追われてます!'

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1 : ◆9Vso2A/y6Q [saga]:2018/02/08(木) 14:38:54.89 ID:NWn4bXkJ0
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503749258/
↑の続き

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518068334
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 14:39:57.45 ID:NWn4bXkJ0

【届けたい何か】

「それでさ」と部長さんは本題に入ろうと話を切り替える。

「これだけってわけではないんでしょ?」

 両手に掴まれていたノートはすでにダイニングテーブルの上に置かれていた。
 そして、目を移した先にある彼女の視線は私をまっすぐとらえて離さない。

「文の良し悪しについては、私が畑違いなこともあってあんまり分からないし、さっきみたいに率直な感想しか言えないんだけど……」

 少しばかりの間をとり、吐息混じりに軽く頷いて、

「これはわかるな」

 と言う。目からはかなりの自信が窺えて、最初から話そうとは思っていたけれど、それを加味してもちょっとだけ話しやすくなったように思えた。

「わかるって、何をですか?」

 だから、彼女の誘導に従って、そう訊き返す。
 すると彼女はその言葉を待っていたように、ふふんと鼻を鳴らしてから、もう一度ノートに目を戻した。

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 14:40:50.22 ID:NWn4bXkJ0

「私も何かでストーリーを考える時によくやるの。
 まず最初に頭の中でイメージを膨らませて、それからそれを絵にしたり、文字に起こしたり、
 一次創作は勿論そうだし、原作のある二次創作ならなおさらね」

「……そういうふうに見えますか?」

「うん、とても」

 見ただけで、と素直に感心してぱちぱちと数回手を打った。
 お姉さんぶったような笑みを向けられて、何が何でも見透かされすぎている、と少しだけムッとしたけれど、こうして言い当てられているわけで……。

「その通りです」

 と答えるほかない。私ってそんなにわかりやすいのだろうか。

「じゃあつまり、この文に絵をつける……いや、この文のもとになった絵を描きたいってことで間違いない? よね?」

「……はい」

「そっかそっか、なるほどねー」

 文はあくまでも、絵が描けないと思ったから代用的に使っただけで、それだけでは不完全だ。
 絵をつけて、書くにあたって排した情報を補って、それでようやく完成したと呼べる。

 文から絵ではなく、絵から文を、であるから、完成するために文があることは必要条件ではあるものの十分条件にはなり得ない。

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 14:41:27.60 ID:NWn4bXkJ0

「いわゆる、イラストノベル? みたいな形にできたらなって思うんです。
 それだったら、文を書き終えさえすれば、普通の短編にはなりますから」

 "私"ではなく"締切"という面での完成に焦点を当てた場合の保険を口にする。

 それが私の本心でないことは、どうせ彼女には見透かされているだろう。 

「ん、わかった。そういうことなら、間に合うようにちゃんと決めないとね」

「あの……それは一応おおまかには考えてました」

 見切り発車ではなく以前から考えていたことだと伝えたくて、私は口を開く。

 まず、十一編全てに絵をつけるのは時間的にも部誌のレイアウト的にもやめておくのが賢明だろうから、二ページに一枚。偶数でぺージを切り上げるのが良いだろうから、プラス一枚の計六枚。

 そして、デジタル絵は描けないわけではないけど、慣れとスピードを考慮して手書きにすること。塗りにはコピックを使うこと(塗り心地や色の混合をする際に水彩と近いはずだから)。

 スキャナーにかけた後の補正(ゴミ取り、色味の差異修正)については、その経験がないのもあってあまり上手くできる自信がないから、できるだけ自分でやろうとは思うけれど最初のうちだけ手伝って欲しいということ。

「……と、これくらいです」

 話し終えると、彼女はふむと頷いた。

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 14:42:05.78 ID:NWn4bXkJ0

「一枚にかける時間は?」

「えっと、三から四のつもりです」

「それは、どういう見積もり?」

 本当にできるの? と問うかのような難しい顔をされる。
 一瞬息の詰まる感覚を覚えたが、それでもここで黙ってはいけないと、何とか言葉を捻り出す。

「集中しているときは、昔はそれぐらいで描けていたので、描き込みにこだわりすぎないなら、それぐらいでできるのかなって」

 今は、とは言いたくなかった。
 腕とかそういうことを言い出すなら、能力全般落ちていることは自明で、昔通りに描けるはずがない。

 思い入れとともに完成するまでの時間が伸びていたことも、本来私が遅筆なことも、すぐに描き直したいと思ってしまうだろうことも、自分の弱いところは全てわかっていて、それでも、

