平沢進「東京のヒラサワです」翠星石「まきますか?まきませんか?」平沢進「違います」

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136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:30:23.81 ID:9aL6Kmub0
金糸雀「きゃあっ!?」ドテッ

金糸雀(ば、バレちゃった!!に、逃げなきゃなのかしら!取り敢えずその植木鉢の横に!|)彡 サッ

平沢進「……」

植木鉢|Δ`*)ジー

平沢進「…噂に違わぬ、鳥類の金糸雀も悲しむような人形だ。さて、どうしてくれようか。……ん?」サッ
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:31:07.79 ID:9aL6Kmub0
「ここなの?蒼星石」

金糸雀「う、うっひゃあ!?」ガサッ

蒼星石「そうだよ、真紅。わざわざ来てくれてありがとう」

金糸雀(真紅!?それに蒼星石!?なんで一番戦いたくない二人が来るのかしら!!な、なんとかやり過ごさないと!頭脳明晰の代名詞、カナなら絶対にこの危機も切り抜けられるはず!)

真紅「…まあ、事情が事情なのだし。蒼星石に全ての非がある訳でも無いみたいだし。それに、窓を直すなんて造作もないことなのだわ」

蒼星石「うん、ありがとう。じゃあ、御礼に…ほら、『くんくん探偵switch』持ってきたよ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:31:36.55 ID:9aL6Kmub0
真紅「!!!………こほん。蒼星石、あなたは約束を守るいい薔薇乙女なのだわ。それに報いて、私も約束を守りましょう」パアァ…

金糸雀(!!あぁっ!窓が直っちゃったのかしら!これじゃ翠星石のアジトにも入れないし、こっそり曲を聴くことも出来ないのかしら…)

真紅「これでよし、と。…でもまさか、本当に『くんくん探偵switch』をくれるなんて思っていなかったのだわ。割に合っていないのではなくて?」

真紅「…あと、そこの植え込みから生えている黄色い物体はどうすればいいのかしら」

蒼星石「きっと隠れてるつもりなんだよ。放っておいてあげようよ」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:32:39.95 ID:9aL6Kmub0
真紅「ここに居るってことは、翠星石のマスターに害を成そうと……いや、まあ金糸雀にはそんなこと出来ないのだわ。放っておいても大丈夫でしょう」

蒼星石「それはそれで酷いね…。でも、彼女は彼女なりに、ローゼンメイデンとしての義務を果たそうとしてるんだよ。…それじゃ」フワー

真紅「……」

真紅「はぁ。金糸雀も蒼星石も…手間のかかる姉たちなのだわ」フワー

金糸雀(あ!か、帰っていくのかしら!さすがカナ!幸運も持ち合わせるのが天才軍師たる所以なのよ!ホ〜ホッホ!!じゃあ今のうちにスタコラサッサなのかしら!待ってなさい翠星石!またカナは帰ってくるわよ!)ピューン
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:33:24.48 ID:9aL6Kmub0
平沢進「…やっと行ったか。真剣にこのあろるの館を人形の館に改名すべきかと思った瞬間だった。だが、悩むだけで済んでなにより」

平沢進「特に黄色い鳥類。軒先にCDでもぶら下げておけば集まってこないだろうか。いや、ムリか」

平沢進「……」

平沢進「取り敢えずなにがしかの力で窓が治ったことに一周遅れの驚嘆の念を抱いて、昼の粗食を摂ることにする。鳥類人形対策は翠の娘に詳しかろう」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:34:00.37 ID:9aL6Kmub0
短いですがここまで
ホントに気軽に文句とか書いていいのよ…
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 19:35:11.82 ID:9KV6KXyrO
すき
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 22:11:41.25 ID:hKLfbRRa0
Big Brotherで入門か
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 00:18:39.29 ID:vnnyrH4no
いや、面白いよ。平沢音楽の勉強にもなるし

ちなみに真紅の能力ってなんなんだ?
窓を直したから時間系?
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 02:14:08.94 ID:uBy0BdAo0
物体の時間を巻き戻す能力を真紅に付いてる精霊?が持ってたような
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:47:37.65 ID:16HDOSna0
記憶が曖昧なんですが窓を直せることに具体的な理屈や説明は特についてなかった気がします
たぶん…
では再開します
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:48:15.27 ID:16HDOSna0
翠星石「う〜〜………んっ!!はーーー!よく寝たですぅ!!!」

平沢進「うわっ。驚いた。あんまり動かないもんだから鞄での早すぎた埋葬ごっこでもしてたのかと思った」

翠星石「は、はぁ?起きて早々やかましいです!鞄を棺桶にする気は毛頭ねーです!」

平沢進「いや、でも人形の棺桶にしてはかなり上等かと。副葬品も既に如雨露があるし。身一つ鞄一つがじいさんばあさんの最終目標とか言われてるし」

翠星石「なんで終活の話になってるですか!今の翠星石は元気いっぱいに起きたとこなんですよ?もうちょっと明るい話題をもってきやがれですぅ」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:48:58.83 ID:16HDOSna0
平沢進「明るい話題…では黄色く光る人形について」

翠星石「ズコー!そっちの明るいですか!…こほん。まあいいです。で、金糸雀がどうかしたですか?」

平沢進「さっきあろるの館にその姿を現し、植木鉢と木々にマクロな被害を与えたあと、逃げ去った」

翠星石「あのヤローもうここを見つけたですか!まったく、悪運の強いヤツですぅ。翠星石が起きてたらコテンパンのコンコンチキにのしてやったのに。で、逃げたのは何でですか?ヒラサワがその拳で闘ったんですか?」

平沢進「んなわけない。蒼い娘に、紅いヒラヒラしたのがやって来たら勝手に蒸発した」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:49:44.07 ID:16HDOSna0
翠星石「えっ!?二人が来たですか?…ああ、だから窓が直ってるんですね。というか、そっちの方がずっと大事じゃねーですか!蒼星石……それに真紅まで来るなんて」

平沢進「そう?人形の色は平安朝のごとく階級でも示すのか」

翠星石「んなこたねーですけど。真紅は第五ドールで、翠星石の二番めの妹に当たるです。普段から冷静な上に機転も効く、なかなか侮れん奴ですぅ。まあでも、翠星石が戦ったら八分二分で翠星石の勝ちってところですかね!」

平沢進「ふーん。つまり三分七分で分が悪いと」

翠星石「なんで数字が変わってるですか!まあ今のところ敵対はしてねーですし、向こうもその気はないハズです。相手にしたら厄介ですが、放っといても問題無いですぅ」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:50:32.07 ID:16HDOSna0
平沢進「なるほど。別に真紅とは血の歴史を歩んだから通り名となったわけではないと」

