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北上「我々は猫である」

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587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 18:54:58.89 ID:p8zpc/oIO
>>586
いや、ネタにマジレス(ry
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 22:37:56.53 ID:UH5ZtRP9O
乙ー


しかし、何故数多くの艦これ二次創作で神通が川内をカラテでケジメする役が多いのだろう?
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 22:51:09.49 ID:DpGDJqA80
公式で川内は病気レベルで夜戦夜戦騒ぐ迷惑キャラ扱いだしな
身内の不始末をクソ真面目な神通が見過ごすとは思えない
590 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:27:59.25 ID:SNLbCxuM0
かわう、川内には後で活躍してもらう

このネタ何が元なんだろうと思ったら瑞鶴の時報だったんですね。
JAZZコンサートに行けるかドキドキなので少し書いていきます。
591 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:28:27.00 ID:SNLbCxuM0
69匹目:猫と船

三毛猫のオス。

その珍しさからどういう訳か一緒に船に乗ると沈まないなんて言い伝えがあるとか。

もし私が生前三毛猫のオスだったら不沈艦になれたのかな。

それはそれとして、私達は1日の内殆どを地上で過ごす。

出撃があるとはいえ長くても半日といったところか。遠征ともなると少し事情が違うけれど。

船にあるまじき生活だがそれでも私達にとって海というのは生きる上で大切なものだ。
592 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:30:10.40 ID:SNLbCxuM0
私達は陸に住んでいる。それは間違いない。

だが私達に陸という意識は恐らくほとんどない。

艦娘にとってこの世界にあるのは海と空と鎮守府、と陸だ。

鎮守府は鎮守府であり、決して陸ではない。

陸と海の間。

人と船の境界にいる私達には大切な場所。

故に陸への愛着がある者は少ない。陸で何かあっても他人事にしか思えない。

私達にとって日常を揺るがすような何かとは決まって海での事なのだ。
593 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:30:46.00 ID:SNLbCxuM0
北上「うーみーはー広いーなー大きーいーなー」

木曾「呑気に歌ってる場合かよ」

北上「だってさあ、こうして最速で現場に向かってるってのに見えるのは海海海。太平洋の広さが身にしみるってもんだよ」

大井「問題の場所はもう少しのはずなんですけれど」

多摩「最後に連絡があった時はまだ交戦していたらしいからにゃ。移動している可能性は大きいにゃ」

北上「もしくは、もう沈んで消えたか」

だだっ広い海のど真ん中で沈黙が走る。

状況から言って件の船がまだ生きている可能性は極めて低い事は皆も分かっている。
594 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:31:17.83 ID:SNLbCxuM0
球磨「煙クマ」

多摩「何っ!」

周囲を偵察していた球磨姉ちゃんが指を指す。

そこには空を彩る様々な雲とは明らかに違う黒い硝煙が上がっていた。

木曾「だいぶ位置がずれてるな」

大井「煙という事は沈んではいないようね」

球磨「でも敵影もなし。なんだか不気味だ」

多摩「警戒しつつ接近するにゃ。敵がいるようなら雷巡トリオですかさず魚雷。基本的にはそのまま即離脱にゃ」

「「「「了解」」」」

先行する球磨姉ちゃんと多摩姉ちゃんに続く。

やはり有事の際の2人はとても頼もしい。

大井「…」

ただ、大井っちが妙に険しい表情なのが気になった。
595 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:31:45.88 ID:SNLbCxuM0
事の発端は僅か1.2時間ほど前。

秋刀魚漁の護衛。つまり秋刀魚漁に来ていた時のことである。

普段よりも沖に出ての出撃。

大井っちによる提督の説得、内容はともかくその説得の結果私達球磨型五人による出撃が許可された。

もうそろそろ漁場に着くという頃、その連絡は入った。
596 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:32:25.98 ID:SNLbCxuM0
飛龍「ええ!?なになにどういうことよ?」

球磨「?」

多摩「どうしたにゃ」

引率役の旗艦、飛龍さんが急に慌て出す。

飛龍「えっと、提督から連絡が来てて、待って待って提督、皆に話した方が早いから」

直後、艦隊の全員に回線が繋がった。

提督『悪いがあまり時間が無い。手短に話すぞ。今から漁船は引き返す。護衛は飛龍だけだ。後はこれから送る座標に向かえ』

飛龍「私だけって、本気?」

提督『見張りとしてだから攻撃機積んでないだろ。船には全速力でそこを離脱してもらう。索敵だけなら飛龍だけでいい』

私達が囲んでいた漁船が徐々に速度を落とす。どうやら撤退の準備を始めたようだ。
597 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:34:48.52 ID:SNLbCxuM0
多摩「それで、何があったにゃ」

提督『海外からの船が日本に向かう途中深海棲艦に襲われ連絡が途絶えた。詳しい話は向かいながらだ。今はとりあえず動いてくれ』

飛龍「…りょーかい。旗艦は球磨ちゃんでいい?」

提督『構わん』

球磨「任された」

飛龍「それじゃ皆、気をつけてね」

そう言い残して踵を返す飛龍さん。

その真剣な表情に私も少し緊張する。
598 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:35:28.77 ID:SNLbCxuM0
木曾「で、何がどうなってるんだ」

大井「救援にしたって私達じゃ大した力にはならないわよ。空母も戦艦もなし。装備も秋刀魚漁用のものが多いし」

提督『そこが少し複雑でな。今日船が来る予定は正式にあったんだ。特定のポイントまで向こうの艦隊が護衛して後は日本の艦隊がそれを引き継ぐ予定になっていた』

多摩「予定、にゃ」

提督『ああ。その船が現れなかった。何事かと問いただしてみりゃ今から1時間ほど前に深海棲艦と接触したという連絡があったっきり音信不通だと』

球磨「1時間も前?」

提督『色々言ってはいたが要は俺らに借りを作りたくないって事だろ。結局どうにもならないと思って助けを求めた訳だが』

多摩「くだらねえにゃ」

提督『全くだ』

政治的な話、ということなのだろうか。

いまいちピンと来ないがくだらないというのは分かった。
599 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:36:07.23 ID:SNLbCxuM0
提督『そのくせご注文が多くてな。無事なら助けろ、無事じゃなくても船には触れるな、とさ』

大井「何か見られたくないものでもあるんでしょうか」

提督『多分な。出来れば回収したい、でも日本には渡したくない。そんなものがあるのかもな』

木曾「俺らに関すること、だろうな」

提督『艦娘生み出したのは日本だしな。おかげで日本と海外との力関係は妙な事になってる。皆ちっぽけな島国を出し抜こうと必死だし、日本も出し抜かれまいと必死だ』

多摩「で、多摩達は結局どうすればいいにゃ」

提督『船が無事なら助ける。だがそうでないなら即撤退だ。幸い秋刀魚漁用に偵察装備は多めに積んである。要索敵。敵が強力なようならすぐ逃げろ』

球磨「妙な作戦だ」

提督『変更も考えられる。何せ見られたくないものを詰んでるんだからな。こっちもそれをエサに交渉してる途中らしい』

木曾「日本としても是非手に入れておきたいところだよな」

提督『後はまあポーズだな。一応救援に向かったっていう。だから急いでは貰うが正直助けるとかは考えなくていい。そもそも最後の連絡が1時間前。移動を考えたら着くの頃には2時間経ってる。まず助からん』

連絡が途絶えたという時点で絶望的なのにさらに2時間も経つとなれば、当然そうなるか。
600 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:36:47.49 ID:SNLbCxuM0
提督『そこに向かったという事実があればいい。後は自分達の安全を最優先しろ。釣竿でやつらと戦うわけにゃいかんだろ』

