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変態お漏らし処女ビッチ「私と付き合ってみませんか?」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:06:40.92 ID:qhRWxftN0
その日、私はいつもよりも早く家を出た。
見慣れた道のりを、てくてく歩いて登校する。
私の通う高校は家から近く、自転車は不要だ。
朝の空気は清々しく、空も澄み渡った青一色。
それだけで早起きした甲斐があったと思えた。
他の学生の姿はなく、車も走っていない。
もっとも、それは朝に限った話ではない。
ここは、人通りも車通りも少ない、田舎道。
それが、田舎に暮らす私の通学路だった。
しばらく歩くと、第一村人を発見。
近所に住む中学生が、道端でしゃがんでいる。
近くには、彼の自転車が置かれていた。
私にはこの子が何をしているか一目でわかる。
「あっ」
近づいて、声をかける前に、目が合う。
すると彼はかぽっと白いヘルメットを被り。
ぺこりとお辞儀をして、自転車に飛び乗った。
そのまま立ち乗りで走り去る後ろ姿を見送る。
「……なんで逃げるのよ」
嘆息をしつつ、その場にしゃがみ込み、拝む。
道端には土が盛られ、石が置かれている。
その石には『にゃんこの墓』と書かれていた。
何故か、黒のサインペンで。
本当は彫刻するべきだろう。
しかし、その時はサインペンしかなかった。
見ての通り猫の墓だ。断じて犬の墓ではない。
私と、あの子。2人で建てたお墓だった。
「よし」
拝み終えて、立ち上がる。
そしてまた、てくてく歩いていく。
スカートのポケットに手を入れて、確認。
そこには茶封筒が入っており、中身は恋文だ。
生まれて初めて書いた、ラブレター。
それを下駄箱に投函しようと、画策していた。
なるべく、人気の少ないうちに済ませたい。
その為に、こうして早起きしていた。完璧だ。
あとは、誰の下駄箱に入れるか決めるだけだ。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1534594000
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:10:17.73 ID:qhRWxftN0
「女子はやめておこう」
昇降口にたどり着き、熟考する。
とりあえず、女子は除外。私はノーマルだ。
なので、男子生徒に的を絞った。
それと、なるべくリアクションを間近で見たかったので、同じクラスの男子に限定する。
これで、20人まで候補を絞り込めた。
「よし、キミに決めた」
それからは早かった。
目に留まった下駄箱を開けて、投函。
我ながら、良い決断力だったと思う。
それでは、教室で本でも読むことにしよう。
「いや、待てよ?」
数歩進んで、はたと止まる。
本当にこれでいいのだろうか。
何か、色々と間違っている気がする。
拭い去れない違和感。恋文の内容を思い出す。
『私と付き合ってみませんか?』
短く、一文だけ書かれたシンプルなお手紙。
茶封筒には筆ペンでしっかり記名しておいた。
何もおかしなところはない筈。ぬかりはない。
しかし、どうにも不安がよぎる。
少しばかり、味気がないのではなかろうか。
もうちょっと、スパイスが必要かも知れない。
「仕方ないなぁ」
ぼやきつつ、もう一文だけ、付け加える。
『P.S. あなたの靴の匂いが好きです』
素晴らしい。これなら文句ないだろう。
自画自賛しつつ、教室に向かう。
後顧の憂いを断ち切り、読書に耽った。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:15:23.73 ID:qhRWxftN0
「ねぇねぇ、聞いた?」
「えっ、なになに?」
ひとり、またひとりと、登校してくる。
すぐに教室は賑やかになった。うるさい。
しかも、今日はいつもより騒がしかった。
皆、大笑いしたり、小声でひそひそ囁く。
「でね、そのラブレターの内容がさぁ……」
「ええっ!? 靴の匂いって、なにそれ!?」
「しっ! ちょっと、声が大きいって!」
どうやら、話題はラブレターについてらしい。
どこの誰だか知らないが、今時古風なものだ。
珍しい奴もいるもんだと思っていると。
「あのさ……」
目の前に立つ、見知らぬ男子生徒。
