【ラブライブ】穂乃果「お前の罪を数えろ」【仮面ライダーW】

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108 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 22:31:52.62 ID:F1R5k62/0

嫌な汗が背中を伝う。

海未ちゃん。
ことりちゃん。



絵里「……とにかく、調理室に行きましょう」

真姫「穂乃果」

穂乃果「う、うん……」



〜〜〜〜〜〜
109 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 22:40:30.49 ID:F1R5k62/0
〜〜〜〜〜〜




ーー コンコン ーー



静かに、調理室の扉をノックする。
それから二人の名前を呼んだ。



穂乃果「にこちゃん……凛ちゃん……」



でも、返事がない。



真姫「……穂乃果」

穂乃果「…………う、うん」



なにかあるかもしれない。
そう思って。

だから、真姫ちゃんと絵里ちゃんの前に立った。
二人を守らなきゃ。
穂乃果はそんなことを考えてた。



穂乃果「入る、ね?」



結果から言うと、



ーー ガラッ ーー




穂乃果の予感は当たっていた。

その扉を開けた目の前の光景は、到底二人には見せられないものだった。
だから、穂乃果は、




穂乃果「二人ともっ!」

穂乃果「見ないでっ!?!?」



ーー ピシャリッ ーー



勢いよく閉めた扉。
その向こうに広がっていた光景。

きっと、それは嘘だ。
現実なはずない。
ありえない……ありえない……。

なんでーー
110 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 22:41:40.29 ID:F1R5k62/0



なんで、凛ちゃんとにこちゃん。


二人とも血溜まりの中に倒れてるの……?



111 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 22:48:58.24 ID:F1R5k62/0
二人には絶対見せられない。
そう思ったのに、二人は強引に扉を開けて……。

目の前に、またその光景が広がる。
同時に、鉄臭い血の臭いがして……。



絵里「え…………え……?」

絵里「………………え……?」



絵里ちゃんはその場に膝をついて茫然としてた。



真姫「なに、これ……」

真姫「凛……? にこちゃん……?」

真姫「……なんで、二人とも倒れてーーっ!!」



真姫「二人ともっ!!!」



真姫ちゃんは目の前の光景に愕然としながらも、すぐに駆け寄って応急処置をしようとしてる。
でも、素人から見ても、その血の量は異常で…………。
112 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 22:56:31.64 ID:F1R5k62/0



穂乃果「また、助けられなかった……」



希ちゃん。
花陽ちゃん。
そして、凛ちゃんとにこちゃん。

もし、穂乃果が違う選択をしていたなら、助けられたかもしれない。
だけど、みんなーー



真姫「穂乃果っ!!」

穂乃果「っ」



真姫ちゃんの声に、我に返る。
見れば、真姫ちゃんは服や手を真っ赤にしながらも、応急処置を続けていた。



穂乃果「な、なに?」

真姫「私だけじゃ止血の手が足りないわっ! 手伝いなさいっ!」



手伝って。
真姫ちゃんは
そう言った。
…………でも、もう……。



真姫「穂乃果っ!!」

穂乃果「あっ…………」



見ると、真姫ちゃんの目からはもうすでに大粒の涙が溢れ出していた。
それでも、真姫ちゃんはーー



穂乃果「っ、うんっ!! わかった!」



……そうだ。
まだだ!

まだ、穂乃果にはなにかできるはずっ!!
なにもしないなんてありえない。

そう、諦めたら終わりだもんっ!
だから、



穂乃果「真姫ちゃん!」

穂乃果「どうすればいいっ!?」

穂乃果「どうすれば二人をーー
113 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 22:59:02.16 ID:F1R5k62/0




ーー バタンッ ーー




穂乃果「え…………?」



114 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 23:05:56.19 ID:F1R5k62/0
なにが起こったのか、分からない。
だけど、穂乃果の目の前で起こったことは、



真姫「…………」

絵里「…………」



穂乃果「真姫ちゃん……?」

穂乃果「絵里ちゃん……?」




二人が倒れたってこと。
それだけははっきりしてて。



穂乃果「っ! 真姫ちゃん!」ユサユサ

真姫「……」

穂乃果「えりちゃんっ!」ユサユサ

絵里「……」



呼びかけに答える声はない。
二人とも顔色がどんどん変わっていく。

白く。
真白く。

生気が抜け落ちていく。



穂乃果「…………あ、あぁぁ……」

穂乃果「あぁぁぁぁぁっ!?!?」



まただっ!
また、穂乃果の目の前で、仲間が……っ!
115 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 23:10:20.42 ID:F1R5k62/0


穂乃果「なか、ま……」

穂乃果「そ、そうだっ」



海未ちゃんとことりちゃんっ!
二人を探す……探さなきゃっ!



穂乃果「っ」



穂乃果は慌てて立ち上がる。

足に力は入らない。
足元の血で滑るから余計に。

それでも、どうにか立ち上がって。
穂乃果は進む。




穂乃果「はっ、は……はぁはぁ…………っ」




息が思うようにできない。
できても、血の臭いのせいで、気持ちが悪くなる。

でも、進まなきゃ。
二人を探して、二人だけでも穂乃果が守らなきゃ…………!




〜〜〜〜〜〜
116 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 23:11:09.81 ID:F1R5k62/0




ーー ザザザザザザザザザッ ーー




117 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/05(日) 23:11:38.88 ID:F1R5k62/0
本日はここまで。
嗚呼辛い。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/06(月) 18:36:58.75 ID:OAwoM+D00
これはきつい
頑張れ
119 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/10(金) 23:21:42.09 ID:yiWi3Ahc0
ーーーーーー



穂乃果「ことりちゃんを返して!」



彼女へそう呼び掛ける。
けれど、もちろんそれに答えてくれるはずはない。



真白「返して? おかしなことを言うのね」

穂乃果「なにをっ!」

真白「ことりちゃんは貴女のモノではないでしょう? なら、返してなんて言える筋合いはないわぁ」

穂乃果「それはっ!」



ヒダリ「穂乃果ちゃん。聞く必要はねぇ」

穂乃果「ヒダリさん……」



穂乃果たちの会話に割って入るヒダリさん。
おかげで、熱くなりかけてた心が落ち着いていく。

……うん、そうだ。
この人になにを言われても、穂乃果がするのは変わらない。
ことりちゃんをあの『エッグ』のメモリから解放すること。
ただ、それだけだ。



穂乃果「…………大丈夫です」

ヒダリ「あぁ…………メモリは……?」

穂乃果「あります」

ヒダリ「なら、いつでも使えるようにしといてくれ。奴の注意は俺が……俺たちが引き付ける」



その言葉に、穂乃果は頷いた。

………………。
本当はきっと、ヒダリさんたちにこのメモリも任せた方がいいんだと思う。
でも、穂乃果の協力者の彼から言われたんだ。



「このメモリは僕たちには使えない」

「高坂穂乃果」

「君が使いたまえ」



詳しい理由は聞けなかった。
けど、少なくとも穂乃果がやらなきゃいけないことは理解できた。
だから、穂乃果はーー
120 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/10(金) 23:26:12.90 ID:yiWi3Ahc0

