【モバマス】龍崎薫「せんせぇは魔法使い!」

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30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 00:57:07.63 ID:ZA+Xy5PFO

あい「そうだね。控室に戻ろう」

薫「はーい」

P(東郷さんのスーツ姿、やっぱり綺麗だな)

あい「ん?」

P「いえ、行きましょう」

あい「そう言わずに、もう少し見惚れていても良いんだよ?」クスッ

P「かっ…」

あい「か?」

P「か、おる、行こうか?」

薫「あるいてるよ?」

あい「くっ…フフッ」

薫「せんせぇ、かおまっかだよ?」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 00:58:38.63 ID:ZA+Xy5PFO
ここまでです。
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 01:07:08.17 ID:kX1t2vnNo
終わり?
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 01:14:46.61 ID:ZA+Xy5PFO
変わってますけど>>1です。
今日はここまでという意味でした。申し訳ないです。
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 03:44:29.89 ID:xVvdxuf+0
一旦乙ー
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 04:25:27.68 ID:f+6ccC+Yo
乙です
いい関係だなあ
想像しただけでほっこりする
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:43:49.12 ID:EZnmiYOIO

1週間後 事務所

あい『いたずらな、甘みが香る。○○、スイートチョコレート』

ちひろ「おぉ、来ましたね〜」

P「どうですか?」

ちひろ「プロデューサーさんが言っていた感じは出ているんじゃないですか?」

P「感じ、ですか」

ちひろ「ええ、あいさんの顔を見ると二人は仲が良いんだろうなぁと思います」ウン

ちひろ「薫ちゃんが可愛い、まるで天使って、反響も凄いみたいですよ?」カチカチ

P「それは良かったです」

ちひろ「もう一つの方はどうですか?」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:44:46.26 ID:EZnmiYOIO

P「既に決まりました。新たに撮るようです」

ちひろ「良かったじゃないですか!」

P「まあ、それはそうなんですけど……」

ちひろ「どうしたんですか?」

P「参考に渡されたものがちょっと、これなんですけど」

ちひろ「あるなら言って下さいよ〜。じゃあ、早速見てみましょう」

カチャ

P「あ、ちょっと」

ちひろ「え〜、良いじゃないですか、折角ですから見ましょうよ」ポチッ
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:45:42.27 ID:EZnmiYOIO

薫『せんせぇ、お礼にチョコレートあげる。あーんして?』

あい『あーんして?』

P『』

薫『せんせぇ、とけちゃうよー』

あい『甘いのは嫌いかい?』

ナレーション『ありがとうを貴方に。○○、スイートチョコレート』



ちひろ「出来てるじゃないですか!!」

P「だから、これは見本です! そのまま使うわけにはいかないでしょう!?」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:46:29.82 ID:EZnmiYOIO

ちひろ「え、でもプロデューサーさんの顔は見えてないし、音声も切ってありますよね?」

P「画的に問題があるんです。きちんと台本書いて、新たに俳優を起用するらしいです」

ちひろ「勿体ないような気がしますね」

P「表情はとても素晴らしいですけど、照明とかがないので駄目ですよ」

ちひろ「そうですかね? 撮影終わりで素の感じが出ていて、私は良いと思いますけど」

P(女性特有の感覚なのかもしれない。覚えておこう)

ブー ブー

P「はい、もしもし。はい、はい、分かりました。すぐに行きます」

ちひろ「早速ですか?」

P「ええ、監督からでした。ちょっと行ってきます」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:47:50.07 ID:EZnmiYOIO

ちひろ「プロデューサーさん」

P「はい?」

ちひろ「近々、凛ちゃんのレコーディングもあります」

ちひろ「どちらかが疎かになることはないと思います。ただ、張り切り過ぎて体を壊さないように気を付けて下さいね?」

P「はい。千川さん、ありがとうございます!」

ガチャ パタンッ

ちひろ(プロデューサーさん、頑張って)
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:48:53.67 ID:EZnmiYOIO

廊下

P(千川さんのお陰で助かった。よし、まだ時間はある。渋谷さんの様子を見に行こう)

コツコツ

P(スポーツドリンクは……)

チャリンチャリン ガコンッ

P(これでよし……)

P(いや、待て。集中しているだろうし、邪魔になるなら終わるまで待っていた方が)

ウロウロ

渋谷凛(あ、プロデューサー)

トントン

P「はい?」

凛「なにウロウロしてるの?」

P「あれっ、渋谷さん?」

凛「で、何してたの?」

P「丁度、行こうか悩んでいたんですよ」ウン
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:50:40.84 ID:EZnmiYOIO

凛「あのさ、悩むくらいなら来てよ」

P「ごもっともです……」

凛「何かあった?」

P「いえ、レッスンの様子を見たかっただけです。あ、これどうぞ」スッ

凛「……ありがと」

キュッ コクコク

P「休憩だったんですか?」

凛「違うよ、今日はもう終わり。ボーカルレッスンは2時間にするってさ」

P(調整してるのか、もうすぐだからな……)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:51:23.45 ID:EZnmiYOIO

凛「最近はかなり忙しそうだったね」

P「ええ、中々顔を出せずにいましたけど、これからは大丈夫です」

凛「本当?」

P「CMの方は落ち着きましたからね。もう一本撮ることになりましたけど、何とかします」

凛「体は一つなんだから無理しないでよ?」

P「僕は大丈夫ですよ」ニコッ

凛(いつもこれだ。しっかり休んでるのかな)

P「あ、そうだ。CMは見ましたか?」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:52:45.47 ID:EZnmiYOIO

凛「うん、見たよ」

P「どうでしたか? 渋谷さんから見て」

凛「良かったよ。二人とも良かったけど、薫の色が強いよね」

P「やはり、そう思いますか……」

凛「あいさんが負けてるってわけじゃないよ? あれは見せ方の違いだと思う」

P(よく見てる。こんなに若い子まで気付くとなると、次のCMは絶対に必要だ)

