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平沢進「東京のヒラサワです」翠星石「まきますか?まきませんか?」平沢進「違います」
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187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/18(日) 20:29:02.93 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「む、むぅ〜っ!屁理屈ばっかり!この…この屁理サワ!」
平沢進「なんとでも言うがいい」
翠星石「ちくしょーです!今に見てるですよ!ぜったい、この翠星石の力を全面的に認めさせてやるですから!覚えてやがれですぅ!!んじゃ夕メシ買ってくるですぅ!!」ヒューン
平沢進「はい。ただし窓は割らずに出立すべし」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/18(日) 20:35:40.97 ID:Y3tpTcyB0
一旦ここまでです
今回は時間かかった割に結構上手くいかなかったので
好きに感想や批判をお願いします
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/19(月) 12:16:42.66 ID:UgvenFlzo
妄想代理人のOP見てそっからCD集めたなぁ。
P-MODELのCDが中々見つからなくてCD屋探しまくった良い思い出。
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/19(月) 17:07:39.73 ID:OSquR8r80
平沢語の再現力が高いのと掛け合いがうまいので今後も期待です
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/19(月) 19:56:49.50 ID:H3Z0aY0DO
signだかが出てくるのを心待にしている
もっというならあの謎言語がどう文に起こされるのか期待している
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/21(水) 18:46:47.62 ID:c+s7tzCz0
初めてまともに聞いたの美術館だったな
今思うとよくハマったな
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/21(水) 18:49:57.33 ID:msYSz8Lfo
よくよく聞くと民族調で普通にいい曲が多いんだけど
妄想代理人とかパプリカの映像のインパクトが強すぎて曲までマジキチ扱いされてるという
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/23(金) 13:30:20.18 ID:PhSMjkdVO
話を考えるために
ローゼンメイデンを再読しながら百足らず様講釈を聴いていたら頭がおかしくなってしまったのでちょっと更新が遅れています
今日か明日には更新出来ると思うのでしばしお待ちください
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/23(金) 13:35:51.22 ID:PhSMjkdVO
あっ、SAGAになってるじゃないか…
勘弁してください……
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/23(金) 17:51:43.88 ID:JzrZxyOBO
百足らず様は頭おかしなるで
根詰めず程々に。
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:03:59.55 ID:oUN7OavX0
金糸雀「フーッフッフッフ……」
金糸雀「ふぅ…ようやく戻ってきたのかしら…翠星石のアジトに!!」
金糸雀「前は慌てて帰ったせいでつい道を忘れちゃったけど…ピチカートのおかげで、17回の失敗を経てなんとか再び辿り着けたのかしら!」
金糸雀「苦節三日と少し。何度山道で道を見失ったことか…イノシシに追いかけられた時は流石にこの知的で素敵な第二ドールのカナでさえ、生命の終わりを覚悟したのかしら…」
金糸雀「でも…そんな苦労も全て!今日この時に、翠星石を打ち破るためにあったのよ!オーッホッホッホ!」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:04:50.54 ID:oUN7OavX0
金糸雀「さてっと!では呼び鈴を押しましょう!これを押せば家主と翠星石が出てくるのかしら!そんなことは自明の理!今日こそアリスゲームの緒戦の勝利者となって、すっきりしゃっきりして帰るのよ!」
金糸雀「うーんしょっ!あれ、呼び鈴に届かな……あ、ピチカート、代わりに押してくれるの?流石はカナの人工精霊なのかしら!」
金糸雀「じゃあピチカートっ!戦いの始まりを告げる鐘、もとい呼び鈴を鳴らすのかし……」
金糸雀「………」
ピチカート「…?」
金糸雀「ちょっと待ってね、ピチカート。このまま呼び鈴を鳴らしたら…」
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:06:11.89 ID:oUN7OavX0
金糸雀「翠星石のマスターである歌手さんとも敵対することになるのかしら。そうしたら、こんな風に庭に来ることも出来なくなるかも」
金糸雀「みっちゃんに頑張って色々調べてもらって、前聴いた曲は有名な小説をモチーフにしてるって勉強したのに。それが現代でも終わっていない問題を取り扱ってるってことも…」
金糸雀「調べれば調べるほど、音楽家としてのカナの本能が囁くのかしら!もっとこの人の曲を聴いてみたいって!」
金糸雀「……でも」
金糸雀「その為にアリスゲームを放り出す訳には行かないのかしら。みっちゃんとお父様の悲願のために…」
金糸雀「うーん!どうすればいいのかしら…」
金糸雀「うーん…うーん……」
ブオッ
金糸雀「うわぁっ!?な、何かしら?突風…?」
ヒラ…
金糸雀「あら?この黒い羽根は…」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:07:09.02 ID:oUN7OavX0
…………
平沢進「だから。それは私の粗食であってストーンの糧食でもなければ人形のままごと道具でも無い」
翠星石「うるせーです!こんな栄養にならなさそうなものばっか食べてねーで、こっちのスコーンを食べるです!」
平沢進「だから。私も腹の虫も夕食時に食べる気は無いと」
翠星石「腹の虫は黙ってろですぅ!甘いもの用の別腹の虫は食べたいって言ってるに決まってるです!」
平沢進「別腹の虫は無口なので。最近は私に話しかけたこともない。なのでスウィーツに対し積極的に食欲を動かすこともなく」
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:07:42.83 ID:oUN7OavX0
翠星石「えぇ〜ウソですぅ!甘いものが嫌いな人なんているわけねぇんですから!まして、この翠星石の作った絶品スコーンですよ?ほーら、ひとくちで良いから食べてみるです!」
平沢進「だから。そういう事以前にまず私の高品位粗食v2.0を返しなさいと」
翠星石「だからだからうるせーです!…返したらスコーン食べてくれるですか?」
平沢進「腹の虫よ応えたまえ。あ、ダメだ、粗食で非常に高い満足度を得る模様」
翠星石「じゃあ返せねぇですぅ。ヒラサワがスコーンを食べて、お互いにうぃんうぃんのカンケーになれるまで翠星石は譲らねぇですよ!」
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:08:34.81 ID:oUN7OavX0
翠星石「えぇ〜ウソですぅ!甘いものが嫌いな人なんているわけねぇんですから!まして、この翠星石の作った絶品スコーンですよ?ほーら、ひとくちで良いから食べてみるです!」
平沢進「だから。そういう事以前にまず私の高品位粗食v2.0を返しなさいと」
翠星石「だからだからうるせーです!…返したらスコーン食べてくれるですか?」