「……頑張ります。頑張りたいです」

 これは気持ちの問題のはずだから。私次第でどうにでもなるはずだから。
 そこに不安や迷いが生じたとしても、描けないことに比べればはるかにマシで、きっと受け入れられるから。

 いつからか苛まれていた、どこまでも沈んでいく感覚を断ち切るために、数秒前に考えたことをすぐさま否定する。

「描けると思うんです。今の私は……欲しかった理由を、あなたにもらえたから」

 ただ描くことが好きだから、と胸を張って言えるように、
 理由がなくても描けるようになるための、仮置きの理由。

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 14:42:46.93 ID:NWn4bXkJ0

 そんなのおためごかしではないかと問われれば、たしかにそうなのかもしれない。
 でも、私は届けたい。私の精一杯を、側で見ていてくれる彼女に届けたい。

「うん」

 と彼女は満足げに頷く。発した言葉に悩む余裕を与えてくれないまでの早さで。

「ね、シノちゃん。私からも一つだけお願いしていいかな」

「……はい」

「私がシノちゃんを見てる間は、シノちゃんも、私のことを見ててほしいの」

「……」

 何も考えずにそのまま受け取っていいはずなのに、そこに他意はないはずなのに、私は彼女の様子に若干の据わりの悪さを感じた。

 いつも通りの、明るい声音。
 包み込むような、柔らかな笑み。
 癖なのだろうか、言葉を切ると同時にくいっと手を引かれる。

 一見すると何も変わらないように思えて、けれど唯一いつもと違っていたのは、私と目線が合っていないこと。

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 14:43:32.78 ID:NWn4bXkJ0

 彼女は私を見下ろしていて、私は彼女を見上げている。
 背伸びしなくてもいいように屈んでくれている状態が、いつのまにか普通になっていたことに気がついた。

「それって」と言いながら、私は椅子にもたれていた背中を外して、彼女の手を引っ張る。
 予期していなかった行動だったのか──私自身も無意識のものだったけれど──彼女の身体は存外簡単に、てこのようにこちらへと近付く。

「べつに、今と変わらないですよね?」

 肩の位置を合わせてそう発すると、部長さんはじっと私を見つめて、先に窓の方へと目を逸らした。

「うん。……よろしく」

 頬をぽっと朱に染めて、ごにょごにょと小さい声で紡ぐ言葉に、私まで少し気恥ずかしくなる。

 彼女がたまに見せる素の反応は、とても少女的で、かわいらしくて、
 口元が自然に緩むと同時に、自分の心のなかの一部が、静かに揺らめいたように思えた。

8 : ◆9Vso2A/y6Q [saga]:2018/02/08(木) 14:44:36.67 ID:NWn4bXkJ0
少ないですが今回の投下は以上です。
完結までもう少しだけお付き合いください。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 15:35:03.24 ID:mFWRRkej0
乙!
今更だけど、前スレの最後こっちに誘導すれば良かったんじゃ
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 11:52:46.41 ID:mUKsCTUnO
新スレ乙!
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:02:01.21 ID:rPbMqZ0L0

【変化】

 もうすぐ十九時を回ろうかという頃になると、部室には全員が揃っていた。

 すぐ左には誰も座っていないパイプ椅子。そこから二人分くらい空けてソラ。
 背中側には女の子三人がソファに腰掛けていて、ここ数日と同じなら二手に分かれているはずだ。

 そして、そのうちソファの最大辺に、ほぼ密着しながら座って絵を描いているであろう二人が戻ってきたのは、今から数時間前の、日が沈もうかという時のことで、
 今ここにはいない優しい優しい先輩に絶えなく見えない日本刀を眼前で振り回すように容赦なくビシバシと文句……絵の指導を受けている間、ずっと気がかりだったことは、どうやら俺の杞憂に終わったようだった。

 まあ、直接何かを訊いたわけでもないし、彼女達から特に何かを言われたわけでもない。
 可能性から照らしてみると、ひょっとしたら、胡依先輩はそれを回避したかもしれないし、もう少しちゃんと考えてから実行に移そうと、俺への『確認』はそういう含意があったのかもしれない。