凛「あのさ」

P「はい?」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:53:36.27 ID:EZnmiYOIO

凛「今から時間ある? 歌詞のことで相談したいんだ」

P「これから打ち合わせなので、戻ってからなら大丈夫です。疲れているなら明日でも……」

凛「いい、待ってる」

P「分かりました。戻ってから話しましょう」

凛「気を付けてね?」

P「はい。では、また後で!」

スタスタ

凛(うん、プロデューサーは元気だ。私も頑張ろ)
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:54:03.47 ID:EZnmiYOIO

ガチャ パタンッ

ちひろ「凛ちゃん、お疲れ様」

凛「うん。ちひろさん、なに見てるの?」

ちひろ「もう一本別のCMを撮るらしくて、その見本です。凛ちゃんも見ますか?」

凛「いいのかな?」

ちひろ「事務所に来たものですから大丈夫ですよ」ポチッ

凛「これ、プロデューサーだよね?」

ちひろ「やっぱり分かります?」

凛「この事務所のアイドルなら全員分かるよ。仕草とか、背中で……」

ちひろ「ふふっ、そうですね」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:55:19.18 ID:EZnmiYOIO

凛「あっ、今の」

ちひろ「どうしました?」

凛「あいさんの顔、もう一回見せて」

ちひろ「は、はい」


あい『あーんして?』

あい『甘いのは嫌いかい?』


凛「……これだ」

ちひろ「えっ?」

凛「ちひろさん、もう一回」

ちひろ「は、はい」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:58:33.33 ID:EZnmiYOIO

某所 会議室

監督「……ということで良いですか」

P「ええ、先程連絡は取りましたので大丈夫です」

監督「では引き続き、あいさん、薫ちゃんは決定。俳優のついては後日改めてということで」

P「はい」

監督「熱が冷めないうちに取り掛かりますんで、急ぎになりますけど宜しくお願いします」

P「分かりました」

監督「じゃあ、今日はこの辺にしときましょうか」

P「ありがとうございました」ガタッ

監督「プロデューサーさん、この後晩ご飯でもどうですか? スタッフも含めて」

P「ちょっと事務所に連絡します」

監督「じゃあ、外で待ってますんで!」

P(ご飯か、これは最初から想定しておくべきだった。渋谷さんには明日しっかり謝ろう……)
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 13:59:50.33 ID:EZnmiYOIO

事務所

コツコツ

P(助かった。何とか早く帰ってこられた。車じゃなかったら居酒屋行きだったな)

ガチャ パタンッ

P「ただいま戻りました」

凛「お帰り」

P「………渋谷さん。何で」

凛「遅かったね。何してたの?」

P「事務所には連絡したはず」

凛「約束したよね? 待ってるって言ったよね?」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:00:32.94 ID:EZnmiYOIO

P「も、申し訳ありません……」

凛「今のは冗談だよ」シレッ

P「………今度、ドラマに出てみますか?」

凛「怒るよ」

P「冗談です」

凛「ハァ、ちょっと座って待ってて」

P「え?」

凛「いいから待ってて」スタスタ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:01:03.93 ID:EZnmiYOIO

P(渋谷さん、どうしたんだろう?)

スタスタ

P(あ、来た)

凛「はい、お待たせ」コトッ

P「ココア……これは渋谷さんが? ありがとうございます」

凛「大袈裟。粉とお湯を混ぜただけだよ」

P「そんな言い方しなくても……あ、うまい」

凛「……ん、いつもお疲れ様」

P(優しい子だ。見た目とは違う温かさがある。もっとこういうところを見せていきたい)
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:01:51.70 ID:EZnmiYOIO

凛「ねえ、なんか言ってよ」

P「えっ? あ、凄く嬉しいです。本当に」ウン

凛「そっか、良かった……」

P「でも、どうしたんですか? こんなに遅い時間まで待ってるなんて」

凛「歌詞のこと」

P「何か不安が?」

凛「うん。ちょっと掴めなくて、分からなくなってたんだ」

凛「曲調は激しいから勢いで押せるかもって思ってたけど、やっぱり、そう甘くないみたい」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:02:42.35 ID:EZnmiYOIO

P「分からないとは、どの辺りがですか?」

凛「全体的な雰囲気かな。求めて、私に溺れて、そういう感覚は分からないんだ……」

P「自分でなくても良いのでは? 小説などで曲に合う人物を見付けて、その人物になりきって歌うとか」

凛「私も同じ事を考えた。それで、モデルを見付けたんだ」

P「モデル? どんな感じですか?」

凛「私に溺れろ、じゃなくて、ゆっくり優しく溺れさせる感じかな」

P「優しく溺れさせる、ですか。誰を参考に?」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:03:29.13 ID:EZnmiYOIO

凛「それは秘密」

P「事務所の人ですよね?」

凛「秘密だってば」

P「……東郷さんですか?」

凛(鋭い)

P「いや、包容力と言うと他にも候補が……」ウーン

凛(私は見本を見て感じたけど、プロデューサーは前から気付いてた。ずっと、あいさんを見てたんだ)

P「あ、こんな時間だ。送ります。ご家族に連絡はしましたか?」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:04:20.33 ID:EZnmiYOIO

凛「したけど、いいの?」

P「勿論です。ちょっと待っていて下さい」

凛「うん」

凛(あいさんの表情、多分だけど、あれはきっと……私には出来ない表情だ)

P「行きましょうか」

凛「ごめんね?」

P「?」

凛「折角感覚を掴んだから、どうしても伝えたくてさ」

P「いいんです。僕も渋谷さんと話せて良かったです。迷ったら相談して下さい」

凛「……ありがと」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:05:47.94 ID:EZnmiYOIO
ーーーー
ーーー
ーー


