他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
【艦これ】 続 外地鎮守府管理番号88
Check
Tweet
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/05(木) 23:57:55.49 ID:EBY2HS/Uo
おk。全裸で正座待機してる
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/05(木) 23:58:11.71 ID:4Zou6NdV0
第三話 海賊と賞金首 後編
※今更ですが前スレ、グラーフ編にてFw190とすべき所が多くの箇所にてFw109と機種名を間違えていました
ここに深くお詫びいたします、誤字に気付かず申し訳ありません
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/05(木) 23:59:19.51 ID:4Zou6NdV0
空母棲姫達深海棲艦拠点
全ての物資が揃い、招集をかけていた深海棲艦全てが揃う。
机上の海図と各戦力を示す駒を睨みながら空母棲姫がゆっくりと口を開く。
空母「機は熟したわ。」
空母「まずは助攻になる部隊Aから動いてもらおうかしら?」
南方「では、同時に部隊Bもだな。」
空母「えぇ、そうね。主力になる本隊Cは時間差で最後に動いて貰う事になるわね。」
空母「数日程AとBで暴れてもらって本隊への欺瞞工作とする形になるわね。」
南方「主力のCが侵攻を開始した場合は正しく破竹の勢いとなるだろうな。」
空母「そうね。Cが侵攻を始めたらBは方向転換して主攻撃目標へ進攻。」
南方「各部隊の旗艦と司令部施設のある本隊Cとは連絡を密にしないとな。」
空母「えぇ。後は進軍速度が全てになるわ。」
南方「部隊Aは捨て駒になるから敵鹵獲艦娘部隊で指揮系統は不要?」
空母「もちろん不要よ。使い捨ての駒を統率する必要はないわ。」
空母「攻撃する方向は見せかけもいい所だし。時間稼ぎと攪乱目的だから要らないわ。」
南方「では部隊Bの指揮に私が入ろう。」
空母「私が本隊の指揮でいいの?」
南方「 ? 空母が立案したんだろ?ならば戦功はそっちがあげるといい。」
空母「あら。悪いわね。」
南方「戦略爆撃機まで組み込んだ作戦の指揮は私には無理というだけの話さ。」
南方「流石に副官を複数抱えないと処理しないといけない情報が多くなるから私に総指揮は無理だ。」
南方「私が自分自身のいい所と思っているのは身の程を弁えているということだよ。」
空母「将として重要な資質と思うわよ?」
南方「褒め言葉として受けとろう。」
南方「それに敵が認識しているこの辺りの指揮官は私だ。」
南方「囮に立つなら有名人の方が向いてるだろう。」
空母「あら、アイドルでも目指すつもりかしら?」
南方「はは。私の歌声は酷いから無理だろうな。」
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:00:20.46 ID:UVTnURzf0
空母棲姫と南方棲姫が拠点に居並ぶ深海棲艦達の前に立つ。
その様は閲兵式と呼ぶに相応しく実に多くの艦種、階級の深海棲艦達が居た。
空母棲姫と南方棲姫が一同の前に立つとその視線が一斉に集まる。
右手をさっと上げ自分へ視線を集中させる空母棲姫。
そして全員へ向け出撃前の演説を始める。
空母「屑鉄諸君!今日は我々の歴史に新たな1ページが刻まれる事になる!」
空母「その日を諸君らと迎えることが出来ることを実に喜ばしく思う。」
空母「我々がこれより行う作戦は敵を完全にこの南太平洋海域から消滅させるだろう。」
空母「敵は全て殺せ!通り道に有るものは全て瓦礫へと変えるのだ!」
空母棲姫の宣言へ同意の声が方々から上がる。
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:02:17.14 ID:UVTnURzf0
空母「屑鉄諸君!諸君らの敵は!」
一同「殺せ!殺せ!ぶっ殺せ!」
空母「我ら深海棲艦の目的は!」
一同「殺せ!殺せ!ぶっ殺せ!」
空母「深海棲艦として諸君らは敵を愛しているか!?」
空母「敵を屑鉄に変える準備は出来ているか!?」
一同「ガンホー!ガンホー!ガンホー!」
空母「よろしい。総員、抜錨!」
人型の深海棲艦達が鬨の声をあげ異形の者達もそれに続く。
後に『 南太平洋の悲劇 』とも『 南太平洋の悪夢 』とも言われる戦いの幕が開ける。
南方棲姫達が助功として敵防御線右翼を攻撃開始。
時を同じくその最右翼を深海機雷に寄生された艦娘達が攻撃を開始する。
南方「逃げるものは追うな!進軍速度を重視だ!」
南方「進路上にある物は全て破壊せよ!」
怒涛の進軍速度に合わせ司令部機能を移動させながら南方棲姫が指示をだす。
進軍速度重視で損害は度外視。
まさしく物量で攻める事の出来る深海側だからこそ出来る攻勢である。
そして、敵からの攻勢に対し防御線の維持の為、
南太平洋に置かれた海軍南方方面軍司令部が下した決断は
各鎮守府より予備戦力を抽出しそれを持って防御に当たるといういかにもな作戦だった。
姫級ですら囮として使う絢爛豪華な作戦。
まして、その囮の姫級は以前より既知の指揮官として知られる南方棲姫である。
この時の海軍司令部の判断を誤りと言う者がいるとしたら
正解を神の視点で論ずることが出来る後の世の歴史家くらいであろう。
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:03:36.65 ID:UVTnURzf0
南方棲姫達が進撃を始めた頃の明石達拠点
愛用のキャラバッシュに刻み煙草を詰め、火をつけて一服した後に黙考。
提督は敵の意図を探るべく静かに考えを巡らせていた。
敵がここ2、3日妙な動きをしている事を察知。
秋津洲の大艇や軽空母の艦娘達に偵察機を出させ集められる限りの情報を得た中で気になるものがいくつか。
友軍の拠点に味方であるはずの艦娘が攻撃を仕掛けていること。
損害を無視して全力で進む部隊がある事。その進撃方向での海軍重要拠点は遠い。
しかも驚いた事にそれを率いているのは南方棲姫では無いかという事。
提督「新人兵が戦場の空気にやられて錯乱して味方を殺すってのはままあるが。」
敵として向かってきた艦娘に遭遇し撤退してきた阿賀野の話を聞く限り。
提督「薬物等の新兵器で精神汚染にでもあったのか?」
と判断するしかないのだった。
そしてその仔細を話し意見を求めた明石は「あっ…。」と一言を発した後、
自分用に割り当てられたテントから出てくる気配がない。
提督「自分の位置が漏れるのを警戒して司令部との連絡を最低限にしていたのが裏目に出たな。」
海図を広げ敵の進行方向と先日情報を得た新設されたと思しき補給拠点の位置を改めて見直す。
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:04:33.28 ID:UVTnURzf0
提督「あっ。」
手に持っていたパイプを地面に落す。
提督は気付いたのだ、いや、気付いてしまった。
提督「俺達は檻の中じゃねぇか。」
提督「この南太平洋にたいした策士が居たもんだ。」クックック
提督「実に清々しいまでの負けっぷりだ。いっそ弟子入りしたいくらいだな。」ハハハ
秋津洲「提督、どうしたかも?外まで笑い声が聞こえてきたかも。」
提督「あぁ、秋津洲か。悪いが全員に集合を掛けてくれ。」
提督「拠点8へ移動だ。」
秋津洲「8番かも!?」
提督「あぁ、8番だ。」
拠点8番は万一補給が受けられなかった時用に燃料、弾薬、保存食等を備蓄してある拠点。
そこへ向かうという事は自分達が緊急事態に陥ったと全員に暗に知らせる事になる。
提督は敵の助攻が陽動ということを見抜いていた、更に今の状態が嵐の前の静けさという事も。
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:06:02.49 ID:UVTnURzf0
補給所 拠点8番
提督「全員聞いてくれ。南太平洋の海軍はまもなく壊滅する事になる。」
提督「完全に敵にしてやれた。」
阿賀野「提督さん、どうしたの?」
提督「俺の読みが正しければ間違いなく敵は海軍の後方集積地点を落す。」
提督「それも今まで見たこと無い圧倒的物量を持ってだ。」
秋津洲「かも!?」
提督「持てるだけの燃料、弾薬、食料を持ったら今夜にでも撤収作戦を実行してくれ。」
提督「敵にたいした策士が居たもんでな。ブリッツをやられた。」
阿賀野「ブリッツ?」
提督「ん?何だ?知らないのか?」
阿賀野「提督さん程阿賀野達は戦史の事は詳しくないもん。」
提督(現状認識は最悪の事態でも共有しておいた方がいいとは士官教練の基本だな。)
提督(この辺りの教育を怠っていたのは己の不始末だな。)ハハ
提督「昔取った何とやらだな。よし、夜まで時間はある。講義と行こうじゃないか。」
周辺海域の海図にざらりと広げるのはどこに持っていたのか大量の将棋の駒。
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:08:10.64 ID:UVTnURzf0
提督「まずは俺達海軍の防衛ラインがここで……。」キュキュキュ
提督「俺が海軍大学校で教鞭をとっていたのは皆知っての通りだと思うが、
さてと、敵の防衛線がここに設定されている場合どう攻める?」
阿賀野「えーっとこれは阿賀野達が深海側として海軍の防衛線をどう突破するかって事?」
提督「そうだ。補給については考えない物とする。」
秋津洲「えーっと、右側の防御が薄いから右側から防御線をずーっと迂回するかも!」
提督「うん。だいたい普通の解答だな。」
提督「左側は抜かれたらアメリカ大陸に一気呵成に攻める事が出来るから基本厚めの防御陣が敷かれてる。」
提督「じゃ、次にだ。局地戦闘においての戦闘の勝利条件は何だと思う?」
阿賀野「えっと…、継戦能力の破壊?」
提督「正解、通商破壊で敵補給艦の掃討をさせていた甲斐があったようだな。」
阿賀野「提督さんにいつも作戦の目的は口をすっぱくして言われていたもん。」ドヤッ
提督「以上を踏まえるとだ。敵が俺達南方方面軍を完全に潰そうと思った時に重要拠点となるのがここだ。」
秋津洲「後方の巨大集積地かも?」
提督「あぁ、集積地はもとより南方方面軍の艦隊司令部がある所だ。さらに石油精製所やらの生産拠点でもある。」
阿賀野「でも、前線からかなり後方だよ?」
提督「そうだ。だから、始めに言った『 ブリッツ 』が生きてくるんだ。」
提督「元々は陸軍の戦術の一つで俺自身海軍に応用してくるとは思って無かったのが迂闊だったと言えるな。」
提督「まぁ、みんな見てくれ。」
提督が先ほどの海図に置かれた駒を動かしながら行う説明を聞き入る一同。
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:10:08.18 ID:UVTnURzf0
提督「先ほどの後方拠点は左翼から侵攻した方が近いが説明したようにまず無理だ。」
阿賀野「だね。」
提督「その為、今まで前線で小規模戦闘を繰り返しお互いの陣取り合戦を敵、南方棲姫とやって来た。」
秋津洲「かも。」
提督「そして、ここ2、3日の敵の動きだ。」
阿賀野「右翼の防御が薄い所をついて後方へ侵攻しようとしている?」
秋津洲「南方棲姫が一大攻勢をかけてきたかも!」
提督「と、思うよな。」
秋津洲「かも?」
提督「ここで思い出してくれ。俺達が設営を察知した敵の補給基地の位置だ。」
提督が海図にある敵側領域の島に飛車を一枚置く。
阿賀野「どちらかというと左翼よりの位置?」
提督「そうだ。更に敵の手に落ちて何がしかの細工をされた?と思しき艦娘達が攻めてきているのがこの辺り。」
歩の駒を右翼側にぱちぱちと置き並べていく。
提督「だんだん分かってきただろ?」
阿賀野「提督さん、深海側だけ王将が2枚有るのはどうしてかしら?」
提督「つまりはそういう事だ。」
提督「敵に指揮官、つまり姫級が二人いるって事だ。」
提督「前線補給基地を新設した所で気付くべきだったんだよ。」
