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バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」
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825 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:33:27.49 ID:aYEhFwXa0
モードレッド「見えたぜ。出口だ」
ジキル「少し、どこかの家屋で休みを入れたい。ブルースの回復薬も作ってやらないと」
バットマン「そうだな……地上に出たら、一旦降ろしてくれ。慎重に行動しなければ」
モードレッド「なんにせよ、植物園には行かねえと駄目なんだ。準備は整えねえとな……おう、階段のぼるから揺れるぞ」
バットマン「それは、あまりにも今更な警告だと思われる……」
モードレッド「何だと!?」
ジキル「ちょ、ちょっと声を抑えめにだな……」
看板『Sta.BAKER STREET』
ゴゥッ。ゴゴゴゴゴゥッ、パチパチ……
826 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/06/14(木) 23:34:35.67 ID:aYEhFwXa0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました
827 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2018/06/15(金) 05:54:41.70 ID:XHKnHsnO0
乙
828 :
◆GmHi5G5d.E
:2018/06/15(金) 08:21:08.29 ID:RHsC5WIP0
すみません、808ですが
バットマン(こちらの残存勢力、マシュ、アンデルセン、ジキル)
↓
バットマン(こちらの残存勢力、マシュ、アンデルセン、ナーサリー、ジキル)
に脳内補完を願います。
829 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/06/15(金) 08:22:06.14 ID:RHsC5WIP0
あげちまったすみません!!
830 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/15(金) 08:27:42.14 ID:QkU85nMPO
乙
831 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/15(金) 16:02:50.26 ID:Li9ZkSZA0
乙乙
お姫様抱っこはさすがに草
832 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/16(土) 09:34:40.67 ID:+rPrAdFUo
乙
いや素晴らしい
833 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/06/16(土) 10:35:00.21 ID:73gPIxdO0
乙、相変わらず面白い
834 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/07/05(木) 11:42:34.39 ID:kOVjGS6K0
すみません、疲労を言い訳にはしたくないんですが結構描写の抜けがあります……
図書館での対ジャック戦で突如バッツが本棚を倒す指示を出していますが、これは「一定の方向の遮蔽物を破壊し、ジャックの隠れる場所をある程度予測可能にする」といった戦略も当初書く予定でした。ちょっと描写のし直しを試みます。
835 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/07/05(木) 11:49:27.63 ID:kOVjGS6K0
726の書き直しです。
………………
ジャック(……あっちにわたしたちは居ないのに、本棚を倒してる……足音も聞こえなくなってこっちには好都合だけど)
ズグググググググググ……ドッシャァァァァァァン……
ジャック(自暴自棄、なのかな。ヤケになっちゃったんだね、かわいそう……すぐに片付けてあげなきゃ)タタ、タタタタ……
バットマン(当然そう考えるだろう。だが派手な動きに気を取られ、私を見失うようでは甘い)プシューッ、プシュー……カチャカチャ、ピンッ
バットマン(隠れる場所も制限される。つまり、この後ヤツが来るのは……)カチャリ……
836 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/07/05(木) 11:50:46.55 ID:kOVjGS6K0
以上とさせていただきます。後からの手直しを何度も見せてしまいお恥ずかしい。続きも今書かせていただいています。
837 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/06(金) 14:42:23.74 ID:EQ/FY16A0
いいのよ……面白いもの読ませてもらってるのだからネ……
本編続きも期待して待ってる!
838 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/06(金) 14:59:14.52 ID:ky6iyHeWo
探偵と策略はバットマンらしくて凄い格好いい
すき
839 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:13:37.89 ID:2zVNU7dP0
………………
ホムンクルスA「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスB「……」ブォンッ
モードレッド「クソ!! ロボットの親玉を片付けたと思ったら今度はこれかよ!!」ガギィ‼
ジキル「物量が……!!」シュバッ
モードレッド「チクショウ、おいブルース! 一網打尽にする作戦考えろ!!」
バットマン「何処かで屋内へ退避するぞ、無用な戦闘だ」
モードレッド「ああ!? 腰抜けか!!」
バットマン「大声を出すな、もっと呼び寄せるぞ。後退開始」
840 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:14:27.57 ID:2zVNU7dP0
ジキル「ええいっ」ババッ
ジキル(駄目だ、いつものような力が出せない……!)
バットマン(……?)
バットマン「博士。後退するぞ、怪我は無いか」
ジキル「あ、ああ。大丈夫だよ」
バットマン「……行くぞ」
841 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:14:56.28 ID:2zVNU7dP0
ジキル(生物を切ったら……)
ジキル(『殺す』という行為を認識してしまったら……)
ハイド(だよなぁ、気持ちイイもんなあ?)
ジキル(違う……)
ハイド(おっと、俺を否定するのか? 暴力の快感を?)
ジキル(僕はジキルだ。しっかりしろ)
ハイド(そうとも。俺はお前だ)
ジキル(違う!)
ハイド(本当に思ってるのか? 俺とお前は違うなんて)
ジキル「黙れ!! ……あっ」
モードレッド「……?」
バットマン「博士?」
842 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:15:27.54 ID:2zVNU7dP0
ジキル「い、いや……なんでも、ないんだ」
バットマン「……恐怖ガスの影響か。手早く建物を見つけて休もう」
モードレッド「なんだよ、早く言えよ」
ジキル「……そうだな。ごめん」
モードレッド「ったく、これだから……」
バットマン「謝る事ではない」
モードレッド「オレの台詞を遮るんじゃねー!!」
843 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:16:07.11 ID:2zVNU7dP0
バットマン(しかし、手ごろな建物が少ない……)
バットマン「……駄目だ、こちらの建物も返答はない」ドンドン
モードレッド「なー、いつまでやるんだ……」ドンドンドンドン
バットマン「住人がこたえるまでだ」ドンドン
バットマン(……しかし、非常時なのは住人も同じか。こんな時に、誰かを助けようなどという考えの方が貴重……)ドンドン
ガチャリ
ドア「」ギィィィィィ……
バットマン「……何?」
バットマン(ひとりでに開いた?)
844 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:16:38.00 ID:2zVNU7dP0
モードレッド「おっ、開いたな。じゃあ入ろうぜ」
バットマン「待て、罠かもしれない。ドクター、聞こえるか。内部のスキャンを……」
ドクター『もう済ませてあるよ。罠の類は見受けられない』
バットマン「成程……モードレッド、内部の物音は」
モードレッド「んー、あー……何も聞こえねえ。誰も居ねえと思うぜ」
バットマン「入るぞ。ジキル博士、私とモードレッドの間に」
ジキル「了解」
モードレッド「うし、行くぞ」ガチャッ
ドア「」バタンッ
表札『221B』
845 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:17:03.56 ID:2zVNU7dP0
………………
スタ……スタ……
バットマン(……本当に誰一人居ない。とても静かだ)
ギシィッ‼
ジキル「うっ!?」ビクッ
モードレッド「あ、わりぃ。気ィ付けろよ、階段のここ軋むぜ」ギシ
バットマン「……」
バットマン(家の何処かで誰かが身じろぎする気配すらない。本当に無人のようだ……)
846 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:17:30.34 ID:2zVNU7dP0
ジキル「……良かった、二階には十分なスペースがあるね。よし、回復薬と緩和剤の調合を開始する」
バットマン「頼んだ。こちらはマシュ達との連絡を試みる」
モードレッド「なんでも良いけど早くしろよ」
バットマン「お前は引き続き警戒を頼む」
モードレッド「はいはい……」
847 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:18:03.90 ID:2zVNU7dP0
ジキル「……」チョポポポポ……キリン、カチャカチャ
ジキル(恐怖ガス……僕の不調は本当にそれだけだろうか。もっと根本的な何かに根ざしていないだろうか)プル……
ジキル(僕は何を怖がっているんだ。本当に恐ろしいのは一体何なんだ)
ジキル(ハイド? 殺人? それとも……)
ジキル「……」グググ……
ジキル(……人を、殺せない事か?)
