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【バンドリ】あなたと誰かの話【安価】
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1 :
◆KWjQNDTan2
[saga sage]:2018/06/19(火) 23:37:25.02 ID:kO5mPune0
安価であなた(主人公)の特徴を決めてバンドリの誰かと仲良くなる話
あなたの
性別↓1
性格↓2
(ツンデレとか素直とか根暗とか適当に)
学年↓3
(中3〜高3まで)
攻略対象↓4
(ガルパキャラ25人の中から1人)
「あなた」のプロフィールによっては羽丘と花咲川の設定を少し変えさせていただきます
キャラ崩壊したらさーせん
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1529419044
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 23:37:59.00 ID:YHAVKwA4o
男
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 23:38:13.20 ID:2F3RV5zaO
情熱的な熱血漢
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 23:39:45.94 ID:hCd0DN6GO
高1
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 23:40:32.59 ID:uWOzCUJvO
宇田川
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 23:43:30.90 ID:BynRfcuVO
どっちの宇田川だ?二人いるが…
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 23:46:54.37 ID:Y6JtHuswO
巴の方です
8 :
◆KWjQNDTan2
[sage]:2018/06/19(火) 23:59:54.37 ID:kO5mPune0
あなた
男性
情熱的な熱血漢
羽丘学園高等部1年生
攻略対象
宇田川巴
羽丘女子学園の設定ちょっといじります。すいません。
遅筆なのはご容赦ください
9 :
◆KWjQNDTan2
[sage]:2018/06/20(水) 01:41:59.99 ID:NQFD6swr0
あなた(俺が宇田川巴という人を知ったのは、あるライブハウスでのことだった)
あなた(親友に誘われて、興味はあまりないけど顔を出した「CiRCLE」というライブハウス)
あなた(そいつが言うには『今かなり熱いバンド。あとメンバーがみんな可愛い』)
あなた(大層な言葉をやけに興奮した口調で言っていたが、その言葉はあまり俺の琴線に触れはしなかった。ただ、こいつがそこまで言うなら聞いてみるか、くらいの気持ちでいた)
あなた(所詮高校生のライブだ。それもガールズバンド)
あなた(どうせ小奇麗で歯の浮くような、恋がどうとか好きな人がどうとか、そんな歌詞を吐き出すだけのものだと思っていた)
あなた(……だが、それはものすごく失礼な印象だった)
「聞いて。あたしたちの歌を」
あなた(黒髪の一部に赤いメッシュを入れたボーカルの女の子。その子の凛とした声が会場に響く)
あなた(そしてその後に、ステージの最奥、ドラム担当の女の子が力強くスティックを叩き合わせ、始まりの音頭を取る)
あなた(その姿に目を奪われた)
あなた(情熱的な赤で綺麗に伸ばされた髪。気っ風のいい笑顔を浮かべて、細い腕に握られたスティックが鮮やかに動き回り、音を弾けさせる)
あなた(俺は音楽のことはあまり詳しくない。だからその演奏の上手い下手は分からない)
あなた(だが、彼女の演奏に、演奏する姿に、俺は魂を揺さぶられた)
あなた(『可愛い』や『綺麗』ではなく、汗を煌めかせながら一心不乱にドラムを叩く姿がただただ『カッコいい』)
あなた(このガールズバンド――アフターグロウの演奏が終わるまで、俺はドラムの女の子の姿から目が離せなかった)
……………………
10 :
◆KWjQNDTan2
[sage]:2018/06/20(水) 01:42:27.83 ID:NQFD6swr0
あなた(これが俗にいう「一目惚れ」というやつなんだろうか)
あなた(あとから親友に聞いたが、彼女の名前は「宇田川巴」というらしい)
あなた(演奏を聞いて、その名を知って、あの日に感じた情熱はずっと胸の内に燻り続けていた)
あなた(そしてそれは俺が高校に入学した際に再び大きく燃え上がることになった)
11 :
◆KWjQNDTan2
[sage]:2018/06/20(水) 01:43:10.70 ID:NQFD6swr0
――羽丘学園 校門――
あなた(少子化の影響か、今年から共学になった「羽丘女子学園」改め「羽丘学園」)
あなた(俺はその記念すべき男子一期生としてこの学園に入学した)
あなた(志望動機は「家から近いから」)
あなた(そう言った時の鳩が豆鉄砲を食ったような面接官の先生の顔がやけに印象的だった)
あなた(だが家から近いということは何においても利点が多いものだろう)
あなた(例えば電車や何やらを使って1時間、往復で2時間を毎日通学に費やすこと)
あなた(家から歩いて20分、往復で40分を毎日通学に費やすこと)
あなた(どう考えても後者の方がいい。体も動かせるし一石二鳥だ)
あなた(それに、自由に使える時間が多い方が好きなことに打ち込める)
あなた(バイトとか、アフターグロウのライブとか、そういうことに)
あなた(そんなことを語ったら合格した)
あなた「情熱1つでなんでも出来るもんだな」
あなた(そんなことを呟きながら学園に足を踏み入れようとした、その時だった)
12 :
◆KWjQNDTan2
[sage]:2018/06/20(水) 01:44:33.10 ID:NQFD6swr0
――ドンッ
「っと、すいません」
あなた「いや、こちらこ……そ」
あなた(不意に校門の陰から出てきた女子生徒にぶつかってしまう)
あなた(謝られ、俺も謝って、相手の顔を見る)
あなた(ドクン、と心臓が大きく跳ねた)