提督「南方棲姫と比べてやり方が大胆になった違和感にな。」
提督「今回の敵は作戦参謀が今までと別の奴が絵図を書いているのは間違いない。」
提督「それで右翼に南方を使って総攻撃をかけると?」
秋津洲「各鎮守府で出せる戦力を持って防衛に当たるかも。」
提督「そうだ。」
提督が戦力に見立てた歩を南方棲姫を表す王将に向けて動かす。
阿賀野「左翼の守りが薄くなっちゃった……。」
提督「そして、将棋の駒で飛車といえば?」
秋津洲「縦横の直線移動かも。」
提督「そうだ。ここの新設基地に基地航空隊を配備するとどうなる?」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:11:33.64 ID:UVTnURzf0
阿賀野「敵に基地航空隊があるの?」
提督「俺達にあるんだ。敵に無いと考える方が不自然だろ。」
秋津洲「陸攻?」
提督「ならまだ救いがあるが戦略爆撃機なんか持って来られたらお手上げだ。」
阿賀野「戦略爆撃機かも?」
提督「あぁ、陸攻なんか目じゃねぇ搭載量の爆弾を運んでくるぞ。」
提督「第二次世界大戦で代表的な所でB-17だな。
日本が零戦の開発で四苦八苦してる頃には既に実戦配備されてた化け物だからな。
後はB-24、29と続いていくシリーズだ。」
提督「B-17は頑丈で機銃で撃ったくらいじゃなかなか落ちてくれねぇんだよ。」
秋津洲「大艇ちゃんみたいな感じ?」
提督「そうだな。日本が頑張って作った四発機で実戦に投入出来たのは大艇くらいだもんな。」
提督「まぁ、そんな感じで陸攻がワンショットライター等と不名誉な渾名を付けられるのに対して
B-17はフライングフォートレスと来たもんだ。」
提督「搭載爆弾は単純比較で陸攻の4倍。赤い人もびっくりだ。」
阿賀野「赤い人?」
提督「知らないか…。ジェネレーションギャップだなぁ。」
提督「4倍の爆弾をその護衛機を必要としない防弾性能と対空性能を持った爆撃機が後方へ浸透してきてみろ。」
つついと飛車の駒を動かす提督。
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:13:21.11 ID:UVTnURzf0
秋津洲「おおぅ。」
阿賀野「うわぁー。」
提督「間の駒を全て無視のとんでも王手。」
秋津洲「将棋でやったら怒られるかも。」
提督「実際の将棋で言えば初手で相手の王将を盤面から叩き出す行為だからな。」
提督「ブリッツって言葉はドイツ語で稲光を意味する。」
提督「最近ではイラク戦争で米英軍がやってのけていたな。」
提督「まずは爆撃機で敵の拠点を破壊、
その後高速機動機械化部隊が敵の脆弱な部分へ突撃そして文字通り稲光の如き速さで敵最重要拠点を破壊だ。」
提督「そして、通過時に空いた穴から雪崩の如く怒涛の勢いで敵が侵入してくる。」
阿賀野「はい!提督さん。つまり阿賀野達の司令部が落ちるって認識でいいの?」
少し青ざめた顔で理解した事への確認を行う阿賀野。
提督「その通りだ。始めの南方棲姫の部隊は陽動だな。」
提督「陽動に姫級を使うとは予想もしてないだろうし
更に言えばこの辺りの指揮官として既知の相手だから突出して出てくれば司令部は全力で排除を命じるだろう。」
提督「で、陽動に引っかかって左側が通常より手薄になる。」
提督「その手薄になったところに戦略爆撃機で防衛線上の拠点を吹き飛ばす。」
提督「戦略爆撃機は艦艇とかの移動目標には使えんが建物とかの固定目標には
さっきも言った爆弾の搭載量のお陰で甚大な被害を齎すことが可能だ。」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:15:40.96 ID:UVTnURzf0
秋津洲「防御線に穴をあけるだけなの?」
提督「穴を空けたら今度は同じ航空戦力の空母連中の仕事だ。」
提督「大まかな仕事と細かな仕事の作業分担、ちょいと意味は違うがワークシェアって奴だな。」
秋津洲「でもこの仕事の分かち合いはよくない分かち合いかも。」
提督「だな、戦略爆撃機隊は雑事に捕らわれなくていいからどんどん先に進めるからな。」
提督「後、間違いなく護衛もついてるだろうから完全に爆弾を落すのみに集中できる。」
阿賀野「敵がずるい。」
提督「そう言ってもなぁ。戦争だからなぁ…。さてと、説明を続けるぞ。」
提督「穴が開いた後は高速機動部隊で一気に進軍。
そして無線などの連絡手段で連携を密にしているだろう南方棲姫が同時に進路変更。」
阿賀野「二方向からの進軍には急に対処出来ない?」
提督「予測出来てないと無理だろうな。」
提督「姫級指揮官が1人と思い込んでいた上に
敵の基地戦力は飛行場棲姫だけだと思い込んでいた所に付け込まれた。」
提督「更に味方を攻撃する事への躊躇い、
鹵獲艦娘の攻撃へ躊躇わない奴は居ないだろうから迎撃の手は正直鈍くなるだろう。」
提督「大陸における都市爆撃と違って島にある拠点を狙うやりかたは
的が小さいから狙いにだろうがそこは落す爆弾の量を増やせば問題ない。」
提督「なんせ挟撃の形になるから前線から戦力を引き抜く暇はないだろう。」
提督「南方棲姫の陽動が始まってここ数日。
それから考えれば早くて明日、遅くても明後日には俺達の後方司令部は更地にされるだろうな。」
阿賀野「そんなに早く?」
提督「あぁ、このブリッツって戦術は敵深海棲艦の性能の良い電探、無線設備、航空機材、
全てにおいて向こう側に有利な条件が整ってる。」
提督「さらに言えば兵力を旧ソ連の如く無駄遣い出来る深海連中なら
猛進する際の損害も一切考えなくていいから負傷した連中も俺達と違って捨てていける分、
進軍速度が落ちることがない。」
提督「だから進軍速度はこちらの予想する以上の早さだろう。
さらに兵站についても補給艦を大量に向こうは用意できるし
それでも足りなければ爆撃機に積んで航空輸送してもいいしな。」
提督「まさしく物量で殴る。だ。」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:17:01.54 ID:UVTnURzf0
提督「だから補給基地が作られた時点で詰みだったと言うわけだ。」
提督「まっ、そういう訳だから撤収だ。」
阿賀野「じゃ、提督さんの船も燃料入れておくね!」
提督「いや不要だ、俺はここに残る。」
阿賀野「えっ!?」
提督「本来は指揮官が死ぬのは避けるべきだが退き陣も速度が全てだ。」
提督「俺が乗る船を守りながら逃げてみろ?
スピードが遅いのと標的がここに居ます!って言っているようなものだ。」
提督「敵の指揮官っていうのは須らく最優先排除目標だからな。」
提督「それに生き残っても俺の階級だと地獄しか待ってない。」
秋津洲「階級かも?」クビカシゲ
提督「俺の階級は将官位だ、南太平洋で大きく負けたとしても人類が消滅するわけじゃない。」
提督「責任をとらせる生贄が要るわけだよ。
どんなに才能があっても一度の失敗で全てを失うのがすばらしきかな日本型社会って奴だ。」
提督「逆に死んだ奴はいい奴だ、となるのも日本型社会でな。」
提督「俺がここで死んでお前達が逃げる為の時間を稼げば
不惜身命の精神すばらしいで美談に仕立ててくれる。」
提督「お前達が本土に逃げ帰った後の事まで考えれば俺はここで死んだ方がいいのさ。」
提督「生きて帰って、生き地獄を味わうくらいなら英雄として死なせてくれ。」
提督「俺は疲れたよ。」
阿賀野「提督さん。」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:18:17.74 ID:UVTnURzf0
提督「ま、そういう訳でこいつは俺からの最後の指令書だ。
俺が撤退命令を出したことを証明するものだから絶対に無くすなよ?」
阿賀野「分かったわ!」
提督「それから阿賀野、これは白紙の指令書だ。
撤退中に本土へ逃げるまでに必要あれば現地徴発でもして物資は手に入れろ。」
提督「判子と俺の署名は入れてある。文面は良く考えて書け。」
阿賀野「白紙委任状みたいなものかしら?」
提督「当たりだ。こいつは海軍の人事システムの穴を突いた物だからな。
悪用は今回限りにしとけよ。」ニヤリ
阿賀野「うん!分かったわ!」ウフフ
これは、海軍の司令部に戦死が報告され確定するまでは提督が生きている扱いになる為、
提督の地位をぎりぎりまで使い倒すというある種の詐欺である。
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:19:30.88 ID:UVTnURzf0
提督「負傷者は出来る限り収容しながら撤収してくれ。
この海域で何があったのかの情報は値千金の価値がある。」
阿賀野「分かったわ!」
提督「最後にこの手紙だ。艦隊司令部の戦略参謀におれの昔馴染みがいる。
そいつを頼れ。悪いことにはならんはずだ。」
こうして撤退の指示を出し、拠点を離れる阿賀野達を見送ると提督は一人、拠点にある建屋へ入っていった。
提督「元々はここが鎮守府としての拠点になるはずだったんだがな…。」
提督「まぁ、無駄に拠点を構えると枷になっちまうわなぁ。」
食堂になるはずだった部屋に椅子を置き床下収納からナポレオンを取り出す。
提督「お前達はどうして逃げなかった?」
発電機を動かしている為に使える水道から出る水で
埃を被ったグラスを洗いながら部屋の入り口に向かって問いかける提督。
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:21:26.59 ID:UVTnURzf0
明石「結婚した時の誓いの言葉忘れたんですか?健やかなる時も病める時も。」
提督「夫婦寄り添いだったか?」
明石「それに、提督にはちゃんと話しておかなきゃと思って…。」
秋津洲「秋津洲は大艇ちゃんがあるからギリギリまで逃げなくても大丈夫かも。」
秋津洲「それに必要だと言ってくれた提督さんの最後を見届けたかったから…。」
提督「俺は妻と部下に恵まれたな。」
提督「阿賀野もこの撤退戦の修羅場を抜けきれば一端の旗艦としていい面構えになるだろうが。」
提督「それを見届けられないのは心残りだな。」
提督「お前達も飲むか?」
グラスを二人に差し出す提督。
提督「ちょいとつまみをとってくる。保存食になにかあっただろ。」
そして、ブランデーのつまみとしてはちょっとおかしなサラミ。
秋津洲「塩たっぷりの保存食かも!健康の為に遠慮しておくかも!」
提督「だなー。高血圧まっしぐらだ。」
明石「結構いいお肉を使っていますね。」
箸を伸ばそうとしない秋津洲と対象的にぱくつく明石。
提督「でだ、明石。話してくれるんだな?」
明石「はい。」
明石が話し始めるのは前職での仕事内容。それは驚愕の内容だった。
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:24:15.12 ID:UVTnURzf0
提督「するとその○四計画ってのは深海の姫、鬼級を人工的に作り出す研究だったのか。」
明石「はい。分野を超えて研究していた中で深海棲艦の姫級が群の統率を蜜蜂や蟻の様に行うなら
その頭を此方で作って挿げ替えてしまえばいいという結論になったんです。」
提督「だが、それはお前、制御できないだろ。」
提督の意見は最も。
明石「その為の制御装置があったんです。」
提督の脳裏に浮かぶのは阿賀野からあった報告。
提督「例の友軍に攻撃してきた艦娘に使用されたという敵の新兵器の事か。」
明石「はい。何処から漏れたのか…。」
明石「私もその研究所で主席として研究していたのですがある日にふと目が醒めたんです。」
明石「艦娘を深海棲艦の姫級へ艦娘の意識を残したまま改造して頭には制御装置兼万一の自爆装置。」
明石「とても許されるものじゃないと。
戦争を終わらせる為だとしてもこんな人の道を外れたものが許される筈がないって。」
明石「それで、全てを破壊して逃げたんです。」
提督「そうか。」
明石「それが、どうしてこんな事に……。」
提督「一緒に研究していた連中が居たんだろ?そいつらから漏れたんだろうさ。」
提督「戦争っての始まりから終わりまで全部を通して金になる。」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:26:20.39 ID:UVTnURzf0
