先輩「飲みに行くぞー!」後輩「はいはい……」

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118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:21:43.37 ID:10OKULB60
今日はここまでです
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 23:35:45.65 ID:sEJlu0dMo
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 04:27:59.56 ID:G+ziA+3To
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 21:59:59.36 ID:fC3Bx6ne0





〜ビールバー〜


先輩「……」

後輩「……ぅ」

先輩「……はぁ」

後輩「……ぅぅぅ」

先輩「……こうはーい」

後輩「話しかけないでください」

先輩「……」

後輩「今真剣に悩んでるところなんですから……!」

先輩「あー、そう……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ぅぅ」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:00:41.14 ID:fC3Bx6ne0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……早くしろよ!」

後輩「……ちょっ、ちょっと! ちょっと待ってくださいって!」

先輩「そんな悩むほどのことでもねぇだろ」

後輩「悩みます! 今月で一番悩んでますから!」

先輩「……」

後輩「こっちの、箕面のスタウトか……」

先輩「……」

後輩「それともこっちの志賀高原か……っ」

先輩「……」

後輩「……ぅぅぅぅっ!」

先輩「おーい」

マスター「ゆ、ゆっくり選んで、いいからね、ねっ?」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:01:09.83 ID:fC3Bx6ne0
先輩「両方頼めよ」

後輩「……値段的に、ちょっと……」

マスター「ご、ごめんね……、お手頃価格で出せなくてごめんね……」

後輩「……ハーフグラスとか」

マスター「ごめんね……、ら、来週から始める予定なの、ごめん……」

先輩「……お前、マスターいじめんなよ」

後輩「やっ、ちが……っ、すみません……っ」

マスター「だ、大丈夫だから、ごめんね、気にしないでね……」

先輩「……」

後輩「……えぇ〜、うぅ〜ん……」

先輩「……半分こする?」

後輩「え……」

先輩「私、こっち頼むから。お前こっちにしろよ」

後輩「……い、いいんですか?」

先輩「私もこれ、飲んでみたい」

後輩「先輩……、スキ……」キュン

先輩「やっすい女だな、お前……」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:01:38.59 ID:fC3Bx6ne0
マスター「イギリスから――……」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「遠路はるばるアフリカ大陸」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「そこから遥かなインド洋、大海原を越えてインドに至るわけです」

先輩「……はぁ」

後輩「……」

マスター「ですから」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「インドまで行くと、インディア・ペール・エール」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「インドまではいかない、その途中くらい、っていう意味で、アフリカ・ペール・エール」

先輩「へぇ〜」

後輩「へぇ〜」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:02:19.88 ID:fC3Bx6ne0
マスター「し、洒落がきいてますよね……ふふ、ふふふ……」

先輩「あっ、おいしい……」グビグビ

後輩「本当だ……。IPAより飲みやすくて――」

先輩「次こーっち」

後輩「どーうぞ」

先輩「……」グビ

後輩「……」グビグビ

先輩「……ぷはぁ」

後輩「……ぷはぁ」

先輩「あ〜……」

後輩「一軒目で、出来上がっちゃいそうですね」

マスター「こ、このあとも……、またどこか行くの……?」

先輩「うん、まぁ。金曜だし」

後輩「飲めるだけ飲みましょう」グビグビ

先輩「おい、自分ばっか飲むなよ!」

後輩「……あぁ〜、もう一杯頼んじゃおっかなぁ……」

マスター「ふ、ふふ……、ご、ごゆっくり……」





126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:02:48.88 ID:fC3Bx6ne0





〜二軒目〜


先輩「あっはっは! あーっははははっ!」バンバン

後輩「あはははっ、最高、さいこ……あっははは!」

先輩「うっはは、ほーんと馬鹿! あははは! はっはっは!」グビグビ

後輩「あははははh……げほっ、ごほっ!」グビグビグビ





127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:03:22.74 ID:fC3Bx6ne0





〜三軒目〜


後輩「……うぅっ」グスグス

先輩「うんうん……、分かる分かる。お前は頑張ってるよ」

後輩「……だげどぉ、わらひたちのころはぁ、もっとアレだったじゃないですがぁ……。年上への接し方っでぇ……」グスグス

先輩「そうだな、そうだな」

後輩「……年下が怖い……」

先輩「うんうん」

後輩「正確には自分より有能な年下が怖い……」エグエグ

先輩「分かるよ」グビグビ

後輩「……」グビグビ





128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:03:53.68 ID:fC3Bx6ne0





〜四軒目〜


先輩「……」

後輩「……」


金髪「いらっしゃ〜い♪」


先輩「……」

後輩「……」

先輩「な、開いてたろ」

後輩「……えぇ」





129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:04:27.33 ID:fC3Bx6ne0





金髪「はいっ、キンミヤハイボール二つ」

先輩「どうもー」

後輩「どうも……」

金髪「ごめんなさいねぇ、つまめるもの、チーズくらいしか残ってなくて……」

先輩「いいよ全然。な?」

後輩「え、えぇ……」

金髪「もう、冷蔵庫の中も空っぽ。うふふ……」

先輩「そっかぁ」

後輩「……」

金髪「お酒は、余ってるんだけどね〜」

先輩「じゃあ私らで片付けていくか」グビ

後輩「……」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:05:22.74 ID:fC3Bx6ne0
先輩「今日で最後かぁ、『ナイトフード』も」

金髪「そうなの〜。それで、貴方たちが多分、最後のお客さん」

先輩「寂しくなるねぇ」

後輩「……」

金髪「って言っても、引っ越すわけでもないし。この辺り、よく飲みに来るから、すぐ会えるわ〜」

先輩「へぇ、どの辺で飲むの?」

金髪「『信楽』とか『そば好』とか……」

先輩「『そば好』、昼だけじゃなかったっけ? また夜もやるようになったの?」

金髪「去年の冬くらいからかしらねぇ」

後輩「……」

先輩「知らんかったなぁー」グビグビ

後輩「……」グビグビ

金髪「……後輩ちゃん」

後輩「ふぇ!? えっ、はい!?」

金髪「この間は、ごめんね」

後輩「い、いえ……。そんな……」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:06:36.60 ID:fC3Bx6ne0
先輩「えー、なになに? この間って何?」

