ダイヤ「死神」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:20:08.60 ID:jOKdSO7D0
皆さんは死神、という言葉にどういった印象を持っていますか?

人の命を奪う恐ろしいもの、でしょうか?それとも…死を象徴する不吉なもの?


まあ世間一般、普通の人からの印象は、そんな所でしょうか



え……私はどう思うかって…?


………そうですね


少し損な役回りの……ただのちっぽけな一柱の神様、といったところでしょうか


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1534429208
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:23:57.44 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「ルビィ……!早くなさい、学校に遅れるわよ」

ルビィ「ち、ちょっと待ってお姉ちゃん!」

ダイヤ「これ以上待ったら私まで遅刻するわ……全く、今日も1時間前には起こしたのになんでこんなに手間取りますの…」

ルビィ「うぅ……ごめんなさい……」

ダイヤ「あと3分で来なかったら置いていきますからね」

ルビィ「ごめんお姉ちゃん!もうちょっと…今玄関行くから!!」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:24:34.63 ID:jOKdSO7D0
ルビィ「よっ、と……ありがとお姉ちゃん、今靴履くから…」

ダイヤ「……ルビィ…体操服は」

ルビィ「へ……?」

ダイヤ「ルビィ、今日体育があるでしょう?火曜日はそうだったはずです、今あなたの体操服はどこ?」

ルビィ「……外に干したまんまだと思う…」

ダイヤ「…………」

ルビィ「………」




ダイヤ「……ルビィ置いていくわ、走って来なさい」

ルビィ「ま、待って‥‥‥お姉ちゃん!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:25:41.40 ID:jOKdSO7D0
これが恥ずかしながら私たち、黒澤姉妹の至って普通の朝

別に今日が取り立てて騒がしい訳ではなく、いつも妹のルビィは朝が弱く、あれが無い、これが無いと騒ぎ立てるのは毎度毎度、日常茶飯事でした


ルビィ「はぁ……はぁ……お姉ちゃん、追いついた……よ…」

ダイヤ「全く……昨日の晩から準備しておかないから朝慌てる羽目になるのよ」

ルビィ「だって昨夜は大変で疲れちゃったから…帰って直ぐに寝ちゃったよ…」

ダイヤ「それは私も同じことです、明日からは出る時に準備出来てなかったら待ちませんからね」

ルビィ「はぁい……」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:26:41.08 ID:jOKdSO7D0
三年生教室


ダイヤ「はぁ……」

果南「どうしたのダイヤ‥お疲れ?」

ダイヤ「いや……何と言いますか…ルビィの事なのですけど…」

鞠莉「なになに?ルビィがどうしたって?」

ダイヤ「いえ、ただ…あの年になっても落ち着きが無くて…もうちょっとしっかりしないものかと…」

果南「そう?可愛いじゃん」

ダイヤ「果南さん……答えになっていませんわ…」

鞠莉「そんなにしっかりしてないかなー?むしろ、あの年にしてはしっかりしている方だと思うけど」

ダイヤ「………そんな風に見えますか?」

果南「兄弟姉妹のそういうとこなんて…特に目に付くんじゃない、知らないけど」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:28:06.89 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「知らないけどって…無責任な」

果南「だって私も鞠莉も一人っ子だもん、分かんないよ」

ダイヤ「……それはそうですが」



鞠莉「そうね…誰か妹にするなら……誰がいいかしら…」

ダイヤ「…そんな話していませんわよ」

鞠莉「うーん…私はちかっちかしら?あんな妹がいたら、きっと楽しいわよね!」

果南「私は花丸かなぁ…ほら、素直そうだし…海に連れて行ったら目をキラキラさせて喜んでくれそう」

鞠莉「ちかっちはお姉さん居るみたいだし…さぞ可愛がられているでしょうね…いいなあ…姉妹」

果南「読書かぁ……本読むのは苦手だけど…読んだ話を聞かせてもらうのは…面白いかも」

ダイヤ「……………もう勝手にやっていて下さい…」


この後も、二人の非建設的な話に結局私は一時間目が始まるまでつき合わされました
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:28:58.20 ID:jOKdSO7D0
一年生教室


ルビィ「ふぁ…ああ……」

花丸「ルビィちゃん、寝不足?」

ルビィ「うん……ちょっと昨日夜遅くまで起きてて…」

花丸「そっか…珍しいね…ほら、ルビィちゃんのおうち夜更かしとか厳しそうだし」

ルビィ「う、うん……ちょっと携帯触っていたら夢中になっちゃって…」

花丸「そっか…マルはまだあまりスマホを使いこなせないから沢山使えないずら、この前も善子ちゃんの携帯ちょっと触ったら怒られたずら……」




善子「wifi無しで動画見るなんて自殺行為よ!まだ月の中盤なのに通信制限かかったらどうしてくれるのよ!」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:29:52.99 ID:jOKdSO7D0
ルビィ「あ、善子ちゃんおはよう」

