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【ミリオンss】紗代子「melty fantasia」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:53:03.28 ID:aU2/OHjw0
・みずさよ百合もの
・melty fantasiaだけど、アンドロイド要素なし
注意事項は以上です。本編は次から
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1526035982
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:53:49.34 ID:aU2/OHjw0
瑞希「……」
紗代子「……」
瑞希「高山さん……」
紗代子「?」
瑞希「……」
紗代子「何?」
瑞希「私といて、楽しいでしょうか?」
紗代子「……えっと、どういう意味?」
瑞希「すみません、わしゅれて――」
瑞希「噛みました。忘れてください」
紗代子「……」
紗代子「瑞希ちゃんは、私といて楽しくない?」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:54:39.09 ID:aU2/OHjw0
瑞希「……楽しくない訳がありません」
紗代子「それって、結局どっち?」
瑞希「楽しい……です」
紗代子「ふふっ、嬉しいっ」
紗代子「私も、瑞希ちゃんと一緒にいると楽しいよ」
瑞希「!」
瑞希「そう、ですか」
瑞希「ですが、私は会話のキャッチボールというものが苦手で」
紗代子「うん、そうだね」
瑞希「……同意されると、ショックだぞ。しょんぼり」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:55:24.19 ID:aU2/OHjw0
紗代子「よく考えると、私たちって似てるところが沢山あるよね」
紗代子「私も、人と話をするのって、あんまり得意じゃないんだ」
紗代子「その人を励まそうと思って、頑張れって声を掛けてるのに、暑苦しいとか、余計なお世話とか言われちゃうから……」
瑞希「……」
紗代子「だから、瑞希ちゃんといる時の静かな感じ、すごく好きだよ」
紗代子「自分のダメな所、嫌いな所を考えなくてすむから」
瑞希「高山さんは、全然ダメではないです」
紗代子「!」
紗代子「ありがとう……」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:55:57.81 ID:aU2/OHjw0
紗代子「瑞希ちゃんの隣にいると、私、嬉しいんだ。何も話さなくても、わくわくどきどきさせてくれて、こんな私でも、隣にいて大丈夫なんだって思えるから」
瑞希「……///」
紗代子「み、瑞希ちゃん?」
紗代子「(あれ? 瑞希ちゃんの耳、赤く……)」
瑞希「たか、高山さん」
紗代子「な、何?///」
瑞希「一つ、ご相談があるのですが」
紗代子「う、うん」
瑞希「次の公演で、PVを撮影することになりまして、演技のご指導、ご鞭撻を……」
紗代子「私でいいの?」
瑞希「はい、高山さんに教えていただきたいのです」
紗代子「本当に?」
瑞希「……はい」
紗代子「どうなっても知らないよ?」
瑞希「承知の上です」
紗代子「……それじゃあ、何から始める?」
瑞希「では、キスシーンなど……どうでしょう?」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:56:30.95 ID:aU2/OHjw0
――――――――――――
紗代子「(プロデューサーから公演の告知があって、それ以来、瑞希ちゃんは紬ちゃんと志保ちゃんと一緒にいることが多くなった)」
紗代子「(今回、瑞希ちゃんたちが演じるのは、心を手に入れてしまったアンドロイド。感情の芽生えたアンドロイドは、廃棄される運命だったところを、荒野へと逃亡し、そして破滅する)」
紗代子「(たったそれだけの設定を聞いただけで、私の心は震えた)」
紗代子「(破滅的な恋……)」
紗代子「(恋は身を焦がすもの、恋は身をやつすもの)」
紗代子「(手に入れてしまったばっかりに、苦しめられるんだ)」
紗代子「(私は、PVの話をする瑞希ちゃんの瞳の中に、私自身を見た)」
紗代子「(湖面のように澄んだ、瑞希ちゃんの瞳の中で、私は醜く歪み、嘲笑う)」
紗代子「(でも、そんな私を映して、微笑んでくれるのが嬉しくて、私は瑞希ちゃんから離れられない)」
――――――――――――
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:57:01.86 ID:aU2/OHjw0
瑞希「プロデューサーに、演技の心配はないと言われました」
紗代子「そっか、良かったね」
瑞希「はい、ですが、まだまだ不安が消えません」
瑞希「確かに、ポーカーフェイスは得意ですが、果たして、それで本当に感情のないアンドロイドを演じていると言えるのでしょうか?」
瑞希「白石さんや北沢さんとも相談したのですが……」
紗代子「それで?」
瑞希「やはりポーカーフェイスと、感情がないということは違う、と結論が出ました」
