バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」

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774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/09(土) 17:02:42.34 ID:xMzpBW62o


よくジャックのスケッチ残ってたな
視認してもすぐに忘れるのがジャックのスキルなのに
775 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/06/09(土) 21:12:41.36 ID:JHnriFtr0
(やっっっっべ完全に忘れてた)
776 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/06/09(土) 21:13:36.45 ID:JHnriFtr0
(何かしら後付けの理由を付けますので何卒……何卒……)
777 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:01:29.53 ID:aYEhFwXa0

「見てくれ、チャールズ」

 この少女(フラン)は最高傑作になる……そう言う男の笑顔は、屈託のないものであった。私にはその作品の素晴らしさが分からず、首をかしげるばかりであったが。

「ははは。これはイヴだよ、チャールズ。もう少しで、私は完璧だった人類を造り出せる」

「イヴ。最初の人類か……ヴィクター、そんな事が可能なのか?」

「勿論だとも! 私はこれで世界を変えてみせるぞ!」

 ヴィクターは笑っていた。私も笑みを浮かべ、激励の言葉を口にしたのだと思う。

 一人が世界を変えられる。その時の私達は、まだそう信じていた。


778 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:02:16.55 ID:aYEhFwXa0

「見るがいい、チャールズ」

 世界の真実は恐怖だ……そう呟く男の目は何も映していなかった。霧に飲まれて行く街の中、人々は怖気づき、殺気立ち、隣人や家族を手にかけた。

「これが真実だ、チャールズ。嘘のヴェールをはぎ取れば、世界は容易く崩れ去る」

「……では、やはりこれが真実だったのだな。スケアクロウ」

「勿論だとも。世界はとうに終わっていた」


 スケアクロウは無表情に言った。我も無感情に、諦めきって世界を見下ろしていたのだと思う。


 世界を変える事などできない。我々は、結論に達してしまっていた。


779 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:02:50.24 ID:aYEhFwXa0



 私は、星を目指していたのだと思う。

 蒸気機関はいつか天を超える。そして、あの輝きの元へ至れるのだと、そう信じていた。


 いつからか、蒸気が空を覆うようになっていった。我々では無理だ。仲間の研究者の誰かが、そう呟いたのを聞いた。地を走り、海を渡ろうとも、星へ至る事だけはできなかった。


 人々は星に目もくれない。たとえ一人で星に手を伸ばしても、世界は変わるハズもない。


 いつからだろうか。蒸気が空を覆うのを、言い訳じみて見つめていたのは。



780 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:03:27.60 ID:aYEhFwXa0



………………

チュゥン‼ ドッガァァァァァン‼

ロボットA「殲滅、シマス」ババババババババババ

ロボットB「……」ガシャン、ガシャン



バットマン「無事か、博士!」ズシャシャッ

ジキル「っ、ブルース。ああ、こちらは大丈夫だ!」チュウン!バチュン!!

バットマン「ジャック、出過ぎるな! マシュはアンデルセン、ナーサリーを庇いつつ防御を! フラン、モードレッド、まだ掛かるか!?」



フラン「ゥウ……!!」ブォンッ、ガッシャァァァァァ

モードレッド「うっせェぞ! 今やってんだろうが!!」ガシャァァァァ、ガッキャァァァァァァ‼

自動人形A「……」ウィー、ウィー

自動人形B「殺害」ウィー……ココココココ……


781 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:03:58.70 ID:aYEhFwXa0


バットマン(……ジリ貧。ジャックの働き次第……いや、賭けはしたくない。何処か、挟み撃ちにされにくい場所は……)


看板『UNDER GROUND』

バットマン「……!! 全員、地下鉄のホームへ飛び込むぞ! 急げ!」

モードレッド「あぁ!? 敵に背中を見せるってのか!?」

バットマン「戦略的撤退だ、大局を見失うな! マシュ、宝具を解放できるか!?」

マシュ「可能です!」

バットマン「今すぐ解放しろ! 全員、タイミングを合わせて撤退に動け!」

モードレッド「クッソが……!!」ギリッ


782 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:04:24.74 ID:aYEhFwXa0


マシュ「真名、偽装登録……行きます! 『ロード・カルデアス』!!」ゴォォォォォォォォォォォォォォッ‼

バットマン「今だ! 全員階段を降りろ! フランは待て!」

フラン「わかった!」


ナーサリー「お先にごめんなさいっ!」タタタッ

アンデルセン「手を引くな! 転げ落ちるわ!」ヨロロッ

ジャック「さきに行ってるね、おかあさん!」タタッ

モードレッド「チクショウが……」ギリィ、ダダッ


バットマン「……よし、マシュ! いつでも防御を解放して良いぞ!」

マシュ「……! ……!! 分かりました、もう少し……ふぅっ」ブゥン……ガギャギャギャギャギャギャ‼


783 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:05:17.04 ID:aYEhFwXa0


バットマン「フラン、今だ! 辺り一帯の霧に電撃を走らせろ!」

フラン「ウゥゥゥゥゥゥァァァアアアアアアアァァァア!!!」バチバチバチバチバチバチバチィィィィィ‼


霧「「「」」」バチチチチチチチチチチチチチィ‼


ロボット達「「「ズズズズズズズズズズググググググググ……」」」バチ、バチバチ……

自動人形達「「「ガガガガガピピピピピ……」」」ビリビリビリビリ、ビリ……


バットマン「今だ、マシュ、フラン! 地下鉄へ!」

マシュ「はい!」ダダッ

フラン「ウゥ……」バチ、バチバチ……フラッ

バットマン「……! 行くぞ」ガシッ、タタタ

フラン「ごめん……」ヨロヨロ


784 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:05:45.93 ID:aYEhFwXa0


ドクター『無事かい、ブルース!?』

バットマン「あぁ、無事だ。霧の魔力伝導率が極端に高いという発見のお陰だ……」コツコツ

ドクター『良かった……そこは何処だい、霧ほどじゃないけど電波状況が悪いな……』

バットマン「……地下鉄のホームへ降りている。これからもっと悪化するだろう。少し通信を切る」ピッピッ

フラン「……もう、大丈夫」

バットマン「そうか。いきなり無理難題を吹っ掛けて悪かった……ゆっくりでいいぞ」

フラン「ウゥ……」フリフリ


785 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:06:12.69 ID:aYEhFwXa0


バットマン「全員無事か」

マシュ「はい!」

ジャック「へいきだよ」

ナーサリー「居るわっ」

アンデルセン「……暗いな、ここは」

フラン「ウゥ」

モードレッド「……居るよ」


バットマン「……地下鉄への降下は予定とは違うが、まあいい。このまま、できるだけ植物園に近い駅に出るぞ」

全員「「「はい!(了解)」」」


786 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:06:39.07 ID:aYEhFwXa0


看板『→Next Sta.BAKER STREET』


ポスター『なんと言っても19世紀! 地下鉄(The tube)はロンドン市民のたしなみ』

ポスター『生活にお困り? なら、スコットランドヤードが解決します!』

ポスター『日々の癒し、新たな発見……王立キュー植物園は二駅先』


バットマン「……少し歩くようだ。どうだマシュ、追手の足音は聞こえるか?」

マシュ「……微かに聞こえます。ですが、まだ電撃から復旧し切っていない……混乱が生じているようです」

バットマン「良し……全員並びを崩すな。このままチューブの中を進む」


787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/14(木) 23:07:01.01 ID:4SEcEX4BO
期待
788 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:07:10.29 ID:aYEhFwXa0