花丸「善子ちゃんは今日もギリギリずら」

善子「今日は私のせいじゃ無いわよ!曜がちっとも来ないのよ!」

ルビィ「曜ちゃんが…?」

善子「待てども待てども来なくて…結局来なかったから置いて来たわ」

花丸「来なかったって……心配ずら…」

善子「いつも来れない時は連絡が入るんだけど今日は本当に分かんないわ…どうだろ、鞠莉とかなら何か知っているかしら…」

ルビィ「そうだね…いつも元気な曜ちゃんだし心配…」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:30:51.11 ID:jOKdSO7D0
善子「そんなこと言ったら、私はルビィの方が遅刻してると思うわ!」

ルビィ「え……そ、そうかな…」

善子「大体、アンタ親だけじゃなくて出がけにダイヤまで起こしてくれるんでしょ?それなのに遅刻するってどういうことよ……私、流石にもう親に起こしてもらってないわよ」

ルビィ「そ、それは……そうだけど…」


花丸「それは善子ちゃんの簡単な思い込みずら、自分が間に合った時は誰かが遅刻したか印象深いけど…自分が遅刻した時は誰が来ているかそれどころじゃない、そういうことずら」

善子「そ…そんなのルビィにも言えるじゃない!」

花丸「いつも先に来てるマルが証明するずら」

善子「うっ…ぐぅ……」

花丸「あ、先生来たずら…ほら、善子ちゃんは早く向こうの席に戻るずら」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:31:29.27 ID:jOKdSO7D0
善子「ぐぬぬ………覚えてなさいよ……!」

花丸「典型的な負け役のセリフずら」

ルビィ「あはは…………」





ルビィ「…………」

花丸「……どうしたの?ルビィちゃん」

ルビィ「ルビィ、しっかりしてないかな?」

花丸「…どうしてずら?」

ルビィ「善子ちゃんの言う通り遅刻もしちゃうし…忘れ物したりしていつもお姉ちゃんに迷惑ばっかりかけちゃうし…」

花丸「…………」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:32:30.98 ID:jOKdSO7D0
花丸「確かに、ルビィちゃん時折遅刻しちゃう時もある、忘れ物もちょっとみんなより多いずら」

ルビィ「…………うん」

花丸「でも、それだけずら…別に誰かがすごく困るとかそんなこと無いずら」

ルビィ「で、でもお姉ちゃんにいつも……」

花丸「……姉だって、とどのつまりは他人ずら」

ルビィ「…………!」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:33:43.79 ID:jOKdSO7D0
花丸「別に悪く言いたい訳じゃないずら、お姉ちゃんだって、迷惑をかけられて本気で嫌なら突き放すずら、それをしないって事はルビィちゃんがダイヤさんに掛けてる迷惑はきっと大丈夫な程度って事ずら」

ルビィ「そう、かな……」

花丸「そうずら、大体忘れ物だったら善子ちゃんの方がよっぽど多いずら、マルが教科書を見せたのだってこの春からでルビィちゃんが二回、善子ちゃんが五回ずら」





<なんでそこで私が出てくるのよ!

<おい津島、朝礼中だぞ

<す、すみません…






花丸「だから、きっと…生死が掛かるとか…そういう迷惑じゃなかったらきっと大丈夫、マルが保証するずら」

ルビィ「………ありがと、花丸ちゃん」

花丸「ふふっ…マルは何もしてないずら」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:34:25.37 ID:jOKdSO7D0
授業後、部活


ダイヤ「曜さんの姿が見えませんが…?」

千歌「あ、なんか休みみたいです……先生は連絡が無いって言ってたけど…」

鞠莉「あ、そのことなんだけど…曜は具合悪くて今朝、病院に送られたそうよ」

梨子「び、病院……!?」

鞠莉「なんでもね…お母さんがいつまで経っても起きて来ないから朝寝室を覗いたら意識が無くなってたって……」

千歌「確かに…ちょっと調子悪そうだから心配だったけど…」

果南「意識が無いって……大丈夫なの…?」

鞠莉「分からない……調べた限りじゃ命に別状は無いみたいだけど…今はさらに検査待ちだって…」

鞠莉「あと、曜のお母さんから善子にごめんなさいって、朝慌てて連絡出来なかったから、待たせたかもって」

善子「ううん…別に構わないって伝えて」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:34:54.53 ID:jOKdSO7D0
パンパン

