魔女娘「あたしを弟子にして下さい!」手品師「なんで!?」

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83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/02(水) 21:18:50.10 ID:jnhprCQN0
はえ〜読んでて、面白いなぁ。失礼ですが
書く時、どういうことを考えて書いてますか?
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 22:37:47.03 ID:T0Goba0vO

面白い
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:03:31.18 ID:xlTOGeKn0
翌日――

― 手品師のアパート ―

手品師「来たか。入ってく――」

魔女娘「こんにちは……先生……」

手品師「? いつもの元気がないけど、どうした?」

魔女娘「今日は……連れがおりまして」

金髪魔女「うふふっ、間近で見るとますます大したことないわね。とんだダサ男だわ」

手品師「……この人は?」

魔女娘「あたしの……先輩にあたる人です」

手品師(う〜む、派手な化粧に派手な衣装、魔女娘とは全然ちがうタイプの魔女だな……)

手品師(キレイはキレイだが、苦手なタイプだ……)
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:06:00.94 ID:xlTOGeKn0
手品師「俺は魔女娘の手品の師匠です。よろしく」

金髪魔女「ふん、人間の男と挨拶する趣味はない」

手品師(なんだよ、この人……)

手品師「あの、なにかご用ですか?」

金髪魔女「手品とかいう子供騙しを、私に見せてみなさいな」

手品師「…………」

金髪魔女「この半人前をたぶらかした、下らないお遊戯を見せろといってるのよ」

金髪魔女「まあ、魔女の中でも特にエリートといわれる私を満足させることは」

金髪魔女「到底かなわないでしょうけどね」

手品師「たしかに、本物の魔法に比べたら手品なんてお遊びみたいなものでしょうね」

手品師「俺にはホウキで空を飛ぶことも、動物に化けることもできませんから」

金髪魔女「あら、よく分かってるじゃない」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:08:32.13 ID:xlTOGeKn0
金髪魔女「なんだったら、やめてもいいわよ?」

金髪魔女「そうすれば、恥をかかなくて済むしね」

手品師「いえ、やれといわれたら手品をしてみせるのが、手品師というものです」

金髪魔女「!」

手品師「さっそく手品をご覧に入れましょう!」

魔女娘「先生……!」

金髪魔女「いいわ……ただし、もしつまらなかったら魔法でオシオキしてあげる!」

魔女娘(先生が先輩の魔法を受けたら、ひとたまりもない……!)

魔女娘(いざとなったら、あたしが先生を守る!)グッ…
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:10:20.31 ID:xlTOGeKn0
手品師「まずは小手調べ……コインを瞬間移動させます」

金髪魔女「ふん、魔力も使わず、そんなことできるわけないわ」

手品師「右手に握ったコインが……」ススッ…

手品師「左手へ!」パッ

金髪魔女「えっ!?」

金髪魔女「すっごーい! なんで!? どうなってるの!?」

手品師「え?」

魔女娘「え?」

金髪魔女「あっ……」

金髪魔女「ちょっと待って! 今のなし! もっと他のことをしてみなさい!」

手品師「は、はい……」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:12:36.27 ID:xlTOGeKn0
手品師「花を出します」パッ

金髪魔女「げぇっ!?」



手品師「あなたが持ってるトランプは……ハートのエースですね?」

金髪魔女「なんで分かったの!?」



手品師「袖から国旗を……」スルスル…

金髪魔女「どうなってんの!? 魔力は感知できないのに! 信じられない!」

手品師(魔女娘以上のリアクション女王だな……この人)
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:15:23.62 ID:xlTOGeKn0
手品師「……こんなところでしょうか」

金髪魔女「…………」

魔女娘「先輩、先生の手品はいかがでした?」

金髪魔女「……まあまあね。魔女のパートナーに選ばれるだけのことはあるようだわ」

手品師「ど、どうも……」

金髪魔女「だけど、調子に乗らないことね! また手品を見に……いえ、監視に来てあげるから!」

ビュワオッ!