あなた(情熱的な赤い髪。ステージの上では分からなかったが、こうして目の前にする俺と目の高さがほとんど変わらない、高身長のスレンダー)
宇田川巴「あれ、もしかして新入生か?」
あなた(あの日、ライブハウスで姿を見てからずっと胸の内に憧れを抱いていた「宇田川巴」がすぐ目の前にいた)
あなた「っ、は、はいっ!」
あなた(思わず返事が上ずる。それに少し恥ずかしい思いが募る)
巴「あっはっは。いやーなんか初々しいなぁ〜。アタシも去年はこんな風だったな」
あなた(対する「宇田川巴」はそんな俺の姿を見て気っ風よく笑っている)
あなた「あの、」
巴「うん?」
あなた(何かを言おうと思い、口を開いてから何を言えばいいのか考えていなかったことに気付く)
あなた(だけど悩んでいても仕方ない。こういう時は勢いだ)
あなた「アフターグロウでドラム叩いてますよね? 確か、宇田川巴さん、ですよねっ?」
巴「おお、アタシたちのこと知ってるのか!」
あなた「はい! よくライブ、見に行ってます!」
巴「そっかそっか! ありがとな!」
あなた(ニカッとした笑顔に歯切れのいい言葉)
あなた(ステージでその姿を見て、俺が想像していた通りの人物だった)
13 :
◆KWjQNDTan2
[sage]:2018/06/20(水) 01:45:38.22 ID:NQFD6swr0
あなた「特に宇田川先輩のドラム、いつも超カッコいいと思ってます!」
巴「お、マジで?」
あなた「はい!」
巴「へへ、なんだか照れるな。っと、そうだ。つぐに生徒会の手伝い頼まれてたんだ」
あなた(宇田川先輩はそう言い、チラリと校舎の方へ視線を送った)
巴「ぶつかっちゃって悪かったな」
あなた「いえ、こちらこそ! 邪魔してすいません!」
巴「いやいや、よそ見して歩いてたアタシが悪いんだって」
巴「そんじゃな! またライブ、見に来てくれよ!」
あなた「絶対行きます!」
巴「ははっ、元気な返事だな! 絶対だぞーっ!」
あなた(大きな声でそう言って、宇田川先輩は校舎の方へ駆けていく。その姿を見送ってから、俺は胸の内が熱くなっているのを実感する)
あなた「……知らなかった。まさか羽丘の人だったとは」
あなた(憧れの人。薄い膜を一枚隔て、双方向性のないテレビとかみたいな、一方的な関係)
あなた(そう思っていた人物とこうして話し合えたことに、体の奥から熱い感情が生まれ、全身に迸っていくような気がした)
あなた(あまりにも身近に感じてしまった宇田川先輩という憧れ)
あなた(その姿に一歩でも近づけるようになりたい)
あなた(これは愛とか恋とかなのだろうか。一目惚れ、とは思うが、実際に恋をしたことがないからよく分からない)
あなた(でも、宇田川先輩の隣に立っても見劣りしないような男になりたい)
あなた(あの『カッコよさ』に負けない男になりたい)
あなた(そう思うと心が昂り、今すぐにでも走り出したい衝動が沸き起こる)
あなた「……燃えてきたぜ!」
あなた(思い立ったが吉日。いい言葉だ)
あなた(その言葉にならい、俺は地を蹴って校舎まで駆けだすのだった)
14 :
◆KWjQNDTan2
[sage]:2018/06/20(水) 01:51:16.89 ID:NQFD6swr0
プロローグおわり
羽丘女子学園→羽丘学園
巴たちが進級し、次の代から共学化に設定変えました
水曜と木曜の夜に書くと思います
お付き合いいただけたら幸いです
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/20(水) 05:45:52.70 ID:XcSFAmxSO
待ってる
16 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 20:43:57.02 ID:NQFD6swr0
――羽丘学園 教室――
あなた(入学式も終わり、瞬く間に1週間が過ぎた)
あなた(今日は金曜日)
あなた(この1週間はほとんどすべての授業がオリエンテーションや授業内容の説明だったが、来週の月曜日からは本格的な授業が始まるらしい)
あなた(正直頭を使うのは苦手だ。だが勉強もしっかり頑張らなくては)
あなた(『今の時代は情報がものを言うんだ、頭を使わないと』と別の学校に進学した親友も言っていたし、男たるものは何事にも全力で挑んでこそだろう)
あなた(……それはそうと、入学してから気付いたことが1つ。男子生徒の数が少ない)
あなた(俺のクラスは合計25人、そのうちの20人が女子生徒だった)
あなた(何故だろうか、と頭をひねっていたが、担任の先生の話によると共学化してすぐの学校はそんなものらしい)
あなた(加えて『肩身の狭い思いをするかもしれないけど』と言われたことを思い出す)
あなた(周りがほぼ女子生徒。確かに気を遣わないといけない部分も多くあるだろう)
あなた(そういうのも苦手な部類に入ることだった。男同士なら拳で語り合えば大抵のことは解決するが、流石に女子生徒相手に手を上げるのは男としてアウトだろう)
あなた(難しいことだけど、これも勉強だ)
17 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 20:45:28.63 ID:NQFD6swr0
あなた(そんなことを考えながら、教室の壁に付けられた時計に目をやる)
あなた(時刻は15時。放課後のホームルームも終わり、そこかしこで話をする女生徒たちの声と、それに紛れて教室の隅で話をする2人の男子生徒の声が微かに聞こえる)
あなた(俗に言う花の金曜日)
あなた(胸の内にある大きな思いは、憧れの宇田川先輩に負けないような男になりたいということ)
あなた(そのために、俺はまず何をしようか……よし、決めた!)
1:宇田川先輩のことをもっと知ろう!
2:自分を磨こう!
3:その他自由安価
(R18なことや公序良俗に反することはバッドですごめんなさい)
↓1
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/20(水) 20:47:24.44 ID:253f9p3bO
勉強
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/20(水) 20:54:13.82 ID:crphRyPbo
部活見学
20 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 21:05:18.88 ID:NQFD6swr0
あなた(まずは勉強だ!)
