幼女幽霊「呪いが勝つのか、幽霊が勝つのか実験だよ実験!!」DQN幽霊「!?」

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221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 11:58:19.57 ID:g8l2jyu80
毎回ageてるの末尾oみたいだけど同じ人?
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/28(土) 12:11:33.85 ID:pSnKVnuvO
なぜsageなければいけないのか
理由は何となくわかるが専ブラなら関係なさそうだし
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 12:25:30.38 ID:g8l2jyu80
ローカルルールで余計な争いを避けるためにsageが推奨されてるからだよ
ルールも読めない守らないなら書き込むなよクソガキちゃん
ルール守らない俺カッコいー!とか思っちゃってるの?
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 13:12:56.58 ID:z0rdup/qo
>>221
たぶん俺だわすまん
>>223
こういう怖いお兄さんがいるからsage無いといけないね
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 13:44:19.35 ID:2sxzxQaoO
指摘する側も血の気が多いのか言葉がキツいから荒れていくんだよなぁ
夏休みもあるかもだけど
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/29(日) 10:12:43.95 ID:4grZIIxm0
sageろって散々言われてるのにsageない奴は人の話聞かない奴だからほっとけ
指摘しても荒れるだけだから「>>222 sageろ」ぐらいでいいと思うぞ
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/29(日) 15:40:52.93 ID:5Q97JVmco
ageとコピペ荒らしの巡回が重なって住み着かれるとか0ではないからな
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 20:10:16.94 ID:/tg/Cddc0
更新まだかな?、今日で7月終わりなのに
229 : ◆gqUZq6saY8cj [sage]:2018/07/31(火) 20:41:49.49 ID:dYV72k2Bo
すみません…今までコツコツ書き溜めてたのがパーになってしまって現在手動で復旧作業中です…
まだちょっと時間かかりそうです
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 20:46:24.00 ID:hoCLHwd9o
待ってる
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 22:08:02.95 ID:f5y2/lA1o
書いていただけるだけでありがたい
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 16:57:06.30 ID:21j613Nv0
生存報告してくれただけでも安心する
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 16:57:06.18 ID:21j613Nv0
生存報告してくれただけでも安心する
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/02(木) 22:51:32.59 ID:hotxxMeWo
待ち遠しいな
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/05(日) 16:42:47.70 ID:XEywfFOe0
まだかな、そろそろ再開して欲しいね
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/07(火) 09:42:27.61 ID:YnXAIZ//0
>>235
更新は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に作者はいるぞ!
だからよ、焦るんじゃねぇぞ...
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/08(水) 23:43:03.97 ID:o8hG09HZo
呪い殺されるやつじゃん
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/09(木) 01:12:24.05 ID:XvWpFvMk0
今日も来なかったか、夏休みが終わるまでには更新して欲しいものだが
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/12(日) 10:30:45.57 ID:FjsGOkIJo
>>238
お前は何様だ
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/15(水) 01:31:38.35 ID:BD6aRXb4o
きたい
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 18:07:32.30 ID:PJCvotIz0
来ないね〜
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 18:56:58.40 ID:D2q9GL1v0
まぁずいぶんひどい読者様が多いからね
来たくなくなっても仕方ないでしょ
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 22:35:20.96 ID:Nj/hDQjm0
うーん、8月中は来ないのかな?
やっぱり来るとしたら9月の初め当たりかな、
244 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:51:19.70 ID:WpyJgThYo
DQN幽霊「な、何言ってんだこいつ、話がある?協力してほしい?」

DQN幽霊「ど、どうするんスか先輩?こんなこと言ってますけど」


幼女幽霊「……どうするもこうするも、こんなの無視だ無視。なんで私を殺しかけたやつと話なんかしなくちゃいけないんだ」

幼女幽霊「まあこいつが何しに来たかは興味がないこともないけどな。それでもわざわざ危ない橋を渡るつもりはないよ」


DQN幽霊「そ、そうっスよね」


幼女幽霊「しかし、なんでまたここに来たんだあのメスガキ……私を始末出来なかったのが分かっていたなら、もっと早く来たはずなんだけど」


DQN幽霊「何か……ワケ有りっぽいっスよね。協力したいって言葉が気になるっス」


幼女幽霊「……」
245 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:51:50.94 ID:WpyJgThYo
霊能少女「……返答なしか。あの幽霊達がカメラをこの病院中に仕掛けていることは確かだし、このメッセージも見てるはず」




霊能少女「もう既に根城を変えたとは考えられない。この付近に他の建築物はないし、確かに気配がする」




霊能少女「……つまり、居留守。ワタシには会いたくないと」




霊能少女「仕方ない。ならこっちにも考えがある」スタスタ
246 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:53:18.57 ID:WpyJgThYo
DQN幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「せ、先輩!見てくださいっス!!あの女が消えたっ!」


幼女幽霊「えっ!?うそっ!?」バッ


DQN幽霊「ちょ、ちょっと目を離した隙に……ま、まさか!前みたいにもうこの部屋に!?」キョロキョロ


幼女幽霊「い、いやそれはないと思う。あの時は私が瞬間移動してきた道をあいつも通ってこっちに来たから」

幼女幽霊「幽霊と違って、人間は自分で道を作ることが出来るやつはかなり少ないって聞くし……多分、普通に移動したんだと思う」


DQN幽霊「クソ、一体どこに行きやがった……ん?」ピクッ

DQN幽霊「せ、先輩、17番カメラと18番カメラの映像にノイズが……」



ザザァー……ザザァー……


幼女幽霊「……!」ゴクリ
247 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:55:14.18 ID:WpyJgThYo
幼女幽霊「こ、この道順は……、ま、間違いなく、ここの部屋を目指してるな」


DQN幽霊「どうするんスか先輩……また戦り合うんスか」


幼女幽霊「馬鹿言え。さっきも言っただろ、戦うつもりはないって」


DQN幽霊「え?で、でもここに向かっているのは確定なんスよ?鉢合わせるのは不可避じゃないっスか」


幼女幽霊「前回は瞬間移動でこっちの部屋に入られたけど、正面からやってくるなら話が別だよ。こういう時の為に、地下の扉には電子キーを付けておいたんだからな」

幼女幽霊「ククク……16桁の暗証番号を入れないと、この扉は決して開くことはない。常人離れした怪力を持っている怪物や、霊体化できる幽霊と違って、あいつ本人はただの人間のガキだからな」


幼女幽霊「単純だけど、この方法が一番効く。いくらあいつが私達相手に強くても、金属の扉相手だと何も出来ないってことよ」


DQN幽霊「い、いつの間にそんなものを……でも、理には適ってるっスね。確かに物理的な手段はあの女の最大の弱点とも言える」




DQN幽霊「さすが先輩っス!!!!よっ、日本一!!!!」

幼女幽霊「ははははははは!!!!!もっと褒めろ!」
248 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:56:42.15 ID:WpyJgThYo
コンコン





幼女幽霊「」ビクッ

DQN幽霊「」ビクッ






『もしもし?ここにいるのは分かってるんだけど』






DQN幽霊(き、来やがった…...)

幼女幽霊(シーッ、黙ってやり過ごすぞ。あいつはどう頑張ってもここに入ってくることはないんだから)

DQN幽霊(ウ、ウス。了解っス)
249 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:58:08.50 ID:WpyJgThYo
『…………』ピッピッ

『…………』ブッブー






幼女幽霊(あははははは!!あいつ適当に番号押してやがる!当たるわけねえだろ!16桁だぞ!)