アンデルセン「本当に真っ暗だな、ここは……ランプを持ってきたのは正解だった」カチャ、ポウッ

ジキル「なんと言っても19世紀だ。ありがたいよ」コツコツ

フラン「ウゥ」コクコク


マシュ「……」コツコツ

モードレッド「……」ズンズン

バットマン「……」


バットマン(……闇は想像の余地を与える。マシュとモードレッドが恐怖に掻き立てられていなければ良いが)コツ、コツ……


789 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:07:48.83 ID:aYEhFwXa0


ナーサリー「まぁ……本当に管のようになっているのね! おもしろいわっ」

ジャック「おもしろーい!」

「おもしろーい!」
「……しろーい……」
「……ーい……」(反響)


ジャック「……!!」キラキラ

ナーサリー「まあ、響いて返って来るのね! まるで何人もジャックがいるみたいだわ!」キラキラ


アンデルセン「……お前達の能天気さは本当に……世界の危機だというのに、頭が痛くなってくるぞ」

モードレッド「……」イライラ


790 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:08:15.70 ID:aYEhFwXa0



アンデルセン「む、これは」

ジキル「……蒸気車両だ。機関車がチューブを塞いでる……どうする、ブルース」

バットマン「待ってくれ、少し……ドクター、聞こえるか」

ドクター『ザザ……聞こえる……シグナルは悪いけど……ザザザッ……』

バットマン「私達の目の前にある車両内部をスキャンできるか。何か罠が無いとも限らない」

ドクター『りょうか……ザザッ……ノイズ……酷いが、断片情報を……ザザザザ……み合わせた結果、そこは……ザザザザザザ……問題無い』

バットマン「……行くぞ。車両内部を通過する」ガチャリ、ギィィィ


791 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:09:22.00 ID:aYEhFwXa0


ジキル「……まだ石炭が生きている。つい最近まで稼働があったんだろうね……無茶をしてたものだ」コツ、コツ

ナーサリー「すごいわ、本当に本の中みたい……」テクテク

ジャック「見て見ておかあさん、ぶら下がれるよ!!」ブラァ

モードレッド「……チッ……」

バットマン「つり革で遊ぶのはやめr……怪我をするぞ、気を付けるように」スタスタ


バットマン(……蒸気機関車か。現代と近代の橋渡し……確かにここは歴史のターニングポイントだ)

バットマン(しかし、木製のチューブに蒸気機関車とは。確かに、開発されたばかりの地下鉄では火事が絶えなかったと聞くが……やはり、余計な危険を招く前に迅速な退出が望ましい)スタスタ


モードレッド「……着いたぜ。逆の端っこ、機関車両だ」

バットマン「出るぞ。あまり音を立てないように」スタ、スタ

マシュ「了解です」

バットマン「ジャック。分かったな」

ジャック「はーい」


792 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:10:01.45 ID:aYEhFwXa0


モードレッド「……」ズンズン

バットマン「待てモードレッド、あまり急ぐな」

モードレッド「ああ?」ピタッ

バットマン「ついて行けない者が出ると言ったんだ。スピードを合わせ、ゆっくりと進むぞ」

モードレッド「チッ……ノロいな、チクショウが」

バットマン「……」


793 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:10:46.02 ID:aYEhFwXa0

………………


コツ、コツ……


バットマン「……待て、一旦止まれ」

モードレッド「あぁ?」ガチャリ

バットマン「定期確認だ。マシュ、何も聞こえないか?」

マシュ「……いいえ、何も聞こえません」

バットマン「……良し、進行を再開する」

モードレッド「……んだよ、クソ……」ブツブツ……

バットマン「……苛立つな。慎重に行かなければ……」

モードレッド「うるせえ、分かってる」

バットマン「分かっていたらそんな言葉は……」

モードレッド「うるっせえってんだよ!!!」


794 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:11:19.77 ID:aYEhFwXa0


壁「」ワァン……ワァン……ワァン……


モードレッド「……」フーッ、フーッ

バットマン「……何を恐れている」

モードレッド「……誰が、何を、怖がってるだと?」チャキッ

バットマン「今のお前は異常だ。何を苛立っている。何を焦っている」

モードレッド「誰が!? 怖がってるだと!!?」

バットマン「傍目にも明らかだ。ベインに負けてから、お前は……」

モードレッド「テメェ!!」ガシッ


795 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:11:54.74 ID:aYEhFwXa0


マシュ「も、モードレッドさん!」ガシッ

モードレッド「離せ! テメェもういっぺん言ってみろ……オレが、なんだってんだ!!」バッ、グイッ

バットマン「お前の行動が士気を乱すものになると言っている。緩和剤は打ったハズだ、恐怖を抑えろ」

モードレッド「クソが……! テメェがオレに指図すんじゃねえ!」

バットマン「私が気に食わないだけか? ならば指揮はアンデルセン辺りに任せよう。それで満足か?」

モードレッド「おちょくってんのか……!!」ギリィ

バットマン「……そうではないのだろう。だから言っている、モードレッド。恐怖を抑えろ。飲まれるな」

モードレッド「テメェがオレの何を知ってんだ!!」バシィ


796 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:12:23.09 ID:aYEhFwXa0



ワァン……ワァン……ワァン……


バットマン「……」ジリッ

モードレッド「……」ギリッ

マシュ「……」

アンデルセン「……」

ナーサリー「……」


暗闇「」…………、……

ジャック「……?」


蒸気「」ズォォォォォォ……


797 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:12:58.36 ID:aYEhFwXa0



暗闇「」……、……、……

マシュ「……? これは」


蒸気「」ズォォォォォ……


アンデルセン「何だ。下らん諍いの次はボヤ騒ぎか?」

ナーサリー「待って。何か聞こえてこない?」

ジャック「……これ、足音だ。後ろから」

バットマン「しまった、チューブ内で声が反響して地上に届いたか……走るぞ」

マシュ「待って下さい、前方のホームへ降りて来る足音も……!」

バットマン「全速力だ! 挟み撃ちにされる前に全員目的地のパディントン駅を目指せ!」ダッ

モードレッド「クソ、チクショウが……!」ダンッ


798 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:13:42.65 ID:aYEhFwXa0



ガシャ、ガシャ、ガシャン……


ロボットC「発見、発見。全個体へ通達。チューブ内をパディントン方面へ向かって走る標的たちを発け……ガガピー!」バガガッ

アンデルセン「ふうっ! 少し遅かったか、恐らく地上のロボット部隊が地下鉄へ降りて来るぞ!」タタタタタタタ

バットマン「走れ、走れ!! 全員止まるな!! 行け!!」ダッダッダッダッダッ

マシュ「ま、マスター!」

バットマン「どうした!?」

マシュ「前方、暗闇の中に何か見えます!!」

バットマン「何……」



799 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:14:13.69 ID:aYEhFwXa0



 恐怖ガスの幻覚だ。そう返そうとしたブルースは、闇に目を凝らし、瞬時にそれを撤回した。

 ジャックも、ナーサリーも、アンデルセンも、モードレッドも止まる。ジキルはつられて『それ』に気づき、見上げるように首をのけぞらせる。


 それは暫時、身動きを止めていた。抵抗勢力が此処に来ると分かっていて、待ち伏せていたかのようでもあった。

 それが身じろぎした時、闇が波打ち、何倍にも大きく見えた。実際それは巨人じみて、その場に居る誰よりも大きく、質量も備えていた。関節部が駆動し、蒸気が噴き出す。

(怪物だ)

