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平沢進「東京のヒラサワです」翠星石「まきますか?まきませんか?」平沢進「違います」
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36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 06:35:12.32 ID:I3cIkAlJ0
なんか音符の所が文字化けしてるけどテスラコイルの音色だと思えば納得出来るね、うん
朝から珍しく文章を書いたので短いですがここまで
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/09(金) 06:39:06.80 ID:dMQI327lO
おつ
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/09(金) 09:27:12.71 ID:zz3OykTvo
乙
平沢進てこんな人だったんだな。ツイッター見てきたら笑った
下手な小説家より小説家みたいな文章書く人だわw
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/09(金) 11:40:51.65 ID:CtZM0DopO
本人もTwitterは頭の訓練?に丁度いいからやってるみたいなこと言ってるしな
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:24:21.11 ID:kwFOaIltO
翠星石「…疑って悪かったですぅ」
平沢進「気にしていない。ただうるさかったのは気にしている」
翠星石「う…で、でもでも、あんな道具を見て楽器だなんてすぐ分かるはずねーですぅ。ちゅーぶら?何とかは…あれも十分怪しいですがともかくとして、ほかの2つはどう見ても実験器具ですぅ」
平沢進「どう見ても実験器具だろうと実情は楽器なので」
翠星石「それ、本来の使い方と違うんじゃないですか?テスラコイルとか…」
平沢進「私が楽器として用いることに対して、本来の使い方を気にする必要はない」
翠星石「自分がルールブックってことですか…なんと傲慢不遜なやろうですぅ」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:25:09.26 ID:kwFOaIltO
平沢進「いや、傲慢不遜は目の前で腕組んでる人形の代名詞だから。私はその真反対の左隅辺りに位置すると自負している」
翠星石「なんですか左隅って。謙虚とも言いきれないって事なら大いに分かりますけど」
平沢進「大いにだろうと小いにだろうと分かったのならそれでよろしい」
翠星石「む〜…そういうとこですよね。澄ました感じで言いくるめてきて!もやもやするですぅ。もっとはっきりした言葉で言えってんですぅ」
平沢進「じゃあ、や〜いこの骨董品。お前の母ちゃん博物館勤め〜とか言えばいいのか?」
翠星石「よくないです」
平沢進「そうだろう。だからもう言わない」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:26:26.45 ID:kwFOaIltO
翠星石「楽器については一応分かりましたけど…画面のサイボーグって文字は何なんですか?…まさかヒラサワがサイボーグだとかそういう話ですか?」
平沢進「実は…」
翠星石「え!?やっぱり!?」
平沢進「そんなわけないだろう」
翠星石「ズコー!!息をするようにウソをつくのはやめるですぅ!翠星石のツッコミ能力にも限界があるですよ!」
平沢進「へえ。ツッコミを専門職とする人形かと。というか、やっぱりってなんだ。私ほど人間らしい人間を捕まえて機械と混同するのは不適切だぞ。まあ人間らしい機械とかもいるっちゃいるかもだけど」
翠星石「えぇ…?人間らしい…?ヒラサワがぁ…?」
平沢進「たいへん不愉快です」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:28:36.87 ID:kwFOaIltO
翠星石「で、結局サイボーグってなんのことなんです?このままじゃ気になって夢にサイボーグ・ヒラサワ・マシンが出てきそうですぅ」
平沢進「いやに具体的に夢見る人形だな。サイボーグというのは、私が昔作った楽曲だ」
翠星石「ガッキョク?…歌ですか?じゃあつまりヒラサワは…」
平沢進「そう、音楽家」
翠星石「へぇ〜…じゃあ仕事ってつまり作曲のことだったんですか。…なるほど、確かに今見るとヒラサワの顔は音楽家って雰囲気を醸し出してる気がするですぅ」
平沢進「そう?」
翠星石「気がするだけですぅ。カガクシャと言ってもキョウソとか言っても正直通るような気も…まあいいです、そんなことは」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:32:45.09 ID:kwFOaIltO
翠星石「取り敢えず謎が解けたので翠星石はまんぞくです。じゃあ、仕事頑張るですよ!翠星石は朝メシをその辺で食べてくるですぅ」
平沢進「あ、そう。では静かに出ていくように」
翠星石「あいあーい、ですぅ」スタスタ
翠星石「…いや、ちょっと待ったです」ピタッ
平沢進「いや、待たない」
翠星石「いいや、待つです!何だかそのサイボーグって曲がやたら気になりだしたです!」
平沢進「えー」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:35:35.11 ID:kwFOaIltO
翠星石「えーじゃねーです!何か気になりだしたら朝メシも喉を通らない気持ちになってきたです!ヒラサワみたいな変な人が作る曲、気にならない方がおかしいってもんです!」
平沢進「けなしながら人を褒める、人形風のアメとムチに初めて触れた私の心はP派のようにごく微弱な感動に震えた」
翠星石「褒めてねーです!」
平沢進「あ、そう」
翠星石「とにかくちょっと聴かせろですぅ!あ!そこのぱそこんに思わせ振りなえんたーきーがありますね!」
平沢進「さして思わせ振りな素振りもしていないように私には見えるが」
翠星石「いーや、してるですぅ!あれが再生ボタンですね!とりゃー!」
平沢進「あのねぇ…」パシッ
翠星石「ふっふーん!手だけ止めても無駄ですぅ!きてっ!スィドリーム!」ピカッ
平沢進「うわっ、如雨露を屋内で振り回すとは」
翠星石「問答無用!勧善懲悪です!えーいっ!」カチッ
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:39:06.84 ID:kwFOaIltO
https://youtu.be/xov7Aia64Qk
♪サイボーグ P-MODEL(平沢進) 1985
あきらめに行こう
人魚の信者の舟で
人の世は赤い
太古の噴火のエコー
Love you ホラ吹き
夢も見れたはずに
お土産は吹き矢
バスの駅から放つ
明日までに消える
石の橋の上で
折り紙に折った
長いダイヤグラム
Love you ホラ吹き
空も飛べたはずに
おみやげは磁石
夜の砂場で回す
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:39:50.46 ID:kwFOaIltO
翠星石「………」ポカーン…
平沢進「はい、ここまで」カチッ
翠星石「………」
平沢進「もう少し流れていたら著作権料の匂いを嗅ぎつけた輩に夜襲をかけられるところだった。ヒラサワ不覚」
翠星石「……」
平沢進「あと、屋内で如雨露は振り回さないように。別にフローリングに潤いは求めてないので」
翠星石「………なんというか…ヘンな曲ですぅ」
平沢進「やっぱり?」
翠星石「やっぱりですぅ」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:40:27.95 ID:kwFOaIltO
翠星石「…じゃあ、朝メシ行ってくるですぅ。仕事ジャマして悪かったですぅ」
平沢進「あ、そう。じゃあ、また」
翠星石「またですぅ」スタスタ フワー