幼女幽霊(ぶっちゃけ私でもパスワードが書いてあるメモを見ないと覚えてないくらいだし。アホかコイツ)


DQN幽霊(どうでもいいけど、16桁って無駄に多いな。普通に4桁でよくないか)






『……ここにいることは分かっている。今すぐこの扉を開けてほしい』

『さもないと、こちらも強硬手段を取ることになる』






幼女幽霊(あぁん?強硬手段だぁ?出来るもんならやってみろ!この鉄の扉を生身でどうやって突破する気だぁ?)

幼女幽霊(ムリムリカタツムリ〜それこそ、爆弾で吹っ飛ばすとかタリバンみたいなことしないと――)
250 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:59:03.57 ID:WpyJgThYo






ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!






幼女幽霊「へ?」

DQN幽霊「は?」






パラパラッ……


パラパラッ……





251 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:00:33.33 ID:WpyJgThYo
DQN幽霊「え……せ、先輩。何か扉が吹っ飛んだんスけど、自爆機能でも付けました?」

幼女幽霊「い、いや……さすがの私でも付けてないよ」

DQN幽霊「え、じゃあなんで爆発したんスか」

幼女幽霊「な、なぜって……そりゃあ使ったんじゃないの。あいつが爆弾を」




DQN幽霊「…………」


幼女幽霊「…………」




DQN幽霊「ちょっとぉ!?先輩どうするんスか!!いとも簡単に突破されてるじゃないっスか!!」

DQN幽霊「そもそも、幽霊が電子キーとかデジタルに頼らないでくださいよ!!!もっと結界とか封印とかオカルトチックな方法なかったんスか!!」

幼女幽霊「う、うるせぇ!仕方ないだろ!その手の術式はあいつの水ぶっかけられたら全部機能停止するんだから!!じゃあ何かお前案があるのかよ!!!!」






スタスタ……スタスタ……
252 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:01:58.48 ID:WpyJgThYo






霊能少女「…………」フッ






幼女幽霊「ぐっ!?」ゾクッ

DQN幽霊「うおっ!?」ゾクッ




幼女幽霊(ぐっ……く、くそぉ。一年振りだ。この背筋が凍る感覚も)

DQN幽霊(ま、まさかこんなに早くまたこいつの顔を見るなんて……)






霊能少女「……どうしても顔を合わせる気がなかったから、爆弾で壊させてもらった。だから警告したのに」

霊能少女「ひとつ、誤解をしてそうなので訂正しておく」

霊能少女「ワタシは今日、アナタ達と戦う気はない。さっきのメッセージで伝えたように、協力を要請に来た」






幼女幽霊「は、はぁ……?協力ゥ?何言ってんだよお前」
253 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:04:18.65 ID:WpyJgThYo
幼女幽霊「死者を祓う人間がその死者の力を借りるって……本末転倒の支離滅裂だろ。そもそも私が協力すると思ってんのか」




霊能少女「……そう、ワタシも本来ならば馬鹿げたことはしない。でも、状況が変わってしまった。敵の敵は味方、というやつ」

霊能少女「助けてほしい。このままだと、何千、何万の命に関わる」

霊能少女「……いや、もはや手遅れに近い。犠牲者は既に何年も前から」




幼女幽霊「ちょ、ちょっと、ど、どういう意味だよそれ」




霊能少女「今こうしている間にも……事態は最悪の方向に向かっている」

霊能少女「アナタは……恐らく、ワタシが知る中で奴に唯一対抗出来る存在に近い。だから取引をしに来た。アナタの望むものと引き換えに、力を貸してほしい」
254 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:06:24.92 ID:WpyJgThYo
DQN幽霊「先輩、な、何かヤバい方向に話が進んでませんか?」ボソッ

幼女幽霊「……うん、私も嫌な予感を感じてる」


幼女幽霊「お、おい……勝手に話進めてるけど、お前はこれから誰とやり合うつもりなんだよ」

幼女幽霊「ま、まさか……私に同族と戦えって言うんじゃないだろうな」




霊能少女「ただの怪物や幽霊なら、アナタの手を借りる必要はない。ワタシ一人で全て対処出来る」

霊能少女「奴はそんな生易しいモノじゃない。文字通りに次元が異なる存在と言ってもいい」




幼女幽霊「は?怪物でも幽霊でもないって……何と戦わせる気?まさか人間?」




霊能少女「そのどれらでもない……呼称は文献によっていくつもある。『神ノ鎌』『勾神之禍魔』など」

霊能少女「ただ、一番使われているのは……」
255 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:07:24.56 ID:WpyJgThYo






霊能少女「“かみかま”」

霊能少女「奴はそう呼ばれている」






幼女幽霊「かみ……?」

DQN幽霊「……かま?」





256 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:08:31.61 ID:WpyJgThYo
今日はここまで
ってことで後半スタートです長い夏休みでごめんなさい
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 17:34:58.20 ID:qT+Qm6TW0
おつ!
また来てくれてよかった
完結までがんばってください
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 18:14:22.98 ID:VjW0YWhP0
おお、やっと来てくれた
これで毎日の楽しみが一っ増えました
続きを楽しみに待ってますね。
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/28(火) 03:13:31.01 ID:i82TJZyhO
かにかま美味しいよね
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 07:38:11.34 ID:wNKG2CnX0
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 17:57:34.18 ID:sqkhN8KmO
……あ、あーあれね美味しいよね
262 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:09:42.24 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊「な、なんだよそのカニカマって」


霊能少女「カニカマじゃない。“かにかま”」

霊能少女「このような字で書く」カクカク



『神彁混』



DQN幽霊「な、何かおどろおどろしい雰囲気っスね。『彁』の部分が見覚えがない字っスけど」

幼女幽霊「……私もそれ思った。どういう意味なんだそれ、常用漢字じゃないよな?」


霊能少女「知らないのも無理はない。これはいわゆる幽霊文字と呼ばれているモノ」

霊能少女「意味はない。というより、その歴史が失わてしまったという方が正しいか。だから誰にもこれがどんな意味なのかは名付け親以外は分からない」


DQN幽霊「ゆ、幽霊文字……初めて聞いたっス」

幼女幽霊「……んで、そのかにかまとやらは一体何なんだよ」


霊能少女「その件に関しては話が長くなる。最初から話すとかなり長くなるけど構わない?」


幼女幽霊「勿体ぶってねぇで早く言えや」


霊能少女「分かった。では話そう」

霊能少女「ワタシが体験した……あの忌まわしい事件の顛末を」
263 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:11:46.30 ID:gW+D6pHio
………………………………………………………………
……………………………………………………



霊能少女「これがあの事件の真相の全て」

霊能少女「“天国の扉”というカルトが成したかった本当の目的は“かみかま”と呼ばれる彼等が神と崇める化物をこの世界に降臨させる儀式を完遂すること」

霊能少女「そして、その儀式は成功してしまった。今、“かみかま”は自由の身となり、この世界を彷徨い続けている」

霊能少女「奴はワタシやアナタ達のような生から産まれた者ではない。死の渦から産まれた正真正銘の異形」

霊能少女「生物が誰に命令されることなく、本能で命を残し続けるように、奴は呼吸をするように死を振り撒く」

霊能少女「……この一年でどれだけの命が奴に奪われたのか、想像も出来ない。それだけ危険な存在。即急に封印しなくては」


DQN幽霊「マ、マジかよ……それって」

幼女幽霊「……!」


幼女幽霊(ま、まさか……あの事件にこいつが関わっていたなんて)