あなた(身体を動かすことは好き、でも頭を使うことは苦手……)
あなた(いつまでもそんなことを言っていてはダメだ)
あなた(親友の言葉もあるし、ここはしっかり勉強をしよう)
あなた(よし、そうと決まれば図書室へ行こう)
あなた(図書室の場所は……どこだったか)
あなた(月曜日に校内を案内された気がするけど覚えていなかった)
あなた「すまん、ちょっといいか?」
「ん? なに?」
あなた(仕方ないので隣の席の帰り支度をしている女子に場所を聞いてみることにした)
あなた(確かこの子は羽丘中等部からの内部進学だと自己紹介の時に言っていたから、多分分かるはずだ)
あなた「図書室の場所を教えてくれないか?」
「うん、いーよ。えーっとね、図書室は……」
あなた「……なるほど、分かった。教えてくれてありがとな!」
「ううん、どういたしまして」
あなた(隣の席の女子生徒はニカッと笑う。それに手を振って、俺は図書室へ向かった)
図書室で出会う人物
↓1 (羽丘女子学園のキャラでお願いします)
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/20(水) 21:06:42.41 ID:Z0fraIAOO
瀬田薫
22 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 21:23:02.91 ID:NQFD6swr0
――図書室――
あなた(さて、ここまでやってきたのはいいものの……まずは何を勉強すればいいのだろうか)
あなた(普段からあまり勉強する癖がついていないからな……よし、とりあえず貰ったばかりの教科書を読もう)
あなた(授業の予習ってやつだな)
あなた「まず国語の教科書は……」
あなた(空いている席に着き、パラリと開いたページ。その題目には「ロミオとジュリエット」という文字が書いてあった)
あなた(作者は……シェイクスピア? 聞いたことがあるようなないような)
あなた「って、短いな」
あなた(教科書に載っているのはその話の代表的な部分だけなのだろうか)
あなた(あまりにも短く、唐突な区切られ方に少しモヤモヤとした気持ちが沸き起こる)
あなた「……よし、せっかく図書室にいるんだ。この際だからこの話を全部読んでみるか」
あなた(悩んだらまず行動。悩まなくてもとりあえず行動)
あなた(案ずるより産むが易し。いい言葉だ)
あなた(そう思って席から立ち上がり、俺は配架されているだろう「ロミオとジュリエット」を探す)
23 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 21:31:33.28 ID:NQFD6swr0
あなた「……ん?」
あなた(作者五十音順で並んでいる本棚と本棚の間)
あなた(そこにやけに端正な顔立ちをした女子生徒の姿を見つけた)
「ふむ、なるほど……ああ、つまりそういうことだね……儚い……」
あなた(本を読みながらブツブツと独り言をもらしている)
あなた(見ようによっては怪しいけど、なんだろうか。まるでドラマの一幕のように、その人のその姿は絵になっていた)
あなた(ぼんやりとその姿を見つめてしまう)
「……おや?」
あなた(と、その人物は俺の存在に気付いたようだ。ゆったりと、優雅な仕草で視線がこちらへ向けられる)
「ああ、すまない。邪魔になってしまっていたね」
あなた「いえ、こちらこそ」
あなた(そう言って、その人は読んでいた本を閉じる。その表紙に目が行く)
あなた(そこには「ロミオとジュリエット」と書いてあった)
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/20(水) 21:33:09.01 ID:ac1thRWDO
1発目からど偉いのに会ったなw
25 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 21:56:42.74 ID:NQFD6swr0
あなた「すいません、失礼を承知でお願いがあります!」
あなた(立ち居振る舞いを見るに上級生だろう。俺は失礼のないような言葉を選ぶ)
「ん、なんだい?」
あなた「……あなたが今持っている本を探していたんです。差し支えなかったら、それを貸してもらえないでしょうか?」
あなた(それとつい大きくなってしまった声を意識して抑える。ここは図書室だ。静かにするのがマナーだろう)
「ああ、そうだったんだね。もちろんいいさ」
あなた(その人が差し出してくれた本を受け取る。スラリとした綺麗な手に少しだけドキッとしてしまった)
「シェイクスピアが好きなのかい?」
あなた「ああいや、少し授業の予習をしようと思っていたんです」
「そうか。君は……新入生かい?」
あなた「はい」
「ふふ、熱心なんだね」
あなた「男たるもの、何にでも全力で挑むべきだと思っていますから」
「なるほど、いい心がけだ。シェイクスピアもこう言っている。『慢心は人間最大の敵だ』と」
あなた(さらりと出てきた言葉に少し驚く。多分シェイクスピアの格言なんだろう)
26 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 22:11:07.32 ID:NQFD6swr0
あなた「そういう言葉、覚えているんですか?」
「うん? ああ、まぁ……ね」
あなた「すごいですね。何かそういう記憶することのコツってあるんですか?」
あなた(苦手な勉強に何か生かせるかもしれない。そんなことを思いながら俺は尋ねてみる)
「そうだね……好きこそものの上手なれ、という言葉がある通り、好きになれば自然と覚えるものさ」
あなた「なるほど……」
「あとは自分の中にそういう役を下ろすこと……だね」
あなた「役?」
「そう。ああ、自己紹介が遅れたね。私は瀬田薫。演劇部員なんだ」
あなた(そう言ってその人――瀬田先輩は芝居がかった手ぶりで自分の前髪を払い、笑顔を作る)
あなた(キザな仕草だったけど、ものすごく様になっているから全然嫌味に見えなかった)
薫「例えば……君は見たところ、あまり勉強が好きではなさそうだね」
あなた「はい。座っているよりも体を動かしている方が好きです」
薫「では、自分の中に勉強が好きな人物を持ってみよう」
あなた「勉強が好きな人物を?」
薫「そう。身近な人でもいいし、映画やドラマの人物でもいい。その人になりきってみるんだ」
薫「その人物ならどうするか、きっとこうするだろう。そういう自分なりの解釈を表現するんだ」
あなた「な、なるほど……?」
薫「さぁイメージしてごらん」
27 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 22:21:03.78 ID:NQFD6swr0
あなた(勉強が好きな人物……親友がちょうど頭を使うのが好きだったな)
あなた(あいつのイメージを自分の中に下ろす……?)
あなた「……このテストの点数が95点を超えたら、俺はあの子に告白する」
あなた(中学のころ聞いた、親友の言葉を真似してみる)
薫「そう、その調子だ……」
あなた「くそ、どうしてもこの数式が頭に入らない……! でもここで挫けちゃダメだ、あの子に告白するんだ……!」
薫「もっと情熱的に!」
あなた「こんな数式程度に負けてたまるか! 俺は絶対に告白するんだ!」
薫「ああ、いいよ! その調子だ!」
あなた「告白の勝算? そんなものはない! でもそれは勝算を導き出す方程式が間違っているだけかもしれないだろ!」
あなた「それに、そんなのなくったってやるのが男ってもんだろうよぉ!!」
薫「今、君は確実にその人になりきっている! さぁ、もっとだ、もっと――」
「おほん!」
あなた(と、不意に咳払いが聞こえた)
あなた(瀬田先輩と揃ってそちらへ顔を巡らせる)
あなた(おさげの黒髪に黒ぶち眼鏡という出で立ちの図書委員らしき人物がいた)
「瀬田さん、うるさいです。演劇指導は結構ですが、やるなら部室でやって下さい」
薫「あ、ああ、すまない……つい熱が入ってしまって……」
「君も……新入生だと思うけど、図書室は勉強と読書をするところです。静かにして下さい」
あなた「はい……すいませんでした……」
あなた(瀬田先輩と揃って頭を下げる)
あなた(流石にこのまま図書室にいるのは居たたまれなかった)
あなた(俺は手にしていた本を本棚に戻して、席に戻る)
あなた(そして自分のバッグを手にして廊下に出た)
28 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 22:39:56.96 ID:NQFD6swr0
薫「……すまなかった。シェイクスピアが好きなのかと思って、ついはしゃいでしまったよ」
あなた(廊下に出ると、先に図書室から出ていた瀬田先輩に謝られた)
あなた「いえ、大丈夫です! 俺の方こそ先輩の邪魔をしてすいませんでした!」
あなた「それと、アドバイスありがとうございました!」
薫「ああいや、参考になったのなら私も嬉しいよ、子猫ちゃん……ではないか。ええと……子犬くん」
あなた(……子犬?)
