千歌「勇気は君の胸に」

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1 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:19:52.49 ID:2Rh4w0SG0
ここは、とある城の大広間。

各国家の国王が会談を行う厳格な場所である。

今日もこの場には近隣にある三ヵ国の女王とその護衛が集っていた。



―――浦の星王国

―――音ノ木坂王国

―――虹ヶ咲王国



この場所は、ほんの一握りの人間しか知らない。

部外者には知られてはならない場所だった。



……そんな場所が、床や壁はボロボロに破壊され、辺り一面は血の海と無残な死体で埋め尽くされていた。


立っているのは二人。

一人は浦の星王国の女王。

もう一人は―――の―――である。


抵抗した他の女王とその護衛達のほとんどは一瞬で倒されてしまった。


唯一生き残った女王だが身体の右側がごっそりと消失しており、生きているのが不思議な状態であった。



『―――はぁ……はぁ、はぁ……』ボタッ、ボタッ、ボタッ


『意外としぶといのね。体の半分を消し飛ばしたというのに……』




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1530371992
2 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:24:21.89 ID:2Rh4w0SG0
『…へ、へへ………そう簡単には…くたばらない、わよ?』


『哀れな女王よ……早く楽にしてあげましょう』


『楽に、か……。ふ、うふふふふ……』



血塗れの顔で不敵に微笑む女王。

誰がどう見ても逆転は不可能な状況であるにも関わらず、何故笑えるのか理解できなかった。



『……何が可笑しい? 貴様は負けた、敗北したんだ。敗者は敗者らしく絶望しなさい』


『……は、敗者ねぇ………。確かにその通り、よ……でもね…』



―――ボッ…!



左手の中指にはめたリングに炎が灯る。

弱々しく、今にも消えてしまいそうな橙色の炎。

女王はそんな炎を見せつけるように拳を固めて突き立てた。



『―――精々、今は……今だけは勝ち誇っていな、さい………でもね、私が賭けたのは………』





『――――――……!!!』






『……くだらない戯言を。消えろ―――』スッ…




グチャッ―――


3 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:26:11.20 ID:2Rh4w0SG0
――――――――――――
――――――――――
――――――――
――――――
――――
――



千歌「………」


えーっと、あれ、何があったんだっけ?

思い出せ……頑張って思い出すんだ高海千歌……


あ……たしか久しぶりに練習がお休みだったから、曜ちゃんと沼津に買い物に行ったんだよ。

帰りのバスまでの記憶はある。

バスの座席に座ったら眠くなって……目が覚めたら知らない場所にいた。



千歌「は? ここはどこ? 海……砂浜??」



「おお、やっと起きたね! こんなところでお昼寝してたら小麦色に日焼けちゃうよ?」

千歌「…曜ちゃん?」

「あれー? 何で私の名前を知ってるの?」

千歌「はい?」

曜「おっかしいな……どこかで会った事あったかな?」

千歌「ええっと……ここはどこ?」

曜「ここ? ここは浦の星王国にある海だね」

千歌「浦の星王国? 何を言ってるの……日本は王国じゃないでしょ?」

曜「ニホン? 君はニホンって街から来たの? 聞いた事の無い街だなぁ……」

千歌「……何の冗談?」

曜「ねえねえ、君の名前は? 私、全然覚えて無くて―――」


千歌「いい加減からかうのは止めてよ! いくら曜ちゃんでも怒るよ!」

曜「ッ!! ご、ごめん……そうだよね、君は私の名前を憶えているのに……最低だよね」シュン

千歌「え、いや、その……本当に私の事知らないの?」

曜「……うん」
4 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:27:13.44 ID:2Rh4w0SG0



おかしい……見た目は完全に曜ちゃん。名前も曜ちゃん。

なのに私を知らない。

そもそもここが王国だって言ってたぞ……ならここは一旦―――



千歌「あー、ごめん。私さ、頭を強く打っちゃったみたいで……」

曜「頭を? なるほど、だからこんな場所で気絶していたんだね」

千歌「そ、そうそう! あなたが私の知ってる曜ちゃんにそっくりだったから間違えちゃった……怒鳴ったりしてごめんね」

曜「大丈夫だよ、私に非は無かったんだね」ホッ

曜「でもここ砂浜だよ?? どうやって記憶が飛ぶほど強く頭を―――」


ヤバイ!!?

話を逸らさなきゃ……!