 けれど、帰ってきてからの東雲さんの様子を鑑みれば、それはうまくいったんだろう、と確信できる。

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:02:55.97 ID:rPbMqZ0L0

 彼女は絵を描いていた。
 あんなに、描けないと言っていたはずの。

 すらすらと、脇目も振らずに、ただまっすぐ目の前の紙に鉛筆を滑らせるその姿からは、以前彼女が語っていた"恐怖"は一切見受けられなかった。

 どんな魔法を使ったんだ、と胡依先輩を振り仰ぐと、彼女はふふんと胸を張って親指を突き立てた。

 こちらからは何を描いているのかは窺い知れなくて、けれど、東雲さんが描いているものなら、きっといいものなのだろう。

 時折手が止まると、先輩が落ち着いた声音で「大丈夫?」と声を掛け、それに対して東雲さんは「大丈夫です、ありがとうございます」と柔らかな微笑みを返す。
 こういう会話を四、五回していた。

 もはやこの時点で驚きはかなり大きいものだったが、それでもまだ、ほっとした気持ちの方が強かったように思える。

 あまりの衝撃でメーターが振り切れてしまったのは、さて自分の作業に戻ろう、と身体の向きを直そうとした時だった。

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:04:11.08 ID:rPbMqZ0L0

「これ食べる?」と。
「あ、いただきます」と。

「はい、あーん」と。
「んっ……」と。

 僅か十秒にも満たない語らい。
 なんてことのない、今までに何度か見たことがあるようなやり取り。
 普段と違っていたのは、東雲さんの対応。

 抵抗しなかった。ほぼ。ツンとした態度は鳴りを潜め、チャームポイントとまで呼べてしまうような、あの射竦めさせる鋭い視線ではなく、
 あくまで「まったく……仕方ないですね」とでも言いたげな、照れの入り混じった視線を彼女は先輩に向けた。

 俺は、え? と一瞬固まり、遅れておお、となる。単純に。
 ソラも同じようにちらりと彼女達を見てから、こちらに生温かい目を向けてくる。やっぱり単純。

 そしてただ一人萩花先輩は、口をぽかんと開けてその場にフリーズした。
 と思ったら数秒後に俺を外に連れ出して、スカートの端を摘みながらぷんすか地団駄を踏みだした。

「なんか、……なんかっ!」

「……」

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:05:28.65 ID:rPbMqZ0L0

 いや、あれは甘すぎる。キャンディーよりもチョコレートよりも、
 メイプルシロップとホイップクリームがこれでもかというくらい乗ったパンケーキよりも、だだ甘い。

 目の前の先輩のことなんて気にならずに(おもしろいとは思ったけれど)、先ほどの光景を反芻していると、ネクタイをぐいっと掴まれる。

「……なんか言ってよ」

 目がうるうるしていた。

「どんまいです」

「ううっ……」

「まあ、……どんまいです」

 他にどう言えばいいんだ。

「……でも、でもね」

「……はい?」

 一呼吸おいて、

「……わ、私も素直になりたい」

「……」

 掴んでいた手を離される。

「私も胡依ちゃんにあーんしてもらうのっ!」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:06:26.01 ID:rPbMqZ0L0

 そう宣言するように叫んで、萩花先輩はつかつかがらっと扉を開け、迷わず隣へ座り肩を寄せた。

「それ、私も食べたい」

「ん、これ?」

「うん」

 はいどうぞ、と胡依先輩は手のひらにお菓子を置いて渡す。

「ね、ねぇ……」

「あー、食べさせてほしいの?」

「ち、ちがっ……わなくて、……うん」

 すると、胡依先輩はにこにこ顔で萩花先輩の口へお菓子を運んだ後に、飼い猫をかわいがるように頭を撫で始めた。
 どういう因果か、ワンチャン計画が計らずも達成された瞬間だった。

 数分間撫でていると、萩花先輩はだんだんと脱力していき、なぜかぶるぶると身を震わせたりもしていたのだが、
 そのうち恥ずかしくなったのか何なのか、耳の先まで真っ赤にして荷物を抱えて部室から出ていった。