薫「私は部活があるから、ここで失礼するよ。今日は本当にすまなかった」
あなた「とんでもないです! 部活、頑張って下さい!」
薫「ああ、ありがとう」
あなた(瀬田先輩はそう言い、軽やかな足取りで去っていく)
あなた(それを見届けてから、これからどうしようか考える)
あなた(時刻は16時。まだ帰るには早いような気がしないでもないが……)
1:帰る
2:まだまだ己を磨く
3:その他自由安価
↓1
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/20(水) 22:41:25.21 ID:LieBihRdO
2
30 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 22:46:13.16 ID:NQFD6swr0
あなた(よし、決めた! もう少し自分を磨こう!)
あなた(さて、そうと決まれば何をしようか。勉強……はもう今日は図書室が使えないし、家に帰ってからでも出来る)
あなた(となるとここは学校や商店街で出来るようなことだな)
あなた(よし、それじゃあ……)
1:バイトだ!
2:部活だ! あ、でも……
3:その他自由安価
↓1
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/20(水) 22:49:12.63 ID:wX6ofkZ00
2
32 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 23:20:03.30 ID:NQFD6swr0
あなた「やっぱり青春の汗を流す部活だ! あ、でもそういえば……」
あなた(と、部活をしようと思ったのはいいが、そこで思い出す)
あなた(共学して間もない羽丘は男子生徒の数が少ない。だから今すぐに男子が入れる体育会系の部活がないんだった)
あなた(もちろん文化系の部活動なら入れるだろう)
あなた(瀬田先輩に出会ったのも何かの縁だし、演劇部に行ったっていい)
あなた(それも悪くはない)
あなた(だけど、せっかくやるなら外でバリバリ体を動かす部活がやりたかった)
あなた「うーん……よし!」
あなた(悩んでいる時間がもったいない。この際だから、学校という括りはいっそ無視してしまおう)
あなた(外に出たら出たで、きっと何か体を動かすような活動が見つかるはずだ。多分)
あなた(そうと決まれば早速、商店街の方へ行ってみよう)
……………………
33 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 23:23:08.26 ID:NQFD6swr0
あなた(なんて意気込んだのはいいものの……)
あなた(商店街なんかを片っ端から見て回ったけど、身体を動かすような活動は見つからなかった)
あなた(代わりにアルバイトを募集してるところは色々目についたけど……)
あなた「どうしたもんかなぁ」
あなた(と、そう呟いたところで遠くから何か大きな音が聞こえてくる)
あなた(俺は立ち止まって、音のした方向へ視線を送る)
あなた(その先には、都市に分類されるだろうこの近辺では珍しい、木々が多い茂った小高い山のようなものが見えた)
あなた「……なんだろう、気になるな」
あなた(どうせ行く当てもない。俺は誘われるように、その音のする方へ歩いて行った)
……………………
34 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 23:35:09.63 ID:NQFD6swr0
あなた「ああ、神社か」
あなた(件の場所へたどり着いた俺はそんな呟きを漏らす)
あなた(一応この近所に生まれ育ってきたが、この辺りは俺の学区外だった)
あなた(そういえば昔、お祭りがある時だけこの神社に来ていたことをぼんやりと思い起こす)
あなた「音は……この上からか」
あなた(鳥居をくぐり、参道から続いている石の階段。その上からこの音は聞こえているようだった)
あなた(俺はその階段を上る。木々に挟まれたそれを登りきると、境内に辿り着く)
あなた(ずっと音が近くなった。腹の底に響いてくるような強い音だ)
あなた「音はあそこから……うん?」
あなた(と、社の一角に大きな太鼓があった)
あなた(そしてそれを叩いている人物の鮮やかな赤い髪が目に映る)
あなた(思わず俺はその近くまで小走りに寄って行ってしまう)
巴「はぁ! ソイヤ、ソイヤッ!」
あなた(……やっぱり見間違いじゃなかった)
あなた(綺麗な髪を括り、法被を着て、一心不乱に太鼓を叩く女性は宇田川先輩その人だった)
あなた(俺はしばしその姿に見入ってしまった)
巴「……ふぅ、こんなもんか。ん?」
あなた(一区切りついたのか、宇田川先輩が1つ息を吐いて、額に浮いた汗を拭う)
あなた(それから俺の存在に気づき、こちらへ視線を巡らせてきた)
巴「あれ、お前は確か……羽丘の新入生だよな」
あなた「はい!」
巴「また珍しいとこで会ったなぁ」
あなた「お久しぶりです、それと練習の邪魔してすいません!」
巴「いやいや、ちょうど休憩しようと思ってたとこだから気にすんなって」
巴「それよりお前……もしかして、和太鼓に興味があるのか?」
あなた(俺はその宇田川先輩の言葉に……)
1:あります!
2:あんまりないです!
