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【ラブライブ】梨子「ロストソング」
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322 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:26:43.20 ID:TpY3MzgXo
善子「マリーの家でいいんじゃない?広いし」
鞠莉「それは無理ねー、パパの仕事関係者も出入りするから」
ダイヤ「私達の家も同様に無理ですわね」
ルビィ「花丸ちゃんの家は?おっきいお寺だし……」
花丸「夏休みは子供向けの学習合宿とかで開放するから難しいズラ……」
善子「ウチは近くに練習出来る所なんかないし、そもそもマンションだから9人も無理」
果南「私の家も泊まるとこないなぁ」
曜「ウチも泊まれないかなぁ……」
梨子「私のところも……」
8人「……」チラッ
千歌「えっ、と……き、聞いてみないと分かんないかなぁ……」オロオロ
果南「鞠莉んところのホテルは?」
鞠莉「練習で敷地を使うくらいならまだしも、泊りがけってのはねー……」
323 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:27:28.34 ID:TpY3MzgXo
果南「となるとやっぱり十千万だね」
千歌「……あ、もしもし?志満ねぇ?その……来週四、五日くらい予約入ってない部屋とかない?」
曜「でも近場で合宿ってのも変な感じだね」
ダイヤ「私達ではあまり遠出するお金もありませんし」
ルビィ「や、やっぱり衣装代のせいかな……」
善子「それは必要経費だから気にしなくていいんじゃない?」
ダイヤ「ええ、それに大会直前ですから下手に環境を大きく変えて調子を乱してもいけませんし」
鞠莉「練習場所があるのに別の場所に行く必要もあんまりないしねー」
ダイヤ「ええ、時間は気にせず練習を出来るだけでも十分だと思いますわ」
324 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:28:04.24 ID:TpY3MzgXo
千歌「……うん、分かった、ちょっと相談してみる、ありがとね、はーい」ピッ
花丸「どうだったズラ?」
千歌「流石にこの時期じゃ何日も空いてる部屋はないって、満室の時もあるから部屋を入れ替えるのも無理って」
梨子「それじゃ、合宿出来ないんじゃ……」
千歌「でも宴会場なら使えるって、朝はお客さんの朝食時に使うから早く出なきゃだし、夜も宴会後になるから結構遅くなっちゃうけど……」
果南「どうする?」
善子「まぁ、それしか合宿出来るところないんだし、やるならありがたく使わせてもらうしかないでしょ」
千歌「ただその……」
梨子「……?」
325 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:29:02.51 ID:TpY3MzgXo
ーーー
美渡「はい、じゃあとりあえず片付けよろしく!あんまりちんたらしてたら寝る時間なくなるんだし頑張れー」ケラケラ
千歌「じゃあ、一年生は座布団を全部あっちに集めてから、食器を下げる!」
ルビまる「はいっ」
善子「何でこんなことに……」ゲンナリ
千歌「三年生は厨房からワゴン持ってきて、その後に銘々膳を下げて!」
ダイヤ「二人共、行きましょうか」
かなまり「はーい」
千歌「私達はまずゴミをまとめよう、固形燃料とか竹箸とか、残り物は厨房で処分するからそのままで!」
曜「了解であります!」
梨子「はーい」
326 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:29:36.99 ID:TpY3MzgXo
ーーー
志満「じゃあそろそろ脱衣場の方掃除するから三人来てくれる?」
曜「私いきまーす!」
果南「じゃあ私も行ってくるよ」
ダイヤ「私も行きますわ」
千歌「はーい」
美渡「千歌ー、お父さんが厨房に二人くらい寄越せってー」
千歌「分かったー!洗い物とかくらいだと思うから梨子ちゃんと鞠莉先輩行ってきてもらえます?」
梨子「分かったわ」
鞠莉「レッツゴー♪」
千歌「私達はここを早く掃除しちゃって早く寝られるようにしなきゃね」
ルビィ「はいっ!」
善子「練習よりきつい……」
花丸「ほーら善子ちゃん頑張るズラ!」
327 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:30:27.13 ID:TpY3MzgXo
ーーー
善子「っ……はぁぁ……露天風呂最高……」
ダイヤ「流石に一日練習して旅館のお手伝いは疲れますわね……」
果南「店と接客の仕方が違うから、変な疲れが来ちゃった」
梨子「いつもこんなことしてるの?」
千歌「いつもは繁忙期だけ近所の人がお手伝いしてくれるんだけどね、今回は私達がいるから他の人は昼間だけ」
曜「そういえば十千万でアルバイトとか見たことないね、厨房は何人もいるのに」
千歌「普段からそんな沢山泊まりに来るわけじゃないからねー、厨房の人達も掛け持ちとかしてるみたいだし」
鞠莉「色々大変なのねー」
果南「淡島にホテル建ったからじゃないの?」
鞠莉「oh……」ブクブクブク
328 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:31:02.70 ID:TpY3MzgXo
千歌「それもあるかもしれないけど……やっぱり内浦に来る人は昔より減っちゃってるみたい」
ルビィ「でも、私達が頑張ったから去年より人は来てるって夏まつりの人達も言ってたよ!」
花丸「うんっ!ちょっとずつでも内浦に興味持ってくれる人は増えてる!」
善子「とはいえ、それもいつまで続くかでしょ、マリー達が卒業したらAqoursも終わるんだし」
ルビィ「ぁぅ……」
花丸「それもそうだけど……」
善子「あっ……」
果南「……」
千歌「そういえば……そうなんだよね……」
ダイヤ「……」
曜「……」
善子「……変なこと言ってごめんなさい……」
329 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:32:38.86 ID:TpY3MzgXo
梨子「……私達の名前」
曜「ん?」
梨子「Aqoursの名前を決めた時の事覚えてる?」
花丸「……?」
鞠莉「ファイブマーメイド?」
梨子「そ、そっちは忘れてっ!」バシャバシャ
ルビィ「……A・Q・Ours」
果南「……?」
千歌「ぶくぶく湧き出して……絶対に割れない永久の泡……」
ダイヤ「泡……?」
梨子「一つ一つの泡はちっちゃくて誰にも気付いてもらえないかもしれないけど……それが沢山集まったら」
善子「……」
曜「……誰かが、気付いてくれる!」
ルビィ「私達、ここにいるんだよって!」
鞠莉「この先もずっと残り続ける泡……」
330 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:33:38.83 ID:TpY3MzgXo
梨子「……もちろんラブライブで優勝したりできたら凄い事だし、きっと沢山の人にも見てもらえる……でもそれだけが私達のしたい事じゃないんじゃないかな」
ダイヤ「……」
梨子「千歌さんがスクールアイドルを始めたのは、ラブライブに勝つためでも、内浦を救うためでもないよね?」
千歌「そうだったね……最近私なんかいろんな事が思った以上に上手くいって……浮かれて迷子になってたかも」
果南「千歌……」
千歌「私……ここにいるよって……私達はここにいるんだよって……ただそれを伝えたかったんだ」
花丸「……」
千歌「町を離れた人や……まだ知らない人や……とにかくいろんな人に伝えたい!」ザバァッ
ダイヤ「……千歌さん?」
331 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:34:30.07 ID:TpY3MzgXo
千歌「私達はここだよぉぉっ!!」
善子「いっ!?ちょっと、いきなり叫ばないでよ」
曜「でもやっぱりそのための一番の近道は?」
ルビィ「ラブライブ!」
鞠莉「出場するためにはー?♪」
花丸「大会で入賞する!」
梨子「入賞するために私達がすることは?」
千歌「明日も練習だっ!」
ガラッ
美渡「千歌!アンタこんな時間に何考えてんの!寝てるお客様もいるんだよ!」
千歌「あっ!?……ご、ごめんなさい……」ブクブクブク
332 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:35:11.20 ID:TpY3MzgXo
ーーー
曜「柔軟終わり!このまま浦の星まで走るよー!」
善子「ぅぇ……マジで……?」
千歌「じゃあいってきまーす!」
志満「頑張ってねー♪」フリフリ
しいたけ「ワウッ」
ルビィ「ひっ!?い、いってきまーす!」ダッ
