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【SW】シス「わらわの弟子にならんか?」ジェダイ「断る!」【オリキャラ】
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:17:01.32 ID:0XOCVNPz0
寒風吹きすさぶ夜の荒野の只中、キャンピング・トレーラー付きのスピーダーが一台。
今、そのトレーラーから一人の青年が姿を現す。
シンノ「うう、寒っ……」
青年――シンノ・カノスは、ぶるりと震えてケープをかき合わせる。
その裏に隠したライトセーバーが、腰のブラスターとぶつかって音を立てた。
R3C3『ピポポ』
シンノに続いて、赤いアストロメク・ドロイド――R3C3が姿を現した。
シンノ「おお、R3」
R3C3『ポポピーポ』
シンノ「ハハハ、何だ?寝ぼけてるのか?ドロイドのくせに……おっ、見ろ」
シンノは地平線を指し示す。
シンノ「……夜明けだ……」
――その指先では紺碧の空が白み、眩い光がちらりと顔を出していた。
やがて姿を現す太陽が、荒野に暖かな光を投げかける……
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1522253821
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:17:52.30 ID:0XOCVNPz0
遠い昔、遥か彼方の銀河系で……
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:18:52.28 ID:0XOCVNPz0
エピソード3.4 蘇る希望
ダークサイドの勝利!シスの暗黒卿のもと
万雷の拍手の中で誕生した銀河帝国は、恐怖
政治によってその威信を全宇宙へ轟かせつつ
あった。未だクローン戦争の残火燻る辺境の
QC星系も、古代文明ヤマタイトの末裔ミコ
ア姫を大執政官に奉じた帝国軍によって一応
の安定をみたのである。
一方ジェダイ・ナイトの生き残りシンノ・
カノスは、帝国軍の追手から逃れQC星系に
辿り着いていた。彼は惑星キイに古代ジェダ
イ・テンプルの遺跡が存在すると知り、付近
の地理に詳しい探検家たちを雇ってそこを訪
れたのだが……
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:19:40.26 ID:0XOCVNPz0
シンノ「……こいつはひどい」
シンノは遺跡の一室を見渡した。
引き出しという引き出しは乱雑に開け放たれ、ドアはことごとく力尽くでこじ開けられている。
爆破や焚火の跡まで残されており、経年劣化を差し引いてもひどい有様であった。
シンノ「ここはお前らしか知らないんじゃなかったのか?だから300払ったんだぞ」
探検家1「グルルルル……どうやら俺たちの他にも墓荒らしがいたらしいな」
探検家2『じぇだいドモハ禁欲的ダカラナ。ソノ遺跡ニモ金目ノ物ガ無インデ、人気ハ無イハズナンダガ』
探検家3「……」
探検家はリーダー格のトランドーシャン、背の高いドロイド、下働きらしい物静かな少女の三人だった。
シンノ「このぶんではジェダイの資料も、遺産も、ろくに残ってはいまい……とんだ無駄足だ、これでもフルプライスか?」
探検家1「まあ待ちな、兄ちゃん。この前来た時に面白そうな場所を見つけたんだ。あそこは手つかずのはずよ」
シンノ「面白そうな場所だと?」
探検家1「案内してやる、ついてきな」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:20:29.55 ID:0XOCVNPz0
辿り着いた部屋は円卓と、それを囲む形で椅子が並ぶ広間である。
古びた天窓から僅かに日の光が差し込み、損壊も他の部屋より少なく、厳かな雰囲気がそのままに残されている。
シンノ(古代のジェダイ・マスターたちがシスと戦うための作戦会議をした部屋だろうか……)
探検家1「グルルルル……この椅子だったか?いや、こっちか……」
探検家2『コノ椅子ダ』
ドロイドが椅子の一つをぐいと押すと、据え置きかと思われた椅子はその力のままにずず、と滑る。
やがて四人の探検者の前に、地下へ通じる階段の入口が姿を現したのである。
シンノ「これは……!?」
探検家1「おっと、そこだったか……さあいくぜ」
探検家2『コノ下ダ』
探検家3「……」
シンノ(古のジェダイたちが遺した隠し通路……!)