翠星石「はぁ?当たり前ですぅ。んなわけねーで…(!)」

翠星石「……」

翠星石「うーん……違うとも言いきれねーです。これはあくまでウワサなんですけど?真紅は夜な夜なマスターが寝てるとこに近寄って、ムリヤリ力を奪うらしいんですぅ。おしとやかそーなお口をかっ!と開いたその内には鋼鉄の牙がズラリと並んでて、それで…」

平沢進「……」

翠星石「ゆっくりゆっくり、気づかれないようにマスターの首元に近づいて…きゃーーっ!頸動脈にがぶりと噛み付いて、ごくごくと血を啜るんだそうですぅ!!そのおかげで、真紅は翠星石の妹のくせに邪悪なほど強くて、マスターはポックリ早死する…っていう話ですぅ…」

平沢進「……」

翠星石「うう〜真紅恐るべし!コワイですぅ身が震えるですぅ!ヒラサワもコワイですよね!!ほら、よしよししてあげるですよ!」

平沢進「人形劇『エセ吸血鬼人形のヨタ話』はこれにて終幕」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:51:38.81 ID:16HDOSna0
翠星石「えっ!?ほ、ホントですよ!ウソじゃねーです!」

平沢進「終始のニヤケ面からホラーを繰り出されてもこちらとしては渋面を返すしかないので。これが劇場なら座布団か枕か匙を投げている」

翠星石「う〜!おかしいです、なんで騙されねぇですか?チビ苺なら絶対大声で泣いて怖がってたのにぃ!あ、チビ苺ってのは第六ドール、雛苺のことですぅ」

平沢進「へえ。苺が怖がるのは害虫ではないのか。ホラーに怯える苺となればそれは希少。ブランド力に目のない農協が放っておかないだろう」

翠星石「うーん、普通に虫もきらいですね。チビ苺は怖がりで臆病なのでそういうものは大抵苦手なんですぅ」

平沢進「ふーん」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:52:27.90 ID:16HDOSna0
翠星石「多分ヒラサワの顔みたら泣くですよ。仏頂面のカガクシャみたいなコワモテ、チビ苺にはまだ早いですぅ」

平沢進「私の体内には意地悪い虫と腹の虫が棲んでいるため苺が怯えるのもやむ無し。しかし仏が苺にダメージを与えるとは初耳。苺はキリシタンなのか」

翠星石「むー…ホトケ様と仏頂面の違いをわかってて言ってるですね?ホトケ様がチビ苺を脅すとかいうシュールな絵面を見る気はねーです。ま、今のうちに顔の体操とかで柔和な顔の練習でもしておくですね」

平沢進「えー」

翠星石「えーじゃないです。チビ苺は泣いたらピーチクパーチクうるせーですよ。それでもいいんですか?」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:53:07.42 ID:16HDOSna0
平沢進「御免こうむる。だが顔の体操とかいうにらめっこの亜種に時間を費やすほどの暇はない」

翠星石「ふ〜ん。…ホントは暇なくせに、ですぅ」

平沢進「私が暇ならオマエは大々暇娘だ。今のところ、濁流のごとく喋り続けること以外は量販店の人形と比べ働きには大差ない」

翠星石「な、何ですと!今ヒラサワはローゼンメイデン全てを敵に回す発言をしたですよ!!」

平沢進「敵に回したのは翠色のものだけなので。というか、実際我が家に居候してから窓割りの手伝い以外に何かしましたか」

翠星石「まったく、翠星石の多大なるお手伝いを忘れたですか?困ったヒラサワですね!えーと、翠星石はこの家に来てから……えーと…………」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:54:14.91 ID:16HDOSna0
翠星石「……えーと……」

平沢進「ほらみたことか」

翠星石「……あっ、そうです!スコーンを作ったです!ほっぺたが床まで落ちるようなあまーいスコーンを作れる人形なんて家電量販店どころか超高級ドールショップを覗いてもどこにも並んでねぇですぅ!ふふーん!どうです?参ったですか!」

平沢進「でも私の取り分は翠の人形の溶鉱炉に溶かされましたが」

翠星石「えっ!?んなこたねーですぅ!翠星石は昨日一個しか食べてねーんですよ?翠星石が一個、ヒラサワが一個、蒼星石が一個。ちゃんとみんなでおいしく食べたはずですぅ!翠星石は算数も分かる才色兼備なので間違いねーですぅ!」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:54:52.76 ID:16HDOSna0
平沢進「四則演算の法則が昨晩だけ捻じ曲がったか夜明けの内に定説を覆す新説が発表されたのなら正しいかもしれない」

翠星石「ええー?おかしいですぅ!翠星石は蒼星石とお話しながらスコーンを食べて、それでヒラサワの曲を聞いて、その後ヒラサワが灯りを消すから慌てて食べ忘れてたスコーンを……あ」

平沢進「3ひく2は1。そして1は蒼の娘の炉の中。ということは」

翠星石「………間違えてヒラサワのも食べちまってたですぅ!!あはははーですぅ!!」

平沢進「……」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:55:36.88 ID:16HDOSna0
翠星石「でもでも、ここは翠星石の空前絶後の可愛さに免じて許してやって欲しいですぅ?」

平沢進「…………」

翠星石「…………」

平沢進「……………………」

翠星石「…………………い」

翠星石「今からちゃんとお掃除とお庭の手入れをしてくるです」

平沢進「長すぎた沈黙にそこそこ値する答えで安堵」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:57:55.30 ID:16HDOSna0
短いですがここまで
短い上に展開も進まない
書いてて困りましたが平沢さんと翠星石が喋るとやたら話が長くなるので勘弁してください
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 23:01:35.66 ID:S8H1LItkO
エミュレーター何積んでるんです?
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 23:06:50.67 ID:16HDOSna0
TAINACO-eですね(違)
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:01:27.26 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「すこやかに〜伸びやかに〜♪」パァアア

平沢進「因みに巨木を生み出すのは禁止で」ヌッ

翠星石「わっ!おどかすなですぅ!心配しなくても普通に水やってるだけですぅ」

平沢進「あ、そう。では私は向こうで仕事をするので静かに水をやるように」

翠星石「あいあーい、ですぅ」

平沢進「じゃ」サッ
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:02:13.20 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「まったく、神出鬼没なのは癖か何かなんですかね。びっくりするからやめて欲しいですぅ」

翠星石「…それにしても」

翠星石「この館、屋内なのに植物でいっぱいですぅ。それに、みんな手入れが行き届いてて元気ですぅ。このヤシの木みたいなのも、たくさんのサボテンとかも…」

翠星石「ま、翠星石の趣味とはちょっと違うですけど。でも、植物を大事にするヤツに悪いヤツはいねーですぅ。やっぱりヒラサワに電話したのは正解…とまではいかなくても間違いじゃなかったですね」