真白「内緒話は終わった?」

穂乃果「っ」

ヒダリ「あぁ、あんたを止めるための算段がちょうどついたところさ」

真白「…………なら、始めましょうか」




『ミスト』




真白「絶望の始まりよ」
121 : ◆6cZRMaO/G6 [sage]:2018/08/10(金) 23:46:04.14 ID:yiWi3Ahc0
彼女はガイアメモリを右耳へ差し込んだ。
同時に、霧が彼女を包み込み姿が変わっていく。
霧が晴れた時、そこに立っていたのは、いつか見たあの姿。

ボロボロの漆黒の布をローブのように身に纏い、フードの中には真っ青に光る瞳。
顔がない、と思っていたけど、『ミスト』ということは……。



穂乃果「『霧』のドーパント……」

ヒダリ「なるほどな。どうりで神出鬼没なわけだ」

ミスト『えぇ。私の能力は霧化。体を霧に変えることができるのよぉ…………』



ミスト『こんな風にーー』サァァァッ

ヒダリ「!」



ーー ザザザザザッ ーー



ノイズ。
それが聞こえた瞬間に、




ーー ブンッ ーー



ヒダリ「っ、穂乃果ちゃんっ!!」グイッ

穂乃果「えっ!?」




背後から風を切る音と地面に体が倒れる感覚。
見れば、ヒダリさんも地面に伏せていて……って、違う!
ヒダリさんが穂乃果を地面に倒れさせて助けてくれたんだ。



ミスト『流石にこれでは殺せないみたい』クスクス

ヒダリ「無抵抗の女の子を狙うとは、ずいぶん趣味が悪いな」



ヒダリさんは帽子についた砂を軽く払いながら、ミストに向き直る。
口調は静か。
でも、その眼光は鋭い。
122 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/10(金) 23:51:59.40 ID:yiWi3Ahc0

ミスト『私の計画を邪魔する者は容赦しないわ』

ヒダリ「はっ! やれるもんならやってみな! 容赦しねぇのはこっちも同じだ!」スッ



ミストの言葉に、ヒダリさんはそんな言葉を返した。
そして、




ーー ガチャッ ーー




懐からそれを取り出し、腰に装着した。
って、あれ!



穂乃果「『ロストドライバー』!」

穂乃果「って、あれは……」


よく見ると、違う。
にこちゃんや凛ちゃんが使ったそれとは違って、メモリを指す場所が……。


穂乃果「2つ……?」




ヒダリ「行くぜ、フィリップ」



『ジョーカー』




ヒダリ「変身!」



123 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/10(金) 23:58:30.86 ID:yiWi3Ahc0
その声に反応するように、ヒダリさんのドライバーにもう一本メモリが現れた。
そして、それを展開する。




『サイクロン!!』

『ジョーカー!!』



風と紫色の閃光が、その体を包み込み、その姿を変えていく。
穂乃果の目の前に現れたのは、一人の仮面ライダー。

左側は『ジョーカー』
右側は『サイクロン』
中央で二色に分かれたその仮面ライダーは、ミストドーパントにこう告げた。



『亜坂真白!』

『あんたの野望は俺が止める!』

『……俺たちが、だろう?』

『……あぁ、そうだな』

『覚悟はいいかい? 亜坂真白』





W『『さぁ、お前の罪を数えろ!』』




124 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/10(金) 23:59:27.58 ID:yiWi3Ahc0
本当に短いですが、本日はここまで。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/13(月) 23:43:28.06 ID:BCMJxHOR0
はよ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/14(火) 09:20:05.54 ID:ZHXELWVD0
おもろなってきたで
127 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 10:30:57.50 ID:5VBfkILI0
本日更新予定です。
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/15(水) 11:29:15.83 ID:L0ciGIt40
おう
頼むよ
129 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 19:30:55.25 ID:NNiPTbti0
更新します。
130 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 19:39:14.50 ID:NNiPTbti0



穂乃果「これが……W」



目の前で変身したヒダリさんを見て、ポツリと呟く。

話は彼から聞いていた。
穂乃果に渡された『サイクロン』と理事長が受け取った『ジョーカー』
その二本で、穂乃果の協力者が仮面ライダーに変身することは。



W『あぁ。俺たちはW』

W『二人で一人の仮面ライダーさ』



ヒダリさんと彼。
一人から二人分の声が聞こえてくるのも話の通りだ。



W『下がってな、穂乃果ちゃん』

穂乃果「は、はいっ」

W『すぐに片をつけるさ』



そう言って、Wは彼女ーーミストドーパントと対峙する。



ミスト『仮面ライダー…………やっぱり私の邪魔をッ!!』

W『してやるさ。街を泣かせる悪党の邪魔なら喜んでな!』

W『それに、何の罪もない少女を実験台にする。それが僕は気に入らない』


ミスト『戯れ言をッ!』



ーー ザザザザザッ ーー





穂乃果「消えたっ!」



いきなり姿を消すミスト。
これは、霧になるっていう能力……!
131 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 19:50:35.60 ID:NNiPTbti0
W『来るよ、翔太郎』

W『あぁ!』



対して構えるW。
霧になっているせいで、攻撃がどこから来るか分からない。
それでも、



ーー ザザザザザッ ーー



W『右だ!』

W『おらぁぁっ!!』ブンッ



ミスト『!』スッ



右へ拳を振り抜いた。
その言葉通り、ミストは右から現れてーー



ミスト『っ』

W『くっ、外したか』



残念ながら、ミストはそれを避け不発。
けど、場所はドンピシャだ!
132 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 19:54:39.69 ID:NNiPTbti0

ミスト『……まぐれ』

W『いいや。まぐれなんかじゃないさ』

ミスト『…………』

W『なんなら試してみたまえ』




ーー ザザザザザッ ーー




穂乃果「またっ!」



霧になって消えた。
やっぱり穂乃果からはその姿は見えない。

けど、彼の言葉……。
もしかして、Wには見えてるの……?




ーー ザザザザザッ ーー




W『翔太郎! 上だ!!』

W『ふっーー』



その声に反応して、右足で蹴り上げる。
その先には、



ミスト『っ!』




ミストの姿があった。

やっぱり!
見えてるんだ!