ずかずかと階段を下りる探検家たちに続いて、シンノは壁に手を触れながら、一歩ずつ暗闇の中に足を踏み出していった。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:21:00.19 ID:0XOCVNPz0
「グルル、到着だ」
「ここがそうなのか?暗くて何も……いてっ!」
『オイ、気ヲツケロ!』
「マオ!明かりを出せ!」
丸っきり暗闇だった地下室がやにわ明るくなり、シンノは思わず目を覆った。
マオと呼ばれた少女がライトを灯したのだ。
シンノ「それで……面白そうな場所というのは、ここか?」
慣れない目であたりを見回すと、そこは先ほどの広間よりずっと狭い空間である。
ランプの載った簡素な机が一つ置いてあるだけの、閑散とした部屋。
しかし異質なのは、その壁や床、天井までもが、滑らかな黒い石のような素材で出来ていることだった。
シンノ「変な場所だな……しかし、何かあるようには見えないが。ちょっとした隠し部屋ってだけじゃないのか」
シンノ(……しかし、ここはどうも居心地が悪いな……寒気もするような)
探検家1「まあ待て……この壁を見てみろ」
探検家が指し示す壁には、胸くらいの高さに何かしらの文章が白く刻まれていた。
その文字はシンノにとっては始めて見るものであった。古代文字だろうか?
探検家1「グルル……この前、この文章を解読したんだが……どうやらこの向こうに、ジェダイの書庫があるらしい……」
探検家2『音響探索装置モ、コノ向コウニ広イ空間ガアルト示シテイル。じぇだいノ遺産ガ山ホドアルコトダロウヨ』
探検家1「だがこの壁は押しても引いても開かなくてな……どうだ?何か開ける方法に心当たりはないか?」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:21:53.02 ID:0XOCVNPz0
シンノ「この奥に……?」
シンノが文字の刻まれた壁に近寄り、そっと手を触れる。
――指が壁をすり抜けた。
シンノ「うっ!?」
探検家1「これは!?」
次の瞬間壁は消え、代わりに広大な暗闇の空間が口を開けている。
その奥からすえた匂いのする空気が流れ込んだとき、シンノの体を凄まじい悪寒が駆け抜けた。
シンノ(……な、何だ、この嫌な気配は……)
シンノ(これは……ダークサイドのフォース……!?)
探検家1「――おっと。もう十分だぜ。そこで止まれ、ジェダイの兄ちゃん」ジャキッ
探検家2『ゴ苦労様ダゼ』ジャキッ
探検家3「……」ジャキッ
シンノはぴたりと動きを止めた。
探検家の言葉とともに、フォースを介して殺気を感じたのだ。
そして実際、三人の探検家のブラスター・ピストルの銃口が背後から彼を狙っていた。
シンノ「……どうして俺がジェダイだと?」
探検家1「グルル、前にも言っただろう。ジェダイの遺跡は『しけてる』」
探検家2『全クソノ通リデナ、ココデ見ツケタモンヲ全部売リサバイテモ雀ノ涙ダッタヨ」
探検家1「ああ。だからわざわざ探すような奴なんて限られる。俺たちのようなもの好きか、あるいは……ジェダイ」
シンノ「……上を荒らしたのは、お前らか」
シンノの拳が固く握りしめられる。
探検家1「おっと、言っておくが……俺たちに何かあれば、町にいる仲間がお前のことを帝国軍に通報する手はずになっている。おかしなことを考えるなよ」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:22:37.33 ID:0XOCVNPz0