「なにあれ、どうしたの?」ときょとんとした顔で俺に訊ねる胡依先輩に、
「……さあ?」とこっちが訊きたいという意味を込めて返答した。

 ちょろい。ちょろすぎる。……いろいろと不憫だけど。
 てか胡依先輩絶対分かっててやっただろ。悪どい。

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:07:08.82 ID:rPbMqZ0L0

 気付けば甘い空気は消えていた。砂糖菓子の匂いは残っていたけれど、空気という面で考えれば、そこで何かしらの行動を東雲さんが取れば甘さは持続したのに。残念。
 彼女は先輩二人のことなんて気にも留めずに、イヤフォンをかけて音楽を聴いていた。

 まあそれもそうか、とまた自分の作業に戻ろうとしたが、今度は反対側からのノックの音で遮られた。

 はーい、と胡依先輩が扉の先へ返事をすると、今はソファの小辺にお行儀よく座っているであろうもう一人の女の子が顔を出した。

「こんにちは」

 中央にいる先輩に向かって挨拶をしてから、入り口に程近い俺に会釈。

「もー、奈雨ちゃん。そんなにかしこまらなくても、ただいまくらいの感じでいいんだよ」

 と言い迎える先輩に、

「わかりました。次からはそうします」

 と割合明るめの表情で頷き、そのまま空いている場所に移動し腰を下ろす。

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:07:44.07 ID:rPbMqZ0L0

 場の空気に溶け込んではいるから、まったくもって慣れていないわけではないんだろうけど、
 ここにいるのはみんな年上だし、一人を除いて黙々と作業をしているから、声をかけづらいことは間違いない。

 俺もここに来てからは寝る前と朝起きてからの挨拶くらいで、ほとんど会話らしい会話を交わせていない。

 今は何をしているんだろう、と向き直ると、彼女もまた文庫本を片手にこちらを見ていた。

 目線でどうしたのかと訊ねると、奈雨は「お」と口を開けて手をひらひら振る。
 それからきょろきょろ辺りを見回して、すーっと部室の扉を指差す。
 どうやら外に出たいらしい。

「どっか行くか?」

「うん。ちょっとお腹すいた」

「ファミレス?」

「えっと、軽くでいいかな」

「じゃあコンビニでいいか」

「ん、わかった」

 短いやり取り。それでも周りが静かだったから目を引く。
 じとっとした目。生温かい目。戸惑ったような目。なぜか気まずい。

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:08:26.07 ID:rPbMqZ0L0

「お金渡すから私の分もよろしく」と胡依先輩が手をあげて言えば、
「私のも、ちょっと手が離せないからお願いできるかな」と東雲さんがそれに続く。

 二人がそうなら、みんなの分を買ってくるのが正解かと頭の向きを変える。
 その視線の先、ソラはニヒルな笑みを浮かべたかと思えば、大きめの手提げ紙袋をガサゴソといじりだした。

「鍋したい」

 そう言って取り出したのは黒い土鍋。
 ご丁寧に、菜箸やらおたまやらも後から出てきた。

「お泊まりといえば鍋だろ」

「そうか?」

 訊き返すと彼はあからさまにむっとする。
 女子達を見やると、東雲さんは頷きを返すのみだったものの、胡依先輩は目をキラキラさせていた。奈雨は言わずもがな、どっちでもいいよ、という顔。

「そんで、材料買ってこいと?」

「おう」

「まあいいけど」

 コンビニの食材では心許ないから、スーパーまで行くのが賢明か。

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:08:59.52 ID:rPbMqZ0L0

「おまえは?」

 五人分ともなると、結構な荷物になるだろう。
 それほど距離はないから二人でも問題ないが、部員以外の(関係ないかもしれないけれど)奈雨に重いものを持たせるのはあまり気が進まない。
 つーかソラは優しい先輩が帰ってからずっとノーパソでネットサーフィンをしているし、作業もほぼ終わりに差し掛かっているだろうから、暇を持て余しているに違いないんだよなあ……。

 などと、抗議の意味も込めての問いかけに、けれど彼はちらりと横へ視線を移してから、大仰な身振りで両の親指を突き立てる。

「どうぞお気になさらず、お二人で仲良くおてて繋いで行ってきなさいな」

「あっはい」

 余計な気を回されてしまっているらしい。反射的に頷いてしまった。
 どうせ面倒なのも理由のうちなんだろと考えつつも、「俺ぐらいになると行間を読むなんて容易いことだよなー」と彼が会心とでも言うべき誇り顔をしたがために、強いて頼むことも馬鹿らしくなった。