幼女幽霊(そ、それにカルトの本当の目的が化物を降臨させることって……ど、どういうこと?そんなまるで映画みたいな話が現実に……)


霊能少女「どう?分かってくれた?」

霊能少女「はっきり言う。もはや事態は深刻な状況に陥っている」
264 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:14:49.76 ID:gW+D6pHio
霊能少女「この儀式を世界で同時に、それも複数で行ったら……被害は更に拡大する」

霊能少女「今、分かっているだけでも日本の行方不明者、変死者はどれぐらいか知っている?」


幼女幽霊「し、知らない」


霊能少女「行方不明者は8万人、変死者は15万人とされている」

霊能少女「この数字を聞いて、少しでも不審に思うことはない?いくら何でも……ここまで数が大きいなんて、どう考えてもおかしい」

霊能少女「日本だけでもこれだけの数の人間が消えたり、謎の死を遂げている。世界的に見れば、この数は何十倍と膨れ上がるだろう」

霊能少女「もしも、この数の1%でも……“かみかま”が関わっていたら、誰にも気付かれていないだけで、これだけの死に関係していたら、どう?」


DQN幽霊「……!」ゴクリ



幼女幽霊(……なんだろう)

幼女幽霊(話は大体分かったけど、腑に落ちない)

幼女幽霊(この違和感が何か分からないけど……おかしい、何かが引っ掛かる。嘘はついてないないみたいだけど)

幼女幽霊(……もしかして、こいつまだ何か隠している?協力を仰ごうとしているけど、私には教えられないもう一つの事実があるような)
265 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:16:40.00 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊「……ふたつ、質問させて」


霊能少女「何?」


幼女幽霊「まずひとつ、なんで私の力を借りようと思ったの?幽霊の私に力を借りなくても、お前みたいに霊能力者は日本中に、世界中にまだいるんでしょ?」

幼女幽霊「そいつらと手を組んで、徒党を組んだ方が確実じゃん。それがなんで私にのところに来たわけ?」



霊能少女「……もう既に、彼らにもこの事実は伝わっている。そして、“かみかま”に対抗する術も研究されている」

霊能少女「しかし、それではあまりに遅い。幽霊のアナタには分からないと思うけど、人間の集団というのはとても慎重になりやすい」

霊能少女「命を尊重するあまりに、確実に“かみかま”を葬る計画を完成させないと、彼らは動かない。例えこの一分一秒に人が殺されていても、上は仕方のない犠牲と割り切るだろう」

霊能少女「それでは遅すぎる。ワタシは……一刻も早く、奴をまた封印するべきだと思う。それが例え自分の身を危険に晒すような真似でも」

霊能少女「……それに、元々はワタシがもっと慎重に、用心深く考え行動していれば……奴を逃がすことはなかった。これはワタシの責任」

霊能少女「だから、ワタシは直接その手で奴に終止符を打ちたい。これが理由」



幼女幽霊「……」

幼女幽霊「……そっちにも、ワケがあることは分かった。でもなんで私なの?」
266 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:18:07.24 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊「話を聞くと、その化物は正真正銘の不死なんでしょ?お前でも通用しなかったのに、幽霊の私の力が通じるとは思えないんだけど」


霊能少女「……理由はいくつかある。まずひとつはアナタがもう死んでいるということ」

霊能少女「これなら万が一に失敗したとしても、犠牲は私だけで済む。こちらもあまり死者を出したくない」



DQN幽霊「……つまり先輩ならいくらでも囮にでも何でも使えるってことかよ」



霊能少女「言葉は悪いけど、そう思ってもらって構わない」

霊能少女「でも、これはあくまで建前に過ぎない。真の目的がある」


幼女幽霊「真の目的?」


霊能少女「そう、アナタの力なら……奴を弱らせるほどのダメージを与えられるかもしれない。私の力と異なる、死を司るアナタの力なら」


幼女幽霊「ど、どういう意味だよそれ」


霊能少女「先程も話したように、“かみかま”を呼び出す儀式は多くの死を引き起こし、その空間で出産という命を産み出す行為を行うことで成功する」

霊能少女「つまり、生と死、決して交わることのない二つの事象が関わっている。私の力が通じなかったのは……生の力だけだったから」
267 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:19:35.72 ID:gW+D6pHio
霊能少女「私と同程度の死を操るアナタとなら、奴の脅威に成り得る。二人なら、“かみかま”に対抗することが出来る」


幼女幽霊「……その説に何か根拠でもあるの?」


霊能少女「ない。全て私の勘に近い」


幼女幽霊「……」

DQN幽霊「……」


霊能少女「それで、もう一つの質問は?」


幼女幽霊「……お前さっきからまるでその“かみかま”の居場所が分かっているような口振りだけど、どこにいるか分かってんの?」

幼女幽霊「言っとくけど、私は地縛霊だから遠出なんて出来ないからな。精々この町いっぱいだ」


霊能少女「そのことなら心配ない。これを使って“かみかま”がどこにいるか導き出した」スッ



『』グルグル



幼女幽霊「……なんだこの箱」

DQN幽霊「な、何か封印してる感が凄いっスね」
268 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:20:52.51 ID:gW+D6pHio
霊能少女「これは“かみかま”の肉片、奴を一時的に封印していた井戸の奥底から発見した」

霊能少女「今から見せるけど……用心して。多分、アナタ達幽霊でもこれは衝撃的なものだと思うから」ガサゴソ





スッ


パカッ







『』






幼女幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「!?」ビクッ





269 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:22:45.47 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊(な、んだ?これ……さ、さっきこいつの目を直接見た時にも感じた寒気とはまた違うものが。一言で言うと……『キモチワルイ』)

DQN幽霊(んぐッ……い、今までに味わったことがない感覚だ。異物感、って言うんだろうか。とにかく、こいつはここに存在してはいけないような気がする。絶対に)



霊能少女「……ワタシも、これを見るのだけは慣れない。“かみかま”を直接目撃した者として言わせてもらうけど、本物はこれと比較にならないほどの気を保っている」

霊能少女「で、なぜこれで“かみかま”の居場所が分かったかと言うと……」




『』ググッ




幼女幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「う、動いたっ!?」



霊能少女「そう、こいつは今でも本体の元に帰ろうとしている」

霊能少女「その反応で、どこまで“かみかま”本体が近くにいるか判別することが出来る」
270 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:24:30.78 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊「ト、トカゲの尻尾みたいだな……」