ーー ザザザザザッ ーー



133 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:01:57.94 ID:NNiPTbti0
またも攻撃は空を切る。
けど、間違いない。



ミスト『…………見えている、のかしら』

W『あぁ。君のメモリは確かに厄介だ』



霧化。
照井竜に使った毒霧。
さらに、園田海未が受けたという『絶望の霧』。



W『本来持っていないはずの能力を付与させる』

W『恐らくそれが君のハイドープとしての能力なんだろう』

W『だが、能力を使う際に、『ノイズ』が発生している』

穂乃果「ノイズ……?」



今の場面を思い返すと、確かにほんの小さな音だったけど、なにかの音がしてた気がする。

でも、そんな小さな音を戦いの中で聞いて反応してたの……?



ミスト『…………そう。あれを聞かれてしまっていたのね』

W『あぁ。だから、あんたの能力は俺たちには効かない』

ミスト『…………そう。流石は仮面ライダーと言ったところかしら』
134 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:03:16.60 ID:NNiPTbti0
すごい、としか言えない。
これが……。




穂乃果「仮面ライダーW」



135 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:09:34.85 ID:NNiPTbti0
ミスト『……けれど、まだ貴方たちの攻撃は私には届いてないわぁ』

W『…………あぁ』

ミスト『それに、消えるだけが『ミスト』ではないのよ』




ーー ザザザザザッ ーー



そう言いながらもまた消えるミスト。
でも、もうこの攻撃はWには効かない。
今度こそ、攻撃を決めてーー




ーー ポツンッ ーー



ーー ジワッ ーー




穂乃果「え……!?」



穂乃果のすぐ隣。

何かが降ってきた。
ここはアイドル研の部室なんだ。
雨、な訳はない。
ならーー



W『毒かっ!?』

W『翔太郎! 室内で戦うのは危険だ!』

W『あぁ! 穂乃果ちゃん、掴まれ!!』グッ

穂乃果「はい!」グッ



穂乃果は彼の手を掴んで、毒雨が降る部室を脱出した。
136 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:10:10.44 ID:NNiPTbti0
ーーーーーー
137 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:19:20.34 ID:NNiPTbti0

W『穂乃果ちゃん、大丈夫か?』

穂乃果「だい、じょぶです……」ハァ



息を整えながら、なんとか返事を返す。
部室から校庭まで全速力ダッシュは……流石にちょっと辛いや……。



W『すまねぇな』

穂乃果「ううん。穂乃果が選んでついてきたんですから」

W『…………あぁ』



穂乃果の言葉に頷いてから、Wは辺りを見回した。



W『フィリップ、奴は!?』

W『来ていない、と言いたいところだが……』

W『完全に消えていたら、分からないんだったな』

W『あぁ。あくまでも、能力の行使の時のノイズを察知しているだけで、霧化したミスト自体が見えるわけではないからね』
138 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/08/15(水) 20:22:47.08 ID:NNiPTbti0
W『厄介だな』

W『あぁ、検索はしていたが強敵ーー




ーー ザザザザザッ ーー


ミスト『そうね』スッ

W『真後ろ!?』



音を聞いたときには、もう既にミストは姿を現していた。
Wの背後。
死角から現れてーー



ミスト『毒に塗れて死になさい』

穂乃果「危ないっ!!」



W『っ』スッ



『メタル』



139 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:31:01.57 ID:NNiPTbti0
ミストの手はWに触れていた。
それは、照井さんに毒が入り込んだ時と同じ状況で……。



穂乃果「そん、な…………」



ダメ、だよ……。
Wまでやられちゃったら、ことりちゃん助けられなーー




W『ふっ!!』



ーー ブンッ ーー




ミスト『くっ!?』



穂乃果の予想に反して。
Wは立っていた。

…………あ、あれ?
なんで?



ミスト『メモリを替えたのね』



その疑問に答えたのは、ミスト。

メモリを替える?

よく見れば、Wの色が変わっていた。
左側が紫から銀色へ。



W『ふぅ、危なかったぜ』

W『『メタル』に替えて、奴の手をメタルシャフトで防ぐ。咄嗟の判断としては最適解だね』



後から聞いた話だけど。
実際にはミストの手はWには届いてなかったらしい。
その直前にメモリを替えて、武器を精製して、それを手と体の間に挟み込んだんだって。
140 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:35:18.33 ID:NNiPTbti0

ミスト『この多様性……井坂先生が手子摺る訳だわ』

ミスト『…………仕方がない』



ーー ザザザザザッ ーー



また消えた。



W『奴の好きにはさせないよ、翔太郎』

W『あぁ。分かってるって!』




『ルナ』

『トリガー』



穂乃果「!」



Wが取り出したもの。
それは、また違うメモリだった。
それを使って、今度は黄色と青の姿へ変身する。
さらに、その手には銃。

なるほど!
それで、近づかせないようにするんだ!
141 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:40:02.14 ID:NNiPTbti0
W『ふっ』



ーー バンッ ーー

ーー バンッ ーー

ーー バンッ ーー

ーー バンッ ーー



4発の銃弾が放たれる。

その先には、なにもない……?
ノイズは聞こえないのに、どこに撃ってるの!?



W『心配ない。その銃弾はーー』




ーー ザザザザッ ーー




W『ーー必ず当たる』




ーー バァァンッ ーー



穂乃果「え!?」



炸裂音は穂乃果の後ろから。
振り返ると、




ミスト『がっ……は……』




ミストの姿があって。
あの4発が同時に命中したんだろう。
彼女はふらついていた。
142 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:42:49.03 ID:NNiPTbti0

穂乃果「すごい……」



圧倒的だった。
あれだけ恐ろしかったミストドーパントは、今、膝を地面についていて。



W『これで、決まりだ!』



『トリガーマシキマムドライブ』




Wの銃から放たれた銃弾は、




ーー バァァァァァンッ ーー




彼女の体を貫いた。
143 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:51:22.30 ID:NNiPTbti0
爆発音が響く。
煙が晴れ、そこには、




真白「…………が、あぁ……」




亜坂真白が倒れていた。
そして、その側にはーー



穂乃果「ことりちゃんっ!!」



真っ白なその球体に、すぐ駆け寄る。
どこか壊れている、ということもなくて。



穂乃果「よかった……」

W『……高坂穂乃果』



ほっと胸を撫で下ろす穂乃果に、彼が声をかけてきた。

やるべきことがまだ残っているだろう?