志満「あ、鞠莉ちゃん、だったかしら?」
鞠莉「はい?」
志満「みとしーのライブ、この町の為に頑張ってくれてありがとうね」
鞠莉「えっ?」
333 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:35:50.35 ID:TpY3MzgXo
志満「ふふっ、うちもそれなりに古いから少しくらいはそういう話も耳に入るのよ」
鞠莉「そうでしたか……その節はお騒がせしてすいませんでした」ペコリ
志満「いいのよ、それにライブするためにあんなに夜遅くまで一人で交渉してるの見ちゃったら、ね♪」
鞠莉「……えっ!?」
志満「ふふっ♪千歌ちゃん達には内緒にしてあるから安心して♪それじゃ練習頑張ってね♪」
鞠莉「……」ポカーン
花丸「小原せんぱーい!置いてっちゃうよー!」
鞠莉「あっ、す、すぐ行くわー!」
334 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:36:32.25 ID:TpY3MzgXo
ーーー
千歌「曜ちゃん、銘々膳おねがーい」
曜「了解であります!」
果南「空き瓶はこれだけ?」
善子「空き瓶まだあるー?」
梨子「ないよー」
果南「んじゃ持っていっちゃうね、よいしょ」
美渡「千歌ー、みんなもちょっと」
千歌「なにー?」
美渡「明日早く帰ってこれる?」
千歌「何かあるの?」
美渡「お客様のリクエスト」
千歌「リクエスト?」
美渡「Aqoursのステージ見たいってさ、そこで踊れる?」
千歌「えっ!?」
ルビィ「お客さんが!?」
335 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:37:28.81 ID:TpY3MzgXo
美渡「明日ここ使うお客様の一組がね、お昼食べに戻って来たアンタ達に気付いてさ」
千歌「本当に?」
美渡「若い人もいるグループだったからねー、で、是非見たいって、一応基本的にそういうサービスはしてないとは伝えてあるけど」
梨子「どうする?」
千歌「他のみんなにも聞いてみないと……」
美渡「じゃあ寝るまでに決めといてねー」
千歌「はーい」
果南「次何か運ぶー……ってどうかした?」
曜「なになに?」
千歌「お客様が明日ここでAqoursのステージ見たいって」
曜「ここで?」
果南「やるの?」
千歌「私は……やっても良いかなぁとは思うけど」
梨子「じゃあやろっか?」
善子「まぁ、これも練習の一環と思えば別に良いけど」
千歌「後でマルちゃんと鞠莉先輩が戻ってからまた決めよう」
336 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:38:19.14 ID:TpY3MzgXo
ーーー
志満「みんなお疲れ様ー♪凄く良かったわー♪」
美渡「お客様喜んでたよ」
千歌「良かったぁ」
花丸「いつものライブとまた違う感じでドキドキしたズラ」
果南「でも、こういうのも悪くないね」
鞠莉「ウチのホテルでも出来ないかしら」
曜「沼津や静岡以外からの人にも覚えててもらえてるのって嬉しいね」
ルビィ「うんっ!」
美渡「で、喜んでるところ悪いけど片付けはいつも通りよろしく」
千歌「だよねー」ガクッ
志満「ごめんねみんな、一応約束だから」
曜「大丈夫でありますっ!」
千歌「よーし、ちゃちゃっと片付けて温泉入っちゃお!」
善子「はーい……」
337 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:38:58.22 ID:TpY3MzgXo
ーーー
鞠莉「はぁ……疲れたわー」
ダイヤ「これで合宿も終わりですわね」
果南「うん、明日はゆっくり休んで明後日の県大会に備えなきゃね」
千歌「じゃあ、戻って早く片付けして最後は温泉でゆっくりしよっか」
曜「はーい」
ルビィ「梨子先輩は合宿どうでした?」
梨子「楽しかった♪」
ルビィ「えへへ、ルビィも♪」
花丸「なんだか夏休み中ずっと合宿してたいね♪」
善子「流石にそれは辛いわ……」
果南「マルー、なら私が付き合ってあげよーか?」
花丸「え゛っ……それは遠慮するズラ……」
338 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:39:47.89 ID:TpY3MzgXo
ダイヤ「いくら何でも果南さんの個人トレーニングはハード過ぎますわ」
果南「えーそうかなぁ」
曜「なかなかいい汗かけるのにねー」
ルビィ「二人は元々運動出来るからそんなこと言えるんだよぅ……」
梨子「そんなにキツイの?」
千歌「今度朝早く起きてみて、外見たら新聞配達のバイクと一緒に走ってるから」
梨子「そんな時間に走ってるの!?」
善子「アスリートかっ」
339 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:41:09.27 ID:TpY3MzgXo
志満「あ、帰ってきたわ、おーい」
千歌「あれ?志満ねぇどーしたの?」
志満「練習お疲れ様♪はい♪」
曜「これ……花火?」
花丸「沢山ある……」
志満「頑張ったご褒美よ♪」
果南「片付けはいいんですか?」
志満「明後日大会なんでしょ?まだ夏休み始まったばかりとはいえずっと練習漬けなんだし、ちょっとくらい遊んでも罰は当たらないわ♪」
千歌「志満ねぇ……ありがとう!」
志満「ふふっ、お礼なら誰かさんに言ってあげて♪」
ルビィ「誰かさん?」
志満「わざわざ買ってきてくれたのよ」
千歌「誰か……むっ……まさかまた何か要求されるんじゃ……」ムムッ
志満「そんなこと言わないの、みんなAqoursの事応援してるんだから」
340 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:41:46.46 ID:TpY3MzgXo
ダイヤ「本当にいいんでしょうか?」
志満「大丈夫♪ほら、浜でゆっくり楽しんでらっしゃい♪温泉も用意しておくから♪」
千歌「うんっ!じゃあみんな浜までダッシュ!」
善子「ちょっ、また走るの!?」
梨子「ありがとうございます!千歌さん待ってー!」
志満「火には気を付けてねー♪」
志満「ふふっ♪直接渡してあげれば良かったのに」
美渡「……あんまり持ち上げたら千歌はすーぐ浮かれるからねー」
志満「もう、そんなこと言ってー」
美渡「じゃ、宴会場片付けてくるねー」
志満「もう……素直じゃないんだから♪」
341 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:42:21.94 ID:TpY3MzgXo
ーーー
善子「あー久々の家だー」バタッ
善子「今日はもう部屋から一歩も出ないわよー……」グデェ
善子「……」
善子「……ランキングだけチェックしとこ」ノソノソ
善子「んーと……457位か……」カチカチッ
善子「ルビィの言う通りなかなか上がりにくくなってるわねー」カチカチッ
善子「まぁ……着実に見てる人は増えてるみたいだけど……」カチカチッ
善子「あ、またみとしーのコメント増えてる?……ん?」
善子「……」カチッ…
善子「……っ」
善子「……」カチカチッ
善子「何よこれ……」
342 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:42:59.02 ID:TpY3MzgXo
ーーー
千歌「おー!やっぱりブロック予選より人多い!」
ダイヤ「ラブライブ本戦までの途中とはいえ、県内のスクールアイドルの頂点を決めるわけですからね」
曜「むっちゃん達はもう中に入ってるって」
ルビィ「今回は抽選当たったんだね!」
花丸「どんな人が出場するんだろう」
善子「チェックした限りじゃ半分以上が私達よりランク高いグループよ」
曜「やっぱりなかなか大変そうだね」
果南「私達もみっちり練習したんだし、自信持ってやれば大丈夫だよ」
鞠莉「そうね、今更こんなところで怖気付くAqoursじゃないわ!」
千歌「よしっ!地区予選目指してみんな頑張ろー!」
8人「おー!」
343 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 00:43:30.51 ID:TpY3MzgXo
今日はここまで
344 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:43:56.71 ID:TpY3MzgXo
ーーー
美渡「たっだいまー」
志満「あ、美渡おかえりー」
美渡「……千歌は?」
志満「部屋にいるわ」
美渡「やっぱ、落ち込んでる?」
志満「美渡も結果見たの?……帰ってきた時は元気そうにしてたけど……多分」
美渡「ま、スクールアイドルもそう甘くはないって事だね、千歌にもいい勉強になったんじゃない?」ガサゴソ
志満「これで辞めるなんて言い出さなきゃいいけど……」
美渡「どうだかねー、片付ける部屋とかある?」
志満「じゃあ椿と竜胆にお布団運んでくれる?」