3:その他自由安価
↓1
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/20(水) 23:37:00.11 ID:GIWztH7WO
2
36 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/20(水) 23:57:16.99 ID:NQFD6swr0
あなた「あんまりないです!」
巴「あっはっは、まぁやっぱりそうだよなぁ」
あなた「どちらかというと宇田川先輩に興味があります!」
巴「え、アタシに?」
あなた「はい!」
巴「ははっ、なかなか面白いことを言うやつだなぁお前! ハキハキしてるやつ、アタシは好きだぜ!」
あなた(正直な気持ちを話してみると、宇田川先輩に笑い飛ばされた)
あなた(多分冗談だと思われたんだろう)
巴「さってと、こうしてこんなとこに来てくれたのも何かの縁だ」
巴「アタシはまだもう少し叩いていくけど、暇なら練習見ていくか?」
あなた「是非お願いします!」
巴「うーし。こころや香澄だって興味を持ってくれたんだ。お前にも和太鼓の魅力ってやつを教えてやるぜ!」
37 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 00:30:31.05 ID:hmzCQAze0
あなた(宇田川先輩はそう言って、再び太鼓に向き合う)
あなた(そして大きな掛け声とともに、力強くバチを振るう)
巴「ソイヤ、ソイヤ、ソイヤ!」
あなた(俺はその姿に見入っていた)
巴「ソイヤソイヤ!」
あなた(ドン、ドン、ドン、と和太鼓の野太い音が体を震わせる)
巴「ハッピー! ラッキー! ポピパパ! ソイヤぁっ!」
あなた(宇田川先輩の掛け声もどんどん大きくなっていく)
あなた(その音たちを聞いていると、体が熱くなってくる)
あなた(俺も大きな声を出したい。身体を動かして何かをしてみたい)
あなた(血がたぎる、とはこういうことを言うのだろう)
あなた(楽器を演奏した経験は一切ない。だから俺には敷居が高いものだと思っていた)
あなた(だが、こうして間近で和太鼓の迫力に触れてみると、挑戦してみたい気持ちが芽生えてくるのだった)
38 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 00:38:30.27 ID:hmzCQAze0
巴「ふぅー! やっぱ人に見られてると気合が入るなぁ!」
あなた(先ほどよりも大粒な汗を額に浮かべながら、宇田川先輩は輝かんばかりの笑顔でこちらへ顔を向ける)
巴「どうだ? 和太鼓に興味、出たんじゃないか?」
あなた「はい、血がたぎりました!」
あなた(それに素直に答える)
巴「だろ〜! お前、なかなか見所がありそうだったからな、分かってくれるって思ってたぜ!」
あなた「宇田川先輩はいつもここで和太鼓を叩いているんですか?」
巴「祭りが近い時とかはな。まぁ次の祭りは6月だけど」
巴「バンドばっかで和太鼓から離れてると腕が鈍っちまうから、暇な日はこうして叩きに来てるんだ」
あなた「なるほど、そうなんですね」
巴「お前も太鼓に興味が出たなら、いつでもここに来ていいんだぞ」
あなた「本当ですか?」
巴「ああ。和太鼓なぁ、こんなにイイのに最近叩くやつが少ないんだよ」
巴「アタシは木曜と金曜のどっちかは大体ここで太鼓叩いてるからさ、もし叩きたいってんなら1から教えてやるよ」
巴「あ、もちろん見学だけでもいいぞ。友達を連れてくるのも大歓迎だ!」
あなた「分かりました! また来ます!」
巴「よし、良い返事だ!」
39 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 00:39:46.46 ID:hmzCQAze0
巴「っと、もう練習終わりの時間だ。そんじゃな! 気を付けて帰れよ!」
あなた「はい、失礼します!」
あなた(頭を下げ、神社を後にする)
あなた「和太鼓か……」
あなた(あの全身を震わせる迫力のある音)
あなた(それを思い出すたびに身体が熱くなる)
あなた(宇田川先輩に誘われたから、ということを抜きにしても、ああいうことに挑戦するのもいいんじゃないか)
あなた(そんなことを思いながら、俺は家路を辿るのだった)
……………………
40 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 00:57:59.34 ID:hmzCQAze0
――あなたの部屋――
あなた「ふぅ、今日は色んなことがあったな」
あなた(図書室で出会った、演劇部の瀬田先輩)
あなた(好きこそものの上手なれ、それと、自分の中にその物事が好きな人のイメージをもつこと)
あなた(確かにそういう風に考えると、苦手な勉強にも少し集中できるようになった気がした)
あなた「それと……宇田川先輩の和太鼓」
あなた(最初はただ先輩の姿を見ていただけだった)
あなた(だが、全身を震わせるあの音にも惹かれていった)
あなた(あの音が今も耳の奥に残っているような気がしている)
あなた(太陽の下で体を動かす部活に……と思っていたが、ああして楽器を奏でたり、瀬田先輩のように演劇に精を出すのもいいかもしれない)
あなた「自分の世界が少し広がったような気がするぜ……」
あなた(あくびを噛み殺しながら呟く)
あなた(明日明後日は休みだ。今週末は【安価↓3】をしよう)
あなた(そんなことを思いながら、俺は布団に横になった)
1:バイトの応募
2:その他自由安価
↓3
41 :
◆KWjQNDTan2
[sage]:2018/06/21(木) 00:58:34.11 ID:hmzCQAze0
お疲れさまでした。
また明日に続きます。
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/21(木) 01:13:17.32 ID:prBfX54IO
おつおつ、バンドリss増えてきて嬉しい限りだ。
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/21(木) 01:15:35.52 ID:Vrj+hviA0
1
44 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 20:05:58.68 ID:hmzCQAze0
あなた「うーん、今日もいい天気だ! 絶好のバイト応募日和だな!」
あなた(朝。布団から這い出て、カーテンを開くと窓の外には雲一つない青空が広がっていた)
あなた(快晴の空に気持ちが昂る。加えて、俺はバイトをすることに憧れを抱いていたから、なおのことやる気が満ちてくる)
あなた(身を粉にして……とは言い過ぎだろうが、自分で働いて金を稼ぐということ)
あなた(実に大人の男っぽいじゃあないか)
あなた(それに社会経験という見方からしてもバイトは有意義な行動だろう)
あなた(そしてバイトをすればアフターグロウのライブに気兼ねなく行ける!)
あなた(何よりもそれが重要なことだ!)
