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魔法少女トゥインクルリズム第45話『プリンセス絶体絶命 魔術師と美しき来訪者』
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 18:56:37.12 ID:8BN3s6YB0
〜前回までの魔法少女トゥインクルリズム〜
育「ギョーカイジン4幹部の3人目、ブクロをなんとか倒したわたしたちトゥインクルリズム。
だけどそのどさくさにまぎれて、4人目の幹部アキバに正体がばれちゃった!
大ピンチだと思ったんだけど……このアキバ、いざ戦ってみるとなんだかとっても情けなくて、敵ながら心配になっちゃうくらいなの。
でも夢見る女の子たちに優劣をつけて食い物にするなんてひどいこと、ゆるすわけにはいかない!
アキバ、今度会ったらわたしが絶対おしおきしちゃうんだから!」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1535622997
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 18:57:58.10 ID:8BN3s6YB0
――ギョーカイジン幹部、アキバのラボ
アキバ(演:それっぽい見た目の男性俳優)「デュフフ……おのれトゥインクルリズム…。小生の鍛え上げたヤッカイ団たちを次々と…」
アキバ「しかし、あの希望の力……ただでさえ強力なのに三位一体で増幅させられるとか、どう考えても つ よ い(確信)」
アキバ「どう見ても勝てません。本当にありがとうございました。突然こんなことを言ってごめんね。でも本当です」
アキバ「もうダメだ。おしまいだぁ……」
???「お困りのようですね」
アキバ「デュフォッ!? お主は……ワイハー様直属の魔術師、シロガネーゼ殿!」
シロガネーゼ(演:星梨花)「いかにもです。以後お見知りおきを」エッヘン
アキバ(噂には聞いていたものの、本当にこんなょぅι゙ょが最強魔術師とは……まるでソシャゲでござるな)
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 18:58:54.27 ID:8BN3s6YB0
シロガネーゼ「それにしてもギョーカイジン4幹部最後の砦がこの体たらく……だらしないですね。めっ! ですよ」
アキバ「コポォ! かわいすぎワロタ。バブみを感じてオギャらざるを得ない。僭越ながらママとお呼びしてよろしいでござるか」
シロガネーゼ「冗談はさておき、そんな後ろ向きな気持ちでは勝てる戦さえも勝てません。しっかりしてください」
アキバ「そうはいってもプリンセスのあの太陽とも呼ぶべき絶対的な希望の力……どう対処すればいいものか…」
シロガネーゼ「発想を転換させましょう。太陽の光が絶対無比なのは、それがこの世にたった一つの存在だからです」
アキバ「と、申しますと?」
シロガネーゼ「ウフフ。私にお任せあれ。絶対性を奪われた太陽に、居場所などないのです」ニヤリ
シロガネーゼ「ギョーカイジン秘伝魔術……タキョク・デ・オマージュ!!」
カッ!!
