剣と魔法と運送業

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167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 19:57:24.69 ID:cwPcvREYo
竜と勇者と配達人
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 22:13:20.14 ID:a6rHRxdD0
乙でございます
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 22:44:43.99 ID:4KW6Z1olo
おつ
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 04:54:14.73 ID:3vWm5r4Q0
1部乙
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 12:01:24.95 ID:T6taEMXHO
草生やすの止めてくれ
内容は良いのに不必要に草生えてて途中で読む気が失せる
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 12:56:27.07 ID:Qm8icYht0
じゃあ読まなきゃいい

と言って欲しそう
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 18:53:30.25 ID:vVKp/IT/O

面白い
174 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 19:12:06.89 ID:i3v8qfwTO
1です
読んでくれる方がいるみたいなので酉付けてみたんですけど出来てるかな?
175 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:13:27.29 ID:VGIaeuJI0
色んな言葉を頂けて嬉しいです
励みになります
ありがとうございます

第二部始めます
176 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:14:30.32 ID:VGIaeuJI0
-3ヶ月後 王都 街道-


ブロロロ…

ナビ『♪』ルンルン

男「ご機嫌だな」

ナビ『今日めっちゃ順調やんかぁ!珍しく荷待ち無しで積めたし』ニコニコ

男「大体待たされるからな、あそこの倉庫は」クスッ

ナビ『ウチらの日頃の行いがえぇからやなー』ウンウン

男「そうだな…」

男「…。」ボーッ

ナビ『んー?どしたん??』クルッ

男「…里での一件以降も、あちこちで軍と魔族の衝突が起きてる」

男「小競り合いから一般人に被害が及ぶ規模のものまで様々だが」

ナビ『そういえば増えたな』

男「…戦争は続いていて」

男「戦闘の度に傷付くのは普通に生きてる人達だったりもして」

男「…でも、俺達の仕事や生活自体にあんまり変化はなくて」

男「…。」
177 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:16:16.94 ID:VGIaeuJI0
男「里での出来事が心の中で風化しつつあるのを感じるんだ」フゥ

ナビ『過ぎてしまえば、自分の身に降りかからなければ』

ナビ『忘れてってまう…みんなそんなもんなんちゃう?』

男「分からんではないけど…それでいいのかなって思うんだよ」ウーム

ナビ『んー男ちゃんの言いたいことも分かんねんけどな?』

ナビ『ウチらは勇者やない、ただの一般人やから』

男「…世界の命運を憂いても仕方ない、そう言いたいのか?」

ナビ『そこまで言わんけどなぁ』

178 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:17:04.41 ID:VGIaeuJI0
ナビ『やからこそ、普通の日常を大事に過ごさなアカンなーとは思うねんかぁ』

男「普通の日常か…それは確かにそうだけどな」

ナビ『ま、ウチは男ちゃんとおれればおーるおっけーやし♪』ニシシ

男「お前は気楽でいいよな…」ハァ

ブロロロ…

179 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:18:19.61 ID:VGIaeuJI0
-19:00 王立倉庫事務所-



同僚「異動っすかww?」

所長「うんそう。運送屋だけに」ププッ

同僚「草枯れる」

所長「あ、でも異動はマジよ」

所長「異動ってか抜擢?やったじゃない同僚ちゃん」

所長「しかも新規事業の立ち上げメンバーだってよ??」グイッ

所長「いやー眩しいわー後光が差してるわー」

同僚「抜wwww擢wwwww」

同僚「新規www事業wwww」

所長「いよいよ時代が君に追いついてきたんじゃないのー?このこのー」ウリウリ

同僚「どうやらそのようですねwww」フッ

同僚「それで?新規事業って何やるんすかww?」

所長「え?知らない」

同僚「えっ」

所長「えっ」

180 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:19:11.25 ID:VGIaeuJI0
所長「なんかねー事務局の上層部直々の辞令なんだよねー」ホジホジ

所長「外部から顧問も呼ぶー?みたいな話ー?だったけど」フーッ

所長「とりあえず女ちゃんがプロジェクトリーダーになるみたいだからさー」

所長「明日の運行後にでも女ちゃんのとこに顔出してみてくれるー?」

同僚「深まる謎wwとりあえず了解っすwww」

所長「よろしくちゃーん」スタスタ



同僚「なんだか上手いこと乗せられてる気がwww」

181 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:21:13.80 ID:VGIaeuJI0
-同刻 物流協会事務局 女の執務室-


カリカリ…

女「先人の知恵もなんとやら、面倒がらずに古い文献も漁ってみるものね」ペラ

女「今の魔術経典からは削除されている、情報転移や位相転移の詠唱…」フムフム

女「この辺を応用すればいけそうね…」ペラッ

女「問題は動力源、か」パタン

ドサッ

[禁書指定 それいけ!転移ちゃん!]
[禁書指定 カバでも出来る位相転移]
[禁書指定 絶対殲滅!爆撃☆どかん]

コンコンッ

女「どうぞ」シマイッ

先輩「おーす、おつかれ」ヒョコ

女「あら、お疲れ様」

女「遅くまで残業か?肌に悪いぞ」コーヒーヒョイ

女「ご心配どうも。でも今日は残業じゃないのよ」スッ

先輩「あぁ、いつもの趣味か」

182 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:22:09.36 ID:VGIaeuJI0
女「ライフワークと言って欲しいわね、魔術の世界がこんなにも奥深いものだったなんて」フゥ

先輩「…あんまり奥まで首突っ込んで噛みつかれても知らんぞ?」

女「深淵を覗くものはまた同時に、って奴かしら?」

女「構いやしないわ、この探究心を止める事は誰にも出来ないもの」クックッ

先輩「お前ちょっとこえーよ…」ヒキッ

先輩「だが、覗き込んでくるのは深淵だけじゃないかも知れないぞ?」

女「それこそ望むところだわ、鬼でも蛇でも出てきてみなさい」フフフ

先輩「…そんな可愛いモンだったらいいんだけどな」ボソッ

183 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:23:43.25 ID:VGIaeuJI0
-鍛治職人の里 広場-


ワーワー!タンッ!タンタンッ…!

親父「おーし!今日の稽古はこれまでー!」

<ありがとーございましたー!

親父「ふぅ…ガキどもの相手もなかなかいい運動になるな」フキフキ

親父「しかし…あいつら見てっと」シュボッ!スゥ…

親父「思い出すなぁ」スパァァ…

184 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:24:27.42 ID:VGIaeuJI0
-17年前-

<こいつしゃべれねーんだって!

<えーへんなの!

<おいなんかいってみろよ!

幼男「…」グスッ

幼女「こらー!またよわいものいじめしてー!」ダダッ

<わ!おんなだ!

<おとこおんながきたぞー!

<にげろー!

