巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」

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231 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/28(水) 18:07:11.83 ID:Z+np8IrG0
『きゃー!』

最原「!」

百田「お、おいおいおい! なんだありゃ! ふざけんなッ!」

最原(画面から聞こえる悲鳴。再び彼女に目をやると、信じられない光景が広がっていた)

最原(いつの間にか、彼女は檻に閉じ込められている。同じような檻を縦に長く積み上げた妙な檻だ)

最原(足元には水が流し込まれ、このままだと天井にまで達して呼吸ができなくなってしまうだろう)

最原(……ああ。そうか。あの檻のコンセプトは――!)

モノクマ「超高校級のマジシャン、夢野秘密子おしおき。『ミラクル大脱出ショー!』だよ」

夢野「んあっ!?」

モノクマ「あの外から完璧に丸見えな檻の中で、溺死したくないがために上の檻上の檻へと昇って行く夢野さんを眺めるっていうコンセプトの処刑方なんだ」

モノクマ「……けど、まあ使わなくなっちゃったからね。ここで一気に流用して放出しちゃおうってことで」

真宮寺「なるほど。檻と檻を仕切るドアの間には錠前……か。これをクリアして上に昇っていかなければあっという間に溺死だネ」

天海「ちょ、ちょっと待って! この際、なんでここにナーサリーさんが、とかは置いておくっす!」

天海「まさか俺たちの敗北条件ってのは!」

モノクマ「『時間内にこちらが出すタスクをクリアしない場合、一人ずつ死人が出る』……わかってくれたかな! 生徒諸君!」ギンッ

モノクマ「あ。ちなみにね。あのおしおきのクライマックスは『一番上の階層に辿り着いたところで排水、その後すべての檻を分解して自由落下』だよ」

モノクマ「落下した後は檻を構成する部品の一つ一つが夢野さんに突き刺さる想定だったんだけど……」

夢野「あぶあぶあぶ」ブクブク

アンジー「わー! 大変だー! 秘密子が気絶しちゃったよー!」

入間「こ、この人でなし!」

赤松「巌窟王さん! 彼女に手品の心得とかは!?」

最原「!」

巌窟王「……そんなものは……ない……!」ギリイッ

最原(待てよ。それじゃあモノクマが想定したクライマックスより先に、彼女は……!)

百田「出題しろモノクマッ! いいから問題を出せぇーーーッ!」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 04:02:30.28 ID:VxKO6D/H0
蒼人
@aoto_vail
はい!お尻だよー
4枚目はやられ?だよー
233 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/29(木) 19:27:00.70 ID:2+ZUvhFC0
モノクマ「はいはーい! それじゃあ始めましょう学級裁判! 記念すべき第一問はーーー!」

ジャジャンッ

モノクマ「『この学園の正体とはなんでしょう』、です! それじゃあナーサリーライムさんが死ぬ前にきっちり議論してねー!」

モノクマ「……って、言うほどのことでもないか。わざとそんな問題にしたんだし。すぐに答えられるよね、これ」

百田「この学園の正体……って……アホか! それが今までわかってなかったから俺たち今までこんな目に遭ってたんだろうが!」

百田「今更こんな問題出されたところで一時間二時間じゃどうにも――」

最原「できるよ!」

百田「……終一?」

最原「モノクマ……お前がそういうつもりなら僕は一切容赦しない」

最原「白銀さんと一緒にお前も助ける必要があるかも、と一瞬思ったのがバカみたいだ」

最原「僕にはもう二度目はない!」ギンッ

百田「……?」

巌窟王「……最原。一度目が既にあったような物言いだな。BBのことを気にしているのか?」

赤松「ッ! でもあれは……どうしようもなかった、よね……」

最原(どうしようもなかった……だって?)

最原(違う。僕はそんな言葉で片付けられない。理屈でわかっても心が拒む)

最原(仮にあれがどうしようもなかったとしても、だ! 目の前のアレはまだ『どうにかなること』だ!)

最原「檻なら壊す。そういうものはもう沢山だッ!」
234 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/30(金) 20:20:57.75 ID:WnrGFHOm0
百田「終一! もうわかってるんだな! この問題の答えが!」

天海「え……あれ? 百田くんはわかってないんすか?」

百田「あん?」

天海「……いや俺自身、未だに納得できてないんで『わかってない』のは別にいいとして、この調子だと『知らない』んすね?」

天海「なんで……」

入間「……」

獄原「……」

天海「……あー……誰も喋らなかったんすね。喋りたがらなかったから」

百田「んだよ。また『何かを思い出した組』だけの話かよ」

夢野「んあ? いや……ウチも心当たりはないぞ?」

アンジー「秘密子、起きるの早いなー」

巌窟王「訊ねられれば誰もが喋っていただろうさ。まさかあんな場所で世界の真相を知ることになるとは思うまい」

王馬「んー? あんな場所ってどんな場所?」

最原「新世界プログラムだよ。あの中で僕たちはこの世界の真実を知ったんだ」

春川「待って。急に飛躍しすぎだよ。問われてるのはこの学園の正体でしょ。それが何だって『この世界の真実』に繋がるの?」

巌窟王「世界の真実が、そのままこの学園の正体に直結するからだ」

百田「なんだって?」

最原「いつまでも助けが来ない閉鎖空間。見世物のような悲劇。非現実的なガジェット……」

最原「それらすべてが誰かに用意されたとして、それを実行したのは一体誰か」

最原「……外の世界だよ」

春川「……?」

百田「外の世界の、頭のイカれた秘密結社、とかか?」

最原「違う。『外の世界の誰か』じゃなくって『外の世界そのもの』なんだ」

百田「……は?」

最原「……この学園で目覚めた僕たちは」

最原「これまで思い出した記憶や、築いてきた記憶のすべては!」








最原「この学園の正体は――外の世界の、誰かの為の物語なんだよ!」
235 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/01(土) 19:58:45.51 ID:5QZnL8xe0
百田「………………………………………………」

百田「ハルマキ?」

春川「私に振らないで。こっちだって意味不明だよ」

王馬「ふーん……へえー」

王馬「なるほど。超納得した!」バァーーーンッ

茶柱「超!?」ガビーンッ

夢野「いや……確かにそう考えると腑に落ちるものがいくつかあるぞ」

夢野「あの隠し部屋からの監禁を破った後、BBと一緒にキーボオブジェやら何やらを調べたときに色々聞いたんじゃ」

夢野「この学園は明らかにキーボの目を通して誰かに見られていたとBBも言っていた」

夢野「誰かに『エンターテイメント』として楽しまれている。その可能性はウチも当然考えておったぞ」

夢野「なるほど! 確かに超納得じゃな!」ババーーーーンッ









夢野「とか言うわけないじゃろッ!」ウガァ!

アンジー「ノリツッコミ出たー!」

夢野「いくらなんでも世界規模で楽しまれているわけが……」

ピンポンピンポーン!

モノクマ「コングラッチュレイショーーーンッ! 大正解でーす!」

夢野「」
236 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/02(日) 22:12:54.12 ID:0P2V6zMT0
夢野「……嘘じゃろ……えええええええええ!? 嘘じゃろおおおおおおお!?」ガビーンッ

夢野「あ、いや実際嘘なんじゃろ! モノクマの言うことを今更信じられるわけが……」

王馬「いやこういうときのコイツは一度として嘘吐いたことないじゃん。モノクマだからこそ信じられるよ」

夢野「……」

春川「……本当なんだね。私たちのすべてが世界規模で、エンターテイメントとして消費されていたっての」

百田「待っ――」

百田「……つ必要はねぇか! その前にやることがある! 話はその後だ!」

最原「そうだ! モノクマ! 早くおしおきを止めろ!」

モノクマ「は? 止められないけど?」

最原「……は?」

巌窟王「……?」

巌窟王「聞き間違いか? または言い間違いか?」

モノクマ「どちらでもないなぁ! いや、よく考えてみてよ! 流用なんだよ?」

モノクマ「一度動き出したおしおきガジェットは、処刑が終了するか『処刑する前に処刑対象が消失する』以外の終了方法がないんだって!」

モノクマ「今まで散々目の前で見て来たはずだけどなぁ?」ニヤァ

巌窟王「……そうか。わかった。アンジー!」

アンジー「ほえ?」

アンジー「……ああ! なるほどー! 了解了解ー!」キラキラキラ



ボオウッ


獄原「巌窟王さん、何を……!?」

巌窟王「今までと同じだ。この地獄へと引きずり、連れ込む。そうでなければ彼女の命はないだろう」

巌窟王「……この空間は、前々から思っていたが『歪』だからな」

真宮寺「そうか……助けに行くんだネ。そしてモノクマは『正答さえ得られれば特にそれを制限しない』……」

真宮寺「でもあれ、どこだかわかってるの?」

巌窟王「クハハハハハハハハハハハハ!」

巌窟王「……わからん」

赤松「ダメじゃんっ!」ガビーンッ
237 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/02(日) 22:31:59.09 ID:0P2V6zMT0
巌窟王「それ以前の話だ。かなり話は巻き戻ってしまうが……ここはどこだ?」

東条「裁判場でしょう?」

東条「……」

東条「いや。そうね。本当にそう。ここは具体的にどこなのかしら」

入間「なに二人して痴呆老人みてーなこと言ってんだ! どこも何も裁判場……」

入間「……」

入間「あっ。そうだ。俺様たちここが『どれだけ深い場所にあるか』を知らねぇ! 正確に測ったことなんてねぇもん!」ガビーンッ

巌窟王「この場所の位置情報と、合わせてナーサリーライムの位置情報が必要だ」

最原「モノクマ!」

モノクマ「ボクは教えないよ? ここは一応学級裁判。基本的には生徒同士の情報交換と柔軟な思考で突破してほしいなぁ?」

モノクマ「……とは言え、裁判場の位置情報まで欲しがるとは思わなかったから、それに関してだけは公開してあげようかな。モノパッドを後で確認してね」

春川「……肝心の情報を教える気はないみたいだね」

最原「いや。今の一言は大きなヒントだよ。モノクマは基本的に『答えられない問題』は出さないから」

最原「多分、生徒同士の情報交換でほぼなんとかなる範囲ではあるんだ」

獄原「でもなんでナーサリーライムさんがここに……モノクマが連れて来たのかな」

最原「……違う! でも考え方はいいかもしれない!」

獄原「え?」

最原「つまり、彼女をあそこまで連れ込める人物に直接的に訊けばいいんだよ! あの場所がどこなのかって!」

最原(彼女をおしおきガジェットのある場所まで連れていって、あまつさえ監禁できる人)

最原(尚且つ、モノクマからの情報提供に依らずに今すぐに確認することができる位置にいる人)

最原「この裁判場に、その答えを知っている人はたった一人しかいない!」
238 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/03(月) 22:54:43.57 ID:2trGZ3Vl0
最原「キーボくん! 答えてくれる?」

キーボ「……」

百田「キーボ……? あ、そっか! セミラミスの件もあったしな! あれと同じように、あの女の子もさらったってわけか!」

春川「根拠がセミラミスだけ……? それじゃあちょっと確証とするには薄すぎるんだけど」

巌窟王「俺は最原の意見に賛成だ。ナーサリーライムをあそこまで連れ込める者がいたとしたらキーボ以外に考えられない」

巌窟王「アイツは俺と同じ、サーヴァントだからな。はっきり言って、モノクマにも白銀にも、アイツをかどわかすことは不可能だぞ」

王馬「えーと。つまり強すぎて普通の人間だと監禁は無理ってこと?」

巌窟王「戦闘に特化したサーヴァントではない……が、常人が工夫でどうにかできる範疇を遥かに凌駕している。間違いない」

星「……もう推理の地盤固めに徹する時間はないみたいだぜ。見ろ」

夢野「んあ……? あれ。ナーサリーが消えておるぞ。どこに行ったんじゃ、アイツ」

天海「……あっ」

赤松「……!」

最原(全員が言葉を失った。もう時間が無い……というよりはほぼタイムアップに等しかった)

最原「最初の檻が沈んだんだ! 消えたんじゃない! 水面下に潜ったんだよ!」

茶柱「ほ、本当に時間がありませんよ……! どうするんですか! どうしたら……!」








キーボ「病院の真下です」

巌窟王「!」

赤松「えっ」

キーボ「病院の真下、五十mの位置にいます」

巌窟王「アンジーッ!」

アンジー「まるっと持ってけドロボー!」


ボオオオオオッ
239 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/04(火) 18:34:47.55 ID:Tzlf4PU30
項羽は来た……なのになぜぐっさんが来ない……!?
今日中にぐっさんが来ないと酸欠で死んじゃいそう
240 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/04(火) 22:33:49.43 ID:Tzlf4PU30
ビュンッ バガァァァァァンッ

赤松「す……凄い勢いで行っちゃった」

アンジー「前みたいに真っ直ぐ上にって感じじゃなく、最短距離でキーボの言ってた座標に向かってるねー!」

赤松「ていうかキーボくん喋れたんだ!?」

最原「まあ……喋れなくなったと誰かに聞いたわけじゃないし、多分質疑応答に問題はないだろうなとは思ってたけど……」

最原「本当に素直に答えてくれたなぁ」

百田「たりめーだろ。キーボは仲間なんだからよ」

茶柱「妄信しすぎですよ。それはそれで」

茶柱「で?」

最原「え?」

茶柱「転子たちのコロシアイがエンターテイメントとして外の世界で楽しまれていた、というのはわかりました」

茶柱「おそらくそれがキーボさんの目を通じて発信されていたんだろう、ということもまあ納得は出来ます」

茶柱「でも最原さんたちの言を信じるのならキーボさんはちょっと前からずっと、あのオブジェの中に監禁されてたんですよ?」

茶柱「だとすると……転子たちの生活はそこから一切外に発信されることはなかった。そういうことでいいんですか?」

王馬「あれ。それはちょっと不自然だね。『外の世界の娯楽として楽しまれてた』ってトンデモ説を撤回してもいい程度には」

王馬「だってキーボオブジェが現れたのって数日前だよ? そんなに長い間放送休止にしてたっての?」

最原「それは違うよ。キーボくんの目が無くなった後すぐに、別の物を介して僕たちのことを見ていたはずだ」

天海「……」

天海「隠しカメラ……っすね。キーボくんが消えた直後から作動し始めた装置なんて、あれしか考えられないっす」

夢野「あのカメラはキーボの代わりだったというのか?」

夢野「……もうちょっといい角度で映っておくべきじゃったのう」ポッ

百田「なにちょっと照れてんだテメェ!」
241 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/05(水) 21:27:02.05 ID:anceLt3f0
春川「……やっぱり納得できない。エンターテイメントってどこからどこまでが?」

春川「外の世界は滅んだんじゃなかったの? 私たちは地球の唯一の生き残りのはずでしょ」

春川「私が覚えてる限り、あの状況下から人類が一気に復興するような要因は一切なかったはずだけど」

夢野「え? なに? 春川も春川で何言っておるんじゃ?」

獄原「あ。そっか。夢野さんは新世界プログラムに入ってないから思い出しライトを浴びてないんだね」

夢野「ああ。なるほど。思い出しライトの話かー……思い出しライトの話か!?」ガビーンッ

最原「そもそも、その思い出した記憶そのものが嘘だったとしたら?」

春川「……?」

最原「言ったはずだよ。思い出して来た記憶のすべては『誰かの為の物語』だ」

最原「全部が全部、作られたフィクションだよ」

春川「……!?」

茶柱「証拠は!? そんなこと急に言われたって、すぐ『はいそうですか』と納得できるわけないでしょう!」

最原(証拠か……なにせ記憶の話だからな。証明することは難しいだろう)

最原(僕は『今まで思い出した記憶のすべてが作り物』だってことを感覚で知ってるけど……)

最原「……ん」

茶柱「どうしたんですか? 証拠を出してくださいって言ってるんですよ?」イライラ

最原「ごめん。ちょっと待って」

最原(なにか引っかかったな……ここであったことを全部覚えてる以上、忘れてるってことはありえないんだけど)

最原(僕は今、何かを見落としてる……?)

最原「……あっ」

茶柱「?」

最原(そうか。推理が思わぬところで繋がったかもしれない)

最原「順序だてて答えていこう。今のところ、この学園の謎は新世界プログラムの中で手に入れた情報でほとんど答えられると思う」

最原(そして……最後の課題。キーボくんの修繕方法も)
242 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/06(木) 22:04:56.66 ID:p+luQkq00
最原「証拠……証拠か。これで納得してもらえるかどうかはわからないんだけど……」

茶柱「なにをもったいつけてるんですか。もっと自信持ってくださいよ、多分正解なんですから」

最原「仲間だからと言って妄信するなって百田くんに言った傍から凄い信頼だね……」テレッ

茶柱「変なところで照れないでくれませんっ!?」ガーンッ

最原「証拠を出す必要はないよ。周りを見てくれればわかると思う」

最原「ずっとゴタゴタしてたからね。精査してる暇もなかったかな」

星「……そうか。あまりにも明らかすぎて抜け落ちていたぜ」

星「俺たちは『死んでいたこと』になっていたんだったな? 『こちらに残った生徒たちの中』では」

茶柱「あっ!」

最原「そう。この点においては間違いなく『僕たちは記憶を改竄されていた』という状況証拠だ」

最原「……少なくとも『辻褄の合わない記憶を持っていた』とは断言できるよね?」

百田「……」

春川「それは……!」

最原「まあ所詮は状況証拠。これだけだと根拠としては弱いんだけど……」

最原「『ありえなくはない』って感じてくれるだけで今は充分だよ。記憶に関する証明って本当に難しいんだ」

真宮寺「そもそも、法と秩序に満ち溢れた外の世界においても、実は『決定的な証拠』ってヤツは中々レアなんだよネ」

真宮寺「裁判において重要なのは小さな根拠の積み重ねさ……まさに今やってるようにネ」

最原(本当はモノクマカラーのノートパソコンの中に入ってたオーディション映像とかもあるんだけど……)

最原(そこまでやる必要はまだないかな)
243 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/07(金) 21:54:36.25 ID:q5GYL+LN0
百田「ていうかよ。テメェら基本的なこと忘れてるんじゃねぇか?」

百田「キーボが現れてからの学園でのイベントは本当に心当たりがないみたいだけどよ」

百田「それ以前のことなら全部知ってるヤツがこの場にいるし、学級裁判の場なら話も聞けんだろ?」

百田「もう終一も過剰に守ったりしねーよな?」

最原「ん……そうだね。それじゃあそろそろ彼女に話を聞いてみようか」

茶柱「白銀さん」

白銀「……それは別にいいんだけどさ。最初から最後の学級裁判において真実を小出しにすることが首謀者の役割なんだし」

白銀「でもそんなことしてる暇ある?」

最原「え」

白銀「巌窟王さん遅くない?」

星「……おしおき、まだ続いてるな……?」

赤松「あれ? 変だな。もう巌窟王さん到着したの一瞬見えた……っていうか、水面の下に見える黒いのって巌窟王さんの炎だよね?」

アンジー「えっとねー……」

アンジー「『牢が頑丈すぎて壊せない』だって」

百田「あ!? 壊せないってことはねーだろ! だってアイツ、エグイサルだって破壊できてたよな!?」

アンジー「理論値の上では壊せないことはないんだけど、それやるともう本当に危ないんだよねー。消滅しちゃう」

東条「キーボくんと戦ったときの傷……!」

獄原「まだ響いてたの!? いや……それはそうだよ! 響いてないはずがないんだ!」

最原「どうしたら……!」

夢野「落ち着け。壊せないのなら分解すればいいんじゃ」

最原「!」

入間「アホか! どっちにしても似たようなもんだろ!」

最原「入間さん黙って!」

入間「」

最原「夢野さん! 何か心当たりがあるんだね!?」

夢野「ウチは赤松のようなアホはせんぞ。自分の分はキチンと弁えとる」

夢野「この超高校級の魔法使いに任せるがよい!」シャキィィィンッ
244 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/08(土) 20:04:03.04 ID:bKKTIJrh0
おしおき装置内

巌窟王「……」ゴボゴボ

巌窟王(物凄く苦しい! 仮にも霊体だというに、ただ水の中にいるだけで凄まじい不快感だ!)

巌窟王(久しいな。これが酸欠の感覚か)

巌窟王(……さて。しかしどうしたものか。俺より先に沈んでいたナーサリーは俺の比ではないはずだ。一刻の猶予もない)

アンジー『秘密子から伝言ー!』

巌窟王「!」

巌窟王(念話か……)

アンジー『水を運ぶ機構がどこかにあるからそれをぶっ壊して、だってー!』

巌窟王(バカな。そんなことをしたところで水が消えるわけではないぞ。魔力の無駄だ)

アンジー『あ、いや違くて。水をもっと多くしてほしいんだってー!』

巌窟王(何?)

アンジー『多分そうすればおしおきのシークエンスを時間的に短縮できるんだってさー。水が一定まで溜まったらすぐ排水!』

アンジー『……って仕掛けになってるからさー!』

巌窟王「……」

巌窟王(その場合、水圧の急激な増減でナーサリーに負荷がかかるだろうが……やらないよりはマシか!)




