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放火魔「今夜はベッドで燃え上がろうぜぇぇぇ!!!」嫁「……暑苦しい」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 20:47:47.43 ID:EQiuTItd0
< 公園 >
男(この公園で、その放火魔はいつもたき火をしてるという……)
男(あ、あれか!)
放火魔「…………」メラメラ… パチパチ…
男(あれが裏社会で“放火魔”と恐れられてる男なのか?)
男(なんてことない普通そうな兄ちゃんじゃないか……)
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1524484067
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 20:48:39.78 ID:EQiuTItd0
子供「お兄さーん!」
放火魔「おう、なんだ?」
子供「お芋ちょうだい!」
放火魔「はいよ」サッ
子供「わーいっ、ありがとーっ!」
男(子供に焼き芋なんか振る舞ってるし……とても放火をするような人間には見えない)
男(まぁいいや、情報屋に言われた通りに話しかけてみよう)
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 20:51:44.45 ID:EQiuTItd0
男「……焼けてますか?」
放火魔「ああ、焼けてるよ! 一つ、どうだい?」
男「いただきます」ハフハフ…
男「うん、よく焼けてますね!」
放火魔「…………」
放火魔「……で、何を焼いて欲しいんだ?」ギロッ
男「!」
男(目つきが変わった! ――“放火魔”の目になった!)
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 20:53:36.58 ID:EQiuTItd0
男「焼いて欲しいのは……産業スパイに盗まれた重要書類です」
男「ライバル社のビルに忍び込んで、書類を燃やして下さい」
放火魔「ってことは、泥棒みたいな真似をしなきゃならねえのか」
男「無理ですか?」
放火魔「いいや、できるぜ。多少料金に上乗せするがな」
放火魔「しかし、なぜ燃やすんだ? 取り返すんじゃダメなのか?」
男「控えはありますし、相手に“警告”を与えたいんです」
男「書類を処分すると同時に、『こちらはこういう手段を持っている』という警告をね」
男「そうなると、あなたに依頼するのが一番という結論に至りまして……」
放火魔「なるほど……そういうことか。分かった、燃やしてやるぜェ! 燃えてきたぜェ!」メラメラ…
男(おおっ、目の中に炎が灯った!)
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 20:56:20.31 ID:EQiuTItd0
その夜――
< ライバル社 >
放火魔(ここがライバル社だな……)
放火魔(愛用のマッチでピッキングしてっと……)カリカリ…
カチッ
放火魔(よし開いた!)
放火魔(声は出せねえが、心の中で叫ぶぜ! いざ侵入ゥ!!!)コソコソ…
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/23(月) 20:57:32.64 ID:Uv3QOlKf0
つまんね
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 20:58:34.11 ID:EQiuTItd0
放火魔(こいつが重要書類だな。盗んだばかりで管理がおざなりでラッキーだ)
放火魔(さぁって、燃やすぜェ!)シュボッ…
メラメラ…
放火魔(これでよし、と)
放火魔(焼けた書類はわざと残して……さ、帰るとするか!)
放火魔(愛する嫁さんのもとに!)
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:00:42.29 ID:EQiuTItd0
< 放火魔の家 >
放火魔「ただいまァ!!!」
嫁「お帰りなさい」
嫁「お風呂とご飯、どっちにする?」
放火魔「風呂だァァァ!!!」
嫁「うるさい……もっと小さな声で喋ってよ」
放火魔「そりゃ無理ってもんだ! 仕事が終わったばかりで燃え上がってるからなァ!」
嫁「……もう」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:02:34.03 ID:EQiuTItd0
放火魔「さぁって」ザブッ
放火魔「!?」
放火魔「なんだこりゃあ!? ――つめたっ! ほとんど水じゃねェか!」
嫁「ごめんなさい、さっきまで私が入ってたから」
放火魔「んもう……俺はグツグツに煮えたぎってる風呂が好きなのに……!」
嫁「すぐ沸かすわ」
放火魔「沸くまで時間かかるよな……仕方ねえ、先にメシにするかァ!!!」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:06:11.49 ID:EQiuTItd0