幼女「まったくあいつら…」プンプン

幼女「さ!男くんかえろ?」クルッ

幼男「…」コクリ

185 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:25:17.35 ID:VGIaeuJI0
幼女「でねー?あいつらったらひどいのよ!」ペラペラ

親父「まーアホどもの相手してもしゃーねぇさ」ゲラゲラ

親父「なぁ男!」ガシッ

親父「焦んなくていいんだぞ?」グシグシ

親父「声なんざ出なくったってお前はお前だ、女共々俺の大事な家族だ」

幼女「おじさん…」

親父「お前達の居場所はここにある。それだけ忘れんな、いいな?」

幼男「…」コクリ

親父「よし!」ニカッ

親父「まーそのうちコイツみたいにペラペラしゃべれるようになっからよ!」ゲラゲラ

幼女「なんかむかつくー」プクー

ワイワイ…

186 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:29:00.10 ID:VGIaeuJI0
親父「クリスマスかー!」

親父「お前ら何か欲しいもんあるか?あんまり高ぇもんはダメだかんな!」

親父「…って!サンタのじじいが!」

幼女「わ、わたし新しい本が欲しい!」

親父「女は本が好きだなー!分かった!ジジイに頼んどく!」

幼女「やったー!」

親父「男、お前はどうだ?」

親父「何か欲しいモンあったらこのサンタのカタログを指差してだな」ズイッ

幼女「おじさん!ゆめがこわれる!」
187 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:30:22.69 ID:VGIaeuJI0
幼男「…お…お…」

親父・幼女「!!」

親父「…何だ?ゆっくりでいいから言ってみ?」ナデナデ

幼男「お、おと…さん、て」

幼男「よ、よんで…い?」

幼女「お、男くん…!」ウルウル

親父「…っ!」ジワッ

親父「…ったくおめぇは無欲だな!修行僧かっつーんだよ!」グシグシ

親父「当たり前だろーが!パパでも親父でも好きなように呼んでいいぜ!」

幼女「うーんでもぱぱってかんじじゃないかも」

親父「そうだな…それに親父も…俺まだ30だし」ウーム

幼男「おと…さん」

幼男「おとさん!」ニコッ

親父「おうよ!じゃ決まりだな」ニカッ


188 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:35:57.85 ID:VGIaeuJI0
-王宮 国王執務室-


側近「…。」

国王「…。」

事務局高官「…。」タラッ

側近「気になるな…この、男といったか」ペラッ

側近「先日の鍛治職人の里での事故現場に居合わせた際、過去の記憶のフラッシュバックによりナビシステムがダウン」

側近「本人は平気な顔をしていたのに、なぜナビシステムだけが…」

事務局高官「アカデミー研究員の話によれば、過去のトラウマの引き金になる記憶そのものが」

事務局高官「魔法石内部のナビシステム側にそっくり移動していたのでは、とのことで」

側近「共有ではなく移動だと?」

事務局高官「はい、原因は定かではありませんが…」アセッ
189 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:36:53.08 ID:VGIaeuJI0
側近「ふぅむ…」チラッ

国王「…。」

側近「その後はどうなっておる?」

事務局高官「はっ、男との再リンクにより人格情報と記憶情報の相互共有に成功しました後は」

事務局高官「特に問題なく運行を行っております」

側近「…ひとまず落着、と見るか」チラッ

国王「いや」ギロッ

事務局高官「っ!」ビクッ

側近「その後は問題なし、と言ったが」

側近「再リンク後、その職員とナビシステムの関係性はどうなのだ?」

事務局高官「関係性、ですか…」

190 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:40:06.85 ID:VGIaeuJI0
事務局高官「目に付く事と言えば、再リンク後は運行中の燃費効率が向上していますね」ペラッ

事務局高官「同じ運行でも拘束時間の短縮が見られたり」

事務局高官「総じて業務効率が上がっています」

側近「効率が上がったという事は、両者の連携が取れているという事だな」

事務局高官「はい。事務局としては良い傾向と捉えております」ニコッ

側近「…。」チラッ

国王「うむ」

側近「この男という職員とナビシステムについては、今後も注意を怠るな」

側近「何か変化があればすぐに報告するように」

事務局高官「し、承知しました」

側近「行ってよいぞ」

事務局高官「し、失礼致します」ソソクサ

…バタンッ

191 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:43:10.92 ID:VGIaeuJI0
側近「…記憶の補完が成された結果、この職員の本当の出身地が明らかになりました」

側近「北西の村の生き残りだそうです」

国王「涙の欠片、か…」

側近「可能性はあります」

国王「うむ。今はまだ可能性の段階だ」

国王「しかし備えは常にしておかねばなるまい」

側近「…あれから20年、早いものですね」

国王「…。」ギリッ

192 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:48:06.37 ID:VGIaeuJI0
-日中 王都街道-



ブロロロ…

ナビ『ん?あれ同僚ちゃんのカーゴちゃう?』

男「ホントだ、ちょっと声掛けていくか」

キキッ

ナビ『同僚ちゃんやっほー♪』フリフリ

ナビ『…って、あれ?』

男「同僚の姿が見えないな、配達中か?」

同僚ナビ『あら男さん、お疲れ様です』

ナビ『どーちゃんおつかれ!』ハイタッチ

同僚ナビ『はいはいお疲れ様です…ふふ』ハイタッチ

男「同僚は配達中か?」

同僚ナビ『いえ、今日は別行動なのですわ』フルフル

ナビ『べつこーどー??』
193 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:49:15.38 ID:VGIaeuJI0
同僚ナビ『元々私は同僚さんの記憶情報を共有しておりますので』

同僚ナビ『その気になれば私単体で運行する事も可能ですのよ』

男「そうか、あいつの頭ん中の道路についての情報を使ってって事か」

同僚ナビ『そういう事ですの』

同僚ナビ『ま、実際の積み下ろし作業は作業員の方にやって頂いてますが』

タッタッタッ…

作業員「お、お疲れ様でーす」ハァハァ

ナビ『おつかれちゃん!どーちゃんにこき使われてるんやなー?』ニヤニヤ

作業員「いやもうこのナビ…手加減ってもんを知らなくて…」ヘトヘト

同僚ナビ『情けないですわねーこの程度で』ジトッ

194 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:51:20.84 ID:VGIaeuJI0
男「まぁまぁ…お手柔らかに頼むよ」

男「それで、同僚の奴は?」

同僚ナビ『事務局ですわ』

同僚ナビ『何でも新規事業の立ち上げメンバーに選ばれたとかで』

男「全然知らなかった、最近会ってなかったからなぁ」

ナビ『すごいやん!出世やん!』

同僚ナビ『…そう単純な話には思えないのですが』

男「そうなのか?」

同僚ナビ『何か気になるのです…男さんも話を聞いてみて下さいまし』

同僚ナビ『事務局に行けばいると思いますので』

男「分かったよ、お祝いの一つもしてやらなきゃだしな」

同僚ナビ『よろしくお願い致しますわ』


195 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 20:52:17.00 ID:VGIaeuJI0
同僚ナビ『それでは私達まだ配達がございますので』

作業員「え!もう行くんすか!?」

同僚ナビ『ほら、ちゃっちゃと行きますわよ!』

作業員「うへぇ…」ゲンナリ


ブォン!ブロロロ…


男「あーぁ、大丈夫かなあの人」タラッ

ナビ『ホンマにドSやなどーちゃん…』
196 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 21:02:10.78 ID:VGIaeuJI0
-物流協会事務局 大会議室-



