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バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」
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725 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:37:15.31 ID:iNQLdeY80
ジャック「……」タタ、スゥッ
フラン「ウゥ……!」ダッ
バットマン「待て、追うな。奴の戦略だ」バッ
バットマン(真正面から掛かって来ず、障害物の陰に隠れ、気付かれない内に敵の命を掠め取る……生粋のアサシンだ。迂闊に誘い出されれば破滅する)
アンデルセン「どうする、見失ったぞ」
バットマン「…………アンデルセン、フラン。固まれ。あちら側の本棚を破壊し尽くせ。策がある」
アンデルセン「全く、本に対する冒涜だ!! ……商売敵の本ばかりだから喜んでやろう」ギュォォォッ、ドシュシュゥッ
フラン「ウ、ウゥ!」ブォンッ、バキャァ‼
本棚「「「」」」」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ドッシャァァァァァァァアン……‼
726 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:37:44.00 ID:iNQLdeY80
………………
ジャック(……あっちにわたしたちは居ないのに、本棚を倒してる……足音も聞こえなくなってこっちには好都合だけど)
ズグググググググググ……ドッシャァァァァァァン……
ジャック(自暴自棄、なのかな。ヤケになっちゃったんだね、かわいそう……すぐに片付けてあげなきゃ)タタ、タタタタ……
バットマン(当然そう考えるだろう。だが派手な動きに気を取られ、私を見失うようでは甘い)プシューッ、プシュー……カチャカチャ、ピンッ
727 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:38:11.17 ID:iNQLdeY80
ジャック(あの位置を取れば……)タタタッ……
ジャック「……?」ピタッ
ジャック(……これ、ワイヤー? 罠だ)ジッ
カタッ
ジャック「!!」バッ
バットマン「……」コソコソ
ジャック「……見つけた」ダンッ
728 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:39:38.73 ID:iNQLdeY80
バットマン「!!」ガギィィィィィィ、バッ
バットマン(誘導成功だ)
ジャック「ひとりだけ、逃げようとしてたの? わるいお母さんだね」クルクルッ、スタッ
バットマン「……さあ、どうだろうな」
ジャック「でも、解体して、かえるから」
バットマン「母は変えられない」
ジャック「かえれるよ。これからはずっと一緒だもん」
バットマン(……机の上に乗った。ジャックの精神捕捉にはまだ時間が掛かる。作戦通り)
729 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:40:10.94 ID:iNQLdeY80
バットマン「フッ!」シュババッ
バットラング「」ギュギュォォォォォォッ‼
ジャック「!!」ガギャッ
バットマン「フッ!」スタッ、ヒュンッ
ジャック「あたらないよ!」シュンッ、ヒュォッ
バットマン「くっ……」ギャリリリィ‼
バットマン(良し。高所レベルは同程度を確保。机の上は足場が制限される分、ジャックも迂闊に大幅な回避、攻撃はできない……ならば近距離戦闘、身体能力の差は技術と予測で誤魔化し互角の戦いに持ち込む!)
730 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:40:56.73 ID:iNQLdeY80
ジャック「っ!」ババッ
バットマン「シッ」シュババッ
バットラング「「「」」」ヒュオォォォォォォォオォォッ
ジャック「あたらないって言ってるよ!」バッ
バットマン「無論そうだろう!」ヒュンッ
ジャック「ふっ」パシッ
バットマン「……!!」グッ、グッ……
ジャック「……駄目だよ、お母さんは人間だもん。わたしたちには勝てないよ」ググググググ……
バットマン「……そうかもしれないな、ジャック・ザ・リッパー」
ジャック「……」
バットマン「だが、後ろに注意しておいた方が良いだろう。リバースバットラングは『帰って来る』」
ジャック「!?」バッ
バットラング「「「」」」グォンッ、ヒュォォォォォォォォオッ‼
731 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:41:32.20 ID:iNQLdeY80
ジャック「っくぅ!?」ガギギギギィ‼
バットマン「そこだ……!」シュポッガシッ、ギュチチィ‼
ジャック「ぐ……なにを!」
バットマン「フラン、今だ! 思い切り叩き込め!」
ダッダッダッダッダッダダンッ‼
フラン「ウゥゥゥゥゥゥァァァアアアアアアアァァァア!!」バチバチバチバチィッ、ドッゴォォォォォォォォ‼
732 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:41:59.85 ID:iNQLdeY80
モクモク……バチ、バチチ……
バットマン「……どうだ……」
フラン「……」バッ
バチ、バチバチチ……ジリッ
ジャック「……きか、ないよ……!」バチチチチチ……ググググググ……‼
フラン「……!」
733 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:42:27.39 ID:iNQLdeY80
バットマン(ならば)
バットマン「アンデルセン! 二階のサーヴァントを借りるぞ!」
アンデルセン「!? 待て、それは……!」
バットマン「最終手段だ! フラン、机の端を叩け! アンデルセン、私を撃て!」
フラン「!?」
アンデルセン「なにぃ!?」
バットマン「やれ! 策があると言っただろう!」
アンデルセン「つくづく狂った熱の男だ! どうなっても知らんぞ!」ギュギュギュオォォォッ‼
フラン「ウ、アアアアァァァァ!!!」ドッシャァァァァァァァァン‼
734 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:43:31.30 ID:iNQLdeY80
(ここだ)
一瞬を捉える。ブルース・ウェインは投げ技の厳しい修行を思い出していた。血反吐を吐きながらも起き上がり、何度も投げられたあの修行だ。身体が覚えている。
重心が全てだ。ジャックを腕に捉え、倒れ込む準備をした。フランのメイスが机の端を叩き、シーソーじみて逆の端を跳ね上げる。バットマンのマントが翻り、凄まじい勢いで重心が移動する。二者が空中へ放られる。
光弾が肩に着弾。ブルースは衝撃を受け、まるで水の流れのようによどみなく回転した。ジャックを腕に捉えたままだ。ブルースは遠心力、重心、そして筋力の最高パフォーマンス点を計算した。
その瞬間、バットマンは目を見開いた。そしてジャックの身体を僅かに引っ張り上げ、巴投げのように頭上へ、天井へと放った。
三人の全力が乗算され、一瞬の回転の中から砲弾じみてジャックが弾き飛ばされた。天井を突き破り、少女は二階へと放り込まれた。数秒遅れ、コウモリの騎士も羽を広げ、急制動で二階へと突入した。
735 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:44:08.24 ID:iNQLdeY80
ジャック「ごほっ、ごほっ……」ガラガラ……
バットマン「……」バササササッ、スタッ
ジャック「……くっ」キッ
バットマン「……」
バットマン(……ジャックの精神捕捉にはまだ掛かるか。警戒が激しいと捕捉も遅れるらしい……)ジッ
736 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:44:38.57 ID:iNQLdeY80
???「……どなたかしら?」
バットマン「……お前が、第二のサーヴァントか」
???「第二の……? よく分からないけど、私にはナーサリーという名前があるのよ。それに、その帽子を何故貴方が被っているの?」
バットマン「深い理由がある、ナーサリー。だが今は力を貸して欲しい」
ナーサリー「……」チラッ
ジャック「……」ボロッ
ナーサリー「……いたいけな少女を敵に回して、そんな説得では無理よ」ジッ
バットマン(成程、アンデルセンが共闘を勧めなかった理由か)
737 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:45:35.68 ID:iNQLdeY80
バットマン「……私はマッドハッターの……友人だった」
ナーサリー「……嘘はそんな嫌そうに言ったら駄目よ、黒猫さん」
バットマン「嫌な思い出もある」
ナーサリー「……」
バットマン「……嫌な思い出だけだ。敵同士だったが、守るべきものは必ずしも相違していた訳ではない」
ナーサリー「今回は何を守っているの?」
バットマン「世界だ。手を貸してほしい」
ナーサリー「……わたし、子供だけど、大丈夫かしら?」
バットマン「世界の危機に立ち上がらせないというのは、いくら子供でも酷なものだ……」
ナーサリー「……ええ、勿論よ! 手を貸すわ、黒猫さん!」
738 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:46:05.58 ID:iNQLdeY80
ナーサリー「さあ、そういう理由よっ。名前を聞かせてちょうだい、そこのあなた」
ジャック「……ジャック・ザ・リッパー」
ナーサリー「まあ……大量殺人のあのジャックなのね」
ジャック「邪魔をするなら、解体するよ」カチャッ
ナーサリー「でも私だって負けないわ。ご存知かしら、お姫様だってスカートを上げれば走れるのよ」
ジャック「……? よく分からないけど、邪魔するんだね。なら、容赦しないよ」ジリッ
739 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:46:52.48 ID:iNQLdeY80
ナーサリー「……」ヒュオォォゥゥ……
ジャック「っ」ダンッ
ナーサリー「くるくるくるくる回るドア……」バッ、ギュォォォッ
光弾「」ギュドドドドッ
ジャック「あっ……!?」ギャリィ‼ ギャリィン‼
ナーサリー「行き着く先は、鍋の中!」パパパッ
パキィィィィィィ……
ジャック「つっ……!?」
ジャック(手が、凍った……!?)