翠星石「さてっと。多肉植物は水をやり過ぎるのはダメですから土の様子を観て…。色んな容器で水栽培してる植物は、この『庭師の如雨露』の力をほんのちょっぴり分けてやるです。きっと、今まで以上に元気になってくれるはずですぅ!」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:03:03.51 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「『庭師の鋏』がないから剪定とかはできねーですが…どうせヒラサワに無断で葉や枝を落とす訳にも行かないですし。今回は蒼星石に頼る必要もねーです!」

翠星石「おおっ?向こうにもスゴいたくさん植物があるです!まるで小さな植物園みたいですぅ!あ、あそこのは花が咲いてるです!蕾のついてるのもあるですぅ!」

翠星石「ふんふんふふ〜ん♪…久々に植物と触れ合うのはやっぱりいいもんですね。ねぇ、スイドリーム!」チカチカ

翠星石「やっぱりスイドリームも嬉しいですか!ですよね、これぞ庭師の仕事…あれ?」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:03:55.71 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「なんかあそこに…ヘンなものがあるですぅ。植物じゃねーですね、えっと…」

翠星石「え……これは…?」

ストーン「……」

(※平沢さんのTwitterにて度々活動の報じられる外宇宙からの訪問者と疑われる正体不明の六本足の石)
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:04:43.32 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「スイドリーム!」バッ

翠星石「なんですか、コイツは?優雅にガラスの容器にひっかかって植物を見上げているですぅ。ただの、石の飾り……?」

翠星石「…いや…違うです!」

ストーン「……」

翠星石「コイツ…足が生えてるです…!それに、六本も…!」

翠星石「足が六本ってことは…む、虫の仲間ですか?でも、こんなヘンなの見たことねぇですぅ」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:05:55.16 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「植物を襲う害虫にも、こんなヤツは覚えがねぇですし…どっちにしろ虫はイヤですぅ。近寄りたくねぇですぅ」

翠星石「……でも」

翠星石「本当に害虫なら…そこの植物を食べようとしてるのかもしれないですぅ。そんなことは、この館の庭師である翠星石の目が黒いうちに許すわけにはいかんですぅ!」

スイドリーム「?」チカチカ

翠星石「油断するな、ですか?分かってるですぅ。今はお仕事中。ヒラサワ家の植物の為にも、水やりは完璧に済ませる必要があるんですから!翠星石にはちゃんと作戦があるです…」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:07:08.67 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「ふふん…。そっと後ろに回り込んで死角から如雨露で床に叩き落としてやるですぅ!ああいうカタチの虫なら横や後ろには目が向かないはず!ゆっくりゆっくり近づけば…」

翠星石「って……あっ!」

翠星石「コイツ…死角がない…ですぅ?…」

翠星石「この石みたいな虫、どっちを向いてるかが全然分からねーですぅ!め、目はどこですか?前脚はどっちです?目印になるものがどこにもねーです!」

ストーン「……」

翠星石「それに…この堂々とした態度!さっきからピクリとも動く様子がねーですぅ。まるで、この翠星石を相手にしているのに何にも感じてないみたいに…」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:08:47.13 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「ごくり…こんな強敵、初めてですぅ。攻め手が分からねーことほど不気味なもんはねーですぅ…」

翠星石「……」

ストーン「……」

翠星石「…こうなったら、植物に当たらないように遠くから水を飛ばしてヤツを攻撃するほかないですぅ!大丈夫、翠星石は出来る子です。スイドリームと力を合わせれば…きっと…ねっ!スイドリーム!」

スイドリーム「!?…」ヒュンッ
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:09:19.04 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「スイドリーム…?お、囮になってくれたですか!ナイス誘導ですぅ!今ですっ!て〜いっ!!」バシャアアアア!

ストーン「……」パシッ カタン…

翠星石「!!うぎゃああああああ!!ついに動きやがったですぅ!!スイドリームっ!もっと水ですぅ!」バシャアアアアッ!!

ストーン「……」ザバァッ カタカタ…

翠星石「ひぎゃあああああああ!!!こ、こっちくんなです!!近寄んなですぅううううう!!吹き飛ばしてやるですぅ虫なんか怖くねぇですぅううううう!!!」ブンブン

バシャアアアアッ ビシャッ バシャア
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:09:55.15 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「ふー…ふー…」

ストーン「」

翠星石「ふ…ふう。ようやく止まったですか!ざまぁみろですぅ!虫の分際でこの翠星石に立ち向かったのが間違いだったですね!オーホッホッホ!館の平和は守られたですぅ!」

翠星石「…ありゃ?」

ストーン「……」

翠星石「これ…本当にただの置物…?」ヒョイ

翠星石「さっきのは、ただ水に当たって動いてるように見えてただけ…」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:10:47.70 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「…なぁ〜んだ!心配して損したですぅ。拍子抜けで………ってああっ、床がぜんぶビショビショですう!あわ、あわわ!ど、どうしましょうヒラサワに怒ら」

平沢進「静かに水やりをしろとゆっただろう」ヌッ

翠星石「あ…」

平沢進「あ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:11:46.77 ID:Y3tpTcyB0
…………
平沢進「今日がストーンの湯浴み日だったとは初耳」カタン

ストーン「……」

翠星石「………」

平沢進「ついでに我が家に雨季の密林のごとく水溜りが出現するとは。雨乞いの舞踏をした覚えはないが」

翠星石「あの…翠星石は水やりをしてて…それで…」

平沢進「我が家のフローリングは潤いも求めていないし水によって活性するタイプでもない。水やりの範疇が欧州と日本ではここまで異なるとは驚愕」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:12:48.84 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「ち、違うですぅ!翠星石は、水やりは真面目にやったですぅ!ただ、あの置物が虫だと思って…」

平沢進「ストーンはストーンであり炭素が含まれていたとしても虫の親類と言えるほど組成に似るわけではない。見た目にもそれが充分表れているかと」

翠星石「う…翠星石は…ヒラサワの為にただ頑張っただけで……」

翠星石「うぅ〜…」

翠星石「何でですぅ……なんでなんもかんも上手くいかねぇんですか……翠星石は、ヒラサワにマスターになってもらうために、一心不乱にやってるのに……」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:13:31.63 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「翠星石は……翠星石は……っ」ギュッ…

翠星石「う〜〜っ!!!」シュパッパタン

平沢進「あ、棺桶鞄に。…あのねぇ」

翠星石『す……』

翠星石『翠星石は悪くねーです!!あんな分かりにくいものを置くヒラサワが悪いんです!!翠星石は一生懸命頑張っただけなんですぅ!何も悪くねーんですぅ!』

平沢進「……」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:14:07.16 ID:Y3tpTcyB0
翠星石『翠星石は絶対謝らないですよ!だって悪くねーんですから!い、いくらヒラサワが怒っても、翠星石はぜってー謝らねーんですから!!』