金髪「うっふふ、内緒〜」

先輩「えぇ〜……、おい、後輩〜」

後輩「……何でもありません」グビ

先輩「何だよぉ、隠すなよう」ワシャワシャ

後輩「……か、髪触らないでください。鬱陶しい……」ベシッ

先輩「……なーに大人しくなっちゃってんだよ。借りてきた猫かよ」

後輩「猫じゃありません……」

金髪「後輩にゃん♪」

後輩「猫違います!」

金髪「あら? あらあら、猫じゃないの? 意外……」

後輩「あ、え、いや、猫は猫ですけど……」

金髪「ふぅん、猫なんだぁ〜」

後輩「……」グビグビグビグビ

先輩「えぇ、何それ。禅問答?」





132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:07:21.84 ID:fC3Bx6ne0





先輩「結構飲んだなー」

後輩「……」ベロンベロン

先輩「な、後輩ー」

後輩「……」

先輩「……後輩」

後輩「……」クテン

先輩「あ……」

後輩「……スゥスゥ」パタン

先輩「あーあー」

後輩「……ムニャ」

先輩「駄目ねぇ後輩ちゃん、最近さぁ」

後輩「……」スヤ

金髪「あら、寝ちゃった?」

先輩「うん、まぁ」

金髪「大丈夫かしら……」

先輩「寝てるうちは、たぶん大丈夫」

後輩「……」スヤスヤ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:08:00.38 ID:fC3Bx6ne0
金髪「先輩ちゃんも、おかわりはよしておく……?」

先輩「んー……、いや、もう一杯だけ」

金髪「はいは〜い」

先輩「金髪さん」

金髪「うん?」

先輩「大丈夫?」

金髪「……」

先輩「あんなことあった、ばっかりだしさ」

金髪「えぇ……」

先輩「辛かったら、あんまり無理しないで――……」

金髪「うふふふ……、優しいのね、先輩ちゃん」

先輩「いや、そんな、別に大層なアレじゃなくて」

金髪「ううん、ありがとう。……先輩ちゃんはとっても優しい子」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:08:48.84 ID:fC3Bx6ne0
先輩「子って柄じゃなぁ……」

金髪「だけど、後輩ちゃんには、もっと、ずっと、優しいんでしょ?」

先輩「え……、何で後輩?」

金髪「いつも一緒にいてあげて、隣で飲んであげて……」

先輩「……」

金髪「眠っている間も、見守ってあげて……」

先輩「いやぁ、それはただ、こいつが馬鹿だから」

金髪「うっふふ、いいえ。それも先輩ちゃんの優しさよ」

先輩「うぅん……」

金髪「でも……」

先輩「?」

金髪「本当に、優しさだけ?」

先輩「え?」

金髪「優しいから、優しくしてる……。それだけなのかなぁ、って」

先輩「……」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:09:29.98 ID:fC3Bx6ne0
金髪「優しい先輩が、手のかかる後輩を気に掛ける……、それだけなのかしら」

先輩「言ってること、よく分かんねーですよ」

金髪「ふふ……」

先輩「私は……、別に、何も考えてないし…………」

金髪「後輩ちゃんは」

先輩「……」

金髪「そう思ってるわよぉ?」

先輩「……」

金髪「先輩ちゃんが一緒にいてくれるのは、先輩ちゃんが優しい人だからだ、って」

先輩「……」

金髪「後輩ちゃんが”負い目”を感じないように、気を遣っていてくれてるんだ、って」

先輩「いや、マジで……、何聞いたんですか、こいつから」

金髪「内緒〜」

先輩「口軽ぃんだよ、お前っ」ベシッ

後輩「フギャ…………ゥーン」ムニャムニャ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:10:02.32 ID:fC3Bx6ne0
金髪「うふふ、今のは全部、私の想像」

先輩「え、後輩叩かれ損」

金髪「叩いたのは先輩ちゃんだもん〜」

先輩「えぇ〜……」

金髪「……でも、そんなに外れてないと、思うわぁ」

先輩「……」

金髪「うすうす、そんな気はしてるでしょ、先輩ちゃんも〜?」

先輩「それは……」

金髪「先輩が、相手をしてくれるのは、優しいから……”それだけ”」

先輩「……」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:10:55.17 ID:fC3Bx6ne0
金髪「だから」

先輩「……」

金髪「そう思っているから、後輩ちゃんは先輩ちゃんに、優しさ以上を求めようとはしない」

先輩「……」

金髪「だから、今のままを望んで。……けど」

先輩「……」

金髪「それでいいのかしらね〜」

先輩「……」

金髪「先輩ちゃんも、後輩ちゃんも……」

先輩「……あの」

金髪「ん?」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:11:57.66 ID:fC3Bx6ne0
先輩「何の話?」

金髪「んっふっふ……、さぁ?」

先輩「……」

金髪「ただ、そういえば、そんな話したなぁ、って」

先輩「え」

金髪「銀髪と」

先輩「……」

金髪「あの子……、貴方たちのこと、大好きだったから」

先輩「貴方”たち”……」

金髪「本当よ?」

先輩「……」

金髪「……」

先輩「そっかぁ……」

金髪「私はそうでもないけど」

先輩「……」

金髪「冗談よ?」

先輩「う、うっす……」

金髪「うふふ、うっふっふ……」

先輩「……」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:12:24.97 ID:fC3Bx6ne0
金髪「それで……」

先輩「……」

金髪「どうするの?」

先輩「どうって……」

金髪「……」

先輩「……どうしよっかなぁ」

金髪「困った子ねぇ」

先輩「あ゛〜……」

金髪「……」

後輩「ンヘヘェ……」スヤァ

先輩「幸せそうに寝てんじゃねーよ、馬鹿!」ベシッ

後輩「フギュ」

金髪「あらあら」





140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:13:08.92 ID:fC3Bx6ne0





〜翌日〜


〜後輩宅〜


後輩「……うーん」

後輩「胃が痙攣しているぞ」ヨロヨロ



ピンポーン



後輩「……」



ピンポーン



後輩(先輩め……)

後輩(昨日の今日で、飲みに行くつもりですか……)



ピンポーン


後輩「……今日は帰らせよう」スタスタ

後輩「血が丸ごと酒になってるんだ、こっちは」スタスタ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:14:07.47 ID:fC3Bx6ne0