シロガネーゼ「あとは崩壊の時を待ち、確実に仕留めるのみです。あなたはこれで終わりですよトゥインクルプリンセス…」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 18:59:23.23 ID:8BN3s6YB0
――一方その頃
育「きれいな青空……いい天気になって良かったね」
亜利沙「たまには休日に公園でひなたぼっこっていうのも悪くないですね」
百合子「ほんと。敵に正体がばれて一時はどうなることかと思ったけど、まさかこんなにのんびり過ごせるなんてね」
ぴーちゃん「それもこれも、三人が魔法少女として成長しているからこそだっぴ。休むときはしっかり休んで、気を引き締め直していくっぴよ」
育・百合子・亜利沙「「「はーい」」」
育「そうだ。わたし、サンドイッチ作ってきたの。――じゃーん!」
亜利沙「ふおおーーっ! 育ちゃんの手作りサンドイッチ!! これはお宝ですー!」
百合子「どれもおいしそう。すごいね育ちゃん」
育「えへへ。おかあさんに手伝ってもらったおかげで、じょうずにできたよ」
ぴーちゃん「それじゃあ、早速いただくっぴ!」
ワイワイ…
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 18:59:59.21 ID:8BN3s6YB0
亜利沙「ムフー。堪能しました」
百合子「ごちそうさま。とってもおいしかったよ」
育「また今度はもっとおいしく作れるようにがんばるね!」
キラーン
ぴーちゃん「ぴ?」
ヒュゥゥゥゥゥ…
育「どうしたの、ぴーちゃん」
ぴーちゃん「空から、強い希望のエナジーを感じるっぴ!」
百合子「空って……見て、あそこ。何かが降ってきてる!」
亜利沙「ななっ!? あれ、女の子じゃないですか! しかもこっちに向かって落ちてきてますよ!」
百合子「ど、どうしよう! 魔法で受け止めないと――って」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:00:48.67 ID:8BN3s6YB0
フワァ…
亜利沙「3メートル上空辺りから減速しました……というより、ありさたちの前に舞い降りてきたと言うべきでしょうか」
謎の美少女(演:詩花)「……」キラキラ
百合子「なんて神秘的な光景なの……これって本当に現実? もしかして私、運命に導かれて物語の世界に迷い込んでしまったとか?」ブツブツ
育「きれいなお姉さん……眠ってるのかな」
ぴーちゃん「このエナジーの性質……間違いないっぴ。この子は育ちゃんと全く同じ魔力を持った、トゥインクルプリンセスだっぴ!」
育「えっそうなの!?」
百合子「言われてみれば確かにこの黒髪の感じとか、育ちゃんにそっくり。育ちゃんが私や亜利沙と同い年くらいになったら、こんな感じかも」
亜利沙「それにしても、とてつもない美少女オーラを感じます。数多のアイドルちゃんを追いかけてきたありさが言うのだから間違いありません」
(補足:トゥインクルリズムのストーリー内における亜利沙は百合子と同じ学校に通っているようなのでそれに倣っています)
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:01:27.87 ID:8BN3s6YB0
謎の美少女「う……」
百合子「あっ、気がついたみたい」
育「お姉さん、しっかりして」
謎の美少女「ここは……あれ? あなたは……」
育「お姉さん、もしかしてわたしのこと知ってるの?」
謎の美少女「うん。知っているというか、その……わたしの小さい頃にそっくりなの」
亜利沙「まさか……突然で申し訳ありませんが、あなた、お名前はなんとおっしゃいますか」
謎の美少女「わたしは、郁。中谷郁(なかたに いく)だよ」
育・百合子・亜利沙「「「えええーーーっ!!?」」」
(補足:SSとして読みづらくなると思ったので漢字を変えています。あと詩花は育とほぼ同じ髪型のかつらを被って演じているということで)
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:02:24.18 ID:8BN3s6YB0
亜利沙「――つまり、郁ちゃんは数年前に伝説のトゥインクルプリンセスとして覚醒した魔法少女で…」
亜利沙「それがある日気がつくと突然全く知らない町にいて、目の前には自分そっくりのトゥインクルプリンセスがいた、と」
百合子「これって小説でよく見るアレですね。時空転移! 郁ちゃんはきっと、平行世界からやってきたんですよ」
ぴーちゃん「また百合子の悪い癖が始まった……と言いたいところっぴが、今回ばかりはそう考える他なさそうだっぴ」