平沢進「あ、そう」

翠星石『っ………』

平沢進「では私は仕事をするので、静かに拗ねるように」

翠星石『………』
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:16:56.63 ID:Y3tpTcyB0
https://youtu.be/Y5mCd2VEqNA
♪水脈 平沢進 2006

あー夜の月ほど高く
あー大樹の上 鳥さえ聞く

あまねく人の道に湧き
知られぬ水の音

あー空の星ほど遠い
あー昔の歌にまだ隠れ

あまねく夜の機微に湧き
汲まれぬ水の音

道の上に立ち鳥の声を読みうなだれ
何度澄んだ水の音を逃し望まぬ日は来た
雲の形さえ描いて示したはずだと
何度過ぎたオアシスを知らず荒れ野に立つ

あー夜の月ほど高く
あー大樹の上 鳥さえ聞く

あまねく人の道に湧き
知られぬ水の音

道の上に立ち鳥の声を読みうなだれ
何度澄んだ水の音を逃し望まぬ日は来た
雲の形さえ描いて示したはずだと
何度過ぎたオアシスを知らず荒れ野に立つ
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:18:05.81 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「……」カタカタ…

平沢進「……」カタン

平沢進「さて。頼んでもいない天の祝福を処理しに出向こう」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:18:34.48 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「ん?」

平沢進「雨季に出現した水溜りが乾燥帯の砂に吸い込まれたかのごとく消えている。これはまさか、世間で絶賛値下げ中の奇跡や神といったものが我が家にも舞い降りたか」

翠星石「………」

平沢進「うわっ。神が遣わしたまじない人形?」

翠星石「ち、ちげーです!お父様が遣わした薔薇人形ですぅ!」

平沢進「ふーん、そう」

翠星石「こほん……えぇっと……ヒラサワ、その…」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:19:44.75 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「………」

平沢進「………」

翠星石「…水溜りはこの翠星石がキレイにしてやったですぅ!あと残りの植物にも水をやっといたですぅ!あ、ありがたく思いやがれこんちくしょーですぅ!!」

平沢進「……」

翠星石「え…えと…」

翠星石「……お、おこってる…ですか?」

平沢進「地球が瀉血の度に噴き上げるマントルの血飛沫のごとく怒り心頭…とヒラサワが金切り声で叫んだら?」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:20:51.44 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「え、えっと……」

平沢進「………」

翠星石「……」

翠星石「ご、ゴメンなさいですぅ!!翠星石は、間違えてヒラサワの置物と館の床をしっちゃかめっちゃかにしちまったですぅ!ぜんぶ翠星石の不覚ですぅ…」

スイドリーム「…!」チカチカ

翠星石「スイドリーム…お前は悪くねぇですぅ。さっきは置物だって教えてくれようとしてたですね。翠星石は、虫がコワイのと頑張らなきゃってキモチで、ロクに考えも聞いてなかったです…」

平沢進「…さっき絶対謝らないとか聞いた気がしたが」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:21:37.95 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「あれは…その…ひ、ヒラサワお得意の比喩を真似ただけですぅ!」

平沢進「へえ、そう」

翠星石「う………」

平沢進「………」

翠星石「う〜…!ど、どうしたら許してくれるですか…?」

平沢進「………」

翠星石「翠星石に出来ることならなんでもするですぅ!だからだから…追い出したりとかは…」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:22:47.48 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「………」カタン

ストーン「………」

平沢進「ストーンは同居人である。ヤツはあろるの館を好きに放浪する。植物鑑賞も彼の主な趣味。たまに胆石になってたりもするけど」

翠星石「……?その足の生えた石のことです?それがどうしたですか?」

平沢進「ちょっと静かに。ストーンが極微細な活動電位で何かを伝えようと震えている。なに…」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:23:33.10 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「…なるほど。彼は自らの尊厳を綺麗に洗い流した人形に対し、ひどい憤りを覚えている。提示する条件を受け入れなければ、地方裁判所に民事訴訟状を叩きつけることも辞さぬ構えと」

翠星石「!!…わ、分かったです。ちゃんと聞くです」

平沢進「彼の提示する条件を、同居人である私が読み上げよう」

平沢進「『本日は晴天麗しく…』」

翠星石「すまんですぅ。序の挨拶は端折っても大丈夫ですぅ」

平沢進「そう?じゃ」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:24:30.28 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「『望まぬ祝福を吾に与えし人形の娘には、我が七本目の脚としてあろるでの旅路に寄与する事を求める』」

翠星石「え?…ど、どういうことですぅ?」

平沢進「さあ。ストーンはあろるの館を徘徊する者だが、彼にとっては巡礼の旅か何かだったのかもしれない。それを手伝えというのは彼にしても一大決心の賜物だったに違いない」

翠星石「?…つまりこのストーンを…好きな時に、色んなところに飾ってあげればいいってことですか?」

平沢進「人形語に翻訳すると、そう」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:26:18.12 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「…それだけです?」

平沢進「それだけ」

翠星石「…えぇー…」

平沢進「えーじゃない」

翠星石「だってだって、ヒラサワ怒ってたんじゃないんですか?そんな、些細なインテリアの模様替えぐらいで…ホントに許してくれるんです?」

平沢進「怒ってないですが。ヒラサワは数年ほど前から怒りを覚えなくなったので。あとインテリアではなくストーン」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:27:42.27 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「は、はぁ!?じゃあさっきのマントルがどーのこーのは…!!」

平沢進「ヒラサワお得意の比喩です」

翠星石「むきーっ!翠星石の言葉をパクんなですぅ!もう…もう!謝って損したですぅ!」

平沢進「人形が頭を下げて表示価格が下がるなんてことは」

翠星石「損ってのも比喩ですぅ!」

平沢進「あ、そう」

翠星石「む〜…っ!」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:28:36.28 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「まあこれで翠の人形の仕事も増え、中ウィンが大ウィンになったことだし。そんなに立腹しても腹が減るばかりで一害あって一利無し」

翠星石「あっ、そうでした!…ってことは、これでうぃんうぃんのカンケーですね?やった!ついに翠星石も契約完遂ですぅ!これでヒラサワがマスターに…」

平沢進「いやまだ大ウィンだし。ウィンとは幾分かの距離があるかと」

翠星石「ズコー!な、なんでですか!この前、あと一歩で契約だって言ったじゃねぇですか!また騙しやがったですか!?」

平沢進「それはオマエが自分で言っただけのうえにただのお得意の比喩なので。それに人形の一歩はヒラサワの歩む一歩と必ずしも同距離とは限らない」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:29:02.93 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「む、むぅ〜っ!屁理屈ばっかり!この…この屁理サワ!」