霊能少女「これを使い、全国をしらみつぶしに渡り歩き、“かみかま”が現在どこを宿にしているかを特定した」

霊能少女「……それを突き止めるのにずいぶん時間がかかってしまったが、これは大きな情報だった」



幼女幽霊「え、え……?そいつってどこか決まった場所にいるの?話を聞くと、スイクンみたいに徘徊しているのかと思ったんだけど」



霊能少女「……その例は分からないけど、確かに、少し前まで“かみかま”は毎日違う場所へと移動していた。まるで渡り鳥のように、どこかで殺人を繰り返していたんだろう」

霊能少女「でも、一ヶ月ほど前から、奴はある場所から動かなくなった。その証拠に、この肉片が同じ方向しか示さなくなった」



幼女幽霊「……その特定の場所って、まさか」



霊能少女「察しが早くて助かる」

霊能少女「“かみかま”は……この町にいる」
271 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:28:27.15 ID:gW+D6pHio
今日はここまで
ごめんなさい今気付いたんですけど最初の方でかみかまをかにかまと間違えてる部分が一箇所あります
ややこしいですね
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 00:06:39.48 ID:61zz1hF7o
おつ
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 16:55:11.17 ID:Gpsytu26O
>霊能少女「カニカマじゃない。“かにかま”」

つられちゃってて可愛いw
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 22:13:41.36 ID:UDVn6I9So
熱くなってきたな!
おつ
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 08:37:18.49 ID:X1uAxpU1o
速報復活!!更新待ってます!!
276 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:33:05.11 ID:9K6xzDxeo
QN幽霊「マ、マジかよ……」

幼女幽霊「……ずいぶん詳細な位置まで特定してるんだな。一体どうやってそこまで絞り込んだんだよ」



霊能少女「難しいことはしていない。特定の場所に留まっているということはそこに何かあるということ」

霊能少女「考えられる候補として一番有力なのは……神彁混を呼び出した天国の扉と関連するもの。それを辿ってみたら大当たり」

霊能少女「この町の南西の山奥にはある無人の古びた神社がある。今は宮司もおらず、荒廃していて人々に忘れられているけど」

霊能少女「……でも、最近その境内で、怪しげな集団がたむろしているという噂があった。調べてみたら、その集団は天国の扉に所属していたメンバーであることが判明した」

霊能少女「あの事件が起きてから、奴等も公には活動出来なくなったみたい。名前も場所も変えて、細々と活動している」


霊能少女「……そして、私の予想ではその神社に神彁混はいる。必ず、絶対に」



幼女幽霊「……」
277 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:34:36.68 ID:9K6xzDxeo
DQN幽霊「す、すごい偶然だな……今、このタイミングでそいつがこの町にいるなんて」



霊能少女「……偶然か。ワタシはそうは思えない」

霊能少女「全ての運命は……仕組まれているとさえ感じる。ワタシがアナタと闘い、そして両者が生き残り、今この場で手を組むことも……全ては決められていたような、そんな感じがする」



幼女幽霊「……どういう意味だよそれ」



霊能少女「気にしないでいい。深い意味はない」

霊能少女「これが、アナタに協力を要請に来た理由。納得してくれた?」



幼女幽霊「……まあ一応はな」



霊能少女「こちらも、ただで仕事をしてほしいとは言わない。それ相応の報酬を用意している」



DQN幽霊「な、なんだよ。報酬って」
278 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:35:57.25 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「これ」スッ



幼女幽霊「これは……」

DQN幽霊「こ、小切手?」



霊能少女「そう、三千万円分の小切手。ワタシがこの仕事でこれまでに稼いできたお金」

霊能少女「もし、協力してくれるならこれを差し上げる」



幼女幽霊「さっ……!?」

DQN幽霊「三千万っっ!?」



霊能少女「幽霊であるアナタに金銭で交渉するのも変な話だけど、悪い話ではないはず」

霊能少女「これまで、窃盗を繰り返してきたアナタ達には……それなりに後ろめたい罪悪感があったはず。仕方ないとは分かっていても、盗むたびに罪の意識が芽生えている」
279 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:37:10.73 ID:9K6xzDxeo
幼女幽霊(……まあ、ないと言えば嘘になるけど)

DQN幽霊(普通に犯罪だしな……)



霊能少女「この金があれば、その意識から解放される。何にも縛られず、自由に好きなだけ買い物をすることが出来る」

霊能少女「どう?」



幼女幽霊「さ、さんぜんまん……」ゴクリ

幼女幽霊(た、確かに…...こいつに協力するだけで、これだけの金が手に入るのは悪くない)

幼女幽霊(病院のカメラも、ドッキリの仕掛けも……全部店から持ってきた盗品だし。正直なところだいぶ悪いことをしているという自覚がある)

幼女幽霊(で、でも……)


幼女幽霊「……お前に見せたい物がある」ガサゴソ

幼女幽霊「これが何か知ってる?」スッ
280 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:38:28.59 ID:9K6xzDxeo
『』



DQN幽霊「せ、先輩、それって一昨日来たやつが置いて行った……」



霊能少女「!?」

霊能少女「……どこで、それを?」



幼女幽霊「その反応……やっぱり、さっきの話に出てきた呪術の道具なんだな」

幼女幽霊「私のところにも来たんだよ……そのカルトに所属している人間が」

幼女幽霊「そして、この箱を置いてった」



霊能少女「……」



幼女幽霊「その箱からはお前が言ってた通りに、影の姿をした呪いが溢れ出てきた。これは一体どういうことだ?」



霊能少女「……恐らく、奴等はこの病院を新たな拠点にしようと企んでいたんだと思う」
281 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:40:47.66 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「人影がなく古い建物というものは多かれ少なかれ、大抵は人為らざる者が住み着いている。玉響が多いけど、中にはアナタ達のような幽霊も」

霊能少女「きっと、それが邪魔だったんだろう。だから呪いの影で全てを喰わせようとしたんだと思う」



幼女幽霊「……そうか。あの影は天国の扉と繋がっていたのか」

幼女幽霊「……よし、決めた!」


DQN幽霊「せ、先輩?」


幼女幽霊「おいメスガキ。私は――」













幼女幽霊「ぜっっっっっっったいに行かんからな!!!!!!!失せろボケ!!!!!!!!!」



霊能少女「…………は?」
282 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:47:11.46 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「……なぜ、この流れでなぜそうなる?」

霊能少女「奴等はアナタ達にも危害を加えようとした。仕返しをしなくていいの?」


幼女幽霊「確かに、その件に関しては正直イラつく。今すぐお礼参りに行ってやりたいが……」

幼女幽霊「……相手が悪過ぎる。あの影は間違いなく、私達幽霊でも取り込まれたらただでは済まない代物。リスクが高過ぎるんだよ。いくら金を積まれてもな」

幼女幽霊「そもそも、この件はお前達人間がどうにかすべき問題だろ。私みたいな一般人の幽霊を巻き込むのは道理に反している。違うか」


霊能少女「……」


幼女幽霊「悪いけど、そういうことで帰れ。私は一切関与しない」プイッ


DQN幽霊(……正直意外だな。先輩のことだから野次馬根性で喜んで参加すると思った。ずっと気になってたあの集団自殺の事件に関わることだし)

DQN幽霊(裏を返せば、先輩ほどの力を持っていても身の危機を感じるのか。好奇心より警戒心が勝るほどの)

DQN幽霊(……確かに、一昨日のあの呪いはヤバかった。毒ガエルを見て一瞬で有害であることを悟るように、視覚的に、直感的に、力がない俺でも一瞬でその脅威を理解するほどに)

DQN幽霊(いくら金積まれてもあれは無理だわ……命あっての物種って言うしな。まあもうその命すらないんだが)
283 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:48:56.77 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「……よく考えてほしい」

