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【モバマス×餓狼伝説】ビリー・カーン「はァ?アイドル?プロデューサー?」 2
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593 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:11:37.41 ID:mo2eQFZj0
〜♪
心「ふっ、ふっ……」
タンタン
心「……っはぁー!疲れたー!」
ボスッ
心「あ〜……」
心「……」
594 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:14:39.04 ID:mo2eQFZj0
心(一体いつまでこんな状況なんだろ……このまま待ってれば沈静化するのかな?事が収まった時、事務所はまだあるのかな?……はぁとは……アイドルでいられてるのかな?)
心(……あ〜、考えれば考えるほど暗くなって……)
心「……」
………………
595 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:18:32.28 ID:mo2eQFZj0
………………
心「……はっ」
心「あれ……?もしかしてはぁと、寝ちゃってた……?」
スッ
心「……ウッソ!?もうこんな時間!?寝すぎだろ!」
ガバッ
心「ヤバイヤバイ、帰って洗濯物畳まなきゃ!」
ダッ
596 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:20:50.74 ID:mo2eQFZj0
街中
心「ハァ……ハァ……」
タッタッタッタ
心(すっかり遅くなっちゃった……しかもほとんど寝てたし……自分が思ってるより疲れ溜まってんのかなこれ……)
心(……とにかく早く帰ろ……こっちの事務所の近くを通れば少し近道になるけど……でも社長からは事務所には近づくなって言われてるし……)
心「……」
597 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:24:48.25 ID:mo2eQFZj0
心「ううん、やっぱやめとこ……急がば回れって言うし……」
スッ
記者「……おい、アレ、『RUNWAY』に所属してるアイドルじゃないか?」
心「……!?」
記者2「ん……?あ、マジだ!前あの『ととヒガ』に出てた……佐藤とかいう!」
心(ほああああああ!?こ、こんな所にはぐれ記者の人があああああ!?)
598 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:29:11.00 ID:mo2eQFZj0
記者「ラッキーだぜ……!ちょっとちょっと!君RUNWAYのアイドルだよね!?ちょっとお話いいかなぁ!」
ダッダッダッダ
心「ひっ!」
心(あばばばばばばば!ヤバイ!ヤバイ!逃げなきゃ!)
ダッ
記者2「あっ、逃げたぞ!」
記者「チッ、こっちもこんな時間まで毎日毎日こんな時間まで張らされてんだ!手ぶらで帰れるか!追え、追え!」
ダッ
599 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:32:57.94 ID:mo2eQFZj0
心(ぎゃー!追ってきたああ!)
ダッダッダッダ
心(ヤバイ!ヤバイ!自宅待機の指示でてるのに街でマスコミに捕まるとかマジでヤバイ!逃げ切らないと……!)
ダッダッダッダ
記者「待てえええええ!!」
ダダダダダ
記者2「逃げ切れると思うなよおおおお!」
ダダダダダ
心(あああああああ!記者さん速い!絶対なんか運動やってる!)
600 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:36:52.94 ID:mo2eQFZj0
心(ああ、追いつかれる……!)
ヨタヨタ
心(ごめん、みんな―――――)
???「こっちよ」
グイッ
心「うへぇ!?」
ガクッ
心(な、なんか知らない人に路地裏に引っ張りこまれた!?)
601 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:41:38.30 ID:mo2eQFZj0
クソ!ドッチイッタ!?
サガセ!チカクニイルハズダ!
バタバタバタ
???「とりあえずは、大丈夫そうか……」
心「あ、あの〜……あなたは……」
???「……」
ジロジロ
602 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:46:19.76 ID:mo2eQFZj0
心(な、なにこの人……?ヘルメット被って顔隠して……怪しすぎる……!)
心(……はっ!?もじかしてこれって襲われる直前なの!?人気のない路地裏にヘルメット被った不審者に連れ込まれるとか……完全にそういうシチュじゃん!?)
???「……あなた、アイドル事務所RUNWAYに所属している……佐藤心さんに間違いないわね?」
心「……え?」
心(この声……女の人?っていうか、なんではぁとの事知って……はっ!?)
603 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:51:58.85 ID:mo2eQFZj0
心「あ、あんたも記者の人だな!?ち、違いますぅー!はぁとは佐藤心じゃありませんんんん!!」
???「……はぁと?ちょっと何言ってるかよくわからないけど……隠れていたいならあまり大きな声を出さない方が良いわよ」
心「……へ?いやいや!なんかそんなこと言ってはぁとの事を騙そうと……!」
???「……はぁ」
604 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 17:55:57.20 ID:mo2eQFZj0
オイ!コッチダ!
アッチノロジウラカ!
ドタドタドタ
???「……ほらね」
心「あ、ああ……!」
???「……しょうがないわね。ちょっとそこの陰に隠れてなさい」
心「え、でも……!」
???「……」
スタスタ
心「あ……!」
605 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:00:41.06 ID:mo2eQFZj0
記者「……さっきの通行人の話じゃこっちに金髪の女が入ってったのを見てる」
ザッザッ
記者2「こんなところに……チョロチョロしやがって……ん」
???「……」
記者2「すみません、そこの……こっちに金髪の女性が来ませんでしたか?」
記者「いや、来たはずだ……!」
606 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:05:41.77 ID:mo2eQFZj0
???「……金髪の、女性?」
記者2「(女か……?)そうです、背丈はちょうどあなたと同じくらいの……」
???「……」
スッ
記者(ヘルメットを……あ!)