「何?」
要件を尋ねると、彼は顔を真っ赤にしながら。
「ごめん! 俺、靴の匂いが好きな奴とは付き合えない! 本当に申し訳ない!!」
「は?」
何を言っているのだろう、この人は。
ぽかんとしていると、皆は爆笑していた。
どうやら彼は笑い者にされているらしい。
なんとも惨めで、可哀想だった。同情する。
それでも、彼は青筋を立てて怒鳴り散らす。
「わ、笑うなよっ!!」
「いや、だってお前!」
「ぶはっ! これが笑わずにいられるか!」
「うるさい! 彼女が困ってるだろ!!」
「えっ?」
何故か庇われた。しかし、身に覚えはない。
キョトンとしていると、男共の喧嘩が勃発。
朝から元気な奴らだと思いつつ、読書を再開。
全く、本くらい静かに読ませて欲しいものだ。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:19:23.41 ID:qhRWxftN0
「なあ、お前さ」
「ん? 何か用?」
「靴の匂いが好きって、マジ?」
放課後、昇降口にて。
チャラついた男子がたむろしていた。
下駄箱から靴を取ろうとすると、尋ねられた。
質問の意味がわからずに、首を傾げる。
「なんのこと?」
「とぼけんなよ、ラブレターに書いただろ?」
そこでようやく、思い出した。あれか。
そういえば、そのようなことを付け足した。
なるほど。だから皆、騒いでいたのか。
合点がいって、反省する。全て私のせいか。
あの男子生徒に悪いことをしてしまった。
どうにも、上手くいかないものである。
「たしかに書いたけど、それが何か?」
あまり自信はないが、こいつは無関係だ。
私がランダムで選んだ男子生徒ではない。
声も違うし、顔も違うような、気がする。
関係ない奴はひっこんでいて欲しい。
だから、そう続けるつもりだったのだが。
「だったら俺たちの靴も嗅いでくれよ」
「げへへ、俺も俺も」
「入学以来一度も洗ってないでござる!」
取り囲まれ、靴を嗅げと言われた。
なんとも嘆かわしいことだ。こいつら最低だ。
私は呆れ果て、同時に憐れみを感じたので。
「靴の匂いを嗅ぐなんて変態のすることよ」
正論を口にして、正しい道に導くことにした。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:22:30.04 ID:qhRWxftN0
「ああんっ!? 誰が変態だって!?」
「お前にだけは言われたくねーよ!」
「我々の業界ではご褒美でござる!」
凄んだり、怒鳴ったり、打ち震えたり。
本当に男子高校生は野蛮で不潔である。
そんな彼らに、正しい煩悩を教えてやろう。
「嗅ぐなら、パンツにしなさい。ほら」
その場で下着を脱いで、手渡す。
すると、彼らは唖然としていた。
パンツと私の顔を見比べて、二度見三度見。
「い、いや、俺は要らないから!」
「お、おい! こっちに押し付けんな!」
「では、拙者が……」
「バカ! 返すんだよっ! よこせっ!!」
一悶着あり、パンツを返却された。
「嗅がないの?」
「か、嗅ぐわけないだろ!?」
「靴よりも健全でしょう?」
「そういう問題じゃなくてだな……」
パンツを穿き直しつつ、質問を重ねる。
「もしかして、ホモ?」
「ち、ちげーって! ふざけんなっ!?」
「えっ? お前、ホモなの?」
「掘られるでござるっ!」
何やらまた騒ぎ始めた。
もう帰っていいだろうか。
下駄箱から靴を取り出して、履いていると。
「ちょっと、あんた何やってんのよっ!」
「げっ! やば!」
突如割って入ってきた、女子生徒。
どうやら、ホモ疑惑の男子と親しい様子。
なんだ。残念ながら、彼はノーマルらしい。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:25:36.37 ID:qhRWxftN0
「女の子に絡むなんてやめなさいよ!」
「いや、ちょっと揶揄ってやろうと……」
「靴を嗅げって言われました」
すかさず告げ口をしておく。自業自得だ。
「あんた、どういうことよ?」
「だ、だから、冗談だって! 冗談!」
「パンツも嗅がれそうになりました」
「おおいっ! もう黙ってろよお前!?」
これにてゲームセット。さっさと帰宅する。
「パンツってなによ! パンツも嗅いだの!?」
「嗅いでないっての!」
「でも、あっさり受け取ったよな」
「拙者は止めたのに……」
