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北上「我々は猫である」
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341 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:51:34.11 ID:lcRkh4d20
鳴き声がした。
おっと字が違う。泣き声だ。
見ると店の横のテーブルのひとつで小学校低学年くらいの男の子が泣いていた。
側で膨れっ面になっているのは姉だろうか。
こちらも男の子の方とそう年は離れていないように見える。
「ほら、いったい何があったの」
提督と同じようにアイスを買いに行って戻ってきたらしい母親が必死にとりなす。
「お゛ね゛え゛ぢゃんがぁ!」
「違うもん!私は取り返しただけだもん!」
姉弟喧嘩というやつか。
342 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:52:06.07 ID:lcRkh4d20
兄弟、姉妹。いや、
北上「ケンカかぁ…」ハァ
提督「どうした?ため息なんかついて」
北上「おかえりー。って、ありゃ?都会のメロンアイスクリームってオレンジ色なの?」
提督「メロンの方は生憎と売り切れでな。変わりにオレンジにした。嫌いだったか?」
北上「うんにゃ。甘けりゃかまいませんよー」
差し出されたオレンジアイスクリームを受け取りひと舐めする。
北上「うんうん。いいねぇ、侘び寂びだねぇ」
提督「そういうのは抹茶味とかに言う感想なんじゃねーの」
そう苦笑しながら提督もアイスクリームを食べる。
343 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:52:41.52 ID:lcRkh4d20
私達(艦娘)は喧嘩をしない。
勿論小さな喧嘩。小競り合いというか言い合いというか取っ組み合いというか、それくらいはある。
というか日常茶飯事だ。
でも大きな喧嘩はない。滅多にない。
結局のところ少しばかり言い合いをしたり、ちょっとばかし取っ組みあったりするのはコミュニケーションのうちだ。
中には全力で拳で語り合う者もいると聞くが。
それでも本当に殴る蹴るだとか、無視するだとか、仲違いをするだなんて事が起こらないのは、私達が知ってるからだ。
それはもう刷り込まれていると言ってもいい。
戦場においてそういった亀裂は死を招くことを。自分にも、相手にも。
344 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:53:15.25 ID:lcRkh4d20
だから本気で本音を言い合える人間が羨ましい、と言う訳では無い。
別にどちらがいいとか悪いという訳ではなく、要は隣の芝生という事なのだ。
冷静に考えれば喧嘩なんて起こらない方がいいに決まってるのだから。
自分達にないものというのはどうにも輝いて見えるものだ。
北上「…提督はよく大井っちと喧嘩してるよね」
提督「喧嘩…喧嘩かなぁ?いや喧嘩かぁ。あんまし考えた事なかったな」
北上「いいよねえ、仲睦まじくて」
提督「そう見えるのはおかしくないか?」
北上「喧嘩するほど仲がいいっていうじゃん」
提督「まあ仲が悪いわけじゃないけどさ。ならやっぱ喧嘩じゃねえのかなあ」
北上「じゃあなんなのさ?」
提督「んー取り合い?」
北上「何の?」
提督「…秘密」
345 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:53:45.84 ID:lcRkh4d20
北上「えーズルいなぁ」
提督「なんでだよ」
北上「お詫びにアイス1口ちょーだい」
提督「何がお詫びだ食いしん坊め」
北上「食いしん坊といえば多摩姉だね。すごいよ多摩姉のお腹は。四次元ポケットだよあれ」
提督「猫型ロボットだったのか」
北上「えい」ペロッ
提督「うわあっぶね、零れたらどうすんだよ」
北上「うーんバニラ」
提督「そりゃバニラだからな」
北上「もっと甘いのがいい」
提督「ホント好きな甘いの」
346 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:54:29.80 ID:lcRkh4d20
北上「はい」
提督「?」
北上「私のメロン、もといオレンジアイスを1口やろうじゃないか」
提督「えっと、いいのか?」
北上「そんなに躊躇するとこじゃなくない?」
提督「いやだって、食べかけだしさ」
北上「そこ気にするところ?」
提督「はぁ、わかったわかったいただきます」
北上「どお?」
提督「…めっちゃ甘い」
北上「そんなにかな」
コーヒーもそうだったが提督、なんでも甘いと感じる舌でも持ってるのだろうか。
347 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:55:08.34 ID:lcRkh4d20
北上「でさ、考えたんだけどさ、別に下着じゃなくてもいいんじゃないって」
提督「俺も出来ればそうしたいけど他に思いつかなくてな」
提督の言わんとすることは分かる。
艦娘はオシャレをしない、しにくい。
着飾っても基本的に鎮守府の中だけ。出撃は不思議と入渠で回復する制服しか着ない。
バックなんかも使わないしキーホルダーなんかも付けるところもない。
普段から身につけてくれるようなものをあげたいとなると選択肢がヒジョーに狭いのだ。
北上「となると髪留めとか寝間着とかいいんじゃないかなって」
提督「あいつ髪留めなんか使うのか?」
北上「邪魔だからってまとめる事は割とあるよ。貰ったら積極的に使いたくもなるだろうし」
348 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:55:38.25 ID:lcRkh4d20
提督「北上だったら何が欲しい?」
北上「私?なんで?」
提督「参考までに」
北上「私はもっと普段使うものが少ないしなぁ」
今欲しいものかあ。本とかしか思い浮かばない。
北上「あ、スマホケースだ」
提督「スマホケース?北上とは1番縁遠い単語だな」
北上「私だってこいつと仲良くなろうと頑張ってるんですよ〜。で、手始めにというか訳あってケースが欲しくて」
提督「昨日買わなかったのか?」
北上「買おうと思ったのが結構後の方でさ。大井っちにもまた今度にしたらって言われたし」
提督「はぁん、流石だぜ大井っち」
北上「え?」
してやられたというような顔でよくわからない事を言う。
349 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:56:10.81 ID:lcRkh4d20
提督「じゃケース買いに行くか」
北上「そんなんでいいのホントに?」
提督「下着よりはいいだろ」
北上「そりゃまあ」
提督「北上にも買ってやるよ。今日のお礼って事で」
北上「いよっ太っ腹」
提督「腹と言やあそろそろダイエットの季節だな」
北上「食欲の秋?」
提督「そゆこと」
北上「それならこの前阿賀野が減量失敗宣言してたよ」
提督「早くない!?」
350 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:56:42.94 ID:lcRkh4d20
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「これ」
提督「相変わらず猫好きだな」
北上「可愛いじゃん?」
提督「そりゃそうだがな」
私が選んだのは猫のマークがあしらわれた黒いケース。
北上「ここにカードとか入れるポケットもあるしね」
提督「なんか入れるのか?」
北上「えーっと、今運の上がるお守りとか?」
提督「なんだそりゃ」
ゴムとは言えない。
351 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:57:22.47 ID:lcRkh4d20
北上「てーとくは何買うか決めたの?」
提督「モチのロン」
北上「どれどれ?」
提督「これとかどうよ」
北上「…え?」
提督「変か?」
北上「変、じゃあないけどさ」
それは私のと色違いの、白いケースだった。
提督「北上とお揃とかいいんじゃないかなって」
北上「喜ぶとは思うけどね」
提督「じゃあいいんじゃね?」