手品師(すごい速さで飛んでった……!)
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:18:29.23 ID:xlTOGeKn0
手品師「嵐のような人だったな……」

魔女娘「すみませんっ! 先輩がご迷惑をおかけして……」

手品師「いや、いいけどね。あれだけ驚かれると気分もいいし」

魔女娘「性格は高飛車ですが、魔女としては本当にすごい人なんです」

魔女娘「あたしたちぐらいの年齢の魔女では、ダントツな実力の人で……」

手品師(それは去り際のあのスピードを見ても分かる)

手品師「とにかく、厳しい先輩からオシオキを受けずに済んでよかった」

魔女娘「あたしもほっとしてます……」

手品師「さ、気を取り直して、今日の練習を始めよう」

魔女娘「はいっ!」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:20:06.47 ID:xlTOGeKn0
それからしばらくして――

― 手品師のアパート ―

ピンポーン…

手品師「はい」

マネージャー「手品師さん、ですね?」

手品師「そうですが……。あなたは……たしかマジシャンの……」

マネージャー「はい、マネージャーをさせて頂いております」

手品師「どのようなご用件でしょうか?」

マネージャー「今度マジシャンが大ホールで、今までで最大規模のショーを行います」

マネージャー「それにあなたも出演して頂きたいのです」

手品師「仕事の依頼ですか。ありがとうございます」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:22:02.92 ID:xlTOGeKn0
手品師「前のように、前座でということですね?」

マネージャー「いえ……違うんです」

マネージャー「あなたにはいわゆる“大トリ”をやって欲しいのです」

手品師「…………!?」

手品師「私が最後? つまり、マジシャンが私の前座を?」

マネージャー「そういうことです」

手品師「…………」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:23:53.13 ID:xlTOGeKn0
手品師「分かりました、引き受けましょう」

マネージャー「……ホントですか!」

手品師「ただし、一つだけ条件があります」

マネージャー「なんでしょう?」

手品師「それは――」



…………

……
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:27:55.09 ID:xlTOGeKn0
魔女娘「ええっ!? マジシャンさんのショーの大トリに!?」

魔女娘「すごいじゃないですか! やっぱりマジシャンさんは、先生を認めてたんですよ!」

手品師「いや、そうじゃないだろう」

手品師「あいつはこのショーで、俺のことを完全に叩き潰すつもりだ」

魔女娘「ど、どういうことです?」

手品師「前回のショーのことを思い返してみるといい」

手品師「もしも、大スターのマジシャンが最初にマジックをやって、客を大いに沸かせた後」

手品師「無名もいいとこの俺が手品をやったらどうなるか……」

魔女娘「あっ……」

手品師「当然、客はシラける。席を立つ人間も続出するかもしれない」

手品師「マジシャンのショーを白けさせたということで、俺の評判は地に落ちるだろう」

手品師「そうなると、俺に二度と大きな仕事が回ってくることはなくなる……」

手品師「いや、小さな仕事だってどうなるか……」

魔女娘「そ、そんな……」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:29:27.01 ID:xlTOGeKn0
魔女娘「だったらこの話、今からでも断った方がいいんじゃ……」

手品師「いや、断らない」

魔女娘「!」

手品師「たとえ、今俺のいったことが現実となるにしても、俺は逃げない」

手品師「きっちり仕事をやり切ってみせる……手品師として!」

魔女娘「先生……!」

手品師「そして、もう一つ。今回のショー、魔女娘にも出演してもらう」

魔女娘「え……」

魔女娘「え、え、え、え、え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:30:45.66 ID:xlTOGeKn0
魔女娘「あたしもですか!?」

手品師「ああ、こんな大舞台めったにない。デビューにはうってつけだろ?」

魔女娘「そうですけど、あたし、まともにできる手品なんてまだ……」

手品師「時間はないが、なんとか仕上げるんだ」

魔女娘「先生ったらスパルタ〜!」

魔女娘「いえ、もしかしたら一人じゃ心細いんじゃ……」ジロッ

手品師「バレたか! アッハッハ! ま、弟子なんだから巻き込まれてくれ!」

魔女娘「分かりました、巻き込まれてあげますよ!」

手品師「これでもし、客が全員帰っても俺は寂しくないわけだな!」

魔女娘「そしたら、あたしも帰りますからね!」

魔女娘(分かる……)