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:09:46.34 ID:rPbMqZ0L0

 奈雨は既に上着を羽織っていて、もう外へ行く準備は万端らしい。
 続いて立ち上がったところで、目の前に何かが差し出された。

「これでよろしく!」

「なんすかこれ」

「なにって、ゆきち」

 受け取る。普通に一万円札。

「またの名を、まんさつ」

「いや、わかりますけど……えっ、これで買ってこいってことですか?」

 先輩は、自分を指差し、俺を指差し、

「私、部長。君たち、後輩。パーティー、奢る。おーけい?」

 まじすか! とソラが手を合わせて頭を下げ、東雲さんは何かに納得したように顎に手をやってふむと頷く。
 そういえば、先輩は前にちょっとした小金持ちだと自称していた。まあ、そうでなくたってわざわざ固辞する理由もない。

「あんまり寄り道しちゃダメだよ」

「そうだぞー未来。まっすぐ行ってまっすぐ帰ってこいよ」

 何を言いたいんだか。放浪癖がありそうなのは言ってる二人だろうに……。

 空笑いで受け流して、ありがたく一万円札を頂戴してから、部室の外に出た。

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:10:16.58 ID:rPbMqZ0L0

【食紛争】

 鍋たって材料は決まっているようなものだしさっさと済ませよう、と考えてはいたのだが、スーパーを出て時刻を確認すると二十時をとっくに過ぎてしまっていた。

 まあ、俺と奈雨は何も悪くない。まっすぐここまで来てまっすぐ帰ろうとしている。
 悪いのは忠告をしてきたはずの二人。

 ここに到着したまではよかったんだ。
 一般家庭の買い物のピークはとうに過ぎている店内で、ほどほどに安くなった野菜と肉を適当に見繕っていたところで、スマホが振動した。

『大きい飲み物何本かよろしく』

 と、胡依先輩がイラスト部のグループラインに。

 ほとんど買いたいものはカゴに入れていたから、ナイスタイミング、とかそういうことを考えた。ちょうど連絡を入れようと思っていたんだ。
 スープを何にするか、つまり何鍋にするかについて意見を仰ぎたかった。

『わかりました。そんで、何味にしますか?』

 これが間違いだった。俺と奈雨の会話の中では、オーソドックスに水炊きが食べたいなという話になっていた。
 だからわざわざ訊かずして、何食わぬ顔で買って帰るべきだった。

『トマトチーズ鍋』とソラ。
『もつ鍋』と胡依先輩。
『何でもいいです。』と東雲さん。

 意見が割れた。東雲さんはどうでもよさそう。そんな感じがする。

『それかキムチ鍋』と追撃。
『豆乳も捨てがたい』とこちらも。

 数分の沈黙の後、

『いま、少し揉めてる。』と。

 これが紛争……食の好みの違いを舐めていた。
 それから四十分近く、俺たち二人は待ちぼうけを食わされてしまった。

 幼稚園児のじゃれあいみたいだったと、東雲さんが後から教えてくれた。

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:12:08.50 ID:rPbMqZ0L0

【確認】

 行き道はそうではなかったが、帰り道では荷物を持っていない方の手を繋ぐことにした。

 部室を出てからずっとそうしてほしそうな顔をしていたことや、先に指を触れさせてきたのは奈雨からだったこともあったけれど、手を取ったのは俺からだった。

 広い歩道を並んで歩く。この時間帯になると、行き交う人の中に学生らしき姿は窺えない。

 月明かりに照らされた彼女の頬は僅かに上気していて、目を合わすとぱあっと笑顔を向けられる。

 正直に言えば、ソラのお節介──気遣いはありがたいものだった。
 もっと言えば、彼と胡依先輩の返信を待っていた時間も、全てが無駄というわけではなかった。

 というのも、二人で他愛のないことを話す時間を取れて、よそよそしくも感じられた距離感を平常のものにまで戻せたから。

 ただ、あのときのことを思い返すと、部屋で二人きりになる以前の佑希との諍いについてもセットで考えてしまう。

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:13:07.26 ID:rPbMqZ0L0

 佑希に対して何らかのアクションを起こすのなら、奈雨にもそれを告げるのが筋だろうと思う。
 けれど、どう言ったものかな、とも思う。

 部室に寝泊まりすることについて、奈雨本人が「いいよ」と了承してはくれたが、さすがにこれ以上続けるわけにもいかない。
 ちゃんとした布団で寝ないと疲れは取れないし、文化祭の練習が毎日あるのならなおのことだ。