そこは普通提督とお揃いにする流れだろうよ。天然なのかこの人。
352 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:58:23.97 ID:lcRkh4d20
北上「じゃあこれでいっか」
提督「よっし買ってくるぜ」
北上「あいあい」
まあいいや、別に私がそこまであの二人を応援する理由もないし。
考えてみればお揃いのものなんて恥ずかしくって出来なさそうなら2人である。
北上「面倒なカップルだ事」
お店を出て入口で提督を待つ。
これで今日の買い物は終わりかぁ。
案外あっという間だ。
あっという間すぎて少々、もったいない。
353 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 02:58:57.79 ID:lcRkh4d20
提督「おまたー」
北上「意外と荷物増えたね」
提督「かさばるものも多いしな。つってもどれも軽いから問題ない」
北上「エー、スカレーターはあっちか」
提督「他になんか買いたいものあるのか?」
北上「ん?帰るんじゃないの?目的のブツは買えたんだし」
提督「いやいや、せっかくなんだしもう少しいようぜ」
北上「いいの?」
提督「多少遅くなったって問題ないだろ」
北上「ホントかよ」
提督「そのための今日だ」
354 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 03:00:15.53 ID:lcRkh4d20
北上「ふーん、そっかあ」
提督「あ、いや、帰りたいってんなら別にそれでもいいんだぞ?」
北上「まさかでしょ。せっかく、なんだしね」
提督「だな」
北上「へへ、じゃあもうちょっとだけたくさん遊びましょうかねぇ」
人間は、例えばズル休みとかそういう少しだけ背徳感のあるわるーい事を妙に楽しいと感じる生き物だ。
北上「ねっ、てーとく」ニッ
そんな背徳感は例えば秘密を共有する悪友なんかがいるとさらに気持ちよくなって、ついついニヤリと笑ってしまう。
提督「」
北上「…てーとくー、おーい」
提督「お、おう。わりぃわりぃ」
355 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/20(金) 03:03:50.93 ID:lcRkh4d20
また長くなってきてる
地獄のように暑いですが夏イベまで頑張って生きましょう
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/20(金) 11:45:04.75 ID:AjX19L6wO
おつ
ほんと暑いよね…
357 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/20(金) 11:48:29.13 ID:AH4yoXgIo
おつ溶けそうなぐらい暑いねえ
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/20(金) 22:32:08.34 ID:1uj13XO10
提督欲張りすぎて自滅コースかこりゃ
359 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:14:47.24 ID:RQNzXMYG0
提督「で、北上はどこ行きたい?」
北上「んーそだねぇ」
何処か。
大井っち達と来た時は時間の都合でそう多くは回れなかった。
夕張達の言ってたアニメやら漫画やらの店も行ってみたいし、
ペットショップじゃなくて魚や鳥なんかも見てみたい。
ブックカバーや栞なんかを探すのも悪くないかな。
他にも…
360 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:15:39.88 ID:RQNzXMYG0
北上「ん」
提督「ん?」
北上「ほら」
提督「いや、なんだ?その手は」
北上「てーとくが連れてってよ。私が行きたい所じゃなくて、提督が連れてってくれる所に行きたい」
提督「…いいのか?俺なんかで」
北上「私が行きたい所ならまた大井っち達と、なんなら私一人でも来れるからさ。なら今は今しか行けないところに行きたい」
提督「やれやれ。責任重大だなこりゃ」
北上「そんなに固く構えなくてもいーよ。お散歩気分でいいんだよこーゆーのは」
提督「仮にも男だからな。エスコートくらいしっかりやれって言われてんのさ」
361 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:16:28.47 ID:RQNzXMYG0
北上「…」
まぁた大井っちか…もうデートとかしたのかな。
提督「よし決めた!いつまでも女性を待たしちゃいけねえやな」
そう言って差し出した私の手をしっかりと握ってくれた。
北上「今日は提督が羅針盤だね」
提督「変なところに連れてかれないように祈っとくんだな」
北上「で、進路は?」
提督「お前ゲームとか興味あるっけ?」
北上「夕張達とやったりしてるよ、色々と。一人の時は読書優先なだけ」
提督「オーケーオーケー。ならまずは、ゲーセン行こう!」
北上「わお」
362 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:17:08.27 ID:RQNzXMYG0
遊んだ。ひたすらに遊んだ。そりゃもうネジの二三本落っことしてきたんじゃないかってくらいに。
北上「私運転の才能ないのかな」
提督「レ、レーシングゲームで負けたくらいで運転の才能はわからんだろ」
北上「まさか曲がりたい方向に身体を傾けちゃうような奴が実在した上にそれが自分だとは…」
提督「免許取るつもりとかあったのか?」
北上「原付くらいは乗ってみたかった」
上司と部下とか提督と艦娘とか人とか船とか猫とか男女とか関係なく、気の合う友人との愉快な時間だった。
363 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:17:52.96 ID:RQNzXMYG0
提督「死んだ…」orz
北上「情けないなあ。仮にも軍人でしょ」バババ
提督「俺は銃なんか訓練した事ねえっての。なんでお前はそんなに得意なんだよ」
北上「そりゃまあ実際に撃ってるしね」リロード
提督「え」
北上「え、あ、あれね、単装砲とかをね」バババ
提督「あーそゆこと。確かに大きさ的には銃と変わらないものな」
ゴメン、本物の銃握ってます。
北上「よしクリア。次のステージ行く?」
提督「もういいや、他のやろ」
北上「拗ねた…」
364 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:18:29.78 ID:RQNzXMYG0
北上「リズムゲームって意味がわからない」
提督「でもクリア出来たじゃん」
北上「流れてくるアイコンに合わせて太鼓を叩くって意味なら別にそう難しくはないよ。でも曲にのってってのがサッパリ。多分無音でやっても私の得点は変わらないと思うよ」
提督「あーそういうことか。でもこればっかしは感覚的なもんだしなあ」
北上「だよねえ」
提督「うんうん」
北上「ところで提督」
提督「なんだ?」
北上「イージーでやったら?」
提督「ノーマルより下げたら負けかなって」
北上「クリアしてから言おうよそれは」
365 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:19:12.02 ID:rz/jPoUI0
提督「これがプリクラ」
北上「お金を入れてくださいだって」
提督「お、始まった」
北上「なんか色々選べるね」
提督「おい時間制限あるぞこれ」
北上「短っ!初見殺しじゃん」
提督「とりあえずノーマルで」
北上「補正もいっぱいあるね」
提督「目の大きさってなんだよ」
北上「若さ補正まである」
提督「若さ、若さってなんだ」
北上「振り向かないことだよ」
366 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:19:51.04 ID:RQNzXMYG0
提督「これでいいかな」
北上「うわ始まった」
提督「早くね!?早くね!?」
北上「ど、どーする?ポーズどうする?」
提督「なんかこう、かっこいいやつでいこう!」
北上「よし来た!」
パシャッ
提督「なんで2人してガイナ立ち」