あなた(CiRCLEでのライブは相場より安い、と親友が言っていたが、それでも中学生の財布に与えるダメージは無視できない)
あなた(それに、自分で稼いだ金を自分のために使う)
あなた(それが出来るようになったんだと思うだけで、少し成長出来たような気持ちになって嬉しくなる)
あなた「よし、早速準備をしよう!」
……………………
あなた(身支度は済ませた)
あなた(そして昨日神社の帰りがてらに買った履歴書の記入も終わった)
あなた(履歴書と一緒に入っていた手本通りに書けたし、不備はないはずだ)
あなた(あってもその場で言葉で伝えればいいだろう)
あなた「さて、そしたら応募の電話をしなくちゃな。えーと、昨日商店街でバイト募集の張り紙があったのは……」
1:ファーストフード店
2:喫茶店
↓1
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/21(木) 20:07:24.92 ID:lZtnH+n+0
2
46 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 20:36:35.88 ID:hmzCQAze0
あなた「喫茶店だ!」
あなた(商店街の一角にあった、なんだか落ち着いた雰囲気の喫茶店)
あなた(正直、自分には合わない空気の場所なんじゃないかとは思っていた)
あなた(たが昨日の瀬田先輩や宇田川先輩とのやりとりで、今まで考えもしなかった選択肢を選ぶというのも決して悪いことではないと思えるようになっている)
あなた(何事もまず挑戦だ。やらずに後悔するよりやって後悔する方が何倍もいい)
あなた「よし、早速電話だ!」
あなた(メモしておいた電話番号をスマートフォンに打ち込み、発信のボタンをタップする)
『お待たせしました。羽沢珈琲店でございます』
あなた(呼び出し音が4回ほど鳴ったところで電話がつながった。落ち着いた男性の声だ。きっと店長さんだろう)
あなた「お忙しいところ失礼します! アルバイト募集の張り紙を見て、お電話させていただきました!」
『あ、はい。ありがとうございます。えぇと、あなたの年齢は……』
あなた「はい、15歳です! 今年の春から高校生になりました!」
あなた(それから自分の名前を伝え、電話越しの店長さんの質問にいくつか答える)
47 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 20:41:40.48 ID:hmzCQAze0
『君は元気がいいねぇ』
あなた(そうしているうちに段々とあちらの口調が砕けてくる。目上の人には畏まった口調でいられるよりも、そうして親しげに話してくれた方が良かった)
『それじゃあ面接をしたいんだけど……いつならウチに来れるかな?』
あなた「今すぐでも大丈夫です!」
『はは、本当かい? そうだね、じゃあ今日の14時くらいでどうかな?』
あなた「分かりました! その頃にお伺いします!」
『では、その時間でお願いします。ご来店、お待ちしております』
あなた「はい、失礼します!」
あなた(それから少しの空白。そして静かな通話の切れる音が聞こえてきた)
あなた「14時まで……あと4時間か」
あなた(時計を見て呟く)
あなた(あの喫茶店までは歩いて大体20分。多少の余裕をもって13時半に出ればいいだろう)
あなた「それまでの時間は……面接の練習だな!」
あなた(そう言えば志望動機もしっかりと考えていなかった)
あなた(出発の時間までスマートフォンに向き合い、俺は来たるべき面接に備えるのだった)
……………………
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/21(木) 20:47:07.71 ID:kAQallX4O
なるほどな。ファーストフードも喫茶店も、どっちから行っても外堀から埋めていけるな。
49 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 20:57:12.99 ID:hmzCQAze0
あなた(結果から言えば、練習した面接の内容はほとんど話さずに合格した)
あなた(喫茶店で顔を合わせた、優しい雰囲気をまとった店長さん。電話越しに聞いた声のイメージそのままの人だった)
あなた(店長さんからは『ハキハキした子は好感が持てるねぇ』という言葉を頂き、志望動機を話したあとは、ほとんど世間話のようなことを喋った)
あなた(そしてそのうちの7割ほどが一人娘の自慢だった)
あなた(俺が羽丘学園の新入生だと知ると、『いやぁ、僕の娘も羽丘に通っててね……』と始まり、気が付けば20分くらい経っていたと思う)
『ああ、もうこんな時間だ。それじゃあ、明日は時間あるかい? あれば、明日から早速来てもらいたいんだ。とは言っても、まずやるのは研修みたいなものなんだけどね』
あなた(自慢話が一区切りついたところで時計を見た店長さんは、そう言って柔らかく微笑んでいた)
あなた『はい、分かりました!』
あなた(俺はそれに二つ返事を返した)
あなた(事前に調べていたバイトの面接とはかなり違った流れだったが、その場所その場所によっていろいろなやり方があるんだろう)
あなた(ともかく、俺のバイトは順風満帆なスタートを切れたのだった)
……………………
50 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 21:14:15.27 ID:hmzCQAze0
――日曜日 羽沢珈琲店――
あなた「本日はご指導のほど、よろしくお願いします!」
あなた(翌日の日曜日の朝)
あなた(店長さんに言われた通り開店前の喫茶店――いや、羽沢珈琲店にやってきた俺は、今日自分を指導してくれる方に対して頭を下げた)
羽沢つぐみ「はい、よろしくお願いしますね」
あなた(そう言って柔らかく微笑んだ、羽沢つぐみ先輩。店長さんに似た優しげな雰囲気をまとった女の子だ)
あなた(ついでに言えば、確かこの人もアフターグロウのメンバーだ。ステージの上でいつも一生懸命にキーボード弾いているような印象があった)
あなた(そのことを話そうかとも思ったが、今はバイト中だ)
あなた(そういう雑談はやることが終わってからするべきだろう)
つぐみ「早速なんですけど、今日は私たちがいつもやってることの流れを説明します」
つぐみ「分からないこととかがあればすぐに言ってくださいね?」
あなた「分かりました!」
つぐみ「はい。それじゃあ、まず厨房の方から説明しますね」
あなた「お願いします、羽沢先輩!」
つぐみ「……先輩、かぁ」
あなた「あれ? どうかしましたか、先輩?」
つぐみ「あ、ううん、なんでもないです」
あなた(羽沢先輩は少し照れたように笑うと、パタパタという軽い足音を残して厨房の方へ移動する)
あなた(俺もそのあとに続いていくのだった)
……………………
51 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 21:51:01.93 ID:hmzCQAze0
あなた(羽沢先輩は非常に手際よくアルバイトの流れを教えてくれた)
あなた(まず不慣れな俺が一番最初にやることは、厨房での皿洗いやフロアの掃除)
あなた(少し慣れて珈琲の種類やメニューを覚えてきたら、盛り付けの終わった料理やデザート、飲み物の配膳)
あなた(実際にオーダーを取ったりレジ打ちをするのは最後の最後、忙しい時間帯にも慣れ始めてから、ということだった)
あなた(一通りの流れを教えてもらったあと、今日は日曜日で、お客さんも多い日だと聞いた)
