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照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/27(金) 14:55:59.93 ID:YwSoJMOz0
しかしまあ、海外の推理小説とは。聞けば聞くほど、似てるのは容姿だけじゃないんだなと思わずにはいられない。
「今はなに読んでるの?」
「毒入りチョコレート事件って小説」
本のタイトルを言った瞬間、宮永さんの眉間がピクリと動く。
「知ってる?」
「うん」
「えっと、もしかして好きじゃないとか?」
「いやそんなことは、名作だと思う。ただ……」
「ただ?」
「タイトルが好きじゃない」
声のトーンが下がり、それでも彼女の声は鋭く耳に入った。
「あー、うん。タイトルがね」
小説の帯、雑誌やコラムに小説の載っている紹介文。そういうものを読者によっては話の核心に触れすぎるとか見解の相違とかで好かないこともあるらしいけど、その延長みたいなものなのだろうか。
どうやら彼女は、私が思っていた以上にコアな層みたいだ。深堀りして聞くのはやめておこう。
ふと思い出して、携帯を取り出し時間を確認する。
「そういえば時間って大丈夫? 今40分だけど」
「40なら、たぶん。開始は50分からだから、45分までには着きたいけど」
「45ね。なら大丈夫そう、もうちょっとで着くわ」
「うん、ありがとう竹井さん」
おおっと、これは……。テレビで見る明るい笑顔とは違う、もっと質素な表情で彼女が言う。
思考が顔に出てしまったんだろうか、彼女が訝しげにこちらを見る。
ポーカーフェイスは得意なほうだと思ってたんだけど。
「どうかしたの?」
なんだか少しばかり気恥ずかしい。こういうときはおどけみるに限るんだ、舌を出しつつ言う。
「いやー、ビックリ。まさかチャンピオンに名前を覚えてもらえてるなんてね」
「うん、まぁ……それだけ?」
「あら、有名人に名前覚えててもらったら嬉しいじゃない?孫の代まで自慢出来るわよ」
「団体決勝で戦った学校のメンバーを覚えてないほうがおかしい」
「あはは、確かにそれもそうかも」
約一名、それを覚えているか怪しい部員もいる気がしないでもない。
「私も、弘世さん、渋谷さん、亦野さんに大星さん全員覚えてるしね。それじゃあ、うちの他の四人も覚えててくれるのかしら?」
「当然。先鋒で戦った片岡優希さん、次鋒の染谷さん、副将の原村さん、た……」
あ、失敗した。
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