ピンポーン


後輩「しつこい……」ハァ

後輩「鍵かけて追い払ってやる……」

後輩「……」スタスタ


ガチャ


後輩「チェンジ!」



「は?」



後輩「え?」



「……」



後輩「えっ、あっ、いや……! しし失礼、しましたぁ!」


「……いえ」


後輩「あの、ええと……」

女刑事「……警察のものです」

後輩「は」

女刑事「銀髪さんのことで、少し」

後輩「…………」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/08(木) 22:14:35.05 ID:fC3Bx6ne0
今日はここまでです
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/08(木) 22:29:59.14 ID:BIHRdiKJo
チェンジワロタ

144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 04:58:08.68 ID:9C2BPO4ro
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:30:09.57 ID:5qE2k+020





後輩「今、お茶いれますんで……」トタタ

女刑事「お構いなく」

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:31:03.24 ID:5qE2k+020





ガチョ


後輩「……」

後輩「………………」


後輩(1.発泡酒)

後輩(2.日本酒)

後輩(3.スポドリ)


後輩「……」


後輩(……思ったより、終わってるなぁ)


後輩「……」


後輩(1くらいだったら、ジョークで済ませてもらえるかも……)


後輩「……」

後輩「……」





147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:31:47.28 ID:5qE2k+020





後輩「すみません、お茶、切らしちゃってて……。今買ってきますんで――……」

女刑事「……本当に、結構ですから。どうぞお構いなく」

後輩「は、はぁ……。でしたら……」

女刑事「……」

後輩「ええと……、銀髪さんの件、でしたっけ……?」

女刑事「ええ」

後輩「ど、どういったお話で?」

女刑事「二、三、お尋ねしたい点がありまして」

後輩「……その、じ……自殺、だったんですよね」

女刑事「あ、ご心配なさらず」

後輩「……」

女刑事「これは捜査というわけではありませんから」

後輩「はぁ……」

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:32:45.19 ID:5qE2k+020
女刑事「報告書の作成に必要な点を、確認させていただきたいだけです。いわゆる、事後処理のようなものでして」

後輩「そうなんですか……」


後輩(なるほど……)

後輩(それで、刑事さんひとりだけなのか)

後輩(聞き込みだと、二人組でやってるもんなぁ)

後輩(ドラマで見ただけだけど……)


女刑事「ご協力、いただけますか」

後輩「え、えぇ、まぁ……」



後輩(しかし、まぁ……)

後輩(なんか、圧を感じる人だ)

後輩(怖ぇ……)
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:33:18.69 ID:5qE2k+020

女刑事「……――それで、当日のことなのですが」

後輩「はい……」

女刑事「少し、お聞かせ願えますか」

後輩「少し……」

女刑事「銀髪さんが、何時にこちらに来て、何時に帰った、とか」

後輩「……ええと」

女刑事「……」

後輩「来たのは、確か5時――いや、4時でした。それで4時……あ、朝の4時に帰って」

女刑事「その後、連絡は?」

後輩「取っていません……」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:34:05.54 ID:5qE2k+020

女刑事「何故、明け方のそんな時間に帰られたんですか。電車もまだ、動いていないでしょう」

後輩「ギリギリ、歩いて帰れる距離でしたし。朝は色々、立て込んでるらしくて……、いつもそのくらいの時間でした」

女刑事「……こちらには、良く来られていたんですか」

後輩「えぇ、まぁ……」

女刑事「そうですか……」

後輩「……」

女刑事「……」



後輩(間が怖ぇ……)

後輩(『私何も知りません』って言いてぇ……)



女刑事「それで、彼女はどういった用事で、こちらに?」

後輩「え」

女刑事「……夕方にやってきて、明け方に帰っていく必要がある用件というと、今一つ思い当たりませんが」

後輩「そ、それは……」

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:34:42.59 ID:5qE2k+020

女刑事「少し不自然――……、失礼、言い方が悪いですね」

後輩「……」

女刑事「違和感があります」

後輩「……」

女刑事「銀髪さんは、貴方の家まで、何をしに来られていたのですか?」

後輩「そ、それは……」

女刑事「当日、銀髪さんは何の用事で?」

後輩「あ、ぇ、いや、えと――……」

女刑事「……」

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:35:23.69 ID:5qE2k+020

女刑事「何か、言えない事情があるんですか?」

後輩「そそそういうわけではなくぅ……」

女刑事「でしたら」

後輩「…………した……」ボソボソ

女刑事「はい?」

後輩「……ッ――……て、……た……」ボソボソ

女刑事「何とおっしゃったんですか?」イラ

後輩「……」

女刑事「あのですねぇ……、ちゃんと聞かせてもらわないと……」イライラ

後輩「せ……セックスしてましたぁぁぁっ!!」

女刑事「せ――……はっ、へぁ!? へぇぇぇっ!?」

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:36:17.19 ID:5qE2k+020

後輩「うっ、うぅぅぅ……っ」カァァ

女刑事「なっ、……女どっ――……、あっ、あぁ。って、えっ? えぇ……?」ワタワタ

後輩「……」カァァ

女刑事「えっ、あ……、んっ、コホンっ」

後輩「……」

女刑事「ま、まぁ、そ、そういうのは、お、お話しされなくて、だ、大丈夫、ですから」

後輩「……」

女刑事「コホ……、お聞きしたいのはセ――……それ以外で……」

後輩「ずっとセックスしてましたぁ……」

女刑事「ずずずずずっと!?」

後輩「うぅぅぅっ」カァァァッ

女刑事「4時から4時まで!?」

後輩「あ……いえ、途中で寝たので……」

女刑事「そ、そっか……。そりゃまぁ……」

後輩「1時くらいまででした」

女刑事「4時から1時!?!?」ワタワタ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:36:53.58 ID:5qE2k+020

女刑事「4時から……」

後輩「う、うぅぅ……」カァァ

女刑事「……9時間?」マジマジ


後輩(めっちゃ見られてる……)


後輩「……」

女刑事「はぁぁ……」マジマジ

後輩「……あ、あのぉ」

女刑事「……!」ハッ

後輩「……」

女刑事「……コホッ、コホン!」

後輩「……」

女刑事「失礼、取り乱しました」

後輩「……いえ」

女刑事「それで……」

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:37:35.01 ID:5qE2k+020

後輩「……」

女刑事「1時には、眠られたんですね」

後輩「え、えぇ。大体それくらい……」

女刑事「それで、4時に起きて、銀髪さんを見送られたんですか?」

後輩「いえ……、まだ私、ソファにいて……。起きる前に、銀髪さん出て行って」

女刑事「……何故ですか?」

後輩「え?」

女刑事「何故、銀髪さんが帰った時刻が、4時だと断言できたのですか? 寝ていたのに」

後輩「あ……、そういえば」

女刑事「……」

後輩「確かに……」

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:38:03.18 ID:5qE2k+020

後輩(……何でだっけ?)

