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男「恋愛アンチなのに異世界でチートな魅了スキルを授かった件」
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1 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:41:56.91 ID:DHQvvpBJo
男(中学入学当時、席が隣だったことから交流が始まったクラスメイトの女子がいた)
『あ、ごめん! 消しゴム貸してくれる?』
『ちょっと、それ面白すぎ!』
『あー、そうだそうだ。一緒に帰ろーよ!』
男(忘れ物を貸しあったり、ちょっとした冗談で笑いあったり、タイミングがあえば一緒に帰り道を歩いたり……)
男(俺はそんな彼女に次第に引かれていった)
男「好きです! 付き合ってください!!」
男(ある日の体育館裏、俺は呼び出したその子に対して右手を突き出しながら頭を下げた)
男(告白するのは初めてだった)
男(断られるとは思っていなかった)
男(どっちから告白するかだけが問題で、ここは男である俺からだろうと一念発起して行動した結果だった)
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1541083316
2 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:43:12.15 ID:DHQvvpBJ0
『……あー、勘違いしちゃったか。女慣れしてなくてからかうの面白かったよ、おもちゃ君』
男(俺は男として、いや人間として見られていなかった)
男(両思いだと思っていたのは……幻想で)
男(自分の都合の良いように思いこんでいたのだ)
男(このときから俺はその失敗を否定するように――恋愛アンチになった)
3 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:43:38.78 ID:DHQvvpBJ0
男「…………っ!!」
男(またあの夢か……)
男(あれから三年経ち、遠くの高校に進学して中学のメンツとは顔を合わすこともなくなった)
男(それなのに今でも夢に見るトラウマ。朝から嫌な物を思い出してしまった)
男「ていうかいつの間に寝てしまったんだ?」
男(登校した俺は教室の自分の席で机に突っ伏し寝たフリを始めたはずだった)
男(なのに寝オチしたのか……? 確かに昨日は夜遅かったが……)
男(少しの混乱と共に地に伏していた体を起こす)
男(そして周囲の状況を確認したところで――それ以上の混乱に陥った)
4 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:44:24.99 ID:DHQvvpBJ0
男「ここは……どこだ?」
男(目の前にあったはずのカバンや机、それどころか教室すら無くなっている)
男(現在地は屋外。中央に身長ほどの高さのある石碑が鎮座している広場。どうやらそこに寝ていたようだ)
クラスメイト1「何が起きたんだよ?」
クラスメイト2「え、私たち教室にいたはずだよね?」
クラスメイト3「集団誘拐……いや、でも……」
男(クラスメイトたちも同様に困惑している)
5 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:45:31.30 ID:DHQvvpBJ0
男(何が起きたのか、俺は少し記憶を振り返る)
男「………………」
男(そういえばいつも通り寝たフリをしていて……でも、ある時ピタリと教室中の話し声が止まったんだったっけ?)
男(珍しくはあるが、不思議ではない。俗に天使が通ったとか言われる現象だ)
男(問題はその後だ。クラスメイトたちが理解できないといった様子で)
クラスメイトA『何……この模様?』
クラスメイトB『これってアニメとかである魔法陣……?』
クラスメイトC『つうか何か光ってるぞ……!?』
男(そんなことを口にして、俺も異様な雰囲気に目を開けようとして……その後の記憶は途絶えている)
6 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:46:03.81 ID:DHQvvpBJ0
男「魔法陣か……見てはいないけど、超常的な現象に巻き込まれたってところか?」
男(自分でも荒唐無稽なことを言っているとは思うが、現状を見るに認めざるを得ない)
男(広場の外は森に囲まれている。学校の近くにこのような場所は無かったはずだ)
男(俺たちクラスメイト28人全員に気づかせないまま学校から遠くまで運び出すといった芸当が常識的に出来るとは思えない)
男(だとしたら……俺たち全員を一瞬で別の場所に転移させるような、魔法が発動されたのだと考えるしかない)
男「いや魔法と決めつけるのは早すぎるか……? 全員を催眠ガスのようなもので眠らせてから運べば……でもその場合流石に他のクラスや先生たちが気づいて警察に連絡するはずだし……」
女「みんな見て!! この石碑なんだけど……」
男(そのときクラスの委員長、女がみんなに呼びかけた)
男(その声に従って石碑の前に集まると、そこにはこのような文章が書かれていた)
7 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:46:31.34 ID:DHQvvpBJ0
異世界の子らよ、まずは謝らなければならないでしょう。
申し訳ありません。
この世界に突然呼び出したことを。
混乱しているであろう、あなたたちに使命を課すことを。
無礼は承知…す。
で…がこの手段しか無かっ…のです。
この世…に散っ…宝玉を集め…くだ…い。
そ…がこの世界…救い、…なた…ちを元…世界に戻す…しょう。
為すた…の力は…なた…ちに分…与えま…た。
武運…祈っ…いま――――――――
8 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:47:02.36 ID:DHQvvpBJ0
男(途中から記述が霞んできて最後の方に至っては途切れている。これが限界だったという事だろうか?)