ダイヤ「…はい!曜さんの事は気になりますが、本戦まで残された時間は後僅かです…曜さんが戻ってくるまで、練習を止めるわけにはいきません」

千歌「……そうだよね、曜ちゃんが帰ってきて…下手になってたら…格好つかないよね…」

ルビィ「うん、曜ちゃんはダンス上手だし…きっとすぐに追いついてくれると思う…」

鞠莉「よし、そうと決まれば早速ダンスレッスンね!任せて!」

ダイヤ「まずは2人1組になって準備体操、柔軟から!今日は偶数なので3人組は作らなくて結構です、さあ始めますわよ!」



「「「「はーい!!」」」」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:36:41.67 ID:jOKdSO7D0

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ダイヤ「はい、今日はここまで!」

千歌「はぁ…はぁ…つかれた……」

ダイヤ「だらしないですわ!…先程も話した通り、本戦まで時間が無いのですから踊りきるだけに精一杯になっていては細部まで気が回りませんわよ」

千歌「はぁい……」

果南「今日は暑かったしね……なんか冷たいものでも食べたいよ…」

鞠莉「でも今更この時間で店なんて…そもそも店無いし…」

善子「コンビニ!あそこのセブン寄りましょ!」

花丸「……善子ちゃんは一緒に帰る人がいないから寂しいだけずら」

善子「……………ソンナコトナイワヨ」


鞠莉「じゃあさっさと着替えてレッツゴーね!」

花丸「なら、マルも折角なら今日は歩いて帰ろうかな、ルビィちゃんも来るずら?」

ルビィ「あ……え、ええと……」チラッ



ダイヤ「…………」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:37:48.77 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「…………私とルビィは今日、用事があるので…先に失礼しますわ」

ダイヤ「ほら、ルビィ…早く着替えて行くわよ」

ルビィ「あ、……うん…お姉ちゃん…」


バタン







鞠莉「うーん…残念ね」

果南「…二人共、って言うのならなら家の事だろうし…しょうがないねぇ」

善子「なにかしら…習い事とか?」

梨子「練習終わってこの後に…?それはちょっとハード過ぎない…?」

果南「一年生の頃はダイヤ結構やってたよ、稽古あるから帰るって…最近は少し減らしたり、土日に回したりしてるみたいだけど…」

千歌「うへぇ……私なんか絶対無理だよぉ……」

鞠莉「ささ、気を取り直して早く行かないと…日が落ちてアイスが美味しく無くなっちゃう」

千歌「そんな心配する必要ないくらい今暑いよ……鞠莉ちゃん…」


鞠莉「ジョークよジョーク、さあ私達も着替えましょ?」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:38:18.51 ID:jOKdSO7D0
黒澤姉妹、帰路



ルビィ「……………」

ダイヤ「……………」




ルビィ「……お、お姉ちゃん!」

ダイヤ「何…?」

ルビィ「き、今日の晩御飯何かな…お姉ちゃんは何がいい?」

ダイヤ「……今日は両親とも出掛けているから、私達が作るのよ」

ルビィ「あっ……そっか……」



ダイヤ「さっさと帰りますわよ、夕食の前に一仕事済ませなければならないのですから」

ルビィ「……うん」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:40:28.29 ID:jOKdSO7D0
半歩離れた位置で隣り合いながら二人揃って家に帰り、学校の荷物を置くもそこそこに、汗で少し張り付いた制服を着たまま、再び外に出ます



ダイヤ「準備は出来た…?」

ルビィ「うん…大丈夫」



向かう先は黒澤家の裏口から歩いて数分で辿り着く、山の中

鬱蒼と木が生い茂り、緑の草木で空も、地面も覆い尽くされた山の奥へと一歩、また一歩と足を進めます
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:43:05.29 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「…………」

ルビィ「…………」

山道とはいえど、私達はこの道を何度も行き来してきましたので、決まった道順を進む限りは、踏み外したり、迷ったりする心配はありませんでした


しばらくして、木々が多くなってきた森の中を、草木をかき分けるようにして数分間歩き続けるとやがて、突然木々が消え去ったように開けた場所にたどり着きます

小さな、下手をしたら丘と呼ばれかねないこの山にもそれなりの高さがあり、この沼津の地の夜の様子を一望することが出来ました




ダイヤ「着きました……さあ、始めるわよ」

ルビィ「うん、お姉ちゃん…」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:44:32.42 ID:jOKdSO7D0
ルビィ「………………」