後輩(ええと……)


後輩「……、……あぁ」


後輩(そうだ)

後輩(あの時……確か、銀髪さんが帰ろうとしていて――……)

後輩(それで、行く前に私の所に……)





157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:38:32.82 ID:5qE2k+020





後輩『……んぅ』ウトウト


トタ トタ

トタ


後輩(……銀髪さんの、足音……)

後輩(……帰るのかな……?)

後輩(時計――……)


後輩『……』チラ


後輩(まだ4時じゃん……)


後輩『……ん、ん』ウトウト

後輩『……』スヤ


ト トッ トッ

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:39:15.37 ID:5qE2k+020

後輩(近づいてきてる……)

後輩(でも夢かも……)


銀髪『……後輩ちゃん』


後輩『……』


後輩(……銀髪さん?)


銀髪『――、――――』


後輩『……』

後輩(銀髪さん……)

後輩(何か言い……ました……か――……?)

後輩(銀髪、さ……)


後輩『……ムニャ』スヤスヤ

159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:40:06.05 ID:5qE2k+020

後輩「……一瞬、起きて……」

女刑事「……」

後輩「時計を見て……」

女刑事「なるほど」



後輩(あの時……)



後輩(あの時、銀髪さんは何を……)


後輩「……」

女刑事「……」

後輩「……」

女刑事「……?」

後輩「……」

女刑事「どうかされましt――……?」


ガチャガチャ!!

バターン!!


先輩「おぉぉーーっす!!」


後輩「!?」ビクーッ

女刑事「!?」ビクーッ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:40:47.66 ID:5qE2k+020

先輩「おぉーい後輩ー! いるかーっ! すげぇぞ、下の駐車場!」

後輩「せ……」

先輩「すっげぇヤクザ停めしてるレガシーいた! 超バカみてーなの! 見てみれ!」

後輩「せんぱ……」

先輩「写真撮ったからインスタで晒そ――……、あ……」

後輩「……」

女刑事「……」

先輩「あ、お取込み中?」

女刑事「……、……私の車ですね」

先輩「う、うぇ?」

女刑事「失礼、停め直してきます」

後輩「……先輩、この人、警察の方で……」

先輩「うぇぇぇぇぇ!?」




161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:41:21.35 ID:5qE2k+020





先輩「だーかーらー! ねぇって言ってんじゃん!」

女刑事「身分証明できるものですよ? 本当に何も?」

先輩「あぁん? 何度も言わなきゃ分かりませんかねぇ〜!?」

女刑事「……では、ご職業は?」

先輩「自営」

女刑事「具体的に」

先輩「詩人」

女刑事「…………はぁ」

先輩「あぁぁ!? 何だその『はぁ』は!? 職業差別か公務員がこの野郎ォ〜〜〜ッ!?」

後輩「先輩、ほんと……本当、やめましょうって、ねっ」

女刑事「……」

後輩「すみません……、この人こんなですけど、嘘はついてないんで……」

女刑事「そう……」

先輩「……」ガルル
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:42:04.02 ID:5qE2k+020






先輩「発泡酒もらうぞ〜」ガタガタガチャ



後輩「どうも、すみませんでした……」

女刑事「いえ、お気になさらず」

後輩「……」

女刑事「……では、私はこれで。ご協力、感謝します」

後輩「……あ、あの」

女刑事「はい?」

後輩「実はその……、銀髪さんが、ええと……亡くなったビルの場所、教えてほしいんですけど」

女刑事「……」

後輩「あ、これ聞いたら駄目なやつでしたか? シュヒ義務? 的な……」

女刑事「いえ、構いませんが」

後輩「ありがとうございます……」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:42:36.17 ID:5qE2k+020

女刑事「口頭でいいですか?」

後輩「えーと……、できたらメモを」

女刑事「お待ちを」ゴソ

後輩「すみません……」

女刑事「……」カキカキ

後輩「……」

女刑事「……変わったご友人を、お持ちですね」

後輩「いえ……。お恥ずかしい限りです……」

女刑事「貴方自身も」

後輩「へ?」

女刑事「少し、変わっていますしね」フフッ

後輩「あ……」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:43:06.44 ID:5qE2k+020

女刑事「失礼。……どうぞ」スッ

後輩「あ、ど、どうも」

女刑事「それでは」


ガチャ キィ

バタン


後輩「……」


後輩(笑うと……)

後輩(雰囲気変わるなぁ……)


先輩「後輩ー、『獺祭』見つけたんだけど開けていいー? 後輩ちゃーん?」





165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/09(金) 22:45:55.91 ID:5qE2k+020
今日はここまでです
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 06:12:26.84 ID:G74LAk4Xo

先輩の後輩宅にいつも飲みにこれる職業って
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:04:44.61 ID:FfyBE4yg0






〜夕方〜


〜郊外・ビル街〜



後輩「んーと……」キョロキョロ

先輩「……」

後輩「おっかしいな……」キョロキョロ

先輩「なー」

後輩「何ですー? ……あ、こっちか」

先輩「もういいじゃんー。飲みに行こうぜー」

後輩「先輩についてきて、なんて言ってないじゃないですか」

先輩「冷てぇの」プシュッ

後輩「うーん、間違いなくこの辺りのはずなんだけど……」

先輩「……」ゴクゴク

後輩「うぅん……、刑事さん、この住所あってるんですか……」

先輩「……ぷはぁ」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:05:27.66 ID:FfyBE4yg0
後輩「……美味しそうなの、飲んでますね」