あなた(そうと聞いては是非手伝いたい、と思うのだが、実際にまったくのアルバイト未経験な俺がいては足手まといになってしまうのだろう)
あなた(羽沢珈琲店がオープンして約1時間)
あなた(羽沢先輩に教わった通り、少しお皿を洗ったり、お客さんが使ったテーブルを拭いたりしているうちに、今日の俺はお役御免ということになった)
52 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 21:51:44.55 ID:hmzCQAze0
つぐみ「短い時間だったけど、今日はお疲れさまでした」
あなた(今は従業員の控室に俺と羽沢先輩が2人。貸して頂いたエプロンをハンガーにかけ、帰り支度をしているところだった)
あなた「はい。ご指導ありがとうございました、羽沢先輩」
つぐみ「ううん。ウチのお父さんからバイトは初めてって聞いてたけど、飲み込みが早くて私も教えるのが楽しかったよ」
あなた(羽沢先輩も店長さんと同じように、しばらく俺と話しているうちに砕けた口調になっていた)
あなた(正直その方が助かる。年上の、それも女性の先輩に敬語で話されるのはどうにも落ち着かなかった)
あなた「いえいえ、それは先輩の教え方がいいからです!」
つぐみ「そ、そう? 先輩らしく振舞えてたなら良かった」
あなた「はい、完璧でした! ……あ、そうだ。それはそうと、先輩ってアフターグロウでキーボードを弾いてますよね?」
あなた(就業時間は終わった。なので、俺は朝から思っていたことを羽沢先輩に尋ねる)
つぐみ「あ、うん。私たちのバンド、知ってるんだ?」
あなた「はい! よくライブ、見に行ってますよ! みんな超カッコいいと思ってます!」
つぐみ「あ、あはは……なんかちょっと照れちゃうな」
あなた「特に宇田川先輩がカッコいいですよね! 初めて見た時からなんていうか、こう、すごく憧れてます!」
つぐみ「あー……君ってちょっと巴ちゃんに似てるもんね」
あなた「え、そうですか?」
つぐみ「うん。巴ちゃんが年下の男の子だったら、きっとこういう感じに近いんだろうなって思うよ」
あなた「…………」
53 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 21:58:58.37 ID:hmzCQAze0
あなた(その言葉に少し胸が熱くなった気がした)
あなた(ニュアンスは違うかもしれないが、似てるということは、きっと宇田川先輩に近づけているということだ)
あなた(あの人に憧れを抱いてからもう半年近く経つ)
あなた(偶然、思いがけない形で宇田川先輩に知り合えたことが嬉しい)
あなた(そして、こうして自分を磨こうと思ってやっていることも少しずつ実を結んでいるのかもしれない、と思えることが嬉しい)
あなた「燃えてきた……!」
つぐみ「え?」
あなた「羽沢先輩!」
つぐみ「は、はい?」
あなた「これからもよろしくお願いします! そして俺をビシバシしごいてください!」
つぐみ「あ、うん……よろしく……?」
あなた「ぃよーし、頑張るぞっ! それじゃあ先輩、今日はお先に失礼します!」
つぐみ「……車とかに気を付けて帰ってね?」
あなた「はい! お気遣いありがとうございます! それでは!」
あなた(やればやるだけ、きっと成果が出てくれる。成果が出なくたって、きっと何かしらの形で自分の力になってくれる)
あなた(今までにないくらいにそう強く思える気持ちが胸の奥底に芽生えて、いてもたってもいられない)
あなた(俺は羽沢珈琲店から自宅まで、その衝動のままに駆けて帰るのだった)
54 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 22:01:52.52 ID:hmzCQAze0
……………
つぐみ「……走っていっちゃった」
つぐみ「なんていうか、本当に巴ちゃんみたいな子だなぁ」
――――――――――
―――――――
――――
……
55 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 22:09:05.86 ID:hmzCQAze0
――羽丘学園 教室――
あなた(初めてのバイトをした日曜が明けた月曜日)
あなた(新しい一週間が始まる日というのは清々しいものだ)
あなた(特に土曜日から続いての快晴だとその気持ちもひとしおだ)
あなた(さて、そんな月曜日の授業もすべて終わった)
あなた(まだ慣れない高校生の授業にかなり頭を使ったが、今の俺は気力に満ちている)
あなた(今日の放課後も何かをしよう!)
あなた(よし、早速……)
1:宇田川先輩のことを知ろう!
2:和太鼓について調べよう!
3:その他自由安価
(R18なことや公序良俗に反することはバッドですごめんなさい)
↓1
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/21(木) 22:10:34.19 ID:msv9uiEXO
1
57 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 22:24:06.55 ID:hmzCQAze0
あなた(宇田川先輩のことを知ろう!)
あなた(昔の偉い人が「敵を知り、己を知れば百選危うからず」なんて言っていた、と今日の授業で習った)
あなた(宇田川先輩は敵ではなく憧れだが、きっと間違いじゃないだろう)
あなた(知れば知るほどあの人に近づけるはずだ)
あなた(親友だって『現代は情報戦だ』と言っていたんだからそれが正しいだろう)
あなた「そうと決まればどう調べるかだ」
あなた(本人と直接話をするべきか、それとも宇田川先輩に詳しそうな人に話を聞くべきか……)
1:詳しそうな人に話を聞く
2:本人に会いに行く
3:その他自由安価
↓1
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/21(木) 22:24:46.36 ID:msv9uiEXO
2
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/21(木) 22:24:48.64 ID:WwEr2oBNo
1
60 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 22:56:18.62 ID:hmzCQAze0
あなた(男なら真っ向勝負!)
あなた(回りくどいことなんかしないで直接話をしてみよう!)
あなた「……あ、そういえば宇田川先輩のクラス、知らねーや」
あなた(いや、でもあれだけ目立つ人だ。きっと羽丘に詳しい人なら知ってるはずだ)
あなた「すまん、ちょっといいか?」
「うん? どしたの?」
あなた(こういう時に頼りになるのはやはり隣の席の内部進学した子だ)
あなた(俺が声をかけると、ドラムとかを叩くスティック? を鞄に詰めていたその子がこちらへ視線を巡らせる)
あなた「宇田川巴先輩って知ってるか?」
「え、うん、知ってるけど」
あなた「どこのクラスか知らないか?」
「えーっと、確か『また蘭だけクラス分かれたんだよなぁ』って話しした時に……」
あなた「……なるほど、分かった。教えてくれてありがとな!」
「はーい、どういたしまして」
あなた(流石、頼りになるぜ!)
あなた(俺は自分の鞄を手にもって、早速教えられたクラスに足を運ぶのだった)
……………………
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/21(木) 23:29:07.05 ID:kAQallX4O
隣の席あこちゃんかな?