 恐怖が囁いた。それは伝播し、抵抗勢力の誰もが共有する感覚となった。

 ガシャリ。機械の鎧が軋み、蒸気のエネルギーが満ち満ちてゆく。闇を切り裂き、真紅のモノアイが点灯する。それはブルース達を睥睨し、敵意でもって輝いた。


「我が名は、チャールズ・バベッジ。蒸気王」

 蒸気が噴出する。立ち上がった怪物は、紳士然とした態度で名乗りをあげた。


800 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:14:50.34 ID:aYEhFwXa0



バベッジ「やはり生き延びたか。……いや、最初からベインは貴様らを殺す気などなかった。ならば当然と言うべきであろう」

モードレッド「……!」ギリィ

バットマン「どういう事だ。何故ベインは私達を生かした」

バベッジ「……問いに価値無し。我は貴様らを止めるためにこそ此処に居る。植物園で解毒剤を作らせる訳には行かない」

フラン「どうして」

バベッジ「……ヴィクターの娘か。何故ならば、この世界に価値が無いからである」

フラン「……」


801 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:15:40.70 ID:aYEhFwXa0



バベッジ「貴様らが歩む世界は夢を切り捨てたそれである。悪が真実となり、希望が偽善となる。そんなものを認めるわけにはいかない」

マシュ「そんな事は……」

バベッジ「数列と同じなのだ、年若き乙女よ。もはや予測はついている。勇者はおらず、恐怖がのさばる。人々は目を伏せ、星を目指さず死んで行く。そんな世界に、どれほどの価値がある?」

フラン「……」

バベッジ「だからこそだ。恐怖が真実になってしまったのならば、それを変える。世界にとっての悪であろうと、我々にとっての正義である」ガシャリ



ロボットD「……」ガシャリ、ガシャリ

ロボットE「……」ガシャリ、ガシャリ

ロボット達「「「……」」」ガシャン、ガシャン、ガシャン


バットマン(……挟撃。圧倒的不利。チューブからすぐに脱出しなかったのは悪手だったか)


マシュ「囲まれました、マスター……指示を」

バットマン「全員構えろ。モードレッド、ジャック、フランはバベッジを。アンデルセン、ジキル、マシュ、ナーサリーはロボット達を片付けるんだ」


全員「「「……」」」ジリッ


モードレッド「……ウォラァァァァァァッ!!!」ブォンッ

バベッジ「フン!!」ズォッ


ガッギャァァァァァァァァァァァ‼‼



802 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:16:33.50 ID:aYEhFwXa0


ロボットD「標的捕捉、捕捉、捕捉」ババババババババババ……

ロボットE「捕捉、捕捉、捕捉」ババババババババババ……

マシュ「くぅっ!?」ガギャギャギャギャギャギャ‼

バットマン「耐えてくれ、マシュ……! アンデルセン、ナーサリー! 牽制しろ! ジキル、怯んだ個体を共に仕留めるぞ!」バッ

アンデルセン「簡単に言ってくれるッ!」ギュギュォッ

ナーサリー「ええ、いくわよ!!」ギュォォォッ‼


光弾「「「」」」ゴォォォォッ、ドガァァァァァァァ‼


ロボットD「!」ヨロッ

ロボットE「!!」グラリ

ジキル「そらっ!」ガシ、ズガガッ

ロボットD「グギギ……」ドッサァァァン

バットマン「……ここだ!」バシ……ゴギャリ

ロボットE「捕捉捕縺ョ縺薙」バチバチバチ……ギュギギギギギ……


803 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:17:11.16 ID:aYEhFwXa0


ジャック「やあっ!」ヒュヒュヒュンッ

バベッジ「……この鉄の鎧には、効かぬ!」ガギャギャギャ、ブォンッ

ジャック「っ」タンッ、クルンッ

モードレッド「……ならオレはどうだ、機械ヤロウ!!!」ギュォッ

バベッジ「軽い! 腰の入らぬ剣戟など!」ブォンッ、ゴォッシャァァァァァァァァ‼

モードレッド「ぐっあ……!?」ゴォッ、ドガァァァァァ……


モードレッド(……クソ、手が震えやがる……!)プルプル……


バベッジ「やはり、不可能なのだ。人は内なる恐怖には勝てん」ブシュー……


バチ、バチチチチチチチチ……


バベッジ「むっ……」

フラン「ゥゥー……!!!」バチチチチチチチチィ……‼

バベッジ「……ヴィクターの娘。立ちはだかるか」


804 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:17:46.76 ID:aYEhFwXa0


バベッジ「見たはずだ。勇猛な騎士でさえ、自らの恐怖に押し負けた。生まれたばかりのお前は尚更であろう」

フラン「……こわく、ない!」

バベッジ「意地を張るのはよせ。フラン、お前は我が友の作品。壊したくない形見なのだ」

フラン「私はモノじゃない!!」

バベッジ「……謝罪する。だが、結果は変わるまい」ブシュー、ガチャリ……

フラン「変える!!」カチャッ

バベッジ「ああ、無知より尚愚かである。事実を知ってしかし足掻くその熱は、若さである。……よかろう、一撃で沈めてくれる!!」ブォンッ


805 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:18:24.35 ID:aYEhFwXa0


フラン「っ!!」ブォンッ、ガギャァァァァァァァァ‼

バベッジ「……やはり非力。我が蒸気機関のパワーの前では、なべて赤子の手を捻るが如し」ブシュー、ギリギリギリギリギリ……

フラン「ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……」ギリギリギリギリ、ジリジリジリッ

バベッジ「……フン!!」ブォンッ、ドゴォッ

フラン「うぁっ!?」ゴシャシャシャ、ドガァァァァァ‼

モードレッド「っ、フラン!!」

バベッジ「次は貴様である」ブシュー……


806 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:18:56.40 ID:aYEhFwXa0



ジャック「させないよっ!」タタッ、ギュォッ

バベッジ「貴様の刃。通らぬと言ったハズだ」ガギャァァァァァ、ブォンッ

ジャック「っく……」クルクル、スタッ

バベッジ「千日手も良いが、我は早々に決着を望む」ガシッ、グォッ

ジャック「あっ!?」ブラァン

バベッジ「……ぬぅぅぅぅぅん!!」ブンッ、ゴッシャァァァァァァァァァアアア‼

ジャック「あぐっ……」ガシャァァァァァァ……


807 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:19:28.76 ID:aYEhFwXa0


モードレッド「テメェ……!」プル、プル……


モードレッド(……駄目だ、脚が、すくんで、動かねえ……)


(((無価値)))


モードレッド(やめろ。オレは無価値じゃねえ)


(((所詮はアルトリア王の影)))


モードレッド(クソ!! なんでいつもこうなんだ! オレはただ……)


(((お前を騎士とは認めまい)))


モードレッド(……ただ、あの人を……)



ブシューッ、ガチャン、ガチャン……ブシューッ……

バベッジ「トドメである」ガチャン、ガチャン……


808 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:20:07.54 ID:aYEhFwXa0




バットマン(……不味い、アレではモードレッド達が負ける!)ドクン‼


(((ブルース、皆を頼んだ!)))