平沢進「…人形は鞄に乗って空を翔ける。またひとつ平常なら知り得ないものを知ってしまった」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:41:07.22 ID:kwFOaIltO
翠星石「………」フワー…
翠星石「………」
翠星石「……あーきらめにいーこう〜♪…」
翠星石「……」
翠星石「…やっぱヘンな曲ですぅ」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/09(金) 21:43:29.21 ID:kwFOaIltO
一旦ここまで
感想とか指摘とか、くれてもくれなくてもいいよ
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/09(金) 21:53:00.52 ID:vl4zuyJ00
文字に起こしてもやっぱり変な曲
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/10(土) 00:31:48.30 ID:hstZVsiX0
サイボーグ
何回聞いても歌詞の意味はわからないが超好き
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/10(土) 15:48:37.73 ID:doF2aensO
翠星石「だぁーっ!!翠星石は重大なことを思いっきり忘れちまってたですぅ!!朝メシ食べたらはっ、と思い出したです!」
平沢進「帰って早々喧しい人形だ。食あたりか何か知らないが人にあたるな」
翠星石「そっちこそうるせーです!契約ですよ!け・い・や・く!なんだかんだでウヤムヤになってましたが翠星石はそのためにヒラサワを探してたんですから!ほら、早く決めてください!まきますか!まきませんか!」
平沢進「何度もオウム返しに同じ質問ばかりで飽きないのか?たまには吐くか、吐かないかとかの質問でもいいじゃないか」
翠星石「趣旨が違うじゃねーですか!二日酔いのオジサンを気遣ってるわけでも犯人を取調室で問い詰めてるわけでもねーんですぅ!ほら、はやくっ!」
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/10(土) 15:49:45.63 ID:doF2aensO
平沢進「えー。だって、まだ契約書が事務所から国際FAXで送られてきてないし」
翠星石「だってもへちまもねぇです!つーかそんなものいらねーです!質問に答えてくれるだけでいいんですぅ!また水銀燈が襲ってきたら一体どうするですか?前は運良く逃げられましたが、次はどうなるか…」
平沢進「毒を吐く水銀か。確かにあまり襲われたくない。強いて言うなら何者にもあまり襲われたくない」
翠星石「特に水銀燈はやべぇんです!血も涙もない上に陰険で性悪でそれなのに強くて…!真紅や蒼星石でも勝てるかどうか…まあ、翠星石が万全ならコテンパンにのしてやるのもカンタンなんですけどね!」
平沢進「ふーん」
翠星石「だから、ちゃっちゃと契約するですぅ。別に命まで取ろうってわけじゃねーんですから」
平沢進「いや、何か取るのか?」
翠星石「うーんと…戦うときに生命力をちょっぴり…べ、別にたまにしか命に拘ったりしないので大丈夫ですよ!」
平沢進「……」
翠星石「あ、えっとえっと…も、もちろんその代わりに翠星石もヒラサワに協力しますから!えーとえーと…」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/10(土) 15:51:33.96 ID:doF2aensO
翠星石「そ、そうです!この如雨露で館の植物を元気にしてやるですぅ!庭師の如雨露をひと振りすれば、どんな植物も軒並みアマゾン並の巨木に早変わりですよ!」
平沢進「いや、そんな早変わり求めてないので。べつに密林に理想を抱いたりしてないし」
翠星石「あ、そ、そうですか…。でも、普通にこの如雨露でお水をあげるだけでも植物は元気になるです!ど、どうですか!これでうぃんうぃんの関係ですよね!」
平沢進「ウィンと小ウィンぐらいの関係だな。もちろん小ウィンのほうが私です」
翠星石「えーと、他には…。お掃除が出来るです!舘じゅうの床をツルピカの摩擦係数ゼロなまっさらなフローリングに変えてやるですよ!」
平沢進「いや、別に自宅でのカーリングを息抜きにしてるとかも無いので」
翠星石「別にカーリングのステージを作るわけじゃねぇです!えーと、でも取り敢えず普通に掃除はできるですよ」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/10(土) 15:52:37.69 ID:doF2aensO
平沢進「小ウィンが中ウィンに。大ウィンまで出てきたらちょっと然るべき所に呼び出されそう」
翠星石「うーん、もうひと押しですか。…あ、そうだ!ヒラサワの心の樹を手入れしてやれるですよ!ニンゲン社会の競争に疲れた心を癒して綺麗にしてやるです!」
平沢進「えー」
翠星石「なんで、えーなんですか?これに限ってはいい事づくめじゃないですか!まあ、蒼星石がいないとカンペキな手入れは全然できませんけどそれでも…」
平沢進「心が綺麗になったら困るし。ヒラサワの心は捻じ曲がって太陽にそっぽ向いて舌だしてる辺りが定位置だし」
翠星石「えー…」
平沢進「えーじゃない」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/10(土) 15:53:40.93 ID:doF2aensO
平沢進「じゃあ、取り敢えず交渉は冷戦下ということで」
翠星石「そこまで緊迫したもんじゃなかったですぅ。…でも、あと一押しすれば契約してくれるですね?」
平沢進「たぶん」
翠星石「んーあと一歩…何か考えておくですぅ。水銀燈が来る前に思いつかないと…」
平沢進「まあ、頑張って。では私は休息に精を出す」
翠星石「頑張って休むってなんです…?なんかよく分からねぇですがヘンな体勢になりましたね。それ、逆に疲れるんじゃないです?」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/10(土) 15:55:34.22 ID:doF2aensO
平沢進「そういう呼吸法だから。じゃ、しばらくは喋らないので静かにどこかに行ってください」
翠星石「え、呼吸法…?つまり、波紋を出すですか!?」
平沢進「人形語は翻訳が難しく、ヒラサワ語に直すと環境依存文字が文字化けして全て???に変わる」
翠星石「うるせーです!意味が分からないってはっきり言えばいーじゃねーですか!ヒラサワ語だって日本語に訳しても意味不明のとんとんちきのくせに!」
平沢進「???、?????。人形語を真似てみたが、口蓋の舌を当てる位置が違うのかあまり上手くいかず」
翠星石「きぃーっ!!白々しいですぅ!何言ってるか分かってるくせにぃ!」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/10(土) 15:57:31.60 ID:doF2aensO
翠星石「怒ったらお腹減ったです!昼メシ行ってくるですぅ!カレーが翠星石を待っているですぅ!」
平沢進「え?なんだって?」
翠星石「もういいです!知らんです!!」
平沢進「近場にココイチがあるのでベジカレーを探すならどうぞ」
翠星石「え?あ、ありがとうです…普通にビーフカレーを探すですぅ」
平沢進「ただ英語と日本語にしか対応してないようなのでメニューを見る時は気をつけるように」
翠星石「むぐぐ……こんちくしょー!ですぅううう!!」フワー
平沢進「鞄が怒りながら舞い上がる。これが夢見がちな人によってはUFOとして記憶されるのかもしれない」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/10(土) 15:58:01.92 ID:doF2aensO
一旦ここまで
毎度更新量が少なくて申し訳ないと思っています
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/10(土) 19:56:17.14 ID:OJnjNK2k0