北上「そりゃそうだ」

提督『じゃ頼んだぞ』

球磨「了解」

多摩「とんだ秋刀魚漁だにゃ」

木曾「釣りをしてんのは上の連中ってわけか」

大井「何が釣れるのやら」

北上「私達がエサじゃないといいけど」

それから1時間弱。私達は煙と、船を発見した。
601 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:37:23.37 ID:SNLbCxuM0
木曾「こりゃ、酷いな」

大井「無事、と言っていいのかしら」

船は確かに浮いていた。あちこちに穴があき、ドス黒い煙を吐いていたが。

艦橋はまるで踏まれたかのようにひしゃげ、甲板は波のように捲り上がり、人影もなく、何より一切の生が感じられなかった。

多摩「敵影はなしにゃ」

球磨「こっちもだ。どうなってる?」

北上「船がこんなになってるって事は護衛の艦隊は、そういう事だよね」

多摩「なのに船がまだ無事なのがよく分からんにゃ」

球磨「無事とは言えない」

多摩「まるで人だけを殺すような痛め付け方にゃ…これは」

多摩姉の表情が強ばる。

なんというか、恐怖とかではなく嫌悪感とか、気持ち悪いものでも見るようなそんな表情に見えた。
602 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:38:01.94 ID:SNLbCxuM0
吹雪『見つけたみたいですね』

北上「吹雪?提督は?」

吹雪『今お偉方とお話中です。あちらも色々と大変そうで。それでそちらは?』

球磨「護衛は見当たらず。船は大破。人影はなし。深海棲艦も見当たらず」

吹雪『それは…いえ、とりあえず生き残りがいるかどうかですね』

多摩「探索に入っても問題ないかにゃ?」

吹雪『とりあえずは。どうせその分だと沈むでしょうし証拠もなくなります。あちらさんにとやかく言われることもないでしょう。お宝があるなら持ち帰りたいところですし』

球磨「了解」
603 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:38:34.61 ID:SNLbCxuM0
球磨「となるとどうするか」

多摩「多摩と北上と木曾で船内に入るにゃ。大井と球磨は見張りを頼むにゃ。大井もそれでいいにゃ?」

大井「はい…」

木曾「あいよ」

北上「え、入るの?燃えてるよこいつ」

多摩「少しくらいなら平気にゃ。戦艦の砲弾に比べりゃ炎も煙も子供のオモチャみたいなものにゃ」

北上「さいですか」

木曾「でもどうやって入るんだ?」

多摩「あー」

球磨「これがあるクマ!」ツリザオー

北上「マジで?」

球磨「これをフックに」

多摩「確かに糸は丈夫だけどにゃ…」

木曾「それしかないか」

北上「マジで…」
604 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:39:04.18 ID:SNLbCxuM0
北上「ホントに登れるし」

この糸何でできてるんだ。

木曾「人の手でやったら絶対指切るよなこれ」

下を見下ろす。意外にも結構な高さがあることに驚きを隠せない。

考えてみりゃ船ってめちゃくちゃでかいよね。

艦娘はみんな人型だからは おー流石戦艦身長高いなーくらいの認識しかなかった。

実際の戦艦とかってどれだけでかいんだろ。鎮守府よりでかい?

思えば船なのに船に乗ったのはこれが初めてである。

北上「…」

下を向くと大井っちが何処か遠くを見つめているのが見える。

私の方を、というより船の方を一切見ようとはしていない。
605 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:39:52.30 ID:SNLbCxuM0
多摩「木曾は後ろの方を頼むにゃ。多摩と北上は前と艦橋を」

木曾「おう。生き残りがいたら?」

多摩「状態にもよるけどとりあえずは救出にゃ」

北上「何か持って帰るの?」

多摩「よっぽど怪しいものがあったらにゃ。後は、遺品の1つでも持ち帰るにゃ」

木曾「了解」

多摩「緊急時は砲弾で壁ぶち破って脱出にゃ」

北上「あーい」
606 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:45:48.61 ID:SNLbCxuM0
ラスボスの予感

政治的要素は物語に一切絡まないので適当です。史実とか実際の船の知識とかもさっぱりなので深く考えずにお読みください。
皆様のお声のおかげで長く続けてきましたが年内に終わりそうもないですこれ…
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 13:05:22.61 ID:rn1C0zyi0
なぁに年末は来年も来るさ
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 19:37:48.87 ID:B0TajtyYo
おつかーレ
609 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:09:15.99 ID:nx/Lx4j80
中は、地獄だった。

北上「これ全部血か」

多摩「船が沈んでないわけにゃ。人だけ殺すように機銃ぶち込んでるにゃ」

辺りには夥しい数の穴が空いていた。

開けるまでもなく中の様子が分かるほどにドアの下から血が流れでている部屋。

最早判別もつかない黒い何かの燃えカス。

北上「でもさ、機銃ってこんな中まで貫通するもんなの?」

多摩「…どうだかにゃ」

北上「どうだかって」

多摩姉の顔が段々険しくなる。

事態の重さや惨状を見てでは無く、今度は何か確信しつつあるような顔だった。
610 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:12:08.57 ID:nx/Lx4j80
多摩「大井の事、気づいてるにゃ?」

北上「そりゃね」

多摩「前に話した通りにゃ。今回みたいに船の救出に向かって、間に合わなかった。それがトラウマになってるにゃ」

北上「だから見張りにしたんだよね」

多摩「できれば連れてきたくはなかったにゃ」ガンッ

歪んだ扉を蹴破る。

多摩「ここから先は流石に火の手が激しすぎるにゃ」

北上「引き返そっか」

煙が辺りに充満している。

蒸されているような熱さと鼻にツンとくる血と肉と鉄が焼けた匂い。

人間ならとても耐えられない空間だ。
611 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:12:44.06 ID:nx/Lx4j80
多摩「北上はこれを見てどう思うにゃ」

北上「んー」

第一印象は、人ってこんなに血が流れてるんだなあ、だった。

何処か他人事。それが私が猫だからなのか艦娘故なのか、よく分からないけれど。

多摩「あんまりって感じだにゃ。北上らしいと言えばらしいにゃ」

北上「臭いがきついとかかな」

多摩「艦娘はそういうやつが多いにゃ」

北上「臭い?」

多摩「あんまりこういうのを気にしないって話にゃ。実感がわかないというか、まあ船だからにゃ」

北上「そりゃそうか」
612 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:13:16.93 ID:nx/Lx4j80
多摩「こういう事は珍しくもないんだにゃ。最近はだいぶ減ったけどにゃ。だから慣れといた方がいいにゃ。苦手なら、そうだと知っておいた方がいいにゃ」

北上「多摩姉もあったの?」

多摩「昔はしょっちゅうにゃ。船だけじゃなく、陸でも」

北上「へえ」

多摩「人は脆すぎるにゃ。私達は、頑丈すぎるんだにゃ」

木曾『多摩姉!』

北上「うおっ」

突然通信がはいる。
613 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:13:56.04 ID:nx/Lx4j80
多摩「どうしたにゃ」

木曾『機関部がやられてる。今まで爆発してないのが不思議なくらいだ。中にはいない方がいい!』

多摩「先に脱出してろにゃ。ぶち破ってかまわんにゃ」

木曾『多摩姉達は?』

多摩「上に少し用があるにゃ」

北上「上?」
614 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:14:27.17 ID:nx/Lx4j80
艦橋はひしゃげて崩れていたが司令部のような部分だけは辛うじて形を保っていた。