バットマン(……)ドクン……


バットマン(前方にはバベッジ。巨体。蒸気で稼働する鎧。圧倒的なパワー。
後方にはロボットの群れ。重武装。長距離をカバーする銃。
こちらの残存勢力、マシュ、アンデルセン、ジキル。モードレッドは攻撃を受け、移動不可。
チューブ内。ならば結論はひとつ)


バットマン「……マシュ、バベッジを抑えろ。アンデルセン、ナーサリー、ロボの群れを退けろ。ジキル、行くぞ」

ジキル「え……?」


809 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:21:05.56 ID:aYEhFwXa0


バットマン「行くぞ。これしかない。頼めるな、マシュ」

マシュ「……はい。大丈夫です、マスター。行って下さい」ガチャリ

アンデルセン「なんだ。死ねという命令か」

バットマン「……それはお前達次第だ」

ジキル「ブルース、どういう事だ!? 残しては行けない!」

バットマン「だがこのままでは勝てもしない」



810 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:21:33.90 ID:aYEhFwXa0



バベッジ「逃走。実に人間らしい選択である」ブシュー、ガシャン

マシュ「あなたの相手は私です!」ダダッ、ガシャリ

バベッジ「良かろう。せめて苦しませまい」


アンデルセン「行くと決めたなら早く行け! そう長く活路は開いておいてやれん!」ギュギュギュオッ‼

ナーサリー「心配ご無用よ、私達は強いもの!」ギュォォォッ‼

光弾「「「」」」ゴォォオォッ‼


ロボットE「ガガガッ……」ヨロッ

ロボットF「ギギ……」


バットマン「行くぞ、ジキル博士」

ジキル「無理だ! 皆を置いて行ける訳が……」

バットマン「議論する時間はない。……すまない、アンデルセン、ナーサリー、マシュ」

アンデルセン「フン……早く行け!」

バットマン「行くぞ」ガシッ、ダッダッダッ

ジキル「離してくれブルース!! 待ってくれ……待ってくれ!!」ズル、ズルズル、ヨロヨロ


811 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:22:01.61 ID:aYEhFwXa0



バベッジ「哀れ也。主人が去って尚、勝てぬ戦いに身を投じる貴様は……どこにそんな忠義を持つ?」

マシュ「勝てない戦いとは思っていません! 必ず、勝ちます!!」ガシャリ

バベッジ「ならばその希望を持ったまま、力尽きるが良い。後悔など持たぬうちに、片付ける」ブシュー……


モードレッド(……、……)プル……



812 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:22:30.96 ID:aYEhFwXa0



モードレッド(……ハッ、そりゃあ、そうだ。勝てるワケがねえ。この物量差で、この実力差。オレが万全の時だって、勝てたか怪しいもんだ)


バベッジ「そこだ!」グォンッ、ブン‼

マシュ「きゃっ!?」ガガガッ、ドサァッ


モードレッド(誰だって逃げるさ。ブルースのヤロウだって、オレだって……オレだって、生身の時なら、ケツまくって逃げ出してただろうよ……)プル、プル……

モードレッド(……そうだ。そうして、オレは……また、自分の価値を消してしまう)


バベッジ「フン!」ギャギャァ、ドッサァァァァァァァン‼

マシュ「うっ……く……!!!」ギリギリギリギリギリギリ

バベッジ「無益だ。楽になるがいい」ギリギリギリギリ……ブシュー……

マシュ「……!!」ギリギリギリギリ……‼


モードレッド(ああ、クソ)プル、プル……

モードレッド(怖えな、チクショウめ)ギリィ……


ブゥゥゥゥゥゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオ‼‼‼



813 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:23:22.77 ID:aYEhFwXa0



ワァン……ワァン……


モードレッド「……は?」

マシュ「!! アンデルセンさん!」ギャリィ、ババッ

アンデルセン「ああ、分かっているさ! ナーサリー、ジャックを避難スペースへ!」

ナーサリー「分かってるわっ!」ガシ、ズルズル

アンデルセン「俺はフランか! ええい、重たいな……!!」グイグイ


バベッジ「……? 何をするつもりだ」

マシュ「まだ逃がしません!!」ブォンッ‼

バベッジ「くっ……」ガギィ‼



トンネル内「」……‼ ……タン‼ ……タンッ‼ ガタンッ‼


814 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:24:45.45 ID:aYEhFwXa0



ブゥゥゥゥゥオオオオオオオオオオーーーー‼ ガタンガタン‼ ガタンガタン‼ ガタンガタン‼


バベッジ「!! まさか、貴様!!」ギャリィ‼

マシュ「そのまさかです! モードレッドさんっ、退避スペースへ……失礼します!!」バシッ、ダダッ

モードレッド「なんだ、何を……アレ、は」


蒸気機関車「」ガタンガタン‼ ガタンガタン‼ ガタンガタン‼


ロボット達「「「」」」バギャッ、ドギャギャギャギャギャ‼


815 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:25:17.83 ID:aYEhFwXa0



バットマン「もっと石炭を入れろ! 出力を最大に保つんだ!!」ガシャ、ガシャ

ジキル「やってる、よ、これしんどいな!!!」ガシャ、ガシャ


バットマン(……直線上。バベッジ、その巨体は避難スペースには潜り込めまい。そして、同じ蒸気機関ならば……負けは、ない!)



蒸気機関車「」ガタンガタン‼ ガタンガタン‼ ブゥゥゥゥゥゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオ‼


バベッジ「おのれ、貴様!!! 蒸気圧、最大……!!」ブシューッ、ブシューッ‼


バベッジ(間に合わない……!)


バットマン「降りろジキル!!」バッ

ジキル「ふえっ!?」ゴォッ

バベッジ「っ」グォォッ

ゴッシャァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアガガガガガガガガガガガガガガガ……ドガァァァァァァァァァァァァァァ‼



816 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:26:15.91 ID:aYEhFwXa0



………………

……ゴゴゴゴゴゴ、ドサァァァァ……


ズリ、ズリ……ズリ、ズリ……


バットマン「……くっ……ぐっ」ズリ、ズリ


バットマン(間一髪で脱出……とは、いかなかったか。衝撃で全身の傷が開こうとしている)


パチ、パチ……ボボゥッ、バチバチ……ゴゴゴゴゴゴゥッ


バットマン(……やはり、火事は免れんか……早く脱出せねば)ズリ、ズリ


ゴゴゴゴゴッ、ガラガラガラ……

バベッジ「……きさ、ま」ガシャリ、ガシャリ……

バットマン「しぶとい奴め……」


817 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:27:33.91 ID:aYEhFwXa0


バベッジ「そんかい、りつ、9、7%……おの、れ。我が理想は、終わり、を、告げようと、している」ブシュ、ブシュッ、ブシューッ

バットマン「……理想だと。諦めきった世界へ進むのが、お前の理想だったとでもいうのか」

バベッジ「世界に、守るべきものなど、なくなって、しまったのだ。悪と、死が、入り乱れる、あの世界には、何も」ギュ、ギュギュギュギュォォォォォォォォーン……グググググッ