裁判場

最原「そうか。水が一定以上に溜まったら排水する手順になっているのなら……!」

夢野「もっと入れてやればいいんじゃ。そして速やかに排水。楽勝じゃろ」

百田「お、おお……すげぇ! 夢野すげぇな! よく気づいたもんだ!」

東条「それなら直接的に排水機構を破壊すればいいんじゃないかしら」

夢野「お勧めはできんのう……檻の関係で」

獄原「檻がどうかしたの?」

夢野「アンジー。続けて伝言じゃ。ちゃんと伝えるんじゃぞ」
245 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/09(日) 22:42:24.33 ID:oNAHjEG20
おしおき装置内

巌窟王「排水と檻の分解が同時に起こる?」

アンジー『だってー』

巌窟王「どういうことだ?」

アンジー『んっとねー! おしおきのシークエンスに、排水した後で檻を分解して終わりってのがあったでしょー?』

アンジー『その檻の仕掛けを見た秘密子が気付いたんだけどねー。その檻ってカラクリ細工なんだってさー』

アンジー『排水のときの水流で、隙間に入った水が檻の金具を弄るんだー』

巌窟王「なるほど。同時に排水によって檻を支えていた水の浮力が消え、結果檻は倒壊。中にいる者はそれに巻き込まれて命を落とす……」

アンジー『……あれ?』




裁判場

アンジー「言ってて気づいたけど、これ中の人、全然大丈夫じゃないよねー?」

夢野「そうじゃな。じゃがこの場合、ナーサリーがいるのが一番下の檻だというのが不幸中の幸いじゃ」

夢野「少なくとも墜落死をすることはない」

最原「……墜落死以外の危険性は?」

夢野「さっきモノクマが言ったような『檻のパーツが体に突き刺さって』ってヤツなら、あれじゃ」

夢野「賭けに出るしかないのう。モノクマのおしおきじゃからな。排水してから倒壊するまでの間には『もったいつけるようなモラトリアム』がある……」

夢野「と、思う」

最原「思う!?」ガビーンッ

夢野「倒壊する直前に檻の柵を一本取り外し、ナーサリーを救出し、外に出て安全圏に行けるはず!」

夢野「……じゃといいな」ガタガタ

最原「分の悪いギャンブルっていうか、夢野さんの願望だよね!?」

夢野「うっさいわアホウ! 流石に超高校級の魔法使いにも限度はあるんじゃあ!」

百田「でもよ! 今のところそれしか可能性はないだろ! 時間も明らかに足りてねえ!」

王馬「言うだけなら簡単だよね。実際に命を賭けるのは巌窟王ちゃんだけにさ」

アンジー「……」

巌窟王『かまわない。指示を出せ、マスター』

アンジー「!」

巌窟王『……それでいい』ニヤァ
246 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/10(月) 22:59:07.90 ID:v/Ep0xXb0
最原「……賭けに乗るんだね。巌窟王さん」

アンジー「うん。そのつもりみたい」

アンジー「……お願い!」

巌窟王『クハハハハハハハハ!』



ザパァァァンッ



春川「あっ」

百田「なんだ!? 水を運ぶポンプに攻撃したのか!?」

王馬「いや。あれは出水口の内の一つに何かを突っ込んだように見えたけど」

王馬「なんだろ。猫のぬいぐるみみたいな……」

最原「!?」ガビーンッ

天海「!?」ガビーンッ

白銀「!?!?」ガビビーンッ

巌窟王『……よし。あれは既に回収したな』

巌窟王『赤松! さっさと起爆指示を出せーーーッ!』

赤松「え? なに? 画面越しに何言ってるの?」

ネコアルク「お嬢。お嬢」クイクイ

赤松「ん。どうしたのネコアルク」

ネコカオス「起爆指示待ちだ。いつでも言ってくれ」

赤松「……」

赤松「……!?」バッ

最原(赤松さんも気付いたようだ。出水口にギチギチに詰め込んだそれは、水のせいで歪んでいるけど間違いなく)






赤松「ネコアルクじゃんッ!」ガビーンッ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 04:18:56.83 ID:TlwWRliXO
そ、そうきたか〜
248 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/11(火) 19:39:00.65 ID:tNxOnlPX0
爆死のダメージが抜けきれてないので今日はなし……
249 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/12(水) 20:21:53.34 ID:Vp1Edu8Q0
赤松「き、起爆スイッチ……え!? なに!? 私に指示を出せって!?」

ネコアルク「決断を。閣下」

赤松「誰が閣下!?」ガビーンッ

ネコカオス「ただそのボタンを押す前に言っておく」

ネコカオス「ネコアルクは全員同型機だが、別々に行動する以上、どうしても経験と蓄積データに差異が生じる」

ネコカオス「その結果、稀だが突然変異のような個体が出ることもある。たまごっ●のようにな」

赤松「……えっと、それで?」

ネコカオス「その上で、だ」

ネコカオス「その別個の個性を産んだ後でも変わらないものもある。マスター、我々はあなたのことが大好きだった」

ネコアルク「それを知ってくれるだけで……それを知ってくれるだけで散っていくあの子も……ぐすっ! うかばれるっ!」ダバァァァァ!

赤松「重いよぉーーー!」ガーーーンッ

王馬「こいつら……わざとやってるのかな……」ヒキッ

春川「王馬が引くなら相当だよ」

ネコアルク「まあ冗談は置いといて指示をどうぞ」

赤松「……あの……うーんと……」アタフタ

最原「赤松さんっ!」

赤松「……わかったよ! わかってるって! ネコアルク! 起爆して!」

ネコアルク「泣いて赦しを乞うがいい……!」キラーーンッ







おしおき装置内

ネコアルク「滅びの定めにすら見放された、我が永遠の慟哭……空よ! 雲よ!」

巌窟王「?」

ネコアルク「哀れみの涙で……命を呪え!」

巌窟王「なんだその詠唱は」

ネコアルク「知り合いの自爆宝具のマネっこー」カッ



ドカァァァァァンッ!
250 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/13(木) 20:44:23.60 ID:l4t6TgLE0
ザバァァァァァ!

巌窟王(よし。水の勢いが増した。これならあと二十秒もあれば……)

巌窟王「……二十秒すら惜しいぞ! 間に合え!」ソワソワ

ガチョンッ ザバァァァァァ!

巌窟王「……排水が!」

アンジー『始まった! しかも思ったより排水のペースが速い!』

巌窟王「アンジー! 搾り取るぞ!」ボオオオオッ!

ギュンッ ドボンッ




裁判場

最原「また潜った!」

夢野「水流で金具が弄られた直後、水の浮力が消える直前を狙っておるんじゃな。それでいい! それがベスト!」

王馬「でもここまでしても、結構な時間かかっちゃったからなー。あの女の子の命が風前の灯火状態なことに変わりはないよね」

王馬「仮に助けられたとしてもさ、何らかの後遺症が残っちゃうかもよ?」

百田「おい王馬。言いたいことがあるならもっとハッキリ言え」

王馬「適当なところで諦めて戻ってくるように指示するのも勇気なんじゃないの? どっちも死んだら元も子もないんだしさ」

最原「……それは」

アンジー「大丈夫。アンジーは信じてるから」

最原「!」

アンジー「絶対に上手く行く……アンジーがそうだと信じてるから、絶対にそうなんだ!」
251 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/14(金) 22:23:25.79 ID:J8Q6hvgm0
おしおき装置内

ガタガタッ ゴトンッ

巌窟王「……」

巌窟王(水の中だと音の速さは空気中の三倍だったか……檻からやたらと音が聞こえる)

巌窟王(しかし凄まじい水流だ! ナーサリーは……檻があるから排水機構に詰まるということはないだろうが)

巌窟王(関節が変な方向に折れ曲がる程度は覚悟しておいた方がいいな)

巌窟王(その場合はアンジーにまた魔力を貰うとして……)

巌窟王「……」

ガチンッ

巌窟王(……水流で稼働するタイプの金具はすべて緩み切ったようだな)グッ

カキンッ

巌窟王(よし。柵が外れる! これならば……!)


ザバァァァァ!


巌窟王「ぶはっ……」

巌窟王「はっ?」




裁判場内

夢野「……はっ?」

最原「なんか……早いよね? 排水が終わるの」

百田「お、おい。一番下の檻、柵が一本しか外れてねーぞ?」

夢野「……あー……あれじゃな。あれのせいじゃ」

夢野「ちょっと出水口の破壊の仕方が乱暴すぎたのう。部屋自体に亀裂ができておるな? そこから水が漏れたんじゃ」

夢野「ま、まあ? でも? ということはじゃぞ? 水流の動きがおしおきの想定外のものになったということであってな?」ガタガタ

夢野「案外このまま檻が倒壊しないという可能性もなきにしもあらずというかじゃな?」ガタガタ



ドガラガラガシャァァァァァンッ!



夢野「きゅー」バターンッ

王馬「また夢野ちゃんが気絶したよ!」
252 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/15(土) 23:32:50.44 ID:jovtiEa90
百田「お、檻が……!」

春川「巌窟王はどうなったの……? 救出は!?」

真宮寺「檻の柵は一本しか外れてなかった。一瞬しか見えなかったけど、それだけは確かだヨ。あれじゃあ片腕一本分しか通り抜けられない」

真宮寺「巌窟王さんのスピードなら檻の倒壊から逃げきれた……かも。でも救出の方は絶望的だネ」

赤松「そ……そんな……!」

最原「アンジーさん! 巌窟王さんとの連絡は!?」

最原「……」

最原「あれ。アンジーさんはどこ?」

王馬「あっちの方でモノクマと話し込んでるよ」

最原「?」

最原(なんだろ。モノクマが命乞いに類する交渉に首を縦に振るとは思えないけど……)

アンジー「ドライヤー貸してー」

モノクマ「いいよ!」

最原「……なんで?」

アンジー「え? 逆になんでー?」

最原「え?」

巌窟王「……」ボタッボタッ

最原「……」

最原「あっ! 巌窟王さんをかわかすの!?」ガビーンッ

東条「……無事のようね。巌窟王さんは」

入間「で、でも……あのメスガキの姿が見えねーぞ?」

獄原「間に合わなかったんだね……巌窟王さんも夢野さんも、頑張ったよ……誰も責めたりしないよ……」エグエグ

巌窟王「いや救出は成功したぞ」ヒョイッ

最原「え。うわっ……ととっ……」キャッチ!






最原「……絵本?」
253 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/16(日) 21:44:27.68 ID:PrhS28f50
巌窟王「よし。アンジー。ドライヤーの準備はできているな?」

アンジー「できたよー!」

モノクマ「あ。バッテリーも稼働中だから存分にかわかしてねー」

白銀「……?」

天海「えっと、その絵本、実は何らかの魔法的なアイテムだったりするんすか?」

天海「四次元ポケット的な?」

巌窟王「かわけばわかる」ブオオオオオオ

最原(……僕に持たせたままかわかし始めたよ。確かになんかビッショリしてるけど……)



一分後


ブオオオオオ

赤松「……もうかわいた?」

最原「ん。もう充分じゃないかな」

最原「……というかなんか変だな。かわけば飛んだ水分の量だけ軽くなるはずなんだけど、この本どんどん重くなってるような……?」


ボンッ


ナーサリーライム「んん……」

最原「」

百田「本が女の子になったーーー!?」ガビーンッ

巌窟王「よし。これでいよいよ救出完了だな」

最原「おっっっも!」ガタガタ

茶柱「貧弱もやしっ子ですね」

茶柱「……」

茶柱「転子の体重は五十二kgです」

最原「怪我が治った後で前向きに検討するよ!」ガタガタ
254 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/17(月) 20:27:23.29 ID:TPDRC1Qk0
ナーサリー「……ん……ここは……?」

巌窟王「起きたか」

ナーサリー「あ。伯爵」

巌窟王「しかし驚いたぞ。あの状況下でよく霊基段階を下げることを思いついたものだ」

巌窟王「柵を外した直後では人型だったろう?」

ナーサリー「本当にギリギリのところで意識だけは手放さなかったの。絶対に誰か助けに来てくれるって信じてたから」

巌窟王「?」

ナーサリー「あなたよ。とってもとっても素敵な伯爵」

巌窟王「クハハハハ! 礼を言う相手が少ないぞ? 夢野にもかけてやるがいい。その夢枕の絵物語のような言葉をな」

巌窟王「……」

巌窟王「気絶している……」

ナーサリー「え? なんで? ちょっと。ジャガーマンはどこ? 確か彼女のところに行くっていの一番に……」キョロキョロ

最原「もうおろしていいですか!?」ガタガタ

百田「律儀すぎんだよテメェ! もういいよ! おろせよ!」

ナーサリー「あら……お恥ずかしい。失礼、重くなかったかしら」

最原「重――」

茶柱「なんでも正直に言えばいいってものじゃないですよ」ギロリ

最原「……くなかったよ……」シュン

ナーサリー「さあ。それじゃあ自己紹介ね。顔を突き合わすのは初めてだから」

ナーサリー「サーヴァントとしての識別名はナーサリーライム。詳しく説明すると死ぬほどややこしいから今回はなしよ」

夢野「はあっ……はあっ……心臓に悪いわい!」ムクリ

ナーサリー「あ。夢野。ジャガーマンはどこ?」

夢野「死んだんじゃ」

ジャガーマンの遺影「」チーンッ

ナーサリー「……ええーっ」
255 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/18(火) 20:29:02.61 ID:5wHS0T2y0
最原「……夢野さん? なにか知ってるの?」

夢野「なんじゃ? 言ってなかったかの。ついさっきまでジャガーマンがいたんじゃぞ、ウチらの中に」

夢野「まあ、さっきネコアルクに食い殺されてしまったがのう」

ネコアルク「この遺影はあちしたちが作りました。イエーイ! 遺影だけに!」ピースピース

赤松「……次にその不謹慎ギャグぶっぱなして空気凍らせたら、片っ端から自爆させるよ?」

ネコアルク「!?」ガビーンッ

入間「め……珍しく超怒ってやがる……」

夢野「それでの。ジャガーマンの言うことには、あとイシュタルが残ってるはずなんじゃ」

夢野「姿が見えずに不審がっておったんじゃが……まさかこんなことになっておるとはのう」

真宮寺「設問は三つ。セミラミスさんも同じく行方不明。そうなると、段々見えて来たネ。この最後の学級裁判の全体的な構図が」

獄原「……この裁判場の中心にある意味深なロケットも……もしかして」

モノクマ「うん! おしおき装置だよ! 当然、中には『誰か』が入ってます!」

モノクマロケット「……!」ゴトゴトガタンガタンッ

赤松「セミラミスさん……!」

ナーサリー「?」

ナーサリー(妙ね。神性ならではの、ちょっと背筋が寒くなるような鋭利な気配がないのだけれど……密封性が高いからかしら?)

巌窟王「それで。貴様は何故あんな場所に」

ナーサリー「さっき夢野がちょっと言ったのだけれど、才囚学園のみんなのことが気になって気になってしょうがなかったの」

ナーサリー「だから適当な人形を作ってこっそり学園に紛れ込ませて、それを依代にこちらに干渉してたのだけど」

ナーサリー「気が付いたらキーボに捕まっちゃって……ついでに、依代を基に霊核をこの場まで引きずり出されてしまったの」

アンジー「……そんなことあるー?」

巌窟王「誰かが人為的に、ということであれば『ないことはない』だろうな。少なくとも事故の可能性は低い」

巌窟王「だが……」

最原「……そんなこと僕たちには不可能だよね。魔術の知識がそこまでないから」

最原「だとすると、それをやったのは……」
256 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/19(水) 21:14:37.31 ID:0eJvyYnN0
モノクマ「あ。ボクじゃないよ」

最原「最初から疑ってない。余計なところで口を挟むな」

百田「そもそも機械類って、魔術? とかそんなオカルトチックなもん使えんのか?」

白銀「不可能かなぁ。機械類に魔術とか通常の法則以外のものを使わせるのなら、アーキテクチャの地点からかなーり精査しなきゃなわけだし」

白銀「もしもモノクマに魔術を使わせたいのなら、改造するのにも大雑把に一万人の魔術師が必要だろうね」

白銀「魔術に関しては完璧に素人考えだから、一万人ってのは概算だけど。いたとしても時間かかると思うよ?」

星「……待てよ。根本的に不可能だとは言わねーのか?」

白銀「できなくはないんじゃない? 魔術を使う魔力だって所詮はエネルギーの一種でしょ?」

白銀「エネルギーである限りは機械で制御できると思うけど。精製できるかどうかは別として」

王馬「さっすが超高校級のコスプレイヤー。こういうファンタジー妄想にはめっぽう強いね」

夢野「目の前にある以上、妄想ではないがな!」ビシッ

ナーサリー「半分機械でできてるような英霊も結構いるし、機械が魔術を使うことに前例がないわけではないわ」

ナーサリー「でもモノクマが……っていうのはちょっと考えられないかしら。魔術の気配はあるけど魔術回路がある感じがしないもの」

入間「だーーーっ! 聞いてるだけで頭おかしくなりそうだぜ! 魔術の気配があるってことは魔術使ったってことじゃねーのかよ!」

巌窟王「わめくな。要は『魔術を使われたかもしれないが、モノクマに魔術は使えない』という一点のみ理解しろ」

ナーサリー「……というか魔術の気配自体は、この場の全員にあるの。この場に召喚されて、やっと気付いたことなのだけど」

天海「ずっと巌窟王さんと一緒にいたわけっすし、そういうこともあるんじゃないっすか?」

ナーサリー「……」

ナーサリー「現在進行形……?」

最原「なんだって?」

巌窟王「……そういえば、先ほどと比べると微妙に居心地が悪いな。この空間は」

巌窟王「不快だ。不快極まるぞ。誰かに嘲弄されているかのような……」

巌窟王「……視線?」

最原「あのさ。あくまで仮説でしかないんだけど、いいかな」

赤松「何かに気付いたの?」

最原「全部、キーボくんじゃない? 視線も、魔術関連の何がしかも」
257 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/20(木) 21:06:04.92 ID:iCMXcPfh0
獄原「キーボくん……? あ、そっか! ナーサリーさんをあそこまで連れ込んだのもキーボくんだもんね! 充分考え――」

入間「られるわけねぇだろ。白銀も言ってたじゃねーか。原理的に不可能とまでは言えないが、現実的に不可能なんだよ」

入間「この言い方が気に食わないのならこうだ。現状! キーボには! 不可能だ!」

最原「……この際、最初から考えてみよう。僕たちを取り巻く現実に無関係ってわけでもなさそうだから」

最原「まず、この世界には『魔術が実在してる』。ここまではいいよね。だから巌窟王さんがいるんだから」

巌窟王「……そうだな。魔力が完全に枯渇した異聞の世界という気配もない。そこは間違いがないだろう」

最原「じゃあ次。魔術が実在しているとして、僕たちにそれを行使できたのは何故か」

赤松「ええと、確か……」





アンジー『ねえねえー! アンジーにいい考えがあるよー!』

最原『えっ』

アンジー『さっき図書室からこんなもの持ってきたんだー!』キラキラキラ

真宮寺『……えーと、何々?』

夢野『英霊……召喚……?』





赤松「この学園に閉じ込められてすぐのころ、デスロードの難易度にどん詰まり状態になってたところを……」

赤松「アンジーさんが英霊召喚の書物を持ってきたんだったよね」

真宮寺「その後、僕が魔法陣を監修。再現。呪文はアンジーさんが唱えた……そう記憶しているヨ」

最原「それだよ。皮肉なことだけど、あの書物だけは紛れもない『本物』だった」

最原「嘘だらけのこの学園において、あの本の内容に嘘はない」

獄原「そうじゃないと、巌窟王さんを呼べるはずがないもんね」

最原「あの本、誰が置いたんだろう」

赤松「!」

最原「……ついでに言うなら、誰が『書いた』んだろうね?」

春川「いまいち話についていけないけど……単純に言えば本職じゃないの?」

春川「私たちと違って、魔術が身近なヤツ……つまるところ魔術師ってヤツ?」

最原「それで間違いないよ。でも僕たち十六人の中に魔術師なんて素質を持ってる人は一人もいないよね?」

最原「あったとしたらもっとコロシアイの謎が難しくなってたはずだしさ」

入間「さっきから何言いてぇんだよ! さっさと本題に入れよ!」

東条「……」

東条「……外の世界に魔術師がいる。少なくとも、この学園の作成に関わっている」

星「!」

最原「……」
258 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/21(金) 21:50:17.53 ID:EASw8qGs0
最原「僕は新世界プログラムの中で少しだけ思い出した。『最原終一になる前のパーソナリティ』を、本当に少しだけ」

最原「この学園は常識外だよ。そして『これは常識外だ』と認識するときに使った尺度は、外にいたときのそれとまったく同じだった」

最原「僕は外の世界にいたときも『魔術師』なんて存在を認識してなかったし、実在なんて考えたこともない」

巌窟王「上手く隠れていたのだろうな。当然だ。魔術師は表沙汰になることを酷く嫌う。神秘は秘匿されるからこその神秘だからだ」

巌窟王「だが、この学園を作成した者はきっと大人数だろう。その中に一人程度、魔術師に連なる血族がいてもおかしくはない」

ナーサリー「過去の聖杯戦争では『魔術の本を本物と知らずに適当に詠唱してみたらサーヴァントをうっかり召喚してしまった』みたいな」

ナーサリー「そういう今回と似たような参加者もいたわ。奇跡的な偶然だけどありえないって程ではないのよ?」

ナーサリー「あるコミュニティにうっかり本物の魔本が紛れ込み、それをうっかり一般人が入手し、うっかり本当にやってのけることは前例があるの」

最原「巌窟王さんの召喚。そこまでは偶然だよ。それ以上に説明のしようがない」

最原「でも他に関してはそうじゃない。巌窟王さんの召喚を大本の原因として起こった、最大最悪の悲劇だ」

百田「最大最悪の悲劇……?」

天海「あっ」

白銀「?」

天海「……放送している相手が全世界……ってことは……」

最原「当然見ているだろうね。僕たちが元いた世界にいた魔術師たちも」

白銀「えっ?」

最原「……一万人の魔術師がいれば、魔術を使える機械も制作可能、か」

最原「人数がその二倍なら? 三倍なら? 十倍なら? 百倍ならどうだろう」

白銀「……ッ!?」

赤松「……何を……言ってるの、最原くん?」

最原「外の世界すべてが敵……とまでは言えないよ。でも」

最原「外の世界の魔術師すべてが敵……その可能性はいくらでも考えられる」

巌窟王「――」






最原「僕たちは僕たちが自分たちで思っているよりずっと……絶望的な相手と戦っていたのかもしれない!」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 11:01:36.48 ID:nyKO3aHe0
更新まだかなー
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 11:13:44.41 ID:tmxuSQ5lO
ああ、全世界に英霊召喚の中継しちゃって神秘秘匿もへったくれも無いもんな
下手すると冬コミ新作みたいなサーヴァントだらけの世界になっちゃう
261 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/22(土) 22:29:26.35 ID:K74Vc9bg0
赤松「ま、待って。飛躍しすぎじゃない!? いくらなんでもそんなバカなこと……!」

