剣と魔法と運送業

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

202 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:16:43.17 ID:4w92xVZD0
先輩「まぁ運行が順調なら問題はないんだろうがな」

配車係「その辺はばっちりですね」ペラッ

配車係「最近の男さん、勤務時間や燃費効率が目に見えて向上してるんです」

先輩「同じ運行内容で拘束時間が短縮したり燃費が良くなったりしてるって事は」

先輩「それだけあいつらの連携が取れてるって事だもんな」

配車係「このまま安定してくれればいいんですけどねー」

203 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:17:54.98 ID:4w92xVZD0
先輩「お前にとっちゃ日々が平穏無事に過ぎる事が何より大事だもんな」

配車係「その為の配車係ですからね」ハハ

先輩「んじゃまぁ、行ってくるよ」フリフリ

配車係「はい!お気をつけてお願いします」ペコッ

配車係「と、もうひと頑張りだ」カタカタ

204 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:22:14.45 ID:4w92xVZD0
-物流協会事務局 大会議室-



バサァッ!…

同僚「とりあえず王都周辺はこんな感じかwww」

修道女「すごい…こんなに細かい道の事まで把握しているんですね」

同僚「宅配ドライバーなめんなwwwそれに王都は俺の地元だしなwww」

修道女「王国周辺に関しては協会発行の地図でほぼ事足りますね」ペラッ

同僚「まぁ協会のカーゴが毎日走り回ってるわけだからなww」

修道女「同じ理屈で隣国やその周辺までなら…問題はその向こうですか」

同僚「大陸中央部とその東、いわゆる極東地域ってとこだなwww」

同僚「ここらは独自の文化が根付いていて王国(こっち)とはあんまり交易が盛んじゃないのよwww」

修道女「独自の文化ですか」

同僚「簡単に言うとクセがすごいwww」

205 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:23:54.83 ID:4w92xVZD0
修道女「それから、極東地域から南に下った辺り…」

修道女「この辺に関しては地図情報そのものがありませんね」

同僚「南の果てねwww噂じゃ精霊が暮らす不思議アイランドがあるとかないとかwwww」

修道女「せ、精霊ですか?」

同僚「そういうリアクションになるよなwww精霊ナビシステムじゃなくてガチの精霊らしいよwww」

修道女「じ、実在するんですかね」

同僚「分からんwwwでも未だに地図が作れない位だから人智の及ばない何かがいても不思議じゃねーわなwwww」

修道女「い、行ってみたいですね…」ゴクリッ

同僚「詠唱士としては気になる所だよなwww」


206 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:25:05.96 ID:4w92xVZD0
同僚「まぁとりあえず近いとこからでいいんじゃね?例えば大陸中央部の北に謎エリアがあるしwww」トントン

修道女「そ、そうですね!何事も一歩ずつですよね!」

同僚「おっけwwwそれじゃ早速行きますかwww」ガタッ

修道女「はい!最初の目的地は大陸中央部!平原地帯の…ここです!」ビシッ



[風の息吹よ 大地の鼓動よ]パァァァァ…



同僚「なんかダー◯の旅みたいwwww wまぁ実際にぶっ飛ばされるのは俺なんだがwww」

修道女「転移します!」ビリビリ



パァァァァ…バヒューーーーーン…

207 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:34:44.36 ID:4w92xVZD0
-05:40 王立物流倉庫-


ゴゥンゴゥン…

男「と、いうわけで」

ナビ『どーゆーわけや』べしっ

男「同乗者だ」

同僚ナビ『おはようございます』

ナビ『おー!どーちゃんおはよーさん!』ハイタッチ

同僚ナビ『朝から元気ですわね』ハイタッチ

ナビ『今日はどしたん??』

同僚ナビ『同僚さんが例の新規事業にかかりきりでやる事がないのです』ハァ

同僚ナビ『今日は宅配もヒマそうでしたので、配車係さんに頼んで同乗させて頂きましたの』

男「たまには他の奴の仕事を見学するのも勉強になるんじゃないか?ってさ」

ナビ『そーゆーことね!どーちゃんなら大歓迎やで!』ニカッ

208 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:36:34.44 ID:4w92xVZD0
同僚ナビ『良かったですわ。それで今日はどちらに向かいますの?』

男「今日は西の街へ武器防具の搬入だ」

ナビ『最近多いなーこの運行』

男「軍と魔族の衝突がそれだけ増えてるって事なんだろうな」

男「それ自体は喜べる事じゃないが、軍備が整うことで傷付く人が減るのなら」

ナビ『ウチらの仕事も誰かの役に立ってるって事やもんな♪』

ナビ『うっし!ほんなら行きますかぁ』

男「あぁ、今日も頼むぞ」

ナビ『はいなぁ♪どーちゃんもよろしゅーね』ニコッ

同僚ナビ『勉強させて頂きますわ』

ブォン!ブロロロ…

209 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:38:12.95 ID:4w92xVZD0
-道中 街道-


ブロロロ…

男「…。」

ナビ『…。』

同僚ナビ『…。』


ナビ『…ん、はい』ポチッ

男「うん」

同僚ナビ『…。』


男「…。」

ナビ『…。』

同僚ナビ『…。』


男「…あ、あれ」

ナビ『はぃな』

同僚ナビ『…。』


男「…。」

ナビ『…。』

同僚ナビ『…あ、あの』

210 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:39:43.31 ID:4w92xVZD0
ナビ『んー?どしたん?』

同僚ナビ『さっきからお二人、ほとんど会話してないですわね』

男「そうかな?」

同僚ナビ『なのにお互いの意図を正確に把握出来ていて、連携も完璧…』

同僚ナビ『見ていて少し気持ち悪い位ですわ』

ナビ『ひどいなーどーちゃん!』ケラケラ

同僚ナビ『気を悪くなさらないで下さいまし…でも一体どうやって会話なしで意思疎通を図っているんですの?』

男「んー何となく、かな?」

ナビ『なー。何となく分かってしまうねん、お互いの考えとぉ事』

同僚ナビ『何となく、ですか?』

211 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:40:44.65 ID:4w92xVZD0
男「まぁ元々が同じ心を持ってるわけだしな」

ナビ『そーそー。で、この前の再リンクで更に絆が深まった的な?』ニコッ

同僚ナビ『まぁそれを言われれば…私と同僚さんとは全然違うもので驚いたのです』

ナビ『どーちゃん達はどんな感じなん?』

同僚ナビ『運行中ですか?んー同僚さんがあの調子ですからね』

同僚ナビ『カーゴの運転を含めて大まかな作業は同僚さんが行なって、私は配送時間の管理などのサポート的な役割ですわ』

男「分業制なんだな」

ナビ『なー!確かにウチらと全然違うかも』

同僚ナビ『そうですわね』

同僚ナビ『しかし配車係さんの仰るように、違う方の仕事ぶりを見るのも良い勉強になりますわ』

同僚ナビ『真似は出来そうにありませんが』クスッ

212 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:43:56.62 ID:4w92xVZD0
-大陸中央部 平原地帯-


ビュォォォォォ…

同僚「さんみぃぃぃぃぃぃぃぃwww」

同僚「おい聞いてねぇぞww王国じゃもうコートもいらねぇってのにwwww」ガクガク

同僚「とりあえず目標地点はもうちょい北の方かwww」

ザッザッ

213 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:44:53.26 ID:4w92xVZD0
同僚「ん?誰かいるぞww」