バットマン「……」

バベッジ「もはや、損壊は、止まず。貴、様を、道連れに、する……!」ブォンッ

「ウゥッ!!」バッ

バベッジ「……!!」ピタッ


818 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:28:23.84 ID:aYEhFwXa0



パチ、パチパチ。ゴウッ、ゴゴゴゥ……


フラン「……」ジッ……

バベッジ「……フラン……」

フラン「……」

バベッジ「……ああ、そうか。止まってしまったか」シュウシュウ……

フラン「……ウゥ……」

バベッジ「……口惜しいな。やはり、世界は諦めた者へは冷たいのだ」シュウシュウ……

バベッジ「口惜しいな、ヴィクター。口惜しいな、スケアクロウ」

バベッジ「……さらば、我が理想よ」シュゥゥゥゥゥゥゥ……

フラン「……」


819 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:29:51.45 ID:aYEhFwXa0



バットマン「……二度も助けられたな、フラン……くっ」ググッ、ムクリ

フラン「無理、駄目」スッ

バットマン「いいや、平気だ……他の者は?」

フラン「今、列車の残骸を、退かしてるところ」

バットマン「そうか……いいか、すぐに出なければ。火災で酸素が無くなって動けなくなる……行くぞ」スタスタ……ヨロッ

フラン「!!」ガシッ

バットマン「すまない、大丈夫だ……」


バットマン(……いかん、体も限界が近い……)フラフラ



820 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:30:23.26 ID:aYEhFwXa0



モードレッド「ぐんぬぬぬぬぬ……!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ

ジキル「うぅぅぅぅぅ……」グググググググッ

列車「」ギゴゴゴゴゴゴ……ゴロォ


ジキル「よし、やった!」

モードレッド「おら、出ろ!」

マシュ「あ、有難うございます!」

ジャック「ありがとう!」

アンデルセン「おい何だ!? 今度は本当に火事か!?」

ナーサリー「大変……早くここから出なきゃ」


821 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:30:54.09 ID:aYEhFwXa0


バットマン「全員無事か」

マシュ「マスター! はい、無事です!」

ナーサリー「無事よ。……あなたこそ、大変みたいだけど」

バットマン「平気だ。全員今すぐここから出るぞ、チューブ内は危険だ」

ジャック「さんせい!」

バットマン「よし……パディントン駅は、すぐそこに……」グラッ


グラグラグラッ、ゴゴゴゴゴゴゴ……‼


モードレッド「っ、あぶねえ!」ダッ

バットマン「っ!?」ドサッ

ジキル「うわっぷ!?」ドサァッ


822 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:31:21.05 ID:aYEhFwXa0



炎上する瓦礫「」ガラガラガラ……ゴゥッ、ゴゴゥッ

バットマン「なっ……しまった、分断されたか。マシュ! 聞こえるか!」


マシュ「は、はい! 聞こえます!」


バットマン「パディントンに近いのはそちらだ、そこからキュー植物園へ向かって安全を確保してくれ! こちらは一旦別の駅から退出を試みる! 後で合流しよう!」


マシュ「了解しました! どうかご無事で、マスター!」


バットマン「ああ! ……急いで出るぞ、危険だ」

モードレッド「おう」

ジキル「ああ。……行くとしよう」



823 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:32:01.64 ID:aYEhFwXa0


タタタタタタ……


バットマン「……っく……」ダッダッダッ……フラッ

モードレッド「っ、おい。シャキっとしろ」ガシッ

バットマン「すまない、大丈夫だ……平気だ。行ける」

モードレッド「……いいや、無理だな。オレが抱えてやる」

ジキル「そうだね。僕には重すぎる」

モードレッド「ハ、正直な奴……」

バットマン「……すまない」

モードレッド「……」ガシッ、グイッ


824 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:32:51.54 ID:aYEhFwXa0



ゴゴゥッ、ゴゴゴゴ……

ダッダッダッ


モードレッド「……オレ、お前の事、もっと根性無しだと思ってたよ。何かあったらすぐ戦場から逃げ出す奴だと思ってた」ダッダッダッ

バットマン「……」ユッサユッサユッサ

モードレッド「だから、まあ、なんだ。……悪かったな、いろいろ。突っかかって」

バットマン「……」

モードレッド「……何か言えよ」

バットマン「……いや、気にしていない」

モードレッド「嘘つけ」

バットマン「気にしていない」

モードレッド「素直じゃねえ奴!!!」



ジキル(……なんでお姫様抱っこなんだ……???)タッタッタッタッ



825 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2018/06/14(木) 23:33:27.49 ID:aYEhFwXa0


モードレッド「見えたぜ。出口だ」

ジキル「少し、どこかの家屋で休みを入れたい。ブルースの回復薬も作ってやらないと」

バットマン「そうだな……地上に出たら、一旦降ろしてくれ。慎重に行動しなければ」

モードレッド「なんにせよ、植物園には行かねえと駄目なんだ。準備は整えねえとな……おう、階段のぼるから揺れるぞ」

バットマン「それは、あまりにも今更な警告だと思われる……」

モードレッド「何だと!?」

ジキル「ちょ、ちょっと声を抑えめにだな……」



看板『Sta.BAKER STREET』


ゴゥッ。ゴゴゴゴゴゥッ、パチパチ……


826 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/06/14(木) 23:34:35.67 ID:aYEhFwXa0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/06/15(金) 05:54:41.70 ID:XHKnHsnO0
828 : ◆GmHi5G5d.E :2018/06/15(金) 08:21:08.29 ID:RHsC5WIP0
すみません、808ですが

バットマン(こちらの残存勢力、マシュ、アンデルセン、ジキル)

バットマン(こちらの残存勢力、マシュ、アンデルセン、ナーサリー、ジキル)

に脳内補完を願います。
829 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/06/15(金) 08:22:06.14 ID:RHsC5WIP0
あげちまったすみません!!
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/15(金) 08:27:42.14 ID:QkU85nMPO
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/15(金) 16:02:50.26 ID:Li9ZkSZA0
乙乙

お姫様抱っこはさすがに草
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 09:34:40.67 ID:+rPrAdFUo

いや素晴らしい
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/16(土) 10:35:00.21 ID:73gPIxdO0
乙、相変わらず面白い
834 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/07/05(木) 11:42:34.39 ID:kOVjGS6K0
すみません、疲労を言い訳にはしたくないんですが結構描写の抜けがあります……

図書館での対ジャック戦で突如バッツが本棚を倒す指示を出していますが、これは「一定の方向の遮蔽物を破壊し、ジャックの隠れる場所をある程度予測可能にする」といった戦略も当初書く予定でした。ちょっと描写のし直しを試みます。
835 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/07/05(木) 11:49:27.63 ID:kOVjGS6K0
726の書き直しです。


………………


ジャック(……あっちにわたしたちは居ないのに、本棚を倒してる……足音も聞こえなくなってこっちには好都合だけど)


ズグググググググググ……ドッシャァァァァァァン……


ジャック(自暴自棄、なのかな。ヤケになっちゃったんだね、かわいそう……すぐに片付けてあげなきゃ)タタ、タタタタ……



バットマン(当然そう考えるだろう。だが派手な動きに気を取られ、私を見失うようでは甘い)プシューッ、プシュー……カチャカチャ、ピンッ

バットマン(隠れる場所も制限される。つまり、この後ヤツが来るのは……)カチャリ……
836 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/07/05(木) 11:50:46.55 ID:kOVjGS6K0
以上とさせていただきます。後からの手直しを何度も見せてしまいお恥ずかしい。続きも今書かせていただいています。
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 14:42:23.74 ID:EQ/FY16A0
いいのよ……面白いもの読ませてもらってるのだからネ……
本編続きも期待して待ってる!
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 14:59:14.52 ID:ky6iyHeWo
探偵と策略はバットマンらしくて凄い格好いい
すき
839 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:13:37.89 ID:2zVNU7dP0


………………

ホムンクルスA「……」ドシ、ドシ

ホムンクルスB「……」ブォンッ

モードレッド「クソ!! ロボットの親玉を片付けたと思ったら今度はこれかよ!!」ガギィ‼

ジキル「物量が……!!」シュバッ

モードレッド「チクショウ、おいブルース! 一網打尽にする作戦考えろ!!」

バットマン「何処かで屋内へ退避するぞ、無用な戦闘だ」

モードレッド「ああ!? 腰抜けか!!」

バットマン「大声を出すな、もっと呼び寄せるぞ。後退開始」


840 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:14:27.57 ID:2zVNU7dP0


ジキル「ええいっ」ババッ


ジキル(駄目だ、いつものような力が出せない……!)