美渡「はーい」
志満「……もう回りくどいんだから」
『勝手に食べていいぞ by美渡お姉様』
345 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:44:39.32 ID:TpY3MzgXo
ーーー
梨子「……」ボフッ
ルビィ『……終わっ、ちゃった……の?』
梨子「……」
鞠莉『17位……』
梨子「……」ギュッ
果南『……まだ足りなかったみたいだね……』
梨子「……」
花丸『……あんなに頑張ったのに……』
梨子「……」ズキッ
善子『……清々しいくらい、ぼろ負けね……』
梨子「……」
ダイヤ『……仕方ありませんわ……』
梨子「……」
曜『……悔しい……』
梨子「……」グスッ
千歌『……やっぱりそんなに甘くないよね』
梨子「……」
346 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:45:22.53 ID:TpY3MzgXo
コンコン
母「……梨子?」ガチャッ
梨子「……なに?」ゴシゴシ
母「……残念だったわね」
梨子「うん……他のグループの方がずっと上だった」
母「……隣座ってもいい?」
梨子「……うん」
母「……お疲れ様」ナデナデ
梨子「……」
母「今日はゆっくり休んで、また明日から頑張りましょう?」
梨子「うん……」
母「……」
梨子「……」
347 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:47:19.44 ID:TpY3MzgXo
母「……昔ね」
梨子「……?」
母「梨子が初めてピアノのコンクールに出た時」
梨子「……うん」
母「その時は入賞も出来なくて、梨子は昔から負けず嫌いなところあるから、すっごく泣いててね」
梨子「……」
母「お母さんもお父さんもいっぱい頑張ったねって慰めたことがあるの」
梨子「うん……」
母「でも、その時にね梨子が『私、前より一番上手に弾けたよ』って泣きながらだけど誇らしげに言ったの」
梨子「……!」
母「ただ勝ち負けに拘るんじゃなくて、自分の出来ることに自信を持てる梨子が、お母さん凄く嬉しくてね」
梨子「……出来ることへの自信……」
母「それで今日のみんなの……梨子のステージをテレビで見て思ったの」
梨子「……?」
348 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:48:14.36 ID:TpY3MzgXo
母「誰よりも楽しそうに踊るみんなは、きっとまだまだ成長出来るって」
梨子「……」
母「梨子が中学生でピアノコンクールの最優秀賞を取れたみたいに、Aqoursももっと大きくなれるって」
梨子「……」
母「時間は沢山ある訳じゃないんだろうけど、4月から始めて、ここまで来れたんだもの」
梨子「……」
母「お母さんは今からもう冬の大会が楽しみよ♪」ナデナデ
梨子「……うん」
母「まだ思い出せなくても大丈夫、悔しい思いをしてもやって来たことを誇れる強さは梨子の心がちゃんと覚えてる」
梨子「こころ……」ギュッ
349 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:48:42.01 ID:TpY3MzgXo
母「貴女が産まれた時からずっと見てきてるお母さんにはちゃんと分かるわ」ポンポン
梨子「……うん」
母「……♪」ナデナデ
梨子「……ありがとう、お母さん」
母「ふふっ、今日は梨子の好きなものを作ってあるから、それ食べて、また明日からみんなで頑張れ♪」
梨子「……うん!」
350 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:49:28.19 ID:TpY3MzgXo
ーーー
梨子「流石に早すぎたかな……」ガラッ
ダイヤ「あら、随分遅かったですね」クスッ
梨子「ダイヤさん……!?」
ルビィ「あっ!梨子先輩♪おはようございます♪」
梨子「ルビィちゃんも……」
果南「ただいまー」
花丸「はぁ……はぁ……あ、朝からこんなに走ってるなんて……」
曜「やっぱり朝走ると気持ちいいなぁ♪あっ、梨子ちゃんおはよー♪」
梨子「果南さんに曜さん、マルちゃんまで……」
351 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:50:21.17 ID:TpY3MzgXo
ガラッ
善子「ふわぁぁ……って、いっぱいいるし……」
梨子「よっちゃん……」
鞠莉「さーて、どこに隠れてようかしらー♪」ジャーン
ダイヤ「隠れるとは?」
鞠莉「oh……遅かった……」
梨子「鞠莉さん……」
善子「なによ、みんな考えること一緒じゃない」
ルビィ「そうみたいだね♪」
果南「あとは千歌だけだけど……」
ダイヤ「真っ先に来てると思ってたんですけどね」
352 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:51:01.01 ID:TpY3MzgXo
ガタッ
鞠莉「何っ!?」
花丸「ロッカーから?」
曜「……まさか」
ガチャッ
千歌「……zzz」
ルビィ「……寝てるね」
ダイヤ「もしかして私達より先に来て隠れてたと……?」
花丸「そういう事みたい……」
梨子「……千歌さん」トントン
千歌「……zzz」
梨子「千歌さん!」
千歌「っふぇあ!?」ビクッ
353 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:51:34.40 ID:TpY3MzgXo
果南「あーあー涎垂れてるし」クスクス
千歌「はれぇ?……みんな?」ゴシゴシ
善子「練習始めるわよ」
千歌「……えっ!?みんな来ちゃったの!?」ガタッ
ダイヤ「当たり前ですわ」ヤレヤレ
千歌「えー……せっかく驚かそうと思ったのにぃ……」
鞠莉「ちょっとチープだったわねー♪」
梨子「隠れる気満々だった鞠莉さんが言います?」
鞠莉「な、何のことかしらー」
354 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:52:18.08 ID:TpY3MzgXo
花丸「何からする?」
ダイヤ「まずは冬のラブライブに向けてこれからどうしていくか話しましょうか」
曜「ルビィ先生の出番だね!」
ルビィ「任せてくださいっ!」フンス
千歌「……」ポカーン
鞠莉「新曲を持ってきたから後で聴いてくれる?」
花丸「分かりました!」
果南「夏休み終わった後も含めて、練習プランも練り直さないとね」
善子「あんまりハードなのはやめてよ?」
果南「えー」
355 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:52:51.91 ID:TpY3MzgXo
千歌「……みんな」
ルビィ「ほら千歌ちゃん♪」
ダイヤ「いつまで惚けてるんですか?」
果南「夏休みもまだ半分あるしね」
曜「早く始めようよ!」
花丸「やらなきゃいけない事がいっぱいあるズラ!」
鞠莉「止まるわけにはいかない、でしょ?♪」
善子「やらないなら帰るわよー?」ニヤッ
梨子「千歌さん、お願い♪」
千歌「……うん!」
千歌「じゃあ今日も……Aqoursの練習始めるよ!」
356 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:53:30.56 ID:TpY3MzgXo
ーーー
善子「これ何インチよ……」
鞠莉「75くらいだったかしら」
花丸「マルよりおっきいズラ〜……」
果南「そろそろ始まるよー」
曜「……この感じ……ポップコーンが欲しくなる!」
ダイヤ「映画じゃないんですから……」
千歌「……」ソワソワ
梨子「本当に最初から最後まで生中継なの?」
果南「そう、書いてあるけど」
善子「断言するわ、私途中で寝る」
ルビィ「みんな静かに!」
357 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:54:29.33 ID:TpY3MzgXo
TV『ーー8月も最終週!夏の暑さに負けない盛り上がりがやって参りました!皆様お待ちかね、第七回ラブライブ!!』
千歌「始まった……!」
TV『全国を勝ち抜いた総勢40組のスクールアイドルによる頂上決戦!』
鞠莉「……」
TV『全てのスクールアイドルの頂点に立つのは一体どのグループなのかっ!』
ダイヤ「……」
TV『日本中が注目する中、アキバドームのステージにスクールアイドルが集結します!』
ルビィ「まさにそうそうたる顔ぶれだね……」
善子「いや、分かんないし……」
『前回優勝者により、優勝旗が返還されます! 』
果南「これがν-tral?」
ルビィ「はい」
梨子「……っ」ズキッ
358 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:55:19.48 ID:TpY3MzgXo