提督「大方、欲に目のくらんだ海軍の誰かの仕業だろ。」
秋津洲「武器業者さんかも?」
提督「武器業者の実際はイメージ程儲からないのが実情だなぁ。」
提督「武器だけ作る重工業より化学や総合商社、
戦費調達に関連する銀行、証券とかの金融屋だろうな。」
提督「武器開発に関連しての技術の方が民生転用して大きく儲けれるのよ。」
提督「枯葉剤なんかの土壌汚染は食料問題に直結するから
化学兵器を使用された国は土壌汚染を無視して作物を作るとかで無い限り食料輸入国になっちまう。」
提督「コングロマリットなんかだと武器製造の重工業、食料調達の総合商社、あるいは穀物商社、
戦費調達に関わる国債の販売引き受けで銀行、証券会社。全てにおいて金を稼げる。」
提督「戦争ってのは物と金を大量に消費してまったく生産性がない。」
提督「門外漢だからあまり詳しくないが軍事ケインズ主義っていう、
まぁ、経済の調整目的で戦争をやる、あるいは強力な軍隊を持ち大量の軍事費を投入すべき、
なんていう学説もあったりする。」
秋津洲「めちゃくちゃかも…。」
提督「学説が出る前だが成功例としてナチスドイツやら同時期のルーズベルトが有名かな。」
提督「ただ、こいつらはちょっと頭の螺子がなぁ。」
提督「とりあえず、ざっくり言うと巨額の軍事費が経済を好転させると考える経済学だ。」
提督「第二次世界大戦の例で言うなら週間護衛空母なんてやれたのは
当時の不況により余っていた労働力の解消と
金をばら撒く公共事業への大義名分を手に入れる為だったという見方も出来る。」
秋津洲「工業力があればこそのような気がするかも。」
提督「まぁな。んでだ、折角、戦争が起こってくれているなら
なるべく長引かせて金を儲け様と考える輩が出てきてもおかしくはないさ。」
提督「長引く程にばら撒かれる金は多くなるからな。」
秋津洲「救いようの無い馬鹿かも…。」
提督「確かにな。」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:27:46.17 ID:UVTnURzf0
明石 グゥ
提督「と、薬が効いたな。」
秋津洲「やっぱり睡眠薬いれていたかも。」
提督「サラミは香辛料やら塩を多く使う分、味覚を鈍くしてくれる。」
提督「継ぎ足した酒に入れた薬の味を悟られずに済むって寸法さ。」
提督「惚れた女が一緒に死のうと言ってくれたとしても男は黙って拒否しねえとな。」
提督「死ぬのは一人でいい。」
提督「それと、誓いの言葉だが。死が二人を別つまで。って続くのを忘れてやがる。」
提督「まったく忘れっぽい奴だよ。」
秋津洲「提督。」
提督「秋津洲。すまねぇがお前の気持ちに応えてやることは出来ない。そして、明石の事、頼まれてくれないか。」
秋津洲「提督。」グシッ
提督「泣くな。化粧が崩れるぞ?」
秋津洲「ていとく〜。」ブワッ
提督「苦手なんだよ。女の涙ってのは。」
提督「まったく……。」
秋津洲 ウワァ―――――ン
抱きつく秋津洲の頭を撫でながら提督は一つ、深く溜息をついた。
一頻り泣いた秋津洲が良く眠る明石を抱え拠点から離れたのはその日の深夜。
不肖にして優秀と相反する評価が付けられた弟子への手紙とともに。
これはタイミングとしてギリギリだった。
なぜなら、空母棲姫達主力部隊侵攻の開始は払暁と同時だったから。
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:29:37.56 ID:UVTnURzf0
夜明けの時間にも関わらず空がいつまでも暗いままだった。
敵が多すぎて空の色、海の色が見えなかった。
辛うじて命を拾った艦娘の証言である。
飛行機が八分に空が二分。
船が八分に海が二分。
いかに敵の航空兵力と艦艇が多かったかが分かるだろう。
払暁と共に始まった深海の一大攻勢作戦は翌日の黄昏時には終わり
黄昏と類義語である落日を南太平洋に展開する海軍に齎す事となった。
日本海軍南太平洋重要拠点
南方「この敵後方拠点をこうもあっさりと落すことが出来るだなんて思いもよらなかった。」
南方「人間達にとって要衝のはずなんだけどな。」
空母棲姫率いる主力C部隊が陥落させた敵拠点で合流した南方棲姫が最初に交わした言葉。
空母「そうそう、ここの指揮官達の首は浜辺に並べて置いたので一応見ておいて?」
空母「皺だらけの爺だの脂で弛みきったデブの首ばかりで華がないけれど。」
苦笑しながらその要請に了解したと返す南方棲姫。
空母「まぁ、攻められるはずが無いとの思い込みが防衛に割く人員を少なくしていたのでしょう。」
空母「実際あっさりとしたものだったわよ?」
南方「我々の拠点からここまでの距離を考えればそう思うのも無理は無い。」
空母「もっとも割いていた所で応戦出来ていたかどうかは分からないけれどね。」
南方「そうね。これだけの数を動かす作戦はそうそう実行できないものね。」
圧倒的物量で押す作戦というのは立案出来てもなかなか実行出来る物ではない。
RTS等のゲームをプレイした事がある方は分かると思うが大量の軍勢を一度に整えるのは
それだけで資源が底をつきかねない行為である。
だけに数を頼みとする深海勢力でも今回の作戦に用意した軍勢は前例の無い規模だった。
この時の作戦に使用された深海の主攻部隊C郡参加戦力は以下の数である。
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:31:11.42 ID:UVTnURzf0
戦略爆撃機1500機
護衛参加戦闘機800機
参加した艦艇
駆逐艦(級種階級別省略) 423
軽巡洋艦(同省略) 45
重巡洋艦(同省略) 33
戦艦(同省略) 36
空母(同省略) 51
軽母(同省略) 54
補助艦艇(兵站等輸送用補給艦) 1500
これだけの艦艇数が一度に作戦参加して正しく蹂躪をしたのである。
南方「ここを落したことで兵站輸送関連の情報を精査すれば
敵の拠点も全て所在が明らかになるだろうな。」
空母「ここの要衝を私達の拠点化に成功すれば敵の本土侵攻への拠点としても使用可能ね。」
空母「さてと、後の事は任せてもいいかしら?」
南方「?」
空母「私がこれだけの作戦指揮をとった理由ぐらい察しなさいよ。」
南方(まだ諦めてなかったのか。)
南方「……、爆撃機に私の部下も出そうか?」
空母「いらないわ。黒こげの剥製なんて面白くないでしょ?」
空母「剥製にするなら生身のままでないと。少数の手勢で充分よ。」
空母「あなたには此処の足場固めと残敵掃討の残業をお願いしてもいいかしら?」
笑顔で要求してくる空母棲姫。
勝利した後の個人的な楽しみ。
いや、寧ろ其方が主目的で敵の後方重要拠点を落すことは前座。
彼女は自分を虚仮にしてくれた提督を確実に殺す為、動き始めた。
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:32:37.08 ID:UVTnURzf0
補給所8番近海
空母「日も暮れて来たわね。」
ヲ級「空母棲姫様、近くにどんちゃん騒ぎというか賑やかというか。」
空母「?」
ヲ級「尋常ならざるおかしな状況の鎮守府があります。」
ヲ級が言いにくそうに伝える変な様子の鎮守府の状況。
空母「なにそれ、あからさまに罠じゃない。」
どうしましょうという顔で空母棲姫を見るヲ級。
空母「実に面白いわね。本当、敵の指揮官の中で狂おしい程に会いたいと思った相手は初めてよ?」
空母「出来れば生きたまま味方に引き込みたいわね。」アハハハハ
ヲ級「敵の指揮官をですか?」
空母「私達に足りないものは何だと思う?」
ヲ級「?」
空母「全体を見通して総合的に戦略を立てる戦略参謀よ。」
空母「一部にそれをやれる姫、鬼の娘達も出てきているけど圧倒的に足りないわ。」
空母「さらに南方棲姫の様に兵站管理の出来る戦務参謀なんてもっと足りない。」
空母「私達が現状勝っているのは量だけよ。質を上げなければ勝利は無いわ?」
空母「さて、どうしようかしら?」
一般的な話をすればあからさまな罠にのる相手は居ない。
だが、現状、この戦闘域でまともな戦力を残している相手は居ない。
そして、自分が連れている部下達は選りすぐりの精鋭。
空母「ちょっと挨拶くらいしてみるべきかしら?」
空母「あなた達は万一に備えて戦闘体勢のまま待機しておいて。ちょっと顔を見てくるわ。」
空母棲姫はまんまと敵の思惑に乗った、好奇心が勝ってしまったのだ。
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:34:18.47 ID:UVTnURzf0
その鎮守府は煌々と灯りに照らされ、腰に太刀を佩き正装をした人間が一人酒盛りをしていた。
提督「ようこそお嬢さん、我が鎮守府へ。」ニヤリ
空母「随分と面白い事を言うわね。」
提督「あんたは空母棲姫か?深海棲艦の図録で確認した事があるだけだが。」
提督「へぇ、写真よりずっとハクイ女じゃねぇか。」
空母「世辞の言葉として受け取っておくわ。」
空母「あなたが?」
尋ねる言葉はこれで充分。
提督「あぁ。」
空母「答えは分かっているけど一応聞くわ。あなた、私達の所に来る気はないかしら?」
提督「分かっているなら聞くだけ無駄だろ?」
提督「俺からもいいか?」
空母「どうぞ。」
提督「お前か?」
空母「分かっているんでしょ?無駄な質問よ。」
お互いの力量を知っている敵同士が出会えば。
提督「俺の首を獲るかい。」
空母「厄介な指揮官は生きていて貰うと困るのよ。」
空母「死んで貰えるかしら?」
提督「まぁ待て。最近の若い奴はせっかちでいけねぇや。酒でも飲もうじゃないか。」
提督「月が綺麗だぜ?」
空母「文学的なお誘いという訳ではなさそうね。」
提督「妻帯者なんでな。悪いが深い意味は無い。
敵の優秀な指揮官という事なら話の一つくらいしてみたいとも思うものだろ?」
提督「それとも、その程度の心の余裕すらないのかい?」
ふんと鼻を鳴らし。
空母「いいわ、その酒瓶が空くまでは付き合ってあげる。」
提督「高級酒なんでな、時間を掛けてゆっくりと味わってくれ。」ニヤリ
それからゆっくりと2時間程、敵同士という形でありながら不思議な酒盛りは続いた。
そして、最後は訪れる。
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/04/06(金) 00:36:55.77 ID:UVTnURzf0
提督「……、これで最後か。」
空母「そのようね。この酒盛りは貴方にとって何か意味はあったのかしら?」
提督「あぁ、大有りだ。俺の部下達を逃がす時間稼ぎに必要だったのさ。」
やられたという顔をする空母棲姫。
空母「何かの罠を仕掛けてくるのかと思っていたけど
何も仕掛けてこない事が罠だったなんて。呆れたわ。」クスクス
空母「貴方みたいな指揮官は本当に厄介ね。心の底からここで殺せて良かったと思うわ。」
空母「さぁ、死になさい。」
提督「待て待てどうせ死ぬならそのでっけえ胸に挟まれて死にたい。」
空母「随分と肝の据わった願いね。いいわよ、いらっしゃい。」フフフ
ぎゅっ。
提督「ほほう。なかなかこれはボリュームあるじゃねぇか……。」ポムンポムン
スラッ。
ズンッ。
空母「!?」
提督「悪いな、俺も敵の優秀な指揮官を生かしとくわけにはいかねぇんだ。」
空母棲姫に抱きつきその背中から自分を貫くような形で刀を串刺しにて逃げられないように固定。
提督「一緒にあの世に逝ってくれや。」ニヤリ
カチリ。
提督が隠し持っていたスイッチを入れると大爆発が起き全てがその炎の中に飲み込まれる。
その爆発の炎は遠く離れた場所でも観測出来たそうである。
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:37:40.17 ID:UVTnURzf0
旧海軍後方集積地(現深海棲艦新拠点)
南方「空母棲姫が殺られた!?」
南方「……、了解した。一旦拠点に戻ってくれ。」
空母棲姫が死んだことを連絡する無線を受け空母棲姫に付き従っていた部下に撤収の指示を出す。
南方「くそっ!これからの深海棲艦を支える貴重な人材が!」
南方「ここの拠点化と平行しての残敵狩りは私だけでは厳しいというのに!」