育「ぴーちゃん、へーこーせかいってなぁに?」
ぴーちゃん「まあ簡単に言うと育ちゃんが今いる時空とは別に存在する『あるかもしれない可能性の世界』のことだっぴ」
百合子「育ちゃんと郁ちゃんが共にトゥインクルプリンセスの力を持っているのは、二つの世界の出来事がほぼ完全に平行していることの表れなの」
百合子「だけど場合によっては完全に一致しているわけではなくて……それで二人は年齢が違うんだと思う」
郁「わたしも聞いたことがあるよ。因果律っていうんだっけ? それのズレが出来事のズレに繋がっているとか…」
亜利沙「少なくとも郁ちゃんはありさや百合子ちゃんのことを知らないようですし、元の世界ではありさたちにあたる人物とはまだ出逢っていないのでしょう」
郁「うん。元の世界でのわたしはしばらく一人で戦っていて、仲間ができたのはずいぶん後になってからだから…」
育「それじゃあ、プリンセスの力に目覚めたのはどうして?」
郁「妖精のくろちゃんが、わたしを見つけてくれたの。だからぴーちゃんとも初対面だね」
ぴーちゃん「色々と異なる点が多いみたいだっぴが、少なくともプリンセスが『なかたに いく』という女の子を依り代にしているのは共通してるっぴね」
亜利沙「それに一番気になるのは、どうして郁ちゃんがこちらの世界に飛ばされてきたかです」
百合子「その謎がわからない限り、郁ちゃんを元の世界に帰してあげるのは難しそうだね…」
郁「うん……」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:03:14.89 ID:8BN3s6YB0
ぴーちゃん「ぴぴっ!?」ビクッ
育「急にどうしたのぴーちゃん? まさか、またギョーカイジンが出たの!?」
ぴーちゃん「そのまさかだっぴ! さあみんな、すぐに変身して向かうっぴ!」
郁「なるほど。この世界の悪の存在は、ギョーカイジンっていうんだね」
百合子「そこも違うんだ……」
郁「わたしもついて行っていいかな。力になれるなら、わたしも一緒に戦うよ」
育「もちろん大かんげい! 仲間は一人でも多い方がいいもんね」
亜利沙「とっても心強いです。では早速変身といきましょう」
育・百合子・亜利沙・郁「「「「トゥインクルリズム・プリズムトランスフォーム!」」」」
プリンセスプリズム リリープリズム アリサプリズム プリンセスプリズム
育・郁「「希望のサンシャイン、トゥインクルプリンセス!」」
百合子「平和へのプロローグ、トゥインクルリリー!」
亜利沙「夢見る超常現象、トゥインクルアリサ!」
育・百合子・亜利沙・郁「「「「世界に輝く愛の結晶! 魔法少女トゥインクルリズム!!」」」」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:03:48.23 ID:8BN3s6YB0
一般市民A「キャーーーッ! 助けて!」
一般市民B「怪人の集団!?……なんておぞましい」
一般市民C「臭い……誰か……」ガクッ
アキバ「デューフフフ! いいぞヤッカイ団諸君! オタクの神髄とは自己完結! 我らを認めぬリア充陽キャ共相手に、気を遣う道理などない!!」
百合子「待ちなさい! やっぱりアキバ、あなたの仕業だったのね」
亜利沙「アリサは一人のアイドルファンとして、あなただけは許すわけにいかないんですよ!」
アキバ「デューフッフッ! 現れたなトゥインクルリズム共! 我がヤッカイ団たちよ、もっともっと暴れるでござるよ!!!」
ヤッカイ団たち「「「オマエガイチバンオマエガイチバン」」」ワラワラ
百合子「まずい。こいつらがこのまま町中へ散り散りになったら大変なことに…」
ヤッカイ団たち「「「フォカヌ砲!!」」」ブゥンッ
亜利沙「痛い! ペンラは投げるものじゃありません! しかもこれ乾電池式じゃないですか! レギュレーション違反! 出禁ですよ出禁!!」
アキバ「コポォ大草原不可避。ヤッカイ団がそんなルールを守るわけないではござらぬか」
ヤッカイ団「I am the bone of my UO…」ドヤァ
百合子「うわぁ人前なのに自分の世界に酔っちゃって……見てるこっちまで恥ずかしくなっちゃう」
育「どん引きしてる場合じゃないよリリーさん! 早くなんとかしないと」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:04:41.17 ID:8BN3s6YB0
郁「トゥインクルソード……ラブプリズム、セット」
育「えっ」
ブレイドプリズム サンシャインプリズム ヒーリングプリズム
郁「プリンセス・ソーラーブレイド・サプライズ!!」ブンッ キラキラキラ……ドォォーーン!!
