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もこっち「モテないし、ヴレインズ」
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128 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:10:46.90 ID:3E6QcclyO
[1]
ネモっち「出た目は1! よって、タイガーをエクストラデッキに戻す!」
クロっち「くっ………」
ネモっち「さらに、魔法カード、《魔玩具融合》を発動!」
ネモっち「墓地に存在する融合素材モンスターを除外し、『デストーイ』融合モンスターを融合召喚する!」
ネモっち「私は墓地のベア2体と《エッジインプ・シザー》を除外して融合!」
ネモっち「融合召喚! 現れ出ちゃえ、4度目の《デストーイ・シザー・タイガー》!」
129 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:12:26.14 ID:3E6QcclyO
タイガー『ガオオッ!』ATK1900→2200
ネモっち「そして、融合召喚成功時、タイガーの効果発動! 3枚のカードを破壊する!」
ネモっち「私は《ABCードラゴン・バスター》と2枚の伏せカードを選択して破壊する!」
タイガー『ガオオ!』ジャキーンッ
クロっち「ならば、チェーンして、セットされた《スキル・プリズナー》を発動!」
ネモっち(やっぱりね)
クロっち「このターン、《ABCードラゴン・バスター》を対象に発動したモンスター効果は無効となる! よって、タイガーの効果は無効だ!」
ピカーッガキンッ!
タイガー『ガオッ!?』
130 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:15:18.37 ID:3E6QcclyO
ネモっち(………これでクロの残りの伏せカードは1枚だけ。そしてそれはクロの先攻1ターン目で伏せられたカード)
ネモっち(クロの言葉によれば、あれは通常罠。また、《封魔の矢》にチェーン発動しようとしたことから見て、フリーチェーンと見て間違いない)
ネモっち(しかも、クロは、攻撃力400の《おジャマ・キング》を攻撃表示で立たせているのに、戦闘ダメージを心配する素振りが全く無い)
ネモっち(もちろん、クロの場には《光の護封霊剣》が残っているから、それで防ぐことはできる)
ネモっち(だけど、また私が《封魔の矢》を使ってくる可能性があることを考えればーーそのくらいで守りを固めたつもりになっているとも思えない)
ネモっち(少なくとも、バトルフェイズに入る前から、守りを固めることのできるカードが無ければ、ああも安心はできないはず)
131 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:17:18.65 ID:3E6QcclyO
ネモっち(実は《封魔の矢》の影響を受けない、手札誘発系モンスターを持っていてーーーなんて可能性も無い)
ネモっち(なぜなら、クロの手札は、おジャマ三兄弟とカントリー………手札誘発が無いことは、もう割れているんだから)
ネモっち(しかも、クロは《ABCードラゴン・バスター》をわざわざ攻撃表示で合体召喚した………)
ネモっち(壁にするなら、戦闘ダメージを受けない守備表示で特殊召喚した方が良いのにーーー)
ネモっち(ここから推察するに、クロのあの伏せカードはーーー)
ネモっち(………試してみるかな)
132 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:20:21.12 ID:3E6QcclyO
ネモっち「………私はメインフェイズを終了し、バトルフェイズに移行ーーー」
クロっち「待った! メインフェイズ終了時、罠発動《重力解除》!」
ネモっち「!」
クロっち「その効果で、お互いのモンスターの表示形式を入れ替える!」
グワンッ………
キング『オジャッ?』ATK0→DEF3000
ウルフ『ガルッ?』ATK2000→DEF2000
ドラゴン・バスター『………』ATK3000→DEF2800
タイガー『ガオッ?』ATK2200→DEF1200
クロっち「これで、お互いの場のモンスターは全て守備表示! 守りは万全ーーー」
ネモっち「それはどうかな?」
クロっち「なっ、またそのセリフーーー!」
ネモっち(読み通りだよ、クロ!)ニヤリ
クロっち「お前、何を狙ってーーー」
クロっち「!?」
133 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:22:25.84 ID:3E6QcclyO
パーペチュアル『………』ATK2000
クロっち「攻撃表示のまま………だと!?」
ネモっち「あはは、それはそうだよ。リンクモンスターに守備表示なんて概念は無いからね」
クロっち「………えっ? えっ?」キョトン
ネモっち「リンクモンスターには守備力が無いんだ。守備力0とかじゃなくて、本当に『無い』」
ネモっち「だから守備表示になるという概念自体が無い」
クロっち「………はあ!? マジかよ、それ?!」
ネモっち「マジなんだよねー、これが。だから、《重力解除》みたいな表示形式変更系カードはもちろんのこと、《おジャマ・カントリー》の攻守入れ替え効果もリンクモンスターに通用しないんだ」
ネモっち「エクシーズモンスターにレベル系カードが使用できないのと同じようなものだと思えば、わかりやすいんじゃないかな?」
クロっち「………ああー、そういうことか」
ネモっち「納得した?」
134 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:24:25.59 ID:3E6QcclyO
クロっち(………攻守の部分もテキスト欄の一部だからな。モザイクかかっててわかんなかったわ………)
クロっち(………それに、まあ、ちょっと驚きはしたが、《パーペチュアル・キング・デーモン》の攻撃力は2000だ)
クロっち(その程度の攻撃力のモンスターが1体だけ攻撃できたところで大した問題は無い)
クロっち(しかも、まだ《光の護封霊剣》による守りが残っているーーーというか、そもそも攻撃力2000じゃ、《おジャマ・キング》たちを突破できないしな)
クロっち(そうだ、落ち着け、大丈夫だ、うん)
ネモっち「クロっちーー? どうかした?」
クロっち「ーーーいや、もう大丈夫だ。問題ない、続けてくれ」
ネモっち「そう? なら私はメインフェイズを続行してーーー」
ネモっち「速攻魔法発動、《エネミー・コントローラー》!」
クロっち「!?」
135 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:26:35.85 ID:3E6QcclyO
ネモっち「このカードはコマンド入力することで、相手モンスターを操ることができる!」
ネモっち「上・左・下・右・A!」
ピコピコピコ………ポチポチッ
ネモっち「このコマンドにより、《おジャマ・キング》を攻撃表示に変更する!」
キング『オ、オジャッ?』DEF3000→ATK400
クロっち(ふん、ネモの奴、 《おジャマ・キング》の攻撃力がいま400なのをいいことに、狙い打ちして大ダメージを与える気か)
クロっち(だが、まだ大丈夫だ。私にはまだ《光の護封霊剣》がーーー)
ネモっち「さらに、もう一枚、《エネミー・コントローラー》!」
クロっち「なっ!?」
136 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:28:03.87 ID:3E6QcclyO
ネモっち「コマンド入力! モンスターをリリースし、左・右・A・B!」
タイガー『ガオ!』ヒューン
ピコピコ………ポチポチッ
ネモっち「このコマンドにより、ウルフのコントロールを得る!」
ネモっち「戻ってきて、ウルフ!」
ウルフ『ガルーッ♪』ピョオーンッ
ネモっち「よしよし、良い子にしてたー?」
ウルフ『ガルルンッ!』フンス
137 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:29:34.83 ID:3E6QcclyO
クロっち「ぐっ………!」
ネモっち「ーーーそして、タイガーがリリースされ墓地に送られたことで、《パーペチュアル・キング・デーモン》のモンスター効果発動!」
ネモっち「ダイスロール!」
コロコロコロコロ………
[2]
ネモっち「出た目は2! よって、再びエクストラデッキに戻る!」
クロっち(ま、まだだ………それでも、まだ防ぎきれーーー)
ネモっち「ウルフを攻撃表示に変更し、装備魔法、《団結の力》を発動!」
138 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:32:08.87 ID:3E6QcclyO
クロっち「あっーーー」
ネモっち「ウルフに装備! そして、攻撃力を私の場のモンスターの数×800ポイントアップする!」
ネモっち「私の場のモンスターは2体! よって、1600ポイントアップ!」
ネモっち「《パーペチュアル・キング・デーモン》! ウルフに手を貸してあげて!」
パーペチュアル『………………』つ
ウルフ『ガゥーウ! ガッルル!』つ
コツンッ
パーペチュアル『………………』
ウルフ『ガゥーウ!!』ATK2000→3600
クロっち「こ、攻撃力3600!?」
ネモっち「メインフェイズを終了し、バトルフェイズに移行!」
ネモっち「バトル! 《デストーイ・シザー・ウルフ》で《おジャマ・キング》に攻撃!」
ウルフ『ガーールーーウッッ!!』ATK3600
ダッダッダッ………!