 わざわざこっちにまで文化祭のために来たのに、本番も迫っている今に体調を崩されたのでは、どうにも申し訳が立たない。

 大通りを抜け、赤信号で立ち止まる。
 彼女が口を閉じたタイミングで、話を切り出す。

「あのさ」

「うん」

 彼女は頷く。緊張している雰囲気が感じられる。

 そして自分の声音も彼女と同じものだと気付き、
 なんとなく、そういう重苦しい雰囲気にはしたくなくて、

「そろそろお風呂に入りたくなったりしないか」

 発した言葉に、奈雨はじっと俺を見つめ、あははと目を逸らしながら苦笑した。

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:13:54.25 ID:rPbMqZ0L0

「わたしはシャワーでもいいよって言ったら?」

 その返しは予想していたものとは違ったけれど、どうやら言いたい内容は伝わっているらしい。
 信号が変わりそれほど長くもない横断歩道を渡りきってから、続きを話す。

「俺は入りたくなってきた」

「なら銭湯にでも行けばいいじゃん」

「一緒に行く?」

「誘いは嬉しいけど、また今度ね」

 あしらわれた。わかっててこう言うのだから、まどろっこしいのは抜きにして簡潔に言ってほしいということだろうか。

「家に戻ろう」

 今度は単純に言う。

「どうして?」

「……駄目か?」

 ううん、と彼女は首を振る。

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:14:57.90 ID:rPbMqZ0L0

「理由が知りたいの。お兄ちゃんが戻りたいならわたしもついていくけど、それだけは教えてほしい」

「奈雨の体調が心配だから」

「……本当に?」

「本当に」

 足を止めて、俺の顔を覗き見る。

「……でも、わたしだけじゃないよね」

 いつも通りにころころ表情が変わる。今はなんとなく切羽詰まった表情だ。

「お兄ちゃんは、佑希のことも心配なんでしょ?」

「……どうだろうな」

「……別に誤魔化さなくてもいいよ。お兄ちゃんは昔からそうだし、わたしもそれくらいわかってるから」

「『そう』って?」

「なんだかんだ言って、いっつも佑希のことを気にかけてる」

 小さくため息をついた。そう言われると否定はできないけれど、ずっと考えていた通り、型にはまったお兄ちゃんをしているだけであって、気にかけるとは違う。

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:15:41.59 ID:rPbMqZ0L0

「奈雨は、佑希のこと嫌いか?」

 ついついそんなことを訊ねてしまう。
 奈雨は「またその質問か」とでも言いたげに首を左右に振る。

「お兄ちゃんは?」

「……いつも迷惑掛けられるし、何かとめんどくさいやつだけど、好きじゃないって言ったら嘘になる」

 だってそういうものだろ、兄妹なんて。
 悪感情しか持っていないんだったら、最初から会話すらしようとも思わない。
 どこかで好きな気持ちがあるから、いろいろと困らせられるときも、まあ仕方ないかで済ませられる。