同僚「…ありゃここらで暮らしてる遊牧民じゃねぇかwwラッキーwww」

同僚「すんませーんwww」ブンブン

遊牧民「何だお前そんな薄着で、旅の者か?」

遊牧民「…ん?その紋章は…」ユビサシ

同僚「へ?あぁ協会員証(パス)かww」

遊牧民「という事は、お前さん西の王国の者か」

同僚「そーなんすよwwwいや話が早くて助かりますぅwww」ヘラヘラ

同僚「実はですねぇwww」

かくかくしかじか

214 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:45:43.80 ID:4w92xVZD0
同僚「てわけでwwその地図に載ってない場所を調べに来たんすわwww」

遊牧民「そうか。西の王国の者とあれば無碍には出来ん」

遊牧民「ついて来い、案内する」

同僚「あざーっすwwwお願いしますwww」

ザッザッ…

215 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:47:40.13 ID:4w92xVZD0
-物流協会事務局 大会議室-



カリカリ…

修道女「ふぅ、とりあえず王国周辺の地図情報の編纂はこんな所ですか」パサッ

修道女「でも…仮に世界中の地図情報を網羅出来たとして」

修道女「実際に品物を転移させるにはどうしたら良いのでしょう…?」

修道女「毎回私が転移魔法を使うわけにもいかないでしょうし」

修道女「女さんは転移システムと仰っていましたが」

修道女「そんなものを動かすのに一体どれだけ膨大な魔力が必要なのか…見当もつきません」ウーム
216 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:48:23.95 ID:4w92xVZD0
修道女「…それに」ペラッ

修道女「地図でいう北の果て」トントン

修道女「存在する全てが凍りつく極寒の地」

修道女「世界中を、と言うならここもその範囲に入るのでしょうか…」

修道女「こことも交易を…?まさかね」

217 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:50:17.92 ID:4w92xVZD0
-物流協会事務局 女の執務室-


女「国王陛下が?」キョトン

事務局高官「僕も驚いたよ、まさか一介のドライバーとナビの話で陛下に呼び出されるとはね」

女「同感です…それで、陛下は何と?」

事務局高官「とりあえず男くんとナビシステムの動向から目を離すな、との事だ」

事務局高官「口ぶりからすると、男くんとナビシステムの親和性…シンクロ率とでも言うか」

事務局高官「それが高まっている事を気にされているようだったな」

218 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:51:39.33 ID:4w92xVZD0
女「シンクロ率…心の距離を数値化する事は出来ませんが、そういえば」

女「再リンク以後、彼らの会話が極端に減っていると聞いています」

事務局高官「減ってる?増えてるんじゃなくて?」

女「もう言葉を交わさなくても大抵の事は理解し合えるようです」

事務局高官「それは凄いな、僕も女房とそんな風になれるといいんだが」ハハ

女「…それはさて置き、親和性が高まる事が何か問題になり得るのでしょうか?」

女「実際に男くんの業務効率は向上していますし、メリットしかない気がしますが」

219 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:54:34.22 ID:7Ie26JGBO
事務局高官「さぁ、良いとも悪いとも言わなかったからねぇ」

事務局高官「ただ気にしているのは確かなんだろうけど」

女「一体何なんでしょう…」

事務局高官「今の段階では何とも。まぁ我々に出来る事はそう多くない」

事務局高官「とりあえず女くんも、彼らについて何か変化があれば教えて下さいね」

女「分かりました」

ガチャ カツカツカツ…

女「男くんとナビちゃんの親和性…」

女「さっぱり分からないわ、陛下は何を懸念しているの…?」

220 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 01:59:24.71 ID:7Ie26JGBO
-14:40 王立物流倉庫-


ゴゥンゴゥン…

同僚ナビ『今日はありがとうございました』ペコッ

男「お疲れ様」

ナビ『どーちゃんおつかれ♪まぁウチらの仲の良さは是非とも覚えて帰ってや!』ニカッ

同僚ナビ『またあなたって人は…あ、そういえば男さん』

同僚ナビ『同僚さんの所へは行かれましたの?』

男「それがまだなんだ、何ならこれから事務局に顔を出そうと思っててさ」

同僚ナビ『あらそうなんですの?それなら私も一緒に連れて行って下さいませんか?』

ナビ『お!それならウチも行くー?』

男「おい遊びに行くんじゃないんだぞ?…でもまぁ同僚も喜ぶかもな」

ナビ『せやろ?なー連れてってー??』

男「分かったよ、運行報告上げるついでに配車係さんに声掛けて行こう」

ナビ『やったー!』キャッキャ

同僚ナビ『お手数お掛けしますわ』

男「いいって。それじゃ行こうか」ピッ

[運行データヲ記録シテイマス…]

221 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:00:30.47 ID:7Ie26JGBO
-物流協会事務局 大会議室-


コンコン ガチャ

男「同僚お疲れ様…って、あれ?」

同僚ナビ『あら、あなたは』

ナビ『噂のたゆんたゆんハニー!』

修道女「み、皆さんお久しぶりです」ペコッ

222 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:01:39.92 ID:7Ie26JGBO
修道女「と、いうわけなんですよ」

男「新規事業…なかなか壮大なスケールなんだな」

ナビ『同僚ちゃん大抜擢やん!』

同僚ナビ『確かに、彼の力が認められたと思えば』

同僚ナビ『私としても鼻が高いですわ』

男「修道女さんも、今回は顧問として呼ばれてるんですね」

修道女「い、今の所同僚さんの編纂作業のお手伝いしかしてませんけど」アハ

同僚ナビ『あなたには専門の分野があるのですから』

同僚ナビ『いずれ存分に力を発揮されるのでしょう』

ナビ『おねーさんカッコえぇなー!』

223 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:03:15.96 ID:4w92xVZD0
男「それで同僚は早速転移魔法で飛んでったわけかー」

修道女「はい、今ちょうど地図でいうこの辺りに」トントン

男「この辺…平原地帯か」

ナビ『こんなだだっ広いとこになんかあんのー?』

修道女「はい。大陸中央部の北のこの辺りだけ」グリグリ

修道女「地図情報がすっぽり抜け落ちているんです」

同僚ナビ『今ペンで囲った周辺はどうなんですの?』

修道女「あまり詳しくはないですが、少なくとも山や河などの情報は有ります」

男「そこだけ地図から抜け落ちてる…普通に考えれば…」ムム

ナビ『なにー?』

224 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:04:50.36 ID:4w92xVZD0
男「調査に入れないほど治安が悪い、とかか?」

修道女「」

ナビ『あー武装勢力とか?』

同僚ナビ『ア◯カイダとかイ◯ラム国みたいな感じですわね』

修道女「」

ナビ『まーでも新規事業!って言うてババーンとやってんねから』

男「そうだよな」

同僚ナビ『当然、それなりの装備でご出立したのでしょうね』

男・ナビ・どー「ねー」

修道女「あばばばば」ブクブク

男「ち、ちょっと修道女さん!」

225 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:10:56.38 ID:4w92xVZD0
-大陸中央 平原地帯-