先輩「美味いよ」グビリ

後輩「はぁ……」

先輩「こうはーい」

後輩「何ですか……」

先輩「そっちじゃない」

後輩「え?」

先輩「こっち」スタスタ

後輩「え……ちょ、先輩……?」

先輩「〜〜♪」スタスタ

後輩「ちょっと……、せんぱ……っ、先輩!」




169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:06:26.21 ID:FfyBE4yg0





後輩「……」

先輩「ここだろ?」

後輩「……xxxxビル……、合ってる……」

先輩「……」カシュッ

後輩「先輩……、この場所、知ってたんですか……」

先輩「プハ……、人から聞いてな。あの界隈の連中なら、みんな知ってる」

後輩「……」

先輩「お前以外はなー」ケラケラ

後輩「……」ガチャ

先輩「鍵かかってる?」

後輩「えぇ……まぁ、当たり前ですけど」

先輩「ふぅん……」スタスタ

後輩「あ……っ、また……」

先輩「おっ」

後輩「何です?」

先輩「うぇっへっへ、非常階段〜」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:06:56.30 ID:FfyBE4yg0
後輩「……キケン、立ち入り禁止、って」

先輩「大丈夫だろ」ヒョイ

後輩「ちょっと、先輩」

先輩「行かねぇの?」

後輩「……」

先輩「行くんだろ?」

後輩「……」ヒョイ

先輩「んふ、いけないんだー……」

後輩「もう……、アホ言ってないで」

先輩「はいはい」




171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:07:37.06 ID:FfyBE4yg0





後輩「……」カンカンカン

先輩「……」ゼェゼェ

後輩「……先輩」

先輩「……お゛ぅ」ゼェゼェ

後輩「大丈夫?」

先輩「おう……」

後輩「……」

先輩「やっぱ休憩……」ゼヒー

後輩「はい」

先輩「……うぁぁ」

後輩「……」

先輩「日頃の不摂生がなぁ」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:08:10.69 ID:FfyBE4yg0
後輩「先輩」

先輩「おう」

後輩「……脚、痛むの?」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「ちょっと」

後輩「……」

先輩「気圧が低いと、たまにな。今日とか」

後輩「……先輩」

先輩「謝んなよ」

後輩「……はい」

先輩「……よし、行くか」

後輩「はい……」

先輩「今何階?」

後輩「6階、多分」

先輩「うげぇ……」





173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:08:40.73 ID:FfyBE4yg0





後輩『……』

先輩『おーっす、後輩ー、いるかぁー』

後輩『せんぱ……っ?』

先輩『なんだ、起きてるんじゃねぇか』

後輩『どうして……』

先輩『お見舞い。ほれ、おみやげ』

後輩『……』

先輩『元気そうじゃん』

後輩『……』

先輩『いい加減、学校来いよなー。ずっと休んでるんだって?』

後輩『……』

先輩『アホだなー』

後輩『ほっといてください……』

先輩『うっへへ、強がっちゃってぇ』
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:09:21.05 ID:FfyBE4yg0

後輩『先輩……』

先輩『うん?』

後輩『どうして、そんな……、平気そうなんですか……』

先輩『どうしてって?』

後輩『最後のあの試合……、私のせいで……』

先輩『……』

後輩『私のせいで、脚……駄目になったのに』

先輩『……』

後輩『私のせいで、もうテニス出来なくなっちゃったのにっ!』

先輩『お前のせいじゃねぇよ』

後輩『……だけどっ!』

先輩『本当は、ずっと良くなかったんだ』

後輩『……』

先輩『最後くらい、耐えられると思ってた』

後輩『……』

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:11:24.84 ID:FfyBE4yg0
先輩『平気だと思ってた私が、馬鹿だったんだよ』

後輩『そんな……』

先輩『それに、お前は知らなかったんだ』

後輩『……』

先輩『何も言わなかったもんなぁ、私さぁ』

後輩『……』

先輩『ごめんなぁ……』

後輩『違う……』

先輩『……』

後輩『私は……私はぁ……』グスッ

先輩『……』

後輩『気付いてたんだっ! 試合中……っ! 先輩がぁ……!』

先輩『……』

後輩『動きがっ、いつもと……っ、右のショートクロス、対応できないって……っ!』

先輩『……』

後輩『おかしいなってっ、ゥグ……ッ、分かってて……グスッ』ポロポロ

先輩『後輩……』
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:12:16.87 ID:FfyBE4yg0
後輩『なのにぃ……ヒッグ、うぅ、勝ちたくて! 先輩に勝ちたくてぇ……、わたし……わたしぃ……っ!』ポロポロ

先輩『泣くなよ、なぁ……』

後輩『……ヒック、みんなの……、みんなの言う通りなんですぅ……っ』

先輩『……みんな』

後輩『私がっ! 私が先輩を……っ!』グスグス

先輩『落ち着け、な?』

後輩『ヒック……ふ、ぐ、ぅぅぅ……ごめんなざい゛ぃ゛……』

先輩『お前は、本当に……』ナデナデ

後輩『う゛ぅ゛……』

先輩『気にしすぎなんだよ。死ぬわけじゃないし、歩けなくなるわけでも、ないんだから……』

後輩『だって……、先輩、もうテニス……』

先輩『だからさ、死にゃしないんだって。テニスなんて、できなくたって』

後輩『……』

先輩『本気だぞ』
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:12:46.66 ID:FfyBE4yg0
後輩『……だけど』

先輩『……』

後輩『先輩は……あんなに、がんばって……。あんなに練習して……』

先輩『……』

後輩『あんなにテニスが大好きで、あんなに……うぅぅっ』グスッ

先輩『また泣く』

後輩『……うっ、うぅ……』

先輩『はぁ……、しょうがないヤツだなー』

後輩『……』

先輩『心配すんなって』

後輩『……グス』

先輩『きっといつか、笑って話せるようになるさ』
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:13:22.96 ID:FfyBE4yg0
後輩『……』

先輩『逆に、あの時テニス、見切りつけられてラッキーだったなぁ、みたいにさぁ』

後輩『……』

先輩『酒なんか、飲みながら』

後輩『……』

先輩『お前と私でさ』

後輩『……酒飲みは』

先輩『……うん?』

後輩『嫌いです。臭いから……』

先輩『あっはっは、そっかそっか』

後輩『……』

先輩『……ま、何でもいいよ』
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:14:13.87 ID:FfyBE4yg0
後輩『……』