P「渋谷さん、渋谷さん?」

凛「んっ、あれ?」

P「着きましたよ」

凛「寝てた……」

P「今日はゆっくり休んで下さい」

凛「うん」

ガチャ パタンッ

P(さてと)

コンコン
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:06:34.39 ID:EZnmiYOIO

P「?」カチッ

ウイーン

P「どうしました?」

凛「プロデューサーさんもちゃんと休んでよ?」

P「ええ、今日はもう休みます」

凛「うん、そうして。それじゃあ、また明日」

P「ええ、また明日」

ブロロロ…

P(まず、候補に挙がった俳優を調べよう。なるべく年齢が近くて、実力がある若手……)
58 :>>30と>>36の間にこれを入れるのを忘れました :2018/07/07(土) 14:15:31.56 ID:EZnmiYOIO

帰り道 車内

あい「思っていたより早かったね」

P「そうですね。急な変更だったので、もっと時間が掛かるものと思っていました」

あい「最初から考えていたのかもしれないよ?」

P「何があっても対応出来るように用意していたと?」

あい「私はそう思うよ。現場に慌てた雰囲気はなかったからね」

P「最終的に一つしか採用されなくても、それに代わるものを準備しておく。勉強になるなぁ」

あい「それは何事にも言えることだからね。私も勉強になったよ」

P「………」
59 :>>30と>>36の間にこれを入れるのを忘れました。 :2018/07/07(土) 14:16:27.74 ID:EZnmiYOIO

あい「どうしたんだい?」

P「薫は寝てますか?」

あい「うん、長時間集中して疲れたんだろう。それで? 私に何か言いたいことがあったんじゃないのかい?」

P「……今日はとても良かったです。でも、当初考えていたものとは違いました」

あい「あのCMで私のイメージの幅を拡げると言っていたね。そのことかな?」

P「そうです。別角度から捉えると言うか、見せ付けると言うか、一瞬で焼き付けるような……」

あい「………」

P「撮影は順調で、もう終わってしまったけど、それを貴方に見せられなかったことだけが残念でならない」
60 :>>30と>>36の間にこれを入れるのを忘れました。 :2018/07/07(土) 14:17:50.54 ID:EZnmiYOIO

あい「私に?」

P「自分では見えていない部分、それが分かれば、貴方はもっと輝ける」

P「下手をするとイメージが一変して崩れてしまうけど、今回は監督にも恵まれて絶好の機会だった」

あい「そう悔しがらなくても大丈夫さ。必ず、次はある」

P「でも、次がどれだけ先になるか分からない。CM依頼なんて……」

あい「君なら出来るさ。私は、そう信じている」

P「………」

あい「どうしたんだい?」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:18:53.59 ID:EZnmiYOIO

P「東郷さん」

あい「?」

P「もっと頑張ります。今よりも、ずっと。だから、待っていて下さい」

あい(無自覚とは恐ろしいな……)

P「どうしました?」

あい「……アイドルでいられる時間は短い。いつまでも待てないよ?」フイッ

P「大丈夫です。僕は、出来ます」

あい「フフッ。そうだね。その時が来るのを待っているよ」

P「あの、何で顔を背けているんですか? ちょっとバックミラーの角度を」クイクイ

あい「い、いいから、君は運転に集中するんだ。後ろばかり気にしていては駄目だよ」
62 :>>30と>>36の間にこれを入れるのを忘れました。 :2018/07/07(土) 14:19:43.74 ID:EZnmiYOIO

P「は、はぁ」

薫「ん〜?」パチリ

あい「あ、薫、起こしてしまったね……」

薫「あいお姉ちゃん、どうしたの?」

あい「いや、なんでもないよ。大きな声を出して悪かったね」

薫「ううん、そうじゃなくて」

あい「?」

薫「あいお姉ちゃん、かおまっかだよ?」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 14:21:56.34 ID:EZnmiYOIO
刺×
棘○

>>57
凛「プロデューサーさんもちゃんと休んでよ?」×

凛「プロデューサーもちゃんと休んでよ?」○


ミスしてしまいました。気を付けます。また後で。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:42:04.36 ID:BOmhqDDsO
>>57から

翌日 事務所

あい「この中から? 私が?」

P「あくまで出演者側の希望という形ですけど、決め手にはなります」

あい「そう言われても難しいよ。どれも見たことのある俳優さんばかりだ」

P「変な言い方になりますけど、気に入った方がいたら言って下さい」

あい「気に入ると言われても……」

P「難しいですか?」

あい「ああ、折角提示してもらって悪いけど、この中なら誰にでも任せられるんじゃないのかい?」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:42:39.34 ID:BOmhqDDsO

P「確かにそうかもしれません。でも、片っ端から声を掛けることは……」

あい「確かに。しかし、これは参ったな……」

トテテ

薫「どうしたの?」

あい「この中の誰が良いかと聞かれてね。薫は誰が良いと思う?」

薫「ん〜。あ、この人!」

P「薫はその人が良いのかい?」

薫「うん。この人がいい」

あい「知ってる人?」

薫「ううん。この中で一番せんせぇみたいだから」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:43:50.27 ID:BOmhqDDsO

P「僕?」

薫「だって、せんせぇの役なんでしょー?」

P「いや、まあ……そうなのかな」

あい「雰囲気が似てるのかな?」

薫「わかんない。わかんないけど、この人がいい」

P(感覚、信じてみるか)

あい「私は彼でも構わないよ。君はどうだい?」

P「そうですね。では、監督と話してみます」

薫「きまったの?」

P「薫のお陰でね」ニコッ

薫「やったー!」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:44:34.74 ID:BOmhqDDsO