ヤッカイ団たち「「「キタコレ〜〜!!」」」シュゥゥゥ…
……
ヤッカイ団だったオタクたち「ハロワ行かなきゃ」「お風呂入ろう。香水買おう」「推しの前では素敵な自分でいよう」「親孝行しなきゃ」
アキバ「ファッ!? なんでござるかこの圧倒的なエナジーは! 同志たちがみんな浄化されてしまったでござる!」
郁「よくわからないけど、人々を怪人に変えてドリームパワーを奪っているのはあなたなんだよね? なら、わたしが相手になるよ」
アキバ「こわE――逃げなきゃ(使命感)」ガクブル
郁「逃がさないよ。ラブプリズム、セット」
ドラゴンプリズム フェニックスプリズム ペガサスプリズム
郁「聖獣召喚☆一斉突撃!(アニマル☆ステイション!)」ゴゴゴゴ…
アキバ「待ってそれはあかんて死ぬ死ぬ! オーバーキルでござる!!」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:05:39.79 ID:8BN3s6YB0
シロガネーゼ「ユチャク・ズブズブ・ヤラセ・インボーロン――情報統制シールド!!」シャキーン!
郁「なっ! わたしのアニマルたちが無効化された…!?」
アキバ「た、助かったでござる。シロガネーゼ殿」
シロガネーゼ「やれやれ。だらしない子ですね。まあ良いでしょう。今日のところは一旦おうちに帰りましょうね」
アキバ「ママ……」ウットリ
百合子「あんな強烈な技を防ぐなんて……あなた、何者なの!?」
シロガネーゼ「私はギョーカイジン最強魔術師シロガネーゼ。よろしくお願いしますね、トゥインクルリズムのみなさん」スーッ…
亜利沙「ちょっ、待ちなさいッ!!」
育「……消えちゃった」
郁「くっ……次こそは必ず…」
ぴーちゃん「それにしても、郁ちゃんものすごい力だったっぴね〜」
育「うん! お姉さんとってもかっこよかった!」
郁「えへへ……そんなことないよ」
百合子「郁ちゃんの力を活かせれば、ギョーカイジンのアジトだって一網打尽にできそう」
亜利沙「期せずして頼もしい仲間が加わりました。期間限定ですが、これからよろしくお願いしますね、プリンセス(大)ちゃん!」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:06:17.30 ID:8BN3s6YB0
――そしてその夜、育の家
ぴーちゃん「とりあえず、育ちゃんのご両親には一時的な洗脳をかけて郁ちゃんを『親戚の子』と認識してもらってるっぴ」
郁「ありがとうぴーちゃん。でも、やっぱり心苦しいな…」
育「だいじょうぶ。こまったときはお互いさまだもん」
郁「明日からは百合子ちゃんと亜利沙ちゃんの同級生として同じ学校に通えばいいんだよね?」
ぴーちゃん「手筈は済んでるっぴよ。これでしばらくは郁ちゃんもこの世界の住人として無理なく過ごせるっぴ!」
郁「この世界の住人か……確かに、ギョーカイジンの仕業かどうかも含めて、謎を解かない限りはどうにもならないもんね」
育「お姉さん、元の世界のみんなと会えなくて、さみしい?」
郁「大丈夫だよ、別に平気。だって今は、育ちゃんやぴーちゃんが一緒にいてくれるもの」
郁「わたし一人っ子だから、かわいい妹ができたみたいでなんだか嬉しいよ」
育「えへへ。わたしもかっこいいお姉ちゃんができたみたいで、ふしぎな気持ち」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/30(木) 19:06:21.97 ID:xUqKr8hb0
ハラアキバやガネシロじゃないのか
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:06:54.23 ID:8BN3s6YB0
ぴーちゃん「今日は色々あって疲れたっぴ? そろそろおやすみの時間にするっぴよ」
育「ねぇねぇお姉さん、わたしのベッドでいっしょに寝ようよ」
郁「うん。じゃあそうしよっか」
育「やったぁ!」ギュッ
郁「もう、育ちゃんったら甘えん坊さん。子供扱いされるのは嫌なんじゃなかったの?」ナデナデ
育「お姉さんにだったらいいんだもん♪」
郁「ふふっ、しょうがない子だね。おやすみ、育ちゃん」
育「おやすみなさい、お姉さん」
・・・
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:07:47.86 ID:8BN3s6YB0
育(ムニャ……あれ?)