 十分納得できる理由だし、これなら彼女もわかってくれるだろうと思ったのだが、

「え、まって」

 と戸惑うように言って、ぎゅっと手に込める力を強くした。

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:16:32.84 ID:rPbMqZ0L0

「好きなの?」

「……逆に嫌いってある?」

「いや、ないとは思うけど。え、いや……好きってどの好き?」

「普通の」

「普通ってなに」

「え?」

「わたしへの好きと同じ?」

 どうにも話が噛み合っていない。
 ていうか、めちゃくちゃ聞き捨てならないことを言われている気がするのだが。

 明らかに奈雨への好きとは違うし、そうと言えるけど、果たして本人に言っていいものなのか。

「……わたし、図々しいこと言ってる?」

「言ってる」

 だって、もし仮に「違う」と答えたら、それはもう告白しているのと同じじゃないか。

「あいつへの好きは、家族愛とか、兄妹愛とか、そういうものだよ」

「……」

「いや、他にないだろ?」

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:17:22.40 ID:rPbMqZ0L0

 同意を求めたのに、彼女は押し黙った。
 そして何か後ろめたいことでもあるのか、視線をあちこちにさまよわせる。
 どうしてなのかは皆目検討がつかない。

 それ以外の好きとなると、佑希に奈雨と同じく恋愛感情を持っていることになる。
 ……ないだろ。いや、普通に。同い年とはいえ実の妹を好きになるわけがない。

「そうだよね」

 そう頷き顔を上げた彼女は、一転にこやかな笑みを作る。
 少し考えてさすがにそれはないだろうと思い至ったのかもしれない。

 軽く手を引いて、歩こうと促す。
 すると彼女は引かれた手に力を込めるようにくるっとターンをして、俺の前に出た。

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:18:13.99 ID:rPbMqZ0L0

「どういう話をするの」

「佑希と?」

「うん」

「確認したいことを確認して、佑希の話を聞いて、あとは場の流れでかな」

「わたしもいた方がいい?」

「それは……」

「わかってる。ちゃんと待ってるから」

 くすっと微笑んで、彼女は歩き始める。
 すぐに信号に差し掛かるも、つかまることなく渡れた。

「けっこう、単純なことだと思うよ」

 半歩前を進む彼女の表情は見えない。足を早めて真隣まで追いついてから、訊ね返す。

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/17(土) 18:19:01.60 ID:rPbMqZ0L0

「単純?」

「うん。……いや、ごめん。そんなに単純じゃないかも」

「どっちだよ」

「でも、えっと、ややこしかったり入り組んでたり、いろいろ複雑な部分はあるかもだけど、話の根幹はシンプルなことだと思うってこと」

 奈雨の言ってることは、やっぱりよくわからない。
 もしかしたら俺よりも佑希のことをわかっていたりなんてことも。……なんとなく、そんな気がする。見ている気になっていた分のツケだ。

「あんまり気負いすぎるなってこと?」

「それでもいいよ」

「違うのか」

「……ううん、合ってるよ」

 それから特に会話もなく、部室へと戻った。
 騒がしい二人は「遅い!」とぶー垂れてきたものの、「誰のせいで」と言うとすぐに口を閉ざした。

 準備をしつつスマホを取り出して、佑希に、

『ちょっと話がある。いまどうしてる?』

 と送信する。
 数分して既読がついたものの、返信が来る気配はなかった。

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 18:19:08.47 ID:AGX4ixKk0
>>1は作家を目指しているの?
32 : ◆9Vso2A/y6Q [saga]:2018/02/17(土) 18:19:46.40 ID:rPbMqZ0L0
今回の投下は以上です。
あと四、五回の投下で終えたい。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:48:41.04 ID:S3A85NqDo
おつ
やっぱり奈雨ちゃんかわいい
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 22:03:46.46 ID:T7R3la9DO
タイトルで岩間かと
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/23(金) 23:19:40.74 ID:JiYpHUFw0
続き楽しみに待ってます。部長も奈雨もかわいい(小並感)
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 02:43:39.12 ID:XJms5aKo0

【答え】

 部室を出て廊下を歩きながら、小さくため息をついた。
 ひとけのないひんやりとした空気が、今の自分には妙に心地がいい。
 
 ここ数日いろいろ考えて、最後に下した結論は『考えても仕方がない』だった。

 俺がどう思索したところで、その真偽は佑希本人に訊いてみない限り分かりっこない。
 話をしなければ、踏み込む覚悟を決めなければ、進むも退くも何も決まらない。

 ただ、ある程度の推測、ないし目星はつけていた。
 これまでの俺は、彼女のことを自分にとって都合の良いフィルター越しに見ていて、それ以外の選択肢に目を向けようとしてこなかった。
 母さんのことはあくまでも要素でしかなく、間違った選択をし続けてきたのは俺自身だというのを、頑なに認めてこなかった。

 そして、だからこそ見落としていた。
 思い返してみると、彼女の言動は違和感だらけだった。矛盾だらけだった。

 最初から間違えていたのだと、それだけは確信できてしまう。

 そこまで頭に浮かべて、もう一度息を吐き思考をリセットさせる。これ以上は考えるだけ毒にしかならない。前提から覆さなければいけないのに、これまでのやり方で考えていたって無駄なことだ。

