剣と魔法と運送業

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67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 19:37:44.04 ID:N7L/mCFM0
同僚「それよかお前体力落ちたなーwww」

同僚「どうせナビちゃんに頼りっきりなんだろーwww」ケラケラ

男「否定はできんな…この前も手積みの仕事だったんだが昔よりキツく感じたし」プハ

同僚「戦闘だけはアホみてぇに強かったのになwww」

同僚「最初の戦闘研修の時どこの剣士が迷い込んだのかと思ったぞwwww」

男「みんなに言われるがそんなに大したもんじゃないぞ?所詮素人に毛が生えた程度のもんだ」

同僚「いーやwあの動きはとても素人じゃねぇよwww」

同僚「故郷の親父さん仕込みだったかw?ホントにただの武器職人なのかねwww」

男「そういや若い頃の話は聞いた事がないな」

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 19:38:49.36 ID:N7L/mCFM0
同僚ナビ『お二人共、余裕ぶちかましておいでですが大丈夫なんですの?』

同僚ナビ『配達まだ20件以上残ってますのよ?』

男「いぃっ!?そんなに??」ゲゲッ

同僚「よゆーよゆーwww二人でやりゃあっちゅーまよwww」

男「お前ほぼ運転だけじゃんか!」

同僚「この王都中の街道から細かな路地に至るまでの道路網、番地、駐車禁止なんかの交通規制などなど…」

同僚「パーペキに把握している俺からハンドルを奪おうなど100万光年早いわwww」

男「光年は距離の単位だ…まぁいい、確かに細かな道まで知り尽くしているお前が運転する方が効率がいいな」

同僚「伊達に地元っ子じゃねぇっすよwww分かったら汗水たらしておきばりやすwwww」ケラケラ

男「あぁ、それじゃ行くか!」

同僚「れっつ脂肪燃焼www」

同僚ナビ『はーい出発致しますわ』

ブォン!ブロロロ…

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 19:50:14.28 ID:N7L/mCFM0
-同刻 王立アカデミー研究室-



ブゥゥン…ブゥゥン…

魔法石(ナビ)『…。』コポコポ

女「…。」ジーッ

女「それで、ナビの状態は?」クルッ

研究室職員「幸い、魔力供給の低下が一時的なものだったのでダメージは軽微です」

研究室職員「記憶や人格などの各種データの損傷もありません」

女「そうですか…」ホッ

研究室職員「ただ、ついでにここ最近の蓄積情報を確認したんですが」

研究室職員「ナビシステムの人格情報に変化が見られますね」資料ペラッ

研究室職員「ここです」トントン

女「外的要因による強い不安状態…」

研究室職員「ナビシステムの心理グラフと男さんの運行データを照らし合わせると」

研究室職員「数日前、港湾倉庫から物流倉庫へ帰ってくる辺りで心理状態に激しい動きが見られます」

女(私が同乗した時ね…)

研究室職員「具体的に言うと、対外的な自己価値の喪失に対する不安…」

研究室職員「見捨てられ不安、といったところでしょうか」

女「見捨てられ不安…」

70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 19:59:18.31 ID:N7L/mCFM0
研究室職員「これは例えば過去…幼少期が多いんですが」

研究室職員「自分の周りにいるべき庇護者を何らかの形で失うといった体験が原因となる場合があります」

女「…っ。」

研究室職員「現時点ではナビシステムの運用上大きな問題とは言いにくいですが」

研究室職員「今後、人格構造に著しい変化が見られるようになった場合…」

女「何らかの対応が必要になる、という事ですね?」

研究室職員「仰る通りです」

女「分かりました」

研究室職員「ナビシステムの性質上、ベースとなる人格情報を書き換える事は難しいですが」

研究室職員「月日と共に蓄積されていく情報についてはその限りではありません」

女「情報の蓄積…」

研究室職員「はい。蓄積された情報によって思考パターンや心理構造が変化…成長していく」

研究室職員「それこそがナビシステムの大きな特徴ですから」

女「大変参考になりました」ペコッ



ガチャ バタンッ

カツカツカツ…



魔法石(ナビ)『…。』コポコポ

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:04:07.35 ID:N7L/mCFM0
-翌日 04:00 物流倉庫-



ゴゥンゴゥン…

ナビ『たっだいまぁー!!』バーン

男「おかえり、調子はどうだ?」

ナビ『もうすっかりばっちりおーるおっけーやで♪』ピース

男「心配させやがって」

ナビ『ごめんなさいです…』フカブカー

男「まぁ、無事に戻ってきたなら何よりだ」ニコッ

ナビ『それよか男ちゃんは?昨日一日大丈夫やったん?』

男「助手として同僚の奴に散々こき使われたよ」

男「大変いい運動になった」ハハハ

ナビ『同僚ちゃんはどーちゃん共々加減知らんからなぁ』ケラケラ

男「どーちゃん?」

ナビ『同僚ちゃんのナビやからどーちゃんやで!』ビシッ

男「あぁそう…」

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:05:02.39 ID:N7L/mCFM0
ナビ『んで!今日はどこまで行こか?』

男「今日は今から物流倉庫(ここ)でB級品の武器防具を積んで、鍛治職人の里へ搬入だ」

ナビ『男ちゃんの故郷キター!!』ドンドンパフパフ

男「期待してるとガッカリするぞ?何にもない田舎の里だから」

ナビ『そんなんえぇねん!男ちゃんの故郷って所が重要やねん!!』クワッ

男「わかったわかった、顔が近い」

男「そしたらパパッと積み込みして出発しようか」

男「今日からまた、よろしく頼むぞ」

ナビ『うん!よろしくな』ニパッ

ナビ『ほな始めますかぁ?』

ゴゥンゴゥン…

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:08:48.94 ID:N7L/mCFM0
-11:30 鍛治職人の里-



カンッカンッカンッ…

男「着いたな」

ナビ『おぉーここが男ちゃんの故郷!』

男「鉄鉱石の採れる鉱山の麓には、ちょうど良く河も流れていて」

男「鍛治職人達にとってはうってつけの立地だったんだろうな」

守衛「男!?男じゃねーか!」

守衛「見ない間にずいぶん立派になりやがって!」バシバシ

男「いてて、お久しぶりです」

守衛「今日は仕立て直し用の武器防具だったな?男が運んできたとなりゃ親父さんも腕が鳴るってもんよ!」

守衛「お?今日は可愛い連れがいるのかい?」

ナビ『おっちゃんはじめまして!ナビちゃんやでー?』ピョンッ

守衛「おー元気いいな!」

ナビ『あったりまえやん!いつでも元気なナビちゃんやで?』ニコニコ

男「心配させといてよく言うよ」ハハハ

守衛「そしたら早速倉庫の方へ回ってくれるか?荷下ろし要員で若い衆集めといたからよ!」

男「ありがとうございます、それじゃ向かいますね」

ナビ『おっちゃんまたなー』フリフリ

守衛「はいよ!」

ブォン!ブロロロ…



守衛「あの訛り…北西の…」

74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:35:40.91 ID:N7L/mCFM0
-12:00 鍛治職人の里 倉庫-



男「大勢で下ろしたらあっという間に終わった」

男「皆さんありがとうございました」ペコッ

若者「いやだなー礼なんていいっすよ!」

若者「男さん、里の出身ですってね?同郷の仲間なんだからこの位なんて事ないっす!」ワハハ

男「…正直少し不安だったんです」

男「親父の跡を継がなかった俺の事、里の人はどう思っているのかと」

若者「…生き方は人それぞれです」

若者「俺は里出身ですけど、仲間内には他の町や村から移住してきた奴もいるんですよ?」

男「それは、鍛治職人に憧れて?」

若者「そうです!というか、大部分の奴は親父さんに憧れてってところですけど」ハハハ

若者「ちょうど休憩入ったとこだと思うんで、顔出してあげてって下さいよ!」

男「親父か…」

ナビ『…。』

男「そうですね、せっかく来たので親父とも少し話して行きます」

男「ありがとうございました」

若者「いえいえ!ではお気をつけて!」

ナビ『みんなばいばーい?』フリフリ

ブロロロ…

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:37:13.35 ID:N7L/mCFM0
-鍛治職人の里 作業場-



シュボッ!スゥゥ…

親父「…久しぶりだな」プハァー

男「あぁ、元気そうで何よりだ」

親父「お前に心配される程まだ耄碌してねぇよ」ハハ

男「そういう意味じゃ…」

親父「冗談だ。仕事は上手くいってるのか?」

男「何とかね、色んな場所に行けるってのは俺の性に合ってるのかも知れない」

親父「…お前が鍛治職人に向いてねぇってのは初めから分かってた事だ」

親父「だからうちを継がなかった事なんざ気にしちゃいねぇからな?」グシグシ

男「…!」

男「親父には勝てないな」ハハ

親父「当たり前だ、それに最近じゃ鍛治職人になりたいなんて殊勝な奴がいるんだぜ?」

親父「そういうわけで跡取りには困ってねぇよ」ハハ

親父「….吸うか?」スッ

男「付き合うよ」シュボッ!スゥゥ

スパァァ…モクモク

76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:37:54.84 ID:N7L/mCFM0
親父「お前はお前の好きなように生きろ」