その言葉に、穂乃果は頷く。
ポケットからその『メモリ』を取り出す。



W『これを使いたまえ』

穂乃果「えっと……?」



そう言って渡されたのは、さっきまでWが使っていた青い銃。
見ると、メモリが挿せる場所があった。
そっか。
ここに、この『メモリ』を入れるんだね。



W『あぁ。それで終わりだ』

W『『エッグ』の能力は無効化され、南ことりは元の人間の姿に戻るだろう』

穂乃果「…………はい」スッ





やっとだよ。
すごく待たせちゃったね。
でも、これでーー




『 マキシマムドライブ』




穂乃果「ーー全部終わりだよ!」




ーー パァァァンッ ーー


144 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:52:31.71 ID:NNiPTbti0





ーー ザザザザザザザザッ ーー





『………………フフフッ』
145 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 20:56:48.84 ID:NNiPTbti0



穂乃果「………………え?」



引き金を引いた、はずだった。
これで、終わるはずだった。
なのに、




ーー ユラッ ーー




目の前のそれは、まるで『霧』のように消えてしまった。




穂乃果「あ、れ……なんで……?」

W『っ! まさかっ!?』




『そのメモリは一度きり、だったかしらぁぁっ?』




穂乃果「え、な、なんで……まだ……」

W『なんでーー』




W『なんでまだそこにいるっ!! 亜坂真白!!』





彼女は、霧と共にその姿を現した。
146 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 21:02:58.18 ID:NNiPTbti0
ミスト『答えは一つ』



ミスト『貴方たちが戦っていた相手は、私が作り出した偽物よぉ』

ミスト『『虚構の霧』』

ミスト『実体を持った偽物を作り出す能力よど』



W「なんだって!? そんな能力は検索でも……」

ミスト『それは隠していたもの』クスクス

W「っ!?」

ミスト『…………さて』




ーー ザザザザザッ ーー




ミスト『ねぇ、穂乃果ちゃん』

穂乃果「っ」

ミスト『そのメモリはもう力を失ったわ』

穂乃果「…………っ」

ミスト『だから、もうーー』





ミスト『ことりちゃんは救えないわぁぁ』ニタァァ




147 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 21:06:01.00 ID:NNiPTbti0
ことりちゃんを、救えない……?
そんなの、嘘だよ……!



ミスト『そう思うなら、試してご覧なさい』スッ

穂乃果「っ、ことりちゃん!」



穂乃果の目の前には、真っ白な球体。

エッグドーパント。
本物よぉ。

彼女はそう言って、それを穂乃果に渡した。



穂乃果「っ、メモリを!」カチッ

穂乃果「っ、お願い!」カチッ

穂乃果「なん、でっ!!」カチッ



もう、穂乃果の手の中のそれは答えてくれない。
壊れてしまったかのように、なにもーー
148 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 21:08:27.78 ID:NNiPTbti0





穂乃果「あ、あぁあぁぁぁぁっっ!?!?」





その瞬間、穂乃果は理解してしまった。
もう、ことりちゃんは助からないってことを。

その事実に、穂乃果はーー





『やっと』

『『絶望』してくれたわね』




その声が聞こえて。
同時に、穂乃果は意識を失った。




ーーーーーー
149 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 21:17:57.93 ID:NNiPTbti0
ーーーーーー
150 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 21:24:01.07 ID:NNiPTbti0
ーーーーーー



W『穂乃果ちゃん! 穂乃果ちゃん、しっかりしろ!!』



奴の言葉と同時に、穂乃果ちゃんは僕たちの目の前で意識を失った。
これは、一体……?



W『翔太郎! まずは彼女を安全なところへ!』

W『っ、あぁ!』



そのために、まずはミストドーパントをどうにかする必要がある。
だから、僕らは周りを見渡した。
けれど、奴の姿は既にそこにはなかった。



W『っ、またか!』

W『落ち着きたまえ、翔太郎』

W『落ち着いてられるか! また依頼人を危険な目に合わせちまったんだぞ!!』



翔太郎の探偵としての信念。
それを傷つけてしまったことで、彼は冷静さを失っていた。
だから、一瞬、遅れた。



穂乃果「…………」スッ

W『ーーーーえ?』




ーー パァァァンッ ーー

151 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 21:29:13.17 ID:NNiPTbti0


W『がッ……!?』



意識を失っていた高坂穂乃果が起き上がっていたことに。
そして、彼女がトリガーマグナムで僕たちを攻撃してきたことに、気づくのが遅れてしまった。



W『な、なにをっ!? 穂乃果ちゃん!』

穂乃果「……………………」



高坂穂乃果はよろよろと、立ち上がる。
翔太郎の声には答えずに。

…………いや、当然か。
彼女は、




W『亜坂……真白、だね』

W『何!?』



穂乃果「………………」

穂乃果『…………フッ、フフッ』




穂乃果『また会えたわねぇ、仮面……ライダァァァ』ニタァァ




152 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/08/15(水) 21:38:04.96 ID:NNiPTbti0
高坂穂乃果のものではない。
邪悪で、吐き気を催すような笑み。
それを見れば、彼女が『亜坂真白』であることは誰が見ても理解できるだろう。

そして、僕は一つの『検索結果』を思い出していた。



W『おい、フィリップ! どうなってんだ! あれもあのメモリの力なのか!』

W『…………翔太郎。一つ謝らなくてはいけないことがある』



それは決して隠していたわけではない。
戦う上で知らなくてもいいことだと思ったから。
だから、翔太郎にも、高坂穂乃果にも伝えていなかったある事実。
それがまさか、こんなことに繋がるなんて……。



W『僕の考えが甘かった』

W『フィリップ……?』



W『翔太郎。山村幸の事件を覚えているかい?』

W『山村…………ひき逃げ事件の!』

W『あぁ。彼女が変身したドーパントを覚えているね』
153 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/08/15(水) 21:44:58.90 ID:NNiPTbti0
山村幸。
それは、前に僕たちが解決した事件で、ドーパントになっていた女性の名前だ。

彼女はひき逃げ事件に遭い、それと同時にガイアメモリを使った。
その結果、彼女の精神体のみがドーパントになり、ひき逃げをした犯人と自分に結婚詐欺を働いた男性に次々と復讐していった。



W『その事件となんの関係が……?』

W『山村幸はドーパントになった時、なにかを媒体にしていただろう』

W『それは車に乗り移ってーーーーまさか!?』

W『あぁ、そのまさか、だよ』



僕が『亜坂真白』について検索をした時に、一つの事実が分かっていた。
そこからその山村幸の事件を思い出し、一つの仮説を立てていた。
それは、



W『亜坂真白……君はーー』






W『ーー既に死んでいる』

W『井坂深紅郎に治療を受けたというその時に!』


154 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 21:51:31.57 ID:NNiPTbti0
気にはなっていた。