エミュ制度が高くてすごい
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/10(土) 21:52:52.04 ID:+PKY/CBEO
なんだこれ…
すき
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:22:05.51 ID:J6d44Kim0
翠星石「ふー、帰ったです!ビーフカレー美味かったですぅ!やっぱカレーの具は肉に限るですね!」
平沢進「ベジカレー派が聞いたら怒りで目の色が虹彩色に変わるぞ」
翠星石「え、野菜カレーを食べるとニンゲンじゃなくなるんですか…ああ、だからヒラサワは…」ジー
平沢進「失礼にも程がある」
翠星石「少なくとも今は虹色じゃないですね。安心ですぅ」
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:22:58.11 ID:J6d44Kim0
平沢進「そういえばさっき恐らくオマエの姉妹の…」
翠星石「えっ!?誰かに会ったですか?蒼星石?それとも真紅?金糸雀とか…は別にどーでもいいですけど」
平沢進「蒼は赤という名前の金なのか?分かりづらいからひとつひとつ特徴を説明しなさい」
翠星石「えっと、そのまんまですぅ。見た目の色と名前はそのまんまそっくり同じなんです。どんな色のローゼンメイデンでした?」
平沢進「金色だった」
翠星石「あ、そうですか。じゃあいいですぅ」
平沢進「あ、そう?」
翠星石「金色って言えば十中八九金糸雀ですぅ。アイツはヒグラシみたいにカナカナ鳴いて、壊れたラジオみたいにかしらかしら繰り返すだけの無害な奴なんです。自分を軍師がどうとか言ってますけどあれはつまらないギャグですぅ」
平沢進「あまりにもあんまりな言いように金糸雀という鳥類のことまで気の毒になってくる」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:24:21.94 ID:J6d44Kim0
翠星石「翠星石も鳥のカナリアが可哀想ですぅ。あんなのに名前を借りられてるなんて知らずに空を飛んでるなんて…。で、金糸雀には声掛けてみたですか?」
平沢進「多少興味はあったが衆目の中で人形に執心するおっさんを演じる気はなかったので。目線だけすれ違ってスルーした」
翠星石「ふーん、そうですか。まあそうですよね。そのうちに他のローゼンメイデンに出会う機会もあると思うので、気を落とさないでください」
平沢進「私が落とすものの中でも気はかなりのレアアイテムなので大丈夫。たぶん人生で2.3回しか落としていない」
平沢進「では取り敢えず、金色の人形は放置していいと」
翠星石「たぶん大丈夫ですね。因みにどこで見つけたんです?」
平沢進「街中をぶらついていた。思い返すとたしかにカナカナ鳴いていた」
翠星石「街中です?翠星石がカレーの旅に出てから全然経ってないですけど、どうやって街に出かけたですか?クルマももってないみたいなのに…」
平沢進「いや、普通に自転車で。コレ」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:25:51.01 ID:J6d44Kim0
翠星石「…これ、自転車ですか?またウソですね?どうせこれもどっか引っ張ると音が鳴り出すに決まってるですぅ!」
平沢進「今オマエは日本の自転車業界の2%ぐらいを敵に回したぞ。いや、コンマ数%かもしれないが」
平沢進「というか、欧州風の装いのくせしてリカンベントを知らないのか。オマエタチが知らなかったらこいつも流石に滂沱の涙を流すだろうて。うえ〜んって」
翠星石「え?これヨーロッパのものなんです?」
平沢進「欧州とか、欧米とか」
翠星石「う〜ん…翠星石は見たことないですぅ。でも、ホントに自転車なんですね?コレは」
平沢進「そう」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:26:50.20 ID:J6d44Kim0
翠星石「…なんか乗ってみたいですぅ!」ウズウズ
平沢進「えー」
翠星石「えーじゃないです!好奇心には人形もネコも勝てねぇんです!ちょっとだけでいいので!ちょっとだけ!」ピョン
平沢進「あ、こら」
翠星石「おー、いい座り心地ですぅ!」
平沢進「…ちょっとも何も、その御足ではペダルまで一両日努力しても届かないのでは。リカンベント用の足パーツが付属してるとかなら別だけど」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:28:00.47 ID:J6d44Kim0
翠星石「そんなもんねーです!でも大丈夫!翠星石に出来ないことはねーんですから…よいしょっ!」グイッ
平沢進「……」
翠星石「うわぁ、やっぱ新しいことってワクワクするですぅ!じゃあ早速ペダルに…う〜〜んっ!!」パタパタ
平沢進「……」
翠星石「う〜〜んっ!!あれ?おかしいですぅ!全然届かねーですぅ!」パタパタ
平沢進「……」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:28:47.41 ID:J6d44Kim0
翠星石「ヒラサワ!後どのくらいでペダルに届くです?今翠星石は一生懸命でそこを見る余裕が無いんですぅ」
平沢進「数十年待てばリカンベントのほうが妥協して縮んでくれそうだが、現状ではイリザロフ法あたりに頼るしかないだろう」
翠星石「??…つまり、足が届くことは絶対無いってことですか?」
平沢進「絶対では無くてもそれに近い」
翠星石「えー…そんなぁ…ですぅ」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:29:33.78 ID:J6d44Kim0
翠星石「せっかく楽しそうなものに乗れると思ったのに…」
平沢進「楽しそうだと思ったところで雲には乗れない。期待だけではものを乗りこなすには燃料不足だ」
翠星石「じゃああと何が必要なんですぅ?情熱とか気品とか理念とかですか?」
平沢進「強いて言えば、背丈」
翠星石「うー…今日一番にがっくし来たですぅ」
平沢進「残念でした。ではとっとと降りなさい」
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:30:33.15 ID:J6d44Kim0
翠星石「はー……いや、ちょっと待つです」
平沢進「また嫌な予感が。私の虫の知らせセンサーがオマエの名前をブラックリストに登録したがって鳴いている」
翠星石「情熱も気品も理念も翠星石には備わってるですぅ。でもただひとつ足りない背丈…それを補う方法はあるですぅ!」
平沢進「イリザロフ法?」
翠星石「なんとか法みたいにフクザツなもんじゃねーです。…ヒラサワが代わりに漕げばいいんですぅ!」
平沢進「え〜」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:33:46.18 ID:J6d44Kim0
翠星石「うっ。そこまで嫌そうな顔しなくてもいいじゃねーですか!この才色兼備の翠星石と一緒に自転車に乗れるんですよ?」
平沢進「いや、遠目で見たらただの人形とおっさんだから」
翠星石「遠目で見なきゃいいじゃねーですか!」
平沢進「人はものを遠目か色眼鏡で見るのが常なので」
翠星石「うーまた難しいことを…ちょっとでいいんですぅちょっとで!館の周りをくるっと回るだけで…」
平沢進「御免こうむります」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:35:35.08 ID:J6d44Kim0
翠星石「う〜っ!の、乗せてくれたら今夜スコーン作りますから!」
平沢進「別に食べたいとは私も腹の虫も言っていない」
翠星石「むむむ…あ、じゃ、じゃあ!乗せてくれたら他のローゼンメイデンに会わせてあげるですぅ!」
平沢進「……」
翠星石「金糸雀とのすれ違い通信みたいな感じじゃなくて、ちゃんと喋る場所を用意するですぅ!それでどうですか…?」
平沢進「……最近、交渉力が軒並み低下してきたようで衰えを感じる。人形の提示した条件に容易く乗せられてしまうとは」
