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【ラブライブ!】魔法少女 ほのか☆マギカ
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179 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/10/29(月) 03:09:08.41 ID:KfDOYE640
本当に機会は巡ってきた。きっかけが欲しいと願ったものの、特に何事もなくライブを行うファッションショーの会場へ着いた。
ライブに向けて、楽屋で準備を始めた時だった。可愛い服を着たモデルやアイドルを見て、より機会を待つ気持ちが高まっていた時、それは起こった。
自分の衣装はそこだと言われ、カーテンを開くと――あのドレスがあった。花陽が着るはずの衣装。つるつるとしたきれいな布。伸びた腰ひもは天使のようだ。
花陽「凛ちゃんは可愛いよ!抱きしめちゃいたいくらい可愛いよ!」
180 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/10/29(月) 03:10:04.98 ID:KfDOYE640
そして、大好きな幼馴染と、大好きな友人と、背中を押され、憧れを手の中に収めた。
その日みた景色は夢のようで、ずっと見たかったものだった。小さなステージとたくさんのギャラリー。テレビや雑誌の取材も来てるんだって。すべてのものがキラキラと輝いて見えた。
凛「いっちばん可愛い私たちを――見ていってください!」
凛、かわいくなれたかな。変じゃないかな。最初浮かんだ疑問はすぐに消し飛んでしまった。かよちんがそう言ってくれるなら。きっとそうに決まってる! だから、なりたい自分になっていいんだって。そう思えた。
181 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/10/29(月) 03:13:17.23 ID:KfDOYE640
翌日。
凛「うん、うん。じゃあ、いつもの公園で。えへへ、ありがとね、かよちん!」
凛は笑いながら電話を切った。ファッションショーの翌日。凛は花陽と街に出かける約束をしていた。今日の目的は、普段のボーイッシュなものとは違った、かわいい練習着を買うこと! それから、雑貨屋さんに行って、可愛いパフェを食べに行って……やりたいことがたくさんある!
箪笥に押し込んだピンクのワンピースを取り出した。どうにか勇気を出して買ってみたものの、結局着ることはできなかった。何度か部屋の中でこっそりと体に合わせてみたが、どうしても自分には合わないとすぐに片づけていた。
でも、それは昨日まで。今日からは、堂々とこのかわいい服を着て歩くんだ。
182 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/10/29(月) 03:14:43.51 ID:KfDOYE640
昨日、花陽と真姫、絵里とにこが励ましてくれた言葉がたくさん。たくさん。だから、たまに不安になっても大丈夫。四人の言葉の中でも、花陽の言葉は暖かくて、それさえあればずっと大丈夫だと思えたほどだ。
ワンピースに袖を通す。これを買ったときは、少しでもシンプルなものと思って選んだが、今改めて見ると少し物足りない気もした。
小さな鞄に財布と携帯と他に必要なものを詰め込むと、家を出た。
公園に付くと、花陽はすでに凛を待っていた。いつもの小さいベンチで、スマートフォンを触っている。かよちん、びっくりするかな、なんて思いながら。
凛「かーよちん!」
183 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/10/29(月) 03:16:28.49 ID:KfDOYE640
顔を上げた花陽はすぐに表情を綻ばせた。凛に駆け寄るとぎゅっと抱きしめる。暖かい。いい匂いがする。ほんのり花陽の頬がピンク色になった。
花陽「はぁ〜! 凛ちゃんすっごくかわいいよ! そのお洋服どうしたの?」
凛「ありがとにゃ……! このお洋服はねー。結構前に買ったんだけど、なかなか着れなくて」
花陽「そっか……でも大丈夫だよ、凛ちゃん。すごく似合ってる。すごく可愛い」
きゅうっと凛の顔が赤くなる。紅潮したほほを見られないよう、顔を背けて「いこっ」と花陽の手を引いた。
184 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/10/29(月) 03:17:58.10 ID:KfDOYE640
風に揺れるスカートも、きれいに整えた髪の毛も、暖かい花陽の手も、全部嬉しくて。未来のことを考えると、期待が高まって、胸が熱くなっていく。
凛「ねえ、かよちん」
花陽「どうしたの?」
凛「大好きにゃ!」
どうしても大好きだって言いたくなっちゃった!