キング『………オジャジャッ!?』ATK400
139 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:34:35.95 ID:3E6QcclyO
ネモっち「2体の攻撃力の差は3200! クロっちのライフは3100!」
ネモっち「どうする、クロっち?」
クロっち「ーーーこ、攻撃宣言時、永続罠《光の護封霊剣》の効果発動!」
クロっち「ライフを1000ポイント支払うことで、相手モンスターの攻撃を無効にする!」LP3100→2100
ガキーンッ!
ウルフ『ガーールウッ?!』ズザザッ
ネモっち「だったら、もう2回攻撃だよ!」
ウルフ『ガーーーー』
クロっち「2回目と3回目の攻撃宣言時、《光の護封霊剣》の効果発動!」
クロっち「それぞれの攻撃宣言時、ライフを1000ポイントずつ支払うことで、無効にする!」LP2100→1100→100
ガキーンッガキーンッ!!
140 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:36:21.43 ID:3E6QcclyO
ウルフ『………ガーールッルッルッルッ!!』
ネモっち「これでライフは100! もう攻撃を防ぐことはできない!」
クロっち「ぐうっ!?」LP100
ネモっち「トドメだよ! 《パーペチュアル・キング・デーモン》で《おジャマ・キング》に攻撃!」
ネモっち「パーペチュアル・シュート!」
パーペチュアル『グオオ………ガアッ!』ATK2000
ゴゴゴオオッ!!
クロっち「う、うおおおおおおおおおおおお!??」LP100→0
ピィーッ!
winner:【ネモっち】!
141 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 03:37:45.81 ID:3E6QcclyO
今夜はここまで
142 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:00:19.91 ID:75NfiOGOO
投下します
143 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:02:16.69 ID:75NfiOGOO
ネモっち「………うん、私の勝ちだねーー、クロっち!」LP4000
クロっち(ま、負けた………しかも、ネモは無傷、これじゃ私の完敗ーーー)LP0
ネモっち「………でもまあ、クロっちのデュエル、普通に凄かったと思うよ?」スタスタ
クロっち「………ああっ? 何言ってんだ、勝ったのはお前じゃねーか。しかも無傷だし………」
ネモっち「………いや、だって、そのデッキって普通に無改造の初期デッキでしょ? エクシーズもしなかったし」
144 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:03:51.51 ID:75NfiOGOO
クロっち「あっ、いや、まあそうだけど………」
ネモっち「それに加えて、クロっちは再開したばかりのプレイヤー。それがあそこまで戦えることの方が凄いと思うよ?」
クロっち「えっ、そ、そうかなーーー」
ネモっち「うん、もっと自分に自信を持って良いと思う」
クロっち「………………お、おう」カアッ
ネモっち「………あれれー、どうしたの? ひょっとして照れてる?」
クロっち「なっ、べ、別に照れてなんかーーー」
ネモっち「実はそのアバター、照れると、おちょぼ口になるんだよねーー」
クロっち(えっ、ちょっ、マジで!?)ババッ
ネモっち「………なーんてね。そんなわけないじゃん」
145 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:07:29.68 ID:75NfiOGOO
クロっち「なっーーー」カアアッ
ネモっち「なのに自分で口塞いじゃうなんてーー照れてるクロっち、おっもしろーい!」ニヤニヤ
クロっち「〜〜〜〜っ、ネモ! お前、いい加減にーーー!!」
ネモっち「でも、自分に自信を持っても良いっていうのは本当だよ? それと、ここではネモっちだよーー」
クロっち「〜〜〜〜っ、………………はあっ、お前と話してるとホント疲れるわ………」
ネモっち「………………ふーん、じゃあ、疲れない相手って誰?」
クロっち「ああっ、そんなのーーー」
ネモっち「そんなのーー誰かな?」
クロっち「えっ、あっ、」
ネモっち「」ジーッ
クロっち(………えっ、いや、なんで、そんなガン見してくんの!? 怖いんだが)
ネモっち「………正直に言うまで、この目やめないよ?」ジーッ
クロっち「………………」タラリ
146 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:09:01.21 ID:75NfiOGOO
ーー リンクヴレインズ 『 ビル屋上 』 ーー
???(………くそっ、どこもかしこも追っ手ばっか………)
???(リンクヴレインズから抜け出そうにも、“網”が張られてるから、出た途端に捕まっちまうしな………)
???(………やっぱココに来た当初の目的通り、アレやるしかないか? だけど、どいつもこいつも適合率低過ぎんだよな………)
???(あんなんじゃ、せいぜいーーー)
???(ーーーそれでも、やんなきゃ多分ずっとこのまんま………ハノイが変わらず活動しているところを見るに、あいつらまだ動けねーみてーだしな………)
???(………どうすっかな、いやマジで)
???(………ん? あれはーーーーーー)
147 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:11:26.18 ID:75NfiOGOO
ネモっち(………田村さんかーー、そっかーー………………)
ネモっち「最初からそう言ってよねーー」
クロっち「お、おう………」(お前がガン見してくるから言いづらかったんだろ!!)
ネモっち「アハハー………」(まあ、その辺りは『まだ』しょうがないかな? うん、『まだ』ね………)
クロっち「………でもまあ、ありがとな」
ネモっち「!」
クロっち「今のルール教えてくれて………それに、このアバターも………その、悪く無かったし」
148 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:12:58.99 ID:75NfiOGOO
ネモっち「………………そう、なら良かったーー、何日もかけて作った甲斐あったかな?」
クロっち「えっ、お前そんなにかけて………」
ネモっち「………本当、大変だったんだからねー? クロっちがクロっち自身にも可愛く見れるように作るのって」
クロっち「………ああ? そりゃどういう意味だ?」
ネモっち「さあ、どういう意味かなーー、ああ、そういえばこのあと時間大丈夫?」
クロっち「あ? そんなこと聞いてどうすんだ?」
ネモっち「いや、ちょうどこれからブルーエンジェルとGO鬼塚っていうカリスマデュエリスト同士のデュエルが始まるんだよね」
クロっち「ん、そうなのか?」
ネモっち「うん、だからもし良かったら、一緒に見ない?」
ネモっち「下にモニターあるし、二人で、ね」
149 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:14:34.62 ID:75NfiOGOO
クロっち「ああ、そういうことか………」
ネモっち「で、どうするの?」
クロっち「別に予定も無いし、一緒にーーー」ピピピッ
クロっち「ん、なんだ、メールかーー?………あっ!?」
ネモっち「………どうしたの?」
クロっち「………悪い、いまウチの母親からメール来た」バッ
150 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:16:02.57 ID:75NfiOGOO
〔ごめん智子。今日は×時からお客さんが来ることになったから、暫くリビングが使えなくなるの。だから、早めに晩御飯にするね。今すぐゲームやめてリビングに来て〕
クロっち「だとさ………」
ネモっち「………あー、そっかー、それじゃ、しょうがないかーー、ごめんね。その辺気にかけるの忘れてた」
クロっち「あー、まあ、気にすんな」(割と楽しかったし………)
151 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:17:26.36 ID:75NfiOGOO
クロっち「それより、ネモ…っちは、晩飯いいのか?」
ネモっち「うん、私はもっと後で食べる予定かな」
クロっち(………まあ、それが普通だよな。はあ………)
ネモっち「………それじゃあ、私はしばらくリンクヴレインズにいるから、また後でねーーー」
クロっち「ああ、ちょっと待て」
ネモっち「ん、なに?」
クロっち「………いや、そのブルーなんとかと鬼なんとかって、ここじゃ多分有名な連中だろ?」
152 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:18:30.96 ID:75NfiOGOO
ネモっち「………うん、そうだけど? それがどうかした?」
クロっち「いや、有名な連中同士のデュエルなら録画ぐらいされてんじゃないかなって、私らは後でそれ見れば良いんじゃないか?」
ネモっち「………へえ、それいいね、クロっち」キラーン
クロっち「そ、そうか? 割と普通のこと言っただけなんだがーーー」
ネモっち「ははは、じゃあ、晩御飯終わったら連絡してね。忘れちゃヤダよ?」
クロっち「わかってる、わかってる」
ネモっち「そういうわけで、今からそのデュエル見てくるねーー」
153 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:20:45.75 ID:75NfiOGOO
クロっち「あ? なんでだよ、後で一緒にーーー」
ネモっち「うん、後で一緒に見るときネタバラシするから! 楽しみにしててね!」
クロっち「!? おい、ちょっと待て! まさか、それが目的でーーー」
ネモっち「あはは、ネタバラシの部分は嘘だから安心して! すーぐ引っかかっちゃって、クロっちってばもーー」
クロっち「!? ………はあ、いいから行って来いよ。グズグズしてると始まっちまうぞ?」
ネモっち「うん、既に内容のわかってるデュエルを見た時のクロっちの反応、今から楽しみにしてるねーー、それじゃーー」ピュン
クロっち「………はあ、本当にやりづらいな、あいつは………」
154 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:22:58.34 ID:75NfiOGOO
???(………計測終了。どっちも適合率5パーセント以下、平均よりやや下とか………無駄骨だったか)ハア
???(しゃーねー、また別のアバター見つけてーーー)
ファンファンファン!