修道女「マッピングシステム?」

同僚「噂のwww新規事業www」

女「これは、この世界のありとあらゆる場所の地図情報を網羅して」

女「転移魔法と組み合わせる事で物流コストを大幅に削減する試みなの」

同僚「でもよーww物流コスト=俺たちの給料だぜ?」

同僚「自分で自分の首締めてる気がしないでもないんだがwwww」

女「短期的に見ればそうかも知れないわ、でも情勢は常に変化しているの」

女「同僚くんには、その優れた空間把握能力を活かして」

女「マッピングシステムの元となる、全世界の詳細な地図情報を構築してもらうわ」

同僚「世界をこの手にww熱いwww」

197 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 21:03:21.10 ID:VGIaeuJI0
女「そして、地図情報を元に荷物の転移を行うシステムを作る為に」

女「詠唱のスペシャリストである修道女さんにお越し頂いたってわけ」

修道女「す、スペシャリストだなんて私」アワアワ

女「ここに世界各地の地図を用意してあるわ」ドッサリ

同僚「おぅふww山のようwww」

女「これでも世界中を網羅するには全然足りていないの」

女「例えば人の手の及ばない高山や密林」

女「未発見の島なんかも出てくるでしょうし」

同僚「その情報いるww?そんなとこに荷物届けねぇだろwww」

女「いいから。そういった場所へは実際に行ってみて詳細な情報を集めてきてもらうわ」
198 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 21:04:29.74 ID:VGIaeuJI0
修道女「で、では手元の地図情報で足りない部分へは同僚さんを転移魔法で派遣して…という事ですか?」

女「察しが良くて助かるわ」

同僚「俺に伊◯忠敬になれとwww」

女「もちろん、修道女さんの負担にならない範囲でなら」

女「一緒に行ってもらっても構わないわ」ニコッ

修道女「え、ええぇぇ!??」

女「あくまで仕事に支障の出ない範囲で、ね?」ウインク

修道女「ど、同僚さんと…二人旅…///」

同僚「お前らほんっっっとに好きねーそういうのwwww」

同僚「まぁ良く分かんないけど、せっかくコンビ組むんだしwww」

同僚「よろしく頼むぜww」ニコッ

修道女「は、はいですっ!」ニコッ

199 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 21:16:20.94 ID:VGIaeuJI0
-深夜 王立倉庫事務所-



カタカタ…カリカリ…

配車係「王立倉庫所属の50台を超えるカーゴ…」フゥ

配車係「毎日変わる仕事内容を考慮しながら、各車への仕事の割り振りをしつつ」

配車係「各ドライバーの労働時間や各種手当のバランス配分も考えて配車組みをしなければならない…」ウーム

配車係「誰かが勤務超過になる一方で、手当が少なく割に合わない誰かが出たりする事は極力避けなければいけませんからねぇ」

配車係「それらと並行して、車両トラブルや客先トラブルの対応など…」ハァ

配車係「行ったらすぐ積める!って聞いてた場所で実は1時間待ち!とかザラですからね!?」

配車係「1時間位…と思われるでしょうが」

配車係「1時間変われば結構違ってくるんですよ…」ウーム

200 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 21:17:20.69 ID:VGIaeuJI0
配車係「これ、文章にすると伝わりにくいですが」

配車係「なかなか骨の折れる作業なんですよ…」ハァ

配車係「なんて、独り言も増えてしまいますよね」ハハ

先輩「おはよーさん」ガチャ

配車係「あ、おはようございます」

フーッ…カチッピンポーン

配車係「今日は夜間便でしたね…と、23時30分です」

配車係「今日は特に過積載注意です」

先輩「はいよ」カキカキ

先輩「ん?そういうお前は夜勤ってわけでもないはずだが」

配車係「いやー配車組みが終わらなくて…」ハハ

201 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/28(土) 21:19:17.89 ID:VGIaeuJI0
先輩「大変そうだな…お前の仕事にこそナビシステムが必要な気もするよ」

配車係「ホントですよ!…同じ脳味噌を持ったパートナーがいたらどんなに楽か…」ハァ

配車係「あ、ナビシステムといえば男さん達はその後どうですか?」

先輩「再リンク後って事か?まぁ上手いことやってるみたいだな」

先輩「前にも増して息ピッタリ…ピッタリ過ぎる位にな」

配車係「ピッタリ過ぎる?」

先輩「あいつらな、最近会話が減ったんだと」

先輩「話さなくてもお互いの考えてる事が何となく分かるらしい」

配車係「なんだか熟年夫婦みたいですねそれ…」

202 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:16:43.17 ID:4w92xVZD0
先輩「まぁ運行が順調なら問題はないんだろうがな」

配車係「その辺はばっちりですね」ペラッ

配車係「最近の男さん、勤務時間や燃費効率が目に見えて向上してるんです」

先輩「同じ運行内容で拘束時間が短縮したり燃費が良くなったりしてるって事は」

先輩「それだけあいつらの連携が取れてるって事だもんな」

配車係「このまま安定してくれればいいんですけどねー」

203 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:17:54.98 ID:4w92xVZD0
先輩「お前にとっちゃ日々が平穏無事に過ぎる事が何より大事だもんな」

配車係「その為の配車係ですからね」ハハ

先輩「んじゃまぁ、行ってくるよ」フリフリ

配車係「はい!お気をつけてお願いします」ペコッ

配車係「と、もうひと頑張りだ」カタカタ

204 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:22:14.45 ID:4w92xVZD0
-物流協会事務局 大会議室-



バサァッ!…

同僚「とりあえず王都周辺はこんな感じかwww」

修道女「すごい…こんなに細かい道の事まで把握しているんですね」

同僚「宅配ドライバーなめんなwwwそれに王都は俺の地元だしなwww」

修道女「王国周辺に関しては協会発行の地図でほぼ事足りますね」ペラッ

同僚「まぁ協会のカーゴが毎日走り回ってるわけだからなww」

修道女「同じ理屈で隣国やその周辺までなら…問題はその向こうですか」

同僚「大陸中央部とその東、いわゆる極東地域ってとこだなwww」

同僚「ここらは独自の文化が根付いていて王国(こっち)とはあんまり交易が盛んじゃないのよwww」

修道女「独自の文化ですか」

同僚「簡単に言うとクセがすごいwww」

205 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:23:54.83 ID:4w92xVZD0
修道女「それから、極東地域から南に下った辺り…」

修道女「この辺に関しては地図情報そのものがありませんね」

同僚「南の果てねwww噂じゃ精霊が暮らす不思議アイランドがあるとかないとかwwww」

修道女「せ、精霊ですか?」

同僚「そういうリアクションになるよなwww精霊ナビシステムじゃなくてガチの精霊らしいよwww」

修道女「じ、実在するんですかね」

同僚「分からんwwwでも未だに地図が作れない位だから人智の及ばない何かがいても不思議じゃねーわなwwww」

修道女「い、行ってみたいですね…」ゴクリッ

同僚「詠唱士としては気になる所だよなwww」


206 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:25:05.96 ID:4w92xVZD0
同僚「まぁとりあえず近いとこからでいいんじゃね?例えば大陸中央部の北に謎エリアがあるしwww」トントン