バットマン(……?)


バットマン「博士。後退するぞ、怪我は無いか」

ジキル「あ、ああ。大丈夫だよ」

バットマン「……行くぞ」


841 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:14:56.28 ID:2zVNU7dP0


ジキル(生物を切ったら……)

ジキル(『殺す』という行為を認識してしまったら……)


ハイド(だよなぁ、気持ちイイもんなあ?)

ジキル(違う……)

ハイド(おっと、俺を否定するのか? 暴力の快感を?)

ジキル(僕はジキルだ。しっかりしろ)

ハイド(そうとも。俺はお前だ)

ジキル(違う!)

ハイド(本当に思ってるのか? 俺とお前は違うなんて)


ジキル「黙れ!! ……あっ」

モードレッド「……?」

バットマン「博士?」


842 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:15:27.54 ID:2zVNU7dP0



ジキル「い、いや……なんでも、ないんだ」

バットマン「……恐怖ガスの影響か。手早く建物を見つけて休もう」

モードレッド「なんだよ、早く言えよ」

ジキル「……そうだな。ごめん」

モードレッド「ったく、これだから……」

バットマン「謝る事ではない」

モードレッド「オレの台詞を遮るんじゃねー!!」


843 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:16:07.11 ID:2zVNU7dP0


バットマン(しかし、手ごろな建物が少ない……)


バットマン「……駄目だ、こちらの建物も返答はない」ドンドン

モードレッド「なー、いつまでやるんだ……」ドンドンドンドン

バットマン「住人がこたえるまでだ」ドンドン


バットマン(……しかし、非常時なのは住人も同じか。こんな時に、誰かを助けようなどという考えの方が貴重……)ドンドン


ガチャリ

ドア「」ギィィィィィ……



バットマン「……何?」

バットマン(ひとりでに開いた?)


844 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:16:38.00 ID:2zVNU7dP0


モードレッド「おっ、開いたな。じゃあ入ろうぜ」

バットマン「待て、罠かもしれない。ドクター、聞こえるか。内部のスキャンを……」

ドクター『もう済ませてあるよ。罠の類は見受けられない』

バットマン「成程……モードレッド、内部の物音は」

モードレッド「んー、あー……何も聞こえねえ。誰も居ねえと思うぜ」

バットマン「入るぞ。ジキル博士、私とモードレッドの間に」

ジキル「了解」

モードレッド「うし、行くぞ」ガチャッ


ドア「」バタンッ


表札『221B』


845 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:17:03.56 ID:2zVNU7dP0


………………


スタ……スタ……

バットマン(……本当に誰一人居ない。とても静かだ)


ギシィッ‼

ジキル「うっ!?」ビクッ

モードレッド「あ、わりぃ。気ィ付けろよ、階段のここ軋むぜ」ギシ

バットマン「……」



バットマン(家の何処かで誰かが身じろぎする気配すらない。本当に無人のようだ……)


846 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:17:30.34 ID:2zVNU7dP0



ジキル「……良かった、二階には十分なスペースがあるね。よし、回復薬と緩和剤の調合を開始する」

バットマン「頼んだ。こちらはマシュ達との連絡を試みる」

モードレッド「なんでも良いけど早くしろよ」

バットマン「お前は引き続き警戒を頼む」

モードレッド「はいはい……」


847 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:18:03.90 ID:2zVNU7dP0



ジキル「……」チョポポポポ……キリン、カチャカチャ


ジキル(恐怖ガス……僕の不調は本当にそれだけだろうか。もっと根本的な何かに根ざしていないだろうか)プル……

ジキル(僕は何を怖がっているんだ。本当に恐ろしいのは一体何なんだ)

ジキル(ハイド? 殺人? それとも……)


ジキル「……」グググ……


ジキル(……人を、殺せない事か?)


848 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:18:42.20 ID:2zVNU7dP0


バットマン「もしもし、マシュ。聞こえるか」ピッピッ


マシュ『あっ、マスター! ご無事でしたか!』

アンデルセン『いちいち声がデカいぞ盾女!!』

ナーサリー『あなたの方が大きな声よ、アンデルセン!!!』

フラン『ウゥ、ウ……』

ジャック『みんな五月蠅い、おかあさんの声が聞こえないよ』


バットマン「……全員無事なのは分かった。今どの辺りだ」


849 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:19:09.59 ID:2zVNU7dP0


マシュ『あと数ブロック進めば植物園に到着します。先程から敵の様相が変わって……ホムンクルスが多く襲ってきています』

バットマン「そうか。こちらも同じような状況だった、今は家屋に間借りして回復薬と緩和剤の作成中だ。良いか、少しでも無理だと感じたなら即座に逃走するんだ」

マシュ『はい、了解しました! ……え? アンデルセンさん? 代わりたいんですか?』

バットマン「……?」

マシュ『え、えーっと……マスター。アンデルセンさんが少し話したいそうです』

バットマン「分かった。代わってくれ」


850 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:19:58.55 ID:2zVNU7dP0



アンデルセン『もしもし、ブルースか。聞こえるか』

バットマン「もしもし、アンデルセン。何かあったか」

アンデルセン『気付いているとは思うが、戦力不足だ。分断された今、こちらの面子では火力不足に陥りやすい』

バットマン「……」

アンデルセン『加えて、バベッジの待ち伏せだ。奴らは植物園を守る気で居たらしい。あの機械紳士が敗れた今、更なる戦力を追加してくるだろう。このホムンクルス達はその前兆だ』

バットマン「……ああ、気付いている。だが進んでくれ。お前がブレインの役割を果たせば、不足の無い集団にはなれる」

アンデルセン『……お前、機械のようだと言われた事は?』

バットマン「回復すればすぐに追いつく、植物園で会おう。通信を切るぞ」

アンデルセン『ああ待て。ジャックが声を聴きたいと……』

バットマン「会ってから話すと伝えてくれ」ピッピッ


851 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:20:24.49 ID:2zVNU7dP0



バットマン「ジキル博士、回復薬と緩和剤は……」

ジキル「……」

バットマン「……ジキル博士?」

ジキル「……え? あ、ブルース。大丈夫、回復薬は出来上がったよ。服用してくれ。緩和剤はもう少しかかる」スッ

バットマン「ああ……博士、疲れているのなら」

ジキル「いいや、大丈夫。……大丈夫だ」


852 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:20:51.55 ID:2zVNU7dP0


モードレッド「らしくねーな、調合中に上の空なんてよ。なんかあったのか?」

ジキル「い、いや。何も」

モードレッド「ホントかぁ?」

ジキル「な、なんでもないって……」

バットマン「調合が終わってからにしてやれ、モードレッ……」



ギシィ‼

ジキル「!!」

バットマン「……」チラッ

モードレッド「……」コクッ


853 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:21:21.32 ID:2zVNU7dP0



バットマン(階段が軋んだ。誰かが上がってきている)


バットマン「……」スッ

モードレッド「……」カチャリ

バットマン「……」


バットマン(回復薬を服用し、もしもの時に備える……)ゴク、ゴクリ……



ガサガサ、ゴソゴソ……

「フォウ、フォーウ!」

???「こら、暴れるな。全く、街中に面倒の種がたくさん転がってる……」

「フォウ、キュ、フォーウ!!」

???「……おや、参ったな。扉が開きっぱなしじゃないか、誰がこんな……な、だ、誰だ!?」

バットマン「……?」


バットマン(……一般人? ……それに、)