多摩「せい」ズゴッ

中に生存者がいたらどうするんだと言いたくなるような勢いでその壁をぶち破る多摩姉。

どうせ居ないとは思うけど。

北上「え?」

中は案の定悲惨な事になっていた。

だが、それはどう考えてもありえない状態だった。

頭がなかった。

四肢がちぎれていた。

穿たれ、喰い破られていた。

それらはどう考えても艦上で受ける被害には思えないものだった。
615 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:15:49.27 ID:nx/Lx4j80
多摩「アイツに出会わなかったのは実に幸運だにゃ」

北上「アイツって?」

多摩「深海棲艦だにゃ」

北上「確かにね。相当強い相手みたいだし…」

でも深海棲艦を指してアイツと呼ぶものだろうか?何か、何か知っているようにしか思えない。

多摩「これが艦長かにゃ」

北上「わかるの?」

多摩「着飾ってるからにゃ」

北上「ならほどね」

多摩「んしょ」ゴソゴソ

北上「何漁ってるのさ」

多摩「遺品の1つでも持って帰りゃいいお土産になるにゃ」
616 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:16:36.54 ID:nx/Lx4j80
多摩「これとか良さそうにゃ」

北上「家族の写真ってホントに持ってるもんなんだね」

多摩「北上」

北上「なにさ」

直後、爆発音と激しい揺れが襲う。

北上「うわっ、いよいよ逝ったかな!?」

多摩「スタコラサッサだにゃ!」

来た時とは別の壁をぶち破って甲板に出る。

後は走って海に飛び込んで、飛び込んでいいのかな?結構高さあるけど艦娘なら平気?

北上「これ飛び降りるしかないの?」

多摩「北上」

北上「ん?」

多摩「さっき見た事は誰にも言うなにゃ」

北上「え」

多摩「多摩が提督に話しておくにゃ」

北上「いや今はそれよりもね」
多摩「急ぐにゃ」ピョン

うわサラッと飛び降りよった。

北上「ええいままよ!」ピョン
617 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:17:08.87 ID:nx/Lx4j80
球磨「そい!」ガシッ
北上「わわっ!?」

木曾「ナイスキャッチ」

北上「死ぬかと思った…」

大井「無事ですか北上さん!!」ガシッ

北上「平気平気〜」

多摩「あれくらいなら平気にゃ」

北上「先にそれ言ってよね」

木曾「別艦隊が見えてきたな」

北上「何それ」

球磨「ちゃんとした救援部隊だクマ。現場の事はむこうに任せてさっさと秋刀魚食べに戻るクマ」

多摩「だにゃあ」

北上「疲れたぁ」

大井「お風呂入らなきゃですね」

木曾「本当だ、色々と臭いな」
618 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:17:40.77 ID:nx/Lx4j80
北上「さてと、行きますかね」

大井「北上さん」ギュッ

北上「どったの大井っち?」

大井っちが私を抱きしめてきた。なんだかこういうのも久々な気がした。

大井「その…ごめんなさい…」

北上「え?」

思わず振り返ろうとしたけどしっかりと抱きつかれてるから大井っちの顔は見れなかった。

というより、大井っちが表情を見せまいとしているようだった。

北上「別に怪我とかないから平気だって。それより早く帰ろうよ」

大井「…はい。そうですね。秋刀魚もありますし」

北上「私はもう食べちゃったけどね」

大井「そんなに食べたかったんですか?」

北上「なんか面白そうだったし」
619 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:18:08.81 ID:nx/Lx4j80
炎上する船から離れる。

北上「まだ沈まないんだね」

多摩「余程丁寧に攻撃されたみたいだにゃ」

球磨「穴さえあかなきゃ案外丈夫なもんクマ」

木曾「外はどうだった?」

球磨「静かなもんクマ。船の一部が浮いてたくらいクマ」

北上「私もそっちのが良かったなあ」

球磨「どっちの船かも分からない状態だったけどクマ」

どっちの、か。

あの燃える船か、

影も形もなかった護衛の方の艦か。
620 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:18:40.81 ID:nx/Lx4j80
大井「中は、中はどうでしたか?」

多摩「酷いもんだったにゃ」

大井「そうですか」

立ち上るドス黒い煙を振り返る大井っち。

トラウマになるくらいだ。大井っちは私と違って随分と人間に思い入れがあるらしい。

共感と言うべきかな。

こういうのも案外、提督への想いから来ているのかもしれない。

大井っちにとって人間は結構自分に近い存在なのだろう。

私は飼い主以外どうでもいい感じなのかな?改めて考えるとなんだか酷く冷たい気がするけど。
621 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:19:18.87 ID:nx/Lx4j80
帰投してみると鎮守府は随分と騒がしくなっていた。

何があったか情報が錯綜しているようだった。

そのせいか皆帰投した私達に妙によそよそしいというか、どう対応するべき決めかねているようだ。

仕方ないといえば仕方ない。

飛龍「おかえりーー!!」ビュン
多摩「にゃ」サッ
球磨「ヘブゥッ!?」ドゴ

多摩姉に向かって飛んできた人間ロケット、もとい飛龍さんだったが多摩姉=サンのネコ動体視力による回避で球磨姉=サン刺さった。ナムアミダブツ。

飛龍「皆!大丈夫だった!?」

多摩「今腕の中で息絶えたヤツ以外は無事にゃ」

球磨「」

飛龍「よかったぁあ!!」ギュウ
球磨「グォォオォオオォ」

多摩「だからよくないにゃ」
木曾「く、球磨姉!」オロオロ
大井「空母の腕力…」
北上「こりゃ球磨姉もお風呂かな」
622 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:19:47.01 ID:nx/Lx4j80
多摩「提督への報告は多摩がしておくにゃ」

飛龍「私も行こっか?」

多摩「こっちはいいから球磨を風呂に連れてけにゃ」

飛龍「はーい」
球磨「」

また球磨姉は飛龍さんの腕の中だ。というか飛龍さん球磨姉をぬいぐるみ扱いしてないだろうか。

木曾「俺らも風呂入るか」

北上「だねー。このまま部屋には行きたくないや」

大井「折角ですし私も」
623 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:20:18.09 ID:nx/Lx4j80
北上「あっ」

木曾「どうした?」

北上「忘れてた、ちょっと提督んとこ寄ってくね」

大井「私も行きましょうか?」

北上「いやあちょっと寄るだけだからいいよ、先行っといて」

木曾「おう」

飛龍「…北上も中見たんだっけ」

北上「船の?見たけど」

飛龍「そっか。じゃ先行ってるね」ヒラヒラ

木曾「球磨姉さん生きてます?」

飛龍「髪の毛モコモコだからまだ生きてると思う」

大井「そこで判断しないでください…」
624 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:20:53.59 ID:nx/Lx4j80
提督に聞きたい事があった。

大井っちのあの反応。提督はアレについてどう思っているのだろうか。

それと、多摩姉が誰にも言うなといったあの惨状。

今多摩姉は提督と話しているはず。それを聞いておきたい。

皆にぞんざいに扱われるせいか妙にボロっちい提督室の扉に耳を当ててみる。

提督「間違いなしか」

多摩「間違いなしにゃ。他にもあんな事する奴がいる可能性について考えなければ、だけどにゃ」

提督「それは考えないでおこう」

多摩「いいのかにゃ?最悪を想定しなくて」

提督「自分じゃどうしようもないことにまで頭を悩ませても意味は無いだろ」
625 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:21:25.90 ID:nx/Lx4j80
提督「詳細は吹雪に伝えておいてくれ」

多摩「書類は嫌にゃ」

提督「書類はいいよ。前に記録を全部PCに移したんだ」

多摩「おー。時代の波だにゃ」

提督「だからレポートはスマホかPCで出してくれ」

多摩「結局書かなきゃダメなのかにゃ」

提督「手書きよりは随分とマシだろ」

多摩「それはまあそうにゃ」

提督「見た映像は明石に頼んでいくらかデータ化して貰ってくれ」

多摩「はいにゃ」

会話が止まり足音がした。

まずい多摩姉部屋を出る気だ!