修道女「そ、そうですね!何事も一歩ずつですよね!」

同僚「おっけwwwそれじゃ早速行きますかwww」ガタッ

修道女「はい!最初の目的地は大陸中央部!平原地帯の…ここです!」ビシッ



[風の息吹よ 大地の鼓動よ]パァァァァ…



同僚「なんかダー◯の旅みたいwwww wまぁ実際にぶっ飛ばされるのは俺なんだがwww」

修道女「転移します!」ビリビリ



パァァァァ…バヒューーーーーン…

207 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:34:44.36 ID:4w92xVZD0
-05:40 王立物流倉庫-


ゴゥンゴゥン…

男「と、いうわけで」

ナビ『どーゆーわけや』べしっ

男「同乗者だ」

同僚ナビ『おはようございます』

ナビ『おー!どーちゃんおはよーさん!』ハイタッチ

同僚ナビ『朝から元気ですわね』ハイタッチ

ナビ『今日はどしたん??』

同僚ナビ『同僚さんが例の新規事業にかかりきりでやる事がないのです』ハァ

同僚ナビ『今日は宅配もヒマそうでしたので、配車係さんに頼んで同乗させて頂きましたの』

男「たまには他の奴の仕事を見学するのも勉強になるんじゃないか?ってさ」

ナビ『そーゆーことね!どーちゃんなら大歓迎やで!』ニカッ

208 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:36:34.44 ID:4w92xVZD0
同僚ナビ『良かったですわ。それで今日はどちらに向かいますの?』

男「今日は西の街へ武器防具の搬入だ」

ナビ『最近多いなーこの運行』

男「軍と魔族の衝突がそれだけ増えてるって事なんだろうな」

男「それ自体は喜べる事じゃないが、軍備が整うことで傷付く人が減るのなら」

ナビ『ウチらの仕事も誰かの役に立ってるって事やもんな♪』

ナビ『うっし!ほんなら行きますかぁ』

男「あぁ、今日も頼むぞ」

ナビ『はいなぁ♪どーちゃんもよろしゅーね』ニコッ

同僚ナビ『勉強させて頂きますわ』

ブォン!ブロロロ…

209 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:38:12.95 ID:4w92xVZD0
-道中 街道-


ブロロロ…

男「…。」

ナビ『…。』

同僚ナビ『…。』


ナビ『…ん、はい』ポチッ

男「うん」

同僚ナビ『…。』


男「…。」

ナビ『…。』

同僚ナビ『…。』


男「…あ、あれ」

ナビ『はぃな』

同僚ナビ『…。』


男「…。」

ナビ『…。』

同僚ナビ『…あ、あの』

210 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:39:43.31 ID:4w92xVZD0
ナビ『んー?どしたん?』

同僚ナビ『さっきからお二人、ほとんど会話してないですわね』

男「そうかな?」

同僚ナビ『なのにお互いの意図を正確に把握出来ていて、連携も完璧…』

同僚ナビ『見ていて少し気持ち悪い位ですわ』

ナビ『ひどいなーどーちゃん!』ケラケラ

同僚ナビ『気を悪くなさらないで下さいまし…でも一体どうやって会話なしで意思疎通を図っているんですの?』

男「んー何となく、かな?」

ナビ『なー。何となく分かってしまうねん、お互いの考えとぉ事』

同僚ナビ『何となく、ですか?』

211 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:40:44.65 ID:4w92xVZD0
男「まぁ元々が同じ心を持ってるわけだしな」

ナビ『そーそー。で、この前の再リンクで更に絆が深まった的な?』ニコッ

同僚ナビ『まぁそれを言われれば…私と同僚さんとは全然違うもので驚いたのです』

ナビ『どーちゃん達はどんな感じなん?』

同僚ナビ『運行中ですか?んー同僚さんがあの調子ですからね』

同僚ナビ『カーゴの運転を含めて大まかな作業は同僚さんが行なって、私は配送時間の管理などのサポート的な役割ですわ』

男「分業制なんだな」

ナビ『なー!確かにウチらと全然違うかも』

同僚ナビ『そうですわね』

同僚ナビ『しかし配車係さんの仰るように、違う方の仕事ぶりを見るのも良い勉強になりますわ』

同僚ナビ『真似は出来そうにありませんが』クスッ

212 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:43:56.62 ID:4w92xVZD0
-大陸中央部 平原地帯-


ビュォォォォォ…

同僚「さんみぃぃぃぃぃぃぃぃwww」

同僚「おい聞いてねぇぞww王国じゃもうコートもいらねぇってのにwwww」ガクガク

同僚「とりあえず目標地点はもうちょい北の方かwww」

ザッザッ

213 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:44:53.26 ID:4w92xVZD0
同僚「ん?誰かいるぞww」

同僚「…ありゃここらで暮らしてる遊牧民じゃねぇかwwラッキーwww」

同僚「すんませーんwww」ブンブン

遊牧民「何だお前そんな薄着で、旅の者か?」

遊牧民「…ん?その紋章は…」ユビサシ

同僚「へ?あぁ協会員証(パス)かww」

遊牧民「という事は、お前さん西の王国の者か」

同僚「そーなんすよwwwいや話が早くて助かりますぅwww」ヘラヘラ

同僚「実はですねぇwww」

かくかくしかじか

214 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:45:43.80 ID:4w92xVZD0
同僚「てわけでwwその地図に載ってない場所を調べに来たんすわwww」

遊牧民「そうか。西の王国の者とあれば無碍には出来ん」

遊牧民「ついて来い、案内する」

同僚「あざーっすwwwお願いしますwww」

ザッザッ…

215 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:47:40.13 ID:4w92xVZD0
-物流協会事務局 大会議室-



カリカリ…

修道女「ふぅ、とりあえず王国周辺の地図情報の編纂はこんな所ですか」パサッ

修道女「でも…仮に世界中の地図情報を網羅出来たとして」

修道女「実際に品物を転移させるにはどうしたら良いのでしょう…?」

修道女「毎回私が転移魔法を使うわけにもいかないでしょうし」

修道女「女さんは転移システムと仰っていましたが」

修道女「そんなものを動かすのに一体どれだけ膨大な魔力が必要なのか…見当もつきません」ウーム
216 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:48:23.95 ID:4w92xVZD0
修道女「…それに」ペラッ

修道女「地図でいう北の果て」トントン

修道女「存在する全てが凍りつく極寒の地」

修道女「世界中を、と言うならここもその範囲に入るのでしょうか…」

修道女「こことも交易を…?まさかね」

217 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:50:17.92 ID:4w92xVZD0
-物流協会事務局 女の執務室-


女「国王陛下が?」キョトン

事務局高官「僕も驚いたよ、まさか一介のドライバーとナビの話で陛下に呼び出されるとはね」

女「同感です…それで、陛下は何と?」

事務局高官「とりあえず男くんとナビシステムの動向から目を離すな、との事だ」

事務局高官「口ぶりからすると、男くんとナビシステムの親和性…シンクロ率とでも言うか」

事務局高官「それが高まっている事を気にされているようだったな」

218 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:51:39.33 ID:4w92xVZD0
女「シンクロ率…心の距離を数値化する事は出来ませんが、そういえば」

