ!! ハサミを持って。
キャンディたちのおかあさんがァァァァ!! クル」


509 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:57:38.89 ID:sqxeY/bJO


キャンディ「おかあさんヤギは昼寝をしていたオオカミのおなかをチョキンチョキン」

キャンディ「内臓のかわりに石をつめこんで糸でじょうずにぬいましたぁああああああクル」

ウルフルン「おい! テメーは何勝手に話進めてんだ? それ以上読むんじゃねえェ────ッ!!」

ウルフルン「……!(いやまて、そもそもおかしいぜこりゃあ……。『コイツはなんでこんなことしてる』?
アイツじゃああるめーし、なんで『筋書き通り』にしようとしてやがるんだ!?)」


メェエエエエエエエエエエエ
  エエエエエエエエエエエエエ〜〜〜〜〜


ウルフルン「!!」ガバッ


510 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:00:31.36 ID:sqxeY/bJO


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「……ッ」ゴクリ


……チョキ
……チョキ、チョキン


────てメェエエエエエエエエエエエ……


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「来んのかッ! このヤロウッッ!!」


ママー
助けてママー


ウルフルン「お、俺の腹……!? うるせぇぇ───ぞッ! 静かにしやがれッ!?」

キャンディ「まだ生きてるクル!! おねえちゃんたちはおなかの中で生きてるクル〜!」

ウルフルン「テメーも黙ってろッ! アイツがもう近くに……ハッ!?」バッ



511 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:01:36.07 ID:sqxeY/bJO



シィィーン……



ウルフルン「ア……アイツの気配がねえッ!? ヤロウ何処に行った!? ……く、来るならとっとと来やがれくそったれがよォォォ!!」



────ヂョギン



ウルフルン「づっ!?」


ヂョギリ ヂョギ……


ウルフルン「────」

ウルフルン「(まさか……『ウソ』だろ? ちょっと……『ほんのちょっとだけ』……
……目を離しただけでッ!?)」ガタガタ





ハッピー「てめェエエエエエエよくもッ!
よくもわたしのこどもたちをォオオオオオオ!!」ウシャァアアアア





ウルフルン「うおおおおおおおおお!?」グバッ




ドグシャアァアアッッ!!

512 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:02:22.58 ID:sqxeY/bJO

ウルフルン「おおおおおおおおおッッ!?」グググ

ハッピー「てめェエエエエエエ何ガードしてんだァァァァァァ!?
筋書きどおりハラワタぶちまけさせろォオオオオオオッッ!!」ギリギリギリ

ウルフルン「やめろちくしょぉおおおおおッッ!! そんなことしたらッ! 俺はァアッ!」

ハッピー「『覚悟』してハッピーエンドォオオオオオオにッ! なるんだよォオオオオオオ!?
テメーの内臓ぶっこぬいて石突っ込んだあと、池の底に叩ッ込めば」

ハッピー「みんな! みィイイイイんなッ! ウルトラハッピーィイイイイエンドになるんだからああああああああ!!」ギリギリギリ

ウルフルン「何がハッピーエンドだッ!? 俺が! 俺だけがッ!!『バッドエンド』だろーがちくしょぉおおおおお!!?」ギリギリギリ

513 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:03:13.18 ID:sqxeY/bJO

ウルフルン「ぐううおあああ!!」ガギンッ

ハッピー「しゃらくせェエエッ! ボゲェエエエエエエ!!」ドグォンッ

ウルフルン「うおおおおコイツは家の中で跳躍をッッ!?」


ハッピー「この狭い家の中! 斜面とか崖を走らせたら、おかあさんヤギにかなうものはいないよォオオ─────ッ!!」グワッ


ママー
ママー ウウー
はやくたすけてー


ハッピー「待っててねェエエエエエエ!? わたしのかわいい子ヤギちゃんたちッ!!
はやくそのクソッタレオオカミの腹ァアかっさばいて助けてあげるからねェエエエエエエ!!」ギャァァァス


ウルフルン「(ドアッッッ!!……ダメだ遠いッ!! すぐに追いつかれちまう!? 逃げられねえ!? 死、こ、殺され……)」


514 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:03:55.95 ID:sqxeY/bJO


ジョーカー『あなた、また昔にもどりたいんですか?』


ウルフルン「……!!」


ジョーカー『ま! そこまで心が『再起不能』では見込みも薄いでしょう! どうぞ落ち着くまでゆっくりと休んで下さいね〜? ……永遠に』



永遠に



────オオカミは『始末』される

『悪役』はオオカミだ

いつだってオオカミだ

だってしょうがねえじゃねーか

そういう『役割』なんだからよ

ずーっと前から決まってたじゃねーか

……でもよォ、俺だってな、最初っから……

最初っから……『諦めて』なかったんだぜ?
せめてフツーの……フツーの終わり方だけでもってよ

ああそーだよ、誰にも言わねーけど、ほんとは……

ほんとは、俺は……




515 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:04:41.45 ID:sqxeY/bJO



ウルフルン「────誰が戻るかッ諦めるかァァアアアア!? 俺はまだ終わっちゃいねェエエエエエエ!!」グワッ



ドッグォオアアアア─────!!



ハッピー「何イィィィッッッ!?」

ウルフルン「出口がねーなら『作る』!! 壁に穴を空けるくれーのパンチならよォオ〜!
わけねーんだぜ〜コラァアッッ!!」

ウルフルン「筋書きも物語も関係ねえッ! 俺は、『俺だけの未来』を掴むんだァア─────ッ!!」ドォアッッ

ドドドド……

516 : ◆glcA4RogLg [saga]:2019/01/27(日) 12:05:38.08 ID:sqxeY/bJO



ハッピー「……逃げちゃったァア〜〜〜……。ダメだよオオカミさんん……『逃げる』なんて筋書きは」

ハッピー「はじめから用意されてねェエエエエエエぞッッ!!? 逃がさねェエ────からなド畜生がアアッ!!」ダダッ



517 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:10:19.52 ID:sqxeY/bJO



現実世界



ポップ「なぜ……? みゆき殿だけではく、キャンディや他の者まで筋書きを辿ろうとしているでござる?」ガタガタ

ポップ「まさか……」ハッ

ポップ「世界の修正力? 本が破けた事でバラバラになった物語が、再び元に戻ろうとしているでござるかッ!?」

ポップ「みゆき殿の精神力が物語の修正に大きく影響を及ぼしているならば……
世界の修正力とみゆき殿の精神力……それが他の者にまで及んでいる……!? こ、こんな事態になるとはッ!?」

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