紗代子「真面目な二人なら、きっとそう言うだろうね」
瑞希「はい、なので、高山さん」
紗代子「?」
瑞希「私を、何も考えられないようにしてほしいのです」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:57:37.06 ID:aU2/OHjw0
紗代子「どうして?」
瑞希「……演技のために」
紗代子「でも、どうやって?」
瑞希「どうやってでも」
紗代子「……」
瑞希「お願いします」
紗代子「瑞希ちゃんて、ずるい」
瑞希「!」
瑞希「その、あまり近付かれると、今日のお昼はカレーだったので」
紗代子「そんなこと気にしない」
瑞希「私が気になります」
紗代子「私、今日のお昼は何も食べてないから――」
紗代子「腹ペコなんだよ?」
瑞希「ごくり」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:58:24.78 ID:aU2/OHjw0
紗代子「ねえ、聞いておきたいんだけど……」
瑞希「はい」
紗代子「何も考えられなくなるって、例えば、頭がショートしちゃうくらい沢山のことが一度に押し寄せてくる感じ?」
紗代子「それとも、たった一つのことに集中しちゃって、他のものが一切なくなっちゃうてこと?」
瑞希「……」
紗代子「瑞希ちゃん?」
瑞希「……」
紗代子「答えてくれないんだ……」
瑞希「高山さんにおまかせします」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:58:59.95 ID:aU2/OHjw0
紗代子「……」
瑞希「んふ」
紗代子「瑞希ちゃんの耳、かわいい」
瑞希「……」
紗代子「音立てたら、嫌?」
瑞希「……いえ」
紗代子「じゃあ、食べちゃうね?」
瑞希「っ」
紗代子「……」
紗代子「熱くなってきた。どうして?」
瑞希「言えません……ぅ」
紗代子「耳、赤いよ? どうかしたの?」
瑞希「な、何も……っ」
紗代子「言わないなら、止めない」
瑞希「……」
紗代子「ふふっ、意地っ張りなんだからっ」
瑞希「ん、ぅ……」
紗代子「それとも、期待しちゃってる欲張りさんなのかな?」
瑞希「違い、ます」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:59:28.05 ID:aU2/OHjw0
紗代子「どうして?」
瑞希「これは、演技のための――っ!」
紗代子「演技のための?」
瑞希「はぁ……はぁ」
瑞希「高山さんっ、そこはダメです」
紗代子「そこって?」
瑞希「……」
紗代子「ねえ、瑞希ちゃん。これのどこが演技のためなの?」
瑞希「演技の練習です。PV撮影があって、そのために……」
紗代子「こんなに溢れさせているのも、演技?」
瑞希「……」
紗代子「大丈夫。私が連れて行ってあげる」
紗代子「何も考えられないところまで」
――――――――――――
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 19:59:56.70 ID:aU2/OHjw0
――――――――――――
紗代子「(無言は、肯定の合図だった)」
紗代子「(無抵抗なのは、承諾の証だった)」
紗代子「(嫌がらないのは、好きだから)」
紗代子「(そんな瑞希ちゃんがいじらしくて、かわいらしくて、つい意地悪をしてしまうのは、私の悪い癖だ)」
紗代子「(度を過ぎてから、やってしまったと嘆くのだって、いつものことだった)」
紗代子「(だから、この日も瑞希ちゃんと別れた次の瞬間には、胸が苦しくて、どうしてあんなことしたんだろうって、後悔した)」
紗代子「(でも、もう一度同じチャンスが来たのなら、私は同じことを繰り返すだろう)」
紗代子「(瑞希ちゃんが呼び水になって、私の醜いところを引き出してしまうから)」
紗代子「(私は瑞希ちゃんに逆らう術を持たない)」
――――――――――――
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 20:00:28.38 ID:aU2/OHjw0
――――――――――――
瑞希「高山さんのおかげで、PV撮影も大成功です、ぶい」
紗代子「ふふ、良かったね、瑞希ちゃん」
瑞希「高山さんの指導のおかげです」
瑞希「本当にありがとうございました」
瑞希「感謝していましゅ」
紗代子「……」
瑞希「噛みました」
紗代子「うふふ、どういたしまして」
紗代子「それで、レッスンの方は順調?」
瑞希「はい、滞りなく進んでいます。怖いくらいに」
紗代子「順風満帆の時ほど、見落としがないかって不安になるんだよね」
瑞希「そうですね、油断大敵。こういう時ほど、慎重に」
紗代子「うんうん」
瑞希「そういえば、高山さんにもう一つ嬉しいニュースを」
紗代子「?」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 20:01:13.47 ID:aU2/OHjw0
瑞希「以前、北沢さんと上手く打ち解けられない、と相談したのを覚えていますか?」
紗代子「うん、覚えてるよ」
瑞希「実は、北沢さん、年齢のことを気にしていたのです」