ぎゅっと目を瞑ったルビィが、静寂の夜の街に向けて念を込める。



すると、色とりどり、色も形もまるで宝玉の如き煌めきを持った物体が、釣り上げられるように少しずつ、三日月の輝く漆黒の夜空へと昇っていく


やがて…赤、青、黄、緑、黒、白、多種多様な色をもった珠が、まるで炸裂した花火の様に、夜空一面を覆いつくした


いつか、皆で眺めたぼんやり灯が光るスカイランタンが如く、光り輝く宝玉がふわり、ふわり、と空へ舞い踊る



これらの、美しく舞う珠は…いわゆる魂と呼ばれる物でした

肉体が朽ち、入れ物を失った生命の自我、自意識そのものです
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:45:44.12 ID:jOKdSO7D0
その光景を見届け、私、黒澤ダイヤも目を瞑り、念を込め、頭の中をクリアにする

右の手甲に血筋が浮かぶほど力を込め、目を見開く。頭の中を駆け巡る算段によって力を振るう加減、範囲を制御する


大きく息を吸う。一息に全ての気を体に溜め込むイメージを作り、その全てを外部へと弾き飛ばす!!!!!




ダイヤ「ハァァッ!!!!!!」




ルビィによって持ち上げられた珠達は、その一声の後、全てヒビ壊れ、粉々に砕け散りました
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:46:29.04 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「……帰るわよ、夕食の支度をしないと」

ルビィ「はぁ…はぁ……」

ダイヤ「……ルビィ…?」

ルビィ「あ、うん……分かったよお姉ちゃん」

ダイヤ「…………」

ルビィ「な、何……?」

ダイヤ「まあ、いいです…話は、食事の後にしましょう」



まるで硝子の様に、砕け散った色とりどり破片が宙を舞い、星の如くキラキラと輝く空に背を向け、私達は行きに歩いてきた木々の生い茂る道を元の通り歩いて、戻っていきました



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23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:48:10.15 ID:jOKdSO7D0
黒澤家 台所


ダイヤ「…………」トントントン

ルビィ「……お姉ちゃん、言われた通りスープの材料お鍋に入れて火にかけたよ」

ダイヤ「そう、ありがとう…じゃあそこに置いてある小松菜を切っておいて頂戴」

ルビィ「うん、分かった!夜ご飯はこれで完成?」

ダイヤ「そうね、スープとおひたしと…今私が作ってるオムライスで全部ね」


ルビィ「そっか……オムライス楽しみ!ルビィお腹減っちゃったな…」

ダイヤ「……スープが出来るまでまだかかるから、先にオムライスだけ食べてしまいましょうか」

ルビィ「いいの…?」

ダイヤ「…お母様もお父様もいないから…特別よ」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:48:49.44 ID:jOKdSO7D0
ルビィ「いただきます!」

ダイヤ「…頂きます」

ルビィ「んむんむ……うん、おいしいよお姉ちゃん!」

ダイヤ「そう、それはよかったわ」

ルビィ「お姉ちゃん、洋食も作れたんだね…すごい」

ダイヤ「別に、レシピ通りに作れば誰でも…それなりのものが作れますわ

ルビィ「スクールアイドルももうすぐ本戦で忙しいし……最近“あれ”の頻度も多いし…ルビィいつもお腹ペコペコになっちゃう」

ダイヤ「…………」




ダイヤ「……ルビィ」

ルビィ「お姉ちゃん…?」

ダイヤ「先ほども言った通り、丁度いい機会です、そのことについて…少し話をしましょう」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:49:30.29 ID:jOKdSO7D0
私達姉妹の役目を一言で言い表すと『現世にて死んだり、弱ることにより、彷徨える者の魂を介錯する』になります

者、と言いましたが特に人間に限定する訳ではありません、この世界の生き物は動物、植物、果てには神まで…万物万象に魂が宿っています。そして、魂の入れ物である肉体が死した後、その魂は天へと昇ります

しかし、時に、死んだり、弱ったまま生き長らえ、現世へと恨みを抱いたまま長々と留まり、悪霊へと姿を変えてしまう魂もあります

そういった彷徨える魂を悪霊へと成りきる前に始末するのが、私達に課せられた役目です





私達は『死神』でした
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:50:34.50 ID:jOKdSO7D0
『神』と大層な名を授かっていますがその力、いわゆる“神としての権能”というやつは実にささやかで、微々たるものです

