世にも不思議な平行動物達について

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1 : ◆qW4ybjVXFw [saga]:2018/03/07(水) 17:10:07.46 ID:jj2cKc8qO
果てしなく不思議な冒険譚であり、以後この学界において途方も無い価値を孕むであろうこの文章を記す前にこの動物たち全体について語るとしよう

ただし"動物"とは一般に言うアニマルではなく、漢字そのまま"動く物"という意味を記すために使う

何故ならばこの不可思議な動物たちは、成長という概念がなく、死という概念すらないのだ

死の無い物を果たして生きていると言えるのだろうか

それだけではなく、この動物たちは黙視でしか観測できない
(ロシアのロマノフ=チャベルスキー教授が示した実験によれば犬や鳥など我々人間以外の生き物も見えている)

臭い、味、触感、射影機、その他全てにおいて確認できず。肉眼で見ることしかできないのである

餌を食べることなく、傷を負うことすらなく、足跡さえ残さない
他の何ものにも干渉することなく、何ものにも干渉されない
現れるところは観測されず、消えるところも観測されない

まるで時間という概念に縛られず、ただこの空間に存在するだけのような動物たち

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1520410207
2 : ◆qW4ybjVXFw [saga]:2018/03/07(水) 17:13:02.41 ID:jj2cKc8qO
色は皆一様に夜の色であり、色のついた光やフィルターを遠そうとも別の色を以て我々の目に映ることはない

目視以外での物理的干渉。つまりは素手、有機物、無機物、全ての物質において触れようとするとたちまち影色の塵になって文字通り雲散霧消してしまうのである

そのために幻覚や蜃気楼、動物霊、またはUMA等非現実または亜現実の存在とされてきた

だが近年、様々な統計、観測例、その他演繹的手法の照らし合わせによって確かに存在する(原子ほどの物理的質量もない存在を"存在する"と定義してと良いものかは散々議論を重ねられ、未だ結論には至っていないが便宜上"存在"と表現する)動物だと結論付けられた


この動物をどのような総称で呼ぶべきかは幾度となく議論され、未だ結論に至っていない


そのまま特殊動物と呼ぶ学者がいる

この不可思議で不明瞭な動物に意味を持つ言葉を宛がうのは不明瞭さを欠くとして意味の無い言葉、アルファ動物群と名付けた学者がいる

彼らは他の次元に存在する動物として(此れは後に解説するとする)高次元、または四次元動物とする学者がいる

影色を見て陰影動物と呼ぶ学者がいる


さて、この本の著者である私はというと、かのレオ・レオーニが著した架空植物の学術書にして生物系三大奇書の一つ「平行植物」から名称を借りて平行動物と呼称しようと思う

このような不思議な動物たちにつける名称としては同じく不可思議、死の概念が無く、夜色で、触れると塵になって霧散してしまう、かの植物に沿うのが適当であろうと私は思う
3 : ◆qW4ybjVXFw [saga]:2018/03/07(水) 17:14:01.79 ID:jj2cKc8qO
さて、個々の平行動物を著す前にイギリスのエドワード・レオナルディ教授の興味深い説を紹介しよう

彼は先に記した高次元生物説の提唱者である

曰くこの生物たちは四次元に生きる動物であり、三次元の立方体の一面が平面、つまり二次元であるように、四次元に存在する物の一面が三次元として我々の目に映るのだと

だからこそ目には映れど触れることの叶わないのだと

今のところこの説を裏付けることは出来ておらず、否定も肯定も不可能であるがいずれこの説を基底にしての実験も行われるであろう
4 : ◆qW4ybjVXFw [saga]:2018/03/07(水) 17:15:29.09 ID:jj2cKc8qO
平行動物〜亜現実と幻想のあわいに潜み、我々の知覚を寄せ付けない動物たち〜


濃い影の色をした動物

発生、成長、死は確認されていない

有機物、無機物限らず触れると塵となって霧散し、少し離れたところにまた現れる(消滅現象)