親父「背負って生まれちまったもんは仕方ない、だが」

親父「そんなもんに縛られる必要はない、お前の道を決めるのはお前自身だ」

親父「お前自身が決断して、責任はお前が取るんだ」

親父「いいな?」

男「?あ、あぁ何となく」

親父「苦しくなったらいつでも戻って来い」

親父「お前の居場所はここにある」

男「…ありがと」

親父「あの子にもそう言ってやれ」

男「(女の事かな?)あぁ、分かったよ」

親父「全く、たまには剣術の稽古でもつけてやろうと思ってたが」

親父「誰かさんが仕事をどっさり持って来てくれちまったからな」ハハハ

男「ふふ。みんな親父の事を尊敬してるみたいだな」

親父「まぁな、まだまだ落ちぶれるわけにはいかねぇって事よ!」フン

親父「そろそろ行くのか?」

男「あぁ、また来るよ」グシグシ

親父「帰り、気ぃ付けろよ」

男「うん」

テクテクテク…

親父「…。」グシグシ

77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:42:40.10 ID:N7L/mCFM0
-13:00 鍛治職人の里-



ゴゥンゴゥン…

ナビ『おかえりー』フリフリ

男「ただいま」バタン

ナビ『おとさん元気そうやったー?』

男「相変わらずな、俺の心配事なんてお見通しだったよ」ハハ

男「まだまだ親父には勝てないな」

ナビ『…そっか』

男「てっきりお前も付いてくるのかと思ってたんだけど」

ナビ『久しぶりの親子水入らずやん!やっぱ邪魔したアカンなーって』

ナビ『でも、男ちゃんの顔見てたら行かんで正解やったわぁ』

男「ん?俺どんな顔してる?」

ナビ『んとね、いつもより優しい顔しとぉよ♪』ニコ

男「…なんか恥ずかしいな」テレ

男「さて、そろそろ出発するか」

78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:43:30.98 ID:N7L/mCFM0
ゴゴゴゴゴゴ…



ナビ『ん?なんか揺れとぉな?』

男「地震かな?」



グラッ…グラグラッ!…ガガァン!!



男「!!!!」ガシッ

ナビ『何なんこれ!?カーゴが下から突き上げられとぉみたいな揺れや!!』グワングワン

ピピッピピッ

男「こんな時に何だ!?」カチャ

男「はい!」

配車係「男さん無事ですか!?」

男「今鍛治職人の里なんですけど!突然めちゃくちゃ地面がゆれd」配車係「大変なんですよ!!!!!!」キィィィン…

男「…っく!何が起こってるんですか?」イテテ

配車係「今、鉱山の上空で大規模な戦闘が行われています!」

ナビ『上空?飛行タイプの魔族でも出たんか!?』

配車係「詳細は分かりません!ただ、こちらからも感知できる程の強力な広域魔法が使われているようで」

男「空中…強力な広域魔法…」

男「…まさか!」ハッ

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:46:43.30 ID:N7L/mCFM0
配車係「…可能性は高いです」

配車係「とにかく里の周辺は危険です!過給装置全開で出来る限り遠くへ避難して下さい!!」

男「了解!」カチャ

ゴゴゴゴゴゴ…

ナビ『なになに?何が起こってるん??』アワアワ

男「…魔族の中でも空を飛べる奴は多くない」

男「その上、遠く離れた物流協会から感知できるほど強力な広域魔法が使えるものと言えば…」

男「…魔王しかいない」

ナビ『ま、魔王…!』サァッ

男「そして、魔王と互角に戦える存在はたった一人…」

ナビ『じ、じゃあ今ウチらの頭の上で魔王と勇者が戦っとぉって事なん!?』

ナビ『ヤバいでヤバいでヤバいで!!すぐにこっから離れな!!』ピッ

[魔法石過給装置ヲ作動シテイマス…]ブォォォォ

男「待て!里の人達はどうする!?」

ナビ『分かっとぉけど!でもこのままじゃウチらも道連れや!!』

男「そりゃそうだけど…放ってはおけないだろ!!」ガンッ!



カッ………

…ッドカァァァァァン


80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:47:39.37 ID:N7L/mCFM0
男「うわっっ!」グワングワン

ナビ『ぐっ!…今は言い争いしとぉ場合やないやろ!!』キッ

ナビ『とにかく避難や!落ち着いたらまた助けに来よ!?な!??』

男「…そうするしかないか」ギリッ

ナビ『ほんなら行くで!しっかり掴まっとき!!』ブォン!

男「親父…みんな…無事でいてくれ」

バヒューーーーーン…!!!

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 21:03:34.57 ID:N7L/mCFM0
-15:00 街道-



ブロロロ…

ナビ『この辺まで来れば大丈夫かぃな』



ブロロロ…キキッ

シィィィン…



男「…。」

ナビ『…謝らへんで』キッ

ナビ『男ちゃんの仕事をサポートすんのがウチの役目やもん。みすみす危ない橋渡らせるなんてでけへんよ』

男「…分かってるよ」フゥ

男「冷静さを欠いていたのは俺の方だ、お前がいなかったらあのまま死んでたかも知れない」

男「すまなかった」ペコッ

ナビ『…顔上げてーな』フルフル

ナビ『いきなりあんなんなったら誰でもテンパるよ』

男「…。」



シィィィン…

82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/26(木) 21:04:33.63 ID:N7L/mCFM0
男「…戦争、なんだな」

ナビ『…ね。』

男「今まではただ目の前の仕事をこなして、例えば積荷が武器防具であろうが魔法石であろうが」

男「それが何の為のものか、何に使われてるかなんて考えもしなかった」

男「”それが仕事だから”」

男「そこで考える事をやめてしまっていた」

ナビ『男ちゃん…』

男「荷物を積んで、運んで、下ろして」

男「その先にあるものを想像する事すらしなかった」

ナビ『男ちゃん』

男「俺はこのままでいいのか…?」

ナビ『男ちゃんてば!』バンバン

男「!…悪い、どうした?」

ナビ『こーれ!』ツンツン

ピピッピピッ

[前方カラ移動体ガ高速デ接近中…距離1000]

男「っ!まさか別の魔族か!?」チャキッ

ナビ『…あ、待って?これは』

ナビ『…協会(うち)のカーゴやん!』パァァ

男「何だって!?」

ピピッピピッカチャ

男「はい!」

先輩「おー男!無事かー?」

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 01:42:19.82 ID:IDFS0p+l0
-15:05 街道-



ゴゥンゴゥン…

男「来てくれたんですね!」

先輩「ちょうど運行終わって帰ってきたとこだったからな」

先輩「倉庫にあるモンで取り急ぎ役に立ちそうなのを片っ端から積んできた」

先輩「応急手当の出来る医療品、食べ物、燃料、あと毛布やなんかも」

ナビ『先輩はん…』ウルウル

男「ありがとうございます!!」ペコッ

先輩「倉庫の物品は一応客からの預かり物だが、なぁに」

先輩「金で解決できるモンはそれでいい。人命には代えられん」

84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 01:43:27.39 ID:IDFS0p+l0
先輩「さて…俺の大型カーゴじゃ里の中まで入って行けないだろうから」

先輩「里の人の手も借りてみんなで運び込むぞ」

先輩「手、貸してくれるな?」

男「もちろんです!」ナビ『やったんで!』

先輩「ははっ、ホントにお前ら息ピッタリだなー」

先輩「あ、そうそう」

先輩「女ちゃんから伝言頼まれたんだった」

男「女から?」

先輩「”必ず無事でいて下さい”」

先輩「”決して無鉄砲に助けに行こうなどしないように”」

先輩「だってよ」

ナビ『…っぷぷ』

男「見透かされてるなぁ…」ハァ

先輩「火災が発生してるかも知れないから、軍の消防隊も要請してある」

先輩「そいつらとも協力出来る事があればやろう」

先輩「そんなとこかなー、んじゃあ行くか!」

先輩「道案内よろしくー」バタンッ

男「了解です!よしナビ、行こう!」

ナビ『はいなぁ!ほな出発?』

ブォン!ブロロロ…
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 01:48:42.30 ID:IDFS0p+l0
-17:00 鍛治職人の里入り口-



ゴォォ…モクモク…

ブロロロ…キキッ

ナビ『着いたー!』

男「…煙が上がってるな」チラッ

男「中がどうなってるか、入ってみなきゃ分からないか」ガチャ

男「ここからは手作業で運び込むから、カーゴは頼むぞ」

ナビ『了解!男ちゃん、気をつけてな』

男「あぁ、じゃあまた後で!」バタンッ



<ウイング開けるぞー

<台車持ってこーい

<いくぞ、せーのっ



ナビ『始まったわ』

ナビ『…おとさん、他のみんなも』

ナビ『無事でいてな…』



パチ…パチパチ…ボワッ!!



ナビ『!』ビクッ



<ダメだ、炉に燃え拡がる!

<おい毛布あったろ!

<水で濡らして持ってこい!