北上「咄嗟に簡単に取れるかっこいいポーズ」
提督「まあそうだけど」
北上「次来た」
提督「やっぱ短ぇ!」
367 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:21:15.71 ID:RQNzXMYG0
北上「次は?」
提督「今度は北上が指定してくれ」
北上「うわぶん投げたこの人」
提督「ほら時間ねぇぞ!」
北上「えぇえじゃ初代プリキュアで!」
パシャッ
北上「なんで咄嗟にポーズ取れるのよ」
提督「飲み会の罰ゲームでコスプレ付きでポーズさせられた話する?」
北上「kwsk」
提督「あれは大規模作戦後の夜だった…って次々!」
北上「ちくしょうちょっとは待てないのかねえ!」
368 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:21:49.32 ID:RQNzXMYG0
提督「もっとこう2人だからこそできるポーズがいいな」
北上「プリキュアはそうじゃない?」
提督「それは忘れてくれ」
北上「はい次ー」
提督「え、えーと、知性と恍惚のポーズ!」
パシャッ
北上「ゼロいいよね」
提督「このポーズは見れないけどな」
北上「悲しいね」
提督「北上はどことなく栗栖っぽいな」
北上「胸か、胸の話をしているのか」
提督「違、わないけど」
北上「何さ提督なんてそんなに身長ないくせに」
提督「オカリンが高すぎる」
369 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:22:24.22 ID:RQNzXMYG0
北上「次ラストじゃん」
提督「プリクラっぽい写真を1枚も撮れていない気がする」
北上「プリクラっぽいってなんだっぽい?」
提督「哲学っぽい」
北上「えーい時間ない」
提督「なんかプリクラっぽいので」
北上「じゃ、じゃあこういうの?」
提督「マジか」
パシャッ
提督「2人でハートマーク作るってもう時代遅れな気がする」
北上「正直同意」
提督「今のアベックは何が流行りなのかね」
北上「案外プリキュアとかナウいヤングにバカ受けかもよ」
370 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:22:57.33 ID:RQNzXMYG0
提督「次はお絵描き。お絵描き?」
北上「撮った写真をコラ出来るらしい」
提督「コラって言うなコラって」
北上「うわ!提督目がデカい!」ブハッ
提督「キモっ!なんだこれ!」
北上「パツキンなのに目が!目がキラッキラしてる!プリキュアに違和感ない」ワハハ
提督「おりゃ」
北上「あー目線はズルいよ隠すなよ〜」
提督「あれ、目線引いた方がなんかヤバい奴に見える」
北上「」プルプル
提督「お前さっきから笑いすぎだろ」
371 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:23:26.64 ID:RQNzXMYG0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
提督「出来たな」
北上「会心の出来だね」
提督「じゃあボッシュート」
北上「あぁ!なぜに!」
提督「バカめ!こんな醜態をタダで晒すと思うてか」
北上「むむ、ならばどうすれば」
提督「こいつよこいつ」
北上「コイン?」
提督「そそ」
北上「さっきコインゲームで惨敗して残ったのをどういうわけか思い出とか言ってポッケに入れたやつじゃん」
提督「そこは言わなくていい」
372 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:23:59.20 ID:RQNzXMYG0
提督「というわけで今からこいつを投げて掴む。北上は俺の右手と左手、コインを握ってない方を選んだら価値だ」
北上「え?それって」
提督「ほっ!」
北上「提督もか…」
提督「え、何が?」
北上「あーそっか、提督が教えたんだから当たり前か」
多摩姉は確かそう言っていた。
提督「もしかしてバレてる?」
北上「両手出して」
提督「バレテーラ」
北上「あと写真も出せペテン師め」
提督「チクセウ」
373 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:24:34.49 ID:RQNzXMYG0
北上「多摩姉ちゃんも同じ事やってたんだ。そっちは普通に見破ってやったけどね」
提督「さっすが、動体視力いいなお前は」
北上「まあね」
提督「俺のはどうだ?」
北上「バレバレ」
提督「マジかよ。親父直伝の技なのに…」
こんなせこい技で落ち込まれても。
北上「そういえば姉ちゃんは提督に教わったって言ってたよ」
提督「げっ、俺かよ。ん?俺か?」
北上「あれ?違うの?」
提督「あーいや、俺か。俺だな」
北上「お、おう」
歯切れが、そういえば多摩姉も歯切れが悪かったっけ。
374 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:25:09.01 ID:RQNzXMYG0
提督「後は、UFOキャッチャーとかやるか?」
北上「景品ものはいいかなあ。置く場所に困るし」
提督「切実な」
北上「しかしあれだね。まるで男子高校生みたいな事しかしてないね」
提督「男子高校生とか知らねぇだろお前」
北上「アニメで見た」
提督「多分だけどそれは日常詐欺のやつだ」
北上「もっとこう普通の事したいね」
提督「普通って?」
北上「デートっぽいこととかさ」
提督「」
375 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:25:42.39 ID:RQNzXMYG0
北上「女子高生の感じは昨日味わったんだ」
提督「」
北上「男子高校生のノリは、まあ今のでいいや」
提督「」
北上「後はカップル的な事を体験しておきたいなって、提督?」
提督「ゴメン。処理が追いついてない」
北上「はい?」
一体何をそんなに慌てて…
北上「提督」
提督「はい」
北上「デートしたことある?」
提督「ナィ」
北上「うぇー…」
376 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:26:33.72 ID:RQNzXMYG0
考えてみたら提督である。おいそれと外に、まして部下とデートでなんて出来るはずもなし。
なし?いや今日みたいにできなくもないはずなのに?
北上「提督…」
提督「やめろぉ!そんな悲しい目で見るなぁ!」
北上「いや、うん。だからゲーセンだったんだね。結果的に楽しめたから、セーフセーフ」
提督「すげぇ的確に心を殺しに来てる」
北上「まあ私も他人の事言えないけどねぇ」
いや、他人の事というよりは人の事か。
提督「いいんだいいんだ…俺は好きで提督やってんだ…」
北上「おーよしよし」
ちょっと言いすぎたかな。
377 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:27:14.77 ID:RQNzXMYG0
北上「よし!ならばこの北上様が一肌脱ごうじゃあないか」
提督「え?」
北上「やろうよデート」
提督「え゛!?」
北上「予行練習にさ。2人でちょっと大人になろうじゃないさ」
提督「やるっつったって、何する気だ?」
北上「んーとりあえず手を繋ぐとか」
提督「他には」
北上「んー」
提督「他には」
北上「んー」
提督「お互いダメじゃねぇか」
北上「なんかそれっぽい事すればいいっしょ」
提督「適当だな」
北上「堅苦しくやるもんじゃないしね」
提督「だな。よし!やるか」
378 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/23(月) 02:30:36.91 ID:RQNzXMYG0
北上はもう少し自分が美少女ということを自覚して
艦娘は基本全員美少女なので基準がおかしくなっている娘が多いと思うのです。
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/23(月) 02:40:53.14 ID:bMNcvN1z0
世襲か
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/23(月) 07:17:46.23 ID:+dNyuEtzO
ぶっちゃけ全員美少女だしな
おつ!