740 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:47:30.70 ID:iNQLdeY80
バットマン(いいぞ、このまま……)
ジャック「っ、こんな程度!」バキャァァァァァ、ブンッ
ナーサリー「きゃっ……!?」ドサッ
ジャック「わたしたちは、かえらなきゃ駄目なの! 邪魔しないで!!」ダンッ
ナーサリー「……! 駄目よ、私にだって世界があるもの!」スクッ、ギュォォォッ
ジャック「じゃあわたしたちの世界は何処なの!? 消えるのが世界のためなの!? そんな世界なら、最初から……」ブォンッ
(((捉えた)))
ジャック「っ!?」ビクッ
ナーサリー「……?」
(((捉えた。捉えた)))
ジャック「……え? なに、これ」ジリッ
(((捉えた捉えた捉えた捉えた捉えた捉えた捉えた捉えた)))
ジャック「……なに。なんで」
(((捉えた捉えたお前の捉えた捉えた精神を捉えた捉えた見せてもらう捉えた捉えた捉えた)))
バットマン(捉えたぞ、ジャック・ザ・リッパー。精神に動揺をきたしたな……見逃すものか)
741 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:48:03.30 ID:iNQLdeY80
ジャック「……やだ。やだよ、何……なんで」ペタン
バットマン「このまま、精神の深層へ潜り込む……ドクター。10分経過しても私が戻って来なかった場合は、スーツの蓄電機構を解放し、電気ショックで呼び戻してくれ」ギュォォォォォォォォォォ……
ジャック「……う……」ドサッ
バットマン「……ナーサリー、見張りは頼んだぞ」ギュォォォォォォォォォォ……
ナーサリー「ど、どうなって……どうするつもりなの?」
バットマン「……」
バットマン(このまま戦意の元を取り除く。もしくは、精神を崩壊させる)ジッ
742 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:48:31.71 ID:iNQLdeY80
──────
『産めるワケがないでしょう、自分ひとりが食べていくのに精いっぱいで……』
『愛してる。愛してる。ごめんね、ごめんね……』
『大丈夫よ、愛してるのは貴方だけ』
『堕ろすわ』
『……許して、お願い……許して……』
『神様……』
バットマン(……)
マッドハッター『やあ、バットマン。お前なら必ず来ると思っていたぞ』
743 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:49:07.74 ID:iNQLdeY80
マッドハッター『そうだな。例えば赤ずきんは、男に襲われる少女としてその物語が解釈される事が多い』
バットマン『……お前は、マッドハッター? 死んだハズだ』
マッドハッター『勿論死んだ。肉体はね。だが見ろ、お前は私の帽子を被った……そこにあった残留思念が、私を形作っている。どうだ、ロマンチックだろう?』
バットマン『……』
マッドハッター『……そして、アレを見ろ』
『愛してなんかなかった』
『父親なんて分からない』
『だけど出来た。だから堕ろす』
『悪い事だけど、胎児に意識なんて無いでしょう? だから、これは罪じゃない。……罪じゃ、ない』
マッドハッター『うーっ、これはロマンチックには程遠いな……なあバットマン、人を最も苦しめる恐怖とは何だと思う?』
バットマン『……』
マッドハッター『……それはな、罪の意識だ』
744 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:49:42.90 ID:iNQLdeY80
マッドハッター『勿論、サイコパスを自称する人間は多い。だが良心の呵責は大なり小なり無意識下に積み重なるものだ。人生の澱みと言い換えても良い……ウフフフ、物語に入り込む際の足かせになるから、私は切り捨てるがね』
バットマン『何が言いたい』
マッドハッター『何が? 言いたいか、だって? バットマン、もう明白だろう! ここはあの殺人鬼の深層心理じゃないのさ。澱みはもっと下の部分にある。もっと降りる必要がある』
バットマン『……もっと降りる?』
マッドハッター『そうとも。集中を深めろ、ウサギに導かれる少女の如く……私はついて行けないが、「そこ」に辿り着けるハズだ』
バットマン『……』ジッ
マッドハッター『……そうだ、深めろ……』
745 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:50:12.41 ID:iNQLdeY80
………………
ちがう。
ちがうよ。迷惑なんてかけない。だからやめて。
産まれたい、それが一番強い望みだったのに。
どうしてこうなの? 何が駄目だったの? わたしたちが、悪い子だったから?
それとも、世界が駄目だったの?