郁「……」クスン
育(お姉さん?)
郁「お母さん……お父さん……みんな……会いたいよ……」シクシク
育「……」
育(お姉さん、だれにも負けないくらい強くてかっこいい人だと思ってた)
育(でも本当は、百合子さんや亜利沙さんと同世代の、ふつうの女の子なんだ)
郁「スゥ……スゥ…」
育「だいじょうぶだよ、お姉さん。わたしがそばにいてあげるからね」ナデナデ
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:08:26.41 ID:8BN3s6YB0
――翌朝
育「百合子さーん! 亜利沙さーん!」
百合子「おはよう育ちゃん。郁ちゃんもおはよう」
亜利沙「おはようございます! なんだか二人とも、すっかり仲の良い姉妹って感じですね」
育「えへへ。そうでしょ?」
郁「おはよう百合子ちゃん亜利沙ちゃん。今日から同級生ってことで色々とお世話をかけちゃうと思うけど……よろしくね」
亜利沙「何か困ったことがあったらすぐに言ってくださいね」
百合子「それじゃあ中学校まで案内するね。育ちゃん、また放課後にね」
育「うん。いってらっしゃーい」
育「……」
ぴーちゃん「育ちゃん、郁ちゃんと一緒にいられないのは嫌っぴか?」
育「仕方ないよ。わたしは小学生で、お姉さんたちは中学生だもん…」
育「それに百合子さんと亜利沙さんがいっしょなら、お姉さんもさみしくないと思うし、二人ならきっと力になってくれるよ」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:09:20.96 ID:8BN3s6YB0
――そして中学校では
クラスメイトA「中谷さんってオーストリアに住んでたの!?」
クラスメイトB「ドイツ語ペラペラなんだ! すごーい!」
クラスメイトC「髪サラサラできれい……どんなシャンプー使ってるの?」
郁「えっとその……なんというか…」
亜利沙「ムフー。案の定大人気ですね。休み時間が来るたびにこれでは作戦会議のしようがありません」
百合子「何か理由を付けて外に連れ出したいところだけど……そうだ、仮病! 体調不良を理由に保健室へ連れていけば…」
亜利沙「百合子ちゃん、保健係じゃないでしょう?」
百合子「うぅ、そうだった。うちのクラスの保健係といえば――あれ? いない。さてはまた授業サボって保健室でゲームしてるのね?」
亜利沙「杏奈ちゃん……保健係としての地位を実にうまく活用していますね…」
百合子「私ちょっと行ってくる。このままだと杏奈ちゃん、どこの高校にも通えなくなっちゃうもの」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:10:13.45 ID:8BN3s6YB0
――保健室
ディフューズシヨーヨー♪
杏奈「あ……フルコン失敗…」
アキバ「デュフフ。高校受験を控えているのにゲームばかりしている無気力少女……実に素晴らしいでござる」
杏奈「おじさん……誰…?」
アキバ「お嬢さん、才能アリとお見受けしたでござる。小生と契約して、ヤッカイ団になってよ!!」カッ!