魔女娘(今の先生が、とても生き生きしてるのが……)
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:33:25.24 ID:xlTOGeKn0
……

……

マジシャン「引き受けた? あっさりと?」

マネージャー「はい……意外でした。ギャラを吊り上げることもありませんでした」

マネージャー「ただし、弟子を一人参加させるとのことですが」

マジシャン「あの子か……。才能はあるようだが、とても大舞台をこなせるようには見えなかった」

マジシャン「大した助けにはならないだろ」

マジシャン「せいぜい腕を磨いてこい。かつての仲間、かつてのライバル」



マジシャン「悔いの残らないよう、大舞台で引導を渡してやる……!」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:36:27.03 ID:xlTOGeKn0
ショーの前日――

― 手品師のアパート ―

手品師「今日はこんなとこだろう」

魔女娘「ありがとうございました!」

魔女娘「明日は……頑張りましょうね!」

手品師「ああ」

手品師「魔女娘、君には本当に感謝している」

手品師「昔の俺だったら、おそらく今、こんな清々しい気分にはなれなかった」

手品師「大舞台に怯えて、こんな無茶な話を持ち込んだマジシャンを恨んだりしていただろう」

手品師「だけど今の俺は、明日が楽しみでしょうがないんだ!」

魔女娘「あたしもです、先生!」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:38:32.81 ID:xlTOGeKn0
手品師「それと一つだけ約束して欲しい」

魔女娘「はい?」

手品師「明日もし、俺の舞台が悲惨なことになっても、魔法によるヘルプは絶対しないで欲しい」

魔女娘「!」ギクッ

手品師「やっぱり……いざという時は、と考えてたか」

魔女娘「す、すみません」

手品師「君が魔法を使えば、ショーはうまくいくかもしれない」

手品師「手品じゃ絶対できないことをやれるし、観客だって操れるだろうからな」

手品師「だけど、それをやられてしまったら、俺の手品師としてのプライドはズタズタだ」

手品師「約束してくれ」

魔女娘「分かりました! 明日は絶対魔法を使いません!」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:41:16.52 ID:xlTOGeKn0
手品師「とはいえ、今は別だ」

魔女娘「へ?」

手品師「ここらで一発、景気づけに君の魔法を見せてくれないか?」

魔女娘「分かりました……じゃあ、とっておきのやつを!」

魔女娘「それっ! 星空よっ!」パァァァ…



キラキラキラ… キラキラキラ…



手品師「星空が生まれた……なんてキレイなんだ」

手品師「魔法ってのはやっぱすごいな!」

魔女娘「ありがとうございます……えへへ」

手品師「だけど、明日はこの星空に負けないような、かっこいい手品をしてみせる!」

魔女娘「はいっ! 先生ならやれます!」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/03(木) 18:43:22.94 ID:xlTOGeKn0
― アパートの上空 ―

金髪魔女「うっふっふっ……」

金髪魔女「魔女娘ったら、あの魔法を使えるようになってるなんて、少しは腕を上げたようね」

金髪魔女「手品の練習のために意識を集中することが、魔力の増強につながってるのかもね」

金髪魔女「それにしても、大ホールでのショーか……なかなか面白いことになってるじゃない」

金髪魔女「この私も楽しませてもらうわよ」
103 : ◆giYLo4fN2M [saga]:2018/05/03(木) 18:45:07.31 ID:xlTOGeKn0
今回はここまでとなります
次回へ続きます

>>83
あまり意識したことはないですが、
「こんな奴らがこの世のどこかにいたらいいなぁ」というようなことは頭にあると思います
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 19:53:15.63 ID:Ius4VaArO
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 18:58:18.72 ID:taVSAv5x0
当日――