746 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:51:09.92 ID:iNQLdeY80
なら、わたしたちが消えたんじゃない。おかあさんが消えたんだ。だって、まだわたしたちはここに居る。
だから、探さなくちゃ駄目。探して、探し出して、もう一度一緒になる。
そして、今度こそ、一緒に────
747 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:51:40.07 ID:iNQLdeY80
バットマン『……それがお前か、ジャック』
ジャック『……』
バットマン『娼婦達が妊娠し、堕胎する。その水子の霊が集まって出来たのが、お前という存在なのか』
ジャック『……おかあさんに、会うんだ。だって、そうしないと、私達はずっと迷子だから』
バットマン『……』
ジャック『会って、もう一度、産んでもらうの。そうしたらやり直せるから。もう一回、やり直せるから』
バットマン『……』
748 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:52:09.25 ID:iNQLdeY80
バットマン『……いいや』
ジャック『……』
バットマン『死者は帰らない。絶対に』
ジャック『……じゃあ、どうすればよかったの? わたしたちは死んだまま? 産まれたかったのに。忘れ去られたままになっておけばよかったの? それが世界なの?』
バットマン『だが、殺しは正当化されない』
749 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:53:05.26 ID:iNQLdeY80
ジャック『殺しじゃない。帰りたかっただけ』
バットマン『被害者達は死んでいったぞ。訳も分からず、理由も分からず』
ジャック『……わたしたちだって……! わたしたちだって、生きたかった! でも叶わなかった! だって、生まれる前から、世界が終わっていたんだもん!!』
バットマン『……』
ジャック『……お母さんは泣きながらわたしたちを殺したよ。知ってるもん。だから、帰らなきゃ。帰って、安心させてあげるの。そうすれば、もう一度やり直せるから』
750 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:53:45.55 ID:iNQLdeY80
バットマン『……』
ジャック『……だから、あなたも、おかあさんになってね。わたしたちを、受け入れてね』
バットマン『……』
ジャック『一緒に、幸せをやり直そうよ。おかあさんとなら、大丈夫』
バットマン『……』
751 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:55:21.91 ID:iNQLdeY80
バットマン『……私の目』
ジャック『……?』
バットマン『諦めた目だと言ったな。それは間違いだ』
ジャック『何が言いたいの』
バットマン『能動的に人を変える事などできない。だが世界は変えられる』
ジャック『……』
バットマン『変えてみせる。お前達の世界が破滅しているならば、救う』
ジャック『無理だよ』
バットマン『できる。私も無理だと思っていた』
ジャック『……』
752 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:55:57.88 ID:iNQLdeY80
ジャック『……でも、おかあさんのところに……戻らなきゃ』
バットマン『……』
バットマン『……ならば、私が母親になろう。私の手を取れ、ジャック』
ジャック『……え……』
バットマン『今度こそ、お前を置き去りにはしない。お前を腹に宿す事はできないが、共に戦う事はできる』
ジャック『……』
バットマン『……親の愛が信じられないなら、私は諦める訳にはいかない』
753 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:56:35.25 ID:iNQLdeY80
ジャック『……信じて、いいの?』
バットマン『決して後悔はさせない』
ジャック『ほんとう? ほんとうに? 今度こそ、捨てられないの?』
バットマン『……マーサの名にかけて、誓おう』
ジャック『わたしたちは、まだ幸せになれるの?』
バットマン『お前が諦めないのならば、いつまででも』
ジャック『そう、なんだ……まだ……』
754 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:57:05.59 ID:iNQLdeY80
ジャック『……』
バットマン『……行くぞ、ジャック。手を取れ。あちらでもまだやるならば、相手はしよう』
ジャック『うん……』キュッ
バットマン『……』ギュォォォォォォォッ
ジャック『今度は、捨てないでね』
バットマン『……勿論だ』
ギュォォォォォォォォオオオオオオオ……
755 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:57:51.12 ID:iNQLdeY80
………………
フラン「……ウゥ!!」ダダダッ
アンデルセン「ナーサリー! 怪我は無いか!!」タタタ
ナーサリー「大丈夫よ、平気……だけど、二人が」
ジャック「……」
バットマン「……」
アンデルセン「でかしたぞ、チャンスだ。今の内にこの殺人鬼を放り出すとしよう」
ナーサリー「駄目よ! この黒猫さんとジャックは今戦ってるの、起こしちゃ駄目」
アンデルセン「おのれ……これだから! 低い可能性に賭けられるかと言うのだ、全く!」
ナーサリー「駄目なのっ!!」
アンデルセン「駄目なものか!!」
ナーサリー「ゼッタイダメ!!!」
フラン「ウゥ……」
756 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:58:18.47 ID:iNQLdeY80
アンデルセン「この……」
ナーサリー「分からずやさんの……」
バットマン「ッッ!!!」ババッ、ズササァッ
ジャック「ッ!!」ダンッ、クルクル……スタッ
アンデルセン「!?」
ナーサリー「きゃっ!?」
フラン「!!」スッ
757 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:58:48.08 ID:iNQLdeY80
バットマン「……ハァッ、ハァッ……」ジリッ
ジャック「……」ジッ
アンデルセン「おい。どうなっている」
ナーサリー「……」
バットマン「……ジャック。答えを聞こう。これを続けるならば相手になる」
ジャック「……」
フラン「……」
758 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 17:59:29.70 ID:iNQLdeY80
ジャック「……勝ち目もうすいし、やめるよ」パッ
ナイフ「「」」カラン、カラン
バットマン「……そうか。なら、やめよう」スッ
ジャック「……」
バットマン「……」
ジャック「……っ、おかあさん……っ!」タッタッ、タンッ
バットマン「……」ガシッ
ジャック「おかあさん、おかあさん……おかあさん……」ギュゥゥゥゥゥッ……
バットマン「……大丈夫だ、ジャック」
アンデルセン「……ナーサリー、一部始終を見ていたんだろう。なんだこれは」
ナーサリー「さっぱり……だけど、素敵」
アンデルセン「ワケが分からない事を素敵で済ませるんじゃない!」
ナーサリー「もう! だから人魚姫はバッドエンドになっちゃったのよ!」
アンデルセン「現実をしっかりと……ああクソ、お前はリメイク版でも観ていろ!」
759 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:00:28.18 ID:iNQLdeY80
ダダッ、ガチャリ‼
ジキル「ブルース! 加勢に……え?」
バットマン「……大丈夫だ、博士。少し時間をくれ」
ジャック「……」ギュゥゥゥゥゥゥゥ……
ジキル「……え? どういう……え?」
アンデルセン「ようやくまともな感性の男が来たか! こっちへ来い、貴重なんだ!」
ジキル「……???」
フラン「ウゥ……」
760 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:01:01.76 ID:iNQLdeY80
………………
ジキル「……うん、結論から言うと……やっぱり解毒剤の精製が不可欠だ。二人の精神状態は安定しつつあるが、いつまた恐怖に飲まれるか」
バットマン「……やはりか。ドクター、聞いているか」
ドクター『あぁ、勿論。そちらでも準備しやすい成分の解毒剤を模索しているが……どうにもね。できるだけ簡易化した成分表を送る』ピッピッ
バットマン「……どうだ、ジキル博士。これを作るのは可能か?」
ジキル「……うーん……少し厳しいな。東南アジアとかアメリカ辺りにしか自生していない植物の成分が含まれてる」
バットマン「そうか……いや待て。キャプテンドレイク……大航海時代の名残だ。世界中の植物が植物園に集められているハズ。そこにも無いか?」
ジキル「ああ! そこならあるハズだ、きっと見つけられる!」
バットマン「良し。ならそこへ向かうとしよう」