女「再リンク以後、彼らの会話が極端に減っていると聞いています」

事務局高官「減ってる?増えてるんじゃなくて?」

女「もう言葉を交わさなくても大抵の事は理解し合えるようです」

事務局高官「それは凄いな、僕も女房とそんな風になれるといいんだが」ハハ

女「…それはさて置き、親和性が高まる事が何か問題になり得るのでしょうか?」

女「実際に男くんの業務効率は向上していますし、メリットしかない気がしますが」

219 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:54:34.22 ID:7Ie26JGBO
事務局高官「さぁ、良いとも悪いとも言わなかったからねぇ」

事務局高官「ただ気にしているのは確かなんだろうけど」

女「一体何なんでしょう…」

事務局高官「今の段階では何とも。まぁ我々に出来る事はそう多くない」

事務局高官「とりあえず女くんも、彼らについて何か変化があれば教えて下さいね」

女「分かりました」

ガチャ カツカツカツ…

女「男くんとナビちゃんの親和性…」

女「さっぱり分からないわ、陛下は何を懸念しているの…?」

220 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:59:24.71 ID:7Ie26JGBO
-14:40 王立物流倉庫-


ゴゥンゴゥン…

同僚ナビ『今日はありがとうございました』ペコッ

男「お疲れ様」

ナビ『どーちゃんおつかれ♪まぁウチらの仲の良さは是非とも覚えて帰ってや!』ニカッ

同僚ナビ『またあなたって人は…あ、そういえば男さん』

同僚ナビ『同僚さんの所へは行かれましたの?』

男「それがまだなんだ、何ならこれから事務局に顔を出そうと思っててさ」

同僚ナビ『あらそうなんですの?それなら私も一緒に連れて行って下さいませんか?』

ナビ『お!それならウチも行くー?』

男「おい遊びに行くんじゃないんだぞ?…でもまぁ同僚も喜ぶかもな」

ナビ『せやろ?なー連れてってー??』

男「分かったよ、運行報告上げるついでに配車係さんに声掛けて行こう」

ナビ『やったー!』キャッキャ

同僚ナビ『お手数お掛けしますわ』

男「いいって。それじゃ行こうか」ピッ

[運行データヲ記録シテイマス…]

221 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:00:30.47 ID:7Ie26JGBO
-物流協会事務局 大会議室-


コンコン ガチャ

男「同僚お疲れ様…って、あれ?」

同僚ナビ『あら、あなたは』

ナビ『噂のたゆんたゆんハニー!』

修道女「み、皆さんお久しぶりです」ペコッ

222 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:01:39.92 ID:7Ie26JGBO
修道女「と、いうわけなんですよ」

男「新規事業…なかなか壮大なスケールなんだな」

ナビ『同僚ちゃん大抜擢やん!』

同僚ナビ『確かに、彼の力が認められたと思えば』

同僚ナビ『私としても鼻が高いですわ』

男「修道女さんも、今回は顧問として呼ばれてるんですね」

修道女「い、今の所同僚さんの編纂作業のお手伝いしかしてませんけど」アハ

同僚ナビ『あなたには専門の分野があるのですから』

同僚ナビ『いずれ存分に力を発揮されるのでしょう』

ナビ『おねーさんカッコえぇなー!』

223 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:03:15.96 ID:4w92xVZD0
男「それで同僚は早速転移魔法で飛んでったわけかー」

修道女「はい、今ちょうど地図でいうこの辺りに」トントン

男「この辺…平原地帯か」

ナビ『こんなだだっ広いとこになんかあんのー?』

修道女「はい。大陸中央部の北のこの辺りだけ」グリグリ

修道女「地図情報がすっぽり抜け落ちているんです」

同僚ナビ『今ペンで囲った周辺はどうなんですの?』

修道女「あまり詳しくはないですが、少なくとも山や河などの情報は有ります」

男「そこだけ地図から抜け落ちてる…普通に考えれば…」ムム

ナビ『なにー?』

224 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:04:50.36 ID:4w92xVZD0
男「調査に入れないほど治安が悪い、とかか?」

修道女「」

ナビ『あー武装勢力とか?』

同僚ナビ『ア◯カイダとかイ◯ラム国みたいな感じですわね』

修道女「」

ナビ『まーでも新規事業!って言うてババーンとやってんねから』

男「そうだよな」

同僚ナビ『当然、それなりの装備でご出立したのでしょうね』

男・ナビ・どー「ねー」

修道女「あばばばば」ブクブク

男「ち、ちょっと修道女さん!」

225 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:10:56.38 ID:4w92xVZD0
-大陸中央 平原地帯-


ビュォォォォォ…

遊牧民「西の王国の軍隊には、昔に世話になったんだ」

遊牧民「今は鞍替えして運送屋なんぞやってるって話は聞いていたが」

爺「本当だったんだな」

同僚「協会員証(パス)がこんな所で役に立つとはwww」

同僚「持ってて良かったwww」

同僚「ん?しかしこんな遠い所まで王国の軍が派兵されたなんて聞いた事ないぞwww?」

遊牧民「この辺りの人間なら誰でも知ってる事さ」

遊牧民「20年前のあの時、文字通り焼け野原となったこの地に」

遊牧民「王国の軍がいち早く救援に駆けつけてくれたんだ」

遊牧民「俺達は受けた恩を忘れないのさ」

同僚「素敵wwwここ来て良かったwww」

遊牧民「それ以外も、な」ギロリッ
226 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:14:12.87 ID:4w92xVZD0
同僚「…へ?」

遊牧民「こんな暮らしをしている我々だが、一応国家という共同体を構えている」

遊牧民「そして我々の国家は、西の王国とは交易を結ばない事になっている」

同僚「何でよーwwwそんなに恩義を感じてくれてるのにwww」

遊牧民「…行けば分かるさ」ギリッ

227 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:15:09.93 ID:4w92xVZD0
遊牧民「ほら、見えてきたぞ」

遊牧民「あれが、お前さんの言ってた場所…」

遊牧民「勇者の落涙だ」

228 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:16:07.40 ID:4w92xVZD0
途中ですが今日はここまでとします
ありがとうございました
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 08:44:25.68 ID:SJq5Mz65O

2部の主人公は同僚って感じなのかな?
230 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 12:57:06.96 ID:7Ie26JGBO
投下します
231 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 12:58:14.06 ID:7Ie26JGBO
-夕刻 物流協会事務局 女の執務室-


先輩「女ー?いるかー?」コンコンッ

シーン…

先輩「あれ、出掛けてるのか」

スタスタ

先輩「あ、なぁ君」

事務局職員「は、はい?」

先輩「女君どこへ行ったか知ってるかな?」

先輩「ちょっとナビシステムの事で聞きたい事があってさー」

事務局職員「女さんですか?」

事務局職員「女さんなら港湾倉庫へ管理簿を取りに行って、そのまま直帰の予定ですが」

先輩「あ、そーなんだー!」

232 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 12:58:51.75 ID:7Ie26JGBO
事務局職員「何か伝言を残しておきましょうか?」