南方「実におしい人材を失くした。」クソッ
空母棲姫が提督の自爆による相打ちにより南方棲姫の残敵狩り包囲網構築は遅れ、
結果として多くの艦娘がその包囲網から逃げ延びたのである。
これが、後に海軍最大の汚点とも言われる『 南太平洋の悲劇 』の全貌である。
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:39:12.59 ID:UVTnURzf0
現在
提督「明石。探したぞ。」
明石「提督ですか。私に何か用ですか?」
提督「こいつもお前に渡しておこうと思って探していた。」
明石「バスクリンの缶ですか。」
提督「中身が強烈でな。疲れも吹き飛ぶ。」
提督「くれぐれも取り扱いには気をつけてくれ。」
カロカロコロ
明石「中身はなんですか……?」
提督「献金絡みの金の流れと積荷証券関連の金の流れ等色々だ。」
提督「俺の同期が時雨のやらかした事の裏取りしていて
手に余るって事で俺に保険を掛けて来たんだ。」
提督「なんせ本土は魑魅魍魎の類が多いんでな。」
提督「表向きには時雨が主導してやった事になってそれ以外の関与を示す証拠が一切ない。」
明石「怪しいこと限りないですね。」
提督「あぁ、言葉は悪いが一介の艦娘風情に出来る山じゃねぇ。」
提督「中身を見ていたら明石が昔に勤めていた研究所の名前も出てきた。」
提督「それで、俺も再保険を掛けておこうと思っただけだ。」
明石「ありがとうございます。」
提督「礼には及ばん。世話になった師匠への手向けだ。
お前ならこの情報の生かし方が分かるだろ。存分に役立ててくれ。」
提督はそう言い、同期から託されたUSBメモリのコピーを明石に渡したのだった。
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:39:46.60 ID:UVTnURzf0
おまけ短編ギャグ 傭兵って個人事業主?
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:41:31.69 ID:UVTnURzf0
不知火「川内さんから確定申告の書類が提出されました。」
提督「もうそんな時期か。」
不知火「川内さんの場合は契約上個人事業主になりますから。」
提督「そうだな。」
不知火「他の個人事業主。傭兵扱いの方の提出書類の確認もお願いします。」
提督「懲役のある連中は海軍の方で面倒見てくれるが自由契約だと確認が入るのが面倒だな。」
不知火「国税局が査察に来ることがあるのでしょうか?」
提督「………、不知火。あいつらを舐めない方がいいぞ。」
不知火 ぬい!?
提督「居酒屋の所得隠しを見つける為にゴミを漁って
使用された割り箸の本数や納品されたおしぼりの数を確認したり。」
提督「一ヶ月以上張込みをして店舗の来店客数を調べたり。」
提督「コミケの壁サークルに貼り付いて来訪者はもちろん売り上げた冊数のカウント。」
提督「印刷所での発行部数、書店委託同人誌の売り上げからのサークル売り上げ予測。」
提督「そして自宅やレンタル倉庫等へ捜査に入り在庫の誤魔化しを見破る。」
提督「あの手、この手で税金を取ろうと脱税を見逃さない。」
不知火「恐ろしい人達なんですね。」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:43:05.59 ID:UVTnURzf0
提督「まぁ、ここの場合、ほとんどが経費で落せるから川内には俺が色々指南しているがな。」
提督「後、調査に来ようとする連中の乗る船には
護衛が出せませんと丁重にお伝えしているから、来る間に殉職する嵌めになる。」
提督「軍事施設に税金取立てというのが平和ボケした日本らしくもあるがね。」
提督「戦闘を艦娘に押し付けて自分らは平和を謳歌するというのは馬鹿げているとは思わないか?」
不知火「……。不知火の立場では返答致しかねます。」
提督「ん。にしてもあいつはもう少し上手くやれといわないとだな。」
不知火「おかしな点が?」
提督「これだよ。」
提督が指差す項目を見つめる不知火。
不知火「成る程。」
提督「これは艤装の一部になるから減価償却の方に廻せる。」
不知火「こちらは使い切り扱い出来ますので消耗品で経費に廻せますね。」
提督「あいつ向けに簿記の本でも買ってやるか…。」
不知火「経費で落しておきましょうか?鎮守府内図書館の貸し出し用とすれば可能かと。」
提督「頼む。」
外地鎮守府管理番号88。
傭兵だって個人事業主。
魚雷の一発、砲弾の一発で失う安い命。
地獄の沙汰もなんとやら、明日の命の遣り取りに、使うお金はTax Free
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:43:42.13 ID:UVTnURzf0
第四話 We Will Lock you 前編
※タイトルのLockがRockでは無いのは意図的にしています。御了承下さい。
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:44:41.85 ID:UVTnURzf0
時雨「あっ、雪風。今日は休みかい?」
雪風「えぇ。今日はお休みです。」
雪風「時雨さんは?」
時雨「僕もだよ。これから明石さんの所へ注文していた商品を取りに行く所だよ。」
雪風「ご一緒してもいいですか?雪風も注文していた商品があったのを思い出しました。」
そして、明石の工廠兼酒保に着いた時そこには先客が居た。
スパ「だから高いですってぇ。」
明石「そう言われましてもねぇ。あなたの艤装特殊なんですよ。」
スパ「戦艦の艤装として普通でしょ!?」
明石「インチ。」
スパ「うっ。」
明石「だいたい艤装に使う部品くらいメートル法で作ってから文句たれろや。」アァン?
明石「整備に使う工具を揃える手間賃も入ってんだ。大まけにまけてその値段なんだよ。」
雪風「お取り込み中でしたか?」
明石「いえいえお客様。大丈夫ですよ。」
その光景はいつかみた光景。
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:45:49.21 ID:UVTnURzf0
時雨「艤装の清掃用特殊洗剤が届いているって秋津洲から連絡を貰ったから取りに来たよ。」
明石「あっ、あれですか。タンパク質が綺麗に落ちる魔法の洗剤。」
時雨「うん。艤装の熱でこびり付いたのもあっという間に落ちるから重宝してるよ。」
雪風「雪風はTONEのレンチセットです。」
明石「そういえば時雨さんはエビのセットを先日購入いただきましたけど?」
時雨「使い勝手はいいよ。流石ロブスター製品だ。」
ウォースパイトが居ないかのように接客を続ける明石。
雪風「ウォースパイトさんはどうしたんですか?」
スパ「!」
スパ「聞いてくださいよぉ〜。」
半泣きのウォースパイトが語りだす。
曰く修理を頼んだらぼったくりにあったと。
雪風「ぼったくり。」
スパ「見てくださいよこれ!」
明石からの見積書を見せられる二人。
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:47:55.66 ID:UVTnURzf0
時雨「うーん、これは仕方ない気がするかなぁ。」
雪風「そうですね。これは少し壊しすぎですね。」
スパ「え。」
時雨「戦艦は装甲が厚いから敵からの攻撃をかわすより
装甲で受け止めるって考えになってしまうのが悪いね。」
雪風「長門さんも同じ戦艦ですが避け切れず被弾する時は壊すところを考えていますよ?」
時雨「だね、壊すにしても修理が安くなるところを考えている。」
雪風「見たところ修理箇所は重要機関に近いところばかりですし…、
回避行動の基礎が疎かの様ですね。」
時雨「被弾原因は魚雷が多いみたいだ。」
雪風「それもよくないですね。」
スパ「えっ。」
時雨「戦艦を沈める威力が出せる砲撃は同じ戦艦くらいだけだものね。」
雪風「その通りです。重巡でもラッキーパンチが出ればそれなりにダメージを与えられますが
戦艦を沈めようと思ったら普通は魚雷です。」
雪風「大本営が格好良い艦娘の広報映画を作って
駆逐艦が戦艦を砲撃で沈めたりなんかしているシーンがあったりしますけど馬鹿の極みですよ。」
雪風「現場を知らない。」
時雨「深海棲艦も人型だから人間と同じ弱点をピンポイントで狙えば可能かな?」
時雨「それが出来るとしても最新の兵装を使えるここの娘達くらいだけだろうけど……。」
雪風「戦艦という艦種を沈めようと思うなら空母艦載機による飽和攻撃が一番効果的です。」
雪風「しかるに魚雷を避けきれずに当たっているこの被弾の仕方は地獄の鍋底を覗いているようなもの。」
雪風「あなたは明日にでも死ぬおつもりですか?」
雪風の質問に首をぶんぶんと振り否定するウォースパイト。
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/06(金) 00:49:33.35 ID:UVTnURzf0
雪風「であればやるべき事は一つです!」ニタァ
時雨「演習あるのみだね。」ニコニコ
雪風「最近はこの辺りの敵も落ち着いてきているので
1週間程は仕事をしなくても大丈夫だと思います。」ウキウキ
時雨「そうだね。暫くはいい訓練日和だね。」ニコニコ
スパ「えぇっ。」
うきうきした気持ちを隠しきれない様子の二人。
雪風「明石さん!」
明石「なんざんしょ?」
雪風「すみませんがウォースパイトさんの修理代金、貸しにしていただけませんか?」
明石「……、めったに無理を言わない雪風さんの頼みとあっちゃ応じない訳にはいきませんね。
よござんす、貸しにしときましょう。」
雪風「すみません。」
明石「いいぇ、これは損して得取れって奴ですよ。
ウォースパイトさんが長生きしていっぱい稼いでくれればうちも将来的に上客が増えるってもんです。」
雪風の要請に快く応える明石。そしてウォースパイトの肩に手を回し耳元で囁く。
明石「ビッグになってくださいよ?」ニタァ
スパ「はぃぃい!」ビシッ
その様子に笑いを堪える時雨に雪風。
この日から雪風と時雨によるウォースパイトへのしご……、もとい訓練が始ったのだった。
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/06(金) 00:56:21.05 ID:UVTnURzf0
以上で本日分の更新終了です
深海棲艦の採ったブリッツはドイツのパリ侵攻作戦とイラク戦争時の砂漠の嵐作戦を参考にしています
現代においては武器の高価格化が進んでいるため開発費も高騰し武器業者は儲からないようですね
銃器メーカーで有名なレミントンが会社更正法を申請していたのは記憶に新しいかと思います
航空機メーカーではミグとスホーイが合併しますし業界の再編はかなり進んでいっています
船舶関連は米国内はかなり再編が進んでおり空母、潜水艦なんかはそれぞれ実質1社しか製造ノウハウを持ってないです
ダイオキシン公害で有名になった枯葉剤を作っていたダウケミカルはフロンガスやテフロンで有名なデュポンとくっ付きましたし
かつて戦争で儲かっていた企業も平和だと……、これ以上はいけないですね
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/06(金) 01:33:26.19 ID:JUzIg4pA0
おつおつ
敵の本気具合にひくけど、そんな手練れを一本釣りする方も天晴れか
…あとオチ担当が悲惨過ぎるw
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/07(土) 16:23:40.82 ID:fjwbpxyA0
阿賀野のドライさに草
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/08(日) 18:27:58.75 ID:RWmREyVeo
ヤード・ポンド法は死すべきだからね
仕方ないね
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:06:42.37 ID:itCBXKBv0
ノリノリ不知火からウォースパイトは逃げられるのか!?