平沢進「なんとでも言うがいい」

翠星石「ちくしょーです!今に見てるですよ!ぜったい、この翠星石の力を全面的に認めさせてやるですから!覚えてやがれですぅ!!んじゃ夕メシ買ってくるですぅ!!」ヒューン

平沢進「はい。ただし窓は割らずに出立すべし」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:35:40.97 ID:Y3tpTcyB0
一旦ここまでです
今回は時間かかった割に結構上手くいかなかったので
好きに感想や批判をお願いします
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 12:16:42.66 ID:UgvenFlzo
妄想代理人のOP見てそっからCD集めたなぁ。
P-MODELのCDが中々見つからなくてCD屋探しまくった良い思い出。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/19(月) 17:07:39.73 ID:OSquR8r80
平沢語の再現力が高いのと掛け合いがうまいので今後も期待です
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 19:56:49.50 ID:H3Z0aY0DO
signだかが出てくるのを心待にしている
もっというならあの謎言語がどう文に起こされるのか期待している
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 18:46:47.62 ID:c+s7tzCz0
初めてまともに聞いたの美術館だったな
今思うとよくハマったな
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 18:49:57.33 ID:msYSz8Lfo
よくよく聞くと民族調で普通にいい曲が多いんだけど
妄想代理人とかパプリカの映像のインパクトが強すぎて曲までマジキチ扱いされてるという
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/23(金) 13:30:20.18 ID:PhSMjkdVO
話を考えるために
ローゼンメイデンを再読しながら百足らず様講釈を聴いていたら頭がおかしくなってしまったのでちょっと更新が遅れています
今日か明日には更新出来ると思うのでしばしお待ちください
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 13:35:51.22 ID:PhSMjkdVO
あっ、SAGAになってるじゃないか…
勘弁してください……
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 17:51:43.88 ID:JzrZxyOBO
百足らず様は頭おかしなるで
根詰めず程々に。
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:03:59.55 ID:oUN7OavX0
金糸雀「フーッフッフッフ……」

金糸雀「ふぅ…ようやく戻ってきたのかしら…翠星石のアジトに!!」

金糸雀「前は慌てて帰ったせいでつい道を忘れちゃったけど…ピチカートのおかげで、17回の失敗を経てなんとか再び辿り着けたのかしら!」

金糸雀「苦節三日と少し。何度山道で道を見失ったことか…イノシシに追いかけられた時は流石にこの知的で素敵な第二ドールのカナでさえ、生命の終わりを覚悟したのかしら…」

金糸雀「でも…そんな苦労も全て!今日この時に、翠星石を打ち破るためにあったのよ!オーッホッホッホ!」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:04:50.54 ID:oUN7OavX0
金糸雀「さてっと!では呼び鈴を押しましょう!これを押せば家主と翠星石が出てくるのかしら!そんなことは自明の理!今日こそアリスゲームの緒戦の勝利者となって、すっきりしゃっきりして帰るのよ!」

金糸雀「うーんしょっ!あれ、呼び鈴に届かな……あ、ピチカート、代わりに押してくれるの?流石はカナの人工精霊なのかしら!」

金糸雀「じゃあピチカートっ!戦いの始まりを告げる鐘、もとい呼び鈴を鳴らすのかし……」

金糸雀「………」

ピチカート「…?」

金糸雀「ちょっと待ってね、ピチカート。このまま呼び鈴を鳴らしたら…」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:06:11.89 ID:oUN7OavX0
金糸雀「翠星石のマスターである歌手さんとも敵対することになるのかしら。そうしたら、こんな風に庭に来ることも出来なくなるかも」

金糸雀「みっちゃんに頑張って色々調べてもらって、前聴いた曲は有名な小説をモチーフにしてるって勉強したのに。それが現代でも終わっていない問題を取り扱ってるってことも…」

金糸雀「調べれば調べるほど、音楽家としてのカナの本能が囁くのかしら!もっとこの人の曲を聴いてみたいって!」

金糸雀「……でも」

金糸雀「その為にアリスゲームを放り出す訳には行かないのかしら。みっちゃんとお父様の悲願のために…」

金糸雀「うーん!どうすればいいのかしら…」

金糸雀「うーん…うーん……」

ブオッ
金糸雀「うわぁっ!?な、何かしら?突風…?」

ヒラ…

金糸雀「あら?この黒い羽根は…」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:07:09.02 ID:oUN7OavX0
…………
平沢進「だから。それは私の粗食であってストーンの糧食でもなければ人形のままごと道具でも無い」

翠星石「うるせーです!こんな栄養にならなさそうなものばっか食べてねーで、こっちのスコーンを食べるです!」

平沢進「だから。私も腹の虫も夕食時に食べる気は無いと」

翠星石「腹の虫は黙ってろですぅ!甘いもの用の別腹の虫は食べたいって言ってるに決まってるです!」

平沢進「別腹の虫は無口なので。最近は私に話しかけたこともない。なのでスウィーツに対し積極的に食欲を動かすこともなく」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:07:42.83 ID:oUN7OavX0
翠星石「えぇ〜ウソですぅ!甘いものが嫌いな人なんているわけねぇんですから!まして、この翠星石の作った絶品スコーンですよ?ほーら、ひとくちで良いから食べてみるです!」

平沢進「だから。そういう事以前にまず私の高品位粗食v2.0を返しなさいと」

翠星石「だからだからうるせーです!…返したらスコーン食べてくれるですか?」

平沢進「腹の虫よ応えたまえ。あ、ダメだ、粗食で非常に高い満足度を得る模様」

翠星石「じゃあ返せねぇですぅ。ヒラサワがスコーンを食べて、お互いにうぃんうぃんのカンケーになれるまで翠星石は譲らねぇですよ!」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:08:34.81 ID:oUN7OavX0
翠星石「えぇ〜ウソですぅ!甘いものが嫌いな人なんているわけねぇんですから!まして、この翠星石の作った絶品スコーンですよ?ほーら、ひとくちで良いから食べてみるです!」

平沢進「だから。そういう事以前にまず私の高品位粗食v2.0を返しなさいと」

翠星石「だからだからうるせーです!…返したらスコーン食べてくれるですか?」

平沢進「腹の虫よ応えたまえ。あ、ダメだ、粗食で非常に高い満足度を得る模様」

翠星石「じゃあ返せねぇですぅ。ヒラサワがスコーンを食べて、お互いにうぃんうぃんのカンケーになれるまで翠星石は譲らねぇですよ!」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:09:21.29 ID:oUN7OavX0
あ、ダブった
すみませんホント…
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:10:03.07 ID:oUN7OavX0
平沢進「強情な人形が菓子を材料に強請りとは。世の惨憺たる未来の一端を目の当たりにしたようで落胆」