848 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:18:42.20 ID:2zVNU7dP0
バットマン「もしもし、マシュ。聞こえるか」ピッピッ
マシュ『あっ、マスター! ご無事でしたか!』
アンデルセン『いちいち声がデカいぞ盾女!!』
ナーサリー『あなたの方が大きな声よ、アンデルセン!!!』
フラン『ウゥ、ウ……』
ジャック『みんな五月蠅い、おかあさんの声が聞こえないよ』
バットマン「……全員無事なのは分かった。今どの辺りだ」
849 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:19:09.59 ID:2zVNU7dP0
マシュ『あと数ブロック進めば植物園に到着します。先程から敵の様相が変わって……ホムンクルスが多く襲ってきています』
バットマン「そうか。こちらも同じような状況だった、今は家屋に間借りして回復薬と緩和剤の作成中だ。良いか、少しでも無理だと感じたなら即座に逃走するんだ」
マシュ『はい、了解しました! ……え? アンデルセンさん? 代わりたいんですか?』
バットマン「……?」
マシュ『え、えーっと……マスター。アンデルセンさんが少し話したいそうです』
バットマン「分かった。代わってくれ」
850 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:19:58.55 ID:2zVNU7dP0
アンデルセン『もしもし、ブルースか。聞こえるか』
バットマン「もしもし、アンデルセン。何かあったか」
アンデルセン『気付いているとは思うが、戦力不足だ。分断された今、こちらの面子では火力不足に陥りやすい』
バットマン「……」
アンデルセン『加えて、バベッジの待ち伏せだ。奴らは植物園を守る気で居たらしい。あの機械紳士が敗れた今、更なる戦力を追加してくるだろう。このホムンクルス達はその前兆だ』
バットマン「……ああ、気付いている。だが進んでくれ。お前がブレインの役割を果たせば、不足の無い集団にはなれる」
アンデルセン『……お前、機械のようだと言われた事は?』
バットマン「回復すればすぐに追いつく、植物園で会おう。通信を切るぞ」
アンデルセン『ああ待て。ジャックが声を聴きたいと……』
バットマン「会ってから話すと伝えてくれ」ピッピッ
851 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:20:24.49 ID:2zVNU7dP0
バットマン「ジキル博士、回復薬と緩和剤は……」
ジキル「……」
バットマン「……ジキル博士?」
ジキル「……え? あ、ブルース。大丈夫、回復薬は出来上がったよ。服用してくれ。緩和剤はもう少しかかる」スッ
バットマン「ああ……博士、疲れているのなら」
ジキル「いいや、大丈夫。……大丈夫だ」
852 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:20:51.55 ID:2zVNU7dP0
モードレッド「らしくねーな、調合中に上の空なんてよ。なんかあったのか?」
ジキル「い、いや。何も」
モードレッド「ホントかぁ?」
ジキル「な、なんでもないって……」
バットマン「調合が終わってからにしてやれ、モードレッ……」
ギシィ‼
ジキル「!!」
バットマン「……」チラッ
モードレッド「……」コクッ
853 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:21:21.32 ID:2zVNU7dP0
バットマン(階段が軋んだ。誰かが上がってきている)
バットマン「……」スッ
モードレッド「……」カチャリ
バットマン「……」
バットマン(回復薬を服用し、もしもの時に備える……)ゴク、ゴクリ……
ガサガサ、ゴソゴソ……
「フォウ、フォーウ!」
???「こら、暴れるな。全く、街中に面倒の種がたくさん転がってる……」
「フォウ、キュ、フォーウ!!」
???「……おや、参ったな。扉が開きっぱなしじゃないか、誰がこんな……な、だ、誰だ!?」
バットマン「……?」
バットマン(……一般人? ……それに、)
バットマン「フォウ?」
フォウ「フォウ、フォーウ!」タタッ
854 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:21:52.73 ID:2zVNU7dP0
バットマン「失礼した、ミスター。我々は決して怪しいものではない……こちらへ来い、フォウ」
フォウ「……」テシテシ
???「怪しいものではない? よく言えたな、キミ、その恰好で!」
バットマン「……」
モードレッド「ははは、言われてやがる。ザマァねえでやんの」
ジキル「申し訳ありません、お邪魔でしたらすぐに失礼させていただきます」
???「いや……いや、まず君達は何者だ? どうやら、その獣とも知り合いのようだし」
フォウ「フォウ?」パタパタ
ジキル「……」
モードレッド「……」
バットマン「……」
855 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:22:21.77 ID:2zVNU7dP0
???「いいか、こっちはこのふざけた霧の原因を調べるためにずっと駆けずり回ってたんだ。そこへこんな怪しい集団が現れたら、逃がさないのが普通だ」
バットマン「……ミスター、虚勢を張るものではない」
???「そうかな? 僕は元軍人だ。銃の扱いだって、慣れてるさ」カチャリ
バットマン「……」
バットマン(……少しでも情報が必要か)
バットマン「……分かった、話そう」
ジキル「ブルース」
バットマン「勝手に間借りしていたのはこちらだ。それに、彼は当事者だ……知る権利がある」
???「賢明だ。どうぞ話して」
856 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:23:00.98 ID:2zVNU7dP0
………………
???「れ、レイシフトに……えー、特異点、それに……なんだ、カルデア?」
バットマン「そうだ。信じたか?」
???「……参ったな。僕の同僚が似たような事を言ってた……『今日は未来の分岐点だ』と。口からの出任せなら良かったが、そうは見えないし」
バットマン「では、こちらから出せる情報は以上だ。私はブルース。こっちがモードレッド、ジキル」
モードレッド「おう、このモードレッドに武器を向けるたぁいい度胸……」
ジキル「ヘンリー・ジキルです。よろしく」
モードレッド「まだオレが!! 喋ってるっつーの!!」
???「ああ、こっちこそ失礼。僕はジョン・ワトソン、軍医をやってて……なんというか、今は事件をまとめてるところかな。ああ、本業は医者だ」
バットマン「ジョン……ジョン・ワトソン? シャーロック・ホームズの、あのワトソン医師か?」
857 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:23:37.12 ID:2zVNU7dP0
ワトソン「ああ、そうだ。キミも僕の小説のファンかい?」
バットマン「……」
バットマン(ジョン・ワトソン。コナン・ドイルの推理小説、『シャーロック・ホームズ』の語り手となる人物だ……確かに、物語の中では彼が全ての記録をつけていた設定になっていたが)
ワトソン「なら、前回の事件簿も読んでくれただろうね? 霧の中で、殺人鬼との追いかけっこ! なんと犯人は小さな子供だった……スリル満点、こんな事件の只中じゃなければ大うけだったハズさ」
バットマン(ジャックの事か……彼女が味方だとは言わない方が良さそうだ)
ワトソン「私はこれでも見たものを記録する能力に長けていてね、スコットランドヤードにもスケッチを送って大変貢献した……ええと、ここにも残っているハズだからキミ達の警戒のためにも一枚……」
バットマン「いや、良い。それよりもドクター、彼は……『シャーロック・ホームズ』は今、何処に居る?」
858 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:24:20.23 ID:2zVNU7dP0
ワトソン「なんだ、やっぱり君達も依頼人だったのか! 残念だが、今彼はここには居ない。ロンドン中の資料を集めたり、面倒の種を摘んだりで大忙しだ」
バットマン「資料を?」
ワトソン「ああ、いや、この霧の原因を調査するためにね。彼が言う事には、『この霧がひとつの事件で完結するハズがない。背後にもっと大きな陰謀があるハズだ』と。ははは、毎度常人には及ばぬ思考を働かせる男なんだ」
バットマン「……そうか」
モードレッド「ハッ、変人ってヤツか」
ワトソン「うむ、我が友ながら否定できないな。……ああいや、待て。そういえば、妙な連中に会ったらこれを渡せと言われていたな」ゴソゴソ……スッ
バットマン「……? これは?」パシッ
ワトソン「さあ。何やらびっしりと書かれているが、私には何のことやらサッパリだ。だけど、必ず渡せと」
859 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:24:47.92 ID:2zVNU7dP0
紙切れ『潜入して盗み聞いたところ、やはり彼は既に死んでいる。では奴はどのようにして十の指輪を操るのか?
