【咲-saki-】久「いくわよ…咲、憧、穏乃、淡」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 21:48:49.86 ID:z9ekXQ/p0
※原作改変有り。久、咲、憧、穏乃、淡は同じ学校にいるという設定です。


‥‥‥‥‥‥


4月。少し肌寒いが、春の匂いを感じる季節。

今、入学式を終えた1人の新入生が人気のない旧校舎へと続く道をもう1人の新入生の手を握り2人で走っていた。

穏乃「憧、はやくはやく!」

憧「ちょ、ちょっとしず! 別にそんな急がないでも麻雀部は逃げないって!」

穏乃「でも、楽しみじゃん! まさか、清澄に麻雀部があったなんて!!」

憧「そうね…でも、あの張り紙、なんか胡散臭かったけど…それに随分古びていた感じだったし…」

穏乃「そうかなぁ…『新入生来たれ! 旧校舎最上階で待つっ!ドンッ』ってカッコいいじゃん!」


憧「いや、まぁ…なんというかあの『ドンッ』ていう効果音を漫画でもないのに書いちゃう所にセンスの悪さを感じるというか…」

穏乃「まぁまぁ、とにかく行こうよ!」

憧(むぅ…しずと2人っきりで1から作れると思ってたんだけど…でも、しょうがないわよね)

憧(それに、しずが楽しそうだし別にいいかな)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518266929
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 21:55:40.18 ID:z9ekXQ/p0
2人は旧校舎につき、全速力で階段を駆け上がる。

憧「この旧校舎、なんだか歴史を感じるわね」

穏乃「そうだね…よっし、最上階! 麻雀部の部室は…あった!」

そこにはやたら立派な扉があり、その横に『麻雀部』という少し寂れたプレートがあった。


穏乃「うぉぉぉぉっ! なんか緊張するーっ!!」ドタバタ

憧「緊張って言ったって…今日は入学式なんだから部活なんてやってないと思うけど…」

穏乃たちが通う高校の入学式は、本当に入学式だけを行い、授業や自己紹介は翌日に持ち越しで、式が終わり次第解散という形をとっている。


穏乃「それでも、やっぱり緊張するだろー!」

憧「そう? 私は別に緊張してないけど」

穏乃「えー、なんだよ、ちょっとくらい合わせてくれてもいいじゃんか」


そんな話をしながら、穏乃が部室の扉に手をかける。

穏乃「よし…開けるよ、憧」

憧「う、うん」

そう言って穏乃が扉を開く。きしきしと、旧校舎らしい扉のきしむ音がした後、眩しい光が差し込んでくる。

憧「うわ、眩しっ」

憧が部室の窓から差し込む日光に思わず目を細める。

穏乃「ここが…麻雀部! って、あれ、誰かいる?」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 21:57:08.31 ID:z9ekXQ/p0

久「あら、あなたたちは…新入生かしら?」

そこには、ほんの少しウェーブのかかった赤髪の背の高い女性がいた。


穏乃「あ、は、はいっ! えっと、あなたは…」

憧「ちょ、しず! あんた、入学式ちゃんと起きてたの? あの人、この学校の生徒会長よ!」

憧「入学式で私たちの前で話してたじゃない!」

穏乃「え、えーっ!」

久「ふふ、生徒会長じゃなくて学生議会長ね」

そう言いながら久がウインクをする。

久「あなたたち、こんな場所まで来るなんて、まさか麻雀部の入部希望者?」


穏乃「は、はいっ! 私達、麻雀部の入部希望です!」

穏乃の言葉を聞いて、久は自分で言ったにもかかわらずほんの少し驚いた顔をしたが、すぐに不敵な笑みをして2人に話しかけた。

久「わぁ、ようこそ麻雀部へ! あなたたちが初めての部員よ!」

憧「え、初めて?」

久「そうよ、我が清澄高校の麻雀部はこれまで私…って、自己紹介がまだだったわね」

久「私の名前は竹井久。この学校の3年で学生議会長を務めているわ。そして、麻雀部には私1人…まさに一騎当千ね!」

憧「一騎当千は意味が違うと思うけど…」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:00:33.34 ID:z9ekXQ/p0

