【モバマス・新田美波SS】≪黒白鳥≫

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23 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2018/03/09(金) 22:45:39.35 ID:hjIugNd80
エピローグ

舞台に出ると歓声が上がった。

美波は大きく深呼吸をする。

マイクの前に立ち、観客席を見渡した。

視線がすべて自分に向いていた。

美波は挑発するように微笑んだ。

「今日は来てくれてありがとう」と通る声で言った。

ライブの前、プロデューサーは不安そうにしていた。

「体調は平気か?」

やや的外れなことを聞いてきた。

だが、美波は気にしなかった。

他人の心がわかる人はいない。

プロデューサーがどれだけ仕事ができても美波の腹の内がわかるわけではない。

杏もそうだった。

気丈そうに見えても不安を抱えている。

他人の心がわからなくて悩む。

誰しもそうした不安を抱えながら進まなければいけないのだ。

「もう大丈夫です。成功させますからどっしり構えていてください」

美波はにやりと笑った。

プロデューサーは一瞬怯んだが、返すようにして笑みを浮かべた。

「ああ、信頼してるよ」

不安はなくならない。

夢も目標がないことは怖い。

自分のことを理解してくれる人間がいないと思うと孤独を感じる。

できないことがある。

考えるだけで不安感に押しつぶされそうになる。

だが、美波は自分を責めることはやめた。

それでいい。

それもひっくるめて受け入れなければいけない。

女神と呼んでもいい。

知ったことか。

白鳥と呼んでもいい。

関係ない。

私は清廉潔白な人間じゃない。

だけど私は私のことが好きだ。

好きでいてもいいんだ。

美波は歌いきった。

涙が溢れた。

「みんな……応援してくれてありがとう!」

スピーカーに鼻をすする音が反響した。

美波は観客席に手を振った。

汗が乾いて身体が冷えていく感覚が心地よかった。

終わり
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