アトラス院にて待つ S・H』
バットマン「……」
ジキル「潜入して、……なに?」
モードレッド「縦読みだ。知ってるぞ、そうなんだろ?」
バットマン(奴。彼。十の指輪)
バットマン「……成程、理解した。燃やして構わないな」
ワトソン「え? あ、ああ……構わないが、理解できたのか?」
バットマン「キミ達の持っていないピースを丁度私が持っていた。それだけだ」ボゥッ
860 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:25:39.28 ID:2zVNU7dP0
モードレッド「おい、どういう意味だ? これが分かったのか?」
バットマン「ああ、分かった。尤も、彼も分かっていて敢えて私に問うたのだろう」
ワトソン「あー、シャーロックが? つまり、どういう事なんだ?」
バットマン「……つまり、」
通信機『マスター! マスター、救援を……っぐ!?』ザザザッ
バットマン「……!!」
ジキル「今のは……!」
861 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:26:08.18 ID:2zVNU7dP0
バットマン「すまないミスターワトソン。邪魔をした。ジキル、恐怖ガス緩和剤の摂取は完了したか?」
ジキル「ああ。いつでもいける」
ワトソン「まっ、待て。どういう事だ、何が起きている?」
バットマン「……説明は、いずれ彼がするだろう。さらばだ」ダッ
モードレッド「邪魔したな!!」ダダッ
ジキル「失礼します」タッ
フォウ「フォウ、フォーウ!」ピョンピョーン
862 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:26:59.90 ID:2zVNU7dP0
シーン……
ワトソン「……」
ワトソン「……ええいっ、じっとしていられるか! どうしてどいつもこいつも蚊帳の外に置いておこうとするんだ!」
ワトソン「えぇーと、銃、ステッキ……トップハット、良し!」
ワトソン「待っていろよ、私だってシャーロックに及ばないまでも、真実に対する探求心はあるとも! ハドソンさん、出かけます!」ドタドタ
シーン……
ワトソン「……ああ、居ないんだった。ええいもう!」ガチャリッ
ドア「」バタン‼
863 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:27:38.02 ID:2zVNU7dP0
…………十数分前……
マシュ「ふう、ホムンクルス達は予想外でしたが……思ったより楽に突破できましたね。そして、アレが」
アンデルセン「ああ、アレが植物園だ。おい、へっぽこドクター」
ドクター『……あれ、もしかしてそれって僕の事? だとしたらショックなんだけど!?』
アンデルセン「お前以外に居るか。植物園の内部をスキャンできるんだろう、やってくれ」
ドクター『ぐぅ……分かったよ、やるよ……はいはい、内部に魔力反応はなし。探してる植物は奥の方にあるみたいだ』
アンデルセン「成程な。良いだろう、マシュ、フラン、俺の前に立て。ジャックとナーサリーは俺の後ろだ。行くぞ」
864 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:28:06.01 ID:2zVNU7dP0
………………
マシュ「……」コツ、コツ
マシュ(この建物、曲がり角が多い。障害物が多すぎて、敵に隠れる場所を与えてしまう)
マシュ(……それに、嫌な予感がする。何か、凄く嫌な予感が……)
アンデルセン「おい、マシュ! こっちだ、目当ての植物を見つけたぞ!」
マシュ「あ、はい! 今行きます!」
マシュ(考えすぎ……なのかな)
865 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:28:41.99 ID:2zVNU7dP0
ジャック「……うーん、これ? あんまりきれいなお花じゃないね」
ナーサリー「そんな事はないわ、どんなお花も綺麗になれるの」
アンデルセン「全く……! 無駄口を叩かず少しでも採集に精を出せ!」ブチブチ
フラン「うるさい……」ブチブチ
マシュ「……」ブチブチ
マシュ(……何かがおかしい。何か……恐怖ガスを受けてから、思考が鋭敏になってる。たとえば)
マシュ(さっきから、どうしてスイレンの水面にさざなみが立っているんだろう)
866 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:29:38.38 ID:2zVNU7dP0
マシュ(水面の近くには……通気口だ。金網にはボルトが外された痕がある)
マシュ(ダクトは上に続いてる。何処に出るんだろう? さっきから感じるこの違和感は何?)
(((運などない。だが策略は存在する)))
マシュ(……マスターなら、どう考える? この違和感……偶然? それとも、)
ドクン
マシュ(外された金網。波立つ水面。罠ひとつない植物園。私達でも突破できたホムンクルス)
マシュ「皆下がって!!! 攻撃下です!!!」ババッ
アンデルセン「っ!!?」ババッ
フラン「!!」ザザァッ‼
ジャック「!」タンッ、トトッ
ナーサリー「きゃ!?」ヨロ、タタッ
ガッシャァァァァァァァァァァン‼
867 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:30:15.78 ID:2zVNU7dP0
霧「」ズォォォォォォォオ……
???「フフフハハハァ……少しは賢い者が居たようだ」
???2「慢心はなりませんよ、ジョナサン。彼らはバベッジを打倒した」
スケアクロウ「ンフフフフフフ……期待しておこうじゃないか、なあ、パラケルスス。彼らは恐怖に抗えるかな?」
アンデルセン(……B・P・M・Sの内の二人! スケアクロウ、パラケルスス!!)
アンデルセン「手に余る」
マシュ「マスター! マスター、救援を……っぐ!?」ガギィン‼
スケアクロウ「ヒャハハハハ……練られた動きだ、女ぁ!」ヒュンヒュンッ
マシュ「くぅっ……!?」ガガッ、ガギィィ‼
868 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:31:07.83 ID:2zVNU7dP0
マシュ(鎌。中距離の武器……近寄れない。私が苦手とする武器)ガィン‼ ガギィン‼
ジャック「たぁっ!!」タンッ
水「」ギュギュ、ズォッ‼
ジャック「!!」
ナーサリー「ジャック危ないっ!!!」バッ
ジャック「くっ……」ドドッ、ゴロゴロッ
パラケルスス「おや、躱しましたか。この一撃で一人は持って行くつもりでしたが、なかなか思うようにいきませんね」
ナーサリー「あなた……!」
パラケルスス「私はパラケルスス。元素を操る魔術師。どうぞお見知りおきを」
アンデルセン(……ブルース達はベイカーストリートへ出た。ここへ来るまでにかかる時間は……15分、20分。間に合わん、確実に俺達が殺されている)
869 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:31:49.07 ID:2zVNU7dP0
アンデルセン「戦いをやめ、交渉する気は?」
マシュ「あ、アンデルセンさん?」
フラン「ウゥ……?」
パラケルスス「……?」
スケアクロウ「耳を貸すな、パラケルスス!!」
パラケルスス「逸ってはなりません、ジョナサン。……交渉ですか?」
アンデルセン「俺達は、仲間の内で最も強い連中の情報を売る。そいつらはここには居ない」
マシュ「な……! 駄目です!!」
アンデルセン「黙っていろ! 今ならおまけで、俺の命もくれてやる。さあどうだ、のるか、そるか」
ナーサリー「駄目よ! 絶対にダメ!! 切り抜ける方法があるハズよ!」
アンデルセン「……」
870 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:32:21.60 ID:2zVNU7dP0
アンデルセン(いつもながら、子供の理想論だ。切り抜ける方法などない。マシュ、フランも薄々それに勘づいている。俺達は、勝てん)
アンデルセン(モードレッドやブルースが居れば違っただろうが、奴らは今、ここには居ない。ああクソ、ないものねだりはガキの思考だ!)