???(やべっ、見つかる! くそっ、リンクワープ!)ピュン
サクッ
???(………ふう〜、ちょうど死角にできる物(アバター)があって良かったーーってアレ?)
クロっち「………ん?」ピョン
???(んーっ、! んんーっ!)ピョンピョン
クロっち(………いまアホ毛が揺れて………?)
155 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:24:44.27 ID:75NfiOGOO
???(う、動けねえ!? ひょっとして、刺さった!?)ピョンピョン
クロっち(………風でも吹いてんのか? 電脳空間だってのにーーいや、それだけリアルってことか?)
???(おいおい、なんつー無駄に長いアホ毛だ! 規制しろよ、運営! あぶねーだろうが!)
クロっち「」ピョンピョン
???(………くそっ、さっきから何故かワープもできねえし………まさか刺さったことで、データが破損しやがったか!?)
クロっち「………まあいい、そろそろ帰るか」
???(えっ、帰るかって………まさか、ログアウトする気か!?)
クロっち「えーと、ログアウト画面は………」
???(ま、まずい………いまログアウトされたら俺も引きづられてーーー間違いなく“網”にかかる!)
???(そうなったらーーー)タラリ
クロっち「ああ、あった、これだ。ならさっさとログアウトすっか」ピピッ
ピュウンッ………………
156 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:25:42.87 ID:75NfiOGOO
???(ーーく、くそっ、こうなったら、一か八かーーー)
クロっち「………時間かかってんな。やっぱ人とデッキじゃデータの重さがーーー」
???(フュージョン!)ギュイーン
クロっち「………………!?!?」
???(?っ、!?)
クロっち(がっ、!?)
『『うわああああああああああああああああ!??!?』』
………………………ヒュンッ
157 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:27:05.68 ID:75NfiOGOO
ーー 現実世界 『 カフェ・ナギ 』 ーー
遊作「ーーーーっ、!?」
草薙「急げ、SOLテクノロジー社のスキャンがーーー」
遊作「………が………えた?」
草薙「ーーーどうした、遊作?」
遊作「AIが………消えた?」
草薙「………何だと!? どこでだ!?」
158 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:28:21.64 ID:75NfiOGOO
遊作「わからない………」
草薙「なっ、お前ならわかるんじゃなかったのか!?」
遊作「さっきの状態でわかるのは、繋げているネットワークに例のAIが潜んでいるか否かまでだ………具体的な位置までは特定できない」
遊作「そして、今のリンクヴレインズからは、例のAIの気配を全く感じない………」
草薙「………なんだそりゃ、何がどうなっているんだ」
遊作「いや、俺にも、まったく………!?」
草薙「!? このプログラムは、ハノイの騎士!?」
159 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:29:59.67 ID:75NfiOGOO
ーー リンクヴレインズ 『 広域エリア 』 ーー
ハノイA(暴れろ、《クラッキング・ドラゴン》!)
クラッキング『グラアアアッ!!』
ボオオオオオオオオオオオオオオッ!!
「きゃああーー!?」
「た、助けてくれーー!!」
「う、うわああーー!?」
ハノイA(………さあ、イグニスよ! 貴様も我らハノイに恐怖し、その鼓動を昂ぶらせよ!)
ハノイA(それが貴様の居所をつきとめるための、良き狼煙となる!)
160 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:31:00.91 ID:75NfiOGOO
ーー 現実世界 『 カフェ・ナギ 』 ーー
草薙「ハノイの攻撃が始まったぞ………!」
遊作「………!」ザッ
草薙「っ、待て遊作、どこに行く気だ!?」ガシッ
遊作「リンクヴレインズだ! あのハノイと戦う!」バッ
草薙「何だと!?」
遊作「探していたAIはもうリンクヴレインズにはいない! 俺たちは捕獲に失敗した!」
遊作「ならば当初の予定通り、ハノイのデータ収集に移るまでだ!」
草薙「無茶だ! セキュリティレベルの低下した今、奴らがお前のデュエルに応じるとは限らーーあっ!」
161 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:32:48.46 ID:75NfiOGOO
遊作「………!」タッタッタッ
バタンッガーッ
ガーッガチャッ
草薙「なっ、遊作! お前、まさか南京錠で………!?」ガタンガタンッ
遊作「デッキ、セット!」
草薙「やめろ、よすんだ! くそっ、電源をーーー」
イントゥ ザ ヴレインズ!
162 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 15:34:04.99 ID:75NfiOGOO
今はここまで
163 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:23:19.35 ID:aSoCDnd2O
〜〜 ??? 〜〜
もこっち(う、うわあああああああああ!??!)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「3つ………3つ考えるんだ」
ザザッ………
「クリンクリンク〜〜!」
ザザザザッ………
「ちゃらんぽらんが………」
ザザーザッ………
「消え去れ、サイバース!」
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
もこっち(あ、頭がわ、割れ、れれ、れーーーーーーーーー!!??)
164 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:25:08.82 ID:aSoCDnd2O
ーー 現実世界 『 黒木宅 “ 黒木智子の部屋 ” 』 ーー
もこっち「………………はっ、!?」ガバッ
もこっち(ここは………私の部屋………っ、っ、まだ、頭がっ、………!?)ズキズキ
もこっち(………………くっ、なんだったんだ、さっきのは?)
もこっち(急に頭が痛くなって、わけわかんない映像流れて………装置の故障か?)ガチャッ
もこっち(………なんにせよ、ここは一度病院にーーー)トテトテ
???「………あー、くそっ、壊れるかと思った………」
もこっち「………えっ?」クルッ
ぴょこんっ
165 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:26:36.65 ID:aSoCDnd2O
???「………だがまあ、特に問題はねーみたいだな。やっちまって正解だったか?」
もこっち「………!?!?」
???「まあ結局、想定通り、このザマだったわけだけどよ………」
???「でも、このディスクやPCん中見る限り、ぜってー、ハノイやSOLじゃねえし………ギリセフギリセフ」
もこっち「………っ、!? ………っ、!?」パクパク
???「………ん?」
もこっち「あっ、あ、ああ、う………あっ、………!?」パクパク
???(ああ、そういう………)
???(………ちょーっと、からかってやるか)ニヤリ
166 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:27:42.11 ID:aSoCDnd2O
???「………なんだお前? こっちの方見てよ。なんか気になることでもあんのか?」ニヤニヤ
もこっち「わ、わ、たたたしし、あ、あば、ばばたたたた………!?」
???「あー、なんだって? そんな、どもってちゃわかんねえっつの。もっと、わかりやすく大声で言ってくれよ」ニヤーリ
もこっち「わ、私の、ア、アバターが………………」
もこっち「しゃべってる!??」
167 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:29:27.00 ID:aSoCDnd2O
クロっち(?)「あー、やっぱそー反応するよな、フツー」ニヤニヤ
もこっち(しかも、アホ毛の先になんかついてるし………?)