翠星石「やりぃ!ですぅ!安心してください、翠星石はちゃんと約束を守るですよ!じゃあ早速乗せてですぅ!ほらほら!」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:37:50.49 ID:J6d44Kim0
平沢進「はい」ヒョイ
翠星石「わーい!……うわっ!なんでズタ袋みたいなのを被せるですか!」
平沢進「だって、人形とおっさんだと見栄え悪いし。ズタ袋とおっさんなら観客も注目しないだろう」
翠星石「大丈夫ですよ、観客なんていねーです!ほら、袋を取ってですぅ。袋取ってくれないと約束守らないですよ!」
平沢進「…人形に脅迫され従う私に、ご先祖も呆れるだろう」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:38:39.10 ID:J6d44Kim0
翠星石「うわぁ〜すごい!すごいですぅ!」
平沢進「別に凄くないが。速度も出てないし」
翠星石「人形にとっては早いんですぅ!」
平沢進「ふーん。じゃあ、あの辺りまで行ったら3分旅も終わりなので」
翠星石「了解ですぅ!ありがとです、ヒラサワ!」
平沢進「はい」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:39:42.80 ID:J6d44Kim0
スィー………
翠星石「………」
平沢進「………」
翠星石「この自転車…」
平沢進「高かった」
翠星石「値段の話じゃねえです!」
平沢進「あ、そう?」
翠星石「もう、すぐ話の腰を折るですぅ」
翠星石「…ただ、空が綺麗に見えるのがいいな、って思っただけですぅ」
平沢進「ああ、そう」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/11(日) 05:41:36.27 ID:J6d44Kim0
一旦ここまで
平沢さんの言葉は恐ろしい知識量とセンスから繰り出される面白いけど意味不明なものが多いので、毎度頑張ってそれらしくなるように考えています あと色々Tw(hz)の過去の投稿を参考にしたりしています
だから毎度更新量が少ないんです。ゆるして
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/11(日) 09:43:50.47 ID:DHBVnlCy0
乙。面白いよ
ベルセルクのゲームのopのやつ好き
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/11(日) 09:50:00.11 ID:2yFqAfKlO
どこぞの馬の骨にも容赦しない平沢さん
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:02:31.59 ID:0T9KeWqC0
ーあろるの館(夜)ー
翠星石「いっただっきま〜すですぅ!おお〜今度はついにマトモな食事ですぅ」
平沢進「パスタは高品位粗食V3.0の一種だ。たまにはね。…で、三人分用意するとはどういうことなの」
翠星石「実は来客があるはずなんですぅ。さっき呼んだんです!たぶんもうそろそろ来るはずですぅ」
平沢進「なんと。家の持ち主に断りもなく夕食に人を招待するとは末恐ろしい」
翠星石「何言ってるですか!これも翠星石の、約束をちゃんと守ろうっていう気遣いの表れなんですよ?」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:03:40.99 ID:0T9KeWqC0
平沢進「約束?ということは来客は人形の」
パリーン!!! ガチャガチャ…
翠星石「あっ、来たですぅ♪」
平沢進「えー…」
「す、翠星石っ!大丈夫かい!?」ヒューン
翠星石「いらっしゃいですぅ、蒼星石!」
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:05:00.45 ID:0T9KeWqC0
蒼星石「スィドリームが、翠星石が水銀燈に襲われてるから駆けつけてくれって!慌ててここまで飛んできたんだけ…ど…?」
翠星石「それはご苦労さまでした。疲れたですよね。じゃあ、そこの席に座ってくださいですぅ。パスタがもう用意してあるです。今翠星石が紅茶とスコーンを持ってくるですからね」
蒼星石「え……?あ、うん…」
平沢進「…」
蒼星石「あっ!どうも…こ、こんにちは…えっと…?」
平沢進「…窓を割って飛んでくる人形の闖入者に「こんにちは」と慈愛の心を以て返すほど私の精神は菩薩を真似ていない」
蒼星石「ご、ごめんなさい!これは、その…」
翠星石「あらあら〜蒼星石!なんて事するですか!?仮にも翠星石のマスターの家を傷つけるなんて!はいこれ紅茶ですぅ」
蒼星石「えっ!?」
平沢進「えっ」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:06:23.98 ID:0T9KeWqC0
翠星石「ヒラサワは舘に固有名詞をつけるほどにこの場所を愛してるんですよ?いま、窓を割られたヒラサワの心は、地獄の釜の炎よりも深い憎しみの朱色に染まっているですぅ!はいこれスコーンですぅ」
平沢進「あ、どうも」
蒼星石「あ、ありがとう…って、この人が翠星石のマスター!?翠星石、君はもうマスターを見つけていたのかい?」
平沢進「いや、それウソですね」
蒼星石「え?う、嘘なの?」
翠星石「いーや、ホントですぅ!もう言質は取れてるです!」
蒼星石「??ごめん、翠星石。ちょっと僕よく話が…」
翠星石「まったく、仕方ねーですね。妹の為にこの翠星石が直々に説明してやるですう」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:07:54.14 ID:0T9KeWqC0
……
蒼星石「…つまり、ヒラサワさんは翠星石のマスターになるかもしれない方ってこと?」
翠星石「まあほぼ確定なんですけどね」
平沢進「いやまだ全然未定だから」
蒼星石「あはは、もう結構息があってるね。…というか翠星石、つい忘れそうになってたけど…スィドリームを使って僕にウソの伝言をしたね?」
翠星石「まあ!ウソだなんて人聞きの悪い!そんなことしてねーです。ただちょっとスィドリームへの伝言を間違えちまってただけですぅ。てへ!」
蒼星石「はぁ。翠星石、人への配慮を利用して他人を陥れるなんてよくないよ。今回は僕だったから良かったけど…」
平沢進「今回は私だったから悪かった」
蒼星石「あ!…ほ、本当にすみません。窓については、ちゃんと弁償しますから…」
翠星石「えーっ!?どうやって弁償するですかぁ?蒼星石、別にお賃金貰ってるわけでもないのにぃ!」
蒼星石「す、翠星石…」
平沢進「流石にここまで性悪だとは思わなかった。ちょっと同情」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:08:47.08 ID:0T9KeWqC0
翠星石「これは何か他のことで償うしかないですよね?寛大な翠星石が代わりに提案してやるです!うーんとぉ…」
翠星石「あっ、そうでした!ヒラサワは薔薇乙女にガクジュツテキキョーミを持ってるらしいです!窓を割ったお詫びに、何かいろいろと話をしてやるのはどうですぅ?」
蒼星石「…ちょっと待って。もしかして、ヒラサワさんとお話をするっていう事のために僕を騙したの?」
平沢進「そうらしい。恐るべきミドリの悪知恵」
翠星石「悪知恵じゃなくて戦略だと言って欲しいですぅ。天才軍師の冠はもう翠星石のものですね!金糸雀はもうただの難しい漢字なだけの二番目やろうですぅ」
蒼星石「そ、それは流石に酷いんじゃないかな…」
平沢進「金糸雀も遠くプエルトリコで嘆きの歌を奏でているに違いない。あ、鳥のほうね」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:09:38.00 ID:0T9KeWqC0
蒼星石「でも、そういうことなら最初からそうと説明して呼んでくれれば良かったのに。こんなふうにしなくても」
