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北上「我々は猫である」
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441 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:46:12.58 ID:wxx5Ae+e0
提督「スマンなんか緊張した」ゴシゴシ
北上「私の身体はガラス細工じゃないんだから。むしろ提督より頑丈だしね」
提督「だって、こんなふうに触るの初めてだし…」ゴシ
北上「気にしすぎでしょ」
いくら私の背中を流すのが初めてと言っても基本的に人間と同じなのだ。そんなに身構えなくてもいいのに。
北上「大井っちなんかは結構肉付きいいんだよ」
提督「なんでここであいつが出てくんだよ」
北上「べっつにー」
提督「変なの」
北上「まあね」
提督「…」
北上「…」
提督「…」
北上「…」
442 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:47:25.59 ID:wxx5Ae+e0
提督「あれ?話さねーの?」
北上「あ、ごめん。いっつも大井っちが話してばっかだったからつい」
提督「あいつはよく喋るからなあ」
北上「せっかくだし提督が話してよ」
提督「俺が?そーだなぁ。今日楽しかった?」
北上「遠足帰りの子供に感想求める親かよ」
提督「ブッ、確かにそれっぽいな」
北上「でも、うん楽しかった。貴重な経験だったよ」
提督「北上はもっとダラーっと生きてるイメージだったけど、今日のお前はやたら積極的だよな」
北上「鎮守府に今更目新しいものもないしね。やっぱ外は未知に満ち満ちてるよ」
443 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:49:13.24 ID:wxx5Ae+e0
提督「経験か」
北上「そ、経験」
提督「興味本位で?」
北上「そう。だけど、それだけじゃないかな。目標というか、目的が無いわけじゃないし」
人間の事を知りたいと思う。飼い主の事も含めて。
提督「それは秘密か」
北上「乙女は秘密が多いらしいよ」
提督「確かに男は少ないかもな」
444 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:49:43.99 ID:wxx5Ae+e0
提督「艦娘なら戦乙女か」
北上「ワルキューレだっけ。北欧神話の」
提督「そこまでは知らねえな。流石に物知りだぜ読書家は」
北上「ゲームのせいなんだけどね」
提督「そっちかぁ」
北上「みんなソシャゲとかやってるから自然と耳にしてさ。提督はやらないの?」
提督「スマホより普通のゲーム機の方が」
北上「仕事しなよ」
提督「今のはあんまし関係な!くはないか…」
445 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:50:20.63 ID:wxx5Ae+e0
北上「よっしこうたーい」
提督「こんなんでいいのか?」
北上「ぶっちゃけたいして汚れてるわけでもないしね」
提督「そりゃな」
北上「じゃスポンジ貸して」クルッ
提督「だからこっちを向くな!」
446 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:51:39.52 ID:wxx5Ae+e0
北上「…おっきい」
提督「なんか卑猥に聞こえる」
北上「何がさ」
提督「ナンデモナイデス」
北上「変なの」
目の前には提督の背中がある。身長差はあるがこうして互いに座ってしまえばそんなに気にならない。
と思ってた。
いやはや一応とはいえ鍛えている男性の背中というのはこれが中々ごつい。普段から華奢な女体ばかり見ているせいで余計にそう感じるのかもしれない。
北上「ゴツゴツしてる」ゴシゴシ
提督「そりゃみんなそうだろ。骨とかあるし」
北上「そうだけど、そうじゃなくて。大井っちとか、みんなは抱き心地良さそうな感じで提督のは乗り心地が良さそう」
提督「分かるような、分からないような」
447 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:55:24.35 ID:wxx5Ae+e0
北上「お加減いかがでしょ」ゴシゴシ
提督「丁度いいよ」
一応男性だしと少し強めに洗ってみるが提督はそれでちょうど良さそうだ。
しかしこれが男性の身体か。私はあの大きく太い毛むくじゃらの腕しか飼い主の身体を覚えていない。
抱っことかはあまりしなかったのかな?
北上「…」
提督「終わりか?」
北上「…」ピトッ
提督「ヒウッ!?」
なんだその情けない声は。
448 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:56:08.96 ID:wxx5Ae+e0
身体を提督の身体に宛てがう。
抱きつくというよりはまさに背負われるような形だ。
体を前に倒しているのもあってか提督との体格差で私の顔は丁度心臓の裏辺りになった。
北上「おー心臓動いてる動いてる」
提督「イ、イキテルカラナッ」
北上「私の鼓動って聞こえる?」
提督「いえ全然全く!」
おかしいな。胸が薄いと鼓動が伝わりやすいとかいう話を夕張から聞いたのだが。まあ夕張だし。
北上「あり?鼓動がすっごい早くなってきた」
提督「風呂だから!血圧とか上がってなんか心臓が早くなんだよ!体も熱くなんだよ!」
北上「へえ」
人間ってそこまで温度変化に弱いのか。
449 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:57:55.72 ID:wxx5Ae+e0
北上「じゃ次は髪洗うね〜」
提督「か、かみ?あー髪か。いや髪はいいよ。わざわざやってもらうほどじゃないし」
北上「なら私のをお願いしようかな」
提督「え」
北上「ほら交代交代」
提督「マジ?」
北上「マジマジ。卍」
提督「マジかぁ…」
450 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:58:48.74 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
提督「えーっと、ですね。まずどうやって洗いますのです?」
北上「ふつーに?」
提督「ふつーってなんだよ」
北上「逆に提督はいつもどうやってんの」
提督「てきとーにさーって」
北上「それで」
提督「いいの?それで」
北上「それ以外にあるの?」
提督「ないか」
北上「ないよ」
451 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:59:34.37 ID:wxx5Ae+e0
提督「おっしじゃあ行くぞー」
北上「おー。提督のお手並み拝イタタタ!ストップストップ!」
提督「あり?弱かった?」
北上「違う違う!強い!雑い!」
提督「そ、そうか?いつも通りさーっとやったんだが」
北上「え、なに?提督いつもこんなふうに髪の毛わしゃわしゃやってんの?」
提督「おう」
北上「わお」
452 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 18:00:20.58 ID:wxx5Ae+e0
提督「こんな感じ?」
北上「そうそう。髪の毛に指を通してすーっと」
提督「これ洗えてるのか?もっと髪の毛同士でゴシゴシした方が」
北上「それやると髪の毛痛むんだって。私達には関係ないかもだけどね」
提督「ほーなるほどね。ん?」
北上「あ」
どうやら髪に指が引っかかったらし
提督「えい」ブチッ
北上「ッタァア!」
提督「あ、ごめん」
北上「ゴメンじゃないでしょ!なんで今の力任せにぐいっと行ったの!」
提督「ひ、ひっかかってるから解こうかと」
北上「雑すぎる…」
いっつも大井っちにドヤされてるのはこういうところに原因があるのかもしれない。
453 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 18:01:20.15 ID:wxx5Ae+e0
提督「髪長いのってホントにめんどくさいのな」
北上「神風なんかもっと凄いよ」
提督「髪長すぎるやつ多いもんな」
北上「悲しい運命だね」
提督「北上も結構。腰まであるよなこれ」
私の髪の先に手を当てたのだろう、提督の手が腰に少し触れた。
提督「あ、すまん」
北上「いや別に謝らんでも」
そういえばどうも先程から提督は極力私の身体に触れないようにしているようだ。
この扱いというのはそれだけ私達艦娘を大切に思ってのことなのだろうか?