761 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:01:43.87 ID:iNQLdeY80
………………
バットマン(……植物園は少し遠い。巡回する自動人形、ロボット達とはあまり遭遇したくない)
地図「」ペラ……
バットマン(……ロボットの武装は遠距離もカバーしてくる。直線の道は避け、曲がり角の多い道を採用しつつ……)
バットマン(……しかし、無理だ。最低でも何度か戦う事になる。消耗した状態で、B・P・M・Sの面子に出くわさないとも限らない)
バットマン(……)
762 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:02:12.60 ID:iNQLdeY80
モードレッド「おい。オレ達を連れて行かねえなんて言うんじゃねえだろうな」
バットマン「……モードレッド。回復したか」
モードレッド「恐怖なんざ、下らねえ。行けるぜ、オレは……ちょっと取り乱してただけだ」
バットマン「……」
モードレッド「連れて行け。戦力になる。今度こそ負けねえ」
バットマン「……当然、そうする。休む暇などないぞ」
モードレッド「上等だ……」
763 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:02:46.12 ID:iNQLdeY80
………………
バットマン「マシュ。行けるか」
マシュ「! マスター……はい。その、ご迷惑をおかけして……」
バットマン「大丈夫だ。行けるなら準備をしろ。まずは植物園へ向かう……長丁場になる」
マシュ「……はい。平気です」
バットマン「今からちょうど15分後、全員で出発だ。正面玄関で会おう」スタスタ
マシュ「……あの、マスター!」
764 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:03:13.09 ID:iNQLdeY80
バットマン「どうした」クル
マシュ「……」
バットマン「……どうした、マシュ」
マシュ「……あの、ベインさんに……手も足も出ずに……負けてしまって」
バットマン「……」
マシュ「……これから先、ずっと……戦って、勝っても、いつかあの人が立ちはだかるんじゃないかって」
バットマン「……」
765 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:03:45.99 ID:iNQLdeY80
バットマン「……きっと奴は、そうなるように全力を尽くすだろう。もう一度ベインと闘うその時は来る。だが、マシュ」
マシュ「……」
バットマン「我々は破滅の為に戦っているのではない。この戦いの先にあるのは破滅ではない。乗り越えるべき壁だ」
マシュ「……」
バットマン「それに、戦いだけが全てではない。作戦で勝てる事もある……悲観するな、奴は完璧ではないさ」
マシュ「……はい」
バットマン「15分後だ。正面玄関で会おう」スタスタ
766 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:04:12.03 ID:iNQLdeY80
バットマン(……きっと奴はもう一度現れる。ベインは)
バットマン(作戦で勝てる事もある。事実だ……だが、言っていない事実もある)
バットマン(戦略的視点ですら、ベインは私と拮抗、または上を行く)
バットマン(……果たしてこの恐怖は、恐怖ガスの影響によるものか。それとも……)
バットマン「……破滅が待つ、か」
767 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/06/02(土) 18:04:40.48 ID:iNQLdeY80
(((お前を殺せば、きっと世界は終わるのだろう。悲しむべき事だ)))
(((だが、それがどうした)))
(((世界の破滅も良いだろう、見てやろう。所詮守るべくもない)))
バットマン「……」
バットマン(破滅に身をさらし、世界を守る。その価値は、あるか?)
768 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/06/02(土) 18:07:06.72 ID:iNQLdeY80
今日の更新はここまでです。マッドハッターの帽子の能力を拡大解釈してすみません……ジャービスファンの方、どうか怒らないで。
あと遅れてすみません。待って下さった方本当にありがとうございます
769 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/02(土) 18:24:13.72 ID:KA56htl1O
舞ってたぞ
770 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/02(土) 18:41:02.16 ID:YaWSfu6Go
乙乙
771 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/02(土) 19:54:56.94 ID:IXECUp1vo
相変わらずのクオリティ
安心した
772 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/02(土) 22:39:59.32 ID:I3T3MhJFo
毎度面白い乙乙
773 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/06/03(日) 10:25:00.69 ID:JPWn3ng4O
乙、こうしてみると4章は内面に問題がある面子が多かったんだな、まともなのはバベッジくらいか?
774 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/09(土) 17:02:42.34 ID:xMzpBW62o
乙
よくジャックのスケッチ残ってたな
視認してもすぐに忘れるのがジャックのスキルなのに
775 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/06/09(土) 21:12:41.36 ID:JHnriFtr0
(やっっっっべ完全に忘れてた)
776 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/06/09(土) 21:13:36.45 ID:JHnriFtr0
(何かしら後付けの理由を付けますので何卒……何卒……)
777 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:01:29.53 ID:aYEhFwXa0
「見てくれ、チャールズ」
この少女(フラン)は最高傑作になる……そう言う男の笑顔は、屈託のないものであった。私にはその作品の素晴らしさが分からず、首をかしげるばかりであったが。
「ははは。これはイヴだよ、チャールズ。もう少しで、私は完璧だった人類を造り出せる」
「イヴ。最初の人類か……ヴィクター、そんな事が可能なのか?」
「勿論だとも! 私はこれで世界を変えてみせるぞ!」
ヴィクターは笑っていた。私も笑みを浮かべ、激励の言葉を口にしたのだと思う。
一人が世界を変えられる。その時の私達は、まだそう信じていた。
778 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:02:16.55 ID:aYEhFwXa0
「見るがいい、チャールズ」
世界の真実は恐怖だ……そう呟く男の目は何も映していなかった。霧に飲まれて行く街の中、人々は怖気づき、殺気立ち、隣人や家族を手にかけた。
「これが真実だ、チャールズ。嘘のヴェールをはぎ取れば、世界は容易く崩れ去る」
「……では、やはりこれが真実だったのだな。スケアクロウ」
「勿論だとも。世界はとうに終わっていた」
スケアクロウは無表情に言った。我も無感情に、諦めきって世界を見下ろしていたのだと思う。
世界を変える事などできない。我々は、結論に達してしまっていた。
779 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:02:50.24 ID:aYEhFwXa0
私は、星を目指していたのだと思う。
蒸気機関はいつか天を超える。そして、あの輝きの元へ至れるのだと、そう信じていた。
いつからか、蒸気が空を覆うようになっていった。我々では無理だ。仲間の研究者の誰かが、そう呟いたのを聞いた。地を走り、海を渡ろうとも、星へ至る事だけはできなかった。
人々は星に目もくれない。たとえ一人で星に手を伸ばしても、世界は変わるハズもない。
いつからだろうか。蒸気が空を覆うのを、言い訳じみて見つめていたのは。
780 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:03:27.60 ID:aYEhFwXa0
………………
チュゥン‼ ドッガァァァァァン‼
ロボットA「殲滅、シマス」ババババババババババ
ロボットB「……」ガシャン、ガシャン
バットマン「無事か、博士!」ズシャシャッ
ジキル「っ、ブルース。ああ、こちらは大丈夫だ!」チュウン!バチュン!!