男(必死さは伝わってくるが、それを汲んでやるには現状がキツすぎた)
クラスメイト1「異世界の子……って、ここ違う世界なのか?」
クラスメイト2「勝手に呼び出しておいて、使命って何なのよ!?」
クラスメイト3「つうかさっさと元の世界に返してくれよ!!」
男(石碑に罵声を浴びせ始めるクラスメイトたち)
男(当然ながら返事はない)
男(だが、その行為を一向に止めようとしない)
男(こんな事態に巻き込まれて参っていたんだろうな)
男(今までは不平・不満をどこにぶつけていいのか分からなかったが、こうして主犯らしい者が残したメッセージが見つかった)
男(感情を爆発させてしまうのは仕方ないことだ)
9 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:47:30.84 ID:DHQvvpBJ0
クラスメイトA「早く出てこい!!」
クラスメイトB「ドッキリなんだろ!! どこかにカメラでもあるんだろ!!」
クラスメイトC「お母さん……っ」
男(しかし、ヒートアップしすぎているな)
男(このままでは集団パニックに陥る。それはマズい……と思ったそのとき)
女「みんな落ち着いて!」
男(毅然とした声を上げたのは先ほど石碑を見るように呼びかけた委員長の女だった)
男(女さんは整った顔立ちに手入れの届いた黒髪。学業優秀で容姿端麗ながらも、お高く止まらず気さくに接してくれることで、男女問わずに慕われている。クラス内のカーストの頂点に位置する人物だ)
10 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:47:58.64 ID:DHQvvpBJ0
クラスメイト1「落ち着いてって……でもどうすればいいの、女」
男(異世界でも変わらない調子の女に、突然の事態で憔悴したクラスメイトたちは縋る)
女「まずは現状を認識しないと。どうやら私たちは違う世界ってのに呼びだされたみたい」
クラスメイト2「だからその違う世界ってどういうことだよ!? この世界は何なんだ!? どうして俺たちが呼び出されたんだ!?」
女「それは……私にも分からない。でも元の世界に帰る方法はそこの石碑に書かれている」
クラスメイト3「宝玉……っていうのを集めるんだよね?」
女「そうみたいだね」
クラスメイト4「そんなの集められるのかよ!? そもそもそれはどこにあるんだ!?」
女「分からない、でも――」
男(女に文句を言っても仕方が無いのに、女は嫌な顔をせず一人一人の不安を解きほぐすように答えた後、宣言した)
11 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:48:36.54 ID:DHQvvpBJ0
女「絶対にみんなで元の世界に戻ろう!! 私たちクラスメイト28人が団結すれば、不可能な事なんて無いはずだよ!」
男(女は根拠など無いはずなのに力強く断言した)
クラスメイトA「……そうだな、現状を嘆いたところで何が始まるわけでもないし」
クラスメイトB「私たちなら出来る……うん、そうだよ」
クラスメイトC「訳わかんねー事態だけど……頑張ってみるか」
男(するとそれに触発されるように、ポツポツと前向きな言葉が口をつき始めた)
男「一応収まりはしたか……」
男(毅然とした態度で応えることでみんなの不安を和らげて、元の世界に戻ると目標を掲げることで現状の不満から目を逸らさせる)
男(誤魔化しな面もあるが、パニックを防ぐのには十分だ)
女「ほっ……」
男(女がみんなの注目を外れた場所で胸をなで下ろしている)
男(それだけ緊張していたという事だろう。確かに簡単なことではない。女が少しでも不安を見せれば、たちまちこの場が崩壊していた可能性だってある)
男(しかしそれでも成し遂げた)
男(俺にはそこまでの度胸はないし、もしやれたとしてもクラスでの影響力皆無な俺では意味がない)
男(女の胆力とカリスマが為した結果だ)
12 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:49:09.49 ID:DHQvvpBJ0
男「そういや石碑に気になることが書いていたな」
男(注目したのは『為すた…の力は…なた…ちに分…与えま…た。』という部分だ)
男(かすれているが『為すための力はあなたたちに分け与えました。』といったところか?)