― 大ホール ―

ワイワイ… ガヤガヤ…

「マジシャンさんのマジック、超楽しみ〜!」

「なんかもう一人いるらしいけど、そっちはどうでもいいな」

「ほら、マジシャンのグッズ、こんなに買っちゃった! DVDに写真集に……」

ザワザワ… ガヤガヤ…



手品師「マジシャン目当ての客ばかりだな……」

魔女娘「むう……悔しいですね」

手品師「この方が気楽でいいさ。さ、控え室に行こう」

魔女娘「はいっ!」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 18:59:37.42 ID:taVSAv5x0
控え室――

魔女娘「緊張してきました〜……! 見て下さい、手の汗がすっごい!」ベットリ…

手品師「…………」

魔女娘「先生はさすがですね。すっごく落ち着いてます!」

手品師「そんなことない。心臓がバクバクいってるよ」

手品師「なにしろ今までの人生で一番といっていい大舞台だからな……」





金髪魔女「あら、ずいぶん情けないこといってるのね」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:01:59.48 ID:taVSAv5x0
魔女娘「先輩!?」

金髪魔女「マジックショーとやらを見物に、飛んできたのよ」

手品師「警備もいたはずですが、どうやってここに?」

魔女娘「まさか、乱暴したんじゃ……」

金髪魔女「そんな二流魔女みたいなことするわけないでしょ?」

金髪魔女「魔法を使って、壁をすり抜けただけよ」スルッ

手品師「うわっ!」

魔女娘「あたしも覚えてない高等魔法!」

手品師(これから手品をやるって時に、こんなすごいの見せないで欲しい……)

金髪魔女「あなたたちがどんな手品を見せてくれるか、せいぜい楽しませてもらうわよ」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:04:25.72 ID:taVSAv5x0
マジシャン「取り込み中、失礼するよ」

手品師「!」

魔女娘「マジシャン……さん」

マジシャン「弟子が一緒とはいえ、よく逃げずにやってきた……とりあえず褒めてやるよ」

手品師「ありがとう」

マジシャン「だが、今日お前は致命的な恥をかくことになる、と予言しておこう」

マジシャン「これが俺のマジックだ!」バサッ

手品師「…………」

金髪魔女「なんなのこいつ? 私が黙らせて――」

魔女娘「わーっ、先輩! ダメ! ダメ!」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:08:05.16 ID:taVSAv5x0
手品師「たとえ、どんな恥をかくとしても、俺は逃げない」

手品師「自分の手品をきっちりやり通す……手品師としてな」

マジシャン「ふん……」

マジシャン「そうやって開き直って、どっしり構えてられるのも今のうちだ」

マジシャン「まずは俺がきっちり場を盛り上げてやる」

マジシャン「せいぜい、せっかく俺が盛り上げた場を冷まさないようにしてくれよ」

スタスタ…

金髪魔女「ずいぶんと高飛車な男ね! 私、ああいうタイプの人間が一番嫌いよ!」

魔女娘「先輩がいうかなぁ」ボソッ

金髪魔女「なにかいった?」ギロッ

魔女娘「いえいえっ!」

金髪魔女「いったわよね」パァァァ…

魔女娘「あだだだっ! 魔法で頬をつねらないでっ!」ギュゥゥゥ…
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:10:48.30 ID:taVSAv5x0
金髪魔女「それじゃ私も行くわ。観客席へね」

魔女娘「このショーのチケットは予約開始と同時に即完売したのに、よくチケット取れましたね〜」

金髪魔女「客の一人を魅了してやったのよ。気前よくチケットをくれたわ」

手品師(やりたい放題だな、この人)

金髪魔女「この私にここまでさせたんだから、失望させたら怒るわよ」

ビュオアッ!

手品師「消えた……」

手品師「さて、俺たちもマジシャンのマジックを見ようか。これも勉強だ」

魔女娘「はいっ!」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:13:19.24 ID:taVSAv5x0
― 舞台 ―

ワアァァァァァ……!

マジシャン「今日は一番手で登場、マジシャンです!」

マジシャン「順番間違えた? そんなことないない、今日はいきなりマジックをやりたかったんだ!」

マジシャン「さっそく始めていくよ!」

マジシャン「まずはみんなに、綺麗なバラをプレゼントだ!」パァッ



ワァァッ!!!