ナビ『あかん!火、が…!』

ナビ『男ちゃんに知らせなきゃ…う』



ズキン

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 01:49:41.83 ID:IDFS0p+l0
ナビ『っ!…なんや?この感…じ』ゾクッ



ズキン…ズキン…



ナビ『この光景…見たことある…?』ブルブルッ



ボワッ!ブワァァァァ…!

<消防隊来たぞー!

<こっちだ!おーい!




ズキン…ズキン…



ナビ『うち…これ知っとぉ…火が』



ズキンズキンズキンズキンズキン



ナビ『いやゃ…こわい…なんnあぐgg??!あついあついあttttttたすけtttt』



ッパァァァァァ…



ナビ『!!!』

ナビ『いやあああああああああああ』




ピーーーーーーーーーーーーー

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 01:57:16.57 ID:IDFS0p+l0
-3日後 物流協会事務局 女の執務室-



カリカリ…

[報告書(特)ナビシステムの不正シャットダウンと動作不良について]

女「現時点で判明しているのは、人格情報の基幹部(ベーシック)に一部損傷が見られる事、と」カリカリ

女「記憶情報の一部が内側からロックされている事…」カリカリ

女「ふぅ」カタンッ

88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 01:59:03.19 ID:IDFS0p+l0
コンコンッ

女「どうぞ」

先輩「おつかれさん」ガチャ

女「先輩さん!先日はありがとうございました」ペコッ

先輩「里での一件か?なんて事ないさ」

先輩「救援物資の運搬なんて運送屋がやらずに誰がやるんだ、ほい差し入れ」コーヒーコトッ

女「ありがとうございます」

先輩「ちゃんと休んでるか?少し痩せたんじゃないか?」ジーッ

女「ホントに相変わらずですね」クス

先輩「…ナビちゃん、どうだ?」

女「…。」フルフル

女「人格情報の基幹部(ベーシック)を外部から修復するのは難しいです」

女「というか、ほぼ不可能です」

先輩「そうなのか?」

女「…いただきます」ズズッ

女「…。」フゥ

89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:00:00.71 ID:IDFS0p+l0
女「ナビシステムの人格情報はゼロから作り出したものではないんです」

女「元となるデータは、被験者の人格情報…心を魔法石に写し取ったものなんです」

先輩「男自身の心ってことだな」

女「正確にはその一部ですが」

先輩「話には聞いていたが、実際そんな事が出来るのか?」

女「魔法石と、高度な能力を持った詠唱士の力があれば」

先輩「なるほどねー、人の心ん中なんて複雑過ぎて他人には計り知れんからなぁ」スッ…シュボッ

女「あ、この部屋禁煙です」

先輩「う、すまん」シマイ

女「修復する方法があるとすれば、元となった被験者の心と魔法石をもう一度リンクさせて」

女「損傷する前の人格情報をサルベージするしかありません」

先輩「…今のあいつに出来るかな」

女「やってもらうしかありません」

先輩「そうか…」

先輩「俺からも少し話してみるよ」

女「お願いします」

先輩「女ちゃん、一人で気負い過ぎるなよ?」

先輩「そんな顔してちゃ美人が台無しだ」ニコ

女「ありがとうございます」クス

90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:02:43.59 ID:IDFS0p+l0
-翌日 王宮 議事堂-



議員「…報告は以上です」

側近「ご苦労。さて、先日の鍛治職人の里での事故だが」

側近「救援に当たった軍の方から被害状況の報告を聞かせてもらおう」

側近「騎士長」

騎士長「はっ」ガタッ

騎士長「里の人的被害は死者はゼロ、軽傷者が数名出ている程度です」

側近「不幸中の幸いか」

騎士長「はい。しかし火災により炉の建屋が焼失、再建には時間が掛かるでしょう」

騎士長「それから、共同で救援に当たった物流協会からなんですが」チラッ

側近「申してみたまえ」

事務局長「では私から…」ガタッ

事務局長「えー里の人命保護を最優先と考え、物流倉庫での預かり品を持ち出しております」

事務局長「こちらが明細なんですが…」ペラッ

側近「どれどれ…むぅ」チラッ

国王「うむ」

側近「構わん。人命には代えられん」

側近「協会から王国宛に請求を上げたまえ」

事務局長「承知しました」

側近「しかし民間人に被害が出るなど本末転倒だ」

側近「勇者の力…早急に策を練らねばなるまいな」

91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:03:37.43 ID:IDFS0p+l0
…スクッ

国王「諸君」

国王「人は愚かな生き物だ」

国王「それは如何に強大な力を得ようと決して変わらぬ」

国王「いや、強大な力を持つに至ったが故に道を誤る事もままあるのだ」

国王「勇者による魔王の討伐は、民にとって希望の光」

国王「光は決して曲がらぬ」

国王「否、曲がってはならぬのだ」

国王「その事を肝に銘じてくれたまえ」

一同「はっ」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:06:22.34 ID:IDFS0p+l0
-10:00 王立修道院 礼拝堂前-



同僚「ちわーっすww物流協会でっすwww」

同僚「修道院名物の特製エールと薬草を積みに参りやしたーwww」
同僚「…おーいw」ダレカー



シイィィン…



同僚ナビ『人影がありませんね』

同僚「おっかしいなーw10時着の予定だったよな?」

同僚ナビ『はい。依頼書には確かに』



…ガタンッ!



同僚「!」ビクッ



…ガタガタッ!バタンッ!!



同僚「…誰かいるのか?」

同僚ナビ『扉の中からですわね』

同僚ナビ『見てきて下さいまし』

同僚「マジかw」

93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:07:01.96 ID:IDFS0p+l0
ソローリ…ギィィィィ



同僚「こんちわー…」チラッ

同僚「ぬぁぁ!!!」ビクビクッ

同僚ナビ『!どうしました!?』

同僚「ひ、人が…」

94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:09:04.10 ID:IDFS0p+l0
「ふぇぇぇぇぇ…」





同僚「寝てる」





修道女「うぇぇ…もう飲めませぇぇん…」ヒック

95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:12:07.47 ID:IDFS0p+l0
-10:30 修道院倉庫-



シスター長「いやはや誠にお恥ずかしい」フカブカ

同僚「いやいやいいんすよw誰だって飲まなきゃやってられない時ってありますからwww」

シスター長「あの子の場合そういう次元ではなくてですね…」



<うぇぇぇ気持ちわるいぃぃぃぃ

<オロロロ



同僚「あーぁwww」

シスター長「彼女…詠唱士としての資質は素晴らしいのですが、あの通り酒癖が最悪でして」



<神は留守です!有給取ってカジノへ行ってます!!

<なんちってwww



同僚「確かにひでぇなwww」

同僚ナビ『しかも若干同僚さんとノリが似てますわね』

シスター長「近く、高度な詠唱の依頼が来ているのですが本人があの有様で…」

同僚「まぁ能力が確かなら、酒さえ飲まなきゃいいんじゃね?って気もww」

同僚「それによく見りゃなかなか美人じゃんかwwうはww高まるwwww」

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:14:55.38 ID:IDFS0p+l0
クルッ

修道女「んーなんれすかぁぁ?神の従者たる私をナンパれすかぁぁ???」グイッ

同僚「なんか来たwww」

修道女「まぁまぁそうカッカしないでくらさいよぉ」たゆん

同僚「!!!」カッ

修道女「お兄さんいい度胸してまふねぇぇ」ヘラヘラ

修道女「気に入った!まま、おひとつ」エールドゾー

シスター長「こら!いい加減になさい!」グイッ

同僚「や、やめろって!俺はこれから運転すんだから飲めねーよ!」アセッ

同僚「…チラッ」たゆーん

同僚ナビ『はぁ。同僚さんが草生やしてない時はマジトーンの時ですわ』

同僚ナビ『ちょっとお嬢さん。その辺で勘弁して頂けるかしら?』チョイチョイ


97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:15:47.08 ID:IDFS0p+l0
修道女「あぁん?何ですかこのちんちくりんの貧乳は」ケラケラ

同僚ナビ『!!!』ピキッ

同僚「あ、やべw」

同僚ナビ『人の気にしている事をぬけぬけと…酔っ払いだからと言って聞き捨てなりませんわ!!!』ムキー

修道女「おーこわwボリュームも足りなければ余裕も足りないみたいねww」アハハハ

シスター長「あぁもう何たる醜態を…」オロオロ

同僚「と!とにかく荷物は確かに預かりましたんで!あざーした!」バタンッ

キュルキュル…ブォン!