先輩『私は大丈夫だから』

後輩『……』

先輩『お前も大丈夫になれ』

後輩『……でも』

先輩『もし辛いんだったら』

後輩『……』

先輩『私が、いてやるから』

後輩『先輩……』

先輩『お前が大丈夫になるまで、お前の隣に』

後輩『……本当に?』

先輩『おう』

後輩『……大学行っても?』

先輩『もちろん』
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:15:02.16 ID:FfyBE4yg0
後輩『お、大人になっても? 先輩が――……』

先輩『だから、言ってんだろー』

後輩『……』

先輩『いつか一緒に、酒でも飲んで、笑うんだって』

後輩『……先輩』

先輩『な』

後輩『……酔っぱらい、嫌いです』

先輩『あっはは、そういうなって』

後輩『はぁ……。先輩って人は……、本当に……』

先輩『いいだろ! 大人になったら一緒に――……』

後輩『一緒に?』

先輩『飲みに行くぞー!』

後輩『はいはい……』





181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:15:44.88 ID:FfyBE4yg0





〜屋上〜



後輩「……」

先輩「……」

後輩「……落ち着きましたか、先輩?」

先輩「……」

後輩「先輩?」

先輩「……ん? ……あぁ。……もう大丈夫」

後輩「どうかしました?」

先輩「……んー、ちょっと。考え事」

後輩「……はぁ」

先輩「昔のこととか」

後輩「……」

先輩「……飲むか?」

後輩「ください」

先輩「ほら」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:16:19.86 ID:FfyBE4yg0

後輩「……」カシュッ

先輩「10階って、結構高いな」

後輩「ですね……」ゴク

先輩「普通にフェンスあるんだけどなー……」

後輩「あ、ここ……」

先輩「ん」


ギシギシ

キィ


後輩「壊れてる」

先輩「銀髪さんが壊したんかな?」

後輩「どうですかね……」

先輩「……ふーん」キィ

後輩「飲みます?」

先輩「ちょうだい」

後輩「どうぞ」

先輩「……」グビ

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:17:00.95 ID:FfyBE4yg0

後輩「……高」

先輩「……」

後輩「うわぁ……」

先輩「……」グビ

後輩「真っ暗だぁ……」

先輩「後輩ちゃんさー」

後輩「はい?」

先輩「どうしたん? 急に」

後輩「……」

先輩「銀髪さんがトんだ場所が見たい、なんて」

後輩「いえ、別に……」

先輩「……」

後輩「特に意味は、ないんですけど」

先輩「ふぅん」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:17:45.50 ID:FfyBE4yg0
後輩「ただ……、なんて言うか……」

先輩「……」

後輩「思い出したんですよ」

先輩「何を?」

後輩「……銀髪さんに、最後に……、私の家、出ていくときに、何か、言われて」

先輩「何言われたん」

後輩「や、何か言われたんですけど……」

先輩「うん」

後輩「何言われたか、思い出せなせないんですよね」

先輩「何だそりゃ」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:18:34.15 ID:FfyBE4yg0
後輩「ちょっと、気になっちゃって」

先輩「……」

後輩「何て言ったんだろうなぁ、って……」

先輩「それで? ここに来れば、思い出すかも、って?」

後輩「いえ、ただ……」

先輩「……」

後輩「銀髪さんが、何考えてたのか。ちょっとは、分かるかと思って……」

先輩「……分かった?」

後輩「いえ、全然」

先輩「だろうな」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:19:02.65 ID:FfyBE4yg0

後輩「先輩は」

先輩「……ん?」

後輩「分かりますか? 銀髪さんが――……」

先輩「知らん」

後輩「……そっか」

先輩「……」

後輩「暗……」

先輩「……」

後輩「おっかないなぁ……」

先輩「……」グビ

後輩「……」

先輩「……お前さ」

後輩「はい?」

先輩「……。……、……やっぱ何でもない」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:19:31.47 ID:FfyBE4yg0

後輩「言ってよ」

先輩「ん〜……」

後輩「……」

先輩「……何か」

後輩「……」

先輩「引きずられてるねぇ、後輩ちゃんよう」

後輩「何に」

先輩「過去に」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……引きずってる、でしょう?」

先輩「引きずってるヤツっていうのは、それでも進んでるヤツだよ」

後輩「……」

先輩「……背負いこんで、ヨチヨチしか歩けなくてもな」

後輩「……クサい台詞」

先輩「そう?」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:20:14.14 ID:FfyBE4yg0

後輩「……」

先輩「もっと、気楽に生きろよ」

後輩「……それは」

先輩「……」

後輩「……だけど、どうしたらいいか」

先輩「……」

後輩「色んなこと、忘れようとしても」

先輩「……」

後輩「……忘れられなくて……」

先輩「……」

後輩「酔っ払っても……、フラフラになるまで飲んでも、私は……」

先輩「……」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:22:33.20 ID:FfyBE4yg0
後輩「ねぇ、先輩……」

先輩「おう……」

後輩「私のせいだって、考えてしまうのって……、おかしいでしょうか?」

先輩「……」

後輩「もし、あの人の最後の言葉を……、私が聞いてあげられていたなら、って……」

先輩「……」

後輩「私のせいで……、銀髪さんも……」

先輩「後輩」

後輩「分かってるんです……、それもきっと、思い過ごしで」

先輩「……」

後輩「私なんかが……、あの人の何かを左右できるって、思うこと自体が傲慢で……」

先輩「後輩ちゃん」

後輩「はい……?」

先輩「……こっち来て」

後輩「……? あの……」

先輩「……」ガシ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:24:10.14 ID:FfyBE4yg0
後輩「あっ……」

先輩「……」ギュウ

後輩「先輩……」

先輩「言ったろ」

後輩「……」

先輩「私が、お前の隣にいてやるって」ギュッ

後輩「……」

先輩「……後輩」ナデナデ

後輩「……」

先輩「……あのさ」

後輩「……」

先輩「私は……」

後輩「……」スッ…

先輩「……あ」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:24:55.47 ID:FfyBE4yg0
後輩「……」

先輩「……こうは――……」

後輩「私は……」

先輩「……」

後輩「……十分、ですから……」

先輩「……」

後輩「今のまま……、先輩が……、一緒にいて」

先輩「……」

後輩「……一緒にいてくれて、遊んでくれて……、それだけで……十分……」

先輩「……」

後輩「だから……」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:25:49.37 ID:FfyBE4yg0
先輩「だったら」