魂のカタチが見えること、それに触れ、動かし、破壊する力を持つこと、ただそれだけです

空を飛ぶことが出来たり、ましてや不老不死の肉体をもっていたりすることは、ありません、神の名を関していても肉体は脆弱な部類です


例えば私がトラックに後ろから轢かれたとします、その場合…私は特に何の天啓も無く、何の抵抗も出来ないままそのまま死ぬでしょう

私は物事に特に執着が無いタチなのでおそらくその魂は現世に未練なく、そのまま天に昇っていくでしょう。万が一悪霊に成り果てたのなら、きっとルビィが処理してくれます
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:51:24.11 ID:jOKdSO7D0
先程行っていたのも、私達に割り当てられた役目でした

最近は毎日ですが…今までは数日に一回、二人で山に登り、先程の手順で彷徨える魂を破壊する。そんな同じ行為をずっと繰り返してきました。

一度山の頂に立つのは、ただ単純に見晴らしがよく、ルビィが力を使う際、都合が良いらしいからです




ルビィは魂の操作、修復に長けており、私はその真逆、破壊の方に才があるようでした

一般的な死神のイメージとしては、私のほうが適任かもしれません。しかし、互いが相反する能に長けているのは実に都合が良いことでした

ルビィが彷徨う魂を吊り上げ、私が破壊する。互いの得意分野で互いを補いながら、私達はずっと、この地の神として存在してきました
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:52:06.82 ID:jOKdSO7D0

死後の世界には何が広がっているのでしょうか?私には分かりません


楽園でしょうか、地獄でしょうか?私には、分かりません


そんな、自分すら知りえない暗闇に他人を放り込むような真似を私とルビィはずっと、続けてきました
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:52:35.43 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「最近……山へと出る頻度が多くなっているのは…分かっているわよね?」

ルビィ「うん、前までは一週間に一回くらいだったのに…ここのところにはずっと毎日だよね…」

ダイヤ「そうね、ここの所ずっと現世で彷徨う霊の数が増えている…それも、二倍や三倍なんて比じゃない量で」

ルビィ「…魂を持ち上げる時も、前までとは比べ物にならないくらい大変で…」
ダイヤ「そう、通りで…」

ルビィ「え………通りで…って?」

ダイヤ「…山で仕事を終えた後、あなた息が上がってた、額には脂汗まで浮かんでいたわ」

ルビィ「…………」




ダイヤ「正直に言いなさい…ルビィあなた、体力がもう底に近いんじゃないの…?」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:53:18.84 ID:jOKdSO7D0
ルビィ「……正直苦しいけど、今はまだ大丈夫……でも、今のペースで続けてたらいつかは……」

ダイヤ「そう……」

ダイヤ「確かに私も少々力を使う度に疲労を感じるけど……私の能力より、何万もの魂を吊り上げるルビィの力の方が、遥かに体力を使う…そうよね…?」

ルビィ「………うん、たぶん…」



ダイヤ「今はまだ、ルビィと私だけで対処出来るレベルですが…今後これが加速度的に進んで行って、私たちの処理しきれない量の魂で溢れたりしたら……」

ルビィ「したら…?」

ダイヤ「死神に代わりはいないわ…その時は、この地は終いです」

ルビィ「…………」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:54:12.49 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「原因には必ず理由があるはずよ、まず目測を立てた後、調査して、原因を叩きましょう」

ルビィ「うん……」

ダイヤ「……こほん、まあ大丈夫です…!今回も、ルビィは私に付いてくるだけでいいのよ」

ルビィ「お姉ちゃん……」






「ナーオ…ナーオ」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:55:08.16 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「野良猫…かしら?結構鳴き声が近いけど」

ルビィ「………」ダラダラ

ダイヤ「………ルビィ…?」

ルビィ「な、何?…お、おおお姉ちゃん…」

ダイヤ「…………」

ルビィ「…………」







ダイヤ「…………正直に話しなさい、そしたらお父様とお母様には内緒にしてあげる」

ルビィ「…お姉ちゃんは怒らない?」

ダイヤ「内容次第ね、そんな問答していてもしょうがないから早く白状なさい」

ルビィ「う、うん……」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:56:02.46 ID:jOKdSO7D0
ガラガラガラガラ