急いでドアから離れ
多摩「あ、そうだにゃ」

足音が止まると同時に私も思わず止まる。
626 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:22:09.62 ID:nx/Lx4j80
提督「なんかあったか?」

多摩「北上も見てるにゃ」

提督「な!?アイツ連れてったのか!」

多摩「球磨と多摩で分かれて、大井があれだから編成上仕方なかったにゃ」

提督「外の見張り増やすか木曾に付けるか出来ただろ」

多摩「木曾じゃ頼りないにゃ」

提督「でもなあ!」

多摩「提督はまだ諦めるつもりはないのかにゃ」

提督「まだも何もこれからだろ」

多摩「にゃ」

提督「多摩、お前」

多摩「多摩は基本的に姉妹第一にゃ。提督にとってそれが第一のようににゃ」
627 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:22:49.00 ID:nx/Lx4j80
多摩「それじゃあにゃ」ガチャ

あ、やば、忘れてた、

扉が私のいた方に開く。

木の板にさえぎられ多摩姉は見えないし、多摩姉も私はまだみえてない。

扉の影で体育座りで体を縮める。

お願いだからこのまま気付かずにどっかへ…

多摩「…」チラ

北上「ぇ」
628 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:23:15.22 ID:nx/Lx4j80
一瞬チラと、でも確かにこっちを見た。

でもまるで何事も無かったかのように部屋を後にした。

どういうことだ?

予想外の事につい体育座りのまま閉まる扉の横で固まってしまう。

するとまた部屋の中から声がした。

吹雪「予想外でしたね」

提督「というかお前知ってたろ。あん時お前が無線出てたんだから」

吹雪「そう言えばそうでしたね」

提督「おい」
629 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:24:16.04 ID:nx/Lx4j80
吹雪「いえ、実際多摩さんの言う通り仕方ないことだったとは思いますよ」

提督「それは分からなくもないけどさあ。というかなんで今隠れてたんだよ」

吹雪「なんとなく?」

提督「お前のなんとなくは信用できん」

吹雪「あはは、それはともかく仕方ないと言えるといえば言えます。でもその上でどうして多摩さんが北上さんを連れていったのか気になったので」

提督「仕方ないから、だけじゃないと?」

吹雪「だからまあ本人の言う通り姉妹第一ってことなんでしょうね」

提督「家族想いだな」

吹雪「ええ、本当に」

北上「…」

家族ねぇ。
630 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:24:42.86 ID:nx/Lx4j80
吹雪「で、北上さんはどうします?見ちゃったみたいですけど」

提督「向こうから何か言わない限りは特に何も」

吹雪「言ってきたら?」

提督「…どうすっかなあ」

吹雪「ありゃりゃ、悩んでますねえ。即決かと思いましたけど」

提督「そうもいくかよ。でもあんまり悩んでる余裕はないよなあ」

吹雪「北上さんなら即聞きに来そうですしね」

提督「知識欲とかすげぇからなアイツ」
631 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:25:17.82 ID:nx/Lx4j80
もう暫く聞いていても良さそうだが流石にそろそろお風呂に向かわねば皆に怪しまれる。

多摩姉は一体どういうつもりなのだろうか。

それに私は何を見たんだろうか。

今まであまり意識していなかった。

海には化け物がいて、私達はそれと戦うためにいるんだ。

私もそうあるべきなのだろうか。

艤装を付けていない今なら、私も何かあればあの人達のようにこの深緑の制服が血に染まるような弱い存在だ。

北上「やっぱ怖いよねぇ」

猫はやはり海に出るべきじゃない。
632 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/05(水) 04:29:12.77 ID:nx/Lx4j80
そろそろ佳境。

船って以外と簡単に沈まない、という根拠の無いイメージがあります。
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 13:07:40.84 ID:7lS7XXpF0
ものすごーく雑にいうと軍用は二重船底でコスト高いけど沈みにくくて商用はパカスカ沈む
コスト削減した輸送艦は轟沈型と皮肉られる程のオワタ式でそれはもう…
香取型も予算節約で一重だったんで艦娘になっても驚異の脱衣率
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 22:11:02.29 ID:wFe7dtieO
そのイメージ多分タイタニックのせいだと思うんスよ……
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 23:51:15.95 ID:iCY/F1ba0
更新お疲れ様です
現代艦船だと沈みにくいってのは実際にありますです
作りの問題でもあると思うし一箇所に穴開いても防壁きちんとすれば浮いていられるし
当たり所の問題のような気もする
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 15:35:05.79 ID:pM8SM5mx0
ついに佳境か……ずっと楽しませてもらってるから終わるのが惜しい
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 19:58:42.28 ID:UBckaTlfO
乙なのね

タイタニック沈没を契機に国際海事協会IMOが船舶の安全基準を設定しだして、WW2で主に米が軍艦民間船問わずバカスカ沈めてデータ収集したのを
戦後に改めてIMOで集計ルール化して今の船舶は造られてるから、今時の船を沈めるってのは割とかなり大変
なおIMO基準に違反した仕上がりの船舶は予想外に脆いってのは、某斜め上の国で起きた客船事故のアレを見れば納得して貰える筈
638 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:37:46.67 ID:svORIega0
様々な知識が!

あの時代の船は基本棺桶なんですね…
でも輸送船がやたら硬いというイメージは多分ワ級のせい
639 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:38:45.29 ID:svORIega0
70匹目:mad enough to kick a cat



猫のケツを蹴るくらいイカれてる、という意味。

つまり頭おかしいよってこと。




夕張「あんっ//」

明石「どう?」

夕張「ごめん普通にくすぐったい」




目の前の状況をごく簡単に説明するとしたら

制服姿で両手を後ろで組み目隠しをした状態で椅子に座っている夕張と

その夕張のおへそ辺りを筆でいじっている明石

となる。

どう考えても何も見なかったことにして逃げ出した方が賢明な状況なのだがあまりにも訳が分からなすぎて聞かざるを得なかった。


北上「何やってんの」


夕明「「兵装実験」」

嘘をつけ。
640 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:39:21.40 ID:svORIega0
北上「とりあえず吹雪に報告をば」
夕張「違う!違うの!これにはマリアナ海峡より深いわけが!」
明石「」ウンウン

北上「目隠し拘束状態の痴女に説得されてる私」

あとマリアナは海峡ではなく海溝だ。

夕張「私今そんなに見た目酷いの?」

明石「言わなかったけど正直誰かに見られたら人生終わるくらいには」

夕張「マジっすかサンデー。というかなんで!なんで言わなかったのそれ!」

明石「いやほら、ギャグボールは流石にやめようってなったから相対的にまともに見え始めたというか」

北上「サラッとギャグボールとか言わないで欲しい」

夕張「うぅ…ここは第一発見者が北上で良かったと安堵すべきか」

北上「目撃した身としてはもう気が気じゃないけどね。惨殺死体に負けずとも劣らないレベルのショックだったけどね」
641 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:40:00.29 ID:svORIega0
夕張「エr、薄い本でよくへそとかで感じてるのあるじゃん」