後輩「……」

先輩「だったらさぁ……」

後輩「……」

先輩「そんな顔、すんなよ……」

後輩「……」

先輩「そんなさぁ……」

後輩「……ごめんなさい」

先輩「また謝る」

後輩「……」

先輩「フゥ……」

後輩「……」

先輩「行くか、そろそろ」

後輩「はい……」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:27:32.58 ID:FfyBE4yg0

先輩「死人の臭いで辛気臭くなっちゃったじゃん」

後輩「クソ失礼ですね」

先輩「さっさと酔っ払って、スカッとしようぜー」

後輩「はいはい……」

先輩「『はせ川』行くかー」

後輩「転ばないでくださいよ。脚、ガックガクじゃないですか」

先輩「おーんぶ」

後輩「やーです」

先輩「……あの、肩くらい貸してね? 先輩、マジで転び死にしちゃう……」

後輩「はぁ……」ガッシリ

先輩「うぇっへっへ、ありがとー……」

後輩「気を付けてくださいね」

先輩「おう。……あ、そうだ」

後輩「……はい」

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:28:12.30 ID:FfyBE4yg0

先輩「お前さ、土日どっか、暇作れない?」

後輩「え?」

先輩「旅行、しようぜ」

後輩「旅行……」

先輩「いいだろ? 一泊くらいしてさ。女二人ぶらり温泉旅」

後輩「温泉……」ゴクリ

先輩「なっ?」

後輩「……べ、別に……、いいですけど」

先輩「よし、決まり決まり!」

後輩「……でも旅行って、どこ行くつもりなんです?」

先輩「新潟」





195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:28:58.30 ID:FfyBE4yg0





〜駅〜


先輩「……」

先輩「……ん〜」ボケー


先輩(早く着きすぎたなぁ)


先輩「……」

先輩「……フワァ」



後輩「せんぱ〜〜〜い!」


先輩「……お、こうh」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:29:37.62 ID:FfyBE4yg0

後輩「おっまたっせしましたぁ〜♪」キラキラ

先輩「……」

後輩「わっ、すごぉ〜い! 先輩がちゃんと時間通りに来てるっ!」

先輩「……」

後輩「うふふっ、これは雨が降っちゃうかもしれませんねぇ〜?」

先輩「……」

後輩「なぁんてっ! 向こうもバッチリ晴れみたいですよっ!」キラキラ

先輩「……」

後輩「楽しみですねぇ〜! さっ! 行きましょ! 早く早くぅ!」キラッ

先輩「だ……」

後輩「だ?」

先輩「誰だお前!?」

後輩「あははっ、先輩ってばヒドぉい」キラキラ

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:30:31.26 ID:FfyBE4yg0
先輩「ど、どど、どうしたの、後輩ちゃん……」

後輩「うふ。新潟と言えば」

先輩「新潟と言えば?」

後輩「美味しい魚と」

先輩「うん」

後輩「美味しい日本酒!」

先輩「……」

後輩「うふふ……、だからね、先輩」

先輩「……は、はい」

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:31:20.60 ID:FfyBE4yg0

後輩「私……、今日、この旅行のために……」

先輩「……」

後輩「……最高の状態で、お酒を飲むために……」

先輩「……」

後輩「ふふ……二週間ほど、禁酒をしまして……」

先輩「……」

後輩「……うふふ、ピークなんですよぉ、今まさにぃ……、ふふ……」

先輩「……」

後輩「……ふ、うふ……うふふ……」

先輩「……」

先輩(こんなにアホだったかなぁ、この子)

後輩「さっ! 行きましょう、先輩っ!」キラキラッ

先輩「……う、うん、そうね」

後輩「あ〜っ、楽しみだなぁ〜!」

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 21:36:01.05 ID:FfyBE4yg0
今日はここまでです

立ち入り禁止の建物に入るのはやめましょう
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 00:45:45.20 ID:y42qhCMZo

後輩ちゃんが読めんな
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 06:33:13.61 ID:JE405DMno
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 07:16:26.90 ID:/k/CGl9xo
これがキラ付けってやつか…
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:51:41.43 ID:YjXNxsDe0





〜新幹線〜


先輩「……スカー」

後輩「……」スヤスヤ

先輩「……スピー」

後輩「……」ムニャムニャ




204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:52:16.16 ID:YjXNxsDe0





〜新潟駅〜


先輩「着いたぁーっ!」

後輩「よく寝た……」

先輩「ガッツリ寝てたな、お前」

後輩「先輩こそ」

先輩「さぁて……」キョロキョロ

後輩「それで、どこ行くんですか?」

先輩「ん、それはな……。えーっと……」キョロキョロ

後輩「?」

先輩「あ、あれだ」

後輩「えぇ?」

先輩「おぉ〜い! こっちこっち〜!」



「あっ、どうも……!」



後輩「なっ……!?」ギクッ


205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:52:57.41 ID:YjXNxsDe0


先輩「うぇっへっへ、どうもね」

後輩「ぎ……っ」



「遠いところから、わざわざ」



後輩「銀髪……さん……?」



「えっ?」



先輩「後輩、こちら銀髪妹さん」

後輩「……」

銀髪妹「えっと……、はじめまして、後輩さん」

後輩「……」

銀髪妹「先輩さんも……、はじめまして」

先輩「ありがとね、急に連絡したのに」

銀髪妹「いえ……、よくいらっしゃって……」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:53:33.06 ID:YjXNxsDe0

後輩「い、妹、さん……?」

銀髪妹「はい」

先輩「話は聞いてたけど、マジでそっくりだね」

後輩「いや、似すぎでしょ……」

銀髪妹「あはっ……、よく言われます……」

後輩「……」


後輩(銀髪さん……、妹いたんだ……)


後輩「……」ジー

銀髪妹「……?」ニコッ


後輩(銀髪さん、清楚Ver……)


銀髪妹「立ち話も何ですから……。車、用意してますので……」

先輩「悪いね」

後輩「ど、どうも……」

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:54:22.72 ID:YjXNxsDe0
先輩「びっくりした?」

後輩「はぁ……、心臓止まるかと思いました……」

銀髪妹「どうぞ」

先輩「うぉっ」

後輩「……アウディですよ、先輩さん」ヒソヒソ

先輩「A4ですよ、後輩さん」ヒソヒソ

銀髪妹「ち、中古車ですから……」

先輩「お嬢様だ、お嬢様」ヒソヒソ

後輩「とんだイイトコのお嬢様ですよ……」ヒソヒソ

銀髪妹「あ、あははは……」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:55:02.22 ID:YjXNxsDe0