アンデルセン(あとはどうなるか。フラン、マシュ、ジャック、ナーサリーをどうにかしてこの場から逃がせないか。こいつらがどれほどの脅威として認識されているかにもよるが……)
パラケルスス「……」
スケアクロウ「……」
871 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:32:55.07 ID:2zVNU7dP0
パラケルスス「……気高い行いですね。ですが、……面白い話を、して差し上げましょう」
アンデルセン「……?」
パラケルスス「恐怖ガスが変えてしまった人の中には、アナタのような勇気ある人も居た」
スケアクロウ「パラケルスス!!」
パラケルスス「言わせてください、ジョナサン。……恐怖を経験し、彼は変わってしまった。勇気は打ち砕かれ、絶望と攻撃性のみが残った」
スケアクロウ「……」
アンデルセン「……」
パラケルスス「彼が最期に何と言ったか、知りたいですか? 『あぁ、神様』、それだけです。自分のしたことを認識した彼は自殺した」
アンデルセン「……」
パラケルスス「人間は弱すぎる。いともたやすく変化し、自分がそれに耐えられない。悪に染まった魂を、善良な心は直視できない」
スケアクロウ「……」
パラケルスス「……失礼しました。ではやりましょうか、スケアクロウ。終わらせる」
872 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:33:38.40 ID:2zVNU7dP0
アンデルセン(やはり話など通用せんか!)
アンデルセン「クソ!!」ババッ、ギュォォォォォッ
スケアクロウ「フン、効かないぞ!」ガギギィィィ、ヒュォンッ‼
マシュ「たあっ!」ガギィン‼
スケアクロウ「小娘、邪魔だァ!!!」ヒュンヒュンヒュンッ
パラケルスス「心苦しいですが、新たな世界の礎となって頂きます」パパパパッ、ギュゥゥゥゥゥ……
ナーサリー「迂闊に近付いちゃ駄目、嫌な感じがするわ!」
ジャック「く……」ジリッ
フラン「ウゥゥ……」ジリジリ
パラケルスス「土、水、火。これで十分でしょう」ボボボボボォォォォッ‼
ナーサリー「!!!」ギュギュギュオッ、
ドドドドォォォォォォォォ……
873 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:34:10.69 ID:2zVNU7dP0
フラン「う、ウゥ……!」ゴロゴロッ
パラケルスス「……おや、アナタは……?」
フラン「……」ムクリ
パラケルスス「……ホムンクルスではない? ですが、真っ当な人間でも、サーヴァントでも……」
フラン「ウゥァ!!」バチバチバチバチィ‼
パラケルスス「……」ギギィィィ、パァン
フラン「……!!」ブォンッ
パラケルスス「……成程、アナタも作られた存在でしたか」ガギィィィィィ‼
フラン「アァァァァァ!!」ギリギリギリィ
ジャック「やあっ!!」ダダンッ、ギュォォォッ
パラケルスス「遅い」パシ、ブォンッ
フラン「ぐ……!?」ドシャァッ
ジャック「うわ!?」ドシャシャッ
874 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:34:41.84 ID:2zVNU7dP0
スケアクロウ「ヒャハハハハハハハ! 脆いものだな!!」ヒュンヒュンヒュンッ
マシュ「くっ……」ギギィン‼ ギュリィン‼
アンデルセン「マシュ!」ギュギュオォォォオッ‼
スケアクロウ「効かないと言ったハズだぞ!」ギャァン‼
マシュ「たあっ!」ブォンッ
スケアクロウ「のろいわ!!」タタッ
マシュ「……ふー……」ジリッ
マシュ(苦手な中距離戦。素早い相手。油断すれば恐怖ガスの濃縮液を注射され、戦闘不能)
マシュ(……認めるしかない。苦手な局面だ。でも、だからこそ……)
マシュ(何度もイメージトレーニングしてきた)
マシュ「……」スー……
スケアクロウ「……?」
スケアクロウ(なんだ、この雰囲気の変わりようは……まるで、これは……バットマン?)
875 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:35:41.05 ID:2zVNU7dP0
スケアクロウ「こざかしい! 私の動揺を誘うつもりだったか、残念だったな!!」ヒュンヒュンヒュンッ
マシュ「……」ガギガギガギィ‼ ギィン‼
スケアクロウ「私には恐れるものなど何もない! もはやバットマンでさえ、私の恐怖ではないのだ!!」ヒュンヒュンッ
マシュ「……」ギギギィン‼
スケアクロウ「死ね! 死ね、小娘!!」ババッ、ヒュゥンッ
マシュ「……!!」ダンッ、ジリリッ
スケアクロウ「!!!」ドクン
ドクン……
スケアクロウ(この間合い。この構え。繰り出した鎌は戻せない)ドクン
スケアクロウ(この、小娘。いや、コイツは……私が想像していたより、はるかに)ドクン、ドクン
マシュ「はああっ!!!」ダダンッ、ゴォッ
スケアクロウ「ぐうわああああ!?」ドゴォ、ゴシャシャシャシャシャシャァ……
876 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:36:39.33 ID:2zVNU7dP0
アンデルセン「……なんだと、驚いた」
マシュ「はーっ、はーっ……」ジリッ
マシュ(相手の全ての行動を予測し、瞬時に対応策を立てる。防御から反撃に転ずる隙を意図的に作り出す)
マシュ(言うのは簡単ですが、脳への疲労蓄積が……マスターはこれを毎回やっているんですか……)ヨロ
パラパラ……
スケアクロウ「貴様、貴様ァ……!!」ヨロ、ヨロ
マシュ「次で終わりです、スケアクロウ!」
スケアクロウ「黙れ! まだコレがある!」バッ、プシュッ
マシュ「……!?」
マシュ(注射針を……自分の心臓付近へ、刺した!?)
877 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:37:13.38 ID:2zVNU7dP0
パラケルスス「!! スケアクロウ、それはまだ時期尚早です!」
スケアクロウ「ク、ククク、式の組み立ては既に済んでいる。あとは実験だけだ……私は研究に献身的なのだ」ググ、ググググ……
マシュ「どういう事ですか!? 何故自分に恐怖ガスを……!?」
スケアクロウ「ククク……恐怖にかられただけで全てのヒトが狂暴になると思ったか? 否、否、全くの間違いだ! 私は人の凶暴性を引き出す成分も含めていた! そして、これが!!」
空の注射器「」カラン……
スケアクロウ「はははハはハハハハ!! 終ワりだ、嘆くがいい! 怯えルがイイ!! 我こそはスケアビースト! 恐怖ノ化身! 恐怖と暴力の象徴だ!!」ググ、ググググググ……
マシュ「……な……」
スケアビースト「……ぐ、グググ……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
878 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:38:24.67 ID:2zVNU7dP0
スケアビースト「……フシュルルルル……」ズオォォォォォォ……
ナーサリー「……なんてこと、あれじゃあまるで童話に出て来るモンスターそのものじゃない……」
ジャック「……おおきい」
フラン「ウゥ……」
アンデルセン「……これは」
マシュ(勝てる? いや、厳しい。使える環境も少ない)
スケアビースト「アァァァァァァァァァァァグォォォォォオォ!!」ブンッ
マシュ「っ!!」ガギィィィィィ‼
マシュ(速く、重い! 危険すぎる!)