454 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 18:01:48.06 ID:wxx5Ae+e0
北上「私の背中ゴツゴツしてる?」
提督「してねーよ。髪であんまり見えないけど」
北上「真っ黒?」
提督「真っ黒。いい髪してるよ」
さっきの逆だと考えると提督からしたら私の背中はさぞ小さい事だろう。やたら繊細に扱ってしまうくらいに。
改めて考えると提督は今私の真後ろにいるんだよね。
提督が髪をすくたびになんだか自分が小さく、まるで人形のように感じられた。
大井っちの手と同じで、優しく、丁寧に私を撫でる提督の手に、なんだか嬉しくなって、妙にこそばゆくて、なんというのだろうかこういうのは。
455 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 18:02:50.60 ID:wxx5Ae+e0
提督「これってどれくらいやりゃいいんだ?」
北上「…」
提督「北上?」
北上「へ?あーなに?どしたの?」
提督「のぼせたか?なんか顔赤くないか?」
北上「そう?気のせいだよ気のせい。うん、もう大丈夫。流しちゃって」
提督「あいよー」ザバッ
北上「ブエッ!?」
桶に貯めていたらしいお湯が一気に頭上から降ってくる。
提督「よしオッケー」
北上「…」
オッケーじゃない。
多分今鏡を見たらずぶ濡れの幽霊みたいになってる事だろう。
456 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 18:04:00.70 ID:wxx5Ae+e0
提督「あとは身体洗ってさっさと上がるか」
北上「そだねー」
提督「あれ、スポンジどこいった」
北上「提督がザバッとやるからながれてったんでしょ」
提督「あホントだ」
北上「もぉー」
少し後ろに流されていたスポンジを取りに椅子から立ち上がる。
ずっと座ってたからかな、なんだかふらつく。
さっきからなんだか鼓動がうるさい。
少しだけ目眩がして
北上「あ」ツルッ
提督「え?」
457 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 18:06:11.50 ID:wxx5Ae+e0
やっと時間が取れたと思ったらメンテだこれ
腹いせにセクハラシーンを盛り込む
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/16(木) 18:40:29.81 ID:Jc+eL2gg0
ウホッ!
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/17(金) 00:21:06.83 ID:R9Y5nBkeo
パンツ脱いで待ってます
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/17(金) 04:22:27.17 ID:/BzNN3qg0
まだ続いてたやったぜいちゃいちゃしやがって
ぶっきーの心のうちが気になる
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/17(金) 13:19:59.06 ID:axP83bX3o
あらー
462 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:33:28.34 ID:7Maab9li0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「…」
目が覚めるとそこには見知らぬ天井が。
北上「ホントに体験できるとは」
提督「やっと起きたかドジっ子め」
横に目をやると回るタイプの椅子に逆向きに座る提督が見えた。
北上「提督?ここどこさ」
提督「俺の部屋」
北上「あー」
提督「うん」
北上「…なんで提督部屋?」
提督「はぁぁぁぁ……」
地獄の様に深いため息を吐かれた。
463 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:34:16.24 ID:7Maab9li0
提督「マジで死んだかと思ったわ」
北上「あーそういやツルッと転んだっけ」
提督「丁度こっちに倒れてきたからキャッチはできたんだけどさ。そのまま気ぃ失ってるし」
北上「面目ない…」
提督「まあのぼせたんだろ。ちょっと迷ったけどとりあえずこっそり俺の部屋に運んだ」
北上「のぼせるってこういう事なんだね。いい経験だったよ」
提督「お前なぁ」
北上「ごめんごめん冗談だって」
提督「でも風呂につかってた訳でもないのにな」
北上「やっぱ外行ったりして体調が変な感じになってたのかなあ」
提督「さあね。まあ無事でよかった」
464 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:35:15.99 ID:7Maab9li0
北上「ところでなんでこっそり提督の部屋に?」
提督「みんな大体寝てるからわざわざ起こすのもな。それに素っ裸のお前を抱えてる状況を誤解なく説明できる自信が無い」
北上「はは、確かに…あ、もしかしなくても私今」
上半身を起こす。どうやら提督のベットらしき物に寝ていた私の身体にはタオル一枚だけが巻かれていた。
提督「取るなよ…」
北上「取らない取らない」
提督「とりあえず北上も起きたし風呂場に置いてきた着替えとってくるよ」
北上「あー、私着替えないよ」
提督「は?着替えなしで風呂はいったのか?」
北上「タオル一枚巻いて部屋に戻りゃいいかなって」
提督「嘘だろおい…」
北上「今日来てたのも洗濯物んとこに放り込んじゃったし」
提督「あれか?船ってのは服を着るって意識が薄いのか?」
北上「それは案外冗談じゃないかもね」
465 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:36:03.42 ID:7Maab9li0
北上「妙案がある」
提督「聞こう」
北上「とりあえず服を貸して」
提督「ここは俺の服しかないぞ」
北上「それでいいから」
提督「…まあタオルよりはいいか。ここはお前の妙案に期待しておこう」
北上「うんうん」
提督「俺は、とりあえず飯でも持ってくるか。食えるか?」
北上「ペコペコ」
提督「オーケー、部屋に持ってくるよ。仮にも病人みたいなもんなんだしあんまり変な事するなよ」
北上「メニューは?」
提督「お粥」
北上「完全に病人扱いだ!」
提督「冗談。適当にありもので作ってくる」
466 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:36:48.55 ID:7Maab9li0
ガチャリと扉を閉めて部屋を出ていく。
まさか立ち入り禁止の提督の部屋にこんな理由で入る事になるとは、願ったり叶ったり。
北上「ん、でかいな」
提督から借りたシャツは私より二回りくらい大きかった。
しまった髪留めは更衣室に置きっぱなしだ。後でとってきてもらおうかな。
北上「まあそれはさておき」
部屋を見渡す。
立ち入り禁止と言うくらいだ。何か見られたらまずいものがあるに違いない。
467 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:37:41.28 ID:7Maab9li0
ここで夕張とかならエロ本なんかを探すんだろうが私にそんな余裕はない。
探すのは提督、もしくは提督の前任者なんかの記録がないかだ。
北上「ここは、おー機能的だ」
ベットの下はそのまま衣装ケースになっているようだ。
横にある机にはPCと、
北上「それだけか」
書類とかなんもない。絶対この机使われてないぞ。
横には少し大きめのテレビといくつかのゲーム機材が散乱している。子供部屋といった感じだな。
他にはタンスと、本棚。
北上「ここしかなさそうだね」
天井にまで伸びる大きな本棚には私の好む本とは全く別のものが並んでいた。
468 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:38:13.13 ID:7Maab9li0
北上「うへー読んでるだけで頭痛くなりそうだ」
航海術とか海や船に関する専門書。他にも歴史とか武器兵器とかとかとか。
ここだけはなんだか提督って感じの内容になっている。読まれているかは定かではないが。
北上「これも資料かな?」
タイトルのない太いファイルを取り出す。
そこには写真が並んでいた。つまりアルバムか。
469 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:38:55.40 ID:7Maab9li0
最初にあったのはどこか居心地の悪そうな提督とニッコニコの吹雪のツーショット。
しばらく飛龍さんや日向さん、多摩姉達の写真が並ぶ。提督が着任してすぐの頃だろう。
そして徐々に艦娘が増えていく。
叢雲はここか。結構早いところで着任したらしい。
1冊目のアルバムが終わる。無意識に2冊目を手に取った。
写真に映る艦娘はどんどん増え、活気が増していく。
私の知らない色々な事がここであったのだろう。
北上「お、大井っちじゃん」
ブスっとした顔で提督と並んでいる。その顔が最初の写真の提督とそっくりな顔で、それが妙におかしかった。
470 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:39:46.76 ID:7Maab9li0
3冊目。少し見覚えのある風景になっていく。どうやらここからは私の知っている鎮守府らしい。
しかしどうにも私の写真が少ない、
北上「というか大井っちのが多いな」
露骨すぎる。2冊目だとそうでもなかったのに。この時期から大井っちの事を気にしだしたのかな?