最原「ナーサリーさんと巌窟王さんの二人に今すぐ確認したいことがある。キーボくんに何か変わったところはない?」

巌窟王「魔術回路ができている。しかも量も質もアンジーよりも遥かに上だ」

赤松「は?」

王馬「変わったところ、ねえ。キー坊は確か、ずっとあのオブジェの中にいたよね?」

王馬「改造なんてできるはずがないでしょ? どこでどうやってキー坊を改造したっていうのさ」

王馬「それとも、俺たちが忘れてるだけでキー坊にはそのタイミングがあったっていうのかな?」

最原「相手は魔術師なんだからなんでもあり……と言うのも味気ないな。なら少しだけ現実的に考えてみようか」

最原「確かにキーボくんを改造する暇なんてない。新世界プログラムで、生徒が真っ二つに分断された直後からあのオブジェはあったんだ」

白銀「厳密に言うなら確かに改造はしてないけど、機能の拡張だけはしたよ?」
262 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/22(土) 22:48:54.03 ID:K74Vc9bg0
白銀「当然だよね。何度も言ってるけど、キーボくんは『時間切れ次第、すぐに生徒全員を処刑する』っていう予定があったんだから」

東条「……キーボくんの元のスペックじゃ到底無理ね。拡張して当然、か」

白銀「ただし、それは『この学園で当初から想定していたレベル』の拡張であって、魔術に関しての想定なんか一切してないけどね」

最原「でも僕たちの手の届かないどこかにキーボくんが消えた時間が間違いなくあったはずだ」

最原「その間にキーボくんは対魔術用の改造を受けたんじゃないかな」

天海「そのタイミングって、いつっすか?」

最原「昨日の夜。炎の嵐から天海くんを助けた直後」

最原「思い出してよ。王馬くんが適当に運転したエグイサルが、あのオブジェに激突して――」




百田『……』

春川『……なにこれ』

入間『おい。キーボはこの中にいたはずだよな?』

百田『……』

百田『いねぇぞ。からっぽだ』





百田「中にいるって話だったキーボは消えてた……!」

春川「その後、果ての壁を破壊しようとしたところでキーボが現れたんだったね。そして巌窟王と互角に戦えるようになっていた」

春川「気持ち悪いくらい辻褄が合うよ……!」

赤松「で、でもそれって、キーボくんが一度は学園の外に出たってこと!?」

白銀「あるいは魔術師が直接的に学園の中に侵入してきたか……」

巌窟王「どちらでもない、ということもあり得るぞ。キーボと魔術師の距離がある程度近ければ問題はなさそうだ」

巌窟王「ヤツらは壁越しでもキーボを改造してみせるだろう。必要なものは時間だ」

ナーサリー「数十万人、数百万人単位の魔術師がもしも結託してたら……一晩程度で充分な改造が可能じゃないかしら」
263 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/23(日) 23:58:42.50 ID:r+iJuXB90
赤松「待ってってばっ! だから、なんで外の魔術師が徒党組んでキーボくんを改造したりするの!? 理由は!?」

赤松「その発想はどこから出て来たの!?」

最原「巌窟王さんの言ったことだよ。ついさっきのことなんだけど」




巌窟王『セミラミスの計画が始動した場合、副産物として『この学園全体から不可視の力がほぼ消える』のだ。魔術に類する力などがな』

巌窟王『この学園は度重なるカルデアからの介入によってよくないものが溜まり過ぎた』

巌窟王『もしも学園に穴を開けたら少なからず外の世界に悪影響が出るだろうな、という懸念事項があったのだが……』

最原『初耳なんだけど?』

巌窟王『問題があるか? 少なくとも『貴様らにとって直接的に不利益になる』ようなことは、どちらにせよ絶対にないぞ』




赤松「あっ」

最原「赤松さんも聞いてたよね。つまり『学園に穴が開いたら不都合に思う人間がいる』ってことは確定情報なんだ」

最原「僕たちにはわからないよ。魔術に関する知識が本当に不足してるから。でも」

百田「……魔術ってヤツを知ってるヤツからすればそうじゃない。俺たちが知らなくても外のヤツらは知ってる」

百田「外に『学園に穴を開けられたくない勢力がいる』ってのも確定情報ってことか!」

巌窟王(その他、単純に神秘の秘匿の観点から言って『魔術関連のものを外に持ち越されたくない』という意図もあっただろうな)

最原「この点、とにかく巌窟王さんが迂闊だったよね。妨害があってもゴリ押しできると考えてたのかな」

最原「……キーボくんを使って妨害行為をしてくるなんて僕でも思わないけど」

巌窟王「ふん。外の勢力に媚びて、平和的な脱出手段を探せばよかった、とでも言うつもりか?」

巌窟王「御免だな。なにより、俺が学園の果ての壁を破壊する以上に最善の策はないぞ」

最原「あの時点では……の話だけどね」

春川「今ではセミラミスがこの学園にいる。アイツの計画があれば魔術関連のモノはこの学園からすべて消えるんでしょ」

春川「そう言ってたもんね」
264 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/24(月) 20:19:15.31 ID:w0oyYBTY0
巌窟王「……はっきり言っておこう。今更この学園から魔術関連のものをすべて排除できたとしても、お前たちが狙われることに変わりはないぞ」

最原「え?」

巌窟王「問題なのは『魔術が実在する』という知識を持ってしまったことだ。そしてそれを外の誰かに伝えてしまうことだ」

王馬「もう伝わってるでしょ。世界規模の番組らしいし?」

白銀「いや? 伝わってても現状はまだマシなんだと思うよ?」

星「……説明しろ、白銀。詳しくな」

星「今の俺は冷静さを欠こうとしている」

白銀「みんなの記憶はすべてフィクション。この学園で起こったこともすべてフィクション」

白銀「外の世界の現実とは一切関係ない、どこにも実在しない話」

白銀「でも『この場でかけられた命だけは本物』。それがこのリアルフィクション、ダンガンロンパの主軸なんだよ」

白銀「で。設定に関してはなにもかもフィクションの私たちが、外の世界に向けて『魔術は実在してるーーー!』と叫んだとして」

白銀「それを信じる人、いると思う? フィクションの登場人物の言葉を?」

ナーサリー「……いないわね。フィクションなんだから」

白銀「私たちは知ってるよ? 目の前で起こったことだから。ついでに、彼らを外に出すことができれば『魔術がリアルである』ことは証明可能だよ」

白銀「逆に言えば『この学園ですべてを完結させることができれば、この場で何があろうとフィクションで片付けられる』んだけどね」

東条「なるほど。いわばこの学園は、真実を知った外の勢力からすれば『早期発見されたガン細胞』に等しい」

東条「今すぐにでも切除したいんでしょうね。できるだけ自然な形で」

入間「自然な形……?」

最原「そうか。わざわざこの最後の学級裁判って形を取って、僕たちのことを直接的に『切除』しないのは、慎重を期しているからってことか」

最原「僕たちを魔術で殺すわけにはいかない。そんなことをしても別のガン細胞が残るだけ。でも『学園の中の設定』で殺せば……!」








白銀「私たちは何も残せずにただ消える」

白銀「『終結』だね……まさに」
265 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/25(火) 21:03:56.61 ID:sA/WHD7Z0
獄原「ね……ねえ。なんか話がどんどん変な方向に行ってない?」

獄原「情報が増えれば増えるほどにゴン太たちがとにかく不利ってことしかわからないんだけど……」

星「実際にそうとしか言ってないからな。なんでもいいから希望的な情報が欲しくなってくるぜ」

星「俺たちを殺す方法にわざわざ遠回しな方法を取っているのも『それが一番綺麗に終わるから』ってだけだ」

星「その気になればおそらく……」

最原「……僕たちを無理やりにでも殺せる、とか? 流石にそこまでじゃないよね。そうじゃないと言ってくれると嬉しいな……」

巌窟王「呪い殺せるだろうな。今すぐにでも。そんな貧乏くじを引きたがる魔術師など滅多にいないというだけで」

巌窟王「お前たちを設定で殺せる可能性が残っている限り、逆説的に『誰もお前たちを殺しはしない』だろう」

ナーサリー「安心ね!」ニコニコ

入間「な、何が安心だ……ざけんなよっ! それ今の状況が最悪ってだけじゃ片付かねーぞ!?」

入間「この状況を脱したら、今キーボを操ってる連中が今度は『直で殺しに来る』ってだけの話じゃねーか!?」

赤松「……」

ナーサリー「……そう、ね。それだけの話よ」

巌窟王「気にするな。何も問題はないぞ?」

天海「いやどう聞いても問題しかないんすけど……妙案でもあるんすか?」

巌窟王「殺しに来た傍から全員返り討ちにしろ。つまるところ皆殺しにすればいい!」ギンッ

天海「!?」ガビーンッ

白銀「……え。なに? 復讐鬼ジョーク?」

巌窟王「至極真っ当な提案だぞ。今度は仲間内で殺し合えと言っているのではない」

巌窟王「お前たちを殺そうとする! 明確な敵を! 殺し返せと言っている! 正当防衛だ、何が悪い!?」ギンッ

最原「……!」

最原(……本気で言ってる。強要こそしてない。でも『進路の一つとしてまともに考えろ』って言ってる)

アンジー「……」ジーッ

巌窟王「……」

巌窟王「殺すのは悪いことだな!」

最原(補足説明するあたりとか余計に本気だ!)ガーンッ
266 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/25(火) 21:45:05.85 ID:sA/WHD7Z0
巌窟王「さて。モノクマ。次の設問はまだか?」

モノクマ「うーん。別にいますぐやってもいいよ? でもまだ話が終わってないのならちょっと伸ばします」

モノクマ「どうせ全体的なタイムリミットは変わってないしね」

巌窟王「いい。少し伸ばせ。俺から一つ提案がある」

巌窟王「セミラミスとは別の方法で、お前たちを外へ連れ出してやろう!」ギンッ

最原「……方向性はもうわかってるようなものだけど。聞くよ」

巌窟王「魔術関連のものを消す必要はない。すべて外の世界へ持って行け!」

巌窟王「思う存分食らわせてやればいい! 傲慢極まりない外の世界の住人にな!」

アンジー「?」

百田「?」

ナーサリー「はーい! それじゃあわかってない人がいるみたいなので『伯爵の示した進路』をわかりやすく纏めるのだわー!」キラキラキラ

キーボ「巌窟王さんの示す進路を取った場合、あなたたちは外の魔術師を正当防衛の名のもとに皆殺しにすることになります」

ナーサリー「」

最原「キーボくん!?」ガビーンッ

キーボ「ちなみに、その場合、巌窟王さんはセミラミスさんの用意した計画を使いません」

キーボ「相打ち覚悟でボクと戦うことになるでしょう。『外の魔術師総出で改造された対魔術特化のスーパーキーボ』とです」

キーボ「もしも巌窟王さんが負けた場合、その時点で才囚学園の生徒総勢十六人はこの学園で死亡することになりますが……」

キーボ「勝てばその時点で、この学園に持たらされた『カルデア由来の魔術物品をすべて持ち越した上で脱出』することになります」

キーボ「……ボクの見立てでは大したものは一切ありませんが」

巌窟王「甘いな。さっきも言っただろう。というか『本命がそれではない』ことは充分わかっているはずだ」ニヤァァァァ

キーボ「……」

最原「……まさか」

最原「穴を開けることそのものが最大の攻撃になる……?」
267 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/25(火) 22:16:59.43 ID:sA/WHD7Z0
巌窟王「穴を開けられたら困る、というのなら開けてやればいい」

巌窟王「そして中身を思う存分ぶちまけろ。おそらく……」ピタッ

巌窟王「……」シイイイイイイインッ

最原「……?」

アンジー「……」

アンジー「アンジーがドン引きするような何かが起こるってさー」

赤松「あ、ああ……だから急に黙ったんだ……」

百田「アンジーがドン引きするような何か……?」

アンジー「多分何千万人か死ぬんじゃないかなー? そうでなければアンジー、彼のやることに今更引いたりしないしー」

巌窟王「アンジー……」ジーンッ

赤松「ふふっ。巌窟王さんってば、嬉しそうにしちゃって」ニコニコ

赤松「……」

赤松「なんぜんまんにん……?」サーッ

夢野「おお。それそれ。ウチがついさっきまで味わった気分。血の気が引くって感じの」

白銀「何人……死ぬって……!?」

巌窟王「魔術師以外の人間も含めた一億人程度が燃えて死ぬ」

春川「億っ……!?」

茶柱「億ゥーーーッ!?」ガガーーーンッ

アンジー「……」ヒキッ

巌窟王「……!?」アッ ヤベッ

最原「そんな今更『あっ、やべっ』て顔しても遅いよ!」
268 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/26(水) 21:53:15.25 ID:sDoHdjvZ0
モノクマ「ま、実現可能かどうかは置いといて、別にいいんじゃない? 選択としては」

モノクマ「だって外に出てもオマエラの居場所なんてないし」

モノクマ「それに、億単位の死人が出たのなら魔術の実在に関して疑う人はもういないでしょ!」

モノクマ「オマエラだけを魔術師が付け狙う必要がなくなるわけだから、もう誰もオマエラに手を出さないよね!」

モノクマ「億単位の人間が死んだような世界で、まともな法や秩序が残ってるか微妙だしねぇ」

白銀「い、いいわけないよ! 流石にそれは! 無関係の人を巻き込むのは……!」

赤松「……」

赤松「別にいいよ。それでも、私は!」

白銀「はい?」

最原「あ、赤松さん……? ちょっと待って! 急にどうしたの?」

赤松「私たちの存在は全部嘘だった。外の世界の人たちはそれを見て楽しんでた!」

赤松「外の世界の人たちが望んで始めたコロシアイ……こんなものを望むような世界なら気遣う価値なんて全然ない」

赤松「いや。むしろ積極的に焼き払うべきだよ!」バァァァァァンッ

百田「待て待て待て待て落ち着けテメェ! プッツンしすぎだ! 深呼吸しろ!」

赤松「……私の論理は最初から今まで全然変わってないよ」

赤松「コロシアイを始めた人は殺す。誰だろうと絶対に許さない……! 私は……!」

巌窟王「クハハハハハハ! よし! やるか!」ギンッ

巌窟王「アンジー! 魔力を――」

アンジー「回すわけないでしょー?」

巌窟王「」

最原「アンジーさんが冷静で助かった……!」
269 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/28(金) 02:04:51.90 ID:sOAGTJjf0
天海「……忘れてた。こういう方向性の話では妙に過激派なんすよね、赤松さん」

百田「いや! いやいやいや! 過激なんてもんじゃねぇだろ! いくらなんでも一億人を殺すのはナシだろ! ナシナシ!」

春川「第一、仮に私たちの存在が全部嘘だったとして、そんな大惨事を起こした後で平気な顔して生きていくの、私たちには無理だよ」

春川「というか理屈が納得できない。なんで穴を開けた程度で外に大惨事が巻き起こるの?」

巌窟王「気圧差のようなものだな。この学園の『形而学上の存在すら逃さない完全な密室性』の賜物だ」

巌窟王「思い出せ。俺は二回程度この学園で死亡したが、アンジーの令呪で蘇生した」

巌窟王「普通ならああはいかない。あれが実現可能となったのは、ああなったとしても俺の魂がどこにも行かなかったからだ」

ナーサリー「この学園に送り込まれた魔術。呪い。女神たちの願い。祈り。セミラミスの作った聖杯。エトセトラエトセトラ」

ナーサリー「それらすべてがごちゃ混ぜになり、今にも破裂しそうになっているのがこの学園の現状なの」

最原「……気圧差……気圧差、か」

東条「外の世界の住人が一億人死ぬほどのエネルギー変動よ。渦中にいるのは他でもない、才囚学園にいる私たちだわ」

入間「あっ! そ、そうだよ! 一億人の中で真っ先に死ぬの、どう考えても俺様たちじゃねーか!」

巌窟王「俺がそうはさせない。死に体とは言え、サーヴァントだぞ。マスターとその縁者程度、守る程度ワケがない」

巌窟王「この進路で確実に死なない人間がいたとしたら……クハハハハ! まさに渦中のお前たち『だけ』ということだ!」

巌窟王「いや? 断ってもいいぞ。今はな。だが一考の価値はあると断言できる」

巌窟王「一人たりとも賛同者がいなければ、そこまでの案だと思っていたのだが……!」ニヤァァァ

赤松「……」

最原「赤松さん……」

赤松「……三時間以内に代案がなかったらこれでいいと思う」

最原「セミラミスさんの意思を曲げることになったとしても?」

赤松「まあ……後でこれ知られたら突っつかれるかもね。人差し指で何回も」

春川(想像するだけでウザい……)

赤松「そのときは謝るよ。ピアノの演奏もプレゼントしちゃう」

赤松「……約束果たせてないし。私は何が何でも死ぬわけにはいかないんだよ」
270 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/29(土) 13:50:12.24 ID:m1vuDNfr0
最原「……」

最原(巌窟王さんはノリノリで、赤松さんが後押ししてる。でもアンジーさんは今のところ穏健派だ)

最原(最悪……本当に最悪の場合、巌窟王さんにアンジーさんが賛同しただけで大惨事だったけど)

王馬「でもアンジーちゃんが反対してるってことは、仮に赤松ちゃん以外に賛同者がいくらいても無駄じゃない?」

アンジー「え? アンジー別に反対してないよー」ケロリ

最原「」

百田「」

春川「」

アンジー「にゃははー! 凄い反応ー! 終一とー、魔姫とー、解斗はガチの穏健派みたいだねー」

春川「……ハッ。ブラフか……趣味の悪いことするね、夜長も」ホッ

アンジー「ん。別に嘘は吐いてないけど」

春川「!?」ガビーンッ

百田「生きてりゃいいことあるって!」バァーーンッ

最原「キミは一人なんかじゃない!」バァーーンッ

春川「……あっ、あっ……辛いことがあったら相談乗るよ」アタフタ

王馬「クソの役にも立たない自殺防止ポスターのキャッチコピーみたいなこと言ってるよ、揃いも揃って」

夢野「テンパりすぎじゃ! あと春川は別にそこなバカどもに付き合う必要ないぞ!」

アンジー「アンジーはねー。ひとまず最後の最後まで議論を進めてみたいだけなんだよねー」

アンジー「優先順位最大の目的は『揃って外に生きたまま出ること』だけど。それさえ達成できれば犠牲はいくらいても別に構わないよー」

百田「もっといい手段が見つかれば、そっちに乗り換えることも検討するってことだよな?」

百田「……ま、いいぜ。今はそれで」

最原「百田くん!」

百田「強硬されねぇだけマシだろ」

最原「……!」
271 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/30(日) 23:31:24.40 ID:76wx1okU0
赤松「……アンジーさんを見てると、なんか思い出すな。最初のころの巌窟王さんを見てるみたい」

赤松「最初のころ、妙に私たちを試すようなことばかりやってたよね。命懸けの状況下なのに、楽しんでるみたいでさ」

夢野「妙にデジャヴると思ったらそれか……親の身の振り方を見て育つ子供のようじゃの」

赤松「……完っ璧に悪影響だけどね。こういう部分は」

巌窟王「クハハ。赤松、人のことを言えるのか?」

赤松「……いっそのこと、仮に私がおしおきで死んだのだとしても、巌窟王さんはあの場で死ぬべきだったのかもね」

赤松「好感度を抜きに、善し悪しで考えるとどうしてもそう思うよ。今のアンジーさんを見てると」

獄原「……!? な、なんだろう。森の中でも一年に一回感じるか感じないかレベルの……怖気が!」ガタガタ

王馬「怖すぎて漏らしちゃいそうだよ……オムツ買って来ればよかったな……」

最原(なんだ……さっきから赤松さんの言動が変だ。まるで、これは……)

春川「ねえ赤松。さっきからアンタ、なんで八つ当たりしてんの?」

赤松「……八つ当たり?」

春川「そうでしょ。巌窟王の提案に諸手を上げて賛成してる割に、巌窟王と夜長に噛みついてさ。行動も言動もやけっぱちじゃん」

春川「……いや、というか私の気のせいかもしれないんだけど今日の大半、ずっとイラついてなかった?」

春川「具体的にいつからって……わからないんだけどさ……」

赤松「……」チラッ

最原(……こっちを意識してるな。赤松さん。やっぱり白銀さんを守るために脅しかけたのが本当に効いたみたいだ)

最原(別にイジメたいわけじゃないし、助け船を出そうか)

最原「赤松さんのことは放っておこうよ。時間の無駄は省くべきだし」

茶柱「なんでちょっと刺々しいんですか!?」

最原「え? あ、ご、ごめん! そんなつもりじゃなかったんだけど!」

赤松「……」スッ

最原「え。なにそのハンドサイン。電話?」

赤松「『イラつきのままに人差し指と小指であなたの目玉を潰したい』のサイン」

最原(怖ァーーー!)ガタガタガタ

赤松「当然自分の指には気遣って、ソフトタッチに留めるけど」

最原(僕を気遣ってくれよ!)ガビーンッ
272 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/12/31(月) 23:59:16.43 ID:vz/TdNk30
あと数十秒で今年が明ける!
イベントちょっと触って明けましておめでとう福袋ガチャやってから執筆します!
273 :わかりきってたことだけどロードクソ長久秀 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/01(火) 00:21:21.95 ID:qbZMmgwh0
モノクマ「はいはーい! それじゃあ議論も一段落したみたいなので、次の設問に行っちゃいまーす!」

白銀「……モノクマ。今の与太、本気で看過するつもり?」

モノクマ「ん? まあいいんじゃない? 結局こっち側でキーボくんがオマエラを全員殺せば済む話だしさ」

白銀「相手はあの巌窟王さんだよ? 本気出したキーボくんでも勝率は五分……いや。勝率がいくら低かろうが押し通すからこその英霊」

白銀「そんな悠長なことを言ってる場合じゃないって! 実際、何回煮え湯を飲まされたと思ってるの!?」

星「俺もアンジーと同意見だ。もっといい選択肢があるかもしれない。その可能性がある以上、事を急く必要はない」

星「……所詮は保険だ。何をそんなに焦ってる?」

白銀「うぐ……!」

王馬「当然っちゃ当然じゃない? 俺たちの存在がすべて嘘だったとしても、白銀ちゃんだけは『違う』んだからさ」

王馬「あ。いやだけってことはないか……同類もいたね」

茶柱「なんのことです? まるで意味がわかりませんよ?」

王馬「まあまあ。それはその内わかるって。俺の予測が正しければ、次のモノクマの設問は――」

最原「『白銀さんの正体とはなんでしょう』……ってところかな」

白銀「……え?」

王馬「……」ニヤァァァァァ

巌窟王「……モノクマ」

モノクマ「……了解。あーあー。言い当てられちゃって、気分どっちらけだなぁ」ショボーンッ

モノクマ「はい! では今から第二の設問をスタートします! 内容は『白銀さんの正体とはなにか』です!」

モノクマ「みんなー! 頑張って推理してねー!」

白銀「……もッ! もの、くまっ……! モノクマァァァァァァァ!」

モノクマ「悪い、とは思わないよ。元からボクとオマエの関係はこんな感じだったでしょ」

モノクマ「お互いがお互いの、最高の駒。最強の道具。最良の共犯者……」

モノクマ「土壇場で、立場が逆でもオマエは絶対こうするよ!」

白銀「く、くそっ……! 殺すっ……殺してやる……! よくも、私にそんな口を! チームダンガンロンパの作った人形のくせに!」

最原(……? なんだこれ。怒ってる……ならまだ理解できるけど。今の白銀さん、なにか……)

最原(怖がってる? 今更、なにを?)