あい「良かったのかい?」

P「ええ、東郷さんの言う通り、この中なら誰でも任せられます。ただ」

あい「?」

P「一番現実的なのは薫が選んだ俳優なんです。この中で一番若く、まだ露出は多くない」

P「演技についてはあまり分かりませんでしたけど、惹かれる部分もある」

あい「何故候補に?」

P「必ず応じると思ったからです。事務所も、彼の知名度を上げたいはずですからね」

あい「なるほど」

P「後は、薫の感覚を信じるだけです。精一杯やってみます」ガタッ
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:45:17.15 ID:BOmhqDDsO

あい「待ってくれ」

P「?」

あい「睡眠は取っているのかい?」

P「いえ。でも、大切な時ですから仕方ないですよ」ニコッ

あい「……時間が空いたら、きちんと休むんだよ?」

P「分かりました。では!」

ガチャ パタンッ

あい「………」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:46:06.94 ID:BOmhqDDsO

トテテ

薫「どうしたの?」

あい「彼が心配でね」

薫「せんせぇが?」

あい(……いや、薫には言わない方が良い。きっと、私達のせいで彼が眠れていないと考えてしまう)

薫「あいお姉ちゃん?」

あい「朝ごはんを食べていないみたいだったから、ちょっと心配でね」

薫「そっかー。ねえ、あいお姉ちゃん、おみみかして」

あい「?」

薫「えっとねー」

コショコショ

あい「フフッ。分かった。手伝うよ」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:47:39.34 ID:BOmhqDDsO

某所 喫茶店

監督「この子ですか」

P「意外ですかね?」

監督「プロデューサーさんなら、もうちょっと上の世代にするかと思ってました」

P「僕も最初はそう考えていましたけど、出演確実なのは彼です」

監督「他に理由は?」

P「女性層を狙った部分はあります。彼にも初めてのCMですから、初々しさが出る」

P「見本をどこまで再現するのかは分かりませんが、短い間に多くのものを見せられるはずです」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:48:51.55 ID:BOmhqDDsO

監督「面白い!」ビシッ

P「そうですか?」

監督「ええ、CM終了ではなく、これから何かが始まる感じを出せると思います」

監督「慣れている俳優だと、当然、仕事を終えた感じを出すと思うんですよ。でも、彼ならきっと……」

P(凄いな)

監督「あ、台本は出来てるんで見て下さい」

P「早いですね」

監督「まあ、プロデューサーさん、あいさん、薫ちゃんの映像はありますからね」

監督「それを書き起こして、ちょっと付け足しただけですよ」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:49:52.54 ID:BOmhqDDsO

P「あの日のやり取り、そのままだ……」

監督「あははっ! あまりに良かったもので」

P「これ全部入りますかね?」

監督「大丈夫、入れてみせますよ」ニコッ

P(め、めちゃくちゃ格好いい!!)

監督「他に質問はありますか?」

P「えっと、俳優の顔は?」

監督「出しますけど、一目では分からないようにします。話題にして欲しいので」

P「次も狙ってます?」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:50:38.54 ID:BOmhqDDsO

監督「ええ、出来れば第二弾、第三弾と続いて欲しいですね〜。ドラマ仕立てにして」ニコッ

P(この人は凄い。分かってたけど、やっぱり凄い)

監督「じゃあ、今日はこの辺にしますか」

P「そうですね。忙しい中、ありがとうございます」ペコッ

監督「あははっ、それはプロデューサーさんもでしょ?」

P「え?」

監督「前に言ってたじゃないですか、そろそろ凛ちゃんのレコーディングだって」コソッ

P「覚えてたんですか?」

監督「興味のあることは覚えてますよ。あんなに熱く語られちゃあ忘れませんって」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:51:05.54 ID:BOmhqDDsO

P「いや、お恥ずかしい……」

監督「プロデューサーさん」

P「何でしょう?」

監督「もっと、大きな流れを作りたいですね。僕等で」

P「え、ええ、そうですね?」

監督「それでは、また」

カランカラン…

P(大きな流れって何だろう? ま、それは置いといて、一度戻って渋谷さんの様子を見よう)

P(トレーナーさんにも話を聞いてみて、それから一休みだ。よしっ!)
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:52:01.94 ID:BOmhqDDsO

レッスン場

凛「〜〜♪」

P「どうですか?」

トレーナー「昨日とは表現が違いますね。良い感じです。きっと、感覚を掴み始めたんだと思います」

P「曲調とは違って、何と言うか可愛らしいですね。聞こえ方が全然違う」

トレーナー「ええ、当初は大人っぽく歌おうと頑張っていましたけど変えたみたいです」

トレーナー「最初のイメージからすると、年上の女性が周囲の男性を虜にするようでした」

P「でも今は、年若い女性がお願いしているみたいですね。私に溺れて…か」

トレーナー「納得したんでしょう。歌詞を自分なりに解釈して、それを表現する」

トレーナー「歌は作詞した時に生まれると言いますけど、歌って生まれ変わる時もある。歌は二度生まれる」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:53:03.94 ID:BOmhqDDsO

P「格好いいですね」

トレーナー「何かの本に書いてありました」ニコッ

凛「〜〜♪」

P(きっと、いや、必ず上手く行く)

トレーナー「さて、そろそろ戻ります。渋谷と話して行きますか?」

P「いえ、今はいいです。折角仕上がって来ていますから」

トレーナー「じゃあ、プロデューサーさんが来ていたと伝えておきますね」

P「はい。引き続き、よろしくお願いします」

トレーナー「任せて下さい」ニコッ

P「では、失礼します」ペコッ
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:54:35.65 ID:BOmhqDDsO

事務所

P(やっと、休める。東郷さんにも心配掛けてしまったし、ちょっとでも眠ろう)