879 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:39:19.44 ID:2zVNU7dP0
アンデルセン「こっちだデカブツ!」ギュギュギュオォォオッ
スケアビースト「……」ドドドッ……シュゥゥゥゥゥ……
アンデルセン「……クソ、弾かれてばかりだな! やはり俺に戦闘は無理か……!」
スケアビースト「グググ……」ブォンッ
アンデルセン「うお!?」ババッ
マシュ「そこ!!」ブォンッ
スケアビースト「……」ガシッ、ドゴォ
マシュ「あぐっ……!?」ドシャシャシャ……
スケアビースト「グルロォォォォォォォオォアアア!!」ダダンッ
ナーサリー「え? きゃっ!?」
ジャック「あぶないっ!!」ダンッ、バッ
ナーサリー「うッ」ゴロゴロッ
880 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:39:56.98 ID:2zVNU7dP0
フラン「ウゥゥゥゥゥアアアアア!!」バチバチバチ、ブォンッ
スケアビースト「……」ガシッ、ドッシャァァァァァ‼
フラン「うぁ……!?」ゴシャッ、ゴロゴロ……
スケアビースト「……ぐ、グググ。死ネ、小娘共……」ドシ、ドシ
パラケルスス「……」
パラケルスス(……味方とはいえ、迂闊に近寄らない方が良さそうですね。今のアレはジョナサンではない)
マシュ「っ!」ダダッ、ザザァ‼
スケアビースト「…………!!」グググ、ググググ……
881 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:40:45.02 ID:2zVNU7dP0
スケアビースト「ハァァァァァァァ……」フシュルルルルルルル……
マシュ「……!?」ジリ
マシュ(なに、これ……吐息? 黄色い、吐息が……)
マシュ「!!!」
マシュ(不味い……これは、恐怖ガスの、濃厚な……!)
マシュ「……、」ヨロ、
882 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:41:15.06 ID:2zVNU7dP0
アンデルセン(しまった!!)タタタッ
マシュ「……」グラリ、ドサッ
スケアビースト「……死ネ……」グググッ
アンデルセン「マシュッ!!!」ダンッ、バッ
スケアビースト「グルォア!」ブォンッ、ゴシャァ‼
アンデルセン「うぐあ……!?」ゴシャァァァァ……
883 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:41:44.30 ID:2zVNU7dP0
パラケルスス(致命打)
アンデルセン「……か、はっ……」プル、……
アンデルセン(クソ、全滅か……!? いや、まだ可能性はある!!)
アンデルセン「……なー、さりー、ナーサリー」ヒューッ、コヒューッ
ナーサリー「う、うぅ……あ、アンデルセン!?」ムク、タタッ
アンデルセン「ナーサリー、聞け、いいか……」
884 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:42:55.22 ID:2zVNU7dP0
ナーサリー「どうして、なんで、なんで貴方まで」
アンデルセン「いいか、ナーサリー、聞くんだ。お前の、結界でここを覆い、ブルース達の到着まで、持ちこたえさせるんだ」シュウシュウ……
ナーサリー「いや……いや! できる訳ない、できない! なんで私をおいていくの!? また、これじゃあまた、偽物のお話になっちゃう……!」ポロ……
アンデルセン「ナー、サリー、いいか。できるわけがない、とか、無理とか、いうのは、汚い大人の言い訳だ。お前は子供の夢だ。ひとつひとつが、本物なんだ」シュウシュウシュウ……
ナーサリー「……!!」
アンデルセン「……頼めるな、ナーサリー」
ナーサリー「……」……コク、コクコク
アンデルセン「なら、良いんだ。ああ全く、ガラではなかった……」シュゥゥゥゥゥゥ……
885 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:43:45.77 ID:2zVNU7dP0
スケアビースト「……」ドシ、ドシ
ナーサリー「……」ボソボソ……
パラケルスス「……?」
ナーサリー「……白黒マス目の王様ゲーム……走って走って鏡の迷宮」
パラケルスス(……)ピクッ
パラケルスス「スケアビースト!」
スケアビースト「!!」ブォンッ
ナーサリー「みじめなウサギはさよならね?」グシャアッ
カチッ、カチッ……ギュォォォォォッ
パッ
886 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:44:16.32 ID:2zVNU7dP0
パラケルスス「……? ここは……」
スケアビースト「……」ドシ、ドシ
ナーサリー「……」ボソボソ……
パラケルスス「……?」
ナーサリー「……白黒マス目の王様ゲーム……走って走って鏡の迷宮」
パラケルスス(……なんだ、今のは……? 確かに殺したハズ)
パラケルスス「スケアビースト!」
スケアビースト「!!」ブォンッ
ナーサリー「みじめなウサギはさよならね?」グシャアッ
カチッ、カチッ……ギュォォォォォッ
パッ
887 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:44:57.45 ID:2zVNU7dP0
スケアビースト「……」ドシ、ドシ
ナーサリー「……」ボソボソ……
パラケルスス「……!?」
ナーサリー「……白黒マス目の王様ゲーム……走って走って鏡の迷宮」
パラケルスス(どういう事だ。何が起きている。これは。これは、何だ)
パラケルスス「スケアビースト! 急ぐのです!」
スケアビースト「!!」ブォンッ
ナーサリー「みじめなウサギはさよならね?」グシャアッ
カチッ、カチッ……ギュォォォォォッ
パッ
888 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:45:33.11 ID:2zVNU7dP0
スケアビースト「……」ドシ、ドシ
ナーサリー「……」ボソボソ……
パラケルスス「時間を繰り返すとでも……何度もさせるものか!!」ギュギュオォォォッ
ナーサリー「……白黒マス目の王様ゲーム……走って走って鏡の迷宮」パパァン
パラケルスス「何……!」
パラケルスス(弾いた……? 今の攻撃を弾かれたら、ここからでは、何の攻撃も……)
スケアビースト「……」ブォンッ
ナーサリー「みじめなウサギはさよならね?」グシャアッ
カチッ、カチッ……ギュォォォォォッ
パッ
889 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:46:10.49 ID:2zVNU7dP0
パラケルスス(馬鹿な)
カチッ、カチッ……ギュォォォォォッ
パッ
パラケルスス(馬鹿な。こんな事が)
カチッ、カチッ……ギュォォォォォッ
パッ
パラケルスス(これでは倒せない。逃げられもしない)
カチッ、カチッ……ギュォォォォォッ
パッ
パラケルスス(刻一刻と、理想が遠のいて行くというのに……!!)
カチッ、カチッ……ギュォォォォォッ
パッ
890 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/08/02(木) 01:46:54.58 ID:2zVNU7dP0
………………
ドクター『……ブルースくん、急いでくれ。アンデルセンの魔力反応がロストした』
モードレッド「……」ダダダ……
ジキル「……」タッタッ
バットマン「……了解した」ダッダッ
バットマン(待っていろ、今向かう……!)ダッダッ
看板『王立キュー植物園 この先2ブロック』
891 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/08/02(木) 01:47:33.47 ID:2zVNU7dP0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました
892 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/02(木) 02:00:40.99 ID:p5uVgDzJo
乙
ここでアンデルセン脱落とは思わなかった
893 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/02(木) 08:12:52.68 ID:SCzo/n7A0
乙した!
まさかのワトソン登場に歓喜
これからどう絡んでくるのか楽しみだぁ〜
894 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/22(月) 10:43:34.41 ID:czil7Dr+O
まだかしら
895 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/29(月) 15:38:08.62 ID:3QYeCCbA0
おっSS板復活しとるやんけェ!
更新楽しみに待ってるからな……
896 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/11/04(日) 21:32:09.99 ID:4eHZoD5h0
いつまでも待つで
897 :
◆GmHi5G5d.E
:2018/11/16(金) 16:57:04.65 ID:rKFAVeBwO
復活してた……!?
しょしょしょ少々お待ちを、別に油断してたとかそういうのではないので……!!
898 :
◆GmHi5G5d.E
[sage saga]:2018/11/16(金) 17:00:55.52 ID:rKFAVeBwO
sage忘れてたすんません!!!
899 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2018/11/16(金) 19:25:09.41 ID:AOZipXyB0
>>898
おおお落ち着け!ここはお前さんのスレだぞ!