女性「……ふぅ」
フッ
記者2「あ……き、金髪……」
607 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:08:49.64 ID:mo2eQFZj0
女性「……何か、私に用かしら?」
記者2「い、いや……」
記者「そ、その……あなたの他にここに金髪の女性が……」
女性「……」
ジロリ
記者2(うっ……な、なんだこの迫力……!?)
女性「……あなたたち、何の仕事をしてるの?探偵か何か?」
608 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:11:52.60 ID:mo2eQFZj0
記者「あ……自分たちはその、報道関係者で……」
女性「報道関係者?この国の報道関係者は男2人がかりでこんな路地裏まで女性を追いかけまわすのね」
記者2「う……あ、あの、佐藤なんとかっていうアイドルを探してるんだけど……」
女性「アイドル?よく知らないけど、その子はよっぽど悪いことをしたんでしょうね。そうじゃなきゃこんな事倫理的に許されないもの」
609 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:14:07.48 ID:mo2eQFZj0
記者「……おい、もう行くぞ」
記者2「あ、ああ……しかし……」
記者「金髪の女はこいつの事だったんだろう……他を当たろう……」
記者2「そ、そうだな……」
女性「……」
610 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:18:28.61 ID:mo2eQFZj0
女性「……行ったわよ」
心「あああああ!あ、ありがとうございますぅ!そして何かさっきは色々失礼な事言っちゃってごめんなさいっ!」
女性「気にしてないわ」
心(あああ、良かったぁー!なんとか助かったぁー!)
心(それにしても……この人……外国の人だよね……ブロンドの髪に……革ジャン着てるからわかり辛かったけどナイスなプロポーション……いかにもデキる女の匂い……)
611 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:21:09.17 ID:mo2eQFZj0
心「あ、あの……日本語上手なんですね☆」
女性「そう?ありがとう、私も祖父が日本人だったから……って言っても別に祖父と話した記憶なんてないんだけど」
心「あ、そうなんですか……とにかく、助けてもらってほんとなんてお礼を言えばいいか……」
女性「あら、あなた本当に助かったかどうかはまだわからないわよ」
心「へ?」
612 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:26:04.05 ID:mo2eQFZj0
女性「話を戻すわ。あなた……佐藤心さんに違いないわね」
心「……え?あ、あの……」
女性「もう分かってるから隠さなくていいわよ。さっきの男たちもあなたを探していたと言ってたし」
心「うぐ……」
女性「……ああ、失礼。自己紹介が遅れたわね」
613 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:30:15.39 ID:mo2eQFZj0
マリー「私はマリー。あなたの知ってることを聞かせてもらえるかしら?」
心「し、知ってる事……?」
マリー「ええ。あなたの所属している事務所と……ビリー・カーン。彼についてね」
心「……ビリーさんの……!?」
614 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/02/16(日) 18:31:18.10 ID:mo2eQFZj0
今日はここまで
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/16(日) 19:02:15.46 ID:zaPogjgMO
再開きたー!待ってました!
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/16(日) 21:34:16.60 ID:Qt25ATLM0
祝再開!待ってました!
そしてブルーマリー登場か
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/17(月) 23:45:51.70 ID:xwFIW8mI0
腹筋が見事な女性エージェントが来た
618 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/18(火) 07:44:21.64 ID:i1LUgzNDO
公式でキャラが安定しないことに定評のあるマリーライアンさん
619 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/19(水) 03:21:31.49 ID:lNLDsiQw0
ビーフカップ一筋三百年〜
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/04/18(土) 17:59:01.17 ID:oOwDxM1uO
コロナが大変でアイドル達もライブどころじゃないな
621 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 22:44:07.56 ID:d2BdRMho0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーー
数日前
都内
ポツ
ポツ
サー
男「(……雨?)」
男2「(クソ、今日は降るとは聞いてなかったのに……)」
男「(ボス、すぐに車を手配させます、どこかで雨宿りを……)」
山崎「……」
622 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 22:47:34.57 ID:d2BdRMho0
山崎「(てめぇら、先に戻っておけ。俺は後で戻る)」
男「(は?ですが……)」
山崎「(ちと用事が出来た……二度言わすんじゃねえ)」
男「(は、はい。車はどうしますか?)」
山崎「(いらねえ。とにかく早く消えろ。……ああ、ただ今日はアジトに帰るんじゃねえぞ。どっかで適当に一晩過ごせ)」
男2「(……?わ、わかりました)」
623 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 22:51:13.11 ID:d2BdRMho0
山崎「……」
ザー
スタスタ
山崎「……」
スタスタ
スッ
山崎「……おい。コソコソさっきから尾けてまわってんのは、どこのどいつだ?」
スッ
???「……」
624 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 22:56:00.00 ID:d2BdRMho0
山崎「……おいおい、名乗ってくれなきゃわからんぜ。生憎身に覚えがありすぎてなぁ」
???「……日本に来ているという情報は得ていたけど、ようやく姿を現したわね。手下と一緒に悪巧みといったところかしら?」
山崎(女……?)