百田「……」

百田「なあ。なんか知らねーけど、白銀が超いやがってるぞ?」

白銀「!」ビクッ

百田「……これ、答えないわけには……いかねーか? 白銀がイヤなら、俺もすげぇイヤな気分だ」
274 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/02(水) 02:04:20.34 ID:4Q3tNyzw0
モノクマ「まあ普通のテストなら、いまいちわからない問題からはさっさと手を引いて、先にわかる問題に手をつけるのがセオリーなんだろうけどさー」

モノクマ「百田くん、まさかもう忘れちゃったの? この設問には人質がいるんだよ」

百田「舐めんな。忘れちゃいねーよ……でもよ……」

春川「白銀は昨日から踏んだり蹴ったりだよ。『何をしたのかわからない』けど、これ以上に責め立て続けるのはさ……」

春川「……わかるでしょ。仲間を傷つける仲間も、仲間に傷つけられる仲間も、私は見たくない。気分最悪だよ」

最原「……」

真宮寺「ククク。そうか。キミたちの目にはそう映ってるんだネ。白銀さんが仲間だって」

茶柱「前々から思ってましたが、真宮寺さんのねちっこい視線と、妙に含みのありそうな笑いが、転子は本当に嫌いです」

茶柱「男死は全員嫌いですが、あなたは特に! です!」

真宮寺「話を逸らそうとしてるの? 勘はいいんだよネ、茶柱さんって」

茶柱「……」

真宮寺「僕らはさ。何も誤解で白銀さんを憎んでるわけじゃないんだヨ。誰かに聞いた上で言ってるのか、忘れてるから言えるのかはこの際どうでもいい」

真宮寺「キミたちだって白銀さんから明確に害は受けてるんだよ」

夢野「んあ? 何を言っておるんじゃ! ウチが隠し部屋で撃たれたのは麻酔弾じゃった! あんなもの害と呼べはせんじゃろ!」

真宮寺「夢野さんの主張に関しての正当性は受け入れるとして、百田くん、茶柱さん、春川さん、王馬くんの四人はどうしようもない害を受けてるヨ」

王馬「ふざけたこと言うなよ、このクソザコナメクジ野郎ッ!」ウガァ!

夢野「急にキレるな! ビックリするじゃろうが!」

王馬「……」シーンッ

夢野「うわあ! 急に静かになるな! それもそれでビビる!」ガビーンッ

春川「この情緒不安定野郎……」ボソッ

王馬「な、なんか春川ちゃんの口から酷い誹謗中傷が聞こえた気がするけど、続けるね」

王馬「俺たちが白銀ちゃんから何をされたって? 別に何もされた覚えがないけど」

王馬「うん! 何も! されて! ないね!」

王馬「全然覚えてない! ぜーんぜんね!」

王馬「いやー! うんうん! 覚えてないんだ! まったくもって!」

王馬「キレイサッパリ! そんな記憶! 俺の中にはありましぇーーーーんっ!」ビエエエエンッ

茶柱「……あ……あー……もうわかりました。充分です。ありがとうございます」

茶柱「そこまで言われれば真宮寺さんが何を言ってるのかわかります。王馬さんも実はハナから白銀さんの味方する気ないですよね」

王馬「え? 何言ってるんだよ茶柱ちゃん! 真宮寺ちゃんにこれ以上言わせてもいいの!?」

王馬「茶柱ちゃんだって白銀ちゃんに何かされた覚えないでしょ!」

王馬「覚えが!」ニヤニヤ

王馬「ないよねぇ?」ニヤニヤ

茶柱「それ以上口開いたら床のシミと仲良しになってもらいますからね!」
275 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/02(水) 23:05:02.22 ID:4Q3tNyzw0
春川「記憶の改竄……か」

真宮寺「よーく考えてみようか。無許可で、無防備な人間の記憶を、無遠慮に書き換えることは悪か否か」

真宮寺「当然、悪だヨ。そんなの考えるだに悍ましい」

真宮寺「僕たちはネ、ある意味でキミたちのことが羨ましいヨ。でもだからと言って『こうなりたい』とは思わない」

真宮寺「羨ましいけど……憐れだヨ。僕たちの視線からするとネ」

百田「この野郎……勝手に見下しやがって!」

最原(でも割と適確だ。僕と天海くんは途中から記憶を取り戻したからグレーゾーンだけど……)

最原(……たった一点だけ羨ましい部分があるっていうのも本当だ)

最原「何が羨ましいのかは言わないんだね。真宮寺くん。そこが結構重要なのに」

真宮寺「……」ピクッ

最原(……ただ純粋に、まだ白銀さんを『仲間』だと認識できるみんなが羨ましい)

最原(それだけだ)

白銀「……」

最原(でも、自分の味方がいるっていうのに白銀さんの顔色が優れない)

最原(……っていうかどこを見てるんだ?)

茶柱「あの。白銀さーん。なんで転子たちから目を逸らしてるんですかー?」

白銀「……」

最原「……だ、だんまりだね……別にいいけど……」

モノクマ「ポチっとな」ポチッ


GAME OVER

イシュタルさんがクロに決まりました。
おしおきを開始します。




全員「あ」

モノクマ「……オマエラ、忘れてたでしょ」
276 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/04(金) 00:02:36.52 ID:VzKsmSAB0
おしおき装置内(その二)

ボヨヨーーーンッ

イシュタル「ぐへっ」ベシャッ

イシュタル「い、いたたたた……やっと出れた。もう、なんなのよ! 狭い箱の中に押し込めるなんて……って段ボール箱じゃないこれ!?」

イシュタル「私は蛇か! CQCが得意な方の!」

イシュタル「……この言い方だとまだ該当者が複数いるわね……」

イシュタル「それにしても、ここどこよ。廃墟……?」キョロキョロ



バサッ バササッ


イシュタル「ん……新聞紙?」

新聞紙『モノクマシティー、封鎖より一週間が経過! ●●●騒動未だ収まらず!』

イシュタル「……何騒動ですって? ちょっとこれ風化が酷くて読めな――」



「あ……ああお……」ベタッ



イシュタル「ん?」

ゾンビ「おおあ……ああ……」

イシュタル「」

ゾンビ2「うああ……」ベタッ

ゾンビ3「おおお……」ベタッ

ゾンビ4「おっぱいのぺらぺらそーす……」ベタッ

イシュタル「……」

イシュタル「ゾンビ騒動?」ダラダラダラダラ
277 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/04(金) 20:07:03.79 ID:VzKsmSAB0
イシュタル「ふ、ふふふふふ……大丈夫。大丈夫よ私。ゾンビなんてローマにもオルレアンにもいたじゃない」

イシュタル「私のスクーターで跳ね飛ばしてや――!」

イシュタル「……マアンナどこ?」

イシュタル「あれ!? それどころかデフォで私に付いてるはずの『浮遊能力』が消えてない!? あれ!? なんで地に足がついてるの!? あれぇ!?」アタフタ

ゴトンッ

イシュタル「……今、私の服から何か落ちた……? そういえば何かフードのあたりが重かったような……」

ショッキングピンクの銃「」ババーンッ

イシュタル「……」

イシュタル(これで戦えってか!?)ガーンッ

ゾンビ「うがあーーー!」グパァッ

イシュタル「なあああああああああああああああっ!?」


バンッ バンッ バンッ


裁判場

赤松「……この声は……イシュタルさんだね」

最原「流石に僕にもなんとなくわかるよ。妙にハキハキした喋り方だったから……」

入間「ん? あの銃、どっかで見たような……」

巌窟王「……」

巌窟王「あいつは放っておいても死なないだろう。儚さとは無縁だ」

百田「この薄情野郎ォ!」ガビーンッ

ナーサリー「そうね。薄情ね。今のは完璧に嘘よ。サーヴァントでもこの空間では普通に死ぬわ。相手がゾンビだったとしても」

星「議論を進めるぞ。アイツが肉塊に変わる前にな」
278 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/05(土) 19:48:24.01 ID:vE5+3LaO0
最原「でも問題の内容が大分ふわっとしてるんだよな……即答できるだけの用意は今回も当然あるんだけど」

百田「仲間だな!」ニカッ

春川「ひとまず底抜けの善意で答えるのやめて。多分趣旨が違う」

モノクマ「ひとまず思いつくものを片っ端から言ってみれば? 誤答ってことはないだろうし」

王馬「ところでさ、この設問っていつもの学級裁判みたく『誤答は死』みたいなシステムある?」

モノクマ「オマエラにはないよ」

東条「……私たちには?」

百田「白銀は! 俺たちの! 仲間だ!」

モノクマ「はい不十分ー」カチッ

百田「くそ。誤答って言われないだけマシだが、本当に趣旨が違ったか……! 考え直しだな!」

春川「それは元から何か考えてたヤツの言うことだよ」

百田「ひでぇ」

東条「待って。モノクマ、そのスイッチは何?」

モノクマ「ゾンビ追加スイッチ」

獄原「え。追加?」

最原「……!?」

イシュタル『ぎゃー! 犬型のゾンビ来たーーー! なんか急にスイッチが入ったみたいに! 急に!』ジタバタ

獄原「本当だ! 種類が増えてる!」ガビーンッ

最原「今回のおしおき、ナーサリーさんのときのような緊急性が(人選の問題もあって)低く見えるけど、確かにこの調子で追加されていったら……!」

ナーサリー「いつか対応に限界が来て、グリム童話もびっくりのスプラッターね」

アンジー「しかも今回も助けに入るのは彼なんだよねー。助けに行くころにゾンビが大量追加されてたら、救助が無理になりかねないよー」

入間「……んー?」

夢野「入間? どうしたんじゃ、さっきから口数が少ないぞ」

入間「いやなんか……なにか思い出せそうな気がするんだが……」
279 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/06(日) 20:02:36.21 ID:xx0lPV410
星「当然と言えば当然だ。あれは間違いなくお前の趣味だろう」

入間「は!? 何言ってやがんだ! ホラー映画なんざ夜トイレに行きたくなくなるから大嫌いだっつの!」

夢野「わからなくはないが情けないのう」

星「ある意味『だからこそ』なんだが。今は銃のことを言っている」

最原「……入間さん。もしかして、あの銃ってキミの発明品じゃない?」

入間「あー……そうかもしれないとは思ってんだが、でも不自然なんだ。俺様、あんなもんを作りかねないが、作った記憶がまったくねえ」

入間「完璧に俺様の趣味なんだけどよ。多分あれコピー品か、俺様の発明を無断改造したものかのどっちかだ」

最原「……もう確認するまでもないけど、あれって入間さんのおしおきの流用だよね」

入間「えヴぁっ!?」ガビーンッ

赤松「あ……あー……本当だ。セットがどことなく近未来チックだし」

赤松「SFモノとゾンビモノの親和性って今更議論するまでもないしね」

巌窟王「極めつけに入間の発明品と思わしき銃。これでもう決定的だろう」

ナーサリー「……これ、女神様には最悪ね。機械音痴だったし」

巌窟王「まったくだ」

入間「……学級裁判で失敗してたら、俺様もあんな目に……!?」

入間「やべぇ、吐き気がしてきた。誰か美少女のゲロを一万円で買いたいってヤツいねえか?」ガタガタ

王馬「買いたーい!」

入間「おっしゃー! じゃあ盛大にゲロるぜーーー!」イエエエエエエエエエイ!

百田「やらせた後で予約踏み倒す気に決まってんだろ、早まんな!」

茶柱「ともかく! 誤答率を低めに抑えつつ、なんとか核心に迫れるよう議論を進めましょうよ!」

茶柱「ひとまず彼女を現す形容詞を片っ端から列挙してみましょう! その後でモノクマに回答していけばいつかは……!」

最原「多分、そういう仕組みじゃないんだと思う。当てずっぽうでやるのと変わらないよ」

茶柱「え?」

最原「……モノクマは百田くんの回答を『不十分』だと言った。『誤答』じゃないんだ」
280 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/07(月) 20:52:06.73 ID:7w8L4Nf50
最原「はっきり言って解答が何かが問題なんじゃない。モノクマの裏の意図が問題なんだよ」

最原「僕たちに議論させたいんだろ? それ自体が目的なんだ」

モノクマ「……」

最原「さっきから白銀さんが妙に取り乱してたし、多分『僕たちにとって自明のなにか』を『今この場で改めて言われると白銀さんが困る』んだ」

春川「そんな状況ありえる……? 私たちにとってもう当たり前の、白銀に関する事実を確認するだけで?」

最原「困るっていうか……もっと個人的な……感情論に絡んだ……」

王馬「最原ちゃんにしては言いたいことが妙にもにゃもにゃしてるね。まあ、単純に白銀ちゃんにとって『イヤ』なんでしょ」

王馬「一人ファミレスに行ってカウンター席に通されたら、隣にいたオッサンが超絶クチャラーだった、みたいな純粋なイヤさだ」

天海「ひたすらイヤっすよそれ!」

百田「ちょっと話を巻き戻していいか? それがなんだってんだよ。結局答えることに変わりはねーだろ」

百田「確かに白銀にしてみればたまったものじゃねーだろうけど、流石に人の命かかってりゃあよ……」

最原「片っ端から正答を繰り返してもモノクマの裁量次第なんだよ、この設問」

最原「例えば僕がモノクマに『白銀さんの正体は首謀者だ』と答えたとして、モノクマはまた」

モノクマ「不十分でーす!」カチッ

最原「――とか言って、またゾンビを増やすだけあああああああああああああああ!?」ガビーンッ

茶柱「おバカーーー!」ガビビーーーンッ

イシュタル『ぎゃーーー! 緑の恐竜がーーー!』

緑の恐竜『食べちゃうぞー』

天海(ああ、またキャンペーンが終わったんすね……ずっとお空にいればいいのに……)

東条「ゾンビじゃないわね……」

夢野「まあ着ぐるみをテーマにしたホラー作品もたまーに見かけるしのう。あれはあれで趣旨は変わっておらんじゃろ」

赤松「……そうか! モノクマは最初から『たった一つの解答』なんて求めてないんだ!」

赤松「ただひたすら『満足が行くまで解答を聞き続ける』ってスタンス……そういうこと!?」

巌窟王「先ほどとは問題の種類が違うのか。確かにこれも学校のテストではありがちな出題形式だな」

真宮寺「次の選択肢から、該当するものをすべて選べってヤツだネ」
281 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/08(火) 19:21:21.69 ID:9g6mPSIH0
最原「この調子だとさ……多分、巌窟王さんが助けに入った時点でさ……相当なクリーチャーがあそこに用意されてる計算になるよね」

巌窟王「……助けないという選択肢もあるぞ。アイツに関しては」

巌窟王「助ける意味がない」

ナーサリー「どうしてそんな酷いこと言うの! 仲間でしょう!」プンスカ

巌窟王「……」ツーンッ

ナーサリー「もう! 黙っちゃダメよ! もう!」ポカポカ

巌窟王「腰の凝りがほぐれる」

百田「おじいちゃんかよ。ていうかアイツのこと嫌いなのか?」

巌窟王「女神というのは総じて『善意で余計なことをする』か『善意からドツボにハマって周囲に大騒動を引き起こす』かのどちらかだからな……」

赤松「……い、いいところあるし……それでも助けない理由にはならないし……」ガタガタ

春川「声が震えてるよ。しかも反論がつたない。セミラミスのこと思い出してるでしょ」

最原「セミラミスさん本当にやりたい放題だったからなぁ……」ズーン

入間「アイツが役に立ってるところを見たことがない」

星「それは言い過ぎだが、行動のすべてが焼け石に水だった」

天海「おっそろしいくらい自分の都合しか話さない人だったっす」

巌窟王「宝具なしマスターの補助なしだと微妙なサーヴァントだからな……」

赤松「やめてよぉ! イシュタルさんを窓口にしてセミラミスさんのこと悪く言うの! あの人を本気で助けようとしてる私がバカみたいだからさぁ!」ワッ

春川「ていうかなんでアイツに世話焼くの。弱みでも握られた?」

赤松「……凄く大きな恩があるんだよ。あの人からしてみたら全然自覚なさそうだけど……」

赤松「『人が自分に尽くすのは当然のことだ』とか恥ずかしい勘違いを素で患ってて、私の気持ち全然届いてなかったけどぉ!」ウワァッ

春川「泣くくらいなら縁を切りなよ!」ガビーンッ

巌窟王(強欲聖人抜きだと余裕とウザったさの塊だからな、あの女は)

最原「……二人とも助けよう? 巌窟王さん」

巌窟王「……気が進まないが……後悔するな」
282 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/09(水) 20:52:03.00 ID:ekeziLWE0
百田「で。結局どうやったところで救出するころには難易度ナイトメア&ザ・ヘルになってるのはわかった」

百田「だけど茶柱が最初言った通り『議論して誤答率を下げてから回答』っていう大雑把な方向性でいいんじゃねーか?」

茶柱「事前情報なしで回答しまくってたらどんどん焦りと恐怖が募ってたでしょうから、その情報があるのとないのとでは大違いですけどね」

茶柱「今までの正答は『仲間』と『首謀者』ですか……」

真宮寺「首謀者は特にコメントすることはないけど、仲間っていうのは過去形じゃないかな? これでも正解になるの?」

天海「俺からしてみれば現在進行形で仲間っすよ。悲しい茶々入れないでくれっす」

茶柱「その他に白銀さんを現す言葉というと……」

茶柱「うがああああああ! 基本情報くらいしか出てこないです! 超高校級のコスプレイヤーとしか!」

カチッ

モノクマ「不十分でーす」

ワラワラワラ

イシュタル『ぎゃあああああああ! なんか造形がエロ方面にひたすら最悪な蟲がーーー! これ私じゃなくてパールヴァティ―とかの方が適任じゃない!?』

入間「チン……」

百田「言わせねぇよ!?」

最原「……話の流れから正答を拾うんだ……こっちのタイミングはお構いなしなんだね」

白銀「……」

夢野「まだだんまりしておる」

最原「……イシュタルさん、まだ余裕があるよね」

赤松「ん? そう、だね……入間さんを処刑するためのおしおきでしょ? あの人、明らかに入間さんよりバイタリティ高そうだし」

赤松「しばらくは大丈夫じゃない?」

最原「次の回答、ちょっと前置きが長くなるんだ。説明しないわけにもいかないし、かなり大事なことだしね」

巌窟王「構わない。アイツなら大丈夫だ」

最原「うん。あのさ、なんで白銀さんが首謀者なんだと思う?」

最原「そもそも、首謀者ってどうやって選ばれたのかなって話なんだ」

星「簡単に言えば……『能力』じゃねーか? こういうシチュエーションに適応できる人材。手近にいる中で最も適した者だろう?」

最原「それも多分ある。最終的にはそれだろうけど、実際に彼女を選んだ理由は『経歴』なんだよ」

星「経歴……だと?」
283 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/10(木) 20:56:58.76 ID:lUNynB+H0
最原「天海くん」

天海「……うん。もういいんじゃないっすか。話しても」

最原「この中に、コロシアイを二回経験した人が二人いる」

百田「あ?」

最原「一人は天海くん。彼の才能、実は僕はかなり前の時点で名前だけは知ってたんだ」

最原「超高校級の生存者。それが彼の才能だよ」

春川「いや知ってるよ。天海本人が言ってたでしょ。生存者特典を使って赤松とか夜長とかを見つけたわけだし……」

春川「……ん? 二人?」

百田「二人……」

百田&春川「……!」バッ

白銀「……!」ビクウッ

最原「直接的に彼女のことを『そう』だと言うのはちょっと待ってね。イシュタルさんの余裕が消えるから」

最原「もっとわかりやすく言うと、もしかしたら能力の点の優劣で天海くんが選ばれる可能性があったってことだ」

星「!」

入間「?」

最原「これ以降、ちょっとした軽口が正答になっちゃうかもしれないからできる限り黙ってて。僕の話を聞いてほしい」

最原「もしかしたらショックかもしれないけど」

巌窟王「……」





最原「白銀さんは一方的な加害者じゃない。これが僕の答えだ」

最原「……僕たちにとって最悪の答えだけどね」
284 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/11(金) 22:17:43.26 ID:mwZhBPlR0
最原「白銀さんは天海くんと同じだ。証拠も色々ある。証人もいる」