男(つまりは呼び出した者が、俺たちに力を分け与えた)
男(宝玉とやらをその力を使って集めろということなのだろうが……一体何の力を与えられたんだ。
男「どうにか力を確認したいところだが」
男(その瞬間、音もなくホログラムのようなウィンドウが目の前に展開された)
男「……は?」
男(テレビの次世代技術特集で見たことがあるような光景。いや、そのための機材が見当たらないのでそれ以上だ)
男(驚きながらそのウィンドウを確認すると枠の上部に『ステータス』と書かれている)
男(これは……あれか? ゲームとかによくあるステータス画面ってやつか?)
男(だとすると力を確認したいという言葉に反応して展開されたという事だろう。どういう技術だ? いや、異世界だとしたら、超常の力が働いているとかなのか?)
13 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:49:36.22 ID:DHQvvpBJ0
男(ステータス画面枠内の一番上段には『名前(ネーム):男』と俺の名前が書いてあり、その横に『職(ジョブ):冒険者』と表示されている)
男(後の画面の残り9割はスキル欄という項目が占めていた)
男「もうちょっとレイアウトのバランス考えろよな……スキルが一つしかないからスカスカじゃねえか」
男(どうやら俺には一つだけスキルが備わっているようだ)
男(これが分け与えられた力とやらなのだろう)
男(『魅了』とだけ書かれている)
男「どんなスキルなんだ?」
男(試しにその『魅了』という表示をタッチしてみると、どうやら反応したようで詳細が展開される)
14 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:52:00.92 ID:DHQvvpBJ0
スキル『魅了』
効果範囲:術者から周囲5m
効果対象:術者が魅力的だと思う異性のみ
・発動すると範囲内の対象を虜にする。
・虜になった対象は術者に対して好意を持つ。
・虜になった対象は術者のどんな命令にも身体が従う。
・元々対象が術者に特別な好意を持っている場合、このスキルは効力を発揮しない。
・一度かけたスキルの解除は不可能。
15 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:52:29.17 ID:DHQvvpBJ0
男「これは……」
男(思っていたより説明が長くて細かいな……)
女「ねえ、男君。それ何なの?」
男「っ……委員長!?」
男(いつの間にか近くまで来ていて声をかけられる)
男(しかしどうしてこのタイミングで声をかけられて……あ、そっか)
男(気づけばクラスメイト全員が俺の方を、正確には俺の少し前方を注目している)
男(どうやらこのステータス画面というのは俺以外にも見えているようだ)
男(異世界で未だに右も左もよく分からない中、偶然とはいえステータスを開き覗いている人間がいれば目立つ。声をかけられて当然だ)
16 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:52:59.50 ID:DHQvvpBJ0
男「えっと、これは……」
男(周囲の目を気にするのを忘れていたのは良くなかったな)
女「スキル……魅了……? 効果が…………」
男(気になるのか女の視線は俺の開きっぱなしのステータスウィンドウの文字を追っている)
男(まずはステータスを閉じるか。文字が小さいため近くにいる女にしか読まれていないようだがそれでも気になる)
男(その後偶然見つけたステータス確認方法をみんなにも教えればいい)
男(俺は判断して行動に移そうとするが、そこで一つ問題があった)
男(どうやってこのステータスを閉じればいいんだ?)
男「ステータス、閉じろ」
男(……反応ないな)
男(だったら魅了スキルの詳細を展開したように、ウィンドウにタッチすればいいのか? でもどこをタッチすれば………………)
17 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:53:26.80 ID:DHQvvpBJ0
男(――後からの結論なのだが、ステータス画面枠の右下に小さく×のマークがあり、そこにタッチすればステータスを閉じることは出来た)
男(しかし閉じるといえば右上という固定観念を持っている俺はテンパってたこともあり気づけない)
男(とりあえず画面の中央辺りをタッチすると)
『魅了スキルを使用しますか?』
男(という表示が出てくる)
男(いやいや、今は使用している場合じゃねえ! いいえだ!)