霊能少女「確かに、リスクはある。いくら幽霊でも、アナタが無事にいられるかは保障できない」

霊能少女「でも、大勢の命に、世界の安定に関わる問題ということを認知してほしい。この力にワタシ一人だけでは抗えない」



幼女幽霊「……お前みたいにみんながみんな、人の為に命を賭けられるわけじゃないんだよ。私は自分の命が一番大事なんだ。他を当たれ」



霊能少女「それは絶対嘘。アナタは優しい人間、自分より他者の命を優先するほどの」



幼女幽霊「は、はぁっ!?お前に私の何が分かるんだよ!!!!!」



霊能少女「ではなぜあの時、ワタシの攻撃に自分の身を呈してまで、そこにいるもう一人の霊を助けた?」



幼女幽霊「……っ!!」

DQN幽霊(…………あれか)
284 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:50:45.61 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「常人ならば、あの一瞬の判断を迫られる場面で、アナタがしたような行動は起こせない」

霊能少女「選択肢として脳裏を過るのは事実。でも体が動かない。なぜなら待ち受けるのは確実な“死”だから」

霊能少女「それでも、アナタは動いた。思考より先に“心”が動いたはず」

霊能少女「……そんなアナタだからこそ、私はパートナーに選んだのだから」



幼女幽霊「…………」



幼女幽霊(気に入らない)

幼女幽霊(こいつの熱意は本物だ。その時になれば喜んで自分の命より他者の命を救うほどの……信念を持っている。ほんと、漫画の主人公かよ。あーもう)

幼女幽霊(……それでも、気に入らない。ここまでの信念を持っているやつが――何かを隠しているということが)
285 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:51:41.13 ID:9K6xzDxeo
幼女幽霊「何度言われても、私は参加する気ないからな」

幼女幽霊「お前が全てを喋らない限りは……私はお前を信用しない」



霊能少女「……そうか。そこまで見透かされていたのか。とても敵わないな」

霊能少女「ならば……こちらもまた、強硬手段を取らせてもらう」スッ

霊能少女「これ、何か分かる?」



幼女幽霊「な、なんだよそれ」




霊能少女「爆弾、さっき使った物とは違う。爆薬の代わりにあの水が大量に詰め込まれている」




幼女幽霊「はぁっ!?」ビクッ

DQN幽霊「ば、爆弾っ!?」
286 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:53:14.32 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「これの恐ろしさはアナタ達が一番分かっているはず。この距離で当たれば、無事では済まない……確実に消滅する」

霊能少女「協力してもらえないのなら、今すぐ起爆する。3秒以内に選んで」スッ



カチッ……



幼女幽霊(さ、3秒!?)

幼女幽霊(ま、まずいっ……どうする。退避か、先手必勝で攻撃するか)

幼女幽霊(いや、攻撃はまずい。その姿勢を見せただけで間違いなくこいつは何の躊躇いもなく、爆発させる。こいつの性格なら絶対そうする)

幼女幽霊(……恐らく逃げようとしても結果は同じか。いや、瞬間移動を使えば……)チラッ



DQN幽霊「え、え?」オロオロ



幼女幽霊(……そうか。私一人ならこの場を離れるのは容易。でも、こいつを連れてとなると……時間が圧倒的に足りない。こいつ、こうなることが分かってて――)
287 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:54:15.45 ID:9K6xzDxeo
幼女幽霊「……っ。分かった。協力してやる」



霊能少女「良かった。アナタならそうすると思っていた」スッ



DQN幽霊「せ、先輩……」

幼女幽霊「ただし、条件がある。お前が何を隠しているか、それだけ教えろ」



霊能少女「……」

霊能少女「ごめんなさい。それだけは出来ない」

霊能少女「これは……ワタシの、ワタシ達の問題だから、アナタには教えられない。残念だけど。それに、今回の件とは関係のないこと」



幼女幽霊「……つまり、自分の都合の悪いことは教えないっつーことかよ。脅迫紛いのことしといて」



霊能少女「どうとでも思ってもらって構わない。ワタシは否定も肯定もしない」
288 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:55:51.66 ID:9K6xzDxeo
幼女幽霊「……あっそ。ならいいわもう」

幼女幽霊「ってことでDQN、ちょっと行ってくるわ。留守番頼んだぞ」


DQN幽霊「せ、先輩……」


幼女幽霊「安心しろよ。すぐ帰ってくるから」


DQN幽霊「あ、ウス……」


幼女幽霊「ほら、行くんだろ。さっさと案内しろよ」

霊能少女「……協力、感謝する」

幼女幽霊「あんな汚い手使っておいてよう言うわ」



バタン



DQN幽霊「……」

DQN幽霊「……」



『もし、次に幼女に何かあったらアンタが止めなさいよ。あの子のことは任せたわ』



DQN幽霊「……んなこと言われてもな。俺には……先輩をどうこう出来る力はねえよ。ただの下級霊以外の何者でもないんだし」
289 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:57:59.16 ID:9K6xzDxeo
DQN幽霊「これまでも……俺は先輩の足を引っ張ってばっかだ。俺がヘマした時も、あいつが襲ってきた来た時も……いつも先輩に頼ってばっかで」

DQN幽霊「自分でも情けねえな。結局俺は……先輩の何なんだろ」



幼女幽霊「おいDQN!!!!」バッ



DQN幽霊「」ビクッ

DQN幽霊「えっ、せ、先輩?どうしたんスか?」


幼女幽霊「ひとつ言い忘れてた!私が留守の間に客が来たら、今度こそお前一人で何とかしろよ!」

幼女幽霊「お前なら出来るって信じてるからな!!テンパるなよ!!!」


DQN幽霊「りょ、了解っス」


幼女幽霊「んじゃ!明日には戻るから!」



バタン



DQN幽霊「……」

DQN幽霊(あぁ……そうか。俺は何もする必要はないのかもな)

DQN幽霊(ただ、先輩の居場所であるこの病院を守ればいい。先輩の帰ってくる場所に居れば……それが俺の役目か)

DQN幽霊(先輩……無事に戻ってきてくださいっス)
290 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:59:01.29 ID:9K6xzDxeo
今日はここまで
ってことで再開です
落ちてる間にもう書き終わってしまったのでノンストップで行けると思います
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/16(火) 07:18:28.35 ID:T82lHYtno

やった
292 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:41:04.22 ID:q0Hnviedo
………………………………………………………
…………………………………………


幼女幽霊「んで、いつ攻め込むんだよ」

霊能少女「今日は何もしない。私が泊まっているホテルに行って、作戦会議」

幼女幽霊「作戦会議って、ずいぶん余裕あるな」

霊能少女「余裕なんてない。むしろその逆、今この瞬間にも……神彁混が巣を飛び出して、またどこかに放浪するかもしれない」

霊能少女「でも、だからこそ、慎重になる必要がある。時間に追われて迂闊な行動をとってしまったら……それが命取りになる」

幼女幽霊「……あっそ」



ガヤガヤ ガヤガヤ



霊能少女「通りに出ても平気?あまり生気を吸い過ぎるのは良くないと思うけど」

幼女幽霊「舐めるなよ。私は足付きだぞ。その程度で成仏するほど軟じゃないっつーの」

霊能少女「それならいい」

幼女幽霊「……そんなことよりも、どうにかならんの」


霊能少女「何が?」
293 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:42:21.34 ID:q0Hnviedo
ジロジロ ジロジロ