最原「証拠は白銀さんの動機ビデオで、証人は天海くん」

巌窟王「……!?」

最原「天海くんの動機ビデオと、白銀さんの動機ビデオは内容が同一だったんだ。つまり天海くんが忘れてるだけで二人の『経歴』は同一なんだよ」

最原「あ。ごめん、ちょっと訂正。天海くんが忘れてただけ、だ。今はもう思い出してるよ」

最原「ええっとね……だからさ……」

最原「……」

最原「言ってて僕自身物凄く辛くなってきた……!」

百田「ん!? なんでだよ! 俺たちにとってすげぇ嬉しい情報だぞ、それ!」

茶柱「ええっとですね。要は白銀さん、転子たちとはくらべものにならないほどの改造を受けてたんですよ」

茶柱「記憶だけじゃなくって容姿まで変えられる始末だそうで」

百田「全然嬉しい情報じゃなかった……! 反吐が出るほど胸糞悪ィ」

春川「……」オロオロ

夢野「……今は非常時じゃし、無理に励ましの言葉を捻り出さなくともよいぞ。後回しにするんじゃ、後回し」

百田「でも大体はわかったぜ。そうか、白銀が『天海と同じ』か……大分ボカされてるけど、ああ。理解したぜ」

獄原「……」

星「……」

東条「……」

入間「……」

百田「……?」

百田「ん? お? あれ? おいおい終一。理解できてねぇヤツらがいるみてぇだぞ。やれやれって感じだな、ははっ!」ケラケラ

茶柱「い……いや。これ見たことあります。さっきの最原さんと同じ顔です」

茶柱「信じられない情報を急激に頭にぶち込まれて、なにもかも信じられなくなった人の顔です」

百田「……はあ?」

春川「……どうしたの? そこまでありえないって話でもないと思うよ? 確かに胸糞悪いけどさ」

東条「ありえないわ」ギンッ

春川「え。でも……」

東条「あ、り、え、な、い」ギロリ

春川「????????」

最原「やっぱり……そういう反応になるよね……」
285 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/12(土) 22:46:04.07 ID:ZjNU9ptc0
春川「何が理解できないの? 確かにここまで信じられないものが連発して出されてきたけど……」

春川「この件だけを拒む理由はなに? 反証があるの?」

東条「……」

茶柱「……東条さーん? あ、あれ。どうしちゃったんでしょう。ここで黙るなんて彼女らしくないっていうか……」

茶柱「まさか本当に反証がないってことはないでしょうし」

最原「ないよ。事実だから」

最原「反証がないけど認められないんだよ」

最原「……当然だ。だって彼女は……!」

白銀「敵じゃなきゃダメだから」

最原「!」

最原(……ここで口を開くのか。キミが……!)ギリッ

百田「白銀?」

白銀「……困るんだよね? 私が敵じゃないとさ。その前提が崩れたら真っ直ぐ立っていられなくなるから」

星「やめろ。それ以上に口を開くな。テメェに聞くことなんてもう一つたりともない」

白銀「もう喋ることしかできないでしょ。私にはさ……!」

白銀「本当に、見事になにもかもぶち壊してくれたよね! 自分自身の復讐をする理由すら壊すなんて、どこまであなたたちは愚かなの?」

百田「……終一?」

最原「とても単純な構造だよ。『正義の味方には倒すべき悪が必要』なんだ」

最原「それも生半な作り物(フィクション)じゃない。産まれた時点で殺されなければならないことが決定されてるような、純粋培養の悪の華が」

最原「百田くんたちにはわからないよ……! 何もかもがフィクションで構成されてて、たった一つだけ僕たちを明確に苦しめてるリアルの象徴がさ……!」

最原「それすらも用意されたものだって聞いたとき、どれだけの喪失感があったか」

百田「……テメェら……!」

最原「結末はどうでもいい。殺すのもアリだ。許すのだって簡単だ。どこかに閉じ込めて二度と僕たちの目の前に現れないようにするのだって可能だよ」

最原「白銀さんが本当に敵なら、それだけで『何か』が変わったはずなんだ」

茶柱「……でも実際にはそうじゃない。そういうこと、ですか」
286 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/13(日) 20:27:33.56 ID:pyrqHhE50
百田「……どう思う。終一。テメェはもう受け入れちゃいるんだろ。その事実を」

最原「白銀さんのやったことは絶対に許さない! でも理屈で考えれば、白銀さんが天海くんと一緒だとわかった以上は……!」

最原「恨むだけ体力と精神力の無駄……だよ」

最原「……だからと言って、じゃあ次に誰を恨めばいいんだって話になっちゃう。何を壊すために生きればいいのかもうわからないんだ……!」

巌窟王「いや? この際、もう白銀に対してはそれでいいだろう。奇しくも最原、貴様があれこれ手を回した影響で白銀は死ななかった」

巌窟王「白銀が天海と一緒だと言うのなら、そいつにはもう殺す価値すらない」

白銀「……」
287 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/13(日) 20:45:17.05 ID:pyrqHhE50
最原「……」

巌窟王「わかるな? その憎悪を、次に誰に向ければいいか。貴様はわかるはずだ。諸悪の根源がなんなのか」ギンッ

百田「巌窟王。テメェ、やり口が段々悪魔そのものになってきやがったな」

百田「やらせると思うか?」

巌窟王「クハハ! 貴様の意見など知ったことではない!」

巌窟王「……と言うのは簡単だが、ここは学級裁判だ。そういうわけにもいくまい」

巌窟王「第一、この方向性で『俺の望む方』へと誘導するのは至難の業だ」

春川「……どういうこと?」

巌窟王「白銀への憎しみを理屈で断ち切る。最原なら可能な芸当だろうな。苦しんではいるが、そいつはそれができる人間だ」

巌窟王「今の最原なら、俺の力で充分『救える』。だが他はそうではない」

巌窟王「『白銀は悪くない』という理屈を、他の連中は絶対に受け入れない。理論での証拠がいくらあろうとだ!」ギンッ

春川「……!」キョロキョロ

入間「……」

東条「……」

星「……」

獄原「……」

春川「……そこまで憎い? そこまでイヤ?」

春川「そこまで疲れちゃったの? 誰かを恨まなきゃ、目の前を見ることもできないくらい?」

春川「……ねえ! なんか言ってよ! みんな!」

巌窟王「クハハハハハハ! ままならないな! 今の最原の状態なら充分篭絡できようが……!」

巌窟王「白銀への憎悪で身を焦がしていた連中は、そこから魂を動かせない! 白銀から世界への『憎悪の切り替え』が不可能だ!」

巌窟王「白銀を憎むことこそが、世界を憎むことだと信じていたのだろう?」

巌窟王「残念ながら、白銀すら『世界から犠牲にされた側』だ! とうに切り離されたトカゲの尻尾でしかない!」

巌窟王「……さあ。どうする最原? 貴様はこいつらを救えるか?」

最原「え?」

巌窟王「救えないのなら……無責任極まりなかったな。貴様はただ真実を振りかざして、仲間を傷つけただけだ」

巌窟王「……貴様は真実を追い求めるべきではなかった」

最原「――」





最原(……今のは……物凄く、カチンと来た)
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 10:07:59.28 ID:vp7Lzi1kO
真宮寺と赤松は?っと思ってたけどこの二人は既に知ってたか。
289 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/14(月) 21:26:58.03 ID:aaoxF/yR0
巌窟王「さて。話はこれで終わりだろう? さっさと回答してしまえ。イシュタルに時間はあっても俺たちの時間はそう多くないのだから――」

最原「責任は取るよ」

巌窟王「……今、なんと言った?」

最原「確かに真実はみんなを傷つけるだけかもしれない。みんなから大事な何かを奪うだけかもしれない」

最原「……でも僕は、この学園で探偵役をやらされて思ったんだ。『それだけじゃない』って!」

最原「一度道を見失うことになったのだとしても、生きてさえいればきっと何かが見つかる」

最原「真実は、そのとき『もっと正しい選択』を掴む原動力になる!」

最原「前提が間違ってたのなら、もう一度やり直せばいい!」

巌窟王「……ほう」

最原「……一朝一夕で受け入れてもらえるとは思ってないよ。というか時間が解決してくれる問題なら僕だって情報の出し惜しみなんかしていない」

最原「でも僕は『真実を知るべきではなかった』なんて絶対に思わない! そんなものはただの臆病者の思考停止だ!」

最原「まだあるよ。『天海くんと同じ』以外に、彼女を現す言葉。それで多分モノクマも満足してくれると思う」

百田「終一。テメェ、なんか急に背筋が伸びたな。キレてんのか?」

アンジー「……」チラッ

アンジー(煽ったね?)ニコニコ

巌窟王(さて。なんのことやら)ニヤァ

巌窟王(ただ、この場に何人受け入れられない人間がいようと関係ない。学級裁判ではただ一人、最原だけが前に進めればいい)

巌窟王(自分の言葉のせいで誰かが傷つくのではないか。そんな無用な優しさのせいで議論が滞るのは本意ではないだろう?)

アンジー(……割り切りすぎだと思うけどなー。それはそれで)

巌窟王(なに。立ち止まった者を蔑ろにする気はないさ。アイツらもアイツらで、頭ではわかっているだろう)

巌窟王(前に進む以外に道はない、と。今の最原を見れば猶更なァ!)ギンッ

赤松「……念話で内緒話? ズルいなー、二人とも」

真宮寺「セミラミスさんと念話とかできないの?」

赤松「やめて。飽きるまでからかわれるのが目に見えてる。縁起でもない」ブルッ

最原「白銀さん。キミがなにに怯えてるのか、少しだけわかるかもしれない」

白銀「……」

最原「でも、ここまで来たら絶対に止まれない。悲鳴を上げても泣いても絶対に許さないよ」

白銀「だから何?」

最原「……だからさ」






最原「ごめんね」

白銀「……いいよ。私も……ちょっと逃げ疲れちゃったからさ」
290 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/15(火) 21:09:53.41 ID:ku+QdB2C0
最原「秤にかけてみよう。この場は曲がりなりにも学級裁判。証拠と証言がモノを言う!」

最原「白銀さんへの復讐をかねて、この場で彼女の正体を暴く!」

百田「おう! それで。何か手伝うことはあるか?」

百田「欲しい証言があればいくらでも証言してやるぜ!」

百田「終一のやることだ! 残酷なだけじゃ終わらねぇんだろ?」

夢野「……よいのか? 白銀はそれで」

白銀「バカだなぁ、夢野さん。今更私の心配してるの?」

夢野「んあ? しちゃダメなのか?」

白銀「……!」

最原(僕たちが先に進むために必要な証拠……)

最原「事件が起こったとき、罰の重さを計るのに必要な要素を僕たちは今まで議論してなかったかもしれない」

赤松「それは?」

最原「『そこに悪意があったかどうか』だよ。突発的な犯罪か、計画的な犯罪かだけでも罪の大きさは段違いでしょ?」

真宮寺「え? 情状酌量の余地を議論しようっていうの?」

巌窟王「導入からしてナンセンスだな……許せないと自分で言ったばかりだろう」

最原「それでも必要なことだと思うよ。この学園が始まった直後はどういう想定だったのかは知らないけどさ」

最原「『今』を見てよ。結果的に、生徒は誰も死んでないでしょ?」

天海「あれだけ色々あって、未だに誰も死んでいないっていうのは確かに奇跡的っすよね」

天海「……前のときは最初から最後までバカスカ人が死んでたっすよ」

最原「……正解をこの場で言うことはできる。でもそうなったら巌窟王さんはすぐにイシュタルさんを助けに行っちゃう」

最原「その後は最後の設問だ。時間があるかどうかわからない。できればこの場で聞いていてほしいんだ。それで納得してほしい」

最原「そうじゃないと戻ってこないからさ」

茶柱「戻る? 何が……あっ」

白銀「……?」
291 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/16(水) 21:46:29.27 ID:nJRGmLb10
東条「……まさかあなた……白銀さんの視力を元に戻す気?」

白銀「!」

最原「ついでだからそこまで欲張ってもいいかなって。議論するのが白銀さんの正体で、情状酌量の余地なら、別に不自然じゃないでしょ」

巌窟王(……煽り過ぎたか)イラッ

最原「忘れてるわけじゃないよ。僕は間違いなく巌窟王さんからこう聞いた」



最原『これから暴く真相の中に、白銀さんが悪くないって内容の真実が含まれてたとしたら……』

巌窟王『それでも、ダメだな』

最原『どうして!』

巌窟王『ヤツがやったことを俺は忘れない』

巌窟王『……多かれ少なかれ、本人にどうしようもない事情というものはあろうさ。だが限度はある』




最原「『覚えている上で』言ってるんだよ」ギンッ

巌窟王「業突く張りが……余計な希望を持つだけ無駄だぞ」

アンジー(……違うなー。終一は嘘を言っている。『彼』はあれでお人好しだから全然気付いてないみたいだけど)

アンジー(それを建前にしてもっとデカい欲求を満たそうとしている)

アンジー(具体的にそれが何かはわからないけどねー)

最原「じゃあまず彼女の行動から見える理念を整理だ。まずは二択。『彼女は勝つ気があったのかどうか』」

赤松「それ以前に、彼女の勝利条件ってなに? 当然だけど皆殺しじゃないよね。そんなのエグイサルを使えば最序盤で簡単にできるわけだし」

最原「番組側の人間である、とかのノイズを置いておけば、この学園の勝利条件はたった一つだけだよ」

最原「『生き残ること』だ。それも『生徒同士』っていう対等な立場で。これを仮の前提として話を進めよう」

最原「モノクマと組めるっていう最大のアドバンテージはあったけど、彼女の立場はそれを差し引いてもとにかく不合理だ」

最原「最初からコロシアイから隔絶された領域で、モノクマに生徒同士を煽らせておけば、校則に則って勝つのだとしても……」

百田「二人になった時点でコロシアイは終了だもんな。共食い状態になっちまえばある程度安全に生き残れる」

最原「適当なクロが勝利しちゃったら、その時点でシロの生徒ともども処刑だろうけどさ。それでも『誰にも殺されない』っていうのは大きい」

最原「誰にも認識されない十六人目の高校生。その権利をわざわざ放棄してまで僕たちの中に混ざったのは一体何故か」

最原「……そこは次の議題にしよう。勝負に勝つ気があったのか否かに関しては『最善手を放棄した以上、なかったと考えるのが妥当』だ」
292 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/17(木) 23:21:28.56 ID:dwd7JKxm0
最原「じゃあ次。勝利を放棄するに等しいマネをしてまで僕たちの中に混じったのは何故か」

最原「……僕たちのことを虐め抜くためって感じじゃないよね」

アンジー「アンジー、新世界プログラムの中でつむぎに相当痛い目にあわされたんだけど」

最原「それ本当に白銀さん? 違うよね。新世界プログラムで僕たちをハメたのって正確には白銀さんのアルターエゴだった」

アンジー「……」

赤松「うん。あれはアルターエゴ。白銀さん本人じゃないよ。燃やしちゃったし」

最原「この学園で最善手を放棄することは、命を放棄することと同義だ。『命より大事なことがある』からそんなことをする」

最原「白銀さんが本当に、僕たちを命懸けで虐めたがるような筋金入りの下衆なら、それは間違いなく『自分の手で』やるよね?」

最原「だって既に命を投げ捨ててるんだ。そこでわざわざ引く理由がない」

最原「だから僕たちを責め立てるため、という答えもこれまた否」

最原「さて。勝つ気がなく、僕たちを虐めることにも興味が無い。じゃあ彼女があとやったこととは何か」

最原「……たった一つだけあるよね。というより、この二つの要素で誘引された物が明確にこの場には存在してる」

最原「白銀さんへの憎悪だよ」

王馬「………………………………………………」

王馬「え? マゾ銀ちゃん?」

白銀「恥も外聞もなく茶柱さんに泣きつきたいんだけど」

茶柱「オーライでーす。そしてその次の瞬間から王馬さんの死亡確定でーす」カモーン

王馬「許してっ」キャピンッ

白銀「いいよ!」キャピンッ

春川「寒気のする馴れ合いやめて……」

最原「白銀さんの行動のすべてが、白銀さんの憎悪を呼び起こしている。じゃあなんで。王馬くんの言う通り、白銀さんの性的嗜好?」

最原「……違うよ。それも。僕たちを裏切る前の白銀さんのことを、僕は覚えてる」

最原「白銀さんはそういう方向性の異常さは、欠片も見せたことがない。命を賭けるほどの欲求なら、完全に隠し通すことは不可能だ」

最原「加虐に対して興味がなく、被虐に対しても同様。憎悪を一身に受けて白銀さんに起こったのは……」

最原「……敗北。それしかない」
293 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/18(金) 22:15:29.49 ID:YW4OcDFR0
最原「別視点から見てみよう。裏切る直前から、今に至るまで白銀さんにあった異常性とはなにか」

王馬「『仲間想い』でしょ」

最原「!」

赤松「……仲間……想い……?」

王馬「『分断』された後の白銀ちゃんのことは俺がよく知ってる。だからそこから先は俺が証言するよ」

王馬「その前に聞きたいなぁ。俺の評価、ちゃんと合ってた? こればかりは何も忘れてない最原ちゃんに訊ねるしかないんだけど」

百田「分断される前の白銀が、仲間想いだったかどうか、か? どうだ終一。王馬にしては割といい線行ってると思うぜ」

百田「気持ち悪いくらいのストレートだ……なんか裏あんのか?」

王馬「いや? ただ今の白銀ちゃんが可愛いなと思ってさぁ」

王馬「ちょっとずつ首を締め上げられるようでしょ?」ニヤァ

白銀「……こんなときだけ嘘を吐かないのってどうなの」

王馬「本気にするなよ。キミのことなんてさらさら興味ない」

白銀「!」カチンッ

春川「よしなよ。そいつの言葉に耳を貸すの」

春川「……最原」

最原「王馬くんが正解。ちょっと過激に言うなら白銀さんは『仲間』という言葉に雁字搦めにされてた」



最原『どうしてキミは夢野さんを殺したりしたの?』

白銀『えっ? 私が? 夢野さんを?』

白銀『……最原くん! 私が仲間を殺したりするわけないじゃん! 悲しいこと言わないでほしいなぁ?』ニコニコ



最原「新世界プログラムの中で行われた学級裁判。この一言がずっと気にかかってたんだ」

最原「だって本当に『夢野さんを殺してない』! この点に関して彼女は嘘を吐いてなかったんだから! それだけじゃない!」



白銀『……やめてよぉ! そんな顔で私を見ないで!』

白銀『だって……だって、仲間なんだよ! 私が夢野さんを殺すわけないじゃんッ!』



最原「この時点で殺されたはずだった夢野さんの名前とセットで、仲間だってことを繰り返してる」

最原「あのときは怖かった。でも今は気持ち悪いよ。だって裏切ってるはずなのに仲間アピールしてるんだよ?」
294 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/19(土) 21:19:28.58 ID:y8SLyUDF0
白銀『ふふっ。楽しみにしててね。あなたには第二弾があるから。巌窟王さんも味わってないとっておきのおしおきが、さ!』ニコニコ

アンジー『……ろして……ころして……』

白銀『やだ。仲間だもん』



アンジー「……そだねー。今から考えるとあれって未練だったのかも」

アンジー「もっとも、あれはアルターエゴの台詞だったけどさー。まあ『ほぼ』本人だから誤差の範囲だよねー」

天海「あっ。俺も心当たりあるっすよ! 分断の後で白銀さんに拉致られて……」

最原「あ、それはいいや。天海くんの場合はちょっと方向性変わっちゃうから」

王馬「じゃ、俺の番だね! 白銀ちゃんはさー。俺に『裏切りの協定』を持ちかけたんだ」

王馬「条件は『次のコロシアイでの首謀者の地位』。お世辞抜きにいい条件だったから俺もそれを飲んだんだよね」

王馬「こんな武器まで貰っちゃったりして」ガチャリッ

赤松「えっ? じゅ、銃?」

夢野「そ、それ……ウチを撃ったあの麻酔銃じゃな?」

王馬「麻酔銃だったんだ。自分で撃ったことないから全然知らなかったや」

王馬「さて。俺の証言はこれで終わりだよ。これで充分でしょ」

百田「早っ!」

百田「……でも確かに、そうだな。ああ。間違いねぇ。テメェが何を言いたいのか完璧に理解したぜ」

天海「そう……っすね。わかりたくなかったっすけど」

春川「白銀。あんたさ……」

白銀「……」





百田&天海&春川「これだけはないだろっ(でしょ)(っす)!」

王馬「てへぺろっ」キャピンッ
295 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/20(日) 16:36:04.07 ID:k2JZrfSk0
春川「確かに『コイツ』なら私たちのことを裏切りかねない。しかもこっちに残った連中の中では唯一『飴だけで』懐柔が可能だよ」