〜車内〜



先輩「へぇ……、二卵性なんだ」

後輩「こんなに似るもんです? 二卵性って」

銀髪妹「ふふ、小さいころは、もっとそっくりで……」

後輩「はぁ〜……」

銀髪妹「みんなから、よく言われました。見た目だけは瓜二つだって」

後輩「……ほんと、瓜二つ」

先輩「見た目”だけは”、ねぇ……」

銀髪妹「そうなんですよ……、中身は昔から、正反対で」

先輩「ふぅん……」

銀髪妹「姉は昔から……、自由で気ままな人でしたし……」

後輩「昔から、ですか」

銀髪妹「えぇ……、一時は、結構荒れたこともあって……」

先輩「何か、想像つく」

後輩「先輩、ちょっと……」

銀髪「あはは、多分想像通りだと思います……」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:55:53.21 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「両親との折り合いも悪くて……」

後輩「……」

銀髪妹「しょっちゅう喧嘩ばっかり」

先輩「……」

銀髪妹「それでとうとう、勘当されて……、勘当ですよ? 今時……。父が、本気で勘当しちゃって」

先輩「あはは、本気の勘当かぁ」

銀髪妹「私は、そんな姉とは正反対で……」

後輩「……」

銀髪妹「親の言うこと、何でも素直に聞いてる『良い子ちゃん』……」

先輩「それ、銀髪さんが言ったの?」

銀髪妹「えぇ」

後輩「……」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:56:51.46 ID:YjXNxsDe0
先輩「仲、悪かったんだ」

後輩「先輩……」

銀髪妹「いえ……、その通りですから……」

後輩「……」

銀髪妹「あの人は、気に入らなかったと思います……、はいはい、って言ってるだけの私が、私ばっかり、親に構われて」

後輩「……」

銀髪妹「あの人は、やることなすこと、何でも否定されて……」

後輩「……」

銀髪妹「比べられて、冷たくされて」

後輩「じゃあ、喧嘩とか、したんですか……?」

銀髪妹「喧嘩……、いえ……」

後輩「……」

銀髪妹「話せばギスギスするの分かってたから、だからお互い、近寄らないようにしてて……」

後輩「……」

銀髪妹「結局、最後まで……、そのままでした……」

後輩「……」

銀髪妹「最後の、最後まで」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:58:01.94 ID:YjXNxsDe0
先輩「……まぁ」

銀髪妹「……」

先輩「そういうもんだよ。喧嘩のひとつもしてやろうって、思っても」

後輩「……」

先輩「思ったときには、相手はいない、とかさ……」

後輩「……」

先輩「なんだかなぁ、って感じだけど。そんなもん。……世の中さ、そんなもんだよ」

後輩「……」

銀髪妹「……かも、知れませんね」

先輩「……」

銀髪妹「……着きました、ここです」

後輩「着いた、って……?」




212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:58:41.01 ID:YjXNxsDe0




ガチャ

バタン



先輩「ん〜〜っ!」ノビー

後輩「……」

先輩「……っはぁ。……静かだねぇ」

後輩「……ここは?」

銀髪妹「姉の、お墓です」

後輩「……」

銀髪妹「……まぁ、正確には、我が家の一家の墓、ですけど」

後輩「……」

先輩「どの辺?」

銀髪妹「ご案内します……」




213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:59:08.39 ID:YjXNxsDe0






先輩「……」

後輩「……」

先輩「……ナムナム」

後輩「……ナムナム」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「お花でも、買ってくればよかったのに」

先輩「そういやそうだな」

銀髪妹「いえ……、こうやって、手を合わせていただけただけで」

先輩「……」

銀髪妹「……姉も、喜んでいると思います」

先輩「……本当に?」

銀髪妹「あ、あはは……、本当はモノかお金の方が、喜びそうですけど……」

先輩「分かる」

後輩(分かってしまう……)

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:00:03.44 ID:YjXNxsDe0



後輩「……ナムナム」

後輩「……」



後輩(……静か、だなぁ)

後輩(銀髪さん……)

後輩(本当に、死んじゃったんだなぁ……)


後輩「……」

先輩「……」

銀髪妹「……」



後輩(銀髪さん……)

後輩(貴方は……)

後輩(最期に、私に……、なんて言ったんでしょうか……?)

後輩(大事な……、ことだったんでしょうか……?)


後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」


215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:00:38.99 ID:YjXNxsDe0
先輩「後輩」

後輩「……えぇ、もう……、終わりにしますから」

先輩「……」

後輩「……ふぅ」

銀髪妹「……」

後輩「……お待たせしました」

銀髪妹「いえ……、ありがとうございます……」

先輩「悪いね。結構、無理言っちゃったでしょ」

銀髪妹「いえいえ、まぁ……父にさえ見つからなければ」

後輩「……あ、そんな感じなんですね」

銀髪妹「すみません……、父は、なんて言うか……、姉の交友関係を、その……、快く思っていなくて」

後輩「あぁ」

先輩「ロクデナシばっかだもんなぁ、あの人の周り」

後輩「先輩もでしょ」

先輩「お前もだろ」

銀髪妹「すすすすみません! すみません!」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:01:20.81 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「そもそも、自分で勘当したのに……」

後輩「……」

銀髪妹「亡くなってから、無理矢理みたいに引き取って、こうして家の墓にいれるなんて」

後輩「……」

銀髪妹「勝手な話ですよね……。姉も、口がきけたらきっと、文句言ってたと思いませんか?」

先輩「それだけ銀髪さんのこと、思ってたってことなんじゃない? 本当は」

銀髪妹「……」

先輩「言えなかっただけで。手遅れになるまで」

後輩「……」

銀髪妹「えぇ……、そう……ですね。きっとそう……」

後輩「……」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:01:51.20 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「両親は、きっと……姉のことは、大切にしていて……」

後輩「……」

銀髪妹「私より……、……っ」ハッ

先輩「……」

後輩「……」

銀髪妹「す、すみません。勝手に色々と。い……行きましょうか」

先輩「うん。……後輩」

後輩「はい……」




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