◆ ◆ ◆
そして、奇跡はくるりんと簡単に、無情にも転覆した。
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/29(月) 06:14:53.45 ID:xpe7GpZsO
希居なくなったのに普通にライブしてんのか
全員サイコパスだな
186 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/11/08(木) 00:25:26.43 ID:dgZfX2OD0
ハロウィンライブの案がなかなか決まらず、練習が少し早めに終わった日の事。凛と花陽は近所の公園へ向けて歩いていた。
本当は真姫も一緒の予定だったのだが、どうしても次の模試に向けて先生に質問をしたいらしい。ここ最近成績が落ちてきているんだとか。無理もない……と思う。地区予選の帰りから本当にいろんなことがあったから、勉強が手につかなくても仕方ないよね。
少し長くなるかもしれないとのことで、二人は先に公園に向かうことにした。今日はもう練習がないので少し公園でジュースでも買って駄弁ってから帰るという約束だ。しばらく一緒にいれば、真姫ちゃんも落ち着くかな?
二人が公園に着くと、人気は少なく、サッカーで遊んでいる近所の公立高校の制服を着た男子生徒が三人いるだけだった。
遊んでいた男子達はボールを手に取ると、こちらを見ながら小声で話を始めた。少し変な空気だった。それこそ悪い予感というべきか。
187 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/11/08(木) 00:30:14.49 ID:dgZfX2OD0
男子A「おい、やっぱり星空じゃねえか」
嫌な記憶がじわりと膨れる。振り向いちゃだめだという根拠のない警鐘。でもそれは正しかった。ここで振り向かずに走り出していたら、何か変わったのだろうか。
凛「ひ、久しぶりだにゃ……」
逃げ出したい気持ちと、少しの勇気を胸に男子生徒を見上げた。三人の男子高校生は小学生の頃、いつも凛を男みたいだとからかっていたグループだ。彼らとは学区の関係で中学校に入るまでの付き合いだった。それでも、言葉によって傷つけられた心はもとには戻ってはいない。
制服のスカートをはくことにだってなかなか慣れなかった。私服のスカートは全部捨てた。彼らと会うことがなくなって三年たっても、その心はつい最近まで残っていた。
男子A「それにしても……お前がスクールアイドルねえ」
188 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/11/08(木) 00:35:48.89 ID:dgZfX2OD0
凛「し、知ってたんだ……?」
男子生徒はしみじみと呟く。少しだけ期待しながら彼らを見た。凛だって変われたんだ。もうあの時の凛じゃない。だから、もうバカにされないかな? 女の子らしかったって言ってくれるかな?
そんな期待は打ち砕かれて。
男子A「いやいやいや、冗談にもほどがあるわ!」
男子B「お前笑うなよ。この前ファッションショーにも出てただろ」
げらげらと笑う声に急に首の後ろが冷たくなった。奥歯がかた、と小さく鳴った。笑いすぎて涙すら溢した男子生徒の声が何度も凛の心を殴りつけた。
凛「え、あ……なんで」
男子C「あ? ああ、この前のイベント、テレビで中継されてただろ? お前がスクールアイドルやってるとかいう噂聞いたから、みんなで見てたんだよ」
違う。そうじゃない。イベントの事なんてどうでもいいよ。なんで、笑うの? 凛だって……!
189 :
◆PqgbKM/Cuk
[saga]:2018/11/08(木) 00:38:42.71 ID:dgZfX2OD0
男子B「そしたらまあ……いっぱしに女の振りしちゃってさ」
男子C「ホント面白すぎたわー。小泉とか、他のメンバーならともかく星空が『一番かわいい私たちを見て行ってください!』だもんな」
心臓どころか全身がぎゅうっと握りつぶされる感じがした。ああ、そっか。やっぱり凛には無理だったんだ。あんなにきらきら光って見えた世界が急に暗くなっていくのがわかる。あんなに暖かかった胸が完全に冷え切っていた。
花陽「凛ちゃん……」
花陽は何か言いたげだった。でも、もういいや。大丈夫、わかってるよ。胸はこんなに冷たいのに目の奥が熱い。泣いちゃダメだ。ダメなんだ。
花陽「凛ちゃん!」
花陽の声を背に駆けだしていた。凛は大丈夫。全部わかってるから。女の子らしくなりたいなんて、所詮は夢だったんだ。それも魔法少女になる契約をして、本来ならなかったはずのきっかけをもらって叶えた夢。だからほんの少しだけでも自信が持てただけで幸せなんだ。でも、目から熱いものがたくさん零れて、視界は揺らいで、曇って、世界が白黒に見えた。
190 :
◆PqgbKM/Cuk
[sage]:2018/12/03(月) 01:26:11.76 ID:VB0mqiUFO
近いうちにまた書きます
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/03(月) 21:12:56.25 ID:1pgu9iGB0
待ってるよ
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/28(金) 21:18:03.33 ID:YxYVtr2z0
まだかな
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