『いいえ はい』
男(俺は迷わず右をタッチして…………タッチした項目を二度見した)
男「………………」
男「………………」
男「………………」
18 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:53:52.30 ID:DHQvvpBJ0
男「……このクソUIがっ!!!」
男(思わず叫んだ俺を誰が責められるだろうか)
『魅了スキル、発動します』
男(そんな表示が出るとともに、効果範囲の周囲5m――石碑の前に集まっていたクラスメイト全てをその中に捉えてピンク色の光の柱が立ち上がった)
19 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/01(木) 23:58:58.43 ID:DHQvvpBJ0
続く。
この作品は同タイトルでなろうに投稿したものを、ss用に少々いじって投下しています。
元作品
http://ncode.syosetu.com/n3495fc/
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2018/11/02(金) 00:01:30.59 ID:ffMz9y5lO
おつ なろうっぽいと思ったらなろうだった。
21 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:31:16.86 ID:dY7GkpCm0
男(暴発してしまった魅了スキルの効果と思われるピンク色の光の柱は1秒ほど光った後に消えた)
男(周囲を見回すとクラスメイトたちは何が起きたのかと一様に疑問顔を浮かべていた)
男(光に攻撃力は無かったようで誰も傷ついている様子はない)
男「………………」
男(えっとこれはどうなるんだ……?)
男(スキルの詳細画面をもう一度見る)
スキル『魅了』
効果範囲:術者から周囲5m
効果対象:術者が魅力的だと思う異性のみ
・発動すると範囲内の対象を虜にする。
・虜になった対象は術者に対して好意を持つ。
・虜になった対象は術者のどんな命令にも身体が従う。
・元々対象が術者に特別な好意を持っている場合、このスキルは効力を発揮しない。
・一度かけたスキルの解除は不可能。
22 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:32:31.25 ID:dY7GkpCm0
男(効果範囲5m……ちょうど今、光の柱が立ち上がったのがそれくらいの範囲だった)
男(ということはクラスメイト全員に魅了スキルをかけてしまったということだ)
男(ということは……えっ、男たちにもかけてしまったのか!?)
男(クラスメイトは全員で28人。男女ともに14人ずつである)
男(俺以外の13人の男子が俺の虜になってしまうというおぞましい結果を予想するが)
クラスメイト男子1「今の光……何なんだ?」
クラスメイト男子2「特に変わりはないが」
クラスメイト男子3「えー……あー……おまえの仕業なのか?」
男(男子たちの様子は変わりない。というか最後のやつ俺の名前覚えて無かったな。まあボッチだから仕方ないが)
男(でも、これはどういうことだ? 魅了スキルが失敗した様子は無かったし…………)
男(あ、効果対象に『異性のみ』って書いてあるな。つまり対象じゃない同性、男には効果がないのか)
23 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:33:16.43 ID:dY7GkpCm0
男(ならば女子14人には全員かかったのか……と、見てみるが)
クラスメイト女子1「その変な浮かんでるやつ何なの?」
クラスメイト女子2「ステータスって……ゲームとかで見るあれ?」
クラスマイト女子3「さっさと教えなさいよ」
男(女子たちの様子も変わりがない。どころか剣呑な視線を向ける者もいる)
男(おかしいな……ウィンドウの表示からして、スキルはちゃんと発動したはずだ。それなのに虜になっていない)
男(どういうことだ……?)