探検家2『サア、壁ニ手ヲツケ』
シンノが指示に従うと、ドロイドの探検家はすかさずブラスターとライトセーバーを奪って机の上に放った。
シンノ「俺を誘い込んだのは、この壁を開けさせるためだな……ジェダイならここを開けられると知っていて……」
探検家1「あの壁の文字が教えてくれた……さて、お前はここでおとなしくしていな」
トランドーシャンの探検家は少女を連れて暗闇の中に姿を消す。
しかしドロイドは机の上のランプに火を入れ、ブラスターでシンノを牽制し続ける。
探検家2『サテ、二人キリダナ。言ウマデモナイダロウガ、じぇだいノ催眠術ハ俺ニハ通用センゾ」
シンノ「……そのようだな」
探検家2『ソレト、すぴーだーノトコロニ待タセテアルオ前ノどろいど、俺ガモラウゼ。イイダロ?』
シンノ「……それより、この奥はシスの遺跡じゃないのか」
シンノは喋りながらフォースに働きかける。
机の上のブラスターが僅かに震えた。
探検家2『壁ノ文章ニヨルト、ソウラシイナ。ヨクワカッタジャナイカ』
シンノ「とすると……貴様らの本命は、シスの財宝か」
ブラスターがゆっくりと、ごくゆっくりと回転する。
やがてその銃口はドロイドの探検家のほうを指向していく。
探検家2『ソウサ。〈しす〉ハオ前ラト違ッテ太ッ腹ナンデナ』
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:23:24.90 ID:0XOCVNPz0
そのとき、暗闇の方からトランドーシャンの叫び声が響いた。
続けてブラスターの発砲音、何かが激突するような音。
探検家2『何ダ!?』
シンノ「……」クンッ
仰天したドロイドが僅かに銃の照準を逸らした瞬間、シンノはフォースで机の上のブラスターの引き金を引いた。
探検家2『グアッ!』
光弾は過たずドロイドの脇腹を貫き、床に突き倒す。
その手からブラスターが零れ落ちて床に転がる。
探検家2『ウアッ、アッ』
ドロイドはそれに手を伸ばすが、ブラスターはひとりでに動いてその手をすり抜けた。
やがて空中へ浮き上がると、振り返ったシンノの手に収まる。
シンノ「……さて、言うまでもないだろうが」ジャキッ
探検家2『待テ!じぇだいガ丸腰ノ相手ヲ殺スノカ!?』
シンノ「ジェダイのルールはドロイドには適用されない」バシュッ
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:23:56.79 ID:0XOCVNPz0
武器を取り戻したシンノは壁の向こう、暗闇の中へ飛び込んだ。
むせかえるようなダークサイドのフォースの流れが彼を導いた。
やがて彼は灯り――少女の持っていたライトが地面に転がっているのを見つけ、そこへ駆け寄る。
すると近くの床に真新しい死体が二つ転がっているのが目に入った。
シンノ「これは……いったい誰が?」
ブラスターを握ったトランドーシャンの死体と、少女の死体。
シンノはおびただしい血の臭いに思わず顔をしかめつつ、ライトを拾ってあたりを見回した。
先ほどの会議室と同じくらいの広さの、石造りの部屋である。
部屋の奥に簡素な祭壇があり、その上には何か箱状のものが置かれている。
シンノ(あれは……棺、か?)
シンノは慎重に周囲の様子を伺いながら前進する。
……進路の左右に石像が建てられている。
人の背丈の三倍ほどの、槍状の武器を構えた半裸の男の像。
それが棺を守るかのように二体並んでいるのだ。
シンノ(……!)
その武器の先端から血が滴っていることに気づいた瞬間、石像が鈍い軋みを上げながら動き出した!