そんなお話、更新させていただきます
お時間宜しければお付き合い下さい
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:07:34.91 ID:itCBXKBv0
第五話 We Will Lock you 中編
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:09:47.34 ID:itCBXKBv0
執務室
不知火「司令、こちらの申請書ですが。」
提督「あぁ、それか。雪風に頼まれた奴だ。
1週間ほど鎮守府近海に訓練海域を設定したいんだそうだ。」
不知火「そうですか……。」
提督「ウォースパイトに回避行動等の基礎訓練を叩き込むそうだ。」
提督「お前も手伝ってやってくれ。」
不知火 ぬい!?
不知火「ですが。」
提督「しばらく敵に動きがない。
何か企んでいるのだろうが、いざ動く時は手駒が多いほうがいい。」
提督「ウォースパイトはまぁまぁだがうちの1軍連中にはかなり劣る。」
提督「うちの看板背負わせるにはまだまだ未熟だな。」フフン
提督「横須賀で海の銀狐の異名で呼ばれ教導隊の教官をやっていた頃の腕を見せてもらおうか。」
不知火「ですが、司令の秘書をする者が……。」
提督「ここ最近の仕事量だと秘書は無くてもなんとかなるさ。」
提督「寧ろ、今後に備え秘書業務で錆び付いた感を取り戻してきてくれ。」
ガチャ。
明石「提督、頼まれていた不知火さんの艤装の整備と動作チェック、
後、燃料と弾薬。補給終わりましたよー。」
明石「それとファンネルマークの銀狐もペイントし直しておきました。」
提督「あぁ、ありがとう。」
提督「不知火、そういう事だ。行って来い。」ニヤリ
不知火「でっ、では。早速。」ウキウキ
こうして不知火も訓練に教官として参加する事となった。
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:11:38.28 ID:itCBXKBv0
明石「不知火さんも訓練教官として参加するんですか?」
明石「豪華ですねぇ。」
提督「うちの駆逐艦で稼ぎ頭の2人と
切れた雪風に命令を実力で聞かせられる不知火の参加だからな。」
提督「ある種の悪夢だ。」
明石「Walking Nightmareでしたっけ?
長門さん並に複数の異名持ちだったと思いますけど。」
明石「Invisible Destroyer だの Imperial Ghost だの言われていませんでしたっけ?」
提督「あぁ、それは米軍連中がつけた渾名だな。」
提督「演習時に適当に揉んでやれと指示をだしたのが悪かった。」
提督「その時はお陰で始末書を書く嵌めになったな。」
明石「滅私奉公がそのまま生きているような娘ですからね。提督が悪い。」
提督「俺としては戦略参謀の経験を積ませるつもりだったんだがなぁ。」
提督「演習相手の駆逐艦を防御盾として手に持ちアイオワへ接近、格闘戦を挑み関節等に砲撃。」
提督「艤装のシステムダウンではなく使用者の戦闘不能を狙うからな。笑ったよ。」
提督「相手の戦闘意欲をポッキリ折りに行っているからな。性質が悪い。」ハハハ
提督「そして止めが米軍側の指揮官へ砲撃の諸元データー入力完了の勧告だからな。」
明石「演習の指示を出している頭を刈ろうとしたんですか……。」
提督「実戦なら正しいのだが、演習だとやり過ぎだ。」ハハハ
提督「米軍関係者はまさしく悪夢を見るような顔をしていたがな。」クックック
明石「ままなりませんねぇ。」
提督「あぁ、そうだな。あいつのそういう所は褒めるべきところだから始末書も喜んで書いたぞ?」
明石「演習相手の弱点や指揮管制の問題点等の意見書を30cmの厚みで合わせて提出されたんでしたっけ?」
提督「よく知ってるな。」
明石「そんな事やっているから上から煙たがられるんですよ。」
明石「とりあえず、ウォースパイトさん訓練で死ななきゃいいですけど。」
提督「大丈夫だろ。」
提督「……、たぶん。」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:13:20.70 ID:itCBXKBv0
鎮守府近海 臨時設定訓練海域
訓練1日目
雪風「この隠そうとしない殺気は!」ゾワッ
時雨「機関始動!全力回避!」ゾゾゾ
スパ「えっえっえっ!?」
これから訓練を始めようかといった話をしていた所にいきなり緊急事態宣言。
ドン!
雪風が今まで立っていた位置に着弾。
不知火「見事な回避です。」(無線)
不知火「司令から遊んでやれと命令を頂きましたので、一緒に遊びませんか?」(無線)
雪風「やはり不知火さんでしたか……。」
時雨「わざとに殺気を漏らしっぱなしって事は。」
雪風「本気ではないようです。」
スパ「あの、何が起きているのですか?」オズオズ
二人に対して敬語で質問するウォースパイト。
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/04/11(水) 01:16:37.96 ID:itCBXKBv0
雪風「しれぇの横で殺し屋みたいな鋭い目付きをした駆逐艦の方を御存知ですよね。」
脳裏に浮かぶは着任時のトラウマと警告。
スパ ガクガクガク
雪風「カタログスペックという常識の外に存在する方です。」
雪風「演習と気を抜いて掛かっていると死にますよ。」
言うが早いか上半身を後ろに捻る雪風。
そしてその鼻先を不知火が放った砲撃の弾が掠めて行きウォースパイトの真横に着弾した。
雪風「機関をガスタービンに変えていたお蔭ですね。危ない所でした。」
時雨「でも、本命はこっちの魚雷!」
シャ――――――
遠距離すぎる為、普通は当てることが望めない魚雷だが
その魚雷は回避した位置を先読みしたかの様に走ってきた。
不知火「実に素晴らしい。」(無線)
無線を使わずハンドサインで時雨と打ち合わせを始める雪風
雪風 私達を教導隊の新人か何かと勘違いしているようです
時雨 裏をかいて襲撃することは出来るかな?
雪風 ウォースパイトさんが厳しいかも、後、出来ても返り討ちにあう危険性が……
スパ「レーダーの範囲外からなんでこんなに精密射撃できるんですか!?」ウワーン
その砲撃は某殺し屋を彷彿とさせる精密射撃という名の狙撃。
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:17:40.93 ID:itCBXKBv0
不知火「そこに存在するという気配ですね。言っても分からないと思いますが。」(無線)
雪風「無線で泣き言を言っていると全て向こうへ筒抜けですよ。」
時雨「戦艦の装甲だと当たっても痛くはないと思うけどさっきも言った様にこれは牽制だからね。」
時雨「動きを誘導させられている形になるから気をつけて動きなよ。」
シャ―――――
ドン。
雪風「あらら……。」
時雨「言った傍から……。」
時雨が注意をしたと同時に魚雷を避けそこない被弾した。
不知火「手応え有り。」(無線)
雪風「なんで見えてないのに命中が分かるのでしょうか。」
時雨「化け物だ。」
その日の訓練はウォースパイトが撃沈判定103回という前代未聞の記録を打ち立てた。
時雨「酷い記録だよ。」
雪風「下手したら1ヶ月程訓練しないといけませんね。」
不知火 ♪〜
スパ「死、死んだ方がましかも……。」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:19:04.53 ID:itCBXKBv0
2日目
長門「不知火に頼まれて来たが教導は久しぶりだな。」ウキウキ
不知火「やはり戦艦の動きは同じ戦艦の方に指導いただくのが良いと思いましたので。」
長門「遠慮なくやっていいんだな?」ウキウキ
不知火「はい。司令からもその様に。」
長門「楽しめそうだなぁ。」ニタァ
不知火「えぇ、勿論です。」ニタァ
スパ「悪魔達の食事会会場はこちらでしょうか……。」バタン
雪風「気絶している暇なんてありませんよ?」
時雨「おーい、戻ってきなよ。」ペチペチ
この日、ウォースパイトの撃沈判定は87回に少し減った。
雪風「日々訓練あるのみです!」
不知火「2日目にして減らすことが出来るとは見込みがありますね。」フンス
長門「明日からは本気で行こうか。」ウキウキ
スパ「誰か殺して……。」
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:19:52.79 ID:itCBXKBv0
3日目
不知火「海の遊撃手と異名をとった秋津洲先生にお越しいただきました。」
秋津洲「かも!水母、秋津洲、ここに推参かも!」
雪風「ドリフトターンや波を利用してのバレルロール。」
時雨「艤装をまるでジェットスキーをするかの様に扱うトリックスター。」
不知火「人呼んで『 海の遊撃手 』」
秋津洲「秋津洲流航海術の開祖とは私の事かも!」
スパ「かも?ええっと、開祖?」
秋津洲「うん!」
秋津洲「ただの水母と甘くみないことかも!!」ニカッ
不知火「秋津洲さんは本日ハンデとして大艇を置いて来てくださっています。」
不知火「良かったですね。」ニコニコ
雪風「大艇つきですと雪風もてこずりますから良かったですね。」ニコニコ
時雨「本当だよ。」マッタク
スパ「えっ。」
不知火「見た目の可愛さに騙されると地獄の最下層を覗く事になりますので御注意ください。」ヌイ!
不知火「だてに明石商会の運び屋をされている訳ではありませんので。」
秋津洲「いっくよー!」
スパ(といっても水母だし……。)
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:20:37.11 ID:itCBXKBv0
ヒュッ
秋津洲「はい!死んだかも!」
スパ「えっ、いつの間に背後に!?」
不知火「ウォースパイトさん撃沈ですね。」ヤレヤレ
雪風「艤装のパワーコントロールが苦手みたいですね。」
この日、ウォースパイトの撃沈判定は85回だった。
不知火「秋津洲さん、手を抜きましたね。」ヌイ!