山崎「おいおい、なんのこった?悪巧みも何も……ただ知り合いと街をブラブラとしてただけじゃねえかぁ」
???「そう?この日本でそんな悠長な事をしていられる余裕があったとは知らなかったわ、山崎竜二」
ファサ
625 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:01:20.13 ID:d2BdRMho0
山崎「……ああ、てめぇは……以前サウスタウンで俺の事を嗅ぎ回ってた女か」
マリー「……あなた、何が目的で日本にいるの?」
山崎「アァ?俺ぁ元々日本の生まれだぜ、里帰りもしちゃいけねぇのかい?ククク……」
マリー「日本中の裏社会の人間に命を狙われてるあなたが、しかも大勢の手下を引き連れて里帰り、ね。さぞかし家族もご友人も喜ぶでしょうね」
626 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:06:04.48 ID:d2BdRMho0
山崎「ああ、残念ながら家族も仲間もこの世にゃいねえ……だが久々に生まれた国の様子でも見たくなってなぁ?郷愁ってやつだ」
マリー「……とぼけないで。先日の都内であったビリー・カーンの傷害事件……あれはあなたが仕組んだことでしょう?」
山崎「へえ?そんな事件があったのか……ってか、あの狂犬もこっちに来てたのかよ、初耳だぜ」
ニヤニヤ
マリー「……もう一度聞くわ。あなた、何を企んでいるの?ビリー・カーンが潜伏してた事務所に、いったい何があるっていうの?」
627 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:10:55.45 ID:d2BdRMho0
山崎「クク……それこそそれはあの狂犬に聞いたらいいんじゃねえか。最も、あいつはもうブタ箱行きだがなぁ……ヒヒヒヒ……」
マリー「……話しなさい」
スチャ
山崎「……おぉ〜っとォ〜……拳銃なんてそんな物騒なモン出して……ヒヒヒ、ダーティハリーでも気取ろうってのかい」
マリー「私は刑事では無いのよ。その気になれば……」
ガチッ
628 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:15:31.92 ID:d2BdRMho0
山崎「ヒヒヒ、そいつは無理だな……どこの誰かに雇われたか、個人的に動いてるかは知らねえが……何か確証も無く街中でンなモンぶっ放せば、お前がどんだけお偉いエージェント様でもお咎めなしとはいかねえだろ?」
マリー「……!それは、どうかしらね……試してみる……?」
ガチ
山崎「ククク……ヒ、ヒヒヒヒ……」
ズイ
マリー(この男……!自分から額を銃口に……!)
山崎「Go ahead…… Make my day……と、こりゃお前(ハリー)のセリフだったかァ?」
ニヤニヤ
629 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:19:33.58 ID:d2BdRMho0
マリー「くっ……」
マリー(全く怯んでないどころか……挑発をしてくる……!この状況で……!)
マリー(いえ……この状況でも……もし私が引き金を引こうとも逆に私を潰せると確信している……!)
マリー「……」
スッ
山崎「……なんだァ?結局撃たねえのか?ククク……」
630 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:26:02.98 ID:d2BdRMho0
マリー「……あなたは危険よ。必ず尻尾を掴んで……あなたも刑務所に送ってあげるわ」
山崎「やってみなぁ……ヒーヒッヒッヒ!」
ザッザッザッザ
マリー「……」
マリー(問題は山崎だけじゃない……)
マリー(山崎竜二……ビリー・カーン……この危険な男たちが集まる芸能事務所……その裏には……あの男に関係のある何かがある……?)
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
631 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:31:54.78 ID:d2BdRMho0
現在
都内某所
マリー(……という訳で、事務所内の関係者から直接事情を聞き出そうと思ったけど……)
心「……だぁ〜から〜!ホントに知らないの!ビリーさんが本当は何しに事務所に来てたのかとか言われても……こっちはスカウトされただけだっての!」
マリー(……これだものね)
632 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:36:56.20 ID:d2BdRMho0
マリー「……じゃあ本当にビリー・カーンはあなた達をプロデュースしてただけだって言うの?実は裏で色々動いてたんじゃないの?」
心「そんな事言われたってはぁとは知らないっての!けど、少なくともはぁと達といる時は普通の……いや、普通とは言い難いか……いっつもプリプリしてる、凶暴な……」
マリー「凶暴な?」
心「……けど、なんだかんだ言って面倒見は悪くないっていうか……根っからワルという訳ではないというか……いや、チンピラだけど……」
633 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:40:05.52 ID:d2BdRMho0
マリー「……根っからワルじゃない、ね……あなた、そもそもあの男がどういう人間か知ってるのかしら」
心「まぁハッキリ言って素性は全然知らないけど……でも、チャンピオンもなんかそんな感じの事言ってたけど……本人には聞きそびれたから何も知らない」
心「せいぜい三十路にもなって妹離れ出来ないシスコンのすぐ切れる危ない男としか……」
マリー「結構無茶苦茶言うわね……けど、貴女も現場を見たんでしょう?この前の『事件』を」
心「……」
634 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:43:45.86 ID:d2BdRMho0
マリー「ごめんなさい、思い出したくない光景でしょうけど……でもあの事件、恐らく貴女が把握している以上に複雑な裏がありそうなの」
心「……え?あれって、ビリーさんが街で大ゲンカして止めに入ったテリーさんにも大怪我させたって事でしょ?はぁと達はそう聞いてるけど……」
マリー「そうね。少なくとも世間ではそういう事になってる……もちろんそれも完全な偽りではないけど」
マリー「……あなた、この男を見たことはある?」
スッ
635 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:48:43.75 ID:d2BdRMho0
心「写真?……うわっ、人相わるっ……絶対関わりたくない……っていうか近寄りたくない……ヤの付く自由業の方?」
マリー「……会ったことはないのね?」
心「ないないないない!絶対!こんなの正面立たれたら泣いて命乞いするわ☆」
マリー「……実は、この前の事件は、この男が仕組んでいたという疑いがあるの」
636 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:51:10.46 ID:d2BdRMho0
心「……ええ!?仕組んでたって……何を!?ていうか何で!?っつーかこれ誰!?」
マリー「ちょっと落ち着いて……」
マリー「この男の事を話す前に……まずはビリー・カーン……あの男について話をする必要があるわね」
心「……!」
637 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:55:44.58 ID:d2BdRMho0
都内
某所
つかさ「……」
スッ
つかさ(……よし、まだここのホテルはマスコミにはバレてないみたいだな……)
つかさ(どうせ自宅近くにはずっとマスコミが張ってるだろうし、ここがバレた時の為にもう二、三候補を探しとかねぇと……)
スッ
「……おい」
638 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/06(水) 23:58:48.08 ID:d2BdRMho0
つかさ「……ッ!」
つかさ(……まさか……もう嗅ぎつけられて……!)