ビュォォォォォ…

遊牧民「西の王国の軍隊には、昔に世話になったんだ」

遊牧民「今は鞍替えして運送屋なんぞやってるって話は聞いていたが」

爺「本当だったんだな」

同僚「協会員証(パス)がこんな所で役に立つとはwww」

同僚「持ってて良かったwww」

同僚「ん?しかしこんな遠い所まで王国の軍が派兵されたなんて聞いた事ないぞwww?」

遊牧民「この辺りの人間なら誰でも知ってる事さ」

遊牧民「20年前のあの時、文字通り焼け野原となったこの地に」

遊牧民「王国の軍がいち早く救援に駆けつけてくれたんだ」

遊牧民「俺達は受けた恩を忘れないのさ」

同僚「素敵wwwここ来て良かったwww」

遊牧民「それ以外も、な」ギロリッ
226 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:14:12.87 ID:4w92xVZD0
同僚「…へ?」

遊牧民「こんな暮らしをしている我々だが、一応国家という共同体を構えている」

遊牧民「そして我々の国家は、西の王国とは交易を結ばない事になっている」

同僚「何でよーwwwそんなに恩義を感じてくれてるのにwww」

遊牧民「…行けば分かるさ」ギリッ

227 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:15:09.93 ID:4w92xVZD0
遊牧民「ほら、見えてきたぞ」

遊牧民「あれが、お前さんの言ってた場所…」

遊牧民「勇者の落涙だ」

228 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 02:16:07.40 ID:4w92xVZD0
途中ですが今日はここまでとします
ありがとうございました
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 08:44:25.68 ID:SJq5Mz65O

2部の主人公は同僚って感じなのかな?
230 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 12:57:06.96 ID:7Ie26JGBO
投下します
231 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 12:58:14.06 ID:7Ie26JGBO
-夕刻 物流協会事務局 女の執務室-


先輩「女ー?いるかー?」コンコンッ

シーン…

先輩「あれ、出掛けてるのか」

スタスタ

先輩「あ、なぁ君」

事務局職員「は、はい?」

先輩「女君どこへ行ったか知ってるかな?」

先輩「ちょっとナビシステムの事で聞きたい事があってさー」

事務局職員「女さんですか?」

事務局職員「女さんなら港湾倉庫へ管理簿を取りに行って、そのまま直帰の予定ですが」

先輩「あ、そーなんだー!」

232 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 12:58:51.75 ID:7Ie26JGBO
事務局職員「何か伝言を残しておきましょうか?」

先輩「うーんそうだね」

先輩「じゃ"君の瞳に乾杯"とでも伝えておいてくれ」

事務局職員「え、えぇ!?」

先輩「ちゃんと気持ちを込めて言うんだぞ?」

先輩「なんだかんだ女性はそういうのに弱いものさ」ウインク

先輩「ほいじゃ失礼、ありがとねー」ヒラヒラ

事務局職員「な、なんだったんだ…」

233 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 12:59:35.15 ID:7Ie26JGBO
先輩「管理簿なんて運行で訪れたドライバーにでも渡せばすむ話だろ」

先輩「しかも協会の書類を持って直帰って…んな訳あるか」

先輩「あいつ…何してるんだ?」

234 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:02:50.04 ID:7Ie26JGBO
-翌日夜 王都酒場街-


[BAR REQUIEM]

カランッ…

女「わけが分からないわ」クイッ

先輩「国王陛下のお出ましとは穏やかじゃないな」グイッ

女「男くんとナビちゃんとの親和性…」

女「それが向上すると何かが起こる…?」

女「ダメ…足りないピースが多過ぎる」ウーン

先輩「そもそもナビシステムって何なんだろうな」カランッ

先輩「あ、俺アードベッグおかわりね」

先輩「君は?」

女「…マティーニ、うんとドライで」

先輩「あらら…」

235 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:04:00.95 ID:7Ie26JGBO
<お待たせしました

女「…ナビシステムが本格的に運用され始めたのは約15年前」クイッ

女「噂では、私達の故郷である北西の村での事故を受けて開発が始まったらしいんだけど」

先輩「20年前のあれか」

先輩「それについてなら、俺も少し調べてみたんだが」

女「何か分かったの!?」ガタッ

先輩「まぁ落ち着けって…どうやら20年前のあの時、被害を受けたのは北西の村だけじゃないらしいんだ」

先輩「公式な記録には残っていないが世界各地…とりわけ大陸中央部での被害が甚大だったらしい」

女「大陸中央部?」

236 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:06:23.66 ID:7Ie26JGBO
先輩「あぁ。正確には大陸中央部から北に向かったある一部のエリアが消失したらしい」グイッ

女「消えた?破壊されたのではなくて?」

先輩「俺も昔のよしみで軍の奴に聞いただけなんだけどな」

女「協会(うち)に来る前は軍にいたんですっけね」

先輩「で、その消失した場所…今でも地図には載ってないらしいが」

先輩「地元では"勇者の落涙"と呼ばれてるらしい」

女「勇者の落涙…聞いた事もないわ」

先輩「…と、いう話を伝えに昨晩君のオフィスへ行ったんだが」

先輩「タイミングが悪かったらしい」

女「昨晩?…あぁ、事務局の高官に急に呼び出されてね」

女「男くんとナビシステムの事、くれぐれも頼むぞって念を押されちゃった」クス

先輩「…そうか」
237 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:07:01.92 ID:7Ie26JGBO
先輩「ま、とにかく20年前その場所で何かがあった」カランッ

先輩「恐らく勇者と魔王の大規模な戦闘だとは思うが」

女「そこでの被害を受けて、魔法石を用いたナビシステムの開発が始まった」

先輩「加えて言うなら、当時の陸軍が解体されて今の物流協会に再編成されたのもその頃だ」

女「…少しずつピースが揃いつつあるけど、まだ足りないわね」グイーッ

先輩「おいおい大丈夫か?」

女「大丈夫よ…ちょっと探究心に火がついてるだけ」フフッ

先輩「…そうなると止まらないからな、君は」

女「よく分かってるじゃない」ニコッ

先輩「…。」ハァ

先輩「そんなに気になるなら当事者に聞いてみればどうだ?」

女「当事者?…あっ」

238 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:08:11.47 ID:7Ie26JGBO
-大陸中央部 平原地帯-


遊牧民「この丘の向こうだ」

遊牧民「歩いてすぐだから見て来るといい。俺はここで待ってる」

同僚「なんすかwwここまで来て一緒に行かないんすかwww」

遊牧民「あそこは気が滅入る」

同僚「なんだよつれねーなwww了解っすwじゃ見てきますよっとww」

ザッザッザッ…

遊牧民「…。」ジッ

239 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:08:56.08 ID:7Ie26JGBO
-勇者の落涙-


…オォォォォォオォォォ…

同僚「でけぇぇぇwww」

同僚「小高い丘を登った先がクレーターみたいになっててw」

同僚「直径は…そーねー東◯ドーム位かしらんwww?」

同僚「で?その中は…www」ノゾキー





同僚「っ!?」ゾクッ

同僚「は、はい…!?」

240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 13:09:01.91 ID:oi0GoT7J0
一部はドライバー周辺の話だったのに
二部でいきなり王国の企みとか、地図作りに世界中を飛び回るとか出てきて困惑してる。もう少しゆっくり展開していかないと置いてけぼり感が半端ない。
241 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:09:56.15 ID:7Ie26JGBO
同僚「意味が分からん…」ザッザッザッ