秋津洲「ばれたかも!!」ニゲロー
スパ「死んだ……。」バタッ
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:21:20.18 ID:itCBXKBv0
4日目
グラ「ふっふっふ。実に面白そうな事をやっていると聞いたぞ。」ンフー
スパ「」(卒倒)
不知火「対空戦闘も重要です。」
4日目、ウォースパイトの撃沈判定は101回に増えた……。
時雨「おぉ。ウォースパイトよ、撃沈判定が増えるとは情けない。」
時雨「空母艦載機からの攻撃が一番危険なんだから回避が疎かになると危険だよ?」
雪風「ですが、少しずつ洗練されてきつつあるとは思います!」
スパ「復活の呪文は不要です…。このまま眠らせて……。」
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:22:11.58 ID:itCBXKBv0
5日目
川内「今日は不知火が参加できないから私が来たよー。」ウシシシ
雪風「出ましたね。」
時雨「来ましたね。」
長門「ほほう。」
グラ「サイレントマスター。」
川内「私の訓練は夜中まで続くよー。休憩入れながら今日は完徹だよ!」
スパ「」
川内「やっ、せっ、んー!すっすめー!やっ、せっ、んー!いってみましょー!」
時雨「それ、別の娘の台詞だよ。」
5日目、ウォースパイトの撃沈判定は前日とほぼかわらず100回を記録した。
スパ「空が白い……。」ウヘヘヘ
時雨「徹夜の作戦もあるから一日二日寝ないなんて普通だよ?」
雪風「慣れれば航行しながら眠るなんても高等技術も身につけられます。」
スパ「地獄はここにあった……。」
川内「動きはまぁまぁましになってきたんじゃない?」
雪風「そうですね。」
スパ「もうやだ!なんで私ばっかりこんなしごきにあうんですか!?」
スパ「死んだほうがましだわ!」
時雨「何でか分からないのかい?」
雪風「……、じっくり考えて下さい。結論が出るまではずっと訓練です。」
不知火「今日の訓練はここまでとします。」
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:22:49.66 ID:itCBXKBv0
執務室
コンコン
提督「開いてるぞ。入ってくれてかまわん。」
雪風「しれぇ、まだ、お仕事中でしたか。」
提督「まぁな。どうした?」
雪風「訓練海域の設定延長をお願いします。」
提督「あぁ、分かった。どのくらい……。」
雪風 スースー
提督「毛布を掛けてやるか……。」
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:23:25.43 ID:itCBXKBv0
6日目
スパ「死にそう……。」
7日目
スパ「死んだ方がまし……。」
8日目
スパ「死ねばいい……。」
9日目
スパ「死んだ……。」
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:24:54.37 ID:itCBXKBv0
10日目
摩耶「よっ、だいぶ揉まれてるみたいだね。」
摩耶「今日は何回死ぬ予定だい?」
スパ「今日は、えーっと50回は切りたいです。」
雪風「大きく出ましたね。」クスッ
不知火「では、今日も始めましょう。」
夕方
雪風「今日の訓練終了です。」
スパ「ちかれた……。」
時雨「ウォースパイト。」
スパ「はい。」
時雨「まだ、死んだ方がましかい?」
スパ「いいえ、苦しいですけど生きていた方がずっと楽しいですね。」ゼハー
雪風「これで全ての訓練終了です!」ニコ
雪風「良く覚えておいてください。
艤装の性能や、本人の資質なんて生き残る上での要素として重要ではありますがほんの小さなものです。」
雪風「訓練の教官を一緒に務めたみなさんが今日まで生き残ってきたのは生きて明日を迎える。」
雪風「絶対に生き残るという強い意思がその全てを引き寄せているんです。」
雪風「これから先、修羅場なんて掃いて捨てるほど経験する事になるでしょう。」
雪風「死なずに生き残ってくださいね!」
スパ「雪姉さん。」ウルウル
時雨「姉さん。」クスクス
長門「姉さん。」フフッ
不知火「大きな妹が出来たようですね。」ニコニコ
スパ「一生ついてきます!」ウワーン
雪風の小さな体に感極まったかウォースパイトが抱きつく。
雪風「あぅ。」
スパ うぇぇぇーーー
時雨「さっ、今日も終わりだね。」フフフ
摩耶「長門の姐さん達誘って飲み会でもしますかねぇ。」
不知火「不知火も参加します。」
雪風「助けてください!」
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:25:51.16 ID:itCBXKBv0
その日の夜
執務室
ガチャリ。
不知火「司令、お疲れ様です。」
提督「おぉ、お疲れ。長門達との宴会は終わったのか?」
不知火「抜けてきました。仕事がそろそろ溜まっているかと思いましたので。」
提督「たまには羽目を外していいんだぞ?」
ジリリリリンジリリリリン
提督 ……。
シリリリリンジリリリリン
提督「まったく、あれが鳴る時はだいたいが良くない連絡だ。」
不知火「出ましょうか?」
提督「いや、俺が出よう。明石に不幸の電話と書いた札でも付けさせようか。」
愚痴を言いながら電話に出る提督。
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:29:10.15 ID:itCBXKBv0
提督「製油所が敵の襲撃に遭い壊滅?ならびに備蓄基地も壊滅。」
提督「警備に当たっていた連中は寝ていたんですかね?」
提督「機能回復までに2ヶ月。はははっ。実に悠長な話で。」
提督「話しになりませんな。えぇ、責任はしっかりと取らせてください。」
提督「連絡だけいただけたのは感謝します。」
チン。
提督「不知火。ブルネイの石油施設が敵後方浸透作戦で壊滅した。」
不知火「間抜けばかりですね。」
提督「海軍全体の質が落ちているのは否めんが愚痴を言っても仕方ない。」
提督「うちの備蓄だと全員で全力出撃した場合1ヶ月持つかどうかだ。
節約しても2ヶ月は持たん。」
不知火「明石さんのルートを使っても厳しいですね。」
提督「あぁ、どうしたもんかなぁ……。」
不知火「意見具申宜しいですか?」
提督「ほう。珍しいな。」
提督「聞こうか。」
不知火「敵の物資をかっぱらうというの如何でしょう?」
提督「海の銀狐と渾名をとったお前だ、何か面白い策があるんだろうな?」ニヤリ
不知火「えぇ、とっておきで、至極痛快なのが。」ニヤリ
この後、執務室での作戦の打ち合わせは翌朝まで続いたのだった。
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/11(水) 01:29:57.17 ID:itCBXKBv0
おまけ 提督と長10cm砲
鎮守府 荷揚げ用埠頭
チョコン
提督「ん…?」
提督「お前は初月のか。」
長10cm砲 ……
ヒョィ。
提督「右側のか?」シゲシゲ
長10cm砲 !
提督「初月の傍を離れちゃ駄目だろ。」ナデナデ
提督「あいつは誰かがこっちに繋ぎとめておいてやらないと。」オナカコショコショ
提督「すてがまりやらかす様な奴なんだから。」アゴシタコショコショ
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/04/11(水) 01:34:09.21 ID:itCBXKBv0
長10cm砲 シュン
提督「ん?」
提督「なんだ、新しい防錆塗装が嫌だったのか?」
提督「それで逃げてきたと。」
長10cm砲 キュコキュコ
提督「前の塗料と比べて匂いがきつい?」
長10cm砲 キュコキュコ
提督「明石に前の塗料と同じのを使うように伝えておこう。」
長10cm砲 !
提督「あぁ、俺が保障する。」
提督「だから頼むぞ。初月をしっかり守ってやってくれ。」
提督「約束だ。」
長10cm砲 !
提督「短い手足で何処が肩か分からんが
その双肩に俺は色々役割を乗っけてしまっている。」
提督「色々すまんな。」
長10cm砲 !
提督「そうか。そうだな。」
長10cm砲 !
提督「俺も一緒に謝ってやるから心配するな。」
長10cm砲 !
提督「そうか、大変だな。」
この後、提督は初月に長10cm砲を勝手に持ち出したと怒られたそうだが
牛缶3個で許して貰ったそうである。
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/11(水) 01:44:24.17 ID:itCBXKBv0
本日の更新終了です
海の遊撃手でいすゞのジェミニを思い出された方はいらっしゃいますでしょうか?
CGを使わずカースタントのみであれだけの撮影は今じゃ無理でしょうね、いいCMでした
カースタントは007シリーズのカースタントを担当されていた所が請け負っていたそうです
ウォースパイトの立ち位置(?)が明確になったところで次回でウォースパイトのお話は終了です
乙レス、コメントレスはやる気に繋がりますのでいつも感謝しています
宜しければ次回もお読みいただけると幸いです
最後にですが姉妹艦の呼び方ですがここではあくまで書類形式上という物に過ぎない為
それぞれの呼び方が艦娘名になっていると解釈いただけると幸いです
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/11(水) 10:37:58.80 ID:PPc5MTdS0
スパさん、第三王子枠か。
……生存確定だなww
見せ場はひばり退治かな。
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/11(水) 19:17:12.38 ID:VEEd36e+0
追いついてしまった。
初登場のスパ子の映像を今のスパ子に見せてあげたい
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/11(水) 22:20:28.28 ID:g0u7Ckk/0
撫で肩10センチ砲さんw
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/11(水) 22:55:28.32 ID:0CsWJ48y0
王子枠かぁ……
ベトナムの人食い虎枠さんいたっけ?
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 16:08:33.16 ID:m4dUEraiO
ところで前作のリンクは貼らねぇのかい?
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 16:27:45.85 ID:gS1ddzBD0
>>123
貴様…… 貼りたいのかッ!?
ちょうど読んでたので
【艦これ】 外地鎮守府管理番号 88
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510926855/
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 17:48:09.40 ID:MhUlnDET0
>>124
へっ、冗談だよ。
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 18:12:12.36 ID:bPLe1RGK0
これって空母とか南方の時に提督生き残ったって展開ですか?
逝ってくれやとか相打ちとか書いてあるんで、いまいちよくわからなくて…
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 20:59:16.23 ID:cU4RPP9A0
相討ち=共に逝ったってことだろ
だから明石とかもかもはここに流れ着いたんだぞ
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 22:20:49.60 ID:MhUlnDET0
同一人物説を唱えるには、共通点が禿ってだけだしなぁ。
喫煙者ではあるが、紙巻とパイプの違いもあるし
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 22:24:28.67 ID:7mBRS+SL0
全部提督提督だしな、ちょっと紛らわしいのかも
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/13(金) 08:50:26.88 ID:gqT2e+thO
街の遊撃手って89-91位の車じゃなかったっけ?
ガキの頃見たことあるやうな?
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/13(金) 19:12:11.17 ID:GoSxTROH0
要するに88番鎮守府の現在の時の提督は新しく着任した提督と、そうゆうことですか?