「……」
つかさ「……!お前は……」
つかさ「……ビリー・カーン、か……」
ビリー「……」
639 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:03:21.78 ID:B7CxciAl0
都内
ホテルの一室
つかさ「ふう……それにしても……なんでこのホテルだとわかった?」
トス
ビリー「……別にピンポイントでこのホテルを当てた訳じゃねぇ」
ビリー「以前お前が仕事で手配した事があるホテルをピックアップして……その内の一件ずつに張ってたらお前が来ただけだ」
つかさ「なるほどな……確かに幾つかのホテルを切り替えながら生活をしてるが……何にせよ、お前にすぐ行きつかれるようじゃもう替え時かもな」
ビリー「……」
640 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:06:48.08 ID:B7CxciAl0
つかさ「……いや、本来のお前の仕事はこういう事の方が多かったのか?」
ビリー「……」
つかさ「ビリー・カーン……本当に釈放されてたんだな」
ビリー「……その口ぶりじゃ……もう誰かに聞いてたのか?」
つかさ「ああ……お前の本来の会社の……ハワード・コネクションの男から一応報告しとくっつてな」
ビリー(リッパーか、ホッパーのどっちかか)
641 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:09:04.06 ID:B7CxciAl0
ビリー「まぁ……色々裏で手が回されたらしいが」
ビリー「だが、ンな事はどうだっていい」
つかさ「……何?」
ビリー「ある野郎に、あんたが事務所を本体から切り離してるっつう話を聞いた」
つかさ「……」
ビリー「あんた、事務所を畳む気なのか?」
642 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:12:12.52 ID:B7CxciAl0
つかさ「……」
ビリー「傘下の事務所を全部切り離して……本体は潰しちまうのか」
つかさ「……RUNWAYは悪評が付きすぎた。芸能界でやっていくのはもう無理だ」
つかさ「独立させた事務所もしばらくは苦労するだろう。だが、本体を畳んだと世間に示せば、世間は納得して、やがて記憶から消えていく」
つかさ「そうすりゃ独立した奴らはちゃんとやれば立て直せる……まぁそこは心配してない。アタシが独自経営を任せた時点であいつらは立派にやっていけると判断してるからな」
643 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:15:25.48 ID:B7CxciAl0
ビリー「……ンな事聞いてんじゃねえ、あんたはそれで良いのかよ」
つかさ「良い悪いの話じゃない。そういう結果だ」
ビリー「……」
ビリー「なぜ、俺に文句の一つも言わねえ」
つかさ「……」
ビリー「今日俺は元々そのつもりでここへ来た。てめェを待ってる時から、どんな罵詈雑言を浴びせられるかってな。ブッ刺されたって文句を言うつもりは無かった」
644 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:21:04.47 ID:B7CxciAl0
ビリー「わかってんだろ。こうなったのは俺が来たからだ。俺が来たから、山崎なんてクソ野郎に事務所が目をつけられた」
ビリー「俺が来たからてめェが築き上げた事務所が、全部が、水の泡だ。ざまァねえ」
つかさ「……」
ビリー「今まであんたが積み上げて来たモノが、俺みてェな訳のわかんねえヤツのせいでパーだ。ムカつくだろ?許せねえだろ?」
つかさ「……」
645 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:24:32.00 ID:B7CxciAl0
ビリー「……何を黙ってやがる?オラ、いつものように俺を罵倒してみろよ。どうしようもねえヤツだとか、救い難ェクズだってよ」
つかさ「……ふぅ」
ビリー「……!」
つかさ「……で、お前を罵って、何になんだよ?」
ビリー「……なに?」
つかさ「お前はどうしようもねぇクズだ、お前のせいでアタシの人生メチャクチャだ……それを口にして、事務所が元に戻んのか?世間が忘れてくれんのか?」
646 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:27:33.04 ID:B7CxciAl0
ビリー「……!」
つかさ「今までお前に嫌事言ってきたのは、それで結果が、未来が変わる可能性があったからだ。けど、もうこうなったらお前に何言ったって何も変わらないんだよ」
ビリー「……」
つかさ「……それに、全部がお前のせいだとも思っちゃいない」
ビリー「……なんだと?……」
647 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:30:35.67 ID:B7CxciAl0
つかさ「お前が初めて事務所に来た時、お前の事は全部調べた。そうだ、アタシと口論してお前が悪態ついて出ていった時にはお前の素性は全部分かってた」
ビリー「……」
つかさ「表に出てきている事、裏の顔、全部だ。お前がどんだけ危ねえヤツかってのは、調査してたんだ」
ビリー「……」
つかさ「ビリー・カーン……ギース・ハワードの右腕、歩く凶器……とにかく全部だ」
648 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:36:33.72 ID:B7CxciAl0