久「ノリよ、ノリ。それで、あなたたち2人の名前は?」


憧「私は見ての通り新入生で、名前は新子憧」

穏乃「私は、高鴨穏乃です! 目標は、麻雀で全国に出場して友達と遊ぶことです!」

久「!」

久はまたもや驚いた顔をしてその後に嬉しそうな顔をして憧に話しかける。

久「ふーん、あなた…憧も全国出場が目標?」

憧「そうよ」


久「そう…ということは、私の目標とはちょっと違うわね」

憧「ふーん、ま、そりゃそうよね。私としずはまだ1年生で時間もあるから来年もチャンスはあるけど…」

憧「久さんみたいに3年生まで1人で何の下地もなく短期間で全国になんて出場できるわけ」

憧の言葉を遮るように久が話す。

久「何を言ってるのかしら?」

久は憧がため口なことを気に留める様子もなく続ける。

久「私の目標は、全国出場なんかじゃないわ。全国出場はあくまで通過点、私の目標は全国優勝よ!」

憧「へ?」

憧は久の言葉を聞いて思わず間の抜けた言葉を出してしまう。

穏乃「うおおおっ! さすが、学生議会長兼部長!!」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:05:39.72 ID:z9ekXQ/p0
久「ふふ、そうでしょ? それじゃ、もう1度聞くけど…2人の目標は?」

穏乃「もちろん、全国優勝ですっ!!」

憧「ちょ、ちょっとしず!」

穏乃「もちろん憧も全国優勝が目標でっす!!」

憧「あ、もうしずったら…でも、そうよね。私としたことが目標が低かったわ、どうせ全国に出るんだったらトップをとらないとねっ!」

久「ふふ、心強い1年生ね」

出会ってからまだ間もないが、憧と穏乃の2人は、すっかり久のペースに乗せられていた。


‥‥‥‥‥‥


久「それで、2人は個人戦、団体戦どっちで全国を目指すのかしら?」

穏乃「もちろん、団体戦です! 憧と久さんと一緒に全国優勝したいので!」

憧「私もしずと同じで団体で全国に行くことが目標よ」

久「そう、団体戦…。それなら1年生の中から後2人新入部員を捕まえないとね」


憧「1年の中から? 確かに1年生が1番入ってくれる確率は高いと思うけど、別に2、3年生の中からでも入ってくれる人はいるんじゃない?」

久「あー、それ無理。2、3年の子達はもう全員勧誘しているのよ」


穏乃「そ、そうなんですか? それで誰か入ってくれた人は…」

久「いなかったから、この2年間、部員が私1人だったんじゃない。2年間寂しかったわねぇ…」

しみじみとした声色で久が言う。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:09:30.50 ID:z9ekXQ/p0

憧「ぜ、全員勧誘したの?」

久「そうよ…まぁ、1人も入らないのも納得よね。長野で麻雀したいならここに来なくても風越とか他にも、選択肢はあるもの」

穏乃「風越かぁ…確かに有名ですもんね」


久「というか、今更だけど2人はどうして清澄に? 全国に行きたかったなら風越に行けばよかったじゃない」

穏乃「いや、私立だとお金が…」

憧「しずの場合、偏差値もでしょ! まったく、ここに入るのだって私がつきっきりで勉強教えてあげたんだから」

穏乃「あはは、まぁいいじゃん! ほら、どうせ麻雀部は憧と2人で1から作ろうと思ってたし!」

憧「ふ、2人で1から…」

憧はほんの少し、頬を赤らめる。


久「あら、私は邪魔者だったかしら?」

久がにやけながら2人に問いかける。

穏乃「そんなわけありません! 頼りになる3年生がいてくれて心強いですし、久さん、なんだか只者じゃない感漂ってるし!」

憧「そ、そうよ、やっぱり1年だけじゃ心細いし…それに学生議会長が麻雀部部長なんてなんか色々都合よさそうじゃない?」

久「あなた、随分直球な物言いしてくるのね…ま、いいけど。…って、もうこんな時間! 2人とも、もう少し話したかったけど、私、やらないといけないことがあるから今日はもう終わりね」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:11:42.73 ID:z9ekXQ/p0
穏乃「あ、そうですかぁ…せっかくだし打ちたかったなぁ」