平沢進「腹の虫よ応えたまえ。あ、ダメだ、粗食で非常に高い満足度を得る模様」
翠星石「じゃあ返せねぇですぅ。ヒラサワがスコーンを食べて、お互いにうぃんうぃんのカンケーになれるまで翠星石は譲らねぇですよ!」
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:09:21.29 ID:oUN7OavX0
あ、ダブった
すみませんホント…
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:10:03.07 ID:oUN7OavX0
平沢進「強情な人形が菓子を材料に強請りとは。世の惨憺たる未来の一端を目の当たりにしたようで落胆」
翠星石「何言ってるですか!翠星石の未来はもう夢と希望と元気と愛と…良いものばかりの虹色に染まってるですよ!」
平沢進「虹色も混合すれば黒なので」
翠星石「何くらぁーいこと言ってるですか!翠星石の辞書にはそういうくらぁーい言葉は載ってねぇんで…って、あっ!」
平沢進「はい。粗食は本懐を遂げ腹の虫の燃料となりました。玄米に宿る神霊に向け合掌」
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:10:37.47 ID:oUN7OavX0
翠星石「もう食べちまったですか!?食べるの早すぎですぅ!…というか、やっぱ量が少なすぎですぅ!ヒラサワがいくら霞食って生きてる仙人みたいな見た目でも足りるわけがないですよ!」
平沢進「筑波山は別に昇仙の為の仙境というワケでもないので。霞という有機化合物を食した憶えもない」
翠星石「仙人だろーが人間だろーがやっぱその量はおかしいって言ってんです!ほらほら、スコーンを食べてもっと翠星石みたいな元気ハツラツになるです!」
平沢進「いや、どこぞの人形のような拡声器擬きになるのは御免なので。自身が騒音の爆心地となることほど不快な事は無い」
翠星石「う、うるせーです!翠星石みたいになれるのが嬉しくねーわけがねーんです!ほら、早く食べるです!どうしても食べないってなら、実力行使してでも食べさせるですよ!」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:11:09.56 ID:oUN7OavX0
平沢進「やれるものならどうぞ。そのスマートな御足をイリザロフ法に頼らず延ばす根気があるのなら」
翠星石「ああー!!今遠回しにチビって言ったですね!む〜っ!その言葉は翠星石を本気にさせたですよ!」
平沢進「だって紛れも無い真実だし」
翠星石「むぅ〜っ!!真実を言われて傷つく乙女だっていくらでもいるんですよ!乙女心をもっと知りやがれですぅ!」
平沢進「心について知っているのは画数が四文字ということぐらいだけなので。知りもしないことを知っていると声高に叫ぶほどに私は愚かではない」
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:12:26.03 ID:oUN7OavX0
翠星石「むー!!また屁理屈で逃げやがったですぅ!翠星石がいくら冷静沈着かつ篤実温厚だからと言って、いい加減に怒るですよ!」
平沢進「世論の皆さんの一般的な視野フィルタを通して見た結果、翠の人形は既に怒りに震えていると表現できる状態かと」
翠星石「むきーっ!!ま、まだギリギリ怒ってねーです!!翠星石はただ契約をしてほしくて……!」
「…まったく、さっきからピーチクパーチク煩い子ねぇ」
翠星石「……えっ!?」
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:12:59.36 ID:oUN7OavX0
平沢進「あ」
翠星石「…その声は…っ!」バッ
「短気は損気よぉ。仮にも薔薇乙女と在ろうものが、御菓子の一つでぐだぐだ喚くなんて…」
水銀燈「乳酸菌、摂ってるぅ?」
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:13:48.32 ID:oUN7OavX0
翠星石「て、てめぇは……!!遂に来たですか…」
水銀燈「ごきげんよう。私は薔薇乙女第一ドール、水銀燈。ノックも無しに夜分遅く失礼するわぁ」
平沢進「私は平沢進だ。平沢唯じゃない」
水銀燈「あら?これはどうもご丁寧に。最近はどこで人間に会っても、怯えられるか叫ばれるばかりでウンザリしてたのよねぇ」
平沢進「我が家の挨拶は「なんだ!」とか「やかましい!」とか「うわー」とかではないので。そういう家もあるかもしれないが」
水銀燈「へぇ、そうなの。じゃああの家は代々捨て台詞を挨拶にする家系だったのかしら…うふふ、真紅にはぴったりねぇ」
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:15:20.20 ID:oUN7OavX0
翠星石「!!てめぇ、この街で真紅に会ったですか!もしかして、もう真紅を…」
水銀燈「あらぁ?そこの床でピーピー騒いでるのは…もしかして翠星石?小鳥の鳴き声かと思ったわぁ」
翠星石「むきーっ!うるせーです!何が小鳥ですか!そんな背丈変わらねーくせによく言うですぅ!」
水銀燈「あら、そう?背丈も器も段違いに違うつもりだけど。貴女のその色違いのお目目じゃ分からなぁい?」
翠星石「色違いじゃねーです!オッドアイですぅ!」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:16:12.61 ID:oUN7OavX0
平沢進「イリザロフ法の成功した人形ということか。やはり翠の人形も試してみるべきなのでは」
翠星石「結構毛だらけ猫灰だらけですぅ!」
水銀燈「いいえ、イリザロフ法は関係ないわぁ。私は生まれた時から他のドール達よりも強く、美しかったというだけよ」
平沢進「へえ」
翠星石「なーに言ってやがるですか!お前より翠星石のほうが強く美しーですぅ!ね、ヒラサワもそう思うですよね!」
平沢進「……」
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:16:40.37 ID:oUN7OavX0
翠星石「なに悩んでるですか!!深刻な顔すんじゃねーです!こういう時はキミが一番だとか言うところですぅ!」
平沢進「いや、ただ美とは時代と所在とシナプスの移りにより変わる為にどちらが明確に優れるとは言い難いってだけ」
水銀燈「うふふ…少なくとも、いついかなる時代に置いてもそこの子が私に優った事なんてないわよ。時代の移ろいに左右される幅を越えて絶大に、ローゼンメイデンとしての品格が違うのだもの」
翠星石「な、なっ……!」
平沢進「ふーん」
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:17:53.73 ID:oUN7OavX0
翠星石「何がふーんですか!ちっとは反論してみやがれですぅ!仮にも翠星石のマスターなんですから!言われっぱなしじゃくやしーですぅ!」
平沢進「想像上の既成事実を騙られても右眉を困惑という文字の形に傾げるしか出来ないので」
水銀燈「あら…もしかして、まだ契約してないのぉ?アハハ、そりゃそうよねぇ。こんな小煩いだけのドールと契約したい人間なんているわけないもの」
翠星石「はぁ!?このローゼンメイデンいちの才色兼備の愁眉秀麗な翠星石と契約したくない奴なんているわけねーです!ヒラサワが並外れた変わり者なだけですぅ!」
平沢進「こうるさいというのとヒラサワが変わり者という点については大いに同意」
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:19:19.37 ID:oUN7OavX0
水銀燈「まあ、そんなことはどうでもいいわ。さて、136時間18分ぶりね、翠星石…。前も思ったけど、ホントに蒼星石と一緒じゃないのねぇ。なんかハンパでミジメな感じぃ」
翠星石「ふん。てめーに言われる筋合いはねーです。蒼星石と翠星石は、近くに居なくたって繋がってるんですから」
水銀燈「へえ、それはそれは…『絆』とやらでぇ?まったく、つまらない話。真紅もそうだけど、それ以外に言うことはないのかしらぁ。きずな、きずなって見えないものばかりに縋って。傷心がちなロマンチストみたい」