ビリー「……そこまで分かってて、何故俺を雇った?なんでテストなんか受けさせた?確かにメチャクチャなテストだったが、本当にやるとは思わなかったか?」
ビリー「だが、アンタは別にどうとでも理由を付けて俺を落とせたハズだ。なんでだ?」
つかさ「……アタシも本当はお前を迎えるつもりは無かった。そもそも危険人物だ、普通に考えたら絶対にNOだ」
ビリー「だったら……!」
つかさ「だが、なんでだろうな。お前が連れてきた佐藤が面白いヤツだったからか、妹と話してるお前を見たからか……」
つかさ「……それとも、アイツが……ギース・ハワードが一番信用した仲間だったから……かもな……」
ビリー「……!」
649 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:40:53.97 ID:B7CxciAl0
つかさ「……とにかく、アタシはお前の過去とかをひっくるめた上で事務所に置く判断をした。それには当然こういう事になるリスクも含めた上での判断をな」
ビリー「……じゃあ、何か?この結果はてめェの判断ミスだと?」
つかさ「……ん、まぁ、そういう事だな」
ビリー「……!」
ガタッ
650 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:45:10.70 ID:B7CxciAl0
ビリー「ふざけんな……!てめェ、ちょっと前までボロクソ言ってきてた癖になんだその……!」
グイッ
つかさ「……離せよ」
ビリー「うるせえ!言えよ!事務所を潰したのは全部お前の所為だってよォ!」
つかさ「……カーン」
スッ
ビリー「あァ……ッ!?」
つかさ「アタシを、この桐生つかさ様を甘く見んじゃねェぞ!!」
ビリー「……!」
651 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:48:40.06 ID:B7CxciAl0
つかさ「事務所を潰したのは俺の所為!?ハッ、自惚れてんじゃねえぞチンピラ風情が!」
つかさ「この『RUNWAY』は!アタシとアタシの仲間が人生掛けて立ち上げて作ってきた事務所だ!それをここ最近ノコノコ現れたお前が潰しただって?舐めんな!」
つかさ「RUNWAYを作ったのがアタシなら潰すのもアタシだ!これだけは他の誰にも奪えやしねえ!お前にも、山崎にも、ギースにもな!」
ビリー「……ッ」
スッ
つかさ「……」
トスッ
652 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:52:07.84 ID:B7CxciAl0
ビリー「……」
つかさ「……ただ」
つかさ「ただ一つ、申し訳ない事があるとすんなら」
ジワ
つかさ「このRUNWAYに夢を賭けてくれたアイドル、プロデューサー、スタッフ達……みんなには、謝っても、謝り切れねえ」
ポロッ
ビリー「……!」
つかさ「……」
グスッ
653 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:56:02.12 ID:B7CxciAl0
つかさ「……お前、これからどうする気だ?」
ビリー「……」
つかさ「……もしアメリカに帰るんなら、その前に、お前がスカウトしたアイドル達にきっちりケジメだけは付けていけ」
つかさ「別に直接会うんじゃなくてもいい……ただ、何も言わずに消えるのだけは止めてやってくれ」
ビリー「……」
654 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 00:59:37.98 ID:B7CxciAl0
つかさ「お前が捕まって以来……アタシもマスコミ対応や事務所の手続きがあったせいで、あの娘達とはまともに会えていない」
つかさ「電話で少し話はしたが……明るく振る舞うヤツ、顔は見れてないが明らかにふさぎ込んでるヤツ……ただ、皆大なり小なりショックは受けてる」
つかさ「もちろん、あの娘達の今後は、アタシが責任を持ってなんとかする。別の事務所に移籍させてもらうか、独立させる事務所に編入させるか……とにかくなんとかする」
つかさ「だがあいつらは……あれでもお前、ビリー・カーンという人間にスカウトされたからこそ集まった連中だ。お前が本質的にどういう人間であれ、それは変わらない」
ビリー「……」
655 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 01:03:22.65 ID:B7CxciAl0
つかさ「だから、傷になったって良い、悲しい記憶になったって良い。ただ、あの娘達が踏ん切りを付けて、前に進めるようにしてやるのがお前のプロデューサーとしての責任だ」
ビリー「……」
スッ
スタスタ
ガチャ
バタン
つかさ「……」
656 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 01:07:50.54 ID:B7CxciAl0
つかさ(……なんだよ。今更になってアイツに恨み言言ってんのかアタシは)
つかさ(分かってる。踏ん切りを付けて前を向くのは他人にさせてもらう事じゃない……自分自身でやらなきゃいけないことなんだ)
つかさ(アタシだ。アタシだけなんだ――――それが出来ていないのは)
つかさ「……」
つかさ「……馬鹿みてぇ。結局、18のあの頃から何も成長しちゃいねぇんだ」
つかさ(……なぁ、アンタ、見てんのか?もし見てたらアンタは……今のアタシになんて言うんだ?)