24 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:34:16.65 ID:dY7GkpCm0
女友「えいっ♪」
男「っ……!?」
男(突然背中に衝撃を受ける。後ろから抱きつかれたようだ)
男「女友さん……何しているのでしょうか?」
男(クラスメイトなのに思わず敬語で聞いてしまう)
男(いや、スクールカースト上位の美少女に突然抱きつかれたら、誰だって面食らうだろう)
女友「駄目でしたか、男さん?」
男「え、あっ、いや……」
男(理由を聞いたのに質問が返ってきてあたふたする俺。その間も女友は俺に抱きつくのをやめない)
男(おっとりしている中にも芯のある彼女らしい行動だ)
男(どうしていきなりこんなことを……女友とは同じクラスだが、交流関係が違いすぎてほとんど話したことがない)
男(なのに今こうして抱きつかれている。その表情は無理やりや強制によるものではないとはっきり示すように、まるで彼氏彼女のような好意を俺に向けているのが見て取れた)
男(……好意? もしかして魅了スキルが関係するのか? でもどうして他の女子にかからず、女友にだけ効果が現れて……)
25 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:35:14.28 ID:dY7GkpCm0
女「お、女友っ!? 何してるの!? ちょっと離れなさいよ!」
男(委員長の女が気づいて注意する。女と女友の二人は親友だったはずだ。親友の奇行を止めたいのだろう)
男(しかし)
女友「女の言葉でもそれは聞けません」
男「は?」
女「え?」
男(きっぱりと断った女友に俺も女も間抜けな言葉を漏らす)
男(その隙に俺の腰に抱きついていた腕を首元まで回して上体を起こした女友は、しなだれかかるようにしながら俺の耳元で囁く)
26 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:36:03.59 ID:dY7GkpCm0
女友「ねえ、男さん。私、もう抑えられないんです」
男「な、何が……?」
男(呑まれっぱなしの俺はしどろもどろになっている)
男(体勢を変えたことで女友の二つの膨らみが背中で押しつぶされてその柔らかさを伝えてくる。彼女いない歴=年齢の男子高校生の俺には耐え難い刺激だ)
男(ステータスウィンドウを開いていたこと、魅了スキルを暴発したこと、そしてクラスの有名人である女友に抱きつかれていることで、ここまでクラスメイト全員の視線を俺は集めている)
男(その注目の中で女友は爆弾発言を投下した)
27 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:36:42.33 ID:dY7GkpCm0
女友「私と子作りしませんか?」
男「……、……、……。……なっ!??」
男(余りに衝撃的すぎて数瞬も脳が理解を拒んだ)
男(そしてようやく驚く反応を取れた俺と同じくして)
女「お、女友っ!? な、何を言っているの!?」
イケメン「これは……」
モブ女「そうよ、考え直しなさいよ、女友!!」
ギャル「女友ってその冴えないやつが好きだったの? 趣味悪っ」
モブ男「女友さんがぁぁぁぁぁっ!? どうしてあんなやつに!?」
男(周囲のクラスメイトも口々に叫ぶ。かなりのオーバーリアクションを取っている者もいるようだ)
男(自分よりも驚いている人間がいると逆に落ち着くことが出来るということで、俺は幾分か正気を取り戻す)
男(このままじゃまずい……何がまずいかはよく分からないが、とにかくまずい。女友から離れなければ)
28 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:37:23.08 ID:dY7GkpCm0
男「ぐっ…………って、動かねえ!?」
男(首元に回された女友の腕を力ずくで離そうと手をかけるが……ビクとも動かない)
男(どうやら力はあちらの方が上のようだ。男なのに女に力で負けて少々凹む)
女友「もう、照れ屋さんですね。でも逃がしませんよ」
男(俺の抵抗を涼しい顔で受け流した女友の言葉)
男(深呼吸をして心を落ち着けてから、俺は質問する)
男「どういうつもりだ? 何が狙いだ?」
女友「人を腹黒みたいに言って酷いですね。純粋な好意ですよ」
男「これまで特に接点が無かったのにこんなことされたら裏を警戒するもんだろ」
女友「それにつきましてはさっきの光を浴びてからどうにも男さんが愛しく思えてきて」
男「光……やっぱり魅了スキルが影響して……」
29 :
◆YySYGxxFkU
[saga]:2018/11/02(金) 22:38:03.22 ID:dY7GkpCm0
男(会話している間もどうにか拘束を外そうと試みるが、まるで子供のようにいなされる。さすがにここまでの力の差はおかしいと思って気づいた)
男(そうか、俺の魅了スキルと同じように女友も異世界に来て力を授かっているはず。その影響なんだろう)
男(そしてやはり女友には魅了スキルがかかっているようだ)
『虜になった対象は術者に対して好意を持つ』
男(急に抱きついて子作りをせがむほどの好意を持ったのは魅了スキルによるものだろう)
男(どうして他の女子に変わった様子が無く、女友にだけ効果が発揮されたのかは分からないが、ならば出来ることがある)
女友「まあそんなことより子作りです。皆に見られるのが恥ずかしいなら、そこの森にでも入って……」
男「互いに愛し合っていない関係でそんなこと出来るか。――離れろ、これは命令だ」
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