写真自体の数も増えてきて3冊目がすぐに終わってしまった。
さて4冊目。なんだか変わった形だなこれ。
北上「…?人間?なんだこれ」
1ページ目にあったのは沢山の人間の顔写真だった。男も女もいて、でも全員子供のようだ。思い出、というより記録といった感じの載せ方で、
471 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:41:55.16 ID:7Maab9li0
北上「!」
慌てて表紙を見る。
なるほど。
北上「卒業アルバムか」
さっき言ってたな。俺も昔は学生だったとかなんとか。当たり前っちゃ当たり前だけど。
さぁて若かりし頃の提督はどーれかなっと。並びはどうやら五十音順みたいだ。苗字はMからだから後ろの方のはず。
1組にはいなくて、2組には…いた!うわ普通に黒髪だ。こっちのがカッコイイのに…
せっかくだし提督のご両親も探してみよう。どっか写ってるんじゃないかな。
472 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:43:58.81 ID:7Maab9li0
遠足に運動会。これは、文化祭か。修学旅行も。凄い、本やアニメで見た通りだ。ホントにあるんだなぁこういうの。
こっちは合唱かな?提督はどこに
北上「!?」パタンッ
壁の向こうで扉の閉まる音がした。
つまり提督室に誰か入ってきたという事。そんなのもう提督に決まってる!
慌ててアルバムを元に戻してベットにダイブする。ちくしょうアルバムに気を取られて肝心なものを探せなかった!
ガチャリと再びドアが開く。
提督「ただいブホッ!?」
北上「え」
また変な声を上げてる…
腹ばいの姿勢から顔を後ろに向けてみる。
そこには入口でいくつかの料理を載せたお盆を持ったまま顔を背けて固まっている提督がいた。
473 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:44:34.54 ID:7Maab9li0
北上「何してるのさ」
提督「こっちのセリフだおい。服はどうした服は」
北上「だから借りたんじゃん」
提督「それは俺が貸したヤツだろお!」
北上「え、うん」
提督「何、それ着て取りに行くとかじゃなくてもうそれで過ごすつもりなのこの娘」
北上「上は隠したからいいじゃん?」
提督「下が丸見えだボケェ!」
北上「あー…」
ワンピース気分で着ていたが確かに今の姿勢だと提督から丸見えだ。
北上「エッチ」
提督「露出狂め」
474 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:45:17.12 ID:7Maab9li0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「ごちそうさまー」
提督「おそまつさん」
北上「いやはやまさかホントにお粥にするとはね」
提督「何も風邪の時に食べるだけがお粥じゃねえのさ。白だしとか入れて卵で包めばオムライスっぽくなるわけよ」
北上「他にはどんなの作れるの?」
提督「どんなのって、それなりに色々作れるけど。あーでもパスタとかは作ったことねえな」
北上「すごいね。私ゃ包丁すら握った事ないよ」
提督「両親が結構料理好きでな。教わってたのさ」
北上「提督の親かぁ。今どこにいるの?」
提督「遠いとこ」
北上「海外?」
提督「内緒」
北上「ケチー」
475 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:46:05.95 ID:7Maab9li0
北上「それじゃ私はそろそろお暇しますかねー」
提督「おう帰れ帰れ。というかまず着替えろ」
北上「分かってるって、っと!?」ペタン
提督「お!おいおい、まだのぼせてんのかよ」
北上「なんか立ちくらみが」
提督「んー、よし。今日はここで寝てけ」
北上「え、いいの?」
提督「嫌ならいいけどよ。なんか体調悪そうだしさっさと寝た方がいいんじゃないか」
北上「えー提督の枕臭そう」
提督「知ってるか。下の話と髪の話と匂いの話は男のハートを著しく傷つける凶器なんだぞ」
北上「わお顔がガチだ」
476 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:46:47.39 ID:7Maab9li0
北上「提督はどうするのさ」
提督「隣の部屋のソファーで寝るよ」
北上「あれ寝心地いいよね」
提督「昼寝とかならな。本格的に寝るとなるとどうだろうか」
北上「ちなみに提督の部屋で絶対に弄っちゃダメなとことかある?漁っとくから」
提督「あっても言うかそんなやつに。別にないしな」
北上「えー?いつもは立ち入り禁止だからエロ本でも隠してるのかと」
提督「どんな偏見だよ。どうせ夕張辺りの入れ知恵だろ」
北上「That's right」
477 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:47:20.19 ID:7Maab9li0
北上「ダメな理由はなんなのさ」
提督「そりゃー、ほら、空母共が勝手に飲み会開いたりするし」
北上「あーよく執務室は乗っ取られてるよね」
提督「駆逐艦達がかくれんぼに使ってたりするし」
北上「前に提督の机の下に隠れてたよね。速攻で見つかってたけど」
提督「仕事中なのに躊躇なく足元入ってくるからな。この部屋開けたら確実にくるぜ」
北上「他には」
提督「ポーラの酒の隠し場所にされたりとか」
北上「え、そんな事してるの」
478 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:47:55.99 ID:7Maab9li0
提督「前にあんまり使ってなかったダンボールの中に入れられててな。吹雪が見つけた」
北上「禁酒中の時か」
提督「ニッコニコで飲み干したと思ったら調理室から借りた酢を入れだしてビビったわ」
北上「想像にかたくない」
提督「さすがのポーラもアレで一週間は懲りてた」
北上「一週間かぁ。それで一週間かぁ…」
提督「まあうん、そんなわけだ」
北上「人気者は大変だね」
提督「笑って済ませらんねぇんだよ」
479 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:48:42.85 ID:7Maab9li0
提督「じゃおやすみ」
北上「おやすー」
パタンと再び扉が閉まる。
ふらつくフリは思った以上に効果的だった。これで今晩はこの部屋を漁り放題だ。
しかし流石に今すぐじゃバレる。もう少し、提督が寝静まった後だ。
それまでこうして、
ベットに横になって
静かに
音を立てずに
寝て
480 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:49:31.33 ID:7Maab9li0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「一緒にお風呂ですって!?」
「ちげえって!アイツから!アイツから誘ってきたの!!」
「犯罪者は大体そう言うんですよ」
「誰が犯罪者だゴルァ!」
「それで一体何をしたのよ!」
「し、してねぇ!何も!あいや、背中と髪を、洗った」
「洗った!?」
「それは別に悪くねぇだろ!アイツから言ってきたし!」
「それだけなの!?そこまでいってそれしか出来なかったのこのヘタレ!!」
「キレるのそこかよ!」
「いきなりお風呂プレイとは流石ですね司令官」
「プレイとか言うな!つかなんでお前ら仲良く俺を犯人扱いなんだよ!」
「共通の目的のために」
「共闘中です」
「は?」
481 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:50:07.19 ID:7Maab9li0
北上「…うわぁ……」
ベット横のカーテンから光が差し込む。ここが北極付近でもない限りこれは間違いなく朝が来たという事だろう。
つまり、私はあの後ごく普通に寝てしまったという事になる。
最悪の気分とは裏腹にタップリと睡眠をとった私の体は実に心地よく目を覚ました。
身体を起こす。隣の執務室からはまた言い争いが聞こえる。
大井っちに提督、吹雪の声だ。
さてどうしよう。ここでノコノコ出ていくと巻き込まれそうだし。
そうだ!