北上「そんな知ってて当然みたいな前提で話を振られても困るんだけど」

明石「アレってほんとに感じるのかなあって思って」

北上「そんなところで研究者魂見せないで」

夕張「物は試しと」

明石「感覚を鋭くするために目隠しを」

北上「あれ?ギャグボール要らなくない?」

夕明「「気持ちが入るかなぁって」」

北上「あぁ、そう…」
642 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:40:34.17 ID:svORIega0
北上「そもそもなんでおへそなのさ」

夕張「胸はなんか1人だと虚しくなるし、二人だと凄く気まずい空気になる」

北上「え、実践済み?実践済み!?」

明石「下はクセになるのでこれ以上はヤバいってなった」

北上「何してたのホントにさ!?」

夕張「オモチャは作り放題なので」

北上「弄るのは身体じゃなくて兵装だけにしてよ…」

明石「ほら!私達も兵器みたいなものだし」

北上「だとしたら欠陥にも程がある…」
643 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:41:13.13 ID:svORIega0
夕張「不思議な事にオn、自慰とかそういう事にのめり込んでる娘っていないのよね」

北上「不思議な事なのそれ」

明石「皆が普通の人間だとしてもヤってる人はヤってるもんでしょ?」

北上「知らないよ…」

夕張「ましてここは戦場。ストレスマッハのブラック職場なのにその捌け口としてオナニーや慰めックスレズックスに走るものがいないのは異常よ」

北上「さっきから頑張ってオブラートに包んでたのに一気にアウトなワードぶち込んできたね」

明石「男は提督1人なんだし同性愛者がワラワラ出てきてもおかしくないのに」

北上「そんな発想がワラワラ出てくる方がおかしいんだよ」
644 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:41:44.89 ID:svORIega0
夕張「その提督だってヘタレパツキン(笑)だから手を出したりはしてないし。逆レされてる可能性は否定しないけど」

北上「そこははっきりと否定してくれると嬉しい」

明石「私達も別にストレスとかでこんなことしてるわけじゃないものね」

夕張「そうそう。あくまで知的好奇心」

北上「でもクセになりかけたんでしょ」

明石「そう、そこなのよ」

北上「え」

夕張「当たり前だけど私達も普通の人間みたいに快楽というか、そういうのは感じるのよ」

明石「例えばほら」ムニッ

夕張「アッ//」



夕張「」スッ
明石「ゴメン、マジごめん。だから白熱電球はやめてマジやばい」

北上(何故白熱電球…)
645 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:42:19.36 ID:svORIega0
夕張「私はここの、ほら。胸の下あたりが弱い。あと脇」ヌギ

北上「見せんでええわ」

明石「私は「明石のはちょっと刺激が強いからNG」えー」

北上「なんかすっごい気になるけど聞かないことにする」

夕張「まあそんなわけで私達にも性感帯はある」

明石「にも関わらずそれに溺れたりする者がいないのよ」

夕張「生物の三大欲求にも挙げられる性欲だけど何故か私達はそれが薄い。食欲睡眠欲は人並みにあるのに」

明石「慰安は様々な戦場で問題になるくらい切り離せない問題なのに何故か。私達が女だからか」

北上「前半のアレがなければ真面目な話に聞こえるのに…」
646 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:42:57.55 ID:svORIega0
夕張「まず基本的に私達は子孫を残せない。生殖能力がないから」

明石「ゴムなしヤリ放題よ」

北上「サイテーだよ台無しだよ」

夕張「でもそうなると余計に快楽だけを目的にしてしまうと思うの」

北上「そこはまあ確かに」

明石「つまり艦娘にないのは生殖能力というより生物としての基本的な意識。能力ではなく遺伝子を残さなきゃという意識」

夕張「ヒトの形をしてはいるけれど生き物としてある意味もっとも根本的な意識が欠落していると思うのよ」

北上「んーどうなんだろ。普通の人間の意識って私達にはわかりようがないからなんとも言えないや」

夕張「一般人と触れ合う機会もないものねー」

明石「あー聞きたい弄りたいー」

夕張「JKをハイエースでダンケダンケしたい」

明石「怪しい薬とか触手とか試してみたい」

北上「二人にないのは常識だよ」
647 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:43:48.27 ID:svORIega0
夕張「お腹はすくから食欲はある。眠くなるから睡眠欲はある」ゴソゴソ

明石「でも何も食べてなくても燃料と弾薬があれば戦える。不眠不休でもそれで死ぬ事は無い」ヌギヌギ

夕張「人間らしさはあるけれど生き物とはおおよそ考えられない」ギシギシ

明石「血は流れてるけれどそれはあくまで身体を維持する機能で、親から子へと受け継がれる遺伝的な血ではない」ゴロン

夕張「血は水よりも濃いというなら私達の場合血は海水よりは薄いってとこでしょうね」チャキ

北上「真面目に語っているところ悪いんだけどなんで明石は服脱いで横になってて夕張は筆と目隠しの用意をしているの」

明石「次私の番だから」

夕張「さっきは私がやられたので」

明石「お互い平等にと」

夕張「被験体は多ければ多いほどいいものね」

北上「なんでそういうとこだけ良識あるのさ」
648 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:44:27.10 ID:svORIega0
夕張「北上もどう?気持ちいいよ」ナデナデ
明石「んーそこは微妙」

北上「興味が無いと言ったら嘘になるけど本能が全力で拒否してる」

夕張「そういえば大井はどうなの?」コショコショ
明石「ちょ、そこ鼻は、ハックション!!」

北上「んー。そういう事はしてこないなぁ。単純に姉妹として私の事が好きってことなんじゃない?」

夕張「ちぇーつまらないのー」コチョコチョ
明石「アハハハだめぇ脇は弱アヒヒヒィッ」

北上「私はほっとしたけどね」

夕張「そういえば大井の機嫌は治ったの?なんか調子悪かったって」ギュッ
明石「え、何結んでるの?」

北上「治ったよ。提督と無事ゴールインできたからじゃないかな」

夕張「え!?結ばれた!?」ガタッ
明石「わっ!びっくりした…目隠しって結構怖いわね」
649 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:44:56.00 ID:svORIega0
夕張「ちょっとちょっと〜その話詳しく聞かせなさいよ〜」
明石「あれ?夕張〜?」

北上「いや私も詳しくは知らないよ?」

夕張「よーし調査よ!ありとあらゆる手を尽くして暴いて洗ってさらけ出してやるのよ!」
明石「ちょ、どこ行くの?ねぇこれ私縛られてない!?手が動かないんだけど!」

北上「さらけ出すのはともかく私も気にはなってたんだよねえ」

夕張「そうと決まれば早速、善は急げ!」
明石「怒ってる?やっぱさっきの怒ってる?」

北上「え、明石は?」

夕張「ほっとこう」
明石「怒ってたぁぁ!!思った以上に怒ってたあぁぁ!ゴメンて!謝ったじゃん!仕返しにしてもこれはやりすぎよ!」
650 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:45:26.44 ID:svORIega0
ホントに明石を置き去りにしたぞこのお中元。

夕張「よし」カタン

北上「別に作業中って札を下げればいいというものでは無いと思うんだ」

夕張「マジにヤバかったら艦娘パゥワァーでなんとかなるでしょ多分」

北上「…で調査って一体なにするの」

夕張「とりあえず提督室に盗聴器をね」

北上「当たり前のようにそういう発想が出てきて尚且つ当然のように盗聴器持ってるってのが…」

夕張「探偵七つ道具のひとつだもん!」

北上「残りは」

夕張「嘘発見器」

北上「推理する気ねえ」
651 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:45:55.93 ID:svORIega0
なんの躊躇もなく提督室へ向かう。