クロっち(?)「」ピョンピョン
もこっち(あれは眼か………? いや、そんなことよりもーーー)
もこっち「お、お前、い、いった、いいいい………………!?!」
クロっち(?)「なんかのバグか? コンピュータウィルスか? ただのドッキリか? 知りたいのは、そんなとこか?」
もこっち「………っ、っ、!?」
クロっち(?)「でも残念! そんなチンケなもんじゃありませーん! 俺はもっとスゲー存在、超超高性能のAIなのだ!」エッヘン
もこっち「えっ、えええっ、AIだあ!?」
クロっち(?)「超超高性能、な。そこらのAIと一緒にしてもらっちゃあ、困るぜ?」チッチッ
168 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:30:29.16 ID:aSoCDnd2O
もこっち(な、なんだよそりゃ!? 意味わかんねーよ!)
もこっち「うっ、ううう………」
クロっち(?)「あー、なんだ? 言いたいことあんなら、唸ってないでちゃんと言ってくれよ」ニヤニヤ
もこっち「………っ、………なっ、な、ななな………」
クロっち(?)「んー? なんだってー? キコエナーイ!」
もこっち「………なんなんっ、だよ、お前は?!?」
169 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:32:07.02 ID:aSoCDnd2O
クロっち(?)「またお前って………あー、そーか、まだ名乗ってなかったか………うーん、そうさなあーーーーーー」ニヤニヤ
もこっち(そういうこと言ってんじゃ………! つーか、さっきからその顔でニヤつきやがって………!! 腹立つ………!!)
クロっち(?)「ーーーよし、決めた! 今はこう名乗るってやるぜ!」
もこっち「………!?」
クロっち(?)「俺は謎の生命体ーーー『アンノウン・イグニス』、略して『A・I』)
Ai「まあ、親しみを込めて、『Ai』とでも呼んでくれや」ニンマリ
170 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:34:03.15 ID:aSoCDnd2O
もこっち「………………」
Ai(へっへーん、どうだ! このネーミングセンス! カッコよくてたまんねーだろ!)
もこっち「………アンノウンのスペルは、頭文字Uで、Aじゃねーぞ」
Ai「………えっ、」
もこっち「つーか、イグニスに『生命体』なんて意味ねーし………何なら調べてみるか?」
Ai「あっ、えっ、ちょっと待って、いま検索して………あっ」
もこっち「………………」
Ai「………………」
もこっち「………………」
Ai「………………マジだったわ、うん」
もこっち「お前バカだろ?」
Ai「ば、バカ!?? お、俺がバカだとお!?」
もこっち「いや、実際バカだろ」
Ai「うぉい! バカって言う奴がバカなんだぞ! それに、バカは禁止用語………って、うああああああ!?!」
171 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:36:11.77 ID:aSoCDnd2O
(………正直、この時の私はわからないことだらけだったがーーー、ただ一つ、このAIについて確信できたことがある)
(それはーーーーーー)
もこっち(やっぱりコイツはバーーー)
黒木母「ちょっと! いつまでやってるの!? さっさと、下に来て、ご飯食べちゃいなさい!!!」
もこっち&Ai「「ゴ、ゴメンなさい………!!」」
(ーーー結論、このAI、ビビリである)
(オマエモナー)
172 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/01(金) 19:37:47.75 ID:aSoCDnd2O
今日はここまで
そしてこれで喪1が終了
次回は喪2からスタートです
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/01(金) 20:46:39.10 ID:Q+qHZrZq0
乙
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/02(土) 05:26:35.57 ID:YnLkWjO7O
乙
ゆりもこにも期待
ネモクロはもういいっす
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/02(土) 15:33:27.90 ID:HDh3Wl/r0
面白いけどクロっちって名前が卑猥で笑える
176 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:11:44.94 ID:Q7lXZUDJO
投下します
177 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:12:39.95 ID:Q7lXZUDJO
喪2:モテないし、Aiを知る
ーー 夜中 『 草薙宅 “ 寝室 ” 』 ーー
遊作「すまない、草薙さん………家に泊めて貰って」
草薙「気にするな、お前と俺の仲だろ。それよりも身体の調子はどうだ?」
遊作「ああ、このくらい問題ーーっ!?」ズキッ
草薙「全然大丈夫じゃないみたいだな………まったく、ハノイと連戦なんてするからそうなるんだ」
遊作「………すまない」
178 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:14:19.82 ID:Q7lXZUDJO
草薙「………あの状況で飛び込めば、お前だってハノイと連戦になることくらいわかっていたはずだ」
草薙「ハノイは、セキュリティが回復するギリギリまで暴れまわるつもりだったらしいからな」
草薙「邪魔をされても、新しいハノイが派遣され、暴れるだけの話だ。そのハノイとも戦おうとすれば、連戦にもなる」
遊作「………………」
草薙「派遣されたハノイたちには、GO鬼塚とブルーエンジェル………あともう一人も対処してくれたが、ハノイという組織の規模を考えれば焼け石に水」
草薙「もちろん、遊作たちのおかげで、より多くのハノイを観測し、データを得ることができたのは確かだ」
草薙「………仮にデータが得られなかったとしても、遊作たちの近くにいることで、結果的に守られた人間もいた」
草薙「ならば、無意味であるはずがない。それは事実」
草薙「………だが結局、SOLがスキャンを停止させてセキュリティを回復させるまでの間、ハノイの派遣も破壊活動も止まることは無かった」
草薙「それで、遊作は最後までハノイと戦い続けることになった。それもまた事実なんだ」
179 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:16:11.61 ID:Q7lXZUDJO
遊作「………………」
草薙「何より、ハノイの攻撃は、奴らのプログラムによって衝撃が増幅し、現実の肉体にフィードバックする」
草薙「今回のように、デュエルを重ね、カードによる攻撃を受け続ければ………アバターは無事でも現実の肉体がもたない」
遊作「………………………」
草薙「遊作がその程度のダメージで済んだのは、それ以上を食らう前にセキュリティが回復し、ハノイが撤退したことが大きい」
草薙「だけど、そうじゃなかったら今頃どうなっていたことか………」
180 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:18:24.38 ID:Q7lXZUDJO
遊作「………………」
草薙「それだけじゃない。そもそも俺たちのデュエルプログラムは、ハノイのそれと違って不完全なんだ」
草薙「ハノイのデュエルプログラムは、それが機能している間、持ち主に攻撃が受け付けられることは基本的に無い」
草薙「例外は、同じプログラムを持った者同士のデュエルで発生する衝撃とフィードバックくらいだ」
草薙「だが、俺たちの不完全なプログラムでは、そうはいかない」
草薙「俺たちの不完全なプログラムでは、カードを媒介とした攻撃ならば、デュエル時以外でもその攻撃を受け付けてしまう」
草薙「そして、現実の肉体にフィードバックされてしまうんだ」
草薙「しかも、その攻撃には、『ルール』という枷が無いため、アバターが破壊される」
草薙「それに加えて、ハノイのプログラムでは、デュエルで倒した相手のセキュリティを機能停止させ、好き放題できるがーーー俺たちのプログラムでは、機能停止にまでは至らない」
草薙「もし、ハノイ全員が、デュエルやその結果を無視して、破壊行為を続けていれば、遊作のアバターは壊され、たやすく排除されていた………」
遊作「………………」
181 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:20:17.21 ID:Q7lXZUDJO
草薙「………とにかく、デュエルプログラムが完成するまでの間、ハノイとのデュエルは、以前のようにセキュリティレベルの安定した状態の時に絞って行うべきだ」
草薙「今回のようにセキュリティレベルの低下した状態では、ハノイはデュエル以外でもカードによる破壊行為ができてしまう」
草薙「その攻撃を受けていたら、一般の被害者同様、何のリターンも無く時間を無駄にする羽目になっていただろう………」
遊作「………………………」
草薙「………すまないな、遊作。病院にも送ってやらない癖に、こんなこと言って………」
草薙「いや、それ以前に俺が電源を落としていればーーー」
遊作「………草薙さん、俺にはあんたに言うべきことが3つある」
182 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:21:44.94 ID:Q7lXZUDJO