「ナーオ、ナーオ」




ダイヤ「近いと思ったら…うちの庭で鳴いていたのね」

ルビィ「野良猫なんだけど、一週間前くらいに一回ご飯あげたら来るようになっちゃって…」

ダイヤ「それで餌付けを…?野良の動物に餌をやるのは感心しませんわ」

ルビィ「……うん、でも…初めて見た時…本当に飢えて、魂まで弱ってて…」

ダイヤ「猫の多い港町だから、一匹この辺に住み着くと何匹来るか分からないのよ、分かるでしょう?」

ルビィ「……ごめんなさい」



ダイヤ「………………」


「ナーオ…ナーオ…」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:56:43.69 ID:jOKdSO7D0
ダイヤ「……まあ、過ぎたことを言っても仕方ありません、以後気を付けなさい」

ルビィ「うん……」

ダイヤ「それと……二日に一回は追い払いなさい、ここに来れば餌が貰えると思わせない事、もし猫が庭を汚すようなことがあったなら自分で掃除すること」

ルビィ「それって、お姉ちゃん………!」

ダイヤ「……おひたしに使った鰹節が台所にあったはずです、持って来なさい」

ルビィ「う、うん…!」




「ナーオ…!アォ…!」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:57:32.05 ID:jOKdSO7D0
「……ムグ…フガッ…!ガッ…!」ガツガツ



ダイヤ「この子、名前はありますの…?」

ルビィ「ううん…野良猫だから…名前は無いよ」

ダイヤ「あぁ……そうでしたわね」




「フガッ…!…フーッ!……」ガツガツ


ダイヤ「このがっつきよう…よっぽどお腹が空いていたんでしょうか…」

ルビィ「ルビィは……」

ダイヤ「……?」

ルビィ「ルビィはエオ、って呼んでる」

ダイヤ「エオ、ですか」

ルビィ「うん、勝手にだけどね…」

ダイヤ「……そう」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:58:34.93 ID:jOKdSO7D0

「ナーオ…ナーオ…」



ダイヤ「エオ、おいでなさい」


「…………」



ダイヤ「そうです、そのままこっちに来なさい」



「…………」スタスタ



ルビィ「あっ……行っちゃった」

ダイヤ「…………」

ルビィ「あはは…嫌われちゃったかも、お姉ちゃん」

ダイヤ「ルビィ………」

ルビィ「ひっ…!」




ダイヤ「……明日も早いのですから準備なさい、今日の様な体たらくなら速攻置いていきますわよ」

ルビィ「は、はぁい……」




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37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/16(木) 23:59:28.90 ID:jOKdSO7D0
翌日、授業後の部活


善子「ハァッ……ハァッ……」

花丸「…………善子ちゃん大丈夫?脂汗すごいけど…」

善子「だ、大丈夫よ!ちょっと疲れただけよ!」

鞠莉「ここの所暑いしね〜…また冷たい物食べに行きましょう!」

千歌「賛成!」

花丸「やった!ルビィちゃんも行くずら?」

ルビィ「あ………」チラッ


ダイヤ「…………」








ダイヤ「すみません、今日も……」

千歌「え〜!……二人とも今日もすぐ帰っちゃうの?」

ダイヤ「はい…どうしても」

果南「ま、しょうがないんじゃない、家の事とか色々あるだろうし…それに練習にはキッチリ出てる訳だし」

鞠莉「でも今日は私の家でプチ合宿するって言ったのに……」

ダイヤ「それは聞いてません」

梨子「ルビィちゃん…お家の事、忙しいの…?」

ルビィ「うん……ちょっとだけ…」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:00:20.33 ID:+K74wEm20
同日夜、黒澤家


ダイヤ「調査を始めましょう」

ルビィ「うん……」

ダイヤ「まず、闇雲に探しても何も見つかりません…情報を集め、整理しましょう」

ダイヤ「ここ数週間で、死後現世に彷徨う魂の数が格段に増えている…ルビィ、どれくらいの量か分かる?」

ルビィ「ここ最近、一回の量は3、4倍に増えていて…それを処理すること自体も週一から毎日に増えてるから…」

ダイヤ「つまり…単純計算で2、30倍ってとこね…」

ダイヤ「まあ、これだけの数…恨みや未練を増幅させるなりして…なんらかの作用が魂を彷徨わせてる…と考えた方がいいわ」

ルビィ「う、うん……」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:01:43.13 ID:+K74wEm20
ダイヤ「ルビィは何か、心当たりある?些細な事でもいいわ」

ルビィ「ううん…特に何も……」

ダイヤ「まあ、そうよね……となると…手詰まりですわね…」

ルビィ「周りの子の話でも別段何か変わった話なんて……あ」

ダイヤ「……どうしたの、ルビィ」

ルビィ「……な、何でもないよ」

ダイヤ「何でもなくないでしょう…些細な事から解決に繋がるかもしれないんだから、ほら早くなさい」




ルビィ「ただ……」

ダイヤ「ただ…?」

ルビィ「……曜ちゃん、心配だなって」

ダイヤ「……………」

ルビィ「…………」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:02:38.94 ID:+K74wEm20
ダイヤ「まあ、確かに心配ですわね…曜さん、未だ退院の目処も立ってないみたいですし…」