金髪魔女「なんてこと! この男も魔力を使わず、こんなことができるの!?」

金髪魔女(う〜む、人間の男ってあなどれない……)
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:16:11.02 ID:taVSAv5x0
魔女娘「前回の時より、盛り上がりがすごい……! 新しいマジックも増えてる……!」

手品師「さすがマジシャンだ」

手品師「あいつは、自分は俺に劣るだなんていってたらしいが、そんなこと全くない」

手品師「あいつの実力は、これからのマジック界を引っぱっていくには十分すぎる」

魔女娘「そうですね……」

魔女娘「あたしも今は、マジシャンさんの凄さがもっともっと分かります」

手品師(だけど、俺も負けるつもりはない……勝負だ、マジシャン!)
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:21:18.75 ID:taVSAv5x0
マジシャン「みんなのおかげで、無事脱出できたよ!」バサァッ

マジシャン「どうもありがとーっ!」



ワァァァァァ……!

司会『奇跡を起こしてみせたマジシャンさんに、皆さま今一度、大きな拍手をお願いします!』

パチパチパチパチパチ… パチパチパチパチパチ…







手品師「さ、俺たちだ。行くぞ!」

魔女娘「はいっ!」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:23:28.84 ID:taVSAv5x0
司会『続きまして、手品師さんの上演です!』


パチパチ… パチパチ…

「手品師って?」 「誰それ?」 「無名の新人かぁ〜?」 「つか、もう帰ろうぜ」



金髪魔女(こいつら……会場ごとまとめて吹き飛ばしてあげたいけど)

金髪魔女(あの二人に免じて、やめといてあげるわ!)
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:26:23.68 ID:taVSAv5x0
手品師「さぁ、これより手品をご覧にいれます!」

手品師(出し惜しみは無しだ! いきなりクライマックス用の手品でいく!)

手品師(昨日の魔女娘からヒントを得て、急きょ用意した仕掛けを作動させる!)

手品師「観客の皆さま、まずは舞台に星空を作ります!」サッ



キラキラキラキラキラキラ…



オォ〜……!



手品師(よし……! 電球がうまく作動してくれた!)
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:28:31.64 ID:taVSAv5x0
魔女娘「うわぁ……!」

手品師「?」

魔女娘「すっごいです! どうやったんですか、これ!?」

手品師「手に忍ばせてるスイッチで――って、聞くな! お前が驚いてどうする!」



どっ!!!

クスクスクス… ハハハハハ…
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:31:21.61 ID:taVSAv5x0
魔女娘「す、すみません!」

手品師「いやいや、つかみはオーケーだ。さすが俺の弟子!」

魔女娘「はいっ!」

手品師「さぁ、参ります!」

手品師「ここからは手品師の愉快な手品を、皆さまにご覧いただきましょう!」バッ

手品師「まずは……猫のぬいぐるみが……ライオンのぬいぐるみに!」

手品師「ガオーッ!」バッ



オォ〜……!

「この人、結構すごくないか?」 「ああ……テクはマジシャンにも負けてない」 「おもしろーい!」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:34:06.52 ID:taVSAv5x0
手品師「ワン、ツー、スリー!」バッ

手品師「はいっ、助手が持っていたリンゴがバナナに!」

魔女娘「あれぇぇぇぇぇ!?」

ワァッ!!!



魔女娘「ぶっ! あれぇ、ジュースが青汁になってる! ……まっずぅ」

手品師「もう一杯いるか?」

魔女娘「いりませんよ!」

ハハハハ… ハハハハハ…




手品師「私は魔法使いじゃないので、ホウキに乗って飛ぶことはできませんが……」

手品師「ホウキを浮かべることはできるんです!」フワァ…

ワアァァァァァ……!!!
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:35:23.83 ID:taVSAv5x0
金髪魔女「やるじゃない、二人とも!」

金髪魔女「ほら、あの助手いるでしょ! 私の後輩なのよ!? すごいでしょ!」

観客「は、はぁ……」

金髪魔女「さっきの奴に負けてないわよ、二人ともーっ!」

観客(さっきからこの人、うるさすぎる……!)
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:38:45.84 ID:taVSAv5x0
手品師「皆さん、楽しんで頂けましたでしょうか!」