草薙「………?」
遊作「一つ、病院に送らないのは当然だ」
遊作「俺が今回受けたダメージは、一般の被害者よりも大きい。それほどのダメージを受けているとなれば、不審に思った医者が警察に通報するだろう」
遊作「そうなれば、俺たちの目的を果たすことが難しくなる」
183 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:23:38.13 ID:Q7lXZUDJO
草薙「いや、それはそうだが………」
遊作「二つ、俺たちのVRダイバーは、市販品よりも遥かにハイスピードで電脳空間へと繋がる。それより前に電源を落とすのは困難だ」
遊作「無論、繋がったまま電源を落とすわけにもいかなかった」
遊作「それは、リンクヴレインズ全体の安全装置がハノイのクラッキングで機能しなくなっていたことを考えれば、自殺行為に他ならない」
遊作「そんな状態で電源を落とし強制ログアウトを試みれば何が起こるかわからない」
遊作「ーーー最悪、植物状態になる可能性だってあった。ならば、どのみち電源を落とすなど、できるはずがない」
草薙「………………」
184 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:24:57.11 ID:Q7lXZUDJO
遊作「そして、三つ………このダメージは俺の完全な自業自得だ」
草薙「遊作、お前ーーー」
遊作「草薙さんの言う通り、敵が都合よく動いてくれることに期待して、無防備を晒すなど正気の沙汰じゃない」
遊作「だから、草薙さんが気に病むことなんて、何一つとしてーーー」
草薙「………なら、今回と同じようなことが次に起きたら、遊作はどうするんだ?」
185 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:26:11.73 ID:Q7lXZUDJO
遊作「………………」
草薙「………まあ、デュエルプログラムに関しては、また改良を試みてみる。今回の件でハノイのデータも増えたわけだからな」
草薙「だから、しばらく休んでろ、遊作」
遊作「っ、それはーーー」
草薙「今のお前は休むべきだ。そんな身体で無理したら、目的を果たすことすらできなくなる。違うか?」
遊作「………………っ、」
草薙「荻野先生には俺からも伝えておく。うまく誤魔化してやるから、しっかり休め」
遊作「………本当にすまない」
草薙「気にするなって言っただろ? それより欲しい物があったら言ってくれ。PCとデュエルディスク以外なら渡してやるからさ」
遊作「………………」
186 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:27:30.44 ID:Q7lXZUDJO
ーー 『 SOLテクノロジー本社 “ 特別室 ” 』 ーー
「財前、これはどういうことだ?」
晃「申し訳ありません! 全ては、私の責任です!」
「ふざけるなよ、財前!」
「大規模スキャンを行わせてやったにも関わらず、イグニスを捕獲できなかっただと?」
「貴様は居眠りでもしていたのか?」
晃「そのようなことは、決して!」
「つまり正常な状態にありながら、イグニスをハノイに横取りされたというわけか」
「こんな無能な男を部長職に就かせていたとはな………」
「………観ろ、これを!」
187 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:29:15.51 ID:Q7lXZUDJO
ブウンッ
『やあ、SOLテクノロジー社の諸君。我々は見ての通り、ハノイの騎士だ』
『此度のセキュリティレベルの低下には感謝してもしきれない。おかげでイグニスを手に入れることができた』
『ああ、これでイグニスからサイバース世界の在り処を聞き出すことができる』
『尋問が終了次第、我々はサイバース世界に侵攻し、全てを滅ぼす!』
『サイバース世界が滅んだその時こそ、イグニスに依存することの無い、かつての世界が再誕する!』
『そうして貴様らは、イグニスに依存し続けてきたことがいかに愚かな行いだったか、身をもって知ることになるだろう!』
『我々ハノイの忠告を今まで散々無視してきた罰だ! 恨むなら、自らの強欲を恨むことだな! 金の亡者ども!』
『『『『『『『はははははははははははははは!!!』』』』』』』
188 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:31:04.41 ID:Q7lXZUDJO
プツンッ
晃「………………………」
「これは、我が社に届いた、ハノイからのメッセージのコピーだ! まったくもって、ふざけている!」
「これを観た時の我々の気持ちが君にわかるか?」
「何か言い訳はあるか? 財前!」
晃「………イグニスを捕獲できなかったことに関しては、弁解のしようも御座いません。いかなる処分も受ける覚悟です」
189 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:32:45.48 ID:Q7lXZUDJO
「………………」
晃「ただーーー発言してもよろしいでしょうか?」
「………一応聞いてやろう。発言を許可する」
晃「はっ、ありがとうございます! それではーーーおそらく、ハノイはイグニスを捕獲できておりません」
「………何?」
晃「イグニスは、ハノイから逃げ延びたのだと思われます」
「………何を言っているのだ。だったらさっきの映像でハノイ共が言っていたことは何だ?」
晃「あの発言は嘘でしょう」
「なぜ、そうだと言い切れる?」
晃「はい、イグニスがハノイの手に渡っているのであれば、その声明を出すはずが無いからです」
190 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:34:33.61 ID:Q7lXZUDJO
「………どういうことだ」
晃「まず、本当にハノイが我が社よりも先にイグニスを捕獲した場合、その後の我が社が取れる行動は一つに絞られます」
晃「それは、ハノイがサイバース世界に再び侵攻した後に、こちらもサイバース世界に侵入し、そこのイグニスを懐柔して我が社で管理することです」
「………………」
晃「サイバース世界消失当時の我が社は、常識外のイグニスに配慮し、サイバース世界への深入りは行わず、表面を監視するに留めておりましたがーーー現在はそれが許される状況にありません」
晃「また、ハノイがサイバース世界に侵攻するためには、ネットワークの構造上、サイバース世界を観測可能な状態に戻し、人の出入りを可能にする必要があります」
晃「つまりその時、我が社がサイバース世界を観測し、侵入するチャンスがあるということになります」
晃「逆に言えば、そのチャンスを逃したが最後、ハノイは本当にサイバース世界を滅ぼしてしまうでしょう」
晃「以上のことから、ハノイがイグニスを捕獲した場合、我が社がサイバース世界に侵入してイグニスを管理する方針にシフトしない理由はありません」
晃「そのことはハノイも理解しているはずです」
191 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:36:42.04 ID:Q7lXZUDJO
晃「ならば、ハノイとしては、自分たちがイグニスを捕獲したことを我が社に伝える理由はありません」
晃「そんなことをすれば、我が社の方針が、『サイバース世界への侵入、イグニスの懐柔及び管理』に絞られ、それに我が社のリソースが集中し、ハノイにとって不都合な事態を実現される恐れがあるからです」
晃「しかし、なぜかハノイは、イグニスを捕獲したという声明を出しました」
晃「それはつまり、未だハノイはイグニスを捕獲できておらず、捜索を邪魔されたくはなかった」
晃「そのため、我が社の方針からイグニス捜索が除外されるよう、誘導するために声明を出したーーー」
晃「ーーーそれが真相であると、私は考えております」
192 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:38:35.91 ID:Q7lXZUDJO
「ーーーふむ、言われてみれば確かに、あの声明は不自然極まりない………」
「冷静に考えてーーー、財前の推論が事実である可能性は高いか………」
「無論、その推論は、『我々SOLテクノロジー社が、イグニスを捕獲できていない』『その事実をハノイが知っている』という2つの前提条件の元で成り立つものではありますがーーー」
「我々がイグニス捕獲に失敗したことなど、ハノイは気づいていることだろう」
「ああ、我々がイグニスを捕獲したのであれば、迷うことなく別ネットワークの“檻”に閉じ込める」
「そして、万が一にも奪われることの無いよう、そこのセキュリティを強固なものとするでしょう」
「当然、全利用者をログアウトさせた後は、リンクヴレインズのサーバーの電源を落とし、その分の電力をセキュリティに回すことになる」
193 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:40:49.29 ID:Q7lXZUDJO
「だが、我々はそれをしなかった」
「その通り。警察の調査が終わるまで、リンクヴレインズの電源を切ることは無かった。警察など、我々ならいくらでも圧力をかけられるにも関わらずだ」
「それは、我々SOLテクノロジー社が、イグニスを捕獲できていないと証明しているようなもの。ハノイに気づかれていない方が不自然と考えるべきでしょう」
晃「………………………………………………………」