翠星石「薔薇乙女がロマンチストで何がわりーですか!……でも、その口振りだと真紅を倒してはいねーみたいですね?もし倒してたらもっと邪悪に喜んでるハズですぅ」
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:23:04.05 ID:oUN7OavX0
翠星石「ホーリエも従えてねーですし…。真紅には会ったけど勝てなかったんですね。さすが真紅ですぅ!」
水銀燈「ふん…真紅には挨拶をして来ただけよ。昔と変わらず、人間やドールと馴れ合うのがお好きなようで。まったく、無能なお友達に囲われて何が楽しいのかしらね」
翠星石「ふーんだ。てめぇには解らねぇですよ。契約もせずに、人から力を奪い取るような分からず屋には!」
平沢進「洋菓子を強請の道具に用いる人形が呟いても説得力が」
翠星石「し、しーです!今は水銀燈と話してるんですから!隙を見せたら殺られるんです、ツッコまないでください!」ヒソヒソ
平沢進「あ、そう」
水銀燈「…?」
水銀燈「…ええ。真紅の事なんか分かりたくもないわぁ。軟弱が移っちゃうもの。雛苺も、真紅も…欲しいのはローザミスティカだけ。あの子達の無意味な感傷なんて不必要なものなのよ」
翠星石「…こほん。魂だけが欲しい、ですか…ホントに悪魔みてーなやろうですね。見た目通りに!」
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:27:04.45 ID:oUN7OavX0
水銀燈「あら。それだけはちゃんと分かるのねぇ。一応お目目が二つついてるだけはあるわぁ」
平沢進「いや、天使の亞種である可能性も」
水銀燈「…!?」
翠星石「はぁ?んなわけねーですよ。どう見たって悪魔の化身ですぅ。ヒラサワ、もしかして鳥目で夜だから良く見えてねーんですか?」
平沢進「失敬な。ただ、天使とは悪魔の偽名であったり、悪魔は天使の仮装だったりする。その水銀の化身もそうなのかと」
翠星石「は、はぁ…。って!ツッコミは止めてって言ったじゃねぇですか!」ヒソヒソ
平沢進「今のは純なる傍観者からの御意見でして。平手で人の頭にお決まりの奇声を叫びながら殴打を与える軽犯罪の真似事ではない」
水銀燈「……へぇ。アナタ、中々面白いことを言うのねぇ。ま、私は神仏とは縁がないんだけど」
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:28:06.04 ID:oUN7OavX0
翠星石「え、ヒラサワの言葉が通じてるですか?センスのねー奴ですね!あんな小難しい割に意味不明なことを、マジメに聞いてる時点でお郷が知れるってもんですぅ」
水銀燈「ふん。薔薇乙女のお郷は皆お父様の手の中でしょうに。ヘタな煽りは無言よりずっとイタイわよぉ」
水銀燈「…まあ?貴女はお父様の手違いで生まれてしまったようだし、失言は仕方ないのかもだけど」
翠星石「なっ……なぁーっ!!?てめぇ、今……!!」
平沢進「あ、そうなの?」
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:30:43.23 ID:oUN7OavX0
翠星石「…んなワケねーですっ!!!翠星石は、お父様の寵愛を受けた誇り高きローゼンメイデンの一人ですぅ!水銀燈、それは翠星石と一緒に生まれた蒼星石への侮辱でもあるんですよ!」
水銀燈「そう。一つとして生まれるべきだったものが分たれて生まれたの。貴女は、欠片となったローザミスティカのそのまた欠片…」
水銀燈「貴女は最初から不完全さの写し身なの。完璧な乙女であるアリスには程遠い存在…それが生まれた時から決定づけられた上で生きるのが貴女たち。私に敵う道理がどこにあるの?」
翠星石「…いくら最初に生まれたからって、言っていいことと悪いことがあるですよ」
水銀燈「あ、怒っちゃった?図星をつかれるとヒトってすぐ頭に血が上るのよねぇ。自愛的なヒトに似るアナタ…やっぱり美しくないわ。それにいちいち煩いし」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:31:46.55 ID:oUN7OavX0
翠星石「うるせーのはてめぇです。…スィドリーム!!」
水銀燈「あらぁ…お喋りはここまでかしら」バサッ
翠星石「ぜってー許さねーですぅ!!この翠星石の全身全霊の力を以て、なんとしても謝らせてやるですぅ!!翠星石と蒼星石が生まれたのが、間違いだなんて…!!」
水銀燈「うふふ…間違いだというならローゼンメイデン自体がみんな間違いなのよぉ。だって、誰一人お父様の求めるアリスとして生まれることが出来なかったんだもの。その中でも、貴女たちは一人じゃマトモに立つことも出来ない憐れな子…」
翠星石「黙りやがれですぅ!!翠星石は……一人でも闘えるですぅ!」
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:36:02.89 ID:oUN7OavX0
水銀燈「じゃあ、震えてるのはどうして?分かるわよぉ、初めて蒼星石抜きで闘った時、分かったのよねぇ?自分は一人じゃマトモに武器も振るえない…ジャンクだってこと」
翠星石「だ、黙れ黙れですぅ!怯えてなんかねーですぅ!勇気一杯元気一杯なのが翠星石のモットーですぅ!」
水銀燈「いいのよ強がらなくて。背中に蒼星石がいないと、怖くて足元が覚束無いんでしょう?」
翠星石「ん、んな……んなことねーです!翠星石は…翠星石は…!」
平沢進「………」
平沢進「…被造物は皆、宇宙のつまらない冗談から生まれた」
翠星石「…?」
平沢進「場酔いのノリで無窮の世界の底に沈んだ原子がぶつかり合って分子が跳ね、それらが東京の人ゴミのごとく混ざり合って原始のスープが」
平沢進「最初から何もかも手違いなのだから、今更何を怯える必要があるというのか」
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:36:54.18 ID:oUN7OavX0
水銀燈「…!」
翠星石「…それって、フォローです?」
平沢進「いや、冗談」
翠星石「ズコー!急にヒラサワがマスターらしいことをしてくれたのかと思ったのに!」
平沢進「マスターでもないのにマスターらしく出来るはずもなく。ヒラサワはヒラサワらしいだけ」
水銀燈「アナタ、さっきから中々興味深い事を言うのねぇ。最初から手違い…ね。こっちに来てからも、向こうにいた時も、面白いことを言う人間ってあんまり居なかったから珍しいわぁ」
平沢進「へえ、そう」
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:39:55.89 ID:oUN7OavX0
水銀燈「ま、だからと言って躊躇するつもりは無いけど。命が惜しかったら、頭を抱えて伏せてることねぇ。怪我の保証はしないけど、面白いお話の御礼に命の保証ぐらいはしてあげるわよ」
平沢進「それはどうも。ただ、自宅の寝台以外で床を這い蹲う趣味は持ち合わせていないので」
水銀燈「…ふーん。そう。まあいいけど」
翠星石「ふー…兎にも角にも、頭がちょっと冷えたですぅ。でも、このまま水銀燈を許すつもりはねぇですよ!行きましょう、スィドリーム!!ヒラサワ!」
平沢進「え。だからまだ私はマスターとかいう英単語の一種では無く」
水銀燈「あら、やっとその気になったぁ?ちょっと気が削がれちゃったけど…お喋りにも飽きたし、じゃあやりましょうか」
水銀燈「…このお喋りよりも闘いが長引くとは思えないけどぉ」
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/24(土) 21:41:19.13 ID:oUN7OavX0
一旦ここまでです
好きに御批判や御意見をお願いします
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/24(土) 21:48:51.37 ID:oUN7OavX0
大変恐縮なんですが質問とかも多分ないと思うんですがもしありましたら受け付けております
レス番の引用方法とか分かってないんですが自分の身の丈に合う程度に返答しますので気軽にどうぞ
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/25(日) 02:07:17.10 ID:YZ9AJ7Xc0
>>224
薔薇乙女の中だと誰が一番好き?