『ミスト』の霧化はそこまで強力というわけではないはずだ。
検索では保って2、3秒ということだった。
少なくとも、絢瀬亜里沙を警察病院から誰にも気づかれることなく連れ去るなど不可能のはずだ。

ハイドープとしての能力かと思ったが……。



W『恐らく井坂深紅郎が行った治療は人間への処置ではない』

W『人間の肉体を滅ぼし、その代わりにドーパントとしてのみ生きられるようにする』

W『詳しいことは想像もしたくないが、そんなところだろう』



精神体のみのドーパント。
だから、



穂乃果『この娘に入り込めた』クスクス

W『っ、その娘からすぐに離れろ!』



翔太郎が吠える。
けれど、奴は聞くわけがない。
155 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 21:56:54.61 ID:NNiPTbti0


穂乃果『出ていくわけないでしょう?』

穂乃果『この娘から出ていったら、私は倒されてしまうわぁぁ』



確かに、そのままでは僕たちは手を出せない。
精神体だけならともかく、高坂穂乃果の体に乗り移られた状態では、メモリブレイクが出来るかも分からない。
なにより、彼女の体に負担がないかどうかも分からない。


W『くっ……』

穂乃果『フフッ、貴方たちはそこで見ていなさい』スッ



なにもできない僕たちの前で、奴はもう一本『メモリ』を取り出した。




『イービル』



156 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 22:01:43.81 ID:NNiPTbti0

W『そのメモリ、は……?』

穂乃果『この娘に合うはずのメモリよ。これで私は更に力を得るわぁ』

W『止めーー』




穂乃果『えぇ、使わないわ』

穂乃果『ーーまだ、ね』



まだ、使わないだって?
まさか島本凪の時のように、コネクターを成長させるつもりか!



穂乃果『その通りよぉ』

穂乃果『流石、悪魔の子ねぇぇ』



W『っ』



その言葉に、反応しかける。

……いや、ダメだ。
今は熱くなっている場合じゃない。
引き出すんだ。
奴から情報をーー。
157 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 22:07:00.80 ID:NNiPTbti0

W『君は、なにをしようとしている……?』

穂乃果『フフッ』




穂乃果『『絶望』よ』




W『絶望、だと?』



思っていたより呆気なく。
彼女は答えた。


絶望を与えて、コネクターを成長させる。


それが彼女の目的。
それまでは挿さないということか……。

だが、絶望?
彼女の意識は恐らくない。
その状態で絶望を与える……?
…………いや。




W『っ、まさか!』

W『フィリップ……?』

穂乃果『…………あぁ、検索済というやつかしら。けれど、もう一人は分かっていないようね』

穂乃果『…………いいわ。説明してあげましょう』
158 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 22:14:15.57 ID:NNiPTbti0

穂乃果『この娘は今、夢を見ている』

穂乃果『この娘が幸せを感じた瞬間を再現する夢を』

穂乃果『そして、その夢の中で彼女はーー』





穂乃果『ーー『絶望』するのよォォォ』ニタァァ




穂乃果『外部からの介入は不可能。この娘が絶望仕切った時に、夢は終わる』

穂乃果『この娘の精神と引き換えにねェェェ……』

穂乃果『それが、この『絶望の霧』』

穂乃果『…………ア、ハハハッ』

穂乃果『ハハハハハッ、ハッハハハッ!!』




真白『…………さぁ、絶望を知りなさいッ!』





ーーーーーー
159 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 22:19:08.13 ID:NNiPTbti0
〜〜〜〜〜〜




なんで、こうなったんだろう……。




みんなでいる日常は、とっても大切で。
穂乃果は幸せだった。

この幸せがいつまでも続けばいいって。
そう思ってただけなのに…………。



一瞬で、壊れてしまった。



希ちゃん。
花陽ちゃん。
にこちゃん。
凛ちゃん。
絵里ちゃん。
真姫ちゃん。

みんな…………っ!



海未ちゃんとことりちゃんを探さなきゃ……!
二人だけでも助けなきゃッ!!




〜〜〜〜〜〜
160 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/15(水) 22:19:35.19 ID:NNiPTbti0
本日はここまで。
レス本当に感謝です。
励みになります。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/15(水) 23:24:34.67 ID:UpdANtdgO

やっとつながった
それで高校時代なのな
162 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 11:24:32.74 ID:ThMKndfv0
〜〜〜〜〜〜



穂乃果「はぁっ……はっ……」



何度も何度も携帯を鳴らした。
けど、海未ちゃんもことりちゃんも出る気配がない。
心当たりのある場所は全部探したし、それ以外の教室だって探したはずなのに……。



穂乃果「どこに、いるのっ、二人とも……」



走ってかいた汗じゃなく、嫌な汗が頬を伝う。
今だって、さっきまでの光景がフラッシュバックしてて。



穂乃果「うっ……っ」



吐き気が込み上げてくるのを、どうにか抑える。
きつい、ほんとに……。
なんでこんなことに……っ!
163 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 11:33:25.57 ID:ThMKndfv0




ーー prprprprprpr ーー



穂乃果「っ」ビクッ



色々な思考は、突然鳴り響いたその音に打ち止められる。

着信を知らせる音。
もしかして!

すぐに携帯を取り出して、画面を見る。
そこには、穂乃果が想像していた通りの人物の名前が表示されていた。



穂乃果「海未ちゃんっ!」



彼女の名前を呼ぶ。
電話口からもすぐに彼女の声が聞こえてくる。

そう思ってたのに、



『……………………』




返事はない。
イタズラな訳はない。
真面目な海未ちゃんだし、なによりこの状況だもん。
でも、それならなんで黙って…………?

ううん。
よく聞いたら、聞こえる。




『はっ…………ほ……の……』




今にも消えてしまいそうなか細い声だったけど。
間違いなく、その声は海未ちゃんのものだ。
164 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 11:40:04.03 ID:ThMKndfv0


穂乃果「海未ちゃん! 今どこにいるのっ!!」



大丈夫なの?
ことりちゃんは?
本当ならそう聞きたいし、様子がおかしいのは分かってる。
でも、だからこそ、今は海未ちゃんがいる場所を聞いて駆け付けるのが先だ!