春川「他の連中を裏切らせるのなら人質を取るとか、どうしてもキツイ鞭になっちゃうから」

春川「でもさ! よく考えればわかるでしょ! 『裏切りやすいヤツを味方に付けること』は、それだけで破滅の秒読み、無限のリスクだ!」

天海「なんてったって『裏切りやすい』んだから当然っすよね。再度裏切り返される可能性とずーっと付き合わないといけないっす」

天海「彼と信頼を前提として組むことは百パーセント不可能っすよ」

百田「百歩譲って、王馬と付き合うことに利益があるとすれば、だ」

百田「それは『裏切られることを前提としたチーム』を組みたいときだけだ! コイツを操縦することが不可能だとは言わねぇが……」

百田「その場合、犠牲にしなきゃいけねーもんが多すぎる。場合によっては『命を含むほぼすべて』を諦めなきゃならねぇ」

百田「コイツと組むようなヤツがいたとしたら、そいつは相当追い詰められてる!」

王馬「うわっ。ボロックソ言うね……みんなして俺のことそう思ってたんだ……」

王馬「ありがとう! 最っっっ高の誉め言葉だよ!」キラキラキラキラキラ

天海「王馬くん……そういうところっすよ……」ズーンッ

最原「もしも……もしも白銀さんの想定通りなら、すべてが終わった後じゃないとそうは思わなかったのかもしれないけど」

最原「この裏切り協定はあまりにも酷い。王馬くんを味方に付けたってことは『裏切りを持ちかけた自分を裏切るように仕向けた』ってことに他ならない」

最原「さあ。これだけ証拠を並べ立てたんだ。これだけでももう確定に近いよね」

最原「白銀さんが何を狙っていたのか」

百田「……」






百田「自爆……としか考えられねえ」
296 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/20(日) 22:30:10.81 ID:k2JZrfSk0
最原「白銀さんが敗北した場合、得をするのは誰?」

最原「考えるまでもない。この才囚学園に生き残った全員だよ」

最原「白銀さんから見え隠れしていた異常性。狙っていた結末。実際に巻き起こったこと……これが僕の提出する証拠だ」

最原「彼女の行動は『仲間のため』! これが僕の答えだ!」

赤松「それは違うよ!」

最原「!」

百田「……やっぱりな。今のテメェなら反論すると思ってたぜ」

百田「でもよ。これ状況証拠ってだけじゃねぇ。実際に白銀がやったことを並べ立ててんだ」

百田「人は言動でいくら嘘を吐けても、行動そのもので嘘を吐くことは困難だぞ」

赤松「そうかな? 結局のところ、行動から何を読みとるかは解釈の問題だよ?」

赤松「それに、彼女が明確に気にしていたことがあったよね。夢野さんの学級裁判のときに最原くんが言ってたはずだよ」

最原「『演出重視』のことを言ってるの?」

赤松「自分の生存を度外視してることは確かに。信じられないけど、私にもそうとしか思えないよ」

赤松「でもさ。彼女が命をかけてる対象は仲間じゃない。演出だよ」

赤松「彼女は私たちをとことんコケにすることに命がけだった。王馬くんの裏切りに関してもそう」

赤松「正攻法で王馬くんの裏切りの策が上手く行ったら……つまり万が一王馬くんが白銀さんを裏切らなかったら?」

赤松「私たちにとって大打撃だよね。例えば茶柱さんとかを人質に取ったりしたら、その時点で私たちの勝ちの目は薄くなる」

赤松「心理面でも私たちに与えられるダメージが大きい。無限のリスクに釣り合うとは言えないけど、ハイリターンではある」

赤松「……ね? 結局は解釈次第。それで証拠と言われても困るよ」

巌窟王「クハハ! やはり春川の言う通り、なにかに怒ってるな? 赤松!」

巌窟王「随分と言い切るな? お前の主張も結局は、自分の言った通り『解釈次第』だと言うに!」

最原「……」

赤松「うん。怒ってるのは、今更隠すつもりもないよ」

赤松「ただし、別に最原くんのせいだけってわけじゃない」

最原「?」

最原(……その一言は予想外だったな?)

赤松「結構思い込み激しいな、最原くんも」

赤松「……最原くんのせいだけで怒るほど、私も短気じゃないよ」ギロリ
297 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/20(日) 23:06:47.00 ID:k2JZrfSk0
百田「……ん? 終一。赤松になんかしたのか?」

最原(赤松さんが巌窟王さんと共犯で白銀さんを殺そうとした……という事実をネタにしてゆすったってことがわからなきゃ意味不明な一言だな)

最原「……ごめん。なんのこと言ってるのかさっぱりわからない」

赤松「わかったって言われても困るんだけどさ。最原くんだけわかってくれればいいよ」

最原「……なんにせよ、赤松さんは白銀さんの善意を認めるつもりはないってことでいいんだよね?」

赤松「だって、そんなものないでしょ。仮に善意だったとして、今までのことが許される?」

最原「許されないね」

最原「……少なくとも僕だって許せない。だから何?」

赤松「はあ……?」

最原「『考える機会』を奪うことはないだろ。『もしかしたら許せる部分もあるんじゃないか』ってさ」

百田「それに更生の余地を与えることは、俺たちにとっても利益があるぜ?」

百田「なんせこのコロシアイの首謀者だ! コイツの情報がありゃ、巌窟王の提案よりいい案を出せるかもしれねぇ!」

赤松「そんな時間……!」

最原「ないだろうね。もしも本当に『白銀さんが救いようのない下衆』だったらの話だけど」

最原「『最初から僕たちの仲間』の場合のみ活路が開ける! そして今回の場合、白銀さんはそうなんだよ!」

白銀「……」

最原「証拠が不十分かな? なら仕方ないか」

最原「この場で即座に用意できる証拠、まだあるよ」

最原「この場で用意できる証拠は、あと二つしかない」

最原「……それで納得してくれない場合、三つ目の証拠を出すしかないけど……これだけは使いたくないな。赤松さんをこれ以上怒らせたくないし」

赤松「……?」

赤松(『卒業アルバム』のことを言ってる……? バカだな、最原くん)

真宮寺(持ってきてはいるヨ。万が一のためにネ。でもこれは仲間全員に必要になったときのための保険だ)

真宮寺(『白銀さんの弁護のため』になんか絶対に使わせないヨ……!)ニヤァ
298 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/21(月) 20:34:05.39 ID:FF0/V0hI0
アンジー「……ねえ楓ー。早めに意見は翻した方がいいと思うよー?」

赤松「なんで?」

アンジー「なんでって……こういうときの終一って凄く怖いしさー」

アンジー「……ね?」

赤松「……」

アンジー「うーん。聞く耳持たないかー。ならいいけど」

巌窟王「さあ。出してみろ最原! 即座に用意できる二つの証拠とは一体なんだ?」

最原「本。そして写真だよ」

白銀「!」

ナーサリー「……本?」

夢野「その本! まさか……!」

最原「モノクマでもわかる家庭料理レシピ百選」

夢野「やっぱりか!」

百田「やっぱりかじゃねーよ! 満を持して出してそれか!? い、いや……それなんだ!?」

最原「古今東西の拷問法が書かれた雑学本」

茶柱「料理ってそっちの意味ィ!?」ガビーンッ

最原「イラスト満載で、子供でもよくわかる内容だよ。子供にわかっちゃダメな内容だけど」

百田「知らねーよ!」

最原「確かに本の内容なんかどうでもよかったね。僕も半分くらいしか読んでないし」

茶柱「半分読んだあなたが怖いんですけど……」

最原「……問題は内容じゃない。それ以外の部分だ。『タイトル』と『厚さ』だよ」
299 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/22(火) 21:44:50.32 ID:1YwUbx5S0
バシッ

最原「ん!?」

ナーサリー「貸して」

百田「……いや貸してと言う前に奪ってんじゃねーか!」

ナーサリー「タイトル『モノクマでもわかる家庭料理レシピ百選』。縦30CM。横21CM。厚さ約10mm。ページ数152」パラララララ

ナーサリー「国際標準図書番号、なし。デザイン監修、編集、監修、すべてモノクマ」

ナーサリー「発行年月『オマエの誕生日』。発行所は『才囚学園』。非売品」パタンッ

ブワッ

最原「うわっ! ドレスの柄がモノクマカラーに!?」

ナーサリー「ありがとう、貸してくれて。お礼に本の情報を並べ立ててみたけど、どうかしら?」ヒョイッ

最原「あ、ああ。うん。これ以上ないと思うよ」

巌窟王「ナーサリーライムは本の英霊……というより物語の英霊だ。万が一内容について話したくなったらコイツに頼るといい。別に外観でも構わないが」

巌窟王「なに。『英霊を証拠品扱いする』なぞ、貴様なら慣れたものだろう?」

ナーサリー「別に直接的に本に触る必要はないのだけれども、一応貸してもらったわ。とても不道徳な本ね」

真宮寺「で。その不道徳な本のタイトルが、何だって?」

最原「この本、図書室の首謀者の隠し部屋の近くにあった本棚にあったんだ」

夢野「正確には発見したのは首謀者の部屋の中じゃぞ。『本来しまわれていたはずの場所が隠し部屋の近くの本棚』というだけじゃ」

最原「あそこあたりの本棚の、並べ方の順番は『タイトル順』なんだよ」

最原「で。首謀者の部屋で見つかったこの本を、本棚に戻し入れてみたら……」

最原「過不足なくハマったよ。本同士が詰まることもなく、かと言って隙間が大きすぎない程度にね」

赤松「それがどうかしたの?」

最原「過不足がないのが不自然なんだ」

最原「……だって、あの本棚は『既に一冊の本が焼失した後』なんだから」
300 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/23(水) 21:58:37.85 ID:nyS7HiUi0
最原「モノクマでもわかる写真術。覚えてる?」

夢野「当然覚えておるぞ。ただ、この本の違和感に気付いて、本棚を検めた時点ではもう『どこにも存在しなかった』がな。当然じゃけど」

百田「ちょっと待て。なんだその、写真術? それがどうしたってんだよ」

最原「やっぱり百田くんは覚えてないか……被害者が巌窟王さんだったわけだから当然だけど」

最原「実は最初の事件の被害者は巌窟王さんだったんだ。色々あって巌窟王さんは復活して、犯人の赤松さんも無事だった」

最原「その途中、少しだけ話題に出たんだよ。巌窟王さんがたまたま欲しがってた本。モノクマでもわかる写真術……」

天海「事件が終わった後で図書室に行ってみたら、その本はすっかり焼失してたっす。燃えカスが残るのみだったっすよ」

天海「多分、後後の王馬くんの台詞と行動を考えるに、巌窟王さんのビックリした顔が見たいがために燃やされたんだと思うんすけど……」

王馬「ああ。そういえば理由はまったく覚えてないけど、そんな本を燃やしたような記憶がぼんやりあるような……」

アンジー「実際に燃やしたんだよー。後で『彼』が物凄く恨み節まき散らしてたから間違いないねー」

巌窟王「……」

巌窟王「図書室だな? 同一タイトルの本が一つや二つあってもおかしくはないが」

巌窟王「……あの本は王馬が燃やした一冊だけだ。モノクマが補充しない限りは、もう二度と図書室には並ぶまい」

モノクマ「図書室の本の補充? ボクはそんなことしてないよ。更に言えば図書室の掃除の方もあまり小まめにはやってないなぁ」

最原「本棚にも触ってないんだな?」

モノクマ「もちろんです」ムフー

最原「そうか。じゃあ決まりかな……」

最原「……そうだ。記憶を失ってないみんなには改めて、件の本棚の詳しい座標を改めて言っておかないと」

最原「隠し扉へ向けたカメラ。第一の事件で巌窟王さんが倒れていた場所だよ」

最原「そして、写真術の本に関してはもう永久に消えているのに、料理本を本棚に戻すと『すべて揃う』」

最原「加えて、この料理本と写真術の本はタイトルが酷似しているとなると……」

最原「……段々新しい証拠の輪郭が見えてこない?」
301 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/24(木) 22:57:44.64 ID:00OzEERT0
赤松「最初の学級裁判でちょっとだけ触れたよね」

赤松「『もしかして赤松楓が隠しカメラのセットと一緒に、巌窟王さんおびき寄せのために写真術の本を同時にセットしたんじゃないか』って」

赤松「あのときは最原くんが否定した。『カメラを仕掛けた人と本をあそこに置いた人が同一人物だとは思えない』って」

真宮寺「限りなく可能性の低い偶然が重なった結果起こった悲劇……情報が足りなかったあの時点ではそう結論付けるしかなかった」

真宮寺「ククク……でも違うんだネ! その口ぶりだとさぁ!」

最原「偶然の可能性は消える。すべては必然だった」

最原「本に続いて、この写真が証拠だよ」ピラッ

モノクマ「拡大して上のモニター……の何枚かに出しまーす!」

百田「白銀? ……場所は図書室、だよな。階段側じゃなくて奥側の扉のあたり、か?」

最原「場所はそれで間違いないよ。問題は、これが撮影された時間だ」

最原「第一の学級裁判が起こる前なんだよ、これ」

春川「根拠は?」

王馬「俺が本を燃やしたタイミングでしょ」

最原「うん。この白銀さん、本を持ってるでしょ? タイトルは微妙に隠れちゃってるけど辛うじて『写真術』って読める」

ナーサリー「……」ジーッ

最原「全文はわからない。でも、白銀さんの持ってるこれこそが件の『モノクマでもわかる写真術』だよ」

最原「一冊しか存在しなかったはずの本が、この写真に写ってる。これが第一の学級裁判が起こる前だと主張する根拠だ」

最原「……白銀さんは一冊しか存在しないはずの本を持って、何をしたのか」

最原「決まってる。『本の入れ替え』だよ」
302 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/25(金) 23:57:36.87 ID:5xuU6JFi0
最原「さっきから意図的に黙ってる出戻り組はもう気付いてるよね。つまり図書室には写真術の本なんて無かった! 少なくともあの本棚には!」

最原「後から白銀さんが、本来そこにあった料理百選の本と入れ替えたんだよ!」

夢野「まさかこんな写真が『ここに』出るとまでは予想しておらんかったがの」

夢野「最初の事件のトリックについて、重要なのはとにかく『巌窟王の位置』じゃ。『砲丸の位置』でもよいが」

夢野「巌窟王の頭上にドデカい鉄骨が落ちて来る! とかならそこまで気を遣う必要はない。でも現実にはそうではなかった」

夢野「重さ、高さは問題ないとしても『命中率』にはどうしても不安が残る!」

夢野「じゃから保険が必要じゃった。ダメ押しとも言えるし、願掛けとも、ともすれば単なる『おまじない』とも言えるような極微量の底上げが」

夢野「ついでに、あからさまに図書室に向かうつもりじゃった巌窟王が、万が一あそこに来た場合の備えがな!」

夢野「それが写真術の本じゃ。あの当時の巌窟王は、卒業アルバムのために写真について書かれた本を欲しておったからな!」

夢野「……そういえば最原。お主、カメラをセットした後、ずっと階段傍の教室で見張ってたわけではなかったのか?」

最原「カメラを設置した後すぐ、ってわけじゃなかったからね。首謀者が僕たちと一緒にいる場合はタイムリミットギリギリにならなきゃ来ないだろう」

最原「そう赤松さんが言ったからさ」

最原「あのトリック全体を見るに『首謀者がなにかと理由を付けて大人数で地下に降りるはず』って予測した上での発言だったんだと思う」

赤松「百田くんの予定を偶然知ったからね。首謀者なら絶対にその計画にあえて乗るだろうって思ったんだよ」

赤松「わざわざ私たちの中に紛れ込むような人だし。そうじゃなきゃ最初からあの部屋に引きこもってる」

赤松「あの大爆音のトリックは、カメラを仕掛ける前日にすべて実験は終わったけど」

赤松「AVルームの細工だけは出来る限り計画実行直前、せめて当日に行う必要があった。あのAVルームって結構使用頻度高かったから」

赤松「で。『緊張でガチガチになってるから食堂でなにか食べてきなよ』という口実で最原くんを追い出して」

赤松「すべての細工を終えた後で悠々と最原くんを拾って、階段傍の教室に戻ってきたってわけ」

赤松「……念のために言っておくけど、それでも十七時だよ。あの事件が起こる寸前、つまり二十二時寸前まで見張ってたわけだから……」

巌窟王「五時間はあの教室にいたのか。退屈だっただろうな、死ぬほど」

最原「僕たちがいない間に首謀者が中に入ってしまったかも、という心配は元からしてなかったよ」

最原「入間さんの作ってくれたブザーだけは携帯してたからね。倉庫の赤外線センサーとは違ってこれは射程が長いんだ」

最原「いや赤外線センサーの方も後から長くなったけど……これの応用で作ったのかな」
303 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/26(土) 23:01:46.24 ID:7XbpdrVj0
最原「タイトルが酷似している理由はこれでわかったよね。本来そこにあったものと取り換えるとき、本棚がタイトル順ならどうしても似てしまう」

最原「……というか似てるヤツを急ごしらえで作ったんだ。よくもまあ間に合ったものだよね」

白銀「モノクマが一晩でやってくれました」

最原「次。白銀さんは本を作った際、意図的に増加させたものがある」

最原「本の厚みだ」

百田「あ? 本が厚くなると……何が起こるんだ?」

春川「……」

春川「取り出しにくくなる……」

百田「い、いやいやハルマキ。取り出しにくくなるからってなんだって……」

最原「確かに聞くだけなら物凄くショボい細工だよ」

最原「でも現実に、巌窟王さんはそのせいで赤松さんに殺されたんだ」

最原「……と、まあここまでなら、あくまで赤松さんの殺人計画の後押しでしかないんだけど」

最原「問題はここまでやっても『殺人計画が上手く行くかどうかわからない』ってところだ」

最原「命中率はかなり上がったけど必中じゃない。多分一割くらいの確率で外れてしまう」

最原「ここから先は白銀さんの話を聞いて判断するしかないんだけどさ……」

最原「もし外れたら何をする気だったの、白銀さん」

白銀「……」

最原「巌窟王さんが触っていなかったにも関わらず、隠し扉の本棚は動いた」

最原「ということは、白銀さんはあのとき隠し部屋の中にいたんだよね」

最原「……本当に本棚を動かすためだけにあそこで待機してたのかな?」

白銀「どうしても私の口から言わないとダメ?」

最原「うん。そうじゃないとダメだ」

白銀「……はあー……」
304 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/27(日) 21:28:27.68 ID:5uTnDdYF0
白銀「本当にこれだけはぜーーーったいに取りたくない手段だったんだけど」

白銀「赤松さんの砲丸が外れた場合は、私がやるしかないなって思ってたよ」ニヤァ

百田「!」

夢野「……ゴミ箱の中の砲丸」

白銀「ああ。やっぱり気付くよね。そうだよ。結局用済みになっちゃったから適当に捨てたんだけど」

夢野「……」

赤松「……ねえ。情状酌量の余地を議論したら、余計にドツボに嵌まってない?」

最原「いや。これでいいんだ。今の一言ではっきりした」

最原「彼女が真に何をしたがってたのかがね」

夢野「白銀よ……よもやそこまで……!」ギリッ

白銀「……?」

白銀「……ッ!」キョロキョロ

最原「本当に怖がってたのはこの光景、だろ。僕はこれを見せたかった」

最原「……白銀さん。キミの行動はなにもかも矛盾だらけだよ。なんでそんなことになったと思う?」

最原「抜群の行動力、モノクマの強権、僕たちのキャラクターを理解した上で行われる圧倒的な先読み」

最原「それらすべてを駆使して、何をしたかったのか」

最原「……『なにもしたくない』。それが答えだ。自分が死ぬのもイヤ。仲間が死ぬのもイヤ。終わるのがイヤ。裏切るのも裏切られるのもたくさんだ」

最原「自分の罪が裁かれるのも、裁かれないのも耐えられない」

最原「それらの願望を叶える方法はたった一つ。自分自身が、何一つとして誰にも理解できない『謎』であればいい」

最原「ずっと謎でいるのは難しいから、せめて自分が生きている間だけという限定条件付きで!」

白銀「い……いや……!」ガタガタ

最原「その可能性は僕が今、摘み取る。そんな希望を許すわけにはいかない! なんだって利用してやる!」

最原「……百田くん!」

百田「ああ……利害関係は一致してるよなぁ……なら仕方ねぇよなぁ……終一。てめぇの口車に乗ってやる」

百田「白銀」

白銀「!」ビクッ





百田「テメェが何言おうが、俺はテメェの仲間を辞めるつもりはねーぞ。絶対に」
305 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/27(日) 21:40:16.24 ID:5uTnDdYF0
赤松「……なに? なんでみんな、そんな顔してるの?」

赤松「今の言葉、聞いてたよね……? ならなんで……」

赤松「なんで白銀さんのことを『憐れんでる』の!?」

天海「今の一言が完璧に嘘だったからっすよ」

赤松「へ」

天海「……子供でももっとマシな嘘を吐く。言葉自体に嘘はなくとも、彼女の態度に嘘がある」

天海「本当に赤松さんの砲丸がハズレたらマジでやるつもりだったでしょうね! でも……」

白銀「ま、待って。ははは! おっかしいなぁ! 最後まで話を聞いてよ!」

白銀「私はさ! 巌窟王さんを殺しても、クロにはならないんだよ! 赤松さんに罪を全部押し付けるつもりだったからさぁ!」

白銀「赤松さんが犯人ってことにして……! 代わりにおしおきを受けてもらって学園生活を続行する気で……!」

春川「……もういいよ白銀。もうたくさんだから」

春川「この記憶が偽りのものだったとしても、誰かを『それっぽい理由で殺す』ことの辛さは知ってるから」

春川「『どの方向性に転ぶのもイヤ』なら……もう何もしなくっていいんだ! アンタは!」

白銀「な、何を……言って……」ガタガタ

巌窟王「……」

巌窟王(なんだ。何が起こっている? この空気はなんだ!?)