杏奈「わー」
――百合子たちの教室
郁「!!」
亜利沙「こ、この邪悪なオーラは…!」
百合子「くっ、とうとう学校にまでギョーカイジンが……正体がばれたのだから、いずれこうなるとは思っていたけど…」
郁「おまたせ二人とも。とにかく、すぐ向かいましょう」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:11:12.81 ID:8BN3s6YB0
――同時刻、育の小学校
ぴーちゃん「育ちゃん、大変だっぴ! 百合子たちの中学校で、ギョーカイジンのオーラを観測したっぴ!」
育「わかった! ぐうぜんにも今日は短縮授業だったから、今からすぐに駆けつけても誰も怒らないね」
ぴーちゃん「さすがにヒーロー番組で小学生の主人公が学校をサボるシーンを挿入するわけにはいかないっぴからね」
育「何か言った? ぴーちゃん」
ぴーちゃん「なんでもないっぴ!」
タタタ…
育「ここなら誰もいないね。よし、トゥインクルリズム・プリズムトランスフォーム!」
・・・
育「さあ行くよぴーちゃん!」
シロガネーゼ「ウフフ。そうはさせませんよプリンセス」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:11:57.04 ID:8BN3s6YB0
育「あなたは、ギョーカイジンの!」
シロガネーゼ「いかにもです。あなたには中学校ではなく、こちらで戦っていただきますよ」
シロガネーゼ「ドウブツ・ダシタラ・スウジガ・ノビール――出でよ、煉獄の魔犬!」
魔犬(モーションアクター:ジュニオール)「ガルルル…」
育「なっ、なにこれ…」
ぴーちゃん「気をつけるっぴ。そいつは人間に都合よく利用されて命を落とした動物たちの怨念の集合体だっぴ」
育「そんな……かわいそう…」
シロガネーゼ「そう。この子はかわいそうなんです。どうぞ優しくしてあげてくださいね」ニヤリ
ぴーちゃん「プリンセス、迷ってはダメっぴ! たとえ罪のない魂でも、制圧して浄化しない限り悪夢に囚われたままだっぴ!」
魔犬「グオァァァッ!!」ドンッ
育「きゃあっ!」
ぴーちゃん「プリンセス!」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:12:45.59 ID:8BN3s6YB0
ハピネスプリズム シスタープリズム ヒーリングプリズム
郁「ハロー・ユア・エンジェル!!」カッ!
魔犬「ガルル……クウゥーーン…」キラキラ
郁「良い子だね……もう大丈夫。あなたたちは誰も恨まなくていい。さあ、おやすみ」ナデナデ
魔犬「ワンワン!」シュゥゥゥ…キラキラ…
郁「プリンセス、怪我はない?」
育「うん、だいじょうぶ。ちょっとすりむいただけ…」
郁「そう。よく頑張ったね。ありがとう」
亜利沙「さあ、次はアリサたちが相手ですよシロガネーゼ!」
百合子「ヤッカイ団にされた杏奈ちゃんも、大きいプリンセスがすぐに浄化してくれました!」
育「えっ」
亜利沙「こちらの戦力の分散を突く作戦だったようですが、ご覧の通りみんな合流しました。さあ観念しなさいッ!」
シロガネーゼ「いいえ。わたしの作戦は今も至って順調に進んでいます。すべて計画通りですよ?」
百合子「強がっていられるのも今のうちですよ!」
シロガネーゼ「まあ、そのうちわかることです。ごきげんよう」スーッ
郁「待ちなさい! ……また逃げられたか」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:13:36.94 ID:8BN3s6YB0
育「ごめんなさい。わたし、あの魔犬を斬るの、ためらっちゃった」
百合子「大丈夫。育ちゃんは悪くないよ」
亜利沙「そうです。育ちゃんの優しさにつけ込んだ卑劣な手口を使うシロガネーゼが悪いんですよ!」プンスカ
育「だけど……もしあのままわたしが一人で戦っていたら、学校のみんなが襲われていたかもしれないし…」
郁「そうやって反省をちゃんとできるところが、育ちゃんの偉いところだよ」
郁「だけど忘れないで。さっきよりももっと卑劣な手口を使う悪人だっている。そんな奴からみんなを守るのが、あなたの仕事なんだから」