先輩「うーんそうだね」

先輩「じゃ"君の瞳に乾杯"とでも伝えておいてくれ」

事務局職員「え、えぇ!?」

先輩「ちゃんと気持ちを込めて言うんだぞ?」

先輩「なんだかんだ女性はそういうのに弱いものさ」ウインク

先輩「ほいじゃ失礼、ありがとねー」ヒラヒラ

事務局職員「な、なんだったんだ…」

233 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 12:59:35.15 ID:7Ie26JGBO
先輩「管理簿なんて運行で訪れたドライバーにでも渡せばすむ話だろ」

先輩「しかも協会の書類を持って直帰って…んな訳あるか」

先輩「あいつ…何してるんだ?」

234 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:02:50.04 ID:7Ie26JGBO
-翌日夜 王都酒場街-


[BAR REQUIEM]

カランッ…

女「わけが分からないわ」クイッ

先輩「国王陛下のお出ましとは穏やかじゃないな」グイッ

女「男くんとナビちゃんとの親和性…」

女「それが向上すると何かが起こる…?」

女「ダメ…足りないピースが多過ぎる」ウーン

先輩「そもそもナビシステムって何なんだろうな」カランッ

先輩「あ、俺アードベッグおかわりね」

先輩「君は?」

女「…マティーニ、うんとドライで」

先輩「あらら…」

235 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:04:00.95 ID:7Ie26JGBO
<お待たせしました

女「…ナビシステムが本格的に運用され始めたのは約15年前」クイッ

女「噂では、私達の故郷である北西の村での事故を受けて開発が始まったらしいんだけど」

先輩「20年前のあれか」

先輩「それについてなら、俺も少し調べてみたんだが」

女「何か分かったの!?」ガタッ

先輩「まぁ落ち着けって…どうやら20年前のあの時、被害を受けたのは北西の村だけじゃないらしいんだ」

先輩「公式な記録には残っていないが世界各地…とりわけ大陸中央部での被害が甚大だったらしい」

女「大陸中央部?」

236 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:06:23.66 ID:7Ie26JGBO
先輩「あぁ。正確には大陸中央部から北に向かったある一部のエリアが消失したらしい」グイッ

女「消えた?破壊されたのではなくて?」

先輩「俺も昔のよしみで軍の奴に聞いただけなんだけどな」

女「協会(うち)に来る前は軍にいたんですっけね」

先輩「で、その消失した場所…今でも地図には載ってないらしいが」

先輩「地元では"勇者の落涙"と呼ばれてるらしい」

女「勇者の落涙…聞いた事もないわ」

先輩「…と、いう話を伝えに昨晩君のオフィスへ行ったんだが」

先輩「タイミングが悪かったらしい」

女「昨晩?…あぁ、事務局の高官に急に呼び出されてね」

女「男くんとナビシステムの事、くれぐれも頼むぞって念を押されちゃった」クス

先輩「…そうか」
237 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:07:01.92 ID:7Ie26JGBO
先輩「ま、とにかく20年前その場所で何かがあった」カランッ

先輩「恐らく勇者と魔王の大規模な戦闘だとは思うが」

女「そこでの被害を受けて、魔法石を用いたナビシステムの開発が始まった」

先輩「加えて言うなら、当時の陸軍が解体されて今の物流協会に再編成されたのもその頃だ」

女「…少しずつピースが揃いつつあるけど、まだ足りないわね」グイーッ

先輩「おいおい大丈夫か?」

女「大丈夫よ…ちょっと探究心に火がついてるだけ」フフッ

先輩「…そうなると止まらないからな、君は」

女「よく分かってるじゃない」ニコッ

先輩「…。」ハァ

先輩「そんなに気になるなら当事者に聞いてみればどうだ?」

女「当事者?…あっ」

238 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:08:11.47 ID:7Ie26JGBO
-大陸中央部 平原地帯-


遊牧民「この丘の向こうだ」

遊牧民「歩いてすぐだから見て来るといい。俺はここで待ってる」

同僚「なんすかwwここまで来て一緒に行かないんすかwww」

遊牧民「あそこは気が滅入る」

同僚「なんだよつれねーなwww了解っすwじゃ見てきますよっとww」

ザッザッザッ…

遊牧民「…。」ジッ

239 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:08:56.08 ID:7Ie26JGBO
-勇者の落涙-


…オォォォォォオォォォ…

同僚「でけぇぇぇwww」

同僚「小高い丘を登った先がクレーターみたいになっててw」

同僚「直径は…そーねー東◯ドーム位かしらんwww?」

同僚「で?その中は…www」ノゾキー





同僚「っ!?」ゾクッ

同僚「は、はい…!?」

240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 13:09:01.91 ID:oi0GoT7J0
一部はドライバー周辺の話だったのに
二部でいきなり王国の企みとか、地図作りに世界中を飛び回るとか出てきて困惑してる。もう少しゆっくり展開していかないと置いてけぼり感が半端ない。
241 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:09:56.15 ID:7Ie26JGBO
同僚「意味が分からん…」ザッザッザッ

遊牧民「戻ったか」

同僚「…暗くて見えないとかってんじゃない」

同僚「クレーターの中の空間そのものがまるで切り取られたみたいに」

同僚「存在してない…」

同僚「なんだありゃ…何が起こったらこんな事になるんだ??」ガタガタ

遊牧民「…20年前のあの日、この地で勇者と魔王の大規模な戦闘があった」

遊牧民「恐らく、先代の勇者はそこで決着をつけるつもりだったのだろう」

遊牧民「持てる力の全てを出し尽くし、しかし魔王には深手を負わせたものの倒す事は出来ず」

遊牧民「その時の勇者の攻撃の残滓が、彼の失意の涙と共にこの地を抉った…」

遊牧民「そう言われている」

同僚「伝聞かいwww」

遊牧民「空間が消し飛ぶ程のエネルギーだぞ?近くで見物なぞ出来るわけなかろう」

同僚「それもそうかwww」

242 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:11:12.16 ID:7Ie26JGBO
遊牧民「俺達は家を持たないから、勇者達がこの地に訪れると分かった時点で避難を始めた」

遊牧民「だがそれでも、少なくない数の同胞が巻き込まれて土地と共に消滅した」

同僚「し、消滅…!?」ギョッ

遊牧民「…いち早く駆けつけてくれた王国軍には感謝している」

遊牧民「勇者達の事も、仕方なかったと一定の理解はしている」

遊牧民「だが、結果として我々が同胞を…家族を失った事は確かだ」

同僚「…。」

遊牧民「勇者と、彼を擁立した王国…」

遊牧民「我々が王国と交易を結ばないのはそういった理由だ」

243 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:12:22.73 ID:7Ie26JGBO
同僚「すんません…なんか、俺」シュン

遊牧民「気に病むな、お前さんを責めるつもりはない」肩ポンッ

遊牧民「かつてそういった歴史があった、という話だ」

遊牧民「そして、その時の残滓…涙の欠片が」

遊牧民「ここから世界各地に飛び散ったのだ」

同僚「涙の欠片?じゃあそれが…」

爺「王国の方でも被害があったんじゃないか?」

同僚「えぇ、俺の同期の奴の故郷に」

同僚「…勇者の落涙、か」ジッ

…オォォォォォオォォォ…

244 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:13:20.92 ID:7Ie26JGBO
-05:00 隣国港-