バットマン「ジャック、出過ぎるな! マシュはアンデルセン、ナーサリーを庇いつつ防御を! フラン、モードレッド、まだ掛かるか!?」
フラン「ゥウ……!!」ブォンッ、ガッシャァァァァァ
モードレッド「うっせェぞ! 今やってんだろうが!!」ガシャァァァァ、ガッキャァァァァァァ‼
自動人形A「……」ウィー、ウィー
自動人形B「殺害」ウィー……ココココココ……
781 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:03:58.70 ID:aYEhFwXa0
バットマン(……ジリ貧。ジャックの働き次第……いや、賭けはしたくない。何処か、挟み撃ちにされにくい場所は……)
看板『UNDER GROUND』
バットマン「……!! 全員、地下鉄のホームへ飛び込むぞ! 急げ!」
モードレッド「あぁ!? 敵に背中を見せるってのか!?」
バットマン「戦略的撤退だ、大局を見失うな! マシュ、宝具を解放できるか!?」
マシュ「可能です!」
バットマン「今すぐ解放しろ! 全員、タイミングを合わせて撤退に動け!」
モードレッド「クッソが……!!」ギリッ
782 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:04:24.74 ID:aYEhFwXa0
マシュ「真名、偽装登録……行きます! 『ロード・カルデアス』!!」ゴォォォォォォォォォォォォォォッ‼
バットマン「今だ! 全員階段を降りろ! フランは待て!」
フラン「わかった!」
ナーサリー「お先にごめんなさいっ!」タタタッ
アンデルセン「手を引くな! 転げ落ちるわ!」ヨロロッ
ジャック「さきに行ってるね、おかあさん!」タタッ
モードレッド「チクショウが……」ギリィ、ダダッ
バットマン「……よし、マシュ! いつでも防御を解放して良いぞ!」
マシュ「……! ……!! 分かりました、もう少し……ふぅっ」ブゥン……ガギャギャギャギャギャギャ‼
783 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:05:17.04 ID:aYEhFwXa0
バットマン「フラン、今だ! 辺り一帯の霧に電撃を走らせろ!」
フラン「ウゥゥゥゥゥゥァァァアアアアアアアァァァア!!!」バチバチバチバチバチバチバチィィィィィ‼
霧「「「」」」バチチチチチチチチチチチチチィ‼
ロボット達「「「ズズズズズズズズズズググググググググ……」」」バチ、バチバチ……
自動人形達「「「ガガガガガピピピピピ……」」」ビリビリビリビリ、ビリ……
バットマン「今だ、マシュ、フラン! 地下鉄へ!」
マシュ「はい!」ダダッ
フラン「ウゥ……」バチ、バチバチ……フラッ
バットマン「……! 行くぞ」ガシッ、タタタ
フラン「ごめん……」ヨロヨロ
784 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:05:45.93 ID:aYEhFwXa0
ドクター『無事かい、ブルース!?』
バットマン「あぁ、無事だ。霧の魔力伝導率が極端に高いという発見のお陰だ……」コツコツ
ドクター『良かった……そこは何処だい、霧ほどじゃないけど電波状況が悪いな……』
バットマン「……地下鉄のホームへ降りている。これからもっと悪化するだろう。少し通信を切る」ピッピッ
フラン「……もう、大丈夫」
バットマン「そうか。いきなり無理難題を吹っ掛けて悪かった……ゆっくりでいいぞ」
フラン「ウゥ……」フリフリ
785 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:06:12.69 ID:aYEhFwXa0
バットマン「全員無事か」
マシュ「はい!」
ジャック「へいきだよ」
ナーサリー「居るわっ」
アンデルセン「……暗いな、ここは」
フラン「ウゥ」
モードレッド「……居るよ」
バットマン「……地下鉄への降下は予定とは違うが、まあいい。このまま、できるだけ植物園に近い駅に出るぞ」
全員「「「はい!(了解)」」」
786 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:06:39.07 ID:aYEhFwXa0
看板『→Next Sta.BAKER STREET』
ポスター『なんと言っても19世紀! 地下鉄(The tube)はロンドン市民のたしなみ』
ポスター『生活にお困り? なら、スコットランドヤードが解決します!』
ポスター『日々の癒し、新たな発見……王立キュー植物園は二駅先』
バットマン「……少し歩くようだ。どうだマシュ、追手の足音は聞こえるか?」
マシュ「……微かに聞こえます。ですが、まだ電撃から復旧し切っていない……混乱が生じているようです」
バットマン「良し……全員並びを崩すな。このままチューブの中を進む」
787 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/14(木) 23:07:01.01 ID:4SEcEX4BO
期待
788 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:07:10.29 ID:aYEhFwXa0
アンデルセン「本当に真っ暗だな、ここは……ランプを持ってきたのは正解だった」カチャ、ポウッ
ジキル「なんと言っても19世紀だ。ありがたいよ」コツコツ
フラン「ウゥ」コクコク
マシュ「……」コツコツ
モードレッド「……」ズンズン
バットマン「……」
バットマン(……闇は想像の余地を与える。マシュとモードレッドが恐怖に掻き立てられていなければ良いが)コツ、コツ……
789 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:07:48.83 ID:aYEhFwXa0
ナーサリー「まぁ……本当に管のようになっているのね! おもしろいわっ」
ジャック「おもしろーい!」
「おもしろーい!」
「……しろーい……」
「……ーい……」(反響)
ジャック「……!!」キラキラ
ナーサリー「まあ、響いて返って来るのね! まるで何人もジャックがいるみたいだわ!」キラキラ
アンデルセン「……お前達の能天気さは本当に……世界の危機だというのに、頭が痛くなってくるぞ」
モードレッド「……」イライラ
790 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:08:15.70 ID:aYEhFwXa0
アンデルセン「む、これは」
ジキル「……蒸気車両だ。機関車がチューブを塞いでる……どうする、ブルース」
バットマン「待ってくれ、少し……ドクター、聞こえるか」
ドクター『ザザ……聞こえる……シグナルは悪いけど……ザザザッ……』
バットマン「私達の目の前にある車両内部をスキャンできるか。何か罠が無いとも限らない」
ドクター『りょうか……ザザッ……ノイズ……酷いが、断片情報を……ザザザザ……み合わせた結果、そこは……ザザザザザザ……問題無い』
バットマン「……行くぞ。車両内部を通過する」ガチャリ、ギィィィ
791 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:09:22.00 ID:aYEhFwXa0
ジキル「……まだ石炭が生きている。つい最近まで稼働があったんだろうね……無茶をしてたものだ」コツ、コツ
ナーサリー「すごいわ、本当に本の中みたい……」テクテク
ジャック「見て見ておかあさん、ぶら下がれるよ!!」ブラァ
モードレッド「……チッ……」
バットマン「つり革で遊ぶのはやめr……怪我をするぞ、気を付けるように」スタスタ
バットマン(……蒸気機関車か。現代と近代の橋渡し……確かにここは歴史のターニングポイントだ)
バットマン(しかし、木製のチューブに蒸気機関車とは。確かに、開発されたばかりの地下鉄では火事が絶えなかったと聞くが……やはり、余計な危険を招く前に迅速な退出が望ましい)スタスタ
モードレッド「……着いたぜ。逆の端っこ、機関車両だ」
バットマン「出るぞ。あまり音を立てないように」スタ、スタ
マシュ「了解です」
バットマン「ジャック。分かったな」
ジャック「はーい」
792 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:10:01.45 ID:aYEhFwXa0
モードレッド「……」ズンズン
バットマン「待てモードレッド、あまり急ぐな」
モードレッド「ああ?」ピタッ
バットマン「ついて行けない者が出ると言ったんだ。スピードを合わせ、ゆっくりと進むぞ」
モードレッド「チッ……ノロいな、チクショウが」
バットマン「……」
793 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:10:46.02 ID:aYEhFwXa0
………………