『第一回優勝者にして、公式サポーターでもありますA‐RISE綺羅ツバサさんより、開会の挨拶です!』
鞠莉「私達も優勝すればプロアイドルになれるのかしら?」
曜「μ'sがプロになってないし無理なんじゃない?」
ルビィ「そもそもラブライブ優勝経験のあるプロアイドルはA‐RISEだけだよ」
千歌「そうなの?」
ルビィ「うん、あとテレビに出てる人はμ'sの矢澤にこさんがマルチタレントとして出てるくらいかな……」
鞠莉「そう簡単にはいかないのね」
ルビィ「もちろんプロとしてデビューするチャンスはぐっと上がるけど、それでもプロとしてやっていくのはスクールアイドルよりもずっと難しいんだと思う」
TV『ーーエントリーナンバー1!雨にも負けず風にも負けず、三度目の本戦出場!悲願の優勝なるか!岩手県花巻市立ーー』
359 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:55:51.60 ID:TpY3MzgXo
ーーー
曜「1、2、3、4、1、2、3、4、おっけー」
果南「チェックするよー」
千歌「どれどれ〜?」
ダイヤ「果南さんは少しここの振りが大きいので、もう少しコンパクトにしてもいいのでは?」
果南「あー確かに、次ちょっと気を付けるよ」
曜「あっ、ここちょっとズレてない?」
ルビィ「あっ、ルビィがちょっと早いかも……」
千歌「後でそこだけ合わせてみよっか」
ルビィ「うんっ」
花丸「……頭痛、大丈夫?」
梨子「……うん、ごめんね」ズキッ
鞠莉「あまり酷いようなら病院行ったほうが良いんじゃない?」
梨子「うん……」
善子「明日から二学期も始まるし、ライブだって控えてるんだから、無理しないでよ?」
梨子「うん……」ズキッ
360 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:56:29.70 ID:TpY3MzgXo
ーーー
医者「あくまで痛みを和らげる為の薬だから、あまりにも酷くて動けない時に服用してくださいね」
梨子「はい……」
医者「激しい運動よりもストレッチや軽い体操を中心にしてもらったほうが改善に繋がると思いますから、焦らずゆっくり様子を見ましょう」
梨子「はい……ありがとうございました」ペコリ
梨子「……」
梨子「……これから頑張らなきゃ駄目なのに……何してるんだろ……私……」ズキッ
361 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:57:02.47 ID:TpY3MzgXo
ーーー
梨子「……」トボトボ
梨子「……あっ」
梨子「第七回ラブライブ特集……ν-tral、二度目の優勝……」ペラッ
梨子「……約束……守れない、のかな……」ボソッ
梨子「……」ピタッ
梨子「あれ……約束……?私何言ってるんだろ……」ズキッ
梨子「だめだめ、帰って休まなきゃ……頭痛いからってネガティブになっちゃだめよ……」トボトボ
362 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:57:39.89 ID:TpY3MzgXo
ーーー
千歌「梨子ちゃんお疲れ様っ!今日は調子良さそうで良かった♪」
梨子「うんっ!ライブ楽しみだったから、ちゃんと整えて来たよ♪」
善子「松浦先輩とマリー、歌詞間違えてなかったー?」ニヤッ
果南「げっ、バレてた……」
鞠莉「そういうのもライブの醍醐味なんだからいいじゃない♪」
ダイヤ「完璧にしろとは言いませんが、開き直るのはどうかと」ヤレヤレ
ルビィ「善子ちゃん!この間のPVは評判どう?」
善子「えっ?あー、うん、上々よ」
花丸「ランキングはどうズラ?」
善子「えっ、まぁ、ランクはイマイチかな、見てくれる人は格段に増えてるけどね」
曜「コメントは?いっぱい来てる?」
善子「コメント……うん、まぁ、いつも通り……大丈夫……ごめん、ちょっとお手洗い行ってくる」
曜「……?」
ルビィ「善子ちゃん……?」
363 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:58:22.10 ID:TpY3MzgXo
ーーー
梨子「……」
ガタッガタッバンッ
梨子「……まだ入っちゃだめー?」
ダメー!
梨子「はーい……何やってるんだろう……」
鞠莉「あれ?梨子っち、ドアの前で何してるの?」
梨子「あ、鞠莉さん……それが中に入るなって言われて」
鞠莉「……ははーん、なるほどね♪」
梨子「そういえば、その大きな箱なんですか?」
鞠莉「イッツァシークレッツ♪ちょっと通してくれる?」
梨子「あ、はい」
364 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:59:03.38 ID:TpY3MzgXo
鞠莉「はぁい♪マリーのとうちゃーーきゃぁっ!?」
梨子「ひっ!?鞠莉さんが部室に吸い込まれちゃった!?」
オソイデスワッ
ソーリーソーリー♪
ドコオイタズラー!?
ソッチニナイノ!?
梨子「……」
梨子「……まだかなぁ」
バァンッ
梨子「っ!?」ビクッ
千歌「おまたせ!」
梨子「あ、もう入ってもーー「そいやっ!」ガバッ
梨子「きゃっ!?何っ!?何被せたの!?紙袋!?見えないよっ!?」アワアワ
千歌「外しちゃダメだよ!足元気を付けてね」
梨子「気を付けるも何も見えないんだって……」
千歌「梨子ちゃん、ここ、椅子あるから座って」
梨子「い、椅子?えっと、これ?」
千歌「じゃあ紙袋取るよー」
バッ
365 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/12(木) 23:59:45.27 ID:TpY3MzgXo
梨子「一体何を……」
8人「ハッピーバースデー!!」
梨子「えっ……と……」キョトン
曜「18歳のお誕生日おめでとう梨子ちゃん♪」
鞠莉「19日なのはもちろん分かってるんだけど、平日じゃない?」
梨子「え、えぇ……」
ルビィ「だからちょっと早いけど今日お祝いしちゃおって、みんなで話してたの♪」
梨子「そう、なんだ……」
果南「うーん……あんまり嬉しくなかった?」
梨子「あ、いえ……そういう訳じゃなくて……」
善子「……?」
366 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:00:26.21 ID:cdMjgNrxo
梨子「その……自分の誕生日って実感があんまりなくて……なんて言うか、今の私に取ってはまだ2回目だから……」
ダイヤ「確かにそうですわね……すみません、私達の考えが至らないばかりに」
梨子「あっ、別にお祝いしてもらって嫌だったとかじゃないんですよ?」アワアワ
千歌「じゃあ18歳のお誕生日兼、2歳のお誕生日ってことで!」
花丸「いや、それはなんだかおかしい気がする……」
梨子「……ふふっ♪」
千歌「あっ、笑われた!?一応真面目に考えてるつもりなんだよー!?」ガーン
梨子「ごめんなさい♪」クスクス
鞠莉「まぁまぁ細かい事は気にしないで♪とにかくバースデーパーティーを楽しみましょう♪」
曜「賛成ー!」
梨子「うんっ♪みんなありがとう♪」
367 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:01:22.02 ID:cdMjgNrxo
ーーー
千歌「沖縄と言えばー?」
曜「海ー!」
梨子「また海……?」
曜「はぁ……分かってないなぁ梨子ちゃん、沖縄の海は沖縄の海という特別なものなんだよ……」ポンポン
梨子「前にも聞いたような台詞ね……」
果南「今年は沖縄なんだ、良いなぁ、私も沖縄で泳ぎたかったなぁ」
曜「果南ちゃん、思い出話で我慢してよね」ニシシ
ダイヤ「あの二人の前世は間違いなく魚ですわね」
ルビィ「あはは……」
368 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:02:28.21 ID:cdMjgNrxo
鞠莉「しゅーがくりょこーかー」ムスッ
花丸「あ、そっか小原先輩、留学してたから……」
鞠莉「そーなのよー……自腹でついて行っちゃおうかしら」
ダイヤ「馬鹿なこと言わないでください」
鞠莉「生徒会長権限でどうにかならないのー?」
ダイヤ「なりません、そもそも私の任期はこの間終わりました」
鞠莉「まだ出入りしてるじゃなーい」
ダイヤ「引き継ぎをしてるんです!」
善子「……」
果南「どーしたの?善子ちゃん、難しい顔して」
369 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:03:09.18 ID:cdMjgNrxo
善子「えっ?あー、私も修学旅行、あんまりいい思い出ないなーって」
花丸「なんで?」
善子「ふふっ……ヨハネがあまりにも崇高過ぎて並び立てる人がいなかったのよ!」ギランッ
鞠莉「ぼっちだったのね」
善子「ぼっち言うなぁ!」