シンノ「こいつらがッ!?」
石像1「グゴゴゴゴ」
石像2「グギギギギ」
シンノは石像がX字に振り下ろした武器をバク転で回避し、ライトセーバーを抜いた。
青色の光刃が闇の中に煌めく。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:24:31.24 ID:0XOCVNPz0
石像1「グゴゴッ」
シンノ「フンッ!ハアッ!」
襲い来る石像に飛びかかりざま二太刀を浴びせ、両腕を切断。
床に落ちた腕と武器が振動と粉塵を巻き起こし、無力化された石像がその中に膝をつく。
石像2「グギギギギ」
シンノ「はああ……!ぜあっ!」
石像1「グゴッ」フワッ ビュンッ
シンノの気合とともに一体目の石像が浮き上がり、迫る二体目に直撃。
巻き起こった更なる粉塵の中にシンノは飛び込んでいく。
数秒後、石像の戦士たちはばらばらに解体されて沈黙していた。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:25:14.13 ID:0XOCVNPz0
シンノ「古代のシスの……防衛装置か」
――シンノがそう呟いて残身を解いたとき。
?『ふああ……なかなかいい素質を持っているようじゃな、若きジェダイよ』
シンノ「!?」
広間に響く誰の物とも知れぬ声を耳にして、シンノは油断なくライトセーバーを構えた。
シンノ(ダークサイドの力を……おそろしく近くに感じる……!)
?『そなたが妾の復活に立ち会ったのも、フォースの意志……そなたは妾の〈器〉となるためここに導かれたのじゃ……』
シンノ「器だと……何を言っている。喋ってばかりいないで、姿を見せたらどうだ……!」
?『カカカカカ!そう焦るでない、言われずとも見せてやろうぞ!』
その言葉とともに、祭壇の上の棺の蓋が恐ろしい勢いで吹き飛んだ。
その中から煙のような暗黒のオーラが噴出し巨大な女性の輪郭を形作るのを、シンノは呆然と眺めた。
シンノ「な……お、お前は……」
オーラの塊がシンノにぐいと顔を近づけ、言葉を発する。
?『妾は〈ダース・ネーア〉――正統の、シスの暗黒卿じゃ!』
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:26:00.71 ID:0XOCVNPz0
シンノ「――そ、そんなはずはない。シスはこの世に二人のはず……皇帝と、ダース・ヴェイダー……」
ネーアはシンノを無視して、横の壁に目をやる。
そこにはシリンダーを組み合わせたような装置――液体金属の滴下を利用した、半永久的に動く時計が埋め込まれていた。
ネーア『むう、500年も寝ていたようじゃの……何?ダース・ヴェイダー?そなたの言っておるのは、妾の弟子のその弟子の、ずーっと先の弟子じゃろうて』
シンノ「ごひゃ……じゃあお前は、過去のシスの……幻影?」
ネーア『チッチッチ……違うんじゃな、これが』
オーラの塊は挑発的に人差し指を振った。
ネーア『妾はたしかに弟子にすべてを譲り、眠いに就いた。そのとき肉体は滅びた……じゃがそれは一時的なものに過ぎん』
ネーア『シスの教えが断絶したとき、妾はフォースの導きによって蘇ることになっておるのじゃ。いわば妾はシスの断絶を防ぐ安全装置、生きた〈シスの種子〉よ!』
シンノ「……今はシスの教えは途切れていないはずだが?」
ネーア『うむ、そうらしいのう。……あれ?』
シンノ「……」
ネーア『……えーと』
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:26:46.41 ID:0XOCVNPz0
シンノ「とりあえず、シスは滅ぼす。その棺を壊せばいいのか?」
ネーア『わーっ!待て!待つのじゃ!』
ネーアは泡を食ったように手をぶんぶん動かした。
ネーア『シ、シスが健在にも関わらず妾が目覚めるということは、フォースに相当の乱れが生じているはず……』
ネーア『そうじゃ!いかに強力と言えどシスはたった二人……皇帝とダース・ヴェイダー、じゃったか?正体まで判っておるのに、ジェダイはなぜ放っておく!?』
シンノ「……!」
シンノが言葉に詰まると、オーラの塊はそれを見透かすように顔を近づけた。
ネーア『……なるほどな』
シンノ「――!何を!」
シンノはそちらへライトセーバーを振りぬくが、ネーアはそれをふわりとかわした。
シンノ(今、頭の中を覗かれた……!)