夕張「前々から盗聴器は仕掛けたいなって思ってたのよ」

北上「えぇ何故に」

夕張「提督の弱み握って手篭めに」

北上「男女逆じゃんか」

夕張「ジョーダンジョーd」バコン
北上「うわっ!?」

突如横の部屋の扉が思い切り開き夕張の顔面にぶち当たる。

もし私が廊下のそっち側を歩いていたと考えるとゾッとする。
652 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:46:43.10 ID:svORIega0
北上「ってあれ、吹雪?」

吹雪「きーきーまーしーたーよー夕〜張さん」

夕張「顔は、顔はアカンて吹雪ちゃん…」

吹雪「はいはい今治療してあげますからね〜お話はそこでじっくり」

夕張「違うの!ちゃうねん!これには吹雪ちゃんの胸の谷間くらい深い理由が!」

吹雪「海抜ゼロメートルじゃないですか!!」

夕張「自分でそこまで言わなくても…」

北上「何故流れるように煽るのか」
653 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:47:09.41 ID:svORIega0
吹雪「はーいとりあえず工廠行きましょうね〜」

夕張「ちょ!なんで?なんで工廠!?」

吹雪「どーせ碌でもない事してたんでしょう」

夕張「してない!断じてしてない!」

吹雪「してたんですね」

北上「してたね」

夕張「北上ぃぃぃ!!」

北上「アレに関しては私無関係だし…」

吹雪「言い訳は海の底で聞きます」

夕張「ヒィッ!?」
654 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:47:53.64 ID:svORIega0
夕張が連れ去られていく。

北上「もしかしてマゾなのでは」

割と有り得そうな仮説だ。

北上「そういやこの部屋ってなんだ?」

吹雪が出てきた部屋を見る。

印刷室。と書いてある。

最近印刷機は使わないからと例の倉庫に置かれていたはずだが。

中を見ると何故か部屋はがらんとしていた。

机が壁際にあるだけ。壁や床、机の上の跡から察するに印刷系の機材は捨てた後という事だろう。

つまり元印刷室か。

そんな中奥に一つだけ機材が置いてあった。

北上「確かー、シュレッダーか」

印刷室時代の唯一の生き残りか。

印刷機達の後処理としてまだ使われているらしい。それもいずれ、廃棄されるのだろうけれど。

いずれ役目は終わる。

なんだか親近感が湧く。
655 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:48:30.67 ID:svORIega0
北上「てこれ途中じゃん」

シュレッダーの電源は入れっぱなしだし横には処分予定の書類が置いてあった。

まだ文庫本くらいの太さの量が残っている。

好奇心のままに書類を手に取ってみる。

内容は、海域の何やら難しい情報。

深度とか海流、温度に風。頭痛くなりそう。

北上「あまり読む価値はなさそうかな」

パラパラと流し読みに変える。

すると急に沢山の画像が目に入ってきた。

それは船だった。私達ではなく船としての船。

そしてその画像には見覚えがあった。

船ではなく、その傷、損傷に、弾痕に。
656 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:48:59.92 ID:svORIega0
日付は10年も前のだ。

ページをめくるとその被害などが細かく書かれていた。

同じような事件は他にも何件もあるようで、残りのページは全てそれらに関するものだった。

いや、既にシュレッダーにかけられた分も考えれば更にか。

まだ無事な書類の1番最後のページをめくる。

これ以降は既にシュレッダーに喰われている。故にこの事件についての情報量は少ない。

画像はなく僅かな文字だけが書いてあった。

日付は1年前の夏。

大型の船が沈み多くの被害が出たそうだ。
657 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:49:45.39 ID:svORIega0
一字一句しっかり読み進めていく。

それはこの前私達が関わったあの海外船の事件と似ていた。

船から連絡が途絶え護衛艦隊は全滅。生存者のいない船だけが残った。

違ったのは、駆け付けた救援の艦隊がそこにいた深海棲艦と戦闘をし、追い払っている事。

最後の数行で目がとまる。

北上「やばっ」

この時その音を聞き逃さなかったのは実に運が良かったとしか言いようがない。

廊下から聞こえた音が吹雪達である確証はないけれど可能性がある以上ここにいるのはまずい。

これが見られていいものとはとても思えない。

しかしどうしようか。廊下に出れば確実に見つかる。

しかしここには廊下に繋がるドアと窓しか…
658 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:50:20.56 ID:svORIega0
吹雪「はぁ…」

窓越しに深い溜息が聞こえた。

暫くしてシュレッダーが紙を食べる音がする。

どうやら気づかれてはいないようだ。

窓がちゃんと開くタイプでそれなりの大きさであることも、ここが一階だった事も実に運がいい。

猫の体だったら小さな窓でも部屋が二階でもなんとかなったろうに。

いや高さはこの身体ならなんとかなるか。

窓から見えないように姿勢を低くしながらその場を離れる。

頭の中では二つの単語がずっと反復していた。

最後の数行。

作戦に参加したという艦隊の中にあった大井っちの名前と、初めて聞く深海棲艦の分類名。

レ級という単語が。
659 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/11(火) 04:52:16.53 ID:svORIega0
ラスボス!君に決めた!

誰にするか迷いましたが最近サラトガ任務でトラウマを植え付けられたのでコイツにしました。ダブルはだめですよダブルは…
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 08:51:27.61 ID:Q7knn3UlO
おつ!
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 10:43:38.79 ID:+fZBhT8N0
ラストは警戒陣で待ち受ける7人のレ級ですねわかります
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 13:10:36.30 ID:YE0v4dUZo
おつかーレ
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 21:49:23.55 ID:AZpYUdUcO
吹雪ちゃん意外とおっぱい有るぞ
アニメだけど……
664 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:13:41.01 ID:ul40+rcH0
アニメ盛りなんてお父さん認めません!

謹賀瑞雲
遅くなって申し訳ない
年末年始って何やかんやで忙しいのはどうしてなんでしょう、新年ボイスを聞きたいだけだというのに
まだ続くので今年もお付き合いくださいませ
665 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:14:21.21 ID:ul40+rcH0
72匹目:猫と天敵







天敵。

それは絶対に関わりたくない危険な相手。

見た瞬間脳が危険信号を発し全身が逃げの体制をとる。

本能的にヤバいと察するもの。

すなわち


666 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:14:55.86 ID:ul40+rcH0
阿武隈「あ、北上さん!」

北上「げっ」

と思わず声が漏れたのは廊下の角から阿武隈が見えたからではない。

阿武隈が私の天敵を連れて歩いてきたからだ。

それも、大量に。

暁「あ、ホントだ」

江風「おっしゃ捕まえろー!」

響「ypaaaaa!」

神風「うらーー!」

浦風「浦ーー!」

北上「なんでっ!?」ダッ

踵を返し全速力で元来た道を戻る。
667 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:15:43.48 ID:ul40+rcH0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「って、まあ捕まるんですけどね」

浦風「息切れるの早すぎやない?」

北上「私ゃもう歳だよ」

江風「何言ってンすか。身体はバリバリのJKッスよ。いやJCかな?」

神風「じゃあ私達は小学生かしら?」

響「一名小学生とはかけ離れた駆逐艦がいるけどね」

江風「そもそも小学生ってどれくらいの大きさなンだろ」

浦風「見た事ないけん、イマイチピンとこんねえ」

暁「ねえねえ、じぇーけーとかじぇーしーって何?」

北上「ピチピチのレディーって意味だよー」

響「暁もいずれJC、JKとレディーの階段を登っていくんだよ」

暁「れでぃー!!」

阿武隈「ちょとぉ!変なこと吹き込まないでくださいッ!!」
668 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:16:26.14 ID:ul40+rcH0
全速力で逃げた、のではなく風がヒヤリと冷たくなってきたこの時期一番暖かい場所に移動したというのが正しい。