194 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:41:59.18 ID:Q7lXZUDJO
「………だが、財前。我々が先ほどの声明を信じ続けていた場合、結局はイグニスの懐柔及び管理に我が社のリソースを集中させ、そのための時間まで与えてしまう結果を招いていたはずだ。それについては、どう考える?」
晃「………イグニスを先に捕獲した者は、誰よりも先にイグニスに関する情報を得ることができます」
晃「つまり、そうでない側に対し、常に先手を打つことが可能となるのです」
晃「そして、そのタイミングは自らの思いのままに決めることができるーーーそれだけのメリットを得られるのならば、準備時間を与える程度のデメリットは、ハノイとしても必要経費かと」
195 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:44:52.90 ID:Q7lXZUDJO
「なるほどな………理解も納得もできる話だ」
「だが、そうなると、イグニスはーーー」
「………既にリンクヴレインズから逃亡したと考えるのが妥当でしょう………」
「………一応、イグニスが外部のネットワークに脱出した場合は、展開した“網”で捕獲できる手筈だったがーーー」
「あの“網”は、長時間広範囲に展開できるような代物では無いからな………時間がくれば“網”を消さざるを得ない」
「あの“網”は、その維持のために消費する電力が桁外れです。長時間展開し続ければ、消費限界電力をオーバーしてしまいますから」
「だからこそ、早急に大規模スキャンを行わせたわけだがーーー」
「それも、ハノイのせいで完全に実行することはできなかった………」
「結局、9割スキャンした時点でサーバーに限界が近づき、オーバーヒート回避のため、終了せざるを得ませんでした………」
「その直後、イグニスがハノイから逃亡できるよう、我々で“網”を消した。もはやリンクヴレインズにイグニスはいないと見るべきだろう………」
晃「………………………………」
196 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:46:55.90 ID:Q7lXZUDJO
「………イグニスを見失ったことにより、また振り出しに戻ってしまった。これからどうするべきかーーー」
晃「………発言してもよろしいでしょうか?」
「………許可する。話したまえ」
晃「はっ、それではイグニス捜索の件についてですがーーーここは発想を転換し、サイバース世界を発見することにシフトしてはいかがでしょうか?」
197 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:48:58.12 ID:Q7lXZUDJO
「………財前、それは正気で言っているのか?」
「電脳ウイルスによる精神汚染を、疑わざるを得ない発言だな」
「サイバース世界の在り処は、イグニスが隠して以降、一向に不明のままだ。だからこそ、つきとめるために、こうしてイグニスを探し出しているのではないか」
晃「おっしゃる通りです。ですが、サイバース世界を発見する方法は逃走したイグニスを探し出すだけに限った話ではありません」
「何?」
晃「我々は現在、サイバース世界探知システムの改良を試みております」
晃「その作業が完了すれば、必ずやサイバース世界の在り処をつきとめることができるでしょう」
198 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:50:48.95 ID:Q7lXZUDJO
「………ああ、そういえばそんなものもあったな」
「サイバース世界は、イグニスの気分次第で別のネットワークにワープするからな………当時の我が社には欠かせないシステムだった」
「財前の言う通り、それの改良に成功した場合、隠されたサイバース世界の在り処をつきとめることも可能となるでしょう」
「そして、座標さえ特定できれば、サイバース世界を覆ったプログラムを解析し、解除することも検討できる………」
「そうして、出入り可能な状態に戻せば、侵入しイグニスの懐柔及び管理を行うことも夢ではない………」
「………しかし財前、探知システムの改良は、未だ滞っていると聞いていたが?」
晃「いえ、既に作業完了の目処は立っております」
199 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:52:23.02 ID:Q7lXZUDJO
「何!?」
晃「今回、プレイメーカーと名乗る謎のハッカーのデュエルを通し、サイバース族に関する更なるデータを観測することができました」
晃「それにより、サイバースに関するデータが増え、装置改良の更なる糸口となったのです」
晃「その後、我が社のスーパーコンピュータにシュミレーションを繰り返させた結果、先ほど作業完了の目処が立つに至りました」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/06/02(土) 21:54:37.47 ID:Q7lXZUDJO
「なんと! それを早く言わんか!」
晃「申し訳ありません! また、その資料については、早急に作成し、後ほど提出いたします」
「………まあいい、それで改良には、どのくらいかかるのだ?」
晃「現時点の計画では、最低3年はかかるかと」
「遅すぎる!」
「………3年も経過すれば、我が社のデータマテリアルは完全に底をついてしまう」
「その後の我が社の運命は火を見るよりも明らか………そんな状態でサイバース世界に侵入し、イグニスを管理する余裕などあるはずがない」
晃「お待ちください! 3年という時間は、あくまでも現時点での結論です!」
晃「1週間………いえ3日の猶予を頂きたい! その間に期間短縮の方法を………!」
201 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:55:56.20 ID:Q7lXZUDJO
「もういい、財前。貴様は下がれ」
「貴様のような無能な男に期待したこと自体が間違いだった」
「貴様は予定通り島流しだ………準備だけは前からさせてあったはずだ。先ほど言った資料とやらを早急にまとめ、次の役員会議の後、荷物を抱え本社から出て行け!」
晃「………大変申し訳ありませんでした。失礼いたします………」
タッタッタッ………
ガーッ………ガーッ………
202 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:57:40.09 ID:Q7lXZUDJO
「………まさか財前がこうも使えないとは………」
「………被害者が出たことで罪悪感に呑まれているのかもしれんな」
「ハノイの攻撃によって、アバターが破壊され脳と神経に軽度のダメージを負った者が多数、記憶データを奪われ廃人となった者が一名発生しました………無理も無いかと」
「前者は2〜3日安静にしていれば完治するが、後者はそうもいかんからな………その事実は、財前には受け入れ難かったのかもしれん」
「偽善者め………我々の命令を受諾した時点で覚悟は決めていたはずだろうに」
「………ですが、もし、財前の要望通り、大規模スキャン準備中に全利用者のログアウトを実行していればーーー何かが違っていたかもしれません」
203 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 21:59:23.58 ID:Q7lXZUDJO
「何を言うか。ただでさえ、“網”の展開によって、サーバーに無視できない負荷がかかっていたのだぞ」
「それに加えて、短時間での全利用者ログアウトなど………実行したが最後、サーバーに負荷がかかり過ぎて、大規模スキャンどころでは無くなる」
「その通り、しかもイグニスを発見したのは学校及び仕事終わりの時間帯。その時点での利用者数を考慮すれば、負荷は相応のものになる」
「いや、それでも、厳密には大規模スキャン自体は可能だが………」
「今回のように、ハノイがサーバーに更なる負担をかけて来た場合、それにサーバーが耐えきれん」
「オーバーヒートを防ぐために、今回よりもはるかに早いタイミングでスキャンを止めざるを得ない」
「そうなれば、スキャンでイグニスを捕獲できる可能性が遠のく」
「それを考慮すれば、財前の要望を叶えることなど、できるはずがあるまい」
204 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:01:04.29 ID:Q7lXZUDJO
「………おっしゃる通りでした。妙な発言をして申し訳ありません」
「まあ、財前が不良品と化したことを惜しむ気持ちはわかるが………過ぎたことを気にしたところで仕方あるまい」
「………確かに、どんな理由があろうと、結果を出せない駒に用は無い。必要なのは、結果を出せる駒だ」
「それもおっしゃる通り………そして、そういう駒の目星は既につけております………『入れ、北村』」
205 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:02:27.88 ID:Q7lXZUDJO
ガーッ
北村「失礼します!」ザッザッ
ガーッ………
北村「役員の皆様! はじめまして、わたくし、新しくセキュリティ部長に就任予定の北村と申します! この度は、お呼び立て頂き、誠にありがとうござーーー」
「挨拶は後で良い」
「それよりもイグニスの捜索についてだ」
「北村、何か策はあるのか?」
北村「………はっ、それではおそれながらーーーここは今後の方針を、イグニスの捕獲からサイバース世界探知システムの改良に変更することを提案いたします」