翠星石「いーや、どうでしょう?蒼星石もどうせまたお仕事中だったんですよね?その鋏でお庭の手入れしてたに違いねーです」
翠星石「どうせ呼んだってそっちが大事だって言って生半可な事じゃ来てくれねーです」
蒼星石「…いや、そんなことないよ。翠星石のマスター…に、なってくれるかもしれない人の為なら、僕だってちゃんと…」
翠星石「ふーん?そうですか?何か、最近何処であってもよそよそしいじゃねーですか」
蒼星石「す、翠星石…!僕は別にそんな…」
平沢進「…話の腰を折るのが趣味なので前方から口出しするが、私は人形の愛憎劇を観るために窓一枚をチケットとして差し出した訳ではない」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:10:53.42 ID:0T9KeWqC0
翠星石「あっ」蒼星石「えっと…」
平沢進「まあ、オマエタチにも色々と事情があるようなので。口出しはこれっきりに」
翠星石「こほん…そ、そうですね!今回の趣旨を忘れていたですぅ。ほら、蒼星石!ヒラサワに何か抱腹絶倒間違いなしの面白い話の一つでもしてやるです!」
蒼星石「えっ!ちょっと待ってよ翠星石、そんないきなり…」
平沢進「私の面白いのハードルは6m16cmぐらいなので。頑張って乗り越えてください。くぐるのはレギュレーション違反」
蒼星石「そんな、ヒラサワさんまで…」
翠星石「そうですよ!ヒラサワの笑いのツボは海よりも深く山よりも高いんですぅ!ヒラサワを笑わせられなかったら蒼星石は帰れねーですよ!覚悟しやがれですぅ!」
蒼星石「こ、困ったなぁ…」
ワイワイ……
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:11:59.54 ID:0T9KeWqC0
……
翠星石「…あ!ふっふっふー。時に、蒼星石?ヒラサワがなんの仕事してるか分かるですぅ?」
蒼星石「え、何なのさその不敵な笑みは…ヒラサワさんのお仕事?えーと…」チラッ
パソコン チューブラーヘルツ レーザーハープ テスラコイル
蒼星石「…??…科学者とか…プログラマー、とかですか?」
平沢進「残念、ハズレ」
翠星石「あらあらあら!惜しいですねぇ〜。翠星石は一目見てビビッ!と気づきましたけど!」
平沢進「うそつけ。というかなんでこの緑の娘、水を得たアマガエルみたいに手足をダバダバさせてるの」
蒼星石「調子に乗るとすぐこれなんだから、もう…。えっと、正解は何なんですか?」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:12:58.29 ID:0T9KeWqC0
平沢進「音楽家」
蒼星石「お、音楽家ですか…!それは凄いですね」
翠星石「ヘンテコな曲を作るヘンテコな音楽家ですぅ。まだ一曲しか聴いてないですけど、どうせ他の曲もヘンテコなものばっかに決まってるですぅ!」
平沢進「察しが良くてよろしい」
蒼星石「は、はぁ…」
翠星石「この前は、そこのぱそこんでサイボーグとかいうへんな曲を聴いたんですぅ。その曲名のせいで翠星石はとんだ勘違いを…ん?今日はぱそこんに違う曲名が写ってるですぅ!」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:13:55.86 ID:0T9KeWqC0
平沢進「あ、それは仕事中だから」
翠星石「問答無用ですぅ!とぉーっ!」
平沢進「あのねぇ…」
蒼星石「あ、ちょっと翠星石!勝手に人のパソコンに触っちゃダメだよ!」
翠星石「ふふーん!止めても無駄ですぅ!翠星石は誰にも止められないのですぅ!スィドリーム!」
平沢進「だから如雨露を屋内で振り回すのは止めなさいと」パシッ
翠星石「あっ!…なーんて、ですぅ!すこやかにー伸びやかに〜!」パァアア
平沢進「あっ何かヘンテコな蔦が」
蒼星石「あーもう!またそんな無茶を…」
カチッ
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:17:25.94 ID:0T9KeWqC0
https://youtu.be/20ZxS_vSY5A
♪夢見る力に P-MODEL(平沢進) 1995
(画面の点滅にご注意ください)
音楽が終われば
またキミは街に帰るけど
楽しげなあの世界に
蓄えた言葉はキミのため
歌うよこの歌
知ってたはずだね
喧騒の中でも
呼びかける声が耳うち
キミだけを待つ人とは
もう誰のことかはわかるよね
仕度ができたら
地平も飛び越し
ここへおいでよ
キミのこの地へ
降り立つ日々は約束しよう
旅する時もキミと響くよ
帆に風はれば船を滑らせ
幻が教える場所
深い眠りの力で
この響きの理由にも
確かなことだけを感じるね
ひとつの望みが
すべてを照らして
波間に見える
さらに深くへ
彼の地を目指し進めよ進め
ここへおいでよ
キミのこの地へ
降り立つ日々は約束しよう
夢見る力 覚えあるなら
誘う鐘におやすみ眠れ
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:20:14.31 ID:0T9KeWqC0
蒼星石「うわぁ……」
翠星石「あ、あれぇ…?ですぅ」
蒼星石「…なんだか不思議だけど、素敵な曲ですね」
平沢進「そう?」
翠星石「…おかしいですぅ。思ったより普通の曲ですぅ」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:21:11.55 ID:0T9KeWqC0
蒼星石「前に聴いた曲、ほんとにへんな曲だったの?」
翠星石「ほ、ホントですぅ!もっと歌詞がぐちゃぐちゃしてて、よく分からんかったんですぅ!」
蒼星石「そうかなぁ〜?翠星石って普段からそんなに音楽聞かないよね。適当に聞いて、へんって決めつけちゃったんじゃないかな?」
翠星石「んなこたねーです!真剣に聞いて、真剣にへんだったんですぅ!あ、姉を疑うですか?」
蒼星石「でもいつもイタズラばっかりしてるし。今回もそういう冗談だったんじゃ…い、いや、疑うわけじゃないけどさ」
翠星石「いーや!その目は疑ってるです!目を逸らさないでこっち見るですぅ!」
蒼星石「うわっ!ちょ、ちょっと!帽子引っ張らないでよ!」
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:22:02.74 ID:0T9KeWqC0
ワーワー キャッキャッ…
平沢進「……」
パチッ
翠星石&蒼星石「わっ!?」
蒼星石「な、何にも見えない…」
平沢進「もう遅い時間なので。騒いでないで、とっとと鞄にて眠りなさい」
翠星石「げっ!?も、もうこんな時間ですか?スコーン食べ忘れてたですぅ!ヒラサワ、ちょっとだけ灯りつけるですぅ!」
平沢進「はい」パッ
翠星石「んぎゃあぁっ!?」蒼星石「うわぁっ!?」
平沢進「はい?」
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:23:05.82 ID:0T9KeWqC0
翠星石「く、暗いあいだに音もなく近くにくるのは止めるですぅ!心臓が止まるかと思ったです!」
平沢進「いや、普通に近づいただけなんだが」
蒼星石「全く…翠星石ったら怖がりなんだから。君の悲鳴でこっちまでビックリしちゃったよ」
翠星石「う、うるさいです!翠星石が怖がりなんじゃねーです!暗い中のヒラサワが怖いのがズルいんです!」
平沢進「別に私が怖くても怖くなくてもいいから。あんまりうるさいとご近所に隠し子か誘拐か発狂の噂をたてられるから眠りなさい」
翠星石「は、はーいですぅ」
蒼星石「あ…じゃあ僕はこの辺で。夕食ありが…むぐっ!」
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:24:09.76 ID:0T9KeWqC0
翠星石「ダーメ!ですぅ!こんな夜更けに妹を一人で帰らせるなんて姉としてできねーですぅ!ほら、今日はヒラサワ宅で寝るですぅ。ね!ヒラサワ!」
蒼星石「え…で、でも…」
平沢進「…我が家に骨董鞄が一つあろうと二つあろうと何か変わるわけではない」
翠星石「ほら、ヒラサワもこう言ってるです!」
蒼星石「………じゃあお言葉に甘えて…」