臭い無し、味無し、触れても触れた感触は無いまま消滅現象が起こる
鳴き声無し、音を立てず、足跡さえ残さない

それらの特徴のために現状捕獲は出来ず、研究は遅々として進んでいない
5 : ◆qW4ybjVXFw [saga]:2018/03/07(水) 17:18:07.33 ID:jj2cKc8qO
ホネミイタチ〜無いのは肉か、肉の色か〜

1827年7月、アルバード・ラクトマ教授率いる調査団がミャンマーのクレトナ山に立ち入った

ある地点に立ち止まって十日待ち、また次の地点で十日待ちを繰り返すという気の遠くなるような辛抱強さを見せて追っていたのは現地に住む人々の間で語られる民話に登場する動物の亡霊たちだ

彼らはその亡霊を不幸の兆しとし、また狩りすぎた動物の霊だと信じていた
そのために必要以上に狩りをすることはなく、常に敬意を表しながら狩りを行い、狩りの後は御霊を鎮めるための儀式を欠かさないという

今もたまに"動物霊群"の目撃例があり、そしてその外見が例外無く一致することから平行動物だと確信をもって山に立ち入った


そしてL地点と定められた地点で待つこと8日目、彼らは月光の下で蠢く影達を見た


なるほど、亡霊と言われるわけだ
彼らの第一印象はそれであった

その平行動物には肉がなく、骨格のみの四つ足で立ち、動く度に骨が擦れ、目の無い頭蓋骨で仲間を見、顎を噛み合わせては音無き音を出してコミュニケーションを取っていた

骨の隙間は完全に空いており、向こう側が濁ることなく見えている

彼らが骨の隙間に細い棒を通そうとすると(死という概念の無い平行動物に危機感は無く、大抵は容易く近付ける)塵となって霧散し、また少し離れたところに姿を現した

何度試しても骨と骨の隙間に棒を通すことはできず、必ず霧散してしまう

その現象は平行動物に触れた時に現れる現象であり、骨と骨の間には見えないだけで実体があるのではないかとアルバード教授は結論付けているが、平行動物は一様に濃い影色をしているため、透明の肉や膜などありえないと抗議する声もある
6 : ◆qW4ybjVXFw [saga]:2018/03/07(水) 17:18:39.83 ID:jj2cKc8qO
ホネミイタチ
tantum Mustelinae osmodo

肉は無く、骨格のみの平行動物

その骨格はイタチに似ているが指が皆一様に内巻きに巻かれ、首が異様に長い

骨の隙間に触れただけで消滅現象が起きるがその隙間に実体があるかどうかは現時点では不明
7 : ◆qW4ybjVXFw [saga]:2018/03/07(水) 17:23:37.06 ID:jj2cKc8qO
ミナシミハミ〜意味のある行為か実の無い捕食か〜


南ノルウェーの森に棲むその小鳥は小さな体に更に小さな羽をもっている
どうやって飛んでいるのか不明なほど小さな羽を必死にばたつかせて木と木の間を跳び周っていた

何度も同じ木の間を飛び回ってその果実を啄んでいた

しかしその果実は食べられたわけではなく、齧った跡すらついていない

ただ嘴で咥え、何もせずに飛び去ってまた別の果実を咥えて枝からとることすらなくまた別の果実へ飛ぶ

彼らが咥えた果実と咥えてない果実を比べても何の違いもなく、咥える前と後をそれぞれ調べても全く変わりがない


地元の人の話では彼らが咥えた果実は精霊の祝福を受けた証であり、食べると長生きできるとされている

もちろん咥えた果実に長生きできるような物質が増えていたり活性化していること等は確認されない
8 : ◆qW4ybjVXFw [saga]:2018/03/07(水) 17:24:43.29 ID:jj2cKc8qO
ミナシミハミ
Horornis nulfructu manduca


羽の小さなウグイスのような小鳥 嘴の中に牙があり、長い舌がある

果実を咥えて離し、また別の木になった果実に飛ぶという習性があるが何の意味があるのかは不明
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