手品師「最後に……私の弟子が、練習の成果を披露いたします!」

魔女娘「はいっ!」

魔女娘「コインを右手から左手に瞬間移動させます!」

魔女娘「右手のコインが……あらっ」ポロッ

チャリーンッ…

魔女娘「あっ……」

魔女娘(しまった……! 最後の最後で失敗しちゃった……!)
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:41:52.37 ID:taVSAv5x0
手品師「大丈夫!」

魔女娘「!」

手品師「あれだけ練習したんだ……必ずできる!」

魔女娘「先生……!」

手品師「さあ、気を取り直してもう一回! ほらっ、コインだ!」ピンッ

魔女娘「はいっ!」

魔女娘「右手のコインが……左手に!」パッ



ワアァァァァァ……!

パチパチパチパチパチ…



手品師「皆さん、ありがとうございました!」

魔女娘「ありがとうございましたー!」



ワアァァァァァ……

…………

……
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:44:27.87 ID:taVSAv5x0
マジシャン「…………」

マネージャー「マジシャンさん……」

マジシャン「あいつのところに……行ってくる」

マネージャー「では私も――」

マジシャン「ついてこなくていい。一人で行きたいんだ」

スタスタ…
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:46:06.07 ID:taVSAv5x0
控え室――

金髪魔女「ブラボー!」パチパチパチ

金髪魔女「二人とも! とてもよかったわよ! あの高飛車マジシャンに負けてないわ!」

魔女娘「ありがとうございます!」

手品師「ありがとう」

金髪魔女「そうだ! 祝福に黄金でも出してあげましょうか?」

手品師「いや、それはちょっと」





マジシャン「……手品師」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:48:31.75 ID:taVSAv5x0
手品師「マジシャン……」

マジシャン「…………」

マジシャン「今回のショーは……俺の完敗だった」

マジシャン「まさか、この俺が……“前座”にされてしまうとは思わなかったよ」

マジシャン「みじめなもんだ。全力で叩き潰そうとして、返り討ちにされるなんてな」

マジシャン「いや、私怨でショーの順番を操作した時点で、俺はマジシャン失格だな」

手品師「おい、なにいって……」

魔女娘「あのー……」

マジシャン「ん?」

魔女娘「これも全て、マジシャンさんのマジックだったんですよね?」

マジシャン「え?」

魔女娘「昔のライバルである先生を焚きつけるために、色々と仕掛けを施したんですよね?」

魔女娘「きっとそうです! マジックだったんです!」

魔女娘「だって先生とマジシャンさんは、これからもお客を楽しませるんだから!」

マジシャン「…………」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:51:27.69 ID:taVSAv5x0
マジシャン「……その通りさ!」

魔女娘「やっぱり!」

マジシャン「ライバルを復活させるマジックは大成功というわけだ!」

マジシャン「手品師! 俺たちの勝負はまだまだ続く! また会おう!」バサッ

手品師「あ、ああ」

マジシャン「ハーッハッハッハッハ!」

マジシャン(んなわけねーだろ! うわぁぁぁぁぁん!!!)タタタタタッ




魔女娘「ほら、やっぱりあの人なりに先生を気遣ってたんですよ!」

手品師「そうかなぁ……」

金髪魔女「…………」コソッ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:52:41.42 ID:taVSAv5x0
マジシャン「まったく……あの弟子の子には調子を狂わされるよ」

マジシャン「ここは潔く引いてやる」

マジシャン「だが、次は負けん! 負けないからなぁぁぁっ!!!」タタタタタッ…



金髪魔女(ふうん、高飛車なだけかと思ったら、なかなか男らしいところもあるじゃない)

金髪魔女(派手なマジックも、私好みだったし……)

金髪魔女「私もいいオトコ見つけちゃったかも……♪」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:55:10.35 ID:taVSAv5x0
手品師「俺の無茶ぶりに応えて、本当によくやってくれた。ありがとう」