「お前らふざけんなっ!!」
チャラ男の悲鳴を背中で聞く。いい気味だ。
どうやら、彼女持ちは彼だけらしい。
独り身の友達はフォローせずに煽っていた。
本当に男子高校生って奴らは、ロクでもない。
「それでも、恋をしてみたかったな……」
てくてく帰路を歩きながら、独りごちる。
せっかくの、うら若き女子高生なのに。
未だに、そうした経験に恵まれない。
だからこそ、私は恋文を書いてみた。
しかし、結果はご覧の通り。大失敗である。
どうやら私には、恋愛の適正がないらしい。
「はあ……あれ?」
ため息をひとつ吐いて、不審者発見。
道路脇の林の中で、なにやら蹲っていた。
その後ろ姿には見覚えがある。あの子だ。
近所の中学生の男の子が、そこにいた。
何をしているのかと、歩み寄って尋ねる。
「何をしてるの?」
「へっ? あっ! こ、これは、その……!」
私に気づき、慌て始める男子中学生。
よく見ると、彼はズボンを下ろしており。
周囲にはうっすらと、異臭が漂っていた。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:28:47.38 ID:qhRWxftN0
「ふーん……そっか」
「ち、違うんです! 僕は別に何も……!」
言い逃れは出来ない。逃すつもりはなかった。
「うんちしてたの?」
「そ、そんなわけないじゃないですかっ!?」
「でも、うんち臭いよ?」
確固たる証拠を告げると、少年はうなだれて。
「……はい」
自らの罪を、認めた。
林の前には銀色の自転車が停まっていた。
見ると、後輪がパンクしている様子。
そのせいで家まで間に合わなかったらしい。
だから、ここで用を足していたと、ふむふむ。
「キミは、悪い子だね」
「……ごめん、なさい」
一応、年上として叱っておく。
野糞はいけないことだ。癖になったら大変だ。
だけど、泣きそうな顔を見てると、つい。
「でも、我慢するのはもっと悪いことだよ」
「えっ?」
「だから、キミは偉い。よくやった」
我ながら甘いと思う。甘々だ。
それでも、この子をこれ以上責めたくない。
よしよしと頭を撫でながら、ほくそ笑む。
責めるならば、もっと別な方法で攻めよう。
「だからほら、続けて」
「はい?」
「まだ出るでしょ? 全部出しちゃえ」
多分、今の私は、邪悪な顔をしてるだろう。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:31:18.56 ID:qhRWxftN0
「いえっ! もう出ないので!」
そう言ったそばから、少年のお腹が鳴る。
「ぐぁっ……!」
「嘘つき。お腹痛いんでしょ?」
この私に嘘をつくとは、いい度胸だ。
しかも、こんなすぐにバレる嘘なんて。
その浅はかさが、可愛げかも知れないけれど。
すぐにこの子も、男子高校生になってしまう。
あんなロクでなしになる前に導く必要がある。
「嘘はダメ。お姉ちゃんに謝って」
「……ごめん、なさい」
「許して欲しい?」
「……許して、下さい」
「じゃあ、全部出して」
そしたら許してあげると、微笑んであげた。
少年の顔に絶望が広がる。困ってる困ってる。
そんな彼に、私は助け船を出してあげた。
「顔見られてると恥ずかしい? だったら……」
背後に回って、ぎゅっと抱きしめてあげた。
「な、何をするんですかっ!?」
「これなら恥ずかしくないでしょ?」
耳元でクスクス嗤うと、彼は悲鳴をあげた。
「これじゃあ出るものも出ませんよっ!?」
「大丈夫。力抜いて……あむっ」
「ふぁっ!?」
かぷりと、少年の耳を甘噛みして、促す。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:34:13.43 ID:qhRWxftN0
「あむっ……はむっ……」
「お、ねぇ、さん……うぐっ……!」
歯を立てないように甘噛みする。
ビクビク痙攣しながら呻く少年。
そしてすぐに、限界を迎えた。
「あっ……はぅっ……あっ!」
ぶりゅっ!
「フハッ!」
もう耳なんかどうでもいい。口を離す。
彼が糞を漏らし、私の口からは愉悦が漏れた。
ギュウッと強く抱きしめる。全部出るように。
男子中学生を抱きながら、高らかに哄笑する。
「あ、あああ、ああああああああああ……!」
ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅっ!!!!
「フハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
人気のない田舎道に響き渡る嗤い声。
それを聞きつける者はひとりもいない。
世界は私たちのもので、私たちしかいない。
今だけは、ここが世界の中心だと思えた。
少年は、世界の中心で、糞を漏らした。
「うぅっ……酷いですよ」
「でも、カッコ良かったよ?」
「……お姉さんの、バカ」
泣きじゃくる少年をあやしてあげた。
すると、何やら照れている様子。
やっぱり男の子は、純粋なのが1番である。
この純粋さを忘れずに、育って欲しいものだ。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/18(土) 21:35:59.53 ID:m+/ExP8L0
Rでやれ
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:39:13.85 ID:qhRWxftN0
「ふぁ〜あ。寝みー」
翌日、学校にて。
授業中に隣の男子が大欠伸をしていた。
どうやら寝不足らしい。夜更かしかな?
原因は間違いなく、エロ動画だ。すぐわかる。
だって彼は男子高校生だ。弁明の余地はない。
「あん? 何見てんだよ?」
大きく伸びをしたまま、尋ねられた。
別に用があるわけではないけれど。
とりあえず、目についたものを口にしてみる。
「乳首、透けてるよ?」
半袖のワイシャツに浮かぶ、乳首。
どうも、下に何も着ていないらしい。
まあ、今年は猛暑だから、気持ちはわかる。
しかしながら、見せつけるのはどうかと思う。
「うっせ。見んなよ」
「触っていい?」
「は、はあっ!?」
「えいっ」
「うわっ! や、やめろよ変態っ!!」
人差し指でつつくと怒られた。つまんない奴。
しかも変態呼ばわりされた。新しいあだ名だ。
どうやら私は昨日のラブレター騒動によって、匂いフェチの変態だと思われているらしい。
まったく、根も葉もない虚構だ。心外である。
とはいえ、人の噂も75日らしいので、放置。
「ふぁ……」
なんだか私も眠くなってきた。
欠伸が移って、伸びをする。
そこでふと、隣の男子の視線に気づいた。
「どうかした?」
「えっ? いや、その……胸が……!」
「胸がなに? 触りたいの? 普通に嫌だけど」
「べ、別になんでもねーし!」
これは後から気づいたのだけど。
そういえば、暑くてブラをしてなかった。
本当に男子高校生は、油断も隙もない。
この日から、匂いフェチのビッチと呼ばれた。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:40:39.66 ID:qhRWxftN0
お昼休みが終わって、午後の授業中。
「あっ」
前の席の女生徒が、紙切れを落とした。
それが私の席の近くまで滑ってきた。
どうやらメッセージを回していたらしい。
そこには私の悪口がびっしりと書かれており。
その時にビッチと呼ばれていることを知った。
カチンときて、手を挙げる。
「先生」
「ん? どうした?」
「私は処女です」
「は?」
「新品ですから。キツキツですからっ!」
「お、おう……とにかく、座れ」
言うべきことを口にして、着席した。
先生は呆然とした表情を浮かべて。
数人の男子が何やら噴き出している。
女子はヒソヒソ。また紙切れを回し始めた。
そうして私は、変態処女ビッチになった。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:42:43.55 ID:qhRWxftN0
「はあ……」
数日後の、登校時。
変態処女ビッチの足取りは重い。
何せ、そのあだ名が自分のものなのだ。
もう学校行きたくないなと思っていると。
「あっ」
いつぞやの野糞君が、しゃがんでいた。
今朝も猫の墓を拝んでいたらしい。
私に気づいて、また逃げようとする。
しかし、彼は今日、自転車に乗っていない。
どうやらパンクがまだ直っていないらしい。
だから私は容易く首根っこを掴み、捕まえた。
「なんでいつも逃げるの?」
「だって、この前、あんな……」
「照れる必要なんてない。むしろ誇れ」
どうやら漏らしたことを恥じている様子。
そんな女々しい少年に私は喝を入れてやる。
背中をバシンッ! と叩くと、背筋が伸びた。
「痛っ!?」
「それじゃ、私も拝むから、おいで」
「あ、はい……わかりました」
私たちは2人で並んで、猫の冥福を祈った。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:45:29.28 ID:qhRWxftN0
拝みながら、思い返す。