久「ふふ、まぁ、本格始動は明日からね。1年生は明日4時間目まであるのよね?」

憧「そうよ、自己紹介、係決め、配布物、身体測定とか色々するらしいわ」

久「そう、それなら4時間目が終わったら部室に来てね。それと! しっかり新入部員を探しておくこと!」

久「私も探したいけど、1年生と関わる機会は同じ1年生であるあなたたちの方が多いと思うしね」

穏乃「はい! 憧、頑張って勧誘しような!」

穏乃がほんの少しハスキーな声で憧に話しかける。

清澄高校麻雀部の本格的な活動が始まろうとしていた。


‥‥‥‥‥‥


久と憧、穏乃が出会った翌日。今は1時間目、クラス全員の自己紹介などをする時間。

先生「よし、それじゃ、自己紹介していくぞ。まず、先生からな」

先生が自己紹介をしている時間に憧はいろいろなことを考える。

憧(はぁ…自己紹介トップバッターは、名字が『あ』から始める人の運命よね)

憧「…」

憧(昨日、麻雀部の部室に行って、竹井久という3年が1人で2年間活動をしていることが分かって…)

憧(そして、久さんとしずと団体戦に出る約束をして…その為には最低でも、後2人部員が必要という事を話し合ったのよね)
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:14:06.02 ID:z9ekXQ/p0
憧(部員を集める…その為には、自己紹介はかなり大事! みんなの前で、麻雀部の事を大々的に宣伝できる機会なんて中々ないからね!)

憧(とはいえ、麻雀をしたいという人は風越とかに行っているはずだから、清澄に麻雀目的で入った人はほとんどいないはず…)

憧(だから、麻雀をやったことない人でも麻雀に興味を持ってもらえるようにうまく自己紹介をしないと!)

先生「…という訳で、1年間よろしくな」

先生の自己紹介が終わる。

先生「よし、それじゃ…新子から順に自己紹介していってくれ」

憧(よし、なるべく明るくハキハキといくわよ!)

憧「えー、新子憧です! 中学は○○中学でした」

憧「高校では、麻雀部に入ろうと考えています。それで、麻雀というt」

そう言って、憧が麻雀の楽しさや、麻雀部の現状などを話して、興味を持ってもらえるような話をしようとした瞬間、大きな声が教室全体に広がった。

穏乃「はい! 実は私も麻雀部に入ろうとしています! 麻雀ってすっごく楽しいし、みんなもぜひ来てください!」

穏乃「あ、入部したい人は旧校舎の最上階に部室があるのでそこまでよろしくお願いしまっす!!」

憧(ちょ、し、しずぅっ!!)

くすくす…

教室からはくすくすと失笑が漏れている。

先生「おーい…えーっと…高鴨、まだ新子の自己紹介中なんだから大人しくしてろー」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:16:23.26 ID:z9ekXQ/p0

先生もまだ名前をうろ覚えなのか、穏乃の名前を呼ぶのに、すこし間が空く。

穏乃「あ、すいません。憧、ごめんな!」

そう言って穏乃が座る。

憧(ご、ごめんなって…こ、こんなのもう自己紹介なんて続けられないわよぉっ!)

なぜか、穏乃に名前を呼ばれ、自己紹介の為、起立している憧の方が穏乃よりもクラスのみんなから好奇の目で見られている。そんな視線に耐え切れず、憧は麻雀部の紹介を満足にできないままいそいそと席に座った。

憧(はぁ…失敗した…。麻雀部どころか、私の高校生活まで失敗しちゃったかも…)

どよーんと落ち込む憧を置いて、どんどん自己紹介は続いていき、憧から数えて六番目、憧の隣の生徒の自己紹介。


淡「大星淡でーす、みんなよろしくねー!」

憧(大星淡…? どこかで聞いたことある名前ね)

そう思い、ちらりと隣を見てみると、やたら鮮やかな金髪の女の子が立ち上がって話していた。

先生「ん、それだけか? どこの部活に入るかとかは考えてないのか?」

名前だけを言って座ろうとしていた淡に先生が質問する。

淡「はい、私、帰宅部の予定なんで!」

先生「そ、そうか」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:18:05.32 ID:z9ekXQ/p0
穏乃「あああああああああっ!!」

先生の複雑な言葉をかき消すようにまたもや、穏乃の大声が教室に響く。

穏乃「お、大星淡!!!」

憧(ちょ、ま、またしずったら…!)