482 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:50:43.33 ID:7Maab9li0
北上「痛っ!?」バタン
ベットから転げ落ちる、フリをする。
すると案の定、
大井「北上さん!?北上さん大丈夫ですか!?」バタン
北上「あー大井っち〜。おはよー」
大井「よかった無事、じゃない!北上さん!?シャツ!?シャツオンリー!?」
北上「これねー提督に借りて「提督!?どういう事!!!」」
提督「勘弁してくれー…」
吹雪「音をあげるのは早いですよ犯罪者」
提督「北上ぃ〜助けてくれ〜」
北上「うーん」
流石に今回は私の責任が大きいし、ちょっとフォローしとくかな。
483 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:51:22.68 ID:7Maab9li0
球磨「北上ぃ!提督に襲われたって本当か!?」バタン
多摩「あの色欲魔はどこにゃあ!」
北上「うわぁ」
面倒くさい事になってるぞ。
大井「姉さんいい所に!」
球磨「ぬわあぁぁ北上があられもない姿に!」
多摩「避難にゃ!とりあえず避難するにゃ!」
提督「おいお前ら一体誰からそんな情報を!?」
球多「「大井(にゃ」」
提督「てめぇ!」
木曾「スマン、抑えられなかった」コソ
北上「いいよ、ありゃどうしようもない」
球磨「北上!早く着替えに帰るぞ!」
多摩「にゃ!」
北上「あーはいはい引っ張らない引っ張らない」
提督「ちょ、待って北上俺まだ」
北上「後は頑張ってね〜」
提督「ちょっとぉおぉ!?」
面倒なので逃げる事にした。
484 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:51:54.75 ID:7Maab9li0
北上「いやね、違うんだよホントは」
球磨「分かってるクマ。どうせ提督の優柔不断が原因クマ」
多摩「でもそこが提督の悪いところにゃ。少しは反省してもらうにゃ」
木曾「ありゃこってり絞られるだろうな」
北上「でも意外だね。吹雪と大井っちのコンビなんて」
球磨「確かに珍しい組み合わせクマ」
多摩「提督に対する厳しさ的に馬は会いそうにゃ」
北上「確かに」
485 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:52:29.35 ID:7Maab9li0
阿武隈「あ、おはようごさいうわ!なんですかその格好」
北上「おはよー」
多摩「にゃー」
球磨「クマー」
木曾「おはよう」
阿武隈「流さないでください!なんだか提督室が騒がしいのもそれですか?」
北上「阿武隈はこれから出撃?」
球磨「今日は忙しくなるクマよー」
多摩「待ちに待った決戦の時にゃ」
木曾「決戦って」
阿武隈「だーかーらー!!」
486 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:52:56.67 ID:7Maab9li0
かん高い声でまくし立てる阿武隈をあしらいながらいつもの廊下を歩く。
騒がしいながらもまた、日常が始まる。
北上「いい夢見れたなー」
多摩「そんなに良く眠れたのかにゃ?」
北上「そうじゃないけど、まあそんな感じかな」
良い夢を見れた。
私にはやる事がある。行くところがきっとある。
でもこうして、ここにずっといたいと思えるような、そんな1日だった。
487 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/29(水) 03:58:12.54 ID:7Maab9li0
艦これ二期 まさか本当に来るとは
解像度の向上で印象が変わる娘が実に多いですね。
妄想が止まりません。
個人的に1番印象が変わったのは葛城です。
488 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/29(水) 11:56:08.47 ID:qZz9FWCGO
更新乙です
海域再攻略で中部で死にそう
北上様とアサチュンとは責任とらないとな
489 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/29(水) 17:19:01.19 ID:50KT5NT2o
おつ上さん
490 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 02:55:07.31 ID:EmfrTgUy0
64匹目:泥棒猫
お魚くわえたドラ猫、なんて言うけれどしかし野生の猫に店頭に並ぶ魚を餌以外に認識しろという方が無茶である。
なんてのも中々無茶な屁理屈だが。
ところでドラ猫というのは悪い猫という意味だとか。私はてっきり泥棒猫の略だと、いやそれが訛ってドラ猫になったかもしれないのか。
そこへ行くと今の私達は、
間違いなく泥棒猫だ。
491 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 02:55:44.71 ID:EmfrTgUy0
多摩「盗み食いをするにゃ」
北上「だから気に入った」
ぐらいの軽い気持ちで私達は食堂へやってきた。
北上「でもなんで急に?盗み食いなんてキャラじゃないでしょ」
多摩「この時期だけは特別なんだにゃ」
北上「この時期とは」
多摩「秋刀魚にゃ」
北上「あー秋刀魚か」
秋刀魚。秋刀魚ねぇ。
492 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 02:56:30.90 ID:EmfrTgUy0
気軽に漁に船を出せない以上魚はそこそこ貴重な食材となってる。
そんななか秋刀魚は群れで大量に押し寄せるためなんとしてもこの時期に大量に確保しておきたいとか。
どんだけ魚好きなんだこの国は。命懸けぞ。
無論私達艦娘を護衛につけての一大イベントとなる。
とはいえ命懸けなんてのは建前である程度海域を取り戻した現在では護衛の私達も正直暇である。
そこで何を思ったかどこかの鎮守府が「じゃあ自分達でも秋刀魚漁するか」と言い出しあろう事か見事に一定の成果をだした。
さらに上は艦娘へのご機嫌取りなのか漁の邪魔にならなければ釣った分は貰っていいとか言い出したものだから大変だ。
食の大戦争の幕開けである。
493 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 02:57:10.97 ID:EmfrTgUy0
多摩「さっき第一陣が秋刀魚を釣り上げて持って帰ったという話にゃ」
北上「おー」
私が提督んとこで寝てる間に開戦していたようだ。そういえば前から色々準備はしていたっけ。
多摩「今年最初の1匹にゃ」
北上「記念すべき1匹だね。秋刀魚からしたら哀れな生贄第一号だけど」
多摩「そいつを頂くにゃ」
北上「生で?」
多摩「猫じゃないにゃ。流石に調理後を狙うにゃ」
まあ多分艦娘なら生でも問題はないと思うけど、美味しくはなさそうだ。
494 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 02:57:51.10 ID:EmfrTgUy0
多摩「基本的に秋刀魚は焼かれた後ここ食堂に運ばれてくるにゃ」
北上「あーあの七厘か」