ルビィ「う、うん……」

ダイヤ「確かに、元気な曜さんが急に倒れるなんて………」


ダイヤ「(………急に…?否、千歌さんは言っていました)」





千歌『確かに…ちょっと調子悪そうだから心配だったけど…』




ルビィ「……お姉ちゃん?」

ダイヤ「いえ…なんでもありません、今日はここまでにして、早く山の方に行きましょう」

ルビィ「う、うん……」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:03:29.91 ID:+K74wEm20
その夜、山への道

ダイヤ「一応、注意しながら歩きなさい、何か痕跡があるかもしれませんから」

ルビィ「うん、分かったよお姉ちゃん」

ダイヤ「あれだけの数、草木を巻き込んでるにしても相当の数です…それなりの跡が残るはずなんだけど…」

ルビィ「………うーん…今のところは何も感じないや…」





「ナーオ、ナーオ」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:04:00.93 ID:+K74wEm20
ダイヤ「あれは……」

ルビィ「エオだ!黒い毛で、背中にまん丸の白い模様があるもん」



ダイヤ「こうも暗いと…目だけ光って見えますわね…」

ルビィ「そうかな…ルビィは顔も良く見えるけど…あ!こっち来た!」

ダイヤ「………!」

ルビィ「わわっ…!ルビィの靴噛んじゃだめだよぉ……」



「フニャーオ、ニャーオ」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:04:26.01 ID:+K74wEm20
ダイヤ「野良ってどれくらいの範囲を動き回るんでしょう?」

ルビィ「うーん…猫さんの動く範囲…ちっちゃいからあんまり動けないのかも」

ダイヤ「動物の中には、飼い主を探して何キロもの道のりを歩ききるのもいたりするみたいだけど…」


「ナーオ、アアォ…!」




ダイヤ「ふふっ……痩せているあなたじゃ無理そうですね」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:05:19.42 ID:+K74wEm20
ルビィ「お姉ちゃん…また挑戦してみる…?」

ダイヤ「………ええ」

ダイヤ「ほら、エオ…こっちに来なさい、ほら…こちらに」




「ナアォ………アォ………」

「………………」プイッ



ルビィ「わっ!……こっち来ちゃった……」

ダイヤ「……………」






ダイヤ「………外出の目的は今日の勤めを終わらせる為だったはず…さっさと行くわよ」

ルビィ「あ…待って、行かないで!お姉ちゃん…!」

ダイヤ「ほらルビィ、置いて行くわよ」

ルビィ「お姉ちゃん…!あっ…エオ、バイバイ…またね」





「ナーオ…ナーオ…」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:06:01.15 ID:+K74wEm20
その後、山頂


ルビィ「はぁッ……はぁッ……」

ダイヤ「ルビィ………やっぱりあなた…」

ルビィ「ごめんねお姉ちゃん…大丈夫、大丈夫だから……」

ダイヤ「……息が整ったら、下山するわ……明日の準備は私がやっておくからルビィは早く寝なさい」

ルビィ「うん……あり……がと」

ダイヤ「ほら、水筒持って来たわ…水飲みなさい」

ルビィ「うん……ごめんね、お姉ちゃん」

ダイヤ「……それは、先程もう聞きました」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:06:31.75 ID:+K74wEm20
翌朝、三年生教室


鞠莉「おはよ〜!ダイヤ」

ダイヤ「……朝くらい静かに出来ないのですか」

鞠莉「なによ〜!折角だし元気出していかないと!本戦まで張り切って行くわよ!」

ダイヤ「そういえば……昨日皆は鞠莉さんの家に泊まったんですよね」

鞠莉「ええ、そうよ!とっても楽しかったのに…黒澤シスターズと曜が居ないのが残念で仕方が無かったわ…!」

ダイヤ「……そうですか」

ダイヤ「(今日の練習終わり……とにかく外に出て調査を……いや、この際練習は私とルビィは一時お休みにしてもらって…授業後すぐから…)」




鞠莉「……………」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:08:38.11 ID:+K74wEm20
鞠莉「どうしたの?ダイヤ…上の空よ?」