花丸「来年は絶対オラが一緒に回ってあげるズラ!」ギュッ
ルビィ「もちろんルビィも一緒だよっ!」ギュッ
善子「そんな不憫そうな目で見ないで……」シクシク
千歌「というわけで、数日はいないからよろしくね」
梨子「新曲の準備とか諸々任せちゃってごめんね?」
曜「次のライブも近いしね!」
370 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:03:48.21 ID:cdMjgNrxo
ーーー
善子「混沌より出でし反逆の業ーカルマー」
花丸「却下」
善子「じゃあ、魂に刻まれし獄炎の聖痕ースティグマー」
花丸「却下」
善子「えー……じゃあ偽りの楽園に囚われた者達の解放ーリベルタスー」
花丸「さっきから意味不明ズラ……」
善子「ぬぅ……作詞って難しいわね」
371 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:04:38.18 ID:cdMjgNrxo
果南「ここでバク転、よっ!」
鞠莉「いや……無理でしょ」
果南「そう?曜は出来たと思うけど」
鞠莉「貴女達二人くらいしか出来ないわよ」
果南「えー、あっ、じゃあこういうのは?鞠莉そこに立ってて、屈んじゃダメだよ」
鞠莉「バッドフィーリングしかないわ……」
果南「いくよー!」ダッ
鞠莉「ちょっ!?」ビクッ
果南「とうっ!」タンッ
鞠莉「怖っ!」
果南「よっと、こんな感じで跳び箱みたいに……」
鞠莉「出来るわけないでしょ!」
372 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:05:28.04 ID:cdMjgNrxo
ダイヤ「苦戦してるわね」チクチク
ルビィ「今まで千歌ちゃん達が中心になってやってたからね」チクチク
ダイヤ「なんだかんだでいないと困るわね」
ルビィ「でも最初はルビィ達もあんな感じだったし、慣れじゃないかな?」
鞠莉「アクロバティックな動きは禁止!」
花丸「罪とか悪魔とか変な言葉禁止ズラっ!」
ダイヤ「……慣れる以前の問題な気もするけど」
ルビィ「あはは……」
373 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:06:16.91 ID:cdMjgNrxo
ーーー
梨子「……」
善子「煉獄を突き進む翼をもがれた使者ーリトルデーモンーはやがて地上で堕天使と共に新たなるエデンの礎となる……どうよ!」
花丸「りとるでーもんズラぁ……」フラフラ
梨子「マルちゃんの心が折れてる!?しっかりしてー!」アワアワ
果南「よっ!」クルンッ
曜「ほっ!」クルンッ
果南「バッチリだねっ!」
曜「流石果南ちゃんだねっ!」
鞠莉「貴女達、とりあえずそこに正座して」
374 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:06:42.74 ID:cdMjgNrxo
ダイヤ「……いかがですか?」
千歌「……衣装だけでも進んでることを良しとしよう!」
ルビィ「もしかしたら次のライブは既存曲でなんとかするしかないね……」
千歌「果南ちゃーん!そんなの私出来ないからー!」
ミッカアレバデキルッテー!
千歌「出来ないしっ!」
375 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:07:43.04 ID:cdMjgNrxo
ーーー
花丸「はろうぃん?」
善子「そ、ハロウィン、秋葉原でやるんだって」
ルビィ「秋葉原!?」
曜「またあの人混みの中に……」
果南「そんなに人凄いの?」
千歌「うん、なんかイベントしてるんじゃないかってくらい人がいたよ」
鞠莉「まぁ、私達が前行った時は実際イベント前日だったんだけどね」
ルビィ「ハロウィン……秋葉原……はっ!」
ダイヤ「どうかしたの?」
ルビィ「まさか!ちょっと待って!善子ちゃん、パソコン!」
善子「持ってきてないわよ」
ルビィ「今日も?もう……えっとそのイベントは……」ケンサクケンサク
梨子「……」
376 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:08:28.75 ID:cdMjgNrxo
ルビィ「……出た、これ!?」
善子「あー、うん、それ」
鞠莉「なーに?知ってるの?」
ルビィ「これ、μ'sやA‐RISEも過去に出演したハロウィンパレードなの!」
千歌「うそっ!?」
果南「じゃあ凄いイベントってこと?」
ルビィ「うんっ、年々規模が拡大して、今では秋葉原駅周辺を始めとするかなりの広範囲で開催されるの!去年も30組以上が出演したり、周辺のお店もほとんどがパレードに合わせてハロウィン仕様だったり!」
曜「協賛の数がとんでもない……」
花丸「これも大会ズラ?」
ルビィ「ううん、これは特に投票とかもないの、ステージも道路を通行止めにしただけ」
377 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:15:28.75 ID:cdMjgNrxo
果南「なかなか豪快なイベントだねー」
ダイヤ「私達がそれに呼ばれた……と」
ルビィ「私達の出番は最終日!これもμ'sやA‐RISEと同じ!」
善子「なんかルビィの気合い入り過ぎじゃない?」ボソッ
曜「多分μ'sとかA‐RISEと同じっていうのがそうさせてる」ボソッ
ルビィ「やるよみんな!」ガタッ
千歌「えっ!?」
鞠莉「今日のルビィちゃんは頼もしいわね♪」
ダイヤ「暴走してるだけでは……」
梨子「……っ」ズキッ
378 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:17:44.84 ID:cdMjgNrxo
ーーー
曜「ちょっと座らせて……」ガクッ
果南「これ、夏まつりより人多くない?」
花丸「はぐれたら二度と会えなくなりそうズラ……」
ルビィ「みみみ、μ'sと同じ場所で……」ソワソワ
善子「フッフッフ、感じる……感じるわ!この混沌渦巻く都に湧き上がる闇の力が!私に……ヨハネにその翼を広げよと呼びかけている!」ギランッ
ダイヤ「なんですの、アレ……」
千歌「凄く生き生きしてるね……」
鞠莉「まぁ、今日は堂々とあんなファッション出来る状況だからねー……」
379 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:18:18.09 ID:cdMjgNrxo
善子「さぁ!立ち上がりなさい我が使徒、リトルデーモン達よ!間も無く黄昏の聖戦の角笛が吹き鳴らされるわ!」バサァッ
花丸「もうすぐ始まるから準備しようだって」
ダイヤ「よく分かりますわね……」
花丸「何となく慣れてしまってる自分がいるズラ……」
ダイヤ「ご苦労様ですわ……」
梨子「……」
千歌「梨子ちゃん大丈夫?」
梨子「えっ?えぇ……」
千歌「なんだかずっと顔色悪いけど……」
梨子「大丈夫、出番になるまでに落ち着くと思うから……」
千歌「……」
380 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 00:19:29.72 ID:cdMjgNrxo
今日はここまで
381 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 22:55:21.46 ID:cdMjgNrxo
ーーー
オーラーイ
ユックリー
オケーイ
イイヨーアゲテー
9人「お疲れ様でしたー」
千歌「いやぁ楽しかったー♪」
曜「うーん、踊るとなんかスッキリするね♪」ノビー
ダイヤ「たまにはこういったイベントも良い刺激になりますわね」
鞠莉「普段と違って一体感みたいなのがあるからね♪」
ルビィ「はぁぁ♪ルビィはとにかくμ'sやA‐RISEの立った舞台に上がれただけで満足ぅ♪」ルンルン
花丸「オラにぱそこんの知識があれば昔の動画も観れるのになぁ……気になるズラぁ……」
善子「それくらいすぐ覚えられるわよ……」
382 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 22:55:51.65 ID:cdMjgNrxo
果南「内浦でもこういうイベントやれば人集まったりしないかなぁ?」
ルビィ「うーん、こういうのは東京とかの方が豪華だったりするからどうなんだろぉ……」
曜「飾り付けとかも凄いもんねー」
善子「その分、片付けが大変そうだけどね」
ダイヤ「明日にはまた通常営業に戻られるでしょうからね」
花丸「そう簡単にはいかないよねぇ……」
ミシッ…
善子「ん……?」
383 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 22:56:32.94 ID:cdMjgNrxo
ギギギ…
千歌「善子ちゃんどうかしたー?」
善子「あ、いや、なんか砂みたいなのが降ってきてーー」
ギギ…バキィッ!