瑞希「プロデューサーが教えてくれたので、ようやく分かったのですが、そのおかげで沢山お話が出来たのです、ぶいぶい」
紗代子「……」
瑞希「北沢さんの学校生活や、白石さんの地元のお話が聞けて、嬉しかったぞ」
紗代子「……瑞希ちゃん」
瑞希「高山さん……?」
紗代子「(どうして、そんな話を私にするの?)」
紗代子「(なんて言える訳ない。これは私の醜い部分、だから瑞希ちゃんには知られたくない)」
紗代子「!」
瑞希「……」
紗代子「(笑ってる……?)」
瑞希「高山さん、もしかして嫉妬、していますか?」
紗代子「!」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 20:02:20.52 ID:aU2/OHjw0
瑞希「それは、例えば『ここ』が苦しくなって」
紗代子「(瑞希ちゃんは私の胸に手を当てた)」
瑞希「白石さんや北沢さんが憎いと思いますか?」
紗代子「ち、違う!」
瑞希「でも、鼓動が随分、早いですね」
瑞希「高山さんを嫉妬させるような、そんな酷いことをいうのは、果たして、どの口でしょうか?」
紗代子「……」
瑞希「もし、そんな悪い口があるなら、塞いでしまわなければいけません、違いますか?」
紗代子「……」
瑞希「そこで、高山さん、またしても相談なのですが、探していただけませんか?」
瑞希「悪い唇を」
――――――――――――
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 20:02:54.30 ID:aU2/OHjw0
――――――――――――
志保「あ、瑞希さん、探しましたよ」
瑞希「北沢さん、何か御用でしょうか?」
志保「公演のことで、少し共有しておきたいことが……」
紗代子「///」
志保「紗代子さん、大丈夫ですか?」
紗代子「えっ?」
志保「顔が赤いですよ?」
瑞希「レッスンをしていたので、汗をかいているのです」
瑞希「そうですね?」
紗代子「あ、うん。平気、何でもないよ///」
志保「そう、ですか」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 20:03:23.54 ID:aU2/OHjw0
瑞希「それで、共有しておきたいこととは――」
志保「――実は」
紗代子「(身体が、火照る)」
紗代子「(何も考えられない)」
紗代子「(お腹の奥が熱くて、切ないよ)」
紗代子「(瑞希ちゃん)」
瑞希「なるほど、白石さんにも伝えましょう」
紗代子「(綺麗な指)」
紗代子「(あれがさっきまで、私の中に?)」
志保「紗代子さん?」
紗代子「……」
志保「紗代子さんっ!」
紗代子「ふぇ?」
志保「!」ドキッ
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 20:04:05.98 ID:aU2/OHjw0
志保「あ、あの体調が優れないなら、プロデューサーさんを呼びましょうか?」
紗代子「う、ううん。大丈夫、少し身体を休ませたら、すぐ治るから」
志保「でも……」
瑞希「では、私が付き添います」
紗代子「!」
瑞希「北沢さん、冷えピタが冷蔵庫にあったはずなので、それを持ってきたもらえますか?」
志保「は、はい」
紗代子「……瑞希ちゃん」
瑞希「高山さん、すみません。気が付くのが遅れて」
紗代子「んっ……」
紗代子「(ひんやりしたものが、私の口の中に入って来て、歯の間から舌の裏まで這いまわって、纏わりついた何かをこそぎ落としていく)」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 20:04:51.16 ID:aU2/OHjw0
瑞希「高山さん、綺麗です」
紗代子「っ!」
瑞希「高山さん、好きです」
紗代子「瑞希ちゃん……///」
志保「瑞希さん、持ってきました」
瑞希「ありがとうございます、北沢さん」
紗代子「ありがと、志保ちゃん」
志保「いえ、このくらい……」
志保「あの、私はこれで失礼しますね」
瑞希「はい、お気をつけて」
紗代子「……」
瑞希「……」
紗代子「志保ちゃんに見られてたかも」
瑞希「……私は」
瑞希「私は、見られていても構いません」
――――――――――――
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/05/11(金) 20:05:18.84 ID:aU2/OHjw0
――――――――――――
瑞希「(私は、高山さんを苦しめている)」
瑞希「(そして、それを楽しんでいる)」
瑞希「(高山さんが困ったように、瞳を潤ませて、私を見上げていると、胸が締め付けられる思いがする)」
瑞希「(私はずるい)」
瑞希「(私は高山さんを利用している)」
瑞希「(私は、高山さんを支配して、操って、自らの欲望を満たしている)」
瑞希「(高山さんが私に何を望んでいるのか)」
瑞希「(高山さんは、包まれたいと願っている)」
瑞希「(なので、私はそれを餌にして、高山さんが私から離れないように、繋ぎとめる)」
瑞希「(真壁瑞希は卑怯で、独りよがりな最低のアイドルです)」
――――――――――――
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