千歌「ああああのさ!! 何も思い出せないからここの事を色々教えて欲しいんだ!」

曜「うん? 分かった! 曜ちゃんに任せてよ!」


これって夢……夢なの?

でも夢にしては海の匂いとか風の感覚とかリアル過ぎるよね……

ほっぺをつねっても普通に痛い。

つまりこれは夢じゃない……もしかして異世界に飛ばされちゃったの!?

漫画みたいに!?


千歌「ま、まさか〜…ないないあり得ないよ」



曜「その前に、君の名前を教えて欲しいな!」

千歌「えっ、あ、そうだね。私の名前は高海 千歌だよ。よろしくね」

曜「千歌ちゃんだね。うん、覚えた♪ それで、まずは何から聞きたい?」
5 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:30:42.46 ID:2Rh4w0SG0
千歌「そうだね……曜ちゃんはどうしてここに来たの?」

曜「それはね、私は立派な炎使いになる為の旅をしているからだよ!」エッヘン

千歌「ほ、炎……使い!?」


千歌「ちょっと待って、炎使いって何!?」

曜「炎の事も忘れちゃったんだ。よーし…見ててね」ボッ


曜ちゃんの付けてる指輪に青い炎が灯った!?

それに手のひらに魔法陣みたいなものが……


曜「―――それっ!!」バシュッ!!!


千歌「す、凄い!! 手から水が出た!!」

曜「うおっ!!?」ビクッ

千歌「へ? 何で曜ちゃんも驚いているの?」

曜「い、いや……だってこんな威力だとは思わなかったからさ。普段だったら水鉄砲くらいいの勢いだし」

千歌「でも今の威力はその何十倍も凄かったよ?」

曜「ほぅ……つまり、旅の成果が出てるって事か! うふふ、曜ちゃんもやるねぇ〜」エヘヘ

千歌「自分で褒めちゃうんだ……それで、今のは何なの?」

曜「今のは雨属性の炎だよ」

千歌「雨属性? って言うか……炎じゃなくて水じゃん、水使いじゃん」

曜「違うんだなぁこれが。水に酷似した炎を操ってるのだ」

千歌「あれが炎? どう見たって水じゃん」

曜「それが雨の性質なの」

千歌「ふーん……他にはどんな炎が使えるの?」

曜「使える属性はこれ一つだね。中には複数の属性を使える人もいるらしいけど」

千歌「例えば木属性とか風属性とか?」

曜「そんな属性は聞いた事無いかな。炎の属性は全部で七属性ある。……らしい」

千歌「“らしい”?」

曜「自分の使える属性以外ちゃんと覚えて無いんだよねこれが」

千歌「……それでよく立派な炎使いになる旅をしているね」

曜「あ、あははは……。でも、自分の属性については詳しく知ってるよ! 各属性には特性があってね、雨は『鎮静』なんだ。特性は…ええっと確か……動きとか痛みを鈍くする、だった気がする」

千歌「あやふやだなぁ」

曜「この七属性以外にもいくつかあるらしくて、この国の王様が扱えるって話を聞いた事があるよ」

千歌「へぇ……」
6 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:31:57.21 ID:2Rh4w0SG0


曜「私はこれから王都に向かうつもりなんだ。千歌ちゃんも一緒に来る?」

千歌「王都には何があるの?」

曜「さぁ?」

千歌「……さぁ?」

曜「私も実際に行くのは初めてだからよく分からないんだよ。ただ、技を極めるには王都に行くのが一番だってパパが言ってた」

千歌「なるほどね」

曜「ある程度の実力が無いと門前払いを受けるって話だから、一人で修行の旅をしていたけれど、今の技が出せるなら大丈夫な気がする!」


曜「どうする? 一緒に行く?」

千歌「……うん、行こうかな」

曜「やった! 決まりだね」


王都っていうくらいだから、何か元の世界に戻るヒントがありそうだよね。

今は曜ちゃんについて行こう。


曜「じゃあ、王都に向かってーーー―――」


曜「―――出発進行!!!」
千歌「―――ヨーソロー!!!」


千歌「ほぇ?」

曜「へ? よーそろー??」キョトン

千歌「あ、うん、何でもないよ」


この曜ちゃんは『ヨーソロー!』って言わないのかぁ……


7 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:33:19.73 ID:2Rh4w0SG0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