北村「探知システムの改良に成功すれば、イグニスに頼ることなく、サイバース世界の在り処をつきとめることも可能かと」
206 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:04:21.83 ID:Q7lXZUDJO
「………それは財前が既に述べていたことだ」
「改良に3年はかかると聞いている………」
「そんな時間的余裕は無い。北村、貴様も財前と同じ目にあいたいのか?」
北村「と、とんでもございません! 私が提案する方法ならば、期間を大幅に短縮できます!」
「ほう………」
「興味深いな」
「それはどういう方法だ?」
北村「はい! 私が現在開発中のAIデュエリストーーーそれを量産体制に入れ、対ハノイ用のセキュリティプログラムとして売り出します!」
北村「そうして、資金を稼ぎ、それを探知システムの改良に当てるのです!」
207 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:05:47.80 ID:Q7lXZUDJO
「AIデュエリストーーーああ、報告にあった、あのプログラムのことか」
「だが、確かあれはデュエルシミュレーターとして売り出す予定だったはずではないのか?」
「その通りです。それ以前に、そもそもハノイがデュエルに応じるとは限りませんし、デュエルに勝ったところで引き下がるとも限りません。そうではないのか、北村?」
北村「確かに、今まで通りならば、そうでした………」
北村「………ですが先ほど、ハノイのデュエルプログラムのコピーに成功したとすれば、どうでしょうか?」
208 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:07:25.28 ID:Q7lXZUDJO
「何!? それは本当か!?」
北村「はい! 今回の事態で、ハノイのデータをより多く観測する機会に恵まれ、その結果、プログラムの半分をコピーすることが可能となりました!」
「半分………だと?」
北村「はい、ハノイのデュエルプログラムには、持ち主に対し、『攻め』と『守り』、両方の力を与える機能があります!」
「………………」
北村「『攻め』の力は、デュエルによる勝利を介することで、個人が有する、あらゆるセキュリティを機能停止状態にします!」
北村「また、カードで攻撃した場合、その衝撃を増幅し、セキュリティを一部無視して、現実の肉体にフィードバックさせる機能も付いております!」
北村「『守り』の力は、『攻め』の力以外の、個人に対する、全てのクラッキングを無効化します!」
北村「そのうち、『守り』の力のコピーに成功したのです!」
209 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:09:02.70 ID:Q7lXZUDJO
「………そんな不完全な代物でハノイに対処できるのか? 」
北村「おっしゃる通り、ハノイを撃退するには、『守り』の力だけでは不充分でしょう」
北村「『攻め』の力が無ければ、デュエルに勝ったところで、ハノイを完全に無力化することは不可能」
北村「ハノイを倒しても倒しても、いくらでもリベンジされてしまい、いつしか体力も兵力も尽きてしまうーーー」
北村「ーーー『人間』ならば、そうなるでしょう」
210 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:10:52.17 ID:Q7lXZUDJO
「………………なるほどな。そこでAIデュエリストの出番というわけか」
北村「はい! ご察しの通りでございます!」
北村「AIデュエリストは人間では無いため、体力が尽きることはありません!」
北村「無論、連戦となった際は、ダメージが蓄積され、壊れる可能性はあります」
北村「しかし、壊れたのならば、別のAIデュエリストを戦わせれば済む話! 我々が生産ラインを整えていれば、いくらでも補充が叶うでしょう!」
北村「そのAIデュエリストに、『守り』の力を与え、購入者を守らせるのです!」
北村「『守り』の力を与えられたAIデュエリストは、デュエル以外で排除できません! よって、ハノイが購入者に危害を加えたいのであれば、AIデュエリストとデュエルせざるを得ません!」
北村「また、ハノイが人間である以上、AIデュエリストの無尽蔵の体力と兵力に太刀打ちできず、結果として撃退されること間違い無し!」
北村「一部がハノイに負けたとしても、自己デリートプログラムを組み込んでおけば、ハノイに悪用される心配もありません!」
北村「また、普段はカードに閉じ込め、持ち主の危機に反応しAIデュエリストが解放されるようにしておけば、持ち運びも容易となります!」
北村「そして、AIデュエリストの活躍を、リンクヴレインズを通し世界に見せつけるのです!」
北村「そうすることで、AIデュエリストは対ハノイ用プログラムとして、必ずや世界に名声を轟かせることになるでしょう! 」
北村「その上で売り出せば、デュエルシミュレーターとして売り出す時の倍以上の利益を見込めるはずです!」
211 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:12:27.20 ID:Q7lXZUDJO
「………なるほど。そうして得られた資金を、探知システムに回し、完成を早めるというわけか………」
「ハノイを恐れる者は、世界にごまんといる………悪くないビジネスだ」
「だが、問題なのは、それでどの程度完成を早められるかだ。北村、お前はどの程度完成を早めることができる?」
北村「計画通りであれば、約1年で完成するかと!」
「1年か………もう一声欲しかったところだな」
「だが、3年かかるよりは良い」
「そうですね。1年ならば、データマテリアルも充分に残っているかと」
212 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:13:27.41 ID:Q7lXZUDJO
北村「それでは………!」
「良いだろう、お前の案を検討してやる」
「その案の詳細を資料としてまとめ、我々に提出しろ。それが我が社に益をもたらす内容であれば、採用してやる」
「せいぜい励むことだな、北村」
北村「ははーっ、ただちに!」
213 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 22:13:57.51 ID:Q7lXZUDJO
今はここまで
214 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:08:23.41 ID:Q7lXZUDJO
投下します
215 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:10:26.28 ID:Q7lXZUDJO
ーー 電脳空間 『 ハノイの騎士アジト “ 司令室 ” 』 ーー
スペクター「………以上がSOLテクノロジー社の動きになります。詳しくはその資料をご覧ください」
リボルバー「………一応確認しておくが、これらの情報も確かなものだな?」
スペクター「はい、今まで同様、SOLテクノロジー社の上層部に紛れ込ませたスパイからの情報です。間違いありません」
リボルバー「そうか………いつも苦労をかけるな、スペクター」
スペクター「全てはリボルバー様の為。それを思えば、イグニスの逃走先を突き止めることができなかった己を恥じるばかりです」
リボルバー「そう自分を責めるな。突き止められなかったのは私も同じ。それにあのイグニスはお前に対応したタイプではないのだ」
リボルバー「むしろ、お前ほどの男の力を借りておきながら、成果を上げられない程度の作戦しか立てられなかった、私の方に非がある」
スペクター「そんな、リボルバー様は間違ってなどーーー」
リボルバー「それに、今更そのようなことを言ったところで、イグニスが見つかるわけではない。ここは思考を切り替えるべきだろう」
スペクター「………おっしゃる通りでした。申し訳ありません」
216 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:12:08.50 ID:Q7lXZUDJO
スペクター「………なお、今回もまた、プレイメーカー………奴が現れ、我々の作戦を妨害しました」
リボルバー「………ああ、その通りだ。それがどうした」
スペクター「今回の一件で、奴のデュエルタクティクスが相当な領域に達していることを再確認しました」
スペクター「あれほどのハッカーデュエリストを放置すれば、我々の障害となる可能性は高いでしょう。よろしければ私が奴の始末をーーー」
リボルバー「放っておけ。今はイグニスの捜索が先決だ」
スペクター「………本当によろしいのですか? 奴はサイバース族を保有しております。イグニスと何らかの繋がりを持っている可能性がーーー」
リボルバー「その可能性は限りなく低い。仮にそうだったとしても、プレイメーカーを通じてイグニスをおびき出せるとは思えん」
217 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:14:14.47 ID:Q7lXZUDJO
スペクター「………」
リボルバー「理由は主に3つ」
リボルバー「一つ、プレイメーカー及びその協力者にイグニスの息が吹きかかっているのであれば、何度もハノイと接触などしない」
リボルバー「拘束され、イグニスに関する情報を奪われる可能性があることを考えれば、リスクが高すぎる」
リボルバー「二つ、無論イグニスが、ハノイのデータを収集するために、リスク覚悟で手駒となる人間をハノイに接触させている可能性はある」
