【ミリオンss】紗代子「melty fantasia」

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21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:05:55.02 ID:aU2/OHjw0
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紬「あの、高山さん、真壁さんを見ませんでしたか?」

紗代子「瑞希ちゃん? 見てないよ」

紬「そうですか……」

紗代子「次の公演のこと?」

紬「はい、真壁さんに確かめておきたいことがあって」

紗代子「そっか。新曲はどう? 上手くいってる?」

紬「ええ、真壁さんや北沢さんのおかげで大きな問題もなく、進んでいます」

紗代子「ライブもPVも楽しみにしてるからね」」

紬「期待に応えられるよう、努力します」

紬「……ところで、高山さんは真壁さんと話せていますか?」

紗代子「?」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:06:27.27 ID:aU2/OHjw0
紬「あの、お二人が以前から仲良くしているのは、存じていましたが、近頃はユニットの活動で忙しいので、どうなのだろうか、と」

紬「あっ、余計なお世話とは分かっていますが、最近の真壁さんはどこか元気がないように見えて……」

紗代子「(瑞希ちゃんが?)」

紬「高山さんなら、何かご存知かと」

紗代子「ううん、私もこの頃は瑞希ちゃんと会えてなくて……」

紬「そうですか、北沢さんも心配しているのです」

紗代子「今度会ったら、それとなく聞いてみるね」

紬「はい、お願いします。同じユニットとはいえ、真壁さんはリーダー。私たちを不安にさせないためにも、何か心配事を抱えているかもしれませんから」

紗代子「そう、だね」

紗代子「(瑞希ちゃん……!)」

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23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:07:36.90 ID:aU2/OHjw0
――――――――――――

紗代子「瑞希ちゃん!」

瑞希「!」

瑞希「高山さん、どうかしたのですか?」

紗代子「(いつもの瑞希ちゃん?)」

瑞希「あの、そんなに見つめられると、照れてしまいます」

紗代子「瑞希ちゃん」

瑞希「あぅ」

瑞希「高山さん、そんな風に抱き付かれると、苦しいぞ」

紗代子「……」

瑞希「高山さん?」

紗代子「動いちゃダメ」

瑞希「……」

紗代子「……」

瑞希「あの、もういいでしょうか?」

紗代子「!」

瑞希「高山さん、これからプロデューサーと打ち合わせがあるので、離してください」

紗代子「……う、うん」

瑞希「(これでいい。高山さんが、これで苦しまずに済むなら)」

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24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:08:10.57 ID:aU2/OHjw0
――――――――――――

紗代子「(あれは、いつが始まりだったんだっけ?)」

瑞希「(私たちがそういった関係になったのは、確か……)」

紗代子「(雨の降る日)」

瑞希「(シアターの隅っこで)」

紗代子・瑞希「(二人だけの世界を作る遊び)」

紗代子「(本当は気付いていた)」

瑞希「(似た者同士だということに)」

紗代子「(だからこそ正反対で)」

瑞希「(それ故に、惹かれ合った)」

紗代子「(傷を舐め合う獣みたいに、身体を寄せ合って、冷たい雨に凍えていた)」

瑞希「(目の前にいるのは、自分によく似た誰かで、慰めるのに理由はいらなかった)」

紗代子「(それが、閉じた世界に堕ちていくことだとは分かっていたけど)」

瑞希「(ただ、寒さに震える身体を温めたかった)」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:08:39.03 ID:aU2/OHjw0
紗代子「(それまでは、仲の良いアイドル同士で)」

瑞希「(それからは、欠けてはならない半身になった)」

紗代子「(私も瑞希ちゃんも、自分に足りないものを探していて、足りないことに傷付いていたから)」

瑞希「(私と高山さんは、補い合えると信じて、一つになろうと決めた)」

紗代子「(私たちの関係を一言で言い表すなら)」

瑞希「(共依存、が相応しいと、あの時も口にした)」

紗代子「(それでもいいと、私は答えて)」

瑞希「(私は頷いた)」

紗代子「(瑞希ちゃんと一緒にいると安心できた)」

瑞希「(高山さんの隣にいられて、嬉しかった)」

紗代子「(瑞希ちゃんは自信の足りない私を勇気づけてくれた)」

瑞希「(高山さんは私のことを一生懸命に見つめてくれた)」

紗代子・瑞希「(それだけで、充分だったはずなのに)」

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26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:09:17.03 ID:aU2/OHjw0
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志保「瑞希さん、いますか?」