翠星石「何言ってるですか!翠星石の未来はもう夢と希望と元気と愛と…良いものばかりの虹色に染まってるですよ!」

平沢進「虹色も混合すれば黒なので」

翠星石「何くらぁーいこと言ってるですか!翠星石の辞書にはそういうくらぁーい言葉は載ってねぇんで…って、あっ!」

平沢進「はい。粗食は本懐を遂げ腹の虫の燃料となりました。玄米に宿る神霊に向け合掌」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:10:37.47 ID:oUN7OavX0
翠星石「もう食べちまったですか!?食べるの早すぎですぅ!…というか、やっぱ量が少なすぎですぅ!ヒラサワがいくら霞食って生きてる仙人みたいな見た目でも足りるわけがないですよ!」

平沢進「筑波山は別に昇仙の為の仙境というワケでもないので。霞という有機化合物を食した憶えもない」

翠星石「仙人だろーが人間だろーがやっぱその量はおかしいって言ってんです!ほらほら、スコーンを食べてもっと翠星石みたいな元気ハツラツになるです!」

平沢進「いや、どこぞの人形のような拡声器擬きになるのは御免なので。自身が騒音の爆心地となることほど不快な事は無い」

翠星石「う、うるせーです!翠星石みたいになれるのが嬉しくねーわけがねーんです!ほら、早く食べるです!どうしても食べないってなら、実力行使してでも食べさせるですよ!」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:11:09.56 ID:oUN7OavX0
平沢進「やれるものならどうぞ。そのスマートな御足をイリザロフ法に頼らず延ばす根気があるのなら」

翠星石「ああー!!今遠回しにチビって言ったですね!む〜っ!その言葉は翠星石を本気にさせたですよ!」

平沢進「だって紛れも無い真実だし」

翠星石「むぅ〜っ!!真実を言われて傷つく乙女だっていくらでもいるんですよ!乙女心をもっと知りやがれですぅ!」

平沢進「心について知っているのは画数が四文字ということぐらいだけなので。知りもしないことを知っていると声高に叫ぶほどに私は愚かではない」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:12:26.03 ID:oUN7OavX0
翠星石「むー!!また屁理屈で逃げやがったですぅ!翠星石がいくら冷静沈着かつ篤実温厚だからと言って、いい加減に怒るですよ!」

平沢進「世論の皆さんの一般的な視野フィルタを通して見た結果、翠の人形は既に怒りに震えていると表現できる状態かと」

翠星石「むきーっ!!ま、まだギリギリ怒ってねーです!!翠星石はただ契約をしてほしくて……!」

「…まったく、さっきからピーチクパーチク煩い子ねぇ」

翠星石「……えっ!?」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:12:59.36 ID:oUN7OavX0
平沢進「あ」

翠星石「…その声は…っ!」バッ

「短気は損気よぉ。仮にも薔薇乙女と在ろうものが、御菓子の一つでぐだぐだ喚くなんて…」

水銀燈「乳酸菌、摂ってるぅ?」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:13:48.32 ID:oUN7OavX0
翠星石「て、てめぇは……!!遂に来たですか…」

水銀燈「ごきげんよう。私は薔薇乙女第一ドール、水銀燈。ノックも無しに夜分遅く失礼するわぁ」

平沢進「私は平沢進だ。平沢唯じゃない」

水銀燈「あら?これはどうもご丁寧に。最近はどこで人間に会っても、怯えられるか叫ばれるばかりでウンザリしてたのよねぇ」

平沢進「我が家の挨拶は「なんだ!」とか「やかましい!」とか「うわー」とかではないので。そういう家もあるかもしれないが」

水銀燈「へぇ、そうなの。じゃああの家は代々捨て台詞を挨拶にする家系だったのかしら…うふふ、真紅にはぴったりねぇ」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:15:20.20 ID:oUN7OavX0
翠星石「!!てめぇ、この街で真紅に会ったですか!もしかして、もう真紅を…」

水銀燈「あらぁ?そこの床でピーピー騒いでるのは…もしかして翠星石?小鳥の鳴き声かと思ったわぁ」

翠星石「むきーっ!うるせーです!何が小鳥ですか!そんな背丈変わらねーくせによく言うですぅ!」

水銀燈「あら、そう?背丈も器も段違いに違うつもりだけど。貴女のその色違いのお目目じゃ分からなぁい?」

翠星石「色違いじゃねーです!オッドアイですぅ!」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:16:12.61 ID:oUN7OavX0
平沢進「イリザロフ法の成功した人形ということか。やはり翠の人形も試してみるべきなのでは」

翠星石「結構毛だらけ猫灰だらけですぅ!」

水銀燈「いいえ、イリザロフ法は関係ないわぁ。私は生まれた時から他のドール達よりも強く、美しかったというだけよ」

平沢進「へえ」

翠星石「なーに言ってやがるですか!お前より翠星石のほうが強く美しーですぅ!ね、ヒラサワもそう思うですよね!」

平沢進「……」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:16:40.37 ID:oUN7OavX0
翠星石「なに悩んでるですか!!深刻な顔すんじゃねーです!こういう時はキミが一番だとか言うところですぅ!」

平沢進「いや、ただ美とは時代と所在とシナプスの移りにより変わる為にどちらが明確に優れるとは言い難いってだけ」

水銀燈「うふふ…少なくとも、いついかなる時代に置いてもそこの子が私に優った事なんてないわよ。時代の移ろいに左右される幅を越えて絶大に、ローゼンメイデンとしての品格が違うのだもの」

翠星石「な、なっ……!」

平沢進「ふーん」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:17:53.73 ID:oUN7OavX0
翠星石「何がふーんですか!ちっとは反論してみやがれですぅ!仮にも翠星石のマスターなんですから!言われっぱなしじゃくやしーですぅ!」

平沢進「想像上の既成事実を騙られても右眉を困惑という文字の形に傾げるしか出来ないので」

水銀燈「あら…もしかして、まだ契約してないのぉ?アハハ、そりゃそうよねぇ。こんな小煩いだけのドールと契約したい人間なんているわけないもの」

翠星石「はぁ!?このローゼンメイデンいちの才色兼備の愁眉秀麗な翠星石と契約したくない奴なんているわけねーです!ヒラサワが並外れた変わり者なだけですぅ!」

平沢進「こうるさいというのとヒラサワが変わり者という点については大いに同意」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:19:19.37 ID:oUN7OavX0
水銀燈「まあ、そんなことはどうでもいいわ。さて、136時間18分ぶりね、翠星石…。前も思ったけど、ホントに蒼星石と一緒じゃないのねぇ。なんかハンパでミジメな感じぃ」