曜「王都までは少し距離があるからバスで行こうか。ええっと、近くのバス停はどこかなー」ポチポチ


曜ちゃんに色々と質問して分かった事がある。

一つはこの国は島国ってこと。

形は静岡県に少し似ていて、海の向こう側にも島や大陸があるみたいだけれど

今は鎖国中らしい。


もう一つは文明の相違がほとんど無いこと。

普通の子が魔法みたいな力を使えるからもっとファンタジー感があると思ったけど……

普通に車が走っているし、家の作りとかも違いが全く無い。

曜ちゃんも他の人達もスマホに似た機械を持っている。

私の質問もほとんどスマホで調べて答えていたし。

ただ、肝心の炎について具体的に書いてあるサイトが一つも見つからなかった。
曜ちゃん曰く、誰にでも使える技術じゃないから存在は認知されているけど、技術等の詳細は公表されて無いらしい。

ちなみに私のスマホは電源すら入らない始末だった。



千歌「本当に別の世界に飛ばされちゃったんだね……私」ハァ



曜「―――ねえねえ」


千歌「どうしたの?」

曜「バス停は見つけたんだけどさ、千歌ちゃんお金持ってる? こんな感じのやつ」ジャラ

千歌「……持ってない」

曜「なら暫くは私が払うね」

千歌「え?」

曜「だって千歌ちゃんお金もアテもないんでしょ? 宿とか食べ物とかこれからどうするのさ」

千歌「うっ…そ、それは……」

曜「だから一緒に行動する間は私が全部払うから。曜ちゃんにドーンと任せてね!」エッヘン

千歌「で、でもいいの? 初めて会った人にそこまでして……それにお金だっていつ返せるかも分からないのに」

曜「いいのいいの。お金なら沢山あるし、一人で旅するのも心細かったからね。それにさ、その……何というか千歌ちゃんのこと放って置けないんだよね。自分でもよく分からないんだけどさ。変だよね? あはははは」

千歌「曜ちゃん……ありがとう」ニコッ

曜「どういたしまして♪ それよりも記憶の方はどう?」
8 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:35:33.62 ID:2Rh4w0SG0

千歌「え、あ、うーん…まだ厳しい……かな」

曜「そっか……でも何かのきっかけで思い出せるかもしれないよね!」

千歌「そ、そうだね……」


うぅ、罪悪感が……


曜「………」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜千歌達が移動して数十分後 砂浜〜



「―――本当にこの場所なの?」

女兵士「ええ、間違いなくこの砂浜周辺です」

女兵士「近隣の住民からも、この砂浜近くで眩い閃光が発生したと報告が上がっております」

「王都にある探知機のメーターが振り切れて壊れる程の炎が発生したんでしょ? にしては環境の変化が全くないって……絶対に変でしょ?」

女兵士「そう申されても……」

「はぁ……せっかく面白そうな敵が現れたのかもって思ったから、わざわざ私が来たっていうのに。無駄足だったわね」



女兵士「隊長、報告があります」

「何かしら?」

女兵士「この周辺で見覚えのない二人組の少女を目撃したとの情報が入りました」

「ただの旅行者じゃないの?」

女兵士「それは何とも……むつさんが近辺の住民に身分証を提示させて不審者をあぶりだそうとしています」

「むっちゃんが? そんな方法で見つかるなら苦労しないわよ……」

女兵士「合流しますか?」

「いやいや、面倒だから帰るわ」

女兵士「で、ですよね」


9 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:36:26.02 ID:2Rh4w0SG0
「内戦中だっていうのに王都に守護者が誰もいない状況はよろしくないからね。まあ、あの女王様が本気出せば一瞬で終結するんだけど」

女兵士「女王の様子はどうなのですか? 私達のような下等兵ではお目にかかる事すら出来ないので……」

「……別に、相変わらず態度も言動も噂通りの“氷の女王様”よ。この前も命令をちょっと背いた部下を氷漬けにしていたわ」

女兵士「ッッ!!?」ゾワッ

「私も何度氷漬けにされかかった事か……」ハァ



―――プルルルル



「ん? 電話……あ、やっと連絡寄越したな」ピッ


「もしもし! 貴女一体どこに居るの!?」

『ごめんごめん、今は王都行きのバスの中よ〜』

「全く……守護者としての自覚をもう少し持ちなさいよね!」

『はいは〜い。色々と報告する事があるから、城に戻ったらすぐに会いに来て』

「報告?」

『私だってただフラフラしてただけじゃないのよ。ちゃーんと務めは果たして来たわ』


10 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:37:54.61 ID:2Rh4w0SG0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜バス車内〜



千歌「あれ!? よく調べたらこの国って今内戦中なの!?」

曜「内戦? あぁ、そう言えばそうだったね」

千歌「こんな重要な事件なのにニューストップになって無いってどういう事なのさ……」

曜「そりゃ、“大した事じゃない”からだよ。この内戦だって結構長いし」

千歌「はい?」

曜「今の王様……あ、女の人だから女王になるのか。その人が恐ろしく冷酷な人なんだよ」

千歌「独裁者って事……?」

曜「うん。前の女王様は凄く優しい王様だったんだけど、少し前に亡くなって……その代役として王の地位に即いたの」

曜「前の女王様がどうして亡くなったのか。今の女王様がどうしてこの地位に即けたのか。この辺の事情は全くの謎でね……」

千歌「闇が深いね……」

曜「そもそもこの国は―――」



―――キキィィィ!!!!



曜「うおぉ!? 急に止まった?」

千歌「事故かな?」


女兵士「………」

女兵士「………」

女兵士「………」


曜「何かぞろぞろと入って来たぞ?」



「あー、ご乗車のお客様、突然失礼します。私、王立軍の むつ と申します」


むつ…え、むっちゃん!?

顔も雰囲気もそっくりだけど、やけに大人っぽいような……
11 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:40:21.48 ID:2Rh4w0SG0
むつ「ただ今、王都では反乱者のグループとの戦闘が勃発しました。国民の安全を確保する為、一時的に王都内への立ち入りを制限します。よって、このバスはここで終点となります」


曜「あちゃー…運が悪いなぁ」

千歌「立ち入り制限ってどのくらいの間入れないの?」

曜「早くても一週間くらいはかかるかな」

千歌「い、一週間も!?」

曜「うん。何かあるの?」

千歌「い、いや……何も、無い…」


すぐに戻れるとは思ってなかったけど、少なくとも一週間以上は帰れない……

もしかしたらラブライブの予選にも間に合わないかも知れないの!?


曜「んん?」キョトン

むつ「それともう一つ、この近辺で不法入国者と疑わしき人物が目撃されました」

千歌「!?」

むつ「これより我々が身分証の確認を取らせて頂きますので、国が発行したものを用意してその場でお待ち下さい」

曜「ほぇー、こんな事ってあるんだね」

千歌「ね、ねぇ…もし身分証が無いとどうなるの?」

曜「そりゃ、このまま軍に拘束されるよ。その後に本当に不法入国者だって分かればそのまま処刑されるだろうね。海の向こう側から来た人にはやたらと厳しいからさ」

千歌「ウソ……嘘で、しょ…?」サアァァ

曜「どうしたの? 顔が真っ青だよ?」


―――ヤバい

ヤバいヤバいヤバいヤバい!?

身分証なんてあるわけ無いじゃん!

学生証でいける?
駄目だ、絶対にバレる。


曜「千歌ちゃん……もしかしてだけど…」
12 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:42:07.82 ID:2Rh4w0SG0


むつ「―――……君達、身分証を見せて」


千歌「ぁっ!」ビクッ

曜「どうぞ」

むつ「……はい、確認しました。隣の君も見せて?」

千歌「え、あ、はい……ええっと、その…」

むつ「……どうかした? 早く見せて」ジッ

曜「千歌ちゃん?」

千歌「あの……だからその…う……」

むつ「………」

千歌「あぅ……う、うぅぅ……」ジワッ





「―――お嬢さん、もしかして身分証を落としたんじゃないかのぉ?」





千歌「……えっ」

むつ「落とした?」

曜「お婆さん、何か知っているんですか?」

お婆さん「ほれ、私の座席の下にこれが落ちてたんじゃよ」


私の顔と名前が入った身分証!?

でも何でこんなものが…


お婆さん「お嬢さんのじゃろ? 大切な物なんだからしっかり管理しなさいな」

千歌「えっ、あ、はい。ありがとう、ございます……」

曜「なんだ、ちゃんと持ってるじゃん。良かった」



むつ「確認しました。二人とも行って大丈夫です」

曜「はーい。じゃあ行こっか、千歌ちゃん」

千歌「う、うん……」

お婆さん「うふふふ」ニコニコ








むつ「それでは、最後はお婆さんの番です。身分証の提示をお願いします」

お婆さん「……」


むつ「…お婆さん?」
13 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:43:30.12 ID:2Rh4w0SG0