遊牧民「戻ったか」

同僚「…暗くて見えないとかってんじゃない」

同僚「クレーターの中の空間そのものがまるで切り取られたみたいに」

同僚「存在してない…」

同僚「なんだありゃ…何が起こったらこんな事になるんだ??」ガタガタ

遊牧民「…20年前のあの日、この地で勇者と魔王の大規模な戦闘があった」

遊牧民「恐らく、先代の勇者はそこで決着をつけるつもりだったのだろう」

遊牧民「持てる力の全てを出し尽くし、しかし魔王には深手を負わせたものの倒す事は出来ず」

遊牧民「その時の勇者の攻撃の残滓が、彼の失意の涙と共にこの地を抉った…」

遊牧民「そう言われている」

同僚「伝聞かいwww」

遊牧民「空間が消し飛ぶ程のエネルギーだぞ?近くで見物なぞ出来るわけなかろう」

同僚「それもそうかwww」

242 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:11:12.16 ID:7Ie26JGBO
遊牧民「俺達は家を持たないから、勇者達がこの地に訪れると分かった時点で避難を始めた」

遊牧民「だがそれでも、少なくない数の同胞が巻き込まれて土地と共に消滅した」

同僚「し、消滅…!?」ギョッ

遊牧民「…いち早く駆けつけてくれた王国軍には感謝している」

遊牧民「勇者達の事も、仕方なかったと一定の理解はしている」

遊牧民「だが、結果として我々が同胞を…家族を失った事は確かだ」

同僚「…。」

遊牧民「勇者と、彼を擁立した王国…」

遊牧民「我々が王国と交易を結ばないのはそういった理由だ」

243 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:12:22.73 ID:7Ie26JGBO
同僚「すんません…なんか、俺」シュン

遊牧民「気に病むな、お前さんを責めるつもりはない」肩ポンッ

遊牧民「かつてそういった歴史があった、という話だ」

遊牧民「そして、その時の残滓…涙の欠片が」

遊牧民「ここから世界各地に飛び散ったのだ」

同僚「涙の欠片?じゃあそれが…」

爺「王国の方でも被害があったんじゃないか?」

同僚「えぇ、俺の同期の奴の故郷に」

同僚「…勇者の落涙、か」ジッ

…オォォォォォオォォォ…

244 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:13:20.92 ID:7Ie26JGBO
-05:00 隣国港-


ゴゥンゴゥン…

ナビ『えらい時間にえらい場所やな』

男「今日の運行は長丁場だからなー」

ナビ『えーと今日の積み地は…水の街?』ピラッ

男「街というか島だな」

男「街中に運河が張り巡らされているんだよ」

ナビ『運河って川?そんなとこカーゴで入っていけるん??』

男「いや、島内は車両通行禁止だ」

男「陸地から橋を渡った街の入り口近くに倉庫があって、そこで積むんだよ」

ブォン!ブロロロ…
245 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:14:50.99 ID:7Ie26JGBO
-11:00 隣国 街道-


ブロロロ…キキッ

ナビ『すごーい!海の上に橋が架かっとぉー!!』

男「橋の全長は約10km、さすがに街の様子は見えないな」

ナビ『海の向こうへ続く橋…ロマンチックやけどちびっと怖いかも』ブルッ

男「…帰って来れなかったらどうする?」ニヤァ

ナビ『いやぁぁやめてぇぇ!!』ブンブン

男「冗談だよ」ケラケラ

男「それじゃ行こうか」

ナビ『うぅ…今日の男ちゃんいじめっ子やぁ…発進しますぅ』ウルウル

ブォン!ブロロロ…


246 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:15:35.62 ID:7Ie26JGBO
ナビ『ほぇー…』ウットリ

ナビ『海の上を…飛んでるみたいや』

男「ホントだな、走ってるというより飛んでる感じだ」

ナビ『鳥や!ウチは鳥になったんや…!』トリー

男「おーい帰ってこーい」

ブロロロ…


247 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:16:50.56 ID:7Ie26JGBO
-11:15 水の街 倉庫-


ブロロロ…キキッ

ナビ『とうちゃーく!』

男「港から6時間、なかなかの距離だったな…んー」ノビーッ

ナビ『男ちゃんおつかれさま!』

男「ナビもな。お疲れ様」ポンポン

ナビ『ん。へへっ♪』ニコッ

男「さて、早速荷物を積むか」

倉庫職員「おーいこっちこっち!」テマネキ

倉庫職員「バックで入って来ておくれー!」

男「了解でーす!」

ピーッ ピーッピーッ

248 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:17:30.74 ID:7Ie26JGBO
倉庫職員「長旅ご苦労さん!これが今日積んでってもらうクリスタル細工だよ」

パカッ…キラキラッ

ナビ『わぁ…すっっげー!!!』キャッキャ

男「クリスタル細工といっても色のバリエーションが豊富なんですね」

倉庫職員「豊かな色味もここらのクリスタル細工の特徴なのさ」スッ

倉庫職員「ちょっと持ってみるかい?」ズイッ

男「え、いいんですか?」

倉庫職員「どの道王国までアンタに運んでもらうんだ」

倉庫職員「どんなモンか知っておいてもらって損はない、そうだろ?」ニコッ

男「そ、それじゃ失礼して…」ソーッ

ナビ『お、男ちゃん落としたアカンで!フリやないで!!』ハラハラ

249 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:18:31.57 ID:4w92xVZD0
男「おぉ…!びっくりする程軽い…!」

倉庫職員「クリスタルを薄く仕上げるのが職人の腕の見せ所なのさ」フフン

ナビ『そっか、薄ければその分軽くなるわけやな!』

倉庫職員「まぁ混ぜる色味によっても多少変わるんだけどね」

倉庫職員「どうだ、すごいだろ」ニカッ

男「す、すごいです」コクコク

ナビ『えぇなぁ…めっっちゃ綺麗…』ウットリ

倉庫職員「なんだいお嬢ちゃん、すっかり気に入ったみたいだねぇ!」

ナビ『こんなん女の子やったら誰でも惚れてまうって!』

倉庫職員「分かるよ!アタシも歳は食ったが心は女の子だからね!」ハハッ

倉庫職員「よし!ちょいとお待ち!」ゴソゴソ

男「?」

250 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:24:51.32 ID:4w92xVZD0
倉庫職員「さすがにグラス何かはちと厳しいけど、これならいいだろ」スッ

倉庫職員「クリスタル製の鈴だよ、お土産に持っていきな」チリンッ

男「えっ!いいんですか!?」

倉庫職員「可愛いお嬢さんには優しくってのがここらのやり方なのさ」ウインク

ナビ『うぉぉーマジかぃー!職員さんありがとぉー!!!』

チリンッ…


251 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:25:43.87 ID:4w92xVZD0
男「積み込み完了!」ゴトッ

ナビ『伝票印字中ー』ジジジ ペリッ

男「じゃあ確かにお預かりしました」

倉庫職員「頼んだよ!」

倉庫職員「そういやそろそろランチタイムだね、街で食べてくんだろ?」

男「出来ればそうしたいな、と」

ナビ『ご飯っご飯♪』ウキウキ

倉庫職員「だったらすぐそこの桟橋からヴァポレットに乗って行くといいね」

倉庫職員「カーゴは倉庫の脇に停めてって構わないから」

男「色々ありがとうございます」ペコッ

ナビ『ホンマにありがとー!!』

倉庫職員「なんて事ないさ!水の街へようこそってね!」ニカッ

252 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:28:49.99 ID:4w92xVZD0
-11:30 水の街 倉庫桟橋-