翠星石「そうするです!じゃあ寝るですぅ!ほらほら!」
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:24:55.58 ID:0T9KeWqC0
蒼星石「ちょ、ちょっと押さないでよ、翠星石!じゃあヒラサワさん、お夕食ありがとうございました」ペコッ
平沢進「はい」
翠星石「おやすみーですぅ!」グイッ
蒼星石「お、おやすみ、翠星石。ヒラサワさん」パタン
翠星石「…ふぅ」
平沢進「……オマエはおやすみーしないのか?」
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:25:46.77 ID:0T9KeWqC0
翠星石「…ちょっとヒラサワに言うことがあるんですぅ」
平沢進「……」
翠星石「蒼星石は翠星石の双子の妹ですぅ。だから、はっきり分かるです。最近の蒼星石は、何かを隠してて、無理してるんだってこと…」
平沢進「へえ」
翠星石「それで、今日は騙してまで無理矢理蒼星石を呼んだんですぅ。実はあんなに話したのは久しぶりだったんです」
平沢進「そうは見えなかったが」
翠星石「まあ、何があっても双子ですから!でも、蒼星石が久しぶりに笑ってるのが見れて、嬉しかったですぅ」
平沢進「そんなものかね」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:26:50.10 ID:0T9KeWqC0
翠星石「そんなもんですぅ。…ただ何を隠してるかまでは分からないんですぅ。翠星石は、そんなに頭が良くないから…」
平沢進「……」
翠星石「だから、もし良かったら…蒼星石の悩みを聞いてあげて欲しいんですぅ。翠星石に出来ないことも、きっとヒラサワなら出来ると思うんです…」
平沢進「いや、私に人形の心中を推し量る能力は無いぞ」
翠星石「別に、ちょっと話を聞いてあげるだけでいいんです。蒼星石はマジメですから、悩みや本音を抱え込んで翠星石にさえあんまり打ち明けてくれないんですぅ。それに翠星石はそういうことに気がついても、ちゃんと聞いてあげるんじゃなくてすぐ怒ってしまうんですぅ。なんでただ一人の姉にも話してくれねぇんですか!…って」
平沢進「ふーん」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:29:06.70 ID:0T9KeWqC0
翠星石「…すまんですぅ、長話になったです。もちろん今のは単なるアレです。ちょっとしたお願いですぅ。どーしても暇な時でいいんですぅ。本題は、この蒼星石の姉である翠星石が、ばっちりくっきり解決するんですから!」
平沢進「…あ、そう」
翠星石「そうです!じゃあおやすみーです!ヒラサワ!…明日は蒼星石が起きる前に起こしてくださいですよ!」
平沢進「はい。じゃあまた明日」
翠星石「また明日です!」パタン
平沢進「……」
平沢進「骨董鞄と人形二つ。抱え込むものが知らぬ内に次々増えていくのが社会の面倒だが当然の性質である」
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:33:07.08 ID:0T9KeWqC0
一旦ここまで
夢見る力に はイントロが好き過ぎて何度も死にかけました
後PVについては見た後に起こる精神的な悪影響について何も責任は負いません
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/12(月) 11:38:38.78 ID:0T9KeWqC0
あと、平沢さんの笑いのツボは別に海よりも深くなければ山よりも高くないです
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/12(月) 12:43:15.32 ID:I1x19HJto
乙乙
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:09:18.96 ID:v6iC4f6d0
ーあろるの舘(早朝)ー
蒼星石「……」チラッ
蒼星石「まだ誰も起きてないよね。よいしょ…っと」パタン
平沢進「おはようございます」
蒼星石「うわぁっ!?」ドテッ
平沢進「おい、私は早起きする時にだけ現れる妖怪「三文の得じじい」じゃないぞ。妖怪と冠されたものとバンドを組んでたことはあるけど」
蒼星石「ひ…ヒラサワさん?び、ビックリさせないでください…」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:10:49.57 ID:v6iC4f6d0
平沢進「別に人形を驚かせるために早起きするほどひねくれてはないので。ただ起きてただけ」
蒼星石「そ、そうなんですか。早起きなんですね。…おはようございます」
平沢進「そちらもイヤに早起きですね。まるでこっそりあろるの館から飛び出そうとしていたよう」
蒼星石「い、いや、そんなこと…」
平沢進「だが卓上にこんなものが」ピラッ
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:11:38.18 ID:v6iC4f6d0
『ヒラサワさんと翠星石へ
昨日は夕食ありがとうございました
お話もとっても楽しかったです
窓ガラスについては今日の内に直します
翠星石も 美味しいスコーンをありがとう
蒼星石より』
蒼星石「あ……」
平沢進「なんというか…」チラッ
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:12:44.98 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「!…ご、ごめんなさ…」
平沢進「…欧州生まれの割に漢字に親しみがあることに驚愕。島国生まれのくせしてタイ語に親しみを感じているどこぞのステルスもいるというのに」
蒼星石「え…ああ、それは…昔、練習したんです。日本に来たばかりの時に。マスターと円滑に意思疎通を図るには、その土地の文字が書けた方がいいと思って」
平沢進「へえ。またまた驚いた。人形とは朝から晩まで古い洗濯機のごとくガタガタうるさく喚いて、取ってつけたような敬語を用いて、勉強などは蚊帳の数キロ外に置くものなのかと」
蒼星石「ぷっ。…それ、翠星石のことですよね?」
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:13:19.56 ID:v6iC4f6d0
平沢進「さあ。他にも人形がいるかもしれないし。鳥の一種とか」
蒼星石「金糸雀ですか?あはは、確かに彼女も結構賑やかかもしれませんね。翠星石といい勝負かも」
平沢進「寒気がしてきた。ヒラサワの器官は75db以上の騒音に耐えるようには造られていない。生まれる時の予算をやかましいモノへの対処に振り分けなかったので」
蒼星石「それじゃ、あの二人を前にしたら大変ですね」
平沢進「防音室に篭城するような真似は私は御免だ。何としても金か翠には蒼っぽくなって貰わなくてはならない」
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:14:05.70 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「あはは…とても無理ですよ。僕と翠星石は、何もかも真反対だから。性格も、考え方も…」
平沢進「そう?」
蒼星石「はい。見てて思いませんでしたか?」
平沢進「ヒラサワの目は本質を見極める第三の目という訳でもないので。似てるとか似てないとかは顔認証システムに聞いて」
蒼星石「そ、それは勿論顔は似てますけど…」
平沢進「色も、名からくる色相だけで見れば大いに似ている。何せ…おっと」
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:15:19.57 ID:v6iC4f6d0
「あでっ!なんかつまづいたですぅ…」
平沢進「そんなこんなで早起きした古い洗濯機がお出迎えです」
翠星石「ふぁ〜あ…おはようですぅ…そうせいせき…」
蒼星石「す、翠星石!?起きてたの?珍しいね…」