お婆さん「まだ分からないのかい?」

むつ「は?」

お婆さん「はぁ……むっちゃん最近、訓練をサボってたわね?」

むつ「何を言って―――」



―――プシュウウゥゥゥ



お婆さんの体が藍色の霧に包まれた。

シワやシミだらけだった肌はみるみる若さを取り戻す。

ヨボヨボだったお婆さんは高校生くらいの美少女に変化したのだ。

若返ると言うより、元に戻ったと言うのが正しい。
そして、むつはこの人物を知っている。

この人物は むつ の直属の上司にあたる人物だったのだ。



むつ「―――……つ、津島隊長!!!?」



善子「私は悲しいわ……ちょっと留守にしている間に、むっちゃんに顔を忘れられるなんて」オヨヨ

むつ「あ、いや、そんな事は…って、そもそも津島さんの幻術を見破るなんて出来るわけないじゃないですか!」

善子「いやいや、むっちゃんや、確かに私は“超”一流の術師よ。でも、しっかり訓練していれば見破れない幻術じゃないはずよ?」

むつ「訓練は怠っていないつもりでしたが……甘かったようです。申し訳ございません」

善子「まあ、何も言わずに王都を離れた私が叱れる立場じゃ無いんだけどねー」アハハ

むつ「そ、そうですよ! 桜内さん、かなーり怒ってますよ?」

善子「やっぱり?」

むつ「はい、『守護者としての自覚が足りな過ぎる。今度会ったら消し炭にしてやる』って仰ってました」

善子「いやだー…かんかんじゃないの」ゲンナリ

むつ「自業自得です」


善子「帰るのやめよっかな」

むつ「駄目です。一緒に城へ帰りますよ」

善子「ふぁーい……あ、梨子に電話しておこっと」ピピピ

むつ「そうして下さい」

善子「じゃ、バスの運転は任せたわよ〜」



―――プルルルル…


14 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:45:23.11 ID:2Rh4w0SG0
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―――お婆ちゃんが拾ってくれたこの身分証……バスに乗る前に持ち物を確認した時は無かったよね?

本当に私の物なの?

このまま持っていてもいいのかな……?


曜「はぁ……王都に行けないのはガッカリだなぁ」シュン

千歌「これからどうするの?」

曜「途中で降ろされたこの街で時間を潰すしかないよね」

千歌「一週間も?」

曜「……流石に飽きちゃうよね。何日かしたら別の場所に行ってみようか?」

千歌「私はそれでも構わないよ。どこに何があるか全く分からないし……」

曜「じゃあ決まりね! 今日の宿を探しつつ、この街を散策しよう!」

千歌「お、おーう」

千歌(思い切り沼津駅周辺の街並みなんだよなぁ……)



千歌「あ、そう言えばさ」

曜「ん?」

千歌「曜ちゃんに貸してもらったスマホで色々調べたんだけれど、女王様の顔とか名前が一切検索にヒットしなかったんだ。どうしてなの?」

曜「あー……今の女王様が即位したと同時に歴代女王の情報の全てが消去されたんだよ。それだけじゃなくて、公の場に女王に関する事柄を載せたり、口に出したりしたら処罰の対象になっちゃうんだ」

千歌「どういう事? それかなり厳し過ぎない?」

曜「まあね。私は歴代の女王様の顔とか名前は全く覚えていないんだけど!」

千歌「それはそれで国民としてどうなのさ……」

曜「あ、あははは……おっしゃる通りです。もうちょっと勉強するべきでありました……」

千歌「凄く気になるけれど、話すと捕まっちゃうんじゃねぇ……」

曜「でもでも、バレなきゃ犯罪にはならないんだぜ?」ニヤッ

千歌「だとしても曜ちゃん何も知らないんでしょ?」

曜「はい」キッパリ


千歌「……」

曜「……」


千歌・曜「「あはははははは」」ケラケラ


曜「あはははは! 我ながらバカ過ぎて情けないなぁ」

千歌「ふふふふ、どんな世界でも曜ちゃんは変わらないな……凄く安心する」

曜「……変わらない? 安心?」キョトン

千歌「こっちの話〜」

曜「んん?」
15 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:46:58.96 ID:2Rh4w0SG0