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/14(土) 20:57:36.52 ID:N6hd7vfhO
そも、明石の旦那提督と88の看守提督との関係性も作中じゃあ書かれてないからなぁ
推察できそうなキーワードちらほらあるけど。
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/17(火) 12:35:39.96 ID:XgRREifrO
あーでも88提督は「先生」とか「師匠」って言ってるから、明石旦那提督の教え子になるか。
馴染みが現長官ってところか。
そして明石は未亡人。
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:14:16.50 ID:ANDDdQ3d0
色々説明をはしょってしまった所為もあり誤解を招くような事態となっており御迷惑をお掛けしております
88提督と明石編で出てきた提督は別人物です、133様が言われるように88提督の師匠、大学での恩師に当たる方という設定です
グラーフ編でも少し触れましたが故人ですので死亡しております、階級で表記していれば良かったと今更ながらに後悔
御迷惑をお掛けしました
色々ぐだぐだな所もあり申訳ありません、そんな1ではございますがお時間宜しければ本日もお付き合いいただけると幸いです
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:15:17.92 ID:ANDDdQ3d0
第五話 We Will Lock you 後編
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:16:59.80 ID:ANDDdQ3d0
提督が電話を貰った翌日夜。
大会議室前 廊下
時雨「あっ初月、君もかい?」
初月「あぁ、僕も呼ばれたんだ。」コンバンハ
時雨「つなぎを着ているけど艤装の整備をしていたの?」
初月「うん。明石に全てをお願いすると結構な金額になるからね。」
初月「ただ、防錆塗装だけは取り寄せていた奴の塗布を明石に頼んできた。」
初月「それに自分の命を預けるんだ。やはり細部まで見ておきたいものさ。」
時雨「あぁ、分かるよ。その気持ち。」
初月「雪風は?」
時雨「今朝から艤装の完全分解整備に入っていたと思うけど。工廠で合わなかった?」
初月「あぁ、そういえば秋津洲と何か打ち合わせをやっていたな。」
雪風「こんばんは。」フキフキ
時雨「あぁ、雪風。丁度雪風の話をしていた所だよ。」
雪風「GEの新型ガスタービンに積み替えしていた所なんです。」
雪風「積み替えた奴は慣らし済み扱いで横須賀の試験用艦隊に売り払うとかで。」
雪風「明石さんもちゃっかりしてますよ。まぁ、その分だけ代金から割り引いて貰いましたけど。」
時雨「明石さんらしいね。」フフフ
雪風「今頃、秋津洲さんが再整備と梱包しているんじゃないですかね?」
雪風「それにしてもいったい何の用でしょう?」
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:18:03.68 ID:ANDDdQ3d0
大会議室
時雨「あっ、北上も来てたの?」
北上「ポーちゃんと一杯やってたんだけど呼びだしとあっちゃねー。」
ポーラ「酒の追加を要求します〜。」エヘエヘ
ポンと注目を集める為の手拍子一つ。
提督「みんな集まったな。最初に言うと緊急事態だ。」
提督「緊急事態宣言時は特約に従い抗命権は一時的に停止される。命令拒否は無しだ。」
摩耶「そういえばそんな規約あったねぇ。……、ここが緊急事態になるって何が起きたっていうんだい?」
提督「ブルネイの石油関連施設が全てやられた。うちの燃料等が1ヶ月もすれば干上がる。」
雪風「あらら…。」
提督「そんな訳でな、うちも飯を食わにゃならん。敵の物資をかっぱらう。」
提督「詳しくは不知火が説明する。不知火。」
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:19:45.31 ID:ANDDdQ3d0
不知火「ここからは不知火が説明させていただきます。」
不知火「まずはこちらの海図をご覧下さい。」
正面の壁にプロジェクターで周辺海図が映し出される。
不知火「私達の88鎮守府からこちらの方向へ60海里。敵の大規模集積地があります。」
摩耶「あぁ、知ってるよ。あそこは警備が無茶苦茶きっちいんだよぉ。」
瑞鶴「そうね。まぁ、あっちはわざわざちょっかいかけに行くような所じゃないわね。」
川内「そうそう。美味しくない。」
不知火「えぇ、そうです。皆さんが認識されている通りここの集積所は難攻不落です。」
不知火「今まで正規軍、表の連中や米軍と合同で攻略を目指して襲撃をかけた事もあるようですが
そのこと如くが失敗しています。」
不知火「作戦の説明の前にここを落すことのメリット、デメリットを改めてお話させていただきます。」
不知火「ここを落せば私達は燃料他、十分な物資を得る事が出来ます。」
不知火「また、敵の補給線を絶つ事になる為おおよそ3ヶ月程は敵を黙らせる事が出来ます。」
不知火「アメリカからの協力金、早い話、代わりに攻略してやるから金をよこせで
取り付けた報酬金が500万ドルです。」
一同「おぉぉぉ――――。」ドヨ
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:20:46.99 ID:ANDDdQ3d0
不知火「ですが、金額に見合っただけのリスク、
つまりデメリットがある事を理解してください。」
不知火「作戦の説明に移りますが守将が2姫、防空埋護姫と集積地棲姫がここの指揮官です。」
長門「艦種詐欺と陸上タイプか……。」
不知火「そうです。どちらにも対応出来る様な装備を選ばなくてはなりません。」
不知火「続いてここが難攻不落となっている理由を説明します。」
不知火「敵の拠点はこちらの島にありますがその左右を山のある島に挟まれています。」
不知火「この為、山を越えないと空爆が出来ずこの山には砲台子鬼が多数配置されています。」
不知火「更に後方は開けた状態の為、機雷の設置、潜水艦による哨戒等でごり押しでの攻略も難しくなっている状況です。」
不知火「加えてこの辺り一帯の海域は深度が浅いこと、岩礁などが多いこと、
そして、海流の流れが速いという事でまさに天然の要塞。」
川内「そんな所をどうやって落すってのさ―――。」
不知火「それをこれから説明します。」ヌイ!
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:23:02.26 ID:ANDDdQ3d0
不知火「まず、こちらの基地の正面ですが大小様々な島があります。」
雪風「島が多すぎて艦隊で行動するには向いてないようですが。」
長門「海路としてみても曲がりくねっていて速度が出せないな……。」
不知火「その通りです。
正規軍の連中がこちら正面から攻めようと作戦を立てた事はあるようですが
シミュレートするまでも無く全滅と判断しました。」
雪風「でしょうねぇ。」
提督「だが、島が多い所為で電探を置いても島同士が干渉してまともに機能しないんだ。」
提督「そして、島と島の間が狭い所為で潮の流れが速い所為で機雷もまともに設置出来ない。」
不知火「この島と島の間の間隔は航行可能な水深部分だけを考えて最大でおおよそ10m。」
グラ「実に無茶だな。」
不知火「難所は全部で5箇所。更に途中で浅瀬になっている所もあります。」
不知火が5箇所の難所のスライドを一枚ずつ見せていく。
瑞鶴「これ、航行なんて出来るの?」
初月「幾らなんでも死にに行っているような気しかしないな。」
不知火「まぁこれを見て下さい。」
不知火がプロジェクターを操作すると先程説明の難所のスライドが全て重なり合わされて映し出される。
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:24:23.09 ID:ANDDdQ3d0
時雨「へぇ。」
グラ「ほう。」
瑞鶴「へへぇ。」
北上「随分と狭い範囲だけど入り口から一直線に抜けられる箇所があるじゃない。」
ポーラ「一歩間違えれば浅瀬に乗り上げ島に激突ですね。」
不知火「これは綱渡りです。Operation Tightrope 実行していただきます。」
不知火「敵電探に引っかからないと言っても昼間は敵の警戒機、哨戒艦に見つかる恐れがあります。」
不知火「なので、実行時間は明後日深夜。新月の夜に実行します。」
雪風「正気ですか!?」
ポーラ「流石に昼でもいけるかどうか分かりませんよぉ?!」
川内「無茶振りが過ぎない!?」
時雨「流石に無茶だ!」
ガン。
不知火の拳が机を叩き一喝。
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:25:29.34 ID:ANDDdQ3d0
不知火「何もせずにいれば黙って敵にここいら一帯をくれてやる事になる。」
不知火「ここら一帯の戦線を押し上げるのに数年がかりなんですよ。」
不知火「この程度の作戦難易度でぎゃあぎゃあ騒いで貰っちゃ困りますね。」フフン
不知火「作戦は明後日夜決行します。それまではしっかりと英気を養っていてください。」
こうして高難易度作戦は実行される運びとなった。
雪風「とまれ明後日でよかったです。」
時雨「そうだね。雪風は機関の入れ替えしていたんでしょ?
慣らし、付き合うよ。」
雪風「御迷惑をお掛けします。」
初月「僕も付き合ってもらっていいかな?」
初月「射撃管制システムを新規に入れ替えたんだけど
艤装の再塗装もしていたからまだ試せていないんだ。」
時雨「いいよ。じゃ、明日、また改めて。」
雪風 初月「「また明日。」」
時雨「うん。また、明日。」
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:26:41.37 ID:ANDDdQ3d0
翌日
提督「艤装をメンテに出していた連中は動作チェックに余念無しか。」
明石「えぇ、最近の機関の流行はやはりガスタービンですね。」
提督「不知火のも換装していたよな。」
明石「えぇ、不知火さんのはRRのですね。」
提督「国内メーカーじゃないのか。」
明石「航空機エンジンと同じで海外メーカーの方が軍用品については一日の長がありますから。」
提督「P&Wとかも作っているのか?」
明石「F-14なんかのエンジン作っていましたねぇ。ですが、P&Wは航空機用だけですね。」
提督「軍事関連技術は海外の方が優れているのは今も昔も変わらずか。」
明石「艦娘に使用する兵装開発も海外の方が盛んではありますね。」
提督「初月の右の長10cm砲、右手が赤色だが、何かあったのか?」
明石「塗料が微妙に足りなかったのでとりあえず。」
提督「そうか。初月の機銃はBoforsの6連装?」
明石「えぇ、イギリス最後の戦艦ヴァンガードの兵装をですね。」
明石「機銃以外は不要といわれてしまいましたが、いい取引にはなりました。」ホクホク
提督「射撃管制のOSはどうした?」
明石「さて?」スットボケ
提督「……、ライセンス料くらいは払ってやれよ?」
明石「うっ。」
そういい残し提督は執務室へと去っていった。
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:27:33.82 ID:ANDDdQ3d0
スパ「明石さん、雪姉さん達は演習ですか?」
明石「あぁ、ウォースパイトさん。今の話、聞こえていました?」
スパ「いいえ?」
明石「それは良かった。時雨さん達は明日の高難度作戦に向けての演習ですね。」
スパ「えっ、私、そんな作戦聞いてない。」
明石「そりゃそうでしょ。うちのトップエースの連中しか知らされていない作戦ですもん。」
スパ「トップエース。」
明石「おっ、興味持ちましたね。普段はお教えしないんですけどね?」
明石「ちょっと此方の出す条件を飲んでいただければお教えしようじゃないですか。」ウエッヘッヘ
スパ「あら、条件って何かしら?」
明石「まぁまぁ、ちょちょいとサイン頂ければ後はこちらで……。」ヘッヘッヘ
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:29:21.18 ID:ANDDdQ3d0
作戦決行日
提督「それじゃ改めて説明するぞ。」
提督「今から3時間後、深夜12時丁度に攻撃を開始。
その後、5時間後、払暁と共に米軍の制圧部隊がやってくる。
物資は米軍が熨斗つけてここへ宅配してくれる手筈だ。」
雪風「米軍が来るんですか?」
提督「戦争に弱腰の大統領は嫌われる。あの国は中間選挙が間近に迫っている。」
提督「深海棲艦の大規模集積地を落したと喧伝出来れば次の選挙での支持率もうなぎ登りって寸法だ。」
提督「500万にしても自分の所で攻め落とすよりかなり安くあがるから出すって話だ。」
提督「向こうに華を持たせて俺達は実を貰う、いい役割分担だろ。」
川内「流石だ。」ウンウン
提督「そういう訳だから敵の2姫を排除し、
尚且つ米軍の歓迎パーティを開かないといけないから
此処を出発して合計8時間以内に全てを済ませないといけない。」
長門「とんだハイキングだな。」
ポーラ「米軍のお出迎え〜なら〜、ピザでも焼きますかぁ〜?」ピッツァ!
摩耶「有名なフレディさん家から出前を頼むか。なぁ!」ハハハ
不知火「お喋りはその辺にしていただいていいですか?」
提督「こちらから呼び出す事は無いと思うがコールサインはどうする?」
不知火「Foxyでお願いします。」
提督「分かった。吉報を待ってるぞ。」
不知火「旗艦はこの私不知火が努めます。それでは行きましょうか……。」
ザァッ。
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:30:17.02 ID:ANDDdQ3d0
敵集積地近く
不知火「先頭、旗艦フォクシーから全艦へ!そろそろ入り口に入ります。」
不知火「綱渡りを開始します。続いて下さい!」
雪風「相当に狭いですねぇ。」
時雨「まったくこんなスピードで航行するなんて。」
初月「月が無いな。」
北上「右に左にとまるでフラメンコだねぇ。」
ポーラ「踊りそこなうと死にますよぉ〜♪」エヘエヘ
左右の間隔がほぼ無い中を両舷全速、最大船速ですり抜けていく不知火一行。
長門(流石に戦艦である私と駆逐艦の不知火では運動性能が違いすぎるな。)
長門(ついて行くので精一杯か、なかなかきついな。)
不知火「なかなか皆さん上手ですね。ポイントCを抜けた時点で脱落者がいないのは何よりです。」ヌイ!