翠星石「ふん。てめーに言われる筋合いはねーです。蒼星石と翠星石は、近くに居なくたって繋がってるんですから」

水銀燈「へえ、それはそれは…『絆』とやらでぇ?まったく、つまらない話。真紅もそうだけど、それ以外に言うことはないのかしらぁ。きずな、きずなって見えないものばかりに縋って。傷心がちなロマンチストみたい」

翠星石「薔薇乙女がロマンチストで何がわりーですか!……でも、その口振りだと真紅を倒してはいねーみたいですね?もし倒してたらもっと邪悪に喜んでるハズですぅ」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:23:04.05 ID:oUN7OavX0
翠星石「ホーリエも従えてねーですし…。真紅には会ったけど勝てなかったんですね。さすが真紅ですぅ!」

水銀燈「ふん…真紅には挨拶をして来ただけよ。昔と変わらず、人間やドールと馴れ合うのがお好きなようで。まったく、無能なお友達に囲われて何が楽しいのかしらね」

翠星石「ふーんだ。てめぇには解らねぇですよ。契約もせずに、人から力を奪い取るような分からず屋には!」

平沢進「洋菓子を強請の道具に用いる人形が呟いても説得力が」

翠星石「し、しーです!今は水銀燈と話してるんですから!隙を見せたら殺られるんです、ツッコまないでください!」ヒソヒソ

平沢進「あ、そう」

水銀燈「…?」

水銀燈「…ええ。真紅の事なんか分かりたくもないわぁ。軟弱が移っちゃうもの。雛苺も、真紅も…欲しいのはローザミスティカだけ。あの子達の無意味な感傷なんて不必要なものなのよ」

翠星石「…こほん。魂だけが欲しい、ですか…ホントに悪魔みてーなやろうですね。見た目通りに!」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:27:04.45 ID:oUN7OavX0
水銀燈「あら。それだけはちゃんと分かるのねぇ。一応お目目が二つついてるだけはあるわぁ」

平沢進「いや、天使の亞種である可能性も」

水銀燈「…!?」

翠星石「はぁ?んなわけねーですよ。どう見たって悪魔の化身ですぅ。ヒラサワ、もしかして鳥目で夜だから良く見えてねーんですか?」

平沢進「失敬な。ただ、天使とは悪魔の偽名であったり、悪魔は天使の仮装だったりする。その水銀の化身もそうなのかと」

翠星石「は、はぁ…。って!ツッコミは止めてって言ったじゃねぇですか!」ヒソヒソ

平沢進「今のは純なる傍観者からの御意見でして。平手で人の頭にお決まりの奇声を叫びながら殴打を与える軽犯罪の真似事ではない」

水銀燈「……へぇ。アナタ、中々面白いことを言うのねぇ。ま、私は神仏とは縁がないんだけど」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:28:06.04 ID:oUN7OavX0
翠星石「え、ヒラサワの言葉が通じてるですか?センスのねー奴ですね!あんな小難しい割に意味不明なことを、マジメに聞いてる時点でお郷が知れるってもんですぅ」

水銀燈「ふん。薔薇乙女のお郷は皆お父様の手の中でしょうに。ヘタな煽りは無言よりずっとイタイわよぉ」

水銀燈「…まあ?貴女はお父様の手違いで生まれてしまったようだし、失言は仕方ないのかもだけど」

翠星石「なっ……なぁーっ!!?てめぇ、今……!!」

平沢進「あ、そうなの?」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:30:43.23 ID:oUN7OavX0
翠星石「…んなワケねーですっ!!!翠星石は、お父様の寵愛を受けた誇り高きローゼンメイデンの一人ですぅ!水銀燈、それは翠星石と一緒に生まれた蒼星石への侮辱でもあるんですよ!」

水銀燈「そう。一つとして生まれるべきだったものが分たれて生まれたの。貴女は、欠片となったローザミスティカのそのまた欠片…」

水銀燈「貴女は最初から不完全さの写し身なの。完璧な乙女であるアリスには程遠い存在…それが生まれた時から決定づけられた上で生きるのが貴女たち。私に敵う道理がどこにあるの?」

翠星石「…いくら最初に生まれたからって、言っていいことと悪いことがあるですよ」

水銀燈「あ、怒っちゃった?図星をつかれるとヒトってすぐ頭に血が上るのよねぇ。自愛的なヒトに似るアナタ…やっぱり美しくないわ。それにいちいち煩いし」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:31:46.55 ID:oUN7OavX0
翠星石「うるせーのはてめぇです。…スィドリーム!!」

水銀燈「あらぁ…お喋りはここまでかしら」バサッ

翠星石「ぜってー許さねーですぅ!!この翠星石の全身全霊の力を以て、なんとしても謝らせてやるですぅ!!翠星石と蒼星石が生まれたのが、間違いだなんて…!!」

水銀燈「うふふ…間違いだというならローゼンメイデン自体がみんな間違いなのよぉ。だって、誰一人お父様の求めるアリスとして生まれることが出来なかったんだもの。その中でも、貴女たちは一人じゃマトモに立つことも出来ない憐れな子…」

翠星石「黙りやがれですぅ!!翠星石は……一人でも闘えるですぅ!」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:36:02.89 ID:oUN7OavX0
水銀燈「じゃあ、震えてるのはどうして?分かるわよぉ、初めて蒼星石抜きで闘った時、分かったのよねぇ?自分は一人じゃマトモに武器も振るえない…ジャンクだってこと」

翠星石「だ、黙れ黙れですぅ!怯えてなんかねーですぅ!勇気一杯元気一杯なのが翠星石のモットーですぅ!」

水銀燈「いいのよ強がらなくて。背中に蒼星石がいないと、怖くて足元が覚束無いんでしょう?」

翠星石「ん、んな……んなことねーです!翠星石は…翠星石は…!」

平沢進「………」

平沢進「…被造物は皆、宇宙のつまらない冗談から生まれた」

翠星石「…?」

平沢進「場酔いのノリで無窮の世界の底に沈んだ原子がぶつかり合って分子が跳ね、それらが東京の人ゴミのごとく混ざり合って原始のスープが」

平沢進「最初から何もかも手違いなのだから、今更何を怯える必要があるというのか」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:36:54.18 ID:oUN7OavX0
水銀燈「…!」

翠星石「…それって、フォローです?」

平沢進「いや、冗談」

翠星石「ズコー!急にヒラサワがマスターらしいことをしてくれたのかと思ったのに!」

平沢進「マスターでもないのにマスターらしく出来るはずもなく。ヒラサワはヒラサワらしいだけ」

水銀燈「アナタ、さっきから中々興味深い事を言うのねぇ。最初から手違い…ね。こっちに来てからも、向こうにいた時も、面白いことを言う人間ってあんまり居なかったから珍しいわぁ」