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 20:33:13.03 ID:Z+difkuvo
>>224
ヒラサワと愉快な仲間たち、もといP-MODEL歴代メンバーの中だと誰が一番好き?
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/27(火) 13:11:10.59 ID:Wcm6RkxFo
銀様と普通に会話出来てるのは流石
文化人だけあってレベルが高い
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/28(水) 09:41:19.89 ID:Iv89bLwB0
>>225
やっぱり翠星石ですね。次が蒼星石です。でも漫画読み返してたら皆健気で個性があっていいなぁと思いました(小並)
クールな僕っ娘大好きなのですが何故か翠星石が一番好きでした 不思議ですね…
>>226
馬の骨歴が浅いのでP-MODELのメンバーに詳しい訳じゃないんですが、個人的にはことぶきさんですかね。過去のライブとか観てると実際どうかは知りませんが怪しすぎて平沢さんの相棒感がパないです まじカッコイイ
あと一応Twitterで福間さんをフォローしてます()
多分今夜には更新できると思います いつも遅くてすみません
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:27:25.07 ID:MKCHY0w30
昨日更新すると言いましたがすまんありゃウソだった
代わりに今からします
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:27:57.98 ID:MKCHY0w30
翠星石「……と見せかけて!ぽーいっ!」
平沢進「あ」
水銀燈「……はあ?」
平沢進「…あのねぇ」
翠星石「ふっふーん…騙すなら味方から、ですぅ!ヒラサワ、いま翠星石のスコーンを食べたですよね!欠片をパクって!間違いねーです!別腹の虫に聞いてみやがれですぅ!」
平沢進「なんという非道を敷く人形なのか。開いた口を洋菓子で塞ぐとは。開いた口が塞がらない」
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:28:29.62 ID:MKCHY0w30
翠星石「問答無用ですぅ!さあヒラサワ、約束を今こそ果たすですよ!さっきは一人でも闘えるって言いましたけど…一人より二人の方が心強いに決まってるですぅ!」
水銀燈「…一体なんの話ぃ?つまらなそうだから聞くつもりは無いけど、この私を前にして人形劇を始めるなんていい度胸ねぇ」
翠星石「劇じゃねぇです!うぃんうぃんカンケーの最後の橋渡しですぅ!」
水銀燈「もっと意味が分からないわ。バカみたぁい」ゴオッ
翠星石「どわぁああ!?ひ、ヒラサワ急ぐですぅ!」
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:29:05.73 ID:MKCHY0w30
平沢進「はあ。で、契約書は。まだ我が家の電話機は何も受信していないが。やはり国際FAXの為タイム・ラグが…」
翠星石「だーかーら!契約書をFAXで送るシステムじゃねーんですって!ほら、これが指輪で…うわっと!?」バッ
水銀燈「あら、惜しい」
翠星石「あぶな……っと、これに口づけすればいいだけですぅ!」
平沢進「えー……」
翠星石「えーじゃねぇです!何今までで一番のイヤな顔してるですか!今そっちに指輪持ってきますから待ってやがれですぅ!」
平沢進「だって口づけって。あのねぇ。少女漫画のテンプレートじゃないんだから…」
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:29:45.59 ID:MKCHY0w30
水銀燈「約束って、何かと思えば契約の事?面倒だしぃ、その前に終わらせて貰うわよぉ」
翠星石「げっ!スィドリーム!もっとめいっぱい世界樹の葉を出すですぅ!健やかに〜伸びやかにー!」
水銀燈「邪魔くさいわねぇ。こんな草でどうにかなるとホンキで思ってるのぉ?」ズバッ
翠星石「うっ、うわぁっ!あんなあっけなく…!もっとです、スィ……」
翠星石「あ……あれ?」カクン
水銀燈「…あら♪」
平沢進「?…」
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:31:09.35 ID:MKCHY0w30
翠星石「しまった…です……ネジが…もう…きれるですぅ…!…契約してないまま…一気に力を使ったから……」
水銀燈「アハハ、貴女にはお似合いの結末よぉ。蒼星石に死に顔がどうだったかぐらいは教えてあげるから、安心して逝きなさぁい」バサッ
翠星石「く………に…逃げなきゃ……で……」フラッ
水銀燈「させないわぁ♪最後くらいは静かにしなさいな。ローザミスティカ、有難く戴くわよ」
翠星石「う…うわぁっ…!!…ひゃっ?」ヒョイ
ドスッ!!
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:32:03.55 ID:MKCHY0w30
水銀燈「…あら」
平沢進「……」
水銀燈「ふぅん…。その子を庇うのお?もう少し思慮分別のある人に見えたけどぉ」
平沢進「いや、何せ翠の人形はあろるの館前に配置されていたものをヒラサワが一時拾得しただけなので。持主の現れる前に破壊されたとあって私に賠償責任を発生させる訳にはゆかず」
翠星石「ひ、ヒラサワ……ナイス…カバー……ですぅ……でも…この持ち方は……あんまり…ですぅ…子猫じゃ……ねーんですから…」
平沢進「あ、つい」
翠星石「ま……いいですぅ……じゃあこれ…指輪…です…」
平沢進「はあ」パシ
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:33:20.60 ID:MKCHY0w30
水銀燈「!させないわよ」ドッ
翠星石「!!ヒラサワ…急いで…!」
翠星石「まきますか……?まきませんか………応えて、ですぅ…」
平沢進「…………」
平沢進「…では、何方かと言えばまく方向で」
翠星石「よし来た…合点承知之助……ですぅ!」
パァアアアッ!!
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:34:05.43 ID:MKCHY0w30
「…ふぅ〜っ!」
翠星石「改めて…!!薔薇乙女第三ドール、翠星石!!いざ参る、ですぅ!共に行くですよ、ヒラサワ!」
平沢進「…光と共に蛇か蜘蛛かのごとき不完全変体が始まったりしておらず安堵」
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:35:04.82 ID:MKCHY0w30
翠星石「すかさず!…スィドリーム!最後の力で世界樹の枝を呼ぶですぅ!」パアァ…
水銀燈「きゃ……ちっ!」バッ
翠星石「今です!…ヒラ…サワ!超特急で…ネジをまくですぅ」
平沢進「はいはい」キリキリ…
翠星石「…はふ〜っ!翠星石、かんぜんふっかつ!ですぅ!今までと同じだと思うなですよ、水銀燈!」
水銀燈「…あーあ、契約しちゃったの。残念ねぇ、えっと…」
平沢進「コール、ヒラサワ」
水銀燈「そう、平沢さぁん。悪いけど、頭抱えて伏せてたとしても命の保証は出来なくなったわぁ」
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:35:42.86 ID:MKCHY0w30
翠星石「って翠星石の話を聞けですぅ!…心配するなです、ヒラサワ!代わりに翠星石が命の保証をするですよ!ケガの保証までは…ビミョーですけど!」
平沢進「人形保険会社のCMか何か?生憎と間に合っておりますので」
翠星石「ちげーです!セールス文句とかじゃねーです!…んじゃ、ホンキでいくですよ…スィドリームっ!!」
ドバァアアアッ!!