900 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/16(金) 22:51:59.81 ID:ICPG6CGRO
草
901 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:02:48.56 ID:fIC7lgGL0
………………
バットマン「……これ、は……植物園のハズだが」
フォウ「フォーウ……」ピコピコ
ジキル「結界で覆われてるね。ちょっとやそっとでは壊れないモノだ。この性質、時間も分断してるのか……?」
モードレッド「ブラックボックスってか。この感じ、多分ナーサリーのヤツだな……どうする?」
バットマン「ドクター、この結界に入る方法は?」ピッピッ
ドクター『通常なら入れない……けど、マシュが持ってる通信機が中継の役割を果たしてて……えーと、端的に言うとブルースくん、キミだけが入れる』
バットマン「成程」
902 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:04:29.35 ID:fIC7lgGL0
バットマン「では、私が先に行く。二人は結界が解けた後に来てくれ」
モードレッド「おう、分かったぜ」
ジキル「分かった。……気を付けてくれ、ブルース」
フォウ「フォウ、フォーウ!!」パタパタ
ドクター『本当に気を付けてくれ。その結界の中は、繰り返された時間のせいで座標も時流も滅茶苦茶だ。正直、キミを送り込むのだって……』
バットマン「必ず戻る、ドクター。マシュの観測を続けてくれ。私はそこへ辿り着く」
ドクター『……頼んだよ。……僕、卑怯な立場だな、ホントに』
バットマン「最も苦しい立場だ。……行ってくる」ズォォォォォォォォォォォ……
903 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:05:18.57 ID:fIC7lgGL0
………………
所長「……」ジッ
ドクター「……」チラッ
ドクター(所長は……あのお茶会以来、取り乱す事が少なくなった。今、ブルースくんが結界の中へ入っていったのだって……いつもなら、必死で止めてた)
ドクター(でも、今は落ち着いてる。いや……落ち着こうと、してる)
所長「何よ」
ドクター「い、いいえ!」
ドクター(……やっぱり、マシュへの態度が普通になったのと関係してるのか)
904 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:05:50.65 ID:fIC7lgGL0
職員A「……ブルースさんの肉体、観測順調……結界のはざま、虚数空間へ移入開始。肉体を存在防護式で覆います」カタカタ、カタカタ
職員B「電子機器の稼働式にIF欄を追加。非存在の存在特定を開始」ピッピッ
職員C「シバのレンズを一枚、虚数空間の観測にあてます。角度調整」カタカタ、タンッ
ドクター「……レオナルド、そっちは?」
レオナルド「んー? 順調だ、機器に異常なし。……そっちはどう?」
ドクター「ああ、こっちにも異常はない。……うん、順調だ」
レオナルド「そうか。……キミ自身はどうだい、ロマニ?」
ドクター「僕? なんで僕が……」
ドクター(……)
905 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:06:33.09 ID:fIC7lgGL0
ドクター「……あぁ、ダビデの事かい?」
レオナルド「……」
ドクター「そうだな、僕たちのサポート不足もあっただろうね。ベインとかいう化け物も出て来たらしいし、消えたのも、仕方ない。割り切ってるよ」
レオナルド「…………」
ドクター「……確かに、ちょっと言い過ぎたけど、それだけだ。サポートに戻るよ」
レオナルド「……」
レオナルド(素直じゃないよなぁ、カルデアの面子って)
906 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:06:58.81 ID:fIC7lgGL0
職員C「……ま、待ってください。おかしい、計器の故障……いや、これは……」
レオナルド「どうした?」
所長「まず報告をしなさい」
職員C「きょ、虚数空間内に魔力反応を観測しました!」
ドクター「何? 虚数空間の、中にだって?」
職員C「機器の誤作動……いえ、反応がどんどんブルースさんに近付いています! これは……!?」
ドクター「くっ、ブルースくん! 聞こえるか、ブルースくん!?」
907 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:07:28.75 ID:fIC7lgGL0
………………
バットマン「……」
バットマン(また、この空間か……土の橋じみたものが、闇の奥までずっと続いている)
バットマン(闇の中には、ばら撒かれたような光の粒たち。星々。……時流に流された時の事を思い出す……)
(((おとう、さん……おかあさん……)))
バットマン(……進み、先に待つものを確かめる)
バットマン「……」スタスタ
通信機『』ザザザ……ザザザザ……
908 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:08:21.25 ID:fIC7lgGL0
バットマン「……」スタスタ
バットマン「……」スタスタ……ピタッ
ダビデ「……」
バットマン「……ダビデ?」
909 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:08:59.16 ID:fIC7lgGL0
ダビデ「ん? おや、キミもここに? 流された……ワケじゃ、無さそうだな」
バットマン「何をしている? 何故……いや、確か、以前も……」
バットマン(そうだ。以前も、消滅したサーヴァントがここに……)
ダビデ「はは、『絆』がロープみたいになってるのかな。また会えて嬉しいよ」
バットマン「……ああ。……すまない。ベインに対抗もできず、お前を失った」
ダビデ「会って早々に雰囲気を暗くしようとするな!? いや、キミらしいけど……良いのさ、後悔はない。進もうブルース、そのために来たんだろう?」
バットマン「……ああ」
910 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:09:32.76 ID:fIC7lgGL0
バットマン「……」コツ、コツ
ダビデ「……正直、キミが時流に流されないのはおかしいと思ってる。精神が強靭だと言っても、限度があるからね」テクテク
バットマン「……?」
ダビデ「あー、つまりだ。キミの精神や肉体は、とある目標に引力じみて引き付けられているんだ。とても大きな目標だ」
バットマン「目標……」
ダビデ「うん、そうだ。信念と言い換えても良いかもしれない。……言わずもがな、かな? 多分、マシュだね」
バットマン「……」
911 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:10:18.56 ID:fIC7lgGL0
バットマン「私が、マシュに……」
ダビデ「ははは、あくまで予測の話だよ。でも、キミ、彼女が大事だろう?」
バットマン「ああ。私は彼女が大切だ」
ダビデ「それは、ある意味では、世界の理を超えた思いの強さだ。……ブルース、確認をしておきたい。野暮な事でも、残酷な事でも。これは僕の役目だと思うから」
バットマン「何だ」
ダビデ「キミは、世界が滅んでも……彼女を助けたいと思うかい?」
912 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:10:52.83 ID:fIC7lgGL0
バットマン「世界が、滅んでも……?」
ダビデ「うん。世界と彼女を秤にかけた時、彼女を助けるかい?」
バットマン「……」
バットマン(考えた事は、あった。何度もその瞬間はシミュレーションしてきた。その選択の瞬間、私自身が冷酷であれるように。最善の選択を行えるように)
バットマン(マシュだけではない。所長も、ドクターも、レオナルドも、職員達も……全員だ。全員を、秤にかけ続けて来た)
ダビデ「ああ、うん。分かった」
バットマン「……まだ何も答えていないと思うが」
ダビデ「その沈黙が答えみたいなものさ……」