平沢進「へえ、そう」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:39:55.89 ID:oUN7OavX0
水銀燈「ま、だからと言って躊躇するつもりは無いけど。命が惜しかったら、頭を抱えて伏せてることねぇ。怪我の保証はしないけど、面白いお話の御礼に命の保証ぐらいはしてあげるわよ」

平沢進「それはどうも。ただ、自宅の寝台以外で床を這い蹲う趣味は持ち合わせていないので」

水銀燈「…ふーん。そう。まあいいけど」

翠星石「ふー…兎にも角にも、頭がちょっと冷えたですぅ。でも、このまま水銀燈を許すつもりはねぇですよ!行きましょう、スィドリーム!!ヒラサワ!」

平沢進「え。だからまだ私はマスターとかいう英単語の一種では無く」

水銀燈「あら、やっとその気になったぁ?ちょっと気が削がれちゃったけど…お喋りにも飽きたし、じゃあやりましょうか」

水銀燈「…このお喋りよりも闘いが長引くとは思えないけどぉ」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:41:19.13 ID:oUN7OavX0
一旦ここまでです
好きに御批判や御意見をお願いします
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 21:48:51.37 ID:oUN7OavX0
大変恐縮なんですが質問とかも多分ないと思うんですがもしありましたら受け付けております
レス番の引用方法とか分かってないんですが自分の身の丈に合う程度に返答しますので気軽にどうぞ
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 02:07:17.10 ID:YZ9AJ7Xc0
>>224
薔薇乙女の中だと誰が一番好き?
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 20:33:13.03 ID:Z+difkuvo
>>224
ヒラサワと愉快な仲間たち、もといP-MODEL歴代メンバーの中だと誰が一番好き?
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 13:11:10.59 ID:Wcm6RkxFo
銀様と普通に会話出来てるのは流石
文化人だけあってレベルが高い
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 09:41:19.89 ID:Iv89bLwB0
>>225
やっぱり翠星石ですね。次が蒼星石です。でも漫画読み返してたら皆健気で個性があっていいなぁと思いました(小並)
クールな僕っ娘大好きなのですが何故か翠星石が一番好きでした 不思議ですね…
>>226
馬の骨歴が浅いのでP-MODELのメンバーに詳しい訳じゃないんですが、個人的にはことぶきさんですかね。過去のライブとか観てると実際どうかは知りませんが怪しすぎて平沢さんの相棒感がパないです まじカッコイイ
あと一応Twitterで福間さんをフォローしてます()

多分今夜には更新できると思います いつも遅くてすみません
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 21:27:25.07 ID:MKCHY0w30
昨日更新すると言いましたがすまんありゃウソだった
代わりに今からします
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 21:27:57.98 ID:MKCHY0w30
翠星石「……と見せかけて!ぽーいっ!」

平沢進「あ」

水銀燈「……はあ?」

平沢進「…あのねぇ」

翠星石「ふっふーん…騙すなら味方から、ですぅ!ヒラサワ、いま翠星石のスコーンを食べたですよね!欠片をパクって!間違いねーです!別腹の虫に聞いてみやがれですぅ!」

平沢進「なんという非道を敷く人形なのか。開いた口を洋菓子で塞ぐとは。開いた口が塞がらない」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 21:28:29.62 ID:MKCHY0w30
翠星石「問答無用ですぅ!さあヒラサワ、約束を今こそ果たすですよ!さっきは一人でも闘えるって言いましたけど…一人より二人の方が心強いに決まってるですぅ!」

水銀燈「…一体なんの話ぃ?つまらなそうだから聞くつもりは無いけど、この私を前にして人形劇を始めるなんていい度胸ねぇ」

翠星石「劇じゃねぇです!うぃんうぃんカンケーの最後の橋渡しですぅ!」

水銀燈「もっと意味が分からないわ。バカみたぁい」ゴオッ

翠星石「どわぁああ!?ひ、ヒラサワ急ぐですぅ!」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 21:29:05.73 ID:MKCHY0w30
平沢進「はあ。で、契約書は。まだ我が家の電話機は何も受信していないが。やはり国際FAXの為タイム・ラグが…」

翠星石「だーかーら!契約書をFAXで送るシステムじゃねーんですって!ほら、これが指輪で…うわっと!?」バッ

水銀燈「あら、惜しい」

翠星石「あぶな……っと、これに口づけすればいいだけですぅ!」

平沢進「えー……」

翠星石「えーじゃねぇです!何今までで一番のイヤな顔してるですか!今そっちに指輪持ってきますから待ってやがれですぅ!」

平沢進「だって口づけって。あのねぇ。少女漫画のテンプレートじゃないんだから…」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 21:29:45.59 ID:MKCHY0w30
水銀燈「約束って、何かと思えば契約の事?面倒だしぃ、その前に終わらせて貰うわよぉ」

翠星石「げっ!スィドリーム!もっとめいっぱい世界樹の葉を出すですぅ!健やかに〜伸びやかにー!」

水銀燈「邪魔くさいわねぇ。こんな草でどうにかなるとホンキで思ってるのぉ?」ズバッ

翠星石「うっ、うわぁっ!あんなあっけなく…!もっとです、スィ……」

翠星石「あ……あれ?」カクン

水銀燈「…あら♪」

平沢進「?…」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 21:31:09.35 ID:MKCHY0w30
翠星石「しまった…です……ネジが…もう…きれるですぅ…!…契約してないまま…一気に力を使ったから……」

水銀燈「アハハ、貴女にはお似合いの結末よぉ。蒼星石に死に顔がどうだったかぐらいは教えてあげるから、安心して逝きなさぁい」バサッ

翠星石「く………に…逃げなきゃ……で……」フラッ

水銀燈「させないわぁ♪最後くらいは静かにしなさいな。ローザミスティカ、有難く戴くわよ」

翠星石「う…うわぁっ…!!…ひゃっ?」ヒョイ

ドスッ!!
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 21:32:03.55 ID:MKCHY0w30
水銀燈「…あら」

平沢進「……」

水銀燈「ふぅん…。その子を庇うのお?もう少し思慮分別のある人に見えたけどぉ」

平沢進「いや、何せ翠の人形はあろるの館前に配置されていたものをヒラサワが一時拾得しただけなので。持主の現れる前に破壊されたとあって私に賠償責任を発生させる訳にはゆかず」

翠星石「ひ、ヒラサワ……ナイス…カバー……ですぅ……でも…この持ち方は……あんまり…ですぅ…子猫じゃ……ねーんですから…」

平沢進「あ、つい」

翠星石「ま……いいですぅ……じゃあこれ…指輪…です…」

平沢進「はあ」パシ
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