ここは滅多に車が通らない田舎道だけど。
それでもたまには車が走る。ごく稀に。
すると、わりと頻繁に動物が轢かれる。
たぬきやイタチが多いが、その日は猫だった。
轢かれた猫を見下ろして、少年が泣いていた。
「どうしたの?」
「ひっく……ね、猫が、轢かれたみたいで……」
「キミの家の猫だったの?」
「いえ、飼っていたわけでは、なくて……」
「なら、どうしてそんなに泣いてるの?」
「たまに、餌をあげたり、撫でたりして……」
ついつい、根掘り葉掘り尋ねた。
話しながら、少年はポロポロ泣く。
飼い猫でもないのに、こんなに泣くなんて。
呆れる前に、私は感心してしまった。
その混じり気のない透き通った涙が美しくて。
人は本来、これほど純粋なのかと思い知った。
しかし、見惚れている場合ではないと気づき。
「お姉ちゃんに任せて」
「えっ?」
「ちゃんと弔ってあげるから」
腕まくりをして、猫を抱き上げる。
生命が失われたその身体は、冷たかった。
部外者の私ですら、こんなにも哀しくなる。
彼にそんな思いをさせずに済んで、良かった。
その後、私は穴を掘り、猫を埋めた。しかし。
「こら! 人の家の畑で何をやってんだっ!!」
どうやらそこはおじさんの畑だったらしく。
仕方ないので、掘り返して、道端に埋めた。
上に石を置いて、サインペンで名前を書く。
少年はまだ名付けていなかったらしく困った。
2人でうんうん悩んで、にゃんこと名付けた。
「ありがと、お姉さん」
思えば、名前を付けるのは、初めてだった。
その感慨が、少年の笑顔と共に残っている。
目を赤くして、無理して笑う、その笑顔が。
たまらなく、愛しく感じたのを、覚えている。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:48:14.08 ID:qhRWxftN0
「野糞君、ちょっといい?」
「ええっ!? それって僕のこと!?」
「他に誰が居るの?」
思い出から、現実に帰還。
実は、少々急ぎの用があった。
それを果たすべく、少年に声をかけた。
すると、何やら驚かれた。びっくりされた。
キョトンとしていると、彼はため息を吐いて。
「はあ……もう、それでいいです」
不承不承に、あだ名を受け入れてくれた様子。
思えば、これが2度目の名付けだ。
しかし、感慨に浸っている場合ではなかった。
「あのね、野糞君」
「はい、なんですか?」
「私、おしっこがしたくなっちゃった」
「はい?」
そう、それこそが現実的な問題だった。
はっきり断言しよう。誰だって催す、と。
昔のアイドルだって、排泄はしていたのだ。
どんな存在も、この衝動からは逃れられない。
そこから目を背けるのは、弱さでしかない。
私はこれでも、高校生だ。もうほとんど大人。
故に、中坊の前で情けない真似は出来ない。
「ここで、していい?」
「ダ、ダメですよっ!!」
まさかの却下。ムッとして、理由を尋ねる。
「なんで?」
「にゃんこが眠っているからです!」
なるほど、それはたしかに正論だ。
これ以上ないほどの正しさと言える。
私は渋々、しゃがんだままズリズリ歩いて。
田舎道の真ん中で、高らかに宣言した。
「ならお姉ちゃん、ここでおしっこします!」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:50:24.58 ID:qhRWxftN0
「何言ってんですか!?」
「いいから、見てて」
「うわっ!」
さっと、素早く下着を下ろす。
すると、同じく素早く顔を背ける野糞君。
まるで早撃ちガンマンの気分。西部劇だ。
「はい、パンツ穿いたよ」
「ああ、良かった……どうなることかと」
「はい! また脱げました!」
「ちょっと! やめてくださいよっ!?」
二度三度、パンツを早脱ぎ。
その度に、野糞君は目を逸らした。
もはや、目を開けることが出来ない様子。
そんな彼に、丸めたパンツを投げつける。
「わっわっ! な、投げないでくださいよ!?」
「ナイスキャッチ。大事にしてね?」
「要りませんよ!? 早く穿いてください!!」
「今からおしっこするから、それいらなーい」
返却を断って、いざ放尿。
しかし、またもや目を瞑る野糞君。
どうしても見て欲しくて、閃いた。
「野糞君」
「な、なんですか……?」
「この前は、ごめんね」
「へっ?」
「キミの野糞を邪魔したこと、反省してる」
「いや、その、別に、僕はなんとも……」
「やっぱり……怒ってる、よね?」
「お、怒ってないですよ!」
「でも、私、酷いことしちゃったし……ぐすん」
「な、泣かないでくださいっ!」
よし、かかった。
「なんちゃって」
「えっ?」
「目、離さないでね」
ようやくこちらを見た野糞君。