放火魔「炊きたてのご飯ッ! 熱々の味噌汁ッ! 野菜炒めッ! よく焼けたステーキッ!」
嫁「私は冷えたご飯、冷めた味噌汁、冷しゃぶサラダを食べるわ」
放火魔「いただきます!!!」
嫁「いただきます」
モグモグ… パクパク…
放火魔「うんまァい!!!」
嫁「おいしいわ」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:08:32.74 ID:EQiuTItd0
放火魔「寝るかァ!!!」
嫁「おやすみなさい」
放火魔「……なぁ」
嫁「なに?」
放火魔「今日はひと仕事終えて、俺の体は燃え上がってるんだ!」
放火魔「今夜はベッドで燃え上がろうぜぇぇぇ!!!」
嫁「……暑苦しい」
嫁「悪いけど、一人で燃え上がってて」
放火魔「ちぇっ、お前を燃え上がらせるのは、俺でもなかなかできねえや!」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:11:25.08 ID:EQiuTItd0
数日後――
< 公園 >
放火魔「!」
黒服「よう」ザッ…
放火魔「あんたか。数ヶ月ぶりだな」
黒服「ちょいと頼みが――」
放火魔「おっと、一応いつものをやってくれ。ルールなんでな」
黒服「ったく急いでんのに……分かったよ! 焼けてるか?」
放火魔「ああ、焼けてるよ! 一つ、どうだい?」
黒服「いただきます」ハフハフ…
黒服「うん、よく焼けてやがる! こりゃうめえ! 甘くてうめえ!」
放火魔「……で、何を燃やして欲しいんだ?」
黒服「ちょっと待って。落ち着いてこれを食べさせて」ハフハフ…
放火魔「急いでるんじゃないのかよ」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:13:37.61 ID:EQiuTItd0
黒服「ある山小屋を燃やして欲しい」
放火魔「山小屋?」
黒服「ああ……うちの組織のバカが、“クスリ”をしこたま貯め込んでたのが分かってな」
放火魔「クスリ? ヤクか。あんたンとこの組織は――」
黒服「ああ、あんなもん、ご法度だ」
黒服「そいつにはきっちり“落とし前”をつけさせたんだが、その山小屋はまだ健在でよ」
黒服「サツも動き出してやがる」
黒服「もしうちの組織の奴が、ヤクを扱ってたなんて分かったら」
黒服「俺たちの組織の誇りは地に落ちることになる……!」
放火魔「だから全部燃やしてくれってことだな?」
黒服「そうだ。悪党にゃ悪党なりのプライドってもんがあるんでな」
放火魔「分かった、アンタの組織にゃ世話になったこともある。引き受けてやるよ」
黒服「ありがてえ……!」
放火魔(山小屋への放火は、山火事になる危険がある。あいつの協力が必要だな)
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:15:11.01 ID:EQiuTItd0
< 山小屋 >
放火魔「さぁって、派手に燃やすぜェ!」
放火魔「灯油まいて!」ジャボッ
放火魔「愛用マッチで……燃え上がれェ!!!」シュボッ
ゴォォォォォッ!!!
ボォォォォォ……!
メラメラメラメラ… パチパチパチパチ…
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:17:04.47 ID:EQiuTItd0
放火魔「……よし、ほとんど燃え尽きたな。警察が来てもなんにも分かりゃしねえ」
放火魔「後始末は任せたぜェ!!!」
嫁「分かったわ」
嫁「私特製の消火剤で……」スッ
ザバァァァァァッ……
シュゥゥゥゥゥゥ…
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:19:37.54 ID:EQiuTItd0
プスプスプスプスプス…
放火魔「これでよし! いつもながら鮮やかな消火だぜェ!」
嫁「山火事になる可能性はゼロ、よ」
放火魔「さっすが俺の嫁!」
嫁「…………」
放火魔「……なぁ」
嫁「なに?」
放火魔「久しぶりの共同作業だし、今夜はベッドで燃え――」
嫁「……暑苦しい」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:22:15.21 ID:EQiuTItd0
……
……
刑事「くそっ! ――燃やされてしまったか!」
刑事「貯め込んでいたであろう薬物が、跡形もなく燃え尽きてしまった……」
刑事「まさか、こんなに早く手を打つとは……」
消防士「しかし……見事な腕ですね。この小屋を燃やした犯人は」
消防士「この乾いた天候の中、一切延焼させることなく、この山小屋だけを正確に燃やしている」
消防士「よほど炎に精通した者の仕業のようですねえ……」
刑事「感心してる場合か!」
消防士「これは失礼」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:24:33.61 ID:EQiuTItd0
消防士「いずれにせよ、犯人が只者ではないことは間違いありません」