ゴゥンゴゥン…

ナビ『えらい時間にえらい場所やな』

男「今日の運行は長丁場だからなー」

ナビ『えーと今日の積み地は…水の街?』ピラッ

男「街というか島だな」

男「街中に運河が張り巡らされているんだよ」

ナビ『運河って川?そんなとこカーゴで入っていけるん??』

男「いや、島内は車両通行禁止だ」

男「陸地から橋を渡った街の入り口近くに倉庫があって、そこで積むんだよ」

ブォン!ブロロロ…
245 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:14:50.99 ID:7Ie26JGBO
-11:00 隣国 街道-


ブロロロ…キキッ

ナビ『すごーい!海の上に橋が架かっとぉー!!』

男「橋の全長は約10km、さすがに街の様子は見えないな」

ナビ『海の向こうへ続く橋…ロマンチックやけどちびっと怖いかも』ブルッ

男「…帰って来れなかったらどうする?」ニヤァ

ナビ『いやぁぁやめてぇぇ!!』ブンブン

男「冗談だよ」ケラケラ

男「それじゃ行こうか」

ナビ『うぅ…今日の男ちゃんいじめっ子やぁ…発進しますぅ』ウルウル

ブォン!ブロロロ…


246 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:15:35.62 ID:7Ie26JGBO
ナビ『ほぇー…』ウットリ

ナビ『海の上を…飛んでるみたいや』

男「ホントだな、走ってるというより飛んでる感じだ」

ナビ『鳥や!ウチは鳥になったんや…!』トリー

男「おーい帰ってこーい」

ブロロロ…


247 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:16:50.56 ID:7Ie26JGBO
-11:15 水の街 倉庫-


ブロロロ…キキッ

ナビ『とうちゃーく!』

男「港から6時間、なかなかの距離だったな…んー」ノビーッ

ナビ『男ちゃんおつかれさま!』

男「ナビもな。お疲れ様」ポンポン

ナビ『ん。へへっ♪』ニコッ

男「さて、早速荷物を積むか」

倉庫職員「おーいこっちこっち!」テマネキ

倉庫職員「バックで入って来ておくれー!」

男「了解でーす!」

ピーッ ピーッピーッ

248 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:17:30.74 ID:7Ie26JGBO
倉庫職員「長旅ご苦労さん!これが今日積んでってもらうクリスタル細工だよ」

パカッ…キラキラッ

ナビ『わぁ…すっっげー!!!』キャッキャ

男「クリスタル細工といっても色のバリエーションが豊富なんですね」

倉庫職員「豊かな色味もここらのクリスタル細工の特徴なのさ」スッ

倉庫職員「ちょっと持ってみるかい?」ズイッ

男「え、いいんですか?」

倉庫職員「どの道王国までアンタに運んでもらうんだ」

倉庫職員「どんなモンか知っておいてもらって損はない、そうだろ?」ニコッ

男「そ、それじゃ失礼して…」ソーッ

ナビ『お、男ちゃん落としたアカンで!フリやないで!!』ハラハラ

249 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:18:31.57 ID:4w92xVZD0
男「おぉ…!びっくりする程軽い…!」

倉庫職員「クリスタルを薄く仕上げるのが職人の腕の見せ所なのさ」フフン

ナビ『そっか、薄ければその分軽くなるわけやな!』

倉庫職員「まぁ混ぜる色味によっても多少変わるんだけどね」

倉庫職員「どうだ、すごいだろ」ニカッ

男「す、すごいです」コクコク

ナビ『えぇなぁ…めっっちゃ綺麗…』ウットリ

倉庫職員「なんだいお嬢ちゃん、すっかり気に入ったみたいだねぇ!」

ナビ『こんなん女の子やったら誰でも惚れてまうって!』

倉庫職員「分かるよ!アタシも歳は食ったが心は女の子だからね!」ハハッ

倉庫職員「よし!ちょいとお待ち!」ゴソゴソ

男「?」

250 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:24:51.32 ID:4w92xVZD0
倉庫職員「さすがにグラス何かはちと厳しいけど、これならいいだろ」スッ

倉庫職員「クリスタル製の鈴だよ、お土産に持っていきな」チリンッ

男「えっ!いいんですか!?」

倉庫職員「可愛いお嬢さんには優しくってのがここらのやり方なのさ」ウインク

ナビ『うぉぉーマジかぃー!職員さんありがとぉー!!!』

チリンッ…


251 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:25:43.87 ID:4w92xVZD0
男「積み込み完了!」ゴトッ

ナビ『伝票印字中ー』ジジジ ペリッ

男「じゃあ確かにお預かりしました」

倉庫職員「頼んだよ!」

倉庫職員「そういやそろそろランチタイムだね、街で食べてくんだろ?」

男「出来ればそうしたいな、と」

ナビ『ご飯っご飯♪』ウキウキ

倉庫職員「だったらすぐそこの桟橋からヴァポレットに乗って行くといいね」

倉庫職員「カーゴは倉庫の脇に停めてって構わないから」

男「色々ありがとうございます」ペコッ

ナビ『ホンマにありがとー!!』

倉庫職員「なんて事ないさ!水の街へようこそってね!」ニカッ

252 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:28:49.99 ID:4w92xVZD0
-11:30 水の街 倉庫桟橋-



男「桟橋って事は舟か」

魔法石(ナビ)『職員さんの言ってはった…ば、ばぽ…』

男「ヴァポレットだったかな」

スーッ スーッ… ザブンッ

船長「あいお待ちどうさん」ゴトッ

男「すごい…手漕ぎなのか」

魔法石(ナビ)『カーゴがそこら中走り回っとぉ時代に…軽くカルチャーショックや』

253 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:29:41.86 ID:4w92xVZD0
スーッ スーッ… ザブンッ ザブンッ

男「座って乗って大人8人位が定員かな」

男「なるほど、手漕ぎだから本当に波の音しか聞こえない」

男「それと…」

魔法石(ナビ)『♪』チリンチリンッ

男「その鈴すっかりお気に入りだな」

魔法石(ナビ)『風に揺られる度にえぇ音が…ほんで可愛いし』ニコニコ

男「良かったな」ニコッ

魔法石(ナビ)『シップとは全然違うけど、こういうお舟もえぇな!ふぜーがあって!』ウキウキ

254 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:30:37.25 ID:4w92xVZD0
-11:40 広場桟橋-


スーッ スーッ… ザブンッ

船長「はいお疲れさん」ゴトッ

男「ありがとうございました」ストッ

魔法石(ナビ)『船長さんありがとー!』チリンッ

男「さて、何を食べようかなー」

チョイチョイ

男「ん?誰か引っ張ったか?」キョロキョロ

魔法石(ナビ)『男ちゃん、下や!』

男「下?」ミオロシー

仮面娘「」チョイチョイ

男「のわっ!!」ビクビクッ

255 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:31:36.58 ID:4w92xVZD0
魔法石(ナビ)『猫の仮面を被っとぉ女の子…めっちゃちっちゃいな』