修道女「あ!ナンパしといて逃げるなー!!」ジタバタ

同僚ナビ『ちょっと同僚さん!あのホルスタインにぎゃふんと言わせないと気が済みませんわ!』プンスカ

同僚「女同士の諍いに巻き込まれるなんてごめんだっつーのwwwそれじゃどーもwww」マニュアルモードオン

同僚ナビ『あ!ちょっ!』

ブォン!ブロロロ…

98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:17:31.30 ID:IDFS0p+l0
-夕刻 王都酒場街-



ワイワイ…ガヤガヤ…

男「あーもう次から次へと!」グイッ

同僚「煮詰まってるねーwww」ごくごく

男「勇者と魔王の戦闘で里は半壊…」

男「親父が機転を効かせてくれたお陰で里の人達は擦り傷程度で済んだけど…」

同僚「さすが親父さんww」

男「炉は焼失しちまったからしばらくは鍛治仕事も開店休業だ…」

同僚「まぁそりゃ仕方ねーっしょw里の人が無事ならきっと建て直せるさwwww」

同僚「人間そんなに弱かねぇってwww」ぐび

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:18:05.85 ID:IDFS0p+l0
男「それに加えて…ナビの奴」シュン

同僚「それなwwどうしちまったんだろ?火事場にビビったかwwww」

男「…。」グイッ

男「…そもそもナビシステムって何なんだ?そりゃ仕事は助かってるけど絶対に必要かって言ったら…」

同僚「そりゃお前あれだろ?物流協会(うちら)を実験台にしてデータでも取ってんじゃねwwww」

同僚「大方、ゆくゆくは軍事利用でもしようと思ってんじゃねーのwww」ぐびぐび

男「!っそうなのか!?」ガタンッ

同僚「ちーっと考えれば分かる事だろwww軍隊大好き国王陛下の考えそうな事じゃんかwwww」

男「どれもこれも戦争の為なのか…」ギリッ

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:19:08.58 ID:IDFS0p+l0
ガチャ

先輩「だったらどうなんだ?」

男「え?」

同僚「あ、先輩ちーすwww」

先輩「おつかれ。あ、俺エールね」

同僚「おいっすww男は何飲むww?」

男「…タンカレー、ショットで」

同僚「あーあww了解ww」ガタッ

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:20:50.28 ID:IDFS0p+l0
<乾杯!カチンッ



先輩「…さて、仮にナビシステムの運用が軍事利用を目的としたものだったとして」

先輩「それでお前とナビちゃんの関係は変わるのか?」

男「俺たちの関係?」

先輩「そうだ。コンビで色んな運行をして、色んな所で色んな人と関わって」

先輩「お互い助け合って色んな事を乗り切ってきたんだろ?」



ワイワイ…ガヤガヤ…



男「俺は…」

男「…。」グイッ

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:21:29.34 ID:IDFS0p+l0
男「…何があろうと、ナビ(あいつ)が俺の相棒って事は変わらないです」

同僚「よく言ったwwいいぞー男www」

先輩「今ナビちゃんは何かに怯えて出てこれなくなってる」

先輩「手を差し伸べられるのはお前だけだ」

先輩「あの子とお前の心をもう一度リンクさせて、隠されてるものを見つけ来い」

男「俺の心と?どういう事ですか?」

同僚「お前インストールの時に説明あったろww」

同僚「ナビシステムは使用者の心を写し取って魔法石に閉じ込めたモンだってw」

男「全然覚えてない…」

先輩「俺は使った事ないからよく分からんが、インストールの際に記憶が飛ぶのはよくある事らしい」

同僚「あれ?先輩ナビシステム使ってないんですっけw」

先輩「選考に落ちたんだよ、あれも向き不向きがあるらしい」ぐび

先輩「とにかく、ナビちゃんと心を繋げられるのはお前だけだ」

先輩「今はそれだけ覚えとけ」

103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:23:04.41 ID:IDFS0p+l0
-深夜 王都酒場街-



<ありやしたー!

先輩「すっかり遅くなっちまったな」

男「すみませんご馳走になってしまって」

先輩「なに、一応年長者だからな」

先輩「こんな時ぐらいカッコつけさせてくれや」

同僚「先輩ごちでーすwwwやだかっこいいwwww」ケラケラ

先輩「こいつ酔っ払ってんなぁ…ちゃんと帰れるか?」

男「ははっこれで案外大丈夫なんですよ」

先輩「そうなのか…?」ジーッ

同僚「やだ照れちゃうwww」ケラケラ

先輩「はぁ…男は大丈夫そうだな」

男「はい。っていうか先輩と話してシャキッとしちゃいました」ハハ

先輩「まぁあんまり気負い過ぎんなよな」

先輩「気ぃつけて帰れよ」

男「はい!それではおやすみなさい」ペコッ

先輩「はいよ、お疲れさん」フリフリ

同僚「おつかれサマンサーwww」フリフリ

104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:23:40.77 ID:IDFS0p+l0
同僚「んだよ男の奴wさっさと帰りやがってwww」テクテク

同僚「微妙に飲み足りねぇなwwもう一軒行きますかwwww」

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:25:20.23 ID:IDFS0p+l0
[BAR REQUIEM]

…カランッ

同僚「こんばんわっすw」ガチャ

同僚「お嬢さんお隣失礼しますよっとw」ストッ

女性「はいどうぞ…ん?」

修道女「あ!あなたは!」ビク

同僚「げっ!お前はこの前の酔いどれ(たゆんたゆん)シスター!」ビクッ

修道女「…その節は大変ご迷惑を…」フカブカ

同僚「あれw今日は普通じゃんw」

修道女「まだ来たばかりなので…」シュン

同僚「あーシラフだとそういうテンションなのねwwなら平気かwww」

同僚「むwしwろwww」チラッ

同僚「まぁ飲もうぜww俺フィディックをロックでwwwあんたは?」

修道女「ぼ、ボストンクーラーをお、お願いします」

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:26:10.69 ID:IDFS0p+l0
<お待たせしました

<乾杯!カチンッ



同僚「つーかシスターが夜な夜な飲み歩いてていいのかよwww」クイッ

修道女「わ、私のところはエールを造っている位ですので」

修道女「その辺は緩いのです」クイッ

同僚「にしてもww緩いにも限度があんだろwwww」ケラケラ

修道女「あぁぁ…あの時の醜態はどうか忘れてくださいまし」シュン

同僚「インパクトあり過ぎて忘れらんねぇよwwwww」

同僚「つか聞いたぜ?詠唱士としての能力はマジモンだってww」

修道女「わ、私なんて全然大した事!」フルフル

同僚「いやいやwwwそうでなきゃ速攻追い出されてるだろwww」

修道女「うぅ…プレッシャーに弱いのです…」シュン

修道女「近々また高度な詠唱の依頼が来ていまして…」ハァ

同僚「んん?それってもしかして人とナビシステムを再リンクする的な奴だったりする??」

修道女「ご、ご存知なんですか?」

同僚「ご存知ご存知wwwだってその対象者って俺の同期の奴だもんwww」

修道女「そ、そうなんですか!?」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:27:58.27 ID:IDFS0p+l0
同僚「…ってな訳で、あんたの力を貸してちょーだいってことwwww」

修道女「…。」ウツムキ

同僚「どしたー?眠いのか?」チョイチョイ

修道女「…同僚さんっっ!」バッ

同僚「っな、何だよ」ビクッ

修道女「わたし…かんどーしました…」ウルウル

同僚「今の話のどこに感動要素があったんだよwww」

修道女「わたひ、がんばりまふ!」スクッ

修道女「ぜったいにおふたいを!さいかい!させてみせまふ!!」フンス

同僚「ちょww呂律が迷子www急に立ち上がるからwwww」

修道女「どーりょーしゃん!わたひ!わたひは!!」ジタバタ

同僚「あーもー分かった分かったwwマスターお会計wwうん一緒でwww」ヨッコラセ

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:28:36.11 ID:IDFS0p+l0
<ありがとうございましたー

同僚「結局こうなるのねww」ヨイショ

修道女「えへへーwwどーりょーしゃんとみっちゃくwww」

同僚「肩貸して歩いてるだけだろがww…しかし」チラッ

修道女「…んー?どこ見てるのかなー???」クス

同僚「っ!いやあのべつにw」タジ

修道女「まー見られて減るもんでもないしww構わんよwww」ケラケラ

同僚「そう言われると逆に萎えるwww不思議www」ケラケラ

109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 02:29:40.19 ID:IDFS0p+l0
同僚「…。」テクテク

修道女「」スゥ…スゥ…

同僚「おぶった瞬間に寝やがったw」

修道女「」スゥ…スゥ…

同僚「まぁ、大変だとは思うが」

同僚「男の事、頼むぜ」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:02:54.70 ID:nRtd3ZTwO
-3日後 王立アカデミー研究室-



ブゥゥン…ブゥゥン…

女「気分はどう?」

男「なんだか緊張するよ」

研究室職員「楽にしていて下さい」

研究室職員「これから男さんの精神と魔法石とを再リンクします」

研究室職員「まず男さんには深い睡眠状態に入ってもらい、ナビシステムの心の中へ入っていきます」

研究室職員「現状ナビシステムの人格情報に損傷が見られる為、普段とは性格が異なっている場合があります」

研究室職員「あまり気にしないように」

研究室職員「上手くコンタクトが取れたら、ロックの掛かっている記憶情報にアクセスしていただきます」

111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:03:28.47 ID:nRtd3ZTwO
女「男くん、先に謝っておくわ」

男「?どうしたんだ急に」

女「あなたは忘れている、忘れていたかった…」

女「そういう記憶を直視する事になるからよ」

男「仕方ないよ、それに俺の記憶をナビの奴に肩代わりさせておくわけにもいかないし」

女「謝りたい事は他にもあるのだけれど…」

男「?」

女「いえ、直接その目で見てきて頂戴」

男「うん、分かったよ」

112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:13:08.01 ID:nRtd3ZTwO
バタバタバタッ…ガチャ!