ちひろ「プロデューサーさん!」

P「どうしました?」

ちひろ「さっき監督さんから連絡があって、俳優の○○さんが決まったとのことです」

P「良かった。でも、随分と早いですね」

ちひろ「二つ返事だったみたいですよ? 明後日から撮影を始められるって言ってました」

P「そうですか! それは良かった!」

ちひろ「話題性がある内に畳み掛けたいって、かなり気合いが入っていましたよ」ニコッ
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 17:57:13.34 ID:BOmhqDDsO

P「僕も頑張らないと」ウン

ちひろ「その前にしっかり休んで下さい。仮眠室は空いてますから」ニコッ

P「千川さん、ありがとうございます」ペコッ

ちひろ「いえいえ、給湯室におにぎりがあるので、お腹が空いたら食べて下さいね?」

P「分かりました。ちょっと休んだ後で食べます」

ちひろ「はいっ」

P(安心したら急激に眠気が……早く仮眠室で休もう)

ガチャ パタンッ

P「……決まって良かった」ゴロン

P(今日明日で、俳優さんの事務所に電話してしっかり連携を取ろう。東郷さんに俳優が決まったこと話して、渋谷さんとも話して)

P(それで、明後日は撮影に行って、渋谷さんのレッスンに顔出して、それから、それから……)カクンッ

P「……zzzZ」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 21:21:24.10 ID:X6sT8dwSO
GAME OVER
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:01:23.02 ID:AZG+bU34O

ーーーー
ーーー
ーー


P「………はっ!」

P(うわっ、こんなに眠ってたのか。千川さん、気を遣ってくれたんだ)グゥー

P(お腹空いたな。確か給湯室におにぎりがあるって言ってたっけ。頂こう)

ガチャ パタンッ

P(おにぎり、おにぎり)フラフラ

ちひろ(あ、プロデューサーさんがダメになってる)


P(これは、手紙?)

『あいお姉ちゃんとおにぎりつくりました。

 たくさん食べて、しっかり休んでください。

 せんせぇ、だいすき。

                 かおる』
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:02:28.19 ID:AZG+bU34O

P「…………」

『お疲れ様

 どうだろう、少しは休めただろうか? おにぎりの味はどうだい?

 君には本当に感謝している。大切な時期なのは分かるけれど、体を大事にして欲しい。

 何だか長くなってしまったね。連絡を待っているよ。

                東郷あい』


P「………」グシグシ

P(美味しい。こんなに美味しいおにぎりを食べたのは生まれて初めてかもしれない)

P(プロデューサーになって良かった。もっと、皆のために頑張ろう)

凛「泣いてるの?」

P「泣くに決まってるよ。だって、こんなに心の……」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:03:27.11 ID:AZG+bU34O

凛「心の?」

P「………いつから見ていたんですか?」

凛「天井見上げて涙がツーってなってる辺りから見てたかな」

P「そうですか」モグモグ

凛「ふーん。なかったことにする気?」

P「何もなかったでしょう? 別に恥ずしいことでもないですからね」

凛「タメ口だった。あんな喋り方するんだね」

P「失礼しました」

凛「そうじゃなくて、いつもはあんな感じなの?」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:04:20.66 ID:AZG+bU34O

P「家族や友人と話す時はあんな感じですね」

凛「何でそんな喋り方するわけ?」

P「それはまあ、大人ですから。それに近すぎて良いものでもないでしょう?」

凛「私達との距離ってこと?」

P「ええ、親しすぎるのはどうかと思います。今のような関係が望ましいです」

凛「それってさ、事務所から言われてたりするの?」

P「……秘密です」モグモグ

凛「あ、逃げた」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:04:51.17 ID:AZG+bU34O

P「渋谷さんもモデルが誰か答えなかったので、おあいこですよ」

凛「案外、子どもなんだね」

P「子どもが大人になっただけですからね」モグモグ

凛「ちょっとイメージ変わったかも」

P「僕もです」モグモグ

凛「……美味しそうだね」

P「…………あげませんよ?」サッ

凛「取ったりしないよ!」

P「そうですか、安心しました。あ、今日の歌は良かったですよ」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:05:38.83 ID:AZG+bU34O

凛「来てくれてたんでしょ?」

P「ええ、渋谷さんらしい歌声でした。背伸びせず、媚びているわけでもなく、とても真っ直ぐで」

凛(そんな風に思ってたんだ)

P「とても可愛らしいかったです。甘えているような感じがしました」

凛「クールで売り出してたのにね」

P「角度の問題ですよ。角度が変われば、違った顔が見える。それも渋谷さんです」

凛「………」

P「もっと豊かな表情、もっと優しい笑顔。貴方の内面は必ず評価されます。大丈夫です」ニコッ

凛「プロデューサーは?」

P「?」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:08:02.78 ID:AZG+bU34O

凛「プロデューサーは誰かに見せないの? 素の、プロデューサーじゃない表情……」

P「そう言われると、最近は見せる暇がないですね」

凛「大変じゃない?」

P「いえいえ、楽しいので平気です」ウン

凛「……本当?」

P「………本当だよ。大丈夫、心配ないよ」

凛「フフッ、分かった。もう聞かない」

P「送りましょうか?」

凛「いいの?」

P「勿論です。さあ、行きましょう」

凛(初めて本当の声を聞けた気がする。ありがとう、プロデューサー)
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:11:19.04 ID:AZG+bU34O

夜 自宅

P(自分の部屋なのに落ち着かない。久々だからな……)

P(あ、そう言えば連絡下さいって書いてあったっけ)

P(おにぎりありがとうございました。薫には撮影の時にお礼します)