37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 02:44:56.88 ID:XJms5aKo0

 階段を降り、渡り廊下から校門へと抜ける。家の前まで至って、明かりが灯っているか確認する。……点いていない。
 見上げた先──二階にもカーテンの隙間から漏れる光は確認できない。

 家の中に入る。リビングの電気を点けようとスイッチに手をかけると、静かな室内にすうすうと寝息のような音が響いていることに気付く。
 佑希はテーブルに上半身うつ伏せになって寝ていた。風呂上がりらしい薄着で、手にはぎゅっとスマホが握られている。

 少し悪いと思いつつも、明かりを点けてから彼女の身体を揺する。
 数秒して、とろんとした目をごしごし擦りながら、視線をこちらに上向ける。

「あ、おにい。おかえ──」

 言い終える前に、はっとした表情で口元に手をやり目を伏せる。
 立ち上がる素振りは見て取れないけれど、このままいてはすぐに逃げられてしまいそうだ。

「ただいま」

 できるだけ優しい声音で言うと、佑希はびくっと肩を跳ねさせる。

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 02:45:40.60 ID:XJms5aKo0

「なんか飲むか、身体冷えてるだろ」

 確認をとらずにキッチンに移動して、電気ポットに水を入れる。
 洗い物が外に出されていないから、今日は料理をしていないか、もしくは何も食べていないのだろう。ミルクティーの粉末袋を捨てる際に開けたゴミ箱の中には、やはり何一つとして物が入っていなかった。

 俯いたままの佑希を横目に、数分で沸いたお湯をマグカップに注ぐ。
 琺瑯のティースプーンでかき混ぜ、表面の泡立ちが収まるのを待って、佑希の前に置いた。

「いらない?」

「……ううん。いる」

 対面の椅子に腰を下ろす。何度か息を吹きかけて冷ましてから自分のカップに口をつける。
 背中側の棚に掛けっぱなしになっていたひざ掛けを手渡すと、彼女は納得しかねるといった顔で、「どうして」と零した。

「……怒ってないの?」

「何を?」

「この前の、……あたしが、奈雨にしたこと」

 目からは、少しの怯えが窺える。
 なんとなく、というよりいつものことだから、こうなるだろうとは考えていた。

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 02:47:02.59 ID:XJms5aKo0

「そんなには」と答える。思った通りに、彼女はほっと胸をなでおろす。

 あの行為にあまり怒っていなかったのは本当で──それ以前の奈雨への態度には思うところがあったけれど──佑希自身が内省すべきことで俺が咎めることではない。

 けれど、今日ばかりはここで終わらせてはいけない。
 悪い意味でのいつも通りを終わらせるためには、ここで明確に"否定"しなければならない。

 ようやくカップに口をつけた彼女の表情は、ことさら明るく目に映る。
 優しい言葉を掛けると、決まってそういう表情をされる。それで、俺は続く言葉を言いくるめられてしまう。

 だから、「でもな」と呑み込まれないうちに否定に入る。

「怒ってないわけじゃない」

「……」

「何か気に障ることをされても、手を出していい理由にはならない。
 奈雨の対応も棘があったとは思うけど、別にそこまでおまえを怒らせるものではなかった」

 彼女の思考なんて全くわからない。
 ……わからないから、彼女の側に立って予想する。それでは、また間違ってしまう。

40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 02:47:51.58 ID:XJms5aKo0

「見てて嫌だからやめてほしいって思うなら、おまえが伝わらないと思う相手じゃなく、最初から俺に直接言えばいい」

 手を繋いだ状態でリビングに入ってきたことだけに腹を立てたとは考えられない。とすると、あれ以前から佑希は奈雨に苛立っていた。
 つまり奈雨に怒りをぶつけられれば、きっかけは何でもよかったに違いない。

「奈雨には、ちゃんと謝るべきだと思う」

 言い終えて、佑希を見ると、彼女は俺から目を逸らして浅く唇を噛む。
 思いつく限りの主観を並べた。佑希の気持ちを考えずに、俺は自分の思っていることをそのまま発した。

 それに驚いたのだろう、と思う。その証拠に、奈雨に連れられて部屋から出ていこうとしたときとまるっきり同じ顔をしている。

「……あたしより、あの子のことが大事だからそう思うの?」

「そうじゃない」

「じゃあどうしてよ。……あたしがいらないから? 二人にとって邪魔だから?」

「それも違う」

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