穏乃「大星淡って、あの、麻雀の雑誌に載ってた大星淡だよね!?」


先生「おーい、よく分からんが、まだ自己紹介の時間だからな」

穏乃「あ、す、すみません」


そう言って、穏乃はいそいそと席につくが、それからは淡の事をずっとちらちらと見続けていた。

憧(そっか、大星淡…どこかで聞いたことある名前だと思ったら確か、中学時代公式戦にほとんど出場しなかったにも関わらず、その強烈な打ち筋とキャラクター、容姿で有名になった人だ)


その後は、また穏乃が少し暴走するも、滞りなく自己紹介が終わり、あっという間に1時間目終わりの10分休憩の時間になった。


穏乃「大星さんっ!」

授業終わりのチャイムが鳴った瞬間、穏乃が淡に向かって走り出す。

淡「えっと…シズノだよね?」

穏乃「うん、高鴨穏乃! 大星さん、一緒に麻雀やろう!」

淡「えー、麻雀?」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:21:00.17 ID:z9ekXQ/p0
穏乃「うん、大星さん麻雀で有名な人だよね! 麻雀やろうよ!」

淡「うーん、でも麻雀部に入ってもいいことないだろうしやめとくよ!」ニパッ

にぱっと小悪魔的な笑顔で淡が穏乃に言い放つ。

穏乃「え、いい事ないって…きっと楽しいよ!」


憧「えっと…大星さん。私からもお願い、入部してくれないかな?」

淡「えー、でもなぁ…」

穏乃「大星さん、一緒にやろうよ!」

穏乃はぐいぐいと淡に迫る。そんな中、憧はちょっとした考えが浮かんでそれについての考察を行っていた。

憧(ちょっと待って…よくよく考えるとおかしくない? 大星淡と言えば中学時代の公式戦の記録こそ少ないものの、雑誌に取り上げられるような人)

憧(そんな人がどうしてこの清澄に?)

そんな疑問を持った憧は同い年だからか淡のキャラがそうさせるのか、出会って間もないというのに遠慮のない口調で率直に質問をしていた。


憧「ねぇ、どうして清澄にいるの? 大星さんほどの実力と知名度があれば、風越にでも行けたはずだけど…」

淡「あー、風越ね。最初は風越に行こうと思ってさ、中学の時、風越の麻雀部見学したんだけどねぇ…」

淡「弱すぎてつまんなかったからやめちゃった」

穏乃「か、風越が…よ、弱い?」

淡「うん、まぁ2年生…今は3年生かな? 1人だけかなり強い人はいたけどそれだけだよ。他の人は全然ダメ」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:25:32.89 ID:z9ekXQ/p0
淡「長野一麻雀が強いって聞いたから行ってみたら拍子抜けしちゃってね。あそこの部活に入っても私は強くなれないし楽しくないなって思ったから風越にはいかなかったの!」