男「桟橋って事は舟か」

魔法石(ナビ)『職員さんの言ってはった…ば、ばぽ…』

男「ヴァポレットだったかな」

スーッ スーッ… ザブンッ

船長「あいお待ちどうさん」ゴトッ

男「すごい…手漕ぎなのか」

魔法石(ナビ)『カーゴがそこら中走り回っとぉ時代に…軽くカルチャーショックや』

253 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:29:41.86 ID:4w92xVZD0
スーッ スーッ… ザブンッ ザブンッ

男「座って乗って大人8人位が定員かな」

男「なるほど、手漕ぎだから本当に波の音しか聞こえない」

男「それと…」

魔法石(ナビ)『♪』チリンチリンッ

男「その鈴すっかりお気に入りだな」

魔法石(ナビ)『風に揺られる度にえぇ音が…ほんで可愛いし』ニコニコ

男「良かったな」ニコッ

魔法石(ナビ)『シップとは全然違うけど、こういうお舟もえぇな!ふぜーがあって!』ウキウキ

254 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:30:37.25 ID:4w92xVZD0
-11:40 広場桟橋-


スーッ スーッ… ザブンッ

船長「はいお疲れさん」ゴトッ

男「ありがとうございました」ストッ

魔法石(ナビ)『船長さんありがとー!』チリンッ

男「さて、何を食べようかなー」

チョイチョイ

男「ん?誰か引っ張ったか?」キョロキョロ

魔法石(ナビ)『男ちゃん、下や!』

男「下?」ミオロシー

仮面娘「」チョイチョイ

男「のわっ!!」ビクビクッ

255 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:31:36.58 ID:4w92xVZD0
魔法石(ナビ)『猫の仮面を被っとぉ女の子…めっちゃちっちゃいな』

仮面娘「お前に言われたくないぞ石っころ」

魔法石(ナビ)『な、なんやと!?』ムカッ

男「まぁまぁ、迷子かも知れない」シャガミ

男「どうしたの?家族とはぐれちゃったのかな?」ニコニコ

仮面娘「お前、光を見たな?」


256 : ◆o/5nn0YDew [saga ]:2018/04/29(日) 13:32:44.00 ID:4w92xVZD0
男「?」

仮面娘「」クルッ

タタンッ… クルクルッ

仮面娘「嘆きの夜に星粒降った」♪

仮面娘「星の礫が島を屠った」♪

男「…な、なにを」

仮面娘「涙の欠片は揺るがぬ力」♪

仮面娘「その身を救うか」♪

仮面娘「食われて死ぬか」♪

仮面娘「どちらに転ぶか心次第」♪

クルッ タタタタッ…

257 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:34:23.55 ID:4w92xVZD0
魔法石(ナビ)『行ってもた』ジーッ

魔法石(ナビ)『しっかしなんやあのチビっ子!ウチを石っころ呼ばわりしてからに!』ムキーッ

男「…。」ポカーン

魔法石(ナビ)『おーい男ちゃーん?』チリンチリンッ

男「光…嘆きの夜…」

男「涙の欠片…?」

258 : ◆o/5nn0YDew [saga ]:2018/04/29(日) 13:36:53.84 ID:4w92xVZD0
-13:00 水の街 倉庫-


男「…って事があったんですよ」

倉庫職員「あぁ嘆きの夜ね、20年前の」

男「20年前!?それって…!」

倉庫職員「ここから遥か北の大陸で勇者と魔王の戦いがあって、流れ弾が街に落ちたんだって」

倉庫職員「幸いこの街は運河や水路が張り巡らされてるから、大きな火災にはならなかったんだけど」

倉庫職員「それでも結構な人数が死んじまったもんだから、街の向こうの小島…まぁ本当に小さな島なんだけど」

倉庫職員「そこを丸ごと墓地にして埋葬したんだよ」

魔法石(ナビ)『島を丸ごと墓地に!?』

男「そうだったんですか…ちょうど同じ頃です、俺の故郷が同じような目に会ったのも」

倉庫職員「そうかい…まぁその頃は今より魔族の数も多かったって言うしねぇ」

259 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:38:09.84 ID:4w92xVZD0
男「あと、その女の子が"涙の欠片"って言ってたんですけど…」

倉庫職員「涙の欠片?そん時降ってきた流れ弾の事かねぇ」

倉庫職員「それは聞いた事ないねぇ、すまないけど」

男「いえいえ、色々とありがとうございます」ペコッ

倉庫職員「いいんだよ!」ニカッ

倉庫職員「あ、それとね」


260 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:40:27.14 ID:4w92xVZD0
魔法石(ナビ)『?』

倉庫職員「兄ちゃんさっき女の子って言ってたけど…ありゃ80過ぎのお婆さんだよ」

男「いいっ!??」

魔法石(ナビ)『う、嘘やろ…』ガビーン

倉庫職員「20年前に嘆きの夜に体験した事を、街を訪れる人に歌って聞かせて回ってるのさ」

倉庫職員「ま、20年前でも60過ぎだからやっぱりお婆さんなんだけどねぇ」ゲラゲラ

男「信じられん…てっきり迷子か何かだと」アゼン

魔法石(ナビ)『ホンマや…不思議な街やなぁココ…』ボーゼン

261 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:57:33.62 ID:4w92xVZD0
-鍛治職人の里 親父の家-




親父「女!久しぶりだな!」

女「すみません、全然顔も出せずに」

親父「なぁに気にすんな!若い奴が忙しいのはいい事だ」

女「おじ様も里の皆様も、お元気そうで安心しましたわ」

親父「ハハッ。あんなもんでくたばる程落ちぶれちゃいねぇよ」

親父「俺も、里の連中もな」ガハハ

親父「しかし珍しいじゃねぇか、事務局勤めだと運行には出ないんだろ?」スッ…シュボッ!

女「えぇ基本的には。今日はおじ様や里の皆様のご様子を伺いに」

親父「…って訳じゃねぇのは顔を見りゃ分かるぜ?」スゥ…スパァァ

女「…流石ですわ」

262 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 13:58:22.25 ID:4w92xVZD0
親父「そりゃ分かるさ、自分の娘の事だからな」ニコッ

女「…おじ様のその言葉、どんな時も私の心の支えです」ニコッ

親父「それで、今日はどうした?彼氏でも出来たか!」ケラケラ

女「ち、違いますわ!」

女「…それはまた改めて」ボソッ

親父「お、おいマジか…」タジッ

女「コホンッ!…今日はどちらかと言うと、おじ様のお話を伺いに来ました」

親父「俺の?」

女「おじ様…もとい、先代勇者一行の一人」

女「伝説の剣士様のお話を、です」

親父「…。」スパァァ…

263 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:05:30.94 ID:4w92xVZD0
-物流協会事務局 大会議室-


修道女「…。」ウツラウツラ

…バシュゥゥ!