巌窟王「何故……白銀を守る方向で団結をする……!?」

巌窟王「貴様らはただ、状況が呑み込めていなかっただけだろう? 『何も知らない』から白銀を庇っていたに過ぎなかった」

巌窟王「それが何故……すべてを知ってなお、許す方へ向かっている……!?」

アンジー「わからなくっていいよ。少なくとも、この場で、お前だけは」

アンジー「……それがわからないあなたが好きだからさー。アンジーは」

巌窟王「……バカな……最原……!」
306 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/28(月) 21:28:18.89 ID:3w9DTCg+0
最原「もっと早い段階で気付いておくべきだったね、白銀さん。たとえ気付けてたとしても、他にいい言い訳を思いついていたとは思えないけど」

最原「あまりにもグズグズすぎる」

白銀「……」

最原「この場にいる、記憶を消された人たちは全員気付いてるから今更言うまでもない」

最原「キミのことをずっと信じてた夢野さんに至っては、料理百選の本の真実にはとっくのとうに気付いてる!」

最原「砲丸も、本も、写真も……これらがなければ真相に至れなかった。ならなんで!」

天海「なんで『こんな証拠がある』んすか? 真っ先に処分すれば何も無かったはずなのに」

天海「特に、最悪なのが写真っすよ。これ明らかに、アングルが最原くんの隠しカメラっすよね」

天海「これに関しては、記憶を取り戻した俺だからこそわかるヤバさっすよ」

天海「……赤松さんに罪をなすりつけて代わりにおしおきを受けてもらうつもりだった、か」

天海「その案は結局、九割の命中率が上手い具合に働いたから実行には至らなかった『ルール違反未遂』でしかない」

天海「でもこれは違う。校則に真っ向から反している!」

天海「『モノクマはコロシアイには関与しない』の校則にね!」

夢野「あのとき、写真の現像をしたのはモノクマじゃ。モノクマーズではなく、モノクマだったんじゃ!」

夢野「したがって、この写真を握り潰せるのもモノクマだけということになる!」

夢野「重要な証拠じゃぞ! 握り潰したら大変なことになる!」

夢野「最悪、握り潰して誰にも発覚されなければそれで済むが、現実にはこうやって最原に見つかっておる! ありえないじゃろ!」

夢野「写真なんぞ処分しやすい証拠ベスト3に入る! なんで後生大事に持っておったんじゃ!」

白銀「裁判のフェアさを維持するため……」

最原「建前だろ。すっかり騙されたよ。キミにあるのは行動力だけだ。自分の意思がない」

最原「……誰かに何かしてほしかった。されたかったんだ。それがキミの望みだよ」

最原「裁かれるのも、殺されるのも、傷つけられるのも、許されるのも全部良かったんだ」

最原「どこまで……どこまで生きることに疲れたらこんなことになるんだ……! ふざけるのもいい加減にしてくれよ……!」

百田「なら俺たちがやることはたった一つだけだ」

白銀「……!」





百田「裁かない。俺は白銀の罪を知らないからな」

百田「殺さない。殺すわけねーだろアホか」

百田「傷つけない。仲間を傷つける? 論外だろ」

百田「許さない。そもそも最初から怒ってない」

百田「俺たちは、白銀に『何もしない』」
307 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/29(火) 22:43:18.28 ID:joItBt9c0
最原(……真宮寺くんをあの場でタコ殴りにしたときと同じ気分だ)

最原(胃がムカムカする。体が怠くなってくる。とにかく息がものすごく苦しい)

白銀「最原くん……お願い。これ以上はやめて……お願いだから……!」ガタガタ

最原「これは僕の復讐だ。やめる道理がどこにある?」

最原「……キミはこれまでやらかしたことの責任を一切取らなくていい。取っちゃダメだ」

白銀「はっ……ははははは! そんな! そんなバカなこと」

最原「バカじゃないよ。キミを現す言葉は『天海くんと一緒』ともう一つ」

最原「ここまで言えばもう誰でもわかる。特に百田くんたちには」

最原(『被害者』。つまり――)

茶柱「……『転子たちと同じ』……ということですね」

最原「同じ境遇、同じ地獄に落とされた仲間だ。一体なにをどうして、そんな人を裁かなきゃダメなんだろう」

最原「時間の無駄だ」

王馬「考えてみれば、第一の事件のモノクマのタイムリミット、第二の事件の動機ビデオ……」

王馬「このふたつの動機に関しては『首謀者であるはずの白銀ちゃんにも有効』だよね! 本当に『天海ちゃんと一緒』ならさ!」

白銀「王馬くん!」

最原「もう悪あがきはよそうよ、白銀さん」

最原「……キミがやってきたことは全部無駄だった」

白銀「ッ!」ビクッ

百田「おい。終一……!」

最原「血反吐を吐くような努力、ご苦労様。余計なお世話だった……だけなら可愛いものか」

最原「キミのやったことは全部無意味だった」

白銀「いや……いやあ……!」

最原「こんな茶番劇の裏方に、よくも徹しきれたものだよね。僕にはまったく理解できない」

最原「キミはキミ自身が考えている以上に無能だった」

白銀「ひっ……ひうっ……うああああああ!」ガタガタ

最原「でも安心してよ。百田くんたちは相も変わらず仲間を続けてくれるそうだから」

最原「……キミはこの学園で『なにもできなかった』から。いや……」

最原「キミにはこれからも『なにもできない』。『誰も殺せない』から『誰も救えない』!」






最原「『無力』だ」

白銀「いやあああああああああああああああああああああっ!」
308 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/30(水) 23:34:53.26 ID:vuQiQmWD0
ゴッ

最原「がっ……!?」

茶柱「……転子はあなたのことを信じてます。信じてますが……それはそれとして死ぬっっっほど不快です」

最原「え。ちょっと待って。今、何を投げ……」ヒョイッ

ネコアルク「にゃあ〜〜〜星がくるくる回る〜〜〜」ピヨピヨ

最原「爆発物を無造作に投げないでくれるっ!?」ガビーンッ

赤松「それ以前に自立意識のあるロボットを投げないでよ……キーボくんじゃないけどロボット差別はダメだからさ……」

茶柱「……ここまで追い詰める必要がありましたか? 今までの努力は無駄だったと突きつける以上に残酷なこと、そうそうありませんよ?」

最原「二度と同じことをされないように徹底的にしておきたくって……当然私怨も入ってるけど」ダラッ

最原「うわ。血が出てる……かなり強く投げたね……おでこから結構出血が……」

百田「ツバでもつけとけ! あるいは茶柱のツバでもつけとけ!」

茶柱「!?」ガビーンッ

百田「……敵は決まった。確かに議論自体は無駄じゃなかったかもな。この場に敵が一人もいないってんなら……」

百田「俺たちの敵は『外の世界すべて』だ! 白銀にこんなことさせたヤツも、俺たちにこんな目をあわせたヤツらも!」

百田「目に物を見せてやるぜーーーっ!」

白銀「だからっ! それがダメなんだって!」

白銀「それが一っ番ダメなんだってば!」

百田「お?」

白銀「私がっ……私がなんの理由もなくこんなこと考えたと思ってるの!?」

白銀「ちょっとでも勝算があったのなら、仮にそれがどんなに小さくたって、それに賭けてみるのが一番簡単だよ!」

白銀「でも実際には違う! 世界なんて相手にしてられない! たったの十六人……それも、この世に実在してない私たちに何ができるの!?」

白銀「……やってみなけりゃわかんない、とか言わないでよ! もうやったんだよ! 天海くんが知らないところでも何回も!」

白銀「天海くんと一緒のときも! 何回だって……何回だって……諦めずに、希望を捨てずに何回だって……!」

春川「……白銀……」

白銀「は、ははっ。知ってるんだよ、私はさぁ。春川さんみたいな目をした人、前にも見たよ!」

白銀「その人は私たちのことを信じて、無念さを隠して、満足そうに死んでったよ!」

白銀「ふざっけないでよバカじゃないの!? そういう抜き身の優しさ、どうせ死ぬヤツにはないほうがいいに決まってるじゃん!」

白銀「残される私たちのが百倍辛くなるだけなんだよっ!」
309 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/30(水) 23:51:53.03 ID:vuQiQmWD0
白銀「嘘……嘘! 嘘! 嘘! この学園にあるものは全部フィクション! 現実に存在するものの模造品!」

白銀「優しさ、決意、希望、心、未来……! そういうポジティブなものはぜーんぶ実在しない! 少なくともこの学園では!」

白銀「消えちゃうんだよ……! 私が消すこともできるし、外の世界の連中ならもっと簡単に消すことができる!」

白銀「実際、私が何をしたか、百田くんたちはどれだけ覚えてる!? なにも覚えてない……! 辛うじて巌窟王さんの影響だけが残ってるのみだ!」

白銀「どうせふいに消えるものなら、せめて私の手で壊してしまいたかった。私の知らない場所で消えるのは凄く怖いんだよ! 毎回心臓が止まりそうなの!」

白銀「信じてたものに裏切られるのも怖い! なら私が裏切りの原因になってしまった方がいくぶんかマシだよ!」

白銀「どうせ残酷な形で消えるものなら……その最期を私が少しだけでも……!」

百田「消えねーよ」

白銀「その台詞も知ってる! 聞いたことあるよ……結局嘘だった!」

百田「嘘じゃねーよ。だってよ」






百田「ならなんでテメェは泣いてんだ?」

白銀「……は……」

百田「嘘と真実の定義なんぞいちいち議論できねぇけどよ。終一ほどその分野に明るいわけじゃねーし」

百田「……そうだな。テメェは知ってるんだ。『何一つとして嘘なんかない』ってことに」

百田「でもそれじゃ耐え切れねぇから『全部嘘だった』ってことにしてぇだけだ」

百田「悪い夢だったって思いたいだけなんだよ。行動を裏返せば結局、やればやるほど『嘘だと思ってない』って証明するようなもんなのによ」

白銀「……」

百田「……天海。わり。これ以上、俺が言うべきじゃねーだろ。テメェに任せた」

天海「……あははっ。うん。ありがと……後のことは俺に任せてくれっす」

天海「百田くん。超高校級の生存者として参加したこの学園で、キミに会えて本当によかった」

天海「キミを信じることができて、本当によかった……」

百田「いいってことよ!」
310 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/31(木) 20:45:38.80 ID:BYswMy6f0
天海「……白銀さん。俺はどうやって、分断前の記憶を取り戻したんだと思います?」

白銀「……」

天海「薄々感づいてたんじゃないっすか。俺は最原くんみたいなスキルでもなんでもなく『偶然』で記憶を取り戻したんすよ」

天海「それ以外にマジで理由がないんす」

天海「……ははっ。何もかも偶然っすよ。赤松さんの砲丸がマジで巌窟王さんの頭上に落ちたのも」

天海「いや。巌窟王さんがそもそもここに呼ばれたのだって」

天海「……白銀さん。ただの偶然で、今回のこの学園での出来事は、前回の学園でのコロシアイみたいにならずに済んだ」

天海「ここまで来たらもう……偶然じゃなくって『運命』って言えるのかもしれないっすね」

白銀「だから……なに?」

天海「諦めてくれないっすか? 流石に相手が運命じゃ、白銀さんでも勝てないでしょ。世界より余程に分が悪い」

天海「友達からの一生のお願いっす」

白銀「……まだ私のことを友達だって言ってくれるの? 何もできなかったのに」

白銀「あなたを殺して終わらせることも。私が死んで終わることも」

白銀「……あなたたちが何も思い出さずに私を殺してくれたら、少なくとも『才囚学園での物語』はハッピーエンドだった」

白銀「一瞬だけだったとしても、達成感で幸せになれたはずだったのにさ……!」

天海「興味ないっすね! 余計なお世話クソ食らえっす!」ニカッ

天海「……今回の学園で発揮した行動力、今度は正真正銘、俺たちのために使ってくれないっすか?」

白銀「……なんていうか……」





ネコアルク「メンタルをボッコボコにした後で新しい目的意識を植え付けるとか、やり方が完璧に洗脳のそれじゃないかにゃー」

天海「!?」ガーンッ

最原「今は黙ってて」ガバッ

ネコアルク「もがぐぐ」
311 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/01/31(木) 21:15:56.37 ID:BYswMy6f0
天海「ほ、本当だ。今の俺って最低の鬼畜野郎なんじゃ……」

茶柱「安心してください。最低なのは間違いありませんが、鬼畜野郎なのはこの場で最原さんだけです」

最原「ぶっ」ブシュウアアッ

バタンッ

最原「」チーン

王馬「最原ちゃんは……茶柱ちゃんの言葉のショックで古傷が全部開いて死んだ」

真宮寺「超善人だったのに、どうしてこんなことに……」グスン

茶柱「謝りませんよ! 謝りませんからね!」

白銀「……」

白銀「私は私のことが嫌い。最近までそうじゃなかったのに、最原くんのせいで嫌いになった」

白銀「……もっと私は色んなことができると思ってた。なんだって……世界に歯向かう以外なら、なんだって……!」

巌窟王「勘違いだな」

白銀「!」

巌窟王「……なんでもできるヤツなどいない。俺がこの学園でイヤというほどに思い知ったことだ」

巌窟王「何もできないということはない。だが、一人一人、個人個人がやれることは驚くほどに少ない」

巌窟王「才能のあるなしに関わらずだ」

巌窟王「貴様の失敗がどこから始まったか。考えてみれば、ありきたりだな。この年頃の娘なら珍しくもない」

巌窟王「無理に背伸びをしすぎだ」

天海「……驚いた。説教する余裕なんてまだあったんすね。てっきりまだ怒り狂ってるものだと」

巌窟王「当然、この復讐鬼たる身に忘却はない。怒りも当然保持している。だがその女があまりにも情けないものだからな」

巌窟王(……もう取り残された方の団結は止められそうにないな。これが狙いだったのか、最原)

最原「ちょっとでいい……ポジティブなことを言ってくれれば即復活するから……」ピクピク

茶柱「えー。面倒臭いですね……えーと……」

茶柱「……転子も癖がおかしくなっちゃいましたかね。真実を暴くあなたの姿、ちょっと格好よく見えましたよ」ポソッ

最原「ベホマ級の威力」ギュインギュインギュイン

王馬「本当に復活しちゃったよ」
312 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/01(金) 20:27:14.68 ID:QQfPlFmo0
プリヤ追い込み期間のため今日はなし! 復刻だからって舐め腐りすぎた……
313 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/02(土) 22:49:37.15 ID:105jg2mv0
天海「俺は諦めない。何度記憶を消されたって、絶対にキミも! キミの大事なものも助けに行く!」

天海「できるかどうかは関係ない! 絶対に全力でそうしてやるっす!」

天海「だから白銀さん。これから先は覚悟を決めておいてくれないっすか」

天海「……助けられる覚悟を」

白銀「……またみんな死んじゃうよ? 今度こそ」

百田「死んでたまるかッ! そのために頑張るんだよ!」

夢野「最初から何もかも諦めて生きることと、結果を確実に出せる生き方しかしないことはほぼ同列じゃぞ」

夢野「そういうのはとてもよくないことじゃ。大事なのは頑張ろうっていう気概じゃぞ」

春川「……私たちは誰も殺さない。気に入らないものだけを粉砕する」

春川「ここまで誰も死なずにやってこれたんだ! 最後の最後までワガママを通そうよ!」

赤松「ちょっと待ってよみんな! 本当にそれでいいの? それ以前に、最原くんの言うことを信じるの?」

赤松「写真はともかくとして、件の写真術の本に関しては確証が――!」

真宮寺「赤松さん、赤松さん」チョイチョイ

赤松「ん?」

真宮寺「あれあれ」

赤松「……んっ?」

王馬「ごーまーだーれー」チャーリーラーラー

モノクマでもわかる写真術「」キラキラキラ

赤松「……んんんんんんんんんん!? 燃やしたんじゃなかったのーーー!?」ガーンッ

最原「ナーサリーさんに協力してもらった」

モノクマでもわかる写真術「本を読んだ子がいれば辛うじて可能よ!」

真宮寺「あ、ホントだ。ナーサリーさんの声だネ……」

赤松(……ダメだ! 最原くんの手回しが異常に素早い! 新世界プログラムの中で巌窟王さんに追いかけ回されて泣きべそかいてた人だとは思えない!)

赤松(この局面で冷静すぎる!)
314 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/03(日) 20:46:31.47 ID:OceWqH7A0
巌窟王「満足か? 白銀の希望を粉砕できて、満足なのか」

巌窟王「……最原。貴様に訊いているのだぞ」

最原「三分の一くらいは気が晴れたよ」

茶柱「半分以上残ってるじゃないですか……」

最原「白銀さんから一切謝られてないし、完全に善意からの行動だったのなら白銀さんはこれからも絶対に謝らないからね」

最原「仮に謝ったとしても絶対に形だけの謝罪だよ。僕は赦す努力はするけど、最後の最後では憎んでると思う」

最原「……それでいいんじゃないかな。白銀さんからすれば、なにも覚えてない百田くんたちや、これまた全部善意の天海くんに一生つきまとわれるんだよ?」

最原「罪悪感を一切清算できないままね。それって最高の罰でしょ?」

巌窟王「……俺には貴様が何かと理由を付けて、人を殺すことを避けているようにしか見えん」

最原「当たり前だよ。好き好んで人を殺す人間なんかこの場にいないんだから」

ナーサリー「『人間』はね……」ニコニコ

夢野「意図的に場の空気を濁らせるようなマネはやめい!」

最原「さあ。ここまでの議論でハッキリしたよね」

巌窟王「白銀が敵ではない、ということがか? フン、今更確認するまでもない内容だった――」

最原「違うよ。そっちじゃなくってさ」

巌窟王「なに?」ピクッ

最原「『一億人を殺して外の世界に出る選択肢』が完璧に論外だってことがハッキリしたんだ」

百田「!」

天海「えっ」

白銀「はい?」

巌窟王「……」

アンジー「ま……」





真宮寺「マジで?」
315 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/04(月) 20:19:06.04 ID:3JKd31dI0
赤松「……さ、最原くん。ちょっと聞きたいんだけどさ」

最原「なに?」

赤松「白銀さんの視力を元に戻すための議論じゃなかったの?」

最原「言ったはずだ。『ついで』だって」
316 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/04(月) 20:29:13.05 ID:3JKd31dI0
赤松「……」

赤松(言ってた! 確かにさりげなく『ついで』って言ってた!)ガビーンッ

巌窟王(まさか、コイツ……! 白銀の視力を元に戻す云々は建前で!)

アンジー(本当は早期の内に『最悪の選択肢』を潰しておきたかっただけかー。物凄い欲張り)

巌窟王「ま、待て。今までの議論のどこにそんな話が……!」アタフタ

最原「巌窟王さんの進路が論外の理由は主に二つ。一つ目はさっき百田くんが言った通り、単純に一億人を殺す選択肢を選べないという人倫の問題」

最原「もう一つの理由は今までの議論で裏打ちがされたと言うべきかな」

最原「……ずっと僕が言うのも、段々説得力がなくなっていきそうだから、この二つ目の理由は百田くんに任せようか」

百田「お? 俺か?」

最原「ずっと前のめりで、前向きだった百田くんが一番気付いてそうかなって思ったんだけど……」

百田「あー……つっても、テメェの言った人倫の問題以外に、この案を跳ね返す理由なんて……」

百田「……ないことはねぇけどよ? 怒るなよ?」

赤松「え。あるんだ」

百田「意外そうな顔してんじゃねーよ。あのな、一つ訊いていいか?」

百田「そもそもなんでそんな選択肢を検討しなきゃなんねーんだよ」

巌窟王「……ム? それは外の世界への報復に決まってるだろう?」

百田「いやだからそれだよ。あ、いや、感情論とか……絡んでねぇわけじゃねぇんだけど、若干ズレてんな。そうじゃなくって」

巌窟王「?」

百田「……それゲームで言うところの邪道だろ? なんで王道を行かねぇんだ?」

巌窟王「――」

赤松「え。なに? どういうこと?」

百田「いや、だからよ」







百田「『正攻法で勝てるゲーム』で『ゲームそのものをぶっ壊すような勝ち方』を求める意義はなんだって訊いてんだよ」
317 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/05(火) 20:26:28.15 ID:jfNIEKiO0
アンジー「えっとねー。んっとねー。色々言いたいことはあるんだけどねー」

アンジー「……正気?」

百田「あ!? そこまで言うか!? むしろ俺の方がテメェらにそう言いたいんだっつの!」

百田「巌窟王の進路は、魔術師からの暗殺の可能性を根こそぎ破壊できるってところのみが魅力だぞ! それ以外は狂気の沙汰だろうが!」

巌窟王「違う。アンジーは今更、そんなことを確認したりはしない。俺の進路が狂気の沙汰だと? わかったことを言うな」

巌窟王「アンジーが言いたいことの全文は『なんでまだそんな正気を保った発言できるの』だ」

百田「あー?」

天海「……ああ、なるほど。そういうことっすか」

白銀「……」

最原「天海くんと白銀さんはわかるよね。そう。この場には越えがたい『壁』がある」

最原「巌窟王さんたち新世界プログラムへ隔離された側は、白銀さんが誘導した通り『ゲームそのものへの憎悪』が桁違いだ」

最原「このゲームを用意した世界への憎悪も当然、ね」

最原「対して、百田くんたちはどうだろう。このゲームのことを振り返ってどう思う?」

百田「どう思うも何も……」

春川「別に」シラーッ

赤松「……え。ごめん春川さん。なんて言った?」

春川「ゲームに対してはどうも思ってないけど……」

春川「……むしろ何か思わないとダメなの? だってさ」

王馬「結果だけを見れば、誰も死んでないよねぇ?」ニヤァ

真宮寺「あっ」

赤松「……ちょ、ちょっと待って。結果だけを見ればそうかもしれないけど、過程の方が散々だったでしょ……!」

赤松「あっ」

最原「それが壁の正体だ。百田くんたちは結果だけしか見ない」







最原「……結果だけしか『見えない』んだよ!」
318 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/06(水) 21:47:01.78 ID:8dJIphJ+0
春川「確かに死ぬような目には遭ったけど正直、私の職業だとそういうのないことはないし……いつものことっていうか……」