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/23(月) 09:17:31.85 ID:EA1K+5oQo
おつー
382 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:50:47.22 ID:E8jj18gf0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
【洋服店】
提督「やっぱオシャレだろ」
北上「私達にとって1番難易度高くない?」
提督「だからこそだろ。さぁ行くぞ」
北上「うわぁやだやだ。キラキラしてるよ、輝いてるよ。川の魚はね、綺麗すぎる水じゃ生きていけないんだよぉ」
提督「今のお前の格好なら浮かないって。大丈夫大丈夫」
北上「う〜…というか提督なんで余裕なのさ」
提督「入るのは北上だしな」
北上「え、ここは男が選ぶものじゃない?」
提督「マジで?でも女物だぞ」
北上「だからどっちが似合う?みたいなのやるんじゃないの?」
提督「あーなるほど」
北上「でしょ?」
提督「いってらっしゃい」
北上「おいこら」
「あのー、何かお探しでしょうか?」
北提「「大丈夫デス!」」
383 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:51:19.80 ID:E8jj18gf0
北上「どれも如何にもお洋服って感じだね」
提督「あまりに見慣れないものばかりだな」
北上「えーっと、じゃこれとこれどっちがいいかな?」
提督「ん?ワンピース、でいいんだよな」
北上「多分」
提督「白のワンピースってなんかいいよね」
北上「じゃこっちか」
提督「このての黒のワンピースってあんまり見ることないよな」
北上「ワンピースっていったら白で夏と田舎と幼馴染と麦わら帽子だよね」
提督「その通りなんだけどそこまで分かられてるとなんかやだな」
384 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:52:01.47 ID:E8jj18gf0
提督「鎮守府にはワンピースいないもんなあ」
北上「みんなスカートかスパッツとかだもんね」
提督「基本短いし」
北上「濡れにくいし風通しいいから楽でいいけどね。四六時中あんな格好だと見られるのも慣れるし」
提督「俺も見慣れたわ。夏なんか酷いときゃシャツとパンツだけで過ごすやつもいるし」
北上「隠す意味もないからねえ。暑かったら露出度上げればいいやって思考になるわけよ」
提督「あの金剛が扇風機の前で下着オンリーであぐらかいてたの見たときゃ暑さって怖いなってなった」
北上「大丈夫だったのそれ?」
提督「太陽より真っ赤になってガラス窓突き破ってった。しばらく大変だったよ」
北上「でしょうね…」
385 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:52:34.97 ID:E8jj18gf0
北上「大井っちとかワンピース似合いそう」
提督「あー分かる」
北上「こういう長いのはみんな嫌がるみたいだけどね」
提督「なんで?」
北上「短いのになれてるからね」
提督「職業病みたいだな」
北上「神風とかならいけるかな」
提督「珍しく露出度低いものな。後は隼鷹とか」
北上「あの人はドレスとかのが良さそう」
提督「ところで北上って妙に神風好きなイメージあるけどなんでだ」
北上「んー、なんかこうあの子って見てるといじりたくなるというか、ムラっとこない?」
提督「俺ここで頷いたらアウトだよなこれ」
386 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:53:16.02 ID:E8jj18gf0
北上「秋、というかもう冬物も売ってるね」
提督「お前ら冬もあの姿だもんな」
北上「艤装付けてる時は寒さには強いからね。暑さが弱点だよ」
提督「部屋着とかは?」
北上「ドテラとか着て後はコタツに」
提督「コタツはまだ出さねぇぞ」
北上「ちぇー」
提督「鎮守府には冬服派とドテラ派がいる」
北上「そうなの?」
提督「空母とか和服よりなやつらはドテラが馴染むんだと。まあ海外艦のクセにドテラ愛好家なのもいるけど」
北上「ほほう。駆逐艦はかなり好みが別れそう」
提督「実際そうだな。後吹雪は冬でもあの服装だ」
北上「逞しいね秘書艦」
提督「さっむ!とか言いながらも鳥肌ひとつたてずに仕事すんのな」
北上「凄いね秘書艦」
387 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:53:49.12 ID:E8jj18gf0
北上「お、てーとく〜見て見てー」
提督「なんかいいのあったか?」
北上「じゃん!」
提督「紫外線照射装置…クソTシャツってやつか。なんでよりによってそれ…」
北上「どうせ使うのは部屋着くらいなんだしこういうネタ的なのがいいっしょ」
提督「まあそりゃそうかもだが。いやそうなのか?」
北上「てーとくはこれね」
提督「なになに、クソT?なんてクソTにクソTって書いてあるんだよ…」
北上「まさにクソTシャツだね」
388 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:54:18.74 ID:E8jj18gf0
提督「それになんでこれが、あ!そういうことか、曙かよ」
北上「提督的にはクソ提督呼びってどうなの?」
提督「例えばクソ親父とかクソババアってどこか愛情を感じさせるところあるじゃん」
北上「ふむ、なるほどね」
提督「1番キツいのはおいとかお前とかでしか呼ばれなくなった時。時点でロリコン呼び」
北上「なんか生々しい意見だけど実体験?」
提督「北上に似合いそうなのはっと」
無視しやがった。
389 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:54:48.70 ID:E8jj18gf0
提督「これとかどうよ」
北上「台風?風関係は駆逐艦の特権じゃない?」
提督「そういや台風って艦はいないな」
北上「物騒だからね」
提督「そりゃそうか」
北上「で、台風の意味は?」
提督「ニュースでよくやってるだろ?台風北上とか」
北上「うん、うん?」
提督「漢字だよ漢字」
北上「あー北上か。あー、確かにそうだね。考えた事無かった」
提督「あれ見るたびに北上が浮かぶんだよな」
北上「自分の事って案外気づかないもんだねぇ」
390 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:55:20.53 ID:E8jj18gf0
提督「文字入りのTシャツは川内型がよく着てたな」
北上「夜戦って文字のを着てるのは知ってるけど、那珂とか神通もなの?」
提督「元々那珂ちゃんがサイン入りの服を作る!って服に試し書きしたのが発端らしくてな。それを川内が真似した」
北上「神通は?」
提督「2人に合わせて」
北上「あーうんそんな感じだろうね」
提督「でも楽しそうだったな」
北上「2人のこと大好きだもんね」
391 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:55:50.77 ID:E8jj18gf0
提督「後は金剛達とかか」
北上「提督LOVEって?」
提督「その通り」
北上「わかりやすい…で比叡さんがお姉様LOVEでしょ」
提督「榛名と霧島はなんだと思う?」
北上「榛名さんもお姉様LOVE、いや、と見せかけて提督LOVEとか?」
提督「なんで分かるんだよなんか怖ぇよ」
北上「あってるんだ…霧島さんは、霧島さんは?なんだろう」
提督「カタカナでヨタロウって書いてあった」
北上「何故に?」
提督「さぁ…?」
392 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 03:56:32.07 ID:E8jj18gf0
北上「お、これは阿武隈にでもあげようかな」
提督「熊注意か。クマってだけで阿武隈なのは安直じゃないか?」
北上「ほらほら、ここにdangerってあるでしょ」
提督「デンジャーは、危険ってことか」
北上「そ、熊危ないって事」
提督「あ、危熊か」
北上「Yes」
提督「言われなきゃ気づかないぞこれ」
北上「今んとこ3着か。神風はあの服気に入ってるから着てくれないだろうなあ」
提督「っておいさっきの2着も買う気かよ」
北上「せっかくだしいーじゃんか」
提督「結局こーゆーのになるわけね」
北上「身の丈にあったものを身につけるべきだと思うのだよ」
提督「大井とかには買わないのか?」
北上「球磨姉ちゃんも多摩姉ちゃんも制服派だし大井っちは自分でお洒落してたりするし、木曾は運動着とかだしね」
393 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:01:22.07 ID:E8jj18gf0