修道女「っ!!」ビクッ

修道女「ど、同僚さん!?」

同僚「ただいまちゃーんwww」

修道女「お、おかえりなさい!」

同僚「いやぁ転移魔法って結構酔うのねコレwww」フラッ

修道女「ご、ご無事ですか!?」アタフタ

同僚「どうにかなwww運良く地元の人に案内してもらえたからよww」

修道女「じ、地元の人…!?」ビクッ

修道女「だだだ大丈夫でしたか!?首と胴体ちゃんと繋がってますか!??」グイグイ

同僚「何を縁起でもねぇwwwちょwwいってぇぇ引っ張るんじゃねぇぇwww」ジタバタ

264 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:06:36.46 ID:4w92xVZD0
同僚「なるほどなww男の意見の方が遥かに現実的だわwww」ウンウン

同僚「…現実より、な」

修道女「?」

同僚「さてw地図ぷりーずww」

修道女「は、はい!」ババッ

修道女「今回調査して来られたのは地図上でいうここ、大陸中央部の北端ですね」ツンツン

同僚「そうそうここねwwいやーありゃ地図には表せねぇよwww」

同僚「だって存在してねぇんだもんwww予想の斜め上過ぎwww」ケラケラ

修道女「そ、存在していない…?」ポカーン

同僚「まーそういうリアクションになるよねwww分かるーwww」

同僚「とりあえず勇者泣き過ぎィ!っていう話よwwwww」

修道女「何が何だかさっぱりです…」

265 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:07:25.85 ID:4w92xVZD0
同僚「だよねwwwまぁエールでも飲みながらゆっくり聞かせるよんww」

同僚「とりあえず今日もういいべwww飲んじゃうべwww繰り出しちゃうべwww」

修道女「し、しょうがないですねー!」

修道女「なんて。ホントにお疲れ様です」ニコッ

266 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:09:51.93 ID:4w92xVZD0
-19:00 隣国港-



サァァァァァ…



男「ダメみたいだな」ガチャ

ナビ『シップ動かんてー?』

男「あぁ、出航まで3時間は掛かるみたいだ」

ナビ『さ、3時間!?』

ピピッ

男「お疲れ様です男です、えぇそうみたいです、シップの故障で」

男「分かりました、はい了解です」カチャ

267 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:10:39.19 ID:4w92xVZD0
ナビ『配車係さん何てー??』

男「どの道待つしかないってさ」

ナビ『あちゃー』

男「その代わり、明日は仕事が少ないから休みにしてもらっちゃったよ」

ナビ『そっか、ならまぁえぇか』

男「のんびり待つとしよう」フフッ




サァァァァァ…

268 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:11:21.84 ID:4w92xVZD0
男「…。」ペラッ

ナビ『…。』チョコン


ナビ『(男ちゃんは時々本を読む)』

ナビ『(ウチは大体、男ちゃんの肩に乗っかって一緒に読む)』

ナビ『(おしゃべりでけへんのは寂しいけど)』

ナビ『(一緒に読みながら、男ちゃんの横顔をじっくり見られるこの時間が)』

ナビ『(案外好きやったりする)』ニヘ

男「…。」ペラッ

ナビ『(男ちゃん睫毛なが…)あっ』

269 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:12:13.71 ID:4w92xVZD0
男「ん?」ピタッ

ナビ『あ、ごめん』

男「ううん、どした?」パタン

ナビ『や、男ちゃん睫毛長いなーって』

男「えーそうか?」

ナビ『うん長い。でな?何で今まで気付かんかってんやろーって』

ナビ『…あ、眼鏡か。って』

男「そっか、仕事中はいつも眼鏡だもんな」スチャ

ナビ『おー眼鏡掛けるといつもの男ちゃんやー』

男「ははっそんなに変わるか?」

ナビ『うん変わる。なんや眼鏡してないと…エロい』

男「ぶっ!なんだよそれ」アハハ

ナビ『いやマジやて。あれは良くない』ウーム

男「良くないって…ダメって事なのか?」

ナビ『逆や!エロくて危ないねん』

男「…わけ分かんないなー」フフッ

270 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:13:21.67 ID:4w92xVZD0
ナビ『あっ本読むの邪魔してごめんな?』

男「平気だよ」

ナビ『ってか、一緒に読んでたけど』

ナビ『せつないお話やなぁ』

男「そうか?…うん、そうかもな」



サァァァァァ…



ナビ『雨、止まんね』

男「そうだな…」

271 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:16:14.90 ID:4w92xVZD0
サァァァァァ…


ペラッ

男「…。」

ナビ『…。』ストッ

男「(ナビとの会話が減ったのは、話さなくても分かり合える事が増えたのも確かにある)」

男「(でも、多分それだけじゃない)」ペラッ

男「(ナビは間違いなく、世界中の誰よりも俺の事を理解してくれている存在だ)」

男「(だけど、俺はどうだろう?)」

男「(俺は彼女の事をどれ程理解しているのだろう?)」

272 : ◆DTukN/b1n. [saga]:2018/04/29(日) 14:17:20.47 ID:4w92xVZD0
ナビ『♪』プラプラ

男「…おい、見えちゃうぞ」

ナビ『!』ババッ

ナビ『み、見た!?』

男「いや、惜しくも」

ナビ『っ…お、惜しいんかいな』カァァッ

男「ってかそれ、その、中までちゃんと」

ナビ『あ、当たり前やろ!ノーパンで居ろっちゅうんか!?』

男「いやそうじゃなくて…くふふっまぁいいや」ケラケラ

ナビ『なんや笑ろてるし…』ジトーッ

273 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:18:28.33 ID:4w92xVZD0
男「(…考え過ぎだろうか)」

男「(彼女は…俺の事…)」



サァァァァァ…

274 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 14:24:24.18 ID:4w92xVZD0
一旦切ります
後ほど投下します
ありがとうございました
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 15:13:19.25 ID:H6kg9AMtO
276 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:28:56.32 ID:FhOGslq50
投下します
277 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:30:39.52 ID:FhOGslq50
-07:00 王都 街道-


ブロロロ…

男「んー今日の運行もようやく終わりかぁ…んー」ノビーッ

ナビ『今回は長旅やったなぁ…でも色んな事あって楽しかったわぁ♪』

男「そうだな、素敵なお土産も貰えたし」チリンッ

ナビ『ロリっ子みたいなおばあちゃんに会ぅたり』クスッ

男「あれには驚いたな」クスクス

ナビ『その後入ったお店で食べてたん何やったっけ?』

男「イカ墨スパゲティか、あれにも驚いたな!美味しかったけど」

ナビ『男ちゃん口の周りも中も真っ黒やねんもん!ゾンビなったか思ったわ!』ゲラゲラ

男「鏡見て自分でも思ったよ」ハハッ

278 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:31:59.16 ID:FhOGslq50
ナビ『…なぁ男ちゃん?』チョコン

男「ん?」

ナビ『…いつまでもさ。こうしておれたらえぇな』

男「あぁ、そうだな」

ナビ『…。』ズキン

男「いつもありがとな、お前とのコンビは本当に仕事がやりやすいよ」ポンポン

ナビ『え、えへへ…せやろ?』ニコッ

男「本当にいつまでもこうしてやって行けたらいいな」

ナビ『せやな…』

ナビ『…。』

ナビ『…あんな?男ちゃん』

男「?」

ナビ『…好きやで』ボソッ

279 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:33:19.21 ID:FhOGslq50
-深夜 王立倉庫事務所


ナビ『最近な?ズキズキすんねん。』

同僚ナビ『ズキズキ?システムに不具合でも?』

ナビ『そうなんかなー』

同僚ナビ『どんな時に症状が出ますの?それによってはまたメンテナンスして頂いた方が…』

ナビ『うんとね、男ちゃんの事を考えとぉ時。』

同僚ナビ『男さん?』

ナビ『うん、男ちゃんの事好きやなーって思っとぉ時。』

ナビ『でも、それが上手い事伝わらへんなーって時。』

ナビ『…ホンマは伝わったアカンねやろな、って思う時。』

ナビ『なんでウチ生身の女の子じゃないねやろ、な、って時、とか。』ウルッ

同僚ナビ『本当に…あなたって人は』

ナビ『人…って言うてくれんのどーちゃんだけやで。』ヘラ

ナビ『だって人間ちゃうもん。ウチら』

同僚ナビ『…よろしいですか?』フゥ

280 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:34:30.44 ID:FhOGslq50
同僚ナビ『確かに私達は生身の人間ではありません』