育「……うん」
亜利沙「いやぁそれにしても、ヤッカイ団にされた杏奈ちゃんを出会い頭に浄化したプリンセス(大)ちゃんの無駄のない動き……痺れましたァ!」
百合子「それからすぐにプリンセスのピンチを察知して学校を飛び出していく姿……まさに誇り高き女戦士って感じで素敵だったなぁ」
郁「褒められたものでもないよ。育ちゃんのことで無我夢中で、アキバにとどめを刺すのも忘れちゃってたんだから」
育「えっ、アキバを逃がしちゃったの!? わたしのせいで…」
郁「いいえ。アキバを逃がしたのはわたしのミス。育ちゃんは気にしなくて大丈夫だよ」
育「……」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:14:20.20 ID:8BN3s6YB0
――その後、育は緑地公園で中学校の放課を待つ
育「……」
ぴーちゃん「そんなにしょんぼりしているのは育ちゃんらしくないっぴよ」
育「だけど…」
ぴーちゃん「みんなも気にしなくていいって言ってたっぴ」
育「お姉さんのラブプリズム、どれも見たことのない強いものばかりだった。浄化の魔法も仲間の協力なしで使えるみたいだし」
育「聖獣を操る技なんて、わたし使ったことないよ。すごいよね。だけどそんなすごい魔法を、シロガネーゼは完全に封じてた…」
育「今度戦うときは、お姉さんが全力を出せるようにサポートして、シロガネーゼに防御の魔法を使わせないようにしないと…」
ぴーちゃん「次にシロガネーゼと戦うときまでに、郁ちゃんが元の世界に帰ってしまったらどうするっぴか?」
育「それは…」
ぴーちゃん「ぴーちゃんたちの世界のプリンセスは、育ちゃんただ一人だっぴ。それを忘れちゃダメっぴよ」
育「うん。わたし、がんばるよ。だけどお姉さんがいる間は、お姉さんの足手まといになりたくない…」
ぴーちゃん「育ちゃん…」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:15:06.61 ID:8BN3s6YB0
――1時間後
百合子「育ちゃん、ぴーちゃん、おまたせ」
亜利沙「さあ、今日も張り切って町のパトロールに行きましょう!」
郁「パトロールでこの町のことも色々と知れたら嬉しいな」
アキバ「デュフフ。その必要はないでござるよ」
亜利沙「どわああ! いつの間に現れたんですかアキバ!」
アキバ「たった今でござるよ。お主らを倒すために派遣した精鋭、ヤッカイ団三銃士と共にね!」
ヤッカイ団三銃士「トキメキのピンク」「情熱のブルー」「羽ばたきの光イエロー」
アキバ「ちなみに公園の裏山にはヤッカイ団二等兵たちも続々とスタンバイしているでござるよ。もう逃げ場はござらん」
育「それじゃあ今公園の中にいる人たちは…」
アキバ「デュフフフ、彼らにも当然逃げ場はないでござろうな」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:16:15.58 ID:8BN3s6YB0
亜利沙「ぐ……このいかにも強そうな三体を相手にしなきゃいけないのはもちろんですが、周りにいるというザコ敵も無視できません」
育「なら、わたしが行くよ。いつものヤッカイ団くらいの強さなら、わたし一人でなんとかなるもん」
百合子「育ちゃん……だけど、いざというときに育ちゃんの浄化の力がないと…」
育「それはお姉さんの力を頼ればいいよ。だいじょうぶ、もうさっきみたいにお姉さんの邪魔になるようなミスはしないから」
郁「育ちゃん、わたしは別に邪魔だなんて…」
育「わたしのことは気にしないで。今は敵を倒すことが最優先だよ。わたしはただ、わたしにできることをしたいだけだから」
アキバ「作戦会議は済みましたかな? 当然変身が終わるまで待ってあげるでござるよ。それがお約束でござりますからね」
育・百合子・亜利沙・郁「「「「トゥインクルリズム・プリズムトランスフォーム!」」」」
育「それじゃあみんな、頼んだよ!」ダッ
百合子「プリンセス! 本当に一人で行くつもりなの!?」
ぴーちゃん「リリー、ここはぴーちゃんに任せるっぴ」
百合子「ぴーちゃん……わかった。お願いね」