梨子「っ!!」ダッ
鞠莉「梨子っち!?」
果南「善子ちゃん!!」
善子「えっーー」
梨子「ーーーー!!」
ガッシャァァン!
384 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 22:57:42.95 ID:cdMjgNrxo
ナンダー!?
ゲートガクズレタゾー!
花丸「……えっ……」
ルビィ「善子ちゃん!!」
ダイヤ「ルビィ、待ちなさい!」ガシッ
ルビィ「だって善子ちゃんが!!梨子先輩がっ!!」
「君達、危ないから離れて!」
果南「あのっ!私達の友達がーー千歌っ!」
「君っ!待ちなさい!」ガシッ
千歌「嘘だっ!善子ちゃん!梨子ちゃん!」ジタバタ
「誰か手貸して!女の子がいる!救急車も!」
曜「あっ……」ゾワッ
鞠莉「……離れてましょう」グイッ
ルビィ「嫌だ……やだやだやだ……」ギュッ
ダイヤ「……っ」ギュゥッ
果南「……ダイヤ、みんなのことお願い」ダッ
花丸「か、果南さん!?」
385 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 22:58:30.42 ID:cdMjgNrxo
「貴女、大丈夫?立てる?」
善子「だ、大丈夫です……ちょっと擦りむいただけで」ヨロッ
「君っ、おいっ、しっかり!聞こえてる!?」
梨子「……」グッタリ
善子「リリー……?」
「呼吸確認、脈拍……大丈夫、担架!急いで!」
「気を失ってる、頭を打ってるかも、気をつけて、1、2、3!」
梨子「……」グッタリ
善子「リリー……!リリー!」
「落ち着いて、彼女はきっと大丈夫だから、貴女も念のため病院に」
善子「は、はい……」
果南「善子ちゃん!」
善子「松浦先輩!?」
386 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:00:15.01 ID:cdMjgNrxo
果南「善子ちゃん、大丈夫?怪我は!?」
善子「私はちょっと擦りむいただけ……でも……」
果南「……梨子ちゃんは……?」
善子「先に救急車で……気を失ってて……」グスッ
「貴女お友達?」
果南「はいっ!」
「念のためにこの子を今から病院へ送りますね」
果南「私も付き添います」
「分かりました、貴女歩ける?」
善子「は、はい、大丈夫です……」
果南「……もしもし?ダイヤ?私、今から二人の病院に付き添うから……善子ちゃんはちょっと怪我してる」
善子「……」
果南「梨子ちゃんはまだ分かんない……うん、善子ちゃんの家と梨子ちゃんの家に連絡入れてくれる?うん、ありがと、みんなは先に内浦帰ってていいから、病院の場所は後で送る」
387 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:00:47.60 ID:cdMjgNrxo
ーーー
果南「本当に申し訳ありませんっ!」
善子「ごめんなさい……っ」
母「二人共、顔を上げて、みんなのせいじゃないんだから」
善子「でもっ、私がぼんやりしてたせいで……」グスッ
果南「私がもっと早く気付いてたら梨子さんがこんな目に合わなくて済んだんです……」
母「大丈夫、大丈夫だから、ね?そんなに自分を責めないで?」
果南「はい……」
善子「……」グスッ
388 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:01:36.38 ID:cdMjgNrxo
父「あ、いたっ、梨子は!?」
母「お父さん、梨子はまだ……でも命に別状はないそうよ」
父「っ……そうか、良かった……君達は?」
果南「梨子さんと同じ学校の松浦果南といいます」
善子「津島善子……です」グスッ
母「彼女達と一緒にいた時に事故にあったみたいで……」
父「そうか……君達は怪我は?」
果南「私は何も……」
善子「先輩が助けてくれたから……少し擦りむいたくらいで……」
389 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:02:15.41 ID:cdMjgNrxo
父「梨子が……助けた……?」
母「そう……みたい」
父「それじゃ、梨子は……」
母「ううん、そうじゃないみたい……」
父「……そうか……それなのにあの子は全く……人の事ばっかり考えて……」
果南「あの……すみません……一体何の話ですか……?」
父「あぁ、すまないね、こちらの話ばかりして、君達梨子の事情は?」
果南「本人から記憶喪失だという話は……」
母「あまり人に話す話ではないのだけど……実はね、あの子の記憶喪失の原因はーー」
390 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:02:50.85 ID:cdMjgNrxo
ーーー
母「梨子!」
梨子「あ……お母さん……」
母「良かった……もう、心配したんだから」ギュッ
梨子「ごめん……なさい……」
母「ここ、どこか分かる?ちゃんと覚えてる?」
梨子「うん……さっき先生から聞いたし……なんでここにいるかも分かってる」
母「良かった……」
梨子「……みんなは?」
母「内浦で梨子の事待っててくれてるわ」
梨子「……ナナは?大丈夫だった?」
391 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:03:24.78 ID:cdMjgNrxo
母「……えっ?」
梨子「……?」
母「梨子……今なんて……?」
梨子「ん……?あれ……違う……えっと……」ズキッ
母「梨子……?」
梨子「あ……よっちゃん……善子ちゃんだ……」
母「……津島さんなら大丈夫よ」
梨子「良かった……」
母「梨子……今日が何日か分かる?」
梨子「えっ?うん、さっき教えてもらって……えっと……12月?……違う……11月……ハロウィンのイベントだったから」ズキッ
母「梨子……」
392 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:03:54.88 ID:cdMjgNrxo
梨子「あっ、先生が今日と明日は様子を見て、明後日には退院出来るって」
母「そう……じゃあお母さんも先生とお話ししてこなきゃね」
梨子「うん、心配かけてごめんなさい……」
母「いいのよ、貴女が無事ならそれで、じゃあ無理しないでね」ナデナデ
梨子「うん」
ガラッ
梨子「……痛っ」ズキッ
梨子「……頭が……割れ、そう……っ」ギュッ
393 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:04:25.49 ID:cdMjgNrxo
ーーー
千歌「だめなのだ!」
梨子「えっ?」
ダイヤ「病み上がりなんですから大人しくしててください」
梨子「でも……冬のラブライブもあるし……」
曜「だからだよ、練習したい気持ちも分かるけど、まだ本調子じゃないでしょ?」
梨子「でも……」
善子「じゃあヤモリの干物食べる?」スッ
梨子「……大人しく休んでます」
花丸「なんでそんなもの持ち歩いてるズラ……」
善子「私がヨハネだからよっ!」ギランッ
394 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:05:17.20 ID:cdMjgNrxo
ルビィ「梨子先輩♪歌の練習は一緒にしようね♪」
梨子「うん、ありがとう♪」
果南「じゃあ行ってくるね、こっそりついてきたりしたらダメだよ」
梨子「果南さんじゃあるまいし、そんなことしません」
果南「ちょっとどういう意味ー!?」
鞠莉「梨子っち分かってるー♪」
果南「鞠莉まで!」
梨子「ふふっ♪」
梨子「さて……じゃあ何してよっかな……」キョロキョロ
梨子「……先に音楽室で歌の練習でもしてよっかな」
395 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:06:08.70 ID:cdMjgNrxo
ーーー
梨子「……」
梨子「……ピアノ」スッ…
ポロンッ…
梨子「……あ……」ゾワッ
梨子「いっ……つぅ……」ズキズキッ
梨子「はぁ……はぁ……」
梨子「……」グスッ
396 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:06:51.77 ID:cdMjgNrxo
ーーー
千歌「おーい梨子ちゃーん」
花丸「しんどくて帰っちゃったとかかな?」
曜「それなら何か言ってくれると思うけど……」
ルビィ「……?」ピクッ