魔女娘「いえ、そんな……最後に失敗しちゃって」

手品師「だけど、もう一回やったら大成功したじゃないか」

手品師「日頃の練習はウソをつかなかったんだよ」

魔女娘「あたし、嬉しいです……」

金髪魔女「そうよ〜」ヌッ

魔女娘「きゃっ!」

金髪魔女「それに、昨夜の魔法を見たけど、あなた魔女としてもだいぶ成長したじゃない」

魔女娘「先輩も……応援ありがとうございます!」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:57:40.83 ID:taVSAv5x0
金髪魔女「あなたはもう……立派な魔女よ!」

手品師「そして……立派な手品師だ!」

魔女娘「……はいっ!」



………………

…………

……
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 20:00:21.58 ID:taVSAv5x0
― 手品師のアパート ―

プルルルル…

手品師「はい、もしもし」

マジシャン『俺だ』

手品師「なんだ、またショーに出ろってか?」

マジシャン『いや、最近変な女につきまとわれて困ってるんだよ』

マジシャン『すごく美人でスタイル抜群なんだけど、勝手に家に押しかけてきてさ……』

マジシャン『俺の住所なんてファンも知らないのに、どうやって調べたんだか……』

手品師「そういうのは警察に相談しろよ」

マジシャン『いや、だけど話してみるとすごくいい女で、俺のマジックを喜んでくれてさ……』

手品師「自慢話なら切るぞ」

マジシャン『あっ、おいっ、待――』

手品師「……ふう。なんなんだ、いったい」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 20:02:19.45 ID:taVSAv5x0
魔女娘「おはようございます!」

手品師「おはよう」

魔女娘「今日は遊園地での営業です! しっかりお客を楽しませましょうね!」

手品師「ああ」

手品師(しかし……昨日遅かったから寝坊しちゃって、時間が微妙なんだよな)

手品師(今からだと、相当うまく電車を乗り継がないと、間に合わないかも……)

手品師「あのさ……」

魔女娘「はい?」

手品師「今日は魔女娘のホウキに俺も乗せて、ひとっ飛びってわけにはいかないか?」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 20:05:43.77 ID:taVSAv5x0
魔女娘「あれ、いいんですか?」

魔女娘「手品のことに関しては、魔法には頼らない主義だったんじゃ……」

手品師「う!」

手品師「いや、今日だけ! あくまで今日だけだから!」

手品師「それに、遅刻しちゃったら、みんなに迷惑かかるし……」

魔女娘「ふふっ、分かりました!」

魔女娘「じゃあ乗って下さい! しっかりつかまってて下さいよ!」

手品師「助かる!」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/04(金) 20:09:09.90 ID:taVSAv5x0
魔女娘「またがりましたか?」

手品師「こうでいいのかな……? 正直あまり乗り心地は……」

魔女娘「それじゃ、しゅっぱーつっ!」

ドヒュンッ!

魔女娘「遊園地へひとっ飛びーっ!」

手品師「わ、わわっ! あの、もうちょいスピード落として……!」



ビュゥゥゥゥゥン…







〜 おわり 〜
133 : ◆giYLo4fN2M [saga]:2018/05/04(金) 20:09:49.45 ID:taVSAv5x0
これで完結となります
レスくださった方々、大変励みになりました
本当にありがとうございました!
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 20:16:21.01 ID:frkISIM8o
おつ!
おもしろかった
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 21:15:49.51 ID:xGG+z3IuO
乙おつ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 21:29:30.13 ID:3I1Gk+SNo

やはり王道はいい
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 23:24:06.95 ID:hdI1YY/wo


ライバルはやっぱりいいやつだったな
この手の話だと最後はいい感じに別れて放置が多いけど彼女が出来るとはw
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 23:42:48.09 ID:qdozT2NKO

面白かった
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 00:36:55.45 ID:TSaHcO/2O
金髪ちゃんが良いキャラしてたわ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 07:37:52.10 ID:F6oN4KXN0
>>103
>>83で質問させていただいた者です。

はえ〜、ありがとうございます。
参考にさせていただきます。

面白かったです。
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 22:51:46.85 ID:1XBHH83To

楽しいショーを見た後のような気分
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