P(よし、これでいいかな)ポフッ

P(明日も仕事だけど走り回ることはない。ゆっくり仕事が出来そうだ)ゴロン

ブー ブー

P「はい、もしもし」

あい「こんばんは」

P「東郷さん、どうしました?」

あい「駄目だったかな」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:12:46.33 ID:AZG+bU34O

P「いえ、そんなことはないです」

あい「少しは休めたかい?」

P「ええ、千川さんも気を遣ってくれたので、ゆっくり眠れました」

あい「そうか、それは良かったよ」

P「おにぎり、ありがとうございました」

あい「あんなことしか出来なくて申し訳ないよ」

P「充分です。元気が出ました」

あい「そうか……」

P「あ、俳優さんが決まりましたよ? 明後日からの撮影です」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:13:18.24 ID:AZG+bU34O

あい「ちひろさんに聞いたよ」

P「そ、そうでしたか……」

あい「撮影には同行するのかい?」

P「勿論です」

あい「よろしく頼むよ」

P「任せて下さい」

あい「フフッ。君は頼もしくなったね」

P「色々な方々に鍛えられましたからね。あれから担当が付いて中々会えない人もいますけど」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:15:36.46 ID:AZG+bU34O

あい「皆、忙しくなったからね」

P「見えないけど、それぞれが頑張っています。ライブ、ドラマ、舞台、様々な場所で」

あい「……そうだね」

P「大丈夫!」

あい「えっ?」

P「東郷さんも頑張ってます。負けたくない気持ちは大事ですけど、比べる必要はないです」

あい「…………」

P「一緒に頑張りましょう。仕事なら僕が沢山取ってきますから」ウン

あい「君は心が読めるのかい?」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:16:18.97 ID:AZG+bU34O

P「声を聞いていると、ちょっとだけ分かります」

あい「……ありがとう。これからも頼むよ?」

P「こちらこそ、よろしくお願いします」

あい「それじゃあ、そろそろ」

P「そうですね。お休みなさい」

あい「おやすみ……」

P「あの、何かあったんですか?」

あい「いいや、何もないよ。さあ、ひと思いに切ってくれ」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:17:11.30 ID:AZG+bU34O

P「いや、えっと……」

あい「フフッ、冗談だよ」

P(電話って恐い)

あい「お休み、○○君」

P「えっ!?」

ピッ ツーツー

P「」

ブー ブー

P「?」

 東郷あい
『さっきのは忘れてくれ。おやすみ、プロデューサー』

P(こういうところが、ずるいと思う……)
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:20:08.09 ID:AZG+bU34O

はい、そこから先は順調でした。

あいお姉ちゃんと若手俳優さんと、私。

CMは話題となり、ネット上では、これは新しいドラマの撮影ではないかとの噂も立ちました。

その反響を受けて、何と、本当にドラマが作られることになったのです。

監督はCMを担当した監督さん。

主演は、あいお姉ちゃんと若手俳優さんです。

更に、丁度レコーディングを終えたばかりの、凛さんの曲が使用されることになりました。

先生と監督さんが考えていた案だったようです。

この曲はドラマの内容にぴったりで、その年間ランキング1位となりました。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:21:13.44 ID:AZG+bU34O

あ、お話を戻しますね。

ドラマは仕事に生きてきた女性が職場の後輩に恋をするというストーリー。

頼りない彼が、彼女を支えるようになり、恋に落ちいていく。

設定だけをみればありきたりでしたが、二人の演技はとても新鮮なものでした。

あいお姉ちゃんが恋をして段々と変わっていく姿、表情が柔らかくなっていく様子に、誰もが魅了されたことでしょう。

先生も、新しい一面を見せることが出来たと大満足でした。

あいお姉ちゃんのドラマと凛さんの曲はどちらも順調で、脚光を浴びることとなります。


綺麗なドレスを着て壇上に立つ、あいお姉ちゃんと凛さん。二人とも、笑っています。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 23:22:32.84 ID:AZG+bU34O

あの時の先生は正に魔法使いでした。

一つのCMがドラマとなり、自社アイドル二人を瞬く間に頂点に押し上げたのです。

ドラマが終了しても人気が落ちることはなく、更に忙しい日々が待っていました。

でも、そんな時、二人は初めて衝突しました。

その理由は、今になっても分かっていません。





P「お話とは何でしょう?」

あい「君の試みは成功した。私もあの時よりは前に進めたと思う」

あい「だが、君はどうした? 現場に顔を見せることも少なくなった」

P「それは、新しい仕事の打ち合わせなどで……」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:24:14.27 ID:AZG+bU34O

あい「以前の君は今の仕事を大切にする人間だった」

P「今でも大切にしています。僕は東郷さんのためにーー」

あい「私のため?」

P「そうです。貴方のためです」

あい「フッ、私は一度でも仕事の催促をしたか? 次の仕事を望んだか?」

あい「今となってはCMなど幾らでも取ってこられるか?」

あい「ドラマも、舞台も、今では『次』など幾らでもあるということか?」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:28:06.64 ID:AZG+bU34O

P「それは違います!!」

あい「だったら!!」バンッ

あい「……だったら、答えてくれ」

P「………何でしょうか」

あい「君は、私をどうしたいんだ」

P「えっ?」

あい「私の何を見せたい? 私に何を見て欲しい? 君は、どんな私を見たいんだ……」

P「東郷さん、僕の話を聞いて下さい」

あい「………私には、今の君が何を目指しているのか分からないよ」

P「東郷さん、待って下さいっ!!」

あい「…………」

ガチャ バタンッ
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 23:29:29.23 ID:AZG+bU34O
ここまで
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 00:52:29.72 ID:kiRg4JJ7O
薫「せんせぇは優しいのに……」