消防士「この犯人……もしや、今巷を騒がしている連続放火殺人となにか関連があるのでは?」
刑事「うむ……」
消防士「我々としては、刑事さんのご活躍を期待していますよ」
消防士「このところ、我々の出動回数が多すぎて困っているのですよ。このままでは過労死です」
刑事「……分かっている!」
刑事「…………」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:27:48.12 ID:EQiuTItd0
< 公園 >
黒服「焼けてるか?」
放火魔「……あんたか」
放火魔「またなにか依頼か?」
黒服「いんや、今日はこないだの礼に来ただけさ」
黒服「あんたのおかげで、うちの組織の看板は汚れずに済んだ……ありがとう」
放火魔「俺は自分の仕事をしただけのことだ」
黒服「とりあえず、これ……熱々の焼き鳥だ」ホカホカ…
放火魔「お、ありがてェ! 熱燗も欲しいところだな」
黒服「おっと、俺としたことが忘れちまった」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:30:01.37 ID:EQiuTItd0
放火魔「うまいな、これ」ハグハグ…
黒服「だろ? なかなか昔堅気の屋台でよ……」ハグハグ…
黒服「そういや一度、聞きたかったんだが――」
放火魔「なんだ?」
黒服「なぜ、あんたはどこにも所属しない“放火魔”になったんだ?」
黒服「しかも『絶対に人が死ぬ放火はしない』なんて美学まで持って……」
黒服「俺たちの業界じゃ、他人の過去には触れないって暗黙のルールがあるが」
黒服「どうしても気になっちまってね」
放火魔「……俺らしくもねえ、シケた話だ」
黒服「ぜひ聞かせてもらいたいね」
放火魔「俺はな……ガキの頃、俺は親に捨てられたんだ」
黒服「!」
放火魔「それも、ゴミ捨て場によ……」
放火魔「あのままだったら俺はくたばって、ゴミ収集車に回収されてもおかしくなかった――」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:32:40.07 ID:EQiuTItd0
〜 回想 〜
少年「うう……寒い、寒い……」ガチガチ
少年(寒くて体が動かない……声もでない……。ぼく、このまま死ぬのかな……)
少年(誰か……助けて……)
浮浪者「お?」
浮浪者「こんなところにガキが捨てられてやがる。ヒャッハッハ、傑作だ!」
少年「おじさん、誰……?」
浮浪者「お前と同じ。世の中から捨てられたモンよ」
少年「捨てられた……」
浮浪者「寒いだろ? よっしゃ、一緒にあったまるか!」
浮浪者「どうせヤケクソに、どこかに火をつけちまおうと思ってたんだ」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:34:44.59 ID:EQiuTItd0
ボォォォォ……!
浮浪者「おおぉ〜、よく燃えてやがる。きっと分別されてねえスプレー缶でも入ってたんだな」
少年(ゴミを燃やして……)
浮浪者「どうだボウズ、あったけえだろ!」
少年「うん! あったか〜い! 生き返ったみたいだ!」
浮浪者「あったまったら、交番行け! きっとおまわりさんが何とかしてくれる!」
少年「ありがとう……おじさん!」
浮浪者「俺こそシャバにいい思い出ができたってもんよ」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:36:50.16 ID:EQiuTItd0
……
…………
放火魔「――ってな具合だ」
黒服「……シケてるなんてとんでもねえ。打ち上げ花火みてえにブッ飛んでるぜ」
放火魔「あの一件で、俺は放火ってやつにすっかり憧れちまってな」
放火魔「将来は、放火で人助けをするような仕事をしたいって思ったんだ」
放火魔「ま、さすがにおおっぴらにやるのは無理だから、こうして裏社会でやらせてもらってるが」
黒服「ハハハ、そりゃそうだ! 『放火でお悩み解決します』なんて看板出したら、即お縄だ!」
黒服「ちなみに、その命の恩人は?」
放火魔「とっくに捕まったよ。今も刑務所にいるんじゃねえかな……」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:38:50.10 ID:EQiuTItd0
黒服「じゃ、聞くついでにもう一つ」
放火魔「ん?」
黒服「奥さんとの出会いはどんな感じだったんだ?」ニヤニヤ
放火魔「そんなこと聞くもんじゃねえ。ヤケドしちまうぜ……」
黒服「おっと……おっかねえ。じゃあやめとくか」
放火魔「でも、聞きたいんだろ?」
黒服「ん?」
放火魔「そんなに聞きたいならしょうがねぇ……話してやっかァ!!!」
黒服(話したかったんだな……)
放火魔「あいつとの出会いは、こんな感じだった――」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:41:03.54 ID:EQiuTItd0
〜 回想 〜
シュボッ…
放火魔「ふぅぅ……こうして一人、マッチの火を見てると落ち着くぜ……」ユラユラ…
ザバッ!