――――――
――――
――



〜夜 城内 大広間〜



「本日戦闘を仕掛けて来た反逆者についてですが、調査から戻った桜内さんと津島さんの迅速な対応により制圧が完了致しました」

むつ「こちら側の被害は?」

「建物の損傷と多少の負傷者はいますが、死者はいません」

善子「レジスタンス側に何人か強そうな奴がいたから、いつも通り幻術に嵌めて研究室にぶち込んでやったわ」

梨子「また? これ以上戦力が必要とは思えないけど」

善子「これが私に与えられた命令なんだから仕方ないでしょ。そもそも、梨子は倒し過ぎなのよ! 本当だったらもう何人か捕らえる予定だったのに…」

梨子「『抵抗する者を皆殺しにしろ』これが私に下された命令よ」

善子「はぁ……ほんっと厄介だわ。守護者に与える命令は統一して貰いたいものね」

むつ「ちょっ、ちょっと! 女王様の目の前でそんな―――」




女王「ほう、随分と生意気じゃありませんか。霧の守護者さん?」




むつ「うっ!?」ビクッ

善子「……ああ? 事実でしょ?」

女王「梨子がトドメを刺す前に貴女が何とかすれば良いのです。“生きてさえいれば”身体がどうなっていようが関係ないのですから」

善子「その通りね。でも―――」



――パキパキッ!!!



女王により善子の体が一瞬で氷漬けにされた。

隣席していた他の兵士は突然の出来事に激しく動揺する。
16 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:47:46.49 ID:2Rh4w0SG0
女王「守護者の分際で王に意見するな」

梨子「やれやれ、善子も学ばない人ね……」

むつ「た、隊長……津島隊長!!!?」




善子「むっちゃん騒がない。大人しく席に座って」

むつ「へ? あれ、後ろ、えっ!?」



そこには氷漬けにされたはずの善子の姿があった。

氷の中には善子の体は無く、代わりに誰も座っていなかった椅子が入っていた。


予め部屋内の人間全員に幻覚を見せており、善子本人は会議が始まってからずっと むつ の後ろに立っていたのだ。

女王はさらに激情する。



女王「私に幻術を使ったな? 王であるこの私に……貴様は抵抗したな?」

善子「文句ある? 身の危険を感じたんだから使うのは当たり前じゃない」


女王「……覚悟は、出来ているんでしょうねぇ?」パキパキパキッ!!!

善子「ったく、面倒な女王様ね」ボッ!!

むつ(や、ヤバい! このままじゃ巻き込まれる!!!)



梨子「二人とも落ち着いて下さい。こんな場所で戦闘したら取り返しのつかない事態になります」

梨子「善子ちゃん、貴女の言動は女王に対して無礼極まりないわ。いい加減にしなさい」

善子「……むぅ」ムスッ

梨子「女王、ここで霧の守護者を殺してしまっては国の戦力に大きな穴が開いてしまいます。今一度、冷静な判断をお願い致します。それでも、ここで殺すべきだとお考えのならば、私が始末します」



女王「………津島 善子」

善子「…何ですか?」ギロッ

梨子「こ、この子って人は……!」

女王「貴女が無断で王都を離れていた一ヶ月間、一体どこで何をしていたのか報告しなさい。報告内容によってはこれまでの事は不問とします」

善子「女王様にしては良心的じゃない」

むつ「津島さん!!!」

善子「わ、分かったわよ……ごほん、報告は二つあります」
17 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:48:54.19 ID:2Rh4w0SG0