北上「提督は何か買わないの?」
提督「自分のセンスが羅針盤以上に信用出来ない」
北上「それはまたなかなかに…」
提督「んーさっきのワンピースとか?」
北上「え、提督着るの?」
提督「なんでだよ!北上へのプレゼントって事だよ」
北上「あー、ビックリした」
提督「普通そうなる流れだろ…」
北上「ちなみにどっちが似合うと思う?さっきは聞きそびれたけど」
提督「黒はなぁ。やっぱ白で」
北上「ほほーう。あでも私着るつもりないからいいよ」
提督「おい」
それに私は黒猫だしね。
394 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:02:05.30 ID:E8jj18gf0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
提督「化粧品とかってどう?」
北上「絶ッ対に嫌」
提督「すげぇ拒否」
北上「まず口紅とか。唇に何か塗るってのがもうムリ」
提督「そんなに?」
北上「リップクリームとか好き?」
提督「嫌い」
北上「そういう事」
提督「なるほど」
395 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:02:44.15 ID:E8jj18gf0
北上「何が嬉しくって顔とか目とかになにか付けたり塗ったりするのかねぇ」
提督「何かが嬉しいからなんだろうな。でもそんなに嫌がるってことはやった事はあるのか」
北上「大井っちと、あと駆逐艦にやられた」
提督「どうだった?」
北上「顔を白っぽくして口紅塗ると呪いの日本人形になると分かった」
提督「日本人形…ブフッ」
北上「あ!笑った!笑ったな!」
提督「いや違う違う!いてて引っ張んなって」
北上「だぁーまだニヤついてるー」
提督「はは、お前日本人らしいっていうか、元がいいからな。変に着飾らなくていいってことだろ」
北上「…」
提督「…北上?」
北上「誤魔化せると思わないでよね」ジトー
提督「サーセン」
396 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:03:15.00 ID:E8jj18gf0
北上「化粧してる艦娘は結構いるんだって。程度に差はあるけど」
提督「そうだな。それこそ口紅とか俺でもわかるくらいのをしてる奴は多いと思う」
北上「服は何かあったら破けるけど化粧は緊急時でも邪魔になることはないからだって」
提督「改めて大変な仕事だな」
北上「提督がそれ言う?」
提督「俺だから言うのさ」
北上「さいで」
提督「ちなみに香水とかは?」
北上「臭いからいや」
提督「えぇ…」
北上「どうせ潮の香りの方が強いしね」
397 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:03:54.42 ID:E8jj18gf0
提督「じゃ化粧品はやめて他のとこに、北上?」
北上「…あの子」
提督「あの子?」
そこそこの人混みの中1人の幼い少女が立ちすくんでいた。
北上「さっきアイス食べた時にいた子だ。喧嘩してた」
提督「あーそういや声が響いてたな。そんなに気になるか?」
北上「だってほら、周りに誰もいないよ」
提督「え」
そう。周りに弟やあの母親らしき人物は見当たらない。
道の真ん中にいるあたり例えば店で買い物をする誰かを待っているとも考えにくい。
それにきっとあの肩の震えは先程の喧嘩が原因ではないだろう。
398 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:04:20.64 ID:E8jj18gf0
提督「行くか。北上はどうする?此処で待ってるか?」
北上「このご時世パツキンの男が幼女に話しかけたりしたら即事案だよ。私も行く」
提督「…それもそうだな。なんか悲しくなってきた」
北上「でどうすればいいの?」
提督「迷子センターとか連れてきゃいいんじゃないか?」
北上「ならそれで」
399 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:05:56.15 ID:E8jj18gf0
北上「やほーお嬢さん」
「!?誰?」
北上「普通の人間だよ。ただ君みたいなちっちゃなお嬢さんが1人でどうしたのかなって」
「…ママを探してるの」
提督「いや迷子なのは君n「そっかーママが迷子かーそうかそうかー」…」
「うん」
北上「じゃあさ、お店の人達にちょっと探すの手伝ってもらおうよ」
「お店の人に?」
北上「そそ、すぐ見つかるよきっと。だからほら、行こ?」
「…うん」
警戒されるだろうなぁと思いつつ出してみた手は思いのほかあっさりと小さな手に掴まれた。
提督「なんかお前が駆逐艦とかに好かれるのがわかった気がする」
北上「どーゆー意味それ」
「おじさんは誰?」
提督「おじさん!?」
北上「ぶっ!…だ、誰だと思う?」プルプル
「んー…お父さん?」
提督「oh…」
不思議そうな目で見てくる少女を前に私はしばらく腹を抱える羽目になった。
400 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:06:23.23 ID:E8jj18gf0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「へー、フラワーガーデンかぁ」
「うん。みんなでお花を見に来たの」
迷子センターなるものは一階にあるらしく、少女の手を引きながら下へ向かっていく。
提督「ここの屋上ってそんなに広かったのか」
北上「後で行ってみる?」
提督「それはありだな」
「すーっごくキレイだよ!」
北上「そりゃいいや」
「うん!」
401 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:06:51.57 ID:E8jj18gf0
北上「ところでさ、さっき弟くんとケンカしてたのを見ちゃったんだけどね」
「え」
提督「お、おい北上」
北上「仲直りできた?」
「…向こうが謝ってこないんだもん」
北上「そりゃそうか。謝ってくれなきゃ許すって言えないもんね。でもじゃあ謝ったら許すんだ」
「…わかんない」
北上「わかんない?」
「まだムカついてるもん私」
北上「ムカついてたらしょうがないね」
「うん」
402 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:07:17.33 ID:E8jj18gf0
北上「ねぇ、もしこのまま仲直りできなかったらどうなる?」
「…遊べなくなる」
北上「他には?」
「一緒にお話出来なくなる」
北上「他には?」
「たっちゃんとかみーちゃんに変に思われる」
北上「他には?」
「つまんない」
北上「そっかあ」
「そうだよ」
提督「…」
403 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:09:05.63 ID:E8jj18gf0
「あ!ママだ!」ダッ
提督「え?」
北上「アレかな?」
一階の迷子センターの窓口に小さな男の子を連れた女性がいた。
提督「先に着いてたのか」
北上「めでたしめでたしだねぇ」
提督「お前、なんであんなこと聞いてたんだ?」
北上「ん?」
提督「いやさ、なんつーかあやし方というか、子供と扱い慣れてるなって」
北上「別にそんなんじゃないよ。ただ本当に純粋に聞いてみたかっただけ」
提督「ご感想は?」
北上「人も艦娘もそう変わんないなーって」
家族だからとか姉妹だからとか、同族だからとか。そういうのじゃなくて、一緒にいたいから一緒にいられるように努力してるんだ。
404 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:10:02.04 ID:E8jj18gf0
「おじ、お兄さんは結局誰だったの?」
北上「ん?んー、上司かなぁ」
「じょうし?」
北上「そそ」
「ヤクザのボス?」
北上「それは知ってるんだ…」
迷子センターで母親に泣きながら感謝されて若干たじろいでいる提督を眺めながら少女と最後の会話を楽しむ。
北上「さて、そろそろさよならかな」
「えー一緒に帰ろうよー」
北上「帰る場所が違うんだよ。仕方ないさ」
405 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:10:54.02 ID:E8jj18gf0
「お姉ちゃんは何処に帰るの?」
北上「普通の世界にだよ」
「でもお姉ちゃん普通じゃないよ」
北上「え?」
「なんかね、キラキラしてる」
北上「キラキラ、ねえ」
一瞬焦った。子供は妙に鋭いというがまさか艦娘だとバレちゃいまいな。
北上「さて、それじゃ」
「行っちゃうの?」
北上「うん」
「…またね!」
北上「うん。さよなら」
サヨナラを言うのは三度目、いや二度目かな?