多摩「調理場の裏で間宮さん達が焼いてるにゃ。その後この食堂で護衛任務に付いたものから順に振る舞われるのにゃ」
北上「自分達で取ったものを自分達で食べれる。いい仕組みだね」
多摩「んなもん待ってられるかにゃ。今すぐ頂いちまうにゃ」
北上「うわーなんか理由聞いたら協力する気なくなってきた」
多摩「な!北上だって食べたいはずにゃ!」
北上「そりゃ食べたいは食べたいけど、別にそこまでじゃないし」
多摩「頼むにゃ!一生のお願いにゃ!」
絶対これ毎年言ってくるよね。
495 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 02:58:24.45 ID:EmfrTgUy0
食堂は大人数が利用する。カウンター形式でお盆を持って列に並び料理を注文してといった感じ。
社員食堂とかがこんな感じだと聞いた。そして厨房と食堂の出入り口はカウンターの端の一箇所だ。
多摩姉とそこに1番近い席に向かい合わせで座り厨房を見張る。
北上「慌ただしいね」
鳳翔さんが右に左に行ったり来たりしている。
多摩「年に一度の大騒ぎだからにゃ」
何かを探しているらしい。あ、どうやら見つけたようだ。
北上「鳳翔さんいるから忍び込むのは厳しくない?」
上の棚にあるらしいお皿を取ろうと鳳翔さんが必死に背伸びをする。
片脚立ちで手を伸ばしたりグッと手を伸ばす度にポニーテールが揺れる。
496 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 02:59:06.80 ID:EmfrTgUy0
多摩「だからこそ待つのにゃ。チャンスを、じっと」
全然届きそうもない。諦めて台か何かを探し始めたようだ。
北上「そのチャンス来た事あるの?」
どうやら台は見つかったらしい。得意顔で台を設置して再チャレンジする。
多摩「一度もないにゃ…」
グッと手を伸ばす、が、届かない。中々に頼りない大きさの台のようだ。
北上「なのに毎年チャレンジしてるの?」
二、三度手を伸ばすが諦めたのかダラりと手を下ろした。こちらからは背中しか見えないがその表情は想像に難くない。
多摩「諦めたら終わりにゃ」
おや、今度は間宮さんが奥から出てきた。しばらく鳳翔さんを見つめると状況を察したのか若干放心状態の鳳翔さんと位置を交代する。
北上「そこは諦めなよ」
あっさりと降ろされた皿に鳳翔さんの顔が綻ぶ。見張りとかじゃなくて鳳翔さんを眺めてるだけで幸せ指数が上がるなこれ。
497 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:00:25.18 ID:EmfrTgUy0
多摩「今年は北上の協力があるにゃ。色々工夫ができるにゃ」
奥から伊良子さんも出てきた。三人が並んで何やら楽しそうに話している。
北上「別に手伝うとは言ってないけどねぇ」
こうして並ぶと鳳翔さんほんとにちっこいな。それに私よりも細いんじゃないかと思うくらいに華奢だ。
多摩「貸一つにゃ」
それでもたまに艤装を付けてる姿はあのスラリと長い脚と引き締まった表情から妙な気迫が感じられるのだから不思議だ。
北上「よかろう」
成功しても失敗しても貸一つだ。適当に手伝っておこう。
498 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:01:00.33 ID:EmfrTgUy0
多摩「まずカウンターに鳳翔さんがいるにゃ。そして奥の厨房には恐らく間宮さん。外の七輪に伊良子ちゃんにゃ」
北上「それぞれに一人か」
というか伊良子さんだけちゃんなんだ。なぜに。
多摩「伊良子ちゃんは恐らく何人かと外で魚を焼いてるはずにゃ。さっき見た時は阿賀野と雷電、蒼龍とかがいたにゃ」
北上「外なら大丈夫だね」
多摩「問題は鳳翔さんと間宮さんの二人だにゃ。とくに厨房の間宮さんはここからじゃ見えないから動きが読めないにゃ」
北上「秋刀魚は厨房に運ばれるの?」
多摩「一旦厨房に入ってお皿に盛り付けられてからすぐ出せるようにカウンターに並ぶにゃ。狙うなら厨房にゃ」
北上「入ったらすぐバレちゃんじゃないのさ」
多摩「意外と広いから隠れられるにゃ」
北上「さいですか」
499 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:01:41.70 ID:EmfrTgUy0
多摩「第一の問題は鳳翔さんと食堂の皆にゃ」
北上「皆、ねえ」
食堂全体を見渡す。
昼前という事で人は少ないが消して無視できる人数ではない。
奥の方で遅めの朝食か早めの昼食を食べている妙高さんと那智さん。
その二つ横のテーブルで何か作業をしている瑞鳳さんと清霜と江風。
中央付近で恐らくスマホゲームで遊んでいるであろう飛龍さん瑞鶴さん川内赤城さん。
赤城さん?マジか…意外な。
それに今しがた自販機でなんの躊躇もなく買った缶コーヒーを片手に比叡さんと並んで歩く金剛さん。
少ないが、多い。特にこれからは時間が経つにつれ増えていくだろう。
500 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:02:13.93 ID:EmfrTgUy0
北上「となるとまずは鳳翔さんを何とかしなきゃだね」
多摩「入口は左端のここ一箇所だけにゃ。鳳翔さんを右端に寄せつつ周りのみんなの注意をどこかに引く必要もあるにゃ」
北上「…無理なのでは?」
多摩「北上が暴れるとかすればなんとか」
北上「貧乏くじってレベルじゃないでしょそれ。でも確かに騒ぎを起こすのが現実的、なのかな?」
多摩「料理を零すとかならどうにゃ」
北上「食べ物を粗末にするのはなしの方向で」
多摩「出来のいい妹が今は怨めしいにゃ」
北上「理不尽だ」
501 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:02:47.78 ID:EmfrTgUy0
改めて辺りを見渡す。
北上「あのテレビでなんか流すとか?」
カウンターの反対側に大きなモニターがある。
今は誰も見ていないが夜なんかは見たい番組がある人達で取り合いになったりもする。
多摩「流すって、今は大したもんってないにゃ」
北上「夕張に頼めばいいじゃん」
多摩「なんで夕張が出てくるにゃ」
北上「機械だったらとりあえず夕張に頼めばなんとかなるでしょ」
多摩「そんな安易にゃ…」
502 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:03:30.80 ID:EmfrTgUy0
夕張:できるできる。何すればいい?最近のオススメアニメとか流す?
北上「おー流石夕張」
多摩「何故できるにゃ…」
スマホの画面に表示された夕張からの返信に多摩姉が呆れる。
北上「何流せば皆の気を引けるかな」
多摩「一瞬じゃダメにゃ。CMくらいの長さは注意を逸らしていたいにゃ」
北上「じゃこれだ。これ流そう」
多摩「何かあるのかにゃ?」
北上「多摩姉の猫の仕草練習動画」
多摩「にゃ!?いつの間に!」
北上「撮ったのは球磨姉だけどね」
多摩「あんにゃろぉ」
殺気がすごい。
503 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:04:25.81 ID:EmfrTgUy0
夕張:ならこれはどう?