ビリー「……ケジメ、か」
657 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/07(木) 01:08:21.97 ID:B7CxciAl0
今日はここまで
658 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/07(木) 01:15:59.42 ID:TjR3+Q5m0
乙です!
マリーも登場していよいよ物語がラストに向かってる感じですね
香港の刑事は来るのかな?
659 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/07(木) 13:40:05.14 ID:L6yM8iD2O
ビリーこれからどうすんだろ
帰るのか残るのか
残ってなにかやれることあるのかというのもあるが
660 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/07(木) 22:22:26.63 ID:rMzYpED70
ヤマザキは何とかしとかなきゃいかんわな
661 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/08(金) 12:45:54.31 ID:pN86xHbd0
本当餓狼のキャラもアイマスのキャラも違和感なく動いていて面白いわ
この先龍虎の時の師範みたいなおまけ的外伝も見てみたい(まずは無事に完結が前提だけど)
662 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:13:32.85 ID:3/ppUle20
マリー「————まず、ビリー・カーンは今もう釈放されてるわ」
心「……え、ええ!?あんだけやらかして逮捕されたのに……!?」
マリー「……裏でハワード・コネクションが手を回したみたいね。1週間前に勾留を解かれて、留置場から出ているわ」
心「……ハワード・コネクション……?」
663 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:16:20.95 ID:3/ppUle20
マリー「ええ、ハワード・コネクション……名前くらいは知ってるでしょ?」
心「そりゃあ世界的にも有名な企業だし名前は知ってるけど、ただ大きいってだけでどんな事をやってる会社かってのはよく知らないし……」
マリー「どんな事、と言われれば、何でもよ。物流、サービス産業からカジノ経営、そして軍事まで。莫大な資金力を背景にして、アメリカ……いえ、世界で見ても指折りの影響力を持つ巨大複合企業……」
心「……」
ゴクッ
マリー「そしてその資金力以上にコネクションの力を高めていたのは、総帥であるギース・ハワード……この男の支配だった」
664 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:20:20.39 ID:3/ppUle20
心「……え?でもその人って、ちょっと前に確か事故死したって……ニュースですっごい大騒ぎしてたもん」
マリー「ええ。ギース・ハワードは確かに今から約10か月前……自身の居城とも言うべきギースタワーから転落死してる。コネクションは世界への影響力に若干翳りが見えている」
心「……ね、ねえ、さっきから……そのコネクションとか社長とか……ビリーさんと一体何の関係があるの?その会社と社長がすごいってのはわかったけど……そんなすごい会社が……どうして捕まってたビリーさんを助けるの!?」
マリー「……ビリー・カーンはそのハワード・コネクションで、ギースの側近を務めてた。名実ともに組織のナンバー2をね」
665 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:24:18.12 ID:3/ppUle20
心「……はあ!?う、ウソウソウソ!無理でしょ!あんな社会不適合者がそんな立派な企業のナンバー2だなんて!」
マリー「……まぁ貴女の言ってることも正しいけどね。けど、事実よ」
心「そ、そんな……大体、ビリーさんがそんな所にいて何の仕事すんの!どう見たってあの態度で営業が上手いとは思えないし、あの短気さで人の管理なんて出来るとは思わないし……!」
マリー「さっきも言った通り、ハワード・コネクションは何でもやってるの。そしてその『何でも』の中には、表の社会のは出せない事も含まれる。所謂、裏の仕事もね」
666 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:28:30.89 ID:3/ppUle20
心「な、なにそれ……マンガとか映画とかで見るような仕事って事?」
マリー「まぁ概ねそういうイメージで間違ってないわ……それが表に出てこないのは、豊富な資金による買収、癒着……そして武力による邪魔者の排除」
心「……まさか」
マリー「そう、ビリー・カーンは組織内でその『武力』を担っていた。ある時は格闘大会でコネクションの力を喧伝するように派手に暴れ、そしてある時は秘密裏に敵対する者を暗殺したり、ね」
心「……あ、暗……さ……!」
667 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:32:08.33 ID:3/ppUle20
マリー「そう。ビリー・カーンの手によってから消された人間は両手の指じゃ足りない……もちろん、表面に出ている数だけでもね。着いた仇名が『歩く凶器』」
心「歩く、凶器……!」
マリー「ハワード・コネクションはそういった側面から、表社会だけでなく裏社会にも強い影響力を持っていた。ビリー・カーンを筆頭に、血生臭い事もやっていたからね。……そしてそれはギース・ハワード本人も時に先頭に立って手を汚した」
心「……」
668 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:35:50.14 ID:3/ppUle20
マリー「けど、さっき言った通りギースは死んだ。ビリー・カーンは荒事専門で、ギースのような支配力は持っていなかったから……コネクションは急激にその影響力を失った……特に裏社会の方のね」
マリー「それからというもの、ビリー・カーンは本拠地であるサウスタウンに居て、特に目立った動きは無かった。けど、突然姿を消したと思えば、この日本で目撃された。しかもアイドルのプロデューサーとしてね」
心「……」
マリー「ねえ貴女、どう思う?ビリー・カーンは一体何が目的で……ちょっと、佐藤さん。貴女……大丈夫?」
心「……そんな……ビリーさん……暗殺……凶器だなんて……」
669 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:39:44.16 ID:3/ppUle20