913 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:11:31.34 ID:fIC7lgGL0
ダビデ「そうか。良かった」
バットマン「何がだ」
ダビデ「キミをマスターに持てて良かったって事さ。全く、キミって性急だって言われた事無いか?」
バットマン「……」
ダビデ「あるんだ……その誰かさんも苦労してるね。こりゃこの先大変だ」
バットマン「……悪かった」
ダビデ「別に謝れとは……あぁほら、着きそうだ。僕はここでお別れだね」
バットマン「……必ず世界を、」
ダビデ「救え、とは言わないさ。ただ、自分で考えて欲しい。自分のために戦えないヤツが、世界を救えるハズもないしね……そうだろ、ブルース?」
バットマン「……恩は返す」
ダビデ「カッタいなぁ!!」
914 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:12:02.19 ID:fIC7lgGL0
………………
バットマン「……」スタッ
バットマン(あの妙な空間を抜けた。ここは……植物園内部か)キョロキョロ
空間「」グニャァァァ……
空間「」バチッ、バチチッ‼
バットマン(……急がなければ。良くない事が起きているようだ)スタ
915 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:12:29.56 ID:fIC7lgGL0
ドシ、ドシ……
バットマン「……」スッ
スケアビースト「……」ドシ、ドシ
ナーサリー「……」ボソボソ……
パラケルスス「くっ……」ジリッ
バットマン(マシュ、ジャック、フランは倒れている。ナーサリーは何かを詠唱中……アンデルセンは、居ない。間に合わなかったか)チラ
バットマン(敵対しているのは、スケアビーストと……白衣の男。十中八九『B・P・M・S』の一人。成程、ナーサリーの能力に賭けたかアンデルセン)
バットマン「……さてどう救出するか」
916 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:13:03.47 ID:fIC7lgGL0
スケアビースト「……」ドシ、ドシ
バットマン(このままではナーサリーが殺される。だが私一人飛び出したところで、叩き潰されて死ぬのがオチだろう)
バットマン(経路を算出。モードレッドがこちらに辿り着くまでの最短時間、最長時間それぞれの計算。そして時間稼ぎ……久々に搦め手と行くか)プシューッ……
バットマン(……)シュポッガシッ、ギュィィィィィィィィッ
917 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:13:45.40 ID:fIC7lgGL0
………………
パラケルスス(あれから何分が経過した? いや、何時間? 分からない。ただひとつ言えるのは、敵の増援は確実に到着しているであろうという事……)
パラケルスス(ナーサリー。油断していた。まさかここまで、てこずるとは……まだ計画は最終フェイズに入っていない)
パラケルスス(スケアビーストには言葉も通じない。……申し訳ありません、マキリ。私の、迂闊……)
ドドォン……‼
スケアビースト「……!?」
ナーサリー「っ」
パラケルスス「何の音だ!?」
918 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:15:17.51 ID:fIC7lgGL0
植物園二階から突如響いた爆音に、その場に居た全員の視線が飛んだ。その隙に、倒れていたジャックがまず闇に引きずり込まれた。
「一体……」
ナーサリーが呟き、しまったと口を抑える。詠唱が途切れた。ブラックボックスじみた結界が解除されている。つまり、もう、時間のループは行えない……
その事実に、次いでパラケルススが気付く。今の爆音が何であろうが、チャンスだった。即座に行使された魔法、炎が飛び出しナーサリーを狙う。スケアビーストがそれに追従するかのように飛び掛かる。
が、更なる破壊音が響いた。パラケルススは構わず攻撃を続けようとし……おのれの迂闊を、またしても呪った。破壊されたのは、二階の足場の、片方の留め金。振り子運動に乗り、破城槌じみて、パラケルススへ足場が追突した。
「っぐぅ……!?」
吹き飛び、転がるパラケルスス。スケアビーストが思わず振り返る。その瞬間、さらに闇から腕が伸び、今度はマシュとフランを二人引きずり込んだ。
ナーサリーはハッと後ろを振り返る。闇から歩み出る者があった。それは夜に混じるコウモリのように、瞳だけを光らせ、じわりと染み出すようであった。
「よくやった、ナーサリー」
いかつい見た目に反し、優しい声がかけられる。ナーサリーは安堵と、重圧と、悲しみが一気に胸の中で爆発するのを感じ、大粒の涙を流しながら声を上げる。
「ご、めんなさい、アンデルセンが、アンデルセンが……」
「分かっている。大丈夫だ」
大丈夫ではない。だが、ナーサリーは安心してしまう自分の不甲斐なさに更に涙をこぼす。スケアビーストが振りむき、口から黄色いガスを漏らしながら唸る。
「バァァァァァァァァット、マン……!!」
「待ちかねたか、スケアクロウ。来たのは私だけではない」
バットマンが言い放つのと同時、怒れる闘牛じみた豪快な足音が廊下から響き始める。パラケルススは起き上がりながら、それを見る……全身から殺気を放ち、大股で駆けて来るモードレッドを。
「吹っ飛ばしてやらァ!!」
彼女は叫び、剣を抜き放った。その刀身を赤いスパークが走った。
919 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:16:42.59 ID:fIC7lgGL0
モードレッド「死ねェ!!」グオォォッ
スケアビースト「!!」ガッ、ギリギリギリギリィ‼
モードレッド「……随分好き勝手やってくれたみてえだな、オレの仲間に……」ギリギリギリギリ……
スケアビースト「グルォァ……」ギリギリギリギリ……フシュゥゥゥゥッゥ……
モードレッド「うっ、なんだこいつ、ガス吐きやがった……!?」
バットマン「吸うな! 恐らく高濃度の恐怖ガスだ!」
モードレッド「おせえよ! 吸っちまったぞ……ぐぅっ、ふらつく……」
バットマン「チィッ」シュパパパッ
バットラング「「「」」」ヒュオォォォォォォッ
スケアビースト「!!」パシシィ‼
920 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:17:11.73 ID:fIC7lgGL0
モードレッド「っ、クソッタレがァっ!」ブォンッ
スケアビースト「ガアッ!?」ドサァッ、ゴロゴロ……
モードレッド「くっ……ちくしょう、俺に近付くんじゃねえ……」フラフラ
スケアビースト「ぐっ、くっ……」スルスルスル……
スケアクロウ「……ぐぅぅぅ……」グッタリ
パラケルスス「しまった……!」
パラケルスス(スケアビーストの維持時間が限界か……! 形勢も最早逆転、逃げるしかない!!)
921 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:17:57.02 ID:fIC7lgGL0
パラケルスス「スケアクロウ! 撤退です、このまま理想を潰えさせるわけにはいかない!」
スケアクロウ「……行け……置いて……行け」
パラケルスス「何を馬鹿な……!」ガシッ、グイッ
スケアクロウ「……」グッタリ
バットマン(逃げられる)
バットマン「ナーサリー、追撃を行えるか!?」
ナーサリー「魔力が、足りなくて……!」
モードレッド「……クソ……! クソ、俺から……! 俺から、離れろォォォォォオオォォォ!!」ギュィィィィィィィィィ‼
バットマン「何を……!」
バットマン(まさか、宝具を発動しようとしているのか!?)
922 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:18:27.33 ID:fIC7lgGL0
モードレッド(大丈夫!! 大丈夫だ!! オレは平気だ……! 平気だ! 吹き飛ばす! 父上……違う、敵を! 今の敵に集中しろ!)
モードレッド(今、戦場から逃げる腰抜けが敵だ! 逃がしてたまるか! 吹き飛ばす! ツケを払わせる! フラン達にやった事を償わせてやる!)