電話の向こうで、海未ちゃんが呼吸を整えている音が聞こえた。
そして、らしくない小さな声で、ポツリとこう言った。




『り、じちょう……しつ、です…………』

穂乃果「わかった! すぐ行くからっ!」

『あ……いやっ……』

穂乃果「大丈夫! すぐだからっ!!」



ーー プツン ーー



電話を切ってすぐに駆け出す。

………………。

きっと、そこで電話を繋いだまま向かったなら。
また結末は変わったかもしれない。

ちゃんと海未ちゃんと話をしていたら…………。



そう。
穂乃果はまた、間違ってしまった。




〜〜〜〜〜〜
165 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 13:20:03.21 ID:i+qWp+9MO
〜〜〜〜〜〜



理事長室に着いた時。
海未ちゃんは確かにそこにいた。



穂乃果「海未ちゃんっ!!」

海未「ほの、か……?」



その顔には涙。
ボロボロと零れ落ち、脱力しきったように座っていた。
でも、まず穂乃果の目に入ったものは海未ちゃんの泣き顔よりも、もっと違うもの。




穂乃果「…………え、これ……血?」

穂乃果「それに……海未ちゃん、なんで、ことりちゃん倒れてるの…………?」




海未ちゃんの周りに広がる血溜り。
そして、その前に横たわることりちゃんの姿だった。
166 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 13:24:55.43 ID:i+qWp+9MO


海未「あ、ぁぁ……ちがうっ」

海未「ちがうのっ!!」


違う、と。
首を横に振りながら、海未ちゃんは座ったまま後退りをする。
って!



穂乃果「海未ちゃん、大丈夫だからっ……ね?」

海未「わたしは、ちがう、ちがうっ!」

穂乃果「大丈夫、穂乃果は海未ちゃんの味方だよっ」

海未「みかた……?」

穂乃果「うん、そうだよ」



パニックを起こしてる海未ちゃんを落ち着かせようと言葉をかける。
大丈夫だよって。
穂乃果は海未ちゃんの味方だよって。
その甲斐もあって、海未ちゃんは少しずつだけど落ち着きを取り戻し始めた。
167 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 13:28:20.47 ID:i+qWp+9MO


穂乃果「海未ちゃんっ」ギュッ

海未「あっ……ほの、か」

穂乃果「だいじょぶ、だよ…………穂乃果は海未ちゃんの味方だから、ね?」



穂乃果の腕の中にいる海未ちゃんに、何度もそう言い聞かせる。
海未ちゃんもさっきまで力のなかった腕に力を入れて、穂乃果のことを抱き締め返す。
とんとんって背中を軽く叩きながら、繰り返す。
168 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 13:33:47.79 ID:i+qWp+9MO
それから少しして、海未ちゃんはやっと話ができるようになった。
もちろんまだ声も体も震えていたけれど。
それでも、パニックを起こしていたさっきまでとは違っていた。



海未「穂乃果……私は……」



そう言って、海未ちゃんの視線は、倒れていることりちゃんに向いていた。



穂乃果「…………ことりちゃん、は……」

海未「っ」

穂乃果「どうしたの……?」



辛そうなのは分かってる。
でも、それを聞かなきゃ何も進まない。
穂乃果はそれを聞いたんだ。

だけど、穂乃果はすぐに聞いたことを後悔する。
だって、




海未「ことりは、もう…………っ」

海未「わたしが…………ことりを手にかけたんですッ!!」





海未ちゃんはそんなことを言ったから。
169 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 13:37:15.11 ID:i+qWp+9MO
ボロボロと泣きながら、海未ちゃんは話した。

凛ちゃんからの電話を受け、ことりちゃんと調理室に向かったこと。
その途中で、化け物に遭遇したこと。
逃げ込んだ理事長室に知らない『女の人』がいたこと。
その『女の人』が無理矢理ことりちゃんに『なにか』を刺したこと。
そしてーー






『ことり、怪物になっちゃったの♪』



170 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/08/16(木) 13:41:58.22 ID:i+qWp+9MO


穂乃果「っ!?」

海未「ひっ!?」ビクッ



声。
聞き馴染みがあるその声に振り返る。
そこには、血溜りの中から起き上がることりちゃんの姿があった。
お腹には、



ことり『アハッ♪ これ、海未ちゃんがやったんだよぉ』

海未「っ」

ことり『ことりのこと、ナイフで刺したの。それで、ことりーー』




『死んじゃった♪』





海未「いやっ、いやっ!」

穂乃果「ことり、ちゃん……」



ことりちゃんの言葉を聞かないように、海未ちゃんは両手で耳を塞いで、首を振る。
それでも、お構いなしに、ことりちゃんは言葉を続ける。
171 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 13:46:17.82 ID:i+qWp+9MO

ことり『ひどいんだよ、海未ちゃん』

ことり『ことりはただ、海未ちゃんの首に手をかけただけなのに〜っ』



ことり『こうやって〜♪』スッ



海未「ひぃぃっ!?」

穂乃果「っ」



穂乃果「やめてっ!!」



海未ちゃんに近づくことりちゃんの前に咄嗟に飛び出る。
海未ちゃんはそんなことりちゃんの姿に怯えて…………。

…………ううん、違う。





穂乃果「貴女は誰……?」




172 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 13:51:01.36 ID:i+qWp+9MO
海未ちゃんは動揺して気付いてないだけだ。
だけど、穂乃果にははっきりわかった。

ことりちゃんはこんなこと絶対しない!
海未ちゃんに手をかけることも。
海未ちゃんを責めることも。
絶対するはずないよ!

だから、目の前のことりちゃんは、ことりちゃんじゃない!
きっと、ことりちゃんの姿をしたなにかだ。



ことり『ひどいよぉ、ほのかちゃん』

ことり『ことりはことりだよぉ?』

穂乃果「っ、そんなわけないよっ!」

穂乃果「優しいことりちゃんが、海未ちゃんのこと傷つけるわけないもんっ!」



そうだ!
だから、海未ちゃんは悪くない。
きっと本物のことりちゃんは無事のはずなんだ。
173 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/08/16(木) 13:59:13.24 ID:i+qWp+9MO
海未「ほの、か……」

穂乃果「だいじょぶ。早くここから出て、本物のことりちゃんを探そう!」

ことり『…………』

穂乃果「答えて! 本物のことりちゃんはどこっ!!」



目の前の彼女に向かって叫ぶ。
正直、目の前の光景を理解するなんてできてない。
でも、こうでもしなきゃ正気を保てそうになかったから。
だから、穂乃果は精一杯叫んだ。



ことり『…………』

穂乃果「…………っ」



無言のままにらみ合う。
その沈黙を破ったのは、



ことり『ひどいよぉ』

ことり『ことりは本物なのに……』



ことりちゃんの姿をした彼女だった。

っ!
まだそんなことをーー



ことり『…………あ、わかった!』

ことり『そんなひどいことを言う、ほのかちゃんの方こそ偽物だよ』

穂乃果「え…………なにを……?」

ことり『うんっ、そうに違いありませんっ♪』



彼女は納得したように、ウンウンと頷く。
そして、こう言った。




ことり『偽物のほのかちゃんなんて死んじゃえばいいんだ』

ことり『うふふ、そうだよ』




ことり『殺しちゃおう♪』




174 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/08/16(木) 14:07:17.98 ID:i+qWp+9MO
訳の分からないことを言って。
彼女は近づいてくる。



ことり『そっかそっかぁ』

ことり『偽物ならそんなひどいことも言っちゃいますよね』



一歩。



ことり『ことり、ほのかちゃんのことだいすきだから』

ことり『許せませんっ』



また一歩近づいてくる。

っ!
に、逃げなきゃっ!