マリー「……正直言って、貴女がそんなにショックを受けている事に私は驚いてるわ。私は暴力の象徴としてのビリー・カーンを知ってるから……けど貴女のその様子を見ると、貴女は私の知らないビリー・カーンの顔を知っているようね」
心「……」
心「カーンさんは……確かに短気で自分勝手で、妹大好き人間だけど……」
心「それでも、悪態つきながら、憎まれ口叩きながらもはぁと達の事を心のどこかで気にかけてくれてる……そういう人だった」
670 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:45:28.41 ID:3/ppUle20
心「そう思ってるのははぁとだけじゃない、李衣菜ちゃんだって、智絵里ちゃんだって……忍ちゃんも周子ちゃんも、それこそ社長だって、そう思ってたと思うよ」
心(けど、人殺しだけは……それだけは……)
マリー「……あの男がいたこの約半年間……随分と信頼を勝ち取ったようね……それは私にとっては想定しなかった事だわ」
マリー「まぁビリー・カーンという男の評価を決するのは今必要な事じゃない……認識を改める必要はあるかもしれないけどね、貴女も私も」
671 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:47:45.63 ID:3/ppUle20
心「……」
ガタッ
マリー「……佐藤さん?」
心「……もう、帰る」
マリー「……この写真の男の事は、聞かなくていいの?」
心「……今はちょっと何も考えたくないかも」
フラフラ
カランカラン
672 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:50:47.48 ID:3/ppUle20
マリー(……いつの間にか、私の方があちらに話をする側になってたわね)
マリー(特に目新しい情報は得られなかった……恐らくこれ以上聞いても同じだったでしょうけど……しかし)
マリー(ビリー・カーン……あの男の私が知り得なかった新たな人物像を伺い知ることはできた)
マリー(ただ……例え仕事だとしても……彼女のような辛そうな顔を見るのは……やっぱり胸が痛むわね)
673 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:53:17.14 ID:3/ppUle20
コツコツコツ
男「(……お呼びですか)」
山崎「(オウ、呉、来たか)」
男「(私を呼んだという事は……何かアクションを?)」
山崎「(ああ。俺ァ追い詰めりゃあの社長サンはきっと大人しく事務所を譲ってくれると踏んでたんだが……どうやらあの女、事務所を処分しちまいそうなんだ)」
674 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:56:51.67 ID:3/ppUle20
男「(……我々に渡すぐらいなら、自分の手で潰す、と?)」
山崎「(俺ァ多少傷物になっても良いと思って工作を掛けさせたが……全く嫌われたモンだぜ。所詮アイドル上がりだと舐めてたが……クク、大した反骨精神だぜ)」
男「(……では、事務所が畳まれる前にこちらに譲るように圧力を掛けると?)」
山崎「(まぁそういうこった。別にアイドル事務所に興味はねえが、それでも事務所事畳まれりゃあそこに隠してあるであろうブツが全部パーになる。それじゃあ何しにわざわざ日本まで来たのかわからねェ)」
675 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 22:59:51.06 ID:3/ppUle20
男「(しかし、今はあちらに仕掛けようにも事務所及び社長やアイドルの周辺には常にマスコミという衆目があります。その中で事を起こすのは多少リスクが……)」
山崎「(イヤ……いるだろ?この騒動の中マスコミに追い回されてねェ面倒な護衛も着いてねェ当事者が……クク、地味ってのは得な事もあるんだなァ)」
男「(……!なるほど)」
山崎「(オウ。それじゃあ『協力者』を確保出来次第、改めて社長サンと交渉だ……クク、今度こそ社長サンが優しくしてくれると良いんだがなァ?)」
676 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:03:02.50 ID:3/ppUle20
都内
某所
ブーン
キキッ
李衣菜「あ、領収書ください……宛名は、ラ……いや、やっぱ空白でいいです、はい、どうもありがとうございました」
ガチャ
バタン
ブーン
李衣菜「……っふう、ここのビルで合ってるよね……?」
677 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:07:09.86 ID:3/ppUle20
李衣菜(『RUNWAY』が活動停止になってから約ひと月……未だに世間のバッシングは止まないし、事務所の近くにはマスコミの人がうろついてる)
李衣菜(プロデューサーさんは捕まっちゃって……桐生社長は色んな対応に追われててんてこ舞い……私たちは自宅待機になってたけど……そんな中今日久しぶりに社長から集合が掛かった)
スタスタ
李衣菜(わざわざ変装して、事務所から遠く離れたこのビルにタクシーを使って……しかもビルの前で鉢合わせないように時間をずらして集合)
李衣菜(私が一番ビルから遠くに住んでたから、私が最後に集合って事だったけど、みんなちゃんと来てるのかな……アレ以来声は聞いてても顔を見るのは久しぶりだし)
678 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:11:58.01 ID:3/ppUle20
李衣菜「えーっと……会議室の609号室だから……6階に上がらなきゃ」
李衣菜(そもそも集合が掛かったのも何か重要な伝達事項があるってことなのかな……もしかしたら……プロデューサーさんの事……とか)
チーン
ウィーン
スタスタ
李衣菜「609号室……ここか」
679 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:15:55.91 ID:3/ppUle20
李衣菜(静かだな……)
コンコン
ガチャ
李衣菜「おはようございま〜す……リーナで〜す……」
つかさ「多田、来たか」
周子「あ、リーナちゃん。おひさ〜」
ハタハタ
680 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:19:54.61 ID:3/ppUle20
李衣菜「あ……」
忍「あ……良かった、元気そう、だね」
智絵里「……」
ペコリ
李衣菜(良かった、皆来て……ん?)