放火魔「ぶっ!?」
放火魔(いきなり水をぶっかけられて、火が消えた……)ビショビショ…
放火魔「だ、誰だ!?」
女「やったのは私よ」
放火魔「いい度胸してんじゃねえか……なんでこんなことしやがった!?」
女「私、火が嫌いだから」
放火魔「…………!」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:43:09.03 ID:EQiuTItd0
放火魔「そ、そうか……火が嫌いなのか」
女「ええ、嫌いなの。熱いのも嫌いだし、赤いのも苦手ね。一番嫌いな季節は夏よ」
放火魔「ふぅ〜ん……」
放火魔「あ、あのさ……」
女「なに?」
放火魔「俺、あんたに惚れちまった! 火がついちまったァァァ!!!」
放火魔「よかったら……俺と付き合ってくれねえか!」
女「いいけど」
放火魔「俺は火が大好きだけど、よろしく!」
女「うん」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:45:34.97 ID:EQiuTItd0
……
…………
放火魔「――ってな具合さ」
黒服「えええ……!?」
放火魔「あいつにかけられた水で、俺のハートはキャンプファイヤーみてえに燃え上がったのさ!」
放火魔「分かるだろ!?」
放火魔「この燃え上がる気持ち、分かるだろォ!?」
黒服「ああ、分かる分かる」
黒服(わけ分からん……)
黒服(最初の浮浪者に助けられたエピソードのが、まだ理解できたぞ……)
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:48:10.82 ID:EQiuTItd0
黒服「だけどまあ……燃え上がる炎のようなあんたと、水や氷みたいな奥さん……お似合いだぜ」
放火魔「よせよ、さらに燃えちまう!」
黒服「もしも、火に心ってもんがあったらよ……」
黒服「あんたみたいな熱くまっすぐな奴に使ってもらうのが、一番嬉しいだろうぜ」
放火魔「放火魔がまっすぐってことはねえだろうが、そう願いたいもんだな!」
黒服「さて、そろそろ行かなきゃな。敵対組織との抗争が待ってる」
放火魔「俺はそういうのに加勢はしねェが、燃え上がって行けよ!」
黒服「ああ……あんたと話してよかった。燃えてきたぜ!」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:50:27.00 ID:EQiuTItd0
< 放火魔の家 >
嫁「今日のお仕事は?」
放火魔「すまねえ、今日は世間話したぐらいだった。しばらく大きな仕事はなさそうだ」
嫁「気にしないで、私もそうだから。世間話してただけ」
放火魔「お前が世間話? どこの誰と?」
嫁「近所の奥さんたちよ」
嫁「今日はある高級マンションに住み始めた奥さんの愚痴を延々と聞かされてたわ」
放火魔「ご近所付き合いも大変だねえ」
嫁「楽なものよ。冷めた顔して聞いてればいいんだもの」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:52:51.18 ID:EQiuTItd0
嫁「あなたはどんな話をしてたの?」
放火魔「ああ……知り合いに、俺とお前の出会いなんかを話したりしたよ」
嫁「え……話したの?」
放火魔「ダメだったか?」
嫁「別に……」プイッ
放火魔(お? ちょいと顔を赤らめたか? 珍しい……)
嫁「今晩、あなたの夕ご飯、十分冷ましておくから」
放火魔(ちょっと怒ってる! これも珍しい!)