ネーア『クローン戦争……クローン・トルーパー……オーダー66……銀河帝国。ジェダイが滅びるとはのう』
5世紀前のシスは狂喜乱舞するかと思いきや、顎に手を当てて考え込んでいるようだった。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:27:24.96 ID:0XOCVNPz0
ネーア『……マスター・ヨーダも死んだのか?』
シンノ「……ああ、多分……笑わないのか?シスにとっては、この上なく嬉しいニュースだろう」
ネーア『まあ、そうじゃな。しかし妾以外のシスが大きな顔をしているのも気に入らん……』
シンノ「仲間割れでもするつもりか」
ネーア『弟子が師匠を殺し、師匠が弟子を殺す……それがシスじゃ』
ネーア『妾が現役のシスに成り代わっても、最終的に二人になればそれでよい――さて、お喋りはもう十分ぞよ』
シンノ「……なんだと。何をしようって言うんだ」
ネーアはふわりと空中へ浮かび上がった。
その目があるべきところがきらりと輝く。
ネーア『なに、そなたには予定通り、妾の器となってもらうだけ……さあ、妾を受け入れよ!カーッ!』
ネーアの体が渦を巻き、圧縮し――電撃のごとくシンノを襲う。
シンノ「な――お、お断りだ!」
シンノは咄嗟に横へ飛び退いた。
暗黒のオーラがシンノの横を通り過ぎ――どん、という音が響いた。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:29:10.28 ID:0XOCVNPz0
シンノはぱっと背後を振り返り、その行方を捜す。
……「それらしきもの」が、むくりと起き上がった。
少女「……カカ、カカカカカ!さあ、これで妾は完全復活――」
先ほど石像に殺された少女の体が。
少女「って、なんじゃこりゃあ!?」
シンノ「……お前……ダース・ネーアか!?」
信じがたいことに、このシスの暗黒卿の魂は死体に新たな命として宿ったようだった。
立ち上がってシンノに近づく仕草は生き生きとして、血に濡れた服の切れ目から覗くはずの傷は綺麗にふさがっていた。
ネーア「避けちゃダメじゃろ!?」
シンノ「避けるに決まってるだろう!」
ネーア「な、何てことじゃ、そうそう乗り移れるものではないというに……うわっ、しかもこの体フォースの加護カッスカッスぞよ……」
ネーアはしばらく深刻な顔で黙りこんだ。
そしてシンノの表情が困惑から呆れに変わり始めたころ、意を決したように口を開く。
ネーア「……で、ではこの際……そなた!名はなんという?」
シンノ「え?……シンノ・カノスだが……」
ネーア「よし、シンノ・カノス――」
ネーア「そなた、妾の弟子にならんか?」
シンノ「……は?こ、断る!」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:30:11.57 ID:0XOCVNPz0
R3C3『ピポポ』
シンノ「ああ、R3……」
遺跡の外、スピーダーとともに待機していたR3C3は、入口から姿を現した主人に近寄った。
ネーア「ほう、これはお前のドロイドか?」
R3C3『プウー……』
しかしそれに続いて出てきた探検家の少女を見るやいなや後ずさった。
ドロイドなりに何かよからぬ気配を感じたのかもしれない。
シンノ「……そうだ」
ネーア「500年でドロイドの見た目も変わったものぞよ。眠りに就く前は蜘蛛の化け物みたいな奴ばかりじゃったが……」
R3C3『ピポポ ポポピーポ』
シンノ「……そうだR3。そいつは別人だ……シスの暗黒卿ダース・ネーアだ」
R3C3『ピアアアアア!プウウー』
シンノ「俺だってそう思った!ここに置いていけば探検家の通報で駆け付けた帝国軍に捕まって、皇帝に処刑されるだろうが……」
シンノ「そうなったら俺の居場所を通報してやるって言うんだ、こいつは……憎たらしいちんちくりんが!」