コツ、コツ……
バットマン「……待て、一旦止まれ」
モードレッド「あぁ?」ガチャリ
バットマン「定期確認だ。マシュ、何も聞こえないか?」
マシュ「……いいえ、何も聞こえません」
バットマン「……良し、進行を再開する」
モードレッド「……んだよ、クソ……」ブツブツ……
バットマン「……苛立つな。慎重に行かなければ……」
モードレッド「うるせえ、分かってる」
バットマン「分かっていたらそんな言葉は……」
モードレッド「うるっせえってんだよ!!!」
794 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:11:19.77 ID:aYEhFwXa0
壁「」ワァン……ワァン……ワァン……
モードレッド「……」フーッ、フーッ
バットマン「……何を恐れている」
モードレッド「……誰が、何を、怖がってるだと?」チャキッ
バットマン「今のお前は異常だ。何を苛立っている。何を焦っている」
モードレッド「誰が!? 怖がってるだと!!?」
バットマン「傍目にも明らかだ。ベインに負けてから、お前は……」
モードレッド「テメェ!!」ガシッ
795 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:11:54.74 ID:aYEhFwXa0
マシュ「も、モードレッドさん!」ガシッ
モードレッド「離せ! テメェもういっぺん言ってみろ……オレが、なんだってんだ!!」バッ、グイッ
バットマン「お前の行動が士気を乱すものになると言っている。緩和剤は打ったハズだ、恐怖を抑えろ」
モードレッド「クソが……! テメェがオレに指図すんじゃねえ!」
バットマン「私が気に食わないだけか? ならば指揮はアンデルセン辺りに任せよう。それで満足か?」
モードレッド「おちょくってんのか……!!」ギリィ
バットマン「……そうではないのだろう。だから言っている、モードレッド。恐怖を抑えろ。飲まれるな」
モードレッド「テメェがオレの何を知ってんだ!!」バシィ
796 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:12:23.09 ID:aYEhFwXa0
ワァン……ワァン……ワァン……
バットマン「……」ジリッ
モードレッド「……」ギリッ
マシュ「……」
アンデルセン「……」
ナーサリー「……」
暗闇「」…………、……
ジャック「……?」
蒸気「」ズォォォォォォ……
797 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:12:58.36 ID:aYEhFwXa0
暗闇「」……、……、……
マシュ「……? これは」
蒸気「」ズォォォォォ……
アンデルセン「何だ。下らん諍いの次はボヤ騒ぎか?」
ナーサリー「待って。何か聞こえてこない?」
ジャック「……これ、足音だ。後ろから」
バットマン「しまった、チューブ内で声が反響して地上に届いたか……走るぞ」
マシュ「待って下さい、前方のホームへ降りて来る足音も……!」
バットマン「全速力だ! 挟み撃ちにされる前に全員目的地のパディントン駅を目指せ!」ダッ
モードレッド「クソ、チクショウが……!」ダンッ
798 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:13:42.65 ID:aYEhFwXa0
ガシャ、ガシャ、ガシャン……
ロボットC「発見、発見。全個体へ通達。チューブ内をパディントン方面へ向かって走る標的たちを発け……ガガピー!」バガガッ
アンデルセン「ふうっ! 少し遅かったか、恐らく地上のロボット部隊が地下鉄へ降りて来るぞ!」タタタタタタタ
バットマン「走れ、走れ!! 全員止まるな!! 行け!!」ダッダッダッダッダッ
マシュ「ま、マスター!」
バットマン「どうした!?」
マシュ「前方、暗闇の中に何か見えます!!」
バットマン「何……」
799 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:14:13.69 ID:aYEhFwXa0
恐怖ガスの幻覚だ。そう返そうとしたブルースは、闇に目を凝らし、瞬時にそれを撤回した。
ジャックも、ナーサリーも、アンデルセンも、モードレッドも止まる。ジキルはつられて『それ』に気づき、見上げるように首をのけぞらせる。
それは暫時、身動きを止めていた。抵抗勢力が此処に来ると分かっていて、待ち伏せていたかのようでもあった。
それが身じろぎした時、闇が波打ち、何倍にも大きく見えた。実際それは巨人じみて、その場に居る誰よりも大きく、質量も備えていた。関節部が駆動し、蒸気が噴き出す。
(怪物だ)
恐怖が囁いた。それは伝播し、抵抗勢力の誰もが共有する感覚となった。
ガシャリ。機械の鎧が軋み、蒸気のエネルギーが満ち満ちてゆく。闇を切り裂き、真紅のモノアイが点灯する。それはブルース達を睥睨し、敵意でもって輝いた。
「我が名は、チャールズ・バベッジ。蒸気王」
蒸気が噴出する。立ち上がった怪物は、紳士然とした態度で名乗りをあげた。
800 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:14:50.34 ID:aYEhFwXa0
バベッジ「やはり生き延びたか。……いや、最初からベインは貴様らを殺す気などなかった。ならば当然と言うべきであろう」
モードレッド「……!」ギリィ
バットマン「どういう事だ。何故ベインは私達を生かした」
バベッジ「……問いに価値無し。我は貴様らを止めるためにこそ此処に居る。植物園で解毒剤を作らせる訳には行かない」
フラン「どうして」
バベッジ「……ヴィクターの娘か。何故ならば、この世界に価値が無いからである」
フラン「……」
801 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:15:40.70 ID:aYEhFwXa0
バベッジ「貴様らが歩む世界は夢を切り捨てたそれである。悪が真実となり、希望が偽善となる。そんなものを認めるわけにはいかない」
マシュ「そんな事は……」
バベッジ「数列と同じなのだ、年若き乙女よ。もはや予測はついている。勇者はおらず、恐怖がのさばる。人々は目を伏せ、星を目指さず死んで行く。そんな世界に、どれほどの価値がある?」
フラン「……」
バベッジ「だからこそだ。恐怖が真実になってしまったのならば、それを変える。世界にとっての悪であろうと、我々にとっての正義である」ガシャリ
ロボットD「……」ガシャリ、ガシャリ
ロボットE「……」ガシャリ、ガシャリ
ロボット達「「「……」」」ガシャン、ガシャン、ガシャン
バットマン(……挟撃。圧倒的不利。チューブからすぐに脱出しなかったのは悪手だったか)
マシュ「囲まれました、マスター……指示を」
バットマン「全員構えろ。モードレッド、ジャック、フランはバベッジを。アンデルセン、ジキル、マシュ、ナーサリーはロボット達を片付けるんだ」
全員「「「……」」」ジリッ
モードレッド「……ウォラァァァァァァッ!!!」ブォンッ
バベッジ「フン!!」ズォッ
ガッギャァァァァァァァァァァァ‼‼
802 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:16:33.50 ID:aYEhFwXa0
ロボットD「標的捕捉、捕捉、捕捉」ババババババババババ……
ロボットE「捕捉、捕捉、捕捉」ババババババババババ……
マシュ「くぅっ!?」ガギャギャギャギャギャギャ‼
バットマン「耐えてくれ、マシュ……! アンデルセン、ナーサリー! 牽制しろ! ジキル、怯んだ個体を共に仕留めるぞ!」バッ
アンデルセン「簡単に言ってくれるッ!」ギュギュォッ
ナーサリー「ええ、いくわよ!!」ギュォォォッ‼
光弾「「「」」」ゴォォォォッ、ドガァァァァァァァ‼
ロボットD「!」ヨロッ
ロボットE「!!」グラリ
ジキル「そらっ!」ガシ、ズガガッ
ロボットD「グギギ……」ドッサァァァン
バットマン「……ここだ!」バシ……ゴギャリ
ロボットE「捕捉捕縺ョ縺薙」バチバチバチ……ギュギギギギギ……
803 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:17:11.16 ID:aYEhFwXa0
ジャック「やあっ!」ヒュヒュヒュンッ
バベッジ「……この鉄の鎧には、効かぬ!」ガギャギャギャ、ブォンッ
ジャック「っ」タンッ、クルンッ
モードレッド「……ならオレはどうだ、機械ヤロウ!!!」ギュォッ
バベッジ「軽い! 腰の入らぬ剣戟など!」ブォンッ、ゴォッシャァァァァァァァァ‼
モードレッド「ぐっあ……!?」ゴォッ、ドガァァァァァ……
モードレッド(……クソ、手が震えやがる……!)プルプル……
バベッジ「やはり、不可能なのだ。人は内なる恐怖には勝てん」ブシュー……
バチ、バチチチチチチチチ……
バベッジ「むっ……」