バットマン「フォウ?」

フォウ「フォウ、フォーウ!」タタッ



854 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:21:52.73 ID:2zVNU7dP0


バットマン「失礼した、ミスター。我々は決して怪しいものではない……こちらへ来い、フォウ」

フォウ「……」テシテシ

???「怪しいものではない? よく言えたな、キミ、その恰好で!」

バットマン「……」

モードレッド「ははは、言われてやがる。ザマァねえでやんの」

ジキル「申し訳ありません、お邪魔でしたらすぐに失礼させていただきます」

???「いや……いや、まず君達は何者だ? どうやら、その獣とも知り合いのようだし」

フォウ「フォウ?」パタパタ

ジキル「……」

モードレッド「……」

バットマン「……」


855 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:22:21.77 ID:2zVNU7dP0


???「いいか、こっちはこのふざけた霧の原因を調べるためにずっと駆けずり回ってたんだ。そこへこんな怪しい集団が現れたら、逃がさないのが普通だ」

バットマン「……ミスター、虚勢を張るものではない」

???「そうかな? 僕は元軍人だ。銃の扱いだって、慣れてるさ」カチャリ

バットマン「……」


バットマン(……少しでも情報が必要か)


バットマン「……分かった、話そう」

ジキル「ブルース」

バットマン「勝手に間借りしていたのはこちらだ。それに、彼は当事者だ……知る権利がある」

???「賢明だ。どうぞ話して」



856 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:23:00.98 ID:2zVNU7dP0



………………

???「れ、レイシフトに……えー、特異点、それに……なんだ、カルデア?」

バットマン「そうだ。信じたか?」

???「……参ったな。僕の同僚が似たような事を言ってた……『今日は未来の分岐点だ』と。口からの出任せなら良かったが、そうは見えないし」

バットマン「では、こちらから出せる情報は以上だ。私はブルース。こっちがモードレッド、ジキル」

モードレッド「おう、このモードレッドに武器を向けるたぁいい度胸……」

ジキル「ヘンリー・ジキルです。よろしく」

モードレッド「まだオレが!! 喋ってるっつーの!!」

???「ああ、こっちこそ失礼。僕はジョン・ワトソン、軍医をやってて……なんというか、今は事件をまとめてるところかな。ああ、本業は医者だ」

バットマン「ジョン……ジョン・ワトソン? シャーロック・ホームズの、あのワトソン医師か?」


857 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:23:37.12 ID:2zVNU7dP0


ワトソン「ああ、そうだ。キミも僕の小説のファンかい?」

バットマン「……」


バットマン(ジョン・ワトソン。コナン・ドイルの推理小説、『シャーロック・ホームズ』の語り手となる人物だ……確かに、物語の中では彼が全ての記録をつけていた設定になっていたが)


ワトソン「なら、前回の事件簿も読んでくれただろうね? 霧の中で、殺人鬼との追いかけっこ! なんと犯人は小さな子供だった……スリル満点、こんな事件の只中じゃなければ大うけだったハズさ」


バットマン(ジャックの事か……彼女が味方だとは言わない方が良さそうだ)


ワトソン「私はこれでも見たものを記録する能力に長けていてね、スコットランドヤードにもスケッチを送って大変貢献した……ええと、ここにも残っているハズだからキミ達の警戒のためにも一枚……」

バットマン「いや、良い。それよりもドクター、彼は……『シャーロック・ホームズ』は今、何処に居る?」


858 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:24:20.23 ID:2zVNU7dP0


ワトソン「なんだ、やっぱり君達も依頼人だったのか! 残念だが、今彼はここには居ない。ロンドン中の資料を集めたり、面倒の種を摘んだりで大忙しだ」

バットマン「資料を?」

ワトソン「ああ、いや、この霧の原因を調査するためにね。彼が言う事には、『この霧がひとつの事件で完結するハズがない。背後にもっと大きな陰謀があるハズだ』と。ははは、毎度常人には及ばぬ思考を働かせる男なんだ」

バットマン「……そうか」

モードレッド「ハッ、変人ってヤツか」

ワトソン「うむ、我が友ながら否定できないな。……ああいや、待て。そういえば、妙な連中に会ったらこれを渡せと言われていたな」ゴソゴソ……スッ

バットマン「……? これは?」パシッ

ワトソン「さあ。何やらびっしりと書かれているが、私には何のことやらサッパリだ。だけど、必ず渡せと」


859 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:24:47.92 ID:2zVNU7dP0



紙切れ『潜入して盗み聞いたところ、やはり彼は既に死んでいる。では奴はどのようにして十の指輪を操るのか?
アトラス院にて待つ S・H』

バットマン「……」

ジキル「潜入して、……なに?」

モードレッド「縦読みだ。知ってるぞ、そうなんだろ?」


バットマン(奴。彼。十の指輪)


バットマン「……成程、理解した。燃やして構わないな」

ワトソン「え? あ、ああ……構わないが、理解できたのか?」

バットマン「キミ達の持っていないピースを丁度私が持っていた。それだけだ」ボゥッ


860 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:25:39.28 ID:2zVNU7dP0



モードレッド「おい、どういう意味だ? これが分かったのか?」

バットマン「ああ、分かった。尤も、彼も分かっていて敢えて私に問うたのだろう」

ワトソン「あー、シャーロックが? つまり、どういう事なんだ?」

バットマン「……つまり、」


通信機『マスター! マスター、救援を……っぐ!?』ザザザッ

バットマン「……!!」

ジキル「今のは……!」


861 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:26:08.18 ID:2zVNU7dP0


バットマン「すまないミスターワトソン。邪魔をした。ジキル、恐怖ガス緩和剤の摂取は完了したか?」

ジキル「ああ。いつでもいける」

ワトソン「まっ、待て。どういう事だ、何が起きている?」

バットマン「……説明は、いずれ彼がするだろう。さらばだ」ダッ

モードレッド「邪魔したな!!」ダダッ

ジキル「失礼します」タッ

フォウ「フォウ、フォーウ!」ピョンピョーン



862 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:26:59.90 ID:2zVNU7dP0


シーン……

ワトソン「……」

ワトソン「……ええいっ、じっとしていられるか! どうしてどいつもこいつも蚊帳の外に置いておこうとするんだ!」

ワトソン「えぇーと、銃、ステッキ……トップハット、良し!」

ワトソン「待っていろよ、私だってシャーロックに及ばないまでも、真実に対する探求心はあるとも! ハドソンさん、出かけます!」ドタドタ


シーン……


ワトソン「……ああ、居ないんだった。ええいもう!」ガチャリッ


ドア「」バタン‼



863 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:27:38.02 ID:2zVNU7dP0


…………十数分前……


マシュ「ふう、ホムンクルス達は予想外でしたが……思ったより楽に突破できましたね。そして、アレが」

アンデルセン「ああ、アレが植物園だ。おい、へっぽこドクター」

ドクター『……あれ、もしかしてそれって僕の事? だとしたらショックなんだけど!?』

アンデルセン「お前以外に居るか。植物園の内部をスキャンできるんだろう、やってくれ」

ドクター『ぐぅ……分かったよ、やるよ……はいはい、内部に魔力反応はなし。探してる植物は奥の方にあるみたいだ』

アンデルセン「成程な。良いだろう、マシュ、フラン、俺の前に立て。ジャックとナーサリーは俺の後ろだ。行くぞ」

864 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:28:06.01 ID:2zVNU7dP0



………………


マシュ「……」コツ、コツ


マシュ(この建物、曲がり角が多い。障害物が多すぎて、敵に隠れる場所を与えてしまう)