翠星石「いま、かおあらってきたとこです…それに…はやくおきるのは……あたりまえ……ですぅ…いもうとよりぃ…はやくおきるのが…あねのつとめ…なんです…から」カクン
蒼星石「え、いやいや。僕より早く起きたことなんて今まであったっけ。それに大丈夫なの?なんだかふらふらしてるけど…」
翠星石「やかましー…ですぅ。ふぁ……むにゃ…すいせいせきは……いつものように、げんきはつらつ、ですぅ…」ゴシゴシ
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:15:54.52 ID:v6iC4f6d0
平沢進「目の上に漬物石が置かれたかのごとく瞼が落ちまくっている。はいこれ、眠気覚し」
翠星石「あ、ありがと…ですぅ…ごくっ……ってつべたっ!?」
平沢進「だって昨日作ったやつだし」
翠星石「なんでそれを翠星石に飲ませるですか!手頃な紅茶処理機にすんじゃねーです!」
平沢進「くるみ割り人形ならぬ紅茶飲み人形。少なくともバレエの題目にはなりそうもない」
翠星石「ビミョーなイヤミ言うんじゃねーです!翠星石が主演になったらアカデミー賞だかグラミー賞だか間違いなしですぅ!…まあ、とりあえず目は覚めたのでいいですけど!」
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:16:39.81 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「…ふふっ」
翠星石「あ!わ、笑うんじゃねーです!翠星石は真面目も真面目、大真面目なんですよ!さっきまでの眠そうなのは…そう、ヒラサワの催眠術ですぅ!呪術師ヒラサワの魔法で、クラッと来ちまってただけなんですぅ!」
平沢進「魔法なのか催眠術なのか呪術なのか。どれも普通免許を取った覚えはないが」
翠星石「仮免だろーと大型免許だろーとどうでもいいです!とにかく!眠そうだったのは翠星石のせいじゃねーんです!」
平沢進「あ、そう」
蒼星石「ぷっ…くくく」
翠星石「あぁーー!!また笑ったですぅ!!なんで笑うですか、翠星石はこんなに真面目に頑張ってるのに!」ブンブン
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:17:20.35 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「い…いや…ふふっ、本当に息があってるなぁと思って」
平沢進「昨日は聞き流しましたがそれは侮辱ですかね」
翠星石「何言ってるですか!最大限の称賛ですよ!!」
平沢進「称賛という皮肉とはまた高級な手を」
翠星石「皮肉でもねーです!翠星石と並び立つなんて、並ぶもののない栄誉なんですよ!」
平沢進「うそつけ」
翠星石「ホントです!」
蒼星石「ぷっ…くくっ…あははは!!」
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:18:20.66 ID:v6iC4f6d0
翠星石「あ!ま、またまた笑ったです!な、何でですか!翠星石にはさっぱり分からねーですぅ!」
平沢進「オマエの顔が面白いからでしょ」
翠星石「むきーっ!!翠星石は面白い顔してねーです!どっちかといえば超絶美少女の顔をしてるですぅ!…って」
翠星石「こほん。それは置いといて」
翠星石「…ちょいと蒼星石。話があるですぅ」パラッ
蒼星石「げほっけほっ!あは、あはははっ!!」
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:18:49.04 ID:v6iC4f6d0
翠星石「わ、笑ってる場合じゃねーですよ!大切な話なんです!って、むせてるじゃーねですか。はいこれ紅茶ですぅ」
蒼星石「ごほっ、こほん。ありがと…ってつめたっ!?…もう……えっと、何の話?」
翠星石「えーとですね…」ピラッ…
翠星石「…ちょっと待つですよ。えーと…」ジィー
蒼星石「…手紙?なんだかしわくちゃだけど…」
翠星石「行くですよ。すぅー…」
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:21:00.32 ID:v6iC4f6d0
そうせいせき へ
すいせいせきはしんぱいです
それは そうせいせきがずっと
なにかになやんでいるのがわかるからです
そうせいせきは いい いもうとです
だから ほとんどのことはそうせいせきだけで
かいけつできるものだとおもっています
それでも そうせいせきがずっとなやんでいるのは
ひとりじゃかいけつできない なにかを
かかえているからだとおもいます
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:22:25.77 ID:v6iC4f6d0
そうせいせきはまじめさんなので
ひとりでかいけつすべきだとおもっているかもです
でもそんなことないんです
まよったりこまったりしたら
たよってもいいんです
……えーと、えーと」
翠星石「えーと…えーと…なにせ、その…す」
翠星石「翠星石は蒼星石のお姉さんなんですから!いつでもこの翠星石の胸にドカンとぶつかってこいってんですこんちくしょー!ですぅ!」
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:23:00.77 ID:v6iC4f6d0
平沢進「…」
蒼星石「…」
翠星石「…い、以上ですぅ!な、なんですか!文句あるなら言ってみるです!」
蒼星石「………」
翠星石「えっ!あ、あわわっ!な、何泣いてるですか!泣かせるために書いたわけじゃねーんですよ!ただ、口で喋ってるとごちゃごちゃしてくるから、それで…」
蒼星石「ごめん……翠星石…」
翠星石「な、何謝ってるですか!謝ってほしくて書いたわけでもねーんですぅ。ただ、ちゃんと翠星石の気持ちを伝えたくて…」
蒼星石「うん…ごめん、分かってるよ、翠星石…」
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:24:00.15 ID:v6iC4f6d0
翠星石「ほ、ほら。ハンカチですぅ!これでシャキッとするですぅ!」
平沢進「それはティシューなるものだが。最近ハンカチという名のブランドティシューが販売されたなら別だけど」
翠星石「え、あっ!!…まあティッシュでも事足りるですぅ。ほ、ほらほら、蒼星石…」
蒼星石「あ、ありがとう…」
翠星石「よしよし…ですぅ。まったく、蒼星石も甘えんぼさんですね。…別に、いつも、こんな風に甘えたっていいんですよ」
蒼星石「………」
蒼星石「……いや」バッ
翠星石「あっ…」
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:25:35.41 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「ごめん、翠星石……手紙、ありがとう。それじゃ」
翠星石「えっ、ま、待つです!蒼星石!えっと、えっと」
平沢進「手紙だけでも良かったらどうぞ」パシッ
蒼星石「あ…」
翠星石「そ、そうです!手紙だけでも持ってくです!そこに、翠星石の気持ちがしっかり書いてあるですから!!迷ったら読み返したりしてみるですよ!…翠星石はいつでも蒼星石の味方ですから!」
蒼星石「………」ギュッ
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:27:00.68 ID:v6iC4f6d0
翠星石「……またですよーー!!蒼星石!!」
蒼星石「うん…」フワー ヒューン…
翠星石「………蒼星石…」
平沢進「……人形にも涙腺があるとは」
翠星石「ルイセン?…まあ、嬉しかったり悲しかったりすれば泣くこともありますよ。ローゼンメイデンは魂のある人形なんですから」
平沢進「へえ」
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:27:48.57 ID:v6iC4f6d0
翠星石「はぁ、それにしても……やっぱり、文章にしてもあんまり上手くいかねぇですぅ。頑張って考えたんですけど…」