フラン「ゥゥー……!!!」バチチチチチチチチィ……‼
バベッジ「……ヴィクターの娘。立ちはだかるか」
804 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:17:46.76 ID:aYEhFwXa0
バベッジ「見たはずだ。勇猛な騎士でさえ、自らの恐怖に押し負けた。生まれたばかりのお前は尚更であろう」
フラン「……こわく、ない!」
バベッジ「意地を張るのはよせ。フラン、お前は我が友の作品。壊したくない形見なのだ」
フラン「私はモノじゃない!!」
バベッジ「……謝罪する。だが、結果は変わるまい」ブシュー、ガチャリ……
フラン「変える!!」カチャッ
バベッジ「ああ、無知より尚愚かである。事実を知ってしかし足掻くその熱は、若さである。……よかろう、一撃で沈めてくれる!!」ブォンッ
805 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:18:24.35 ID:aYEhFwXa0
フラン「っ!!」ブォンッ、ガギャァァァァァァァァ‼
バベッジ「……やはり非力。我が蒸気機関のパワーの前では、なべて赤子の手を捻るが如し」ブシュー、ギリギリギリギリギリ……
フラン「ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……」ギリギリギリギリ、ジリジリジリッ
バベッジ「……フン!!」ブォンッ、ドゴォッ
フラン「うぁっ!?」ゴシャシャシャ、ドガァァァァァ‼
モードレッド「っ、フラン!!」
バベッジ「次は貴様である」ブシュー……
806 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:18:56.40 ID:aYEhFwXa0
ジャック「させないよっ!」タタッ、ギュォッ
バベッジ「貴様の刃。通らぬと言ったハズだ」ガギャァァァァァ、ブォンッ
ジャック「っく……」クルクル、スタッ
バベッジ「千日手も良いが、我は早々に決着を望む」ガシッ、グォッ
ジャック「あっ!?」ブラァン
バベッジ「……ぬぅぅぅぅぅん!!」ブンッ、ゴッシャァァァァァァァァァアアア‼
ジャック「あぐっ……」ガシャァァァァァァ……
807 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:19:28.76 ID:aYEhFwXa0
モードレッド「テメェ……!」プル、プル……
モードレッド(……駄目だ、脚が、すくんで、動かねえ……)
(((無価値)))
モードレッド(やめろ。オレは無価値じゃねえ)
(((所詮はアルトリア王の影)))
モードレッド(クソ!! なんでいつもこうなんだ! オレはただ……)
(((お前を騎士とは認めまい)))
モードレッド(……ただ、あの人を……)
ブシューッ、ガチャン、ガチャン……ブシューッ……
バベッジ「トドメである」ガチャン、ガチャン……
808 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:20:07.54 ID:aYEhFwXa0
バットマン(……不味い、アレではモードレッド達が負ける!)ドクン‼
(((ブルース、皆を頼んだ!)))
バットマン(……)ドクン……
バットマン(前方にはバベッジ。巨体。蒸気で稼働する鎧。圧倒的なパワー。
後方にはロボットの群れ。重武装。長距離をカバーする銃。
こちらの残存勢力、マシュ、アンデルセン、ジキル。モードレッドは攻撃を受け、移動不可。
チューブ内。ならば結論はひとつ)
バットマン「……マシュ、バベッジを抑えろ。アンデルセン、ナーサリー、ロボの群れを退けろ。ジキル、行くぞ」
ジキル「え……?」
809 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:21:05.56 ID:aYEhFwXa0
バットマン「行くぞ。これしかない。頼めるな、マシュ」
マシュ「……はい。大丈夫です、マスター。行って下さい」ガチャリ
アンデルセン「なんだ。死ねという命令か」
バットマン「……それはお前達次第だ」
ジキル「ブルース、どういう事だ!? 残しては行けない!」
バットマン「だがこのままでは勝てもしない」
810 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:21:33.90 ID:aYEhFwXa0
バベッジ「逃走。実に人間らしい選択である」ブシュー、ガシャン
マシュ「あなたの相手は私です!」ダダッ、ガシャリ
バベッジ「良かろう。せめて苦しませまい」
アンデルセン「行くと決めたなら早く行け! そう長く活路は開いておいてやれん!」ギュギュギュオッ‼
ナーサリー「心配ご無用よ、私達は強いもの!」ギュォォォッ‼
光弾「「「」」」ゴォォオォッ‼
ロボットE「ガガガッ……」ヨロッ
ロボットF「ギギ……」
バットマン「行くぞ、ジキル博士」
ジキル「無理だ! 皆を置いて行ける訳が……」
バットマン「議論する時間はない。……すまない、アンデルセン、ナーサリー、マシュ」
アンデルセン「フン……早く行け!」
バットマン「行くぞ」ガシッ、ダッダッダッ
ジキル「離してくれブルース!! 待ってくれ……待ってくれ!!」ズル、ズルズル、ヨロヨロ
811 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:22:01.61 ID:aYEhFwXa0
バベッジ「哀れ也。主人が去って尚、勝てぬ戦いに身を投じる貴様は……どこにそんな忠義を持つ?」
マシュ「勝てない戦いとは思っていません! 必ず、勝ちます!!」ガシャリ
バベッジ「ならばその希望を持ったまま、力尽きるが良い。後悔など持たぬうちに、片付ける」ブシュー……
モードレッド(……、……)プル……
812 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:22:30.96 ID:aYEhFwXa0
モードレッド(……ハッ、そりゃあ、そうだ。勝てるワケがねえ。この物量差で、この実力差。オレが万全の時だって、勝てたか怪しいもんだ)
バベッジ「そこだ!」グォンッ、ブン‼
マシュ「きゃっ!?」ガガガッ、ドサァッ
モードレッド(誰だって逃げるさ。ブルースのヤロウだって、オレだって……オレだって、生身の時なら、ケツまくって逃げ出してただろうよ……)プル、プル……
モードレッド(……そうだ。そうして、オレは……また、自分の価値を消してしまう)
バベッジ「フン!」ギャギャァ、ドッサァァァァァァァン‼
マシュ「うっ……く……!!!」ギリギリギリギリギリギリ
バベッジ「無益だ。楽になるがいい」ギリギリギリギリ……ブシュー……
マシュ「……!!」ギリギリギリギリ……‼
モードレッド(ああ、クソ)プル、プル……
モードレッド(怖えな、チクショウめ)ギリィ……
ブゥゥゥゥゥゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオ‼‼‼
813 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:23:22.77 ID:aYEhFwXa0
ワァン……ワァン……
モードレッド「……は?」
マシュ「!! アンデルセンさん!」ギャリィ、ババッ
アンデルセン「ああ、分かっているさ! ナーサリー、ジャックを避難スペースへ!」
ナーサリー「分かってるわっ!」ガシ、ズルズル
アンデルセン「俺はフランか! ええい、重たいな……!!」グイグイ
バベッジ「……? 何をするつもりだ」
マシュ「まだ逃がしません!!」ブォンッ‼
バベッジ「くっ……」ガギィ‼
トンネル内「」……‼ ……タン‼ ……タンッ‼ ガタンッ‼
814 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:24:45.45 ID:aYEhFwXa0
ブゥゥゥゥゥオオオオオオオオオオーーーー‼ ガタンガタン‼ ガタンガタン‼ ガタンガタン‼
バベッジ「!! まさか、貴様!!」ギャリィ‼
マシュ「そのまさかです! モードレッドさんっ、退避スペースへ……失礼します!!」バシッ、ダダッ
モードレッド「なんだ、何を……アレ、は」
蒸気機関車「」ガタンガタン‼ ガタンガタン‼ ガタンガタン‼
ロボット達「「「」」」バギャッ、ドギャギャギャギャギャ‼
815 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:25:17.83 ID:aYEhFwXa0
バットマン「もっと石炭を入れろ! 出力を最大に保つんだ!!」ガシャ、ガシャ
ジキル「やってる、よ、これしんどいな!!!」ガシャ、ガシャ
バットマン(……直線上。バベッジ、その巨体は避難スペースには潜り込めまい。そして、同じ蒸気機関ならば……負けは、ない!)