北上「なんかきたよ」
多摩「なんの動画にゃ?」
北上「えっと、な、ん、の、ど、う、か、あれ?が、どうが…ハテナってどこだ」
多摩「打つの遅すぎにゃ…」
北上「約50もある平仮名をたった10のパネルで打つって無茶だと思うの」
多摩「それは、慣れにゃ」
北上「慣れかぁ」
504 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:06:23.69 ID:EmfrTgUy0
夕張:じゃ今から流すね
北上「見せてくれるって」
多摩「時間かかりそうだにゃ」
北上「そうなの?」
多摩「動画を送るのは時間かかるものなんだにゃ」
北上「あー今送ってるのか」
多摩「読み込み中ってなってないかにゃ?」
北上「んーいや特になにも」
多摩「それは変だにゃ。ちょっと見せるにゃ」
北上「やだ多摩姉のエッチ」
多摩「うっせーにゃどうせろくにスマホで会話なんてしてないくせに」
北上「まあね」
505 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:06:55.89 ID:EmfrTgUy0
多摩「…ホントだにゃ」
北上「だしょ?」
多摩「というか流すってなんにゃ」
北上「見せるってことでしょ」
多摩「なら送るって言うはずにゃ」
北上「言われてみれば」
多摩「…北上」
北上「うん。なんか嫌な予感がするね」
直後残念ながら期待を裏切らずにテレビの電源が入り映像が流れ始めた。
そこそこ静かだっただけに急に流れ始めたそれに皆が注目することになる。
506 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:07:46.41 ID:EmfrTgUy0
そこには昨日見たばかりの提督の部屋と、ほぼ全裸の提督とシャツと下着姿の夕張が映っていた。
どうにも酔っているらしいテンションで何やら騒いでいる。スマホで撮っているのか妙に画面も揺れている。
多摩「」
多摩姉の顔には絶句って書いてある。
辺りを見渡してみる。
文字では表せない奇声を上げながら缶コーヒーを握りつぶす金剛さん、とそれを宥める比叡さん。
清霜江風を両手で目隠ししつつ画面を凝視する瑞鳳さん。
冷静に食事を続ける妙高さんとチラチラと目をやる那智さん。
意外にもそれ程慌てずテレビとそれに対する周りの反応をスマホで面白そうに撮る飛龍さんと顔を真っ赤にして騒ぎ立てる瑞鶴さん。
依然ゲームに没頭している川内と赤城さん。
507 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:08:25.90 ID:EmfrTgUy0
北上「カオスだ」
夕張は間違いなく吹雪あたりに制裁を食らうであろうことを考えてはいないのだろうか。
多摩「はっ!これはチャンスにゃ!」バッ
北上「あっ、ちょっ待って待って」
振り返るとカウンターに何故か鳳翔さんがいなかった。
流れるようにカウンター横を潜り抜ける多摩に慌ててついていく。
後ろの騒ぎは、とりあえず考えないことにしよう。
508 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:09:12.79 ID:EmfrTgUy0
しかしカウンターにいないということは鳳翔さんも厨房にいる可能性が高い。
厨房がどういう構造かは知らないけど間宮さんと鳳翔さんの二人の目を盗み秋刀魚をいただくというのはなかなか難易度が高いんじゃ…
ダンボールを持ってくるべきだったか。
北上「多摩姉ぇー」ヒソヒソ
多摩「静かにするにゃ。ここからが勝負にゃ」ヒソヒソ
ダメだこりゃ。なるようになれ。
低い姿勢のままそろりと厨房に入る。
509 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:09:41.77 ID:EmfrTgUy0
間宮「んーいい焼け具合。伊良湖ちゃんまた腕を上げたわね」
鳳翔「もっと沢山捕れれば皆にお出しできるんですけれどねぇ」
間宮「それはしょうがないわ。これでも年々量は増えてきているわけだし」
伊良湖「伊良湖、戻りましたー」
間宮「お帰りー。どう?外は」
伊良湖「今は霧島さん達が火を見ていてくれてます」
鳳翔「なら大丈夫そうですね」
間宮「それでは毎年恒例のいっちゃいましょうか」
510 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:10:12.84 ID:EmfrTgUy0
「「「いただきます」」」
伊良湖「ん〜おいしい!」
鳳翔「油がよくのっていますね〜」
間宮「こうなると大根おろしも欲しくなりますね」
伊良湖「醤油さして」
鳳翔「ホカホカのご飯」
間宮「…大根おろしくらいなら」
伊良湖「ホントに我慢できます?」
鳳翔「私はちょっと自信ないですね」
間宮「まあ流石に二匹目まで食べるわけにはー…あ」チラ
あ、目が合った。
間宮さんが気まずそうな表情で硬直する。
511 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:10:56.39 ID:EmfrTgUy0
伊良湖「もう少しでほかも焼ける頃合ですかね」
鳳翔「私もお手伝いしましょうか?」
伊良湖「いえいえ。既に何人か手伝ってくれてますし、鳳翔さんは盛り付けとかで忙しくなりますから」
鳳翔「今のうちに食べておかないとですね」
伊良湖「その通りです。ねぇ間宮さん。間宮さん?まみ…あー」チラ
今度は伊良湖さん。何とも言えない表情で凍る。
鳳翔「魚の目って食べると目が良くなると言いますけど、私この部分苦手なんですよねぇ。お二人共?さっきから何を」チラ
そして最後に鳳翔さん。
512 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:13:06.74 ID:EmfrTgUy0
調理場の台の横からまさに猫のように首だけ覗かせている私達二人。
状況を理解できないのかしばらくこちらをじっと見つめた後、
サッと一瞬だけ青ざめて、
徐々に顔を赤くし、
鳳翔「ち、チガウンデス」サッ
両手で顔を隠しながらそう言った。
可愛い。
伊良湖「鳳翔さん…」
間宮「可愛い」
多摩「秋刀魚寄越すにゃ」
その後口止め料として皆で秋刀魚を頂いた。
513 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/10/26(金) 03:17:58.95 ID:EmfrTgUy0
これはもうダメなのでは、と思い別の話を書いていたらいつの間にか復活していました。
ネットの繋がりって案外脆いものですね。
またダラダラと、でもいつ同じ事が起こるかわからないのでしっかりとゴールに向かっていきますので何卒お付き合いお願い致します。
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/26(金) 06:10:29.79 ID:pVuFYmaKO
おつ
しばらく見れないでさびしかったよー
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/26(金) 09:03:04.82 ID:VyQfofK9O
おつおつ。待っておりました。
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/26(金) 18:01:27.45 ID:x5ntvCtSo
おつーにゃ
517 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/28(日) 03:48:08.53 ID:OsX54i3+0
おつおつ、復活してくれてよかったし、気づいてくれたのもよかったです…
今後ともよろしくお願いいたします。
518 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:40:04.64 ID:V/LmZtz90
北上「と、以上が事の顛末になります」
吹雪「はぁぁぁぁぁ…」
うわすっごい深い溜息。
北上「秋刀魚は残さず食べたので」
吹雪「それはどうでもいいです。つまみ食いに関しても、まあ鳳翔さん達が食堂の責任者ですし私がどうこう言う気はないです。問題なのは映像だけです」