善子「まず一つ、旧虹ヶ咲領土にて失踪した松浦 果南とルビィ様の生存が確認されました」

女王「……」

梨子「へぇ…あの裏切り者、まだ生きていたんだ」

善子「どうやら我々同様、散らばったAqoursリングを探しているようです。仲間もそれなりの数が集まっているようです」

善子「その仲間の一人に雲のAqoursリングを使用出来る人物がいる事も確認済みです」

梨子「雲か……」

女王「まさか反逆者側にAqoursリングを使用出来る人物がいるとは」

善子「二回の戦闘を行い、ある程度の戦力を削りましたが、致命傷を与える事は出来ませんでした。どうやら、果南はヘルリングによる『呪いの力』を宿したようです」

むつ「呪いの力?」

善子「果南はその力であらゆる炎を使用した技、匣兵器を触れただけで無力化してきます。恐らく、女王の“奥の手”に対抗する為に身につけたのかと」

女王「下らない…」


善子「奴らがAqoursリングを集めている理由は考えるまでもありません。よってリング探しは奴らに任せた方が都合がいいと判断し、私は王都への帰還を選択しました」

むつ「どう言う事です?」

善子「リングを集めているのは女王を倒す為。ならこっちが人員を割いて探さなくとも、向こうから揃えて持って来てくれる。持ち去った匣兵器も一緒にね」

女王「貴女にしては良い判断ではありませんか」

善子「そりゃどうも」

梨子「もう一つの報告は何?」

善子「……」

女王「どうしたのです?」

善子「いえ、報告は以上です。もう一つの報告は不確定な情報が多いのでまだ伝えるべき内容ではありませんでした」

女王「ほぅ…なら、今ここで殺してしまってはその報告は一生聞けないという訳ですか」

善子「まぁ、そうなるわね。どうする、私を殺す?」

女王「……いいでしょう。貴女の処分は不問としましょう」

善子「……どうも」

むつ「……ふぅ」ホッ

梨子「冷や冷やさせないでよね……」
18 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:50:39.55 ID:2Rh4w0SG0



女王「梨子さんの方は何か分かりましたか?」

梨子「強力な炎が発生した地点の調査を行いましたが、これと言って何も…」

善子「計測器の数値がオーバーフローしたんでしょ? 何も無いわけがないじゃない」

梨子「本当に何も無かったんだから仕方ないでしょ!」


女王「……先程計測器を確認しましたが、あのパターンは間違い無く鞠莉のものです」

善子「は?」

梨子「鞠莉様……ですか!? ですが鞠莉様はすでに亡くなっているのですよ!」

善子「実は生きてたってオチじゃ……」

女王「それはあり得ません。彼女は確実に死んでいますわ」

梨子「でも死後に発動する技なんて聞いたことがありませんよ?」

女王「あの人は特別ですから。私達に出来ない事でも彼女なら出来ても不思議じゃない」

善子「仮にあれが鞠莉様の炎だったとして…一体どんな技を発動させたの?」

むつ「技術スタッフが解析を進めていますが、数値が数値なだけに数日は掛かるそうです」

女王「鞠莉…貴女は今更何をしようとしているのですか……?」


梨子「なら大人しく待つしかないのか……。なら今夜は街にでも出ようかしらね」

善子「私も行くー」

むつ「ダメです。津島さんは勝手に居なくなった分の仕事が残っているのでそれを片付けて下さい」

善子「はい……? い、今から?」

むつ「ええ」

善子「」マッサオ

梨子「自業自得ね」
19 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:52:17.25 ID:2Rh4w0SG0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜宿〜


千歌「おかしい……どんなに検索しても三年前までの歴史しか調べられない。情報規制がされてるって曜ちゃんは言ってたけど、これは異常過ぎるよ」

千歌「ネットで調べられる情報はあまり無いから、曜ちゃんや他の人から聞き出すしかないか……教えてくれるかなぁ」ウ-ン


曜「千歌ちゃーん、お風呂空いたよー」

千歌「あ、うん。分かった」

曜「何か思い出した?」

千歌「うーん、ちょっと気になることが……」



―――ピーンポーン



曜「来客? わざわざホテルの部屋に?」

千歌「私が出るよ。曜ちゃんは着替えていてよ」




千歌「どちら様ですか?」ガチャ

「夜分に申し訳ございません。王立軍の『いつき』と申します」


いつき……この人も私の知ってる いつきちゃん にそっくりだ。



いつきと名乗った彼女は千歌と同じクラスの『いつき』と瓜二つだった。

ただ、むつと同様高校生らしい雰囲気は無く、すっかり大人な女性になっている。

勿論、千歌を知っている様子は見られない。



いつき「ただ今、とある人物を探しています。この写真の中に見覚えのある顔はありますか?」



五枚の写真を見せられた千歌。

年齢も性別もバラバラで、関連性は全く無かった。

軽く目を通して誰も知らないと答えようとしたが、一人の女性の写真が目に留まる。


右眼に包帯を巻き、手脚には生々しい傷跡が残っているこの女性。
すっかり変わり果てた姿だったが、間違いなく千歌の知っている人物だった。
20 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:53:12.41 ID:2Rh4w0SG0


千歌「―――果南、ちゃん……?」

いつき「…何? 果南“ちゃん”だと?」



千歌の発言を聞き、いつきの表情が一変した。



いつき「詳しい話が聞きたい。これから一緒について来てもらう」

千歌「え?」



そう告げると、いつきは千歌の腕を掴んだ。



千歌「な、何!? 放してよ!」



千歌の声を聞いて曜が駆けつける。



曜「なになに、どうしたの?」

いつき「もう一人居たのか」


曜「え、これって……どういう状況?」

千歌「わ、分かんないよ! この人がいきなり!!」

いつき「君、この子の関係は?」

曜「えっと、千歌ちゃんとは今日知り合ってですね……」



言い終わる前に質問を続ける。



いつき「なら、松浦 果南に心当たりは?」

曜「はい? マツウラ??」キョトン


いつき「……どうやら君は関係ないようだな」

千歌「だから何なのさ!? どうして果南ちゃんを知ってるといけないの!?」

いつき「当然だろ。何せコイツは女王の命を狙う凶悪な反逆者なんだから」

千歌「はあ!? 何を言ってるの? 果南ちゃんがそんな事をするわけが―――……あっ」



自分の知っている果南はそんな事はしない、出来るわけがない。


だが“この世界”の果南はどうだろうか?