瑞希「どうぞ、北沢さん」

志保「……」

瑞希「どうかしましたか?」

志保「あの、思っていることがあるなら、遠慮せずに言ってください」

瑞希「?」

志保「そんなに、私たちは信用がありませんか?」

瑞希「いえ、北沢さんも白石さんも信頼しています」

志保「……」

志保「なら、どうして話してくれないんですか?」

瑞希「……あの、言っている意味が――」

志保「――紗代子さんのことですか?」

瑞希「!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:09:52.85 ID:aU2/OHjw0
志保「ユニットの練習でも、身が入ってないですよ」

瑞希「それは、関係のない事です」

瑞希「練習のことは謝りますが、高山さんはこの件とは何の関係もありません」

志保「……」

瑞希「それに例え、高山さんと私の間に何か問題があったとしても、それはプライベートなことで、アイドル業とはまったく別の問題です」

志保「……そこまで話して、まだ分からないんですか?」

志保「紬さんならきっと『あなたはバカなのですか?』と言うと思います」

瑞希「?」

志保「気にしていないなら、言い訳する必要ないですよね」

瑞希「……いえ、それは」

志保「瑞希さんと紗代子さんの間に何があったか、なんて分かりませんし、知りたいと思いません。ただ、それで仕事に悪影響が出るなら、私は見過ごせません」

瑞希「……」

志保「それでも、一言、言わせてもらえるなら」

志保「お二人は、何が不満だったんですか?」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:10:21.00 ID:aU2/OHjw0
瑞希「不満?」

志保「はい。お互いに必要としあって、支え合って、時に、その///」

志保「あ、愛し合っていたなら、それのどこがいけないんですか?」

瑞希「……北沢さんは何も知らないので」

志保「ええ、何も知りません。だから、もしこの問題を解決できるとしたら、それは瑞希さんなんです」

瑞希「……」

瑞希「私は、高山さんを利用していました」

瑞希「私は……」

志保「……」

瑞希「……」

志保「雨、降ってきましたね」

瑞希「(雨……?)」

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29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:10:48.29 ID:aU2/OHjw0
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紗代子「(気持ちいい)」

紗代子「(悩み続けて、熱を持った頭に大粒の雨が当たって、冷えていく)」

紗代子「(空っぽなシアターの屋上で、私を止める人は誰も居なくて、雨が連れてきた風が、強く私のスカートを攫う)」

紗代子「(次第に、自暴自棄な気持ちになっていく)」

紗代子「(雨の中に飛び出す前、色々なことを考えて、立ち竦んでいたのが嘘みたいだ)」

紗代子「(服の汚れ、濡れた髪、翌日のレッスン、瑞希ちゃん)」

紗代子「(全てがどうでもよくなって、雨に洗い流されていく)」

紗代子「(あんなに悩んでいたのが、バカみたい)」

紗代子「(忘れちゃえばいいんだ)」

紗代子「(セピア色の夢の中へ、置いていこう)」

紗代子「(そうすれば、色鮮やかな夢なんて見ないようになるから)」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:11:35.73 ID:aU2/OHjw0
瑞希「高山さん!」

紗代子「瑞希ちゃん……?」

瑞希「風邪を引いてしまいます、早く屋根の中へ」

紗代子「いいよ、放っておいて」

瑞希「っ!」

瑞希「そういう訳にはいきません」

紗代子「いいの、瑞希ちゃんこそ、濡れちゃうよ?」

瑞希「構いません。高山さん、早くこちらへ」

紗代子「っ」

紗代子「離して!」

瑞希「!」

紗代子「私のことなんか、放っておいてよ!」

紗代子「私のことなんか構わないでっ……!」

瑞希「高山さん……」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:12:18.30 ID:aU2/OHjw0
瑞希「いえ、放っておきません!」