幼女幽霊「その眼帯だよ!!何か落ち着かないんだよ!!!私が見られてるみたいで!」

幼女幽霊「今の時代にそんな目立つもん付けてたら注目されるのは当たり前だろ!!外せよ!!!!」


霊能少女「……これはワタシの力を隠す役割を持っている。ワタシの両目を視たら、例え力を持たない一般人でも、何かを感じ取る」

霊能少女「どのみち見られるなら、まだこの眼帯に注意が行ってくれた方が助かる」


幼女幽霊「むっ、なら他の物で隠せよ。眼鏡とか、それこそコンタクトレンズでもいいだろ」


霊能少女「それもそうだけど……ワタシにも、これを付ける理由がある」


幼女幽霊「どんな理由だよそれ」


霊能少女「これはある人から譲り受けたモノ。その人はとても強力な力を持っていて、ワタシ達の世界では伝説とも呼べる人物だった」

霊能少女「この眼帯は……彼女が老衰で亡くなる寸前に貰った私物。だから大切に扱っている」


幼女幽霊「……ふーん」
294 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:43:43.55 ID:q0Hnviedo
霊能少女「人間の死は終わりではない。アナタのように魂だけ残るような姿もあれば、異形の者に形を変える者もいる」

霊能少女「でも、それだけじゃない。想いを紡いでいくことも出来る。例え自分がこの世を去っても、その想いが誰か別の人に託し、残すことが出来れば……力になれると信じている」


幼女幽霊「……」











幼女幽霊「お前って普通にそういうくさいセリフ言えるけど恥ずかしくないの?」



霊能少女「……」

霊能少女「……まあ多少は」プイッ
295 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:44:52.07 ID:q0Hnviedo
ガチャ


霊能少女「ここが泊まっているホテル」


幼女幽霊「結構いい部屋とってんなおい」ゴロン

幼女幽霊「んで、作戦会議って何するの」


霊能少女「まず、これを読んでほしい」スッ


幼女幽霊「なにこれ?」


霊能少女「神彁混と『天国の扉』に関する私がまとめたレポート。病院では省略した部分も事細かに書いてある」

霊能少女「奴と戦う上で最低限の知識は身に付くと思う。だから目を通しておいて」


幼女幽霊「……分かった。見ておく」


霊能少女「それと、少し手伝って欲しいことがある」ガサゴソ

霊能少女「これに、アナタの力を与えることが出来る?一年前にワタシが使った、あのバットのような」スッ


幼女幽霊「え?出来るっちゃ出来ると思うけど……なんだよそれ」

幼女幽霊「ん?この形ってまさか……銃弾じゃないよな?」


霊能少女「そうだけど」
296 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:46:06.59 ID:q0Hnviedo
幼女幽霊「!?」

幼女幽霊「えっ!?てことはお前!今実銃持ってんの!?」


霊能少女「持っているけど」スッ



『』ギラッ



幼女幽霊「!?!?」

幼女幽霊「なっ……よく平然と外出歩けたな!!!!職質されたら一発で逮捕じゃんお前!!」

幼女幽霊「そもそもなんでお前が持ってんの!?爆弾に銃って……本物のテロリストじゃねえか!!!!」


霊能少女「人聞きの悪いことを言うのはやめてほしい。これは『天国の扉』の祭司と呼ばれていた人物が自殺に使った拳銃。現場に放置されていたから、何かの役に立つかと思って拝借しただけ」


幼女幽霊「つまり泥棒じゃん。銃刀法違反と窃盗罪のダブルパンチじゃん」


霊能少女「……そんなことはどうでもいい。早く力を込めてもらえたいんだけど」


幼女幽霊「何するつもりなんだお前。銃があの化け物には効かないなんてとっくに分かってんだろ?」
297 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:46:46.45 ID:q0Hnviedo
霊能少女「……確かに、並みの重火器では歯が立たない。でも、それはあくまで通常兵器での話」

霊能少女「詳しい話は後で話す。とにかく、やってほしい」


幼女幽霊「分かったよ。ほら」グッ



シュンッ



霊能少女「礼を言う」


幼女幽霊「ありがとうもカッコつけないと言えんのかお前は」
298 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:49:04.03 ID:q0Hnviedo
……………………………………………………
……………………………………



幼女幽霊「……」ペラッ

幼女幽霊「……読み終わった」

幼女幽霊(これが……あの事件の全貌か。ずっと知りたかった真実……)

幼女幽霊(文として見ると、まるで私自身があの日を追体験しているよう。こんな化け物と明日は戦わないといけないのか)

幼女幽霊(……うわぁ、抜け出してぇ。今からコソッと抜け出したらバレんかな)チラッ


霊能少女「」ジー


幼女幽霊(……めっちゃこっち見てる)


霊能少女「どうだった?それを読んでみて」


幼女幽霊「……まあ、大まかの事情は把握した。確かに、これは人間の手におえる代物じゃないな。もちろん、幽霊や怪物でも対処出来ないだろうけど」

幼女幽霊「でも、分からない点がひとつある。これ、現場から回収されたメモのところなんだけど」スッ


『https://i.imgur.com/DotvkKw.jpg』


幼女幽霊「これ、お前は何だと思う?」


霊能少女「……分からない」
299 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:51:25.02 ID:q0Hnviedo
幼女幽霊(……この反応。こいつ嘘ついてるな。ってことは……このメモの内容が一番重要ってことなのか)

幼女幽霊(ちょっと揺さぶってみるか)


幼女幽霊「そう、私個人としては羅列された4桁の数字、これは年表の類いだと思う」

幼女幽霊「何かのパスワードとか暗号って線もあるけど、数字がどれも近いのが気になるんだよね」


霊能少女「……」


幼女幽霊「となると、気になるのは○が付けられている『1978』のところ。これが西暦を表しているとしたら、他の×が付いている年にはない、何かが起こった年だと思うんだけど」

幼女幽霊「お前はどう思う?」


霊能少女「……私も、その可能性が一番高いと思う」


幼女幽霊「じゃあ問題は1978年に何が起こったかってことだ。今からざっと40年前、私やお前が生まれるとっくの前の出来事。いくら何でもこれだけだと情報が少な過ぎる」

幼女幽霊「……なら、類似点を探すしかない。1978年に、今回と似たような事件がないかな」ポチポチ

幼女幽霊「『1978年 宗教 自殺』っと。検索ワードはこんなところか。さて、何が出てくる」
300 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:54:08.97 ID:q0Hnviedo
幼女幽霊「……」




霊能少女「……」




幼女幽霊「……あった。この年に……900人近くの人間が死んでいる事件がある。それも、カルトの集団自殺として、世界的に有名な……あの事件か」

幼女幽霊「……ちょっと待てよ。ってなると……ここに書かれている他の年も、同じような出来事が起きているんじゃないの」ポチポチ




幼女幽霊「……ビンゴか。正直当たってほしくなかったんだけど、間違いない」

幼女幽霊「このメモに書かれている数字は全て、カルトの集団自殺が起きた年と重なっている。ここまで来ると偶然なんて言葉ではとても片付けられない」

幼女幽霊「ど、どうなってんだよこれ。いくら何でもおかしいだろ……だって、集団自殺を起こしているのはどれも宗派が違う団体だ。国も、人種、信仰も何もかもがバラバラ、共通点がない。このメモは一体……」