同じ作者?プロデューサーの独り善がり感がソックリだし
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 01:14:47.74 ID:0jiZhRq8O
>>99見てきたよ。お前、粘着してた奴だろ
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 01:29:32.44 ID:y2nxaVjKO
272.以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
座間の被害者の中に作者の身内がいることを願ってる
むしろカスみたいな事件に巻き込まれて半身不随くらいになればいいのに。ペッ
2017年11月20日 09:31

そのスレにはこんなことを書く輩がいたので無理して書き続けない方がいい
まとめられでもしたら十中八九粘着されて荒らされる
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 02:26:22.23 ID:Ua8YsCFDo
SS書くのも大変だなぁ
金もらえるわけでもないのに苦労して書いて結果何故か変なのに絡まれて
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 04:08:27.79 ID:HnwLVoqj0
途端に変なのがウジャウジャ沸いてきてそっちの方が引くわ・・・
まぁ確かにこのPさんちょっとダメな大人だね。間違っても口に出して「あなたのため」なんて言うのはいかんでしょ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 05:18:27.46 ID:eDdlwVYhO
>>103何が「まぁ確かに」なんだ? 上の文と繋がりなくね?誰に同意してんの?
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 07:27:23.03 ID:kiRg4JJ7O
前のプロデューサーは仕事相手脅迫して自分の思い通りに仕事進めてたけど今度はやたらプロデューサーに都合のいい周囲だなあ

あとちょっと指摘してみただけでゴキみたいに沸き出すヤツら気持ち悪いね。前作叩いてたのが一人の粘着とか作者様の妄想かよ。あ、作者様か(察し)
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:10:30.93 ID:R09Ok/mZO
>>1です

全員心優しい人達として書いているつもりだったんですけど、それが都合良く見えたのなら申し訳ありません。

Pが自分のことしか考えない独り善がりな性格になっているとは思いませんでした。思慮が足りず申し訳ありません。

「あなたのため」が間違っても口にしてはならない言葉だとは知りませんでした。

たった一度の発言で信頼を失ってしまうので、発言には気を付けなければなりませんね。

私には、誰にも好かれるような、一度も失敗しない人間を書くのは難しいようです。

それでも良ければ読んで下さい。許容出来ない方は無理をしないで下さいね。
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:12:03.67 ID:R09Ok/mZO
先生は考え込むことが多くなりました。

私はいつもの先生を知っているから、そう思ったのかもしれません。

あまり先生を知らない人からしたら、ちょっと疲れているようにしか見えなかったかもしれない。

そんな先生を助けてくれたのは、凛さんでした。

何を話したのかは分からないです。

分からないですけど、先生は、凛さんに助けられたのだと思います。



凛「大丈夫?」

P「ええ、大丈夫です。ご心配お掛けして申し訳ありません」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:12:39.69 ID:R09Ok/mZO

凛「ねえ、あいさんと何があったの?」

P「………」

凛「話してよ。何を考えてるのか、教えて」

P「……正直、ちょっと分からなくなってしまいました」

凛「?」

P「お仕事を取ってきて、アイドルの活躍が評価されて、僕はまた仕事を取ってくる」

P「単純に言えば、僕の仕事はそんな感じです。最近は仕事の量も増えて来ました」

凛「そうだね」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:13:18.23 ID:R09Ok/mZO

P「これは皆さんが結果を出したからこそです。これで良かったのだと思っていました」

凛「違ったの?」

P「違うと言うか、お互いの考えがズレているような気がしました」

P「当たり前に仕事をしていると、そう思っていたのですが、その姿勢が良くないようです」

凛「姿勢ってどういうこと?」

P「先々の仕事の打ち合わせなどで、現場に顔を出せる機会は少なくなった」

P「以前なら、もっと今の仕事を大切にしていたと、東郷さんはそう言っていました」

凛(プロデューサーが前とは違う。それは分かる気がする)
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:14:38.96 ID:R09Ok/mZO

P「東郷さんの言っていることは分かります。分かりますが、以前のようには……」

凛「出来ないの? もうちょっと仕事量を抑えたりとかさ」

P「今は忙しい時期ですが、今後緩やかに減っていくとは思いますよ?」

P「ただ、減らすとなると難しいですね。これでも絞っているんです」

凛「じゃあ、理由は他にあるんじゃない? 他に何か言ってなかった?」

P「私をどうしたいのかと、そう言っていました」

凛「どう考えてもそれでしょ」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:15:32.03 ID:R09Ok/mZO

P「しかし、僕の気持ちは変わっていませんよ? 以前と同じ気持ちです」

凛「そうじゃないよ」

P「?」

凛「もっと見て欲しいんだと思う。きっと、不安なんだよ」

P「不安、ですか?」

凛「仕事が増えて色んなことをしていく内に、自分がどんな感じだったのか分からなくなる時があるんだ」

凛「そんな時に一人だと苦しいよ。私も、ちょっとはそうだから……」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:18:07.92 ID:R09Ok/mZO

P「そうでしたか……」

凛「悩んでないで直接話すべきだよ。何もせずにいると時間だけが流れるから」

P「……そうですね。渋谷さん、ありがとうございます」ペコッ

凛「ううん。私、もう行くね?」

P「はい、頑張って下さい」ニコッ

凛「うん、プロデューサーもね」ニコッ


凛(……いつかはこんな時が来る。それは、あの時から分かってた。これで良かったんだ)
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:19:07.59 ID:R09Ok/mZO

それから先生は合間を縫って現場に顔を出すようになりました。

先生と話している時の、あいお姉ちゃんの安心した顔を憶えています。

二人の関係も以前と同じようになって、会話は以前より増えたように思いました。

忙しいけれど充実した毎日。

そんな日々が数ヶ月続いたある時、先生は倒れてしまいました。

先生はずっと無理をしていたのだと思います。

多くの仕事先、その打ち合わせ、合間を縫って現場を訪れて、また打ち合わせ。

この業界で一日二日寝ないことはよくあると聞きますが、先生の負担は相当なものだったようです。



あい「大丈夫かい?」

P「はい、点滴が終わる頃には良くなると思います。ちょっと無理をしてしまいました」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:19:44.05 ID:R09Ok/mZO