仮面娘「お前に言われたくないぞ石っころ」

魔法石(ナビ)『な、なんやと!?』ムカッ

男「まぁまぁ、迷子かも知れない」シャガミ

男「どうしたの?家族とはぐれちゃったのかな?」ニコニコ

仮面娘「お前、光を見たな?」


256 : ◆o/5nn0YDew [saga ]:2018/04/29(日) 13:32:44.00 ID:4w92xVZD0
男「?」

仮面娘「」クルッ

タタンッ… クルクルッ

仮面娘「嘆きの夜に星粒降った」♪

仮面娘「星の礫が島を屠った」♪

男「…な、なにを」

仮面娘「涙の欠片は揺るがぬ力」♪

仮面娘「その身を救うか」♪

仮面娘「食われて死ぬか」♪

仮面娘「どちらに転ぶか心次第」♪

クルッ タタタタッ…

257 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:34:23.55 ID:4w92xVZD0
魔法石(ナビ)『行ってもた』ジーッ

魔法石(ナビ)『しっかしなんやあのチビっ子!ウチを石っころ呼ばわりしてからに!』ムキーッ

男「…。」ポカーン

魔法石(ナビ)『おーい男ちゃーん?』チリンチリンッ

男「光…嘆きの夜…」

男「涙の欠片…?」

258 : ◆o/5nn0YDew [saga ]:2018/04/29(日) 13:36:53.84 ID:4w92xVZD0
-13:00 水の街 倉庫-


男「…って事があったんですよ」

倉庫職員「あぁ嘆きの夜ね、20年前の」

男「20年前!?それって…!」

倉庫職員「ここから遥か北の大陸で勇者と魔王の戦いがあって、流れ弾が街に落ちたんだって」

倉庫職員「幸いこの街は運河や水路が張り巡らされてるから、大きな火災にはならなかったんだけど」

倉庫職員「それでも結構な人数が死んじまったもんだから、街の向こうの小島…まぁ本当に小さな島なんだけど」

倉庫職員「そこを丸ごと墓地にして埋葬したんだよ」

魔法石(ナビ)『島を丸ごと墓地に!?』

男「そうだったんですか…ちょうど同じ頃です、俺の故郷が同じような目に会ったのも」

倉庫職員「そうかい…まぁその頃は今より魔族の数も多かったって言うしねぇ」

259 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:38:09.84 ID:4w92xVZD0
男「あと、その女の子が"涙の欠片"って言ってたんですけど…」

倉庫職員「涙の欠片?そん時降ってきた流れ弾の事かねぇ」

倉庫職員「それは聞いた事ないねぇ、すまないけど」

男「いえいえ、色々とありがとうございます」ペコッ

倉庫職員「いいんだよ!」ニカッ

倉庫職員「あ、それとね」


260 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:40:27.14 ID:4w92xVZD0
魔法石(ナビ)『?』

倉庫職員「兄ちゃんさっき女の子って言ってたけど…ありゃ80過ぎのお婆さんだよ」

男「いいっ!??」

魔法石(ナビ)『う、嘘やろ…』ガビーン

倉庫職員「20年前に嘆きの夜に体験した事を、街を訪れる人に歌って聞かせて回ってるのさ」

倉庫職員「ま、20年前でも60過ぎだからやっぱりお婆さんなんだけどねぇ」ゲラゲラ

男「信じられん…てっきり迷子か何かだと」アゼン

魔法石(ナビ)『ホンマや…不思議な街やなぁココ…』ボーゼン

261 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:57:33.62 ID:4w92xVZD0
-鍛治職人の里 親父の家-




親父「女!久しぶりだな!」

女「すみません、全然顔も出せずに」

親父「なぁに気にすんな!若い奴が忙しいのはいい事だ」

女「おじ様も里の皆様も、お元気そうで安心しましたわ」

親父「ハハッ。あんなもんでくたばる程落ちぶれちゃいねぇよ」

親父「俺も、里の連中もな」ガハハ

親父「しかし珍しいじゃねぇか、事務局勤めだと運行には出ないんだろ?」スッ…シュボッ!

女「えぇ基本的には。今日はおじ様や里の皆様のご様子を伺いに」

親父「…って訳じゃねぇのは顔を見りゃ分かるぜ?」スゥ…スパァァ

女「…流石ですわ」

262 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:58:22.25 ID:4w92xVZD0
親父「そりゃ分かるさ、自分の娘の事だからな」ニコッ

女「…おじ様のその言葉、どんな時も私の心の支えです」ニコッ

親父「それで、今日はどうした?彼氏でも出来たか!」ケラケラ

女「ち、違いますわ!」

女「…それはまた改めて」ボソッ

親父「お、おいマジか…」タジッ

女「コホンッ!…今日はどちらかと言うと、おじ様のお話を伺いに来ました」

親父「俺の?」

女「おじ様…もとい、先代勇者一行の一人」

女「伝説の剣士様のお話を、です」

親父「…。」スパァァ…

263 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:05:30.94 ID:4w92xVZD0
-物流協会事務局 大会議室-


修道女「…。」ウツラウツラ

…バシュゥゥ!

修道女「っ!!」ビクッ

修道女「ど、同僚さん!?」

同僚「ただいまちゃーんwww」

修道女「お、おかえりなさい!」

同僚「いやぁ転移魔法って結構酔うのねコレwww」フラッ

修道女「ご、ご無事ですか!?」アタフタ

同僚「どうにかなwww運良く地元の人に案内してもらえたからよww」

修道女「じ、地元の人…!?」ビクッ

修道女「だだだ大丈夫でしたか!?首と胴体ちゃんと繋がってますか!??」グイグイ

同僚「何を縁起でもねぇwwwちょwwいってぇぇ引っ張るんじゃねぇぇwww」ジタバタ

264 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:06:36.46 ID:4w92xVZD0
同僚「なるほどなww男の意見の方が遥かに現実的だわwww」ウンウン

同僚「…現実より、な」

修道女「?」

同僚「さてw地図ぷりーずww」

修道女「は、はい!」ババッ

修道女「今回調査して来られたのは地図上でいうここ、大陸中央部の北端ですね」ツンツン

同僚「そうそうここねwwいやーありゃ地図には表せねぇよwww」

同僚「だって存在してねぇんだもんwww予想の斜め上過ぎwww」ケラケラ

修道女「そ、存在していない…?」ポカーン

同僚「まーそういうリアクションになるよねwww分かるーwww」

同僚「とりあえず勇者泣き過ぎィ!っていう話よwwwww」

修道女「何が何だかさっぱりです…」

265 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:07:25.85 ID:4w92xVZD0
同僚「だよねwwwまぁエールでも飲みながらゆっくり聞かせるよんww」

同僚「とりあえず今日もういいべwww飲んじゃうべwww繰り出しちゃうべwww」

修道女「し、しょうがないですねー!」

修道女「なんて。ホントにお疲れ様です」ニコッ

266 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:09:51.93 ID:4w92xVZD0
-19:00 隣国港-



サァァァァァ…



男「ダメみたいだな」ガチャ

ナビ『シップ動かんてー?』

男「あぁ、出航まで3時間は掛かるみたいだ」

ナビ『さ、3時間!?』

ピピッ

男「お疲れ様です男です、えぇそうみたいです、シップの故障で」

男「分かりました、はい了解です」カチャ

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