幼女幽霊「で、でも……もし、もしもだぞ。こいつらが裏で繋がっていたとしたら、奴等が真に所属していたのは天国の扉で、神彁混の復活が目的だとしたら……」
301 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:55:18.92 ID:q0Hnviedo
霊能少女「……......」



幼女幽霊「……いい加減に、黙ってないで何か言えよ。知ってるんだろ、お前」

幼女幽霊「私がちょっと調べただけでもこれだけ出てきたんだ。この○と×の意味も、そして横に付いてる文字みたいな記号の正体も……話せよ。ここまで来て隠し事はなしだぞ」



霊能少女「…………」



霊能少女「……そう。アナタの推理は間違っていない」

霊能少女「ここに書かれている数字はカルトが集団自殺を引き起こした年。私の調べではこれらの組織はいずれも天国の扉と関わりがあったことが分かっている」

霊能少女「でも。教えられるのはここまで。これ以上はアナタが踏み込んでいい領域じゃない。深淵の奥の更なる真実には」
302 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:56:15.18 ID:q0Hnviedo
幼女幽霊「……は?人を勝手に巻き込んでおいてどの口がそんなこと言えるの?」

幼女幽霊「もう八割方、お前が隠そうとしていた事実はバレたんだぞ。この先に一体何があるんだよ」



霊能少女「……確かに、アナタはワタシのせいで、一連の事件に巻き込んでしまった」

霊能少女「でも、ただそれだけとも言える。もし、この事実をアナタが知ってしまったら、引き返せない可能性がある……ワタシのように」

霊能少女「今のアナタを突き動かしているのはただの好奇心。それだけの覚悟では足りない」



幼女幽霊「……じゃあ、お前を動かしているのは何なんだよ」
303 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:57:09.82 ID:q0Hnviedo
霊能少女「――復讐心、かな」




幼女幽霊「…………」


幼女幽霊「……あっそ」プイッ




幼女幽霊(……復讐って、こいつ……奴等との間に何があったんだ)

幼女幽霊(んなこと言われたら……こっちも黙るしかないじゃん。ズルい)




霊能少女「……」
304 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:58:18.79 ID:q0Hnviedo
今日はここまで
約一年越しの伏線回収になりました
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/17(水) 18:23:11.30 ID:ouT6oYum0
おほー板も復活したし気になってたのも続いてて嬉しい
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/17(水) 20:12:56.68 ID:4wYwjKE40
いつまでも応援してやるかんな!
覚悟しろよ!
307 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 00:58:59.28 ID:lESPIf5mo
▢▢▢▢ 翌日 ▢▢▢▢



霊能少女「これが、私が考えた作戦。何か質問はある?」


幼女幽霊「……質問はある?とか言われても」

幼女幽霊「ほぼ邪魔する奴は全員ぶっ倒すってだけの脳筋作戦じゃねーか。作戦ですらないわ」


霊能少女「それが何か?」


幼女幽霊「何か?って言われても……だから、もっと具体的な案はないの?対神彁混の対策とか」


霊能少女「ワタシが相手をしたのはこの世界にまだ馴染んでいない状態だった。ようは産まれたての赤子のようなもの。今ではあれと全く違う状態になっていると仮定してもおかしくない」

霊能少女「それを考慮せずに、下手に対抗策を組んだら、かえって逆効果というもの。その時に合わせて臨機応変に対応するしかない」


幼女幽霊「つ、つまり……何も考えてないのか?」


霊能少女「だから、戦力を仮定するには情報が足りなさ過ぎるという話。ワタシ達が戦うのは見えない敵ではない。直接目で確認して、その時に合わせて行動しなくてはいけない。信じられるのは自分の力だけ、分かる?」
308 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:00:18.79 ID:lESPIf5mo
幼女幽霊「お、お前……よくそんなのでこれまで生きてきたな」

幼女幽霊(い、いや……それだけこいつの技術とセンスが確かってことなのか?頼れるのか、頼れんのか分からんな……)


霊能少女「……そろそろ時間、出発しよう」スッ



『21:00』



幼女幽霊「……!もうこんな時間か」

幼女幽霊(なんだかんだで……こいつともう丸一日以上は一緒にいるのか)

幼女幽霊(と言っても、こいつちょっと前までずっと半日近く寝てたけど。しかも起きた後はアホみたいに飯をコンビニで買ってきて食うし)

幼女幽霊(どんだけ食うんだよってくらい食ってたな。悟空かこいつは)


霊能少女「さて」ゴソッ


幼女幽霊「……」

幼女幽霊(……にしても、あいつが持っている鞄、やばいぞありゃ。幽霊の私のセンサーがビンビン反応してる。なんつうもん持ち歩いてんだよ)

幼女幽霊(あれだけの道具なら……何とかなるかもしれんな。とてもじゃないけど、私は相手にしたくないわ)
309 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:00:48.79 ID:lESPIf5mo
霊能少女「……そうだ。昨日から気になっていたことがあった」

霊能少女「アナタ、一年前と何か変わった?気配が少し違うような気がする」


幼女幽霊「え?どういう意味だよそれ」


霊能少女「……いや、心当たりがないならいい。勘違いかもしれないから」


幼女幽霊(なんだこいつ)
310 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:02:13.84 ID:lESPIf5mo
スタスタ スタスタ



幼女幽霊「結構歩くんだな。幽霊の私は疲れないから別にいいけど」

霊能少女「神社はだいぶ人里から離れたところにある。だから管理する人も自然と居なくなって、無人に成り果てたんだろう」

幼女幽霊「何か私が住んでる病院みたいな話だな」

霊能少女「なぜかは分からないけどこの町はそんな建築物が多い。大抵は高度経済成長期に建てられていて、今は取り壊されているか廃墟になっているけど」

霊能少女「恐らく、それが原因でこの町は怪異が多くなってしまったんだと思う。幽霊にとっては絶好の住処がいくつもある楽園に近い状態だから」

霊能少女「そのおかげで、町全体の気がおかしくなっている。力を持つ者なら違和感を抱くほどに」

幼女幽霊「……へー」


霊能少女「……!ちょっと止まって」ピタッ


幼女幽霊「え?なんだよ」


霊能少女「……あれを見てほしい」スッ


幼女幽霊「……?何かあんの?」チラッ
311 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:03:11.09 ID:lESPIf5mo
死骸『』ブラー



幼女幽霊「!?」ビクッ

幼女幽霊「えっ……な、なにあれ。動物?の死体が……吊るされてる」


霊能少女「……」スタスタ

霊能少女「……」ジー


幼女幽霊「なんだよこれ……プレデターでもいるのかよここに」


霊能少女「……恐らく、これはまじない。それも呪術に関連する」


幼女幽霊「じゅ、呪術!?」


霊能少女「私もその手の専門家じゃないから、詳しいことまでは分からないけど、恐らくあの集団自殺をした時の状況のように……この地を“死”に近くしているんだと思う」

霊能少女「……もしかしたら、また繰り返そうとしているのかもしれない。新たな神彁混を……呼び出そうとしているのかも」


幼女幽霊「マ、マジかよ……どうすんの」


霊能少女「……計画は変わらない。先に進もう」スタスタ


幼女幽霊「行きたくねぇ……」
312 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:04:16.94 ID:lESPIf5mo
スタスタ スタスタ