406 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:11:50.43 ID:E8jj18gf0
提督「いやぁ参ったぜ。俺なんか何もしてねぇのにあんなに感謝されて。悪い気はしないけどさ」
北上「…」
提督「もし名前とかそういうの聞かれたらどうしようかと焦ったけど大事になってなくてよかった。北上?」
北上「またねって言われた」
提督「?あの子に?」
北上「凄く寂しそうな顔してさ、それで願うようにまたねって」
提督「よっぽど気に入られたんだな。良かったじゃん」
北上「そうじゃなくてさ。別れたら会えないんだなって」
鎮守府にいると忘れてしまう。誰かと出会う事と別れる事を。
一度別れるとどんなに再開しようとしても中々出来ない事もあると私はよく知っているはずなのに。
407 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:13:02.99 ID:E8jj18gf0
北上「またね、か」
提督「寂しくなったか?」
北上「思い出したって感じかな」
提督「なんだそりゃ」
北上「ねえねえ。屋上行ってみようよ」
提督「フラワーガーデンか。でももう日は沈んでるんじゃないか?」
北上「秋だもんねぇ。まあ暗かったら諦めよう」
提督「だな」
北上「さあ行くよおじさん」
提督「まてこら」
408 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/07/31(火) 04:16:24.56 ID:E8jj18gf0
所謂アニメ提督なのでアルペイベが羨ましい
そろそろ夏の一大イベントですが皆さん命を大切に
409 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/31(火) 04:42:36.38 ID:wRQgMapA0
乙です
クソTでイオナの万年二位代理Tシャツを思い出していたらアルペジオネタが出てきた
ちなみに台風が名前の艦ならある意味野分が
410 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/31(火) 23:53:47.23 ID:i9bYQBct0
アルペジオイベが初イベだったんでイベはこんな感じだと誤解してたら次で打ちのめされたw
411 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/15(水) 17:40:08.55 ID:uDn/gBhlO
野分は台風って意味じゃよ
ついでにあらしは大昔、山風って書いてたんよ
412 :
◆rbbm4ODkU.
[sage]:2018/08/16(木) 17:20:09.85 ID:wxx5Ae+e0
知らなかったそんなの
艦これを始めてからゲーム外の知識がやたらと増えていく
413 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:21:59.84 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
提督「ほお、こりゃすげぇ」
北上「わーお」
屋上。
空は確かに暗くなっていたがガーデンは様々な照明で昼よりも明るいのではないかというくらいにライトアップされていた。
提督「すっげぇ電気代食いそう」
北上「うわー経営者目線ー」
提督「だって、なあ」
北上「なあって言われてもよ。とりあえず色々見て回ろう」
414 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:22:44.85 ID:wxx5Ae+e0
提督「これなんて花だ?」
北上「彼岸花だって」
提督「あー聞いたことはある」
北上「花言葉なんだと思う?」
提督「サッパリだよ。女ってなんで花言葉とかよく知ってるんだろうな」
北上「さあね。ちなみに花言葉は私も知らない」
提督「知らんのかい」
北上「言葉は花に込めるより相手に伝えるものでしょ」
提督「それだと 花がない だろ?」
北上「おー、提督にしては上手いこと言うね」
415 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:23:28.31 ID:wxx5Ae+e0
北上「あ、ベンチある」
提督「休んでくか」
北上「さんせー」ヨイショ
提督「流石に疲れたな」
北上「肩こったー」
提督「なんで肩」
北上「普段からねー魚雷が重いんだよ魚雷が」
提督「艦娘でも肩はこるのか」
北上「多分?」
提督「本人が疑問持ってどうするよ」
416 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:23:55.49 ID:wxx5Ae+e0
提督「今度マッサージでもしてやろうか?」
北上「おーいいねぇ。マッサージは好き、どんどんやって」
提督「好きって事は、普段は大井がやってるな」
北上「分かってるじゃん提督。もしやるなら大井っちを超えないと満足はできませんよぉ」
提督「ハードルたっけぇなおい」
北上「目標は高く」
提督「身の丈にあったものをってさっき言ってたろ」
北上「時には無茶しなきゃ」
提督「無茶と言い切ったなコノヤロウ」
北上「てへ」
417 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:24:26.75 ID:wxx5Ae+e0
北上「…」
提督「…」
北上「明るいね」
提督「大きい街だからな」
北上「陸にはこんなに人がいるんだね」
提督「これだけの人を守るのが俺たちの仕事なんだよ」
北上「提督はさ、どうして提督になったの?」
提督「んだよ急に」
北上「言い方は変かもだけど、提督元は一般人だったわけでしょ?」
提督「まあな。一応」
北上「なのに提督なんて立派なものになるなんて何があったのかなって」
提督「立派ねえ。そうご立派なもんじゃねえよ俺は」
北上「?」
418 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:25:05.18 ID:wxx5Ae+e0
提督「昔は人手不足だったから問答無用で戦地へ送られたらしいけど、今は戦局も安定してるからな。提督を育てる学校なんてのもあるらしい」
北上「へ〜。それは知らなかった」
提督「お国を守る仕事だし、給料もいいってんで倍率は高いらしい。その分内容も難しいとか」
北上「人気なんだね」
提督「そして、入った奴の八割は辞めたり諦めたりだとさ」
北上「え、なんでさ」
提督「現実を知るからだよ」
北上「現実?」
提督「周りには初めて会う異性のみ。外界からは切り離されて缶詰。知り合いはおろか親兄弟にだって早々会えないし外部との連絡もおいそれと取れたりはしない」
北上「…改めて聞くと凄まじいね」
419 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:25:39.83 ID:wxx5Ae+e0
提督「金があったって使い道なんて限られるしな。ブラック企業のがなんぼかマシだ。人にもよるんだろうけど」
北上「それを良しとする少数が提督になってくわけか」
提督「そう。提督になる奴なんてどっか変なやつばっかだよ」
北上「提督もその選ばれた少数なの?」
提督「俺はコネで提督になった」
北上「うっわ、うっっわぁ」
提督「そこまで引くなよ」
北上「大暴落だよ。提督の株が急降下爆撃だよ」
提督「でもまあ、変なやつってのは同じだよ。俺もさ」