鞠莉「……ん?」キョロキョロ
果南「どうしたの二人共」
ルビィ「なんか聞こえない?」
ダイヤ「……?」
千歌「……あっ」
397 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:09:28.95 ID:cdMjgNrxo
善子「……これ、ピアノ?」
果南「誰か弾いてるのかな?」
花丸「……っ!」ダッ
ルビィ「思い出した!START:DASH!!だよっ!」ダッ
ダイヤ「ちょっと、校舎内で走らない!」
曜「何っ!?」ダッ
鞠莉「いいから!」ダッ
千歌「……!」ダッ
果南「二人共置いてくよ♪」ダッ
善子「あっ!そういうこと!?」ダッ
ダイヤ「もう!」ダッ
398 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:10:41.56 ID:cdMjgNrxo
ーーー
ガラッ
ルビィ「はぁ……はぁ……!」
花丸「あっ……!」
果南「……!」
〜♪〜♪
鞠莉「嘘っ……」
善子「まさか……」
曜「すごい……」
梨子「……♪」
ダイヤ「……優しい音」
千歌「うん……分かるよ……梨子ちゃんの音だ……」
399 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:11:45.29 ID:cdMjgNrxo
梨子「……弾けた」
パチパチパチパチ
梨子「……!?」ガタッ
千歌「梨子ちゃぁんーーうぐぇっ!?」
果南「すぐ抱きつかないの」グイッ
鞠莉「ビューティフォー♪」
ダイヤ「素晴らしい音色でしたわ」
梨子「み、みんないつから!?」
ルビィ「少し前から♪」
花丸「うぐっ……感動的な曲じゅらぁ」ズビッ
善子「えっ、泣き過ぎでしょ!?」ビクッ
400 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:13:18.45 ID:cdMjgNrxo
梨子「……私……私ね……」ウルッ
鞠莉「梨子っち……」
梨子「ずっと弾いてなかったから……全然指が動かなくってね……本当はもう少し上手に弾けたんだけど……」ゴシゴシ
ダイヤ「……」
梨子「頭も痛くって……集中も出来なくて……人に聴かせてあげられるような出来じゃないし……」ゴシゴシ
ルビィ「……」
梨子「でもっ……でも……」グスッ
曜「梨子ちゃん……」
梨子「私……ピアノが好きなの……」ポロポロ
善子「っ……!」
梨子「私……ちゃんと覚えてた……ぐすっ……好きなこと……少しだけど……思い出せた……!」
401 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:14:23.09 ID:cdMjgNrxo
千歌「……梨子ちゃん」ウルッ
梨子「ぐすっ……ごめんな、さい……」ゴシゴシ
千歌「もっと聴きたいな!」
梨子「……えっ?」
千歌「もっと……もっと私達に聴かせてよ!梨子ちゃんの好きな音!」
ルビィ「ルビィも聴きたい!」
鞠莉「これで作曲家マリーは引退ねー♪」
果南「元々梨子ちゃんが書いた曲が土台でしょー」
梨子「でも……まだ全然……」
ダイヤ「上手い下手は関係ありませんわ」
善子「そうね、上手い曲が聴きたいんじゃなくて、リリーの曲が聴きたいわ」
花丸「オラも……じぇんぱいのぎょく……ひぐっ……きぎだいじゅらぁ……」スビッ
曜「マルちゃん……梨子ちゃんより泣いてる……」アハハ…
402 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:15:28.27 ID:cdMjgNrxo
梨子「……どんなに下手でも笑わないでね……」
千歌「うん、笑わないよ」
曜「そもそも上手いとか下手とか分かんないしね」
果南「私も」
ダイヤ「心のこもったものを笑う様な人はここにはいませんわ」
梨子「……ありがとう」
鞠莉「じゃあせっかくだから今日は梨子っちの伴奏で歌のレッスンしましょうか♪」
梨子「えっ!?そ、それはちょっと……!」
花丸「ずびっ……よーし、全員整列!」ゴシゴシ
善子「諦めなさい」ニヤリ
梨子「えっ……えー……もう……」
403 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:16:24.63 ID:cdMjgNrxo
ーーー
鞠莉「お待ちかねの新曲よー♪」
果南「あれ?作曲家マリーは引退したんじゃなかったの?」
鞠莉「ノンノン♪今回はなんと梨子っちが作ったのよー♪」
花丸「いつも桜内先輩の作った曲なんじゃ……」
鞠莉「まぁね、ただ今回のは未完成だったのを梨子っちが新しく作り直したのよ」
曜「ホントに!?」
梨子「うん……まだ技術的に不安だったから打ち込みを鞠莉さんにお願いしたけど」
千歌「聴きたーい!」
鞠莉「じゃあ流すわよー」
〜♪
ルビィ「わぁ……♪」
ダイヤ「とても良いと思いますわ」
404 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:17:08.66 ID:cdMjgNrxo
梨子「なんか、恥ずかしい……」
千歌「難しいことはよく分からないけど、梨子ちゃんらしい曲だと思う!」
曜「うん!優しくて暖かい気持ちになるね!」
梨子「気に入ってもらえたなら良かった♪」
千歌「これで冬のラブライブは必勝だ!」
果南「また、そんな大口叩いて……」
花丸「作詞するの楽しみズラ〜♪」
ルビィ「善子ちゃん」
善子「ん?」
ルビィ「そろそろ冬のエントリーが始まると思うけど連絡きた?」
善子「んー、まだだったと思うけど来てたらエントリーしておくわ」
ルビィ「えっ……あ、うん」
善子「……」
405 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:18:49.41 ID:cdMjgNrxo
ーーー
善子「ただいまー……」
善子「ふぅ……」
善子「……」カチカチッ
善子「……まただ……」
善子「……」
善子「あとは私が何とかしなきゃ……」
善子「大丈夫……私はヨハネなんだから……」
善子「……」
善子「これ以上……」
善子「……嫌な思いはさせたくないのよ……」ギリッ
406 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:19:32.04 ID:cdMjgNrxo
ーーー
ダイヤ「寒くないんですの?」
果南「ん?んーそんなに」
鞠莉「クシュンッ……これで寒くないとかなんなのよ……」
果南「海の中の方が冷えるし」
ダイヤ「どんな理屈ですか……」
鞠莉「もうウィンターよ!北海道は雪降ってるのよ?」
果南「えー、でもここ降ってないし」
ダイヤ「……もう冬なんですよね」
鞠莉「ダイヤ……?」
ダイヤ「あと3ヵ月もすれば卒業なんですね」
鞠莉「……そうね」
407 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:20:07.67 ID:cdMjgNrxo
ダイヤ「鞠莉さんはどこを受験するんですか?」
鞠莉「しないわよ?」
果南「えっ?」
鞠莉「だってもう大学決まってるし」
ダイヤ「どういうことですの?」
鞠莉「あれ?言ってなかった?私留学中に飛び級してるから大学受験終わってるのよ?」
ダイヤ「……聞いてませんが……」
果南「じゃあ本当に浦の星を卒業するためだけに戻ってきたの?」
鞠莉「ええ、だから卒業したらまた向こうに戻るの」
ダイヤ「そう……でしたか」
408 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:20:41.99 ID:cdMjgNrxo
鞠莉「大学卒業したらまたこっちに戻って来るつもりだけどね♪果南は?」
果南「私はそのまま店で働くよ、お父さんも怪我してからあんまり無理出来なくなっちゃったし」
鞠莉「そう……ダイヤは?」
ダイヤ「鞠莉さんと似たようなものですわ、県外に進学してから、家を継ぐために戻って来ます」
鞠莉「そっか」
果南「二人共、ちゃんと戻ってきてよねー、私待ってるから」
ダイヤ「当然ですわ」
鞠莉「意地でも帰ってくるわ」
409 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:21:10.70 ID:cdMjgNrxo
ーーー
千歌「そういえば梨子ちゃん」
梨子「ん?」
千歌「ν-tralの二人にはもう連絡したの?」
梨子「……ううん」
曜「なんで?せっかく記憶戻ってきてるのに」