ネーア「妾くらいになれば、そなたのような未熟者のフォースを追跡するくらいわけはないぞよ。こんなちんちくりんの器でもな」
ネーア「ところでそなたはどうじゃ?星系越しでフォースを探れるか?ダース・シンノよ」
シンノ「ダースを付けるな、弟子にはならん」
ネーア「妾を殺すという手もあるな。妾は丸腰じゃが」
シンノ「もうわかった!早くスピーダーに乗れ、くそ!」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:31:01.52 ID:0XOCVNPz0
スピーダーはキャンピングトレーラーを切り離し、ジェダイとシスとドロイドを乗せて走り出す。
東の地平線では真っ赤な太陽が――惑星キイは西向きに自転する――沈みつつあり、荒野は夕闇に包まれようとしている。
惑星唯一の宇宙港都市キイポートまでの道すがら、シンノはR3C3に遺跡での顛末を語った。
R3C3『ピポポ ポポピーポ』
シンノ「いや、あの手の連中がよく使うサバイバルガジェットにはバイタルサインを監視する機能もあるはずだ……探検家の仲間はあいつらが死んだことにすぐ気付く」
シンノ「通報を受けた帝国軍が到着するまで丸一日ってとこだろう、それまでにこの星から出なきゃあ」
ネーア「モグモグ、船の当てはあるのか?」
ネーアはトレーラーから分捕ってきたチョコレート・バーを齧りながら尋ねた。
シンノ「俺の船がある。黙って乗ってろシスめ」
ネーア「そう邪険にするでない……モグモグ、それにしてもこれ、美味いのう」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:31:40.87 ID:0XOCVNPz0
――QC星系における帝国軍の本拠地「ダン・ザ・フロー」は惑星ヤマタイティアの衛星軌道上に存在した。
無軌道に拡張を繰り返した結果、鉄条網の塊のような醜い姿に成り果てた巨大宇宙ステーションである。
その奥深くの中央司令室で、一人の男がビューポートに向かって立っていた。
銀河帝国QC星系総督にして駐屯艦隊の司令官、セード・ワイマッグである。
顔立ちには未だ若さが残っていたが、そのたたずまいには高級将校らしい貫禄を感じさせた。
?『シュコーッ、シュコーッ……ワイマッグ提督。興味深いお知らせが』
ワイマッグ「……コマンダー・コーチ。この時間はお休みになっているはずでは」
ワイマッグは呼びかけられたほうへ振り返る。
背後に居たのは、T字スリットのヘルメットが印象的な装甲服に身を包んだ男。
ヘルメットにはいくつも撃墜マークが書き込まれていたが、その腰はひどく曲がり、杖を勧めたくなる危うげな足取りだ。
周期的に鳴るガスが漏れるような音は、装甲服に組み込まれた生命維持装置の呼吸音だった。
コーチ『休んでなどいられませぬ、この星系に潜んでいる分離主義者の残党を滅ぼすまでは……ゲホゲホ!』
ワイマッグ「もっとお体を労わってください、またバクタ・タンクに入ることになりますよ……天国の父も悲しみます」
コーチ『あなたの御父上のためにもです。あなたの御父上は分離主義者のドロイドに殺されたのですぞ!……私はその場に居ながら……お助けできませんでしたが』
ワイマッグ「そのことはもう気にしていないと申し上げたはずです、コマンダー」
ワイマッグは労わりと苛立ちがないまぜになった表情であった。
ワイマッグ「それで、『興味深いお知らせ』というのは何です?」
コーチ『シュコーッ、シュコーッ……惑星キイに、ジェダイがいるという通報がございまして……』
ワイマッグ「……コマンダー、今までもその類の誤報はいくらでもあったでしょう。また棒ライトを振り回す酔っ払いの見間違いでは」
コーチ『しかしもし本当だったら?ジェダイは排除しなければなりませぬ、確実に。よい兵士は命令に従うものです』