修道女「遅くなりましたー!」ハァハァ

研究室職員「詠唱士の方ですね?お待ちしておりました」

女「遅かったじゃない」

修道女「す、すみません!」ペコッ

修道女「あ、あなたが男さんですね?」

男「?はいそうですけど」

女「今回の再リンクには高度な呪文の詠唱が必須なの」

女「そこで王立修道院から選り抜きの詠唱士の方をお呼びした…のだけれど」チラッ

修道女「ど、同僚さんと約束しました!絶対にナビさんを呼び戻して来て下さいね!」たゆん

修道女「私、全力でサポートします!」たゆーん

男「同僚と?よく分かんないけど、あぁ」

男「必ずあいつを連れ戻して来るよ」

女「(負けた…)」クッ

113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:14:38.46 ID:nRtd3ZTwO
-王立アカデミー 研究室-


ブゥゥン…ブゥゥン…

修道女「それでは詠唱を始めます」キリッ

スゥ…

[闇よ 月よ 全ての星々よ]

[夜の帳に舞い降りたる汝の名において]

[この者にひと時の安らかなる眠りを与え給え]

パァァァァ…

男「」zzzz

女「…寝たわね」

修道女「深い眠りです。フライパンでひっぱたいても起きません」

女「確かに」ペシペシ

修道女「続いて、男さんの精神と魔法石をリンクさせます」

女「頼むわ」

修道女「…」キッ

[数多の心の一欠片 全てを統べる金色の意志]

[夢と現の狭間に在りし 敬虔なる汝の名において]

[今ここに眠りし 小さき者達の魂を]

[慈愛の縁(えにし)で結び給え ]

パァァァァ…グワン!

修道女「…っく」ギリッ

男「」zzzz

女「(男くん…)」

女「(ごめんなさい…)」

研究室職員「魔法石とのリンクが始まりました!」

修道女「…。」ギリリッ

114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:17:59.97 ID:nRtd3ZTwO
-魔法石内部 精神世界-


シィィィン…

男「…ん」パチ

男「ここが魔法石の中か…んっ」ノビーッ

男「まずはナビの奴を探すか」スクッ

男「ナビシステムを探すってのもおかしな表現だけども」クス

テクテク…

男「見渡す限り真っ白な世界だな」

男「動くものは何も見えないし、声も聞こえない」

ザザッ…ザザッ

女『男くん聞こえる!?』

男「女か?あぁ聞こえてるよ」

女『どうやらリンクは成功したみたいね』

女『どんな状況?周りに何か見えるかしら?』

男「いや、見渡す限り真っ白な…ん?」

女『何か見えるの?』

男「あれは」テクテク
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:18:36.19 ID:nRtd3ZTwO
男「間違いない、俺のカーゴだ」ペタペタ

女『…なるほどね、男くんとナビちゃんが最も長い時間を過ごしたのがカーゴの中ですものね』

男「とりあえず乗ってみるか」ガチャ

女『気をつけてね。精神世界は夢と想像力の世界』

女『なにが起こっても不思議じゃないわ』

男「…うん、さっそく実感してるよ」

女『!男くん!何があったの!?』



「あーもーうるさいなぁー」

「邪魔せんとって」

116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:19:12.21 ID:nRtd3ZTwO
女『ちょっと!おt』プツッ

男「…探すまでもなかったな」

ナビ「ちゃーお?」フリフリ

男「久しぶりだな…心配したんだぞ?」

ナビ「…夢やってん、いや今も夢の中みたいなもんやけど」

男「?」

ナビ「男ちゃんの助手席に座んの?」ニコニコ

男「…ここでは実体があるんだな」

ナビ「せやでー?ほら見てみて!隣国でもらったストール巻いてみてん」フワッ

ナビ「なぁ似合うー??」

男「あぁ、よく似合ってるよ」ニコ

ナビ「えへへー?カラダがあるで、お望みならあんな事やこんな事も出来てまうでー?」ヘラヘラ

ナビ「とりあえず、触っとく?」モミ

男「バカ言ってんなよ…でも意外と元気そうで安心したよ」

ナビ「…そう思う?」


117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:19:40.60 ID:nRtd3ZTwO
キュルキュル…ブォン!

ゴゥンゴゥン…

ナビ「男ちゃんはな、ウチの中に色々置き忘れてん」

ナビ「っていうかウチ自身も忘れててんけど」

ナビ「…忘れたまんまでいたかったけど。」ハァ

ナビ「見に行くんやろ?その為に来たんやもんな」

男「あぁ、お前に持たせたままじゃいられないからな」

ナビ「…言うたな?」

ナビ「ほんなら行こか。ウチらの思い出再発見ツアー?」

ナビ「しっかり掴まっとき。」

ブォン!ブワァァァァ…!

118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:24:49.19 ID:nRtd3ZTwO
ブワァァァァ…

ナビ「男ちゃん、ちっちゃい頃の事覚えとぉ?」

男「里にいた頃か?親父に剣術を叩きこまれたり…」

ナビ「他には?友達の事とかは?」

男「友達?…いたはずだな、よく思い出せないが」

ナビ「…ほんならその前は?」

男「その前?」

ナビ「里に来る前の事。」

男「里に来る前?いやいや俺は里が地元で…」

ナビ「ちゃうで。」フルフル

119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:25:34.87 ID:nRtd3ZTwO
ナビ「男ちゃんの…ウチらの産まれた場所は里やない。」

ナビ「ついでに、男ちゃんが親父って呼んどぉ人も」

ナビ「男ちゃんの本当の父親やない。」

男「っ!…おいおい何を言い出すんだ!俺は里の生まれで…」

ナビ「まぁまぁ。まずはそっからやな。」

ナビ「これからウチらの本当の生まれ故郷に行くで。」

ナビ「その場所が失われるその時へな。」

男「俺の本当の生まれ故郷…」

ナビ「そ。今から20年前の」カチッ

ガタンッブロロロ…

ナビ「北西の小さな村。」

ブロロロ…キキッ

ナビ「よぉ見とって。」

カッ…バヒューーーーーン…

120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:29:02.83 ID:nRtd3ZTwO


ゴォォォォ…パチッパチッ


<おい!はよ逃げぇ!!

<がはっ!煙の勢いが…!

<誰か!まだ子供がおる!!


ブワァァァァ…!


男「ここは…」

ナビ「20年前、この北西の小さな村は焼失した。」

ナビ「この前の里ん時と同じ、勇者と魔王の戦闘の巻き添え食ぅてな。」

ナビ「殆どの村人が亡くなったんやけど、ウチらは奇跡的に助かった。」

ナビ「気ぃ失っとったおかげで煙をあんまり吸い込まんで済んだんや。」

ナビ「ほら、あれ見て。」

121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:30:39.89 ID:nRtd3ZTwO


<いややー!おとん!おかん!

<来い!とりあえず安全な場所まで逃げるで!



男「おじさんが小さな子供を…!」

男「おい!あれが俺なのか!?」

ナビ「ちゃうで。よぉ聞いてて。」



<うぅ…おとん…おかん…

<お…とこくん…



男「っ!!!…今俺の名前を…」

ナビ「今燃えとぉあの家が、ウチらの本当の生家。」

ナビ「今おっちゃんに助け出されたあのちびっ子はな、女さん。」

男「女!?女だって!??」

ナビ「今ウチらはまだあの家ん中におんねん。」

ナビ「炎に巻かれて、逃げようにもどっちがどっちかも分からんよぉになって」

ナビ「ウチらの両親は亡くなった。」

男「そ、そんな…」ガクガク

ナビ「隣に住んでた女さんは、ウチら家族がまだ家の中におるのに気がついて」

ナビ「助け出そうとしたんや。」

122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:34:39.27 ID:nRtd3ZTwO
男「女が…」

ナビ「でも無理やった。そらそうやろ?ちびっ子一人でどうにかなる訳ないやん」

ナビ「アホな女さん。」クスクス

男「な、お前、笑って…?」ゾクッ

ナビ「なぁ男ちゃん、こっから見てても始まらんわ。」

ナビ「話聞いとぉだけじゃ実感できひんやろ?今あん中におる男ちゃんの意識に繋げるから。見てきて。」

男「あ、あの中に!?」ガクガク

ナビ「だいじょーぶやて。これは記憶の世界やねんから」ケラケラ

ナビ「ほな行ってきて。」スッ

男「おい待てっ!」グワン…グワングワン

123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:36:55.11 ID:nRtd3ZTwO


ゴォォォォ…ブワァァァァ…!

男「…っく!」パチ

男「熱っ!ここは…暖炉の中か…!」

ゴォォォォ…パチッ!パチッ!!

男「煙がひど…えほっげほっ!」

男「何とかここから逃げなきゃ…通れそうな場所h ガシャーン!