北上「提督が変なのは知ってる」
提督「さいで」
420 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:26:16.33 ID:wxx5Ae+e0
提督「お?これは、薔薇か」
北上「流石に薔薇の花言葉は分かる」
提督「愛だろ」
北上「そそ」
提督「…なあ、北上は好きな人っているか?」
北上「へ?なになにどうしたのさ急に」
提督「いやなんとなく」
北上「好きな人、ねえ」
飼い主、は少し違うかな。ご主人様だし。
大井っちや多摩姉ちゃん達は、やっぱり違うかな。
他にも神風や日向さん、吹雪に叢雲に…
北上「いまいちピンとくる人はいないなあ」
421 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:26:50.83 ID:wxx5Ae+e0
提督「そっか」
北上「提督はいるんでしょ」
提督「断定された」
北上「流れでわかるよ」
なんてのは嘘だけど。
提督「そりゃそうか」
北上「この景色を見て俺は人類を愛してるーだから守るんだーとかいう気なの?」
提督「そんな大層なやつに見えるか?」
北上「いや全然全くこれっぽっちも」
提督「デスヨネー」
北上「何が言いたいのさ」
提督「たださ、愛する者がいたとして、それが最優先にはなるかは別問題だと思うんだ」
北上「?まあそれはそうだと思うけど」
どういう意味だろうか。提督という立場上大井っちに現を抜かせないとかそういう話?
そんなわけないかこのずぼら人間が。
422 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:27:19.95 ID:wxx5Ae+e0
提督「帰るか」
北上「いいの?懐かしの人界をもっと楽しまなくて」
提督「長らく閉じこもってたせいですっかり人としての感覚を忘れちまってよ。さっさと愛しの鎮守府に戻りたいのさ」
北上「ただ引きこもりのくせに」
提督「警備員だからな。でも守るのは自宅じゃなくて海域だぜ」
北上「随分大幅にジョブチェンジしたね」
提督「ジョブチェンジってんなら北上だって」
北上「え」
提督「軽巡から雷巡って」
北上「あーそっちかあ」
提督「そっち以外にあるのか?」
北上「いやいや何でもない」
元々の職業は猫と言ったらどう反応するだろうか。
423 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:27:54.04 ID:wxx5Ae+e0
北上「あ」
提督「どした?」
北上「うーん、いやなんでもない」
どうして提督になったのか、というのをなんだか上手いことはぐらかされた気がする。
まあまた聞く機会もあるだろう。
興味本位でつっこんでいくところじゃないだろうし。
424 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:28:38.56 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「…ッハ、ゴメン意識飛びかけた」
提督「別に寝ててもいいぞ?」
帰りのバス。意外にも座り心地のいい座席と程よい揺れに思わず寝てしまいそうになる。
北上「ならお言葉に甘えて」コテン
提督「甘えてるのは言葉だけじゃないだろ」
北上「まぁねえ」
提督の肩に。いや正確には身長差があるため方の少ししたによりかかる。
あー、もうこのままね 眠り姫になってしまいたい。
425 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:30:06.31 ID:wxx5Ae+e0
提督「大井はさ」
北上「うぇ?」
提督「大井は何か吹っ切れたみたいだったよ。てっきり北上がきっかけだと思ってたけど」
北上「私?」
私何かしたかな?
そう言えばあの夜の大井っちは確かに覚悟というか、吹っ切れた感じはあったような。
ダメだ意識が持たない。
426 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:30:36.60 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
【鎮守府正面】
北上「あー着いたー」
提督「改めて鎮守府周りって暗いな」
北上「これから風呂も入らなきゃ」
提督「夜飯もくってねえや」
北上「明かりだいぶ消えてるねー」
提督「就寝時間だからな」
北上「明日も仕事だしねえ」
提督「大変だよなぁ」
北上「いや提督もだよ」
提督「大変だよなぁ…」
北上「頑張りなよそこは」
427 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:31:21.63 ID:wxx5Ae+e0
北上「あー私の部屋も明かり消えてる」
提督「あの部屋は、空母か。また飛龍達だな」
北上「常習犯なの?」
提督「瑞鶴と飛龍はしょっちゅうな」
北上「ふ〜ん」
提督「そうだ、夜飯作ってやろうか?」
北上「え、提督作れるの?」
提督「意外と自炊できる系男子なんだぜ。出来るってのはあくまで食えるものが作れるって意味だから過度な期待はNGな」
北上「ほほう、モテ要素ですなあ」
提督「よせやい照れるぜ」
北上「秋刀魚食べたい」
提督「流石にさばくのは勘弁してくれ」
428 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:31:52.79 ID:wxx5Ae+e0
北上「ならメニューはシェフに任せるよ」
提督「あいよ。作ってる間に風呂入っとくか?」
北上「そーしますかね〜。あり?提督っていつもいつお風呂入ってるの?」
提督「皆が入り終わったら」
北上「女世帯って大変だね」
提督「ホントにな」
北上「そうだ!」
提督「どした?」
北上「一緒に入ろう」
提督「あー」
北上「時間短縮になるしさ。お互い疲れたっしょ」
提督「せやなー」
提督「ちょっと待って」
429 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:32:41.53 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
意外な事に私は服というものを着る行為にあまり違和感を感じなかった。猫なんて年がら年中素っ裸なのに。
やはり人としての意識が合わさったからなのか、それとも体毛の代わりとなっているからなのか、ともかく服を身に付けることに何か感じたことはなかった。
だけど逆に服を脱ぐことにも何も感じなかった。
つまり素っ裸に抵抗がないのである。
北上「これは利点なのだろうか」
提督「何が?」
北上「別にー」
背後から提督の声がする。
430 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:34:38.86 ID:wxx5Ae+e0
お風呂と呼ばれるここだが一般的には銭湯と言うべきだろう。
何せこの人数が暮らすのだ。家庭にあるような小さなお風呂では断じてない。
更衣室はあるしシャワーは沢山あるしお風呂もでかい。残念ながら露天風呂とか卓球台、マッサージ椅子はないが。
ちなみに牛乳とかを売る自動販売機はある。
その更衣室で私と提督は服を脱いでいた。
北上「ちなみに提督の右側の棚がさっき話したゴキ事件の場所ね」
提督「できれば今言わないで欲しかった」
北上「もう流石にいないでしょ」
提督「いや精神的にな」