翠星石「おお〜っ!そうです、これです!これぞ翠星石の実力ですぅ!」
平沢進「うわっ。我が家が紛うことなき密林の巨木の仮住まいに。実に嘆かわしい」
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:36:20.47 ID:MKCHY0w30
翠星石「嘆いてる場合じゃねーですよ!後でちゃんと消しますから気にすんなですぅ。さあ、これで水銀燈をぐるぐる巻きに縛り上げてけちょんけちょんにしてやるです!」
水銀燈(…ふぅん。契約して、蔦の量も力もかなり増したわね)
水銀燈「けど…面倒になるとは言ったけどぉ、厄介だとは言ってないのよぉ?」ゴオッ
翠星石「ふん!強がりですね!ヒラサワと翠星石が契約したいま、誰も翠星石を止めることなんて…!」
ズバッ!! ズバッズバッ!!
翠星石「……へ?」
水銀燈「…いくら大きくても、草はただの草なんだからぁ」
翠星石「え…!そんな…」
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:38:05.35 ID:MKCHY0w30
翠星石「し…信じられねーです…!契約もしてないドールが、世界樹の枝をこんなふうに切り倒せるはずが……!」
水銀燈「うふふ…だから、格が違うと言ったでしょう?」
翠星石「くっ…!でも、今ならスタミナに気を遣う事もねーです!ほら、スィドリーム!葉っぱで目くらましですぅ!」
水銀燈「目くらまし?まったく、地味な手ねぇ」
翠星石「何とでも言えです!(この隙に大きな枝で狙いをつけて…!)」
水銀燈「させないわよぉ」ブオッ
翠星石「どわぁっ!?風圧で葉っぱが全部っ…!?」
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:39:07.03 ID:MKCHY0w30
水銀燈「はい、じゃあねぇ」ドスッ
翠星石「うわっとぉっあぶなぁっ!あっ!翠星石のヴェールが…!てめぇよくもっ!」
水銀燈「…ちょこまかと鬱陶しいわねぇ。羽根で部屋ごとぜーんぶ吹き飛ばしてあげようかしら」バサバサ…
平沢進「えー」
翠星石「!!させるか、ですぅ!世界樹の枝を根本から伸ばせば、そのくらいっ…!」ズゥッ
水銀燈「あら、なかなかやるじゃない。拡散した羽だと威力がちょっと足りなかったかしら?でもちょっと力を込めればぁ…」
翠星石「うそっ!?これでも受け切れないなんて…っ…あっ、危な…!ヒラサワの楽器が…!」
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:39:36.82 ID:MKCHY0w30
水銀燈「…それを護ってるの?」ニヤ
翠星石「え?…あっ!」
平沢進「……」
水銀燈「アハハ…自分で弱味をバラしちゃうなんて。だからアナタはダメなのよぉ!」ゴオッ
翠星石「ス、スィドリームっ!!如雨露をお水で満たしておくれ…甘ぁいお水で満たしておくれ…超特急で!ですぅ!」パァアアア
水銀燈「喰らいなさぁい」翠星石「ガードするですっ!」
ドバァアアアッ!! ドス!!ドスドスッ!!
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:40:11.70 ID:MKCHY0w30
翠星石「ふひー、なんとか護りきれ…っ!?」
水銀燈「隙だらけよ、おバカさぁん」ドカッ
翠星石「どへっ!痛っ…!」
水銀燈「吹き飛びなさぁい」ブオッ
翠星石「どわぁああっ!?」
平沢進「あ」
翠星石「べふっ!…ひ、ヒラサワ…もう少し優しく受け止めるですぅ」
平沢進「ヒラサワの動体視力に過度な期待は禁物。ついでに腕力も十人並以上の筋持久力を予想すべきでない」
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:41:50.96 ID:MKCHY0w30
翠星石「わかったです、ブルーカラー的な期待はしないようにするですよ!…けほっ…とりあえずありがとです、ヒラサワ」スタッ
水銀燈「うふふ…こんなカンタンな罠にハマるなんてね。やっぱり、ドールズにとって契約者なんてただの重石だわ」
平沢進「小煩い人形を鎮めるには五、六十キロの重石ぐらいでは足りないので。もう少しストーン的なものが欲しいほど」
水銀燈「あ、そ。…何だか調子狂うわねぇ。…じゃあ、私がその子に乗っかれば丁度いいかしらぁ?」
翠星石「ちょ、ちょっとヒラサワ!翠星石が頑張ってる時に茶化すんじゃねーですぅ!」
平沢進「茶化したつもりはそこまで無かった」
翠星石「多少あるんじゃねーですか!まったく……」
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:43:27.38 ID:MKCHY0w30
翠星石「しっかし…契約した全力の翠星石が、こんなに歯が立たないなんておかし…」
翠星石「…「おかし」?あっ、そうだ!やっぱりヒラサワが食べなさすぎなのがダメなんですぅ!!ほら、このスコーン全部食ってしゃっきり目ん玉開けやがれですぅ!玄米じゃアリスゲームには勝てねぇですよ!」
水銀燈「はあ?あのねぇ、菓子でアリスゲームが左右されたら苦労しないのよ」
平沢進「私もあのねぇ…と言いたいところだが癪なことに腹の虫が重い腰を上げ渋々ながら頷いている。ヒラサワは仕方なしに目の前の三角菓子に手を伸ばす」
翠星石「おおっ?力がさっきよりずっと高まったですぅ!さすが翠星石特製のスコーンですぅ!これなら……!!」
水銀燈「……下手な冗談に付き合うほど私は暇じゃないのよぉ?遊びにも飽きてきたし…いい加減に終わらせてあげるっ!」
ドバァアアアッ!! …チャララン♪
ズバァアアッ!!
ガキィイン!!
水銀燈「…!」
翠星石「え!?…や、やった!!水銀燈の攻撃を、初めて真正面から止めた…ですぅ!!」
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:44:28.21 ID:MKCHY0w30
平沢進「何やら同時にそこの窓が絹を裂くような悲鳴と共に崩れ落ちたが。私の心中を代弁してくれたかのよう。…ついでに金色の光明が見えたような気も」
翠星石「す、翠星石の攻撃が余りにも強かったせいですかね!…っていうか、ウソつくなですぅ。テンペンチーが起きてもその仏頂面が変わるとは思えんです」
平沢進「そう。だから今のはヒラサワお得意の比喩」
翠星石「むーっ!それ気にいったですか!?全部それで返されたら翠星石のツッコミする隙間が無くなるですぅ!」
平沢進「それは大助かり」
翠星石「むき〜っ!!」
水銀燈(今の音色は……あの子、一体なんのつもり?)