ワイマッグ「まあ……たしかに、皇帝陛下からも最重要任務の一つとは言われておりますが……」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:32:41.50 ID:0XOCVNPz0
コーチ『シュコーッ、シュコーッ……今回は画像もあるのです。盗撮のようですが』
コーチがデスクに置いた3Dプロジェクターから、椅子に腰かけた若い男の映像が投射される。
ワイマッグ「……これがジェダイ?私より若いようですが……」
コーチ『ジェダイを見た目で判断してはなりませんぞ』
そのとき司令室のドアが開いて、黒装束の若い女性が姿を現す。
ワイマッグ「……マーズ管理官」
ジヒス・マーズ管理官は整った容姿にも関わらず、どこからともなくおそろしい威圧感を発する女性だった。
マーズは相変わらず鉄面皮のまま二人に近づく。
ワイマッグの表情は明らかに警戒を孕んだもので、コーチは威嚇する動物のごとく背筋を伸ばしさえした。
マーズ「――提督。『ラグナロク』が最終チェックを終えたのはお聞きになりましたか」
ワイマッグ「わかっている。それだけ言いに来たのか」
マーズ「いえ、皇帝陛下からの下賜品を組み込んでおりますから、死蔵せず近々お使いになるよう進言に伺ったのです」
ワイマッグ「下賜?……下賜、ね」
ワイマッグはマーズの言葉を鼻で笑った。
ワイマッグ「ゴミ捨て場に出せない厄介なゴミを目につかないところに捨てただけに思えるがね。なんだあのバカでかいレーザー砲は?何かの試作ひ――ぐっ、ぐぐぐ」
そこでワイマッグは突然喋るのをやめ、不自然に呻いた。
首をかきむしる。顔が青くなる。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:33:33.40 ID:0XOCVNPz0
コーチ『!何をしている!』
コーチが銃を抜くに及んで、マーズはようやくフォースで首を絞めるのをやめた。
ワイマッグ「――ゲホッ!ゲホッ!貴様……!」
マーズ「皇帝陛下のなさることを貶めるとは……それに、下賜品のことは機密扱いのはず。無遠慮にべらべら喋るのはやめていただきたい――むっ?」
マーズはデスクの3D映像に目をつけた。
何らかの感情のもと、その目が細められる。
マーズ「……これは何です」
ワイマッグ「……惑星キイに、ジェダイがいると通報があった。そいつがジェダイだというんだ。また誤報だろうと思うがね」
マーズ「誤報ではありません。こいつは本物のジェダイです」
マーズは断言した。
ワイマッグ「何故わかる?」
マーズ「フォースです」
ワイマッグ「フォース?またわけのわからん魔法――ぐっ、ぐぐぐ」
マーズ「信念への侮辱は不愉快です」
コーチ『貴様!いい加減にせんと本当に撃つぞ!』ジャキッ
マーズ「……とにかく、今すぐ艦隊を惑星キイに送っていただこう。私も同行します」
ワイマッグ「――ぷはあっ!ゲホッ、ゲホッ……わ、わかった……」
マーズはそれっきり一言も口を利かず、コーチの突き刺すような視線も感じないかのように部屋を後にした。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/29(木) 01:34:14.80 ID:0XOCVNPz0
コーチ『シュコーッ、シュコーッ……皇帝の犬、ダース・ヴェイダーの腰巾着めが……我々はあんな奴らのために戦ったのではない……!』
ワイマッグ「……よせコマンダー。不敬罪になりかねんぞ」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 14:52:59.58 ID:RB4cQfkf0
のじゃ
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 16:46:30.95 ID:2vYkiISjo
きたい
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