梨子「まだ断片的にしか思い出せてないし、何か失礼な事とか言っちゃったら悪いし」
千歌「それでいいの?」
梨子「うん……まだあの二人と友達だった実感もなくて……」
曜「そっか……」
梨子「だから、もう少し今のままでいようと思って」
千歌「じゃあその時は私達の事紹介してほしいな!」
曜「そだね!」
梨子「ふふっ♪もちろん!」
410 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:22:11.01 ID:cdMjgNrxo
ーーー
ルビィ「……」
花丸「無限の選択肢が……うーん、ちょっと言葉が堅い気がする……うーん」ブツブツ
善子「……」
ルビィ「善子ちゃん」
善子「ん?」
ルビィ「何か……ルビィ達に隠してない?」
善子「は?何の話よ」
花丸「……?」
ルビィ「……じゃあ最近どうしてパソコン持ってこないの?」
善子「慣れてきたから家で作業するだけで十分だし、なんだかんだ重いしねー」
ルビィ「……本当にそれだけ?」
花丸「……ルビィちゃん?」
411 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:23:27.74 ID:cdMjgNrxo
善子「何が言いたいの?」
ルビィ「夏のラブライブの時はわざわざ千歌ちゃんにエントリーするように言ってたのに、今回は善子ちゃんがエントリーしちゃったよね」
善子「……あれは初めてのエントリーだから花を持たせてあげただけよ、誰がエントリーしたって結局一緒なんだからいいでしょ」
ルビィ「……みんなでランクとかコメントとか見るの楽しかったのに……」
善子「……別にそれぞれアカウント用意して見ればいいでしょそんなの」
ルビィ「……だから見たよ」
善子「……っ」
花丸「あの……何の話ズラ?」
ルビィ「……今までは出来るだけみんなで見たいと思ったから、Aqoursのページは見ないようにしてたけど……善子ちゃんが全然見せてくれないから……ルビィのアカウントで見てみた……」
善子「……あっそ」
ルビィ「……なんでコメント非表示になってるの」
412 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:24:39.86 ID:cdMjgNrxo
善子「……」
ルビィ「……ねぇ」
善子「私あれなのよねー、あれ、画面に文字流れるの嫌いなのよ、だから」
ルビィ「……そんなの見る人が自由に出来るでしょ……」
善子「……そうだっけ、それは気付かなかったわねー」
ルビィ「……」
善子「聞きたいのはそれだけ?私が管理任されてるんだから私の好きにして何か問題ある?」イラッ
花丸「あの……二人とも……」オロオロ
ルビィ「……動画編集とか出来るからって……善子ちゃんに全部任せちゃってるのは悪いと思ってるよ……」
善子「別にいいわよ、そんなの」
ルビィ「でも、だからってルビィ達にまで見せないようにする必要ないよね……」
善子「……だから私が任されてるんだから、私がどうしようと関係ないでしょ!」
ルビィ「あるよ!」
善子「っ……」
413 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:25:14.08 ID:cdMjgNrxo
ルビィ「ルビィ達みんなでAqoursだもん!」
善子「……」
ルビィ「……だから見せてほしい……見てる人がどんな風に思ってくれてるか、知りたいから」
善子「……いやよ」
ルビィ「なんで!」
善子「なんでも」
ルビィ「いやだっ!見せて!」
善子「しつこい!」
ルビィ「なんで見せてくれないの!」
花丸「る、ルビィちゃん落ち着いて」オロオロ
善子「あんなもの見せられるわけないでしょ!」
414 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:26:10.77 ID:cdMjgNrxo
花丸「善子……ちゃん……?」
ルビィ「……」
善子「……チッ」
ルビィ「……やっぱり」
善子「……っ!?」
ルビィ「……ルビィはね、善子ちゃんが思ってるよりずっとスクールアイドル好きなんだよ……」
善子「……」
ルビィ「だから“そういう事”があるのも知ってる……」
善子「……っ」
ルビィ「善子ちゃん……いつもぶっきらぼうだけど本当は優しいのも知ってる……」
善子「……違う」
415 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:27:01.72 ID:cdMjgNrxo
ルビィ「だからルビィ達の事思って、コメントを隠しちゃったんだよね?」
善子「……私は」
ルビィ「でもね、善子ちゃん1人だけで背負ってほしくないな……」
善子「……」
ルビィ「ルビィ達、9人でAqoursなんだから……嬉しいことも嫌なことも9人で感じてたいから……」
善子「っ……」
ルビィ「だから、見せてほしい」
善子「……」
善子「……わかったわ」
ルビィ「善子ちゃん……!」
善子「ただし」
花丸「……?」
善子「まだ……リリーには黙ってて」
416 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/13(金) 23:27:50.33 ID:cdMjgNrxo
とりあえずここまで
417 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/14(土) 02:19:03.01 ID:lr1zRfoSO
優しい堕天使
418 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/14(土) 18:00:00.49 ID:qw1cp76Ho
ーーー
善子「……」
ルビィ「……」ギュッ
果南「なんなのさ……これ……」
ダイヤ「……」
曜「酷い……」
千歌「……いつから?」
善子「ブロック予選の前くらいから……」
花丸「じゃあ夏休みの初めくらいからずっと……?」
善子「うん……毎日じゃないけど……」
千歌「なんで黙ってたの……」
善子「……」
千歌「ねぇ」
果南「千歌、落ち着いて」
千歌「……ごめん」
419 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/14(土) 18:00:42.67 ID:qw1cp76Ho
善子「……大会前だったし……消したりしてたら……すぐに飽きて止めるだろうと思って……」
ダイヤ「それで……一人で抱え込んでいたわけですね」
善子「ごめんなさい……なんとか出来ると思って……」
ルビィ「善子ちゃんが謝る事じゃないよ……」
曜「でもこのままどうするの?」
善子「打てる手は全部打ったつもりだけど……」
千歌「……」
果南「このまま隠し通すつもり?」
花丸「……」
ダイヤ「ここまで来てしまった以上、収まるまではそのつもりでーー」
ガラッ
梨子「誰かいる……の……?」
420 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/14(土) 18:01:23.58 ID:qw1cp76Ho
曜「えっ……」
果南「っ……!」
千歌「梨子、ちゃん……」
梨子「……みんな揃ってなにしてるの……?」
ダイヤ「……っ」
花丸「その……これは……えっと……」
梨子「それ……動画?みんなで見てたの……?」
ルビィ「これは……」
善子「……」
梨子「……なに……こ、れ……」
『ν-tralについていけなかった落ちこぼれ』
『ダブりなのによくスクドルやれるよね』
『ラブライブ出れなかったらまたダブって転校してそう』
421 :
◆sHtux8fZAE
[saga]:2018/07/14(土) 18:02:44.01 ID:qw1cp76Ho
果南「あのね、梨子ちゃん……」
善子「ごめんなさい!」
梨子「……」
善子「私がもっと早くちゃんと対処出来てたらこんなことにはならなかったの……だから……ごめんなさい……」
梨子「……」
ダイヤ「桜内さん……」
梨子「……あっ、わ、私……忘れ物取りに来たんだった……」フラフラ
ルビィ「あのね梨子先輩!」
梨子「良かった……やっぱりここにあった……」
曜「梨子ちゃん……」
梨子「……じゃあ、私、先に帰るね……」
千歌「梨子ちゃん!」
梨子「……ごめんなさい……少し、1人になりたいから……」
千歌「ぁ……」
梨子「……っ」ダッ
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