モードレッド「離れろブルース!! 撃つぞ!!」ギュイィ、グォォォォオォォォォオォォ
バットマン「……!! 伏せろナーサリー!!!」ガバッ
ナーサリー「きゃっ!?」
モードレッド「『我が麗しき父への叛逆』(クラレント・ブラッドアーサー)!!!」ギュガガガガガァァァァァァァァァァァァァッ‼
923 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:19:02.14 ID:fIC7lgGL0
パラケルスス(計算、通り)ニヤリ
バットマン「……!?」
パラケルスス「その宝具、頂きます。『元素使いの魔剣(ソード・オブ・パラケルスス)』」ギュォォォォォォォォォォォッ‼
短剣「」パキ……パキィ……
パラケルスス「霊子解析……侵食、完了」キィィィィィィ……ン
モードレッド「馬鹿な、止められた!?」
バットマン「モードレッド、かわs……」
パラケルスス「『我が麗しき父への叛逆』(クラレント・ブラッドアーサー)」ドガガガガガガガガガガガガガァァァァァァッ‼
924 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:19:56.54 ID:fIC7lgGL0
パラパラ……
パラケルスス「……ふぅっ、これで逃げる時間は稼げたハズ」
スケアクロウ「……下ろせ、パラケルスス。一人で歩ける……」
パラケルスス「スケアクロウ、回復しましたか。共に施設へ戻りましょう、我らの理想にはいささかの揺らぎも……」
スケアクロウ「いや、無理だ。バットマンが来た……バットマンが、来た。最善策を取らなければ、終わりだ」
パラケルスス「……」
スケアクロウ「ここで分かれて、混乱させる。お前は戻れ、パラケルスス。私は、別の方向へ行く」
パラケルスス「……そこまで恐ろしい相手なのですか、あの男は」
スケアクロウ「どんな窮地でも乗り越え、我々を止めに来る。行かなければ……少しでも、理想の世界の可能性を上げねば」
パラケルスス「……」
925 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:20:47.34 ID:fIC7lgGL0
パラケルスス「……私は」
スケアクロウ「……」
パラケルスス「私は貴方を、心から尊敬します。同志スケアクロウ」
スケアクロウ「尊敬は要らない。お前達の理想を作るがいい」
パラケルスス「……さらばです、スケアクロウ」ダッ
スケアクロウ「フン……」
926 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:21:44.16 ID:fIC7lgGL0
スケアクロウ「……」
スケアクロウ(……そうだ。世界の本質は今見ている、霧がかった恐怖のるつぼであるハズなのだ)
スケアクロウ(奴らがその目に宿す強い希望など、所詮はまやかしに過ぎない)
スケアクロウ(世界は終わる。私は、奴らの『理想の世界』とやらには行かない。ここで死ぬ)
スケアクロウ(ありったけの恐怖と共に、死ぬのだ。真理を見た私に、後悔など無い……)
スケアクロウ「……そうだ、最初からそうだったのだ……」ヨロヨロ
927 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:22:23.77 ID:fIC7lgGL0
………………
バットマン「モードレッド、無事か!!」ダダッ
モードレッド「……ぐっ、大丈夫だから、近寄るんじゃねえ……」グッタリ
バットマン「傷の様子を見せろ」ガシッ
バットマン(……宝具の跳ね返しを受けたが、鎧が殆ど受け止めている。うまく受け流したようだ)
モードレッド「俺はいい、クソ、追わねえと……!」グ、プルプル……
バットマン「ああ、すぐに追う。……マシュ達の様子も見なければ……」
ジキル「みんな! ようやく見つけた……!」タッタッ
フォウ「フォウ、フォーウ!!」テテテ
バットマン「ジキル博士、フォウ、無事だったか」
ジキル「置いて行かれて、ずっと彷徨ってたんだ……! この中迷路みたいだし!」ゴホッゴホッ
フォウ「フォウ、キュ、フォーウ」パタパタ
928 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:23:00.13 ID:fIC7lgGL0
ジャック「おかあさん! おかあさん!」タタッ
フラン「う、ウゥ……!」ムクリ
マシュ「……マスター?」フラフラ
バットマン「起きたか。ダメージはどれほど受けた?」
ジャック「ぜんぜんへいきだよ!」
フラン「問題、ない……」
マシュ「……ガスを吸ってしまいましたが、戦えます、私は大丈夫です」
バットマン「よし。ならもう一度役割ごとに再編成を……」
ドクター『もしもし、ブルースくん! 大変だ、霧の中の魔力反応を追跡していたんだけど……二手に分かれた!』
バットマン「何だと?」
929 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:23:38.86 ID:fIC7lgGL0
バットマン(……流石に真っ直ぐ帰るほど油断しきってはいないか。ならば……)
バットマン「予測進路をレーダーに表示してくれ。二手に分かれて追う」
ジキル「な……それは、無茶じゃないか!?」
バットマン「やらなければ、ジキル博士。このまま振り回され続ければ、奴らの方が準備を整えてしまうだろう。奴らが何をするつもりにしても、我々は敵に時間を与え過ぎた」
バットマン(そう、時間を与え過ぎた。嫌な予感がする。妙に素直に引いて行ったベインも、油断できない要素の一つ……)
バットマン「とにかく、奴らの目論見は達成寸前だろう。奴らが世界を壊す前に、こちらが出向いて阻止しなければ」
バットマン(見る限り、マシュ、モードレッドは恐怖ガスの影響下。能力的には半減したとみていい……)
バットマン「ナーサリー、恐怖ガスの解毒剤の原料は手に入れたか?」
ナーサリー「え、えぇ、勿論よ。はい、これ……」スッ
ジャック「あっ、わたしもがんばったよ! これ!!」
バットマン「よし……」
930 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:24:32.99 ID:fIC7lgGL0
ジキル「……分量、30グラム……」
ドクター『ステロイドを』
ジキル「成程……ブルース、ちょっといいかい?」
バットマン「どうした、ジキル博士」
ジキル「植物の量が足りない。解毒剤は作れるが、これではせいぜい一人分のみだ。……どうする」
バットマン「……」
モードレッド「俺達には要らねえ。戦えるのに、そんなモン要るか」
マシュ「……はい、平気です。それより、マスターこそ……」
バットマン「……」
931 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:25:05.91 ID:fIC7lgGL0
バットマン「ジキル博士、緩和剤は何本ある」
ジキル「一応、三本持って来てるけど……」
バットマン「マシュ、モードレッド、私でそれを飲む。私達三人がスケアクロウの追跡にあたる。ジキル、ナーサリー達と共にパラケルススの追跡を頼む」
ジキル「ぼ、僕が!?」
バットマン「キミなら大丈夫だ。通信機を持ってくれ」スッ
ジキル「や、やるだけやるけど……」パシッ
バットマン「では解毒剤の精製を、博士。完成し次第、追跡を始めるぞ」
932 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/11/17(土) 01:25:47.72 ID:fIC7lgGL0
………………
ワトソン「全く、何だ今の爆発は……ロンドンはどうなってしまうんだ」
ワトソン(ホームズ、これは大変な事件だぞ。こんな時に君は一体どこへ行ってしまったんだ……)
チュドォォォォォォォォォン……
ワトソン「……また! あれは植物園の方か、うぅむ……」
ワトソン「……今回行くのは僕だけか。ホームズのファンにはウケないだろうな!」スタスタ
933 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/11/17(土) 01:28:22.26 ID:fIC7lgGL0
今回の更新はここまでです。お付き合い有難うございました。
なんだかスレがバグってますかね……? 更新にも一苦労だったので次の更新の時は次スレを立てますね。
934 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/17(土) 10:08:13.63 ID:D6Gkt03uo
乙
変なバグか散見してるからスレ立ても様子見した方がいいかもしれない
935 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/11/17(土) 12:50:00.57 ID:fIC7lgGL0
うぅん、どうしましょうか……歴が浅いので、情けないですがこういったトラブルへの対処方法が浮かばず……
936 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/17(土) 15:35:27.93 ID:4Vuos+JwO
おつ
937 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/17(土) 17:23:07.32 ID:D6Gkt03uo
暫く書き溜めに専念しとくのがいいけど
荒巻だから治る保証もないのが困る
938 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/19(月) 15:32:42.00 ID:XZ7uoqQA0
わぁいイッチ生きてた、よかったー嬉しい!
のんびり待ってるから慌てんでいいのよー
939 :
◆GmHi5G5d.E
[sage saga]:2018/11/20(火) 01:28:39.83 ID:GYV8vN900
スレ立てすらできないという現状……申し訳ない、言われた通り大人しく書き溜めに専念します
940 :
◆GmHi5G5d.E
[sage saga]:2018/11/20(火) 15:13:12.99 ID:Jv0JlffCO
バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1542694051/
立っ……うぅむ……調子が微妙なところですが、一応貼っておきます
941 :
◆GmHi5G5d.E
[sage saga]:2018/11/20(火) 15:19:33.46 ID:Jv0JlffCO
HTML化依頼も出してきます。
942 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/20(火) 15:58:22.59 ID:4Ms+6ZtA0
乙乙
新しいスレにのりこめー
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[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
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