男「!!っくそ!閉じ込められたっ」ガンガンッ

男「ダメだ、頭がぼーっとしてくる…煙を吸ったせいか…」クラクラ

男「誰か気付いてくれ…俺はまだここに…あっ!」

男「瓦礫の隙間から人影が見える…あれが女か…!」

男「…げほっげほっ!声を出そうにもこの煙じゃ…!」ハァハァ

男「頼む…気付いてくれ…」ギュッ

ブワァァァァ…!

124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:38:11.83 ID:nRtd3ZTwO


男「このままじゃ死ぬ…助からない」クラクラ

男「あ、おじさんが女の手を」

男「行かないでくれ…俺を」

男「俺を置いて行かんとってくれ…」

男「お願いや…誰か…!!」



<くん…! おとこくん…!



ゴォォォォ…!!

男「うぅ…もう…あかんか」パタッ

男「頼む…一人に…せんと…って」ポロポロ



キラッ …パァァァァ


男「光が…なんや、へへ、お迎え、か…」ポロポロ


ブワァァァァ…!!


125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:43:06.34 ID:nRtd3ZTwO
パチンッ

男「!!!」ビクッ

ナビ「はーいおかえりちゃーん♪」

ナビ「どうやった?って聞くまでもないか」ケラケラ

男「…うぅ」ポロポロ

ナビ「怖かったやろー?しんどかったやろー??」ニヤニヤ

男「…っ」グシグシ

ナビ「ウチらはあのまま気ぃ失って、あのすぐ後軍の救助隊に助け出された。」

ナビ「両親が亡くなって、天涯孤独の身になってもうたんやけど」

ナビ「そんなウチらを女さん共々引き取ってくれたんが、里の親父さん達やったっけワケ。」

男「…なんで、お前…ずっと…」ポロポロ

ナビ「言わんかったかって?せやからウチも忘れててんもん」アハハ

ナビ「ホンマに思い出してたくなんてなかった。」

ナビ「でもあの時、里の炉が燃え上がったのを見て」

ナビ「ぜーんぶ思い出してもた。」

126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:43:44.06 ID:nRtd3ZTwO
ナビ「燃え盛る炎の熱」

ナビ「煙で喉が焼かれる痛み」

ナビ「暖炉の中に閉じ込められて」

ナビ「誰も助けてくれへんかって」

ナビ「女さんの姿が見えたけど」

ナビ「呼んどぉ声も聞こえたけど」

ナビ「こっちの声なんか届くはずもなくて」

ナビ「そのうちに連れて行かれてもぉて」

ナビ「また一人取り残されて」

ナビ「痛くて」

ナビ「熱くて」

ナビ「怖くて」

ナビ「悲しくて」

ナビ「寂しくて」

ナビ「…。」キュッ

127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:44:18.79 ID:nRtd3ZTwO
ナビ「分かったかいな?これがウチらの本当n」男「すまなかった!」ダキッ

ナビ「ちょ!ちょっと男ちゃん!こんなとこでアカンよぉ…///」カァァッ

男「お前一人に苦しい記憶を押し付けてしまって…俺…」ポロポロ

ナビ「…えぇんやで。」ナデナデ

ナビ「ウチこそ怖い思いさせてごめんな。」ナデナデ

ナビ「でもな?ほんまは知ってもらえて嬉しいねん。」ナデナデ

ナビ「知ってもらいたかってん。」

ナビ「ウチずっと…独りぼっちやったからぁ…うぅ」グスッ

男「…。」ポロポロ

ナビ「男ちゃぁん…ウチ…怖かった…」ポロポロ

ナビ「さびしかったよぉぉぉ」ポロポロ

男「…。」ギュッ

ナビ「うわぁぁぁあん…!!」ポロポロ

128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:45:09.36 ID:nRtd3ZTwO
ナビ「ぐすっ。ごめんな。」グシグシ

男「いいんだ、好きなだけ吐き出してくれて」

ナビ「…うん、もう大丈夫。」ニコ

ナビ「さて男ちゃん、しゃんとしよか。」トントンッ

男「…あぁ」スッ

ナビ「たぶんな、女さんはこの時の事を今も引きずってると思う。」

男「女が?」

ナビ「ウチらを助けられへんかった、それどころか置いてってしもた」

ナビ「その思いにずぅーっと縛られとぉと思うねん。」

ナビ「赦してあげられるのは男ちゃんだけや。」

男「赦すも何も俺は…」

ナビ「ウチらはそうかも知れんけど、女さんにとってはそうじゃないねん。」フルフル

ナビ「だから戻ったら言うてあげて?もう自分を責めんといてって。」

ナビ「もう自分を赦してあげてって。」

ナビ「そう言うてあげて?いや、ちゃうな。」

ナビ「そう言うてあげよ?一緒に。」ニコ

男「…あぁ、分かった」

129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:52:01.98 ID:nRtd3ZTwO
-王立アカデミー 研究室-



パァァァァ…

修道女「…っく…!」ビリビリ

女「(リンクが始まってかれこれ30分)」

女「(転移魔法…それも人間の精神を実質二人分扱うという情報量)」

女「(それに高度な幻惑魔法を複合した詠唱で、魔法石とのリンク状態を保ち続けている…)」

女「(伊達に修道院の選り抜きじゃない…この人、只者ではないわ)」

女「(でも、さすがに)」

修道女「…っ!はぁ…はぁ」ビリビリ

パァァァァ…

女「加勢するわ」スッ…パァァァァ

修道女「!?お、女さん転移魔法を!?」

女「あなたのような高度で大出力の詠唱は到底出来ないわ」

女「せいぜいあなたの魔力を補ってあげる位かしら…っく!」ビリビリ

女「すごい魔力消費ね…私一人じゃ5分と保たないわ」ビリビリ

女「でも、少しは足しになるかしら?」

修道女「大助かりです!ありがとうございます!!」ビリビリ

女「それにしてもその底無しの魔力…あなた一体何者なの?」

修道女「…じ、自分でもよく分からないんですよね」ヘラッ

女「どういう事?」

修道女「…。」ニコッ

130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:52:43.63 ID:nRtd3ZTwO
修道女「ある日の朝、礼拝堂の入り口に揺り籠が置かれていて」

修道女「私はその中で寝息を立てていました」

修道女「そのまま修道院に引き取られた私は、シスター長さんの実の娘として育てて頂いたのです」

女「…辛い話をさせたわね、許して頂戴」

修道女「い、いえいえ!」ブンブン

修道女「…今のは、私が親に捨てられた話ではなく」

修道女「愛のある方に見つけて頂き、育てて頂いたという話」

修道女「私が、この世界から確かな愛をもらったという話なのです」

女「…!」

女「…愛、ね」

修道女「す、すみません!一応宗教家の端くれなものでこんな口調になってしまうのです」アセアセ

女「いいのよ。素敵なお話だったわ」

女「聞かせてくれてありがとう」

パァァァァ…

131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:54:18.14 ID:nRtd3ZTwO
パァァァァ…

修道女「…女さんも一緒ですよ」ビリビリ

女「?どういう事かしら」ビリビリ

修道女「なんとなく分かります、目を見れば」

修道女「女さんにもきっと誰かの愛が注がれているはずです」

修道女「誰だって同じです、気付いていないかも知れませんが…」

女「…私に愛される資格なんてあるのかしら」ボソッ

修道女「?」

女「何でもないわ、それより中の様子はどうなのかしら」ビリビリ

女「だんだんキツくなってきたわ…」フゥ

修道女「ですね…上手くいってると良いのですが…っく!」ギリッ

パァァァァ…

132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:55:00.09 ID:nRtd3ZTwO
…さん…なさん…!

女「!この声は!」

<女さん!ウチやで!

女「ナビちゃん!」

<心配かけてごめんなさい!ウチはもう大丈夫やでー!

女「そう…良かったわ」ホッ

<これから男ちゃんがそっちに戻るで!

<受け止めたってー!

修道女「す、すごい…!本当に魔法石の中に人の心が…!」

<んー?おねーさんだれー?

<まぁええか!ほなよろしくー!

133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:57:21.63 ID:nRtd3ZTwO
パァァァァ…バシュンッッ!!