62 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 23:30:52.61 ID:hmzCQAze0
あなた「えぇと、あ、あったあった、この教室がそうか」
あなた(隣の席の女の子に聞いたクラスへたどり着いた)
あなた(放課後になってから少し時間が経っていた。そのクラスからも続々と先輩方が出てきている)
あなた(俺はそのうちにの1人に声をかけた)
あなた「すいません、お伺いしたいことがあるのですが!」
「うん?」
あなた(明るくて話しやすそうな人。明るい髪色と少し下がった目じりがそんな印象を抱かせた)
あなた(……というか、パッと目についたから声をかけたのだが、その姿に見覚えがあった)
あなた「あの、アフターグロウでベース弾いてますよね?」
「え、うん。弾いてるけど……」
あなた(思わず本来の目的とは違うことを聞いてしまった。そう言われた女生徒の先輩は少し何かを考えるような顔をしたあと、ハッとしたように声を出す)
63 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 23:40:22.07 ID:hmzCQAze0
「も、もしかして……私のファン!?」
あなた「え?」
「いっつもいっつも巴とか蘭ばっかり声をかけられてたけど……ついに私にもそんな出来事が!」
「まぁでも今まで羽丘には女の子しかいなかったもんね、カッコいい蘭と巴が声をかけられてばっかりなのは仕方なかったかぁ〜」
「でも共学になったんだし、これからは私にもこうしてファンが増えて……うふふふ……♪」
あなた「…………」
あなた(目の前の先輩はとても嬉しそうな笑顔を浮かべて独り言を呟いている)
あなた(俺はそれにどうしたものかと少しだけ考えてから口を開く)
あなた「すいません、先輩」
「ふぇ?」
あなた「その……宇田川先輩に用事がありまして……」
「え、えぇ〜!? そんなぁ、また巴なのぉ〜……」
あなた「期待に応えられずすいません」
あなた(先ほどの笑顔から一転、がっくりと肩を落とした先輩を見て非常に申し訳ない気持ちになる)
「あーううん、いいよいいよ。分かってたから……慣れてるから……」
あなた(ため息とともにそんなことを口から吐き出すと、先輩は顔を上げて俺の顔を見る)
「それで、巴だっけ? 巴は今日、生徒会の手伝いを頼まれてるからもういないよ」
「確か、花女(花咲川女子学園)から何かの資材を借りてくるのの手伝いって言ってたから、しばらく羽丘には戻ってこないんじゃないかなぁ」
あなた「なんと……そうでしたか」
64 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 23:47:39.34 ID:hmzCQAze0
あなた(思い立ったが吉日、勢いに任せてやってきたが、どうにも空振ってしまったようだ)
「それにしても年下の男の子までファンにするなんて……巴も隅に置けないなぁ〜♪」
あなた(目の前の先輩は先ほどまでの落ち込みようが嘘のように、今度はどこかニヤニヤした表情でそんなことを口にしていた)
あなた「すみません、お手数をおかけしました!」
「あーいいっていいって! ……ん? あれ、もしかして君って……」
あなた「はい?」
「あれかな、巴が言ってた子かな?」
あなた「宇田川先輩が?」
「そうそう! なんかね、『和太鼓に興味を持つ見所のある男の新入生がいるんだぜ!』なーんて、熱く語ってたんだよ〜。もしかして君がそうじゃないかなって」
あなた「あ、それでしたら多分俺ですね!」
あなた(神社での出来事を思い出す。確か宇田川先輩にそんなことを言われていた)
「ふーん、そっかぁー……そっかそっか〜♪」
あなた(と、俺の言葉を聞いて、目の前の先輩はニンマリと笑顔を浮かべる)
「巴がねぇ〜、あの巴がねぇ〜、まさかねぇ〜……あの様子じゃ憎からずって感じだろうし……ふふふふ……」
あなた「あの、先輩?」
「大丈夫! みなまで言うな、新入生くん! ふふ、私たちの中で一番最初に恋人が出来るのは誰かなぁっていつも考えてたけど、まさか巴が最初になりそうとはねぇ〜♪」
あなた「…………」
あなた(随分とご機嫌な様子だ。俺はなんと反応すればいいのか分からずに固まってしまう)
「ここは私がキューピットになるしかないかなぁ。巴、そういうのには絶対疎そうだもんね♪ あ、そうだ。私は上原ひまり。巴の幼馴染だよ〜」
あなた(目の前の先輩――上原ひまり先輩はそう名乗ってくれる。その前に何かよく分からないことを呟いていたが、きっと何か深い意味があることなんだろう)
あなた(そんなことを思いながら、俺も上原先輩に名乗り返す)
65 :
◆KWjQNDTan2
[saga]:2018/06/21(木) 23:58:23.77 ID:hmzCQAze0
ひまり「それで、巴にどんな用事があったの?」
あなた「いえ、用事というほどのことはありません。憧れている宇田川先輩のことをもっと知ろうと思って来ました!」
ひまり「きゃーっ、だいたーん!」
あなた「だけどいないのであれば仕方ないです。また出直しま――」
ひまり「まぁまぁまぁ待ちたまえ、若人よ!」
あなた(上原先輩はそう言って、踵を返そうとした俺の肩を掴む)
ひまり「大丈夫、ここはひまり先輩を頼りなさい! 親友の恋路は私の恋路と同義なんだから!」
ひまり「巴のことだってよぉーく知ってる私が、色々教えてあげよう!」
あなた「いいんですか?」
ひまり「全然オッケーだよ!」
あなた「ありがとうございます、上原先輩!」
ひまり「それじゃ、ここで立ち話もなんだし、食堂でも行こっか♪」
あなた「分かりました!」
ひまり「よーし、私についてこーい!」
あなた「はい!」
あなた(そうして、やたらとウキウキしている上原先輩について食堂へ行き、そこで宇田川先輩のことを色々と教えてもらった)
あなた(上原先輩はアフターグロウのステージで見ていた姿と同じく、とても明るく朗らかで親切な人だった)
あなた(やっぱり良い人の周りには同じように良い人が集まるものだ)
あなた(宇田川先輩もそうだし、羽沢先輩もそうだし、上原先輩もそうだ)
あなた(憧れの先輩に近付くためには俺もそういう人間になれるように精進しなくては)
あなた(そう思うと、自分の中により気合がみなぎった)
……………………
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