憧「強くなれないし楽しくない…それで清澄に?」


淡「そうだよ! 私、風越を見て、団体戦は出る必要ないかなって思ったからあえて麻雀部がない高校に来たんだ」

淡「麻雀は雀荘で打てばいいしね」

憧「うーん、風越に行かなかった理由は分かったけど…。それでも、別にわざわざ麻雀部がない高校に来る必要なくない?」

淡「あー、それは今みたいなことにならないようね!」

穏乃「今みたいなこと?」

淡「そうそう、私は個人戦だけ出られればいいって思ってたからね。もし、麻雀部がある高校に行ったら絶対に鬱陶しく勧誘されるでしょ?」


憧「そ、それって…私たちの事も鬱陶しいって思ってるわけ?」

憧が少し棘のある言い方をする。

淡「うーん、まだ鬱陶しくはないけどね。これ以上されるとちょっと鬱陶しいかもね」

淡「というか、清澄に麻雀部あったことが驚きだよっ!」


淡は憧と穏乃の事などまるで意に介さないようにして、1人ほっぺたを膨らませてぷんぷんと怒ったそぶりを見せている。

穏乃「…大星さんは、麻雀部が楽しくて、それで強くなれるんなら部活に入ってくれるの?」

淡「え?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:27:25.89 ID:z9ekXQ/p0

穏乃「だって、大星さんは風越の麻雀部に入っても強くなれないし楽しくないと思ったから麻雀部に入らないんでしょ?」

穏乃「だったら、私たちが大星さんを楽しませる事ができるくらい強い相手なら部活に入ってくれるんでしょ?」


淡「……あはっ!」

淡はにかっと笑って、穏乃と目を合わせる。


淡「シズノって面白いんだねっ! いいよ、もし私を楽しませてくれるくらい強かったら入ってあげる!」

淡「ちなみにだけど、私の麻雀の実力は中学300ね…おっと間違えた! 高校100年レベルだからね!」ドヤッ

穏乃「そ、そっか」

憧「…」

そうして、淡と穏乃が盛り上がっているのを憧は少し不満げに眺めていた。

その後、穏乃が見境なくクラスの人、他クラスの人を勧誘したが、成果は上がらないまま放課後になった。


‥‥‥‥‥‥

放課後。

放課後とはいっても4時間授業なので、真っ昼間。眠くなるような日和の中、憧と穏乃、淡は旧校舎の麻雀部部室に来ていた。

淡「へぇ、ここが麻雀部部室…ってなんかすごいね、この部室」

淡が素直な感想を述べる。ステンドグラスがある部室なんてなかなかないであろうから当たり前だろう。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:30:10.88 ID:z9ekXQ/p0
淡「わっ! ベッドもあるじゃん!」ボフッ

お約束のように淡はベッドにダイブする。


淡「うーん…ちょっと寒いかなぁ…シズノ、一緒に寝よっ!」

布団にくるまりながら淡が穏乃を誘う。

憧「ちょ、ちょっと! 麻雀をうつって約束でしょ!」

淡「でも、3年のヒサって人が来るんでしょ? だったら、来るまで寝ててもいいじゃん!」

憧「そ、それはそうだけど…」

穏乃「まぁ、久さんが来るまでならちょっと休憩しててもいいんじゃない?」

淡「ほら〜、シズノだって言ってるじゃん! シズノ、こっち来て、一緒に寝よっ!」

憧「ちょ、ど、どうしてしずがあんたと一緒に寝なきゃいけないのよ!」


淡「だって、シズノなんだかあったかそうだし」

穏乃「あったかそうって…」

憧「だ、ダメよ! 私だって最近しずと一緒に寝てないんだから!」

淡のすっぱりとさばさばとした性格からか、3人はいつの間にか打ち解けていて、お互いの呼び名もいつの間にか名字から名前に変わっていた。そんな他愛無いやりとりをしながら久の到着を待った。


‥‥‥‥‥‥


久「ごめーん、ちょっと遅くなっちゃった!」

そう言いながら久が部室に入ってくる。遅くなったとはいっても憧達が来てから15分ほどしか経っていない。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 22:34:25.25 ID:z9ekXQ/p0

穏乃「いや、そんな待ってないですよ!」

久「そう? それなら良かった…って、あら、早速勧誘に成功したの?」


久は淡を見てゆったりとした笑みをこぼす。

淡「どうもー、高校100年生の大星淡でーす! ヒサだよね、よろしく!」

淡は久の事を年上だと分かっているにもかかわらずまるで、同じ年の友達かのように接する。

久(どうしてこうもため口の子が多いのかしら? まぁ、別に気にしないけど)

久は穏乃が1番礼儀正しいなと思いながら淡に挨拶を返す。


久「竹井久よ、大星淡さんは高校100年生…ってことは今115歳?」

淡「違う違う! 高校100年生なのは麻雀の実力だけ! 実際は15歳だよっ!」

久「あら、そうなのね。ま、よろしく」

淡があわあわする様子を見て、やっぱり高1だなと久は思う。

淡「それじゃ、早速打とうよ! なんだかんだ雀卓があると疼いちゃうよ!」

淡がワクワクを隠せない様子で3人に話す。

久「そうね、せっかく4人いるんだし、打ちましょうか…って、憧、どうしたの?」

久は憧に肩をたたかれ振り返る。


憧「久さん、実は今回の麻雀…淡が麻雀部に入るかどうか決める勝負なの」

久「どういう事?」
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