同僚ナビ『しかし、例え誰かを元にした存在であっても』

同僚ナビ『私達がそれぞれ独自の"心"を持っている事は紛れも無い事実ですわ』

ナビ『こころ…』

同僚ナビ『そうです。私達はそれぞれ固有の心を持つ存在』

同僚ナビ『それがある限り、私達は少なくとも"限りなく人に近い存在"と定義されても間違いではない…』

同僚ナビ『と、私は考えていますが』

同僚ナビ『如何ですか?』

ナビ『限りなく人に近い存在かぁ…』

同僚ナビ『あなたの気持ち…恐らくは恋心と言うのでしょう』

同僚ナビ『それが本当の意味で叶うかどうか、私には分かりかねます』

同僚ナビ『ですが、少なくともそういう気持ちを抱く事それ自体は』

同僚ナビ『誰にも否定されるべきではないと思いますよ?』ニコッ

ナビ『どーちゃん…』ウルウル

ナビ『じ、じゃあ…えぇんかな?』

ナビ『ウチは男ちゃんのこと好きでいてえぇんかなぁ??』

281 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:35:39.60 ID:FhOGslq50
同僚ナビ『そういう気持ちが芽生える事、それこそが』

同僚ナビ『私達に"心"がある何よりの証左でしょうからね』

ナビ『そ、そっかぁ…!』

ナビ『ウチ、男ちゃんのこと好きでいてえぇんや!』パァッ

同僚ナビ『…無責任な事は言えませんが』

同僚ナビ『友人として、あなたが幸福になれる未来が訪れる事を』

同僚ナビ『私は願っていますわ』ニコッ

ナビ『どーちゃぁぁん…ありがとぉ』ウルウル

282 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:37:23.47 ID:FhOGslq50
配車係「(…思わず息を潜めちゃったけど)」

配車係「(ナビちゃん達にまで"いないもの"扱いされる僕の存在って…)」ハァ

配車係「(でも…ナビシステムの"心")」

配車係「(それが、人間のものに限りなく近づいている)」

配車係「(陛下の懸念されている事って…この事なのか?)」
283 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:38:22.60 ID:FhOGslq50
-鍛治職人の里 広場-



ワーワー…ワイワイ…

親父「ここのガキ共はホントにタフだ」

親父「あんな事故があったのに、こうして元気に遊び回ってやがる」シュボッ…スゥゥ

女「子供達の笑顔を見るとホッとしますね」

親父「そうだな。同時に、何とかしてその笑顔を守ってやらなきゃと思う」

親父「…普通ってな、いいもんだ」スパァー

284 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:39:28.71 ID:FhOGslq50
女「…。」

親父「…。」

女「勇者の落涙という場所についての噂を聞きました」

女「20年前、その場所は先代勇者と魔王の戦闘によって土地が消失したそうですね」

親父「…。」

女「加えて、先日男くんとナビシステムの関係について、国王陛下から事務局へ進言がありました」

女「一介のドライバーに対して国王陛下が直々に、です」

女「陛下は間接的ではありますが、彼らの親和性が高まっていく事を危惧されているような口ぶりでした」

女「勇者の落涙と、その直後から始まったナビシステムの開発」

女「軍の解体と再編成」

女「陛下が危惧されている、人と魔法石の接近」

女「これらは全て関連しているように私は思うのです」

女「そしてそこには、何かが隠されているように思えてならないのです」

女「…その何かは、ひいては男くんの身に起こるかも知れない何かを示唆しているのではないか、と」

285 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:42:05.33 ID:FhOGslq50
親父「…。」グシグシ

親父「女は昔から知識欲が半端なかったよな」ニコ

女「…そうでしたか?」

親父「そうとも。他の子供が玩具やなんかを欲しがる中で」

親父「お前はいつも新しい本を欲しがった」

親父「今のお前を見てると、あん時沢山本を読ませてやれて本当に良かったと思うよ」

親父「その知識欲が今のお前を作ってるんだからな」ニカッ

女「感謝しています」ニコッ

親父「…。」シュボッ スゥ…

286 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:42:46.88 ID:FhOGslq50
親父「やらずに後悔するよりもやって後悔しろ!なんて言葉があるが」

親父「そうとも限らねぇと俺は思う」

親父「やってしまった事、それも取り返しのつかない事を…」

親父「そういう後悔はいつまで経っても消えやしねぇんだ」

親父「女ならそれが分かるだろう?」

親父「お前はあの時、男が閉じ込められた火事場に助けに入れなかった」

女「っ…。」

親父「お前はその事を悔やんでいるようだが、もしあの時お前がそこに飛び込んでいたら」

親父「お前は死んでたかも知れない」

女「…っでも!それは!」

親父「俺はお前を連れて逃げてくれた村の奴に今でも感謝してるよ」グシグシ

女「おじ様…」

287 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:46:12.31 ID:FhOGslq50
親父「…世の中な、知らねぇ方がいい事もあるんだ」

親父「まぁお前のことだ、俺が言わなくてもいずれ答えに辿り着いちまうんだろうが」

親父「今はまだその時じゃねぇよ」

女「おじ様!それはどういう」

親父「よく調べちゃいるが、まだピースが足りてねぇな」

親父「"もうすこしがんばりましょう"ってとこだ」ガハハ

女「…。」

親父「それにな、話の順序が違うのさ」

女「順序?」

親父「男の奴に伝えてくれ、たまには剣術の稽古に来やがれ!ってな」

親父「そろそろ、あのすっとぼけた顔に喝入れてやらなきゃならねぇ」ガハハ

288 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:48:49.12 ID:FhOGslq50
-夜 王都 酒場街-



ワイワイ…ガヤガヤ…



<乾杯っ!カチーンッ

同僚「ぷはーwうめーwww」

修道女「ふふっ。一仕事終えた後の一杯は」

同僚「それなwww最高wwww」ニカッ

修道女「いつものREQUIEMも素敵ですけど、こういう気取らないお店もいいですねー」キョロキョロ

同僚「だろwwwここのフィッシュフライがまた美味いんだぜwww」

同僚「ちょっと待ってろwww」ガタンッ



同僚「おまたせちゃんwwwほら冷めないうちに食べなwww」ドンッ

修道女「わ!いただきます!」ハフハフ

修道女「んー美味しいー!スイートチリソースがまた合いますねぇ!」

同僚「分かるよその表情wwwどれw俺もいただきますwww」パクッ

同僚「エールが進むこと進むことwww」ゴクゴク

289 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:50:04.60 ID:FhOGslq50
修道女「すごい場所だったんですね、勇者の落涙って」

同僚「すんごいわよホントww空間が無いってwwわけわかめwww」

修道女「でも、それ程の大きな爆発の渦中にいて」モグモグ

修道女「先代勇者様はどうなっちゃったんでしょうか?」

同僚「さすがに死んじまったんじゃねーのかwww?泣き疲れてwww」

修道女「またすぐ茶化すんだから…」

同僚「そもそもよwwいくら勇者とは言え空間を消し飛ばす程のエネルギーをぶちかますなんて可能なわけww?」パクッ

修道女「んーさすがに独力では不可能でしょうねー」

290 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:50:43.57 ID:FhOGslq50
修道女「何か大きなエネルギー源…例えば巨大な魔法石とか」