全て、計画通り。チョロすぎる。
まったく、悪い虫がつかないか心配だ。
もっとも、私以上の害虫はいないだろうけど。
そして私はたっぷりと、放尿を、見せつけた。
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:51:59.31 ID:qhRWxftN0
「んんっ」
「お、お姉さん……すごい」
初めてこんなことしたけど、想像通りだ。
やっぱりこれ、恥ずかしいな。恥ずいよぅ。
やらなきゃ良かったと思いながらも。
やってみないとわからないことも沢山あって。
「フハッ!」
突如、漏れ出す、愉悦。
しかし、それは私のものではない。
野糞君が、嗤っていた。私の放尿を見て。
それだけで、ガツンときた。すごい感覚だ。
何がすごいって、あの野糞君までも堕ちた。
あんなに純粋だったのに、染まってしまう。
そして彼を染めたのは、この私なのだ。
征服欲、独占欲、支配欲が、胸を満たす。
それと同時に見られている。支配されている。
「フハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「んっ……あっ……!」
ああ、これはよくない。ちょっと、強すぎる。
嗜虐心と被虐心を同時に刺激されてしまう。
その感覚を、独特な嗤い声が増幅していく。
もう何がなんだかわからない。気持ちいい。
快楽でよだれが垂れそう。みっともない。
でも、口が閉じれない。仕方ないから俯く。
両手で顔を覆って、波が収まるのを待つ。
こみ上げる快感にひたすら耐えて、溺れた。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:55:30.67 ID:qhRWxftN0
「お姉さん、大丈夫?」
「ん……もう、平気」
全てを終えて、冷静さを取り戻した。
気がつくと、もう昼近かった。
私たちは路肩に座って、ぼけっとしていた。
今日も快晴で、雲ひとつない。それなのに。
場違いな水たまりが、道路に残っていた。
「学校、サボっちゃったね」
「すみません……僕のせいで」
「ううん、誘ったのは私だし」
「でも……取り乱してしまって、すみません」
「お互いさまだよ。良い課外授業だったね」
「そうですね……愉しかったです」
「私も、愉しかった」
学校なんて、もともと行きたくなかった。
だから、課外授業と称して正当化する。
くだらない連中と関わるよりも、有意義だ。
おかげで、沢山のことを知ることが出来た。
私は知った。
恋愛には、プロセスが必要だ。
順を追って、人を好きになる。
そして私は、それを重ねて、恋をした。
「野糞君」
「なんですか?」
「パンツ、欲しかったらあげるよ」
「ええっ!?」
「その代わりにさ」
預けたままのパンツを交換条件にして。
「私と付き合ってみませんか?」
そんな告白の仕方は、ずるいだろうか?
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/08/18(土) 21:59:31.69 ID:qhRWxftN0
野糞君は暫く呆気に取られてから、尋ねてきた。
「……お姉さんって、何者なんですか?」
そう言えば、自己紹介がまだだった。
「私は、変態お漏らし処女ビッチ」
「すごい名前ですね……」
「こんな私で良ければ、付き合ってください」
猫を埋めようとして怒られた畑を見据えて。
もう一度、告白してみた。顔は見れない。
私としたことが、照れていた。顔があっつい。
まるで、クラスのバカ共と同じレベルだ。
超越者を気取っていたのに、情けない。
でも、変態お漏らし処女ビッチは、負けない。
恥ずかしくて、俯きそうになるけど、堪える。
もうさっきみたいな失態は、見せられない。
だって私は、年上のお姉さんなんだもの。
「僕は野糞君ですけど、いいんですか?」
「私は野糞君がいいの。野糞君が好き」
「そうですか……僕も、」
一旦区切られて、思わず顔を見てしまう。
我慢出来なかった私を見て、彼は微笑んで。
赤い顔の癖に、優しい声で、返事をくれた。
「変態お漏らし処女ビッチさんが、好きです」
なんて生意気な中坊だろう。むかつく。
それなのに、嬉しすぎる。私ってばチョロい。
こいつは要注意だ。キチンと躾けないと。
「これからしっかり調教してあげる」
「それならちゃんと矯正しましょう」
本当に口の減らないガキだ。生意気すぎ。
それでも、悪い気はしない。むしろ高鳴る。
ま、やれるもんなら、やってみればいい。
変態お漏らし処女ビッチを、矯正してみろ。
【変態お漏らし処女ビッチと野糞君】
FIN
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