蒸気機関車「」ガタンガタン‼ ガタンガタン‼ ブゥゥゥゥゥゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオ‼
バベッジ「おのれ、貴様!!! 蒸気圧、最大……!!」ブシューッ、ブシューッ‼
バベッジ(間に合わない……!)
バットマン「降りろジキル!!」バッ
ジキル「ふえっ!?」ゴォッ
バベッジ「っ」グォォッ
ゴッシャァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアガガガガガガガガガガガガガガガ……ドガァァァァァァァァァァァァァァ‼
816 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:26:15.91 ID:aYEhFwXa0
………………
……ゴゴゴゴゴゴ、ドサァァァァ……
ズリ、ズリ……ズリ、ズリ……
バットマン「……くっ……ぐっ」ズリ、ズリ
バットマン(間一髪で脱出……とは、いかなかったか。衝撃で全身の傷が開こうとしている)
パチ、パチ……ボボゥッ、バチバチ……ゴゴゴゴゴゴゥッ
バットマン(……やはり、火事は免れんか……早く脱出せねば)ズリ、ズリ
ゴゴゴゴゴッ、ガラガラガラ……
バベッジ「……きさ、ま」ガシャリ、ガシャリ……
バットマン「しぶとい奴め……」
817 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:27:33.91 ID:aYEhFwXa0
バベッジ「そんかい、りつ、9、7%……おの、れ。我が理想は、終わり、を、告げようと、している」ブシュ、ブシュッ、ブシューッ
バットマン「……理想だと。諦めきった世界へ進むのが、お前の理想だったとでもいうのか」
バベッジ「世界に、守るべきものなど、なくなって、しまったのだ。悪と、死が、入り乱れる、あの世界には、何も」ギュ、ギュギュギュギュォォォォォォォォーン……グググググッ
バットマン「……」
バベッジ「もはや、損壊は、止まず。貴、様を、道連れに、する……!」ブォンッ
「ウゥッ!!」バッ
バベッジ「……!!」ピタッ
818 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:28:23.84 ID:aYEhFwXa0
パチ、パチパチ。ゴウッ、ゴゴゴゥ……
フラン「……」ジッ……
バベッジ「……フラン……」
フラン「……」
バベッジ「……ああ、そうか。止まってしまったか」シュウシュウ……
フラン「……ウゥ……」
バベッジ「……口惜しいな。やはり、世界は諦めた者へは冷たいのだ」シュウシュウ……
バベッジ「口惜しいな、ヴィクター。口惜しいな、スケアクロウ」
バベッジ「……さらば、我が理想よ」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
フラン「……」
819 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:29:51.45 ID:aYEhFwXa0
バットマン「……二度も助けられたな、フラン……くっ」ググッ、ムクリ
フラン「無理、駄目」スッ
バットマン「いいや、平気だ……他の者は?」
フラン「今、列車の残骸を、退かしてるところ」
バットマン「そうか……いいか、すぐに出なければ。火災で酸素が無くなって動けなくなる……行くぞ」スタスタ……ヨロッ
フラン「!!」ガシッ
バットマン「すまない、大丈夫だ……」
バットマン(……いかん、体も限界が近い……)フラフラ
820 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:30:23.26 ID:aYEhFwXa0
モードレッド「ぐんぬぬぬぬぬ……!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ
ジキル「うぅぅぅぅぅ……」グググググググッ
列車「」ギゴゴゴゴゴゴ……ゴロォ
ジキル「よし、やった!」
モードレッド「おら、出ろ!」
マシュ「あ、有難うございます!」
ジャック「ありがとう!」
アンデルセン「おい何だ!? 今度は本当に火事か!?」
ナーサリー「大変……早くここから出なきゃ」
821 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:30:54.09 ID:aYEhFwXa0
バットマン「全員無事か」
マシュ「マスター! はい、無事です!」
ナーサリー「無事よ。……あなたこそ、大変みたいだけど」
バットマン「平気だ。全員今すぐここから出るぞ、チューブ内は危険だ」
ジャック「さんせい!」
バットマン「よし……パディントン駅は、すぐそこに……」グラッ
グラグラグラッ、ゴゴゴゴゴゴゴ……‼
モードレッド「っ、あぶねえ!」ダッ
バットマン「っ!?」ドサッ
ジキル「うわっぷ!?」ドサァッ
822 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:31:21.05 ID:aYEhFwXa0
炎上する瓦礫「」ガラガラガラ……ゴゥッ、ゴゴゥッ
バットマン「なっ……しまった、分断されたか。マシュ! 聞こえるか!」
マシュ「は、はい! 聞こえます!」
バットマン「パディントンに近いのはそちらだ、そこからキュー植物園へ向かって安全を確保してくれ! こちらは一旦別の駅から退出を試みる! 後で合流しよう!」
マシュ「了解しました! どうかご無事で、マスター!」
バットマン「ああ! ……急いで出るぞ、危険だ」
モードレッド「おう」
ジキル「ああ。……行くとしよう」
823 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:32:01.64 ID:aYEhFwXa0
タタタタタタ……
バットマン「……っく……」ダッダッダッ……フラッ
モードレッド「っ、おい。シャキっとしろ」ガシッ
バットマン「すまない、大丈夫だ……平気だ。行ける」
モードレッド「……いいや、無理だな。オレが抱えてやる」
ジキル「そうだね。僕には重すぎる」
モードレッド「ハ、正直な奴……」
バットマン「……すまない」
モードレッド「……」ガシッ、グイッ
824 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/06/14(木) 23:32:51.54 ID:aYEhFwXa0
ゴゴゥッ、ゴゴゴゴ……
ダッダッダッ
モードレッド「……オレ、お前の事、もっと根性無しだと思ってたよ。何かあったらすぐ戦場から逃げ出す奴だと思ってた」ダッダッダッ
バットマン「……」ユッサユッサユッサ
モードレッド「だから、まあ、なんだ。……悪かったな、いろいろ。突っかかって」
バットマン「……」
モードレッド「……何か言えよ」
バットマン「……いや、気にしていない」
モードレッド「嘘つけ」
バットマン「気にしていない」
モードレッド「素直じゃねえ奴!!!」
ジキル(……なんでお姫様抱っこなんだ……???)タッタッタッタッ
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