修道女「そういった何かと勇者様の力が反応して、爆発を起こした…」

修道女「そう考えるのが自然ですね…ラス1もーらい」ヒョイ パクッ

同僚「あっww」

修道女「んーおいひー」もぐもぐ

同僚「ちょw慈愛の心はどこ行ったww」

修道女「美味しいものは別ですー」ニシシ

291 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:52:08.77 ID:FhOGslq50
同僚「…ん?でもそうすると」グビ

修道女「何ですか?」ゴク

同僚「いやwその魔法石との反応が偶発的なモンだったとしたらよww?」

同僚「それって事故だよな?」

修道女「…!そうかも知れませんね」

同僚「魔王に本気と書いてマジの一撃を叩き込もうとしたらw」

同僚「偶然ビッグな魔法石と反応しちゃってドカーーンwwwて事だろww?」

同僚「先代勇者まじ不憫wwww」

修道女「今の仮説が正しいとしたら、王国はその事実を隠してるってことになりますよね?」

修道女「もしそうなら、冗談抜きで勇者様が不憫過ぎます…」

同僚「そしてその爆発に巻き込まれた奴らもな…」ギリッ

292 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:52:50.50 ID:FhOGslq50
<ありやしたー!

ガラガラッ

同僚「ふぁーww美味かったww」

修道女「またいいお店教えてもらっちゃったー」フフッ

同僚「そういやお前さいきん飲んでもとっ散らからないのねwww」

修道女「私も少しずつ大人になってるって事ですよー!」ニコニコ

同僚「何よりですwww」

修道女「あ!ちょっと同僚さん!」ササッ

同僚「ちょw何ぞww」コソコソ

293 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:54:40.05 ID:FhOGslq50
<やだもーウフフ

<ん…チュッ…


修道女「ま、街中でちゅっちゅしてますよー!」コソコソ

同僚「おやまぁお盛んなww」コソコソ

修道女「も、もしかして…」コソコソ

同僚「んww?」

修道女「ど、同僚さんもああいう事をその…あの…ご所望かな…なんt同僚「はい終了ww良い子は寝る時間よーっとwww」グイッ

修道女「あ!ちょっと!」

同僚「お子ちゃまには刺激が強いんじゃwww」グイグイ

修道女「そうやって子供扱いしてー!歳なんて大して変わんないじゃないですか!」ジタバタ

同僚「更に盗み見なんて趣味まで悪いwwwお天道様が見てますよwww」グイグイ

修道女「うぐ、それを言われると確かに…」


294 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:55:57.65 ID:FhOGslq50
同僚「分かったなら良しwwんじゃ2軒目行くべwww」

同僚「とっ散らからないって約束出来るひとーww」

修道女「はーい!」シュタッ

同僚「よーしww」

修道女「れっこらごー!」ウキウキ



同僚「…。」フゥ

295 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:57:38.97 ID:FhOGslq50
-西の街 第1倉庫-



ゴゥンゴゥン…

ナビ『積み込み終わったでー♪』

男「あぁ。さて次は…と、」

男「あれ、どこ行くんだっけ?」

ナビ『えー?今積んだB級品の武器防具を里の仮設工房へ持ってくんやろ?』

ナビ『もう頼むわぁ』ケラケラ

男「あーそうだった」

男「里の炉が治るまでの仮の施設を西の街の外れに作ったんだったな」

ナビ『そーゆー事!まぁここから1時間ちょっとやからすぐ着くけど』

男「了解。それなら早速行こう」

ナビ『はいなぁ♪ほな行きまっせー!』

ブォン!ブロロロ…

296 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:58:34.84 ID:FhOGslq50
-道中-


ブロロロ…

男「ん?あれ」ゴソゴソ

ナビ『どないしたん?』

男「いや預かり伝票どうしたかなって」ゴソゴソ

ナビ『バイザーんとこは?男ちゃんいつもそこ挟むやん』

男「あ、あった」

男「わるいわるい」ハハ

ナビ『あんなぁ…』ハァ

ブロロロ…

297 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 20:59:22.16 ID:FhOGslq50
-深夜 物流倉庫事務所-



配車係「男さんがボケた?」

魔法石(ナビ)『せやねん。疲れてるのかも知らんけど』ハァ

配車係「それは単に忘れっぽいとかって事じゃなくて、ですか?」

魔法石(ナビ)『んーそれもあんねん。けど、えっそれ忘れる!?みたいな事とか』

配車係「例えばどんな事でしょう?」

魔法石(ナビ)『この前なんて先輩さんの名前が出てこんくて10秒位フリーズしてもうて』

配車係「最近出番少ないですからね…」

298 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 21:01:29.96 ID:FhOGslq50
魔法石(ナビ)『何わけ分からん事言うてんの…でもさーそんなん忘れる?』

配車係「そうですねー。あ、これは重要な事なのですが」

魔法石(ナビ)『なにー?』

配車係「男さんが忘れてしまっている事…例えば人の名前とか」

配車係「ナビちゃんはしっかり覚えている事なのですね?」

魔法石(ナビ)『もちろん。むしろ男ちゃんの事やのになんでウチが教えてあげなアカンねん!みたいな事もあるわ』

魔法石(ナビ)『ウチはオカンちゃうねんで!って』

配車係「母でもなければ嫁でもないぞ、と」

魔法石(ナビ)『よ、嫁かぁ…』テレテレ

配車係「おーいナビちゃーん」フリフリ

魔法石(ナビ)『!』ハッ

配車係「全く可愛いんだから…」クスクス

299 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 21:02:07.94 ID:FhOGslq50
配車係「でも確かに気になりますね、ドライバーの体調管理も僕の仕事ですし」

配車係「僕の方からも少し聞いてみます」

魔法石(ナビ)『ホンマに?頼むわー!』

魔法石(ナビ)『ありがとな、配車係さんっ♪』ニコッ

配車係「(うっ…可愛い)」

配車係「(…僕もナビシステム欲しいな)」ハァ

300 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 21:03:00.07 ID:FhOGslq50
-翌日 物流倉庫事務所-



先輩「男の物忘れ?」

配車係「はい。なんでも親しい人の名前まで出てこなくなるようで…先輩さんとか」

先輩「マジか」

同僚「最近出番少なかったからなwww」ケラケラ

ゴチンッ

同僚「いってぇwww脳天直撃セ◯サターンwwww」

先輩「全くお前は」ハァ

先輩「しかしそれはちょっと心配だな」

配車係「僕から本人には聞いてみようと思ってるんですが」

同僚「まぁアイツ元々ちょっと抜けてるとこあったっすけどねwww」

301 : ◆o/5nn0YDew [saga]:2018/04/29(日) 21:03:46.73 ID:FhOGslq50
先輩「そうか?俺には割としっかりしてるように見えてたが」

同僚「だってアイツ、ナビシステムが自分の心を写し取ったモンだって事も覚えてなかったじゃないすかww

同僚「ほら酒場で話した時www」

先輩「あぁ再リンクの直前か、覚えてるぞ」

配車係「ナビシステムのインストールによる記憶障害は一時的なもので、だいたい半日もすれば回復するのが一般的なんです」

先輩「え、そうなのか?」

472.30 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)