リボルバー「だが、それならば、あれほどまでに強力なデュエリストを使う必要は無い。電脳ウイルスで洗脳された場合、脅威となるからな」
218 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:16:34.35 ID:Q7lXZUDJO
リボルバー「そして、三つ、今回の一件を通して、プレイメーカーとイグニスが主従関係を結んだ可能性もある」
リボルバー「だが、イグニスが主人となった場合は、一つ目で述べたように、機が来るまで我々と接触することは無いだろう」
リボルバー「プレイメーカーが主人となった場合は、今頃とうにイグニスを捕獲した声明を証拠付きで出しているはずだ」
リボルバー「それで我々ハノイの狙いをプレイメーカーのみに集中させるくらいはする。イグニスを人質に取られた場合、我々も奴の要求を無下にはできんからな」
リボルバー「プレイメーカー………奴はそれだけの知性と正義感を有していると私は見ている」
スペクター「………………」
リボルバー「その3つを考慮すれば、プレイメーカーとイグニスが繋がっている可能性はゼロに等しい」
リボルバー「仮に繋がっていたとしても、その場合、プレイメーカーが以前のように我々の前に姿を現わすことは無いだろう」
リボルバー「そんな者のためにリソースを割くのであれば、その分をイグニスの捜索にあてるべきだ。我々ハノイの目的を取り違えてはならない」
スペクター「………おっしゃる通り、重ね重ね申し訳ありません」
219 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:19:20.52 ID:Q7lXZUDJO
リボルバー「………これより、我々は第二プラン開始の準備に取り掛かる。頼りにしているぞ、スペクター」
スペクター「………はっ! 全身全霊をかけて努めさせていただきます!」
リボルバー(………そう、既に第二プランを開始する条件は整いつつある)
リボルバー(スパイからの情報によれば、SOLテクノロジー社のセキュリティ部長は、構成員たちに送らせたメッセージに込められたその意味を、当たり前のように看破したとあるがーーー)
リボルバー(ーーーーーーーーーそれで良い)
リボルバー(その男の言葉で、SOLテクノロジー社は、我々がイグニスを捕獲していないことに、ある程度の確信を持ったはずだ)
リボルバー(そうなれば奴らは、当然、サイバース世界探知システムの改良に躍起になる………)
リボルバー(しかも、奴らはようやくデュエルプログラムの一部コピーに成功した………)
リボルバー(………今回の一件も含め、今まで散々『デュエルを通して』『ハノイのデータを』『見せつけてやった』のだ。当然の結果だな)
リボルバー(これで奴らに、不自然なく、『守り』の力を与えることができた)
リボルバー(………SOLテクノロジー社は、与えられた力に酔い痴れ、より一層AIへの依存を深めるだろう)
リボルバー(ここまでの内容に加え、我々が準備を終えたその時こそ、第二プラン開始の条件は整い、実行に移すことが可能となる)
リボルバー(そして、その行き着く先はーーーーーー)
リボルバー(ーーーあまり好ましい手法では無い。だが、これ以外にイグニスをおびき出す方法が無い以上、やむを得ん………)
220 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:20:55.89 ID:Q7lXZUDJO
スペクター「………しかし、此度の一件を逆に利用し、次なる計画に活かすとは、流石はリボルバー様です」
リボルバー「………称賛を受けるようなことではない。第二プランは、あくまで第一プランが失敗した場合の保険に過ぎん」
リボルバー「今回、私が失敗した事実が消えることはない」
スペクター「………ご謙遜を」
リボルバー「………そして、準備に取り掛かる前に、3つ、構成員たちに向けて改めて通達することがある」
スペクター「それは、どのような?」
リボルバー「大したことではない。無論、第二プランとも関係はない」
リボルバー「ただ、単純にーーーーーー」
221 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:22:18.43 ID:Q7lXZUDJO
ーー 電脳空間 『 ハノイの騎士アジト “ 休憩所 ” 』 ーー
ハノイ「くそっ、俺が謹慎だと!?」
ハノイA「当たり前だろ」
ハノイB「そうそう、プレイメーカーに、あんな負け方したんだからよ」
ハノイ「お前たちだって負けたではないか!」
ハノイA「いや、俺たちは普通にデュエルして負けただけだし」
ハノイB「でもお前は違うだろ?」
ハノイ「ぐっ、」
222 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:26:39.09 ID:Q7lXZUDJO
ハノイA「手札事故起こして、モンスター1体に負けるって………そりゃあ謹慎くらうよ」
ハノイB「あの負け方は無いよな………本気で構築見直した方が良いんじゃないか?」
ハノイ「ぐぬう………!」
ハノイA「カエルとハトの実況動画見てみろ、コメント欄でのお前の評価散々だぞ?」
ハノイB「ハノイ(笑)とかつけられてやがるからな………頼むからこっちにまで飛び火してくれんなよ」
ハノイA「その通り、ようやくデュエルプログラムを『貰える』ところまで上り詰めたんだ………とばっちりはごめんだな」
ハノイB「そうそう、これからはハノイの名と貰ったプログラムに恥じない働きをしないとな………わかったか、 カッコ笑さんよ? 」
ハノイ「ぐぬぬう………!」
223 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:29:25.72 ID:Q7lXZUDJO
ピピピッ
ハノイ「ぬっ、これは………!」ピッ
ハノイA「おっ、上からの通達か」ピッ
ハノイB「どれどれ………なんだ、大した話じゃないな」ピッ
ハノイ「………………」
ハノイA「てゆーか、いつもやってることだろ?」
ハノイB「確かにな。まあ、ぶっちゃけ、これやって、その通りになるとは思わねーけど………命令である以上は従うまでだ」
ハノイA「だな………ああ、カッコ笑くんも忘れずやっとけよ? でないとクビになるぞ?」
ハノイB「そうそう、間抜けに加えて、命令にも従えないとなれば、クビ間違いなし。せいぜい気をつけることだな」
ハノイ「………っ、!」スタスタ
ピッ
…………………………………………………………………………。
〔ハノイコード:【ーーーーーー】がログアウトしました〕
224 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:31:50.81 ID:Q7lXZUDJO
ーー 現実世界 『 アパート “ ハノイの部屋 ” 』 ーー
ガチャッ
ハノイ(素)「………………………」
ハノイ(………………………おのれ)
ハノイ(おのれ、おのれ、おのれ! プレイメーカー!)
ハノイ(よくも、俺の名誉と収入源を………!)
ハノイ(許さん………、許さん………、許さんぞ………!!)
ハノイ(いまに見ていろ………! 俺はこれからデッキを調整し、ドローの修行を積む!)
ハノイ(そして、いつか必ずやお前を倒し、名誉を取り戻す! 首を洗って待っていろ! プレイメーカー!)ガンッ
「ちょっと、うるさいよ!」ガンッ
ハノイ「あ、すいません、静かにします」ペコッ
225 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:33:32.51 ID:Q7lXZUDJO
ーー 深夜 『 財前宅 “ 玄関 ” 』 ーー
晃「………ただいま」ガチャッ
ロボ「オカエリナサイマセ、アキラ様」
葵「あっ、お兄さま、お帰りなさいーーー」
晃「葵、どうしてこんな時間に起きている?」
葵「えっ、あのっ、その」
晃「どうして起きていると聞いているんだ」
葵「………今日病院行って、何ともないってわかったので、その報告をと思ってーーー」
晃「その報告は病院から既に受けている。葵が改めて私に言う必要は無い」
226 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:34:43.14 ID:Q7lXZUDJO
葵「ご、ごめんなさーーー」
晃「………なぜ、リンクヴレインズに行った?」
葵「!」
晃「今日だけは絶対に行くなと言っていただろう? なぜ私の言葉を無視した?」
葵「それは、そのーーー」
晃「アイドルごっこがそんなに大事なのか?」
葵「………っ、」
晃「もうお前は高校3年生というのに………いや、それだけじゃない。なぜ、ハノイにデュエルを挑んだ?」
227 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2018/06/02(土) 23:36:01.99 ID:Q7lXZUDJO
葵「………………」
晃「ログアウトできなかったのは仕方がない。ハノイのクラッキングの影響で、正規利用者は絶対にログアウトできない状態にあったからな」
晃「だが、それならばハノイから逃げる選択肢もあったはずだ。なぜ自らハノイと関わる道を選んだ?」
葵「………………!」
晃「ハノイにデュエルを挑んで負けた者がどうなるか………葵には教えておいたはずだ」
葵「そ、それは」
晃「その敗者は、見せしめとして記憶を奪われ廃人となる………そう、今回、葵よりも先にハノイにデュエルを挑んだ一般人のようにな」
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