修道女「…っく!はぁぁぁぁ…」パタッ

女「ちょっと!大丈夫!?」ダキッ

修道女「さ、さすがに疲れましたぁ…」グッタリ

女「見事にやり遂げたわね、大したものだわ」

女「お疲れ様、ありがとう」ニコッ

修道女「え、えへへ…やったぁ」ニヘラ

男「…ん」パチ

女「男くん!」

134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 11:57:57.00 ID:nRtd3ZTwO
男「やぁ、どうにか帰って来たよ」フラ

男「一時は焼け死ぬかと思ったけどな」ハハッ

女「…っ!!」

男「その話はあいつが戻ってから、な」

男「それよりその人大丈夫か?」

女「…かなり消耗しているわ、常人じゃそれこそ干からびる程の魔力を使い続けたのだから」

修道女「zzzz」スゥ…スゥ

スッ

男「初めて会ったけど、感謝しています」

男「あなたの力が無かったら、俺達は自分を取り戻せなかった」

男「本当にありがとう」ペコッ

修道女「zzzz」スゥ…スゥ…ニコッ

135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:11:53.83 ID:nRtd3ZTwO
-夕刻 王都 市街地-


ブロロロ…

同僚「…なげーーーよwwwwwww」

同僚ナビ『あらそうですか?今日の配送はもう終わりでしてよ?』

同僚「つかスレタイ詐欺じゃねww魔法はともかく運送業どこいったwwww」

同僚ナビ『またわけの分からない事を…おや?事務所からですわ』ピピッピピッ

カチャ

同僚「おつかれサマンサwww」

配車係「…またわけの分からない事を」

同僚「んだよノリわりぃなwwどったの無線なんてwww」

配車係「ノリって…実は一件飛び込みで集荷の依頼がありまして」

同僚「でたでたww早く帰れると思った時に限ってこれだwww」

配車係「まぁそう言わないで下さいよ、なにしろ同僚さんご指名の依頼で」

136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:12:46.77 ID:nRtd3ZTwO
同僚「俺指名ってマジかwww指名料取っていーのww?」

配車係「その辺はご本人と話して下さい、協会は関知しませんので」フフッ

同僚「ご本人?あぁ荷主って事かww」

配車係「荷主というか…まぁとにかく向かって下さい、積み地は王立アカデミーですので」

同僚「了解しまくりですwww」カチャ

同僚ナビ『珍しいですわね、同僚さんご指名の集荷依頼なんて』

同僚「つーか初めてじゃねww時代がようやく俺に追いついたかwww」

同僚ナビ『…まぁキャラはともかく、ドライバーとしてのスキルは私も認めておりますわ』

同僚ナビ『私としても誇らしいですわね』ニコ

同僚「だろwwwんじゃまー行きますかwwww」

ブォン!ブロロロ…

137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:14:25.00 ID:nRtd3ZTwO
-1時間後 王立アカデミー正門-


修道女「…。」

同僚「…。」

修道女「ど、どーも」

同僚「まwたwお前wかwww」

同僚「しかし集荷なんてどったのwwしかもこんな所でwww」

同僚「あ、あれかwwさてはイケないおクスリでも製造して運ばせようってかwww」

修道女「…。」チョイチョイ

同僚「あん?で、荷物ってどれよww」

修道女「わ、私です…荷物」アハ

同僚「」

修道女「ダメ…ですかね?」ジッ

同僚「」

138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:15:24.27 ID:nRtd3ZTwO
-王都 街道-


ブロロロ…

修道女「先日は誠に申し訳…」フカブカ

同僚ナビ『…顔を上げてくださいまし』ハァ

同僚ナビ『まぁお酒が入ってらしたのなら仕方ない…といえる範疇を超えてましたが』ジトッ

修道女「うぅ…」ビクビク

同僚ナビ『男さんとナビちゃんの一件、大変ご尽力いただいたとか』

同僚ナビ『ナビ(あの子)の友人としてお礼申し上げますわ』

同僚「俺からも言わせてくれ」

同僚「あいつらの為に頑張ってくれて、ありがとな」ニカッ

修道女「い、いえいえ」ニコッ

同僚ナビ『まーこれで前回の暴言についてはチャラにして差し上げますわ』

修道女「よ、良かったです…」ホッ

139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:16:04.85 ID:nRtd3ZTwO
同僚「それにしても集荷依頼って何だよwww」ケラケラ

修道女「あ、あのその…」モジモジ

修道女「男さんとナビさんの事、同僚さんには一番先に伝えたくて…」

同僚「そーゆー事ねwwそういや連絡先とか知らんもんなwww」

修道女「それに…真っ先に会いたかったし」ボソッ

140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:16:39.69 ID:nRtd3ZTwO
同僚ナビ『!』ピコーン

ササッ

同僚ナビ『(そういう事ですの?あなたも変わったご趣味を…)』ごにょごにょ

修道女「(そ、そうですかぁ?や、優しい所もあるんですよ?)」ごにょごにょ

同僚ナビ『(そこはまぁ分かりますが…とにかくそういう事なんですのね?)』ごにょごにょ

修道女「(どうやらそういう事みたいです…何しろこんな気持ち初めてで)」ごにょごにょ

ごにょごにょごにょごにょ

141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:18:06.98 ID:nRtd3ZTwO
同僚ナビ『何でもありませんわ』シレッ

同僚ナビ『それより同僚さん、今回の件では修道女さんに大きなご恩があるのですから』

同僚ナビ『ここはひとつお礼の席でも設けて差し上げては如何でしょう?』

同僚「名案キタwwww素敵じゃないのwww」

同僚ナビ『男さん達の復帰祝いもありますしね』

同僚「お前さん頑張ってくれたしなwwみんなでぱーっとやるべwww」ポンポンッ

修道女「///」カァァッ

修道女「は、はい!ぜひ!」

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:18:34.69 ID:nRtd3ZTwO
同僚「協会(うち)の連中には俺から声掛けておくからよww」

修道女「お、お願いしちゃっていいんですか?」

同僚「まwかwせwろwww」ビシッ

修道女「じ、じゃあお願いしますね!」

同僚「おうよwwあ、そしたらお前さんの連絡先も聞いとくかww」

修道女「は、はい!」カキカキ

同僚ナビ『(まずは連絡先交換、次は大人数で…そこから徐々に距離を縮めて…)』

同僚ナビ『(いける…黄金パターンですわ)』ニヤリ

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:25:14.62 ID:nRtd3ZTwO
-後日 王都酒場街-


[BAR REQUIEM]

カランカランッ…

先輩「全員揃ったな」

同僚「おっけwそれじゃ始めますかww」

<乾杯!カチンッ…

同僚「ぷはwやっぱ一杯目はこれよねww」ぐび

男「そういえば今日は全員エールなんだな」

女「今回の功労者である修道女さんに敬意を表して、ね」ごく

修道女「な、なんだかすみません」アセ

同僚「でもこれ普通に美味いからなww」

先輩「修道女ちゃん達が製造したエールを、俺達運送屋が各地に運んで」

男「こうして色々な人の手に渡るわけか」

男「なんだか感慨深いな」グビ

144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:26:00.23 ID:nRtd3ZTwO
女「あ!いけない忘れる所だったわ」

女「修道女さん」チラッ

修道女「は、はい!」ごそごそ

コトリッ…

同僚「んー?何だそのデカい魔法石はww易でも立てようってかwww」

女「修道女さんに情報転移魔法のコツを教えて頂いたの」パァァァァ

修道女「今日の主役の登場です!」パァァァァ

ナビ『やっほーみんな?』ピョンッ

男「おぉ!」

同僚ナビ『私もおりましてよ』スッ

同僚「お前もかwww」

145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:26:43.49 ID:nRtd3ZTwO
女「ナビちゃん達のインストールされている本物の魔法石は協会の備品だから」

修道女「彼女達のデータだけを情報転移魔法で連れて来たんです」

先輩「また規則ギリギリな事を…」

女「まぁいいじゃないですか、始末書なら私が」

先輩「配車係の奴には黙っておくよ、ともかくこれで本当に全員揃ったわけだな」

同僚「それでは改めましてww」コホン

<乾杯!カチンッ…

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:29:45.12 ID:nRtd3ZTwO
修道女「本当に良かったです、男さんとナビちゃん…」シミジミ

同僚「過去との再会ねーw」

先輩「辛い記憶だとしても、今になって取り戻せたのならそれは何か意味のある事なんだと思う」

先輩「これからのあいつらの人生において、な」

修道女「む、無駄なものなんかないですよね!」ダンッ

先輩「だな、親父さんも喜ぶだろうよ」

同僚「あれ?先輩あいつの親父さんと知り合いなんすか?www」

先輩「直接面識はないけど、俺は元々軍出身だから」カランッ

先輩「親父さんの噂…伝説に近いな、そんな話はよく聞いたよ」

147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:30:39.43 ID:nRtd3ZTwO
同僚「伝説wwwやっぱ只者じゃなかったかwwwあ、俺マッカランをロックでwww」

先輩「俺も同じのを。そうだな…何てったって先代勇者一行の一人だからな」グイッ

修道女「せせせ先代勇者一行!!?」

同僚「話がインフレし過ぎて一般庶民の俺にはついていけねぇwwwww」

先輩「俺だって同じさ、軍を抜けて今はただの運送屋」

先輩「世界の命運なんざ雲の上の話だ」

先輩「でも、修道女ちゃん程の能力があれば軍からも声が掛かりそうなもんだが…あ、何飲む?」

修道女「わ、私なんて全然っ!あ、アマレットジンジャーをお願いします」

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:32:18.74 ID:nRtd3ZTwO
同僚「ホントかなーwww女ちゃんが大絶賛してたぜ?お前さんの事www」