食堂の騒ぎを聞き付け即鎮圧。現場にいた者一人一人に事情聴取と口止めをして夕張をとっちめた後きっかけである私の元に聞きに来る。
ここまで1時間強。刑事とか向いてるんじゃないかなこの子。
北上「そんなにまずかった?ギリギリモザイクの入らない内容だったと思うけど」
吹雪「そこも別に問題じゃないんですよ。駆逐艦にだってモザイクじゃ済まないような内容のもの見てる子だっていますし」
北上「え」
吹雪「問題なのは司令官の部屋で遊んでるっていう事実です」
519 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:41:04.14 ID:V/LmZtz90
北上「提督同伴なら別にあの部屋入ってもいいんでしょ?」
吹雪「一応そうなってはいますけど基本的には司令官も誰かを入れたりしませんよ。それこそ夕張さんや明石さんくらいしか」
北上「何故あの二人」
吹雪「気兼ねなく遊べるからでしょうね。あの映像も飲みながら罰ゲームありでゲームやってた時見たいですし」
北上「提督お酒強くないのにねえ」
つまり撮影者は明石だったわけか。
吹雪「そのクセお酒は好きなんですよね。ちなみにゲームも弱いらしいです。でも好きだとか」
520 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:41:48.95 ID:V/LmZtz90
北上「じゃ何が問題なのさ」
吹雪「あんなのみたら皆司令官の部屋に行きたがるじゃないですか」
北上「あーそっちかあ」
吹雪「大変でしたよ…金剛さんなんか私が行った時には既に比叡さんと司令官の部屋に乗り込む算段立ててましたから」
北上「今は大丈夫なの?」
吹雪「零したコーヒー拭いてるはずです」
北上「あーね」
吹雪「飛龍さんなんか撮った動画で逆に私を脅してきましたからね」
北上「あの人そんなことすんの」
吹雪「加賀さんのお酒盗み飲みしてる事を引き合いに出したら消してくれました」
北上「あの人そんな、事しそうだね確かに」
521 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:42:21.91 ID:V/LmZtz90
北上「でもそうなると私もダメなんじゃない?昨日提督の部屋で寝てたし」
吹雪「公にはダメです。でもOKです。北上さんは」
サラッと矛盾した事を言われた。
北上「どういうことよそれ」
吹雪「だから個人的にですよ、個人的。前にも言ったじゃないですか、貴方には期待してるって」
北上「そうやってそれっぽい感じで内容ぼかすの、私はあんまり好きじゃないよ」
吹雪「そうですか?私は好きなんですよ」
しれっといいやがる。秘書艦殿にゃ口では勝てなさそうだ。
522 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:42:59.74 ID:V/LmZtz90
吹雪「司令官はどうでした?」
北上「?」
吹雪「司令官の様子ですよ」
北上「昨日の?」
吹雪「ええ」
北上「どうって言われてもねえ。いつも通り?」
吹雪「ホントに?」
北上「いや、なんかぎこちなかったかも」
吹雪「ヘタレですからねえ」
北上「手を出さなかったって話?そりゃいくら提督でもそんな事はしないでしょ」
思えば二人で出かけた時点で浮気みたいなものじゃないかこれ。
吹雪「見境なかったら流石にダメですけどね」
北上「一体どうしたのさ。今朝も大井っちと二人し提督に詰め寄ったりしてたし」
吹雪「大したことじゃないですよ。ただこれからも司令官の事、よろしくお願いしますね」
北上「はぁ…」
もっとこうスバっと物申してくれる人はいないのだろうか。
523 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:45:19.51 ID:V/LmZtz90
吹雪「じゃ私はまだ多摩さんの始末が残ってるんでここら辺で」
北上「ナチュラルに始末とか言わないで」
吹雪「痛くはしないので」
それが一番怖い子なんだよなあ。
北上「でさ」
吹雪「まだ何か?」
北上「提督の部屋にそんなに入られると困る理由って何」
吹雪「秘密です」
短く答えて颯爽と去っていく秘書艦。
これ以上は何も言ってくれなさそうだ。
大井「あ!北上さん!!」
北上「およ?大井っちー、提督は生きてる?」
大井「命はあります」
北上「さいで」
こってり絞られたらしい。後で謝りに行こう。
大井「で!ホントに大丈夫なんですよね!?」クワッ
北上「おお?何がさ」
大井「提督に襲われたり犯されたり処女奪われたりしてないんですよね!!」
北上「」
あーいたわ。ズバッと物申してくる人。
524 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:46:05.15 ID:V/LmZtz90
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
【図書室】
北上「ここもなんだか久々だなぁ」
大井「なるほど、ここなら誰にも邪魔されませんね」
意味深に聞こえるけど単に話を聞かれたくないだけである。
北上「神風はいるかもと思ったけど」
大井「今の時期駆逐艦は秋刀魚漁で大忙しですからね」
北上「そっか、護衛に引っ張りだこか」
大井「私達は暇ですね」
北上「幸せだねえ」
大井「そうですねえ」
座椅子を並べて二人で座る。
日中の陽の光が閉じ込められたこの部屋は包み込むような温かさがある。
525 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:46:59.24 ID:V/LmZtz90
大井「北上さんはどうでした?」
北上「私?」
大井「北上さんは昨日どうでした?」
北上「昨日ねえ」
それは少し意外だった。
吹雪は「司令官はどうでした?」で
大井っちは「北上さんはどうしでた?」か。
同じようで、二人はちょっと違う目的があるようだった。
てっきり大井っちも提督の様子を聞いて浮気チェックするものかと。
北上「楽しかったよ」
大井「無難な回答ですね」
北上「波風立てるのは嫌いなのさ」
大井「船なのに?」
北上「船なら波も風も拾うものでしょ」
大井「それもそうですね」
526 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:47:31.68 ID:V/LmZtz90
提督といるのは楽しい。
楽しい、というよりは落ち着く?かな。
何せ鎮守府で唯一の人間だ。本能的にそう思うとかもしれない。
って猫が決して本能的に人に懐くわけじゃないのだが、でもそれだけ長い間人と猫は共に生きているのかもしれない。
大井「何かこう、普段と違った感覚はありませんでしたか?」
北上「普段と違った、ねえ。あーそういえば」
背中を洗ってもらってる時に、何かあった気がする。
大井「あったんですか!」
北上「いやでものぼせてたんだっけな」
大井「お風呂に入ってた時ですか、一緒に」
北上「いやあ気のせい気のせい」
大井っちの前であまり提督との話をするべきじゃない気がする。今更だけど。
そういえばのぼせたなんて経験も初めてだったなあ。
527 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:48:09.09 ID:V/LmZtz90
大井「…」ジーッ
北上「…なに、その慈愛に充ちた優しい眼差しは」
大井「いえ、でも北上さんはもっと自分の思ったようにするべきだと思いますよ」
北上「割とそうしてるつもりだけど」
大井「私はいつでも北上さんの味方ですからね!」
北上「いつでも?どんな時でも?本当に?」
大井「あー、基本的には、です」
北上「あはは、そりゃそうだ」
これで私が提督の事好きなんだとか言ったら流石に味方してはくれないだろう。
別に私は二人の間に入る気は無い。二人のそばに居られればいい。
528 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:48:40.57 ID:V/LmZtz90
大井「あ、秋刀魚は美味しかったですか?」
北上「げっ!何で知ってるのさ」
大井「フフ、秘密です」
北上「くわばらくわばら。秋刀魚はそりゃもう言うまでもなくだね」
大井「なら私達も釣りに行かなきゃですね」