瑞希「高山さんは私にとって、とても大切な人です」

瑞希「放ってなんておきません!」

瑞希「だから、早く行きましょう?」

紗代子「……」

紗代子「(嬉しくなってしまう自分を、嫌いになってしまう)」

紗代子「(瑞希ちゃんが握ってくれる手が、温かいっていうだけで、こんなに嬉しくなる自分が、瑞希ちゃんに依存してしまう自分が嫌だ)」

紗代子「出来ない」

瑞希「え?」

紗代子「出来ないよ、瑞希ちゃん」

瑞希「……」

瑞希「高山さん、いえ、紗代子さん」

瑞希「ごめんなさい」

紗代子「?」

瑞希「紗代子さんをそんな風に弱気にしてしまったのは、私です」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:13:24.83 ID:aU2/OHjw0
瑞希「紗代子さんが弱気であればあるほど、頼ってもらえると思ってしまった、私の責任です」

瑞希「私は、紗代子さんが大好きです」

瑞希「どこまでも全力で、ひたむきな紗代子さんが大好きです。自分を信じてあげられなくって、くじけてしまう紗代子さんが大好きです」

瑞希「一人で出来ないことを、一人で抱え込む必要はありません」

瑞希「二人で乗り越えていきましょう?」

瑞希「いつか一人で出来るようになるまで、いつか強くなれるその日まで、弱い私たちは、弱いまま寄り添っていたい、と私はそう思います」

瑞希「ダメ、でしょうか?」

紗代子「……」

紗代子「いいの?」

瑞希「はい」

紗代子「私で、本当に良いの?」

瑞希「紗代子さんがいいのです」

瑞希「いえ、紗代子さんでなければダメです」

瑞希「どうぞ、これからよろしくお願いします、紗代子さん」

――――――――――――
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:14:05.07 ID:aU2/OHjw0
――――――――――――

紗代子「(その後の後日談というか、毒にも薬にもならない話)」

紗代子「(公演を終えた瑞希ちゃんは、その直後のオフで熱を出した)」

紗代子「(あの雨の日、瑞希ちゃんの手が温かったのは、きっとその前兆だったんだ、と今なら分かる)」

紗代子「(という訳で、私はその責任を取って、瑞希ちゃんのお見舞いに行った)」

瑞希「高山さん、すみません、ごほごほ」

紗代子「ううん、半分くらいは私のせいだし」

瑞希「いえ、雨の中に飛び出したのは私の判断なので」

紗代子「違うよ、瑞希ちゃんは悪くないよ」

瑞希「……」

紗代子「……」

紗代子・瑞希「ふふふ」

瑞希「では、お言葉に甘えて、そのようにしておきます」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:14:34.86 ID:aU2/OHjw0
紗代子「ところで、もう紗代子さんって呼んでくれないの?」

瑞希「ご、ごほんごほん///」

紗代子「ふふっ、ありがとう。瑞希ちゃん……」

瑞希「……いえ、私は何も」

紗代子「……」

瑞希「……」

紗代子「早く風邪を治して、もっといっぱい頑張ろうねっ!」

瑞希「はい……頑張りましょう」

瑞希「そこで、一つ相談なのですが」

紗代子「?」

瑞希「風邪をうつすと早く治るというのは、本当なのでしょうか?」

瑞希「それにこの資料にある、キスという治療を試してみたいのです」

紗代子「瑞希ちゃん……! それ、エッチな雑誌……///」

瑞希「高山さん、お願いします」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/11(金) 20:16:34.25 ID:aU2/OHjw0
以上で、終わりです。

HTML化、依頼してきます。


36 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2018/05/11(金) 20:19:37.46 ID:oarTMn5H0
表現がエロくていいね、乙です

>>2
真壁瑞希(17) Da/Fa
http://i.imgur.com/hsDhtW6.png
http://i.imgur.com/YYXqjRw.png

高山紗代子(17) Vo/Pr
http://i.imgur.com/N2a9e5q.jpg
http://i.imgur.com/RfKvorE.jpg

>>16
北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/hyIxKnA.png
http://i.imgur.com/jluz1da.png

>>21
白石紬(17) Fa
http://i.imgur.com/McbwTmk.png
http://i.imgur.com/orNWbKV.png
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 14:56:23.96 ID:0Br6YhY9O
重い瑞希は斬新で面白かった
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