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:45:51.05 ID:MKCHY0w30
翠星石「それより…水銀燈!見たか見たかーですぅ!!やっぱり翠星石はスゴいんですぅ!この調子で一気に畳み掛けてや…」
水銀燈「煩いわよぉ」ブンッ
翠星石「うわっひゃあ!?あべっ!…ヒラサワ、ちゃんと受け止めるですよ!翠星石の襟首は掴むとこじゃねーです!」
平沢進「余りに短周期なデジャビューの出現にストーンも私も驚嘆の念を隠せず。ノストラダムスだかヨシュアだかの預言書か何かに記されていた確定事項の一種だったのかもしれない」
水銀燈「…………はぁ」
水銀燈「まったく、せっかくノッてきたところだったのに。横槍が入るなんてね。…興が醒めちゃったわ」フワー
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:47:34.34 ID:MKCHY0w30
翠星石「え?…に、逃げるですか!?勝負はまだついてねーですよ!さっきのこと謝れですぅ!このヒキョー者!!」
水銀燈「はいはい。摘まれるのを待つだけの蕾が喚いたところで、気にする剪定者は居ないものよ。特にそれが、取るに足らない小さなものならねぇ」
翠星石「うるせ……!」
翠星石「ん…!えーとえーと、もっと優雅に…」
翠星石「…どんなに小さくても、蕾の声を聴くのも庭師の大事な能力ですぅ!葉や枝の声も聴けねぇ真っ黒くろすけには解らねーかもしれねーですけど!」
水銀燈「…へえ。少しは言葉を憶えてくれたみたいで、姉として嬉しいわよぉ。礼儀はまだ全然足りてないみたいだけど。じゃあねぇ」
平沢進「またこんど」
水銀燈「…また会いたいの?本当におかしなヒトねぇ」
翠星石「ふん!もう二度と会いたくねーですこんちくしょー!」
水銀燈「貴女には聞いてないわよ。…ふん」ビュオオッ
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:49:59.25 ID:MKCHY0w30
翠星石「…ホントに行っちまったですぅ」
平沢進「そのようで」
翠星石「……」ポカーン
平沢進「しかし、水銀の化身の割に硬派ならぬ硬羽という中々ソリッドな表現方法を用いる人形で。おかげであろるの館が鴉のそれと見紛うようなくらぁーい館に様変わり」
翠星石「……」
平沢進「…え。何顔のパーツをシリアスverに取り替えたかのごとく神妙な表情になってるの」
翠星石「うるせーです!翠星石だってたまには真面目な顔もするですぅ!ふぅー……」
翠星石「………ぃいやったああああああーーですぅ!!!」ピョーン
平沢進「うわっ。やかましい。あ、今のは挨拶ではない」
翠星石「翠星石が!この翠星石が!!あの水銀燈を追い返したですぅ!信じられねーですぅ!!」
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:51:37.35 ID:MKCHY0w30
平沢進「やはり自分も自身を疑わしく思っていたと」
翠星石「ぎくっ。…まあ、ちょびっとだけですぅ、ちょびっとだけ!翠星石の能力は攻撃向きじゃありませんし、水銀燈は真紅ともタメを張るようなヤツですし…」
翠星石「あの時は集中してて分かりませんでしたが、思い返すとアイツ全然本気を出してなかったみたいですし…気まぐれか何か知らねーですが撤退してくれて助かったですぅ」
平沢進「逃げるなと煽り文句を飛ばした癖してよくもまあ」
翠星石「あ、あれは怒ってたので仕方ねーんです!」
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:52:50.84 ID:MKCHY0w30
翠星石「…なにはともあれ!無事で済んだんですから結果オーライですぅ」
翠星石「それに、あんな風に世界樹の枝まで次々繰り出せられたなんて驚き桃の木ですぅ。やっぱり、ヒラサワと契約したのはラッキーでしたね!」
平沢進「こちらは荒めの人形劇を観ているだけで腹の虫が暴れだしたためかなりアンラッキーな状態に。空きっ腹という加護を与える指輪など、今時どの界隈でも流行らない」
翠星石「あー、それは翠星石が力をたくさん使ったからですね。でも、普通だったらもっとよろよろしててもおかしくないんですよ?お腹がすいたぐらいで済んで、やっぱそっちもラッキーですぅ!契約者の身体を慮る翠星石に感謝するですよ」
平沢進「腹の虫を衰弱させる能力を発揮されて感謝するほどに私は被虐的思想に染まってはおらず。ついでに私はまだ慮られるほどに足腰が衰弱しているわけではない」
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:54:17.34 ID:MKCHY0w30
翠星石「もーまたひねくれて…そんなら、明日の朝はベーグル焼いてやるです。翠星石特製の美味しくて栄養たっぷりの甘々ベーグルですよ!それを食べれば、きっとヒラサワも元気ハツラツ間違いなしですぅ!」
平沢進「えー」
翠星石「えーじゃねぇです!さっきのスコーン美味しかったですよね?ふふん、聞かなくてもわかるですよ!なにせこの翠星石が作ったんですから!ベーグルもおんなじぐらい美味しいのを作ってやるから期待しとけですぅ!」
平沢進「腹の虫がさっそく早朝の胃もたれの気配に怯えている。今のうちから社会的な信用の薄い神仏に一応の祈りを捧げておくべきか」
翠星石「ベーグルで胃もたれとか古今東西に至るまで聞いたことねーですぅ!無用な心配のほうが胃にダメージを負うですよ」
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:56:16.21 ID:MKCHY0w30
翠星石「まったく…ふぁあ〜あ」
翠星石「……頑張ったのでなんだか眠くなってきたですね。ココアでも飲んで、もう今日は寝るですぅ」
平沢進「あ、そう。では、これ」スッ
翠星石「え?あ、ありがとですぅ…これホントにココアですか?甘い匂いのするコーヒーとかじゃねーでしょうね」
平沢進「そんな食品添加物を溶解度以上に溶かし込んだような飲料は我が家にはない。香水を角砂糖の代わりに使うような習慣もこの地域には伝わっていない」
翠星石「………信じますよ?じゃ…」ゴク…
翠星石「…え!?ホントに普通に美味しいココアですぅ!」
平沢進「驚愕するポイントが明らかに異常。人形の劇中描写的誇大表現だとしても不自然」
翠星石「いや、だってヒラサワが素直にココアをくれるなんて…」
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:57:30.35 ID:MKCHY0w30
翠星石(……もしかして、ヒラサワの楽器を守ったお礼なんでしょうか…やっぱヘンだけど良いところあるじゃねーですか)
平沢進「黙り込む人形に不気味さを感じるようになるとは。完全に薔薇蔓人形たちの毒棘に規定観念を毒された模様」
翠星石「う、うるせーです。翠星石だって時には黙って考えるんですぅ。考えたこと何でも口にだす訳じゃねーんですぅ」
平沢進「へえ。人形の口と電子頭脳は脊椎反射の如く打てば取り敢えず響く仕組みで繋がっているのかと」
翠星石「失敬ですね!ちゃんと考えて喋ってるですよ。翠星石のこの小さく見える頭脳には外からは分からなくても無限の可能性が詰まってるんですぅ!」
平沢進「……」
翠星石「そんな顔するなですぅ!はいはい無限は言い過ぎでした!」
平沢進「分かればよろしい」
翠星石「む〜…」
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 21:59:38.14 ID:MKCHY0w30
翠星石「はあ。じゃあもう寝るです。おやす…」
平沢進「あ、そういえば」
翠星石「ん?まだ何かあるですか?」
平沢進「翠の人形の手許にゲームの参加チケットはあるようだが、今のところ受け手ばかり。この度ヒラサワという糧食を得た訳だが、攻め手に回ろうという気分はおありか?」
翠星石「…つまり、アリスゲームに参加する気があるのか、って事です?」
平沢進「人形語に訳すると、そう」
翠星石「…翠星石は他のドールを倒すつもりはねーです。アリスに成りたくないわけじゃないですが…姉妹を倒してまで成りたいなんて思わねーんです」
平沢進「へえ」
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:05:15.22 ID:MKCHY0w30
翠星石「アリスゲームは、お父様が考え出した闘いですぅ。だから従うのが当然…と思っている姉妹もいるかもです。でも、翠星石にはよく分からないんです。あんなに優しかったお父様が、ただ闘うように命じるなんて…」