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:31:16.11 ID:ANDDdQ3d0
鎮守府埠頭 不知火達出発から30分後
スパ「雪姉さん達は大丈夫かなぁ……。」
スパ「訓練の成果を見せる為に行っても大丈夫よね。」ウン!
明石「無断出撃ですかぁ?」ニタァ
スパ「あー、えーっと、そう!散歩です!散歩ですよ!」
明石「散歩ですか……。散歩に行くなら燃料、弾薬を忘れちゃだめですよ。」ニヤニヤ
明石「後、これをサービスしときましょう。」ニヤニヤ
スパ「なんですか?これ?」
明石「三式弾っていう、ちょいと楽しいクラッカーですよ。」
明石「陸上型とのパーティには欠かせない。」ヒヒヒヒ
スパ「へぇ、これはいい兵装ね。Thank you very much indeed.」
そして、ウォースパイトもこっそりと出撃していた。
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:32:05.09 ID:ANDDdQ3d0
敵大規模集積地
集積地「10海里地点に敵の反応ありだと!?」
集積地「なんでそんなに近くに来るまで放っておいた!!」
ヌ級「もっ、申訳ありません!単艦でうろついていたのでてっきり敵の落伍者かと……。」
埋護「単艦でここに殴り込み。随分と舐めたものですね。」
埋護「集積地さん、私が出て片付けて来ましょう。
ここへは誰も近づけるなとの中枢様からの指示が出ています。」
集積地「いや、お前が出る程ではないだろ。部下に向かわせるさ。」
埋護「ここが落されると私達の活動に支障が出ます。」
埋護「万全を期す為ですよ。」
集積地(慎重な性格だな。……、頼もしい相棒だ。)
集積地「すまない、頼む。」
埋護「えぇ、行って来ます。」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:33:27.42 ID:ANDDdQ3d0
難所ポイントE
不知火「ここを抜ければ敵の集積地は目の前です!
最後のポイントEは最も狭く、浅いです!気を付けて下さい!」
不知火「鎮守府を出てから補足されるのを避けるために
進路の欺瞞行動しながら来た所為で時間が押してます。急いでください!」
北上「あー、しんどーい。ヤニ吸いたい。」ゴソゴソ
瑞鶴「北上、一本貰える?」
北上「んー?あれ、瑞鶴、習慣あったっけ?」
瑞鶴「違うわよ。風を…、風を迎えに行きたいのよ。」
北上「あぁ、強引に捕まえる気ね。」シパー
瑞鶴「島と島の間を抜ける所為で風目がめまぐるしく変化していてね。」
瑞鶴「流石の私でも風の目を読むのが難しいわ。」
瑞鶴「加賀さんなら……、と、関係なかったわね。」
北上「……、私は何も聞いてないよ。後は自分でやんな。」ポイッ
瑞鶴 シュボッ
瑞鶴「ありがとう。」ポイッ
北上「あいよー。」フカー
不知火「Eポイント通過です!空母の方々は発艦をお願いします!」
一方、ウォースパイトは敵拠点左の島付近に接近していた。
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:34:55.55 ID:ANDDdQ3d0
スパ「と、そろそろ追いつく頃かしら?」ウキウキ
ドンドン! ダン!
スパ「あら、砲台子鬼達からの歓迎の祝砲ね。」
ヒョイヒョイ
スパ「時雨さんの魚雷ノック100連発から比べればこの程度の砲撃。」フン
ドン!ドン! ダン!
スパ「当たる方が難しいかしら?」
スパ「ENGAGE!(接敵!)」
時雨、雪風に鍛えられた回避行動により敵の砲撃を回避していくウォースパイト。
スパ「砲撃音を奏でて我が物顔している深海棲艦達。」Fuck!
ガガココン
スパ「自分達が強者と信じて疑わない自己満足。決して勝者になんてなれはしない。」
ガガコン
ウォースパイトの艤装に付いた3本の砲塔が獲物を捕らえたのか動き始める。
スパ「泥の中に沈みなさい。」Go Hell!
ドン
砲台子鬼 シャー! ×10
スパ「情けないわね。まったく持って歯応えが無い。」
スパ「いいわ、やりたい放題にやらせて貰うわ。さぁ、行くわよ……。」
ウォースパイトの砲塔が敵を捉え確実に屠っていく。
スパ「砲塔よ!葬送曲を奏でなさい!」
スパ「あっと驚かせてやるわ!」
スパ「Fire! Fire! Fire! 」
スパ「どんどん行くわよ!かかってらっしゃい!」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:36:37.05 ID:ANDDdQ3d0
不知火達本隊
不知火「 ! 」
時雨「あれ?誰か僕ら以外の誰かが攻撃を始めてる?」
川内「花火が左の島から上がってるねぇ。」
そして埋護姫には運悪く、不知火達にとっては運良く不期遭遇戦の火蓋が切って落される。
埋護「艦娘!?」
埋護「こんな所に!?どうやって!?」
それはウォースパイトを倒す為に出撃してきていた埋護姫だった。
不知火「Contact!(接触!)」
時雨「 ! 」
雪風「 ! 」
長門「ENGAGE! 諸元入力完了! 全砲門、正面敵防空埋護姫へ集中!」
長門「撃てぇ―――――――――!」
本来であればその装甲は強固で定評がある防空埋護姫だが目視、
いや、相手の息遣いが聞こえるほどの距離から防御体勢も取れない状況。
そう、本当にうっかりと遭遇してしまった状況から防御体勢も取れるわけも無く、実にあっけなく撃沈した。
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:37:38.87 ID:ANDDdQ3d0
埋護「嘘……、私が戻れないなんて……。」ズブズブズブ
北上「すごい出オチだねぇ。」ゲラゲラ
ポーラ「かなりの強ボスキャラの筈が、これは酷いです〜。」ゲラゲラ
不知火「残すは後、一姫!皆さん、全力で行きますよ!」
雪風「勿論です!」
グラ「全機発艦済みだ!いけ!」ハッハッ
ポーラ「手当たり次第、動くものは撃っていきますよぉ〜。」
ボーン!
左側面からの山超えで砲撃が周囲で迎撃体勢を取りつつあった敵集団へ着弾。
長門「はっはっは!誰だか知らんが愉快な真似をしてくれる!」
初月「後は集積地棲姫だけだね。」
瑞鶴「さぁて、燻りだしてあげようじゃないの。」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:38:14.56 ID:ANDDdQ3d0
スパ「Tally Ho ―――――!」
スパ「と言っても単艦だけど。」フフッ
ズガン!
ウォースパイトの砲撃が深海棲艦の陸上陣地を次々と吹き飛ばす。
スパ「神経を研ぎ澄まし……。」
スパ「狙うは大物……。」
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:39:29.90 ID:ANDDdQ3d0
集積「敵の襲撃がなんだ!さっさと迎撃機を上げろ!」
ヲ級「埋護姫様と連絡が途絶しています!」
集積「やられたのか!?」
ヲ級「不明です!」
情報は錯綜し混迷を極めていく。
不知火「今宵の不知火は一味違います。久しぶりの実戦です。」
不知火「血に酔わせていただきます。」ニコォ
雪風「あらら……。」
雪風「時雨さん、戸締りはしてきましたか?危険ですよー、あれは。」
時雨「やっぱりそうなの?」
雪風「型番の上で雪風の姉ですよ?並である訳がないじゃないですか。」
時雨「それもそっか。」
通称ロケランを集められた物資を避けながら打ち込んでいく時雨に雪風。
迎撃の為に出て来た雑魚、三一連中は吹き荒れる暴風に勝てる訳も無くやられて行く。
摩耶「雑魚ばっかりだねぇ。歯ごたえないや。」
集積地「畜生!何してくれやがる!」
怒りに狂った集積地棲姫が迎撃の為に前線に出てくるが
この後、それは悲しいかな無意味な結果となってしまう。
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:40:09.63 ID:ANDDdQ3d0
『 23,400m 』
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:41:34.81 ID:ANDDdQ3d0
キロに直して約23km
この数字が何かというと戦艦ウォースパイトがカラブリア沖海戦にて
移動中のイタリア戦艦に砲撃を命中させた記録である。
砲撃に関して少しでも知識のある方ならお分かりいただけると思うが
砲弾が仮に音速で飛んだとしても20km先に到達するには1分以上の時間がかかる。
ましてや敵は軍艦、移動目標なのだ、今、見えている位置ではなく
1分後の位置を予測して撃ち込まなければならないのである。
戦艦の主砲でいかに20kmも先の相手に当てる事が難しいかという事である。
スパ「私は戦艦ウォースパイト。その魂をこの身に受け艦娘になりし者。」
スパ「雪姉さんや時雨さん、不知火教官にグラーフさん、そして同じ戦艦の長門さん。」
スパ「皆さんが私に艦娘としての基礎を改めて教えてくれた。」
スパ「皆さんのおかげで今ならやれる。」
スパ「今の私なら視える!」
スパ「We will (私達はやれる)」
ガコガコガコン
可視範囲外の位置にいる集積地棲姫を討つべく仰角を修正し始める各砲塔。
ガッコン
そして、その動きを止めた。
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:42:17.03 ID:ANDDdQ3d0
「LOCK YOU !(捉えた!)」
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:43:15.24 ID:ANDDdQ3d0
ガオン!
その砲声は一際大きい獅子の咆哮。
集積「えぇぇっ!?」ドン!
スパ「手応えあり!」
不知火「敵、指揮官発見!総員、敵指揮官から周辺から退避!」
本来なら排除が命令されるはずなのだが。
ドン!ドン!ドン!
集積地「ぐわぁぁ―――――!」
何処からかの砲撃が集積地に全弾命中。
この攻撃により集積地棲姫を失い深海棲艦陣営の敗北が決定づけられた。
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/22(日) 00:44:33.65 ID:ANDDdQ3d0
一夜明けて
不知火「ぬい―――……。」
提督 クックック
提督「褒めるか怒るかで悩んでいるんだろ?」
提督「怒るのは最高責任者の俺の仕事だ。お前は素直に褒めてやっておけ。」クックック
雪風「大戦果です!」
時雨「左の島の護衛を黙らせたばかりか集積地棲姫をスナイプだなんて、びっくりだよ。」
提督「とはいえ作戦内容を聞かずに無断出撃。脱走行為と言われても仕方ないからな。」
不知火「ぬ―――――い……。」
提督「流石にいつぞやみたいに散歩に出て海上で
『 たまたま 』敵に出会ったなんて言い訳がたたない。」
提督「武装を担いで明確に敵の施設へ襲撃をかけているからな。」
長門「だが、敵に動揺を与え此方への対応を間違えさせたのも事実だ。」
提督「その通り。」
提督「ここは懲罰部隊的な意味合いもあるから軍規を疎かにするわけにはいかんしな。」クックック
提督「ウォースパイトには謹慎1週間でいいだろ。」
提督「不知火、それでいいか?」
不知火「私に異論は無いです。」
提督「腕が立つやつらを正規軍と同じ型に嵌めるのが無理というもんさ。
これがうちの特質だ。」フフフ
850.25 KB
Speed:0.3
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)