鎮守府の一角にある休憩室と呼ばれる場所。

日当たりがよくまだ解禁されてはいないがストーブまである素晴らしいところだ。畳なのも実にGood。

北上「皆は遠征帰り?」

江風「そーそー。この後もまたお使い」

浦風「段々海は寒くなってきとるし、そろそろ防寒具出さんとなぁ」

神風「浦風さん、この中だと一番寒そうよね」

暁「袖がないものね。幾ら私達が寒さに強いと言っても限度があるわ」

響「私は既に完全防寒だよ」

暁「いいわよねぇ響のこのモコモコ」

阿武隈「江風は改装で少し厚着になったのよね」

江風「おうよ!首元の白いのも川内さン見たいでカックイィっしょ!」

北上「あーね」
阿武隈「あの夜戦バカね…」
神風「あの人かぁ」
浦風「まあ見た目は…」
暁「五月蝿そう…」
響「ハラショー」

江風「おっと反応が鈍い…」
669 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:17:06.28 ID:ul40+rcH0
北上「川内ってアレでよく旗艦とか務まるよね」

前々から疑問ではあったことだ。

江風「いやいや、確かにちょっと騒がしいけど」

響「ちょっと?」

江風「…かなり騒がしいけど、水雷戦隊の旗艦なら確かにあの人だぜ」

浦風「海に出とる時は間違いなく川内型の一番艦じゃけんね」

北上「およ、意外と評価が高い」

阿武隈「あーそっか。北上さんは組んだ事ないですもんね」

暁「私もないわね。那珂ちゃんとなら訓練とかで一緒になった事はあるけど」

江風「うわぁあの人の訓練かぁ」

神風「どうだった?」

暁「あまり思い出したくないわ…」
670 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:18:30.44 ID:ul40+rcH0
北上「色々あるんだねえ」

一応軽巡という区分けに入れられてはいるが私達雷巡はあまり駆逐艦や軽巡との関わりはない。

というか駆逐、軽巡による水雷戦隊組の繋がりが濃すぎるという感じだ。

阿武隈「機会があったら一緒に訓練してみるといいですよ。あんなのでも技術は一流ですから、あんなのでも」

2回言った。何か恨みでもあるのだろうから。

江風「凄いンだぜ!この前なンかル級相手にさ」
浦風「あー江風がヘマして取り残された時の話やね」
江風「違っ!わないけど違う!」

神風「夕立ちゃんが、敵見たらすぐ突っ込んでくっぽい!神通さんっぽい!って呆れてたわよ」

暁「わー似てる似てる!」

阿武隈「この前神通さんと那珂ちゃんが編成変えるかどうかって話してたのそれなのかな」

江風「みんな知ってるンかい!」

北上「流石に水雷組は噂の広まりが早いね」

響「魚雷より早く伝わるからね」

江風「だってよぉ、私だってもっと活躍活躍してぇンだよぉ」

暁「もう!敵を倒すだけが活躍じゃないのよ」

北上「ぐう正論」
神風「流石れでぃ」
阿武隈「イヨっ!ネームシップ」
響「自慢の姉だね」
671 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:19:16.08 ID:ul40+rcH0
江風「うわーんアイツらがいじめるよママー」

浦風「誰がママじゃ、はいはいよしよし」

北上「身長ほぼ同じなのにああやって抱き着かれる様は母性を感じさせる不思議」

暁「私達にはぼせい?が足りないのかしら」

神風「母性…」

阿武隈「母性…」

北上「母性かぁ…」

お互いに胸を見比べ合う。

北上「なるほど足りないね」

阿武隈「うぅ…いつか、いつかはきっと…」

神風「旗風はあんなにあるのに…」

響「暁はそのままでも大丈夫だよ。需要はある」

暁「え、なんのこと?」

浦風「ちょっと!流石にくっつきすぎじゃ!」
江風「えぇーいーじゃンか減るもンでなし」
672 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:19:55.17 ID:ul40+rcH0
北上「そういえばさ、さっきのル級で思い出したんだけど」

江風「まだなンかあるンすか!?」

北上「いやそうじゃなくてね。皆レ級って聞いたことある?」

阿武隈「レ級?」

暁「えっと、アイウエ」
響「イロハだよ」

浦風「イロハニは駆逐やよね」

阿武隈「ホ、ホ?」

江風「あの対潜ヤローだな」

北上「あーどこが口だがわかんない奴か」

神風「ヘトが軽巡でリが雷巡」

浦風「チが雷巡やなかった?リは重巡で」

暁「ヌオは空母ね!ルは戦艦で、ワなんていたっけ?」

北上「輸送船だね。よく相手するから覚えてる」
673 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:20:27.30 ID:ul40+rcH0
江風「カ、カー。カ?」

浦風「全然思い出せんね」

神風「タは戦艦よね。後はー」

阿武隈「ナ!あの凄ーくかったい駆逐!」

江風「あー!あれな、ズリぃよな絶対」

北上「ツは言わずもがな」

響「アイツも妙に硬いよね」

神風「空母の皆さんが呪詛を吐くやつですものね」

暁「あっ!潜水艦がいない」

浦風「となると抜けとるとこは潜水艦やね」

神風「潜水艦は相手にする事は多くても姿が見えないから子細がよく分からないのよね」

暁「カヨとレソ、とネが潜水艦?」

北上「そんなにいたっけ?」
674 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:21:01.69 ID:ul40+rcH0
阿武隈「普段合わない相手は覚えてないものですね」

北上「だねー。結局レ級は謎か」

神風「鎮守府の資料か海軍のデータバンク覗けば一発ですよ」

暁「スマホで見れたっけ?」

浦風「スマホだと漏洩が怖いから提督のPCやないと無理じゃって吹雪が言っとったよ」

響「資料じゃ古いかもしれないし提督に聞くのが一番だね」

北上「うわーなんか皆が難しい話してる」

江風「まだスマホ慣れてないンすか」

北上「最近ようやく持ち歩く事を覚えたよ」

神風「そこからですか…」

阿武隈「今は?」

北上「部屋に忘れた」
675 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:21:38.91 ID:ul40+rcH0
江風「でもなンで急にその、レ級ってやつを?」

北上「いやあ居るのかなーって。ラ級とかはいないの?」

浦風「今のところナ級が最後じゃね」

神風「ラ行はなんか可愛く聞こえますよね」

暁「ラ級の次なんてム級よむきゅー」

響「ゆるキャラみたいに聞こえるね」

江風「それでいて戦艦だったりしてな」

北上「戦艦ムキューか」

阿武隈「でも最近新種の深海棲艦が見つかったって噂が」

神風「そうなんですか?」

響「浮き輪がどうこうって噂だよ」

浦風「浮き輪?」

北上「なんじゃそりゃ」
676 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:22:15.06 ID:ul40+rcH0
江風「お、そろそろ時間かな」

阿武隈「それじゃあ私達はここら辺で」

北上「大変だねぇお使いは」

神風「明日は休暇なので頑張りどころです」

江風「また面白い話聞かせて欲しいっス!」

北上「気が向いたらね」

響「じゃあ雷達も呼んでこよう」

暁「いいわねそれ!」

浦風「ウチも浜風達に声掛けてみようかね」

北上「え」

阿武隈「それでは出ぱーつ!」

北上「あちょっと!」
677 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:23:02.99 ID:ul40+rcH0
行っちゃったよ。