平沢進「そう?」
翠星石「ですぅ。翠星石にも、何かはっきりくっきり心の中を伝える手段があったらいいのに…」
平沢進「……」
翠星石「…ま、気を取り直すですぅ。あとは蒼星石を信じるのみです。なんてったって、この翠星石の妹なんですからね!」
平沢進「ふーん、そう」
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:29:01.00 ID:v6iC4f6d0
翠星石「ご協力ありがとでした、ヒラサワ。じゃあ翠星石は…翠星……せき……は…」
平沢進「ん?」
翠星石「……にどね…する……で…すぅ……」パタッ
平沢進「えー」
翠星石「すぅ……すぅ…」
平沢進「……」ガシッ
平沢進「人形の鞄詰め一丁。英国ではこれが静かな休日をぶち壊すアイテムとして大人気。んなわけない」
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:29:44.35 ID:v6iC4f6d0
…………
蒼星石「………」ヒューン
蒼星石「翠星石……」
蒼星石「…だって、言えるわけないよ…」
蒼星石「…君と…そのマスターを……」
蒼星石「………」
蒼星石「[
ピーーー
]かどうかで……悩んでるなんて」
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:32:01.32 ID:v6iC4f6d0
は?(半ギレ)
こういう規制ってどうすりゃええのかしら…初めてなんで分からぬ
まあ言ってることはわかると思うんだけどさ…
あと今回で話をどうするか真面目に考えだしたので蒼星石が多少情緒不安定っぽくなってるけどゆるして
指摘や感想ありましたらいくらでもどうぞ
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/14(水) 23:46:37.32 ID:FnyAbL8J0
ああ何かと思えば「殺す」が消えてるってことか
メールアドレス欄に「saga」って入れるんやで
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/14(水) 23:48:59.69 ID:v6iC4f6d0
おおなるほど!ありがとうございます!
おためし 殺す
お試しでころすってこわい
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/14(水) 23:50:24.30 ID:v6iC4f6d0
…………
蒼星石「………」ヒューン
蒼星石「翠星石……」
蒼星石「…だって、言えるわけないよ…」
蒼星石「…君と…そのマスターを……」
蒼星石「………」
蒼星石「殺すかどうかで……悩んでるなんて」
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/14(水) 23:51:30.01 ID:v6iC4f6d0
締まらないですがこれで補完お願いします
ではまた!
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/15(木) 00:15:28.96 ID:t3f0gQU3o
乙
アリスゲームって要はバトロワだもんな
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/15(木) 19:23:12.04 ID:9aL6Kmub0
数時間後
ーあろるの館(庭)ー
「フッフッフッ…見ぃつけた!」
金糸雀「ついに見つけちゃったのかしら!翠星石のアジトを!」
金糸雀「よくやったのかしらピチカート♪ついに24回の失敗を乗り越えて、ようやく居場所を突き止めたわ〜」
金糸雀「ふー…。最近、なんだか分からないけどすごくイライラするのかしら!まるで、どこかの誰かに四六時中陰口を叩かれてるみたいに…だから!」
金糸雀「今日は翠星石を打ち倒して、スカッとして帰るのかしら!みっちゃんのためにも、お父様の悲願の為にも!」
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/15(木) 19:23:42.30 ID:9aL6Kmub0
金糸雀「じゃあさっそく呼び鈴を押しましょう。呼び鈴を押せば家主は出てくる!計算高いカナにはこのぐらいお茶の子さいさいなのかしら!さてっと!……あら?」
金糸雀「あらあら!窓が壊れてるのかしら!なんて不用心なの。こんな風になっていたら、空き巣とか、泥棒とか、強盗とか…」
金糸雀「…この薔薇乙女いちの頭脳派である金糸雀とかにも!カンタンに入れちゃったりしちゃうのかしら!ホ〜ホッホッホ!!」
金糸雀「さてさてっ!さっそく……あら?でもこの窓までどうやって登ればいいのかしら……?」
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/15(木) 19:24:12.07 ID:9aL6Kmub0
♪♪♪……
金糸雀「うーん、難問ね…この天才軍師たるカナの知識を持ってしても……あら?何やら音楽が…この窓から?」
金糸雀「?…翠星石のマスターは歌手さんなのかしら?」
金糸雀「……」
金糸雀「音楽家としてちょっと気になるかも。窓に登る手段を考えながら、聴いててみようかしら…」
平沢進「………」カタカタ
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/15(木) 19:29:04.49 ID:9aL6Kmub0
https://youtu.be/KbxO515VuUA
♪Big Brother 核P-MODEL(平沢進) 2004
路上 スタンガンの
電撃が撃つ群衆の影
ヤイヤイと人は行き
秘密裏に事は成る
聞けよ物陰で
「良き事の為」
と囁く
見えないブラザーが
暗示のようにキミを追う
列を成せ
汝従順のマシン
享受せよ
さあ 思慮は今罪と知るべし
夜景
遍く
憎悪の声は歓喜する
ヤイヤイと踏み鳴らし
逸脱の民を撃てと
聞けよ窓辺で
「良き事の為」
と連呼する
見えないブラザーが
保護者のように
キミを見る
踏み鳴らせ
汝 善良のマシン
連呼せよ
さあ 思慮は今罪と知るべし
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを見る
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを見る
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
無情
明日の日は
キミの為にはあらずと
隅々に地を覆い
逃亡の夢も砕く
聞けよ目の前で
「良き事の為」
と囁く
見えないブラザーが
暗示のように
キミを見る
列に立て
汝 従順の下僕
享受せよ
さあ 思慮は今罪と知るべし
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを見る
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを見る
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/15(木) 19:29:55.90 ID:9aL6Kmub0
金糸雀「………」(゜д゜)ポカーン
金糸雀「す……!」
金糸雀「すごいのかしら…!!」
金糸雀「初めてこういう曲を聴いたのかしら!どういうジャンルなの?見たカンジだと、機械から音楽が流れてたみたいだけど…」ジーッ
金糸雀「歌詞の意味も…どういう事なのかしら?監視についての曲?そういえばみっちゃんが前、ゲンダイ社会っていうのは監視社会なんだって言ってたけど、それについてもよく分かってないのかしら…」
金糸雀「帰ったら調べてみようかしら。天才軍師たるもの、情報収集もしっかりするのが当然のこと!みっちゃんに頼んで、ケータイの力を駆使すればきっと…てっ!!?」
窓)平沢進<●><●>
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