百田「俺もだ。宇宙飛行士って『命懸けの状況を作らないように命懸けで訓練してる』ようなもんだけど、それでもやっぱり死と隣り合わせだしなぁ」

王馬「え? 俺? 楽しかったよ?」

茶柱「……結果だけ見れば確かに……百田さんの言う通りですね」

茶柱「相手の土俵で勝てる算段が付いてるのなら、それで勝つのが一番でしょう? それこそが完全勝利ってものです」

夢野「自分の有利な条件で一方的に喧嘩を吹っかけて来た相手を返り討ちって構図になるからのう。一切の言い訳が効かんな」

夢野「ぶっちゃけこれで負けたら自殺級に恥ずかしいじゃろ」

白銀「既にかなり精神削られてるよーう」ヘラヘラ

天海「白銀さん! 白銀さん気を確かに!」アタフタ

巌窟王「なるほど。確かにそれは美しい勝ち筋だな。だが正攻法で勝った後はどうする」

巌窟王「魔術のことを知り過ぎたお前たちを、外の魔術師が放っておくとは到底思えん。百田も俺の進路のこの長所だけは否定しなかったな?」

百田「まあな。そこだけはお手上げだぜ」

夢野「学園が崩壊したら巌窟王はウチらの傍から消えてしまうしのう。どうしたものか」

最原「問題が無い、とまでは言えないけどさ。一つだけいい案があるよ」

巌窟王「案だと?」

最原「巌窟王さん、一つ僕たちにあえて言ってないことがあったよね」

最原「セミラミスさんの計画が始動した場合、魔術関連の物品はすべて学園から消滅する」

最原「……この言に嘘はない。じゃあキーボくんの改造はどうなるの?」

巌窟王「特段隠していたつもりはない。そうだな、キーボの改造も『この学園で当初から想定されていたレベル』に戻るだろう」

最原「ああ。やっぱり。でもそっちのことじゃなくってさ」

最原「……巌窟王さんはどうなるの?」

巌窟王「!」

最原「文脈から察するに巌窟王さんも消えるだろうね。でもたった今言ったよ。キーボくんの改造は全部が無かったことになるわけじゃない」

最原「少なくとも、白銀さんの想定では魔術抜きでも『僕たち全員を皆殺しにできるレベル』の改造が、キーボくんに施されていたはずなんだ」

最原「もし魔術物品の消去が同時に行われたとしたら……」

赤松「あっ! 残ったキーボくんに対処できる人が誰もいない!」

最原「……それだけじゃないな。学園に穴を開ける方法も消える。巌窟王さんがいなくなったらね」

最原「答えてくれる? ただ黙っていただけなら、この場でさ」
319 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/07(木) 20:22:21.08 ID:Z8wtRKTT0
巌窟王「……俺の順番は最後だ。セミラミスはどうもいらぬ気を回したらしいな。お節介焼きめ」

赤松「お節介?」

巌窟王「別れの言葉でも残しておけ、とでも考えていたのだろう。魔術物品の排除計画で、俺は一番最後だ。そういうことになっている」

赤松「……ほ、本当だ。いかにもあの人が考えそうな余計なお世話だ……」

最原「でも今回、それがいい方に働いたよね。キーボくんの魔術強化解除をした後、巌窟王さんにはちょっとだけ時間があるんだから」

巌窟王「……生徒の総意がそういうふうに傾いたのなら、俺とて全力でそれを成そう。今更揺らがせる気はない」

百田「終一。なんでこんなこと確認したんだ? 念のためか?」

最原「ここから先はネコアルクか、さもなくばセミラミスさん本人に問い合わせるしかないんだけどさ」

最原「順番を弄れるのなら、キーボくんの魔術強化をちょっとだけ残すこともできないのかな」

巌窟王「……?」

ネコアルク「えー。残してどうするにゃー? キーボくん制圧の可能性を自ら小さくするような自殺行為にしかならないけど」

最原「発想を元に戻すんだ。キーボくんは僕たちの『仲間』でしょ?」

最原「学園から脱出した後で巌窟王さんが消えてしまうのなら、他の対抗手段が必要だ」

最原「……今すぐ用意できる対抗手段は限られてるけど、真っ先に手が届きそうなのは……僕たちに一番近い魔術物品、それも戦闘に特化したものは……」

最原「たった一つしかない、でしょ?」

巌窟王「……!」

真宮寺「……ああ! ああ! なんてことを考えるんだ! 最高だヨ最原くん!」

真宮寺「キミはよりにもよって! この局面で! そんな常軌を逸した決断をするんだネ! 王道がどうとか言ってる割に! それはそれで外道だヨ!」

茶柱「え。何をするつもりなんですか、最原さん」

真宮寺「ククク。決まってるじゃないか。相手の戦力を削り、なおかつ自分たちの戦力を増強する」

真宮寺「この戦法のせいで近代以降の兵器は、最悪でも自爆はさせないといけないという縛りを設けるハメに陥った」

真宮寺「何故ならそうしないと自分自身の兵器に殺されることになるから! つまるところ! そう! 最原くんのやることを二字熟語で表すならば――」





巌窟王「鹵獲か!」
320 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/09(土) 21:30:09.80 ID:h8oRcUGJ0
最原「どう? 答えられる? ネコアルク」

ネコアルク「……」チラッ チラーッ

赤松「……わかってるよ。ここで情報を出し惜しみする理由がないよね。喋っていいよ、ネコアルク。私も気になる」

ネコアルク「セミラミスのお嬢に聞かなければ詳細はわからない……とは言え、軽く演算してみたら『不可能ではなさそう』と出たにゃ」

ネコカオス「そもそも、キーボの魔術改造に使われた素材はカルデア由来ではなくあくまで『この世界に本来存在していた魔術』だ」

ネコカオス「内と外との気圧差という視点にのみ話を絞れば、消す理由が存在しない。可能ではあるが」

赤松「……うええ……」

ネコアルク「嘘でも『できましぇえええええええん』と言った方がよかったかにゃ?」

赤松「私のエゴのために重要な情報を偽るわけにはいかないでしょ」

最原「『一部分だけ残す』っていう方向の転換、間に合うかどうかが分岐点だ。だけど不可能じゃなさそうなら、話を続けることができる」

最原「……とは言っても、キーボくんに魔術改造を残したところで何ができるかもわからないんだけどね」

最原「交渉。反撃。逃走……どれを選ぶかに関しては『外に出てから考える』しかない」

最原「ここが僕の進路の限界」

最原「以上が『巌窟王さんの進路』と並べる『最原終一の進路』だよ」

巌窟王「……」

巌窟王(……コイツ……!)

百田「すげぇ……すげぇよ終一! 今ここにある素材だけを並べ立てて、誰も死なない選択肢を創りだしやがった!」

春川「外に出た後で何ができるかがわからないってところがネックだけど」

百田「それでいいと思うぜ。俺好みの提案だ! 少なくとも巌窟王の進路よりは百倍支持できるぜ!」

巌窟王「隙だらけだぞ。俺の進路と一長一短だ」

百田「……わかってるよ。テメェの進路自体も結局『俺が選ぶのがイヤだ』ってだけで、一定の理はあるしな」

百田「でも目の前に二つの進路があって、どちらにも一定のメリットがあるのなら、選ぶ理由なんてたった一つだろ」

百田&王馬「好みだ!」

王馬「……と言う!」ニヤァ

百田「ハッ……!」
321 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/09(土) 22:14:19.01 ID:h8oRcUGJ0
巌窟王「好み……好みと来たか? クハハ! クハハハハハハ……!」

巌窟王「最原! 貴様は……貴様はこの期に及んで……いや! 記憶が戻っているのなら更に度し難い!」

巌窟王「何故この学園で起こった出来事を『ゲーム』と認識している!」

最原「……」

巌窟王「現実だ! 真実だぞ……! この学園で起こった悲劇! 喜劇……」

巌窟王「今はもう消え去ってしまった百田たちの記憶! 百田たちの想い!」

巌窟王「アンジーたちが味わった苦痛! それらは間違っても嘘ではない!」

巌窟王「……虚構なんかであってたまるものか! それを貴様は『ゲーム』として処理するのだな!?」

最原「流石に『想い』には嘘は吐けない。処理もできないね」

最原「でもこれまでの議論で、わかったじゃないか」

最原「最序盤はともかく、この学園で本当に命がけだったのは二人だけだよ」

最原「身を挺して僕たちを守ってくれていた巌窟王さんと……すべての謎を抱え落ちして死のうとしていた首謀者である白銀さんだけだ!」

白銀「!」

最原「流石に巌窟王さんみたいに、僕たちの想いまでは守ってはくれなかった」

最原「でも僕たちの命を最大限に尊重してたことは確かだ! 最初からコロシアイはデスゲームとして成立していない!」

最原「実際には命を懸けていなかったゲームだよ? なら勝ったからって相手の命を奪うようなマネは許されない!」

巌窟王「……現実だと言っているだろう……この学園で起こったすべては!」

巌窟王「この学園で感じた恐怖! 流した涙! それに背を向けるような行為を俺は間違っても容認しない!」

巌窟王「できるものか……目の前で見て来たのだぞ! 俺は!」

巌窟王「……お前たちは!」

最原「違うね。仮に僕たちが感じた想いに嘘が無かったのだとしても」

最原「この学園で起こったことは、現実なんかじゃない。悪趣味な『ゲーム』だ」

最原「……平行線だね。僕はゲームに勝ちたい。巌窟王さんはゲームを壊したい」

最原「決着を付ける手段はたった一つしか存在しない」

巌窟王「……議論、だな。そして多数決だ。それが学級裁判のルールだ」

巌窟王「最原。貴様にはこれまで何回も煙に巻かれてきた」

巌窟王「……今回ばかりはそうはいかんぞ」ギンッ

最原「……」
322 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/10(日) 22:40:13.66 ID:MsPdmii90
最原「時間稼ぎはもういいよね。イシュタルさんには悪いことしちゃったな」

百田「あっ。すっかり忘れてた」

春川「……」ジトーッ

百田「……俺のせいじゃねーだろ!?」ガビーンッ

真宮寺「時間稼ぎとは言うけども、実際のところ時間稼ぎを『させてた』からネ。僕たちの方が」

入間「……あっ。思い出した」

赤松「あ。口開いた」

巌窟王「関係が無い。もうアイツをこの場に連れて来ることは確定だ」

巌窟王「ナーサリーとは違って本当に意味がないと思うがな……」

入間「あっはっはっはっは……あのー、それじゃあいっそ助けないって方向で話纏めてくんねーかなー……」ダラダラダラ

最原「ん? どうしたの入間さん。凄い汗だけど」

入間「いや本当、俺様は悪くねーぞ!? 結局のところあんな仕掛けにイシュタルを乗っけたヤツが一番悪いんだからよ!」アタフタ

夢野「んあー? ひとまず落ち着け。一体なにを思い出したんじゃ、お主」

入間「イシュタルが持ってた銃、どっかで見たことがあるっていうか、俺様が作ったはずなのにまったく覚えが無かったんだけど」

入間「理由がわかった。あれ俺様の発明の改造品だ! 安全装置付きの拳銃、名前は『ガチ縛りロック&サドキング』!」

赤松「うわ相変わらず酷い名前! 安全装置って?」

入間「自分に向けて撃とうとすると、それ以降一発たりとも銃弾が発射されなくなる」

最原「自殺防止機構付きの拳銃……? 名前はともかくまともに大発明だよね? それが?」

入間「改造品っつったろ。どんな改造されてたのかって部分が問題なんだ!」

入間「……ある発明品と融合させられてんだよ、アレ! グリップの部分だ! 別のモノがくっついてんだよ!」

巌窟王「別のモノ……」ジーッ

入間「一種の向精神薬が沁み込ませてある……湿布? みたいなもんだ! 掴んでると血流に混じって段々精神がハイになってくる!」

入間「でもあの薬はすぐ捨てた……はず! はずなんだ! すげぇイヤな副作用があったから!」

最原「……な、なんか察しがついた。聞くのが凄く怖いんだけど……!」

入間「聞け! 耳クソかっぽじってよーく聞けよ! アイツのこと助けたいんならな!」




入間「最終的にはめっちゃ死にたくなるんだよ! ハイになってた反動で!」
323 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/11(月) 21:38:33.65 ID:YB0q0AJh0
最原「ということは、あのおしおきのクライマックスって……」

赤松「ゾンビに追い詰められたイシュタルさんが自殺しようとトリガーを引いて」

春川「安全装置が働いて死ねず、しかもそのせいで銃が使い物にならない最悪の八方塞がりに陥って」

百田「ゾンビに無抵抗に食われて……終わり!?」

夢野「んあーーー!? んぎゃああああああ! まるっきりホラー映画ーーーッ!」ガビーンッ

巌窟王「いや! いや! 問題はない! それでも問題はないぞ! イシュタルの状態を見る限り、まだ薬の効き目はアッパー状態だ!」

ナーサリー「……それはちょっと違うんじゃないかしら。そもそもダウナー状態に陥ることがないんじゃない?」

ナーサリー「人体にはそう作用するってだけよね?」

最原「あ、そっか。それじゃあもしかして、最初から問題が……」

ナーサリー「ううん。あるわよ? それならそれで別種の大問題が」

ナーサリー「本当に助けても無意味かもしれないわ」

最原「え?」

入間「……中和剤、用意してねぇぞ。捨てたはずの薬だからな。『捨てたはずだと俺様が記憶している薬』なんだから!」

入間「もしかしたら最初から中和剤なんて存在してないかもしれねぇ!」

最原「中和剤がないと……どうなるの?」

入間「ダウナーになってくれた方がある意味健全かもしれねぇな」

入間「……もっと単純だ! 中毒状態になって内臓からジワジワ死んでく! しかも短時間で!」

最原「なん……」

百田「だとォーーーッ!?」ガビーンッ

入間「やべぇ……やべぇやべぇやべぇよアレ! どうしよう!」

夢野「いや! 気付けただけ幸運じゃ! さっきのウチみたいになんとかできるじゃろ! お主なら!」

入間「無茶言うな! 流石に今すぐ中和剤なんか作れねぇよ!」

赤松「そ……そんな……!」

巌窟王「……いや。大丈夫だ。やはり問題はなかったな」

入間「え?」





巌窟王「安心しろ入間。お前の不安に思っているようなことは決して起こらない」
324 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/12(火) 21:11:50.83 ID:XDYWLYD40
最原「……ええっと、何かに気付いたの?」

巌窟王「どうということはないのだが、そうだな。赤松」スタスタ

赤松「え?」

巌窟王「……を……に……集め……」ゴニョゴニョ

赤松「……別にいいけど、それで本当になんとかなるの?」

巌窟王「それが最善策だ。アンジーに誓おう」

赤松「そこまで言うんなら従うよ。巌窟王さんがアンジーさんを貶めるようなマネするわけないしね」チョイチョイ

ネコアルク「呼びましたかにゃー」トタトタ

最原「……?」

最原(妙だ。なにか……騙されてる気がする。『最善である』という部分以外は絶対に嘘だらけだ)

最原「巌窟王さ……」

最原(……やめよう。だからって何ができるわけじゃない。僕にできるのは)

巌窟王「最原。時間だ」

最原「白銀さんの正体……それは――!」

最原(ただ答えを並べ立てるだけ!)






モノクマ「すべてではありません……が! 充分です!」ピンポンピンポンピンポーーーンッ
325 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/13(水) 20:37:26.16 ID:1KYvxjrn0
おしおき装置内

イシュタル「なあああああああーーーッ!?」バンッバンッバンッ

ゾンビ1「ひでぶっ」ブシャアッ

ゾンビ2「たわらば!」ブシャアッ

ゾンビイカ「マンメンミ!」

イシュタル「な、なんか……なんかまた急にクリーチャーの数が大増加したんだけどーーー!」

イシュタル「だ、ダメ! これはちょっとキツい! さっきまでとはくらべものにならない!」

イシュタル「なんて最悪な状況! 私……私……!」ガタガタ




ドバババババババッ



イシュタル「たーのしー!」バンバンバンッ

巌窟王「……」

巌窟王(助けに来たのはいいが……思ったよりも遥かにトリガーハッピーが進行しているな)

巌窟王(もう本当に見捨ててしまおうか)

イシュタル「アーハハハハハハハ! すっごーい! 脳味噌をだらしなく垂れ流すのが得意なフレンズなのねーーー!」ゲラゲラゲラ

アンジー『どうしたのー? 問題発生?』

巌窟王『いや。大丈夫だ。赤松に準備を急がせろ。思ったよりもクリーチャーが多いから』ボオウッ

イシュタル「あら。今度の新手は空から?」

イシュタル「……って、あ!」

巌窟王「時間がかかりそうだ」
326 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/14(木) 22:15:15.33 ID:PSwmduvr0
裁判場

赤松「ネコアルクは全員配置についた?」

ネコアルク「うーん。このペンデュラムの振れ幅だとまだっぽいですにゃー」ブンブン

赤松「ペンデュラムの使い方が違う! 振り回しちゃダメ!」

ネコアルク「知ってる。実は使えないんですにゃ、じゃれちゃうから」ポイッ

王馬「白目にぎゃあああああああああ!」ブスウッ

最原「あのさ。巌窟王さんになんて言われたの?」

赤松「目立つ場所にネコアルクを集めろって。わかりやすければどこでもいいから校舎の屋上がベストとかなんだとか……」

最原「なんでネコアルクを……」

入間「さあ。イシュタルの治療でもさせる気なんじゃねーか?」

最原「……あっ」

百田「どうした、終一」

最原「……イシュタルって確か女神の名前だよね」ダラダラダラ

夢野「……あっ」

ネコアルク「あ! 揃いましたにゃー」

アンジー「おっけおけー!」

最原「あ、うわ! ちょっと! 何もおっけーじゃな――!」




校庭

ドカァァァァァンッ

イシュタル「うひゃあああああああああっ! ちょ、ちょっと酔う! あまりにも激しい動きに酔っちゃうー!」ウプッ

巌窟王「薬の副作用だ。俺のせいではない。そして安心しろ」

巌窟王「すぐ楽にしてやる!」ニヤァ
327 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/15(金) 21:51:50.78 ID:KqocBTwt0
最原「くそっ! もう脱出済みだ! 早すぎる!」

百田「どうしたんだよ終一」

最原「覚えてない? さっきネコアルクが言ったこと!」



ネコアルク『ム! こっちからも匂いが……』クンクン

獄原『あ。これかな。前に巌窟王さんから貰ったモンテ・クリストの秘法なんだけど……』

ネコアルク『ああ。これならいいっす。神性ないんで。材料に組み込む規格じゃないんで』



春川「……アイツらがセミラミスの計画のために食ってたのって、まさか」

最原「まず間違いなく神性、つまり神様由来の何かだよ! というか最初から巌窟王さんもあまり隠す気なかったなぁ!」

最原「何回も言ってたからね! 助けたところで無意味だって!」

王馬「あ。そっかー。じゃあ巌窟王ちゃんが『心配するようなことは起こらない』って言ったのも嘘じゃないよね。どっち道死ぬんだから!」

百田「あ、あの野郎暴走してやがる! それが本当ならすぐに止めねぇと! 赤松!」

赤松「わ、わかってる! ネコアルク、今すぐ中だ――」


ヒューッ


イシュタル「いやあああああああああ!」ドシーンッ

赤松「ンボアアアアアアアアアアアアアアア!?」メリイイッ

最原(天井の巌窟王さんが作った穴から落ちてきたーーーッ!?)ガビーンッ

ネコアルクs「にゃーにゃーにゃー!」ワラワラワラ

イシュタル「いやー! いやー! 来ないでー!」タッ

コケッ

ナーサリー「……もう諦めましょう、女神様。騙されたようで癪だけど。確かに伯爵の言う通りだわ」

イシュタル「ナーサリー! い、今あんた、私の足を引っかけ……!」

ナーサリー「すべてが終わったらカルデアで会いましょう」





ガブウッ

ネコアルク「あっ、おいし」ガブガブ

イシュタル「あっ」

最原(足を噛まれた)
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 08:07:30.52 ID:jMbj4LdoO
ゾンビに食われるかネコアルクに食われるかしか変わんねーじゃねえか!
329 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/02/16(土) 17:14:30.92 ID:9LejZ/eJ0
ガブウッ ガブガブガブガブガブッ

イシュタル「がっ……あぎっ……ふぐうあああああああああああああっ!?」

最原(……直では見えない。モノクマほど露悪的ではないらしい。わざわざネコアルクたちは目隠しのための衝立も用意していた)

最原(音はとにかく最悪の一言だけど)


ガブガブッ…… ボリボリボリボリボリボリゴクゴクゴクピチャピチャ


イシュタル「ほ、骨っ……私の骨っ……食べてるぅ……あ、ああああ……!」

入間「うぶっ」

ナーサリー「ああ。気分が悪いなら耳を塞いでおくことをお勧めするわ。別に聞かなくてもあなたの物語に関係ないもの」

最原(ふと思い出していた。ミステリーものの海外ドラマで、ちょくちょく出て来る『ネコに食い荒らされた死体』のことを)

最原(実際に、あれは現実でも起こりえることのようで、もともとネコ科は腐肉でも美味しく食べられるらしい)

最原(……ネコアルクは食べやすいところから食べているだけだ。別に苦しめようとか楽にしようとか一切考慮していない)

最原(それでもイシュタルさんの叫び声が消えて、食事の音だけになるのはそう時間がかかることではなかった)

最原(気分が悪いなら耳を塞げ、か。赤松さんが気絶してくれてて助かった。こんなの一生のトラウマになる)

赤松「」チーン

春川「……東条。そろそろ復活して。赤松のこと助けてよ」

東条「……指名されたら、頷くしかないわね」



ボリイッ


最原(ひときわ大きい音が響き、それきり食事の音は消えた)

巌窟王「……よし」

百田「何一つとしてよくねぇよふざけんな」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 17:32:16.37 ID:MO564X9d0
イシュタルが死んだ!ひとでなし!
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