そう思ってるのに、体が言うことを聞いてくれない。
なんでっ!?



ことり『ってことは、そっちの海未ちゃんも偽物かなぁ?』

ことり『きっとそうだよね。だって、本物なら』

ことり『ことりのこと、殺したりしないもんね♪』



海未「っ、あ、あぁ…………」



近づいてくる。
両手を挙げて。
きっと穂乃果の首にそれを当てて、締め付けられるんだ…………。

嫌だ……嫌だっ!
嫌だよ、やだよっ!!!

体は動かない。
逃げられない。

ことりちゃんの姿をしたなにかは、遂に穂乃果の前にきて、座り込む。
そして、その両手を、穂乃果の首にーー




ことり『バイバイ、偽物さん♪』キュッ

穂乃果「いやっ…………」
175 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 14:08:18.24 ID:i+qWp+9MO







「あぁぁぁぁぁっ!!!!」グッ






ーー パァァァンッ ーー




176 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 14:15:48.25 ID:i+qWp+9MO
鼓膜を揺らす音。
次の瞬間、




ーー ユラッ ーー



ーー バタンッ ーー




穂乃果の目の前の彼女が倒れた。
見れば、彼女の頭になにかが貫通したような穴があって。



穂乃果「……う、みちゃん……?」



後ろにいたはずの海未ちゃん。
その手には、拳銃が握り締められていて、煙があがっている。
つまりーー



海未「あ、あぁぁぁっ、わたしはっ!!」

海未「わたしはまたっ、ことりをっ!!」



海未ちゃんは叫び声をあげながら、涙を流す。

気が動転してるんだ!
落ち着かせなきゃっ!
どうにか我に返った穂乃果は、海未ちゃんに駆け寄ろうと立ち上がる。

大丈夫だよ。
あのことりちゃんは偽物だよ。
海未ちゃんは穂乃果を守ってくれただけ。
海未ちゃんは悪くないんだよ。

そう言おうとしたんだ。
でも、




ーー ガチャッ ーー



穂乃果「え……?」

海未「ごめんなさい、ことり…………」グッ

穂乃果「ダメッ!!! 海未ちゃーーーー






ーーーーーー パァァァンッ ーーーーーー




177 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 14:18:27.02 ID:i+qWp+9MO



こうして、私は。



すべてを失った。




〜〜〜〜〜〜
178 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 14:19:40.10 ID:i+qWp+9MO




ーー ザザザザザザザザザッ ーー






『そろそろ私の出番かしらぁぁ』ニタァァ
179 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/16(木) 14:20:07.85 ID:i+qWp+9MO
一旦ここまで。
辛い。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/18(土) 22:25:30.16 ID:tac1W4V40
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/19(日) 20:27:04.73 ID:5rq7HO/y0
続き気になる…
182 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 17:48:12.57 ID:TftznxjVO
本日出来れば更新します。
183 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 21:47:26.76 ID:eUzWtQI10
〜〜〜〜〜〜




「楽しんでくれたかしらぁ」




海未ちゃんを抱きかかえている穂乃果の前に、その人は現れた。

音もなく。
まるで暗闇から生まれたかのように。



穂乃果「あな、た……は……?」



茫然としたまま、穂乃果は口を開く。

けれど、その答えーー彼女の口から語られたその真実を聞いて、穂乃果は、




「私は亜坂真白」

「貴女のお友達を全員『台無し』にした人間よぉぉ」




穂乃果「ッ!?」
184 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 21:50:57.98 ID:eUzWtQI10
一瞬で頭に血が登ったのが分かる。



穂乃果「なにをッ!!」ダッ



不気味な笑みで穂乃果を見つめるその人に掴みかかろうとして、



ーー スカッ ーー



穂乃果「えっ!?」



掴み損ねて、体勢を崩してしまった。

……って、ううん。
掴み損ねたとかじゃない。
今の感覚って、



真白「無駄よぉ」

真白「今のままの貴女じゃ私は掴めないわ」


185 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 21:57:31.42 ID:eUzWtQI10
なにをしたの、とか。
なんで、とか。
そんな言葉を口にする前に、彼女はそれを告げる。



真白「私は超人ーー『ドーパント』だもの」

穂乃果「ドー……パント……?」

真白「そうよぉ」スッ



ーー カチャッ ーー



頷いて取り出した物。
まるでUSBメモリのようなそれを、どこからか取り出した彼女は、説明を続ける。

それが人を超人に変えるものであること。
使った人間は様々な能力を授かること。
そして、それのせいでーー




真白「愉快だったわぁ」

真白「貴女のお友達が壊れていく様を見るのはッ」




皆がいなくなってしまったこと。
186 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/08/21(火) 22:12:57.17 ID:eUzWtQI10
真白「まずは東條希」

真白「『ミスト』のメモリで靄の中に引きずりこんであげた」

真白「今頃、何もない、誰もいない靄の中で一人息絶えている頃でしょうね」クスクス



真白「次は小泉花陽」

真白「あぁ……今、思い出しても笑えるわぁ」

真白「西木野真姫と絢瀬絵里を逃がすために、一人抵抗してきたのよ」

真白「二人とも逃げて……なんて……フフフッ、どうせ二人とも『ブラッド』で血を抜かれて死ぬのにねぇ」

真白「まぁ、結局彼女に使った『バイオレンス』のメモリとも合わなくて拒絶反応を起こすのだから…………無駄死にね」



真白「星空凛と矢澤にこは……語るまでもないわ」

真白「『ソード』で心臓を一突き」

真白「本当につまらなかった…………仮面ライダーとは思えない……いえ、何でもないわ」



真白「その点、南ことりと園田海未は優秀よ」

真白「大いに私を楽しませてくれたわぁぁぁ」

真白「お互いがお互いを殺し合うなんて、本当に素敵よねぇ」

真白「『アームズ』と『エッグ』と『スキップ』」

真白「貴重なメモリを3本も使った甲斐があった」
187 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 22:18:17.65 ID:eUzWtQI10