北上「出番あるかなぁ」
大井「なければ作るんです!」
北上「どうやっ、あー提督か」
大井「さっ、提督室に行きましょう!」
北上「あんまり怒んないであげてね。昨日のは私も悪いんだから」
大井「分かってますって」
分かってて怒ってたのか。
529 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:49:19.96 ID:V/LmZtz90
北上「でも、眠くなってきた」コテン
大井っちの肩に寄りかかる。
大井「暖かいですからね、ここ」
大井っちは、特にこれといった反応はない。
肩に頬を乗せ、耳元に頭を擦り寄せてみる。
北上「大井っちはちっちゃいなあ」
大井「私が?北上さんと同じくらいだと思いますけど」
北上「まあね」
提督のことを思い出していた。提督は寄りかかっても肩の上には届かなかった。
それに比べれば私も大井っちも随分小さく思える。
そういや猫だった時はもっと小さかったんだよなぁ。
530 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:49:53.25 ID:V/LmZtz90
大井「私、北上さんとずっと一緒にいたいです」
北上「私もだよ〜」
大井「相思相愛ですね!」
北上「そうだねー」
大北「「ふあぁ…ぁ」」
二人して大欠伸をする。
北上「眠くなるよね」
大井「ええ、本当に」
北上「少し寝ていこっか」
大井「はい」
この後部屋の温かさが消えるまで寝ていたため私達は見事に夕食をすっぽかし、大井っちは初の秋刀魚を食べ損ねてしまうことになるのだが、
お互い幸せだったと思う。
531 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/12(月) 02:52:34.90 ID:V/LmZtz90
週一で書きたいなあと思いながら生きてはいるのです
谷風改二、なんだこの美少女。でも改派です。似た理由で長波サマも改です。
532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 08:05:57.12 ID:RrFiL81Io
おつーな
533 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/19(月) 02:43:25.29 ID:wjB0yiku0
65匹目:like the cat that stole the cream
クリームを盗んだ猫のようだ。つまり満足そうだという意味の慣用表現。
球磨姉が姉としての威厳を示せた時、もしくは本人がそう思い込んでる時とか。
多摩姉が秋刀魚を食べてる時とか。
木曾が戦闘後に決めポーズをしっかり取れた時とか。
大井っちが私と一緒にいる時とか。
そんな感じ。
なので、今私の目の前にいる人物とは真逆の様子ということになる。
534 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/19(月) 02:43:57.11 ID:wjB0yiku0
【工廠】
夕張「納得がいかないわ!」
北上「どうしたのさ急に。いやいつも急か」
夕張「重複をじゅうふくと読まない事くらい納得がいかない」
北上「それは分かる」
夕張「ポンドが未だに蔓延ってる事くらい納得がいかない」
北上「それは知らない。あれ、ヤードはいいの?」
夕張「あれは正直慣れたわ」
北上「結局慣れか」
535 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/19(月) 02:44:59.41 ID:wjB0yiku0
北上「で何が納得いかないの」
夕張「まずさ、私と明石ってずっとここにいるじゃない?」
北上「自室も工廠だしね。ゲームも漫画も本も全部だしね」
夕張「そりゃあ明石は工作艦だし?作って遊ぼうだし?ここにいてしかるべきじゃん」
北上「工作の規模がやたら小さく聞こえるけどまあそうだよね」
夕張「で私。兵装実験軽巡夕張」
北上「だね」
夕張「おかしくない?」
北上「何が」
夕張「艦娘が日本発祥なのに嫌がらせの如く単位規格変えた部品で装備作ってくる国外のあんちきしょう共くらいおかしくない?」
北上「その一々例えるのやめてよしかも長いというかそんな高度に政治的かつ低度で幼稚な嫌がらせみたいなことされてんの?」
夕張「終いにゃ尺貫法持ち出すわよコルァ」
北上「落ち着いてメロン」
536 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/19(月) 02:45:32.52 ID:wjB0yiku0
北上「凄く納得してないのは分かったけど、何に納得がいかないの」
夕張「北上は他の鎮守府の夕張って知ってる?」
北上「私は特に知らないかなあ。似たり寄ったりの変人ってのは聞いたけど」
夕張「変人とは失礼ね」
北上「否定すると?」
夕張「ちょっと変わってるだけよ」
北上「だから変人って言われてるんだよ」
夕張「人は皆、誰かと同じにはなれないのよ…」
北上「常識がズレてるって話だよ」
537 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/19(月) 02:46:17.70 ID:wjB0yiku0
夕張「この容姿端麗頭脳明晰な軽巡夕張」
北上「頭脳明晰て…容姿は皆そうだろうけど」
夕張「胸もCよ」
北上「嘘だBだB!」
夕張「あります〜由良がCなんだから私もCあります〜」
北上「自分で測ったんじゃないんかい」
夕張「ち、違ったら辛いし…」
北上「なんでそこで自信なくすのさ」
夕張「明石なんてEよE!あの口搾艦めえ!」
北上「なんだろう、凄く悪意を感じた」
夕張「今度鎮守府中の画面に細工してサブリミナル効果でピンクは淫乱って刷り込んでやるわ!」
北上「それ禁止されてるやつ。しかも大掛かりな割に陰湿。巻き添えによる被害者も多いし」
538 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/19(月) 02:47:03.22 ID:wjB0yiku0
夕張「夕張って船は装備枠が4スロット。その特殊性から戦力としてもオンリーワンの性能で輸送や潜水艦キラーとして出撃する事も多いのよ」
北上「へーそりゃ知らなんだ」
夕張「なんで4つも積めるのかしらね。やっぱり頭いいからかな」
北上「うわ頭悪そう」
夕張「INT値高いからかな」
北上「うわゲーム脳」
夕張「まあその座も今は昔だけどね…」
北上「駆逐艦も対潜強くなったらしいよね。秋刀魚漁で引っ張りだこだって聞いたよ」
夕張「軽巡のライバルは由良と阿武隈だけど、由良には手を出せないし阿武隈には勝てる気がしない」
北上「ナチュラルに手を出そうとしないで」
539 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/19(月) 02:47:38.03 ID:wjB0yiku0
夕張「ともかく、夕張ってのは普通に出撃できるしするものなのよ。だったのよ」
北上「そりゃ軽巡だしね」
夕張「なのに私はいっつもここに閉じこもってる」
北上「引きこもりかな」
夕張「最後に出撃したのいつだ」
北上「引きこもりだね」
夕張「そもそも食事ですら最近ここで済ます事を覚えた」
北上「引きこもりだこれダメだこれ」
540 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/11/19(月) 02:48:16.87 ID:wjB0yiku0
夕張「やっぱり違うと思うのよそれは」
北上「でもさ、色々弄るの好きでしょ?」
夕張「モチのロン」
北上「だったらいいんじゃない?適材適所でさ。提督もそれを分かって出撃させてないんだろうし」
夕張「提督には感謝してるわよ。吹雪にもね」
北上「さっきも言ってたじゃん。夕張は夕張だよ。別に今更でしょ」
夕張「分かってるわよそれくらい」
北上「ツンデレめ」
夕張「私は幼馴染属性じゃない?もしくはクラスメートの女友達ポジ」
北上「何にせよとりあえずこの件は解決と「でもそうじゃない」あるぇー…?」
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