曜でさえ、炎という規格外の力を扱うことが出来る。

果南も使えても不思議ではないし、その力を何に使っているか全く分からない。



―――そもそも、私はこの世界の果南ちゃんにまだ会ってない……

いつきちゃんの言っている事は事実なのかもしれない。


いつき「松浦 果南の情報は公表されていない。普通の国民なら、顔も名前も知らないんだよ」
21 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:54:05.37 ID:2Rh4w0SG0
曜「でも千歌ちゃんはそれを知っていた……しかも『ちゃん』付けする程の仲がいい」

千歌「ちがっ、いや違わないけど……私の知ってる果南ちゃんとは別人だよ!!」

曜「……」



曜が冷酷な眼差しで千歌を見つめる。

そんな気がした。

だが、状況が状況だ。

今日初めて出会った記憶喪失の人間が誰も知らないはずの凶悪犯の名前を知っていたのだ。
当然の反応である。

それでも千歌の心を折るには充分すぎる反応であった。



千歌「な、なんで……そんな目で見るの…?」

曜「………っ」

いつき「さあ来い。知っている事を全て吐かせてやる」グイッ

千歌「い、嫌だ……嫌だよ!! 私は何も知らない!!」

いつき「いいから来い!!」

千歌「曜ちゃ、ようちゃん!! たす、助け……」ジワッ

いつき「無関係なその子を巻き込むの? 最低だな」

千歌「ぅ!!?」

曜「……」

いつき「騒がしくして済まなかったね。すぐにコイツを連れて―――」
22 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:56:24.30 ID:2Rh4w0SG0















曜「…………なせよ」




いつき「ん?」



―――ボッ!



曜のリングが青く燃える。

技の発動に必要なリングの炎。
これにより、曜はいつでも技を発動する準備が整えた事を意味する。



曜「放せよ……今すぐ千歌ちゃんを放せ!!!」

千歌「…えっ」

いつき「……貴様、自分が何をしているか分かっているの? 私に逆らうという事は、女王に、国に逆らう事を意味する。反逆者と同様の扱いを受けるんだぞ?」ギロッ

曜「……ッ!!」

いつき「体の反応は素直だな。恐怖で震えているじゃないか」

曜「……う、うる、さい……!」ガタガタガタ


いつき「理解出来ない……まるで理解出来ない!」

いつき「貴様は今日出会ったばかりの人間にこの先の人生を捨てるの? このまま見捨てれば済む場面で何故そんな愚かな真似をする!?」


その通りだよ……

どうして曜ちゃんはこんな私を助けようとするのさ……?


曜「分からない……私だって何でだか全然分かんないよ!!! 今だって凄く怖い、怖くて怖くて堪らないさ!!! 見捨てようとも思った!!! でも……」




曜「―――でもここで千歌ちゃんを見捨てたら、後で死ぬ程後悔する。私の中の“何か”が、勇気を出して立ち向かえって叫んでるんだ!!!」

いつき「……」

曜「放っておけない……助ける理由なんてそれだけで充分でしょ!!」

千歌「よ、お……ちゃん」



曜「……待ってて千歌ちゃん。今助けるから」ギリッ

いつき「バカな子……死んであの世で後悔しなさい!!!」ボッ!


23 : ◆ddl1yAxPyU [saga]:2018/07/01(日) 00:58:13.62 ID:2Rh4w0SG0
今回はここまで。
不定期更新ですがエタらないように頑張るのでよろしくお願い致します。

また、一部設定には元ネタがありますのでご了承ください。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 02:27:19.07 ID:WlMNTj/zo
リボーンでそんな感じのあったな
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 18:41:05.62 ID:VarbjEcFO
期待
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 22:57:52.70 ID:IPfnx/VoO
リングに炎ときたらボックスも出てきそうな…
楽しみだ
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