431 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:35:22.08 ID:wxx5Ae+e0
お互い背中を向けての会話。まどろっこしいったらない。
北上「ふぅ」
絶対にタオルを巻くこと。それが提督からの条件だった。
別に私は気にしないと言ったのだけれど年頃の娘がそう易々と裸を見せるな云々と聞き入れてくれなかった。
親父か。
提督「準備できたか?」
北上「モチのロン。って別に準備ってほどの事じゃないでしょ」
提督「それはそうだけだあ゛あ゛っ!?」クルッ
こちらを向いた瞬間カエルを握りつぶしたような奇声を上げる提督。
北上「え、何その反応」
提督「何処がいいんだよ!!タオルを巻けタオルを!」
北上「巻いてるけど」
提督「腰じゃなくて!胸から!上も隠せ!」
北上「提督も腰じゃん」
提督「俺は男だろぉ!!」
432 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:36:28.87 ID:wxx5Ae+e0
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・・・・・・・・・
北上「ふぃ〜〜」
提督「ふぅ……」
そこそこの広さの湯船も二人きりだとやたら大きく感じる。そんな大海原で二人並んで停泊する。
北上「なんでお風呂に浸かってるのにため息なのさ」
提督「お前のせいだお前の」
北上「別に隠すほどのものじゃないけどなあ。ほら谷間だってないし」
提督「だから見せるなっての。しかしこうして誰かと風呂に入るのも久々だな」
北上「昔は入ってたの?」
提督「ここに来たばっかの時はな」
北上「ほほう。吹雪とかと?」
提督「ああ。親交を深めるには裸の付き合いだーって言ってよ。勿論タオルは巻かせたけどな」
北上「なんで今はやらないのさ」
提督「むしろなんでやると思ってんだよ…」
北上「別にいいんじゃない?家族みたいなもんでしょ」
提督「どうも北上はそこら辺の意識がズレてるよな。それに一緒に入ろうものなら確実に息の根を止めてきそうな奴らが何人か思い当たるし」
北上「案外入ってみたら大人しいかもよ」
433 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:37:10.09 ID:wxx5Ae+e0
北上「ホントはこうやって髪の毛を湯船に付けるのってルール違反らしいよね」
提督「別に家の風呂にルールもクソもないだろ」
北上「じゃマナー違反かな。それで言ったらこうしてタオル巻くのもダメらしいね」
提督「それは知らなかった」
北上「だから取っていいかな?」
提督「なんで頑なに脱ごうとするんだよ」
北上「濡れた布がずっと肌に張り付いてるのって結構キモチワルイ」
提督「我慢してくれ。お互い様だし」
北上「お互い様?」
提督「気にするな」
434 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:37:41.14 ID:wxx5Ae+e0
北上「提督って意外と鍛えてる?」
提督「ん、そうか?」
北上「ちゃんと腹筋あるし」
提督「これくらいの腹筋なら割と誰でもあるんじゃないか?」
北上「提督以外の人間の裸なんて見ないからなあ」
提督「見てたら大問題だわ」
北上「それもそうだ」
提督「俺は、そうだな。朝大鳳たちとランニングしたり木曾達と剣道したりとフツーのリーマンよりは運動してるかもな」
北上「仕事はしてないくせにね」
提督「決まり文句にしないで」
435 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:40:22.20 ID:wxx5Ae+e0
北上「さてと」バシャ
提督「ん?」
北上「やっぱキモチワルイ。肌に張り付く。ぴったり張り付くまとわりつく」
提督「濡れた服みたいなものか。俺は嫌いじゃないけど」
北上「私の話をしてるんだよぉ。これだからスパッツとかも嫌いなんだ」
提督「肌に張り付くから?」
北上「そそ。履いてる娘は皆動きやすいとか言うけどそんなことないと思うんだ。ねえ?」
提督「俺に同意を求められてもなぁ」
436 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:41:26.64 ID:wxx5Ae+e0
北上「ほら、いこ」
提督「行くってどこに」
北上「体洗いに」
提督「なんで俺も?」
北上「背中洗えないじゃん」
提督「え?」
北上「え?」
437 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:42:03.89 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
提督「鎮守府の常識と自分の常識がズレてて怖い」
北上「常識ってほどじゃ、あーでもどうだろ。みんなやってたりするのかな」
提督「確かに姉妹の繋がりが濃いというのはあるけどな」
北上「いつもは私と大井っちが背中洗いっこして、木曾と多摩姉ちゃんが洗いっこして、最後に球磨姉ちゃんの髪をみんなで洗うんだ」
提督「背中洗えよ」
北上「球磨姉ちゃん凄いんだよ。シャンプーしてるとメデューサとか作れるんだもん」
提督「完全に遊びなのな」
北上「まあね。でもさ、自分で洗うより洗ってもらった方が綺麗になるじゃん?」
提督「それはその通りだな」
438 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:43:12.76 ID:wxx5Ae+e0
北上「後ね、洗ってもらってると暇になるから色々話せるんだ」
提督「ん?それはわからんな」
北上「お互いに自分を洗ってると忙しくて話しにくいけど、片方に集中すれば話しやすくなるの」
提督「それさっさと洗って湯船で話した方がいいんじゃ」
北上「もー分かってないなあ提督は。顔を合わせずそれでいて近くにいるからこそ話せるものもあるのだよ」
提督「ほー。やっぱみんな女の子なんだな」
北上「どゆこと?」
提督「男はそんなに話さないからさ。背中洗わせようものなら絶対イタズラとかに発展する」
北上「それって、経験談?」
提督「俺だって、昔は普通の学生だよ」
439 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:43:54.77 ID:wxx5Ae+e0
北上「んじゃま、とりあえずよろしく」ハイ
提督「はい?」
北上「まずは提督が洗ってよ」
提督「え、なにをaまてまてまて取るなタオルを取るな!」
北上「えー背中ならいーじゃん。おっぱいは前についてるんだよー」
提督「…それもそうか」
北上「そうそう」
提督「そっかーってなるかボケェ!」
北上「いっそがしい人だねぇ」
440 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/08/16(木) 17:45:06.15 ID:wxx5Ae+e0
提督「じゃ、じゃあ行くぞ」
北上「そんなに身構えなくても…」
まるで湿布でも貼るかのようにそっとスポンジが私の背中に押し当てられる。
そのまま背骨に沿って静かに下まで行き、まるで蝉の抜け殻でも取るかのようにそうっと背中から離れるとまた同じ位置にいき
北上「ストァーップ!!」
提督「ハ、ハイ!」
北上「提督」
提督「な、ナンデショウカ」
北上「優しすぎ」
提督「え」
北上「ゆっくり過ぎ」
提督「はい」
北上「弱すぎ」
提督「はい」
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