修道女「…な、ない訳でもなかったんですけど」アセ

同僚「やっぱなwww」

同僚「で?断っちまったのかwwwまぁシスターが軍の仕事出来ねぇわなwww」

修道女「ぎ、逆です」

先輩「逆?」

修道女「わ、私元々が孤児ですからね」ヘラッ

修道女「今はシスター長さんの娘という事になっていますけど」

修道女「軍の偉い方にそういうの気にされる人がいたんじゃないですかね…なんて」ハハ

先輩「…お役所って感じだな、出自なんざどうだっていい事だろうに」ハァ

同僚「全くふざけた話ですね、今のコイツには何の関係もねぇのに…」チッ

修道女「(あ、草生えてない)」

修道女「ま、まぁ私としては何か皆さんの力になれるならいつでも!って感じですので!」

修道女「困った事があったら言って下さいね?」ニコッ

149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:32:59.93 ID:nRtd3ZTwO
先輩「ありがとな。まぁ詠唱に関する事だと、女あたりがまた世話になるかも知れん」

先輩「その時はよろしくな」ニコッ

修道女「は、はいです!」ビシッ

先輩「さて、んじゃそろそろ行きますか」スクッ

同僚「あれ先輩帰るんすかwww」

先輩「ちょっと他の奴とも話してくるのさ、まぁ…邪魔者は退散すっから」コソッ

先輩「(上手い事やれや、ジェントルマン)」ニヤ

修道女「?」

同僚「かーっwwwみんなそういうの好きねぇwwww」

150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:35:53.78 ID:nRtd3ZTwO
ナビ『どーちゃん久しぶりやんか!』ハイタッチ

同僚ナビ『ふふっ元気そうで安心しましたわ』ハイタッチ

ナビ『心配かけてごめんな?』

同僚ナビ『いいんですのよ、無事に戻ってらっしゃったなら』フルフル

ナビ『色々あって引き篭もってもぉてんけどな』

ナビ『男ちゃんが来てくれてん!』ニコニコ

同僚ナビ『聞きましたわ』

同僚ナビ『元々男さんの中にあった過去の記憶が』

同僚ナビ『コピーされるのではなく、ナビ(あなた)の側にそっくり移動してしまっていた…』

同僚ナビ『そういう解釈でよろしいかしら?』

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:37:02.75 ID:nRtd3ZTwO
ナビ『そぉなんよー、何でそんな事になったかよぉ分かれへんねんけど』ウーム

ナビ『よっぽど辛かったんやろな、男ちゃん』

同僚ナビ『その時、男さんはまだ2歳位でしたのでしょう?』

同僚ナビ『深い心の傷となるのも頷けますわ』

ナビ『でもな?男ちゃんは来てくれてん』

ナビ『わざわざ見たくもない過去の記憶と向き合ぅて』

ナビ『ウチにだけ押し付けられへんからって』

ナビ『正直ね、嬉しかったんよ』

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:37:41.97 ID:nRtd3ZTwO
同僚ナビ『優しい人ですね』ニコッ

ナビ『せやろー!?ホンマ大好きやわぁ男ちゃん♪』ピョンッ

同僚ナビ『…あなたって人は』

ナビ『で、どーちゃんは最近どうなん?同僚ちゃんと上手くやっとぉ??』

同僚ナビ『私達は相変わらずですわ』フッ

同僚ナビ『彼と私は良い意味でのビジネスパートナー』

同僚ナビ『彼のドライバーとしての能力を認めこそすれ、特別な感情を抱いたりは致しませんわ…が』

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:38:29.73 ID:nRtd3ZTwO
ナビ『が?なになに??』グイッ

同僚ナビ『実は最近同僚さんにも…』ひそひそ

ナビ『ほんまかいな!あ、あの修道女さんって人!?』ワクワク

ナビ『同僚ちゃんもたゆんたゆん好きやかんなー』ケラケラ

同僚ナビ『むっ…いえ実は、彼女の方からなのですわ』ひそひそ

ナビ『まーじーでー!?』ノケゾリー

ナビ『やるやん同僚ちゃん!隅に置けへんなー!』ニシシッ

ナビ『で?どーちゃん的にはその辺どぉ思ってるん??』わくわく

同僚ナビ『そうですわねー』ウーム

154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:39:26.03 ID:nRtd3ZTwO
同僚ナビ『彼女は修道女らしく、慈愛に満ちた素敵な方だとお見受けしますわ』

ナビ『ほうほう』

同僚ナビ『詠唱士としての能力も高く、将来的な事を考えても悪くないお相手かと』

ナビ『えーやんべた褒めやん!』キャッキャ

同僚ナビ『ただし…』

ナビ『ただし??』



<バカルディ!店にあるだけ持ってきて!!

<なんちってwww



同僚ナビ『…あれさえ無ければ』ハァ

ナビ『あららー絶好調やんなぁ』

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:41:01.31 ID:nRtd3ZTwO
ガララッ…

女「バーにテラス席とは珍しいわね」

男「夜風が気持ちいいな」ストンッ

女「私はブルームーンを」

男「エールおかわり」


<乾杯 カチンッ…

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:41:34.39 ID:nRtd3ZTwO
女「…見てきたのね」

男「あぁ、あの村が消えるその日をな」

女「…今更私から何も言う事は出来ないわ」フルフル

女「あの時の事が、まだ小さかったあなたの心をどれだけ傷つけたか」

女「私は生涯自分を赦す事は出来ないと思う」

女「何も出来なかった自分を」

女「それどころか、あなたを置き去りにしt男「もうさ、やめにしないか?」

女「男くん…」

157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:42:32.49 ID:nRtd3ZTwO
男「俺さ、あの時の記憶を追体験してきて」

男「確かに怖かった」

男「誰にも見つけてもらえずに、ただ死ぬのを待つしかないってのは」

男「今思い出しても震えるよ」

女「…っ」ギュッ

男「でもな?そんな状況で、女だけは俺を助けようとしてくれた」

男「必死になって俺の名前を呼んでくれた」

男「あの時の俺にも、それはちゃんと聞こえてたんだぜ?」

女「っ!だけどっ…!私はっ…!」

男「あの時は気付けなかった女の優しい心に、今回の一件でやっと気付けた」

男「ずっと苦しませてごめん」ペコッ

男「それ以上に、助けてくれようとしてありがとうな」ニコッ

女「…っっ!!男くん…」ジワッ

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:43:05.33 ID:nRtd3ZTwO
男「女が自分を赦せなくても、俺は女を赦すよ」

男「それどころか、今は感謝の気持ちでいっぱいだ」

男「だから、な?少しずつでいいから」

男「女は女自身のこと、赦したってくれへんかなぁ…?」ポンポン

女「うぅ…男くん…」グスッ

女「ごめんな…ほんまに…」ポロポロ

男「えぇて。もう過ぎた事やんか」ナデナデ

女「うぅ…あぁ…」ポロポロ

159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:43:41.08 ID:nRtd3ZTwO
ナビ『どーちゃんとの恋バナに夢中になって出遅れたけど』コソッ

ナビ『男ちゃん、しっかり伝えてくれたみたいやな』ウンウン

ナビ『…でも、あの頭ポンポン』ジトッ

ナビ『やっぱりちびっと妬けるわ…』ムムム

160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:44:56.73 ID:nRtd3ZTwO
-深夜 王都酒場街-


男「今日は皆さんありがとうございました」ペコッ

ナビ『ました』ペコッ

同僚「いーって事よwwwパーっとやるいい口実だったわwwww」

同僚ナビ『またそんな憎まれ口を…』

先輩「明日から復帰だろ?気合い入れていけよ」

ナビ『まかしてーな!ウチらは最強のコンビやで♪』フンス

ナビ『な!男ちゃん!』クルッ

男「あぁ、これからもよろしく頼むぞ」

先輩「それじゃここらで解散とするか。みんな気をつけてな」フリフリ

同僚「おつかれさんでしたーwww」

男「みんなおやすみなさい」

161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:46:46.75 ID:nRtd3ZTwO
女「先輩さん」タッタッ

先輩「お、どうだ気分は」

女「えぇすっかり、ご心配お掛けしました」

先輩「なぁに、男が付いてたんだから安心してたさ」スッ

シュボッ…

女「…先輩さん」

先輩「?」スゥ…

女「一本頂いても?」

先輩「あぁ構わねぇよ、ほい」スッ

先輩「えぇと火は」ごそごそ

女「ここにあるじゃないですか」グイッギュッ

先輩「お、おいおい」

ジジッ…ポワッ

162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:47:30.91 ID:nRtd3ZTwO
スゥ…フゥゥ

先輩「シガーキスなんざ初めてだ…」ポリポリ

女「私もです」

女「…お嫌でしたか?」ジッ

先輩「うっ…全く女心ってのは分からんもんだなぁ」ポリポリ

女「ふふっ」スパァァ

163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 12:49:00.45 ID:nRtd3ZTwO
第1部完となります
ありがとうございました
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 13:11:26.85 ID:DEvaNBSdo
おもっっっっしろい。
続きも期待します
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 19:44:46.52 ID:D/01SbYK0
おもしろかった
ただ若干、ストーリーの中で修道女が浮いているように感じたかな。なんか突然現れて、同僚と恋仲になりそうな雰囲気に違和感。ナビは人工精霊が元ネタっぽいかな。少しだけ登場した王や、先輩も設定も確り作り込んでるようだから、今後の展開が楽しみ。
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/27(金) 19:46:21.80 ID:IDFS0p+l0
読んでくれてる方がいて嬉しいです
ありがとうございます
第2部は明日から順次投稿します
よろしくお願いします
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