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/23(月) 21:56:04.16 ID:EQiuTItd0
……
……
刑事「またしても、やられたか……!」
消防士「木造アパートが全焼……住民もみな逃げ遅れたようですね。残念なことです」
消防士「警察署も消防署も葬儀屋も忙しくなりますねえ」
刑事「おのれ……放火犯め! これ以上好き勝手されてたまるか!」
消防士「ところで私、こんな噂を聞いたことがあるのです」
消防士「裏社会には、頼まれればどんなものでも燃やす“放火魔”という仕事人がいると」
刑事「その噂は俺も聞いたことがある……」
消防士「私の読みでは、この連続放火事件、その人間が絡んでいます」
刑事「……裏社会の人間、か」
刑事(探ってみる価値はありそうだな……)
32 :
◆xvk52ylD8k
[saga]:2018/04/23(月) 21:56:40.28 ID:EQiuTItd0
今回はここまでです
よろしくお願いします
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/23(月) 22:11:32.74 ID:7BB5JDW+O
侮ってたわ、普通に面白い
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/24(火) 00:33:01.04 ID:7i2/1Mfuo
氷魔法が得意な熱血炎魔法使いと
炎魔法が得意なクール氷魔法使いの話書いてた人か
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/24(火) 00:36:31.49 ID:+jkef7aRo
タイトル見ていつも大喜利みたいな短編書いてる人かと思ったら違った
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/24(火) 08:56:23.61 ID:x8oWtOFDO
乙
面白い
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/24(火) 18:35:34.31 ID:ki89SNUd0
さて、別の日――
< 公園 >
子供「お兄さーん!」
放火魔「ん? いつものボウズじゃねえか」
放火魔「焼き芋か? すまねえ、さっき焼き始めたばかりでまだ焼けてねえんだ」
子供「ううん……実は今日は、頼みがあるんだ」
放火魔「なんだ?」
子供「ええと、実は……」
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/24(火) 18:36:27.91 ID:ki89SNUd0
子供「これ!」ピラッ
放火魔「75点のテスト……これがどうした? もしかして、あぶり出しにでもなってるのか?」
子供「ううん、違うの!」
子供「お願い! これを燃やして!」
放火魔「へ? なんで?」
子供「だってこんな点数じゃ、お母さんに叱られるから……」
放火魔「なにいってんだ。七割正解してるんだから、上等だろ」
子供「ううん、最低でも90点以上じゃなきゃダメなんだ。もっと勉強しろって叱られちゃう」
子供「だから……燃やして! なかったことにしちゃって!」
放火魔「……まぁ、いいけどよ」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/24(火) 18:38:23.20 ID:ki89SNUd0
放火魔「ボウズ……燃やす前に一つだけ聞いておく」
子供「?」
放火魔「このテストはふざけて受けたのか? 真面目に受けなかったのか?」
子供「そんなことないよ! 一生懸命やったよ! ちゃんと解いたよ!」
放火魔「だろ?」
放火魔「だったら、燃やさない方がいい」
子供「……どうして?」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/24(火) 18:40:54.25 ID:ki89SNUd0
放火魔「だって、目標より悪い点数だったとしても、お前は本気でやったんだろ?」
子供「……うん」
放火魔「だったら胸を張って、その結果を受け入れないと次につながらない」
放火魔「たとえ、この答案を燃やして証拠隠滅したって、またテストはあるんだからさ」
放火魔「本気で頑張ったその証を燃やしたら、絶対後悔する!」
放火魔「『自分は悪い点をなかったことにした』って負い目が下手すりゃ一生残る!」
放火魔「いいか、忘れるな!」
放火魔「鼻ほじりながら取った100点より、一生懸命やった70点のが……俺はすごいと思う!」
子供「75点ね」
放火魔「こ、細かいな!」
子供「だけど……ありがとう」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/24(火) 18:43:21.60 ID:ki89SNUd0
子供「ぼく、叱られてもいい! このテストはきちんと持ち帰るよ!」
放火魔「おう、その意気だ!」
放火魔「なぁに、叱られたって気にすんな! 母ちゃんの期待のあらわれなんだから!」
放火魔「どんなに叱られてもそれを乗り越えれば……」
放火魔「次は絶対もっといい点取ってやるって気持ちになる!」
子供「うん! ありがとう、お兄さん!」
子供「じゃあねー!」
放火魔「またな!」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/24(火) 18:45:36.25 ID:ki89SNUd0
放火魔(今時の子供も大変だな……)
黒服「クックック……」
放火魔「うおっ!? またお前か! タイミングがよすぎる……さてはさっきからいただろ!」
黒服「まぁな。一対一の会話に割り込むほど、野暮じゃねえつもりだ」
黒服「あのガキも、今日テストを燃やさなかったことで、より強く成長できるだろうさ」
黒服「今のあんたは……なかなかかっこよかったぜ」
放火魔「……うるせえ」
黒服「いやいや、お世辞じゃなく、今のあんたはあんたが理想とした“放火魔”になれてる気がするぜ」
黒服「親に捨てられたあんたを助けた時の浮浪者のようにな」
放火魔「ふん、そりゃどうも……」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/24(火) 18:48:21.05 ID:ki89SNUd0
黒服「……だが、世の中にはあんたと真逆の放火魔ってのもいるもんさ」
放火魔「!」
黒服「今、巷で連続放火事件が起こってるのを知ってるか?」
放火魔「ああ、知ってる。こないだもアパートが全焼したとか」
黒服「そうだ。しかも死人も出まくってる。やってる奴は只者じゃねえ」
黒服「念のため聞いとくが、あれの犯人ってあんたか?」
放火魔「おい……」ギロッ
放火魔「俺が人死にの関わらない放火しかしないって知ってるだろ」
黒服「すまなかった、冗談だ冗談」
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