平沢進「……」
翠星石「分からないままで、姉妹を倒してしまうなんて取り返しのつかないことをしたくねーんですぅ。…それにアリスゲームを完遂しようとしたら、蒼星石も倒すことになるです」
翠星石「出来る出来ないかは置いといて、翠星石はそれだけは絶対ぜったい何があろうとしないです。…それに、翠星石はケンカがもともときらいですし!」
平沢進「なるほど」
翠星石「ええっと……あとは…」
翠星石「…ヒラサワはどうしたいですか?」
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:05:55.06 ID:MKCHY0w30
翠星石「…アリスを目指すために闘うって契約者が言うなら、翠星石は……」
平沢進「御免こうむる。アリスとかいう者を待つのは奇妙奇天烈なお茶会の出席者だけでよろしい。私はそうした茶会に出席する気はさらさらない」
翠星石「…ぷっ」
平沢進「はい?」
翠星石「いや…どうせんなこと言うだろうなーと思ってただけですぅ!あははは!!」
平沢進「…あ、そう」
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:06:54.95 ID:MKCHY0w30
翠星石「あはははっ……こほん。てなワケで、ヒラサワ。志も大いに語ったことですし改めてよろしくですぅ!ほら、握手しましょう、あくしゅ!」
平沢進「はい。よろしく」
翠星石「よろ……って!何でストーンの脚を代わりに差し出してるですか!!ストーンをマスターにした憶えはねーですぅ!」
平沢進「いや、ストーンがミクロな活動電位で、日頃の奉仕に対する感謝の念を伝えたいと言ってきたので」
翠星石「んなこと後でいーですぅ!はいはい、ストーンどーもですっ…と!さあ、ヒラサワ!握手するです!」
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:07:28.13 ID:MKCHY0w30
平沢進「残念ながら左手にはストーン、右手にはソリッド・エアーが握られている為人形が手を出す隙間は存在しない」
翠星石「む〜…こういうとこはどこまでいってもカタクナなやろーですね…こうなったら…えーいっ!」バッ
平沢進「うわっ」
翠星石「ふっふーん!翠星石のオリンピック並の大ジャンプ、大・大・大成功ですぅ!」プラーン
平沢進「ヒラサワの右手はジャンプ時にその身を揺らす背面跳び棒でなければ人形劇に用いられる操り棒でもない。…因みに公園のぶら下がり棒でもない」
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:07:58.26 ID:MKCHY0w30
翠星石「ち、ちげーですよ!遊びじゃねーです!結果としてぶら下がっちまってるだけですぅ!これは握手ですよ!心からの握手!」プラーン
平沢進「へえ、そう」
翠星石「そうなんです!!」
平沢進「ふーん」
翠星石「むー…」
翠星石「…ちょっと締まらないですが…とにかく!これからもよろしくですよ!ヒラサワ!」プラーン
平沢進「はい」
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:09:13.84 ID:MKCHY0w30
…………
バサバサ…
水銀燈「……」ストッ
水銀燈「………!」キョロキョロ
水銀燈「…いたわね。金糸雀、貴女一体どういうつもり?」
金糸雀「あら、水銀燈?お久しぶりね。どういうつもり…って、一体な〜んのことかしら?」
水銀燈「惚けないでよ。さっき私のジャマをしたでしょ?」
水銀燈「アリスゲームに明白な決め事があるわけじゃないけれど…。無粋な横槍を入れたんだから、何かよっぽどの理由があるんでしょうね。言い訳は無いのかしら?」
金糸雀「カナは何のことだかさっぱりなのかしらー?アリスゲームに手を出した覚えなんてこれっぽちもないものー」
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:10:13.77 ID:MKCHY0w30
水銀燈「は?貴女ねぇ……」
金糸雀「知ーらない♪ 知ーらない♪ 知ーらないのかしら♪」
水銀燈「ああもう煩いったら…はぁ。まあいいわ。メインディッシュを先に頂いて、他をデザートとして取っておくのも悪くないかもね」
金糸雀「うんうん!それがいいのかしら!(ゴメンね真紅!)」
水銀燈「ちっ…。まったく、偉そうな顔しちゃって」バサッ
金糸雀「またねー!かしら!」
水銀燈「…貴女も?…今日はホントにスッキリしないわねぇ」ヒューン
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:11:06.14 ID:MKCHY0w30
金糸雀「………」
金糸雀「行っちゃったわね…ふぅ」
金糸雀「他人のアリスゲームに手を出すつもりはなかったけど…」
金糸雀「あの歌手さんの楽器に傷がつくと思うと…つい手が出ちゃったのかしら。やっぱりカナも音楽を嗜む者として、無用に楽器が傷つく様は見ていられないのよ…」
金糸雀「…あ!でもよく考えたらカナがあの楽器の時間のゼンマイを戻すだけで、いくらでも直せたのかしら…」
金糸雀「いやでも、直せるなら壊れてもいいってわけじゃないし…うーー!!」
金糸雀「頭がこんがらがってきたのかしら!今日のところはひとまず退散なのかしら!翠星石、またまた運を拾ったわね!カナは必ず帰ってくるわよ!!」ヒューン
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/29(木) 22:11:57.60 ID:MKCHY0w30
一旦ここまでです
今回はホントに微妙な気がするので好きにご批判ご意見ご質問お願いします
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 22:20:37.95 ID:DvRL/4DY0
楽器っていうからレーザーハープかテスラコイルでも壊れるところだったのかと
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 22:23:11.22 ID:wm7/DpKko
掛け合いほんとすき
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 22:23:21.57 ID:MKCHY0w30
レーザーハープとかのつもりでしたすみません描写不足で…
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 22:34:19.50 ID:KmlSfUQMO
師匠普通にベースとか使ってなかったっけ
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/30(金) 05:42:02.78 ID:a3eHqZPHo
タルボとかいうマニアックなチョイスのギターを重い重いと文句言いながら長年愛用してたゾ
今は何使ってたっけ
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/30(金) 07:11:33.42 ID:TgMb+aeTO
アルミ製品のあとにもなんか作ったって自慢してた気がするんだが何だっけな
光子だっけ
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:23:33.62 ID:Ye81isPN0
光子(フォトン)というギターを今は使ってらっしゃる…のかな?すみません勉強不足で…
平沢さんは謎の多機能シンセなど普通の楽器も使ってるんですが、一目で楽器だと分からないものの印象が強くて頭の中では全部そっちのイメージで書いてました申し訳ない…
ということで短いですがちょっとだけ再開します
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:24:15.78 ID:Ye81isPN0
翠星石「…これで終わりです…っと!」
翠星石「ふひー。ようやっと水銀燈の羽の掃除が終わったです。まったく、帰った後にも面倒事を残すなんてとんでもないヤローですね」
翠星石「あとはこの窓…んー、真紅か金糸雀にしか直せないですが…金糸雀はアレですし、真紅に声掛けるしかねぇですか…」
平沢進「普通に修理屋を呼ぶという手もある」ヌッ
翠星石「どわぁっ!?びっくりしたです……でも、それじゃヒラサワが損ばっかりじゃねーですか。こっちは悪くないのに、損だけするなんてゴメンですぅ」
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:24:49.89 ID:Ye81isPN0