亜利沙「頼みましたよぴーちゃん……それではアキバ、そのヤッカイ団三銃士とやらの実力を、見せてもらいましょうか」
アキバ「良いでござろう。ただし、たとえ瞬殺できたとしても喜ばないことでござる。なぜなら……“すべては我々の計画通り”なのですから!」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:17:06.00 ID:8BN3s6YB0
ぴーちゃん「プリンセスー! 待つっぴー!」パタパタ
スッ
シロガネーゼ「ウフフ。お邪魔虫さんには、少しだけお休みいただきましょうか」
ぴーちゃん「お、お前はシロガネーゼ……!」
シロガネーゼ「用があるのはプリンセスだけですからね。デスク・デ・カミン・セチガラーイ――」
シロガネーゼ「ダークファイア・ナイトメア!!」ゴオオオオ
ぴーちゃん「あああああっ!! 唐揚げになるっぴぃぃぃぃ!!」
シロガネーゼ「あらあら。ただの幻にこんなに怯えて……ですが良い肩慣らしになりました。早速プリンセスにも……ウフフ」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:17:40.48 ID:8BN3s6YB0
――公園の裏山
育「トゥインクルダガー!」ザシュッザシュッ
ヤッカイ団たち「「「ホアアーーーッ!!」」」シュゥゥ
育「はぁ……はぁ……」
育「わたしのバカ。これじゃあお姉さんが悪い人みたいじゃない」
育「お姉さんは優しくてがんばり屋さんで、とっても良い人なのに……なんでこんな気持ちになるんだろう…」
育「ううん、だいじょうぶ。とにかく今は、わたしにできることをしなくっちゃ」
???『ないよ』
育「えっ」
謎の影『君にできることなんてないよ』
育「だれなの!?」
謎の影『君にして欲しいことなんてないよ』
謎の影『だってそれは、他の人だってできることだもの』
育「トゥインクルダガー!」ブンッ
スゥーー
育「うそ……手ごたえがない」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:18:23.37 ID:8BN3s6YB0
謎の影『君の持つ希望の力は、別に特別なものじゃなかったんだね』
謎の影『他に力を持つ人がいるなら、その人に任せた方がいいよ。だって――』
謎の影たち『『『君よりもその人の方が、強くて、かっこよくて、優秀なんだから』』』
謎の影『絶対その方がいいよ』
謎の影『みんなもそう思ってるよ』
謎の影『優しいから気を遣って言わないだけだよ』
謎の影『それを良いことに君は甘えて――』
育「ちがう! わたしは、町の平和を……みんなの希望を守りたくて…」
謎の影『譲りなよ。客観的に見て、君には荷が重い』
謎の影『君がプリンセスなんて、誰のためにもならない』
謎の影『プリンセスが君じゃなければ、ギョーカイジンなんてとっくに滅んでいただろうに…』
謎の影『傷つかずに済んだ人だってたくさんいたはずだ』
謎の影『何もかも、君のせいだ…』
謎の影『あのとき君が、プリンセスであることを受け入れなければ…』
謎の影『もっと相応しい誰かが、君の代わりを務めたはずなのに…』
育「そんな…」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/30(木) 19:19:11.53 ID:8BN3s6YB0
???『トゥインクルサイズ!!』
???『トゥインクルウィップ!!』
謎の影たち『『『うわあっ』』』シュウウウー
育「!」
百合子『ギョーカイジン、次から次へと…これじゃあ切りがない』
亜利沙『ムムッ! リリーちゃん気をつけて、後ろから来ます!』
謎の影『フフフ。かかったなトゥインクルリズムどもめ!』グォォォ
百合子『きゃああっ!』
亜利沙『ひゃああっ!』
育「百合子さん、亜利沙さん! 待ってて、今助けるから――」
???『ローリングトリニティ・デコレーション!!』
謎の影『ぐああっ』シュウウウー
亜利沙『こ、この技は!』
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