幼女幽霊「な、なぁ……なんで夜に攻め込むんだ?別に昼でも良かったんじゃないか」

幼女幽霊「街頭もないからだいぶ暗いし、夜道で迷いそうなんだが」

霊能少女「道は完全に私の頭に入っているから問題ない。夜に来たのはあまり信者の相手をしたくないから」

霊能少女「奴等が目撃されたのはいずれも昼の時間帯だった。なら、集会が行われていない夜に攻めるのが一番効率がいい」

幼女幽霊「でも、絶対にいないって保証はどこにもないよな?」

霊能少女「それならそれで、夜襲を仕掛けられるこっちが有利」

幼女幽霊「……ほんと適当だな。どんだけ行き当たりばったりなんだよ」
313 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:05:30.46 ID:lESPIf5mo
スタスタ スタスタ



霊能少女「……ん?あれは……」

幼女幽霊「なに?また死骸でもあった?」

霊能少女「……あれを見て。注連縄のようなものが張られている」



『』



幼女幽霊「あぁ……あれって神社とかによくあるやつなんじゃないの?」

霊能少女「……そう、役割としては結界のようなものだと思っていい。つまり、ここから先は……奴等の領域」


幼女幽霊「……」ゴクリ


霊能少女「警戒を怠らないで。この縄の向こうはもはやこことは別世界だと思っていい。何が起こるか分からない」

霊能少女「覚悟ってやつを決めた方がいい」


幼女幽霊「……いいから行くぞ。こっちは早く終わらせたいんだから」


霊能少女「……分かった。行こう」スッ
314 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:07:22.49 ID:lESPIf5mo
ザワッッッッッッッッッ!!!!!!!!!



霊能少女「!?」ビクッ

幼女幽霊「!?」ビクッ



霊能少女「っ……!これは……」



幼女幽霊「な、なんだ……今の。空気が……変わった?」

幼女幽霊「ま、まるで……他人の腹の中にいるような……縄の向こう側とまったく違う……」キョロキョロ


霊能少女「……こちらが違和感を覚えたように、向こうもワタシ達の存在に勘付いたはず」

霊能少女「急ごう。あまり長居をするのは危険」


幼女幽霊「あ、あぁ……そうだな。確かに、ここにいると頭がおかしくなりそうになる」




スタスタ スタスタ




幼女幽霊「神社の本殿まであとどれくらいなんだ?」

霊能少女「もうそう遠くない。ここからあと100メートルもない。そろそろ見えてくる」

幼女幽霊「と、とうとうご対面ってわけか」
315 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:08:40.32 ID:lESPIf5mo
スタスタ スタスタ





霊能少女「……灯りが見えてきた。あそこが……そう」

幼女幽霊「……!!」




ズズズズズズ……




幼女幽霊(な、なんつうところだよ……まさに悪魔の巣、絶対に近付くなって私の中の防衛本能が全力で警報鳴らしてるぞ)

幼女幽霊(もはや根本から、神を祀る場所という概念を塗り替えしている。いや、あいつらにしたらあの化け物も神なのか……)


霊能少女「……!出てくるッッ!!」


幼女幽霊「!?」ビクッ






ズズズズズズッ…………


ズズッ…………
316 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:10:25.01 ID:lESPIf5mo
ザッ






神彁混「…………」スッ






霊能少女「……っ!」ゴクリ


幼女幽霊「こ、こいつが……神彁混。死から産み出された化け物……」



幼女幽霊(体長は3メートル前後、体色は真っ黒で羊の骸骨のような頭部に翼、手足はかなりのリーチがあり、地面に引きずるほどの長さのある尻尾を持つ)

幼女幽霊(レ、レポートに書いてあった通りだな……想像していた通り、外見は悪魔そのもの。こんなのが本当に現代社会に潜んでいたなんて……ファンタジー小説にでも出てきそうな見た目だ)

幼女幽霊(い、いや……一番ヤバいのは……あいつが纏っているオーラ、気だ)

幼女幽霊(こ、こんな気配を持つやつなんて見たことがない。私が知る中で一番本能的に危ないと思ったのはメリーさんだけど、それとは正に次元が違う。あいつは……この世界の者じゃない。まったく別のところからの来訪者だ)
317 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:11:43.97 ID:lESPIf5mo
幼女幽霊(見ているだけで気圧される。全身に鋭い刃物を押し付けられているように、体中がチクチクする。これは悪意でも敵意でもない、そんなのを遥かに通り越した、ただ純粋な殺意そのもの。それもこの世界全てに向けられた――)

幼女幽霊(……あ、あれ?なんだろ、これ。デジャヴっていうか、既視感っていうか……病院で感じた時と同じような感覚がする……?)



霊能少女「大丈夫?」


幼女幽霊「だ、大丈夫なわけねえだろ……絶賛後悔中だわ。もう今すぐ帰りたい」

幼女幽霊「ど、どうすんだよ……正直なところ、お前の話を聞いても、あの影のように多少は私の力が通じると、この瞬間までは思っていたけど……あれは無理だぞ。そんなレベルじゃない」

幼女幽霊「この世界の全ての武力はあいつには無力だ。いかなる力も……通用しない。そんな感じがする」


霊能少女「……正確に言うと、ちょっと違うかな。ダメージは与えられる。ただ殺せないだけ」

霊能少女「それに、以前ワタシが成功したように、封印は出来るはず」


幼女幽霊「ふ、封印って……そ、そういえばまだ聞いてなかったけど、どうやって封印する気なんだ?」
318 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:13:09.29 ID:lESPIf5mo
幼女幽霊「前回は井戸を媒体にして封印したって言ってたけど、今この場にそんな物はないぞ……」

霊能少女「……大丈夫、ちゃんと策は考えてある」

霊能少女「ただ、これはまだ試験的なモノで、回数が限られている。費用と下準備もかかって、三回分しか用意出来なかった」

幼女幽霊「さ、三回っ!?本当に大丈夫なのか!?」

霊能少女「当たりさえすれば、一発で成功する。心配する必要はない」






神彁混「…………」ザッ






幼女幽霊「!?」ビクッ

幼女幽霊「な、なんだあいつ……さっきから、お前をずっと見てるけど……襲ってこないの?」
319 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:14:40.58 ID:lESPIf5mo
霊能少女「……恐らく、奴はワタシが本物かどうか確認している。向こうからしたら、ワタシは唯一生き残った相手だと思うから」

幼女幽霊「つ、つまり宿敵同士ってわけか。ラブラブじゃん、私はいなくてもいいよね、帰っていい?」

霊能少女「……冗談を言ってる場合じゃない。いつ攻撃を仕掛けてくるか分からない。集中して」






神彁混「……......」ザッザッ

神禍混「」シュンッ






幼女幽霊「ッッ!?」ビクッ

幼女幽霊「き、消えた!?どこにっ!?」キョロキョロ
320 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:15:40.92 ID:lESPIf5mo
霊能少女「違うッ!!!!上に飛んだ!!!!来るッ!!!!」








神彁混「…………」シュンッ








霊能少女「避けてッッ!!!!!!」サッ

幼女幽霊「う、うわあああああああああああ!?」バッ








ズシーーーーーーーーン!!!!!!!!
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