マシュ(……それに、嫌な予感がする。何か、凄く嫌な予感が……)


アンデルセン「おい、マシュ! こっちだ、目当ての植物を見つけたぞ!」

マシュ「あ、はい! 今行きます!」


マシュ(考えすぎ……なのかな)


865 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:28:41.99 ID:2zVNU7dP0


ジャック「……うーん、これ? あんまりきれいなお花じゃないね」

ナーサリー「そんな事はないわ、どんなお花も綺麗になれるの」

アンデルセン「全く……! 無駄口を叩かず少しでも採集に精を出せ!」ブチブチ

フラン「うるさい……」ブチブチ

マシュ「……」ブチブチ


マシュ(……何かがおかしい。何か……恐怖ガスを受けてから、思考が鋭敏になってる。たとえば)

マシュ(さっきから、どうしてスイレンの水面にさざなみが立っているんだろう)



866 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:29:38.38 ID:2zVNU7dP0



マシュ(水面の近くには……通気口だ。金網にはボルトが外された痕がある)

マシュ(ダクトは上に続いてる。何処に出るんだろう? さっきから感じるこの違和感は何?)


(((運などない。だが策略は存在する)))


マシュ(……マスターなら、どう考える? この違和感……偶然? それとも、)



ドクン


マシュ(外された金網。波立つ水面。罠ひとつない植物園。私達でも突破できたホムンクルス)


マシュ「皆下がって!!! 攻撃下です!!!」ババッ

アンデルセン「っ!!?」ババッ

フラン「!!」ザザァッ‼

ジャック「!」タンッ、トトッ

ナーサリー「きゃ!?」ヨロ、タタッ


ガッシャァァァァァァァァァァン‼



867 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:30:15.78 ID:2zVNU7dP0



霧「」ズォォォォォォォオ……


???「フフフハハハァ……少しは賢い者が居たようだ」

???2「慢心はなりませんよ、ジョナサン。彼らはバベッジを打倒した」

スケアクロウ「ンフフフフフフ……期待しておこうじゃないか、なあ、パラケルスス。彼らは恐怖に抗えるかな?」


アンデルセン(……B・P・M・Sの内の二人! スケアクロウ、パラケルスス!!)


アンデルセン「手に余る」

マシュ「マスター! マスター、救援を……っぐ!?」ガギィン‼

スケアクロウ「ヒャハハハハ……練られた動きだ、女ぁ!」ヒュンヒュンッ

マシュ「くぅっ……!?」ガガッ、ガギィィ‼


868 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:31:07.83 ID:2zVNU7dP0


マシュ(鎌。中距離の武器……近寄れない。私が苦手とする武器)ガィン‼ ガギィン‼


ジャック「たぁっ!!」タンッ


水「」ギュギュ、ズォッ‼


ジャック「!!」

ナーサリー「ジャック危ないっ!!!」バッ

ジャック「くっ……」ドドッ、ゴロゴロッ

パラケルスス「おや、躱しましたか。この一撃で一人は持って行くつもりでしたが、なかなか思うようにいきませんね」

ナーサリー「あなた……!」

パラケルスス「私はパラケルスス。元素を操る魔術師。どうぞお見知りおきを」


アンデルセン(……ブルース達はベイカーストリートへ出た。ここへ来るまでにかかる時間は……15分、20分。間に合わん、確実に俺達が殺されている)


869 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:31:49.07 ID:2zVNU7dP0


アンデルセン「戦いをやめ、交渉する気は?」

マシュ「あ、アンデルセンさん?」

フラン「ウゥ……?」

パラケルスス「……?」

スケアクロウ「耳を貸すな、パラケルスス!!」

パラケルスス「逸ってはなりません、ジョナサン。……交渉ですか?」

アンデルセン「俺達は、仲間の内で最も強い連中の情報を売る。そいつらはここには居ない」

マシュ「な……! 駄目です!!」

アンデルセン「黙っていろ! 今ならおまけで、俺の命もくれてやる。さあどうだ、のるか、そるか」

ナーサリー「駄目よ! 絶対にダメ!! 切り抜ける方法があるハズよ!」

アンデルセン「……」

870 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:32:21.60 ID:2zVNU7dP0



アンデルセン(いつもながら、子供の理想論だ。切り抜ける方法などない。マシュ、フランも薄々それに勘づいている。俺達は、勝てん)

アンデルセン(モードレッドやブルースが居れば違っただろうが、奴らは今、ここには居ない。ああクソ、ないものねだりはガキの思考だ!)

アンデルセン(あとはどうなるか。フラン、マシュ、ジャック、ナーサリーをどうにかしてこの場から逃がせないか。こいつらがどれほどの脅威として認識されているかにもよるが……)


パラケルスス「……」

スケアクロウ「……」



871 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:32:55.07 ID:2zVNU7dP0



パラケルスス「……気高い行いですね。ですが、……面白い話を、して差し上げましょう」

アンデルセン「……?」

パラケルスス「恐怖ガスが変えてしまった人の中には、アナタのような勇気ある人も居た」

スケアクロウ「パラケルスス!!」

パラケルスス「言わせてください、ジョナサン。……恐怖を経験し、彼は変わってしまった。勇気は打ち砕かれ、絶望と攻撃性のみが残った」

スケアクロウ「……」

アンデルセン「……」

パラケルスス「彼が最期に何と言ったか、知りたいですか? 『あぁ、神様』、それだけです。自分のしたことを認識した彼は自殺した」

アンデルセン「……」

パラケルスス「人間は弱すぎる。いともたやすく変化し、自分がそれに耐えられない。悪に染まった魂を、善良な心は直視できない」

スケアクロウ「……」

パラケルスス「……失礼しました。ではやりましょうか、スケアクロウ。終わらせる」



872 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:33:38.40 ID:2zVNU7dP0


アンデルセン(やはり話など通用せんか!)


アンデルセン「クソ!!」ババッ、ギュォォォォォッ

スケアクロウ「フン、効かないぞ!」ガギギィィィ、ヒュォンッ‼

マシュ「たあっ!」ガギィン‼

スケアクロウ「小娘、邪魔だァ!!!」ヒュンヒュンヒュンッ



パラケルスス「心苦しいですが、新たな世界の礎となって頂きます」パパパパッ、ギュゥゥゥゥゥ……

ナーサリー「迂闊に近付いちゃ駄目、嫌な感じがするわ!」

ジャック「く……」ジリッ

フラン「ウゥゥ……」ジリジリ


パラケルスス「土、水、火。これで十分でしょう」ボボボボボォォォォッ‼

ナーサリー「!!!」ギュギュギュオッ、


ドドドドォォォォォォォォ……


873 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/08/02(木) 01:34:10.69 ID:2zVNU7dP0


フラン「う、ウゥ……!」ゴロゴロッ

パラケルスス「……おや、アナタは……?」

フラン「……」ムクリ

パラケルスス「……ホムンクルスではない? ですが、真っ当な人間でも、サーヴァントでも……」

フラン「ウゥァ!!」バチバチバチバチィ‼

パラケルスス「……」ギギィィィ、パァン

フラン「……!!」ブォンッ

パラケルスス「……成程、アナタも作られた存在でしたか」ガギィィィィィ‼

フラン「アァァァァァ!!」ギリギリギリィ

ジャック「やあっ!!」ダダンッ、ギュォォォッ

パラケルスス「遅い」パシ、ブォンッ

フラン「ぐ……!?」ドシャァッ

ジャック「うわ!?」ドシャシャッ


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