油断した。駆逐艦は1人来たら4倍に増えると思わなくちゃいけない。

まったくこれだから

北上「駆逐艦、ウザイ」

さてどんな話をしてやれば満足するか考えなくては、

北上「って違う違う」

レ級の件だ。資料と言っていたが恐らくそっちは今頃ゴミ箱だろう。

となると提督のPCだがそちらは提督や吹雪に気づかれる。

どうしたもんか。

北上「こうなるとあの二人に頼るしかないか」

実に気が進まないが。
678 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:23:36.89 ID:ul40+rcH0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

夕張「こう?」

明石「もっと最初はガッチリ腕を組んで。直角、九十度で」

夕張「こう?」

明石「それ!それそれ!そのままスーッとシャツを脱ぐ、南半球と脇を同時に見せる感じで」

夕張「来た!ここまで来た!最後は?」

明石「後は脱ぐだけ」

夕張「…ん?待ってこれ脱ぎにくい。あ、引っかかった。ポニテに引っかかった」

明石「もぉーなにやってんのよサッと脱いでサッと」

夕張「だってこれ後ろ髪引っ張られてイタタタタ無理やり引っ張るな抜ける抜ける!!!」




北上「…」

こいつらはアレか?私が来るのを見計らってこんなことしているのだろうか?

それとも四六時中こんなことしかしていないのだろうか?

後者だとは思いたくないのだが。
679 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:24:13.78 ID:ul40+rcH0
夕張「提督のPCをバレずに覗く?」

北上「正確には軍のデータバンクとかなんとかってやつ」

明石「一体何を覗き見する気なのよ」

北上「それは秘密」

夕張「んーでもせっかく頼ってくれたとこ悪いけどそれはきついかなあ」

北上「マジで」

明石「提督のPCだけならまあって感じだけど流石にそっちはね」

北上「そんなに?」

夕張「そんなに。詳しく説明する?」

北上「いやぁ理解出来る気がしないからいや」

明石「なら代わりにさっき私達がやっていたことを説明するわね」

北上「いいです」

夕張「今回の議題は1番エロい服の脱ぎ方についてでね」

北上「いいと言っとろうに」
680 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:24:46.30 ID:ul40+rcH0
北上「提督のPCなら見れるの?」

夕張「ザルだからね」

明石「でも個人的な要件ではPCを使ってないみたいで面白いものはなかったのよねえ」

北上「当然のように覗いてやがるぜ」

夕張「提督意外とアナログなのよ」

明石「写真は現物でとってるあるしね」

北上「そっかあ」

夕張「…」

明石「…」

北上「え、なに、どしたの二人とも」

夕張「いや、なんか、ね」

明石「思ってたより残念そうというか」

北上「んーまあ残念と言えば、残念かな」
681 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:25:33.47 ID:ul40+rcH0
夕張「ほほぉう」

明石「提督の事を知れなくて」ニヤ

夕張「ガッカリしちゃった?」ニヤ

北上「う、うん。そんな感じ…?」

何ニヤついてんだこの人達。

って違う違う。私が知りたいのはレ級とかいう野郎についてだ。

夕張「いやぁまいりましたなぁ」ニヤニヤ

明石「いやはや全くですなぁ」ニヤニヤ

北上「…」

なんだろうすごくイラッとくる。
682 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:26:04.75 ID:ul40+rcH0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

木曾「結局捜し物とやらは見つからなかったのか?」

北上「まあねー。工廠組はなんかニヤついてばっかでよくわかんないし」

雷「あーそこそこ!そこで右よ!」

北上「え、こっち?」

電「それじゃ逆そうなのです!」

北上「こ、こう?」グイーン
雷「体!体だけ曲がってる!」
電「はわわわわ!」

木曾「…それは何をやってるんだ?」

雷「あちゃー壊れちゃった」

北上「レースゲーム。私こういうの苦手なんだよねぇ」
683 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:26:42.19 ID:ul40+rcH0
工廠からの帰りに私は六駆の部屋に連れ込まれた。暁と響は遠征中だ。

今は雷を膝に、電が私の背中におんぶするような形でもたれかかっている。

レースゲームは苦手だがそうでなくてもこの体制ではやりづらくてしょうがない。

秋雲「やほー、響いるー?ってありゃ。珍しい組み合わせだねえ」

北上「響はお使い中だよー」

雷「リトライよリトライ!」

電「次こそなのです!」

北上「なんで私にそこまでやらせたがるのさ」

雷電「「見てて面白いから(なのです」」

北上「サラッと怖いこと言うね」

秋雲「木曾さんは?」

木曾「廊下を歩いてたら意外な所から姉の声がしてな」

秋雲「なるほどなるほど」サラサラ

木曾「何書いてるんだ?」

秋雲「ほら、あの三人。すごく絵になると思いません?」

木曾「…なるほど」
684 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:27:10.75 ID:ul40+rcH0
北上「さてそろそろ行こうかね」

雷「えーもう行っちゃうの〜」

北上「1回1位取れたんだしいーじゃんか」

電「あ、阿武隈さん達もうすぐ帰ってくるみたいなのです」

雷「ホントだ、メッセージ来てる」

北上「ならちょうどいいや」

木曾「俺も行くかね」

北上「まだ居たのかね木曾くん」

木曾「姉のハンドル捌きが中々に面白くてついな」

北上「にゃろう」

秋雲「あそーだ、北上サン。今度また同人誌制作手伝ってよ。そろそろ描き始めないとなんだよねぇ」

北上「はいはい。報酬は弾んでよ」

木曾「上姉絵描けるのか?」

秋雲「チッチッチッ。絵を描くだけが漫画じゃあないんですよ。何せセリフもあるんですから」

木曾「あぁ言われてみれば」

北上「別にただの読書好きってだけなんだけどねぇ」
685 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:27:48.59 ID:ul40+rcH0
木曾「こういう事ってよくあるのか?」

北上「こういうとは?」

木曾「さっきみたいに一緒にゲームしたりとかだよ」

北上「そうだねー。鎮守府うろついてると良く絡まれるかな。ちょっと移動するだけでもだよ、うざいよねー」

木曾「ほぉ」

暁「あ、北上さーん!」

北上「ヤホー。お使い帰りか」

響「そうだよ」グイグイ

北上「待て待てさりげなく引っ張るな」

響「夕飯までゲームタイムだ」グイグイ

暁「いいわねそれ」

北上「いまさっきしてきたとこだよ。あ、そういや秋雲が響の事探してたよ」

響「秋雲が?なんだろう」

北上「それは聞いてない」

暁「なら早く部屋に戻りましょ」

響「そうだね。じゃあまた」

暁「またねー」

北上「はいはい」

木曾「…うざいか?」

北上「うざいねー」
686 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2019/01/05(土) 03:28:26.85 ID:ul40+rcH0
黒潮「北上は〜ん」

北上「おズッコケ三人組」

陽炎「誰がズッコケよ」

北上「訓練上がり?」

不知火「はい。先程まで神通さんと」

北上「うわおっかねえ」

黒潮「なあなあ。これからウチらのとここおへん?」

北上「ポーカーなら付き合うよ」

不知火「残念ながら今回はチンチロリンです」

陽炎「ポーカーは北上さんが強すぎるからダメー」

北上「えーじゃあパス」

黒潮「ありゃ、ふられてもうた」

不知火「木曾さんはどうですか?」

木曾「いや、俺もパスかな」

不知火「ふられてしまいました」

陽炎「あんたまでやるのそれ。ほら早く戻るわよ」

黒潮「ほなまた」
不知火「失礼します」

木曾「いつもこんな感じなのか?」

北上「そだね〜」
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