ダイヤ「あ、いえ……すみません」

鞠莉「悩みがあるなら何でも言って!解決できるかは別として、話し相手くらいにはなるわよ…?」

ダイヤ「悩み……ですか…」

ダイヤ「(鞠莉さんに事の顛末を語るのなんてもっての他…だけど、何かの拍子にヒントくらいなら…)」




ダイヤ「最近…何か変わったことなんか…ありましたか…?」

鞠莉「あー……そういえば、善子はすぐ寝ちゃって…朝準備のために家に送ったんだけど…その時も全然起きてなかったのよ…」

鞠莉「そんでもって、今日さっき体調不良で休むって連絡が来てて…それが心配ね」

ダイヤ「善子さんが…?」


ダイヤ「(あれ……そういえば善子さんって…)」







善子『ハァ……ハァ……』

花丸『…………善子ちゃん大丈夫?脂汗すごいけど…』

善子『だ、大丈夫よ!ちょっと疲れただけよ!』
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:09:20.97 ID:+K74wEm20
ダイヤ「(曜さんに続き、善子さん……二人に渡った異常ともいえる体力の減退)」

ダイヤ「(意識に影響する程ならそれは、立派に命を、魂を蝕まれているはず)」




ダイヤ「(……私は以前“死”の量が増えたとは考えにくい、そう思いました)」

ダイヤ「(それは私が…死んだ魂を扱っているから…彷徨う魂の量を見て、その量を判断しているから)」

ダイヤ「(でも、この現象の元凶が…死んだ魂の怨み辛みで彷徨うように仕立て上げる、なんて生温いものじゃなくて…もっと…)」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:10:02.93 ID:+K74wEm20
一年生教室


花丸「あれ、扉の所に三年生の人がいるずら」

ルビィ「あ…ホントだね」

花丸「というか…あれダイヤさんじゃない?ドンドン近づいてくる」

ルビィ「そ、そうだね」





ダイヤ「…………」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:10:31.31 ID:+K74wEm20
ガシッ

ルビィ「ヒッ……」

ダイヤ「ルビィ…今日は私達は早退よ…ちょっと来なさい」

ルビィ「うえっ…!?まだ一時間目も始まってないよ?」

ダイヤ「……早くなさい、詳細は移動しながら話すわ」

ルビィ「…………うん、分かった」

花丸「(え………これ大丈夫ずら…?)」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:11:03.39 ID:+K74wEm20
ダイヤ「……本当に、あれだけの数の生きている魂に干渉し続けているとしたら…?」

ルビィ「え……?」

ダイヤ「件の魂についての話です…」

ルビィ「あ、ああ……でも、干渉し続けているって…どういうこと?」

ダイヤ「……言い方を変えましょう」







ダイヤ「本当に、あれだけの数を殺していたとしたら?」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:11:54.12 ID:+K74wEm20
ルビィ「え、でも……生きている魂を[ピーーー]なんてそれだけで一苦労なのに…それをあんな数なんて……無理だよ!」

ダイヤ「ええ……健全な、生きている魂を殺しきるには…相応の腕を持った魂の扱い手でもそれなりに手間取るわ……そうね、私でも半日で一つ壊せるかどうか…」

ルビィ「それじゃあ……どうやって…」

ダイヤ「なら、他人にやってもらえばよいのです」

ルビィ「他の…人に…?」
53 :>>52 修正 [saga]:2018/08/17(金) 00:12:32.01 ID:+K74wEm20
ルビィ「え、でも……生きている魂を殺すなんてそれだけで一苦労なのに…それをあんな数なんて……無理だよ!」

ダイヤ「ええ……健全な、生きている魂を殺しきるには…相応の腕を持った魂の扱い手でもそれなりに手間取るわ……そうね、私でも半日で一つ壊せるかどうか…」

ルビィ「それじゃあ……どうやって…」

ダイヤ「なら、他人にやってもらえばよいのです」

ルビィ「他の…人に…?」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/17(金) 00:13:23.34 ID:+K74wEm20
ダイヤ「壁を壊すのが大変なら、最初のヒビだけ入れて、あとは壊してもらえばよいのです……それなら自分自身には大した手間になりません」

ルビィ「……でも、そんな……まさか犯人は複数いるとか…?」

ダイヤ「……100や200の死神が居たとしても、あの数は無理でしょうね」




ダイヤ「まず、生きてる魂に、そこそこの深さで傷を付けます…傷つけられた魂は宿主もろとも衰弱していきます」

ルビィ「傷を付けるのは簡単なの…?」

ダイヤ「ええ…どこでも、適当に狙いを定めるだけなら…簡単に済ませられるでしょう」
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