穂乃果「…………………………っ」ギリッ

真白「いい、目ね」




今、穂乃果はどんな顔をしてるんだろう?
分からない。
でも、これだけははっきりしてる。
188 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 22:18:46.39 ID:eUzWtQI10







憎い






189 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 22:22:32.48 ID:eUzWtQI10
目の前のこの人が憎い。
でも、その感情をどうにか耐えようとして俯く。



真白『そんな目で見られると困るわねぇ』

真白『こうなったのは元はと言えばーー』



『ーー貴女のせいよぉ?』



けれど、無駄だった。
もう、この感情は抑えられない。



「っ、おまえ……」



憎くて、憎くてたまらない。
きっと今の私の表情は、決して元アイドルがしていいものではないんだろう。
にこちゃんがいたら、注意されたんだろうな。
190 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 22:25:34.61 ID:eUzWtQI10
けど、もういい。
もう、誰もいない。



「私は……おまえを……許さないッ」

『…………なら、どうするのかしら』

「…………私はッ」



手に力を入れる。
いつの間にか現れていた『それ』を持つ手に。



『……そうねぇ。それしかないわよねぇ』

「……あ、あぁぁッ!!」



穂乃果は、もうどうなってもいい。
この『力』で仇が討てるならッ!!



「あぁぁぁぁぁっ」




ーー カチ




191 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 22:27:31.56 ID:eUzWtQI10






『だめだよ、ほのかちゃん』




『これは貴女には不要なものです、穂乃果』




192 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/21(火) 22:28:05.70 ID:eUzWtQI10



穂乃果「……………………え……?」




〜〜〜〜〜〜
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/22(水) 20:53:05.86 ID:4q9nZs2UO
おつ
やっと希望が見えた
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/24(金) 22:56:47.45 ID:EXw5zEVw0
気づいたらめちゃくちゃきてた
穂乃果が憎いとか言ってるの想像して震えた
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/25(土) 00:11:11.72 ID:SAdRkbF5O
地獄を楽しむ時間は、まだかな?
196 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/26(日) 10:17:01.06 ID:140CjJWJO
本日更新予定。
197 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/08/26(日) 20:59:12.73 ID:jCsrwcWB0
都合により更新できなくなりました。
申し訳ありません。
9月かなり忙しいので、隙を見て少しずつ更新します。
あと少しで終わりますのでお付き合いいただけるとありがたいです。
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/30(木) 22:16:35.43 ID:UOcv37Sr0
ゆっくりでいいからがんばって
199 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/09/02(日) 22:09:24.75 ID:UaheGqVs0
少し更新。
200 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/09/02(日) 22:17:54.92 ID:UaheGqVs0
ーー 数分前 ーー




穂乃果『アハハハハハッ!!』ブンッ



W『止めろ、止めてくれ! 穂乃果ちゃん!』

W『無理だ! 今、彼女の意識は眠っている状態で、僕たちの声は恐らく届かない!』



穂乃果『そうよぉ、今、ちょうど彼女が堕ちてくれたところ』

穂乃果『あと、もう少しでこの身体を支配できる』

穂乃果『『絶望』で精神が壊れて初めて、このメモリはこの娘に適合するの』

穂乃果『そうすれば、私は…………』クスクス
201 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/09/02(日) 22:25:57.87 ID:UaheGqVs0
W『くそっ!! どうしたらいい!? 奴を倒して、彼女を救うには!?』

W『検索、してみよう』

W『!! あぁ! 『エクストリーム』だ!』スッ



ーー キュゥゥゥゥン ーー




『エクストリーム』




W『はぁぁぁぁっ……はぁっ!!』




穂乃果『それがWの究極の姿……』

W『検索を始めよう』

穂乃果『そうはさせーー』グッ

W『それはこっちの台詞だッ! プリズムビッカー!!』スッ



ーー ガァァンッ ーー



穂乃果『盾…………鬱陶しい』グッ



ーー ガァァンッ ーー



W『くっ……!? 受け続けたんじゃ彼女の体が保たない! フィリップ!』

W『分かってるさ』スッ
202 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/09/02(日) 22:28:07.04 ID:UaheGqVs0
ーーーーーー



『…………』

『戦闘と同時に検索を始める』

『調べる項目は『高坂穂乃果を救う方法』』

『キーワードはーー』





「にゃ??」



『え?』


203 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/09/02(日) 22:29:43.85 ID:UaheGqVs0

『君、は…………』

「あっ! 穂乃果ちゃんの協力者の人!?」

『何故、ここに君が……いやーー』




「ちょ、ちょっと、どこに連れていくつもりなんですか!?」

『ーー君たちがいるんだい?』


204 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/09/02(日) 22:37:16.71 ID:UaheGqVs0

「えっと? よくわかんないけど、気づいたらここにいた感じ…………ね?」

「私は違います! 貴女に無理矢理連れてこさせられたんです!」

「にゃにゃ? そうだっけ?」

「そうです!」



『…………ここは『地球の本棚』のはず、ここに入って来られた……?』

『…………そうか!』

『『エクストリーム』に到達した影響だ! 姉さんの時と同じで、メモリがそのステージに到達したせいで、彼女の意識がここに繋がったというわけか!』

『実に興味深い……ゾクゾクするねぇ』
205 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/09/02(日) 22:45:25.46 ID:UaheGqVs0
「よく分かりませんが……」

『おっと、すまない。僕の悪い癖が出たようだ』



「とにかく、行くね!」



『行く? 一体どこへ……?』

「言われたんだ。連れてきてって!」チラッ

『彼女を……どこへ……?』

「穂乃果ちゃんの夢の中に!」

『!? そんなこと、どうやって!?』

「それはーー」





「こっちだよ」




『! この声は……もしや……』

「…………なるほど。貴女が私を連れてくるよう言ったんですか。ならば、私は、えぇ……従うしかありませんね」

「えへへ、そう言ってくれるとおもってたよぉ」

「一緒にきて? そして、穂乃果ちゃんをつれもどそう?」





ことり「ーーおねがぁい、海未ちゃん♪」

海未「……ずるいですよ、ことりは」





ーーーーーー
206 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/09/02(日) 22:49:36.53 ID:UaheGqVs0



ーー ガァァンッ ーー



ーー ガァァンッ ーー




W『おい! フィリップ!』

W『………………』

W『おい!』

W『……遅くなったね、翔太郎。検索は無事終了した』

W『! なら、教えてくれ! どうやったらこの娘を助けられるんだ!?』

W『…………問題ない』

W『は?』





W『もう既に、彼女は救われた』





ーーーーーー
207 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/09/02(日) 22:50:35.10 ID:UaheGqVs0
短いですが、本日はここまで。
21連勤……
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