平沢進「世の中は損得が等価分に分かれて分配されるわけではないので。損がたまにこちらへその無邪気な顔を向けてきたところで致し方ない」
翠星石「ふーん…そんなもんですかね」
平沢進「そんなもの」
翠星石「…じゃあ、窓はとりあえず修理屋ってことにしとくですか。水銀燈のヤツ!後で覚えとけですよ」
平沢進「窓は翠の人形が割ったとか言ってたような」
翠星石「ぎくっ!それは気のせいです!気のせい!」
平沢進「あそう。では気という曖昧模糊な漂流物の所為ということで」
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:25:43.12 ID:Ye81isPN0
翠星石「うんうん!そうです!窓は割れるためにあるんですから仕方ねーです!」
平沢進「割れるために生まれてきたとは一体どんな業を背負ってきたというのか。一度教会にて精算すべき罪の見積もりをすべきかもしれない」
翠星石「そ、そこまでは必要ねーですぅ。窓一枚直すのにいくらかかるかの電気屋でのお見積もりで十分ですぅ」
平沢進「まあ、確かに」
翠星石「えーっと、あとは…あ、そうでした!そこの多肉植物が鉢からはみ出てかけてるですぅ。翠星石も手伝うので一緒に植え替えをするですよ。…ヒラサワ、植え替えの仕方とか分かるですよね?」
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:26:38.87 ID:Ye81isPN0
平沢進「失敬な。でなければ我が家に植え物がこれほどに居座るはずもなく」
翠星石「そりゃそうですね。じゃあ、さっそくスコップと土を持ってくるですぅ。あと、大きめの鉢植と…」
平沢進「はあ。しかし多肉食な植え物の糧食は既に尽きてしまっていたような」
翠星石「あ、もう土がねーんですか。多肉植物は必要な土が特殊ですから、代用するわけにも行きませんし…うーんと」
平沢進「では、また後日にということで」
翠星石「むっ!それはダメですぅ!後日だとか言ってると気づいたら一年後とかになってるのは良くあることですぅ!ヒトにとって一年はあっという間なんですから!」
平沢進「いや、植え替えという些事を一年間意識外に置くというのは良くあることではない」
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:27:11.66 ID:Ye81isPN0
翠星石「問答無用ですぅ!こうなったら、何としてでも今日、この子のおうちを新調してやるですぅ!えーとえーと…」
平沢進「その合金鋼かのごとき強情さだけは称賛に値する」
翠星石「うーん……って!悩む必要なんてなかったですぅ!」
平沢進「はあ。そのまま悩み続ければいつか植え物の裏にある緑色の真理に到達できたかもしれないというのに」
翠星石「真理なんて知る気はさらさらねーですぅ!そんなもん知ってもまた他のことで悩み出すに違いねーです…って、んな話じゃなかったです!」
翠星石「ふっふーん。今から普通に買いに行けばいいんですよ!あのヘンテコ自転車に乗って!」
平沢進「…それも即時即応という真理の一形態かもしれない」
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:29:24.85 ID:Ye81isPN0
ホームセンター
ガヤガヤ……
翠星石「むーっ!何ですか、このカゴは!外がぜんぜん見えねーじゃねーですか!」ヒソヒソ
平沢進「何って、買い物カゴ」
翠星石「むきーっ!翠星石は売り物じゃねーです!」
平沢進「衆目の中に人形を抱えたおっさんを晒す気はないので。それに、カゴの網目から目を凝らせばモノが見えないということもないだろう」
翠星石「そりゃ、ちょびっとは見えますけど…んー!やっぱ詳しくは見えねーです!これじゃ、せっかく来たのに土やら何やらのアドバイスができねーじゃねーですか!」
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:30:24.02 ID:Ye81isPN0
平沢進「いや、普通にこうしてカゴに入れたものの説明を読めばいいだけなのでは」ガサッ
翠星石「……あ。そうですね。確かにそれで事足りるですぅ。んーと、1.5Lの『サボテンノビノビ』…ネーミングセンスはともかくとして、これじゃちょっと足りねーんじゃねーですか?」
平沢進「そう。だから二つ買う」ドサッ
翠星石「うわっ!あ、危ねーじゃねーですか!翠星石のパーソナルスペースをもう少し尊重するですぅ」
平沢進「カゴ一つ程度の個人領域を尊重するほどに私は器用ではない。せめて部屋一つ分程度の幅をとるべき」
翠星石「今の翠星石にはここが部屋なんですから仕方ねーです!…えーと、鉢植えはあそこのクリーム色のがいいですぅ。あの色合いならヒラサワの館に合うハズですよ!」
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:31:30.16 ID:Ye81isPN0
平沢進「あ、そう」ガサッ
翠星石「どわっ!ま、前が見えねーです!翠星石の頭は鉢植え掛け棒じゃねーです!」
平沢進「うわっ。カゴの中に何やら見慣れぬ新人形が。これはお洒落気取りの高慢な門番として知られる…ノーム?」
翠星石「むきーっ!!自分でやっといて驚いたフリすんなですぅ!翠星石をあんなサンタもどきと同列に語るなですぅ!」
平沢進「お静かに。レジストリならぬキャッシュ・レジスターが近づいてきたので、喋るまじない人形から物言わぬ普通人形に戻りたまえ。ついでに隣の麦藁カゴに逃避したまえ」
翠星石「はいはい、分かってるですぅ!隙を見計らって……とお!」ピョン
平沢進「はい、良くできました」
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:32:44.72 ID:Ye81isPN0
「ありがとうございましたー」
ピンポンピンポーン…
翠星石「…ふぅ。任務達成ですね!ヒラサワ!」
平沢進「お静かに。私は衆目の中で一人で亡霊に健気に話しかける自閉症的霊能力老人の演技をする気はない。すれ違う人々に「お気はたしかか?」という目で見られることで心の安寧を得るタイプの人間でもない」
翠星石「わ、分かったですよ。…でも、あの自転車に乗ってるだけでもビミョーに衆目を集めてる気がするですぅ。というか確実に二度見されてるですぅ」
平沢進「人とは、自らの知りえないものは存在して欲しくないために、二度見ることでそれらを既知の存在へと作り変えるのだから当然。一度見た時は知らぬものでも、パッと振り向いて見直せばそれは既に知っているものとなる」
翠星石「えー、そんな屁理屈考えてるとは思えねーですけど…。とにかく、あんまり目立っていいことはねーですからね。この辺りに他のローゼンメイデンが来てないって保証はねーんですし…」
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:35:37.48 ID:Ye81isPN0
「ありがとうございました〜」
チャランチャラン♪…
「うにゅー!うにゅーなのっ!ヒナ、早く食べたいのーっ!」
「ひ、ヒナちゃん!ちょっと静かにしてね。ほら、みんなこっち見てるからっ!し、視線が痛いよぉー」
「あっ!のり、ご、ごめんなさいなの!ヒナ、ちゃんとお家まで我慢するの…」
「うふふ…えらいわね、ヒナちゃん。じゃあ早く帰らないとねっ」
「!…はーいなの!しゅっぱつしんこー!なのーっ!」
ワイワイキャッキャッ…
平沢進「…あ」翠星石「…え?」
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/30(金) 10:36:42.56 ID:Ye81isPN0
一旦ここまでです なんて短いんだ…(呆れ)
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/30(金) 12:20:29.21 ID:MDhZNZiqO
積み重ねることが大事なのである
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/30(金) 12:22:54.60 ID:jwcHuTd+o
大丈夫。うちのスレよりよっぽど速い
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/04/05(木) 12:57:01.49 ID:yTuktwA80
とても短くて恐縮ですがちょっとだけ更新します
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