李衣菜「……あれ?心さんは?」
681 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:23:02.28 ID:3/ppUle20
智絵里「……」
忍「……」
李衣菜「……え?ど、どうしたのみんな……」
周子「……あー、心さんは……」
李衣菜「……ま、まさか」
李衣菜「心さんの身に何かあったんじゃ!」
682 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:27:06.54 ID:3/ppUle20
スッ
???「……うわあッッッッッ!!!!」
ドン
李衣菜「きゃあああああああああ!!!!!」
ビクゥッ
李衣菜「だ、だだだだだ……って」
心「よっ☆李衣菜ちゃん久しぶり☆」
683 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:32:46.65 ID:3/ppUle20
李衣菜「……心さん!?え、ふ、普通にいるじゃないですか!?」
心「え?そりゃいるよ?トイレ……じゃなくて、お花摘みに行ってただけだし」
周子「あっはっはっはははは!『きゃあああああ!』やって!かわいっ」
李衣菜「な、なに笑ってんの!ていうか心さんなんで脅かすんですか!」
心「いや〜、戻ろうとしたらちょうど李衣菜ちゃんが部屋に入ってくのが見えたからさ☆ちょっと久しぶりに会うあいさつ代わりと思って☆」
李衣菜「もおおおお!!」
684 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:36:09.26 ID:3/ppUle20
つかさ「……まぁとにかく全員集まる事ができて何よりだ」
心(……確かにみんな集まってくれてそれはホント良かった……けど、今に至るまで智絵里ちゃんも忍ちゃんも……全然笑ってないな……さっきのでくすっとくらい笑ってくれるかなって思ったけど)
智絵里「……」
忍「……」
心(ビリーさんの事を知ってるのも……多分はぁとだけだよね……)
685 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:39:18.52 ID:3/ppUle20
李衣菜「それで桐生社長、今日集まったのは……」
つかさ「ああ、まぁ騒動が起こって以来忙しくてお前たちと顔合わせも出来なかったが……少し余裕が出来たのでこうして集まってもらった。お前らに伝えなきゃいけないこと、確認したいこともあるしな」
工藤「伝えたいこと、ですか……」
つかさ「ああ……まず最初に、この『RUNWAY』はアイドル事業から撤退する」
心「!」
智絵里「……!」
忍「え……!?」
周子「……」
686 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:42:46.28 ID:3/ppUle20
李衣菜「そ、そんな!?」
つかさ「みんな知っている通り……連日事務所にはマスコミが張り付き、世間はほぼほぼバッシング一色……こんな状態で人様の前に出る芸能活動なんて出来るわけがない」
心「そ、それじゃあ……はぁと達は……」
つかさ「いや、お前らの今後についてはアイドルを続けられるようにする。先に独立させた元傘下の事務所に受け入れてもらうか、もしくはお前らが望むなら別の事務所に移籍でも良い。こう見えて業界にはツテが多少あるから、それくらいは出来る」
687 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:48:54.39 ID:3/ppUle20
忍「で、でも……『RUNWAY』は……」
李衣菜「そ、そうですよ!桐生社長は、事務員さんやリリィさんはどうなるんですか!?」
つかさ「……その事だが、その二人は退職してもらう方向で動いてる」
智絵里「……え……?」
李衣菜「た、退職って……!」
つかさ「現状あの二人はマスコミにも追われていないが……それでももう沈みかけてる船に付き合ってもらう必要はない」
688 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:51:32.20 ID:3/ppUle20
忍「そ、そんな……あの二人はそれで納得してるんですか……?」
つかさ「納得する、しないの話じゃない。雇ってるのはアタシ……それを続けるかどうかはアタシが決める。リリィとはまだ話し合い中だが……」
李衣菜「……ってことは事務員さんとはもう話がついてるんですか……」
つかさ「……まぁそういう事だ」
周子「……」
689 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:53:51.79 ID:3/ppUle20
つかさ「……まぁそれよりもお前らの事だ。今後どうするかだが……」
智絵里「……ま、待ってください……」
つかさ「……緒方?」
智絵里「……プロデューサーさんは、どうなったんですか……?」
心「……!」
690 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/15(金) 23:57:25.29 ID:3/ppUle20
忍「……ち、智絵里ちゃん……」
つかさ「……その様子だと、カーンから特に連絡はなかったようだな」
李衣菜「……え?連絡も何も、プロデューサーさんは逮捕されてるんじゃ……」
つかさ「……」
フゥ
つかさ(カーン……あいつやっぱり……ケジメはつけられなかったか……)
691 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/16(土) 00:00:53.26 ID:ttr9mHfV0
つかさ「……ここから話す事は他言無用だ。いいな」
李衣菜「……え、な、なんですか……」
つかさ「カーンはもう留置場にはいない。釈放された」
智絵里「え……」
忍「な……!」
周子「……!」
李衣菜「え、ええ!?」
心「……」
692 :
◆z4l4K/HkZ2
[saga]:2020/05/16(土) 00:03:05.06 ID:ttr9mHfV0
つかさ「釈放されたのは今から10日くらい前か……その後アタシにわざわざ会いに来た」
李衣菜「プ、プロデューサーさんが……」
忍「釈放……」
周子「……けど、釈放されたなら何であたしらに会いに……ていうか連絡してくれないの?電話の一本くらいあってもいいと思うんだけど」
つかさ「……本当にそう思うか?」
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