あい「まだ仕事は落ち着かないのかい?」

P「もう少しだけ今の状態が続くと思います。それでも、以前と比較すると大分楽です」

あい「……そうか」

P「ごめんなさい、東郷さん。あの時、貴方の異変に気付けなくて……」

あい「謝るのは私の方だよ。君のことを考えずに、我が儘を言ってしまった」

P「そんなことはないです。言ってくれなかったら、もっと大変なことになっていました」

あい「君がそんなことになるなら言わなかった」

P「芸能界ではよくあることですよ。管理がなっていなかったんです」

P「あるアイドルは、一週間で何時間眠れるか考えろと言われたそうですから」

あい「君はアイドルじゃない」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:21:35.44 ID:R09Ok/mZO

P「でも、代わりはいませんから」

あい「分かっているよ。そんなことは……」

P「大丈夫。今を乗り切れば、何とかなります」

あい「そんな顔で言われても納得出来ない」

P「……もうちょっとだけ、待っていて下さい」

あい「……信じても良いんだね?」

P「勿論です。もう二度と、こんなことにはなりません」

あい「一つ、頼みがある」

P「?」

あい「仕事が落ち着いたら、君のーーーーー」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:23:47.85 ID:R09Ok/mZO

先生は今まで通りにお仕事を続けました。いえ、今まで以上だったかもしれません。

私も心配だったけど、先生は力強く笑って、大丈夫だと言うだけでした。

今思うと、先生はそういうものをとうに超えていたのかもしれません。

あいお姉ちゃんも、多忙の中にあって、弱音を吐くことは一度もありませんでした。

そして、瞬く間に時が流れて……


あい「お疲れ様」

P「は、はい。お疲れ様です」

あい「緊張してるのかい? 私のドレス姿なんて見馴れたものだろう?」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:24:32.76 ID:R09Ok/mZO

P「いや、それはそうですけど、こんな場所で食事をするのは初めてなもので……」

あい「………」

P「あれっ、どうしました?」

あい「ドレスは見慣れているだろうと言われて、まさか肯定するとは夢にも思わなかったよ」

P「あっ、綺麗ですよ?」

あい「今更取って付けたように言われても嬉しくないね」フイッ

P「今まで見た中で一番綺麗です。誰よりも」

あい「おや、照れてるね」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:26:03.65 ID:R09Ok/mZO

P「当たり前ですよ」

あい「それは、私にだから言うのかい?」

P「………」

あい「ここまで来て黙りか。私はてっきり、答えを聞けるものと思っていたよ」

あい「私はあの時、君の気持ちを知りたいと言ったはずだよ?」

P「………」

あい「……まあいいさ。こうして食事が出来るだけでも嬉しいからね」

P「っ、東郷さん」

あい「なんだい?」

P「貴方にだからです。貴方にしか、言わない」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:26:48.91 ID:R09Ok/mZO

あい「本当?」

P「本当です。初めて会った時から、貴方だけを見ていました」

あい「初めて会った時から?」

P「あの、そこを詳しく聞くのはやめて下さい。お願いします」

あい「フフッ。分かったよ」

P(本当に綺麗だ。緊張する)

あい「あまり実感は湧かないけれど、何というか、不思議な気分だよ……」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:27:49.70 ID:R09Ok/mZO

P「初めて見ます。東郷さんの、そんな表情」

あい「見せたのは二度目だと思うけどね」

P「えっ?」

あい「なんでもないよ。この先はどうするつもりかな?」

P「ちょっと早くないでしょうか?」

あい「急かすようで悪いけど、もう待たされるのは嫌なんだ」

P「……分かりました」

P「東郷あいさん、僕とーーーー」




それからどうなったのか?

先生はもう一度だけ魔法を使いました。

最初で最後、人生で一度きりの素敵な魔法。

あいお姉ちゃんを、決して魔法の解けることのない、お姫様にしたのです。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 12:28:39.65 ID:R09Ok/mZO
終わります。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/08(日) 16:15:52.17 ID:wLVrtM78o

口だしする輩もいるけど次も期待してる
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 18:12:37.76 ID:eWTFUx/JO
>>106

わざわざ煽る必要あった?言っちゃ悪いが余計なこと言わなきゃ良いのに…ってガッカリした
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 20:21:09.90 ID:uBasR4aGo
乙でした
この関係性好きだな
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 23:09:14.37 ID:GboaeqnSO
>>123
わざわざ書く必要あった?
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 02:41:11.09 ID:yyStwI3PO
エレ速は記載許否してるのかな。
結局この作者さんて「薫「せんせぇは優しいのに」」の作者なの?
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 09:38:08.16 ID:jHbrRzhJO
拒否されてるとか考えるか?てかそこまで作者が気になるものなの?
ちょっと理解出来ない
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 10:47:17.91 ID:zkbkrsk+O
エレ速「荒れるから許否」

きのこ「※少ないから載せてやるよ」

あやめ「ちゃおラジサイコー!!」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 11:15:18.00 ID:m0nh2zMVO
126:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2018/07/09(月) 02:41:11.09 ID:yyStwI3PO
エレ速は記載『許否』してるのかな。

128:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 2018/07/09(月) 10:47:17.91 ID:zkbkrsk+O
エレ速「荒れるから『許否』」


こんな間違いをする奴が二人もいるなんて吃驚。
ID:kiRg4JJ7Oの言う通り粘着してる奴は複数いたんだね。
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